JPH11514742A - 超低バックグラウンド多光子検出器 - Google Patents

超低バックグラウンド多光子検出器

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JPH11514742A
JPH11514742A JP9517408A JP51740897A JPH11514742A JP H11514742 A JPH11514742 A JP H11514742A JP 9517408 A JP9517408 A JP 9517408A JP 51740897 A JP51740897 A JP 51740897A JP H11514742 A JPH11514742 A JP H11514742A
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ケイ. ドルキエール,アンドルツェ
アール. サグデジェブ,イゴール
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バイオトレイシーズ,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 放射性同位元素(20)用の超低バックグラウンド多光子検出器は、1日当たり約1カウントのバックグラウンドを有し、1アットモルの材料を検出し得る。2つの互いに対向するガンマおよびX線光子検出器は各々好適には、シンチレーションクリスタル(22)と光電子増倍管(26)とを有する。検出器間に挟まれているのは、セパレータ(32)と、I125などの放射性同位元素により標識された試料(36)用の試料ホルダ(34)とである。各検出器は、ベース(30)内で放射性同位元素からの放射を電気出力に変換し、パルスは次いで、パルス形状分析、一致と不一致の弁別、および放射性同位元素の定量化のために信号処理される。検出器の材料およびコンポーネントは、バックグラウンドを最小化するように選択され、複合シールド(55)において外部放射からシールドされている。異なる原理で動作する検出器および異なる構成を有する試料ホルダも使用され得る。装置はさらに、分解して2次元試料アレイの画像を供給するように構成され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 超低バックグラウンド多光子検出器発明の背景 分野 本発明は、超低バックグラウンドを有する多光子放射性同位元素検出器に関す る。これらの検出器は、並外れた感度を成し遂げるために、一致カウンティング と他のバックグラウンド拒否測定とを組み合わせて、電子捕捉(EC)同位元素から の一致したガンマおよびX線放出を定量化することができる。 背景情報 ハードウェアで実行する同時カウンティングは、米国特許第5,083,026号にお いて開示されているポジトロン−ガンマ(pg)エミッタに対する検出器において用 いられている。ポジトロンおよびガンマの一致放射から10ナノ秒以内に、ポジト ロンは、511keVのエネルギーを有する2つの連続した(back-to-back)ガンマ光子 を生成する電子を消滅させる。多重シンチレーション検出器は、3つの一致した 高エネルギー(E≧250keV)ガンマを記録するために用いられ、この3重のガン マサインを欠失する事象は拒否される。これらの機器は、限定が厳しく、特に、 用いられ得る同位元素のタイプが制限され、シンチレータクリスタルの体積が大 きくなり、コストが高くなる。 米国特許第5,532,122号に対応するWO95/10308(本願では、この開示を参考の ために援用する)によると、1時間当たり1カウントのオーダーの超低バックグ ラウンドで、少量でのガンマおよびX線放出同位元素の一致定量化方法が開示さ れている。 個別のおよび一致したガンマおよびX線の同時カウンティングについては、Oe sterlinらの米国特許第4,005,292号、Horrocksらの米国特許第4,016,418号、Cof feyの米国特許第3,974,088号、およびFymatらの米国特許第4,682,604号に教示さ れている。しかし、これらは、すべて、高い放射性の応用に限定される。発明の要旨 本発明の目的は、低レベルの同時ガンマ/X線放出同位元素(CGX同位元素) を特に対象とした超低バックグラウンド検出器を提供することである。他の目的 は、CGX事象を選択的に定量化し、バックグラウンド拒否を成し遂げるための手 段として、CGX同位元素の遠距離核および電子殻励起から発生した一致光子を用 いることである。 本発明の他の目的は、バックグラウンドのすべての有意なソースを除去するこ とによって、1時間当たり1カウント未満にバックグラウンドを減少させること である。本発明の他の目的は、単一のガンマカウンタと比較して、本質的に低い 選択的なCGXカウンティングモードの検出効率を克服するために、サブピコキュ リー試料に対する感度を提供し、5×10-21モル未満の標識分子、1ml当たりの ゼプトモル、または単一の大きな標識バイオ分子を、10%より高い検出効率およ び約1%の再現性で検出する能力を提供することである。 他の目的は、大きなダイナミックレンジおよび9桁にわたって5%より良好な 線形性で、非一致(単一の光子)モードまたは一致ガンマ−X線放出(CGX事象 )カウンティングモードのいずれかで動作し得る機器を提供することである。 本発明による検出器は、これらの目的を満足する。本発明による検出器は、い くつかの同位元素が同一の試料中で測定され識別され得るマルチカラー能力を有 する。本発明による検出器は、多くの個別の試料を測定し、非常に再現性の高い 結果を生じ得る。本発明の検出器は、自己較正および自己診断を用いる。本発明 による検出器は、100マイクロメータ以下の空間分解能を提供し得る。これらの 利点は、従来のデバイスよりもはるかに小さく、持ち運び可能で、安価なデバイ スにおいて成し遂げられる。本発明による機器は高感度であるため、同位元素濃 度は減少され得、同位元素取得コスト、作業員の被爆、および放射性廃棄物の問 題は低下する。 試料中の放射性同位元素(一致ガンマ/X線(CGX)エミッタ)を検出するた めの多光子検出装置(MPD)は、CGXエミッタからの一致(例えば、ガンマおよびX 線)放射を個別の放射線検出器における出力パルスとして検出する手段と、オン ラインパルスの形状および高さを分析し、単一の光子放出を特徴とするパルスを 同定する手段と、(例えば、非一致ガンマおよびX線放射)スプリアスパルスを 区別および拒否する手段と、バックグラウンド放射、好ましくは、複合放射シー ルドおよびX線を吸収するセパレータを抑制する手段と、試料中の(例えば、CGX )エミッタの存在を、約100ピコキュリー未満の量で定量する手段とを有する。 他の目的および利点は、詳細な説明および図面を参照することによって明白と なる。図面の簡単な説明 本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むことによってさ らに理解される。 図1は、多光子検出器のブロック図を示す。 図2は、検出器サブアセンブリを示す。 図3は、増幅器および高圧電源を有する統合された光電子倍増管ベースのブロ ック図である。図3Aから図3Cは、構成部分の例示的な実施態様をさらに詳細に示 す。図3Aは、PMTベースを示す。図3Bは、負の高圧電源を示し、図3Cは、増幅器 および整形器を示す。 図4は、本発明によるMPDのダイナミックレンジを示すグラフである。 図5は、カラー分光計と比較した、MPDデバイスのダイナミックレンジを示す 。 図6は、試料変更器を有する連続した試料MPDのレイアウトを示す。 図7は、本発明によるMPD実施態様のブロック図である。 図8a、図8bおよび図8cは、本発明の実施態様による方法のフローチャートであ る。本発明の詳細な説明 本発明によるMPDデバイスシステムの典型的な実施態様を図1に示す。図示す るこの例示的なシステムは、5つの主要な構成要素を有する。 1.2つの光子検出器、例えば、シンチレータ/フォトセンサーモジュール。 2.セパレータを有するシールディング構成要素。 3.光子検出器の間に挟持された試料ホルダー。 4.電源を有する検出電子素子。 5.データ取得、パルス形状/高さ分析、および表示のための信号処理。 例示的な実施態様の構成要素はすべて、放射線バックグラウンドを最小にするよ うに選択および配置されている。 検出器サブアセンブリ20において、適切なフォトセンサー26(例えば、PMT) を有する2つのシンチレーションクリスタル22は、実質的に共通の軸に沿って互 いに面している。これらは、中に保持された試料36が両クリスタル22を照射でき るように中央に設けられた双円錐穴34を有する好ましくは厚さが8mm未満の適切 なセパレータ32によって分離されている。穴34の寸法は、開口部の立体角がクリ スタル22の面をちょうど含むように選択される。セパレータ32は、クリスタル22 間のクロストークを最適に限定し、厚さは、特定のバックグラウンド事象を限定 するように選択される。検出器は、複合シールド55内に配置され、周囲放射能に よるバックグラウンドを減少させる。このシールドは、用途に応じて、重量が0. 5kgから20kgであり得る。各フォトセンサー26にもシールディング27が設けられ ている。 動作中、シンチレーションクリスタル22内に蓄積された(deposited)エネルギ ーは、フォトセンサー26によって電荷パルスに変換され、その後、統合ベース30 内で電圧パルスに変換される。パルスは、図3Aから図3Cに詳細に示すように、高 速低ノイズ前置増幅器52によって整形される。ベース電子素子はさらに、フォト センサー26用の高圧電源50、および高利得増幅器54を有する。特別な「三角形状 」整形前置増幅器52は、高速な一致および良好なエネルギー解像を可能にするた めに用いられる。両検出器26からの信号AおよびB、ならびに一致トリガA+Bは、P Cに基づいたディジタル記憶オシロスコープ(DSO)カード58への入力であり、ディ ジタル記憶オシロスコープ(DSO)カード58は、ソフトウェア制御下での高速リア ルタイムパルス形状/パルス高さ分析用に用いられる。 PC上でのDSOカードに基づいたパルス形状分析を支持するソフトウェアは、好 ましくは、ボーランドターボパスカル(Borland Turbo Pascal)およびC++にお いて符号化される。これによって、符号は、高度にモジュラー化され、透明にな り、カスタマイズが容易になるのが助けられる。ソフトウェアを変えることによ って、同一のデバイスは、ハードウェアを変えずに、様々な応用に適用され得る 。最も時間が影響する手続きは、信号を得て分析する効率を最大にするためにIB MPCアセンブリ言語において符号化されるのが好ましい。 DSOカード58は、少なくとも8ビットのアナログ−ディジタル変換器(ADC)を 有する2つの入力、および獲得トリガとして用いられる他の入力を有する。少な くとも10MHzのサンプリングレートで同時に2つの入力チャンルをモニタするこ とが可能である。信号は、1秒当たり100メガ試料までのサンプリングレートで 得られ、トリガが検出されるまで、オンボードメモリ内に連続して記憶される。 トリガが検出されると、ポストトリガデータポイントの予め規定された数が得ら れる。獲得が一旦停止すると、ホストコンピュータCPU59は、オンボードメモリ のコンテンツを利用できるようになる。 DSOチャネルのすべてがトリガとして用いられ得、またはトリガリングは、ソ フトウェアおよび/またはトリガ電子素子56を通してなされ得る。サンプリング レート、ポストトリガポイントの数、チャネル上の利得、およびトリガリング条 件は、PC I/Oポートを通して設定され得る。一方、オンボードメモリは、直接4 Kbyteウインドウを通してアクセスされ得、これによって、例えば、CPUストリン グ命令を用いる高速検索または他の周辺デバイスへのDMA転送が可能となる。 パルス形状分析は、以下の特徴に基づいて、スプリアスパルスからの放射能減 衰によるパルスを区別するように機能する。光子は、シンチレータ/PMTまたは シンチレータ/フォトダイオードの組合せによって吸収されると、特性形状、お よびシンチレータ中の光子によって堆積したエネルギーに比例する予想可能な振 幅を有するパルスを生成する。対照的に、読出し電子素子内に電磁的に誘導され たスプリアスパルスの形状はあまりよく規定されていない。スプリアスパルスは 、単一の狭いスパイク、このようなスパイクの迅速な連続、ランダム電子ノイズ 、およびPMT暗パルスを有する。パルス高さ分析システムにおいて、スプリアス パルスは、得られたスペクトルをかなり汚染し、システムの全体的な信号対バッ クグラウンド比を減少させ得る。さらに、光子の検出によって生じた多くの「リ アル」パルスは、例えば、2つの個別の事象が、短い時間間隔内に発生(パイル アップアーチファクト)するとき、または光子によって生じたパルスが一致電磁 ピ ックアップによって歪むとき、歪み得る。このような事象は、得られたスペクト ルを不明確にし、形状分析に基づいて廃棄されるかまたは正しく解釈される。前 端部電子素子内の高周波数電子ノイズは、スペクトルを混乱させ、エネルギー分 解能を減少させる。しかし、パルス形状分析を通して、スペクトルは、フォトセ ンサーの実際の分解能に引き上げられ得る。 バックグラウンドを減少させるための設計の問題については以下に議論する。 以下のバックグラウンドソースは、本発明による例示的な実施態様においてかな り減少する。 A1 シンチレータクリスタルの放射能汚染; A2 光電子倍増管(PMT)の放射能汚染; A3 シールドの放射能汚染; A4 環境からの高エネルギーガンマ; B1 シンチレータ、PMT、およびシールドからの中性子誘導ガンマ; B2 シンチレータ、PMT、およびシールドからの宇宙線誘導ガンマ; B3 宇宙線による直接的なヒット; C1 PMTの暗パルス; C2 PMTの宇宙線誘導暗電流; D1 電子ピックアップ; D2 振動ピックアップ。 バックグラウンドソース(A1−A4)の第1のグループは、1秒当たり数カウン ト(cps)のオーダーでバックグラウンドレベルを生成する。このクラスのバック グラウンドを減少させる従来の方法は、しばしば99.999%を越えて精製された超 純粋な材料の使用を含む。しかし、精製方法は、生物医学的な応用で低コストの 機器において用いるには高価すぎる。バックグラウンド減算の統計学的な方法は 、統計学的なアーチファクトによって限定され、信号対バックグラウンド比(S/B )が高い(例えば、> 10)場合にのみ用いられ得る。 バックグラウンドソース(B1−B3)の第2のグループは、1分当たり0.1から 1カウント(cpm)のレベルでバックグラウンドの原因となっている。活性なシ ールディングおよび複雑なパルス形状分析は、このバックグラウンドを拒否する ために用いられ得るが、活性なシールドの使用は、非常に高価になる傾向にある 。さらに、活性シールドを使用すると、しばしば、ディレクタの幾何学構造が複 雑になり、試料に利用される空間が限定され、デバイスの有用性が減少する。 バックグラウンドソース(C1−C2)の第3グループは、1時間当たり数カウン ト(cph)を生成する。これらのソースが、ハードウェア手段によって拒否される のは非常に困難である。一致、ハードウェア手段、および複雑なパルス形状分析 の相乗的な組合せによって、このクラスにおける約90%のバックグラウンドが拒 否され得る。しかし、これには、ディジタル記憶オシロスコープに基づいたオン ラインパルス形状分析の頻繁な使用を必要とする。 バックグラウンドソース(D1−D2)の第4グループ、すなわち電子および振動 ピックアップノイズは、非常にシステムおよび部位依存的である。従来のNIMに 基づいた電子素子は、使用されるモジュールの総数に応じて、1ユニット当たり 0.1cpmの典型的なノイズを示す。典型的なNIMシステムを接続するために10から2 0個のケーブルを用いて良好に接地された同軸ケーブルを用いても、観察される 電磁ノイズは約1cpmである。さらに、外部の高圧電源の使用は、ピックアップ ノイズのレベルに否定的な影響を与える。 1時間当たり1スプリアス未満のレベルに到達するためには、特別な低ノイズ 電子素子が用いられる。ソースB1−B3およびC1−C2を抑制するのに必要な本発明 によるシステムのオンライン計算要求と、電子ピックアップノイズにおける結果 として生じる増加との間にはトレードオフがある。 ここで、同位元素の選択について議論する。本発明と共に用いるのに最も適し たECエミッタは、米国特許第5,532,122号、リスト1から4に記載されている。E Cエミッタは通常、2つの同時光子を有する。これらの光子の1つは、常に、原 子殻再配置のために放出されたむしろ低いエネルギーX線である。さらに、非常 に高い空間分解能を得るためにうまく利用され得るいくつかのオージェ電子が存 在し得る。好ましい放射能エミッタI125については、第2の光子もまた、低エネ ルギーを有し、スペクトルは、それぞれ、27keV、31keV、および35keVにおいて 3つのピークを有する。MPD検出器の設計には、検出効率(DE)、エネルギー分解 能(dE)および時間的な応答の間でのトレードオフが含まれる。光子エネルギーは 、 検出器素子の選択にかなりの影響を与える。100keVより高いエネルギーを有する 少なくとも1つのガンマ光子を用いる高エネルギーエミッタの場合、大きな無機 シンチレータが実用的かつ経済的であるのに対して、EC同位元素の検出に対して は、シンチレータ、半導体検出器、およびガス検出器を含む広範囲なクラスの検 出器が利用される。 好ましくは、CGXエミッタは、共有結合を形成する元素、または有機化合物に キレート化され得る元素の同位元素である。さらに好ましくは、同位元素は、I1 23 、I125、I126、Br76、またはBr77、および最も好ましくはI125である。 60日の半減期を有するEC同位元素I125は、特に好ましい。古い機器を用いて得 られ、核データ表に記録されている結果によると、35keV核ガンマの同時放出お よび27keVから31keVの範囲におけるいくつかの可能なX線の1つは、7%のI125 減衰において発生する。しかし、本発明の改良されたシステムを用いると、実験 では、実際に、25%から35%の減衰における一致が示された。 CGXエミッタは、好ましくは、CGXランタニド同位元素のファミリーの同位元素 である。このファミリーは、異なる減衰光子エネルギーに基づいて区別され得る 同一の化学特性を有する54個の同位元素を有する。CGXランタニド同位元素は、 金属イオンを捕捉するキレーティング基を用いてバイオ分子に対する標識として 導入され得る。キレーティング基をDNAサブユニットに付加するための化学方法 およびそのポリマーは周知である。 ここで、I125に対する超低バックグラウンドCGXの材料選択について議論する 。I125からのガンマ線の検出は、良好なエネルギー分解能を有するシンチレータ 検出器を必要とする。一般に、最良のエネルギー分解能は、NaI(Tl)クリスタル /PMT組合せで成し遂げられる。しかし、NaI(Tl)を使用すると、特徴的なヨウ素 吸収エッジのために、さらに困難な(hard)X線バックグラウンドとなる。これは 、本発明による好ましいCaF2/PMT組合せを実施することによって効果的に除去 される。 1mgより多くの量でCGXDシステムにおいて用いられるすべての材料は、放射性 不純物についてスクリーニングされる。K40を含むガラスは、好ましくは、石英 または特別な低バックグラウンドパイレックスと置き換えられる。鉄質材料は、 放射性コバルト汚染のために排除される。幸いに、いくつかのタイプのプラスチ 鉛が受容可能である。 診断:本発明の診断への応用としては、DNAシーケンシング、DNAフィンガープ リンティング、ならびに競合および/または結合アッセイ(例えば、ラジオイム ノアッセイ(RIA))の多様な形態が挙げられる。I125同位元素入力のpCiレベルを 用いると、アッセイ試料または試薬の中に存在し得る毒素および病原体に曝され ることは、使用される微量のI125よりもはるかに安全である。 このシステムは、IA、免疫PCRおよびDNAプローブ、ならびにIRMAなどの診断テ ストにおいて、サブアトモル(< 10-18M)量のバイオ分子を定量化するのに用 いられ得る。1cpsバックグラウンドレベルにもかかわらず、適切な信号対バッ クグラウンド比(S/B)を得るためには、前のIRMAは、危険量の放射性同位元素 の使用を必要とした。承認された廃棄場所がないため、放射性廃棄物は、廃棄物 を生成する場所(即ち、病院、大学、および工業地区)に格納されなければなら ず、放射線および生物学的危険の可能性が生じる。本発明によると、固体アッセ イ残留物は、環境バックグラウンドよりも放射性が低いため、生物学的規則のみ に従って廃棄され得る。液体残留物は、大半の放射能を含むが、現在の生物医学 手法(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))から得られる活性よりも低い活性で 、地面の水の放射性レベルよりは通常はるかに低い。 ここで、「サンドイッチ」検出器の幾何学構造の利点について議論する。本発 明によるデバイスの1つの要素は、「サンドイッチ」幾何学構造である。この構 造において、単一の試料は、2つの独立したシンチレータ検出器間に配置される 。シンチレータ検出器のそれぞれは、個別のPMTまたはそれと同等のものによっ て読出しを行う。サンドイッチ幾何学構造は、直観に反している。なぜなら、バ ックグラウンドの主要なソースであるPMTを含む要素の数が2倍になるからであ る。さらに、パッシブシールディングは、かなりコストが高く、検出器アセンブ リの全体の形状は、幾分かぎこちなく、明らかにユーザによる好感度を減少させ る。最後に、サンドイッチ幾何学構造は、ウェル幾何学構造と比較して、検出効 率を減少させる。 しかし、サンドイッチ幾何学構造の使用は、いくつかの要件の中で最適なトレ ードオフを示す。 * OR(非一致)およびAND(一致)モードの両方で動作する能力; * 非対称的な検出器構成を可能にする幾何学構造; * 吸収アーチファクトの最小化および/または較正;および シンチレータに基づいたガンマカウンタにおけるバックグラウンドカウントの 主要なソースは、検出器自体の構成要素の放射能汚染である。バックグラウンド の実際の放射性構成要素を減少させるために、シンチレータの容量は最適化され 得る。I125減衰に関連する低エネルギーガンマおよびX線は、1mm未満のNaI(Tl )または1.5mm未満のCaF2(Eu)シンチレータにおいて効果的に停止される。しかし 、特にPMTをシンチレータに連結する必要がある場合には、このような薄い壁を 有するウェル検出器を製造することは実用的ではない。その代わりに、平坦なシ ンチレータ幾何学構造は、幾分か低い検出効率を有していても好ましい。実際に は、直径2"の平坦な検出器の検出効率は、検出器の中央に配置される小さな(数 mmの直径)ソースについては約40%である。ソースを間に配置した2つの同一の 平坦な丸い検出器を用いることによって、システムの全体的な検出効率は向上し 、幾何学構造にあまり依存しないようにされる。 検出器の分割は他の利点も有する。この分割は、光子エネルギーを2倍にする ことによって、2分の1の確率で、2光子事象を単一の光子事象から識別する能 力を提供する。この分割はまた、反同時拒否技術を用いてバックグラウンドを区 別する能力を提供する。しかし、各検出器モジュールは、個別のPMTを有し、こ れは、PMT暗パルスによる非放射性バックウラウンド構成要素および様々な電子 アーチファクトを増加させる。従って、このような非放射性事象を本発明に従っ てパルス形状分析によって効果的に区別することが好ましい。 サンドイッチ検出器の幾何学構造は、ウェル検出器または平坦な検出器幾何学 構造のいずれよりも良好な性能を可能にする。これらの3つの異なる幾何学構造 を用いて構築されたシンチレータ検出器の定性的な特性を表1に示す。 再現性および信頼性は、生物医学用機器に対して重要な特徴である。多くの検 出器において、不確かさの典型的なソースは、自己吸収および検出器内部/検出 器の前に配置されている試料の変動によるエラーである。これらのエラーは、試 料が液体であるときには、最小限に抑えることは容易であり、この場合、ウェル 幾何学構造の使用はかなりの利点を有する。残念なことに、液体を使用すると、 大きな試料取り扱いの問題が発生する。現代の診断方法は、生物学的試料が固体 表面に取り付けられている、または適切なフィルタに吸着される分離プロセスの 生成物であるフォーマットをしばしば使用する。例えば、電気泳動生成物は、ゲ ル内に捕捉されるか、または膜に移される。平坦な幾何学構造を有する検出器は 、大きな表面/容量比を有する試料が用いられているとき、特に、生物学的試料 が無視できない程度の厚さを有する固体状態のフィルタ、支持体、または膜の表 面内また表面に付着して不均一に分布しているとき、有利である。 定量化アーチファクトは、それぞれが、本発明による独立した読出し電子素子 を有する2つの実質的に同一の平坦な検出器を用いるときにかなり減少し得る。 自己吸収が無視できる程度であり、試料が正しく配置されているとき、両検出器 は、実質的に同一のカウントレートを与える。しかし、カウントレートが両検出 器において異なるときでも、サンドイッチ幾何学構造は、高効率な弁別/補償ス キームの使用を可能にする。 本発明によるサンドイッチ幾何学構造の使用は、特に効率的なバックグラウン ド拒否に対してさらに利点がある。多くのバックグラウンド事象は、PMTにおけ る電磁ピックアップおよび暗パルスに起因する。2つのウェルで分離された検出 器については、電磁ピックアップの有意な部分は、両検出器内のパルスを比較す ることによって検出され得る。従って、個別であるが等しい電子素子を有する一 対の検出器は、電子および振動ピックアップを拒否するために、反一致モードに おいて動作され得る。 PMT内のK40汚染によるバックグラウンドは、単一の検出器構造における全バッ クグラウンドの重要な構成要素である。2つの平坦な検出器が用いられるとき、 1つの検出器内に堆積されるエネルギーは、第2の検出器内に堆積されるエネル ギーとはしばしば非常に異なる。これによって、シンチレータ、PMT、およびシ ールドを汚染するβエミッタによるバックグラウンドの拒否を可能にする。適切 なセパレータを用いると、デバイスの外側から浸透してくる高エネルギー光子に よるバックグラウンドをさらに除去することができる。これはまた、宇宙線を拒 否するのにも有用である。 本発明によるサンドイッチ幾何学構造の他の重要な利点は、その多様性である 。本発明の好ましい実施は、同位元素I125を検出するための2つの実質的に等し い検出器を用いる。I125の場合は幾分か例外である。即ち、多光子は同時に放出 されるが、それらのエネルギーは、非常に近接(即ち、E=27keV、31keV、および 35keV)している。従って、I125については、2つの等しい薄いシンチレータが 用いられ得る。しかし、多くの他の重要なソースは、全く異なるエネルギーの多 光子を放出する。1つの光子が、ソフトX線(E < 50keV)であり、第2の光子 が、核ガンマ線(例えば、E > 100keV)である場合が多い。例えば、これは、 それぞれ、27keV、31keV、および150keVにおいて3つのラインを有する123Iにつ いての場合である。この場合、クリスタル厚さが異なる2つのシンチレータを有 する本発明の実施態様によるサンドイッチ検出器が最適である。さらに、フォト スイッチ素子は、かなり異なるエネルギーの光子の検出に用いられ得る。 シンチレータ検出器を用いる場合、シンチレータの間に誘導されるX線クロス トークを減少させるためにシンチレータを物理的にできるだけ分離することが適 切である。試料の容量が比較的小さい(数百マイクロリットルである)場合、こ のことは、試料ホルダーに鉛または銅の1から5mm厚のシートを導入することに よって成し遂げられ得る。検出器を分離すると、目的の単一の光子I125エネルギ ー領域(ROI)におけるバックグラウンドは効果的に2分の1に減少する。検出器 の分離は、CaF2(Eu)をベースとしたシステムにおけるバックグラウンドに対する 影響が非常に小さい。なぜなら、これらの検出器は、I125ROIにおいて二次的な X線を生成しないからである。CaF2(Eu)の使用は、大容量の試料に対する本発明 によるMPD検出器の構築を簡単にする。NaI(Tl)またはCsI(Tl)をベースとした検 出器は、幾何学構造およびセパレータにおける開口部の直径に対してかなりの感 度を示す。 本発明によるデバイスと、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC) および他の場所における検出器との比較を、市販の放射性ヨウ素で処理したTSH 抗体のバイナリー希釈を用いて行った。この抗体の分子量は、約40,000ダルトン である。テストの大半を、較正試料セットを用いて行った。他の較正ランは、Na I125およびI125-dCTPの水希釈を用いた。放射性基準については、臭化エチジウ ムをI125でヨウ素化し、約0.1mCi/mLの比活性にした。続いて、臭化エチジウム をイソプロピルアルコールで4倍に連続して希釈した。較正セットは、10個の試 料を有し、数千dpmから約0.1dpmの範囲をカバーしている。100マイクロリットル 容量の各希釈物を薄いプラスチック製の200マイクロリットルのEppendorfバイア ルに配置した。 これらの比較の結果、MPDが、他のガンマ検出器よりも少ない量の放射性の測 定を可能にすることを確認した。2つの異なるMPD検出器の検出効率およびエネ ルギー分解能もまた比較した。非一致モードにおいて、本発明の異なる実施態様 によるMPDデバイスは、従来のデバイスと比較して、これに匹敵する検出効率お よび約50倍低い放射性バックグラウンドを有していた。また、従来のシステムは 、約±5%に較正され、本発明のMPDは、±1%以内に較正される。 表2は、複数の市販のガンマカウンタ、ならびにNaI(Tl)およびCaF2(Eu)をベ ースにした本発明による2つのMPD検出器のそれぞれに対する、最も重要なパラ メータ(即ち、検出効率およびバックグラウンド)のいくつかを示す。表2はさ らに、ANDモードにおけるMPDデバイスについて、ECソースによって放出される2 つの光子間の一致が使用されるとき、バックグラウンドがOR(非一致)モードと 比較してさらに減少し、これが感度のかなりの増加につながることを示す。しか し、検出効率のいくらかの減少が、一致モードにおいて観察される。 (1) American Red Cross,Gaithersburg,MdにおけるBeckman 5500; (2) Lehigh University,Bethelheim,PaにおけるBeckman 5500ガンマカウンタ ; (3) Georgetown University,Washington D.C.におけるガンマスコープLKB1272 ; (4) MSKCC,New York,NYにおけるガンマスコープLKB1292; (5) 2つの2”NaI(Tl)シンチレータに基づいたMPD; (6) 2つの2”CaF2(Eu)シンチレータに基づいたMPD。 MPD検出器については、性能は、ORおよびANDカウンティングモード(括弧内の 値は、ANDモード値である)の両方において与えられる。 ここで、本発明による動作のORおよびANDモードを可能にするMPDシステムの最 適化について議論する。サンドイッチ検出器は、動作の一致(AND)モードを可 能にするため、バックグラウンドを数桁大幅に減少させる。しかし、この獲得モ ードに対する検出効率は、比較的低く(サンドイッチ幾何学構造において、I125 ソースおよび2”から3”直径の検出器に対して5%から15%)、低活性ソースに 対するカウンティング時間をかなり増加させる。しかし、本発明によるサンドイ ッチ検出器はまた、ORモードと呼ばれる非一致モードにおいても動作し得る。こ のORモードにおいて、検出器のいずれかにおいて記録される事象がカウントされ る。従って、全システムは、この点に関してウェル検出器または任意の非分離検 出器と同様の1つの検出器として動作する。ORモードにおいて、検出効率は、よ り高い(典型的には、I125ソースおよびサンドイッチ幾何学構造における2”直 径の検出器については50%)が、一致によるより良好なバックグラウンド拒否の さらなる利点は失われる。 ORモードで動作する本発明によるMPDは、光学シンチレータの厚さ、目的のカ ウンティング領域を単一の光子ピークに減少させることが可能な2光子事象(2 検出器システムについては50%)の部分の正確な解釈、非一致、およびパルス形 状分析を用いることによって、かなりのバックグラウンド減少を成し遂げる。 2”直径のCaF2(Eu)クリスタルMPDにおいては、ORモードにおけるバックグラ ウンドは、1.5から2cpmであり、検出効率は50%である。ORモード獲得中、一致 事象が同定およびカウントされ、個別のANDモードカウンティングの必要性を避 ける。獲得が完了すると、MPDは、ORおよびANDカウンティングデータの両方を出 力する。ソースの活性がORバックグラウンドと同等な活性(約5ピコキュリー、 または2アトモルのI125標識)を上回る場合、ORデータが用いられなければなら ない。これらのデータは、ORカウンティングの検出効率がより高いために、統計 学的な不確さがより低い。ORカウントがORモードバックグラウンドに近い場合、 さらに低いバックグラウンドのために、ANDモードカウンティングデータが用い られる。 経験概則として、ORモードの動作は、10dpm(即ち、約5ピコキュリー)より も大きいソースに対してより良好である。しかし、1から20dpmの活性範囲では 、ORカウンティングモードおよびANDカウンティングモードの両方が有益に用い られる。この範囲の感度については、真のカウントレートの最良の推定量を得る ために、ソフトウェアは、ORおよびANDデータを組み合わせたものが用いられる 。 これによって、統計学的な不確かさ(ANDデータ)および高バックグラウンド(O Rデータ)によるアーチファクトが最小になり得る。1dpm未満では、ANDモードは 、適度に良好な信号対バックグラウンド比を与える。 本発明による重要なソフトウェア機能の1つは、カウンティングレートに対す る不感時間およびパイルアップ訂正を適切に評価することである。DSOをベース としたパルスの獲得には、比較的長い不感時間が含まれ、これは、特に高いカウ ントレートに対しては補償されなければならない。本発明によるMPDデバイスに おいて、これは、他のカウンタ/タイマーカードを用いて行われる。 カウンタ/タイマーカードは、好ましくは、少なくとも2つのパルスカウンタ およびタイマーを有する。1つのカウンタは、信号調整/トリガリングカードに よって形成されるすべてのハードウェアトリガをカウントし、他のカウンタは、 一致トリガのみをカウントしなければならない。タイマーは、暴露時間(exposed time)を精度良く追跡しなければならない。好ましい実施において、JDRマイクロ デバイスによって配布されているモデルPCL-720が用いられる。このカードは、 3つのカウンタを有し、その1つは、間隔配線によってタイマーに変換され得る 。カウンタは、16ビットであるので、データの損失を防止するためには、少なく とも1秒間に1回読み出されなければならない。第3のカウンタは、この実施態 様において、1秒間に1/2,500の間隔でカウント時間に接続される。 カウティングが開始されると、MPDソフトウェアは、第1のパルスを得るため にDSOを作動し、同時に、カウンタおよびタイマーを開始する。PCハードウェ アタイマーが干渉される度(例えば、55ミリ秒毎)に、カウンタおよびタイマー の値は、読み出され、経過した全カウント/時間に加えられる。カウンティング が終了すると、適切なカウンタ内のカウントレート(タイマーから読み出された 時分割された全カウント;または、カウンタの全カウント(DSOが同時トリガに よってトリガされる場合に、一致トリガカウンタが用いられる))が用いられ、 すべての事象、拒否されなかった事象、および目的のすべての領域(ROI)の事象 のカウントレートを以下の式を用いて調整する。 Cpmi Adj= Cpmi *(CpmTotal Counters/CpmTotal DSO) ここで、Cpmi Adjは、不感時間損失に対して調整された、i番目のROIに対するカ ウントレート(1分当たり)であり、Cpmiは、i番目のROIに対する生のDSOcpm であり、CpmTotal Countersは、カウンター内の全cpmであり、CpmTotal DSOは、 DSO内で拒否される前の全カウントレートである。 この調整によって、不感時間損失に対する補償が十分になされ、カウントの線 形性を、高いカウントレートにおけるパルスパイルアップによってのみ効果的に 制限するようにする。自己較正プログラムによって、例えば、3%未満内にORお よびANDカウンティングレートデータを一致させることができる。 ここで、CGX検出器の性能特性について議論する。本発明による検出器は、従 来のデバイスと比較して、かなり改良された性能を有する。この改良には、感度 、再現性、およびダイナミックレンジが含まれる。 感度:放射線カウンタの感度(または検出限界)の直接的な指標は、バックグ ラウンド等価活性(BEA)、即ち、検出器内のバックグラウンドに等しいカウン トレートを生成するソースの活性である。この効果尺度は、カウンタのバックグ ラウンドおよび検出効率の両方を考慮する。 ORモード(非一致検出)における本発明によるMPD検出器に対する典型的なBEA は、1分当たり3から4減衰の範囲であり、これは、2ピコキュリー未満のI125 と等価である。これは、約50%のORモードおよび1.5から2cpmの目的のI125エネ ルギー領域内のバックグラウンドカウントレートに基づいている。従って、5ピ コキュリーの試料は、約3のS/Bを有する。 ANDモード(一致検出)における本発明によるMPD検出器に対する典型的なBEA は、1日当たり1減衰の範囲であり、これは、数フェムトキュリーと等価である 。これは、約7%のANDモードにおけるDEおよび2週間当たり1カウントの目的の I125領域内のバックグラウンドカウントレートに基づいている。 小さな活性ソース(10ピコキュリー)については、市販の検出器は、試料を定 量することも、1に近いS/Bで限界測定を提供することもできない。しかし、10 ピコキュリーI125の試料を、本発明によるCGX検出器を用いて、数週間にわたっ て400回繰り返し測定した。測定された活性は、公知のI125の半減期と適合する 。こ れらの測定は、一致が用いられない、ORモードの動作を用いて得た。 一致に基づく向上した性能モードおよびより厳重なパルス形状分析において、 DEは、幾分か低い(5から10%対50%)のに対して、バックグラウンドは、数桁低 い。この向上したモードにおいて、性能は、試料サイズに依存する。標準的な12 mm直径の試料チューブに対しては、DEは、6.5%であり、バックグラウンドは、0. 25cphであり、4dphのBEAを生成する。小さい試料(直径4mm以下)に対しては 、DEは5から7%であり、バックグラウンドは、1週間当たり0.5から1カウント であり、これは、3dpdのBEA(1日当たりの減衰)と等価である。従って、この 向上した感度モードにおいては、約10dpdの活性を有するI125ソース(即ち、100 0個未満のI125原子を含む)を検出することが可能である。 再現性:本発明によるMPDデバイスを用いた測定の非常に優れた再現性は、非 常に低い温度係数、シンチレータ[CaF2(Eu)]温度応答の部分補償、宇宙線による 暗パルスの拒否、および電磁干渉の拒否を有する電子要素を選択することによっ て成し遂げられた。 これらの効果はすべて、時間に依存することが知られている。例えば、シンチ レータからの信号の温度依存性は、従来の市販のガンマ検出器における3から5% のレベルに対する昼/夜効果(day/night effects)につながる。低カウントレー トにおいて、一日および一年の宇宙線のフラックスの調整は、ウェル検出器にお ける数パーセントの効果につながる。最後に、電磁干渉に対する感度は、10cpm 未満の活性において、注目に値する昼/夜変化につながる。MPDにおけるこれら の効果の拒否/補償は、測定再現性をかなり向上させ、すべての日周効果(diurn al effects)を除去した。 本発明によるMPDデバイスの測定再現性は、主として、統計、クロック精度、 および試料を機器内に配置する再現性をカウントすることによって、決定される 。本発明によるMPDデバイスは、長期にわって適度に安定である。バックグラウ ンドにおける変化は観察されず、検出効果は安定である。同一の試料(50ナノキ ュリー)を、各測定前にホルダー内から除去および再配置し、約1200回カウント することによって、MPDデバイスの測定安定性を数週間にわたってテストした。 各測定について、10,000カウントが蓄積(±1%の統計学的不確かさに等しい) さ れるまで、試料をカウントした。 本発明によるMPDの他の利点は、信頼できる較正の可能性である。吸収および 試料配置アーチファクトを減少させる「サンドイッチ」幾何学構造の使用、およ びエルドリッジ較正手法の使用を可能にするI125の使用により、改良された較正 が可能である。例えば、同一のMPDデバイスを、50ナノキュリーのソースを用い て25回較正した。平均DEを、±1.7%の標準偏差で、49.1%に決定した。比較にお いて、典型的な市販の検出器は、±5%以内に名目上較正されるが、実際には、0 .1ナノキュリー未満の活性を有するソースに対しては、較正の不正確さは、±10 %により近い。 ダイナミックレンジ:数桁にわたる線形性は、すべての分析および生物医学的 応用に対して所望の特性である。しばしば、主要な生物学的化合物のレベルは、 数桁低くなり得る代謝産物のレベルと比較されなければならない。現在用いられ ている従来の機器の大半は、非常に限定されたダイナミックレンジしか有さない 。 写真エマルジョンによって1.5ログ範囲のみにわたる量的測定が可能になる。 通常、検出器の応答は、低レベルおよび高カウンティングレートの両方において 限定される。従って、所望の線形応答の代わりに、特徴的な検出器の応答は、S 字形曲線である。低カウントレートにおいて、ウェル検出器は、固有バックグラ ウンドによってかなり限定される。同様に、光学検出器(例えば、カラー分光計 )は、光子バックグラウンドによって激しく限定される。高活性レベルにおいて 、パイルアップまたは光学干渉は、従来の検出器の線形性を歪ませる。実際に、 ガンマ検出器は、約1,000,000cpsまでの高いカウントレートについて理想に近い 。従って、典型的なウェルカウンタは、約100cpsから1,000,000cpsの約4ログダ イナミックレンジにわたって線形応答を示す。 本発明によるMPDデバイスにおいて用いられるバックグラウンド拒否技術によ って、1cpmから1,000,000cpm、即ち、ORモードにおける6ログダイナミックレ ンジにわたって、信頼のおける定量を可能にする。バックグラウンドが1cpdで ある向上した動作ANDモードを用いる場合、本発明によるMPD検出器は、9ログダ イナミックレンジにわたって線形である。より高いカウントレート(500,000dpm を上回る)においては、飽和は、シンチレータ内のパルスパイルアップによって 生じ得る。応答は、この範囲ではもはや線形ではないが、MPDの不感時間を延長 させることはできないので、カウンティングが実施され、結果はパイルアップに 対して訂正される。低いカウントレートにおいて、応答の線形性は、バックグラ ウンドによって限定される。MPDを用いる測定の結果を図4に示す。I125で標識 された試薬の希釈は、5桁から1試料レベル当たり0.1ゼプトモルにわたって測 定活性の完璧な線形性を示す。 本発明によるMPDの応答の線形性を市販の比色検出計と比較したところ、MPDの 利点は明白である。MPD検出器のダイナミックレンジは、カラー分光計に対する よりもかなり良好である。この研究を行うために、ストレプトアビジン−HRPを 、ヨウ素化し、同一の試料をMPDおよびELISAテストに用いられる市販のカラー分 光計を用いて測定した。結果を図5に示す。MPDの感度は、カラー分光計の感度 よりも少なくとも2桁良好であり、そのダイナミックレンジは、約5桁良好であ る。カラー分光計が信頼性をもって動作する範囲において、同一の結果を、本発 明によるMPDおよびカラー分光計を用いて得た。 ここで、CaF2(Eu)シンチレータの使用について議論する。NaI(Tl)シンチレー タクリスタルは、MPD器具に対して当然選択されるもののようである。一致モー ドにおいて、バックグラウンド拒否は、エネルギー分解能の二乗に対して反比例 し、これは、NaI(Tl)に対しては、他のシンチレータに対するよりも約50%良好で ある。さらに、妥当なエネルギー分解能を有するシンチレータ(NaI(Tl),CsI(Tl )およびCaF2(Eu))のうち、ヨウ化ナトリウムシンチレータが最も速い。標準的 な実施において、バックグラウンド拒否は、タイミング分解能の二乗に比例する 。見積もりは、NaI(Tl)に基づいたMPD内のバックグラウンドが、他のシンチレー タを用いたときよりも約4倍低くなければならないことを示唆し、非常に小さい (例えば、〈 10マイクロリットル)ソースに対するこのようなMPDシステムは、 1週間につき約0.5カウント(0.5cpw)のバックグラウンドを成し遂げた。 しかし、NaI(Tl)をベースにしたデバイスの欠点は、 * NaI(Tl)が、機械的にもろい。例えば、NaI(Tl)は、温度勾配にかけられる場合 および/または搬送中に、砕けることが頻繁である。 * NaI(Tl)は、密封されなければならず、シンチレータの前面をカバーする薄いA lまたはBe箔は、試料がその近接部に配置されるとき、例えば、空間的にMPDデバ イスを分解するように動作するとき容易にはぎとられる。 * より大きな試料が用いられるとき、NaI(Tl)をベースにしたMPDシステムにおけ るバックグラウンドは、クリスタル間のX線クロストークのために、かなり劣化 する。 NaI(Tl)を、CaF2(Eu)を含む他のシンチレータと置き換えると、バックグラウ ンドが少し増加する。しかし、I125またはI123の小さな試料に対して読出し電子 素子およびデータ処理ソフトウェアを最適にすることによって、CaF2(Eu)をベー スにしたMPDシステムは、NaI(Tl)をベースにしたシステムとほぼ同一のバックグ ラウンドに到達する。大きな試料については、CaF2(Eu)をベースにしたMPDにお けるバックグラウンドは、約10倍良好である。 CaF2(Eu)は、いくつかの直観に反した理由により、I125検出に対して上記の驚 くほど低いバックグラウンドを有する。第1に、本発明によるMPDシステムに対 しては、ANDモードにおけるバックグラウンドの主要なソースは、第2のクリス タルにおいて検出されるあるエネルギーソースと一致する1つのクリスタルにお いて放出され、吸収されるソフトX線の検出である。NaI(Tl)を用いる場合、ク リスタル中のE > 35 keVを有する外部光子の吸収が、原子殻の再配置による26k eVまたは32keV光子の再放出につながる。従って、特徴的なヨウ素X線は、NaI(T l)クリスタルが用いられるとき放出される。これらは、I123娘核またはI125娘核 のいずれかによって放出される25keVおよび31keV Te X線とは区別され得ない。 実際、CsI(Tl)については、この効果はさらに大きい。なぜなら、CsおよびIの両 方の特徴的なX線は、放射性ヨウ素によって放出されるX線と実質的に同一であ るからである。一方、CaF2(Eu)は、幸い、低原子数元素のみを含む。従って、そ の特徴的なX線は、15keV未満のエネルギーを有し、放射性ヨウ素X線とは区別 され得る。従って、好ましくは、NaI(Tl)またはCsI(Eu)は、40未満または70より 大きい原子数を有するEC放射性同位元素に対して用いられなければならない。40 と70との間の原子数を有するEC同位元素については、CaF2(Eu)が、好ましいシン チレータである。 CaF2(Eu)の第2の利点は、さらに微妙で、直観に反する。CaF2(Eu)は、約5マ イクロ秒、即ち、NaI(Tl)より約25倍遅い特徴的な光減衰を有する、非常に遅い シンチレータである。従来の検出器は、約1cpsのバックグラウンドを有する最 も可能な速い検出器を用いていた。バックグラウンドが、数cpmに押され、バッ クグラウンドの優勢なソースは、PMTからの宇宙線および暗電流パルスに起因す る。クリスタル自体の宇宙線によって堆積されるエネルギーに起因するスプリア ル信号は、堆積されたエネルギーの量を分析することによって部分的に考慮され 得る。特に、低エネルギーX線(例えば、I125)に対して、この方法は、シンチ レータを横切る95%を上回る宇宙線を拒否することが可能である。これには、宇 宙線シャワーにおける二次的な粒子の効果的な拒否が含まれる。 しかし、MPDシステムの場合、クリスタル自体は、非常に薄く、PMTカソードの 表面は、クリスタルの表面よりも約50倍大きい。PMTアノードの1つに衝突する 高エネルギー宇宙線は、次いで増幅される電子なだれを引き起こす。このような パルスは、宇宙線のエネルギーよりもはるかに低いエネルギーの明白な蓄積につ ながる。即ち、PMTにおいて宇宙線によって誘導された暗電流パルスのエネルギ ースペクトルと、放射性ヨウ素からのエネルギーとの間でかなりの重複がある。 シンチレーターPMT組合せを用いる検出器において、このバックグラウンドソー スは、各PMTにおける1分当たりの数カウント、または一致モードにおける1時 間当たりの数カウントを考慮する。しかし、シンチレータに堆積されたエネルギ ーは、通常、PMTにおいて宇宙線で誘導されたパルスよりも長いパルスとなり、 これは、約0.2nsecの特徴的な時間定数を有する。 実際、拒否能力は、いくつかの検出器特徴によって限定される。これらには、 シンチレータの特徴的な応答時間、整形増幅器のパラメータ、およびオンライン パルス形状分析システムの性能が含まれる。例えば、MPDシステムにおいて、低 コストに対する必要性と、パルス形状分析において用いられるオンラインディジ タル記憶オシロスコープ(DSO)の性能との間にトレードオフがある。NaI(Tl)内に 誘導されたパルスに対して、宇宙線によってPMTに誘導されたパルスの約半分の みが、拒否され得る。宇宙線で誘導されたPMTパルスと、CaF2(Eu)内に形成され たパルスとの間のパルス立ち上がり時間における差は、大きい(即ち、それぞれ 、0.1nsecおよび数マイクロ秒である)。CaF2(Eu)をベースにしたMPDシステム において、宇宙線で誘導されたPMTアーチファクトの95%より多くがオンラインで 拒否される。 変化は、約40のNaI(Tl)クリスタルにおいて2年の期間にわたって発生したNaI (Tl)クリスタル特性において観察された。いくつか(約10%)は、熱応力から破 砕し、他(約15%)は、その吸湿特性のために黄色になる。対照的に、クリスタ ル特性の有意な変化は、20個のCaF2(Eu)クリスタルについては、1年の期間にわ たって観察されなかった。 要するに、サンドイッチ幾何学構造におけるCaF2(Eu)シンチレータは、特に、 放射性ヨウ素の大きな直径の試料が測定されるときに、優れたバックグラウンド 拒否を成し遂げることができる。CaF2(Eu)のすぐれた機械特性は、NaI(Tl)に対 してさらに利点を提供する。 ここで、シンチレータおよびその寸法の選択について議論する。従来のシンチ レータは、検出効率を最大にするように最適化される。従って、選択される典型 的な厚さは、目的のエネルギーにおける阻止能(stopping power)の約2倍である 。典型的な試料サイズ、例えば、直径0.5インチについては、選択されたクリス タルの直径は、3または4インチである。しかし、バックグラウンドは、シンチ レータ寸法の複雑な非線形関数におけるクリスタル容量にほぼ比例する。例えば 、3”クリスタルについては、従来の設計では、クリスタルを3”PMTに連結す る。しかし、3”インチPMTは、2”PMTよりも放射性がかなり高い。この放射能 は、PMTガラス中で天然に存在する同位元素に起因する。従って、より大きなPMT においてガラス壁の表面積が大きくなり、厚みが大きくなると、かなり高い放射 性バックグラウンドとなる。従って、従来の仮定に反して、低バックグラウンド MPDデバイスの性能を最適にするために、直径2”の検出器および実質的により 薄いクリスタルが本発明において好ましい。 本発明によるMPD検出器は、2つの光子一致検出を用いて、I125に対して自己 較正され得るという利点を有する。しかし、これを達成するために、対になった 検出器は、うまく適合しなければならない。即ち、同様の特性を有さなければな らない。良好に適合した対の選択を容易にするために、所定のMPDシステム内の すべてのクリスタルは、好ましくは、同一の大直径クリスタルから切り出される 。 クリスタルは、低放射性バックグラウンド銅チューブに設けられる。X線ウイン ドウ/反射器は、MgOおよび50ミクロン厚のAl膜で形成される。必要に応じて、 薄いテフロン膜が用いられる。光学ウインドウは、少なくとも2mm厚の石英で形 成される。 直径および厚さの最適化:本発明による単一試料MPDデバイスについては、最 適なシンチレータサイズは、2”直径であることが見いだされた。このサイズに ついては、S/Bは、標準的なサンドイッチ幾何学構造(即ち、試料が約1/2"離れ て配置された検出器間に配置されるとき)においては最も高い。しかし、クリス タルサイズの関数としての最適化曲線は、むしろ平坦である。例えば、(S/B)[3" ]≒1.2である。I125に対するMPD検出器を最適化するとき、シンチレータの最適 厚さは、CaF2(Eu)に対して1.5mmであり、クリスタル厚さが1.0mmから3.0mmに変 化すると、(S/B)は、約50%だけ変化する。 選択基準:好ましくは、各クリスタルは、光学的に調べられ、破砕または完全 に透明ではないクリスタルは拒否される。次に、クリスタルは、選択された低放 射性バックグラウンドPMT上に設けられ、一連の受け入れテストにかけられる。 第1のテストは、エネルギー分解能および全クリスタルの検出効率についてチェ ックする。運悪く、PMTは、均一ではなく、異なるゾーンのPMTの性能が測定され なければならない。これを行うために、シンチレータ/PMTアセンブリの表面は 、放射性ソースが中央に配置された直径の変化する鉛の環によってシールドされ る。第1の鉛のマスクは、0.5cmの穴を有する。次に、シンチレータ/PMTの中央 におけるエネルギー分解能がチェックされる。他の2つの鉛マスク(1インチお よび2インチの鉛の環)も、エネルギー分解能をチェックするために用いられる 。I125に対してdE/E(FWHM)≦21%を有するCaF2(Eu)クリスタルのみが受け入れら れる。さらに、その放射性バックグラウンドは、好ましくは、≦0.05dpmでなけ ればならない。通常、10の各バッチからの2から3個のクリスタルは、拒否され 、製造者に戻される。 ここで、低バックグラウンドPMT、および必要に応じて、PMTとシンチレータク リスタルとの間の透明材料の選択について議論する。本発明によるMPDデバイス は、PMTの選択においてかなりの注意が必要である。さらなるコストが許される ならば、顧客の注文に応じて作製した石英PMTが好ましい。既製品の完全なシン チレータ/PMTアセンブリおよび本発明により適切に改変された市販のPMTベース が代わりに使用され得る。放射性バックグラウンドの大部分は、これらの完全な アセンブリにおけるステンレス鋼の使用に起因し、市販のPMTベースは、非常に 放射性が高い。本発明によるPMTベースは、ベースとPMTとの間に複合シールドを 有し、放射性バックグラウンドを減少させる。さらに、PMTは、適切な低放射性 バックグラウンド光学カップラ(石英)を介してシンチレータに光学的に連結さ れる。 MPDシステムにおける放射性バックグラウンドを減少させるために、2”お よび3”のシンチレーションクリスタルに対して最適なPMTが選択される。以下 のPMTパラメータが重要である:放射性バックグラウンド、検出効率、エネルギ ー分解能、フォトカソード表面にわたる均質性、暗電流、長期の安定性、および 温度および磁界に対する信号の依存性。 テスト手順および結果:5つの異なる製造業者からの光電子増倍管の候補をテ ストし、最良の結果はElectron Tubes,Inc.(ETI)およびHamamatsuのPMT について得られた。これらの2つの製造業者からの約40のPMTを、電子特性 および放射能汚染についてテストした。HamamatsuのPMTがわずかにより良い 電子性能を提供する。それらは、優れた検出効率および良好なエネルギー分解能 の両方を特徴とする。また、それらの暗電流は若干低い。しかし、2″および3 ″の管については双方とも、最良の個別の管はETI製のものであった。これら の管は、バッチ内で、電子性能の若干大きい分布を有する。放射性バックグラウ ンドに関しては、ETIの管が好ましい。例えば、測定されたバックグラウンド は、Hamamatsuの管についてよりも、10倍低かった。 PMTを一連のテストにかけ、選択基準を満たすかどうかを決定する。第1の テストは、上部に覆いのない(open faced)クリスタル上でのエネルギー分解能 および検出効率について調べる。次に、PMTの異なる部分についてエネルギー 分解能を調べる。これは、放射性試料が配置される3つの異なる鉛の開口を使用 して行われる。第1のマスクは0.5cmの孔を有し、第2のマスクは1インチの 外部鉛リングである。電子パラメータは、使用される同位元素のエネルギーに大 きく依存する。例えば、約30keV(I125ソース)と約88KeV(Ga67 ソース)におけるエネルギー分解能の間には、相関関係は全く発見されない。 PMTの相対的な放射性バックグラウンドを、選択された低バックグラウンド 2″PMTに結合された、直径2″、厚さ2mmのCaF2(Eu)検出器の隣りにP MTを配置することによって測定する。テストシステムの全体を、鉛、スズ、お よび銅で十分にシールドする。CaF2(Eu)検出器におけるバックグラウンドを、 20〜40keVのエネルギー範囲(I125に対する対象エネルギー領域)で測 定し、調べられたPMTなしのバックグラウンドと比較する。パルス波形分析を 使用して、事象と電子アーチファクトを弁別する。テストの間、テストPMTが 存在しない状態におけるCaF2(Eu)検出器のバックグラウンドは0.7cpmで あることを発見した。ETIのPMTは通常、カウントレートをほんのわずかし か増加させなかった一方、HamamatsuのPMTは概して大きな付加的バックグラ ウンドを生じさせた。 HamamatsuのPMTにおいて発見された放射性バックグラウンドは驚くほど大 きい。平均バックグラウンドは3.5cpmであるが、4.2cpmという高い 値が観察された。従って、NaI(Tl)またはCaF(Eu)シンチレータに結合された、選 択された2″ETI Model 9266KB PMTが好ましい。平均dE/E(FWHM)は17.4 %であり、最小および最大エネルギー分解能は、それぞれ16.2%および20 .7%である。平均検出効率は、それぞれ31.1%および40.3%の最小お よび最大値で、37.4%である。EMIのPMTに起因する放射性バックグラ ウンドは幾分低い。平均バックグラウンドは、それぞれ0.1cpmおよび0. 55cpmの最小および最大値で、0.2cpmである。約20%のPMTが、 0.3cpmを上回るバックグラウンドを有することを観察した。これらが拒否 された後、平均バックグラウンドは、それぞれ0.11cpmおよび0.28c pmの最小および最大値で、0.13cpmである。別の好適なモデルは、ET IのモデルR-2486 PMTである。 パッケージング:従来のPMTは、典型的には、あらかじめ作製されたアルミ ニウムまたはステンレススチールのチュービングで包装される。これらの販売用 に実装されたPMTは放射性バックグラウンドを増加させてきたので、改変され た実装が望ましい。PMTをクラックまたは欠陥についてチェックする。PMT をイソプロピルアルコールで洗浄して、いかなる粒子または汚染物質をも除去す る。次に、ウインドウ領域を除くガラス表面を、4層の黒の電気テープで覆う。 これが完了した後、黒の電気テープの1本のらせんが、(ウインドウの隣の)第 1のバンドを除いてすべてのバンドを覆う。続いて、伝導性接着剤を有する2層 の銅箔テープがプラスチックベースを含むPMTの全体を覆う。黒の電気テープ の別のらせん層が銅を覆う。次に、銅箔テープの1つの層とそれに続く黒のテー プの1つのらせん層が包装プロセスを完了する。 シリコン光学グリースを用いてクリスタルをPMTに結合する。クリスタルと PMTとの間に気泡を導入しないよう注意を払う。次に、白のテフロンテープを 、クリスタルとPMTが接するところでPMTの周りに巻く。クリスタルを、4 〜8ストリップの非常に薄い接着アルミニウム箔で適当な位置に保持する。接着 銅テープの層をクリスタルおよびPMTの周りに配置してPMTとクリスタルを 共に固定し、外部のX線に対する保護を提供する。3インチのPMTは、この2 つを共に固定する接着鉛テープを有する。最後に、可視光子漏出から守るために 、黒の電気テープのらせん層が銅を覆う。 低バックグラウンドカウントについては、シンチレータは結合される光電子増 倍管における放射能からシールドされるべきである。シンチレータ/PMTシス テムの光学特性を低下させることなく、PMTからの高エネルギーガンマ線から 検出器をシールドすることは不可能である。しかし、石英のような透明なウイン ドウをPMTとシンチレータとの間に使用することによって、ベータ粒子および 低エネルギー光子からシンチレータをシールドすることは可能である。このウイ ンドウ24を、光学グリース層23と共に、図1の例示的な実施形態で示す。石 英は、優れた光学特性および高純度の両方のために選択された。石英は、CaF2(E u)の光学濃度と非常に良く適合し、NaI(Tl)に対して容認可能である。厚さ5m mの石英ウインドウが望ましい。石英には、観察可能な放射能汚染がない。 ガンマおよびX線からのシンチレータの向上されたシールドは、石英よりも高 い阻止能を有する材料を用いることによって達成し得る。高純度GeO2およびゲル マニウムベースのガラスがこの目的のために好適である。これは高純度GeO2 およびゲルマニウムベースのガラスが非常に低い固有放射性バックグラウンドを 有するからである。それらのより高い原子番号および密度は、石英ウインドウに 優る。数ミリメートルの厚みを有するこのようなウインドウは、シンチレータ/ PMTシステムの光学特質を低下させることなく、低エネルギー光子およびベー タ粒子を効率的に阻止する。酸化ゲルマニウム(gelica)およびゲルマニウムガ ラスの光学特性は、石英がNaI(Tl)に適合するよりもより良くNaI(Tl)に適合する 。 別の代替案は、鉛ベースの高密度ガラス、PbF2およびゲルマニウム酸ビスマス (BGO)などの特に高密度の透明クリスタルの使用である。BGOの場合、BGO内の シンチレーションによるアーチファクトを生成しないよう、ドープされないクリ スタルを使用すべきである。これらの材料の光学濃度は、CaF2(Eu)またはNaI(Tl )についてよりも高い。従って、特別な光学グリース(例えばシリコングリース 中の粉末PbF2)の薄い層を使用して、シンチレータとウインドウ、およびウイン ドウとPMTの光学特性を適合させることが望ましい。任意に、酸化ゲルマニウ ム/高密度ウインドウ/酸化ゲルマニウムから構成される三重のサンドイッチか ら構成されるウインドウを使用し得る。酸化ゲルマニウムの厚みは高密度光学ウ インドウよりはるかに小さくあり得る。 シールド/セパレータ:本発明によるMPDの外部シールドは、図1の例示的 な実施形態においてシールド55として示すように、周囲放射を阻止するために 必要とされる。厚さ1〜1.5mmのシンチレータクリスタルを基礎として構築 されたMPD検出器には、厚さ2″のPbシールドが適切である。さらにシールド の厚さを増加させても、地表面上のバックグラウンドを有為に削減しない。これ はおそらく、残りのバックグラウンドが主に宇宙線に起因するためである。しか し、シールドが鉛のみで作製される場合、放射性粒子によるシールド自体におけ る励起に起因して、二次的鉛X線がバックグラウンドスペクトルに存在する。従 って、鉛X線を吸収するための、Pbシールド内側の厚さ1〜5mmのスズの層お よび、スズX線を吸収するための、スズ層内側の厚さ1〜5mmの銅層を有する 、複合シールドが望ましい。銅自体のX線は、対象であるI125の領域外である に十分なほど低いエネルギー(8〜9keV)である。NaI(Tl)およびCaF2(Eu) シンチレータは双方とも、90%を上回る確率でこれらのパルスを拒否するに足 り るエネルギー分解能を有する。市販のCu箔は、十分に純粋であり、付加的な放射 性バックグラウンドを導入しない。外部シールドは、PMTおよびベースを含む 検出器アセンブリを、すべての側で囲むべきである。 試料ホルダ/クロストークエリミネータもまた、厚さ1〜5mmの銅、鉛、ま たは銅/鉛の複合プレートで作製される。この厚みはヨウ素X線を阻止するのに 十分である。 シールド用の材料は、低放射性バックグラウンドのために選択され、かつ選択 された低バックグラウンドシールドに配置されたCaF2(Eu)検出器におけるバック グラウンドを測定することによって、放射能の欠如についてテストすべきである 。2時間実行されるテストは、各点について約±10%の統計学的不確かさをも たらす。0.9cpmより大きな放射性バックグラウンドを有するシールドはそ れぞれ4時間再測定され得る。新しい値が依然として0.9cpmを超える場合 は、シールドは拒否される。典型的には、20%のシールドが拒否されなければ ならない。 ここで、高安定性MPD装置のための統合PMTベースアセンブリを説明する 。低活性ソースの正確なカウントは、高安定性検出器システムを必要とする。観 察されたドリフトは、主に周囲温度の変化によるものであり、これは、シンチレ ータの収率およびPMTならびに電子の読み出しの利得にドリフトを引き起こす 。向上された電子素子および高圧電源がPMTの安定化にとって好ましい。 PMT用の高圧電源(HVPS)は、高利得負帰還を導入することによって、 低温度係数(1〜2ppm/℃)を有する基準チップ(例えば、Max 580)とし て使用することによって、および低温度係数を有する1%の金属膜レジスタを使 用することによって安定化するべきである。PMT用の分圧器は、同じタイプの レジスタを使用する。前置増幅器の温度依存性は、安定性の高い演算増幅器を使 用し、そして利得を分配して各増幅器カスケードが5を下回る利得を有するよう にすることにより最小限に抑えらる。 PMTおよびシンチレータにおける長期間にわたるかつ温度に誘起されるドリ フトの問題は増幅器の利得を調整することによって補償し得、その結果獲得され たスペクトルは不変である。電子素子により、これらの利得のデジタル方式の制 御が可能である。検出器システムに配置される温度読み出し装置と結合されると 、これは連続的に利得を調整して、温度に誘起されるドリフトを補償することを 可能にする。各検出器に対する温度対利得の較正は、不一致(OR)モードでの 一連の測定によって効率的に得られ得、ORおよびANDモード双方の獲得に使 用され得る。全較正手順が自動化され得、定期的に実行されて長期ドリフトを補 償し得る。 PMTベース:市販のHVPSおよびPMTベースは、HVPSおよび分圧器 (VD)の依存性、高圧ケーブルの性能/リスク、素子の放射性バックグラウン ド、ならびにPMTと前置増幅器との間の電磁ピックアップノイズにより、生物 医学的用途のための低バックグラウンド検出器には適切ではない。従って、HV PS/VD/前置増幅器/整形増幅器アセンブリを含む統合PMTベースが望ま しい。 従来のPMTベースは、はるかに統合性の低い設計を用いる。古典的には、分 圧器のみがPMTベースに配置される。これは、MPDにおいて望ましくない、 相当な電子ピックアップノイズを引き起こす。いくつかの市販の装置は、統合型 の分圧器および前置増幅器を有するPMTベースを特徴とする。PMTベースの 最大統合のために、HVPS、分圧器および前置増幅器を含めることが好適であ る。これは、高圧ケーブルの使用は接地ループおよび電磁ピックアップに関する 問題を引き起こし、特に携帯用装置が高湿度環境で使用される場合に、感電死の リスクを発生させ得るからである。 PMTベースの放射性バックグラウンドを、選択された低バックグラウンド2 ″PMTに結合された、直径2″、厚さ2mmのCaF2(Eu)検出器の隣りにPMT を配置することによって測定した。全システムを、鉛、スズ、および銅で十分に シールドした。次いで、CaF2(Eu)検出器におけるバックグラウンドを、20〜 40keVのエネルギー範囲(I125に対する対象エネルギー領域)で測定し、 調べられたPMTベースなしのバックグラウンドと比較した。パルス波形分析を 実行して、事象と電子アーチファクトを弁別した。PMTベースに起因するバッ クグラウンドを、ベースをCaF2(Eu)クリスタルの表面から2mmおよび5cmの ところに配置して測定した。第1の配置はバックグラウンドの測定を可 能にし、一方第2の位置における測定は、これがMPDの性能にどれだけ影響を 与えるかを示す(使用されたPMTの長さは約5cmである)。テストPMTベ ースが存在しない状態におけるCaF2(Eu)検出器のバックグラウンドは0.7cp mであることを発見した。 シンチレータから5cmのところに配置されるとき、PMTベースアセンブリ に起因するバックグラウンドは、MPDの全体的バックグラウンドに影響を与え ない。しかし、シンチレータの近くに配置されると、PMTベースアセンブリに 起因するバックグラウンドは驚くほど大きい。従って、いくつかのPMTベース を分解して、個別の部品、すなわち、 * プラスチックHVコネクタ * 分圧器チェーンレジスタおよびコンデンサ * Pb/Sn/Cu複合シールド * アルミニウムホルダおよびPMTベースのハウジング * HVPSモジュールおよび前置増幅器モジュール の放射性バックグラウンドをテストした。 驚くべきことに、最大の放射性バックグラウンドはプラスチック高圧コネクタ からであることを発見した。これはほとんどベータ粒子に起因する。このバック グラウンドは、薄いプラスチック保護環によって非常に効率的に減衰させ得る。 この改変の後、PMTベースの放射性バックグラウンドは、PMTの放射性バッ クグラウンドの10%未満を占める。 低活性ソース(例えば、≦0.1ピコキュリー)の定量測定は数時間に上る測 定時間を要し得る。従って、電子素子の緩慢なドリフトはいずれも、これらの長 期(1時間)測定に影響を与え得る。このドリフトの主なソースはPMTである 。HVPSからの高圧に対する振幅利得の強い依存性は、温度依存性信号ドリフ トを引き起こす。 高圧電源:分圧器は、HVPSからPMTダイノード(dynods)(ピン1〜1 1)およびカソードCに、RC回路を介して負の電圧を供給する。これは、図3 A、3B、および3Cにおいて、PMTベースアセンブリ30において示される 。R7およびR8として表される分圧器レジスタは低温度係数(≦100ppm /℃)を有し、従ってPMT出力信号を安定化する。負のHVPS 50は、好 適には、Matsusada Co.からの調整DC−DCコンバータ64、電圧調整器66 および精密基準を有する帰還回路68(温度係数約3ppm/℃)ならびに比較 増幅器70を含む。温度係数の低い素子が好適である。これはHVPS出力の減 少した温度依存性の重要性のためである。 例えばOrtec,CanberraまたはTennelecから入手可能な市販のNIMモジュー ルを使用するときよりも10倍良い性能を達成し得る。これは、MPDの日周の 可変性をかなり減少させた。 好適なHVPSは以下の特性を有する。 ・ 入力電圧 −15〜−18VDC ・ 入力電流 ≦120mA ・ 出力電圧範囲 300〜1,000V[DC] ・ ノイズ ≦50mVピーク−ピーク ・ 温度安定性 名目出力電圧(1,000.V)において≒20mV /℃ PMTベースの別の重要な素子は、図3および3Cに示す最適化された前置増 幅器/整形器52である。パルス波形分析を使用してバックグラウンドを拒否す る場合は、例えば、PMTにおける暗電流パルスにより、三角パルス波形が最適 である。対照的に、市販の装置の大半はガウスパルス整形を使用する。ガウスパ ルス整形は低エネルギーX線に対するエネルギー分解能を最適化し、例えば、多 チャネル分析器を使用してパルス波高分析を実行するときに好適である。増幅器 /整形器は、好適には、EL 2030低ノイズ電流帰還増幅器ベースの前置増幅器5 2、ならびに高利得および高ダイナミックレンジを有するモデルOP64増幅器ベー スの出力増幅器54を含む。出力増幅器54は動作の間に訂正およびチューニン グを必要としない。図3に示す、パルス微分チェーンC1、R1および積分チェ ーンC2、R2は、出力パルスのパラメータを規定する。 ・ 立ち上がり時間 tr≒400ns [800ns] ・ 0.1FWHMにおけるパルス幅 t=3ms [4ms] 最初の数字は、NaI(Tl)シンチレータの使用に対応し、括弧内の数字はCaF2(E u)シンチレータに対応する。レジスタチェーンR4、R5は増幅器54の利得を 規定する。利得を20〜50のインタバルで選択した。そして電位差計によって 調整する。この値は所定のPMTおよびシンチレータクリスタルの特性に依存し 、30keVの光子に対して約2Vの出力振幅を提供する。 本発明による、結果として得られるPMTベース/演算増幅器アセンブリは以 下の特性を有する。 ・ ノイズ ≦50mVピーク−ピーク ・ 利得 20〜50 ・ ダイナミックレンジ 50,000 ・ オフセット ≦2mV ・ 入力信号 tr=200ns、t=100ms、[負の極性パルス] ・ 出力信号 tr=400ns、t=3ms、[正の極性パルス] ・ 最大出力信号 10V ・ 非直線性 全ダイナミックレンジについて≦2% ・ 電源 直流電流≦20mA、直流電圧±12Vから直流電圧±18V まで ・ PMTベースサイズ 直径2.2″、長さ3.75″ ・ 重量 1 lb(これは内部Pb/Cuシールドの0.5 lbを含む) これらの電子素子は高い温度安定性を有し、動作中の調整を必要としない。装 置はまた製造およびチューニングが容易である。NIMモジュールと比較すると 、これらの電子素子は10倍安定性が高く、相当より安価に製造される。 ノイズおよび温度安定性:MPDの高感度および低バックグラウンドの必要条 件は、電子素子の仕様を左右する。スペクトル感度およびS/B比の低下を引き 起こす条件は、短期ノイズ(電子ノイズ、暗パルス)および電子パラメータ(利 得、高圧、温度ドリフト)の長期ドリフトに分け得る。 本発明による好適な検出器に対する、30keVのエネルギー分解能dE/E(FWH M)は、NaI(Tl)については約16%であり、CaF2(Eu)については約35%である 。電子素子がエネルギー分解能の低下の10%未満に寄与する場合、ノイズ対信 号比(N/S)は≦0.016となる。増幅器、高圧電源(HVPS)および電 磁 シールドは、N/S≦0.005の獲得を可能にする。電子ノイズソースの大半 は電子素子によってフィルタリングされ、残りのノイズはオンラインソフトウェ ア形状分析によって拒否される。 市販のHVPSを使用するときは、温度依存性はI125について、パルス振幅 の容易に測定可能なドリフトを引き起こす。本発明による好適なHVPSを用い ると、利得の周囲温度に対する温度依存性は測定可能な正確度を下回る。HVP Sの温度変化の影響を減少させるために、PMT用の分圧器を、低温度係数を有 する金属セラミック(metalloceramic)1%レジスタを使用して実行し得る。さ らに、電流帰還およびベースライン電圧の超安定ソースの使用は、以下のパラメ ータを有する小型のHVPS(図3参照)を可能にする。 ・ 直流電圧 入力:−12〜−18V 出力:−300〜−1, 100V ・ 直流電流 入力:≦120mA 出力:<1mA ・ 出力ノイズ ≦100mV ・ パルスノイズ 100kHzの周波数で≦150mVピークーピーク 例えば、パルスノイズは、市販のHVPSについてよりも、2〜3倍良好である 。 25℃と70℃との間のHVPS出力電圧の温度依存性を、市販のHVPSお よび本発明によるHVPSについて比較した。ベースライン/ノイズは、24時 間の期間の間、1%よりも良好なベースラインの安定性を示す(冬季に暖房を切 って、すなわち約15℃の日中/夜間の変動がもたらされる状態で測定した)。 本発明による負のHVPSの性能をHVPS PS1800シリーズ(Electron Tubes, Inc.)と比較した。両方のHVPSを、同じ開始温度(25℃)でスイッチを 入れ、次いで同時に60℃まで加熱した。市販のHVPSは電圧の数パーセント のドリフトを示したが、本発明によるHVPSの出力は、加熱による識別可能な 変動を全く示さなかった。 単一試料MPD:ここで好適な実施を説明する。既存のガンマカウンタの設計 は、典型的には検出効率を最適化する。本発明によると、目標は、検出効率を適 度に高く保ちながらバックグラウンドを最小限に抑えることである。この目標を 達成するためには、放射性バックグラウンドのソースを排除し、最適なカウンタ 幾何学構造(シールドおよびセパレータの最適な幾何学構造を含む)を用い、部 品を注意深く選択し、安定した電子素子を使用し、そしてバックグラウンド信号 拒否のためにオンラインソフトウェアを使用することが必要である。 従って、MPDは以下のサブシステムを含む。 ・ 光子検出器(例えば、PMT読み出しを有するシンチレータ) ・ セパレータ/シールドサブシステム ・ 読み出し電子素子、および ・ データ獲得/分析サブシステム CaF2(Eu)シンチレータは、前述のように、良好な阻止能および適度なエネルギ ー分解能のために好ましい。このようなシステムは、並外れたバックグラウンド 拒否を達成し、目標の同位元素の微小な痕跡の定量能力の向上がもたらされる。 装置は、前述のように、2つのモードで動作し得る。本発明者らが達成したOR モードでは、1分当たり約1カウント(1cpm)の放射性バックグラウンドを 有する、高いDE(I125について>50%)が達成される。一致(AND)モ ードでは、I125のDEは20%を下回るが、1日当たり1カウント(1cpd )の超低放射性バックグラウンドを達成する。これらの結果は、比較的小さなシ ールド(約20kgの鉛)を用いて地表面で達成された。システムは、低コスト の市販の部品および確立した技術を基礎として設計される。 ここで、I125の検出のために最適化されたMPD検出器の好適な実施を説明 する。図1にMPD検出器のブロック図を示し、図2に、「サンドイッチ」幾何 学構造、多光子一致およびパルス波形分析サブシステムを含む正面図を示す。検 出器20は、典型的には数ミリメートルのCu/Sn/Pbから構成されるサンドイッチ である、重金属から構成される低放射性バックグラウンドセパレータ32によっ て分離される2つのモジュールを含む。セパレータ32の内部には、試料36が 配置される孔34が設けられる。 2つの検出モジュールのアセンブリ20は、前述のように、放射能的に純粋な 材料、典型的には鉛、スズ、および銅から構築される重金属複合受動シールド5 5に取り囲まれる。最も原子番号の高い材料(例えば、鉛)は最も外側にあり、 少なくとも1インチの厚さである。これに、数ミリメートル(例えば、1〜2m m)の厚さを有する、より低い中間の原子番号の材料(例えば、スズ)が続く。 最後に、非常に純粋な銅の数mm(典型的には2mm)の層が使用される。 検出器モジュールのそれぞれは以下の素子を含む。 * 所定のエミッタのために厚みを最適化された無機シンチレータクリスタル2 2 * シンチレータとPMTとの間に配置される高純度光学ウインドウ24 * 選択された、低放射性バックグラウンドPMT26 * PMT26とPMTベースアセンブリ30との間の段階的受動シールド46 * 高圧電源50、分圧器51、および前置増幅器52を有するPMTベースア センブリ30(図3に示す) 厚さ3mm未満のCaF2(Eu)クリスタルがシンチレータとして望ましい。光学ウ インドウ24は、光学的に研磨され、低放射性バックグラウンドシリコングリー スである、光学カップラー23が設けられた、少なくとも厚さ4mmの超高純度 石英である。 選択されたPMT26は、K40による汚染の低いガラスで作製され、好適には 0.1cps未満のバックグラウンドを提示するよう選択された好適には2″の PMTである。大きく異なる原子番号を有する金属の3つの層を有する段階的シ ールド46によって、PMTベース30をPMT26から脱結合することが望ま しい。典型的には、このような段階的シールドは、約0.2″のPb、0.15″ のSn、および約0.1″のCuを含む。 PMTベース30は、好適には、低放射性バックグラウンドを有する選択され た材料から、例えば、支持枠に純粋な銅またはアルミニウムを使用して、作製さ れる。低放射性バックグラウンドのために選択されたレジスタおよびコンデンサ の使用が、Inを含まない(例えば、純粋なSnまたはSn/Pb合金から作製される) ハンダの使用と共に開示される。PMTベース30のすべての受動および能動素 子は、非常に低い温度ドリフトを有するよう選択され、温度依存性利得ドリフト を排除する能動的な補償技術が開示される。 ORおよびANDモードの双方を、オンラインバックグラウンド拒否のために 多チャネルDSO52を用いて、データ獲得および分析のために使用する。PM T26における宇宙線に誘起された信号に起因する高速パルスの三角整形および ソフトウェア拒否を使用する。約0.75マイクロ秒のパルス立ち上がり時間お よび約5〜10マイクロ秒の緩慢な立ち下がり時間が好ましい。 自己診断および自己較正が、ORおよびANDモードにおける(より具体的に は、オンラインベースライン回復およびパイルアップ拒否技術における)カウン トレートを確実に適合させるために使用される。一致モードにおいては、2つの 検出器モジュールからのパルスの波形および時間的一致を適合させるためにDS O58を使用することが極めて重要である。パルス一致を100nsecよりも良い 範囲内に見積もる必要性と、PMTからの暗電流の拒否を可能にする、三角に整 形された、長い持続時間のパルスの必要性との間にはトレードオフが存在する。 しかし、オンラインソフトウェアに基づくパルス調節手順は、これらの相反する 必要条件を克服する。 パルス波形分析:ツインシンチレータシステムにおけるデータ獲得は、各検出 器のPMTからの信号の増幅および整形、ならびに後続の分析のための結合エネ ルギースペクトルの構築に基づく。次いで、所望の同位元素に対する、適切な対 象エネルギー領域(ROI)におけるカウントを統合してカウントレートを決定 する。直径2″のNaI(Tl)またはCaF2(Eu)シンチレータから構成されるサンドイ ッチ検出器については、検出効率は、単一光子エネルギーROIにおける事象の みがカウントされる場合、典型的には、約50%である。I125については、3 0および60keVの両方の事象をカウントすると、検出効率は約70%に向上 するが、統合エネルギー範囲、従ってバックグラウンドが効果的に倍加する。 カウントレート(1分当たりのカウント、すなわちcpm)を試料における実 際の活性(1分当たりの減衰、すなわちdpm)に変換するには、カウンタの検出 効率(DE)を知っていなければならない。I125については、DEは公知のエ ルドリッジ(Eldridge)式を用いて、スペクトル自体から決定し得る。DEは各 検出器について別個に決定され、これにより較正および正確度の向上、ならびに 較正試料の実際の活性の2つの推定値を比較することによって、システムの統合 性をテストすることおよび試料の配置について訂正することが可能になる。一致 事象のスペクトルは、DE評価を向上させるために、および診断の目的に使用し 得る。 低エネルギーガンマ/X線検出器における非放射性バックグラウンドの優勢な 成分は、PMTにおける暗パルスに起因する。I125のROIにおいては、暗パ ルスは典型的には、2PMTシステムに対して数cpmを生成する。しかし、こ れらのパルスの波形は、検出器におけるシンチレーションによって生成されるも のとは異なり、これによりパルス波形に基づく弁別が可能になる。各事象のパル ス波形(複数の波形)は、PCベースの2重入力差し込みDSOカード58を使 用して獲得され、高速パルス波形分析が実行される。これにより、PMT暗パル スおよびその他の電磁ならびに振動アーチファクトの拒否が可能になる。パルス 波形に基づく拒否の後、システムにおけるバックグラウンドは15〜100ke Vの範囲のエネルギーについてほぼ平坦であり、検出器の近傍における活性から 独立して、著しく安定している。 検出器:直径2″の平坦な検出器(厚さ1mmのNaI(Tl)または厚さ1.5m mのCaF2(Eu))が好ましい。シンチレータがより小さくなるとシステムのDEが 低下し、一方より大きなクリスタルについては、信号対バックグラウンド比が減 少する。シンチレータは、厚さ3〜5mmの石英ウインドウを介して、低バック グラウンドのために選択される、直径2″の高エネルギー分解能PMTに結合さ れる。PMT信号が、PMTベース30に組み込まれた電子素子を使用して、読 み出され、増幅され、そして整形される。ベースからシンチレータへのバックグ ラウンド光子の束を削減するために、ベースは、PMTピンのための孔を有する 、5mmの鉛および1mmの銅のメッキで、PMTから絶縁される。 シールドおよびホルダ:検出器アセンブリは、段階的鉛+スズ+銅のシールド (2″の鉛、1mmのスズ、1mmの銅)内に配置される。検出器は、半インチ 互いから離れて向かい合わせに配置され、試料ホルダ/クロストークエリミネー タがそれらの間に配置される。試料ホルダ/クロストークエリミネータは鉛の枠 に実装された厚さ1mmの銅のシートである。試料用に、銅シートには開口部が 残される。開口部の形状は、使用される試料の形によって決定される。銅の外部 ジャケットを有するデルリンガイドにより、すべての試料は確実に検出器システ ムの中心に置かれる。試料の形および試料ホルダが変更されると、システムは、 エルドリッジ式を用いて自動的に再較正され得る。 データ獲得ハードウェア:データ獲得ハードウェアは、好適には、MPDを制 御する専用PCの内部に実装される。図7に示すように、例示的な実施形態にお けるデータ獲得電子素子は、トリガ回路56、各検出器のための増幅/減衰モジ ュール、デジタルタイマ/カウンタ57、および2−入力多チャネル分析器およ びパルス波形分析器の両方として使用される2重チャネル20MHzデジタル記 憶オシロスコープ(DSO)58を含む。 トリガ回路56は、事前に設定された閾振幅を超えるパルスがどちらかの検出 器26に記録されると必ず、矩形トリガパルスを生成する。パルスが同時に両方 の検出器で記録される場合は、より高い振幅トリガパルスが生成される。従って 、一致および不一致事象を別々にカウントすることが可能である。トリガパルス はDSOの外部トリガ入力に送られる。トリガ回路は、後述するように、集積( integral)カードであり得る。 増幅/減衰モジュールはパルスの振幅を調整し、その結果、対象エネルギー領 域は、DSOの0〜1ボルトのウインドウ内であり、同じエネルギーの粒子は、 両方のチャネルにおいて同じ振幅のパルスを生成する。 第1のタイマ/カウンタ57は、(2.5kHzの参照パルスをカウントする )正確な獲得の時間タイマとして使用される。第2のタイマ/カウンタは、トリ ガ回路によって生成されるすべてのトリガパルスをカウントし、一方、第3のタ イマ/カウンタは、一致事象に関連するトリガのみをカウントする。これらのカ ウンタから獲得されたデータは、獲得システムの不感時間による損失を直接評価 し、従ってシステムが高活性ソースを正確にカウントできるようにするために使 用される。 DSO58(好適には、Gage Inc.製の市販のCSLite PCアドオンカード)は、 8ビットの正確さおよび20MHzに至るサンプリング率で、2つの入力チャネ ルを同時にサンプリングすることができ、そして付加的な外部トリガ入力を有す る。データはオンボードメモリに格納され、PCバスを介する標準メモリ−メモ リ転送によってホストPC RAMに転送され得る。不感時間は厳密に延長不可 能であり、前述のカウンタによってカウントレートは不感時間損失について訂正 され得る。DSO58は各獲得され処理された事象の後、再装備および初期化さ れる。 パルス痕跡は、DSO58からホストPC59のメモリに転送され、ソフトウ ェアによって振幅および波形について分析される。 最初に、DSO58は2つのチャネルにおける入力電圧を連続的にチャートに し、トリガ入力におけるトリガパルスを待つようセットアップされる。トリガパ ルスが記録されると、DSO58はトリガ後点の所定の数の捕捉を許され、次い で停止される。痕跡の関連する部分(典型的には、20Mhzのサンプリングで 、20個のトリガ前および108個のトリガ後点)が、分析のためにホストPC 59メモリに転送される。転送手順は、例えば 486 DX66 コンピュータでは、1 つの痕跡当たり200マイクロ秒未満かかる。 信号条件付け/処理カード(SCPC)56:MPD検出器ソフトウェアが2 つの検出器からの信号を処理できるようにするため、トリガ回路を使用して、 1)どちらかのPMTによってパルスが生成されると必ず、トリガ信号を生成し 、 2)2つのチャネルにおけるアナログ利得を適合させ、そして 3)信号とトリガパルスとの間の遅延を調整する。 このハードウェア(図7参照)は、好適には、コンピュータの内部に配置され る信号条件付け/処理カード(SCPC)56として実施される。SCPCカー ド56は、各チャネルに対する調整可能な利得およびトリガレベルを特徴とし、 TTLトリガパルスを生成する。SCPCカードは、入力として、PMTベース 30から直接信号を受け取る。条件付けられた信号およびトリガパルスは、DS Oカード58の入力に直接パスされる。 2チャネルSCPC56は以下のために設計される。 * 一致モードおよび入力信号の加法のモードの両方においてDSO58を開始 させるアナログトリガの生成。 * 両方のモードにおいてカウンタ57を開始させるTTLトリガの生成。 * 入力信号がある一定のレベルを上回る振幅を有する場合のトリガの閉塞。 * 入力信号のアナログ遅延。 * DSO入力信号レベルの調整。 SCPC56は以下のパラメータを有する。 * 入力信号(正のパルス): 0.1〜8V振幅、0.1〜100msパル ス時間 * 低レベル調整: 0.2〜5V 連続 * 高レベル調整: 0.2〜5V 連続 * 出力減衰範囲: −3から−60db * デジタル遅延範囲: 0.1〜10ms * アナログ遅延時間: (1±0.01)ms * 出力信号(正のパルス) アナログ信号: 0.1〜1V振幅、0.1〜10msパルス 時間 TTLレベル: 振幅≧4.5V、持続時間 4〜5ms アナログトリガ: 「OR」モードについては振幅0.5V、 「AND」モード 持続時間4〜5msにつ いては1V * 温度安定性 閾レベル <0.05%/℃ 推移係数 <0.01%/℃ ここで本発明による方法を、図8a〜8cに含まれる例示的なフローチャート を参照して説明する。この例示的な方法の以下の説明から、方法が様々なソフト ウェアプラットフォームを有する様々な処理環境において実施され得ること、お よびこのような実施は本発明の範囲内にあると見なされることが明らかになる。 オンラインパルス拒否ソフトウェアは、波形が、シンチレーション検出器にお いて阻止された粒子によって生成されたパルスと適合しないパルスを拒否する。 拒否されたバックグラウンドのほとんどはPMTにおけるノイズ、電磁干渉、お よび振動ノイズに起因する。 所定の検出器については、放射性事象によって引き起こされたパルスの波形は 経時変化せず、増幅の線形範囲内のパルスの振幅に依存しない。従って、パルス 波形拒否への1つのアプローチは、記録されたパルスを共通振幅に正規化し、正 規化パルスの波形を、例えばカイ二乗検定を用いて、「標準」波形と比較するこ とである。しかし、これは厖大な浮動小数点計算を伴い、これは、現在入手可能 な低コストマイクロプロセッサ上での効果的な実施にはあまりにも時間がかかり すぎる。 あるいは、パルス波形拒否は、整数算術を主にまたは単独で使用して計算され 得るパルス波形に関連するいくつかのパラメータを決定することにより実行し得 る。 データ処理:獲得のためにDSOを設定するおよびトリガを待つ最初の工程の 後、分析が、各検出器におけるベースラインおよびパルス振幅の計算から開始す る(工程S3〜S14)。これから、事象が検出器Aにおいて起こったのか、検 出器Bにおいて起こったのか、または両方において起こったのかがわかる。パル ス振幅が現在のベースラインについて調整され、そして後者が容認不可能なほど 歪みのある場合、事象は拒否される。次いで、いくつかのパルス波形パラメータ が評価され、システムのセットアップの際にソフトウェアによって確立された容 認可能な値の範囲と比較される。このパラメータは、例えば、ピークパルス波高 の1/4、1/2、および3/4でのパルス幅を含む(図8bおよび8c)。パ ラメータは以下を含み得る。 パルス振幅 立ち上がり時間 立ち下がり時間 全パルス幅 パルスの立ち上がり部の波形 パルスの立ち下がり部の波形 2つの検出器からのパルスの間の遅延 パルス多重度 プリパルス痕跡、および 最小二乗技術を用いた、パルス波形の標準高エネルギー光子パルス波形 との比較 これらの計算のための高速整数ベースのルーチンは、Intelプロセッサ上で非 常に効率的に動作する。一致事象については(図8b)、さらに立ち上がり時間 位置合わせチェックが実行される。パルス波形、パルス波高、および一致/反一 致分析の後、拒否されなかった事象が適切なスペクトル(検出器Aのスペクトル 、検出器Bのスペクトル、または一致事象の二次元スペクトル)に付加される。 DSO58は、各パルスの各入力チャネルについて8ビットの分解能で128 個の点を獲得する。時間ウインドウは、整形パルスの幅全体(5マイクロ秒)お よびパルスの立ち上がり前約1マイクロ秒にわたる。パルスのデジタル処理は、 最初の8個の点の平均を計算する工程S4から始まり、これにより現在のベース ラインが得られる。計算されたベースラインが0と有意に異なる場合、事象はパ イルアップによって歪曲されたとして拒否される(工程S5〜S7)。痕跡の次 の120個の点が、最大値のために(80X86プロセッサの高速LODS命令を使 用して)スキャンされる。オーバーフローが検出される場合、事象は拒否される (工程S5〜S7)。そうでなければ、振幅がピーク値と現在のベースラインと の間の差として計算される(工程S8〜S10)。プログラムはまたピークの時 間オフセットを格納する。次いで高速(LODSベースの)スキャンが、ピーク から順方向および逆方向に行われて、例えば、振幅の1/4、1/2、および3 /4のレベルについて交差点の時間オフセットが決定される(工程S15〜S2 0、およびS26〜S28)。これらのデータは、パルス波形拒否テストの実行 にとって十分である。 事象が処理された後、DSO58は次の事象の獲得のためにリセットされる。 処理時間中に起こる事象はいずれも失われる(不感時間)。スペクトルデータが 処理されるとき、計算されたカウントレートはこれらの損失のために調整される 。 獲得は、時間の所定のインタバルの間か、または選択されたROI内の一定の 数のカウントが獲得されるまで、データを収集するように事前設定され得る。獲 得はまた、ユーザによっていつでも終了され得る。 較正ルーチン:自動装置較正/ROI設定ルーチンは以下の通りである。ユー ザはいつでも、ソフトウェアにこの手順を実行するよう要求し得る。較正された 試料は全く必要ないが、適度に高活性の(最適には、50,000〜200,0 00dpm)I125試料が必要である。このようなソースを検出器に配置した後 、 プログラムはすべてのパルス波高およびパルス波形拒否を可能にした状態で10 0,000の事象を獲得する。一旦獲得が終了すると、スペクトルが分析されて 、単一の光子(27〜35keV)ピークについて、対象領域(ROI)が決定 される。このROI内のカウントレート(cpm)が決定される。試料における 実際の活性(dpm)がわかっている場合、検出効率は、cpm/dpmの比か ら確立され得る。較正試料の絶対活性を推定するために、ここでプログラムはパ ルス波形拒否をできないようにした状態で、データ獲得の第2ラウンドを開始す る(較正試料の活性が高いので、バックグラウンドを拒否する必要はなく、放棄 される真の事象はない)。両方の検出器(AおよびB)に対するスペクトルは、 200,000事象が獲得されるまで構築される。 続いて、各検出器のスペクトルが分析され、1光子および2光子ピークにおけ るカウントレートが推定される(これらのピークの分離を向上させるために、一 致スペクトルもまた使用される)。次いで、エルドリッジ式を使用して、検出器 の検出効率および較正試料についての減衰率が推定される。データは、検出器A および検出器Bから得られる推定値を比較することによって一貫性についてチェ ックされ、この2つの平均が絶対活性として認められ、これから検出効率が推定 される。DEは通常、2″のシステムでは50〜60%の範囲である。1光子ピ ークのみがカウントに使用され、これは、電子ノイズ拒否を有するサンドイッチ 検出器の場合、バックグラウンドを約2〜3分の1に減少させながら、検出効率 は約15%しか低下させない。 自動較正/ROI設定が完了した後、システムは使用された最後の較正試料と 同じ幾何学構造の試料をカウントする準備ができている。獲得は事前設定時間の 間、または(カウントの統計学的不確かさを決定する)事前設定された数のカウ ントがROIにおいて獲得されるまで実行される。次いでプログラムは、先に計 算されたDEを用いて、試料における実際の減衰率を推定する。この後試料カウ ントデータは、典型的には、分析のためにデータベースまたは表計算プログラム に転送され得るASCIIデータファイルでディスクに格納される。 ソフトウェアは新しくアセンブルされた検出システムのそれぞれについて、獲 得/拒否パラメータを設定する。これは、システムにとって最適なトリガレベル およびパルス波形拒否パラメータを決定し、これらのパラメータを格納する内部 データファイルを作成する。これらのパラメータは、概して、主要な部品(例え ば、PMT/ベースまたはDSOカード)が取り替えられない限り、システムの 寿命の間に再決定される必要はない。 データの提示:システムプログラムは、ユーザによって、1つを超える試料を カウントするように、あるいは同じ試料を要求された回数だけ繰り返しカウント するように事前設定され得る。試料のバッチがカウントされる場合、プログラム はユーザに、各測定後に試料を変えるよう促し、そしてすべてのデータが同じA SCIIファイルに格納される。ファイルは、例えば、日付/時間スタンプおよ びシステム設定を有するヘッダ、およびカウントが始まる前にユーザがGUI編 集ウインドウを使用して入力した試料(複数の試料)のさらに詳しい記述を含む 。 プログラムはまた、1つの試料および試料のバッチから得られるデータの閲覧 および分析を可能にする単純なデータファイルブラウザを備え得る。ユーザは、 メニューのシステムから閲覧されるデータファイルを選択し、各試料についてカ ウントの不確かさを見、カウントおよび減衰率対試料数をプロットし、そして統 計学的不確かさを有するデータをプリントアウトし得る。例えば市販の表計算プ ログラムを使用して、データのより広範な分析および併合を実行し得る。 ソフトウェアは、好適には、パルス処理を高速化するためにボーランドパスカ ルとアセンブリ言語で符号化され、WindowsのようなGUIシェルを用いてDO S上で動作する。あるいは、MS-Windows上のソフトウェアは、最近発売された、 拡張されたボーランドパスカル言語を使用するデルフィソフトウェア開発システ ム(Borland International)を使用し得る。当業者は本発明の精神から逸脱す ることなく、その他のプログラム言語を使用し得る。 自己較正および自己診断:本発明によるMPD装置は、ECソースのスペクト ル情報特性、すなわち、単一検出器スペクトルにおける1光子および2光子ピー クならびに一致事象の二次元スペクトル(検出器Aにおけるエネルギー対検出器 Bにおけるエネルギーの分散プロット)において冗長性を使用する自己診断およ び自己較正を含む。更なる利点は、2つの別個のパルスカウントサブシステム( すなわち、DSO58およびパルスカウンタ57)を使用するMPDに起因し、 このことは2つの検出器サブシステムの間のカウントレートの食い違いのモニタ リングおよびハードウェアの故障の可能性の検出を可能にする。MPDソフトウ ェアは、既知の同位元素のソースから獲得されたデータを使用して、検出器、P MT、HVPS、および読み出し電子素子の動作をチェックする。MPDの汚染 の可能性は、バックグラウンドのスペクトルを測定および分析することによって 検出される。ソフトウェアは、所定のEC同位元素について、一致および不一致 モード双方の検出効率を、その同位元素の較正試料を使用して自動的に計算する 。診断ルーチンは、装置の利得および閾値におけるいずれのドリフトをもトラッ クし、必要な調整のいずれをも計算する。 チューニング後、MPDは優れた長期安定性を有する。短時間(1週間未満) のドリフトは、I125ピークにおいて1%未満である。MPDを用いて実行され た1,200の独立した測定は、再現性がこれらの測定の統計学的不確かさより はるかに良いことを示す。MPD装置は、0.1〜1,000ピコキュリーの範 囲のソースについて、1%よりも良好な測定精度を可能にする。6ヶ月の動作に わたって、ドリフトは3%より小さかった。 ゼプトモルレベルにおける測定については、MPD装置はしばしば夜通しラン し、そのため日周の可変性が重要である。5℃の温度変化は、シンチレータ/P MTアセンブリの性能に、顕著な、約1〜2%のドリフトを引き起こす。この影 響を補償するために、クリスタルの温度をソフトウェアによって測定および使用 して、パルス振幅を訂正し得る。 ここで、非対称の検出器幾何学構造を説明する。単一試料の好適な実施は、M PDの完璧に対称的なサンドイッチ構成を開示する。この幾何学構造は、CGX 同位元素の減衰の対称性にとって適切である。一致光子の間には放射方向におけ る相関関係はない。I125については、2つの光子はほぼ同じエネルギーであり 、これは対称的な検出器を用いた最適な性能を可能にする。従って、対称的な減 衰のための任意の他の幾何学構造の使用は非効率的である。しかし、最良の性能 のための幾何学構造の非対称的構成の使用を正当化する用途がある。本発明のこ の局面によって使用され得る、様々なタイプの非対称性は、以下を含むのが有利 で あるが、これに限定はされ得ない。 * 2つの検出器は異なる材料から作製される。例えば、2つの異なるタイプの シンチレータが使用され得るか、あるいは1つのシンチレータおよび1つの半導 体検出器が使用され得る。 * 2つの検出器は異なるサイズであり、典型的には、1つは非常に小さく、バ ックグラウンドを減少させ、1つは大きく、検出効率を向上させる。 * 2つの検出器は異なる機能を果たす。例えば、一方は空間分解検出器であり 、他方はトリガ装置として機能する非空間分解検出器である。典型的には、空間 的に分解された検出器は、符号化開口の適切なパターンによって部分的に覆い隠 され、一方、第2の検出器はソースに完全に曝露される。 最適な構成は素子の組み合わせを使用する。本発明の一実施においては、1つ の検出器は、空間分解PMTに結合されたNaI(Tl)クリスタルを含む。しかし、 トリガ検出器は、別の製造業者から得られる異なるタイプのPMTに結合された CaF2(Eu)シンチレータである。 空間分解MPD検出器(ここではSR−MPDと呼ぶ)については、システム 性能は、システムのすべての部分、例えば、シンチレータのタイプ、シンチレー タの直径、シンチレータの厚み、光学ウインドウの厚み、および符号化開口マス クのタイプならびに幾何学構造の最適化に依存する。 ここで、高分解能空間分解MPDを説明する。単一試料MPDは、CGX同位 元素、特にI125で標識された単一の試料を使用するとき、相当なバックグラウ ンドの削減を可能にする。しかし、多くの用途については、例えば、分離プロセ ス(電気泳動ゲル、ドットブロット、薄層およびペーパークロマトグラフィー) および組織プレパラートの解剖学的研究で得られる放射標識された分布を測定す るとき、良好な空間分解能が必要である。 非常に一般的な二次元放射標識化分布は、電気泳動、薄層クロマトグラフィー (TLC)、または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による分離の産 物を含み、この産物は続いて適切な媒体で濾過され得る。これらはクロマトグラ ムと呼ばれ得る。クロマトグラムは通常自己支持している、すなわち、分離産物 は、薄い、機械的に堅いプレートの表面上で堆積または捕捉される。二次元放射 標識化分布の最も一般的なクラスは、ゲルの内部に捕捉された電気泳動分離産物 である。典型的には、ゲルは、機械的特性を向上させるために硬化または乾燥さ れ得る。しかし、この場合およびその他の多くの場合、生物医学的試料を2枚の 薄膜材料の間で挟持することがより実際的である。最後に、電気泳動分離産物は 、弾性メンブラン(ニトロセルロースまたはプラスチック)上に移されるかまた はブロットされることが多い。これらの産物はブロットと呼ばれる。 これらすべての用途について、MPD検出器は、古典的なオートラジオグラフ ィーおよびリン光体撮像器(phosphor imagers)に取って代わるために実施され 得る。これらすべての用途においては、生物医学的試料は本質的には二次元の物 体であり、厚みは2つのその他の次元よりはるかに小さい。この生物医学的試料 はしばしば、適切な薄いメンブランによって1つの側で支持される。用途の大半 においては、薄い支持体は、原子番号の低い材料、例えばプラスチックから作製 され得る。このような薄い機械的支持体は、比較的小さなX線吸収(例えば5% 未満)を有するように実施され得る。 放射標識化二次元分布の物理的提示に関する3つの競合する必要条件は以下の 通りである。 1)試料は平坦でかつ機械的に取り扱いが簡単であるべきである。 2)直接接触による、またはエアロゾルの脱気による検出器の汚染を排除するた めに、試料を密封封止するべきである。 3)閉じ込め材料のX線吸収を最小限に抑えるべきである。 これらの3つの必要条件は、SR−MPD検出器の前例のない技術性能、特に感 度に起因する。第1に、試料はできるだけ平坦であるべきである。これは試料か ら検出器表面までの距離の変化は、測定された活性におけるアーチファクトを引 き起こすからである。従来の検出器は、典型的には、±5%内に較正され、一方 、MPDは±1%の較正および再現性を達成する。また、試料が平坦でない場合 、空間分解能に相当な損失が生じる。MPDの前例のない感度は、測定の完全性 にとっては最小の汚染でさえ致命的であるということを意味する。生体適合材料 だけでなく、支持材料も汚染されることが多い。これはブロットに当てはまる。 というのは、ブロッティングは特別な緩衝液を用いて実行され、放射標識化電気 泳 動産物の小さな画分が、拡散によってメンブランの反対側に移動されるからであ る。同様に、TLCプレートの反対側は、わずかに汚染されることが多い。最後 に、ピコキュリー以下の試料を用いて動作するとき、どのような付加的吸収も問 題となる。従って、低原子番号材料の非常に薄い層を用いる閉じ込め方法が望ま しい。 二次元放射標識化ブロットをカプセル化する3つの好適な方法は以下の通りで ある。自己支持試料、例えば、クロマトグラフィープレートまたはブロットにつ いては、最も簡単かつ最も実際的な方法は、それらに液体ラッカーをスプレーす ることである。アクリルスプレー、シリコンスプレー、およびGE電気仮漆の使 用は成功であった。スプレー材料を放射能汚染についてチェックすること、およ び0.1ピコキュリー/ccを下回る一致活性を有するスプレーのみを使用する ことが重要である。別の実際的な方法は、プラスチックまたは非常に薄い(<0 .1mm)アルミニウムテープから作製される薄い接着テープを使用することで ある。薄いポーチ(好適にはベリリウムの薄膜で作製されたポーチ)が使用され 得る。しかし、ほとんどの用途については、プラスチックまたは非常に薄いアル ミニウムで作製されたポーチまたはバッグが適切である。非自己支持試料につい ては、積層が、それらにSR−MPDの実施に必要な機械的特性および放射化学 的純度を提供する非常に実際的な方法である。積層は、典型的には、2つの熱い 表面の間で、箔−試料−箔のサンドイッチをロールすることによって達成される ので、積層機械自体が汚染されないように注意を払うべきである。また、積層箔 が汚染されないように注意を払うべきである。 以下に走査MPD装置について述べる。ほとんどの対称的MPDシステムにお いて、空間分解はクリスタル直径に匹敵する。低エネルギーX線エミッタ、例え ばI125の場合、空間分解は、「ピンホール」または「スリット」孔を含むこと により急激に向上する。次いで、2D同位元素分布が、2つの検出器間に機械的 に設けられる。一方は上記孔を有する。この装置はMPDスキャナと呼ばれる。 2Dの放射標識生体分子分布、例えば、サブアットモルレベルでのDNA分布 を解釈するために必要な感度なしに、サブミリメートル分解を得ることは困難で ある。これらの応用のための従来の撮像器においては、近似撮像という原理が導 入されている。例えば、空間的に分解する検出器において、ベータエミッタの「 システム分解」は使用されるエミッタのエネルギーに依存する。このシステム分 解は、ベータ粒子の範囲の増大に起因するより高いエネルギー源にとっては大幅 に悪化する。例えば、フィルムまたはリン光体撮像器で撮像された場合、同一の DNAバンドを検査する場合でも、S35標識DNAバンドは、P32標識DANバ ンドよりもシャープである。そのため、静止システムの「システム分解」は、固 有の分解に依存するのみならず、放射周縁部により大幅に広げられる。 本発明によるMPDスキャナは、優れたS/Bを有するダイナミックなデータ 獲得を可能にする。本発明によるMPDスキャナは、システム分解が、ブロット の表面または他の2D試料フォーマット上の孔の移動の精度に正比例することを 可能にする。代表的には、コリメータ(スリット)幅が、試料の特徴的な物理的 バンド幅と同一のオーダーである。静止コリメータは、全スリット領域に入る全 信号、例えば、1mm×4mmのスリットの場合、試料の4mm2からの信号を 測定する。時間分解検出器が用いられる場合、状況は異なる。コリメータがブロ ットを横断して新しい位置に移動すると、スリットの先端の移動により検出器に 対して開放されたブロットの領域内における活性の相対的増加または減少が測定 される。他方、ブロットの一部はスリットの後端により覆われるため、もはや露 出されない。従って、信号到着の時間を知ることにより、ブロットを撮像すると きのブロット活性の微分逆畳み込み(differential deconvolution)およびサブ ミリメートルオーダーの空間分解が可能になる。「システム」空間分解は、スキ ャナの移動の正確さに正比例する。MPDスキャナは、約100ミクロンの正確 さを提供し得る。 幅xを有する移動スリットを用いる場合、空間分解dxは、(x/A)のオー ダーである。ここにおいて、A=min{S/B;sqrt(N)}であり、S /Bは対バックグラウンド信号比であり、Sqrt(N)は与えられたスリット 位置においてN個の光子が検出された場合の測定の統計的不確かさである。代表 的には、S/B>>sqrt(N)>>10であり、dxは約0.1mmである 。I125について代表的な30keV光子の場合、厚み約200マイクロメート ルのタングステン箔が90%を越える光子を止める。このように、「エッジ効果 」 は分解を約100マイクロメートルに制限する。この限界は、より低エネルギー のEC同位元素の場合は20マイクロメートルほどまでも低くなり得る。MPD スキャナの向上した分解と共焦点顕微鏡との間には類似点がある。空間分解の方 が良好であるが、孔の寸法に比例する。 このようなシステムには明らかな限界がある。カウント速度が急激に減少する 。孔の最適な寸法および材料は、適用および2D分布の活性に依存する。厚み0 .2〜1mmの鉛膜が好適である。代表的には、TLCプレートおよびアガロー スゲルを走査する場合、2mmの幅と2cmの長さの開口部を有するスリットと いう形態の孔が好適である。より高い分解のアクリルアミドゲルおよびシークエ ンシングブロットの場合は、概して、1mmの幅および数ミリの長さを有するス リットを用い得る。 MPDスキャナを用いた場合、空間分解は、孔寸法よりもはるかに良好であり 、代表的には、0.2mm分解である。しかし、このケースは、機械的ムーバの 各ステップに関して、最適カウント速度が計算される再構築ソフトウェアを含む 。この最適カウント速度は、2D分布の与えられた位置における信号/バックグ ラウンド比に依存する。 このように、好適な走査ルーチンは、反復性である。まず、2D同位元素分布 の統計的に限定されたマップの低精度のコンスタントなステップが得られる。そ の後、各スポットにおける獲得時間が計算されて最小空間分解および統計学的不 確かさの制約の下で総走査時間を最適化する、最適化走査が行われる。オペレー タは、高分解で走査すべき2D試料の一部分を選択し得る。 MPDスキャナのカウント速度は、クリスタルの寸法に依存する。最適な構成 は、2つのクリスタルが異なる直径を有する構成である。孔が位置づけられる検 出器はより小さく、代表的には直径0.75または1インチである。第2のクリ スタルはより大きく、代表的には直径3または4インチである。MPDスキャナ は、寸法のみならず異なるシンチレータの使用においても非対称であるべきであ る。小さい方のクリスタルがNAI(Tl)であり大きい方のクリスタルがCa F2(Eu)であるとき、例えば、信号/バックグラウンドは、約2倍に向上さ れ得る。 MPDスキャナ用のソフトウェア:本発明によるMPDスキャナにおいて用い られる2つの検出器は、空間分解を決定する小直径(0.5〜1インチ)の1次 検出器と、一致/不一致分析に用いられる2次検出器とである。1次検出器の表 面は、孔(通常矩形スリット形状を有する)を有する吸収マスク(PbまたはC u)で覆われている。走査が行われるとき、コンピュータ制御ムーバが、試料を 、スリット幅に等しいかスリット幅よりも小さいステップでスリットの前方にお いて移動する。各ステップ毎に、測定が行われ、続いてプロフィールが再構築さ れる。 獲得ロジックは以下の通りである。トリガリングは1次検出器内の信号から行 われる。1次検出器からの各パルスについて、形状(バックグラウンド拒否用) および振幅が分析される。同時に2次検出器から記録されたトレースもまた分析 され、一致/不一致分析が行われる。1次検出器内の拒否されなかった全事象お よび一致事象のエネルギースペクトルが測定中に構築される。試料が次の位置に 移動する前に、異なる同位元素用に設定されたROI内のカウントが積分されて データが走査ディスクファイルに添付される。 MPDスキャナ用ユーザインターフェースは、走査定義およびデータ分析モジ ュールを含む。走査定義モジュールは、ユーザがマルチスキャン用の形状パラメ ータ、すなわち、開始ポイント、走査長さおよびステップ、並びにステップ当た りの測定時間(異なる走査に関しては異なり得る)および各走査に関するユーザ の記載を予め設定することを可能にする。このモジュールはまた、プロフィール の分析、およびカスタム化分析のためにスプレッドシートにデータを送信するこ とも可能にする。 非常に高い空間分解走査MPDについて述べる。多くの適用において、数ミク ロンの空間分解が必要である。このような空間分解能を有するMPDは、複数の 生医学研究、例えば、解剖学的および細胞に関する研究において大きな改良を可 能にする。MPDスキャナの空間分解は概して約100ミクロンである。全検出 器の空間分解能は以下の効果により限定される。 1)放射性同位元素の2D分布の厚み。 2)クリスタル内の視差につながる、検出器の限定された停止力、 3)非デルタ伝達関数につながる、孔の限定された停止力、 4)機械的置換システム内の位置決め誤差。 第1の誤差ソースは、従来の光学および電子顕微鏡法において用いられる装置 に類似の装置を用いることにより排除され得る。第2の誤差ソースは、近似撮像 を用いる全検出器における位置決めの不確かさにつながる根本的な限定である。 これは、放射能写真術またはリン光体撮像器の空間分解に対する主要な限定であ る。上述したように、ベータソースの場合、粒子の範囲が、トリリウム以外の全 ソースの伝統的な検出器の分解を制限する。明らかに、僅かな解決策がある。解 決策とは、シンチレータを必要とされる空間分解と同程度薄くすることであるが 、これは非常に低い検出効率につながる。 孔を用いる撮像の使用は、部分的に粒子範囲の問題を除去する。この解決策は 、金またはプラチナ膜の停止力がNaI(Tl)よりも約30倍高くCaF2( Eu)よりも最高100高い、ソフトなX線の場合に特に魅力的である。しかし 、重金属膜、例えば、金、プラチナ、タングステンまたは鉛の場合でさえ、27 keV光子の大部分が100ミクロンの厚い箔を通過する。部分的に透明な膜用 の画像の作成を可能にするソフトウェアは、MPDスキャナの空間分解を、I12 5 の場合約50ミクロンまでのみ向上させる。 更なる向上のために、好適な解決策は、画像作成において用いられる光子のエ ネルギーを減少させることである。これらは、より低い原子番号、例えばFe56 またはCr51を有するECエミッタ内に見られる。この場合、約6keVの光子 が存在し、金膜を用いると、10ミクロンよりも良好な精度で撮像され得る。別 の選択肢は、I125およびI123を用いることである。この場合、Lエッジ特性光 子(27および31keV)が存在するだけでなく、4keVKエッジX線も存 在する。最後に、より高エネルギーのCGXソースにより放射されるオージェ電 子を用い得る。 非常にソフトな、例えば<15keVのX線の場合、シンチレータは最良の検 出器ではない。小さいシリコン検出器が孔を有する高密度膜によって覆われたハ イブリッドMPDスキャナを用い得る。第2の検出器は、より高エネルギーの光 子、例えばI125の場合における27および31keVの光子のみを検出する。 従って、比較的大きい、例えば直径2〜3インチのシンチレータ、例えばCaF2 (Eu)であり得る。 あるいは、非常に低エネルギーのX線の検出用には、ガス検出器が用いられ得 る。膜孔を介して流れる加圧ガスを用いて、ウインドウの無いガス検出器が用い られ得る。この膜は、ガス検出器増幅システムの電極として用いられる。 MPDスキャナの誤差の第4のソースは、機械的置換システムの精度である。 圧電機械的置換発生器は、サブミクロン分解で存在する。さらに、MPDスキャ ナの機械的パーツの精度という問題は、絶対的インデックスではなく相対的イン デックスが必要とされる適用において緩和される。 例示的な空間分解MPD(SR−MPD)について述べる。シンチレータベー スの空間分解MPD検出器は、低コスト、優れた感度、および良好な空間分解を 特徴とする。SR−MPDは現在、CGX同位元素で標識された生物学的材料、 例えばI125の最高50の試料を、適切な検出効率および最小のクロストーク( 1%未満)で定量化(quantitation)する。バックグラウンドは、 1日当たり試料毎に約0.3カウントである。SR−MPDの空間分解は、約2 〜3mmである。SR−MPDは、ドットブロットという形態で存在する又は標 準の8×12ウェルマイクロタイタープレート内に収容される生物学的試料の分 析に良好に適用され得る。 本発明による好適なSR−MPDは、3つのパーツ、すなわち、予備検出器、 空間分解検出器およびデータ獲得電子部品を含む。予備検出器は、低バックグラ ウンド非空間分解PMTに連結された3インチCaF2(Eu)シンチレータを 用いる。予備検出器の性能は、検出効率と低バックグラウンドとの最良のバラン スを提供するクリスタルの直径および厚みを選択することにより最適化される。 単一の試料MPDに対して開示される方法(低バックグラウンドPMTの選択、 薄い石英ウインドウの使用、特別のパッケージング、読出し電子部品の温度安定 化、PMT高電圧ベースの特別な設計)をここで用いる。これらは、市販のアセ ンブリに比較して、5倍減少したバックグラウンドを可能にする。空間分解検出 器は、空間分解PMT(SR−PMT)に連結された薄い直径2〜3インチのN aI(Tl)クリスタルを含む。好適なSR−MPD装置は、Hamamats u製の直径3インチのSR−PMTを用いて実現される。 複数の試料を最小のクロストークでカウントするために、厚み約1mmの鉛マ スクがSR検出器表面に載置される。タングステン、金または白金(platinide )により形成された符号化孔マスクがさらに空間分解を向上させる。例えば、ド ットブロットとして配置された試料がマスク内の孔に隣接して載置される。この 構成は、約50試料の各々に関して、単一試料MPD検出効率の最高半分を可能 にする。1つの問題は、非線形SR−PMT応答である。同時に測定される試料 の数を最大にするために、試料は、試料間の間隔がSR−PMTの外端に向けて 増大するように配置され得る。SR−MPDは、SS−MPDに比較して、約3 倍のコストで最高20倍のスループットを可能にする。 I125の場合、X線は非常にソフトである。このことは、平行穴コリメータを 用いて撮像することを可能にする。走査装置と共にSR−PMTを用いることは 、0.2mmまでの優れた空間分解を可能にする。これは、ほとんど全ての分子 生物学的適用にとって適切である。SR−PMT技術は、超低放射性バックグラ ウンド適用の正確な標準に適用され得る。SR−PMTはこれまで、代表的には 100cpmの高カウント速度に適用するために開発されてきた。一方、本発明 によると、これらは0.1cpm未満のカウント速度で用いられる。従って、P MTの放射性バックグラウンド、振動および電磁ノイズは、拒否されなければな らず、空間分解の不均一性およびアーチファクトが説明されなければならない。 Hamamatsuの3インチSR−PMT、モデルR2486が好適である。 Hamamatsu製SR−PMTの電子読出しシステムは、ユーザに4つの入 力を提供し、4つの入力から検出された事象の座標が計算され得る。 SR−PMTは、物理的に3インチ装置であるが、アクティブ領域、すなわち 、良好な空間分解が達成される領域は直径約2.5インチにすぎない。PMTの 中心から約1.1インチの部分で信号が急激に降下し、このことはX線の場合、 シンチレータ内の光学的光子カスケードの測定位置における急激なアーチファク トにつながる。従って、SR−MPDにとって直径2インチ〜2.5インチのシ ンチレータが最適であり、適切なハードウェアおよび以下に述べる反復性位置計 算ソフトウェアを用いることにより良好な空間分解が得られ得る。I125の場合 、 このことは、49の試料が良好に分解され得ることを意味する。これに対して、 製造者の電子部品および製造者が示唆する位置計算ソフトウェアを用いた場合に 分解され得る試料が32である。バックグラウンドの観点からは、クリスタルが SR−PMTの直径よりも大幅に小さいことが非常に重要である。直径2インチ のシンチレータの使用が、直径3インチのクリスタルを用いた場合の3分の1の バックグラウンドにつながる。さらに、SR−PMTとシンチレータクリスタル との間に、非常に薄い、例えば厚み0.5〜2mmの石英カプラを用いることは 、PMTガラスから出るベータ粒子に起因するバックグラウンドを約5分の1に 減少させることに役立つ。 別のSR−MPD装置は、直径5インチのHamamatsu製SR−PMT に基づく。空間分解は、Hamamatsu製3インチSR−PMTよりも僅か に悪い。直径5インチのHamamatsu製SR−PMTは、3インチSR− PMTよりも検出器表面当たりの分解ピクセルが大幅に多い。5インチSR−P MTは、低バックグラウンド装置には好適でない。気圧による内破に対して管を 支持するために、5インチSR−PMTは厚み約6mmのフロントガラスウイン ドウを用いる。これはK40で高度に汚染されており、非空間分解3インチPMT を用いた場合に比べて約4倍高い放射性バックグラウンドにつながる。より大き いSR−MPDは、好適には、石英により形成された5インチSR−PMTに基 づく。 SR−MPD用のソフトウェア:SR−MPDデータ獲得ソフトウェアは、各 事象について2より多いトレースを処理しなければならない。Hamamats u製SR−PMTは、4つの出力を有し、これらを以下において、信号左(SL )、信号右(SR)、信号上(ST)および信号下(SB)と呼ぶ。これらの信 号は、SR−MPD検出器ハードウェア内で組み合わされて、全信号TS=SL +SR+ST+SBを得る。従って、信号獲得および処理ソフトウェアは、6つ の信号、SL、SR、ST、SB、TSおよび非空間分解トリガ電子部品(TR )からの信号を分析する。空間分解検出器からの信号は、予備検出器からの信号 とは非常に異なる形状を有し得る。NaI(Tl)からの信号は、CaF2(E u)からの信号よりはるかに速い。ソフトウェアは、この相違を用いて、バ ックグラウンドを良好に拒否する。 2次検出器からの加算パルスTSおよびパルスTRに関して、振幅および形状 が分析されて、電子部品および他のアーチファクトが拒否される。他方、SR− PMTからの4つのオリジナル信号に関しては、振幅のみが分析される。加算パ ルスの振幅は、粒子エネルギーに概して比例し、用いられるソースとの適合性が 専用のハードウェアにおいて分析される。しかし、信号は、クリスタル上の光子 衝突位置に依存する。従って、事象の位置が確立された後、全信号の振幅がソフ トウェアで分析され、予め設定されたエネルギーROI外のエネルギーを有する 全事象が拒否される。 概して、ハードウェアとソフトウェアの事象分析の異なるモードにより、95 %を越えるバックグラウンド事象が拒否される。非空間分解MPDの場合、バッ クグラウンドの主要なソースは、宇宙線による混乱であり、他方、SR−MPD の場合は、バックグラウンドの主要なソースは、電磁干渉とPMT内の暗電流と の組み合わせである。 検出器表面における事象の位置は、SR−PMTの4つの出力から計算される 。第1の近似はx0=(SL−SR)/TSおよびy0=(ST−SB)/TSに より与えられる。しかし、この近似は、クリスタルの中央近傍の衝突を有する事 象にのみ有効である。他方、エッジにおいては、重要な位置アーチファクトがあ る。従って、反復性位置サーチルーチンが好適であり、実際の位置は、 xi=(a[xi-1]*SL−b[xi-1]*SR)/TS および yi=(c[yi-1]*ST−d[yi-1]*SB)/TS から確立される。較正関数a(x)、b(x)、c(y)およびd(y)は、各 SR−PMTに関して経験的に確立されなければならない。不運にも、この関数 はソースエネルギーにも依存する。データ獲得中、検出器の表面に対応する2D 画像が構築される。獲得に続いて、マスク内の孔に関連する領域内のカウントが 積分されて、各試料のカウント速度が得られる。カウント速度はその後、較正デ ータを用いてdpmに変換される。 画像の、孔に対応する部分、並びに各孔に関する検出効率およびバックグラウ ンド値は、公知の活性を有する試料を孔内に載置し、画像を獲得して分析するこ とにより、装置の較正中に決定される。ソフトウェアマスク構築は、まっすぐな ピーク検出ルーチンを用いてソフトウェアにより自動的に行われる。 MPD撮像器について述べる。シンチレータベースのMPD撮像器は、低コス ト、優れた感度、高いスループット、およびサブミリメートルオーダーの空間分 解を特徴とする。MPD撮像器は、細分された生物学的材料、例えばクロマトグ ラフィーの出力およびDNA配列ゲルおよびブロットの定量化(quantit ation)のために用いられ得る。MPD撮像器の空間分解は、0.2mmに 達するか又はこれを越える。 MPD撮像器は、サブミリメートルオーダーの分解を可能にし、細分出力、例 えば、配列ゲルまたはクロマトグラフィープレートの定量化(quantita tion)に適している。この装置において、SR−MPDは、高精度2Dムー バに連結されている。マルチ孔パターンを用いることにより高分解が得られる。 各事象は、空間ROIに割り当てられ、ムーバの位置を知ることにより再構築さ れる。MPD撮像器は、分子生物学において使用が増加しているリン光体撮像器 よりもはるかに感度が良好であり速い。DNA配列ブロットを、MPD撮像器を 用いて定量化した。ドット/バーパターンは数ゼプトモルレベルで空間分解した 。 好適なMPD撮像器は、以下のサブシステムを含む。 ・3インチ空間分解PMTを有する2.5インチNaI(Tl)シンチレータ、 ・低放射性バックグラウンドPMT読出しを有する3インチCaF2(Eu)シ ンチレータ、 ・符号化孔/セパレータ/シールドサブシステム、 ・約100ミクロンの相対移動精度を有する2Dムーバシステム、 ・3つのDSO58カードを含む読出し電子部品、 ・データ獲得/分析サブシステム(例えば、ペンティアム90MHz)。 MPD撮像器は、優れたS/Bによるダイナミックな情報獲得を可能にする。 システム分解が、ブロットの表面上の孔移動精度に正比例することを可能にする 。代表的には、コリメータ(スリット)幅は、DNAバンドの物理的幅の大きさ と同一オーダーである。静止コリメータは、スリットの全領域に入る全信号、例 え ば、1mm×4mmのスリットの場合、4mm2のブロットからの信号を測定す る。時間分解検出器が用いられる場合、状況は異なる。コリメータがブロットを 横断して新しい位置に移動すると、スリットの先端の移動により検出器に対して 開放されたブロットの領域内における活性の相対的増加または減少が測定される 。他方、ブロットの一部はスリットの後端により覆われるため、もはや露出され ない。従って、信号到着の時間を知ることにより、ブロットを撮像するときのブ ロット活性の微分逆畳み込みおよびサブミリメートルオーダーの空間分解が可能 になる。「システム」空間分解は、スキャナの移動の正確さに正比例する。MP Dスキャナは、約100ミクロンの正確さを提供し得る。 MPD撮像器の固有分解について述べる。このパラメータは、HPインクジェ ットプリンタにおいて「放射性」インクを用いることにより測定され、MPD撮 像器とリン光体撮像器との比較を可能にする1連の良好に規定されたパターンを 生成する。10ピコキュリー/cm2の相対的に低い表面活性を用いた。テスト パターンは3mm、2mm、および1mmの等間隔の水平バーからなり、バー間 隔はバー幅に等しくした。パターンおよびその画像を、MPD撮像器およびMo lecular Dynamicsブランドのリン光体撮像器により得た。48 時間露出した後、リン光体撮像器は、3mmパターンを良好に検出したが、バッ クグラウンドはかなり高い。2mmパターンは部分的にのみ分解し、1mmパタ ーンは測定不能である。対照的に、MPD撮像器は、1mmパターンさえも約1 0のS/Bで明瞭に分解した。0.5mmパターンも分解されるが、より長い走 査時間を必要とする。 MPD撮像器のソフトウェア:MPD撮像器は、SR−MPDとMPDスキャ ナの機能を組み合わせている。1次(SR)検出器上のマスクは、撮像器の空間 分解を規定する孔のアレイを有する。2D試料は、コンピュータ制御ムーバ上に 載置され、コンピュータ制御ムーバが試料を側定位置に順に載置する。各位置に おいて、カウントが予め設定された時間行われる。(SR−MPDと同一の獲得 ロジックを用いる)。全孔に関するカウント速度が得られてディスクファイルに 保存される。 走査に続いて、画像がカウントデータから再構築される。分解規定孔パターン は、連続像を得るためにピクセルがXおよびYの両次元においてインターリーブ されなければならないパターンである。パターンは、このようなインターリーブ を可能にすべきであるが、必ずしも矩形である必要はない。システムは、画像表 面に対する孔のマッピングを規定するソフトウェアマスクを含む較正ファイルを 、各利用可能な分解マスクに対して別々に有する。マスクは、較正中に、ソフト ウェアによって自動的に構築される。 ユーザインタフェースは、各ピクセルに関して、走査すべき矩形領域の選択と カウント時間の予備設定を可能にする。データ分析モジュールは、カウントデー タから画像を再構築し、虚偽の色、中間調、輪郭マップにおいて又は3D表面と して画像の視覚化を可能にし、且つ他の画像処理プログラムによる分析のために 多くの標準フォーマットで画像を記録する。 大型MPD撮像器について述べる。大型MPD撮像器の場合、システムの空間 分解部分は、大きい2D細分出力用により高いスループットを可能にするように 設計される。MPD撮像器の商業的価値は、2Dゲルおよびブロットを10-19 モルレベルで一晩分析を行うために十分なスループットを提供することに依存す る。これを達成するために、大領域、例えば12×8インチのMPD撮像器を用 い得る。 大型MPD撮像器において用いられ得る3タイプの大型空間分解ガンマ検出器 は、1または複数のSR−PMTを用いる検出器、数10個の小直径PMTをオ ージェカメラ構成で用いる検出器、およびマイクロチャネルプレートおよびCC D撮像器を用いた検出器である。好適な新規のシンチレータである、イットリウ ムアルミニウムペロブスカイトドープセリウム(YAP(Ce))を用いること が、非常に良好な空間分解および非常に低いバックグラウンドを有する大型MP D撮像器を可能にする。 大型MPD撮像器の利点のある特徴は、以下の通りである: 1)可能な最低の放射性バックグラウンドであり、複数の生物学のタスクにおい てゼプトモルの感度を可能にする、 2)非常に低レベルの放射能を有する試料に対しても高スループットを可能にす る構成、 4)生物学のタスクを容易にするソフトウェアを有する低コスト且つ扱い易い装 置。 本発明による大型MPD撮像器の1実施例において、単一のコンピュータが、 4つの空間分解サブユニットの同時且つコーディネートされた動作を制御する。 このことは、1ピクセルにつき、1秒当たり数10カウントと1分当たり数カウ ントとの間のカウント速度という、標的適用における比較的低いカウント速度に より可能となる。パルス形状分析は、僅か約100マイクロセカンドで行われ、 約10マイクロセカンドまで減少され得る。異なる検出器中の事象のパイルアッ プによる損失は、完全に考慮され得る。 マルチ検出器装置内の検出器の数は、DSO58バススループット、制御マイ クロプロセッサの速度を含むパルス形状分析時間、使用可能なバススロットの数 、およびコストに関する考慮により制限される。4つの検出器を有するMPDは 、例えばフルタワー構成と12のバススロットを有するマザーボードとを有する ペンティアム120MHz機とインターフェースされ得る。4つのSR−PMT は単一のコンピュータ上でマルチプレックスされ得る。 いくつかのSR−PMTに基づく大型MPD撮像器:この例としての実施態様 は4つのモジュールを有する。 *予備検出器 *4つのサブアセンブリからなる空間分解検出器、 *機械的ムーバアセンブリ、 *データ獲得および処理ユニット。 予備検出器は、複数の選択された低バックグラウンドPMTに連結されたCa F2(Eu)シンチレータに基づく。好適な予備検出器モジュールは、以下の通 りである。第1に、大型の、例えば8インチ×8インチのクリスタルが適切な光 ガイドにより6インチPMTに連結される。これは、最も簡単で低コストの装置 であるが、かなり大型の装置につながる。第2に、単一のCaF2(Eu)シン チレータがPMTアレイに連結される。例えば、9インチ×9インチのシンチレ ータが9個の合致した3インチPMTのアレイに連結され得る。第3に、8イン チ×8インチクリスタルが、16個の合致した2インチPMTのアレイに連結さ れる。全てのPMTの出力は加算され、パルス高さおよびパルス形状が、DSO 58を含む低ノイズ電子部品によって分析される。適切な振幅を有するパルスが 、空間分解検出器からのデータの獲得および分析用のトリガとして用いられ得る 。 「合致した」PMTを役立つ電子部品と共に用いることが好適である。与えら れたあるエネルギーの粒子により刺激された場合、パルスの振幅および形状は実 質的に同一であるべきである。例えば、時間的遅延は100ナノセカンド以内で 同一であり、振幅は10%以内で同一であり、パルス形状はほぼ同一であるべき である。合致するPMTの要件を満たすために、トリガ検出器は4つのサブアセ ンブリからなり得る。各サブアセンブリは、単一の4インチPMTに連結された 4インチ×4インチCaF2(Eu)クリスタルからなる。 好適には、PMTは正方形または六角形であるが、円筒形PMTが適切なアク リル導波路を用いた光学的カプリングにより用いられ得る。やっかいなPMTの 合致ではなく、4つの4インチ×4インチ検出器のモザイクの場合は、はるかに 簡単なコンピュータ較正が用いられ得る。しかし、シンチレータ検出器の不均一 性は、常にシンチレータの境界近傍で最大である。すなわち、モザイクトリガ検 出器は、多少低い検出効率および低いエネルギー分解を有し得、これらはバック グラウンドに悪影響を与える。 NaI(Tl)は、その良好な停止力およびシンチレータ間の最良のエネルギ ー分解のために用いられ得る。例としての大型領域空間分解検出器モジュールは 、8インチ×6インチのアクティブ領域を用いて、代表的配列ゲルの全表面の撮 像を可能にする。例としてのモザイクSR検出器は、4つの小型SR−PMTを 用いる。検出器アセンブリは、4つの空間分解検出器モジュールを含み、各モジ ュールは、Hamamatsu製正方形SR−PMTによって読み取られる4イ ンチ×3インチNaI(Tl)クリスタルからなる。正方形SR−PMTは、6 0×55mmのアクティブ領域を有し、2〜3mmの空間分解が予想される。円 形の3インチSR−PMTではなく正方形のSR−PMTが好適である。なぜな ら、表面がより良好に覆われるためである。正方形および円形のSR−PMTは 、電子部品および撮像特性の両方に関してほぼ同一であり、基本的に同一の電子 部品およびソフトウェアを用いる。 制御コンピュータにおいて使用可能なスロットを節約するために、単一のSR −PMT用の全電子部品は好適に単一カード上に搭載される。大型MPD撮像器 は、スペースを節約するためにマルチプレクシングを用いて電子カードの数を減 少させ、熱負荷の問題の処理を容易にし、装置のコストを低下させる。 単一のペンティアム120MHzを用いることは、単一のフルレングススカー ドが2つの検出器用の、信号を条件づけて一致させる回路、すなわち4チャネル を含むことを前提とする。12スロットのマザーボードであっても十分なISA スロットに欠ける。なぜなら、DSO58は、1カード当たり2チャネルを特徴 とするからである。好適なDSO58は、各50MHzの4チャネルを有する。 放熱を大幅に減少させるためにCMOS素子に基づく。それにより、DSOの4 チャネルがPCIバスを有する単一のフルレングスカードに適合する。 マルチプレクシング電子部品に関しては、ソフトウェア用のフラグを供給する 8閾値を有することが好適である。各検出器について、別々の遅延および一致回 路があり、不一致および一致カウントの両方が可能となる。その後、40フラグ のセット(各SR−PMT用の8閾値、4つの一致信号、および和信号用の4つ の閾値からの出力)がコンピュータに伝送され、オンラインの事象再構築が可能 となる。全SR−PMTからの信号が加算されて、出力が3つのDSOに入力さ れる。このことは、現行のソフトウェアを用いたパルス形状分析を可能とする。 4チャネルDSOが使用可能である場合、4つのSR−PMTからの情報を処理 するために3つのカードのみが必要である。2つのSR−PMTからのデータを 処理するために極性符号化を用いることにより、SR−PMT内のパルス振幅( 全4出力の合計)および非空間分解PMT内のパルス振幅に関する情報を処理す るために、僅か2つの4チャネルDSOカードのみが必要となる。 熱負荷を管理するために、数個のファンカードがDSOカードとSCPCカー ドとの間に配置され得る。ファンカード(カード1枚当たり2個のACモータ) からの電磁干渉の問題は、1日当たり1カウントのバックグラウンドを示す装置 の場合は、非常に困難であるが、電磁シールドは適切である。ペルチェ効果(A C電流無し)に基づく冷却素子は、より困難性の低い解決策を提供する。 ソフトウェアは好適には、検出器ユニット間の非アクティブ領域を考慮して 「継ぎ目の無い」画像再構築を可能にし、インテルP6プロセッサに基づくコン ピュータの使用に一致する。 いくつかのSR−PMTベース検出器をマルチプレックスし大領域検出器を構 築することは、より速いパルス形状分析を必要とする。単一検出器システムにお いて、長い伝送時間(200マイクロセカンド/パルス)を有するDSOが適切 である。大型MPD撮像器は、より速いコンピュータインターフェースを有する DSOを用いる。この利点を最大限利用するためには、速いドライバ及び加速さ れたパルス処理が必要である。従って、パルス形状拒否のロジックは、全PMT からの追加の情報を考慮し且つテストの順序を変更することにより、マルチプレ ックスされたシステムに対して最適化される。パルス形状分析符号の更なる最適 化は、非常に効率的なネイティブペンティアムおよびP6からの指示を利用する ことにより達成される。 MPDは、非常に少量の放射標識の定量化/撮像を目的とするため、正確なデ ータ解釈のためには、対バックグラウンド信号比(S/B)が悪く、有意な不確 かさを有するソースからのデータの統計学的分析が重要である。従って、MPD 撮像器がソフトウェアによる統計学的分析機能および画像向上および認識用ルー チンを含むことが好まれる。後者は、好適には、シミュレートされたニューラル ネットワークおよび/またはメモリマトリクスの反復的使用などのAI技術に基 づく。 時間遅延技術に基づく大型MPD撮像器:大型MPD撮像器のいくつかの限定 は、用いられるSR−PMT、すなわち、K40のによるHamamatsu製管 の汚染および4つの別々のSR−PMT間の大きなデッドゾーンによる較正の困 難性に関連する。 オージェ(Anger)カメラは、大型のガンマ検出器の人気のあるクラスであり 、単一の大型NaI(Tl)クリスタルの表面には多くの光電子増倍管が配置さ れている。光子がクリスタルに吸収されると、光はいくつかのPMT間で共有さ れる。光パルスの重心は、最大の信号を有する4つのPMTを見つけて信号振幅 の割合から事象を再構築することにより確立される。空間分解能は、クリスタル の厚み、光の歩留まり、および用いられるPMTの数によって制限される。代表 的 なオージェカメラパラメータは、NaI(Tl)クリスタルの厚み=0.5イン チ、PMTの数=36〜64、固有空間分解能=2〜3mmである。I125の場 合、クリスタルの厚みは1.5mmまで減少され得、このことにより空間分解能 は1mmまで向上する。最も簡単な装置において、ADCの数は、PMTの数と 同一であり、例えば24個の2インチPMTである。本発明のこの局面によると 、より複雑なスキームが考えられる。より複雑なスキームにおいて、多数の閾値 が用いられるが、僅か8つのADCチャネルが必要である。オージェカメラベー スのMPD撮像が好適である。しかし、必要とされる電子部品は複雑であり、多 数のチャネルのために、パルス形状分析の実行が困難である。 別の実施態様は、光子位置を再構築するためのパルス遅延技術およびDSO、 および新規なシンチレータ材料である、Ceで活性化されたイットリウムアルミ ニウムペロブスカイト(YAP(Ce))を用いる高性能空間分解ガンマ検出器 である。上記検出器は、高い光歩留まり(Nal(Tl)の約50%)を供給し 、NaI(Tl)よりも約5倍速い。また、インテルペンティアムまたはP6と コンパチブルなマルチチャネル高速および大容量メモリDSOカード、例えば、 Gage Inc.製2チャネル、メモリ32kbの150MHz/チャネルが 用いられ得る。 低い減衰アナログ遅延素子は、数10ナノセカンド〜数マイクロセカンドの遅 延時間で容易に入手可能である。三角形状のYAPパルス(立ち上がり時間:1 0ナノセカンド、立ち下がり時間:50ナノセカンド)の場合、最大10個のP MTの出力がDSOの単一チャネルでディジタル化され得る。従って、2枚のD SOカードは、最大40個のPMTの出力を符号化し、信頼性の高い、見かけ上 8ビットの定量化を可能にする。4つの隣接するPMTが各々異なるDSOチャ ネルで符号化されるモジュロ4符号化が用いられ得る。従って、小型で比較的低 コストなオージェ組み込みカメラが可能である。 MPD撮像器用のYAPシンチレータクリスタルを用いる場合、信号パルスは 、約50ナノセカンドの持続時間を有する。このことは、いくつかのPMTから の信号を定遅延の使用を介して単一のDSO入力にマルチプレックスすることを 可能にする。各々、0、100、200、300、400および500ナノセカ ン ド遅延されたPMTの4行のそれぞれからの6つの出力に対しては加算が好適で ある。このパルストレインは、その後DSO入力チャネルおよびトリガカード( SCPC)に送られる。トリガカードは、システム内の全DSO用のトリガを生 成する。第2の(一致する)検出器に対して、同一サイズ(12インチ×8イン チ)のNaI(Tl)クリスタルが4つの3インチPMTによって読み出される 。これらのPMTの出力は加算され、和信号が事象が一致するか否かを確立する ために用いられる。さらに、このパルスは、形状分析されて、バックグラウンド を拒否する。全閾値、ディジタル遅延、および利得は、SCPCを介したソフト ウェアの制御下にある。コンピュータは、DSOによって獲得されたマルチプレ ックスされた信号を復号化して、全24のPMT内にパルス振幅の分析を介して 、各検出された事象の座標を見い出す。 放射性バックグラウンドの問題を回避するために、大型MPD撮像器は、放射 性バックグラウンド、検出効率、エネルギー分解能、フォトカソード表面の均一 性、暗電流、および長期安定性に基づいて慎重に選択されたPMTを用いる。好 適な光電子増倍管は、EMIよりの1インチまたは六角形状の2インチPMTの いずれかを含む。12インチ×8インチのMPD撮像器の場合、好適な構成は、 2インチの六角形状PMTのグリッドであり、中心間の距離が2インチであり、 これは、6×4個のPMTアレイとなる。あるいは、1インチPMTの場合は、 中心間の距離が1.5インチである、8×5個のPMTアレイが好適である。コ ストは、2インチPMTの方がはるかに低い。なぜなら、電子部品がより単純で あり、必要なDSOカードは僅か2枚だからである。他方、1インチのPMTは 、僅かに良好な空間分解能および約2倍低い放射性バックグラウンドを提供する 。 大型MPD撮像器は、好適には、専用データ獲得および処理ソフトウェアを用 いる。いくつかのPMTからの信号は、遅延線を用いて符号化され、1つのDS Oチャネルにマルチプレックスされる。獲得ソフトウェアは、一連のパルスを、 適切なパルス形状拒否およびベースライン回復手順を用いて、処理する。このタ スクは、信号間の定遅延により簡略化されるが、「トレイン」内のパルスが単一 の事象によるものであるか否かという追加の一致分析および何らかの逆畳み込み が必要であり得る。複数のPMTからのデータに基づく各事象の座標を演算する ために、信頼性のある高効率のプロセスが好適である。はるかに大きい容量のデ ータを保存且つ処理するため、および大領域検出器内の避けられない非均一性を 補償するために、特別な規定がなされる。これらのルーチンは、ルックアップテ ーブルによるほとんどの演算を置換し、整数演算の範囲内で、これらをできる限 りアセンブリ言語で符号化して不感時間を減少することにより、最適化され得る 。パルス処理、スペクトル分析、および画像再構築は、それ以外は、単一検出器 SR−MPDシステムに関する。 シークエンシャル試料MPD装置:ssMPDは、1分当たりのカウントを測 定し、125Iを含む多光子放射同位元素により放射される1分当たりの崩壊を計 算するために用いられ得る、12試料のベンチトップ放射カウンタである。12 mm×75mmまたは13mm×100mmの試料管内に含まれる、0.05〜 2.0mlの容量中で、1〜106dpmの範囲に亘って崩壊が測定される。検 出器チャンバを汚染することを回避するために、試料管には蓋が取り付けられる 。 ssMPDのレイアウトを図6に示す。管ホルダ70が、鉛シールド72上方 を走る水平管ドライブ71に搭載されている。各々が、シンチレータ74、PM T75、およびベース電子部品76を含む2つの検出器73が、セパレータ77 に対向して取り付けられている。垂直管リフト78は、各々の試料管(図示せず )を順に下降および上昇させる。検出器および機械部品は、フレーム79により 支持され、装置全体がエンクロージャ80によって覆われている。 検出器アセンブリは、各々が高分解能平面光電子増倍管に連結された、2つの シンチレータクリスタルからなるツイン検出器システムである。検出器アセンブ リは、周囲のバックグラウンドを最小にするために、鉛−錫−銅複合シールド内 に収容されている。ガンマ放射の効率的なカウントを可能にすることに加えて、 試料ホルダは、ツインシンチレータ検出器アセンブリ内のクロストークを減少さ せるセパレータとして作用する。 検出器アセンブリは、ssMPD読出し電子部品、WindowsTM用制御お よびデータログソフトウェア、および必要に応じてプリンタを有する構成のパー ソナルコンピュータ(PC)に直接接続されている。ソフトウェアは、プリンタ またはファイルに、一般的なレポートヘッダ、並びに各試料に関して、試料番 号、試料位置、カウント時間、1分当たりの測定カウント、1分当たりの計算さ れた崩壊、および統計学的不確かさを出力する。さらに、ソフトウェアは、様々 な商業的データ分析およびアッセイ解釈ソフトウェアのパッケージへのデータ送 達を支持する。 125Iの場合、エネルギーの特定領域および検出効率は、構成手順中に自動的 に確立される。他の同位元素の場合、カウントは、制限されたエネルギーおよび パルス形状の弁別(すなわち、より高いバックグラウンド)で行われ、絶対検出 効率は知られない。非125I試料の絶対活性が所望である場合、オペレータは、 問題の同位元素の較正されたソースを獲得し且つこの同位元素用のssMPDの 検出効率を確立し得る。 ssMPDシステムは、ツインシンチレータークリスタルを採用し、光電子増 倍管(PMT)がガンマおよびX線放射検出器として読出しを行う。読出し電子 部品およびソフトウェアは、各PMTからの信号を増幅し整形し、パルス形状を 分析し、次のパルス高分析のために組み合わされたエネルギースペクトルを構築 する。 ssMPD検出器の外部シールドは、周囲放射の影響を最小にする。従って、 非放射性バックグラウンドの主要成分は、PMT内の暗パルスによる。これらの パルスの形状は、検出器内のシンチレーションにより生成されたものとは異なり 、PMT暗パルス並びに大半の電磁および振動アーチファクトの拒否を可能にす る。パルス形状ベースの拒否の後、システム内のバックグラウンドは、15〜1 00keVの範囲のエネルギーに対してはほとんど平坦であり、非常に安定して おり、検出器近傍の活性とは独立している(ssMPDシールドを貫通する能力 を有するハードガンマ放射は例外である)。 所望の同位元素用の適切なエネルギー領域内の拒否されなかったカウントは積 分されて、カウント速度を減少させる。カウント速度(1分当たりのカウント、 すなわちcpm)を、試料中の実際の活性(1分当たりの減衰、すなわちdpm )に変換するためには、特定の放射標識用のカウンタの検出効率(DE)を知っ ていることが必要である。 2つの検出器の各々に対するDEは、ssMPDの較正および正確さを向上さ せるため、システムの完全性をテストするため、および較正試料の実際の活性の 2つの見積もりを比較することにより試料ホルダの不整合を訂正するため、に別 々に決定される。 ssMPDの感度(検出の限界)を直接示すものは、バックグラウンド等価活 性(BEA)であり、これは、検出器内のバックグラウンドに等しいカウント速 度を生成するソースの活性として定義づけられる。この重要な特徴は、ssMP Dのバックグラウンドと検出効率との両方を説明する。ssMPDに対するバッ クグラウンド等価活性は、2ピコキュリーまたは125Iの1アットモルであり、 適度な検出効率(DE50%)を維持しつつ放射性バックグラウンドを大幅に低 減する(BKG2cpm)。 ssMPDのバックグラウンド拒否技術は、1〜106cpm(6ログダイナ ミックレンジ)の信頼性のある定量化を可能にする。106cpmを越えると、 検出器内のパルスのパイルアップにより非線形が引き起こされる。応答はこの範 囲ではもやは線形ではないが、ssMPDの獲得システムの不感時間は、拡張不 能である。従って、カウントは行われ得、結果がパイルアップに対して補償され る。 別のベンチトップ実施態様は、選択された試料を試料ラックから取り上げて、 それを試料ホルダに載置し、カウントが完了すると試料を除去して元に戻す、ピ ックアンドプレース(pick and place)ロボットアームを用いる 。両方のベンチトップ実施態様において、変化する機械部品は、データ処理装置 と連結されて、試料カウント時間が最適化されることを可能にする。 要約すると、本発明の多光子検出器は、多くの利点を提供する。これらは、低 バックグラウンドおよび高感度、高検出効率、高エネルギー分解能、優れた再現 性および安定性、低コスト、並びに小さいサイズを含む。 上記記載は、多くの特定の詳細を含むが、これらは、本発明の範囲を限定する ものではなく、好適な実施態様の例であると考えられるべきである。多くの改変 が可能である。本発明の範囲は、上記に記載および説明した実施態様によってで はなく、広く解釈される請求の範囲およびその均等物によって決定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01T 1/24 G01T 1/24 7/08 7/08 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試料中の放射性同位元素を検出する装置であって、 (a)2つの互いに対向するガンマ/X線検出器を含む検出器アセンブリであ って、該試料が該検出器間の試料ホルダ間に載置されたときに該試料中の放射性 同位元素からの放射を検出し且つ該放射を電気出力パルスに変換する、検出器ア センブリと、 (b)該検出器に動作可能に接続され、各検出器からの出力パルスを分析し該 出力パルスを該2つの検出器用の所定の受容基準と比較し、該所定の受容基準を 満足しないパルスを拒否し、該所定の受容基準を満足する出力パルスを、一致す るパルスと不一致のパルスとに関して別々にカウントする、パルス形状分析器と 、 を含む装置。 2.前記検出器アセンブリが、少なくとも2つの互いに対向する検出器を含み、 これらのうちの少なくとも1つが、前記放射性同位元素からの放射に衝突したと きに信号を発生する薄い無機シンチレータクリスタルと、該検出器間に設けられ たセパレータと、該検出器を外部放射から分離するシールドアレイと、フォトセ ンサとを含む、請求項1に記載の装置。 3.前記シンチレータが、NaI(Tl)、CsI(Tl)、CaF2(Eu) 、およびYAPからなる群より選択される、請求項2に記載の装置。 4.前記2つの検出器が、約1.25cm未満の厚みを有する同一のCaF2( Eu)クリスタルを含む、請求項2に記載の装置。 5.前記フォトセンサが、約10pCi未満の放射能を有するように選択された 低放射性材料から形成された光電子増倍管である、請求項2に記載の装置。 6.前記光電子増倍管の直径が、約5cm〜約7.5cmであり、前記シンチレ ーションクリスタルの直径が、該光電子増倍管の直径よりも約7%〜約25%小 さい、請求項5に記載の装置。 7.前記シンチレータと前記フォトセンサとの間に、低放射性バックグラウンド 光学的透明ウインドウが設けられている、請求項2に記載の装置。 8.前記ウインドウが、石英または高密度(>4g/cm3)および高原子番号 (約50より大きい)を有する光学的透明材料を含む、請求項7に記載の装置。 9.前記ウインドウが、高純度GeO2またはゲルマニウムベースガラス、鉛ベ ースの高密度ガラス、PbF2、およびアンドープゲルマニウム酸ビスマス(B GO)からなる群より選択された材料から形成され、該ウインドウが、前記PM Tの光学特性と合致する光学グリースにより前記シンチレータおよび前記フォト センサに光学的に連結されている、請求項7に記載の装置。 10.前記シンチレータおよび前記光電子増倍管が、少なくとも3つの、不透明 プラスチックテープとそれに続く薄い金属テープの、連続する層によって覆われ ている、請求項5に記載の装置。 11.前記金属テープが、高透磁性を有する特別な金属テープを含み、前記アセ ンブリが、数層の銅テープによって覆われている、請求項10に記載の装置。 12.前記検出器アセンブリが、少なくとも1つの成分が約61よりも大きい原 子番号を有する金属か又は約5g/cm3よりも高い密度を有する該金属の化合 物であるシールド内に設けられ、該シールド材料が、約10pCi/g未満の放 射性バックグラウンドを有するように選択された、請求項1に記載の装置。 13.前記試料ホルダが、約12×13mmと約75×100mmとの間の寸法 を有するプラスチックトレイである、請求項1に記載の装置。 14.前記検出器の少なくとも1つが半導体検出器を含む、請求項1に記載の装 置。 15.前記検出器の少なくとも1つがガス検出器である、請求項1に記載の装置 。 16.前記試料ホルダが、カプセル化された試料スポットを含んでおり、十分薄 く、該試料ホルダが無視できる量のX線を吸収し且つ前記検出器を汚染しないほ ど十分に低い密度/十分に低い原子番号を有する材料から形成されている、請求 項1に記載の装置。 17.前記試料スポットが、約0.1pCi/cm2未満の非常に低い放射性バ ックグラウンドおよび低い原子番号を有する材料の薄い層でカプセル化されてい る、請求項16に記載の装置。 18.前記カプセル化材料が、スプレー、ラッカー、アクリルペイント、シリコ ンペイント、および電気ワニスからなる群より選択される、請求項17に記載の 装置。 19.前記試料が、約1mm未満の厚みを有するベリリウム膜、約0.5mm未 満の厚みを有するプラスチック膜、および約0.2mm未満の厚みを有するアル ミニウム膜からなる群より選択される薄膜により形成されるカプセル化パウチ内 で、固体の平坦なシートに取り付けられている、請求項17に記載の装置。 20.前記検出器の一方が他方よりも実質的に小さく、前記試料を走査する、該 一方の検出器の前方に設けられた、小さい孔を有する高密度/高原子番号の重金 属の薄膜をさらに含む、請求項2に記載の装置。 21.前記検出器の両方が、約3mm未満の厚みを有するCaF2(Eu)のク リスタルを含み、小さい方のクリスタルは約1.25cmと約2.5cmとの間 の直径を有し、大きい方のクリスタルは約2インチと約3インチとの間の直径を 有する、125Iソース用に最適化された請求項20に記載の走査装置。 22.前記パルス形状分析器が、カウントのために不一致パルスと一致パルスと の両方を受け入れるORモードと、カウントのために一致パルスのみを受け入れ るANDモードという2つのモードを有し、小さいシンチレーションクリスタル の前方の孔に実質的に平坦な試料を提示するために適切な空間的分解能により2 次元方向に前記試料ホルダを保持し且つ移動させるよう適合された試料ムーバと 、該試料ムーバの位置を特定して各位置のカウント速度との相関を可能にし、各 試料位置のデータ獲得時間を最適化して、蓄積されたデータが、所定の信号対バ ックグラウンド比または信号対統計的不確かさの比に達したときにデータ獲得が 停止され得るようにするコントローラとをさらに含み、該パルス形状分析器と該 コントローラとは、該獲得したデータを2次元画像として提示する、請求項20 に記載の走査装置。 23.前記試料ムーバと前記コントローラとが協働して、前記試料に対して、第 1に低空間分解による走査、そして第2に高空間分解による走査という2つの走 査が、カウント速度が所定の値を越える選択された領域において行われることを 可能にする、請求項22に記載の走査装置。 24.前記小さいシンチレータが、約0.1mm未満の厚みを有し、オージェ電 子または非常に低エネルギのX線(E<10keV)に対して感度が良好であり 、 約0.25cmと約1.25cmとの間の直径を有する、請求項21に記載の走 査装置。 25.前記検出器アセンブリが、オージェ電子または非常に低エネルギのX線( E<10keV)に対して感度が良好である、0.1mm未満の厚みを有するシ リコンシンチレータまたは空間分解CCD検出器を含む、請求項20に記載の走 査装置。 26.2次元パターンを有する複数の試料アレイ用の、空間分解能を有する請求 項1に記載の装置であって、前記検出器のうちの少なくとも1つが、高密度/重 金属膜が取り付けられたシンチレータを含み、該膜が、該試料パターンに対応す る符号化孔パターンを有し、該シンチレータが複数の出力を有する空間分解光電 子増倍管と連結され、該複数の出力の各々が合致した低ノイズ増幅器に動作可能 に接続され、該空間分解光電子増倍管の出力が電気的に加算されて加算出力とな り、該個々の出力および該加算出力がマルチチャネルクスペクトル分析器に入力 される、装置。 27.前記空間分解PMTからの前記増幅された出力パルスが、前記パルス形状 受容基準による「標準形状」パルスと比較され、空間分解および非空間分解PM Tの両方において該「標準形状」条件を満足する事象のみが受容されて2次元試 料画像を形成するために用いられる、請求項26に記載の装置。 28.前記空間分解光電子増倍管が4つの出力を有し、X線との衝突位置が反復 アルゴリズム、x0=(SL−SR)/TSおよびy0=(ST−SB)/TSに より与えられた第1の近似値、および xi=(a[xi-1]*SL−b[xi-1]*SR)/TS および yi=(c[yi-1]*ST−d[yi-1]*SB)/TS 但し、SL=信号左、SR=信号右、ST=信号上、およびSB=信号下(SB )であり、TS=SL+SR+ST+SBであり、a(x)、b(x)、c(y )およびd(y)は空間分解光電子増倍管用に経験的に確立された較正関数であ る、から得られる近似値から計算される、請求項26に記載の装置。 29.X線の真のエネルギが、前記空間分解光電子増倍管用に経験的に確立され たルックアップ較正テーブルを用いて、X線との衝突位置から計算される、請求 項28に記載の装置。 30.前記シンチレータが、それに取り付けられた、約50までの穴またはスリ ットという規則的なパターンを有する高密度/高原子番号膜から形成された符号 化孔マスクを有し、前記試料ホルダが、平坦な2次元的試料アレイであり、試料 を所定の時間内に該孔マスク前方の測定位置に順に載置するコンピュータ制御ム ーバをさらに含む、請求項26に記載の撮像装置。 31.撮像分析器をさらに含み、画像が前記カウントデータから再構築され、分 解規定孔パターンが連続像を得るためにピクセルがXおよびYの両次元において インターリーブされなければならず該パターンがインターリーブを可能にするパ ターンであり、システムが、画像表面に対する孔のマッピングを規定するソフト ウェアマスクを含む較正ファイルを、各利用可能な分解マスクに対して別々に有 し、ユーザインタフェースが各ピクセルに関して、走査すべき矩形領域の選択と カウント時間の予備設定を可能にし、データ提示システムが、虚偽の色、中間調 、輪郭マップにおいて又は3D表面として画像の視覚化を可能にし、且つ他の画 像処理プログラムによる分析のために多くのフォーマットで該像を記録する、請 求項30に記載の撮像装置。 32.前記検出器のうちの1つが、X線検出用に最適化されたGe系半導体検出 器、シリコン検出器、または空間分解ガス検出器である、請求項1に記載の装置 。 33.前記空間分解検出器が、薄い自己制限スチーマチャンバであり、該空間分 解がCCDを用いた撮像によって得られる、請求項32に記載の装置。 34.試料中の放射性同位元素を検出する方法であって、 該試料を、2つの互いに対向する検出器間の試料ホルダ内に入れる工程と、 該2つの互いに対向する検出器を用いて該試料からの放射を検出し、電気出力 パルスを得る工程と、 該出力パルスを、該2つの検出器用の所定の受容基準と比較する工程と、 該所定の受容基準を満足しない出力パルスを拒否する工程と、 該所定の受容基準を満足する出力パルスを、一致放射に対応するパルスと不一 致放射に対応するパルスとに関して別々にカウントする工程と、 を含む方法。 35.前記検出器アセンブリが、前記同位元素からの放射を電気出力パルスに変 換する手段間に挟まれた試料を保持する手段を含み、 前記パルス形状分析器が、前記出力パルスをカウントし且つ該出力パルスのタ イミングをとる手段と、 出力パルス振幅を、ベースラインの所定の範囲内に収まるように且つ放射エネ ルギと相関するように、正規化する手段と、 所定の閾値を越える振幅を有する出力値がある場合に、第1のトリガパルスを 発生させ、各々が該所定の閾値を越える振幅を有する2つの実質的に同時の出力 パルスがある場合に、第2のトリガパルスを発生させ、該所定の閾値を越えない 出力パルスを拒否する手段と、 所定数の連続する正規化出力パルスを捕獲する、トリガパルスに応答する手段 と、 所定の同位元素、並びにパルス形状、高さ、座標、および一致性からなる群よ り選択されるシステム依存型受容基準に基づいて、該捕獲された出力パルスを分 析する手段と、 該所定の同位元素および該システム依存型受容基準を満足するパルスをカウン トし、且つ該受容基準を満足しないパルスを拒否する手段と、 を含む、装置。 36.前記検出器に対して放射性バックグラウンドをシールドする手段をさらに 含む、請求項35に記載の装置。 37.外部X線の大部分を吸収する手段をさらに含む、請求項35に記載の装置 。 38.前記試料ホルダが、調査すべき試料が穴に隣接して載置され得るように、 容易に分布されたパターンに秩序立てられた複数の穴を有する、請求項1に記載 の装置。 39.前記検出器間に、穴パターンを有するセパレータをさらに含み、前記試料 ホルダが、適切な薄膜にブロットされた試料を、該セパレータおよび該試料ホル ダの穴パターンと実質的に同一のパターンに整合させる、請求項38に記載の装 置。 40.前記試料ホルダが2つの部分を有し、該部分の各々が同一の穴パターンを 有し、ブロットされた膜がこれら2つの部分間に載置される、請求項39に記載 の装置。 41.前記検出器アセンブリが、該各検出器について、前置増幅器、増幅器、お よび整形増幅器を含む、請求項1に記載の装置。 42.前記検出器アセンブリが、 (a)CGXエミッタからの一致ガンマ線およびX線放射を、別々の放射検出 器において出力パルスとして検出する手段を含み、前記パルス形状分析器が、 (b)該検出器からの該出力パルスの形状および高さを分析する手段と、 (c)不一致出力パルスを弁別して拒否する手段と、 (d)虚偽の一致出力パルスを弁別して拒否する手段と、 (e)残りの出力パルスを用いて前記試料中の該CGXエミッタの存在を定量 化する手段と、 を含む、該試料中の一致ガンマ/X線(CGX)エミッタの選択的定量化用の、 請求項1に記載の装置。 43.1アットモル未満の標識された分子を検出する能力を有する、請求項42 に記載の装置。 44.請求項34に記載の方法であって、 少なくとも1つの検出器用の、複数のパルス形状拒否パラメータであって、検 出すべき所望の特徴的放射と関連するパラメータの、検出器依存的に許可された 範囲を決定し且つ記録することにより、装置をセットアップする工程と、 該少なくとも1つの検出器からの出力信号のパルス形状パラメータを決定し、 該少なくとも1つの検出器からの出力信号のパルス形状パラメータを、該記録 された検出器依存的に許可された範囲と比較することにより、該所望の特徴的放 射を検出するように該装置を動作させる工程と、 を含み、 該少なくとも1つの検出器からの出力信号のパルス形状パラメータが、該記録 された検出器依存的に許可された範囲と近似でない場合に、該少なくとも1つの 検出器からの出力信号が、該所望の特徴的放射の検出としては拒否される、方法 。 45.前記セットアップが、 前記少なくとも1つの検出器に前記所望の特徴的放射のソースの試料を提供す る工程と、 該少なくとも1つの検出器から複数のパルスを獲得する工程と、 現在のベースラインを含む該複数のパルスのヒストグラムと、前記パルス振幅 の1/4、1/2および3/4のパルス幅とを構築し且つ記録する工程と、 該少なくとも1つの検出器用の複数のパルス形状拒否パラメータの、検出器依 存的に許可された範囲を、各ヒストグラムに関して、該ヒストグラムの隣接する 支配的ピーク領域の99%を受容する範囲として決定する工程と、 該少なくとも1つの検出器用の該決定された複数のパルス形状拒否パラメータ を記録する工程と、 を含む、請求項44に記載の方法。 46.前記セットアップが、 前記第1および第2の検出器からの出力が実質的に一致する、一致事象を複数 獲得する工程と、 ヒストグラムを構築すること及び該ヒストグラムアプローチの99%受容隣接 支配的ピーク領域を用いることにより、パルス置換パラメータの許可された範囲 を決定し且つ記録する工程と、 該パルス置換パラメータの許可された範囲を記録する工程と、 をさらに含む、請求項45に記載の方法。 47.前記セットアップが、 前記第1の検出器のスペクトル、前記第2の検出器のスペクトル、および一致 事象の2次元スペクトルを含む、前記所望の特徴的放射に関連する3つの別々の エネルギスペクトルを構築する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。 48.前記装置を動作させて前記所望の特徴的放射を検出する際に、前記少なく とも1つの検出器からの出力信号のパルス形状パラメータを決定することが、 パルスの全幅に亘る時間ウインドウに亘って且つ該パルスの立ち上がりに僅か に先立って、受信したパルスの複数のデータポイントを獲得する工程と、 最初の数個のデータポイントの平均を計算して現在のベースラインを決定する 工程と、 該計算された該現在のベースラインが0と大幅に異なる場合に、該パルスを、 パイルアップにより歪んだとして拒否する工程と、 該パルスが前工程で拒否されなかった場合に、次の複数のデータポイントを走 査して最大値を求める工程と、 該最大値が超過量を越えることが判明した場合に、該パルスを拒否する工程と 、 該パルスが前工程のいずれにおいても拒否されなかった場合に、該パルスのピ ーク振幅を、該最大値と該現在のベースラインとの差として計算する工程と、 該パルスの該ピークから前方および後方に走査して、該ピーク振幅の複数の部 分における振幅レベルに関する時間オフセットを決定する工程と、 少なくとも該決定された時間オフセットを、該少なくとも1つの検出器からの 出力信号のパルス形状パラメータとして用いる工程と、 を含む、請求項44に記載の方法。 49.前記装置を動作させて前記所望の特徴的放射を検出する際に、出力信号の パルス形状パラメータを前記記録された検出器依存的に許可された範囲と比較す ることが、 パルスのピーク振幅の1/2、1/4および3/4の振幅レベルに関する前記 時間オフセットが、該記録された検出器依存的に許可された範囲以内であるか否 かを決定する工程を含む、請求項48に記載の方法。 50.前記少なくとも1つの検出器が、第1および第2の検出器を含み、 前記セットアップがさらに、 該第1および第2の検出器からの出力が実質的に一致する、一致事象を複数獲 得する工程と、 ヒストグラムを構築すること及び該ヒストグラムアプローチの99%受容隣接 支配的ピーク領域を用いることにより、パルス置換パラメータの許可された範囲 を決定し且つ記録する工程と、 該パルス置換パラメータの許可された範囲を記録する工程と、 を含み、 前記装置を動作させて前記所望の特徴的放射を検出することがさらに、動作中 に一致の発生をテストすることを含み、該一致の発生をテストすることが、 該第1および該第2の検出器からの各々のパルスの立ち上がり先端における1 /4振幅レベルに関する時間オフセット間の距離を決定する工程と、 該決定された距離を、前記記録されたパルス置換パラメータの許可された範囲 と比較する工程とを含む、請求項48に記載の方法。 51.特定の同位元素に対して前記装置を較正する工程をさらに含む、請求項4 4に記載の方法。 52.前記パルス形状分析器が製造物を含み、該製造物が、コンピュータプログ ラムを表すように物理的に構成された基板を有するコンピュータ読み取り可能記 録媒体を含み、該コンピュータプログラムが、プログラマブル粒子/放射線放射 検出装置をセットアップし且つ動作させる手段を含む、請求項1に記載の装置。 53.前記検出器アセンブリが、 シンチレータクリスタルと、 該シンチレータクリスタルに光学的に連結された光電子増倍管と、 該光電子増倍管に接続され、高電圧電源、電圧分割器、および増幅器を含む、 一体化光電子増倍管ベース電子モジュールと、 該ベースモジュールと該光電子増倍管との間、該光電子増倍管と該シンチレー タクリスタルとの間、該光電子増倍管回り、および該シンチレーター光電子増倍 管ベースモジュールのアセンブリ回りに設けられシールドと、 を含む、請求項1に記載の装置。 54.前記出力パルス振幅を、ベースラインの所定の範囲内に収まるように且つ 放射エネルギと相関するように、正規化する工程と、 出力パルスの振幅が所定の閾値を越えるトリガ出力パルスがある場合に、第1 のトリガパルスを発生させ、出力パルスの振幅が該所定の閾値を越える2つの同 時トリガ出力パルスがある場合に、第2のトリガパルスを発生させ、該所定の閾 値を越えない出力パルスを拒否する工程と、 トリガパルスに応答して、所定数の連続する正規化出力パルスを捕獲する工程 と、 該捕獲された出力パルスを、所定の同位元素およびシステム依存型受容基準に 関して分析する工程と、 をさらに含む、請求項34に記載の方法。 55.2次元の試料アレイ用のカウントデータを受信し、放射性同位元素の存在 を示す画像を再構築する画像プロセッサをさらに含む、請求項1に記載の装置。
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