JPH1157776A - 汚染地下水及び汚染地層の浄化方法及びその装置 - Google Patents
汚染地下水及び汚染地層の浄化方法及びその装置Info
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- JPH1157776A JPH1157776A JP9229268A JP22926897A JPH1157776A JP H1157776 A JPH1157776 A JP H1157776A JP 9229268 A JP9229268 A JP 9229268A JP 22926897 A JP22926897 A JP 22926897A JP H1157776 A JPH1157776 A JP H1157776A
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Abstract
微生物により、例えば原位置バイオレメディエーション
技術により効率良く浄化する方法及び装置を提供する。 【解決手段】 本方法は、地下水流への注入水に、汚染
物質の分解微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガス
と言う)を溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を注入井
を介して地下水流に注入して、微生物により汚染地下水
及び/又は汚染地層を浄化する方法である。本発明方法
では、注入水の注入位置での地下水流の水圧より高い圧
力下で増殖ガスを注入水に溶解し、溶解した注入水を地
下水流に注入する。好適には、注入井18の底部で地下
水流から地下水を汲み取り(72)、注入井の底部で酸
素及び分解酵素の誘導基質の少なくとも一方を地下水に
送入、溶解して注入水とし(78、80、82)、その
注入水を同じ注入井の底部で地下水流に注入する(7
4)。
Description
染地層の浄化方法及びその方法の実施の際に使用する汚
染物質の分解微生物の増殖に必要なガスの供給装置に関
し、更に詳細には、汚染物質の分解微生物の増殖に必要
なガスの供給量を増やして浄化効率を高めた、汚染地下
水及び汚染地層の浄化方法及びその方法の実施の際に使
用する装置に関するものである。
CEと略記する) や、テトラクロロエチレン(Cl2C=CCl
2)などの有機塩素化合物は、油脂等に対する溶解性が高
いので、一般溶剤、脱脂用洗浄剤等として各種の工場及
びクリーニング店等で広く使用されている。そのため、
長年の間に、これらの有機塩素化合物のかなりの量が、
使用中に誤って外部に流出したり、或いは廃棄されたり
して、地層及び地下水を汚染している。
ある恐れがあるため、汚染された地層及び地下水の浄化
が、近年、大きな社会的要望となっていて、そこで、汚
染サイトで微生物を利用して有機塩素化合物を分解する
原位置バイオレメディエーション(bioremediation)技
術が注目されている。原位置バイオレメディエーション
技術による地層および地下水の浄化方法は、有機塩素化
合物等の汚染物質に対する分解能を有する微生物を汚染
サイトの地層中で増殖、活性化して、汚染物質を原位
置、即ち地層中で分解して無害な物質に転化することに
より、地層および地下水を浄化する方法を言う。
下水を微生物学的に浄化する場合、有機塩素化合物を直
接資化できる菌は、地層中に存在していないので、メタ
ン、トルエン、フェノール、アンモニア等をそれぞれ資
化する菌(以下、それぞれメタン資化菌、トルエン資化
菌、フェノール資化菌、アンモニア資化菌と言う)の共
酸化を利用した処理方法が提案されている。この方法
は、メタン資化菌等の資化菌の増殖に必要な栄養塩及び
酸素に加えて、メタン資化菌等の資化菌のそれぞれの基
質として、環境的に比較的害の少ないメタン、トルエ
ン、フェノール、アンモニアなどを汚染サイトに注入し
て資化菌を増殖し、有機塩素化合物を分解する分解酵素
を資化菌により誘導する。そして、誘導された分解酵素
により有機塩素化合物を分解し、無害な物質に転化する
方法である。
で利用できる資化菌には、上述のように種々のものがあ
るが、実用的には、通常、メタン資化菌又はプロパン資
化菌を利用した例が多い。例えば、メタン資化菌は、T
CEを分解して増殖することはできないものの、基質と
するメタンを酸化して増殖し、その際、TCEなどの有
機塩素化合物を共酸化により分解するメタンモノオキシ
ゲナーゼという分解酵素を誘導する。分解酵素により分
解されるTCE量は、メタン資化菌の菌体増殖量により
決定されるので、原位置バイオレメディエーション技術
では、メタン資化菌の増殖を図るために、メタン、プロ
パン等の常温、常圧ではガス状の炭化水素をメタン資化
菌等の資化菌の基質として汚染地下水及び汚染地層に供
給している。
するメタン資化菌を利用した原位置バイオレメディエー
ション法を適用した場合の従来の設備を説明する。図6
は、従来の原位置バイオレメディエーション法による地
層浄化設備(以下、簡単に地層浄化設備と言う)の構成
の一例を示す概念図である。従来の地層浄化設備10
は、主要設備が汚染サイト上の地上に設置されていて、
メタン資化菌の繁殖に必要な酸素とメタン、更には栄養
塩を地上で注入水に溶解し、その注入水を注入井を介し
て地下水流に注入し、有機塩素化合物により汚染された
地層を浄化する。地層浄化設備10は、汚染地層中の地
下水を汲み上げる揚水井12と、揚水井12で揚水した
地下水を曝気する曝気塔14と、曝気した地下水を昇圧
して注入水とするポンプ16と、ポンプ16から注入井
18の底部まで延在し、先端に流出口を有する注入水管
20と、注入水管20に設けられ、酸素ボンベ21A及
びメタンボンベ21B(図6では21として1個のボン
ベのみ図示)から供給された酸素及びメタンを水に送
入、溶解させるガス送入ノズル22A、B(図6では2
2として1個のノズルのみ図示)と、ガス送入ノズル2
2の下流に設けられ、送入した酸素及びメタンと水とを
混合して溶解を促進するインラインミキサ24とを備え
ている。また、地層浄化設備10は、地下水中の酸素濃
度、メタン濃度、栄養塩濃度、メタン資化菌の菌数、汚
染物質濃度等を測定するための観測井26を備えてい
る。尚、図示しないが、栄養塩は、別途、注入水に供給
されている。図6中、28は、曝気塔14に空気を送入
するブロアである。曝気塔14で曝気された地下水は、
注入水としてポンプ16により昇圧され、酸素、メタン
及び必要な栄養塩が送入された後、注入水管20を介
し、注入井18から地下水流に注入される。
に、ボンベ21から注入井18の底部まで酸素及びメタ
ンの供給管29を敷設し、注入井18の底部から地下水
流に直接酸素及びメタンを供給する方法も実施されてい
る。この場合には、曝気塔14からの水は、河川等に放
流されている。
びメタン、プロパン等の基質ガスの水への溶解度は非常
に低い。そのため、上述した従来の地層浄化設備によ
り、メタン資化菌又はプロパン資化菌を利用した原位置
バイオレメディエーション方法を実施する際、浄化を促
進するのに充分な量の酸素ガス及び基質ガスを供給する
ことができないので、従って有機塩素化合物を分解でき
る菌の増殖が抑制され、浄化効率の向上が難しいという
問題があった。逆に、充分な量の酸素ガス及び基質ガス
を供給しようとすると、大量の注入水が必要となり、注
入設備が大型になって、設備費及び運転費が嵩むことに
なる。しかも、酸素及び基質を溶解した注入水を汚染サ
イトの上流に注入しているので、注入水の注入により有
機塩素化合物濃度が希釈されたり、また有機塩素化合物
が拡散して汚染区域が拡大したりして、浄化効率の向上
を制約する一因になっていた。以上の説明から判るよう
に、メタン資化菌又はプロパン資化菌を利用した原位置
バイオレメディエーション方法を実用化するには、必要
な量の酸素ガス及び基質ガスを供給して効率良く汚染地
下水及び汚染地層を浄化できる方法及び装置が求められ
ている。以上の説明では、主としてメタン資化菌による
原位置バイオレメディエーション方法を例にして説明し
たが、汚染物質を分解する分解微生物の増殖により汚染
地下水及び/又は汚染地層を浄化する方法では、同じ問
題が付随している。
微生物の増殖に必要なガスを供給し、分解微生物により
効率良く汚染地下水及び汚染地層を浄化できる方法及び
装置を提供することである。
達成するために、先ず、以下のようなカラム実験を多数
回行った結果、酸素及びメタンの供給量が増加するにつ
れて、バイオレメディエーション技術によるTCE除去
率が向上することを確認した。実験例 次のようにして、加圧下でメタンガス及び酸素ガスを地
下水に溶解した実験試料溶液、大気圧下でメタンガス及
び酸素ガスを地下水に溶解したコントロールテスト溶液
及び地下水をそのまま使用したブランクテスト溶液を調
製し、それぞれについてTCE除去率を測定するカラム
テストを実施した。先ず、TCEで汚染された汚染サイ
トから採取した土を充填高さ約40cmに充填したカラム
を用意した。TCEで汚染された汚染サイトから地下水
を採取し、その地下水に栄養塩として無機塩培地(NM
S培地)を地下水の10%濃度になるように添加し、更
に1kg/cm2gの加圧下でメタンガスと酸素ガスとを地下
水に溶解し、メタン濃度が10mg/l、及び酸素濃度
が40mg/lの実験試料溶液を調製した。次いで、試
料溶液と充填層との接触時間が約24時間になるような
通水速度で、試料溶液をカラムに連続的に通水した。そ
して、カラムの入口及び出口で経時的にヘッドスペース
法によるガスクロマトグラフ分析(PID)によって試
料溶液中のTCE濃度を定量してTCE除去率を算出
し、TCEの分解活性を調べた。その結果は、図1のグ
ラフに示す通りである。
養塩として無機塩培地(NMS培地)を地下水の10%
濃度になるように添加し、更に大気圧下でメタンガスと
酸素ガスとを地下水に溶解し、メタン濃度が5mg/
l、及び酸素濃度が20mg/lのコントロールテスト
溶液を調製した。次いで、試料溶液と同じ通水条件でコ
ントロールテスト溶液のカラムテストを行い、同様にT
CE濃度を測定してTCE除去率を求め、その結果を図
1のグラフに示した。更に、汚染サイトから採取したそ
のままの地下水をブランクテスト溶液として使用し、試
料溶液と同じ通水条件でカラムテストし、同様にTCE
濃度を測定してTCE除去率を求め、その結果を図1の
グラフに示した。
10日以降では、メタンガス及び酸素ガスを加圧状態で
地下水に溶解した実験試料溶液によるTCE除去率は、
約40%に達している。一方、コントロールテスト溶液
及びブランクテスト溶液によるTCE除去率は、それぞ
れ約20%及び約5%であった。これは、メタンガス及
び酸素ガスを加圧下で溶解した、ガス濃度の高い注入水
を地下水に注入することにより、バイオレメディエーシ
ョン技術による浄化効率を向上させることができること
を示している。
めに、本発明に係る汚染地下水及び汚染地層の浄化方法
(以下、第1の発明方法と言う)は、地下水流への注入
水に、汚染物質の分解微生物の増殖に必要なガス(以
下、増殖ガスと言う)を溶解し、増殖ガスを溶解した注
入水を地下水流に注入して、微生物により汚染地下水及
び/又は汚染地層を浄化する方法において、注入水の注
入位置での地下水流の水圧より所定圧力だけ高いガス圧
力下で増殖ガスを注入水に溶解し、増殖ガスを溶解した
注入水を地下水流に注入することを特徴としている。
を浄化するとは、汚染地下水及び汚染地層の双方を浄化
すること、又は汚染地下水又は汚染地層のいずれかを浄
化することを意味する。また、汚染物質とは、有機塩素
化合物に限らず、地下水及び地層を汚染するあらゆる物
質、例えば石油等の炭化水素化合物をも意味する広い概
念である。分解微生物とは、汚染物質を分解する分解微
生物であって、例えば汚染物質が有機塩素化合物である
場合には、メタン資化菌、トルエン資化菌、フェノール
資化菌、アンモニア資化菌等の資化菌を意味し、汚染物
質が石油のような場合には、石油を分解、資化する石油
分解菌を意味する。汚染物質の分解微生物の増殖に必要
なガス(以下、増殖ガスと言う)とは、ガスの種類に制
約はなく、広く、汚染物質の分解微生物の増殖に必要な
ガスを意味し、また1種類のみのガスとは限らず複数種
類のガスがある場合も多い。増殖ガスは、例えば分解微
生物がメタン資化菌の場合には、メタンガス、酸素ガ
ス、空気等を意味し、分解微生物が石油分解菌の場合に
は、酸素ガス、空気等を意味する。更には、本明細書で
は、資化菌が基質として資化するガスを基質ガスと言
い、例えばメタン資化菌が基質として資化するメタンガ
スを基質ガスと言う。本発明方法では、増殖ガスのう
ち、例えば酸素ガスだけを地下水に溶解しても良く、基
質ガスだけを溶解しても良く、また酸素ガス及び基質ガ
スの双方を溶解しても良い。
の地下水流の水圧より所定圧力だけ高いガス圧力下と言
う際の所定圧力とは、0.5kg/cm2以上を言い、所定圧
力を大きくする方が好ましいが、好適には地下水流の水
圧より1kg/cm2以上高い圧力下で増殖ガスを溶解するの
が好ましい。また、本発明では、複数種類の増殖ガスの
混合ガス、例えば酸素ガスと基質ガスとの混合ガスを注
入水に送入しても良く、酸素ガスと基質ガスとを別々に
同じ注入水に送入しても良く、またガスの種類を切り換
えて酸素ガスと基質ガスとを交互に同じ注入水に送入し
ても良く、各注入井に注入する注入水毎にガスの種類を
代えても良い。第1の発明方法では、地上で増殖ガスを
注入水に溶解して注入井を介して地下水に注入する場合
が多い。また、本発明方法は、地上に設置したバイオリ
アクタにより汚染地下水を浄化する方法にも適用でき
る。
層を浄化する方法として、特に好適な方法(以下、第2
発明方法と言う)は、地下水流への注入水に、汚染物質
の分解微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガスと言
う)を溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を地下水流に
注入して、微生物により汚染地下水及び/又は汚染地層
を浄化する方法において、注入井内で地下水流から地下
水を汲み取り、前記注入井内で増殖ガスを地下水に溶解
して注入水とし、その注入水を前記注入井内で地下水流
に注入することを特徴としている。本発明方法を実施す
る際、水中ポンプを使って注入井内の地下水流中で地下
水を汲み取っても、また水中ポンプではない通常のポン
プを使って注入井内の地下水流から地下水をその水面上
に汲み上げても良い。本発明方法では、注入水を汲み取
った注入井と同じ注入井に注入水を返しているので、従
来生じていたような、汚染地下水及び汚染地層中の有機
塩素化合物濃度の注入水の注入による希釈及び有機塩素
化合物の拡散を防止し、浄化効率を一層向上させること
ができる。
化方法を実施する際には、望ましくは、本発明に係る汚
染物質の分解微生物の増殖に必要なガスの供給装置を使
用する。本発明に係る汚染物質の分解微生物の増殖に必
要なガスの供給装置は、地下水流への注入水に、汚染物
質の分解微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガスと
言う)を溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を注入井を
介して地下水流に注入して、微生物により汚染地下水及
び/又は汚染地層を浄化する際に、増殖ガスを注入水に
溶解して汚染地下水及び/又は汚染地層に供給する装置
であって、注入水の注入位置での地下水流の水圧より高
い圧力に注入水を昇圧する注入水ポンプと、注入水ポン
プから注入井内の注入水注入位置まで延在し、注入水を
地下水流中に流出させる注入水管と、注入水管に設けら
れ、注入水の圧力よりも高い圧力に昇圧された増殖ガス
を注入水に送入、溶解させる送入・溶解手段と、送入・
溶解手段の下流の注入水管に設けられ、注入水管の流路
を絞って注入水管内の注入水の圧力を保持し、かつ注入
水を地下水流に流出させる流出手段とを備えることを特
徴としている。
物質の分解微生物の増殖に必要なガスの供給装置を注入
井の内部に設置する。即ち、注入水ポンプが注入井内に
設置されて地下水を注入水として汲み取り、注入水管が
注入水ポンプから前記注入井内の注入水注入位置まで延
在している。本実施態様で使用する注入水ポンプは、既
知の水中ポンプであって、地下水を汲み出し昇圧できる
限り、型式は自由である。
状の酸素及び基質を注入水に送入、溶解できる限り制約
はなく、例えば滞留させた注入水上に前記昇圧された増
殖ガスを導入し、加圧下で注入水に溶解させるように、
注入水管に設けられた溶解タンク、又は注入水管に設け
られたガス送入ノズル及びガス送入ノズルの下流に設け
られたインラインミキサからなる。溶解タンクは、加圧
状態下で増殖ガスをタンク内に滞留する注入水に溶解さ
せるタンクで、注入水の滞留時間は溶解させるガスの種
類及びガス圧力により異なるので、実ガスの溶解実験に
より決定する。ガス送入ノズルは、既知の構成のノズル
で、例えば注入水管内にノズルを挿入した形式のノズル
を言う。インラインミキサは、パイプ内で注入水とガス
との混合、溶解を促進するものであれば良く、例えばコ
イル状に巻いた帯状体をパイプ内に挿入し、注入水を帯
状体に沿って流動させ、それにより注入水とガスとの混
合、溶解を促進させる形式のインラインミキサでも良
く、また、ドーナツ状に孔を開けたドーナツ板とディス
クとをパイプ内に交互に設け、そこに注入水を流してガ
スと注入水との混合、溶解を促進するタイプのものでも
良い。
滞留させ、増殖ガスの注入水への溶解を促進する溶解促
進タンク、又は加圧接触パイプを、送入・溶解手段と流
出手段との間の注入水管に設ける。溶解促進タンクは、
増殖ガスの送入された注入水を滞留させ、増殖ガスと注
入水との接触時間を確保して増殖ガスを注入水に完全に
溶解させる機能を有する。また、加圧接触パイプは、パ
イプを大きく蛇行させたり、コイル状に巻回して注入水
の滞留時間を長くするようにしたパイプ体であって、増
殖ガスと注入水との接触時間を確保して増殖ガスを注入
水に完全に溶解させる機能を有する。
水管内の注入水の圧力を保持し、かつ注入水を地下水流
に流出させることができる限り、種類及び形式に制約は
なく、例えば、流出手段として、弁及びオリフィスのい
ずれか一方を備えた流出口、又は注入水を駆動水流と
し、駆動水流により地下水流から地下水を導入して注入
水と地下水とを混合し、流出させるエダクタを使用す
る。流路を絞る弁又はオリフィスは、できるだけ注入水
管の長い距離にわたって、増殖ガスと注入水との溶解状
態を維持するために、注入水管の流出口近傍に設けるの
が好ましい。エダクタは、注入水を地下水に混合する機
能に加えて、注入水管の流路を絞って注入水管内の圧力
を高い圧力に維持する機能を有する。
り汚染地下水及び/又は汚染地層を浄化する全ての浄化
方法及びその実施の際の装置として適用でき、例えば有
機塩素化合物による汚染に限らず、石油等の汚染物質に
より汚染された地下水及び又は地層を微生物により浄化
する場合に適用できる。
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例1 本実施形態例は、本発明に係る汚染物質の分解微生物の
増殖に必要なガスの供給装置のタンク溶解式実施形態例
であって、図2はその構成を示すフローシートである。
図2から図5中、図6と同じ機器には同じ符号を付し
て、その説明を省略する。本実施形態例の汚染物質の分
解微生物の増殖に必要なガスの供給装置(以下、簡単に
供給装置と言う)30は、酸素ガス又は基質ガスを供給
して、第1の発明方法を実施する装置であって、注入水
の注入位置での地下水流の水圧より高い圧力に注入水を
昇圧する注入水ポンプ31と、注入水ポンプ31から注
入井18の底部にまで延在し、先端に流出口を有する注
入水管32と、注入水管32の途中に溶解タンク33と
を備えている。注入水管32の流出口近傍には、注入水
管32の流路を絞って注入水の圧力を保持する流路絞り
手段として、遠隔操作式の圧力調整バルブ34が設けら
れている。溶解タンク33は、回転攪拌羽根を水面近傍
に有し、水面を叩くようにして、溶解タンク33内に収
容した注入水を攪拌する攪拌機35を備え、ガスボンベ
36から酸素ガス又は基質ガスを圧入するガス流入管3
7が接続されている。溶解タンク33は、タンク内に注
入水を滞留させ、攪拌機35で水面を叩くようにして、
注入水を攪拌しつつ、タンク上部に導入した酸素ガス又
は基質ガスを高いガス圧下で注入水に溶解させる。
は、溶解タンク33内で加圧状態で酸素ガス又は基質ガ
スを溶解した後、注入水管32及び圧力調整バルブ34
を経て、言わば過飽和溶解状態で酸素ガス又は基質ガス
を溶存させつつ注入井18の底部から地下水流中に注入
される。
増殖に必要なガスの供給装置のライン溶解式実施形態例
であって、図3はその構成を示すフローシートである。
本実施形態例の供給装置40は、酸素ガス又は基質ガス
を供給して、第1の発明方法を実施する装置であって、
注入水の注入位置での地下水流の水圧より高い圧力に注
入水を昇圧する注入水ポンプ42と、注入水ポンプ42
から注入井18の底部にまで延在し、先端に流出口を有
する注入水管44と、注入水管44の途中に順次に設け
られた、酸素ガス又は基質ガスを注入水管44に送入す
るガス送入ノズル46と、送入されたガスと注入水とを
混合して溶解するインラインミキサ48と、及び注入水
を滞留させ、更にガスと注入水との溶解を完全にする溶
解促進タンク50とを備えている。注入水管44の流出
口近傍には、注入水管44の流路を絞って注入水の圧力
を保持する流路絞り手段として、遠隔操作式の圧力調整
バルブ52が設けられている。ガス送入ノズル46に
は、ガスボンベ54から加圧状態の酸素又は基質を圧入
するガス流入管56が逆止弁58を介して接続されてい
る。インラインミキサ48は、ドーナツ状に孔を開けた
ドーナツ板とディスクとをパイプ内に交互に設けた形式
のインラインミキサであって、ガスと注入水との混合、
溶解を完全にする機能を有する。
は、ガス送入ノズル46により加圧状態の酸素ガス又は
基質ガスを送入された後、インラインミキサ48及び溶
解促進タンク50でガスを溶解し、続いて注入水管44
及び圧力調整バルブ52を経て、言わば過飽和溶解状態
で酸素ガス又は基質ガスを溶存させつつ注入井18の底
部から地下水流中に注入される。
増殖に必要なガスの供給装置のライン溶解式実施形態例
の別の例であって、図4はその構成を示すフローシート
である。本実施形態例の供給装置60は、酸素ガス又は
基質ガスを供給して、第1の発明方法を実施する装置で
あって、溶解促進タンク50に代えて加圧接触パイプ6
2を備え、かつ圧力調整バルブ52に代えて注入水管2
0の先端にエダクタ64を備えていることを除いて、実
施形態例2の構成と同じである。エダクタ64は、例え
ば図8に示すような構造を備え、注入水を駆動水流と
し、駆動水流により地下水流から地下水を導入して注入
水と地下水とを混合して流出させる共に、注入水管44
の流路を絞って注入水管44内の圧力を高い圧力に維持
する。注入水ポンプ42により昇圧された注入水は、ガ
ス送入ノズル46により加圧状態の酸素ガス又は基質ガ
スを送入された後、インラインミキサ48及び加圧接触
パイプ62によりガスを溶解し、続いて注入水管44及
びエダクタ64を経て、言わば過飽和溶解状態で酸素ガ
ス又は基質ガスを溶存させつつ注入井18の底部で地下
水流と混合する。
増殖に必要なガスの供給装置の注入井内ポンプ設置式実
施形態例であって、図5はその構成を示すフローシート
である。本実施形態例の供給装置70は、酸素ガス又は
基質ガスを供給して、第2の発明方法を実施する装置で
あって、注入井18の底部に設置され、地下水を注入水
として汲み出し、注入水の注入位置での地下水流の水圧
より高い圧力に昇圧する注入水ポンプ72と、注入水ポ
ンプ72から注入井18の底部の所定注入位置にまで延
在し、先端にエダクタ74を有する注入水管76と、注
入水管76に順次に設けられた、酸素ガス又は基質ガス
を注入水管76に送入するガス送入ノズル78と、注入
されたガスと注入水とを混合して溶解するインラインミ
キサ80と、及び注入水を滞留させ、更にガスと注入水
との溶解を完全にする加圧接触パイプ82とを備えてい
る。エダクタ74は、実施形態例3のエダクタ64と同
じ形式のエダクタであって、注入水を駆動水流として地
下水流から地下水を導入して注入水と地下水とを混合
し、流出させると共に、注入水管76の流路を絞って注
入水管76内の圧力を高い圧力に維持する。ガス送入ノ
ズル78には、ガスボンベ84から加圧状態の酸素又は
基質を圧入するガス流入管86が逆止弁88を介して接
続されている。
は、ガス送入ノズル78により加圧状態の酸素ガス又は
基質ガスを送入された後、インラインミキサ80及び加
圧接触パイプ82によりガスを溶解し、続いて注入水管
76及びエダクタ74を経て、言わば過飽和溶解状態で
酸素ガス又は基質ガスを溶存させつつ注入井18の底部
で地下水流と混合する。
に、酸素ガス及び基質ガスのいずれか一方を注入水に送
入する場合を例にして説明しているが、実施形態例1か
ら5で説明したガス送入・溶解機構と同じものを2個以
上備えて、酸素ガス及び基質ガスをそれぞれ注入水に送
入、溶解するようにしても良い。
置での地下水流の水圧より所定圧力だけ高いガス圧力下
で増殖ガスを注入水に溶解することにより、従来に比べ
て高い浄化効率で、微生物により汚染地下水及び/又は
汚染地層を浄化することができる。また、注入井の底部
で地下水流から地下水を汲み出し、注入井の底部で増殖
ガスを地下水に注入して注入水とし、その注入水を同じ
注入井の底部で地下水流に注入することにより、注入水
を汲み出した注入井と同じ注入井に注入水を返し、従来
生じていたような、汚染地下水及び汚染地層中の注入水
の注入による有機塩素化合物濃度の希釈及び有機塩素化
合物の拡散を防止し、浄化効率を一層向上させることが
できる。本発明に係る汚染物質の分解微生物の増殖に必
要なガスの供給装置は、本発明方法の実施を容易にし
て、従来に比べて高い浄化効率で、微生物により、例え
ば原位置バイオレメディエーション技術により汚染地下
水及び/又は汚染地層を浄化することができる。
必要なガスの供給装置の構成を示す概念図である。
必要なガスの供給装置の構成を示す概念図である。
必要なガスの供給装置の構成を示す概念図である。
必要なガスの供給装置の構成を示す概念図である。
一例の構成を示す概念図である。
別の例の構成を示す概念図である。
要なガスの供給装置 31 注入水ポンプ 32 注入水管 33 溶解タンク 34 圧力調整バルブ 35 攪拌機 36 ガスボンベ 37 ガス流入管 40 実施形態例2の汚染物質の分解微生物の増殖に必
要なガスの供給装置 42 注入水ポンプ 44 注入水管 46 ガス送入ノズル 48 インラインミキサ 50 溶解促進タンク 52 圧力調整バルブ 54 ガスボンベ 56 ガス流入管 58 逆止弁 60 実施形態例3の汚染物質の分解微生物の増殖に必
要なガスの供給装置 62 加圧接触パイプ 64 エダクタ 70 実施形態例4の汚染物質の分解微生物の増殖に必
要なガスの供給装置 72 注入水ポンプ 74 エダクタ 76 注入水管 78 ガス送入ノズル 80 インラインミキサ 82 加圧接触パイプ 84 ガスボンベ 86 ガス流入管 88 逆止弁
Claims (8)
- 【請求項1】 地下水流への注入水に、汚染物質の分解
微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガスと言う)を
溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を地下水流に注入し
て、微生物により汚染地下水及び/又は汚染地層を浄化
する方法において、 注入水の注入位置での地下水流の水圧より所定圧力だけ
高いガス圧力下で増殖ガスを注入水に溶解し、増殖ガス
を溶解した注入水を地下水流に注入することを特徴とす
る汚染地下水及び汚染地層の浄化方法。 - 【請求項2】 地下水流への注入水に、汚染物質の分解
微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガスと言う)を
溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を地下水流に注入し
て、微生物により汚染地下水及び/又は汚染地層を浄化
する方法において、 注入井内で地下水流から地下水を汲み取り、前記注入井
内で増殖ガスを地下水に溶解して注入水とし、その注入
水を前記注入井内で地下水流に注入することを特徴とす
る汚染地下水及び汚染地層の浄化方法。 - 【請求項3】 注入水の注入位置での地下水流の水圧よ
り所定圧力だけ高いガス圧力下で増殖ガスを注入水に溶
解し、増殖ガスを溶解した注入水を注入井を介して地下
水流に注入することを特徴とする請求項2に記載の汚染
地下水及び汚染地層の浄化方法。 - 【請求項4】 地下水流への注入水に、汚染物質の分解
微生物の増殖に必要なガス(以下、増殖ガスと言う)を
溶解し、増殖ガスを溶解した注入水を注入井を介して地
下水流に注入して、微生物により汚染地下水及び/又は
汚染地層を浄化する際に、増殖ガスを注入水に溶解して
汚染地下水及び/又は汚染地層に供給する装置であっ
て、 注入水の注入位置での地下水流の水圧より高い圧力に注
入水を昇圧する注入水ポンプと、 注入水ポンプから注入井内の注入水注入位置まで延在
し、注入水を地下水流中に流出させる注入水管と、 注入水管に設けられ、注入水の圧力よりも高い圧力に昇
圧された増殖ガスを注入水に送入、溶解させる送入・溶
解手段と、 送入・溶解手段の下流の注入水管に設けられ、注入水管
の流路を絞って注入水管内の注入水の圧力を保持し、か
つ注入水を地下水流に流出させる流出手段とを備えるこ
とを特徴とする汚染物質の分解微生物の増殖に必要なガ
スの供給装置。 - 【請求項5】 注入水ポンプが注入井内に設置されて地
下水を注入水として汲み取り、注入水管が注入水ポンプ
から前記注入井内の注入水注入位置まで延在しているこ
とを特徴とする請求項3に記載の汚染物質の分解微生物
の増殖に必要なガスの供給装置。 - 【請求項6】 送入・溶解手段が、滞留させた注入水上
に前記昇圧された増殖ガスを導入し、加圧下で注入水に
溶解させるように、注入水管に設けられた溶解タンク、
又は注入水管に設けられたガス送入ノズル及びガス送入
ノズルの下流に設けられたインラインミキサからなるこ
とを特徴とする請求項4又は5に記載の汚染物質の分解
微生物の増殖に必要なガスの供給装置。 - 【請求項7】 増殖ガスが送入された注入水を滞留さ
せ、増殖ガスの注入水への溶解を促進する溶解促進タン
ク、又は加圧接触パイプが、送入・溶解手段と流出手段
との間の注入水管に設けられていることを特徴とする請
求項4から6のうちのいずれか1項に記載の汚染物質の
分解微生物の増殖に必要なガスの供給装置。 - 【請求項8】 流出手段が、弁及びオリフィスのいずれ
か一方を備えた流出口、又は注入水を駆動水流とし、駆
動水流により地下水流から地下水を導入して注入水と地
下水とを混合し、流出させるエダクタであることを特徴
とする請求項4から7のうちのいずれか1項に記載の汚
染物質の分解微生物の増殖に必要なガスの供給装置。
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JP22926897A Expired - Fee Related JP3623080B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | 汚染地下水及び汚染地層の浄化方法及びその装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002200480A (ja) * | 2000-12-28 | 2002-07-16 | Shinichi Ueda | 土壌浄化方法 |
WO2006077625A1 (ja) * | 2005-01-18 | 2006-07-27 | Civil Chemical Engineering Co., Ltd. | 汚染地盤の浄化方法 |
JP2007260507A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Nippon Oil Corp | 汚染土壌の浄化方法 |
JP2009507642A (ja) * | 2005-09-14 | 2009-02-26 | ピーエイチエー エンバイロンメンタル レストレーション | 気体の微生物代謝誘導物質の注入による地下汚染物質の生分解 |
-
1997
- 1997-08-26 JP JP22926897A patent/JP3623080B2/ja not_active Expired - Fee Related
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