JPH11505363A - 高速データ伝送用モジュラプラグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 モジュラプラグ(１０)は絶縁ハウジング(１２)及び複数のコンタクト(１４)を具える。コンタクト(１４)は従来のモジュラプラグと同様の絶縁貫通部(２４)及び嵌合部(１６)を有する。更に、端子(１４)には結合部(２２)を介して嵌合部(１６)に接続されるキャパシタンス板状部(２０)を有し、端子の一部の隣接コンタクトと交差し、特定のコンタクト間に容量性カップリングを付与する。この容量性カップリングはクロストークを低減する。

Description

【発明の詳細な説明】 高速データ伝送用モジュラプラグ 本発明は、クロストーク(漏話)低減手段を有し、高速データ伝送を可能にする コネクタに関する。 デジタル信号を高速で伝送するケーブル及び接続システムの需要が増加してい る。周波数が高くなると、「ノイズ」の放射も増加し、これが近接配置した導体同 士にクロストークと称される問題を生じることとなる。ある伝送周波数を超すと 、クロストークが許容限界を超すのでデータ伝送速度を制限することとなる。ケ ーブルにおいては、クロストークを低減する１つの方法は、導体をペア(対)とし て相互にツイスト(撚る)ことであり、このペアの一方の導体は正信号を伝送し、 他方の導体は正信号と同じ大きさ且つ同じタイミングの負信号を伝送する。ペア 導体中に逆極性の信号が伝送されるので、これを差動ペアと称する。相互に導体 をツイストすることにより、ケーブルの一方から放射される電磁界は、他方から 放射される電磁界を相殺するので、ペアから放射されるノイズは極めて低レベル となる。斯るペアを複数本ケーブル内に相互に密接配置して高速で電気信号を伝 送する。 しかし、複数の導体がコネクタ内の端子に接続される接続端で１つの問題が生 じる。コネクタの端子は多くの場合重ね合わされた並列関係に配列されるので、 ケーブルの導体間より多くのクロストークが生じる。クロストークの影響を低減 する１つの方法が、ヨーロッパ特許公報第５８３，１１１号に開示され、コネク タの導体ペアを相互に交差させてツイストケーブルの導体と同様に作用させてい る。また、コネクタ内のコンタクトの交差は米国特許第５，１８６，６４７号に も開示されている。この後者はモジュラジャックにおけるクロストーク低減を開 示し、電気通信及びコンピュータ用データ相互接続システムで標準コネクタとし て広く採用されている。標準モジュラジャック及びこれに接続される対応プラグ は、当初低速データ伝送システム用に設計され使用されており、従って、高速デ ータ伝送用として、必ずしも、もっとも有効な接続システムとは言えない。しか し、それが広く普及しているので、この標準化されたインタフェース要件を維持 したままでデータ伝送速度を改良するモジュラプラグ及びジャックの必要性があ る。 クロストークを低減する他の手段が米国特許第５，３２６，２８４号に開示さ れており、コネクタの導体間に容量性或いは誘導性カップリング(結合)を設けて いる。このコネクタにおいて、コネクタ(モジュラジャック)はインダクタンス及 びキャパシタンスにより導体間をカップ リングするように配置された回路トレースを有するプリント回路基板(ＰＣＢ)上 に載置される。このカップリングの目的は、導体間を等しい大きさ且つ逆極性信 号(差動信号)により更にカップリングしてラインに存するクロストークを中和す ることである。更に、キャパシタンス及びインダクタンスは、コネクタのインピ ーダンスがケーブルのインピーダンスと整合して信号の反射を低減するように調 整可能である。しかし、ＰＣＢの使用は、更に別部品を付加することになり、コ ネクタ組立体のコスト上昇を招来することとなる。更に、コネクタ自体も大型と なる。特に、コネクタによってはＰＣＢを付加できず、例えば、ＰＣＢをモジュ ラプラグ内に配置できないということもある。 そこで、コストが安価であるのみならず、更にコンパクトであり、高速データ 伝送が可能であり、クロストークが低く、インピーダンスが制御可能である相互 接続システムを得るのが好ましい。更に、これらの特徴を標準化されモジュラプ ラグコネクタに付加するのが好ましい。 本発明の目的は、高速信号伝送用のコンパクト且つ安価なコネクタを提供する ことである。 本発明の目的は、高速データ伝送用の標準モジュラプラグを提供することであ る。 本発明の更なる目的は、差動信号伝送用コネクタのクロストークを低減するコ ンパクト且つ安価な手段を提供し且つそれへのケーブル接続とインピーダンス整 合可能な手段を提供することである。 本発明のこれらの目的は、絶縁ハウジングと、それに取り付けられる複数のコ ンタクトとを具え、コンタクトはワイヤ接続部と相手コネクタの端子と接触する 嵌合部とを有し、更にコンタクトは他のコンタクトとの間で容量性カップリング を行うプレート(板状)部を有するコネクタにより実現される。好適実施例による と、コンタクトは金属板を打抜き折曲げにより形成し、且つ標準モジュラプラグ コネクタに取付けられる。コネクタのコンタクトの一部は、コンタクト部とプレ ート部との間の薄い延長部を有し、この薄い延長部によりコンタクト部に対して プレート部を交差させて対応するコンタクトが隣接コンタクトを超えて他のコン タクトと容量性カップリングするようにしている。コンタクトの嵌合部と接続部 とは、略平板状とすることができ、接続部は絶縁ワイヤの撚り線へ貫通する手段 により、絶縁貫通接続コンタクトを有し、嵌合部はコンタクトの弧状端縁(エッ ジ)を有する。後者の移動により、容量性プレート部はコネクタの嵌合端から離 れるよう後方に延び、ケーブルのワイヤ上に位置され、プラグに接続されてコン パクトな構成が得られることとなる。 次に、本発明の好適実施例を添付図を参照して一層詳細に説明する。 図１は、本発明により得られる容量性カップリング構成の簡単な電気回路図で ある。 図２及び図２６は、差動ペアに沿って伝送される信号の例である。 図３は、本発明によりモジュラプラグを、コンタクトをハウジングから分解し て示す斜視図である。 先ず、図１を参照すると、１乃至８の番号が附された８本の導体を示す。これ ら８本の導体は、それぞれ４本の差動ペアＡ、Ｂ、Ｃ及びＤに属する。信号は、 これら導体対により差動的に伝送され、１つのペアの一方の導体は図２ａ中にＳ で示す正電圧信号を伝送し、そのペアの他方の導体はこの信号Ｓに対して負電圧 であり、等しい大きさ及びタイミングの信号を伝送する。ツイストペアケーブル 中において、差動ペアは相互にツイストされているので、ペアワイヤの一方から の電磁ノイズの放射は他方のそれと相互に相殺して高速データ伝送を可能にする 。 しかし、コネクタにおいて、ワイヤ端は直線状とされ、略重ね合わせされ配置 されるので、その例を図１中に導体１−８として示す。導体のこのような重ね合 わせ配置により、導体間には不平衡なクロストークが存する。このことをより明 瞭に説明する例として導体３と、差動ペアＡ(導体１，２)間のクロストークを考 える。導体３は導体１よりも導体２に近接配置されるので、導体３への導体２の ノイズ影響は、導体３への導体１のそれより大きい。導体１，３間にキャパシタ ンスＣ１３を配置することにより、導体１により伝送されている信号エネルギー の一部が導体３へ容量的に供給され、且つもしこのキャパシタンスＣ１３を正し い大きさとすると、この付加的にカップリングされた信号は、導体２からのノイ ズを相殺することとなる。その理由は両者が反対の極性である為である。導体３ への差動ペアＢ(導体４，５)の影響も同様であり、導体３及び５間のキャパシタ ンスＣ５３により平衡される。同様理由により、導体４及び６間にキャパシタン スＣ４６を、また導体６及び８間にキャパシタンスＣ８６を配置することにより 、導体６へのペアＢ及びＣの影響を平衡させる。これにより、クロストークは差 動対Ａ及びＤ、Ｃ及びＤ、及びＢ及びＤ間で実質的に低減される。差動ペアＡ、 Ｂ及びＣは相互に相当離れているので、クロストークの影響は少ない。特にその 理由は、導体により生じる電磁界は一般的に距離の２乗に反比例する為である。 次に図３を参照すると、図示のモジュラプラグコネクタ１０は絶縁ハウジング １２と、図１のレイアウトに対応する番号１−８が付された複数の打抜き折曲げ 加工されたコンタクト１４を具える。各コンタクト１４は嵌合部１６、接続部１ ８及び結合部２２を介して嵌合部に接続されるキャパシタ板状部２０を有する。 接続部１８は、絶縁貫通用尖端２４を有し、下方に位 置する絶縁導体に押込まれるよう構成されている。キャパシタ板状尖端２０の上 方加圧端２５とアライメントされている嵌合端１６の上端縁２３に工具を当接さ せて絶縁貫通尖端２４を、ハウジング１２の導体受容キャビティ内に位置するワ イヤ導体に向けて押込む。そこで、絶縁貫通尖端２４はワイヤ絶縁体を貫通して 内部の撚り線導体と接触する。 嵌合及び接続部１６，１８は、従来のモジュラプラグの対応部と類似するので 、モジュラプラグ１０は従来のモジュラジャックと嵌合可能である。モジュラプ ラグ１０とモジュラジャックのばね接点を嵌合部１６の弧状接触面２６に当接さ せることにより行う。導電性ワイヤは、ワイヤ受容端２８から嵌合端３０近傍へ 上方に延び且つ絶縁貫通尖端２４へ向けて下方へ延びるキャビティ内に挿入され る。従って、ケーブルのワイヤはコンタクト１４の下方に挿入され、次にコンタ クトはワイヤに接触するべく押圧される。各コンタクト１４は、絶縁壁部３２に より隣接コンタクトから分離され、この壁部３２によりコンタクトの嵌合部１６ を横方向に支持する。 図１に示す如くキャパシタンスＣ１３を付与するために、第１コンタクトは斜 めの結合部２２を有し、板状部２０の面１の接触部１６の面に対してコネクタの コンタクト間のピッチ相当分だけオフセットされる。同様に、コンタクト部材２ は第１コンタクトの方に嵌合部に対して斜めにオフセットされたキャパシタ板状 部を有する。従って、第１端子のキャパシタンス板状部２０は、第３端子の略平 板状の対応部に隣接配置される。キャパシタンスＣ５３を付与する為に、第５端 子の板状部２０も嵌合部１６からオフセットし、また第４端子も同様であり、第 ５端子のキャパシタンス板状部が第３端子の対応部の近傍に配置され、第４端子 のキャパシタンス板状部は第６端子の対応部の近傍に位置する。第６端子は第３ 端子と類似し、略平板状である。第７及び第８端子はそれぞれ第１及び第２端子 と同様構成である。第１、第４及び第７端子は薄い結合部２２が夫々第２、第５ 及び第８端子の結合部２２上且つ交差して配置される。これら第２、第５及び第 ８端子は高さが低く、結合部の交差を可能にしている。 図１に示した電気的セットアップを可能にする為に、第２及び第７端子の板状 部は不要であるが、この実施例にあっては移動する必要はなく、残して他の端子 と同様に構成するのが除去するよりもコスト上有利である。 キャパシタンス板状部２０は嵌合面３０に対してコンタクト嵌合部１６の後方 に位置するので、構成はコンパクトになり、しかも標準モジュラジャックと嵌合 可能にする。換言すると、コネクタ１０は標準化されたインタフェースを有する 。キャパシタンス板状部２０は導体ワイ ヤ上に位置するので、コネクタ１０が必要とするスペースを増加することはない 。更に、コンタクトは簡単且つ一体の打抜き折曲げ部品であり、ハウジング１２ に容易に組立て可能である。 従って、本発明はコンタクトを大変コンパクト構成すると共にコンタクト間の キャパシティブ(容量性)結合を付与して、クロストーク低減及びコネクターケー ブル間のインピーダンス整合を行うことが可能であるという利点を有する。この 簡単な打抜き折曲げされた一体のコンタクトは、製造組立が安価となり、標準モ ジュラジャックに嵌合する標準モジュラプラグが得られる。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年４月１４日 【補正内容】 クロストークを低減する他の手段が米国特許第５，３２６，２８４号に開示さ れており、コネクタの導体間に容量性或いは誘導性カップリング(結合)を設けて いる。このコネクタにおいて、コネクタ(モジュラジャック)はインダクタンス及 びキャパシタンスにより導体間をカップリングするように配置された回路トレー スを有するプリント回路基板(ＰＣＢ)上に載置される。このカップリングの目的 は、導体間を等しい大きさ且つ逆極性信号(差動信号)により更にカップリングし てラインに存するクロストークを中和することである。更に、キャパシタンス及 びインダクタンスは、コネクタのインピーダンスがケーブルのインピーダンスと 整合して信号の反射を低減するように調整可能である。しかし、ＰＣＢの使用は 、更に別部品を付加することになり、コネクタ組立体のコスト上昇を招来するこ ととなる。更に、コネクタ自体も大型となる。特に、コネクタによってはＰＣＢ を付加できず、例えば、ＰＣＢをモジュラプラグ内に配置できないということも ある。 英国特許公開第２２７１６７８号は、嵌合部、ＩＤＣ(圧接)ワイヤ接続部及び 両者間のリンク部を介して一体に延びるキャパシタンス部を有する端子コンタク ト付きもジュラジャックを示している。このキャパシタンス部は導体ペア間のク ロストークを低減する目的の為に嵌合部から横方向にオフセットし、他のコンタ クトのキャパシタンス板上に配置されている。 米国特許第５，２２６，８３５号は、接触部とＩＤＣワイヤ接続部付き端子を 有し、隣接端子が接触部と接続部間の中間で交差して、導体ペアに制御された半 ツイストを付加してクロストークを低減する４導体パッチプラグを開示している 。 そこで、コストが安価であるのみならず、更にコンパクトであり、高速データ 伝送が可能であり、クロストークが低く、インピーダンスが制御可能である相互 接続システムを得るのが好ましい。更に、これらの特徴を標準化されたモジュラ プラグコネクタに付加するのが好ましい。 本発明の目的は、高速信号伝送用のコンパクト且つ安価なコネクタを提供する ことである。 本発明の目的は、高速データ伝送用の標準モジュラプラグを提供することであ る。 請求の範囲 １．絶縁ハウジング(１２)及び複数の並置される打抜き折り曲げられた端子(１ ４)を具え、各端子は絶縁体貫通尖端(４)と相手コネクタの端子と接触する嵌合 部(１６)付きワイヤ接続部(１８)を有し、各端子は工具を位置させる上縁(２３) を有し前記接続部(１８)の前記絶縁体貫通尖端(２４)を下方にある前記ハウジン グのワイヤ受容キャビティ内のワイヤ導体に押込み、相手モジュラジャックコネ クタに接続するモジュラプラグコネクタ(１０)において、 前記端子は更に結合部(２２)を介して前記嵌合部から延びるキャパシタ ンス板状部(２０)を具え、前記端子のいくつかの前記キャパシタンス板状部(２ ０)は前記嵌合部の面から前記オフセットした面にあり且つ前記嵌合部(１６)に 隣接しない嵌合部(１６)を有する端子の前記キャパシタンス板状部の近傍に配置 されて導体ペア間のクロストークをバランスさせることを特徴とするモジュラプ ラグコネクタ。 ２．前記キャパシタンス板状部(２０)は前記嵌合及び接続部(１６，１８)と一体 に金属板から打抜き折り曲げ形成されることを特徴とする請求項１のコネクタ。 ３．前記キャパシタンス板状部は前記プラグの嵌合端(３０)から後方に延び、且 つ前記ワイヤ接続部に接続されるワイヤ導体の上方に配置されていることを特徴 とする請求項１又は２のコネクタ。 ４．前記キャパシタンス板状部(２０)は平板状であることを特徴とする請求項１ 乃至３のいずれかのコネクタ。 ５．前記キャパシタンス板状部(２０)の面は前記嵌合及び接触部(１６，１８)と 平行であることを特徴とする請求項４のコネクタ。 ６．前記端子のいくつかの結合部(２２)は隣接端子の結合部上であり且つ離間し て交差することを特徴とする請求項１乃至５のいずれかのコネクタ。 ７．前記キャパシタンス板状部は前記ハウジング(１２)の外面近傍から前記ハウ ジングの導体受容通路に向けて重ね合わされた平行関係で延びることを特徴とす る請求項１乃至６のいずれかのコネクタ。 ８．前記キャパシタンス板状部(２０)は前記嵌合部(１６)の上縁(２３)とアライ メントされた上縁(２５)を有する請求項１乃至７のいずれかのコネクタ。 ９．前記各端子(１４)は前記嵌合部(１６)を横方向に支持する絶縁壁部(３２)に より隣接端子(１４)と分離されている請求項１乃至８のいずれかのコネクタ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブライアン ドナルド スチーブンソン イギリス国 ダブリューディー７ ８ディ ーエフ ハーツ、ラドレット、ギルス ヒ ル レーン ８

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．絶縁ハウジング(１２)と複数の打抜き折曲げされた並列の端子(１４)を具え 、各端子はワイヤ接続部(１８)と嵌合部(１６)とを有し、相手コネクタの端子と 接触して接続されるコネクタ(１０)において、 前記端子は接続部(２２)を介して嵌合部から延びるキャパシタンス板状部(２ ０)を更に有し、前記端子の一部の前記キャパシタンス板状部(２０)は嵌合部と オフセットし且つ前記嵌合部(１６)に隣接しない嵌合部(１６)を有する端子の前 記キャパシタンス板状部に隣接配置して導体対間のクロストークをバランスする ことを特徴とするコネクタ。 ２．前記コネクタは標準モジュラジャックに接続される標準モジュラプラグであ ることを特徴とする請求項１のコネクタ。 ３．前記キャパシタンス板状部(２０)は金属板から前記嵌合部及び接続部(１６ ，１８)と一体的に打抜き折曲げ加工されていることを特徴とする請求項１又は ２のコネクタ。 ４．前記キャパシタンス板状部は前記プラグの嵌合端(３０)から後方に離れて延 び且つワイヤ導体上に位置してワイヤ接続部(１８)に接続されることを特徴とす る請求項２又は３のコネクタ。 ５．前記嵌合及び接続部(１６，１８)は従来の標準モジュラプラグと同じスペー ス及び寸法であることを特徴とする請求項１のモジュラプラグ。 ６．前記キャパシタンス板状部(２０)は平板状であることを特徴とする請求項１ 乃至５のいずれかのコネクタ。 ７．前記キャパシタンス板状部(２０)の面は前記嵌合及び接触部(１６，１８)の 面と平行であることを特徴とする請求項６のコネクタ。 ８．前記端子の一部の結合部(２２)は隣接端子の結合部上を離間して交差するこ とを特徴とする請求項１乃至７のいずれかのコネクタ。 ９．前記キャパシタンス板状部は前記ハウジング(１２)の外面の近傍を平行に前 記ハウジングの導体受容通路に向けて延びることを特徴とする請求項１乃至８の いずれかのコネクタ。