JPH1156140A - バジルの生産方法 - Google Patents

バジルの生産方法

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JPH1156140A
JPH1156140A JP23032697A JP23032697A JPH1156140A JP H1156140 A JPH1156140 A JP H1156140A JP 23032697 A JP23032697 A JP 23032697A JP 23032697 A JP23032697 A JP 23032697A JP H1156140 A JPH1156140 A JP H1156140A
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basil
essential oil
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producing
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JP23032697A
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Nobuo Shiomi
展男 塩見
Akio Sakurai
昭夫 櫻井
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House Foods Corp
Original Assignee
House Foods Corp
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バジルの生産方法等を提供する。 【解決手段】 種の異なるバジルを両親として交配し、
新しいバジルを生産する方法であって、主要な精油成分
が同一又は近似したバジルを両親として交配し、結実し
た雑種第1代目の種子の実生植物の中から、精油成分の
変動を抑え、所望の生育特性の変化を付加した新しいバ
ジルを選択し、それを増殖させることを特徴とするバジ
ルの生産方法、当該方法によって得られる新規バジル及
びその製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、好ましい所望の香
味成分が葉に多く含まれる新しいバジルの生産方法に関
するものであり、更に詳しくは、種の異なるバジルを両
親として交配し、両親の主要な精油成分を同時に含有
し、かつ所望の生育特性を付加した新しいバジル、特
に、葉1枚当たりの香味成分としての精油成分含量が両
親のいずれよりも多い新しい多収性のバジル等を生産す
る方法に関するものである。本発明は、好ましい所望の
香味成分を多量に含むバジルを効率よく生産することを
可能にする新しいバジルの生産方法及びその利用技術を
提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】ハーブの一種として知られるバジル(O
cimum spp.)は、香りの強い香味成分とし
て、イタリア料理等に多く用いられ、近年、その消費量
が増えている。バジルの中では、特に、香味上からスイ
ートバジル(Ocimum basilicum
L.)が消費量の多くを占めている。スイートバジル
は、乾燥品だけでなく生でも使用されている。ところ
で、スイートバジルの葉は、香りが強く肉の臭みを消す
場合等に適するが、やや香りがきつすぎる傾向がある。
また、スイートバジルは、生のものだけではなく乾燥物
も使用されるが、葉が小さくこれだけでは収量が少ない
ため、収穫時には、硬い茎も一緒に収穫されることが多
く、また、使用時に全て除くことができず、香味に混じ
りけがでやすい傾向にあった。したがって、スイートバ
ジルの葉と同様もしくは少し弱い香味を適切に有し、か
つ葉の部分が多く収穫しやすい多収性のある新しいバジ
ルを開発し、生育することが強く望まれていた。
【0003】一方、植物を交雑育種して、より改善され
た形質の交配種をつくることが広く行われている。しか
しながら、特に香味成分の改善を目標として交配する場
合には、一般に、精油成分については、雑種は、両親の
形質のうちの優性の形質を受け継ぐことから、交配種に
は片親のみの精油成分が出現するか、あるいは両親が持
たない新たな成分が出現し、交配種の精油成分が両親に
ない別異のものとなると予測される。例えば、Ment
ha citrata及びM.aquatica(共に
はっかの一種)の交配実験で、前者がリナロール及びリ
ナロールアセテートを、後者がメントフランを各々主要
な精油成分とするのに対して、これらの雑種は両親には
ないリモネン及びイソピノカンホンを主要成分とするも
のになること、及びそのことの遺伝学的解明が行われて
いる(Phytochemistry,vol.25,
No.8,p1857−1863(1986))。
【0004】また、ウォーターミントとスペアミントと
の雑種であるペパーミントの精油成分の調査によれば、
両親の精油成分と異なる成分が多く検出され、例えば、
ペパーミントでは両親にはないメントールが合成され、
スペアミントの有するカルボンが合成されないことが明
らかにされている(新編 生薬学,廣川書店,p95−
96(1979)、原色百科 世界の薬用植物 IIハ
ーブ事典,エンタープライズ社,p294−300(1
988)、朝日園芸百科 21,朝日新聞社,p66−
67(1985) )。
【0005】更に、トウガラシ属の植物の遺伝学的研究
として、辛味が甘味に対してメンデル性の遺伝子優性と
いわれているが、その予測に反する結果が多く、例えば
甘味品種としてのオオジン及びフシミアマナガと辛味品
種のタカノツメとの交配種に全く辛味のないことが明ら
かにされている(「トウガラシ属の遺伝学的研究」大田
泰雄,木原生物学研究所,p69−79(196
2))。同じく、トウガラシ属のF1果実のカプサイシ
ノイドの量が両親と全く異なるものとなることが明らか
にされている(「園芸学会雑誌」Vol.58,No.
2,353−360頁(1989))。以上のように、
精油成分などの生合成経路は、複雑な酵素的反応系によ
るものであることから、遺伝学的には、植物を交配した
場合に、雑種に現れる精油成分が両親のものと全く異な
るものとなることが一般的であり、交配によって、目的
とする精油成分を持つ植物を作出することは、精油成分
の複雑な反応系の存在によって、きわめて困難であると
されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、好ましい所望の精油成分を持つ植物
を自由に設計、生産し得る新しい方法を開発することを
目標として、広く植物材料及び方法を求め、種々研究を
積み重ねた結果、バジルの精油成分については、雑種に
は、その両親の主要な精油成分が必ず含まれることを見
出すと共に、更に、種の異なる特定のバジルを両親とし
て選択し、交配させることにより、交配によって得られ
るバジルの精油成分が予測できること、それによって、
精油成分の変動を考慮せずに、生育特性(葉の大きさ、
収量など)の変化を考えた新しいバジルの設計、開発、
生産が可能であるとの知見を得て、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明の目的は、精油成分の特性
に、生育特性(葉の大きさ、収量など)の変化を加味し
た新しいバジルの設計、開発、生産を可能とする新しい
バジルの生産方法を提供することにある。また、本発明
の目的は、スイートバジルの葉と同様、もしくは少し弱
い香味を適切に有し、かつ多収性のあるバジルを生産す
ることにある。また、本発明の他の目的は、広くバジル
の精油成分について解明し、これに基づいて、特定の所
望の精油成分を持つ新しいバジルの設計、生産、利用技
術を提供することにある。本発明者らは、各種のバジル
を選択し、交配した雑種1代目の形質について種々調査
をし、その結果、バジルの精油成分においては、意外に
も、従前の、両親の形質のうちの優性の形質を受け継
ぎ、あるいは両親が持たない新たな成分が出現するとい
う通則的な遺伝学の学識に反して、交雑種が両親の精油
成分を必ず受け継ぐという極めて特異な傾向を有するこ
とを見出すに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、以下の方法からなる。 (1)種の異なるバジルを両親として交配し、新しいバ
ジルを生産する方法であって、主要な精油成分が同一又
は近似したバジルを両親として交配し、結実した雑種第
1代目の種子の実生植物の中から、精油成分の変動を抑
え、所望の生育特性の変化を付加した新しいバジルを選
択し、それを増殖させることを特徴とするバジルの生産
方法。 (2)生育特性が、葉の大きさ、葉数、葉重量、収量、
生長の速さ、分枝数から選択される1種以上である前記
(1)記載のバジルの生産方法。 (3)種の異なるバジルを両親として交配し、結実した
雑種第1代目の種子の実生植物の中から、香味成分であ
る精油成分として両親の主要な精油成分を同時に含有す
るものを選択し、それを増殖させることを特徴とするバ
ジルの生産方法。 (4)種の異なるバジルを両親として交配し、結実した
雑種1代目の種子の実生植物の中から、葉1枚当たりの
香味成分としての主要な精油成分含量が両親のいずれよ
りも多いものを選択し、それを増殖させることを特徴と
するバジルの生産方法。 (5)葉1枚当たりの精油成分含量が、両親に対して2
0重量%以上増量している前記(4)記載のバジルの生
産方法。 (6)種の異なるバジルを両親として交配し、新しいバ
ジルを生産する方法であって、香味成分としての精油成
分の構成が近似したバジルを両親として交配し、結実し
た雑種第1代目の種子の実生植物の中から、葉1枚当た
りの香味成分としての主要な精油成分含量が両親のいず
れよりも多いバジルを得ることを特徴とする前記(1)
記載のバジルの生産方法。 (7)両親のいずれかが他に比べて葉が大きいものであ
る前記(1)から(6)のいずれか1項記載のバジルの
生産方法。 (8)両親のうち葉が小さいものが、求める香味成分で
ある主要な精油成分に近い香味成分を有する前記(7)
記載のバジルの生産方法。 (9)種の異なるバジルを両親として交配し、新しいバ
ジルを生産する方法であって、香味成分としての精油成
分の構成が異なるバジルを両親として交配し、結実した
雑種第1代目の種子の実生植物の中から、香味成分であ
る精油成分として両親の主要な精油成分を同時に含有す
るものを選択し、それを増殖させることを特徴とするバ
ジルの生産方法。 (10)前記(1)から(9)のいずれか1項で得られ
るバジルを無性的に増殖させることを特徴とするバジル
の生産方法。 (11)スイートバジルを種子親とし、レタスバジルを
花粉親としてバジルを交配し、結実した雑種1代目の種
子の実生植物の中から、次のもの; (a)葉に香味成分である主要な精油成分として、少な
くともシネオール7〜10%、リナロール36〜40
%、オイゲノール又はエストラゴール38〜41%を含
み、かつ、(b)葉1枚当たりの上記香味成分としての
精油成分含量が0.095〜0.2mgである、を選択
し、それを増殖させることを特徴とするバジルの生産方
法。 (12)(a)葉に香味成分である主要な精油成分とし
て、少なくともシネオール7〜10%、リナロール36
〜40%、オイゲノール又はエストラゴール38〜41
%を含み、(b)かつ、葉1枚当たりの上記香味成分と
しての精油成分含量が0.095〜0.2mgであるこ
とを特徴とする新規バジル。 (13)前記(1)から(12)のいずれか1項で得ら
れるバジルの葉を収穫して乾燥し、必要に応じて粉砕す
ることを特徴とする乾燥バジルの製造方法。(14)乾
燥バジルが食品あるいは香料に用いるものである前記
(14)記載のバジルの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳述す
る。前述のとおり、各種の植物について、交配による精
油成分の変動の事例が種々報告される中で、バジルにお
いても、精油成分については、生合成経路の存在によ
り、雑種は、両親の形質のうちの優性の形質を受け継ぐ
ことから、片親のみの精油成分が出現するか、あるい
は、両親が持たない新たな成分が出現する可能性が予測
されたが、しかし、本発明者らは、意外にも、種の異な
る特定のバジルを両親として選択し、交配させることに
よって、雑種には、その両親の精油成分が必ず同時に含
まれることを確認した。そして、この傾向と同様に、雑
種のアイソザイムパターンは、その両親のバンドが同時
に検出され、新たなバンドは出現しなかった。このこと
は、一般に、交配によって、目的とする精油成分を持つ
植物を設計し、作出することは、非常に困難であるとの
技術常識に反し、バジルにおいては、交配によって得ら
れる精油成分が、両親の精油成分から予測できること、
そして、そのために、精油成分の変動を考慮せずに、生
育特性(葉の大きさ、収量など)の変化を考えた交配が
可能であることを意味する。
【0009】すなわち、本発明によれば、例えば、スイ
ートバジルとスイートバジルの精油成分にない成分を持
たないバジルを選択、交配することによりスイートバジ
ルの精油成分の変動を考慮せずに、他の生育特性の変動
を加味した交配が可能であり、それにより、スイートバ
ジルの精油成分と同様の精油成分を含み、かつ他の生育
特性、例えば、葉の大きさ、葉数、葉重量、収量、生長
の速さ、分枝数などの特性の付加された所望のバジルを
設計、開発、生産することが可能となる。また、本発明
によれば、交配によって得られる精油成分の構成が、両
親の精油成分の構成から予測できるから、所望の精油成
分を持つバジルを、その両親の精油成分の構成パターン
を指標として、適宜、設計、開発することが可能であ
る。尚、ここで精油成分の構成パターンとは、個々のバ
ジルの主要な精油成分の構成の態様を意味する。これに
よって、例えば、好ましい所望の精油成分を持った新し
いバジルを、適宜、開発、生産することができる。
【0010】本発明の方法は、バジルの種類を問わず、
適宜の材料を自由に組合せて実施することが可能であ
り、新しいバジルの設計、生産、利用技術として、材料
及び方法を問わず、多角的に使用することができる。本
発明の方法においては、両親及び交配種の精油成分の分
析データ、及び目標とする生育特性の調査データが客観
的基準として利用できるので、これらを基準として、交
雑、育種の周知技術に従って、両親の選択、交配種の選
択を容易に実施することが可能である。また、本発明者
らは、後記する本発明の実施例の方法で得られたSwe
et(S−1)×Lettuce等の新しいバジルは、
ハウス食品株式会社奈良工場(所在地:奈良県大和郡山
市池沢町337番地)において、必要により分譲し得る
状態に適正に保管されていることを此処に宣言する。
【0011】本発明の方法により得られたバジルを原料
として食品、香料用等のバジル製品、それを配合した食
品、香料等を、適宜、製造することが可能である。本発
明の方法、例えば、後記する実施例の方法で得られたS
weet(S−1)×Lettuceは、スイートバジ
ルより少し弱い香味を有し、かつスイートバジルより葉
が大きく、葉1枚当たりの香味成分としての精油成分が
両親のいずれよりも多いことから、収穫時の葉の採取が
容易であり、収量が多く、しかも、スイートバジルのよ
うに茎を一緒に収穫する必要がないので、スイートバジ
ルに代わる新しい高品質の食品及び香料用バジルの原料
として有用である。本発明の方法では、バジルの精油成
分及び生育特性の分析、測定データを客観基準として、
定性及び定量的な数値に基づいて、両親の選択、交配種
の選択を行うことが可能であり、しかも、交雑育種の材
料及び方法、増殖の方法等は、バジル育成及び交雑育種
の常法に従って実施すれば良く、交雑育種の過程を高い
再現性をもって容易に反復実施することができる。本発
明において、上記方法により選択したバジルは、萌芽、
生育が良好であり、栄養増殖によって容易に増殖させる
ことが可能であり、更に、これを、適宜、無性的に増殖
し、量産することができる。
【0012】次に、本発明者らの実施した実験に基づい
て本発明を具体的に説明する。栽培方法 1.親株の種子採取 (1)バジルの種子(スイート、レタス、レモン、スパ
イス、シナモン;サンファーム社製)をピートモス10
0%の苗床に播いた。 (2)播種後、14日後に4号鉢に移植した。培養土と
してピートモス及びバーミキュライト1:1の土壌を使
用した。 (3)播種後、1カ月経過した後、上記培養土を用いて
7号鉢に移植し栽培した。 (4)成長良好な株を選抜し、自家受粉によって種子を
採取した。この種子を親株の種子とした。 以上の栽培は全てガラス温室内(最低温度10℃)で行
った。 (5)スイートバジルについては、後記の測定方法によ
り精油組成を調査し、オイゲノール、リナロールを主成
分とする系統(Sweet S1又はSweet(S−
1)という)と、エストラゴール(メチルチャビコー
ル)を主成分とする系統(Sweet S2又はSwe
et(S−2)という)とに分離した。なお、各々の系
統の株を後代まで育苗した結果、ばらつきは極めて少な
く、Sweet S1とSweet S2は完全に分離
した系統であることが確認された。
【0013】2.親株の種子採取・育苗 (1)1991年11月に上記の種子(Sweet S
1、Sweet S2、レタス、レモン、スパイス、シ
ナモン)をピートモス100%の苗床に播き、上記の栽
培法に従って移植、栽培し、開花の始まった1992年
2月に交配を開始した。種付けは、種子親より除雄して
袋掛けした後、雌ずいの柱頭が開いた段階で、花粉親の
つぼみから葯が裂開する前に葯を採取し、葯を割って内
部の花粉を取り出し、これを柱頭にのせて人工受粉し
た。 (2)受粉後、1992年5月に枯れはじめた花穂を切
除し、天日で乾燥させて雑種1代目の種子を採取した。 (3)1992年9月に各雑種1代目と親株の種子を播
種し、上記の栽培法に従って栽培後、70〜80日で成
育、精油及びアイソザイムについて調査した。
【0014】測定方法 1.精油成分・含量 各雑種の精油成分の組成及び含量を、次の方法により測
定した。 (1)精油の抽出 1)水蒸気蒸留 a.バジルの若葉を、500ml容ナスフラスコに30
g入れ、蒸留水約100ml及びシリコン2〜3滴を入
れた。 b.300ml容三角フラスコに特級エチルエーテル5
0mlを入れた。 c.ナスフラスコ・三角フラスコを蒸留装置に取り付
け、蒸留を開始した。 d.留液が200mlになった時点で、蒸留を終了し
た。
【0015】2)抽出 a.留液を500ml容分液ロートに移し、塩化ナトリ
ウムを約70g加えた。 b.1分間激しく振盪した後、二層に分離するまで静置
した。 c.下層の水層及び塩化ナトリウムは、元の三角フラス
コに戻し、上層のエチルエーテル層は、200ml容三
角フラスコに取った。 d.三角フラスコ内の水層を分液ロートに戻し、エチル
エーテル50mlを加えた。 e.a〜d、b、cの操作を繰り返した。
【0016】3)脱水 a.200ml容三角フラスコ内のエチルエーテル層
に、無水硫酸ナトリウムを約90g加え、室温で1時間
以上放置し、脱水した。
【0017】4)濃縮 a.脱水した液をろ過し、100ml容ナスフラスコに
入れ、エバポレーターでエチルエーテルを飛ばして、5
ml以内まで濃縮した。この際、エバポレーターは、熱
をかけずに水で使用した。 b.濃縮したものをスピッツ管に入れて、エチルエーテ
ルで5mlに定容した。
【0018】(2)精油の分析 精油の分析は、以下の条件で行った。 (GC/MS条件) 機種 HP−5970B カラム DB−5 φ0.25×30m キャリアガス He 1ml/min(75kpa) カラム温度 50℃(0.5min)〜250℃(9. 5min) 3.0℃/min 注入システム スプリットレス パージ時間30秒 注入温度 250℃ トランスファーライン温度 280℃
【0019】(MS条件) イオン化電圧 70eV 質量数範囲 33〜300m/z 打ち込み量 1μl
【0020】(3)精油含量の計算 1)ピーク面積から、総精油含量、及び精油組成を検出
した。 2)葉1枚あたりの精油含量は、以下により求めた。 総精油含量(30gあたり)/使用した葉の数=葉1枚
あたりの精油含量 (地上部新鮮重のうち、30gの占める割合によって枚
数を設定した。) 例、総枚数×(30g/1株の葉の総新鮮重)=供試し
た枚数
【0021】2.アイソザイム アイソザイムは、PGI(phosphoglucos
e isomerase)、PGM(phosphog
lucomutase)、POD(peroxidas
e)、PPO(polyphenole oxidas
e)の4種の酵素を等電点電気泳動によって分離し、活
性染色によって検出した。その結果を図1〜7に示す。
【0022】3.成育 Sweet S1とレタスの雑種の形態について調べ
た。その結果を表8に示す。
【0023】結果 (1)雑種の精油成分 各バジルの主要な精油成分は次の通りである(No.は
表1〜表7のNo.を示す)。 Sweet S1→ 4.Cineol 8.Linalool 17.Eugenol Sweet S2→ 4.Cineol 12.Estragol レタス→ 8.Linalool 17.Eugenol レモン→ 13.Neral 15.Geranial(両者を合わせてCitralとなる ) スパイス→ 17.Eugenol シナモン→ 18.methyl−Cinnamate 各親種の主要な精油成分は上記の通りであるが、各雑種
は両親の精油成分を必ず受け継ぎ、両親にない特異な精
油成分は基本的に含まないことが分かった(表1〜表
7)。特に、Sweet S1及びレタスとSweet
S2とレタスとの交配種では、スイートバジルの精油
成分を受け継ぎ、これを左右する別の精油成分を含ま
ず、葉1枚あたりの精油成分の量が大幅に増大している
こと、一方、葉1g重量あたりの精油成分の濃度は親種
のスイートバジルに比べてやや薄くなっていること(香
味が少し弱いが、官能的には、スイートバジルの香りと
ほぼ同じである)が分かった(表1及び表4)。
【0024】(2)雑種のもつ酵素 雑種のアイソザイムパターンは、その両親のバンドが同
時に検出され、新たなバンドは検出されなかったことか
ら、酵素についても両親のものを受け継ぐことが分かっ
た(図1〜7)。
【0025】(3)成育 Sweet S1とレタスの雑種は、葉数や葉面積等の
表現型は両親の中間の値を示した。特に、スイートバジ
ルより葉は大きくなることが分かった。なお、雑種は両
親よりも生長が速く、草丈が大きくなる傾向があった
(表8)。葉は、柔らかい部分が大きいので、スイート
バジルと比べて、茎を使用することなく、高収率で収集
できる。そのまま乾燥バジルとすることができるので、
食品あるいは香料の多収性/高品質の原料としての適性
が高い。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、種の異
なるバジルを両親として交配し、新しいバジルを生産す
る方法であって、主要な精油成分が同一又は近似したバ
ジルを両親として交配し、結実した雑種第1代目の種子
の実生植物の中から、精油成分の変動を抑え、所望の生
育特性の変化を付加した新しいバジルを選択し、それを
増殖させることを特徴とするバジルの生産方法等に係る
ものであり、本発明によれば、次のような効果が得られ
る。 (1)好ましい香味成分が葉に多く含まれる多収性の新
しいバジルを生産することができる。 (2)葉1枚当たりの香味成分である精油成分含量が両
親のいずれよりも多い多収性のバジルを生産することが
できる。 (3)精油成分の特性に、生育特性(葉の大きさ、収量
など)の変化を付加した新しいバジルの設計、開発、生
産、利用を可能とする新しいバジルの生産方法を提供す
ることができる。 (4)食品、香料等のバジル製品の原料として、高品質
のバジルを効率よく生産、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Sweet(S−1)×Lettuceのアイ
ソザイムパターンを示す。
【図2】Sweet(S−1)×Lemonのアイソザ
イムパターンを示す。
【図3】Sweet(S−1)×Spiceのアイソザ
イムパターンを示す。
【図4】Sweet(S−2)×Lettuceのアイ
ソザイムパターンを示す。
【図5】Sweet(S−2)×Lemonのアイソザ
イムパターンを示す。
【図6】Sweet(S−2)×Cinnamonのア
イソザイムパターンを示す。
【図7】Cinnamon×Sweet(S−2)のア
イソザイムパターンを示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種の異なるバジルを両親として交配し、
    新しいバジルを生産する方法であって、主要な精油成分
    が同一又は近似したバジルを両親として交配し、結実し
    た雑種第1代目の種子の実生植物の中から、精油成分の
    変動を抑え、所望の生育特性の変化を付加した新しいバ
    ジルを選択し、それを増殖させることを特徴とするバジ
    ルの生産方法。
  2. 【請求項2】 生育特性が、葉の大きさ、葉数、葉重
    量、収量、生長の速さ、分枝数から選択される1種以上
    である請求項1記載のバジルの生産方法。
  3. 【請求項3】 種の異なるバジルを両親として交配し、
    結実した雑種第1代目の種子の実生植物の中から、香味
    成分である精油成分として両親の主要な精油成分を同時
    に含有するものを選択し、それを増殖させることを特徴
    とするバジルの生産方法。
  4. 【請求項4】 種の異なるバジルを両親として交配し、
    結実した雑種1代目の種子の実生植物の中から、葉1枚
    当たりの香味成分としての主要な精油成分含量が両親の
    いずれよりも多いものを選択し、それを増殖させること
    を特徴とするバジルの生産方法。
  5. 【請求項5】 葉1枚当たりの精油成分含量が、両親に
    対して20重量%以上増量している請求項4記載のバジ
    ルの生産方法。
  6. 【請求項6】 種の異なるバジルを両親として交配し、
    新しいバジルを生産する方法であって、香味成分として
    の精油成分の構成が近似したバジルを両親として交配
    し、結実した雑種第1代目の種子の実生植物の中から、
    葉1枚当たりの香味成分としての主要な精油成分含量が
    両親のいずれよりも多いバジルを得ることを特徴とする
    請求項1記載のバジルの生産方法。
  7. 【請求項7】 両親のいずれかが他に比べて葉が大きい
    ものである請求項1から請求項6のいずれか1項記載の
    バジルの生産方法。
  8. 【請求項8】 両親のうち葉が小さいものが、求める香
    味成分である主要な精油成分に近い香味成分を有する請
    求項7記載のバジルの生産方法。
  9. 【請求項9】 種の異なるバジルを両親として交配し、
    新しいバジルを生産する方法であって、香味成分として
    の精油成分の構成が異なるバジルを両親として交配し、
    結実した雑種第1代目の種子の実生植物の中から、香味
    成分である精油成分として両親の主要な精油成分を同時
    に含有するものを選択し、それを増殖させることを特徴
    とするバジルの生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれか1項
    で得られるバジルを無性的に増殖させることを特徴とす
    るバジルの生産方法。
  11. 【請求項11】 スイートバジルを種子親とし、レタス
    バジルを花粉親としてバジルを交配し、結実した雑種1
    代目の種子の実生植物の中から、次のもの; (a)葉に香味成分である主要な精油成分として、少な
    くともシネオール7〜10%、リナロール36〜40
    %、オイゲノール又はエストラゴール38〜41%を含
    み、かつ、 (b)葉1枚当たりの上記香味成分としての精油成分含
    量が0.095〜0.2mgである、を選択し、それを
    増殖させることを特徴とするバジルの生産方法。
  12. 【請求項12】 (a)葉に香味成分である主要な精油
    成分として、少なくともシネオール7〜10%、リナロ
    ール36〜40%、オイゲノール又はエストラゴール3
    8〜41%を含み、(b)かつ、葉1枚当たりの上記香
    味成分としての精油成分含量が0.095〜0.2mg
    であることを特徴とする新規バジル。
  13. 【請求項13】 請求項1から請求項12のいずれか1
    項で得られるバジルの葉を収穫して乾燥し、必要に応じ
    て粉砕することを特徴とする乾燥バジルの製造方法。
  14. 【請求項14】 乾燥バジルが食品あるいは香料に用い
    るものである請求項13記載のバジルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002212040A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Kanebo Ltd 白髪防止化粧料

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