JPH11510524A - 低揮発性潤滑組成物 - Google Patents
低揮発性潤滑組成物Info
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- JPH11510524A JPH11510524A JP8-501622A JP50162296A JPH11510524A JP H11510524 A JPH11510524 A JP H11510524A JP 50162296 A JP50162296 A JP 50162296A JP H11510524 A JPH11510524 A JP H11510524A
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、ガソリン及びディーゼルエンジンのクランクケース潤滑用低揮発性5W20、5W30、10W40、10W50W、15W40又は15W50マルチグレードオイルに関するものである。該オイルは、a)平均ベースストック中性数が、5Wマルチグレードに対して105 以上、10Wマルチグレードに対して145 以上、及び15Wマルチグレードに対して200 以上であるベースストック、b)官能基を有する油溶性ポリマー炭化水素主鎖から構成される無灰分散剤を含有し、該炭化水素基が500 〜7000のMnを有する、及び好ましくは>30%の末端ビニリデン不飽和を有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導される清浄剤防止剤パッケージ、及びc)粘度改良剤を含有する。これらのマルチグレードクランクケースオイルにより、高価な軽質ニュートラルベースストックの使用を減少させるか又は全く使用せずによりよい揮発性を提供し、同時にスラッジ及びワニスの十分な制御を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
低揮発性潤滑組成物
本発明は、低揮発性潤滑組成物、特にガソリン及びディーゼルエンジンのクラ
ンクケース潤滑用のマルチグレードオイルに関する。
ガソリン及びディーゼルエンジンのクランクケースに使用する潤滑油は、天然
及び/又は合成のベースストックであって、該潤滑油に所望の特性を付与する1
種以上の添加剤を含有するものを含む。そのような添加剤には一般に、無灰分散
剤、金属清浄剤、酸化防止剤及び耐摩耗成分が含まれており、これらは清浄剤防
止剤(又はDI)パッケージと呼ばれることのあるパッケージとして組み合わさ
れていてもよい。そのようなパッケージ状の添加剤は機能化ポリマーを含んでい
てよいが、該ポリマーは比較的短い鎖を有し、一般には数平均分子量Mnが7000
以下である。
マルチグレードオイルは、通常更に、長鎖のポリマーである1種以上の粘度改
良剤(VM)を含有する。該粘度改良剤が多機能VM類(又はMFVM類)とし
て知られる場合には、該ポリマーが機能化され他の特性が付与されていてもよい
。但し、主として作動範囲にわたりオイルの粘度特性を改良するように作用する
。従って、VMは、高温での粘度を上昇させることにより、高速においてエンジ
ンに一層の保護を与える一方で、低温での粘度を著しく上昇させることはないた
め、冷えたエンジンが始動するのが困難となることはない。高温性能は通常100
℃での動粘度(kV)により測定されるのに対し(ASTM D445 )、低温性能はコ
ールドクランキングシミュレーター(CCS)粘度により測定される(ASTM D26
02の見直しであるASTM D5293)
粘度グレードは、SAE分類システムにより、これら2種類の温度測定に従っ
て定義されている。SAE J300は次のグレードを定義している:
SAE粘度グレード
マルチグレードオイルは、低温性能及び高温性能の両方の要求を満たしており
、両方が関連するグレードに対して特定される。例えば、5W30マルチグレー
ドオイルは、5W及び30の粘度グレード要求の両方を満たす粘度特性を有して
いる。即ち、最大CCS粘度は、−25℃において3500・10-3Pa・sであり、最
小kV100 ℃は、9.3 mm2/s及び最大kV100 ℃は、<12.5mm2/sである
。
マルチグレードオイルがこれらの高温粘度要求を満たすようにするためには、
多量のVMを添加する必要があるが、これにより低温粘度を増加させることとな
る。5W20、5W30、10W40、10W50、15W40及び15W50
等の、広範囲のマルチグレードに対する要求を満たすように、通常、より粘度の
小さいオイルに混合することにより、ベースストック粘度を下げる。即ち、全ベ
ースストックの平均中性数(neutral number)を低くする。従来の鉱物ベーススト
ックを使用するとき、通常、600 Nベースストックのような高粘度のベーススト
ックと、150 N以下のベースストックとを一部分入れ換えて、広範囲のマルチグ
レードにおけるCCS性能を向上させる。その結果、配合したオイルは一層揮発
性になり、これによりオイル消費が増加する。
ベースストック粘度を低下させ、それにより、CCS性能を向上させる他の方
法は、いわゆる、従来のものではない潤滑剤(すなわちNCL)を使用すること
である。NCL類の例としては、ポリαオレフィンオリゴマー類(PAO)及び
ジエステル類等の合成ベースストック及び水素化分解又は水素異性化してパラフ
ィン含有量をより大きくかつ芳香族含有量をより小さくしたベースストック等の
、特別に処理した鉱物ベースストックが挙げられる。これらのNCL類により、
揮発性増加は小さくなるが、非常に高価であり、従来の酸化防止剤系に十分適応
しない。
アメリカ石油協会(API)は、1993年1月付けの刊行物1509、表題“エンジ
ンオイルライセンシング及び検定システム(Engine Oil Licensing and Certific
ation System)”(EOLCS)補遺E,1.2 において、ベースストックを数多
くのカテゴリーに分類しており、それらは、潤滑工業において、広範囲で使用さ
れている。従来の鉱物ベースストックは、グループ1及び2であり;NCL類は
これら2つのグループに分類されないベースストックである。
メタロセン触媒系を使用して合成されるポリマーに基づいて、機能化した及び
/又は誘導体化したオレフィンポリマーを含む新規クラスの無灰分散剤が、米国
特許第 5,128,056号、5,151,204 号、5,200,103 号、5,225,092 号、5,266,223
号、5,334,775 号明細書;国際公開第 94/19436 号、94/13709号公報;及び欧州
特許公開 440506 号、513157号、513211号公報に記載されている。これらの分散
剤は、CCS粘度とkV100 ℃との比で表される、優れた粘度特性を有している
ことが記載されている。
あるマルチグレードクランクケースオイルとこの新規クラスの分散剤とを配合
して、高価な軽質ニュートラルベースストック又は従来のものではない潤滑剤ベ
ースストックの使用を減少させるか又は全く使用せずに、よりよい揮発性を提供
できることを見出した。特に、本発明により、マルチグレードオイルを、VW50
0.00において提案されたノアック(Noack)揮発性に対する要求、ACEA規格及
び提案されたILSAC GF−2規格を満たす揮発性能を有するように製造
することができるようになる一方、同時に、スラッジ及びワニスの十分な制御が
提供される。ノアック粘度は、CEC−L−40−T−87の方法に従って、25
0 ℃における1時間後のオイルの蒸発損失を重量%で測定される。
従って、一つの観点において、本発明は、SAE J300粘度グレード5W20、5
W30、10W40、10W50、15W40又は15W50を満たす低揮発性
マルチグレードクランクケース潤滑オイルであって、
a)平均ベースストック中性数が、5Wマルチグレードに対して105 以上、10
Wマルチグレードに対して145 以上、及び15Wマルチグレードに対して200 以
上であるベースストック、
b)官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有し、該炭
化水素主鎖が、500 〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コ
ポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導される潤滑オイル添
加剤の清浄剤防止剤パッケージ、及び
c)20,000より大きいMnを有する1種以上のポリマー添加剤を含む粘度改良剤
を含む、前記オイルを提供する。
該オイルにより、より軽質の鉱物オイルベースストックの使用を低減するか又
は避けることができ、及び/又は従来のものではない潤滑剤の使用を低減するか
又は避けることができるが、好ましい観点において、該オイルは、ベースストッ
クとして従来のものではない潤滑剤を実質的に含有しない。
該オイルは、SAE J300粘度グレードの5W30、10W40又は15W50を
満たすマルチグレードであるのが好ましい。
該オイルは、CEC−L−40−T−87に従って測定したとき、10W及び
15Wマルチグレードに対して17%以下のノアック揮発性を有するのが好ましく
、13%以下がより好ましい。該オイルは、スラッジ及びワニス制御用の現在の要
求、例えば、API SH及びVW 500.00規格に具体的に記載されている規格
を満たすものである。
該オイルは、無灰分散剤を少なくとも2.0 重量%、より好ましくは、少なくと
も2.25重量%含有しており、これらのパーセンテージは、無灰分散剤添加剤の活
性成分を基準とする。
別の観点において、本発明は、官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含
む無灰分散剤のマルチグレードクランクケースにおける使用であって、該炭化水
素主鎖が、500 〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリ
マー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導され、オイルの揮発性を
低減させる前記使用を提供する。さらなる観点において、本発明は、エンジンに
おける潤滑オイル消費を低減させる方法を提供する。ここで、該エンジンは、官
能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有するマルチグレ
ードクランクケースオイルにより滑らかにされており、該炭化水素主鎖は>30%
末端ビニリデン不飽和及び500 〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(
EAO)コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導される。
詳細な説明
A.ベースストック
潤滑オイルに使用するベースストックは、スパーク点火及び圧縮点火エンジン
用クランクケース潤滑オイルに使用する、APIグループ1及び2(EOLCS
、補遺E,1.2 )の任意の天然鉱物オイルから選ぶことができる。ベースストッ
クは、配合オイルの目的粘度グレードに依存して、本発明の制約内で選ばれる。
鉱物ベースストックは、一般に、100 ℃において、2.5 〜12mm2/s、より一
般的には2.5 〜9mm2/sの粘度のものを入手できる。所望により、従来のベ
ースストックの混合物を使用できる。
B.無灰分散剤
無灰分散剤は、分散される粒子と会合できる官能基を有する、油溶性高分子炭
化水素主鎖を含有する。一般的に、該分散剤は、多くの場合結合基を介して高分
子主鎖に結合しているアミン、アルコール、アミド又はエステル極性基を含有す
る。無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ及びジカルボン酸又はそれら
の無水物の、油溶性塩類、エステル類、アミノ−エステル類、アミド類、イミド
類、及びオキサゾリン類;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;直接結
合しているポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素;及び長鎖置換フェノールと
ホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとを縮合することにより形成さ
れるマンニッヒ縮合生成物から選ぶことができる。
清浄剤防止剤パッケージ中の無灰分散剤に使用する油溶性高分子炭化水素主鎖
は、新しいメタロセン触媒化学を使用することにより製造できるような、エチレ
ンα−オレフィン(EAO)コポリマー及びα−オレフィンホモ−及びコポリマ
ーから選ばれる。これらは高度の、即ち>30%の末端ビニリデン不飽和を有する
ことができる。本明細書において、用語α−オレフィンは、次式のオレフィンを
いう。
式中、R’は、C1−C18アルキル基であるのが好ましい。末端ビニリデン不飽
和の要件は、次の構造がポリマー中に存在することである。
式中、Polyは、ポリマー鎖であり、Rは、一般に、C1−C18アルキル基であ
り、一般的には、メチル又はエチルである。該ポリマーは、好ましくは少なくと
も50%、最も好ましくは少なくとも60%の、末端ビニリデン不飽和を有するポリ
マー鎖を有する。国際公開第94/19426号公報に示されているように、エチレン/
1−ブテンコポリマーは、一般的に、鎖の約10%に末端ビニル基を有し、鎖の残
部に内部モノ不飽和を有する。不飽和の性質は、FTIR分光分析、滴定又はC
−13NMRにより測定することができる。
油溶性高分子炭化水素主鎖は、ホモポリマー(例えば、ポリプロピレン)又は
2以上のそのようなオレフィンのコポリマー(例えば、エチレンと、プロピレン
もしくはブチレン等のα−オレフィンとのコポリマー、又は2種の異なるα−オ
レフィンのコポリマー)であってよい。他のコポリマーとしては、少ないモル量
、例えば1〜10モル%のコポリマーモノマーが、C3−C22の非共役ジオレフ
ィン等のα,ω−ジエンであるもの(例えば、イソブチレンとブタジエンとのコ
ポ
リマー、又はエチレン、プロピレンと1,4−ヘキサジエン又は5−エチリデン
−2−ノルボルネンとのコポリマー)が挙げられる。欧州特許公開第490454号公
報に記載されているように、一般的に700 〜5000のMnを有するアタクティック
プロピレンオリゴマーも、ポリエポキシド等のヘテロポリマーと同様に、使用す
ることができる。
オレフィンポリマーの一つの好ましいクラスの一つは、C4製油所流の重合に
より製造できるような、ポリブテン類、特に、ポリ−n−ブテン類である。オレ
フィンポリマーの他の好ましいクラスは、好ましくはエチレンを1〜50モル%、
より好ましくはエチレンを5〜48モル%含有するEAOコポリマーである。その
ようなポリマーは、1種以上のα−オレフィンを含有することができ、及び1種
以上のC3−C22ジオレフィンを含有することができる。さらに有用なのは、様
々なエチレン含有量のEAOの混合物である。種々のポリマータイプ、例えばE
AO並びにMnの異なるポリマー群をまた、混合又は混和することができ;これ
らから誘導される成分をまた、混合又は混和することができる。
オレフィンポリマー及びコポリマーは、700 〜5000のMnを有するのが好まし
く、2000〜5000がより好ましい。ポリマー分子量、特にMnを、種々の公知技術
により測定することができる。好適な方法の一つは、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー(GPC)であり、これにより、さらに分子量分布情報が提供される(W.W.
Yau,J.J.Kirkland and D.D.Bly,“Modern Size Exclusion Liquid Chroma
tography”,John Wiley and Sons,New York,1979を参照のこと)。特に低分
子量ポリマーに有用な別の方法は、蒸気圧浸透圧法である(例えばASTM D3592を
参照のこと)。
ポリマーの重合度Dpは、
Dp=Σ{(Mn×モノマーiのモル%)/(100 ×モノマーiのモル重量)}
i
であり、2つのモノマーのコポリマーのDpは、次式により計算できる。
Dp=(Mn×モノマー1のモル%)/(100 ×モノマー1のモル重量)
+(Mn×モノマー2のモル%)/(100 ×モノマー2のモル重量)
本発明の好ましい観点において、本発明において使用されるポリマー主鎖の重
合度は、少なくとも45、一般的には50〜165 、より好ましくは55〜140 である。
特に好ましいコポリマーは、エチレンブテンコポリマーである。
本発明の好ましい観点において、オレフィンポリマー及びコポリマーを、メタ
ロセン触媒を用いる種々の触媒重合方法により製造できる。該触媒は、例えば、
次式で表されるかさ高いリガンド遷移金属化合物である。
〔L〕mM〔A〕n
式中、Lは、かさ高いリガンドであり;Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり
、及びm及びnは、全リガンド価が遷移金属の原子価に対応するようなものであ
る。該触媒は、化合物がイオン化して1+価の状態になることができる4配位で
あるのが好ましい。
リガンドL及びAは互いに結合していてもよく、2つのリガンドA及び/又は
Lが存在するとき、それらは結合していてもよい。メタロセン化合物は、シクロ
ペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニル誘導リガンドでありうる、2
つ以上のリガンドLを有するフルサンドイッチ化合物でありうるか又は該リガン
ドLを一つ有するハーフサンドイッチ化合物でありうる。リガンドは、単環式も
しくは多環式であるか又は遷移金属に対してη−5結合することができるあらゆ
る他のリガンドでありうる。
1種以上のリガンドは、遷移金属原子にπ−結合することができ、該原子は4
、5又は6族の遷移金属及び/又はランタノイド又はアクチノイド遷移金属であ
りうる。ジルコニウム、チタン及びハフニウムが特に好ましい。
リガンドは、置換又は無置換であってよく、及びシクロペンタジエニル環のモ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタ−置換が可能である。任意に、置換基
(群)は、リガンド及び/又は離脱基及び/又は遷移金属間で一以上の結合とし
て作用することができる。そのような結合は、一般的に、一以上の炭素、ゲルマ
ニウム、シリコン、リン又は窒素原子−含有基を含有し、及び好ましくは該結合
が、被結合物間に1原子結合を配置するが、その原子は他の置換基を有すること
ができ、かつしばしば有する。
メタロセンはまた、さらに置換可能なリガンド、好ましくは助触媒−離脱基−
により置換したリガンドを含むことができる。該助触媒は一般的に、広範囲のヒ
ドロカルビル基及びハロゲンから選ばれる。
そのような重合、触媒、及び助触媒又は活性剤は、例えば、米国特許第4530914
号、4665208 号、4808561 号、4871705 号、4897455 号、4937299 号、4952716
号、5017714 号、5055438 号、5057475 号、5064802 号、5096867 号、5120867
号、5124418 号、5153157 号、5198401 号、5227440 号、5241025 号明細書;欧
州特許公開第129368号、277003号、277004号、420436号、520732号公報;及び国
際公開第 91/04257 号、92/00333号、93/08199号、93/08221号、94/07928号及び
94/13715号公報に記載されている。
油溶性高分子炭化水素主鎖を機能化して、官能基を、ポリマーの主鎖に、又は
ポリマー主鎖から垂れ下がっている一以上の基として含ませることができる。官
能基は、一般的に、極性であり、かつP、O、S、N、ハロゲン、又はホウ素等
の一以上のヘテロ原子を含む。該官能基を、置換反応を介して油溶性高分子炭化
水素主鎖の飽和炭化水素部に、又は付加もしくは環付加反応を介してオレフィン
部に結合することができる。又、該官能基を、ポリマー鎖末端の酸化又は開裂に
よりポリマーに含ませることができる(例えば、オゾノリシス(ozonolysis)によ
る)。
有用な機能化反応としては、以下のものが挙げられる:オレフィン結合におけ
るポリマーのハロゲン化及び続いて起こる、そのハロゲン化したポリマーと、エ
チレン性不飽和官能化合物との反応(例えば、ポリマーとマレイン酸又は無水物
とが反応するマレエート化);ハロゲン化を伴わない“エン(ene)”反応による
、ポリマーと不飽和官能化合物との反応;ポリマーと少なくとも1種のフェノー
ル基との反応(これにより、マンニッヒ塩基タイプ縮合において誘導体化ができ
る);コッホタイプ反応を用いる、不飽和点におけるポリマーと一酸化炭素との
、イソ又はネオ位にカルボニル基を導入する反応;遊離基触媒を用いる遊離基付
加による、ポリマーと機能化する化合物との反応;チオカルボン酸誘導体との反
応;及
びポリマーの空気酸化法、エポキシ化、クロロアミン化、又はオゾノリシスによ
るポリマーの反応。
次に、機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖を、アミン、アミノアルコール、
アルコール、金属化合物又はそれらの混合物等の求核反応体によりさらに誘導し
て、対応する誘導体を形成する。機能化したポリマーを誘導するのに有用なアミ
ン化合物は、少なくとも一種のアミンを含有し、及び一種以上のアミン又は他の
反応基又は極性基をさらに含有することができる。これらのアミン類は、ヒドロ
カルビルアミン類であるか、又はヒドロカルビル基が、他の基、例えば、ヒドロ
キシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル、イミダゾリン基等を含む、主とし
てヒドロカルビルのアミンであってよい。特に有用なアミン化合物としては、モ
ノ−及びポリアミン、例えば、分子内の全炭素数が、約2〜60、一般的には2
〜40(例えば、3〜20)及び窒素原子数が、約1〜12、一般的には3〜1
2、及び好ましくは3〜9のポリアルキレン及びポリオキシアルキレンポリアミ
ン類が挙げられる。アルキレンジハライドとアンモニアとの反応により製造され
るようなアミン化合物の混合物を、有利に使用することができる。好ましいアミ
ンは、例えば、1,2−ジアミノエタン;1,3−ジアミノプロパン;1,4−
ジアミノブタン;1,6−ジアミノヘキサン;ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン等のポリエチレンアミン;並び
に1,2−プロピレンジアミン及びジ−(1,2−プロピレン)トリアミン等の
ポリプロピレンアミンを含む脂肪族飽和アミンである。
他の有用なアミン化合物としては、以下のものが挙げられる:1,4−ジ(ア
ミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン類、及びイミダゾリン等の複素
環式窒素化合物。特に有用なクラスのアミン類は、米国特許第4,857,217 号; 4,
956,107 号; 4,963,275 号及び5,229,022 号明細書に開示されているポリアミド
及び関連するアミド−アミン類である。米国特許第4,102,798 号; 4,113,639 号
; 4,116,876 号明細書;及び英国特許第 989,409号公報に記載されているトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(THAM)もまた有用である。デンドリマ
ー、星状アミン類、及び櫛形アミン類もまた使用することができる。同様に、米
国特許第5,053,152 号明細書に開示されている縮合アミンを使用することがで
きる。機能化したポリマーとアミン化合物とを、欧州特許公開第 208,560号公報
; 米国特許第4,234,435 号及び5,229,022 号明細書に記載されている従来技術に
従って反応させる。
機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖をまた、一価及び多価アルコール等のヒ
ドロキシ化合物又はフェノール類及びナフトール類等の芳香族化合物により誘導
することができる。多価アルコールとしては、例えば、アルキレン基が炭素原子
を2〜8個含有するアルキレングリコール類が好ましい。他の有用な多価アルコ
ールとしては、グリセロール、グリセロールのモノ−オレエート、グリセロール
のモノステアレート、グリセロールのモノメチルエーテル、ペンタエリトリトー
ル、ジペンタエリトリトール及びそれらの混合物が挙げられる。エステル分散剤
はまた、アリルアルコール、シンナミルアルコール、プロパルギルアルコール、
1−シクロヘキサン−3−オール、及びオレイルアルコール等の不飽和アルコー
ルから誘導される。無灰分散剤を得ることができるアルコールの他のクラスは、
例えば、オキシ−アルキレン、オキシアリーレンを含むエーテル−アルコールを
含む。それらは、150 個までオキシ−アルキレン基を有するエーテル−アルコー
ルにより例示することができ、該アルキレン基は炭素原子を1〜8個含有する。
エステル分散剤は、コハク酸のジ−エステル又は酸性エステル、即ち、部分的に
エステル化したコハク酸;並びに部分的にエステル化した多価アルコール類又は
フェノール類、即ち、遊離アルコール又はフェノール性ヒドロキシ基を有するエ
ステルであってよい。エステル分散剤は、例えば米国特許第3,381,022 号明細書
に具体的に示されているような数種の公知方法の一つにより製造できる。
無灰分散剤の好ましい基としては、コハク酸無水物基で置換し、ポリエチレン
アミン類(例えばテトラエチレンペンタアミン)、トリスメチロールアミノメタ
ン等のアミノアルコール並びにアルコール及び反応性金属、(例えばペンタエリ
トリトール、及びそれらを組み合わせたもの)等の任意の追加反応体と反応させ
たものが挙げられる。米国特許第3,275,554 号及び3,565,804 号明細書に示され
ている方法により、ポリアミンを主鎖に直接結合した分散剤もまた有用であり、
この場合、ハロゲン化炭化水素上のハロゲン基は、種々のアルキレンポリアミン
類で置換されている。
無灰分散剤の別のクラスは、マンニッヒ塩基縮合生成物を含有する。一般的に
、これらは、アルキル−置換モノ−又はポリヒドロキシベンゼンの約1モルと、
カルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)の約
1〜2.5 モル及び例えば米国特許第 3,442,808号明細書に開示されている、ポリ
アルキレンポリアミンの約0.5〜2モルとを縮合させることにより製造される。
そのようなマンニッヒ縮合生成物は、ベンゼン基上の置換基としてメタロセン触
媒重合のポリマー生成物を含むことができ、又は米国特許第 3,442,808号明細書
に示されているのと類似の方法で、コハク酸無水物上で置換した該ポリマーを含
有する化合物と反応させることができる。
メタロセン触媒系を用いて合成されるポリマーに基づいて機能化した及び/又
は誘導したオレフィンポリマーの例としては、上記の刊行物に記載されているも
のが挙げられる。
米国特許第3,087,936 号及び3,254,025 号明細書に一般的に教示されているよ
うな、ホウ酸塩化(boration)等の種々の従来の後処理法により、分散剤をさら
に後処理することができる。これは、アシル窒素含有分散剤を、アシル化窒素組
成物1モル当たり約0.1 原子比のホウ素〜アシル化窒素組成物の窒素の1原子比
当たり約20原子比のホウ素となる量の、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸
及びホウ酸のエステルからなる群から選ばれるホウ素化合物で処理することによ
り容易に行うことができる。。分散剤は、ホウ酸塩化アシル窒素化合物の全重量
を基準として、約0.05〜2.0 重量%、例えば、0.05〜0.7 重量%のホウ素を含有
するのが有用である。ホウ素は、脱水したホウ酸ポリマーの生成物(主に(HB
O2)3)として生成物中に現れ、例えば、ジイミドのメタボラート塩のようなア
ミン塩として、分散剤イミド類及びジイミド類に結合すると思われる。ホウ酸塩
化は、ホウ素化合物、好ましくはホウ酸の約0.05〜4重量%、例えば、1〜3重
量%(アシル窒素化合物の重量を基準とする)を、通常はスラリーとしてアシル
窒素化合物に添加し、135 ℃〜190 ℃、例えば、140 ℃〜170 ℃まで、1〜5時
間攪拌しながら加熱し、その後窒素を除去することにより容易に実施される。又
、ジカルボン酸材料とアミンとの加熱反応混合物に、水を除去しながらホウ酸を
添加することにより、ホウ素処理を行うことができる。
C.粘度改良剤
本発明で使用する粘度改良剤は、潤滑オイルに高温及び低温作動性を付与する
働きをする。使用するVMは、その機能のみを有していてもよく、又は多機能で
あってもよい。
分散剤としても働く多機能粘度改良剤はまた、公知であり、及び無灰分散剤に
について上に記載されているように製造することができる。油溶性高分子炭化水
素主鎖は、通常、20,000から、より一般的には20,000から500,000 まで又はそれ
以上のMnを有する。一般的に、これらの分散剤粘度改良剤は、機能化されたポ
リマー(例えば、マレイン酸無水物等の活性モノマーで後からグラフトしたエチ
レン−プロピレンのインターポリマー)であり、次に、例えばアルコール又はア
ミンで誘導体化したものである。
単機能粘度改良剤として使用するのに適切な化合物群は、一般的に、高分子量
の炭化水素ポリマーであり、ポリエステル類が含まれる。油溶性粘度改良ポリマ
ーは、一般的に、約10,000〜1,000,000 、好ましくは20,000〜500,000 の重量平
均分子量を有し、その分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより(上に記載
したように)又は光散乱により測定することができる。
適切な粘度改良剤の例としては、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレン及
び更に分子量の大きいα−オレフィンとのコポリマー、ポリメタクリレート、ポ
リアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸と
ビニル化合物とのコポリマー、スチレンとアクリルエステルとのインターポリマ
ー、並びにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブ
タジエンの部分的に水素化したコポリマー、並びにブタジエン及びイソプレン及
びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分的に水素化したホモポリマーが挙げられ
る。
粘度改良剤は、添加剤の上記カテゴリーから、本発明のオイルのマルチグレー
ド粘度要求を得られるような量で、任意に選ぶことができる。そのような粘度改
良剤は、特に経済的及び効果的であるとの理由から、ポリイソブチレン又はエチ
レンとプロピレン又は分子量の大きいα−オレフィンとのコポリマーであるのが
好ましい。しかしながら、特に大きい剪断安定性を有するオイルを得るために、
5以下のSSIを有する、非常に剪断安定な粘度改良剤を使用することができ、
そのような粘度改良剤に、特に水素化したポリイソプレンスターポリマー及び水
素化したスチレン−イソプレンブロックコポリマーが含まれる。このタイプの商
業的に入手できる粘度改良剤の例には、Shell International Chemical社から、
シェルビス(Shellvis)(商標)200 シリーズとして市販されている系統の製品が
ある。
本発明のあらゆる観点において使用する粘度改良剤は、必要な粘度特性を得る
量で使用される。一般的には、オイル溶液の形態で使用されるため、使用する添
加剤の量は、添加剤を含有するオイル溶液中のポリマー濃度に依存する。しかし
ながら、実例として、VMとして使用するポリマーの典型的なオイル溶液は、混
和したオイルの1〜30%の量で使用される。オイルの活性成分としてのVMの量
は、一般的に0.01〜6重量%、より好ましくは0.1 〜2重量%である。
他の清浄剤防止剤パッケージ添加剤
追加の添加剤は、一般的に、本発明の組成物に含まれる。そのような添加剤の
例としては、金属又は灰含有清浄剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦改良剤、防錆
剤、起泡抑制剤、乳化破壊剤、及び流動点降下剤が挙げられる。
金属−含有又は灰−形成清浄剤は、沈積物を低減させるか又は除去するための
清浄剤として及び酸中和剤又は防錆剤の両方として働き、それにより、摩耗及び
腐食を低減して、エンジンの寿命を長くする。清浄剤は、一般的に、長い疎水性
末端を有する極性頭部を含有し、該極性頭部は酸性有機化合物の金属塩を含有す
る。該塩は、実質的に金属の化学量論量を含有することができ、その場合、通常
、普通の又は中性塩として記載されており、及び一般的に、0〜80の全塩基数即
ちTBN(ASTM D2896により測定することができる)を有することができる。酸
化物又は水酸化物等の過剰の金属化合物と、一酸化炭素等の酸性ガスとを反応さ
せることによる多量の金属塩基を含むことができる。得られる過塩基化清浄剤は
、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外層として中和した清浄剤を含有する。
そのような過塩基化清浄剤は、150 以上、及び一般的には250 〜450 又はそれ以
上のTBNを有することができる。
使用することができる清浄剤としては、油溶性中性及び過塩基化スルホネート
類、フェナート類、硫化フェナート類、チオホスホネート類、サリチレート類、
及びナフテネート類並びに金属、特にアルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、
ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、及びマグネシウムの、他の油溶
性カルボキシレート類が挙げられる。最も一般的に使用されている金属は、両方
とも潤滑剤中で使用されている清浄剤に存在することができるカルシウムとマグ
ネシウム、及びカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムとの混合物であ
る。特に便利な金属清浄剤は、20〜450 TBNのTBNを有する中性及び過塩基
化カルシウムスルホネート類、及び50〜450 のTBNを有する中性及び過塩基化
カルシウムフェナート類及び硫化フェナート類である。
スルホネート類は、石油の分別物により、又は芳香族炭化水素のアルキル化に
より得られるもののようなアルキル置換芳香族炭化水素をスルホン化することに
より、一般的に得られるスルホン酸から製造することができる。例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又は、クロロベンゼン、クロ
ロトルエン及びクロロナフタレン等のそれらのハロゲン誘導体をアルキル化する
ことにより得られるものが挙げられる。アルキル化は、触媒の存在下、炭素数が
約3〜70を超すアルキル化剤により行うことができる。アルカリールスルホネー
トは、通常、アルキル置換芳香族基当たり、約9〜約80又はそれ以上の炭素原子
を、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含有する。
油溶性スルホネート類又はアルカリールスルホン酸は、金属の酸化物、水酸化
物、アルコキシド、カルボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスル
フィド、ニトレート、ボラート及びエーテルにより中和することができる。金属
化合物の量は、最終生成物の所望のTBNに関して選ばれるが、一般的には、化
学量論的に要求される量の約100 〜220 重量%(好ましくは少なくとも125 重量
%)の範囲である。
フェノール類及び硫化フェノール類の金属塩を、酸化物又は水酸化物等の適切
な金属化合物との反応により製造することができ、及び中性又は過塩基化生成物
は、当該分野において周知の方法により得ることができる。硫化フェノール類は
、フェノールと、硫黄又は硫化水素、一ハロゲン化硫黄又は二ハロゲン化硫黄等
の
硫黄含有化合物とを反応させ、一般的に、2以上のフェノール類が硫黄含有結合
により結合している化合物の混合物である生成物を形成することにより製造する
ことができる。
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、しばしば、耐摩耗剤及び酸化防止剤
として使用される。金属は、アルカリもしくはアルカリ土類金属、又はアルミニ
ウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってよい。亜
鉛塩は、潤滑オイル組成物の全重量を基準として、0.1 〜10重量%、好ましくは
0.2 〜2重量%の量で、最も一般的に、潤滑オイル中で使用されている。該塩を
、公知技術に従って製造することができ、まず、通常は、1種以上のアルコール
又はフェノールとP2S5とを反応させることによりジヒドロカルビルジチオリン酸
(DDPA)を形成し、次に、形成したDDPAを亜鉛化合物により中和する。
例えば、ジチオリン酸は、第一及び第二アルコールの混合物を反応させることに
より製造することができる。又、あるもののヒドロカルビル基は完全に二級の性
質であり、他のもののヒドロカルビル基は完全に一級の性質である、多数のジチ
オリン酸を製造することができる。亜鉛塩を、塩基性又は中性にするために、亜
鉛化合物を使用することができるが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が最も一般的
に使用されている。市販の添加剤は、しばしば、中和反応において過剰の塩基性
亜鉛化合物を使用するために、過剰の亜鉛を含んでいる。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジチオカルビルジチオリン酸
の油溶性塩であり、次式で表すことができる。
式中、R及びR’は、同じか又は異なるヒドロカルビル基でよく、炭素原子を1
〜18、好ましくは2〜12個含有し、アルキル、アルケニル、アリール、アリ
ールアルキル、アルカリール及び脂環式基を含む。R及びR’基として特に好ま
しいのは、炭素数2〜8のアルキル基である。このように、基は、例えば、エチ
ル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec-ブチル、アミ
ル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデ
シル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチ
ルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってよい。油溶性となるように、
ジチオリン酸の全炭素数(即ちR及びR’)は、一般的に約5以上とする。それ
故、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有
することができる。ヒドロカルビル基をジチオリン酸に導入するために使用され
る、少なくとも50(モル)%のアルコールは、都合のよいことに、第二アルコー
ルである。
酸化防止剤又は抗酸化剤により、使用により鉱物オイルが劣化する傾向を低減
させるが、そのような劣化は、金属表面上のスラッジ及びワニス状沈積物等の酸
化生成物により、及び粘度増加により明らかとなり得る。そのような酸化防止剤
には、ヒンダードフェノール類、好ましくはC5−C12アルキル側鎖を有するア
ルキルフェノールチオエステル類のアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェ
ノールスルフィド、無灰油溶性フェナート類及び硫化フェナート類、リン硫化(p
hosphosulfurized)又は硫化炭化水素、リン酸エステル類、金属チオカルバメー
ト、米国特許第4,867,890 号明細書に記載されているような油溶性銅化合物、及
びモリブデン含有化合物が含まれる。
1つのアミン窒素に直接結合している少なくとも2つの芳香族基を有する一般
的な油溶性芳香族アミンは、炭素原子を6〜16個含有する。アミン類は、3個
以上の芳香族基を含有することができる。全部で少なくとも3つの芳香族基を有
する化合物であって、2つの芳香族基は共有結合により又は原子もしくは基(例
えば、酸素もしくは硫黄原子、又は−CO−、−SO2−もしくはアルキレン基
)により結合しており、及び2つが1つのアミン窒素に直接結合しているものも
、芳香族アミンとみなされる。芳香環は、一般的に、アルキル、シクロアルキル
、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ及びニトロ
基から選ばれる1種以上の置換基により置換されている。
摩擦改良剤を含ませて、燃料経済性を向上させることができる。油溶性アルコ
シキル化モノ−及びジアミン類は、境界層潤滑を向上させることがよく知られて
いる。該アミン類を、そのまま、又は酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、メタボラ
ート、ホウ酸又はモノ−、ジ−もしくはトリアルキルボラート等のホウ素化合物
による付加物又は反応生成物のような形態で使用することができる。
他の摩擦改良剤が知られているが、これらの中でカルボン酸及び無水物とアル
カノールとを反応させることにより形成されるエステルがある。他の従来の摩擦
改良剤は、一般的に、親油性炭化水素鎖に共有結合している極性末端基(例えば
、カルボキシ又はヒドロキシ)を含む。カルボン酸及び無水物とアルカノールと
のエステルは、米国特許第4,702,850 号明細書に記載されている。他の従来の摩
擦改良剤の例としては、M.Belzer 著、“Journal of Tribology”(1992),Vol
.114,pp.675-682 及び M.Belzer and S.Jahanmir著“Lubrication Science
”(1988),Vol.1,pp.3-26に記載されているものがあげられる。
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール類及びそれらのエステル類、ポリ
オキシアルキレンフェノール類、及び陰イオン性アルキルスルホン酸からなる群
から選ばれる防錆剤を使用することができる。
銅及び鉛を有する腐食抑制剤を使用することができるが、一般的には、本発明
の配合に必要ではない。一般的にそのような化合物群は、炭素数5〜50のチアジ
アゾールポリスルフィド類、それらの誘導体及びそれらのポリマーである。米国
特許第2,719,125 号; 2,719,126 号及び3,087,932 号明細書に記載されているよ
うな1,3,4−チアジアゾール類が一般的である。他の同様な化合物は、米国
特許第3,821,236 号; 3,904,537 号; 4,097,387 号; 4,107,059 号; 4,136,043
号; 4,188,299 号; 及び4,193,882 号明細書に記載されている。他の添加剤は、
英国特許明細書第1,560,830 号に記載されているようなチアジアゾールのチオ及
びポリチオスルフェンアミド類である。ベンゾチアゾール誘導体はまた添加剤の
このクラスに分類される。これらの化合物群が潤滑組成物に含まれるとき、それ
らは、0.2 重量%活性成分を超えない量で存在するのが好ましい。
少量の乳化破壊成分を使用することができる。好ましい乳化破壊成分は、欧州
特許330,522 号公報に記載されている。該成分は、アルキレンオキシドと、ビス
エポキシドと多価アルコールとを反応させることにより得られる付加物とを反応
させることにより得られる。乳化破壊剤は、0.1 重量%活性成分を超えない値で
使用すべきである。処理割合0.001 〜0.05重量%活性成分が都合がよい。
流動点降下剤は、或いは潤滑オイル流動性向上剤として知られており、該流体
が流動するか又は注ぐことができる最低温度を低くする。そのような添加剤は周
知である。流体の低温流動性を向上させる典型的な添加剤としては、炭素数8〜
18のジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、及びポリアルキルメ
タクリレートが挙げられる。
起泡制御は、シリコンオイル又はポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン
タイプの起泡抑制剤を含む多くの化合物により提供することができる。
上記添加剤の幾つかは、複数の効果を提供することができる;したがって、例
えば、単一の添加剤が分散剤−酸化防止剤として作用することができる。このア
プローチは、周知のものであり、かつ本明細書中にさらに詳しく述べる必要がな
い。
潤滑組成物が一種以上の上記添加剤を含有するとき、各添加剤は、一般的に、
添加剤が所望の機能を提供できるような量でベースオイルに混合される。クラン
クケース潤滑オイルに使用した場合の、そのような添加剤の効果的な量の例は、
以下のようである。ここで、全ての値は有効成分の重量%として示されている。
成分を任意の便利な方法でベースオイルに含ませることができる。このように
、所望の濃度でオイルに分散させるか又は溶解させることにより、各成分をオイ
ルに直接添加することができる。そのような混合は、室温又は高温下で行うこと
ができる。
粘度改良剤及び流動点降下剤を除く全ての添加剤をブレンドして、濃厚物又は
清浄剤抑制剤パッケージとして本明細書に記載した添加剤パッケージとし、これ
を、続いてベースストックに混合して最終潤滑剤を製造する。そのような濃厚物
を使用することが便利である。該濃厚物は、一般的に、該濃厚物と所定量のベー
ス潤滑剤とを組み合わせたときに、最終的な配合物において所望の濃度を提供す
るのに適切な量で添加剤(群)を含有するように配合する。
濃厚物は、米国特許第 4,938,880号明細書に記載されている方法に従って製造
するのが好ましい。その特許には、約100 ℃以上の温度で前混合して、無灰分散
剤と金属清浄剤とのプレミックスを調製することが記載されている。その後、プ
レミックスを85℃以下まで冷却して、追加成分を添加する。
最終配合は、濃厚物又は添加剤パッケージが、2〜15重量%、好ましくは5〜
10重量%、一般的には約7〜8重量%であり、残部がベースオイルであってよい
。
以下の実施例により、本発明を具体的に説明する。実施例において、他に具体
的に説明しない限り、全添加剤の全処理割合は、重量%活性成分として記載した
。実施例 比較例1及び2並びに実施例1及び2
API SH/CD規格に適合する、一連のマルチグレードクランクケース潤
滑オイルを、従来のものではない潤滑剤、Shell XHVI5.7 として商業的に入手で
きる水素化分解したベースストック(20重量%のオイルを含有する)、及び1種
以上の鉱物ベースストックの混合物、無灰分散剤、ZDDP、酸化防止剤、金属
−含有清浄剤、摩擦改良剤、乳化破壊剤、及び起泡抑制剤を含有する清浄剤防止
剤パッケージ(DIパッケージ)及びこれらとは分けた粘度改良剤及び流動点降
下剤から製造した。
比較例では、従来のホウ酸塩化ポリイソブテニルスクシンイミド分散剤(PI
BSA/PAM)を使用したが、本発明の実施例では、コッホ反応によりカルボ
ニル基を導入することにより機能化した、エチレン/ブテンコポリマー主鎖(G
PCにより測定したMnは2400であり、エチレン含有量は39モル%、末端ビニリ
デンは64%である)であって、ポリアミンによる反応及びホウ酸塩化(EBCO
/PAM)を行ったものを有する無灰分散剤を使用した。そのような無灰分散剤
の製造は、国際公開第94/13709号公報に記載されている。EBCO/PAM無灰
分散剤を、PIBSA/PAMの場合よりも、低い処理割合(2.4 重量%)で使
用した。これは、前者のより優れた分散剤性能により、十分な性能を得るのに必
要な量が少なくなるからである。各オイルについて、kV100 ℃及び−20℃にお
けるCCS粘度を測定し、平均ベースストック中性数(平均BSNN)を次式か
ら決定した:
log(平均BSNN)=BSR1×log(BSNN1)/100+BSR2×log(BSNN2)/100+...
ここで、BSRn=ベースストックnに対するベースストック比
=(ベースストックnの重量%/
オイル中の全ベースストックnの重量%)×100
BSNNn=ベースストックnに対するベースストック中性数
結果を以下の表、表1に示す。
脚注:1.OCP=剪断安定性指数25のエチレンプロピレンコポリマーのオイル溶
液。HPI =Shell International Chemical社からShellvis 201として入手できる
水素化したポリイソプレンVM。
本発明の実施例により、少量の無灰分散剤、少量のVM、OCP又はさらに剪
断安定な水素化したポリイソプロピレンのいずれか一方を使用して、軽質ニュー
トラルベースストック(130 N)を含まずに、10W40粘度グレードオイルに
対する粘度限界を満たし、かつ低下した揮発性を有するオイルを製造することが
可能であることが示された。比較例3及び4並びに実施例3及び4
別の一連のオイルを、15W40及び15W50粘度グレードにおいて試験し
た。結果を下の表2に示す。
脚注:2.OCP=表1に定義した通り。TLA =Texaco Chemincal社TLA347E として
商業的に入手できる、25のSSI を有するエチレンプロピレンコポリマーのオイル
状溶液。
これらの結果は、本発明により、低揮発性広範囲マルチグレードオイルを、よ
り平均中性数の大きいベースストックと、より少量のVMを用いて製造すること
が可能であることを示しており、このことは、ディーゼル潤滑においてピストン
付着物を減少させ及びスス分散性を向上させるような、改良されたディーゼル性
能、並びに低減したターボチャージャー中間冷却器付着物を与えるのに有効であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C10N 30:04
40:25
(72)発明者 アダムス ディヴィッド ロバート
イギリス オックスフォードシャー エス
エヌ7 8アールエヌ ファーリングドン
ヒントン ウォールドリスト ハイ ス
トリート コーナーストーンズ (番地な
し)
(72)発明者 ブライス ポール
イギリス オックスフォードシャー オー
エックス14 3アールティー アービング
ドン ガーリー フィールド 22
Claims (12)
- 1.SAE J300粘度グレード5W20、5W30、10W40、10W50、15 W40又は15W50を満たす低揮発性マルチグレードクランクケース潤滑オイ ルであって、 a)平均ベースストック中性数が、5Wマルチグレードに対して105 以上、1 0Wマルチグレードに対して145 以上、及び15Wマルチグレードに対して200 以上であるベースストック、 b)官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有し、該 炭化水素主鎖が、500 〜7000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO) コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポリマーから誘導される、潤滑オイ ル添加剤の清浄剤防止剤パッケージ、及び c)20,000より大きいMnを有する1種以上のポリマー添加剤を含む粘度改良 剤を含む、前記オイル。
- 2.ベースストックとして従来のものではない潤滑剤を実質的に含有しない請求 項1記載のオイル。
- 3.5W30、10W40又は15W50粘度グレードオイルである請求項1又 は2記載のオイル。
- 4.CEC−L−40−T−87に従って測定したとき、17%以下のノアック揮 発性を有する請求項1〜3のいずれか1項記載のオイル。
- 5.CEC−L−40−T−87に従って測定したとき、13%以下のノアック揮 発性を有する請求項4記載のオイル。
- 6.無灰分散剤を2重量%以上含有する請求項5記載のオイル。
- 7.無灰分散剤の炭化水素主鎖が、>30%の末端ビニリデン不飽和を有するエチ レンα−オレフィン(EAO)コポリマーから誘導される請求項1〜6のいずれ か1項記載のオイル。
- 8.無灰分散剤の炭化水素主鎖が、2000〜5000のMnを有するエチレンα−オレ フィン(EAO)コポリマーから誘導される請求項1〜7のいずれか1項記載の オイル。
- 9.高分子炭化水素主鎖が45以上の重合度を有する請求項1〜8のいずれか1項 記載のオイル。
- 10.高分子炭化水素主鎖が50〜165 の重合度を有する請求項9記載のオイル。
- 11.官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤のマルチグレー ドオイルにおける使用であって、該炭化水素主鎖が500 〜7000のMnを有するエ チレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフィンホモ−又はコポ リマーから誘導され、オイルの揮発性を低減させる前記使用。
- 12.エンジンにおける潤滑オイル消費を減少させる方法であって、該エンジンが 、官能基を有する油溶性高分子炭化水素主鎖を含む無灰分散剤を含有するマルチ グレードクランクケースオイルにより滑らかにされ、該炭化水素主鎖が、500〜7 000のMnを有するエチレンα−オレフィン(EAO)コポリマー又はα−オレフ ィンホモ−又はコポリマーから誘導される前記方法。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11510524A true JPH11510524A (ja) | 1999-09-14 |
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