【発明の詳細な説明】
ガラス溶融体を改質しそして均質化する方法および装置
本発明は、ガラスの製造に関し、更に詳しくはベースガラスの性質を変えるた
め、例えば所望の色を付与するためのベースガラスの改質に関する。
溶融ベースガラスに着色剤を添加する概念は、既に知られているがしかし板ガ
ラスの分野におけるよりもむしろコンテナーガラスの分野において実際適用され
てきたものと信じられている(それは時として“前炉着色方法”として呼ばれて
いる)。これは主に以下の理由による;すなわち、板ガラスに対する品質、特に
均質性および泡への要求は、コンテナーガラスに対する要求よりも一般により高
くそしてフロートガラスに対し継続的により厳しくなっている。実際、特別の“
芸術”タイプの製品は別として、着色板ガラスおよび特にフロートガラスは、該
ガラスの領域全体にわたって均質な色あいを有する必要がありそしてそれ故添加
された着物物質はガラス中に均質に分配されることが要求される。更に、添加お
よび分配は、許容できない泡を生じない方法で行なわれる必要がある。それにも
かかわらず、着色板ガラスを製造するため、溶融ベースガラス組成物に着色物質
を添加する提案がなされている。以下のように理解されるであろう;すなわち、
このことが成功裏に行なわれる場合、澄明な板ガラスの製造から着色板ガラスの
製造への切り換え時間を大幅に減少でき、又は一つの色から他の色へ色あいを変
えることのため(異なる組成物が基本溶融タンク又は炉内で溶融されねばならな
いとき、このことは要求される)、該切り換え時間を大幅に減少できる。
EP0599403Aは、着色ガラスコンテナー(glass contai
ner)を製造するための装置を開示しており、EP0556576Aは窓ガラ
ス又は容器ガラス組成物のための着色装置を開示しておりそしてEP02575
34Aは、着色板ガラスを製造するための装置を開示している。全てのこれらの
装置は、溶融ガラス中に着色剤添加物質を混合するための幾つかの形態の処理を
有する。EP0599403Aは、間欠バブラーを有し、一方EP055657
6A(これは、特に泡を避けることに関する)は、機械的攪拌機に似た配列を有
する。EP0275534Aは又、機械的攪拌機に似た配列を有する。そのよう
な配列の各攪拌機は、ガラスに対し同じタイプの攪拌作用を付与するものを理解
されるであろう。攪拌作用のそのような1つのタイプは、着色剤添加物質のガラ
ス内への分配の要求均質性をを達成できないであろう。
本発明によれば、ベースガラスの性質を変えるため該ベースガラスを改質する
方法が提供され、この方法は、溶融ベースガラスを、実質的に水平なチャネル(
channel)に沿った流れで実質的に一定方向に流動させ、水平方向に流動
する溶融ベースガラスに改質物質を添加しそして改質物質を溶融ガラス中に垂直
に分配することを含んでなり、流れの進行方向に対し横方向の成分を伴って改質
物質を溶融ガラス中に水平方向に別個に分配し、次いで溶融ガラス中に実質的に
均質に分配された改質物質を有する該溶融ガラスの流れを、成形設備に供給する
ことを特徴とする。溶融ガラス中に改質物質を垂直および水平方向に別個に分配
することにより、より均質な分配が達成できそしてこのような方法により許容で
きない泡を避けることができる。
改質物質を、溶融ベースガラスに添加し次いで別個に溶融ガラス中に垂直に分
配する。この垂直分配は、ガラス内に相対的垂直運動を惹起させるように、改質
物質を有する、水平方向に流動する溶融ベースガラスを攪拌することによって行
うことができる。
垂直攪拌は、溶融ガラス中に少なくとも部分的に浸漬された実質的にらせん形
のブレードを有する実質的に垂直なシャフトを回転させることによって行うこと
ができる。
流れの進行方向に対し横断方向の成分を伴って、溶融ガラス中に相対的水平運
動を惹起させるために、改質物質を有する、水平方向に流れる溶融ベースガラス
を攪拌することにより、改質物質を溶融ガラス中に水平に分配することができる
。
水平攪拌は、溶融ガラス中に少なくとも部分的に浸漬されたかい形ブレードを
有する実質的に垂直なシャフトを回転させることによって好ましく行うことがで
きる。
相対的垂直運動を惹起させるための攪拌が、相対的水平運動を惹起させるため
別個の攪拌の前に好ましく行なわれる。換言すれば、垂直攪拌は、溶融ガラスの
流れの流動に関し、水平攪拌の上流で行なわれる。
ベースガラスは、実質的に澄明なガラス又は色ガラスであってよくそして改質
物質は、着色ガラスを製造するため又は着色ベースガラスの色あいを改質するた
めの着色物質であってよい。着色物質の改質分配が、均質な色あいを製造するも
のと理解される。
改質物質は、その物質が溶融ベースガラスに添加されるとき、好ましくは溶融
された形態である。該改質物質は、溶融ベースガラスの、実質的に水平方向に流
動する流れの上面上に滑り込むであろう。択一的に、該改質物質は、例えば供給
端が溶融ガラス中に浸漬されている部材から導入することにより、溶融ベースガ
ラスの表面下に添加でき、そして均質物質が添加されるとも該改質物質を、溶融
ガラス中で垂直に分散する方法で添加できる。
成形設備は、板ガラス(そして特にフロートガラス)成形設備であってよくそ
して本方法は、板ガラス(そして特にフロートガラス)内に実質的に均質に分配
された改質物質を有する溶融ガラスを成形することを含んでいる。
本発明の別の面は、改質物質を、溶融ベースガラスの実質的に水平に流れる流
れに添加するための(本発明に係る前記方法において使用に適した(但し限定さ
れない))装置を提供し、この装置は溶融ガラス中に浸漬のための下部分を有し
かつ改質物質のための出口を有する供給部材、並びに溶融ガラス流の表面の下の
該溶融ガラス流への出口を通って現われるために改質物質を供給部材に供給する
手段を含んでなり、ここにおいて出口が、流れの深さの少なくとも主要部分上に
改質物質を分配するように垂直成分を伸長している。
出口は、使用の際流れの進行方向に面する供給部材の一方側上に存在してもよ
くそして好ましくは、例えば実質的に垂直なラインで分配され得る一連の穴を好
ましく含んでなる。改質物質は、溶融状態で出口から好ましくは出口そして装置
は、改質物質を溶融しそして該改質物質を溶融状態で供給部材に供給するための
溶融器を含むことができる。溶融器は、好ましくは未所望の物質が供給部材に供
給されるのを防止するための濾過装置を含む。供給部材は、好都合にはパイプで
ある。
本発明に係る態様を、添付された図面を参照しつつ実施例によって説明する。
図1は、ガラス溶融炉又はタンクの略平面図である。
図2は、改質物質のための供給装置の略垂直断面図である。
図3は、改質物質のための供給装置の択一形態の略断面図である。
図4は、改質物質のための供給装置の他の形態の略垂直断面図である。
図5は、ガラス溶融炉又はタンクの略平面図である。
図6は、フローガラス成形設備又はフロート浴への入口の略平面図である。
図1に略式に示されるガラス溶融炉又はタンクは、溶融帯2および腰部4によ
って作動部分5に接続される精製帯3を有する上流部1を含んでなる。
導管6は、作動部分5から成形設備への入口で出口7まで至る。バッチ物質は
周知の方法で溶融帯2に供給されそしてそこで溶融され、溶融ガラスを成形し次
いで精製帯3内で精製され、すなわち泡が除去される。溶融ガラスは、腰部4を
通過して作動部分5に至りそして導管6に沿って出口7に至る。ガラスのコンデ
ィショニング(conditioning)は作動部分5および導管6内で生起
する。当業者には以下の内容は理解されるであろう;すなわち、溶融帯、精製帯
およびコンディショニング帯の間には正確に固定された境界は一般に存在しない
。
腰部4、作動部分5および導管6は、実質的に水平なチャネル(channe
l)を形成し、そしてタンク部1内で溶融されそして精製された溶融ベースガラ
スは該チャネルを通って、実質的に戻りの上流への流れが何ら存在することなく
、出口7へ実質的に一定方向への、すなわち下流方向への流れで流動する。好ま
しくは、溶融ガラスは又、例えば流れ幅とほぼ同じで腰部4の上流の距離一面の
精製帯3の上流部に一定方向に流れる。腰部4内に位置する供給装置8は、改質
物質例えば着色剤を、水平方向に流れる溶融ベースガラスに添加しそして改質物
質は、作動部分5の上流端に位置するらせん形攪拌機9によって溶融ガラス中に
垂直に分配される。攪拌機9は、溶融ガラス中に少なくとも部分的に浸漬される
らせん形ブレードを有する垂直シャフトを含んでなりその結果、シャフトの回転
は改質物質を有する、水平方向に流れる溶融ベースガラスを攪拌させ、これによ
る改質物質を垂直に分配する溶融ガラス内の相対的垂直運動が惹起する。
攪拌機9の下流でかつ導管6の上流端方向に、更に攪拌機10が存在しこの攪
拌機10は、流れの進行方向に対し横断方向の成分を伴って、すなわち横方向に
又は横断方向に、溶融ガラス中に改質物質を水平方向に分配するように設計され
る。この水平方向の分配は、らせん形攪拌機9により行なわれる垂直分配とは別
個に行なわれる。攪拌機は、溶融ガラス中に少なくとも部分的に浸漬された実質
的に垂直なかい形ブレートを有する垂直シャフトを含んでなり、その結果シャフ
トの回転は改質物質を有する、水平方向に流れる溶融ベースガラスを攪拌し、こ
れにより流れの幅を水平方向に横切って改質物質を分配する流れの進行方向に対
し横断する成分を伴って溶融ガラス内に相対的水平運動を惹起する。
らせん形攪拌機9およびかい形攪拌機10はそれぞれ、それ自体知られている
形状であり、好適な耐熱性材料、好ましくは白金等の耐熱性金属製である。らせ
ん形攪拌機9を、同一の方向(矢印で反時計方向として示す)に回転する対とし
て示し、他方かい形攪拌機10を、該攪拌機の間に溶融ガラスを流す傾向のある
ようにして、反対の方向(矢印で示す)に回転する対として示す。しかし、攪拌
機(流れを横断するおよび流れに沿う)の数およびこれらの攪拌機の回転方向を
、特定の要求に適合するように選択することができるが、一般的には、かきまぜ
位置において溶融ガラス流の全幅に及ぶのに十分に有効にしなければならないこ
とを理解すべきである。さらに、実際に、溶融ガラス内の純粋に水平方向のまた
は純粋に垂直方向の相対的運動は、それぞれの異なる攪拌機により達成するのに
は、不可能ではないとしても困難であり、水平方向および垂直方向への運動に対
する本明細書中での言及は、それぞれ主に水平方向および主に垂直方向への運動
を示すことを意図するものと理解すべきである。さらに、当業者は、攪拌機9お
よび攪拌機10により得られるそれぞれの異なるかきまぜ機能により別個に(主
に)垂直運動または(主に)水平運動を行うことにより、ガラスコンテナーウェ
ア(glass containerware)の製造においてときどき用いられる同様の複雑な攪拌
機の一層複雑な非常に多くの配列と有利に比較して、比較的簡単な全体的配置を
用いることができることを理解すべきである。
図1の態様において、攪拌機9の位置におけるガラスの温度は、代表的には1
200〜1450℃の範囲内、例えば約1300℃とすることができる。攪拌機
10の位置において、溶融ガラス温度は1150〜1400℃の範囲内、例えば
約1280℃とすることができる。攪拌機9の位置と攪拌機10の位置との間の
長さ方向の距離は、混合が損なわれることを回避するのに十分な距離であり、こ
の観点から、好ましくは少なくとも溶融ガラス流の幅であり、この距離は代表的
には1〜4mの範囲内であってよい。しかし、この距離を一層長くして、特に泡
を生じうるかきまぜ操作間の実質的な不都合な相互作用を回避するのが望ましい
。従って、この距離は、溶融ガラス流の幅、即ち作動部分5の幅の2倍より大き
いのが好ましく、代表的には2〜8mの範囲内、例えば約4mとすることができ
る。溶融ガラス流の深さは、一定方向の流れと一致する程度であり、代表的には
200〜800mmの範囲内、例えば、かきまぜ位置において、長いカナル(例
えば長さ50m)について約500mmまたは比較的短いカナル(例えば長さ1
0m)について約250mmとすることができる。
攪拌機9の位置は特に重要ではないが、例えば、供給装置8から溶融ガラス流
の幅、即ち作動部分5の幅にほぼ等しい距離だけ下流とすることができる。
図1は、3個の供給装置8を腰部4の幅を横断する方向に離間させることを図
式的に示し、ここで溶融ガラス温度は、代表的には1200〜1480℃の範囲
内、例えば約1320℃とすることができる。
任意の好適な数の供給装置を設けることができ、供給装置を任意の好適な形状
とすることができることを理解すべきである。好ましくは、これらの供給装置は
、添加物質を、溶融ベースガラスに加えるときに溶融形態であるようにする。
供給装置のこのような簡単な形状の1つを図2に示す。この供給装置は、最上
部にじょうご12を有する垂直管11を備える。この管は、腰部4の上で耐熱性
屋根13中に支えられ(このベースを図2に示す)、管11の底部は溶融ガラス
中に浸漬され、従って管の端部14はガラス表面Sの下にある。屋根13と溶融
ガラス表面Sとの間に大気空間があり、管11はこの空間を貫通し、この空間は
、管中の添加物質を溶融させるのに十分な高温環境を提供する。使用にあたり、
好適な形状、例えば錠剤形状の添加物質をじょうご12中に任意の好適な好都合
な方法で供給し、添加物質は、重力により管11を下降するに従って溶融する。
添加物質は、(矢印先頭の列により示すように)表面Sの下の管の下端14から
進出し、従って(矢印により示すように)攪拌機9の方向への溶融ベースガラス
流の流れの本体中に進入する(図1)。
図3は、供給装置の他の形状を図式的に示し、この供給装置は、図2に示す供
給装置を変更したものであり、同一の参照符号は同一の部分を示す。図3の方式
は、図2の方式と、管11の底部において異なる。図3において、管は、溶融添
加物質を垂直通路から水平通路へと案内するために平滑な形状を有する結合した
ガイド17を有する垂直パイプ16中に至る中央穴を有する円錐部分15におい
て終了する。パイプ16の底部末端18は、溶融ガラス表面Sの液面より上にわ
ずかな距離だけ離間しており、従って好ましくはパイプのオリフィス直径の3倍
より小さい落下高さを提供し、このオリフィス直径は、例えば10mmのオーダ
ーとすることができる。ガイド17の底部末端19は、溶融ガラス表面Sの液面
の高さである。管11を重力により下降することにより溶融した添加物質は、円
錐部分15中の中央穴を通ってパイプ16に進入し、パイプの底部末端18から
進出し、ここから添加物質はガイド17上に降下する。次に、溶融添加物質を溶
融ベースガラスの表面S上で、ガイド17の末端19から穏やかにすべらせる。
図2に示すように溶融添加物質をガラス表面の下に導入するかまたは図3に示
すようにガラス表面上をすべらせることにより、別の方法(例えば添加物質をガ
ラス上に直接降下させた場合)では生じうる泡の問題を回避するかまたは最小に
することができることを理解すべきである。
図4は、添加物質を溶融ベースガラス表面の下に導入する供給装置の尚他の形
状を図式的に示す。この供給装置は、垂直供給部材を、下側端部21がガラス表
面の下に浸漬されたパイプ20の形態で有する。パイプの最下端部22を閉じ、
浸漬された端部21の一方の側には出口があり、この出口は垂直線に配列した一
連の小さい穴23により形成された垂直方向に延在し、溶融ガラス流の移動の方
向(矢印で示す)に面している。パイプ20中の溶融状態の添加物質は、穴23
(例えば直径が約1mmとすることができる)を通って排出され、溶融ベースガ
ラス中に導入される。穴がパイプの浸漬された端部21に沿って垂直に分布する
ため、添加物質は、溶融ガラス中の大部分へと垂直に分配され、好ましくは添加
物質が加えられるに従って実質的に流れの深さ全体にわたり分配される。
パイプ20の最上部は、直径が増大した頭部24を有し、この上に、傾斜部2
5と水平部26とが高温環境中にある中空溶融器装置が備えられている。所要に
応じて、中空溶融器装置を、電気により直接加熱することができるが、他の加熱
方法を用いることができる。一対の重複するバッフル27および28を、水平部
26中で出口パイプ29のすぐ上流の位置に配置し、これはパイプ20の頭部2
4中に供給する。溶融室装置の傾斜部25は入口30を有し、使用中には、ここ
を通って、添加物質の錠剤を供給して溶融する。溶融した添加物質は、水平部2
6に沿ってバッフル27および28に通り、ここで添加物質は、上方のバッフル
27の下を、次に下方のバッフル28の上を流れることによってのみ通過するこ
とができる。上方のバッフル27の下端を下方のバッフル28の上端より低い高
さとするこのような配置により、バッフルは、清浄な溶融添加物質のみをこれら
のバッフルの間を通って通過させる、スカムおよび他の不所望物質に対するフィ
ルター装置を形成する。次にこのような物質は、出口パイプ29を通ってパイプ
20の頭部24中に流入し、該パイプを降下して、すでに記載したようにパイプ
の下部21における穴23を通って排出される。
この供給装置の態様について、溶融添加物質を溶融ベースガラス中に加える際
、溶融添加物質は溶融ベースガラス中で垂直に分配されるので、例えば前述のら
せん形攪拌機によりさらに垂直に分配させることは、不必要である場合がある。
従って、図4は、シャフト31の下端に突出垂直かい32を有する垂直シャフト
31を有する一対のかい形攪拌機のうちの1つを図式的に示す。シャフト31は
回転し(矢印で示すように)、浸漬されたかい32は、改質物質を含む水平に流
動する溶融ベースガラスをかきまぜて、溶融ガラス内の相対的な水平方向への運
動を流れの移動の方向を横断する成分で生じさせる。これにより、改質物質が溶
融ガラス中で水平方向に分配される。
フィーダーパイプ20とかきまぜシャフト31とを好適に取り付けて、屋根3
3を通ってほぼ水平なチャネルの上を通し、このチャネルに沿って溶融ガラス流
は流れ、このベースを図4中では34で示す。耐熱性屋根構造33を通って通過
するパイプ20の上部は、電気により直接加熱されて、液体添加物質流が流動し
続ける温度に確実に維持する。図4はさらに電気ヒーター35を示し、このヒー
ターは屋根33と溶融ガラス表面Sとの間の大気空間中に取り付けられ、これも
またパイプ20を加熱して液体添加物質流を確実に流動させる。
多数のパイプ20と多数のかい形攪拌機とを、ガラス流を横断して、および/
またはガラス流に沿って離間させることができる。かい形攪拌機は、パイプ20
から比較的短距離下流に配置して、パイプが、改質物質を含む溶融ガラスをパイ
プの方向へ吸引し、改質物質の任意の実質的な垂直方向の変位、例えば沈降を防
止するのが好ましい。
パイプ20の下側端部21における記載した穴23の垂直線は、例示のための
ものであって、他の出口配置を用いることができることを理解すべきである。出
口は必ずしも流れの移動方向に面している必要はなく、他の例として、所要に応
じて回転することができるパイプの円周のまわりに配置された一連の穴とするこ
とができる。さらに、パイプは、必ずしも垂直である必要はなく、全体的にまた
は部分的に傾斜していて、出口が尚垂直成分について延在することができる。特
に、浸漬した端部21は、流れの移動方向に沿ってある角度に折り曲げ、最下部
22がさらにその上側末端よりも下流にすることができる。直線状パイプを用い
る場合には、パイプ20の浸漬されていない部分を同様にある角度に折り曲げる
ことができるか、またはガラス表面Sの領域において彎曲させた垂直パイプとし
て、傾斜した下側部分21を設けることができる。特定的に必要な幾何学的形状
に適合する種々の他の配置が可能である。また、改質物質は、必ずしも図4を参
照して記載したように別個に溶融させる必要はなく、図3を参照して記載したよ
うに管11中で溶融させることができる。図4の形態の比較的短いパイプ20は
、パイプ16およびガイド17の代わりに、図3における管11の底端に連結す
ることができる。所要に応じて、配置を接合して、管11に真空または減圧を加
えて、管中に含まれる物質のガス抜き効果を提供して泡形成の危険を低下させる
ことができる。
図5は図1に類似する図式図であり、ここでは同一の符号を用いて同一の部分
を示す。図5の配置は、共に作動末端5中に位置する、図4を参照して記載した
供給装置およびかい形攪拌機を有する。例示を容易にするために、図5は1つの
供給装置36および1つの対のかい形攪拌機37を示すが、実際には、複数、例
えば2つまたは3つの供給装置を用いることができ、通常各供給装置に結合され
た各々の対のかい形攪拌機を備える。溶融ガラス流の幅を横断する複数の供給パ
イプについては、これらのパイプを互いに、かい形攪拌機シャフトの間隔に等し
いかまたはこの間隔より短い距離だけ離間させて、各供給装置が特定の対のかい
形攪拌機に明瞭に結合されるのが好ましい。
供給装置36からの攪拌機37の長さ方向の距離は、攪拌機中心間の間隔より
小さいのが好ましく、この距離は代表的には300mm〜1.3mの範囲内、例
えば約600mmとすることができる。溶融ガラスの攪拌機37の位置における
温度は、代表的には1100〜1400℃の範囲内、例えば約1180℃とする
ことができる。
図1中の攪拌機10に対応する追加のかい形攪拌機を、図5の例において、カ
ナル6の上流末端方向に備えることができる。所要に応じて、別のかい形攪拌機
38を、図1の例と図5の例との両方において、カナル6の下流末端付近に備え
て、改質添加物質をさらに水平方向に分配することができる。
図1および図5は一般的に出口7を示す。改質物質が溶融ガラス中に実質的に
均質に分配された溶融ガラスの流れを、出口から成形設備に供給する。図6は、
フロートバス39を備えるフロートガラス成形設備を図式的に示し、ここに溶融
ガラスをスパウト40から、結合された制御トウィール41を用いて供給する。
このような設備について、図1および図5における出口7を、図6のスパウト4
0に連結し、改質物質が溶融ガラス中に実質的に均質に分配された供給された溶
融ガラスをフロートガラスに、十分知られている方法で成形する。泡の問題は、
第1に溶融ガラスを清澄にし、次に改質物質を前述のようにして添加し、分配す
ることにより、回避するかまたは最小にすることができる。例示のために示す温
度および寸法の数値は、特にフロートガラス成形設備用のガラス溶融炉またはタ
ンクに関連する。
また、フロートガラスのための高い品質の要求について、本発明は特に、フロ
ートガラスに有用であり、これは他の形態の板ガラス、例えば圧延板または引上
シートに用いることができる。本発明はまた、他の種類のガラス製品、例えばコ
ンテナーウエアまたはテレビジョン管(television tube)に用いることができる
。各々の場合において、ガラス溶融炉またはタンクからの出口を好適な成形設備
に連結する。
改質物質は、前に示したように、着色物質とすることができる。着色剤を加え
られるベースガラスを透明ガラスとして着色剤で色あいを与えるか、またはベー
スガラス自体がすでに色あいを有していて着色剤で色あいを変化させることがで
きる。後者の場合においては、変化させた色あいのカレットを溶融タンク中に、
ベース色あい用に再循環することができる。しかし、着色以外の特性(例えば屈
折率)についての改質物質を用いることができる。
通常はガラスの厚さを貫通して見られる板ガラスについて、ガラスの面積にわ
たる色あい(または他の特性)の実質的な変化は容易に認識できるが、他方厚さ
方向を通しての変化は一般的には比較的重要性が低いことを理解すべきである。
従って、ガラスの面積にわたる改質物質の一様な分配が、ガラスの厚さを通して
の改質物質の一様な分配よりも重要であり、平坦ガラスに関するほぼ均質な分配
に関する本明細書中の記載は、しかるべく解釈されるべきである。
添付した図面、特に図1および図5は、単に図式的であり、縮尺どおりではな
いことを理解すべきである。本発明の方法を広範囲の種々のガラス溶融タンクま
たは炉と共に用いることができ、図1および図5は例示の目的で一例を図式的に
示している。従って、実質的に水平なチャネル(図1および図5において要素4
、5および6で示す)を、このチャネルの長さに沿って幅および/または深さに
ついて変化させることができるが、必ずしもその必要はなく、このような変化は
、通常段階的よりむしろ漸進的であるのが好ましいことを理解すべきである。さ
らに、溶融ガラス流の一定方向への流れは、改質物質添加の上流(例えば図1お
よび図5中の清澄帯域3中)で開始するのが好ましい。
本発明の原理を逸脱することなく行うことができる、特定的に記載した例から
の変更は、当業者には明らかである。例えば、通常は、水平方向の分配を行う前
に溶融ガラス中の改質物質の垂直方向の分配を行うのが好ましいが、水平方向の
分配を、垂直方向の分配の前に有効に行うことができる情況がありうる。また、
改質物質の溶融ガラス中への分配を、特定的に記載した手段以外の手段により実
施することができる。従って、特に、垂直方向の分配を、機械的攪拌機によるよ
りはむしろヒーター、例えば電極により生じる対流により生じさせるかまたは、
電極と攪拌機とを組み合わせることができる。さらに、記載した例においてガラ
ス溶融炉またはタンクを単一の単位を供給するものとして示したが、1つのタン
クが、複数の成形設備に連結された複数の出口を備えることができる。所要に応
じて、ガラス改質を、溶融炉またはタンクとそれぞれの成形設備との間のチャネ
ルにおいて発生させることができ、従って、例えば英国特許出願第961636
4.7号明細書に記載されたように、種々の設備またはラインにより種々の製品
が得られる。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ウィットフィールド ピーター ジェイム
ス
イギリス国 マーシーサイド ダブリュー
エイ10 4エヌ アール セント ヘレン
ズ リヴィントン ロード 59
(72)発明者 ライズグー スタンリー
イギリス国 ランカシャー ダブリューエ
ヌ8 7エル ワイ ウィガン ニューバ
ーグ クローヴリー ドライヴ 9
(72)発明者 ケインズ ジョン
イギリス国 マーシーサイド ピーアール
8 1エル キュー サウスポート キン
グ ストリート 91