JPH11504915A - 組織エントラップメント - Google Patents

組織エントラップメント

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JPH11504915A
JPH11504915A JP8533133A JP53313396A JPH11504915A JP H11504915 A JPH11504915 A JP H11504915A JP 8533133 A JP8533133 A JP 8533133A JP 53313396 A JP53313396 A JP 53313396A JP H11504915 A JPH11504915 A JP H11504915A
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JP8533133A
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Inventor
フランシス,ジリアン・エリザベス
フィッシャー,デレク
Original Assignee
ポリマスク・ファーマシューティカルズ・パブリック・リミテッド・カンパニー
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1271Non-conventional liposomes, e.g. PEGylated liposomes, liposomes coated with polymers

Abstract

(57)【要約】 診断薬または治療薬の皮膚または充実性腫瘍へのデリバリーは、該薬剤を被包化する脂質含有高分子分子構造(例えば、リポソーム)および該高分子構造の外部に結合した親水性部分のタイプおよび量ならびに該高分子構造を形成する種々の脂質または他の疎水性本体の相対的な割合の至適化によって改良される。

Description

【発明の詳細な説明】 組織エントラップメント 本発明は診断用および治療用物質を腫瘍および皮膚にデリバリーするための脂 質基剤組成物ならびにかかる組成物の医薬における使用に関する。 リポソームの処置は、循環寿命を高めるために、またはその循環からのリポソ ームの浄化を調節するために、さもなければリポソームおよびエントラップされ た診断用または治療用試薬を腫瘍にデリバリーすることを容易にするために、リ ポソームに安定性を与えることを意図として、種々の開示が、以前より、ポリエ チレングリコール(PEG)基を有するまたはポリエチレングリコールおよび類 似するポリマーに関与するリポソーム処方に関連してなされていた。これらの開 示は、暗黙のうちにまたは明らかに診断または治療剤の腫瘍吸収を高める、以下 、「プッシュ」機構と称される機構に依存している。簡単に言えば、「プッシュ 」機構によれば、リポソームが血流中に多くあり、そのリポソームが血流中に長 く留まっていればいるほど、「ペイロード」(エントラップされた治療もしくは 診断剤または複数の治療もしくは診断剤)が腫瘍にデリバリーされる機会は多く なる。 本発明は、脂質基剤組成物中のペイロードを充実性腫瘍にデリバリーすること を高める別の機構に到達したものであり、その機構を、以下、「トラップ」機構 と称する。一言では、「トラップ」機構は、特に、脂質基剤組成物が腫瘍から喪 失することを減少させ、デリバリーされたペイロードを腫瘍中により多くの量留 めることで作用する。 以下にその2つの機構をさらに詳細に説明する: 「プッシュ」機構 腫瘍局在化法について記載するPCT/US90/06211(Liposome T echnology Inc)は、第4節、20行で以下のように述べている: 「詳述したごとく、本発明のリポソームは、血流中のリポソームの寿命を延ば すこと、および腫瘍への溢出、相対的に高い薬剤担持能、およびリポソームを腫 瘍に分配し、そこに入るのに必要な時間(注射後、最初の24ないし48時間) の間にエントラップされた薬剤の漏出を最小限とすることを可能とするリポソー ムの大きさにより充実性腫瘍領域に特異的に局在化させるのに効果的である。」 このどのようにして腫瘍局在化が起こるかについての見解は、その同一特許出 願に示されているデータを考慮すれば正しいことは明らかである。物質の血流中 にある寿命が延び、その物質が腫瘍部位への溢出能を有する場合、リポソームの 溢出は、その機構に対する現時点での意見を考慮して満足のいくプロセスである とは考えられず、血中濃度と同じ歩調で増加するであろうから、物質の腫瘍への デリバリー(単位時間当たりにデリバリーされる絶対量に換算して)は自動的に 増加するであろう。事実、漏出性腫瘍の血管構造はよく知られているため、この ことは漏出能を有するいずれのリポソームも血中濃度に依存する絶対速度で溢出 するであろうことを意味する。この局在化方法は、単に、より多くのリポソーム を製造すること、すなわち、単位時間当たりに利用できるペイロードを増やすこ とによって循環時間を高め、より多くの物質を腫瘍に「プッシュ」するのに利用 するものである。 PCT/US90/06211の表10はこの解釈を支援している。表10を 用いて腫瘍:血液比を計算すると、対照となる通常のリポソームでは、腫瘍:血 液の比率が2時間で0.1:1であり、24時間で0.5:1であって、48時間 で1.4:1であることがわかった。これは、初めの2つの時点で腫瘍よりも血 液中に多くの物質があるように、対照のリポソームが(血液のクリアニンス時間 との関連で)ゆっくりと腫瘍の中に入ることを意味する。血中レベルが落ちた後 に物質が存続していることは、腫瘍中の物質の浄化速度が血液からのクリアニン ス速度よりも遅いことを示す。血液のクリアニンス速度は組織分布速度と通常の 排泄および破壊/代謝過程による循環からの排除速度の混成であること;前者は 初めの時点で、後者は後の時点で優勢であることに注意すべきである。PEG化 リポソームの表10に示す例(DSPC=10:Chol=3:PEG−PE= 1モル比)では、腫瘍:血液比は2時間で0.1:1であり、24時間で0.3: 1であって、48時間で0.6:1である、すなわち、後の2つの時点で、非P EG化対照との関連で、その比率は低下している。対照と比較して、後の時点で のこの腫瘍:血液の比率の減少は、1またはそれ以上の体内のリポソーム排除器 官への進入がポリマー誘導化により減少し、循環時間が高められる場合の、ほと んどの状況にて考えられることである(以下の腫瘍:血液比の検討を参照のこと) 。 同一特許出願の別の例(非PEG化対照との比較はない)ではまた、腫瘍:血 液比が非常に低いことを示した(リポソームのドキソルビシン含量の比較に基づ く): 4時間 3.8:232=0.016(ドキソルビシンμg/mlの比率) 24時間 23:118=0.19(ドキソルビシンμg/mlの比率) 48時間 29.1:84=0.35(ドキソルビシンμg/mlの比率) これらのかかるデータは、より多くの化合物を腫瘍に押し出すためには、リポ ソームが血中に最大限保持され、血液/腫瘍のバリアーを横切るのにリポソーム が十分に小さいことを保証する必要があるとする基本原理の解釈を支持している 。この見解は、血液循環時間が長ければ長い程、腫瘍にデリバリーされるリポソ ームの量が多いことを暗に示している。したがって、これらポリマー被覆したリ ポソームの最適処方は、循環の保持時間を最大限とすることにより得られるはず である。このために、コレステロール関連の改良物と他の脂質組成物関連の改良 物の組み合わせの半減期をPEG化することでさらに改良した。同特許出願の請 求項9は、(誘導化していないリポソームよりも「数倍大きな」)血漿中での半 減期の増加が達成されたと強調している。 数冊の別の刊行物はポリマー被覆リポソームを開示し、その腫瘍局在化特性を 検討している。データでその計算をすることができるかまたはその値が与えられ ている場合、これらのすべてのケースで、腫瘍:血液比は、ポリマー誘導化のリ ポソームについて、対照の非誘導化リポソームよりも小さく、24時間と48時 間の間の期間の数箇所またはすべての間で、その比率は1よりも小さい。 例えば、Papahadjopoulousら(PNAS、88:11460-11464、(1991))は図4にて、 ドキソルビシンの腹水にある腫瘍細胞への吸収を加えて、PCT/US90/0 6211に掲載されているのと同じデータを示す: PEG化PEG−DSPE(0.2):HSPC(2):Chol(1); [PEG−DSPE=脂質の6.25モル%]リポソーム、(非PEG化対照は なし): 腫瘍:血液 4時間 <1:232 = <0.004 24時間 0.5:118 = 0.0042 48時間 2:84 = 0.024 加えて、Hwangら(Cancer Res.、52:6774-6781(1992))は、図2において、 PEG化と非修飾化の対応物を比較し、PEG−DSPE(0.2):DSPE (2):Chol (1)[PEG−DSPE=脂質の6.25モル%]vs DSP C(2):Chol(1)について、48時間での腫瘍の血液に対する比率を示す : 腫瘍:血液 3:5=0.6(PEG化) 2:1=2(非PEG化) 「トラップ」機構 多くの状況で、高い腫瘍:血液濃度比(すなわち、1の数倍)が非常に望まし いことに注意すべきである。例えば、血管の腫瘍イメージング、薬物および放射 性核種のデリバリーが挙げられる。しかし、本発明者らは腫瘍:血液比が減少す る代わりに腫瘍の局在化を高めることは望ましくないと認識している。本発明者 らによってなされたPEG化リポソームを用いる実験で、意外にも、腫瘍:血液 比が減少することを回避する別の最適化方法によって、腫瘍吸収をさらに大きく 高める可能性が明らかにされた。 本発明の基礎は腫瘍:血液比に影響を及ぼす因子を試験することである。その 理論に縛られたくないが、本発明者らは、親水基を有する脂質をベースにした構 造物中のペイロードとしてデリバリーされる、診断薬および治療薬の腫瘍吸収の 強化は、ペイロード物質が腫瘍内でトラップされるようになるように、脂質をベ ースにした構造物の破壊速度またはその腫瘍からの喪失速度に影響を及ぼすこと により達成されると信じている。発明者らは皮膚が充実性腫瘍と同様に作用する 器官であることを明らかにした。詳細には、本発明の最適操作にて腫瘍:血液比 を変える因子が、皮膚:血液比と同様の効果を有することに注目した。これは他 の器官では観察されなかった。 以下にPEG化リポソームについて論議するが、腫瘍および皮膚の吸収作用を 強化する原理は、他のPEG化された脂質をベースにした構造物およびPEG基 以外の親水性ポリマー基を有する脂質をベースにした構造物にまで広げることが できる。さらに、明瞭に説明するために、吸収作用の最適化を、以下、主として 腫瘍について論じる;それでも、その原理は、同様に、皮膚への吸収にも適用で きる。 リポソームの生体分布が排除組織(すなわち、リポソームを破壊する器官また は細胞型)によるその吸収の減少によって変えられる場合、循環の半減期は、必 然的に拡張され、さらに多くのリポソームで被包した物質が腫瘍にデリバリーさ れる。これらの環境下で、リポソームで被包した物質の腫瘍:血液比は非修飾( 対照)リポソームと比べて変化する。しばしば、腫瘍:血液濃度比が対照と比べ て、特に後の時点(例えば、24ないし144時間)で減少し、循環寿命を向上 させたことによる、腫瘍の吸収作用を向上させたリポソーム処方のそのような腫 瘍:血液比の減少は前記したいくつかの報告書にて明らかであろう。 しかし、生体分布の数学実験でのシミュレーション(表A)は、排除器官また は複数の排除器官による吸収が減少すると、腫瘍:血液比が必然的に低下するも のではないことを示す。このことは4種のコンパートメント実験(コンパートメ ント1=血液;コンパートメント2=腫瘍;コンパートメント3=残りの組織; コンパートメント4=排除器官)ならびに非修飾リポソームおよび試験リポソー ムをボーラス静脈内注射した後、腫瘍:血液濃度比が排除コンパートメントによ る吸収の減少に伴って変化することを考慮することで説明される。 4種のコンパートメント実験を構成し、シミュレーションをSCOMP(M.S .LeaningおよびM.A.Boroujerdi(1991)により作成されたIBM PC's用パ スカルプログラム)[1]を用いて行った。該実験はコンパートメント間のフラ ックスの速度についてのオプションを有する。排除器官(複数でも可)を除き、 すべてのコンパートメントにて線形速度を有するようにフラックスおよび(満足 いく浄化機構をシミュレーションするために)後者にてLangmuirフラックスを設 定することで、自己および他人のデータの現実的シミュレーションが得られた。 表に示される速度はコンパートメント間の移動速度を定める。時間0での仮定の ボーラス入力は各ケースで100であった。腫瘍:血液の比率を経時的に4種の コンパートメントにおける濃度に関する実験出力を用いて計算した。 [1]Leaning MS,Boroujerdi MA:分類実験およびシミュレーションの ためのシステム、コンピューター・メソッド&プログラム・イン・バイオメディ スン(1991):35:71−92。 コンパートメント間の移動速度定数についての変数の設定に応じて、この変数 (低級K4.1)は腫瘍:血液比を増加、減少、または複合的変化(例えば、始 めの時点で増加し、終わりの時点で減少する)させることができる。腫瘍と残り の組織との排除速度の比率(KO,2/KO,3)が高い(例えば、10)場合 、腫瘍:血液比は落ち易く、その比率が低い(≪1)場合、腫瘍:血液比は逆に 上がる傾向にあり、その比率が中間の値では複合的変化が観察される。加えて、 残りの組織と排除器官(複数でも可)とについての排除速度の比率(KO,3/ KO,4)が低いまたは高い場合、腫瘍:血液比は、低級K4.1で、各々、低 下または上昇する傾向にある。しかしながら、この比率が>1の場合、コンパー トメント4は目立った排除器官ではなく、かくしてこの概要はRESよりリポソ ームを除外するリポソーム修飾に対しては適当でないことに留意すべきである。 低級K4.1で腫瘍:血液比が上昇するか低下するかに影響を及ぼす他の因子は 、残りの組織と排除組織(複数でも可)ついての受け入れ速度の比率(K3,1 /K4,1)であり、結果はK4.1の調整の前後の比率に依存する。この比率 は腫瘍:血液比に対してほとんど予想できない効果を有する(すなわち、この比 率を同方向にて変える種々の変数は、腫瘍:血液比の変化の方向について異なる 効果を有することができる)が、対照リポソームの行動に適合するマルチコンパ ートメントモデルにて変数を用いた場合、他の変数が付随して変化することなく 、K4.1を低級とすると、腫瘍:血液比を減少させる傾向にある。すなわち、 腫瘍が他の「非排除」器官よりもかなり低い破壊速度を有する場合(KO,2≪ KO,3)を除いて、排除器官(複数でも可)によるリポソームの吸収速度が低 下するにつれて、腫瘍:血液比は落ちる傾向にある。これはプッシュ機構を利用 するリポソームの修飾の望ましくない効果であり、撤回されるであろう。 前記した概要とは反対に、腫瘍組織によるリポソームの破壊速度を減少させる か、または腫瘍から血液へ逆に出て行く速度を減少させるいずれの修飾も、腫瘍 :血液比を増加させるであろう。リポソーム修飾を行い、(リポソームの腫瘍中 の濃度を上昇させると同時に)腫瘍:血液の比率を常に上昇させる3種の概要は 、以下のとおりである: 1) 腫瘍によるリポソームの破壊速度を修飾により減少させる場合; 2) 腫瘍から血液へ逆にリポソームを輸送する速度を修飾により減少させる場 合; 3) 排除器官(複数でも可)への吸収速度が修飾されたリポソームで減少し、 修飾および非修飾リポソームの両方で、腫瘍が他の「非排除器官」よりもかなり 低い破壊速度を有する場合(KO,2≪KO,3)。 これらの概要は、各々、腫瘍:血液比の増加を提供するものであり、それらは 、単独でまたは一緒になって、排除器官(複数でも可)へのエントリーの減少が 前記した変化と同じに起こる場合に、腫瘍:血液比の低下傾向を減少または排除 することができる。排除器官(複数でも可)へのエントリーが減少した場合でも 、腫瘍:血液比が低下しない場合があり、腫瘍内での破壊または腫瘍からの流出 の減少がある場合、「プッシュ」および「トラップ」の原理の重要な弁別手段で ある。 以前の薬物動態学の研究は、通常のリポソームがリポソームに関する分解速度 定数および吸収速度定数の両方について類似する用量依存性を示し、したがって 吸収および分解の両方について同一の基本的機構があることを示唆した[Harashi maら、Biopharmaceutics and Drug Disposition,14:265-270,(1993)]。すなわ ち、従来の文献は、異なる用量および/または異なる処方でPEGのリポソーム が吸収および分解プロセスの両方に対して独立した影響を及ぼし得るという概念 に反対しており;事実、その2つのプロセスは、今では、独立して調節されると みなされるため、それらは同じ基本機構を有することができない。 従来技術と対照的に、本発明の原理は、別のリポソームの最適化方法を導き、 プッシュ原理により単に作用するリポソーム修飾とトラッピング機構を介して腫 瘍:血液比を増加させるものとを区別するための方法を提供する。かくして、本 発明に関連する最適化は、改良された循環時間および修飾リポソーム機能の仲介 者として細網内皮細胞系(肝臓および脾臓)からの排除を放棄する。 腫瘍(または皮膚)デリバリーがトラップ機構を利用することによって増強さ れるリポソーム(または他の脂質をベースにした構造)を製造するために、リポ ソーム(または他の脂質をベースにした構造)物質の種々の互いに依存する態様 を考慮し最適化することが必要である。概して、リポソームについて、少なくと も以下の特徴に関連して決定が必要とされる: 1.リポソームの大きさ。 2.単層または多層リポソームを使用するか。 3.使用しようとする脂質の個々の種およびその相対的な割合の両方に関する 脂質成分の組成。 4.PEG修飾の程度および性質。 これらの特徴は、以下に、より徹底的に検討されるであろう。今、最適化が、あ る程度は、各標的組織(腫瘍タイプまたは皮膚)、診断薬および治療薬ならびに PEG修飾リポソーム(または他の親水性部分修飾された脂質をベースにした構 造)処方についての試行錯誤の問題であるということを言えば充分である。しか しながら、本発明の後ろにある原理の解説は、同定しようとする一連の試験なら びに行おうとする必要な最適化およびリポソームまたはトラップ機構を利用する 他の脂質をベースにした構造とプッシュ原理に従って単に作用するものとの区別 を可能にするであろう確立された基準を可能にする。 本発明のトラップ機構を利用する脂質をベースにした構造と利用しないものと を区別するために、問題の脂質をベースにした構造(試験種)の性能間の比較を 行う必要があり、全ての態様において試験種に同一である2つの対照物は、以下 のとおりである: (a)第1対照物:これは、親水性部分修飾を欠いているという点でのみ試験 種と異なっている。 (b)第2対照物:これは、親水性部分修飾を欠いているという点および試験 種における親水性部分の結合によって修飾される能力を有する脂質成分を欠いて いるという点で試験種と異なっている。 これらの要求は、例によって説明されるのが最良である。試験種は、PEG化 することができる2つの脂質種(AおよびB)と、PEG化される能力を有して おり、かつ試験リポソームにおいてはPEG化されている脂質種(C)との混合 物から形成された所定の大きさの単層小胞中にエントラップされた治療薬からな るリポソームである。したがって、第1対照物は、試験リポソームと同一の大き さおよび治療薬含量の、同一の脂質種A、BおよびC(しかし、種Cは、PEG 化されていない)の混合物から形成される単層リポソームであろう。したがって 、第2対照物は、同一の大きさおよび治療薬含量の単層リポソームであろうし、 試験リポソームのAおよびBに関する限りでは同一の相対的な割合の脂質種Aお よびBのみの混合物から形成されるであろう。 別の例では、リポソームは、PEG化され易い単一の脂質種またはPEG化さ れ易い2種類以上の脂質種からなる。試験リポソームにおける脂質の一部のみが PEG化される。この場合、第1対照物は、試験リポソームと同一脂質種または 脂質種の混合物から形成されるが、ここではPEG化はない。第2対照物は、こ れらの特定のタイプの場合、比較試験で第1対照物と置き換えられる。 試験は、種々のリポソーム生成物にエントラップされた診断薬または治療薬( 以下、「薬剤」と記す)の標準的な用量を、適当なモデル充実性腫瘍を有する試 験動物に静脈内注射することによって行われる。薬剤の血液および腫瘍濃度は、 注射後24時間目および48時間目に測定する。 本発明のリポソームについて、24時間目および48時間目のいずれかまたは その両方で達成された薬剤の血液濃度に対する薬剤の腫瘍濃度の比率は、単体よ りも大きいであろう。 さらにまた、本発明のリポソームによって達成された血液濃度に対する腫瘍濃 度の比率は、24時間目または48時間目のいずれかで、第1対照物によって達 成された腫瘍:血液濃度比よりも有意には低くないであろう。 さらに、本発明のリポソームによって達成された24時間目および48時間目 の各々での腫瘍濃度は、第1対照物によって達成された同一時点での腫瘍濃度よ りも大きいであろうし、第2対照物と比較するのが適切である場合には、第2対 照物によって達成された同一時点での腫瘍濃度よりも大きいであろう。 先に記載したとおり、親水性部分を有する他の脂質をベースにした構造による 診断学的および治療学的に有効な薬剤の腫瘍または皮膚へのデリバリーの最適化 は、薬剤の腫瘍へのデリバリーのためのPEG化リポソームの使用に関して上記 したと同様にこれらの原理の適用によって行われる。 したがって、本発明は、充実性腫瘍または皮膚への血流を介する投与のための 診断学的または治療学的に有効な薬剤の組成物であって、該組成物が脂質含有多 分子構造からなり、該薬剤が脂質含有多分子構造中に優先的に存在し、脂質含有 多分子構造が共有結合した親水性ポリマー部分を有する1つ以上の疎水性本体か らなり、脂質含有多分子構造の物理的形態、疎水性本体の性質、親水性ポリマー 部分の性質、血流に暴露された非誘導疎水性本体に対するポリマー担持疎水性本 体の比率、ならびに2つ以上の疎水性本体がある場合の疎水性本体の相対的割合 が全て以下のように選択されることを特徴とする組成物を提供するものである: (i)モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への該組成物の静脈 内注射について、注射後24時間目および48時間目のいずれかまたは両方で達 成された薬剤の血液濃度に対する腫瘍濃度の比率または血液濃度に対する皮膚中 濃度の比率が単体よりも大きくなるように、 (ii)モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への該組成物の静脈 内注射後24時間目および48時間目に達成された薬剤の血液濃度に対する腫瘍 濃度の比率または血液濃度に対する皮膚濃度の比率が、第1対照物が疎水性本体 の親水性ポリマー修飾を欠いていること以外は該組成物と同一である第1対照物 の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静脈内注射後の同時 間に達成された薬剤の血液濃度に対する腫瘍濃度の比率または血液濃度に対する 皮膚濃度の比率よりも有意には低くならないように、 および (iii)該組成物が実質的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性 ポリマー部分による誘導化に影響されやすく、疎水性本体の種の各々の少なくと も一部は、親水性部分によって誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に関 連する薬剤からなる場合以外は、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である 動物への該組成物の静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍濃度または皮膚濃 度が、注射後24時間目および48時間目では、第2対照生成物が親水性ポリマ ー 修飾を欠いており、かつ、該組成物中におけるポリマー修飾によって誘導化され る疎水性本体を欠いている第2対照物の動物への静脈内注射によって達成された 薬剤の腫瘍濃度または皮膚濃度よりも高くなるように、または、該組成物が実質 的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性ポリマー部分による誘導化 に影響されやすく、疎水性本体の種の各々の少なくとも一部は、親水性部分によ って誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に関連する薬剤からなる場合は 、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への該組成物の静脈内注射 によって達成された薬剤の腫瘍濃度または皮膚濃度が、注射後24時間目および 48時間目では、前記定義と同じである第1対照物の動物への静脈内注射によっ て達成された薬剤の腫瘍濃度または皮膚濃度よりも高くなるように。 もちろん、薬剤は充実性腫瘍の治療または診断のいずれかにおいて有効なもの であり、腫瘍に対する薬剤のデリバリーについて組成物が最適化されており、あ るいは組成物が皮膚にデリバリーされた場合には皮膚の疾病または障害の治療ま たは診断用であるという点を除けば、本発明組成物によりデリバリーされうる治 療上および診断上有効な薬剤に対する制限はない。例えば、本発明組成物に入れ て投与してもよい薬剤は、薬物、例えば細胞毒性薬および静細胞性薬、ならびに 核酸、詳細にはDNAを包含する。 意図した試料または診断において有効であるように本発明組成物中の薬剤の量 を選択する。一般的には、その薬剤についての慣用的な治療または診断組成物と 同じ用量で、あるいは可能ならば、組成物により達成される「トラッピング(tr apping)」が薬剤の有効性を増大させる場合にはより少ない用量で標的に与える 。臨床的に必要である場合、ならびに本発明組成物にはない毒性効果により、あ るいは慣用的投与形態が標的組織に対する薬剤の所望用量をデリバリーできない ことにより慣用的用量が制限されている場合には、慣用的用量よりも多い用量を デリバリーしてもよい。 本明細書の用語「多分子構造(multi-molecular structure)」は、類似分子 または非類似分子の集合を含んでなる構造を意味し、該構造は共有結合または非 共有結合、例えば水素結合または疎水性相互作用により安定化される。多分子構 造は、少なくとも1の脂質種を含まなければならず、この要件は、「脂質含有多 分子構造(lipid-containing multi-molecular structure)」なる用語に反映さ れている。1の脂質種がこれらの構造中に存在するための最小の要件は、本発明 構造体の一部としても要求される親水性ポリマー部分を有する「疎水性本体(hy drophobic entity)」としての脂質種の存在によって満たされうる。リポソーム のごとき本発明組成物に用いる多分子構造の性質を以下に述べるが、それらは例 えば脂質、詳細にはリン脂質のごとき疎水性本体の性質ならびにポリエチレング リコール残基のごとき親水性部分の性質である。簡単のために、本明細書におい て本発明の脂質含有多分子構造一般を「脂質をベースにした構造(lipid-based structures)」と呼び、それゆえ、2つの用語は混用されてしかるべきである。 多分子構造の物理的形態については、本発明による特別な制限はない。しかし ながら、物理的形態は、しばしば、治療すべき標的組織の性質または組成物中に 用いる選択された疎水性本体の性質により決定されるであろう。ある場合には、 構造の物理的形態は、治療または診断剤と疎水性本体との間の相互作用により決 定されるであろう。よって、例えば、ある種の薬物については、脂質はリボン状 または円盤状の薬物−脂質複合体を形成する傾向がある。それゆえ、薬剤は、例 えば脂質をベースにした構造中にエントラップされて存在してもよく、あるいは 脂質をベースにした構造に結合して存在してもよい。 誘導体化されていない、あるいは親水性ポリマー部分を用いて誘導体化されて いる疎水性本体の相対的割合は、患者の組織に見られるような多分子構造の表面 特性に影響する。したがって、本発明組成物の品質に影響するのは、これら2つ のタイプの成分の割合である。血流に暴露されない多分子構造の一部分における これらの異なるタイプの成分の割合について課される本発明による特別な要件は ない。よって、例えば本発明リポソームの場合には、血流に暴露されるリポソー ムの外表面脂質層およびリポソームの内表面脂質層の成分間に不均衡が生じるこ とが許される。 本発明組成物中に2種またはそれ以上の疎水性本体が存在する場合には、疎水 性部分の種々の種の相対的割合を調節し最適化して、腫瘍または皮膚における作 用剤の所望の「トラッピング」を提供することができる。疎水性本体の異なる種 の数にも、組成物中のそれぞれの種の特性についても、特別な制限はない。 モデル腫瘍については、通常には、組成物の最適化のための実験をヒトについ て行うことができないので、本発明の原理に従って腫瘍治療または診断剤の組成 物の最適化に用いるために、実験動物(本発明の最適化された組成物により治療 すべきヒトの腫瘍の典型例である充実性腫瘍を有する)を選択する必要があろう 。同様に、皮膚科学的疾病および欠陥の治療または診断のための組成物の最適化 のために、ヒトの皮膚の良好なモデルである皮膚を有する実験動物を選択する必 要があろう。標的組織への組成物のデリバリーに用いる経路に関して、そして治 療または診断剤の除去および破壊に関して、すべての実験動物はヒトの良好なモ デルであるはずである。このことは、しばしば、必要な試験を行うための実験動 物の選択を強制するであろう。 上記動物は動物の適当な種および株であり、好ましくは、本発明が意図する薬 剤および組成物に関してヒトの治療または診断用に選択されたモデルとしての齧 歯類または霊長類のごとき慣用的な実験動物である。もちろん、本発明組成物の 投与ならびに第1対照物の投与、そして適当な場合には第2対照物の投与に用い る動物は実質的に同じものであり、通常の研究室の慣習に確実に合致したもので あろう。通常には、適当数の動物群について動物試験を行って、統計学的に有意 なデータを実験から得るようにする。 上記項目(ii)について、もちろん、本発明組成物を用いて達成される測定濃 度の比率が、24時間目および48時間目のいずれかまたは両方において、最初 の製品を用いて達成される測定濃度の比率よりも大きいことがありうる。このこ とが好ましい。しかしながら、本発明組成物は、24時間目および48時間目の いずれかまたは両方において、第1対照物を用いて達成される測定濃度の比率よ りも数値的に小さい測定濃度の比率を示すこともありうる。このことは本発明に おいて許容されることであるが(あまり好ましくないが)、本発明組成物および 第1対照物を用いて達成される測定濃度の比率の間の相違が統計学的に有意でな いことが条件となる。当業者は有意性に関する適当な統計学的試験を容易に利用 することができるが、薬剤の濃度を測定するための実験プロトコールに関して試 験を選択すべきである。 本発明組成物の投与により達成される診断上または治療上有効な薬剤の腫瘍ま たは皮膚濃度が、投与後24ないし48時間の期間中組成物の投与により達成さ れる血液濃度よりも高いままであるということが特に好ましい。 上記項目(iii)における例外は、上で定義したすべての誘導体化可能な疎水 性本体を欠いている「第2対照物」は必然的に脂質成分を欠いているので、本発 明のすべての可能な具体例について利用可能な適当な比較が存在するということ を確実にする。 本発明によれば、上記候補組成物を試験し、次いで、組成物の1またはそれ以 上の特徴を修飾し、再試験し、再試験の結果により示されるさらなる修飾を行う という工程を繰り返すことにより、特定の薬剤を特定のタイプの充実性腫瘍また は皮膚にデリバリーするための組成物を最適化してもよい。最適化の目的は、問 題とされる薬剤の意図された使用にある程度左右される。治療剤の場合、最も重 要なパラメーターは治療剤の腫瘍または皮膚濃度である。なぜなら、これを最大 にすることは腫瘍または皮膚へのより効果的なデリバリーを生じさせるからであ る。薬剤が腫瘍または皮膚に止まっている期間も、薬剤の1回の投与によりデリ バリーされる正味の用量を最大にすることにおいて考慮すべき因子である。診断 剤の場合、正味の投与量はあまり重要でないかもしれず、薬剤が腫瘍または皮膚 に止まっている期間もほとんど重要でないかもしれない。通常には、最も重要な ことは、腫瘍と腫瘍組織周辺の非腫瘍組織との間、あるいは皮膚と他の組織との 間の対比を大きくすることであり、通常には、このことは、高い腫瘍:血液濃度 比または皮膚:血液濃度比を得るための最適化により達成される。 それゆえ、腫瘍または皮膚のいずれかに対する組成物を最適化することにおい て、一般的には2つの特性を試験する: 1)適当ならば、腫瘍:血液比または皮膚:血液比;および 2)腫瘍中濃度または腫瘍グラム当たりの注射用量%、選択された適当な時点 (例えば、3時間、24時間、48時間、72時間、144時間)、または適当な らば皮膚についての対応する測定値。 別法として、適当な動物モデルが利用できる場合には、腫瘍または皮膚の破壊 速度を直接測定することができる。 以下の議論において、本発明に使用しうる脂質をベースにした構造の例として リポソーム、および本発明に使用しうる親水性部分の例としてPEG部分に言及 する。以下の議論は、特に、診断および治療剤の腫瘍へのデリバリーに言及する が、その議論は、例えば皮膚科学的疾病の検出または治療を行うための皮膚への 診断および治療剤のデリバリーにも適用できる。 直接的測定値がない場合、修飾が「トラッピング」を促進する(そして排除器 官への進入速度の低下によっては循環時間を改善しない)という証拠は、以下の 2つのことに由来する: 1)第1対照物と比較した場合、腫瘍:血液比、または皮膚:血液比の低下が ないこと;および 2)血液レベルを最大にするリポソームの修飾の程度が、しばしば、所定時点 における腫瘍中の用量%を最大にするリポソームの修飾の程度および/または腫 瘍:血液比を最大にするリポソームの修飾の程度とは異なるという観察結果、あ るいは皮膚についての同等な観察結果。 基礎となる処方(PEGによる修飾有りまたは無し)がトラッピングを促進す る場合、PEG修飾による解毒器官中への進入の減少は、腫瘍:血液比を増加さ せるであろう。よって、トラッピングを最大にするための未修飾リポソームの最 適化は、解毒器官中への進入を減少させる修飾の影響についての試験による(な ぜなら、良好なトラッピングであれば、このことは修飾に伴って腫瘍:血液比を 増大させるが、良好でないトラッピングであれば、これらの比が低下する)。同 じ関係が皮膚にもあてはまる。 脂質含有多分子構造 本発明組成物は、リポソームまたは他の脂質をベースにした構造、詳細には以 下に述べるミセルおよび他の構造のごときリン脂質をベースにした構造の形態で あってもよい脂質をベースにした構造を含んでなる。 カチオン性リポソームに暴露されたDNAは、経時的にリポソームから押し出 されるように見える「スパゲッティ様構造」の形態を示す(フィラメント状類脂 質DNA)。この構造は、DNA周囲のリポソーム二重層の融合の結果、2本鎖 DNAの鎖が脂質二重層で被覆されるためと考えられる。DNA/脂質複合体の 他の形態も観察されており、それらはヘキサゴナル II フェイズ(hexagonal II phase)の脂質に類似すると考えられるが、六辺形の脂質管の5nmの小胞中に存 在するDNAを伴う。これらの管はそれらの疎水性表面と一緒に接触して充填さ れており、管の各束は水性環境に対面しているそれらの親水性表面とともに方向 付けられた外部脂質皮膜を有する(かかる構造がリポソームの脂質二重層中に存 在してもよい)。 非リポソーム性薬剤複合体についても説明する。抗真菌剤アンホテリシン−B は、DMPCおよびDMPG(7:3)とともにリボン状構造(ABLCTM、ザ ・リポソーム・カンパニー(The Lipospme Company))を形成し、硫酸コレ ステロールとともに円盤状構造を形成することが示されている。よって、すべて の薬物/脂質複合体がリポソームであるとはかぎらない。しかしながら、外部脂 質表面のサイズおよび性質によっては、かかる非リポソーム脂質担体は多くのリ ポソーム的特性を有するであろう。リポソームにポリマーを結合させるのに用い る方法を、適当な脂質複合体にポリマーを結合させるために容易に適用すること ができる。 疎水性本体 本発明における使用が考えられる疎水性本体は一般的には脂質であるが、他の タイプの疎水性本体、例えば疎水性ペプチド、ポリペプチドおよび蛋白もある。 主な要件は、本体は十分に疎水性であり本発明組成物の脂質をベースにした構造 中に保持され、しかるに治療剤または診断剤がデリバリーされ、標的組織中にエ ントラップされるということである。本発明組成物中の疎水性分子のいくつかは 、組成物の血流に接触する表面上に存在する親水性ポリマー部分のためのアンカ ーとして作用することも要求される。これらについては、親水性ポリマー部分に 関 連して以下に議論する。 親水性ポリマー部分 ポリマー部分は、脂質をベースにした構造中に統合されて脂質をベースにした 構造中にポリマーを固定しうる疎水性分子に結合していてもよいが、そのことに より脂質をベースにした構造が破壊されないこと、およびアンカー分子がポリマ ーに共有結合する適当な反応性基を有していること、さらにアンカー分子が容易 には脂質をベースにした構造から失われないことが条件となる。好ましくは、ポ リマー部分を固定するのに用いる分子はリン脂質である。知られている共有結合 法、好ましくはポリマーをアンカー分子のアミノ基に結合させることを包含する 方法によりポリマーをアンカー分子に結合させてもよい。結合は、共有結合であ ること以外に、正常な血液または血清中において意図された血流中残留時間内( 通常は少なくとも24時間、好ましくは48時間)に生分解できないこと、無毒 であること、そして免疫原性でないことが必要である。親水性部分がアンカー分 子としてのリン脂質に結合している場合には、好ましくは、リン脂質および親水 性部分への結合はホスホリパーゼ耐性とすべきである。リン脂質へのPEG部分 のカップリングにはTMPEG(WO-A-90/04384、WO-90/04606、WO-A-90/04650 およびWO-A-95/06058参照)が好ましい。選択される個々の方法の適性および所 望生成物によっては、リポソームまたは他の脂質をベースにした構造の組み立て の前または後にこれらの方法を適用してもよい。ポリマー部分を有するリポソー ムを用いる場合、リポソーム形成前にポリマー部分を付加してもよいが、このこ とはペイロードの担持に利用可能な内部空間を減少させ、所望の外部表面の被覆 を行うのに必要なポリマー量を増加させる。もちろん、それは分散相を形成する リポソームまたは他の脂質をベースにした構造の外部表面における血流または組 織に暴露されるポリマーの量であり、それは主にペイロードの腫瘍における局在 化に影響する。本発明は、意図された使用のための組成物の最適化により課され る要件以外には、脂質をベースにした構造の血液に接触する表面に表される親水 性ポリマー部分の量を制限するものではない。しかしながら、一般的には、脂質 をベースにした構造の血液に接触する表面における疎水性分子の少なくとも2% が親水性部分を用いて誘導体化されていることが好ましい(特にリポソームの場 合)。もしそれらがすべて誘導体化可能であるとすれば、治療または診断目的の 達成上望まれるかまたは必要な場合には脂質をベースにした構造の血液に接触す る表面において露出している疎水性本体の100%までをそのように誘導体化し てもよい。血液に接触する表面において露出している疎水性本体のごく一部が誘 導体化される場合には、誘導体化可能な疎水性本体の量および誘導体化の程度は 、血液に接触する表面において露出している全疎水性本体の少なくとも2%が親 水性部分を用いて誘導体化されるようにする。より好ましくは、誘導体化可能な 疎水性本体の20ないし100%が実際に誘導体化される[本明細書において、 特に断らないかぎり、親水性部分による疎水性本体の誘導体化の程度はモル%で 表される]。脂質をベースにした構造の血液に接触する表面に露出していない疎 水性本体上の親水性部分の量はあまり重要でない。親水性ポリマー部分を用いて 誘導体化されている疎水性本体の割合は、本発明の脂質をベースにした構造全体 にわたって実質的に一定であり、脂質をベースにした構造の組み立て前に疎水性 本体のすべての誘導体化が行われる場合には、保護プロセスは、脂質をベースに した構造の組成が脂質をベースにした構造全体にわたって実質的に一定となるこ とをほとんど不可避なものとする。 好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、特に分子量250ないし12 000のPEG、より好ましくはPEG5000を用いるが、ポリマー部分は適 当な親水性ポリマーであってもよい。 本発明組成物において、診断または治療剤は脂質をベースにした構造に少なく とも部分的に結合している。好ましくは、例えば、脂質二重層中もしくはその間 、またはリポソーム中の閉じた水性環境中へのエントラップメント、またはリポ ソームの脂質二重層中への取り込みにより、少なくとも50重量%の診断剤また は治療剤が脂質をベースにした構造に結合している。 リポソームの具体例およびポリマーとしてのPEGについて本発明をさらに以 下に説明するが、上記原理および以下に用いられる原理を本発明の他のリン脂質 をベースにした組成物に等しく適用することができる。 以下の実験例は、血中での保持および解毒器官からの排除のための最適化(先 行技術に開示されている)によっては、腫瘍中での滞留に関して十分に最適化さ れたリポソームが得られないことを示すものであり、先行技術は、ポリマーが腫 瘍:血液比を実際に悪化させうることを示す。 実験例は、腫瘍におけるリポソーム濃度に関連した腫瘍:血液比についての経 験的な研究、または腫瘍からのフラックス速度および腫瘍内での排除速度につい ての直接的測定のいずれかに基づく最適化を説明し、かくして、腫瘍内での最適 な滞留および許容される腫瘍:血液比を有するリポソームにエントラップされた 化合物を構築させる。 腫瘍は量的に変化し、血液/腫瘍バリアーは常に同じであるとは限らないので 、最適特性を有する単一処方を開示することは可能ではない。異なるタイプの腫 瘍について個々にこれを決定しなければならない。しかしながら、上記あるいは 以下に説明する原理が与えられ、実施例においてそれらの原理の適用が示された ならば、いずれの特定の腫瘍についても最適な腫瘍中での滞留時間および腫瘍: 血液比を達成することができる。 i)PEG用量 実施例9(図2および4)において、21モル%および40モル%までのPE G−PEが外部表面上に存在する(PEG化されたPEの割合に左右される)。 実施例4において、5%〜100%の範囲が調べられる。初期の報告[Tilcock ら,Biochem.Biophys Acta 110:193-198,(1992)]は、20モル%のホスファチジ ルエタノールアミン(全表面脂質のわずか7モル%)がPEG化された(特定の 条件下で)ことを示した。しかしながら、Blume & Cevc(Biochim.Biophys.Acts ,1146:157-168,(1993))が取り込みにより100%PEG−PEリポソームの製 造に成功して以来、反応時間を延長し、TMPEG添加量を増大させて加水分解 を克服し、そして/または大モル過剰のTMPEGを添加すると、すべてのPE がPEGされないという理由はなくなった。このことは、100%充填が実行可 能であるが、表面へのPEG鎖の表出における反応論的問題を排除することがで きないということを示した。 腫瘍に対する薬剤をデリバリーするためのPEG−リポソームのすでに報告さ れているすべての使用は、PEG−脂質の取り込みによりリポソームを製造する ものである。Allenら(Biochem.Biophys.Acta,1066:29-26,(1991))には、脂質組 成物に添加されたよりも少量のPEGがリポソーム中に取り込まれたことが示さ れた。10%のPEG−1900−PEを用いた場合、わずか5.7、5.0、6 .8、6.5モル%がリポソーム中に取り込まれ、比較としてのPEG−5000 については6.9%および7.3モル%であった。高モル%のPEG(1900) −DSPEでは脂質混合物の発泡が起こり、発泡はクロマトグラフィーにより除 去できることが記載されて以来、Allen et al(1991)によってすべてのPEG− PEの取り込みについての失敗はPEG−DSPEミセルが原因とされた。実際 には、発泡は潜在的に重要な環境を提供し、そこでは空気/水界面は、二重層環 境に代わる環境を提供することによって、泡にトラップされた遊離のPEG−脂 質の二重層中への取り込みを妨害する。この推定上の泡にトラップされたPEG −脂質または推定上のPEG−PEのミセルがより重要であるかどうかを確証す べきである。 PEG−750、PEG−1900およびPEG−5000を用いるPEG化 およびPEG−1900を用いた場合の最大血中保持について同様な限界が観察 された下記実施例に示した結果がAllenら(1991)の結果と対照をなすことは注目 すべきである。本発明者は、より広範囲のPEG置換を試験することができ、P EG化のための標的PEを5%から40%に増加させた後、同時に起こる血中レ ベルの変化を伴う肝臓での取り込みの有意な減少を観察した。 ii)PEへのPEGの結合 1)好ましい結合は、エステラーゼおよびアミダーゼそれぞれによる開裂を受 けるエステルまたはアミド結合よりも酵素的分解に対して安定なものである。コ ハク酸エステル結合はさらに加水分解を受ける(Carter and Meyerhoff,J.Immun ol.Methods,1995,81,245-257)。生分解されうる結合を有する場合、腫瘍環境中 の分解が確実にされうる。種々の結合が血清中の安定性について評価された[Pa rrら,Biochem.Biophys.Acts,1995:21-30,(1994)]。エステル結合を含む コハク酸結合PEG−脂質はPEG損失の対して最も感受性があった。カルバメ ート結合PEG−脂質はあまり安定ではないが、24時間たっても非常に少量し か失われなかった。アミド結合はこれらの条件(おそらくアミダーゼが存在しな いと考えられる)において安定であるように思われるが、ポリマーがホスファチ ジン酸のリン酸先頭基に直接結合しているPEG−脂質は、エステル結合脂質と カルバメート結合脂質の中間の安定性を示した。4種すべてのPEG−脂質はや はりアシル鎖の1つまたは両方の損失を経る分解を受ける(Parrら,1994)。これ らのことを考慮する以外にも、PEG−脂質の二重層中への固定の安定性もまた 重要であり、脂肪のアシル鎖の性質に関連することが理解されるはずである。Pa rrら(1994)により報告された結果によれば、PEG−脂質は、実施例のDSPE :DSPCリポソームよりも急速にDOPE:DOPCリポソームから失われる であろうと予想される。 2)Woodleら(Biophysical Journal,61:902-910,(1992))に示されたカルバメ ート結合のような他の結合とは対照的に、好ましい結合は、アミノ基が置換され た場合に、NH2基の正電荷を消費し、正味の負電荷を有するホスファチジルエ タノールアミンを残すような正味の負の電荷を生じるものであってはならない。 重要なことに、カルバメート結合PEG−脂質を用いる基は、実質的にミセル 形成を行うことが報告されており(Allenら,(1991))、これらの研究者によれば 、リポソーム中に取り込まれうるPEG−PE量を制限するものとされている。 Beddu-Addoら(Liposome Research Days Conference,Abstract A-19(1994))には 、相分離およびミセル形成が報告されており、さらに、無傷のリポソーム中に取 り込まれうるPEG−脂質量の制限も報告されている。対照的に、塩化シアヌル 法により得られたPEG−脂質を用いた場合、取り込まれうるPEG−脂質量が 制限されず、さらにミセル形成の問題もないことが報告されている(Blume and C evc,(1993))。またBlume and Cevc(1993)は、彼らの結果とAllen(1991年)の結 果との相違はコレステロールまたは脂質濃度のいずれかの効果によるものとして いるが、本発明の下記結果には、高い比率のPEG化DSPEまたはDOPEの 取り込みを妨害する不十分な発泡が示されている(Allenの知見はミセル形成 によるものと思われる)。TMPEGの使用により得られる結合および塩化シア ヌル法により得られるトリアジン環結合は共通してPE先頭基の正電荷を保存し 、かくして正味の負電荷を生じないのであるが、文献においてはこの点につきい くぶんかの混乱が生じている:Blume and Cevc,(Biochem.Biophy.Acta,1029:91- 97,(1990));Blume and Cevc(1993)。PE先頭基の正味の負電荷を生じることに よるカルバメート法は有効なサイズを変化させ、先頭基を閉鎖充填する能力を減 じる(静電気的反発による)。ミセル形成は相対的に円錐形の脂質にとり好まし いので(先頭基が円錐の底にある)、必然的に円筒形の脂質の先頭基の相対的な 大型化(そのことは二重層形成傾向があろう)はミセル形成を促進すると予想さ れるであろう。大きな曲率にとり好ましい正味の負電荷の効果についてのこの考 えは、コレステロールはより負に荷電したPEG−PEの取り込みを可能にする という観察結果(Beddu-Addoら,(1994))により示唆される。 これらを考慮する以外に、PEG化による脂質上の正味の負電荷の発生もまた 不利なものでありうる。なぜなら、正味の負電荷の発生は、マクロファージ(負 電荷を有するリポソームに結合するスキャベンジャー受容体を有する)による解 毒に対してリポソームを感受性にしうるからである[Nishikawaら,L.Biol.Chem. ,265:5226-5231,(1990)]。よって、PEG化のいくつかの利益(それはマクロ ファージの摂取を妨害する)は、脂質上に正味の負電荷を生じたPEG化法によ り相殺されるかもしれない。 リポソームの腫瘍での保持に影響する因子は、血中クリアランスを遅延させる 因子とは異なる: 1)血中クリアランス速度の低下は、リポソームの脂質組成を変化させること により行われうるが、このことはそれ自体必ずしも腫瘍における有意なトラップ を生じるものではない(たとえそうであろうとも、リポソームのサイズが適切な 場合には、急速にクリアランスされる同じサイズのリポソームより多くのリポソ ーム内容物が腫瘍に送達される)。 2)ポリエチレングリコールのごときポリマーがリポソーム外表面(または両 表面)に結合している場合には、循環時間の著しい増大にとり適切である。しか しながら、PEG化の効果は短命なリポソームほど大きいのであるが、おそらく 半減期はPEG化された長命なリポソーム(すなわち、脂質組成が最適化されて おり、かつ、ポリマーが付加されているリポソーム)の半減期を超えないであろ う。よって、非常に長命なリポソームを得るためには、適切な脂質組成およびP EG化の両方を用いるべきである。長命なリポソームを生じる典型的な脂質組成 を用いた場合、表面へのPEGの結合はほとんど半減期を改善しないので(そし てこのことは相対的に少ないPEG置換を要する)、最大の半減期を得るための PEG化として比較的中程度のPEG化(外表面上において1〜20モル%のP EG−脂質)が選択された。しかしながら、血中クリアランス速度および腫瘍中 クリアランス速度は異なる因子を含んでいるので、個々の脂質組成およびポリマ ー置換の程度の結果は、それら2つの速度に異なった影響を与えるかもしれない 。 3)リポソームによりトラップされた作用剤の血中クリアランスは、詳細に論 評された複数の因子[Senior,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.3(2):123-193( 1987)]に依存する。 (i)HDLの吸着、その後起こる脂質交換および結果としての漏出。 VLDLまたはLDLは同じ機能を有するとは思われない。液状リポソームは、 固体リポソームと比較してこの変換を受けやすい。37℃において比較的液状で あり、コレステロールを含有すると流動性の減少を示すリポソーム中のコレステ ロールも、HDLにより誘発される漏出の減少を示す。またこのことは、流動性 を低下させるために含有された脂質を含む他の処方においても起こる。リポソー ムとHDLとの間の直接輸送のほかに、他のいくつかの因子がHDLへのこの破 壊性の脂質輸送に関与している可能性がある: (1)リン脂質輸送因子; (2)アポ蛋白; (3)レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ (ii)他の血清蛋白の吸着。おそらくこれには抗体、補体および凝血因子が包 含される(負に帯電したリポソームに結合するが、後者はインビボにおいて凝血 因子レベルに有意な影響を及ぼさないかもしれない)。抗体または補体での自己 性赤血球の被覆は、それらをそれぞれ脾臓および肝臓に配向させる。 (iii)網状内皮系は解毒のための主要な経路の1つであり、飽和可能なプロ セスである(RES遮断についての容量により示されるように)。 (iv)白血球食細胞作用(マクロファージ、単球)および受容体により媒介さ れるエンドサイトーシス(リンパ球)。 (v)リパーゼによる酵素的攻撃も考えられる。 (vi)組織への分配速度も血中クリアランス時間に影響するであろう(他の医 薬にもあることだが)。 (vii)HDLによらない脂質交換(例えば、血漿/二重層交換。細胞膜/二 重層交換)。 (viii)非食細胞作用性細胞中へのエンドサイトーシスも観察されている。P S:Chol 2:1のリポソームは、エンドソームを経て低pHコンパートメ ント中に侵入することが示されている[Straubinger et al,Cell,32:1069,(1983 )]。 (vi)の点は、「腫瘍局在化リポソーム」(PCT/US90/06211) に関して開示された、すでに推奨されている最適化方法について特に重要である 。この因子は潜在的に半減期に大きな影響を及ぼすが、組織中への侵入を遅延さ せ、それゆえ組織への分配速度を低下させる因子も同様に、腫瘍中への侵入速度 を低下させ、その結果、血中対腫瘍比を低下させうる。 4)対照的に、血漿クリアランスに作用する多くの因子は、腫瘍への分配およ び/または排出速度にはほとんど影響しないであろう。さらに、相当する正常細 胞と比較すると、腫瘍細胞膜は脂質組成および固縮性がいくぶん異なっているこ とが報告されている。Physiology of Membrane Fluidity,ed.M Shinitzky(volII )page 53-83(1984),CRC Press Inc.Boca Raton,Florida中においてこのことを論 評しているBlitterawijkは、膜脂質流動性の増加および低下の両方がなぜ報告さ れたのかについての説明を示している。しかしながら、表面積あたりのコレステ ロールの相違およびコレステロール:リン脂質比の相違があるように思われる。 結果として、腫瘍環境における脂質交換は血中におけるのと同じ結果を生じると は考えられない。よって、血中寿命が一部には脂質組成により長くなるのであれ ば、脂質組成は腫瘍環境において実質的に変化するであろう(例えば、コレステ ロールの損失により)。 5)2つの部位(血中および腫瘍)に関するクリアランス速度に対する主な影 響が異なる機構を有する場合には、PEG化の影響が異なる可能性がある。皮膚 のごとき大型の器官による摂取は組織への分配速度に大きな影響を及ぼし、それ ゆえ、早い時点において血中レベルに大きな影響を及ぼすが、肝臓および脾臓の ごとき解毒器官による摂取は全体的な解毒速度体に影響し、それゆえ、血中レベ ルに影響する。以前の実験は、長命なリポソームを用いた場合、3.5〜3.7モ ル%のPEG−脂質により肝臓への取り込みが最適に低下させられ、血中におけ る最適保持が行われたことが報告されている[Klivanov et al,Biochim.Biophys .Acta.,1062:142-148,(1991)]。PEG−脂質で80%まで置換されたリポソー ムを用いた場合、Blume and Cevc(1993)は、DSPCリポソーム中15モル%お よびスフィンゴミエリン含有リポソームについて20%の場合において半減期が 最大となり、置換が多くなっても少なくなっても半減期は短くなるることを示し た。両方の観察結果は、このPEG置換の程度が肝臓での広範な取り込みを減少 させるに十分であるが、基礎となる脂質組成に関連した半減期の相違に関する情 報は、やはり脂質成分が肝臓での取り込みまたは血中クリアランスに影響する1 つもしくはそれ以上の他の因子のいずれかに影響することを示す[Klibanovら,( 1991)]。この最適化原理により推奨されるやや散在的なPEG化は、腫瘍中で のトラップについての最適化には不十分であるかもしれない。例えば、ほとんど すべての表面との疎水性相互作用を防止することが重要であるかもしれない。し かしながら、Cevcは、高レベルのポリマー置換を用いた場合、ポリマー末端は、 蛋白が結合する親水性表面を再構築し(低密度で充填されたポリマー鎖に対する 比較的可動性の被覆に対するものとして)、それゆえ血中クリアランスと表面に おけるポリマーの置換程度との関係は、はじめは疎水性相互作用が減少し、次い で、親水性相互作用が増加するために、Cevcの実験においては少なくとも単純な ものではない(すなわち、ポリマー置換の増大に伴う改善、次いで、低下)。よ っ て、先行技術は、比較的少量のPEG置換により最大の利益が得られることを教 示するのみならず、さらなるPEG付加が有害であろうということを実際に主張 するものである。 リポソームのサイズ範囲: 3個の主要タイプの毛細管は、リポソームに対する質的に異なるバリヤーを提 供する[Hwang in Liposomes: Biophysics to Therapeutics,page 109,(1987) ,ed.M.J.Ostro,Marcel Dekker]。 連続毛細管は、内皮を通る3つの経路: i)飲作用胞シャトル(50nm粒子); ii)細胞間結合(2〜6nm幅); iii)内皮輸送チャネル50nm径 および5〜10nmサイズの細孔を有する基底薄膜を提供する。 有窓毛細管は、内皮を通る4つの経路: i)飲作用胞シャトル(5〜30nm粒子); ii)隔膜窓(diaphragm fenestrae)(未知の孔); iii)開窓(40〜60nm)および iv)細胞間結合(4nm) を提供する。 不連続毛細管は、2つの経路: i)飲作用胞(50nm)および ii)細胞間隙(100〜1000nm) を提供し、基底薄膜はない。 60nmSUVおよび400nmMLVでの実験において、リポソームは、肺 または骨格筋の連続毛細管を通らなかった。該分析は、腫瘍の漏出孔のある管を 利用して、リポソームを大きすぎて漏出孔のない管を通れなくさせることによっ て、選択的にいくつかの腫瘍を得ることができることを示唆する。しかしながら 、大きなリポソームは、粒子として除去される傾向がある。従って、いくつかの 妥協が必要であり、決定因子は、腫瘍が異常な漏出孔のある管を有するかどうか で あろうし、広がるものに関しては、修飾されたリポソームは粒子の除去システム から割愛される。 本発明の組成物は、いずれかの従来の医薬上許容される方法における投与のた めに提供する。例えば、組成物は、滅菌水または注射用の水で再構成する乾燥粉 末、例えば凍結乾燥リポソームとして提供され得る。別法で、組成物は、注射用 の水性分散液または懸濁液として、あるいは、注射可能な産物を形成するために 例えば滅菌水または注射用の水で希釈するのに適当な濃縮物として提供され得る 。本発明の組成物は、注射で処方したとき、典型的に、従来の希釈剤または担体 、抗酸化剤および保存剤、抗バクテリアまたは抗菌剤、ならびに賦形剤、形成補 助剤、緩衝液、組成物のpHおよび強壮を調整するための試薬および医薬の分野 において使用される従来の補助成分を含有するであろう。注射可能な産物を形成 するための再構成または希釈用の乾燥粉末あるいは濃縮物として提供される本発 明の組成物は、また、その再構成または希釈を補助する従来の付加剤を含有して もよい。 本発明の組成物は、必然的に再構成または希釈後に、それを必要とする患者、 例えば固形腫瘍または皮膚疾患もしくは皮膚障害を有する、あるいは有すると思 われる患者に対して、標的部位での治療または診断を成すために適当な量を所望 期間、臨床上容認しがたい副作用を引き起こさずに投与する。組成物は、多分子 構造および付随した治療または診断試薬のために、血流への接近を提供するであ ろういずれかの従来の経路による注射によって投与される。典型的に、組成物は 、静脈注射、筋肉注射または非経口経路によって投与されるであろう。組成物は 、一度に注射してもよく、それは、分割投与または数分ないし数時間もしくは同 等な日数の期間にわたる点滴による投与と同じくらい適当である。 本発明は、添付図面で図解されるであろう: 図1は、投与したPEG化リポソームのDSPE含量に対する棒グラフとして プロットした、腫瘍組織グラム当たりの注射用量パーセントを示す(実施例4参 照)。 図2は、投与したPEG化リポソームのDSPE含量に対する棒グラフとして プロットした、肝臓、脾臓および腫瘍組織グラム当たりの注射用量パーセントを 示す(実施例4参照)。 図3は、腫瘍グラム当たりの注射用量パーセントと肝臓(a)または脾臓(b )グラム当たりの注射用量パーセントの相関を示す(実施例6参照)。 図4は、リポソームのDSPE含量に対する貯蔵13(a)、19(b)、2 2(c)および49(d)日での棒グラフとしてプロットした、保持された111 インジウムのパーセントを示す(実施例6参照)。 図5は、クエン酸エステル化した新鮮な凍結血漿に暴露後1時間および24時 間での投与したリポソームのPEG化DSPE含量に対する棒グラフとしてプロ ットした、保持された111インジウムのパーセントを示す(実施例6参照)。 図6は、(a)腫瘍組織グラム当たりの注射用量パーセントの、ヒト血漿で2 4時間インキュベーションした後の潜状能(保持された111インジウムのパーセ ント)に対するプロットおよび、(b)NTA−インジウム複合体またはDSP E(モル%)に対してプロットした肝臓(上方パネル)および血液(下方パネル )グラム当たりの111インジウムの注射用量%の棒グラフを示す(実施例6参照 )。 図7および8は、それぞれ、様々なタイプの血漿に1時間(A)かまたは24 〜25時間暴露したPEG化リポソーム中のDSPEパーセントに対する保持さ れた111インジウムのパーセントのプロットを示す(実施例6参照)。 図9は、保持された111インジウムのパーセントを新鮮な凍結クエン酸エステ ル化血漿への暴露時間(分)に対してプロットする(実施例6参照)。 図10は、血漿中で1時間(A)および24時間(B)インキュベーションし た後の保持された111インジウムのパーセントを非PEG化およびPEG化リポ ソームにおけるDSPE含量に対してプロットする(実施例6参照)。 図11は、腎臓組織グラム当たりの注射用量パーセントを1時間(上方パネル )および25時間(中央パネル)にて、マウス血漿に暴露することによってイン ・ビトロで除去された111インジウムに対してプロットし(全パーセント)、棒 グラフとして、リポソームのDSPE含量(モル%)に対してプロットする(下 方パネル)(実施例6参照)。 図12は、腎臓グラム当たりの111インジウムの注射用量パーセントを、PE G化(斜線)および非PEG化(白抜き)リポソームのDSPE(モル%)およ び遊離のNTA−インジウム複合体に対してプロットする(実施例6参照)。 図13は、様々な臓器の組織グラム当たりの111インジウムの注射用量パーセ ントを、投与したPEG化リポソームのDSPE含量(モル%)に対してプロッ トし(グラフの左手)、用量の臓器:血液比をDSPE含量(モル%)に対して プロットする(グラフの右手)(実施例7参照)。 図14は、リポソーム中に負荷された111インジウムのパーセントをリポソー ムのDSPE含量(モル%)に対してプロットする(実施例8)。 図15は、111インジウム含量をリポソームの様々なDSPE含量での溶出容 量(ml)に対してプロットする(実施例8参照)。 図16は、リポソーム中でエントラップされた111インジウムのパーセントを リポソームのDSPE含量(モル%)に対してプロットする(実施例8参照)。 図17は、血液グラム当たりの125Iの注射用量パーセントを注射後の様々な 時間(時)でプロットする(実施例9参照)。 図18は、PEG化(黒塗り●)および非PEG化(白抜き○)リポソームの 臓器グラム当たりの注射した125Iのパーセントを、リポソーム注射後の様々な 時間(時)でプロットし(グラフの左手)、対応する組織対血液比をプロットす る(グラフの右手)(実施例9参照)。 図19は、PEG化(斜線)および非PEG化(白抜き)リポソームの、図1 8のグラフから得られた1〜144時間にわたる曲線(ACU)下の面積を示し (上方パネル)、様々な試験組織の対応する腫瘍対臓器比を示す(下方パネル) (実施例9参照)。 図20は、臓器グラム当たりの111Inの投与量パーセントを、5%DSPE および33%コレスレロール(三角形)ならびに40%DSPEおよびコレステ ロール無し(四角形)を含有するリポソーム注射後の時間(h)に対してプロッ トし(グラフの左手)、対応する臓器:血液比をプロットする(グラフの右手) (実施例9参照)。 図21は、様々なリポソーム組成物の、および遊離111In−NTA複合体の 血液(上方パネル)および腫瘍(下方パネル)組織グラム当たりの注射用量パー セントを示し、対応する腫瘍対血液比(下方パネル)を与える(実施例10参照) 。 図22は、DMSOにおけるTMPEG−5000の19F−nmrトレースを 示す(実施例11参照)。 図23は、ホウ酸緩衝液(四角形)およびHEPES緩衝液(三角形)で処理 したTMPEGの、−62.5ppmおよび−63.5ppm(%)での2つのト リプレットの強度に関して表した62.5ppm(TMPEG−5000)での1 9 Fシグナルの様々な時間での強度のグラフである(実施例11参照)。 図24は、全ての無傷TMPEGが消失したとき、250mMスクロースを含 む50mMホウ酸pH9.3中で80分インキュベーション後のTMPEG−5 000の19F−nmrトレースを示す(実施例11参照)。 図25は、TMPEG−5000をa)250mMスクロースを含む50mM ホウ酸pH9.3およびb)290mMスクロースを含む20mM HEPES pH7.4に暴露したとき、19F−nmrによって検出された様々な種の時間に 対する相対シグナル強度のグラフである(実施例11参照)。 図26は、リポソーム中に投与された111In(丸)および125I−TI(四角 形)の、注射後の時間(h)に対してプロットした血液(上方パネル)および腫 瘍(下方パネル)組織グラム当たりの注射用量パーセントを示す。 実施例 実施例1 取り込まれたホスファチジルエタノールアミンの外部PEG化を介するPEG 修飾DSPC/DSPEリポソームの製造 リポゾームは、典型的には、10mg/mlリポソーム懸濁液の押出しによって製 造した。10mg/mlリン脂質懸濁液5mlを製造するために、表1に示すように、 所定量(表1に示す、μl)のDSPC(クロロホルム中濃度100mg/ml)お よびDSPE(クロロホルム/メタノール(2:1)中濃度100mg/ml)を混 合することによってリン脂質(PL)全含量50mgを有する脂質フィルムを製造 した。 イオノフォアA23817を全リン脂質50mg当たり0.1μmolのモル濃度(リ ン脂質50,0mg当たり54.4μg)で脂質二重層中に取り込んだ。選択された 実験において、交換不可能な脂質マーカーである3Hコレステロールヘキサデシ ルエーテル(25μCi)を添加して、工程の全体にわたって脂質濃度を追跡す るのを助けた。 薄い脂質フィルムを製造するために、溶媒を注意深く蒸発させた。これは、多 くの異なる方法で行うことができる。例えば、以下のとおり、窒素ガスを吹き込 むことによる蒸発:溶媒の表面から5cm上方に出口を設置し、窒素流を調節して 、溶媒/空気界面での発泡を回避した。窒素圧は、出口の数に従って、調節しな ければならなかった。 窒素ガスによって溶媒のほとんどが除去されたが、良好なリポソーム調製物を 得るためには、溶媒の残留痕跡物を除去することが重要である。したがって、真 空下、一晩、デシケーター中に乾燥フィルムを置いて、溶媒の痕跡物を除去しな ければならない。 脂質を分散させるために、エントラップしようとする水溶性成分(例えば、放 射性標識もしくは蛍光化合物、または次なる111インジウムの負荷のためのニト リロ三酢酸、NTA)を含有するバッファー5mlを脂質フィルムに室温で添加し た。次いで、該混合物を、室温で20時間ゆっくりと振盪しつつ、オービタル振 盪器に入れた。20時間膨潤させた後、脂質が完全に分散されるまで、該混合物 を65℃まで加温(2分)および撹拌(1分)のサイクルに数回付した。 次いで、リポソーム懸濁液を、液体N2に該管を1〜2分間(またはリポソー ム調製物を冷凍させるのに必要な時間)浸漬した後に65℃で1〜2分間(また は液体リポソーム懸濁液にするのに必要な時間)水に浸漬することによる冷凍お よび解凍のサイクルに5回付した。 次いで、リポソーム懸濁液を、以下のとおり、ポリカーボネートフィルター( ダブルスタックフィルター)を介して、65℃(再循環水浴に連結したサーモバ レルによって提供される温度)で押し出した:0.4ミクロンのフィルターに5 回;0.2ミクロンのフィルターに5回および0.1ミクロンのフィルターに5回 通す。これにより、平均サイズ約100nmのリポソームが得られる。 次いで、バッファーを交換することによって、例えば、ゲル透過クロマトグラ フィーによって、エントラップされた内容物を有するリポソームをエントラップ されていない水溶性成分と分離した。市販のPD−10カラム(セファデックス (Sephadex)G−25、分別範囲1000−5000KDa)が適切であること が判明した。これらのカラムを用いて、リポソームを空隙率で回収し、NTA( または他の水溶性内容物)をカラムの全容積で回収した。PD−10カラムを適 当なバッファーで平衡化させ、押し出されたリポソーム懸濁液2ml(最大)を添 加した。フラクション1を回収した後、バッファー300μlでフラクション2 〜30を溶出させた。リポソームの位置は、シンチレーションカウンティングに よって脂質標識(すなわち、3H)を定量化することによって確立した。次いで 、リポソームを含有するフラクションをプールし、3H含量によって、およびリ ンの推定によって、脂質含量を確立した。 次いで、例えば、リン脂質10mg当たり0.8mCiの比率で、111In(0.04 M HCl中で形成された111インジウム塩酸塩)と一緒にインキュベートするこ とによって、リポソームに111Inを添加することができる(リポソームが、例え ばNTAの存在下で生成された場合)。 次いで、適当な内容物を添加した押し出されたリポソームを、適当なバッファ ー中、室温で2時間、TMPEGと反応させることによって、PEG化した(種 々のバッファーの長所および短所をさらに以下に記載する、例えば、 1)250mMスクロースを含有する50mMホウ酸バッファー(pH9.3); 2)250mMスクロースを含有する50mMリン酸バッファー(pH7.4); 3)20mM HEPES 145mM NaCl(pH7.4))。 リポソーム懸濁液を、166mg/mlのTMPEGを含有する反応混合物中2mg/ mlの最終リン脂質濃度に調節した(別のストラテジーを以下に記載する)。 セファロースCL−4Bを用いるゲル透過クロマトグラフィーによって、未反 応TMPEGを含まないPEG化リポソームを回収した。高さ7cm、直径2.4c mの大きさのセファロースカラムに添加する最大値は、約2mg/mlの全リン脂質 および166mg/mlのTMPEGのリポソーム懸濁液1mlである。該カラムは、 まず、適当なバッファー(例えば、注入に適しているバッファー)で平衡化させ た。リポソームを添加する前に、カラムの上部から過剰のバッファーを排出する 。フラクション1を回収した後、バッファー500μlでフラクション2〜30 を溶出させ、バッファー2mlでフラクション31〜40を溶出させた。PEG化 リポソームを空隙率で回収した。 DSPE:DSPC:CHOL(5:62:33mol%)リポソームについて 、以下の例外を除いては、上記方法を行った: 1)オービタル振盪を省略し、代わりに強い撹拌を用いた(高いDSPE含量 を含有するかまたはコレステロールを含有しないリポソームについて、この方法 は、起泡およびオービタル振盪を生じ、したがって、代わりに長い時間が用いら れた); 2)リポソームは、250mMスクロースおよびNTAを含有する50mMリン 酸(pH7.4)を用いて構築された; 3)NTAのクロマトグラフィー分離のために用いたバッファーは、250m Mスクロースを含有する50mMリン酸(pH7.4)であった; 4)インジウム添加前に、リポソームを0.2μフィルター(アクロディスク (Acrodisc 13)を介して濾過して、如何なる凝集をも除去した; 5)添加した111インジウムは、リン脂質10mg当たり0.5mCiであった; 6)PEG化反応におけるリン脂質の最終濃度は、150mg/mlのTMPEG を含有する3.5mg/mlであった。 PEG化の程度は、リン脂質の薄層クロマトグラフィーならびにDSPC、D SPEおよびPEG−DSPEのリン推定によってモニターした。166mg/ml のTMPEGをpH9.3で用いた場合、pHを7.4に変えた場合の内容物の実質 的な漏出があった。高いDSPE含量(60および100mol%)を有するPE G化リポソームは、非PEG化リポソームよりも良好なこのpHシフトに耐えた ので(各々、残存内容物9.3対2.6%および7.4対1.7%)、内容物を保持 するリポソームは、多量にPEG化したリポソームについて濃縮されることがで きた。これは、「空の」または「添加された」リポソームの両方からの脂質がT LCによって評価されるので、PEG−脂質のmol%の正確な評価を複雑にする 。さらに、高いTMPEG濃度はリポソームの凝集を生じ(容量排除効果による )、したがって、全てのリポソームへのTMPEGの等しいアクセスを妨げる。 これをpH7.4で行うと(すなわち、pH変化の工程を誘発する溶解を省略する )、調製物は、不均質なPEG化を有し、すなわち、多量にPEG化されたリポ ソームおよび全く/あまりPEG化されなかったリポソームの混合物を含有する 。これらの考察に加えて、高いPEG濃度は、脂質二重層をPEGに浸透可能に することが知られている。これは、内部のPEG化を多少可能にし、したがって 、この可能性は、全脂質を測定するPEG化の評価方法を適用するかを考慮され るべきである。本発明者らは、アッセイしようとする外部および全PEGを可能 にするPEGについてのチャイルズ(Childs)アッセイに基づく方法を研究し た。それは、RES摂取に対する障壁を提供する外部PEGであるので、それら の外部PEG含量に対してリポソームを比較するのは、重要である。高いTMP EG濃度の潜在的な問題(凝集、PEG化の間の二重層移動、溶融、および敏感 なリポソームについての非リポソーム構造への転移)を仮定すれば、別の起こり 得る 好ましいPEG化スキームは、段階的にTMPEGを付加することであり、この 結果、該反応の初期段階の間に、亜凝集で、亜溶融投与量である。必要な場合、 過剰のTMPEGは、TMPEGのアリコットの添加の間に除去することができ る。 実施例2 取り込まれたホスファチジルエタノールアミンの外部PEG化を介するPEG 修飾DOPC/DOPEリポソームの製造 該リポソームは、典型的には、10mg/mlのリポソーム懸濁液の押出しによっ て製造された。10mg/mlリン脂質懸濁液4mlを製造するために、DOPC(ク ロロホルム中濃度20mg/ml)およびDOPE(クロロホルム/メタノール(2 :1)中濃度10mg/ml)を混合することによってリン脂質(PL)全含量40 mgを有する脂質フィルムを製造した。該脂質フィルムは、実施例1と同様に製造 した。 脂質を分散させるために、エントラップしようとする水溶性成分(例えば、12 5 I−チラミニルイヌリン、TI)を含有するバッファー4mlを脂質フィルムに 室温で添加した。次いで、該混合物を強く撹拌した。脂質が完全に分散されるま で、該混合物を65℃まで加温(2分)および撹拌(1分)のサイクルに数回付 した。次いで、リポソーム懸濁液を、液体N2に該管を1〜2分間(またはリポ ソーム調製物を冷凍させるのに必要な時間)浸漬した後に65℃で1〜2分間( または液体リポソーム懸濁液にするのに必要な時間)水に浸漬することによる冷 凍および解凍のサイクルに5回付した。 次いで、リポソーム懸濁液を、以下のとおり、ポリカーボネートフィルター( ダブルスタックフィルター)を介して、約65℃で押し出した:0.4ミクロン のフィルターに5回;0.2ミクロンのフィルターに5回および0.1ミクロンの フィルターに10回通す。これにより、平均サイズ約100nmのリポソームが得 られる。 次いで、20mM HEPES 145mM NaClバッファー(pH7.4)を用 いて10mlのシリンジバレルセファロースCL−4Bカラムを用いてエントラッ プされた内容物を有するリポソームをエントラップされていない水溶性成分と分 離した。これらのカラムを用いて、リポソームを空隙率で回収し、TI(または 他の水溶性内容物)をカラムの全容積で回収した。該カラムを同一のバッファー で平衡化させ、押し出されたリポソーム懸濁液1mlを添加した。フラクション1 を回収した後、バッファー400μlでフラクション2〜49を溶出させた。リ ポソームの位置は、ガンマカウンティングによって125I−TI(または他の標 識)を定量化することによって確立した。次いで、リポソームを含有するフラク ションをプールした。 次いで、適当な内容物を添加した押し出されたリポソームを、20mM HEP ES 145mM NaCl(pH7.4)中、室温で2時間、TMPEGとの反応に よってPEG化した。リポソーム懸濁液は、70mg/mlのTMPEGを含有する 反応混合物中、3.4mg/mlの最終リン脂質濃度に調節した。 実施例3 リポソーム中に取り込むためのPEG誘導ホスファチジルエタノールアミンの 製造 原則として、PEG−リポソームは、それらがPEG−脂質の取込みによって 製造されるかまたはリポソームの外部のPEG化によって製造されるかに関係な く、実質的に同一の生物学的分布を有すべきである。身体クリアランスメカニズ ムは、外部PEGだけを調べ、かくして、10mol%PEG−DSPEを含有す るリポソームは、外部が完全にPEG化された10mol%DSPEを含有するリ ポソームと、後者の場合のPEG−DSPEが全脂質に対する5mol%PEG− DSPEだけを構成する場合でさえ、等価である。一の差異は、含有容量が内部 PEG−鎖含量および該内容物の分子サイズによって決定された程度までPEG −DSPEによって減少させられるであろうということであろう(PEGは、表 面から蛋白を排除することが知られている)。多量のPEG化は、有意な割合の リポソームキャビティを失うであろう。しかしながら、これは、生物学的行動に 影響を及ぼさない。2つの方法は、共に、長所および短所を有する: 外部PEG化は、 1)内部容量をむだにしない; 2)非常に高いレベルのPEG化を容易に達成することができる; 3)達成されたPEG濃度が高い場合に凝集を形成させる。 取込みを介するPEG化は、 1)内部空隙をむだにする; 2)高いPEG−DSPEレベルを用いる場合にミセル形成および起泡の問題に 遭遇する[Allenら,(1991)]; 3)添加されたPEG脂質を全て取り込まない[Allenら,(1991)]; 4)他のもの[Blume および Cevc,(1993)]ではなくいくつかのPEG脂質に ついて[Allenら,(1991)]、取り込むことができるPEG−脂質の量に比較的 低い限界(約7−10mol%)を付加する。 かくして、続くべき製造プロトコールが多少自由裁量であり、要求に依存する 選択は、特定の用途のために重要であると思われる。 非常に多量にPEG化されたリポソームを取込み経路によって製造することが できるかについての議論に関して、以下の実施例で観察されるものに匹敵する腫 瘍および皮膚保持についての結果を達成することは、必ずしも可能ではない。し かしながら、Cevcは、100mol%までのPEG−DSPEでリポソームを製造 したこと(すなわち、予備形成したPEG−脂質の取込みを経由)を主張した。 かくして、外部PEG化に本発明を限定することは、本発明者らの目的ではない 。 PEG−脂質の製造は、よく確立されている;適切なスキームは、以下のとお りである: わずかに加温しつつ、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(20 mg、27μmol)を乾燥クロロホルム/乾燥メタノール(5/2(vol/vol)) 3mlに溶解させる。乾燥クロロホルム/乾燥メタノール(5/2)1mlに溶解さ せたトレシル−モノメトキシPEG−5000(150mg、27μmol)を添加 した。薄層クロマトグラフィーで検出可能なニンヒドリン陽性DSPEスポット が消失するまで、炭酸ナトリウム(290mg)の存在下、50℃で該混合物を撹 拌した。遠心分離により炭酸ナトリウムを除去した後、MPEG誘導体を乾燥ジ エチルエーテルから沈殿させ、減圧下で乾燥させた。試料の純度は、PEG鎖の CH2CH2O単位のメチレン共鳴およびリン脂質のステアロイル鎖のメチレン共 鳴の相対的積分を用いて1H nmrによって決定した。 実施例4および比較例 腫瘍濃度および腫瘍:血液比についてのPEG修飾の影響 表2に典型的な結果を示す。5mol%DSPEのみを有するPEG化したDS PE−DSPC:cholリポソームを除いては、全ての他の場合には、PEG化し たリポソームは、非PEG化対照(PEG−脂質を欠いているか、または、非P EG化形態において誘導可能な脂質を含有するいずれかの対照)よりも増大した 腫瘍濃度を示した。腫瘍:血液比は、実質的には、1以上であり、非PEG化対 照に対して増加するかまたは維持された。PEGによる置換の程度を簡単な組成 物(DSPC:DSPE)のリポソームにおいて直接比較した場合、増加するP EG化DSPE含量を有するリポソーム投与された内容物の腫瘍濃度を改良する 傾向があった(図1)。 これらの結果に対照的に、他の結果は、PEG化について腫瘍:血液比を下方 に向けることを示す。さらにまた、全ての従前に発行されたPEG化の例(すな わち、非PEG化対照が与えられなかったものを含む)は、表2に示す本発明の 実施例よりも実質的に低い腫瘍:血液比を示した。2組の結果の間の主な差異は 、PEG化の程度にあるといことに注目すべきである。好評された例では、PE G−PEのmol%は、7.1mol%、5.0mol%、6.25mol%および6.25mol %であった(表3の上から下まで)。5%PEG化DSPEについての表2の2 つの例のうち1つでは、腫瘍:血液比は、非PEG化対照に対して低下するが、 全ての他の実施例(20mol%以上のPEG化DSPEを有した1以外の全て) では、腫瘍:血液比は、PEG化についての同一のものよりも上昇するかまたは 維持した。 実施例5 肝臓/脾臓由来の種々の程度にPEG化されたリポソームの排除とそれらの改 良された腫瘍濃度との間の相互関係の欠落 LTI PCT/US90/06211 PEG−リポソームデザインについて の関係は、肝臓および脾臓が排泄の主な臓器であり、PEGがこれらの臓器によ るリポソームの摂取を損なうので、次のリポソームの血液中保持がリポソームに よりエントラップされた化合物を腫瘍中に追い込むであろうということである。 この方法でPEGを用いる場合、一の簡単な推論は、腫瘍位置推定の改良(腫瘍 薬物濃度に影響を及ぼすエントラップメントまたは他のメカニズムとは対照的に )は、肝臓および/または脾臓位置推定に反対に関係するであろうということで ある。対照的に、PEGが腫瘍中の保持を改良することなどの他の効果を有する 場合、肝臓および脾臓からの排除に至適なPEGの量は、腫瘍における最良の位 置推定を与えるものと必ずしも同一である必要はないであろう。 図2は、24時間目の111インジウムの肝臓濃度、脾臓濃度および腫瘍濃度に 対するDSPE−DSPEリポソーム(実施例1におけると同様の外部PEG化 により製造した)中の種々のモル%のPEG化DSPEの効果を比較する。この 結果から、肝臓および脾臓からの最大排除は、40mol%のPEG化DSPEで 観察されるが、腫瘍濃度は、段々に改良されたということが明らかである。肝臓 については最大変化が5〜20および20〜40%PEG化DSPEにあり、脾 臓についてはほとんど全ての変化が20〜40%で生じるが、腫瘍については、 少なくとも60%まで、%PEG化DSPEの全ての変化について比較的規則的 な進行があるということに特に注目すべきである。図3は、肝臓摂取および腫瘍 摂取の間の低い相互関係を示し、図3は、脾臓摂取および腫瘍摂取の間の低い相 互関係を示す。図3aおよび図3bは、個々のマウスについての結果を示し、図 2の結果を確認する。腫瘍濃度の改良のほとんど(例えば、腫瘍g当たりの注射 用量3〜8.5%)は、肝臓濃度または脾臓濃度の逆変化なしで生じる;これら は、共に、上記範囲にわたる腫瘍値の大部分についてg当たりの注射用量約15 %である。かくして、肝臓および脾臓のRESからの排除以外の因子は、g当た りの注射用量約3%以上のリポソーム含量の腫瘍濃度の増加の原因にちがいない 。 この結果は、肝臓摂取および脾臓摂取の低下に影響を及ぼす因子がリポソーム によりデリバリーされた化合物(この実施例では、NTAにキレート化した111 インジウム)の改良された腫瘍濃度の原因となるものに関して等価ではないこと を示す。 実施例6 エントラップされた内容物の最大腫瘍用量についてリポソームを選択する際の 1時間および24時間の潜伏能(latency)の低い予想値 肝脾摂取の減少に加えて、ポリエチレングリコールなどのポリマーは、血清タ ンパク質の付着を低下させることも知られており(PCT/GB89/0126 2を参照)、これは、他のものではなくいくつかの報告における血清中の増加し た潜伏能(すなわち、改良された内容物の保持)に関連する。増加した潜伏能は 、改良された循環期間に関連するので、PCT/US90/06122に具体的 に開示されている「プッシュ(push)」原理に基づく腫瘍位置推定のために至適 化すると、高い潜伏能を有するリポソームが選択されるであろう。 図4a−cは、NTAにキレート化した111インジウムを含有するリポソーム の潜在物を示す。リポソームに存在するPEG化DSPEのレベルとは無関係に (1aおよび1b)、0〜100mol%PEG化DSPEを有するDSPE:D SPCリポソームは、4℃で、50mMリン酸250mMスクロース(pH7.4) 中に少なくとも19日間貯蔵した場合、内容物があまり減少しないことを示した 。セファロースCL−4B 20mlシリンジバレルカラムを用いて、貯蔵前に負 荷されたリポソームから遊離111インジウム(および過剰のTMPEG)を除去 した。所定時間貯蔵した後、リポソームによりエントラップされた111インジウ ムの漏出は、約8cm走行したワットマン(Whatman)4濾紙および適切なバッフ ァー(リポソームpHに依存する)のペーパークロマトグラフィーを用いて評価 した。上部および下部は、111Inとみなされた。潜伏能は、0時でのフリーカウ ントについて補正された。22日貯蔵した後、非PEG化リポソームについて、 同様の結果が得られた(図4c)。TMPEGおよびバッファー(50mMホウ 酸 250mMスクロース(pH9.3))を除去せずに49日間の111インジウム負荷 PEG化リポソーム調製物の貯蔵によっても、TMPEGが貯蔵前に除去された PEG化リポソームについて判明したものと同様の適度な内容物の減少が得られ た(図4d)。 これらのリポソームをクエン酸化新鮮凍結血漿に1〜24時間暴露した場合、 PEG化DSPEの量と潜伏能の低下との間に明らかな関係があった(図5aお よび5b)。驚くべきことに、24時間血漿暴露の後の潜伏能と24時間111イ ンジウムの腫瘍濃度との間にはほぼ反対の関係があった(図6a)。放出したI n/NTA複合体は、インジウムを血液タンパク質に移動させ、したがってリポ ソームの特徴であるRES捕獲を回避すると予想することができるが、全リポソ ーム内容物と等価のIn/NTA複合体の注射により、20%PEG化DSPE について判明したものよりも高かったが、高度なDSPE置換について判明した ものよりも低かった24時間目の血液レベルを生じた(図6b)。同様に、肝臓 については、In/NTAは、全てのリポソーム試料よりも低い肝臓摂取量を与 えた(図6b)。かくして、40〜100%PEG化DSPEを含有するリポソ ームについて24時間目のイン・ビトロでの潜伏能の顕著かつ類似の低下にかか わらず、リポソーム被包化の効果は、なお顕著であった。さらに、リポソームか ら失われた場合に迅速に取り除かれることが知られている種々のリポソーム内容 物(例えば、125I−TI)について、増強された腫瘍濃度および腫瘍:血液比 >1に関する同様の結果が得られた(下記実施例9で説明する図18を参照)。 この逆の関係は、予想されないので、不一致の起こり得る人工的な供給源が要 求された:第1に、マウス血漿とヒト血漿との間の差異が不一致、すなわち、マ ウス血漿が漏出のあまり有効ではない刺激であったことを説明することができた か(図7)、第2に、ヒト血漿中の完全なまたは他の熱不安定な因子が原因であ るか(図8)。図7は、クエン酸化したヒト血漿についての潜伏能結果(図5a およびbから)を1および24/25時間ヘパリン化したマウス血漿に暴露した リポソームについての潜伏能と比較する。マウス血漿は、特に40−100%P EG化DSPEで明らかな24/25時間目の潜伏能をあまり低下させないが、 ヒト血漿結果と同様にマウス血漿結果は、腫瘍111インジウム濃度との逆の関係 をなおも示しており、かくして、血漿により誘発された潜伏能の低下が腫瘍薬物 濃度に関してPEG−リポソーム行動の信頼性のある予言者ではないことを示し ている。 図8は、クエン酸化したヒト血漿についての潜伏能結果(図5aおよび5b) を、56℃で45分間加熱処理して完全なかつ他の熱不安定な脂質移動因子を除 去したクエン酸化したヒト血漿に暴露したリポソームについての潜伏能(従前に 報告された)と比較する。マウス血漿について、40−100%PEG化DSP Eリポソームについて明らかなように24時間のインキュベーション後に多少異 なったが、腫瘍111インジウム濃度との逆関係がなおもある。 腫瘍薬物濃度の良好な予言者として作用する1および24/25時間潜伏能評 価の不足についての1つの可能な説明は、循環の最初の1時間前に腫瘍への分布 が充分に生じることである。潜伏能の減少がリポソームの腫瘍中への内向きフラ ックスの速度に対して比較的遅い場合、潜伏能の遅い低下は、あまり影響を有し ておらず、したがって、前記で観察された不一致を説明する。したがって、潜伏 能と血漿暴露との間の一時的な関係は、20mol%PEG化DSPEについてリ ポソームを用いて探究された。図9は、新鮮凍結クエン酸化血漿への2〜60分 暴露の影響を示す。2分のみで、遊離された111インジウムが初期のエントラッ プされた物質の42%であり、これは、1時間後に53%に上昇し、血漿により 誘発された減少のほとんどが52分に生じることを意味する。かくして、潜伏 能が非常に初期の時点で測定される場合でさえ、1時間測定と同様の結果が得ら れる。図18a(下記)の検査は、<2分以内の腫瘍への分布が腫瘍薬物濃度利 益の説明にならないことを示す。 全血もまた、血漿よりもあまり顕著な潜伏能に対する効果を有しないことが報 告されており、これは、イン・ビボ/イン・ビトロ不一致を有効な説明すること ができた。しかしながら、37℃で1時間、ヘパリン化マウス血液300μlと 一緒にインキュベートした脂質20μgと等価なリポソーム(20mol%)を含有 するPEG化DSPEを用いると、エントラップされたインジウムの56.4% が放出された。比較可能な血漿への1時間暴露において、22.8%111Inは、 ヒトクエン酸化新鮮凍結血漿について放出され、マウス血漿については、5.9 %、熱不活化ヒト血漿については43.6%であり、かくして、血漿/血液差異 は、イン・ビボ/イン・ビトロ不一致を説明する見込みがない。 血清/血漿により誘発された潜伏能の低下の基礎(すなわち、脂質組成物また はPEG化のいずれのためであるか)を確かめるために、非PEG化およびPE G化リポソームの潜伏能を比較した。図10は、PEG化およびDSPE含有リ ポソームをそれらの非PEG化相手と比較する(0%DSPEリポソームの潜伏 能は、破線によって示す)。1時間および24時間インキュベーション後に明ら かなように潜伏能に対するDSPEの濃度依存性効果があった。DSPEの全て の濃度で、潜伏能の低下は、非PEG化およびPEG化例において顕著には異な らず、PEGが潜伏能の低下に対してあまり影響を及ぼさないことを示した。こ の結果は、約2%PEG−PEからの効果を示した(取り込まれたPEG−脂質 を用いる)他のもの[BlumeおよびCevc,(1993)]と矛盾するが従前の発見と同 様である。 血漿により誘発された潜伏能の低下と腫瘍111In濃度との間の驚くべき逆関係 にもかかわらず、他の正常な臓器とは対照的にPEG化DSPE含量が111In含 量の排除(肝臓および脾臓)または最も適度な増加(心臓、肺、結腸、筋肉、皮 膚)と関係しているので、リポソーム内容物の多少の減少がイン・ビボで生じて いたという証拠があった。腎臓は、より顕著に増強された111In含量を示した。 この増強された腎臓111In含量は、マウス血漿によって放出された111インジウ ムの量とほぼ相互に関係した(図11)。実線は、症状の緩和を示し、点線の曲 線は、95%信頼区間を示す。しかしながら、全リポソーム内容物と等価な注射 した遊離111In/NTA複合体は、60%および100%DSPEを含有するP EG化リポソームまたはPEG化リポソームよりも低い24時間目の腎臓111In レベルを生じた(図12)。 したがって、111インジウムの漏出がイン・ビボで明らかに生じていたので、 一の関係は、潜伏能と腫瘍位置推定との間で観察された逆関係が111インジウム の減少、次なる血漿タンパク質への結合および後者の腫瘍への溢出のためである ことである。しかしながら、腫瘍g当たりの注射用量%は、20%、60%およ び100%DSPEを含有するPEG化リポソームにおいて徐々に増加したが( 図1を参照)、遊離111インジウム/NTAの等価用量(すなわち、漏出のため に利用可能な用量)は、100%DSPEリポソームについての腫瘍濃度の57 .5%および60%DSPEリポソームについての82.0%を与えたが、20% DSPEリポソームの137%であった(最初の2つの調製物よりも非常に高い 潜伏能を有した)。かくして、111インジウムの漏出は、観察された逆関係を説 明することができない。 潜伏能の迅速な低下は、多くのリポソーム形成のために本質的に望ましくない ので、脂質組成物の変化は、これを軽減するために探究される。しかしながら、 至適化が腫瘍濃度および腫瘍:血液または腫瘍:血液比によっても余儀なくされ ることを正しく認識することは、重要である。脂質処方のいくつかの変化は、血 清/血漿における潜伏能に対する有益な影響を有することが知られており、コレ ステロールの取込みが広く用いられている。しかしながら、これは、必ずしも改 良された腫瘍濃度を導くわけではない(各々、注射の約24時間後の腫瘍g当た りの注射用量1.70±0.27および2.37±0.36を投与した図1のPEG 化DSPE:DSPC(5:95mol%)と比較してDSPE:DSPC:コレ ステロール(5:62:33mol%)を含有するPEG化リポソームを利用する 表2の例を参照)。 実施例7 肝臓、脾臓および腎臓以外の正常な組織における生体分布に対するPEG化D SPE含量の影響 生体分布研究は、実施例1の記載にしたがって調製したDSPE:DSPCリ ポソームを用いて行った。分布プロフィルを、血液レベルと比較した(全ての所 定濃度は、24時間目である)図13は、組織濃度(左のパネル)および組織: 血液比を示す。組織濃度は、臓器の血液含量について補正されなかった。24時 間目の111インジウムの濃度は、DSPEの増加する量を含有するPEG化リポ ソームについて全ての臓器において上昇した(左側のパネル)。全ての臓器にお いて、20mol%DSPEまで組織:血液比を低下させる傾向があり(右側のパ ネル)、血液レベルの増加は、組織レベルの平行増加を伴わなかったこと、した がって、PEG−脂質がこれらの組織中への進入ならびに肝臓および脾臓に対す るその効果をわずかに減少させていたこと(または、「プッシュ」原理がこれら の正常な組織において優勢的であること)を意味する。40mol%以上を有する PEG化リポソームは、この減少した組織:血液比を維持した(例えば、肺)か 、または、わずかな増加を示したが、非PEG化0%DSPE対照よりも決して 多くはなかった。 実施例8 PEG化反応およびバッファー交換後のインジウム負荷および減少 111インジウム負荷をPEG化の前に行うと、DSPE含量は、エントラップ された111Inの量に対して有意な影響を及ぼさなかった(図14)。pH9.3の ホウ酸バッファーにおいて166mg/mlのTMPEGを用いる反応方法を用い、 次いで、注射/使用の前に該バッファーを交換すると、DSPE濃度に依存して 変化した111Inの実質的な減少があった(図15)。曲線下面積評価は、PEG 化DSPEが複雑な効果を及ぼしたことを示し、これは、111In減少を低下させ ることを意味する(図16)。しかしながら、リポソーム、TMPEG、ホウ酸 バッファー反応混合物が49日間にの貯蔵後にその111Inの80%以上をなおも 保持していたので(図4dを参照)、この潜伏能の大きな低下は、PEG化の間 生じなかった。かくして、バッファーが交換されると、111Inの減少は、9.3 から7.4へのpH変化のためであると思われる。これを確認するために、pH9. 3で形成した非PEG化リポソームをバッファー交換に暴露し、各々、20、6 0および100mol%DSPEリポソームについてのそれらの内容物の33.9% 、2.6%および1.7%だけを保持した(この111In減少が、各々、38.4%、 9.3%および7.4%保持した等価なPEG化例よりも多いことに注目する)。 PEG化の不均一性がある場合に、より多量にPEG化されたリポソームが特に 高いDSPEレベルの内容物の減少に抵抗すると思われるので、このpH−変化 に より誘発された溶解に対する示差感度は、PEG化の程度の評価に関して有効に 重要である。pH変化により誘発された漏出は、脂質小胞化(脂質が高いpHを有 する側で二重層から発芽する場合)に基づく。DSPEが約80℃で六面構造II を形成するが、この温度は、減少した水和化(PEGから)およびpHの低下に より低下し、PEG−DSPEは、六面構造IIを形成することができないので、 六面構造IIの形成は、排除することができない(5nmコアは、巨大なPEGヘッ ドグループを適合させるのが困難である)。いずれかのシナリオについて、薄層 クロマトグラフィーに基づくPEG−脂質評価は、内容物を有するリポソームの PEG化状態の過小評価出あり、この行動は、イン・ビボでモニターされる。 実施例1におけるpH9.3の選択は、以下のことに基づいていた: 1)増強されたPEG化率の従前の観察; 2)ホスファチジルエタノールアミンの正味の負の変化を生じさせること、した がって、リポソームのPEG誘発凝集の可能性を減少させようとすることの利益 。 しかしながら、凝集は、少量のTMPEGの滴下を用いることによって減少さ せることができ、より延長されたPEG化期間を用いて低いpHでのPEG化の 遅延を克服することができる。 実施例9 腫瘍および皮膚は他の臓器よりも高い組織:血液比の増加を示す 21mol%DOPEを有するPEG化DOPC:DOPEリポソームを用いる と、循環時間の最適な延長が観察された(図17)。125I−チラミニルイヌリ ン濃度対時間および腫瘍:血液比のプロット(図18aおよびb)の比較は、皮 膚および腫瘍が、非PEG化対照に対して腫瘍:血液比の最も高い増加を示すこ とを示した。有意には、いくつかの抗腫瘍剤が心臓毒性であると仮定すれば、心 臓:血液比の有意な変化があった。1−144時間のAUC(図19a)の計算 は、非PEG化リポソームについて、腫瘍についてのAUCが腎臓、皮膚および 肺についてよりも低かったが、PEG化後には、腎臓AUC1-144は、腫瘍より も多かった(腎臓:腫瘍比は、3.16:1から1.49:1に減少した;図19 b)。 DSPE:DSPCリポソームは、また、腫瘍:血液比の増加と皮膚:血液比 の増加との間で同様の関係を示し、該効果がリポソーム中のPEG化DSPEの 濃度に関係したことを示した。この実験では、PEGが循環時間を有しないとい う影響を相殺するために(したがって、生体分布の他の特徴に対するPEG濃度 の効果を優先させるために)、5%DSPEを有するPEG化リポソーム33mo l%は、コレステロールおよび62%DSPCを含有したが、40mol%DSPE を有するPEG化リポソームは、DSPCのみを含有した。この手段により、2 2〜72時間にわたって同様であった血液排除曲線を作成した。図20aおよび bは、5mol%DSPE+コレステロールを有するPEG化リポソームを、40m ol%DSPEを有するものと比較する。さらなるPEG−DSPE含量は、腫瘍 :血液比および皮膚:血液比の勾配の増加を生じるが、他の臓器における比率を 増加させず、肝臓および脾臓における比率を減少させる。筋肉における明らかな 増加および肺比率の減少は、矛盾のない発見ではなかった(図18aおよびbを 参照)。これらの結果は、血液クリアランス率の最小変化についてさえ(あまり 多くないPEG化リポソームにおけるコレステロールの存在を補正することによ る)、PEGは、腫瘍:血液比および皮膚:血液比に影響を及ぼす。これは、「 プッシュ」および「トラップ」原理が独立して操作するというさらなる証拠を提 供する。 表4は、種々のリポソーム処方の範囲について血液および皮膚結果ならびに皮 膚:血液比を示す。 これらの発見は、本発明のPEGリポソームに関する腫瘍組織および皮膚の行 動におけるいくつかの類似性を示す。かくして、リポソーム調製物は、化合物の 皮膚への選択的なデリバリーにおいて有用性を有する。 実施例10 腫瘍:血液比に対するリポソーム脂質組成物の影響 従来技術では、「プッシュ」原理について至適化すると、PEGを添加して血 漿半減期を延長させただけではなく、脂質組成物をこの目的について選択した。 本発明のリポソームは、(対照に対して増加または維持された腫瘍:血液比によ って行われた腫瘍内での増加した濃度によって明らかにされたように)増強され た腫瘍エントラップメントに関する以外は、この方法で至適化されなかった。ま た、前記腫瘍:血液比のモデル由来の分析から、基礎的なリポソーム処方は、独 自に(すなわち、PEGの添加前に)良好な腫瘍エントラップメントを達成し、 次いで、適切なPEG化は、腫瘍濃度および腫瘍:血液比を共にさらに増強する であろうということに注目すべきである。基礎的なリポソームがあまり良くない 腫瘍エントラップメント特性を有し、PEG化が腫瘍エントラップメントの有意 な改良を生じるのに不充分である場合にのみ、リポソームの腫瘍濃度が増加する ので、腫瘍:血液比は、低下するであろう。 図21は、注射の約24時間後に血液および腫瘍レベルに対する種々の脂質組 成物の効果を示す。種々の脂質組成物についての腫瘍および血液濃度の有意な差 異があるのは、明らかである(A=DSPE:DSPC:CHOL 5:62: 33mol%;B=DOPE:DOPC 21:79mol%;C=DSPC;D=D SPE:DSPC 20:80mol%;E=DSPE:DSPC 60:40mol% ;F=DSPE)。全ての腫瘍:血液比が単一よりも高いことに注目すべきであ る。 リポソーム内の内容物のタイプもまた、その結果に関係があった。組成物Eお よびFは、血漿への暴露により潜伏能を著しく低下させた(実施例6を参照)。 これらの調製物(および他のもの、図21におけるA、CおよびD)は、NTA にキレート化した111インジウムを含有していた。NTAは、比較的弱いキレー ト化剤であり、内容物の漏出は、漏出した111インジウムのNTAから血漿タン パク質(例えば、アルブミン)への移動を生じることが知られている。これは、 比較的長い循環時間を111インジウムに与え、アルブミンは、腫瘍へ溢出するこ とができることが知られているので、この効果は、腫瘍:血液比の分析を複雑に するであろう。EおよびFは、イン・ビトロで血漿への24時間暴露についてそ れらの内容物の93.2%および91.9%を失うので(図10を参照)、リポソ ーム内容物と等価な遊離NTA−111インジウムの量についての結果(縞入り) が比較のために与えられる。111インジウムの漏出(前記図9において主に血漿 への暴露の最小の2分以内に生じることを示した)が完全には血液レベルの原因 となり得ないこと、すなわち、リポソーム腫瘍エントラップメントが調製物Fの 非常に低いイン・ビトロ潜伏能結果にもかかわらず24時間レベルを増加させた ことに注目する。 この観察の一の重要な推論は、このタイプの行動を有する内容物について、潜 伏能の低下は、リポソームからの漏出の後に迅速に排除される内容物についてほ ど重要ではないことである。表2との比較により(同一実験内では比較されず、 したがって、差異の有意さの統計学的分析をさせないが)、内容物がNTA−11 1 インジウムである場合にPEG化の影響が組成物Eについてあまり顕著ではな いことが明らかであり、PEGの影響が顕著であり、潜伏能の低下があまり著し くない場合の組成物Dとは反対に組成物Fについて低下したかもしれない(両方 の場合に潜伏能の低下が非常に高い場合)ことに注目すべきである。本当である ならば、PEG化の影響のこの明かな低下は、おそらく漏出した111インジウム の影響およびそのアルブミンに付着する傾向によるものであろう。 実施例11 19F−NMRによるTMPEGの加水分解速度および他の競合する副反応の評 価 PEG化反応の間、TMPEGの加水分解速度および他の競合する副反応をモ ニターすることは、重要である。完全なPEG化のために必要とされる反応時間 の期間が延長されると(例えば、2時間)、水溶液中のTMPEG加水分解が 比較的迅速に生じるので、これは、重要な問題である。図22は、TMPEG( ジメチルスルホキシド中で実施例1および2で用いた調製物(d6))の19F− nmrを示す。2つの三重項が観察され、−60.7752ppmおよび−60. 8856ppmに集中した。前者は、エステル結合トレシル基に対応し、後者は、 遊離トリフルオロエタンスルホン酸(TFESA)に対応する。加水分解は、p Hに依存すると思われ、したがって、用いた各バッファー系は、独立して評価し なければならない。 1)250mMスクロースを含有する50mMホウ酸バッファー、pH9.3; 2)20mM HEPES、145mM NaCl、pH7.4、加水分解に暴露すると 、エステル結合トレシル基についての三重項の漸減があった(図23)。しかし ながら、TFESA以外の種が形成された。等価なDMSO調製物からの値をシ フトした−62.5ppm(TMPEG)および−63.5ppm(TFESA)の2つ の三重項に加えて、約−75ppmおよび−120ppmにもピークがあった(図24 )。−75ppmでピークを生じる種の性質は知られていないが、バッファーへの 暴露後に変化しないままであると思われた調製物においてわずかな汚染物質があ ることが明らかである。対照すると、−63.4および−120ppmで該種は、経 時変化した。−75ppmシグナルに正規化されたシグナルの総合は、−62.5pp mで該種が経時的に低下し、一方、−120ppmで増加したことを示した;−63 .5ppmで該種、遊離TFESAは、比較的変化しなかった。該変化は、pH7.3 (図25b)よりもpH9.3(図25a)の方が非常に速く生じた。 おそらく、−120ppm種についての説明は、TMPEGの副反応によって放 出された遊離フッ化物イオンであるということである。 この結果の推論は、TMPEGが比較的迅速に失われ、かくして、反応混合物 は、高レベルのPEG化を得るために添加された新鮮なTMPEGの一連のアリ コットを有することが必要であるということである。低いpHで、以下の反応: −CH2OSO2CH2CF3+ R−NH3→ −CH2NH−R + HOSO2CH2CF3 が優先するが、高いpHでは、別の反応(−O−SO2−結合部分を生じる): −CH2OSO2CH2CF3+ R−NH2+ 3NaOH → −CH2OSO2NH−R + CH3COOH + 3NaF + H2O が優先する。 実施例12 DOPC:DOPEリポソームのPEG化は125I標識TIおよび111Inの両 方のデリバリーのための増加した腫瘍:血液比を生じる 種々のリポソーム内容物の漏出の後の行動の差異を仮定すると、種々の内容物 を有する同一脂質処方を研究するのが重要である。2つの極限実験は、チラミニ ルイヌリン(TI)およびNTAにキレート化した111インジウムである。上記 に概要記載したとおり、前者は、小さく、リポソームから漏出すると腎臓排泄を 介して迅速に除去される。対照的に、111インジウムは、リポソーム分布後にN TAから血漿または血管外タンパク質に移動する。これが本発明者らの選択基準 に影響を及ぼす方法を評価するために、リポソーム内容物のこれら2つのタイプ を同一リポソームにおいて評価した。 血液薬物動態学、腫瘍生体分布および腫瘍:血液濃度比を、対照およびPEG 化DOPC:DOPE(79:21mol%)リポソームに負荷した125I標識TI および111Inについて分析した。125I標識TIリポソームについて負荷した対 照PEG化DOPC:DOPEリポソームの調製は、実施例2に記載した。 111Inについて負荷した対照およびPEG化DOPC:DOPEリポソームの 調製は、以下のとおりであった:Hepes 20mM pH7.4、塩化ナトリウム1 45mMおよびNTA 1mM中の脂質懸濁液(10mg/ml)の押出しによって、 イオノフォアA23817(脂質mg当たり1.08mg)を含有するDOPC:D OPE(79:21mol%)を調製した(該脂質懸濁液は、実施例2におけると 同様に、撹拌し、次いで、65℃まで2分間加温および1分間撹拌のサイクルを 数回行い、次いで、冷凍および解凍のサイクルを5回行い、次いで押し出すこと によって得られた)。次いで、バッファーを、PD−10カラムを用いてHepes 20mM pH7.4、塩化ナトリウム145mMと交換した。111In負荷について は、65℃で30分間、3mg/mlのリポソーム1.2mlを0.3mCiの111Inと一 緒にインキュベートした。111In負荷リポソームをPD−10カラム中のGPC によって単離した。111インジウムのリポソームへの取込みは、実施例6に記載 したと同様にペーパークロマトグラフィーによって示されるように約100%で あった。次いで、111Inを負荷した押し出されたリポソームを、実施例2の記載 と同様に、塩化ナトリウム145mMを含有するHepes 20mM pH7.4中、室 温で2時間、TMPEGと反応させることによってPEG化した。 図26は、DOPC:DOPE((79:21)mol%)リポソーム中にエン トラップされた111Inおよび125I標識TIについての血液薬物動態学および腫 瘍生体分布を示す。111Inについての血液レベルは、全ての時点で、125I標識 TIについての血液レベルよりもわずかに大きかった。腫瘍生体分布は、2つの 内容物について非常に異なっていた:111Inのレベルは、それらがプラトーに達 するまで注射後の時間に経時的に上昇するが、125I標識TIのレベルは、駐車 後の時間に経時的に減少した。この行動は、リポソームビヒクルからの内容物の 少なくとも1つの漏出と矛盾がない。 表5は、対照およびPEG化DOPC:DOPEリポソーム中にエントラップ された111Inおよび125I標識TIについての注射後24時間目の血液および腫 瘍濃度ならびに腫瘍:血液濃度比を示す。両方の内容物について、腫瘍:血液濃 度比は、対照リポソームについてよりもPEG化リポソームについての方が高か った(「トラッピング」原理が作用していたことを示す)。しかしながら、内容 物のタイプは、腫瘍:血液比の絶対値に影響を及ぼしたが、両方の内容物は、腫 瘍:血液比の同様の比例した増加を示す。かくして、ここで用いた内容物のいず れについても、リポソームの「トラッピング」を示すための試験基準は、あまり 影響しなかった。 チラミニルイヌリンについての腫瘍中の低いレベルを仮定すると、これは、リ ポソームの最終結果についてのより厳格な試験を提供し、好ましい評価方法であ る。しかしながら、デリバリーさせようとする内容物が111Inと同様の行動を有 する場合、問題のリポソームを介して実際にデリバリーしようとする内容物がよ り適切である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 フィッシャー,デレク イギリス、エヌダブリュー3・2イーゼッ ト、ロンドン、フリート・ロード、ポリマ スク・ファーマシューティカルズ・パブリ ック・リミテッド・カンパニー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.充実性腫瘍または皮膚に血流を介して投与するための診断的または治療的 に有効な薬剤の組成物であって、該組成物が脂質含有多分子構造を含有してなり 、該薬剤が該脂質含有多分子構造中に優先的に存在し、該脂質含有多分子構造が 共有結合した親水性ポリマー部分を有する1以上の疎水性本体を含有してなり、 該脂質含有多分子構造の物理的形態、疎水性本体の性質、親水性ポリマー部分の 性質、血流に暴露された非誘導疎水性本体に対するポリマー含有疎水性本体の比 率、ならびに2つ以上の疎水性本体がある場合のこれら疎水性本体の相対的な割 合が全て以下のように選択されることを特徴とする組成物: (i)該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静 脈内注射について、注射後24時間目および48時間目のいずれかまたは両方で 達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比率または血中濃度に対する皮 膚中濃度の比率が一単位よりも大きくなるように、 (ii)該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静 脈内注射後24時間目および48時間目に達成された薬剤の血中濃度に対する腫 瘍中濃度の比率または血中濃度に対する皮膚中濃度の比率が、第1対照生成物が 疎水性本体の親水性ポリマー修飾を欠いていること以外は該組成物と同一である 第1対照生成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静脈 内注射後の同時間に達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比率または 血中濃度に対する皮膚中濃度の比率よりも有意には低くならないように、 および (iii)該組成物が実質的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性 ポリマー部分による誘導化に影響されやすく、疎水性本体の種の各々の少なくと も一部は、親水性部分によって誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に関 連する薬剤からなる場合以外は、該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているの が適切である動物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮 膚中濃度が、注射後24時間目および48時間目では、第2対照生成物が親水性 ポ リマー修飾を欠いており、かつ、該組成物中におけるポリマー修飾によって誘導 化される疎水性本体を欠いている第2対照生成物の動物への静脈内注射によって 達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度よりも高くなるように、または、 該組成物が実質的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性ポリマー部 分による誘導化に影響されやすく、疎水性本体の種の各々の少なくとも一部は、 親水性部分によって誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に関連する薬剤 からなる場合は、該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動 物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度が、注 射後24時間目および48時間目では、前記定義と同じである第1対照生成物の 動物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度より も高くなるように。 2.脂質含有多分子構造がリポソームを含有してなる請求項1記載の組成物。 3.共有結合した親水性ポリマー部分がポリエチレングリコール部分である請 求項1または2記載の組成物。 4.診断的または治療的に有効な薬剤が、少なくともリポソームの外面上でホ スファチジルエタノールアミン分子に共有結合したポリエチレングリコール部分 を有しているリポソーム中に閉じ込められている請求項3記載の組成物。 5.ポリエチレングリコール部分が、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニ ルポリエチレングリコールの誘導体でホスファチジルエタノールアミンまたはホ スファチジルエタノールアミンを含有するリポソームを処理することによって得 られる非生物分解性共有結合によって結合されている請求項4記載の組成物。 6.誘導体が2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルポリエチレングリコー ルのモノメチルエーテルである請求項5記載の組成物。 7.親水性ポリマーが分子量250〜12,000のポリエチレングリココー ルである請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。 8.診断的または治療的に有効な薬剤が皮膚疾患または障害を診断または治療 するための薬剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。 9.診断的または治療的に有効な薬剤が充実性腫瘍を診断または治療するため の薬剤である請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。 10.薬剤が腫瘍造影剤である請求項9記載の組成物。 11.薬剤が細胞増殖抑制剤または細胞障害剤である請求項9記載の組成物。 12.脂質含有多分子構造が組成物中に診断剤または治療剤の合計量の少なく とも半分を含有するリポソームを含有してなる請求項1〜11のいずれか1項記 載の組成物。 13.24〜48時間目に達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比 率または血中濃度に対する皮膚中濃度の比率が、第1対照生成物により同じ時間 で達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比率または血中濃度に対する 皮膚中濃度の比率よりも高い請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。 14.投与後24〜48時間の間じゅう、組成物の投与によって達成された薬 剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度が血中濃度よりも高いままである請求項13記 載の組成物。 15.人体または動物体に行った診断または治療の方法における使用のための 請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。 16.人体または動物体における皮膚疾患もしくは障害または充実性腫瘍の診 断薬または治療薬の製造における請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物の 使用。 17.患者に請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物の有効な非毒性量を 投与することを特徴とする、ヒトまたは動物患者における皮膚疾患もしくは障害 または充実性腫瘍の治療方法または診断方法。 18.さらに、診断薬または治療薬のデリバリーを保証するための皮膚または 腫瘍の全身または局所治療の工程を含んでなる請求項17記載の方法。 19.該さらなる工程が、構造を漏りやすくまたは溶融しやすくなるように熱 の局所適用または脂質含有多分子構造を分解する薬剤の局所もしくは全身投与を 含んでなる請求項18記載の方法。 20.充実性腫瘍または皮膚に血流を介して投与するための診断的または治療 的に有効な薬剤の組成物の製造方法であって、該組成物が脂質含有多分子構造を 含有してなり、該薬剤が該脂質含有多分子構造中に優先的に存在し、該脂質含有 多分子構造が共有結合した親水性ポリマー部分を有する1以上の疎水性本体を含 有してなり、該方法が脂質含有多分子構造の物理的形態、疎水性本体の性質、親 水性ポリマー部分の性質、血流に暴露された非誘導疎水性本体に対するポリマー 含有疎水性本体の比率、ならびに2つ以上の疎水性本体がある場合のこれら疎水 性本体の相対的な割合を以下のように選択することを特徴とする方法: (i)該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静 脈内注射について、注射後24時間目および48時間目のいずれかまたは両方で 達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比率または血中濃度に対する皮 膚中濃度の比率が一単位よりも大きくなるように、 (ii)該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静 脈内注射後24時間目および48時間目に達成された薬剤の血中濃度に対する腫 瘍中濃度の比率または血中濃度に対する皮膚中濃度の比率が、第1対照生成物が 疎水性本体の親水性ポリマー修飾を欠いていること以外は該組成物と同一である 第1対照生成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動物への静脈 内注射後の同時間に達成された薬剤の血中濃度に対する腫瘍中濃度の比率または 血中濃度に対する皮膚中濃度の比率よりも有意には低くならないように、 および (iii)該組成物が実質的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性 ポリマー部分による誘導化に影響されやすく、疎水性本体物の種の各々の少なく とも一部は、親水性部分によって誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に 関連する薬剤からなる場合以外は、該組成物の、モデル充実性腫瘍を有している のが適切である動物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または 皮膚中濃度が、注射後24時間目および48時間目では、第2対照生成物が親水 性ポリマー修飾を欠いており、かつ、該組成物中におけるポリマー修飾によって 誘導化される疎水性本体を欠いている第2対照生成物の動物への静脈内注射によ って達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度よりも高くなるように、また は、該組成物が実質的に1種以上の疎水性本体(ここで、各種は、親水性ポリマ ー部 分による誘導化に影響されやすく、疎水性本体の種の各々の少なくとも一部は、 親水性部分によって誘導化される)からなる脂質含有多分子構造に関連する薬剤 からなる場合は、該組成物の、モデル充実性腫瘍を有しているのが適切である動 物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度が、注 射後24時間目および48時間目では、前記定義と同じである第1対照生成物の 動物への静脈内注射によって達成された薬剤の腫瘍中濃度または皮膚中濃度より も高くなるように。 21.請求項2〜15のいずれか1項記載の組成物の製造のための請求項20 記載の方法。
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