JPH11503014A - T細胞レセプター並びに治療および診断におけるその用途 - Google Patents

T細胞レセプター並びに治療および診断におけるその用途

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JPH11503014A JP8529603A JP52960396A JPH11503014A JP H11503014 A JPH11503014 A JP H11503014A JP 8529603 A JP8529603 A JP 8529603A JP 52960396 A JP52960396 A JP 52960396A JP H11503014 A JPH11503014 A JP H11503014A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、腫瘍関連抗原を認識するT細胞受容体に対する核酸配列を提供する。特に、黒色腫抗原を認識するT細胞受容体に対する核酸配列を提供する。本発明はまた、抗原特異的T細胞受容体を発現するT細胞を提供する。加えて、本発明は抗原特異的T細胞受容体あるいはキメラ受容体を発現する幹細胞を提供する。本発明はさらに、療法的および診断的組成物および本明細書中で提供されるT細胞受容体およびキメラ受容体を使用する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 T細胞レセプター並びに治療および診断におけるその用途 発明の分野 本発明の分野は、一般的には、哺乳動物の病気を治療または予防するための組 成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、腫瘍関連抗原を認識する T細胞レセプターおよびキメラレセプター、ならびにこれらのT細胞レセプター を用いる予防、診断および治療への応用に関する。発明の背景 ヒトの癌、自己免疫病、ウイルス、細菌、寄生虫および真菌病のような病気治 療の伝統的典型的方法には、外科手術、放射線化学療法、抗生物質またはそれら の組み合わせ療法が含まれる。しかしながら、これらの治療法は、これらの疾病 の大多数に対して効果的ではない。ヒトの疾病を予防または治療するために、別 の治療の必要性が大である。過去十年間で、Tリンパ球を用いた免疫療法および 遺伝子療法がヒトの疾病、特にヒト癌を治療する新しく有望な方法として現れて きた。 T細胞は、大多数のマウス腫瘍モデルでの腫瘍の退縮に重要な役割を果たす。 唯一の癌抗原を認識する腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrati ng lymphocyte)(TIL)は、多数のマウス腫瘍から単離するこ とができる。これらのTILとインターロイキン−2の養子移入は、起こってし まった肺および肝臓への転移の退縮を仲介することができる(Rosenber g,S.A.ら、1986、Science,3233:1318−1321) 。さらに、注入されたTILによるIFN−γの分泌は、生体内でのマウス腫瘍 の退縮に関係し、腫瘍抗原によってT細胞が活性化されていることを示唆してい る(Barth,R.J.ら、1991、J.Exp.Med.,173,64 7−658)。TILを転移した黒色腫を持つ患者内に養子移入した場合、黒色 腫患者の35%から40%で転移癌の退縮を仲介することがTILの能力として 知 られており、このことは、抗原を認識することが医療上重要であることを実証し ている(Rosenberg,S.A.ら、1988、N.Engl.J.Me d.,319:1676−1680;Rosenberg,S.A.1992、 J.Clin.Oncol.,10:180−199)。 CD8+ T細胞上のT細胞レセプターは、抗原性ペプチド(HLA−A2の9 −10アミノ酸)、β−2ミクログロブリンおよび主要組織適合性複合体(MH C)I型の重鎖(ヒトのHLA−A、B、C)からなる複合体を認識する。生体 内で合成されたタンパク質の消化によって生成したペプチドは、小胞体内に輸送 され、MHC−I型重鎖およびβ2ミクログロブリンと結合し、最終的に細胞表 面のMHC−I型分子の溝に表示される。 ヒトの中に癌に対する免疫応答が存在するという強力な証拠は、黒色腫沈査内 に腫瘍反応性リンパ球が存在することによって提供される。これらのリンパ球は 、分離された場合、MHC制限様式で、自己由来および同種異系の黒色腫上の特 定の腫瘍抗原を認識する能力を持つ(Itoh,K.ら、1986、Cance r Res.,46:3011−3017;Muul,L.M.ら、1987、 J.Immunol.,138:989−995;Topalian,S.L. ら、1989、J.Immunol.,142:3714−3725;Darr ow,T.L.ら、1989、J.Immunol.,142:3329−33 35;Hom,S.S.ら、1991、J.Immunother.,10:1 53−164;Kawakami,Y.ら、1992、J.Immunol., 148:638−643;Hom,S.S.ら、1993、J.Immunot her.,13:18−30;O’Neil,B.H.ら、1993、J.Im munol.,151:1410−1418)。転移メラノーマ患者からのTI Lは、生体外で、メラノサイト−黒色腫の家系に特異的な組織抗原を含む共有の 抗原を認識する(Kawakami,Y.ら、1993、J.Immunoth er.,14:88−93;Anichini,A.ら、1993、J.Exp .Med.,177:989−998)。抗黒色腫T細胞は、生体内では、多分 、腫瘍部位でのクローンの拡大および蓄積の結果としてTIL内に豊富に存在す ると考えられる(Sensi,M.ら、1993、J.Exp.Med.,17 8:123 1−1246)。サイトカインのような様々な遺伝子のT細胞への形質導入が実 証された。T細胞は、外来遺伝子の生成物を発現することが示された(Blae se,R.M.,Pediatr.Res.,33(増補第一版):S49−S 53.1993;Hwu,P.ら、J.Immunol.,150:4104− 415、1993;Culver,L.ら、Proc.Natl.Acad.S ci.USA,88:3155−3159、1991)。患者が腫瘍関連抗原に 対する細胞応答および体液性応答を増すと言う事実は、さらなる腫瘍抗原の同定 および特徴付けが癌患者の免疫治療に重要であろうことを示唆している。発明の概要 本発明は、一般的には、腫瘍関連抗原を認識または結合するT細胞レセプター の核酸およびアミノ酸配列、ならびに同一物を用いた組成物および方法に関する 。特に、本発明では、抗原特異的T細胞レセプターの可変−結合(Variab le−Joining)(V/J)または可変−多様−結合(Varizble −Diversity−Joining)(V/D/J)の連結配列のアミノ酸 および核酸配列について記載した。本発明は、さらに、T細胞レセプターの核酸 およびアミノ酸配列に関しての治療用途を提供する。また、本発明の目的は、こ れらT細胞レセプターまたはキメラレセプターを持つT細胞または造血幹細胞お よびそれらの使用方法を提供することである。 本発明の目的は、腫瘍関連抗原を認識する、分離されたT細胞レセプターまた はその部分をコードする核酸配列を提供することである。 本発明の目的は、腫瘍関連抗原を認識または結合するT細胞レセプターまたは その部分のアミノ酸配列を提供することにある。 本発明のその他の目的は、黒色腫抗原を認識する、分離されたT細胞レセプタ ーの核酸配列を提供することにある。 本発明のその他の目的は、腫瘍関連抗原を認識するT細胞レセプターの全体ま たはその部分をコードする組換え分子を作り出すことにある。 本発明のその他の目的は、抗原に特異的なT細胞レセプターをコードする核酸 配列を検出する方法を提供することにある。 本発明のその他の目的は、ヒトの疾病、特に癌の診断方法を提供することにあ る。 本発明のさらなるその他の目的は、T細胞からのCD28の細胞質領域に結合 した抗体可変領域または共刺激シグナルをT細胞に提供することのできる同様の 領域を含むキメラレセプターを提供することにある。 本発明のさらなる目的は、腫瘍関連抗原を認識するT細胞の核酸配列またはア ミノ酸配列の全体または部分を含む予防的または治療的使用方法を提供すること にある。 また、本発明の目的は、T細胞レセプターあるいはキメラレセプターを持つ造 血幹細胞またはT細胞を用いる免疫療法の組成物およびその方法を提供すること にある。 さらに、本発明のその他の目的は、ここに記載された核酸配列の全体または部 分、および腫瘍関連抗原を認識するその他のT細胞レセプターを含む組み合わせ 治療を提供することにある。 本発明のその他の目的は、ここに記載された方法を用いて癌の予防的または治 療的処置方法を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、免疫療法に用いる癌抗原を認識するレセプターを持 つT細胞または造血幹細胞を提供することにある。図面の簡単な説明 図1A−1Bは、黒色腫に特異的な細胞毒性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte)(CTL)クローンからのTCRαおよびTCR β連結配列を示している。図1Aは、クローンC10−1が一つの機能性TCR α転写物および一つのフレーム内TCRβ転写物を含むことを示している。Vα 14.1/Jα32/Cα転写物はフレーム内にあったが、N(N多様性領域) 領域配列は、Jα32内でフレームシフトを起こし、結果としてよく保存された FGXGの構造モチーフが失われた(Koopら、1993、Genomics ,84:478−493)。Jα32セグメントの3’末端の別の部位でスプラ イシングされると、結果としてC領域にリーディングフレームが再構築された。 V α8.2/Jα49/Cαを用いたTCRα遺伝子およびTCRβ遺伝子が作成 され再配列された。箱囲い(Box)は、V遺伝子の3’末端およびC領域の5 ’末端を示している。生殖細胞系のJ領域を下線で示している。N領域はマーク していない。不変領域の5’末端のみ示している。図1Bは、TILを制限消化 してできた3つのHLA−A2からのTCRαおよびTCRβ連結配列のアライ メントを示している。それぞれのJ領域のアミノ酸配列は、同一のJ領域を用い たその他の転写物で報告された配列に適合する。N領域には、DNAまたはアミ ノ酸配列の相同性は認められなかった。不変領域の5’末端のみを示している。 図2は、MART−1エピトープM9−2特異的細胞毒性Tリンパ球クローン からのTCRαおよびTCRβの連結配列を示している。V遺伝子の3’末端お よびC領域の5’末端が標識されている。生殖細胞系J領域を下線で示している が、N領域はマークしていない。それぞれのJ領域のアミノ酸配列は、同一のJ 領域を用いたその他の転写物で報告された配列と適合する。不変領域の5’末端 のみを示している。 図3Aから3Lは、クローン5 TCR−移入[バルク(bulk)(図3B 、3Fおよび3J)、クローン13(図3C、3Gおよび3K)、およびクロー ン22(図3D、3Hおよび3L)]ならびに非移入[ネオ(neo)(図3A 、3E、および3I)]Jurkat細胞系の免疫蛍光分析を示している。Ju rkat移入細胞(1x106)を、100μlのJurkat TCR β鎖 −特異的 mAb C305.2 上澄み液と共に(実線の度数分布図で示す) 、または含まずに(点線の度数分布図で示す)、37°Cで12時間インキュベ ートした。次いで、4つの細胞系のすべてを:図3A−3Dは抗−CD3 mA bで;図3E−3Hはpan−特異的 抗−TCR−1 mAbで;図3I−3 Lはc305.2 mAbで:再染色すると、内因性TCRが下方調整されてい ることが確かめられた。 図4は、クローン5 TCR移入(バルク、クローン13およびクローン22 )Jurkat細胞系によるIL−2生成を、ペプチド濃度のレベルを変化させ てグラフに示している。抗原刺激に応答するJurkatTCR移入細胞の感受 性は、T2細胞上にパルス標識した免疫優性M9−2ペプチドの一連の5倍連続 希 釈物(初発最大濃度50mM)を作り、次に、Jurkat細胞からのIL−2 の遊離を仲介するT2細胞の能力を求めることによって評価した。相対的感受性 は、最大のサイトカイン応答の50%を達成するに必要なペプチド濃度を測定す ることによって決定した。 図5A−5Cは、抗体一抗原認識によってTCRシグナルの形質導入を可能に するキメラ抗体/T細胞レセプターを示している。図5Aは抗体を示し、図5B はTCRを示し、また図5CはscFv−γを示している。一本鎖の抗体可変領 域(scFv)は、TCR−ζ鎖と相同性を持ちTCRシグナルの形質導入を仲 介する能力を持つ、Fcレセプターのγ鎖のようなTCRシグナル化鎖に連結さ れる(Orloff,D.ら、Nature,347:189−191,199 0:Letourneur,F.およびKlausner,R.D.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA,88:8905−8909,1991 ;Romeo,C.ら、Ce..,68:889−897,1992;Rome o,C.およびSeed,B.,Cell,64:1037−1046,199 1;Irving,B.A.およびWeiss,A.,Cell,64:891 −901,1991)。 図6Aから6Dは、様々な腫瘍系における葉酸結合タンパク質(folate binding protein)(FBP)の発現を測定するための、Mo Ab Mov18を伴うFACS分析を示している。IGROV−1とは、ヒト 卵巣癌(図6C)のことである。24JKとは、免疫原性に乏しいメチルコラン トレンによって誘導されたマウス肉腫MCA−102(図6B)のクローンのこ とである。24JK細胞は、FBP遺伝子を含むベクターをレトロウイルスのよ うに形質導入して、24JK−FBP細胞系を形成する(図6D)。888ME Lは、ヒト黒色腫細胞系である(図6A)。[白抜きのグラフ(open gr aph)=対照抗体;陰付きグラフ(shaded graph)=Mov18 抗体;y軸=細胞の相対数;x軸=蛍光強度対数] 図7は、24JK−FBP細胞注入後11日目の肺での出現を示している。腫 瘍注入後3日目、実施例4に記載の材料および方法に従って、マウスの治療を、 IL−2(左上方)、修飾されていないTIL+IL−2(右上方)、またはM ov−γを形質導入したTIL+IL−2(下方)のいずれかで、始めた。肺は 、気管内に墨汁を注入した後、収集した。肺をFelete溶液で漂白すると、 黒のバックグラウンド上に転移部が白く現れた。転移の実質的縮小は、他のグル ープと比較して、Mov−γを形質導入したTIL+IL−2を投与されたマウ スに見られた。 図8は、ヌードマウス内に2.5x106のヒト卵巣癌IGROV細胞を腹腔 内注入した後3日間の腹膜腔の組織病理学評価を示している。卵巣ガン細胞のマ ウス網へ侵入を認めることができる。 図9は、ヒト卵巣癌(IGROV)細胞を腹腔内注入した後のヌードマウスの 生存度について示している。腫瘍注入後3日目(図8、3日目の組織病理学的評 価、を参照のこと)に、マウスを、HBSS、修飾されていない(NV)マウス TIL、または、MOv−γレセプターあるいは対照としてSp−γレセプター のいずれかを形質導入したTIL(それぞれ、MOv−TILおよびTNP−T IL)で処理した。MOv−TILで処理したマウスは、他のグループと比較し て生存率が明らかに増加していることが示された。 図10A−10Bは、レセプター遺伝子を含むレトロウイルス構築物、LMo vγEN(図10A)およびLPMOvγ(図10B)を示しており、これを用 いて造血幹細胞に形質導入した。発明の詳細な説明 本発明をより完璧に理解する目的で、以下の定義をここに記載しておく。核酸 配列は、これに限定されるわけではないが、DNA、RNAまたはcDNAを含 む。ここに用いられる実質的に相同とは、ここに提供される腫瘍抗原特異的T細 胞レセプターのα鎖およびβ鎖のV−JまたはV−D−J連結配列の核酸配列と 他の任意の核酸配列が実質的に一致することをさす。例として、実質的相同とは 、核酸配列とその他の任意の核酸配列との間の、約50−100%の相同性、望 ましくは約70−100%、最も望ましくは90−100%の相同性を意味する 。さらに、また、ここに用いられているように、実質的に相同とは、ここに提供 された抗原特異的T細胞レセプターのV−JまたはV−D−J連結配列のアミノ 酸 配列とその他の任意のアミノ酸配列が実質的に一致することをさす。 主要組織適合性複合体(MHC)とは、ヒト白血球抗原(HLA)を含む異な る種で記載されている組織適合性抗原システムを包含する一般的名称である。癌 と言う言葉は、これらに限定されるわけではないが、黒色腫、癌から誘導された 上皮細胞、肺癌、結腸癌、卵巣癌、乳癌、腎臓癌、前立腺癌、脳癌、または肉腫 を含む。 哺乳動物のそのような癌は、染色体異常、退行性増殖および発達障害、分裂促 進剤、紫外線照射(UV)、ウイルス感染、遺伝子の不適切組織での発現、遺伝 子発現の変化または発癌剤を原因として起こりうる。黒色腫と言う言葉は、これ らに限定されるわけではないが、黒色腫、転移黒色腫、メラノサイトあるいはメ ラノサイト関連母斑細胞のいずれかから誘導される黒色腫、黒色癌、黒色上皮腫 、黒色肉腫、表皮内黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、悪性ほくろ黒色 腫、先端部ほくろ黒色腫、浸潤性黒色腫または家族性異型母斑および黒色腫(f amilial atypical mole and melanoma)( FAN−M)症候群を含む。前述の癌は、本明細書に記載の方法に従って、治療 、評価または診断することができる。 Tリンパ球は、主要組織適合性複合体(MHC)座のクラスIおよびクラスII 分子に結合したペプチドフラグメントの形の抗原を認識する。抗原のためのT細 胞レセプター(TCR)は、少なくとも8つのポリペプチド鎖の複合体である( ”Basic and Clinical Immunology”、1994 、Stites、TerrおよびParslow編、AppletonおよびL ange、Nenmack Conn.)。これらのうちの2つの鎖(α鎖およ びβ鎖)は、MHC分子に結合した抗原性ペプチドを認識するジスルフィド結合 二量体を形成し、それ故、TCR内での実際のリガンド結合構造である。TCR αおよびβ鎖は、免疫グロブリンタンパク質と多くの点で類似している。αお よびβ鎖のアミノ末端領域は、多型性が大きく、それ故、T細胞集団全体では、 多数の異なるTCR α/β二量体が存在し、そのそれぞれが抗原性ペプチドお よびMHCの特定の組み合わせを認識または結合する能力を持つ。 α/β二量体は、CD3と呼ばれるタンパク質複合体と提携する。CD3分子 は、TCRが抗原/MHCを認知したとき、これを形質導入に関する細胞内シグ ナルに変換することを可能ならしめることによって、シグナル形質導入にかかわ る。 抗原決定基の幅広いスペクトルを認識するために必要とされるTCRの多様性 を作り出すために、TCR αおよびβ遺伝子は、免疫グロブリン遺伝子のそれ によく似たDNAの再配列による結合戦略を用いる。生殖細胞系のTCR β遺 伝子は、約65のV(可変)、2つのD(多様性)、13のJ(連結)遺伝子セ グメントおよび2つのC(不変領域セグメント)を含む。TCR β遺伝子がT 細胞発生の初期に再配列される場合、Vβ領域セグメントの一つは、Dβ領域の 一つおよびJβセグメントの一つと連結し、一つの転写単位を形成するようにな る。V−D−Jは、不変Cβ(不変)領域にスプライスし、機能性タンパク質を コードするTCR β mRNAを形成する。卓越した多様性は、この組み合わ せ連結によって生ずる。TCR α座には、45−50セグメントより多いVセ グメントおよび約60のJセグメント、一つのCセグメントが含まれる、Dセグ メントは含まれない。機能性TCRα鎖遺伝子を形成するために、Vαセグメン トはJαセグメントに連結し、V−J転写物は、不変領域(Cα)にスプライス する。 多様性は、遺伝子セグメントの非精密な連結によって、および/または再配列 の過程の間に起こるセグメント間への非生殖細胞系をコードするヌクレオチドの 挿入(N領域と呼ばれる)によって、さらに強められる。これらのメカニズムは 、連結の多様性、特にVαとJαの間、およびVβ、DβおよびJβセグメント の間の連結部での配列の多様性を生じさせる。V−JおよびV−D−J連結配列 は、それぞれのT細胞レセプターのクローンタイプごとに独特であり、T細胞レ セプターの多様性の一因となる。 本発明に従って、腫瘍関連抗原を認識するT細胞レセプターのαおよびβ鎖の V−JまたはV−D−J連結領域またはその部分のアミノ酸配列が提供される。 一般的には、本発明は、MHCクラスIに関連して存在する腫瘍関連抗原を認識 または結合するT細胞レセプターに関連する。望ましい実施態様では、本発明の T細胞レセプターによって認識される腫瘍関連抗原は、黒色腫抗原である。例と して、本発明の黒色腫特異的T細胞レセプターは、HLA−A2.1またはHL A−A1に関連する黒色腫抗原を認識することができる。T細胞レセプターによ って認識される黒色腫抗原の例としては、これらに限定されるわけではないが、 MART−1あるいはそのペプチド、またはgp−100あるいはそのペプチド が含まれる。望まし実施態様では、細胞レセプターは、MART−1ペプチド、 特にエピトープM9−1(TTAEEAAGI)、M9−2(AAGIGILT V)、M10−3(EAAGIGILTV)およびM10−4(AAGIGIL TVI)(一文字アミノ酸コードで示す、実施例2および3)またはgp−10 0ペプチドのエピトープを認識または結合する。 本発明のヘテロ二量体のT細胞レセプターの機能性α鎖は、以下の式: V−J−C 式中、Vはα鎖の可変領域を含むアミノ酸配列である: を持つことができる。例として、再配列後のV遺伝子は、システイン−Xaan (式中、nは約1−5であって良く、Xaaは任意のアミノ酸またはアミノ酸の 組み合わせであって良い)のカルボキシ末端配列をコードする3’末端を持つで あろう。望ましくは、Xaaは、アラニンまたはセリンである。望ましい実施態 様では、V遺伝子の3’末端は、システイン−アラニンのカルボキシ末端をコー ドする。Vα遺伝子の望ましいカルボキシ末端を図1Aおよび1Bならびに図2 に示す。この領域を作り出すに用いられるであろうVα遺伝子の例としては、こ れらに限定されるわけではないが、Vα8.2またはVα17、Vα9、Vα1 、Vα25、またはVα21が含まれる。 Jは、連結領域を示す。この領域を作り出すために用いることのできるJ遺伝 子の例としては、これらに限定されるわけではないが、Jα49、Jα42、J α16またはJα54 が含まれる。さらにまた、J領域は、図1A−1Bおよ び2に示すようなN領域を含んでもよい。本発明のT細胞レセプターのα鎖に望 ましいJ領域を、図1Aおよび1Bならび図2に示す。Cは、α鎖の不変領域を 示す。 本発明のT細胞レセプターの望ましいV−J連結配列を、図1A−1Bおよび 図2に示す。 ヘテロ二量体であるT細胞レセプターの機能性β鎖は、式: V−D−J−C 式中、Vはβ鎖の可変領域を含むアミノ酸配列である: を持つであろう。V遺伝子は、システイン−Xaan(式中、nは約1−5であ って良く、またXaaは任意のアミノ酸または任意のアミノ酸の組み合わせであ って良い)のカルボキシ末端をコードする3’末端を持つであろう。望ましくは 、Xaaは、アラニンまたはセリンのいずれかである。望ましい実施態様では、 V領域の3’末端は、システイン−アラニン−セリンまたはシステイン−アラニ ン−セリン−セリン、またはシステイン−アラニンのカルボキシ末端をコードす る。Vβ領域の望ましいカルボキシ末端を、図1A−図1Bおよび図2に示す。 V領域に用いることのできるV遺伝子の例としては、これらに限定されるわけで はないが、Vβ13.6、Vβ6.5、Vβ22.1、Vβ7.3、またはVβ 3.1が含まれる。 Jは、連結領域を示す。連結領域を作り出すために用いることのできるJβ遺 伝子の例としては、これらに限定されるわけではないが、Jβ1.5、Jβ2. 1、Jβ1.1、またはJβ2.7が含まれる。連結領域は、また、図1A−1 Bおよび図2に示すようなN領域を含むであろう。ここに用いられるであろうD (多様性)遺伝子の例としては、これらに限定されるわけではないが、Dβ1. 1、またはDβ2.1が含まれる。 Cは、β鎖の不変領域を示す。用いることのできる不変領域の例としては、こ れらに限定されるわけではないが、Cβ1またはCβ2が含まれる。ここに提供 されるT細胞レセプターのβ鎖の望ましいV−D−J連結配列を、図1A−1B および図2に示す。 一つの実施態様では、本発明のT細胞レセプターは、システインXaanのカ ルボキシ末端をコードする3’末端を持つ可変領域、J領域および不変領域をコ ードする核酸配列を含むα鎖を、システインXaanのカルボキシ末端をコード する3’末端を持つ可変領域、D領域およびJ領域ならびに不変領域をコードす る核酸配列を含むβ鎖と共に、含む。T細胞レセプターのα鎖およびβ鎖は、望 ましくは腫瘍関連抗原、最も望ましくは黒色腫抗原を認識するリガンド結合ドメ インを形成する。 望ましい実施態様では、ここに提供される黒色腫に特異的なT細胞レセプター は、以下のαおよびβ鎖の組み合わせ;図1Aに示したV−J連結配列を持つV α8.2/Jα49/Cα鎖(配列番号:1および14)および図1Aに示した V−D−J連結配列を持つVβ13.6/Dβ1.1/Jβ1.5/Cβ1(配 列番号:3および16)を含む腫瘍浸潤リンパ球(TIL) C10−1T細胞 クロノタイプ;図1Bに示したV−J連結配列を持つVα17/Jα42/Cα (配列番号:4および17)ならびに図1Bに示したV−D−J連結配列を持つ Vβ6.5/Dβ1.1/Jβ1.5/Cβ1(配列番号7および20)を含む TIL F2−2クロノタイプ;図1Bに示したV−J連結配列を持つVα9/ Jα16/Cα(配列番号5および18)ならびに図1Bに示したV−D−J連 結配列を持つVβ22.1/Dβ2.1/Jβ2.1/Cβ2(配列番号8およ び21)を含むTIL1200クロノタイプ;図1Bに示したV−J連結配列を 持つVα1/Jα49/Cα(配列番号6および19)ならびに図1Bに示した V−D−J連結配列を持つVβ7.3/Dβ2.1/Jβ2.1/Cβ2(配列 番号9および22)を含むTIL5クロノタイプ;図2に示したV−J連結配列 を持つVα25/Jα54/Cα(配列番号10および23)ならびに図2に示 したV−D−J連結配列を持つVβ3.1/Dβ1.1/Jβ1.1/Cβ1( 配列番号:12および25)を含むTIL 1E2クロノタイプ;または、図2 に示したV−J連結配列を持つVα21/Jα42/Cα(配列番号11および 24)ならびに図2に示したV−D−J連結配列を持つVβ7.3/Dβ2.1 /Jβ2.7/Cβ2(配列番号13および26)を含むTIL A42クロノ タイプ;を持つ。 本発明のT細胞レセプターは、自然発生のものであっても、合成によって作り 出されたものであっても良い。本発明のT細胞レセプターを含むαおよびβ鎖は 、 当業者に周知の標準的な組換え法によって、作り出すことができる。本発明のT 細胞レセプターのαおよびβ鎖を構築するのに用いることのできるVα、Jα、 Cα、Vβ、DβおよびJβ遺伝子の例としてのGENBANK寄託番号を以下 に提供する。これらの遺伝子は、本発明のT細胞レセプターのためにここに提供 された唯一のJ−VまたはJ−D−J連結配列を挿入するためのフレームとして 用いることができる。 さらに、本発明は、腫瘍関連抗原、特に黒色腫抗原を認識するまたは結合する 本発明のT細胞レセプターと、実質的に同じ機能性または活性を持つT細胞レセ プターおよびその類似体を含む。そのようなレセプターまたはタンパク質は、こ れらに限定されるわけではないが、ここに提供されたT細胞レセプターのタンパ ク質のフラグメント、または置換、付加あるいは欠失変異体が含まれる。また、 この発明は、ここに提供され得るT細胞レセプターと実質的に相同であり、同じ 活性を保持しているタンパク質またはペプチドを包含する。「類似体」と言う言 葉は、一つまたはそれより多くの残基が機能的に類似した残基と保存的に置換さ れ、また、ここに記載されたT細胞レセプターの機能性特色を示す、ここに提供 されたT細胞レセプターと実質的に同一のアミノ酸残基配列を持つ任意のタンパ ク質またはポリペプチドを含む。例として、そのようなレセプターは、腫瘍関連 抗原、MART−1またはgp100、またはそれから誘導されたペプチドを認 識することができる。保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシ ンまたはメチオニンのような一つの非極性(疎水性)残基の相互置換、アルギニ ンとリジン、グルタミンとアスパラギン、グリシンとセリンの間で行われるよう な一つの極性(親水性)残基の相互置換、リジン、アルギニンまたはヒスチジン のような一つの塩基性残基の相互置換、またはアルパラギン酸またはグルタミン 酸のような一つの酸性残基の相互置換が、含まれる。 また、「保存的置換」と言う句は、非誘導残基の代わりに化学的に誘導された 残基を用いることを含む。「化学誘導体」とは、機能性側鎖の反応によって化学 誘導された一つまたはそれより多くの残基を持つ従属ポリペプチドをさす。その ような誘導体分子の例として、例えば、遊離アミノ基が誘導体化されて、アミン 塩酸、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカル ボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を形成するそれらの分子を含む。 遊離のカルボキシル基は、誘導体化されて、塩、メチルおよびエチルエステルま たは他の型のエステルあるいはヒドラジドを形成することができる。遊離のヒド ロキシル基は、誘導体化されて、O−アセチルまたはO−アルキル誘導体を形成 することができる。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、誘導体化されて、N−i m−ベンジルヒスチジンを形成することができる。また、化学誘導体としては、 20の標準アミノ酸からの、一つまたはそれより多くの自然発生アミノ酸誘導体 を含むそのようなタンパク質またはペプチドも含まれる。例えば、4−ヒドロキ シプロリンはプロリンの代わりであり;5−ヒドロキシリジンはリジンの代わり であり;3−メチルヒスチジンはヒスチジンの代わりであり;ホモセリンはセリ ンの代わりであり;オルニチンはリジンの代わりでありうる。また、本発明のタ ンパク質またはポリペプチドは、必要な活性を維持している限りにおいて、レセ プターのDNA配列によってコードされる配列のポリペプチド配列と比較して1 つまたはそれより多くの付加および/または欠失または削除された残基を持つ任 意のポリペプチドをも含む。ここに提供された腫瘍抗原特異的T細胞レセプター の核酸配列は、本発明の望ましい実施態様を示す。しかしながら、核酸配列内の 遺伝子コード変化の縮重によってもまた、腫瘍抗原特異的T細胞レセプターをコ ードする能力を持つ配列を結果として生ずることを、当業者は理解している。そ れ故、そのような配列は、ここに示した配列と機能的に等価である。そのレセプ ターの機能活性を持つ腫瘍抗原T細胞レセプターをコードする核酸配列もまた、 本発明の内にある。 また、本発明は、ここに提供されるT細胞レセプター核酸配列の全体または部 分およびベクターを含む組換えDNA分子を提供する。本発明のT細胞レセプタ ーのαおよびβ鎖をコードする核酸配列を、単一の発現ベクター内に位置させる ことができる。代わりに、α鎖およびβ鎖をそれぞれ別々の発現ベクター内に位 置させることもできる。本発明で用いるのに適当な発現ベクターは、核酸配列に 機能できるように連結した少なくとも一つの発現制御エレメントを含むことがで きる。発現制御エレメントをベクター内に挿入すると、核酸配列の発現が制御さ れ調節される。発現制御エレメントの例としては、これらに限定されるわけでは ないが、lacシステム、ファージλのオペレーターおよびプロモーター領域、 酵母のプロモーターおよびポリオーマより誘導されたプロモーター、アデノウイ ルス、レトロウイルス、シトメガロウイルス(CMV)、SRα、MMLV、S V40またはホスホグリセロールキナーゼ(PGK)およびβアクチンのような ハウスキーピングプロモーターが含まれる。さらに、望ましいまたは必要とされ る有効なエレメントとしては、これらに限定されるわけではないが、リーダー配 列、終止コドン、ポリアデニル化シグナルおよび宿主システムでの核酸配列の適 当な転写およびそれに続いて起こる翻訳に必要なあるいは望ましいその他の任意 の配列が含まれる。必要とされるまたは望ましい発現制御エレメントの適正な組 み合わせが選択された宿主システムに依存するであろうことは、当業者によって 理解されるであろう。さらに、発現ベクターは宿主システム内での核酸配列を含 む発現ベクターの運搬およびそれに続いて起こる複製に必要なさらなるエレメン トを含んで良いことが、理解されるであろう。そのようなエレメントの例として は、これらに限定されるわけではないが、複製開始点および選択可能マーカーな らびに長い末端繰り返し(long terminal repeat)(LT R)および内部リボソーム侵入部位(internal ribosomal entry site)(IRES)が含まれる。また、発現ベクターは、リー ダーペプチド配列を含むことができる。さらに、そのようなベクターは、慣用的 方法(Ausubelら、1987、”Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons、New York,New York)を用いて簡単に構築される 、または商品として入手できることを、当業者は理解しているであろう。 本発明のもう一つの態様は、本発明のT細胞レセプターの核酸配列の全体また は部分を含む組換え発現ベクターが導入される宿主微生物に関する。本発明のT 細胞のαおよびβ鎖は、異なる宿主内または同一の宿主内で独立的に発現させる ことができる。望ましくは、αおよびβ鎖は、同一宿主内に導入され、機能性T 細胞レセプターの形成を可能にする。本発明のT細胞レセプター核酸配列の全体 または部分で形質転換された宿主細胞には、動物、植物、昆虫および酵母細胞の ような真核生物、ならびに大腸菌のような原核生物が含まれる。例として、動物 細胞には、JURKAT細胞、Tリンパ球、末梢血液細胞、単球、幹細胞、ナチ ュラルキラー細胞またはマクロファージが含まれる。遺伝子を持つベクターを細 胞内に導入することのできる手段としては、これらに限定されるわけではないが 、微量注入、エレクトロポレーション(electroporation)、形 質導入、レトロウイルス形質導入、またはDEAE−デキストラン、リポフェク チン、リン酸カルシウム、遺伝子運搬を仲介する粒子衝撃、あるいは本発明のT 細胞レセプターをコードする核酸配列の直接注入を用いた移入、または当業者に 既知のその他の方法が含まれる(Sambrookら、1989、”Molec ular Cloning,A Laboratory Manual”,Co ld Spring Harbor Press,Plainview,New York)。発現ベクターによって作り出されるT細胞レセプターを単離し、 生成し、さらに、結晶学研究または抗体の形成に用いることができる。 望ましい実施態様では、真核細胞で機能する真核生物の発現ベクターが用いら れる。そのようなベクターの例としては、これらに限定されるわけではないが、 レトロウイルスベクター、ワクチンウイルスベクター、アデノウイルスベクター 、アデノ関連ウイルス(AAV)ヘルペスウイルスベクター、鶏痘ウイルスベク ター、pCDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)のよ うなプラスミド、またはバキュロウイルス運搬ベクターが含まれる。例として、 用いることのできる真核生物発現ベクターは、これらに限定されるわけではない が、G1EN(Treisman,J.ら、Blood,85:139;Mor ganら、1992、Nucleic Acids Res.,20:1293 −1299)、LXSN(Miller,A.D.ら、Mechods Enz ymol.,217:581−599、1993;Miller,A.D.ら、 Bi oTechniques,7:980−988、1989;Miller,A. D.ら、Mol.Cell Biol.,6:2895−2902,1986; Miller,A.D.,Curr.Top.Microbiol.Immun ol.,158:1−24,1992)またはSAM−ENベクター(Trei sman,J.ら、Blood,85:139)が含まれる。望ましい真核生物 細胞系には、これらに限定されるわけではないが、COS細胞、CHO細胞、H eLa細胞、NIH/3T3細胞、293細胞(ATCC♯ CRL1573) 、T2細胞、樹状細胞、単球、またはJURKAT細胞が含まれる。望ましい実 施態様では、組換えT細胞レセプタータンパク質発現ベクターは、NIH/3T 3、COS−7、CHO、293細胞(ATCC♯ CRL1573)、T2細 胞、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、造血幹細胞または単球のような 哺乳動物細胞内に導入されて、適切なプロセシングおよびレセプタータンパク質 の修飾を確実なものにする。 一つの実施態様では、発現した組換えT細胞レセプターは、コマジブルー染色 および特異的T細胞レセプターに特異的な抗体を用いたウエスタンブロッティン グを含む、この技術分野で既知の方法に従って、検出することができる。さらな る実施態様では、宿主細胞によって発現した組換えタンパク質は、粗溶解細胞液 として得られるか、または分画沈殿、モレキュラーシーブクロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動、ゲル電気泳動、アフィニティ ー、およびイムノアフィニティクロマトグラフィーおよびその類似法を含むこの 分野で既知の標準的なタンパク質精製法によって精製することができる(Aus ubelら、1987、”Current Protocols in Mol ecular Biology”,John Wiley and Sons, New York,New York)。イムノアフィニティークロマトグラフ ィーの場合、組換えタンパク質は、本発明のT細胞レセプターに特異的な抗体を 通して結合させた樹脂を含むカラムを通過させることによって精製することがで きる(Ausubelら、1987、”Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,New York,New York)。 本発明の核酸配列またはその部分は、本発明のT細胞レセプターをコードする 再配列された遺伝子の発現ならびに関連するmRNAを検出するためのプローブ として、有用である。それ故、本発明のもう一つの態様は、本発明のT細胞レセ プターをコードするメッセンジャーRNAまたはDNAを生物サンプル中で検出 するためのアッセイに関する。 RNAは、全細胞RNAとして、またはポリ(A)+RNAとして、分離する ことができる。全細胞RNAおよびポリA RNAは、当業者に既知の様々な方 法に従って、分離することができる(Ausubelら、1987、”Curr ent Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons,New York)。生体試料から DNAを分離し、遺伝子内での変化を検出し、核酸プローブとゲノムDNA配列 との間の複合体を検出するための標準的方法は、Sambrookら編、198 9、”Molecular Cloning,A Laboratory Ma nual”,Cold Spring Harbor Press,Plain view,New York、およびAusubelら編、1987、”Cur rent Protocols in Molecular Biology” ,John Wiley and Sons,New York,New Yo rkのような、マニュアルに提供されている。慣用的方法論は、mRNAまたは DNAを分析し検出するために用いることができる(Sambrookら、19 89、”Molecular Cloning,A Laboratory M anual”,Cold Spring Harbor Press,Plai nview,New York;Ausubelら、1987、”Curren t Protocols in Molecular Biology、Joh n Wiley and Sons,New York,New York)。 標準的技術を用いて、本発明のプローブを標識することができる。Sambro okら編、”Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Press,Pl ainview,New York、およびAusubelら編、1987、” Current Protocols in Molecular Biolo g y”、John Wiley and Sons,New York,New York。放射能活性および非放射能活性の標識キットもまた、商品として入手 できる。 バイオアッセイに用いることのできる生物サンプルの例としては、これらに限 定されるわけではないが、リンパ節のような組織、末梢血液リンパ球、腫瘍生検 、骨髄、リンパ系器官、黒色腫のような生検標本、病理標本、および検死標本が 含まれる。望ましい実施態様では、プローブとして用いられる核酸配列は、T細 胞レセプターを含むαおよびβ鎖のJ−VまたはJ−D−V連結配列領域から誘 導される(図1A−1Bおよび図2)。プローブとして用いられる望ましい核酸 配列は、N領域を含む。代わりに、ここに提供される核酸配列の全長またはその 部分をプローブとして用いることもできる。 その他の実施態様では、図1A−1Bおよび2にそれぞれ示したαおよびβ鎖 のJ−VまたはJ−D−V連結配列を基本としたオリゴヌクレオチド対の組み合 わせを用いて、生体サンプルのRNAまたは再配列された生殖細胞系配列を検出 するためのポリメラーゼ鎖反応(PCR)プライマーを誘導できる。これらのプ ライマーは、Ausubelら編、1987、”Current Protoc ols in Molecualar Biology”、第15章,John Wiley and Sons,New York,New York.に詳 細に記載されている、選択されたRNA核酸配列を増幅させるための逆転写酵素 −ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)法に続く方法に用いることができる。オ リゴヌクレオチドは、様々な製造者から発売されている自動装置によって合成す ることができ、または、本発明の核酸配列に基づき商品として調製することもで きる。当業者は、サンプル中のRNAまたは再配列された生殖細胞系配列DNA を増幅させるための核酸配列に基づいたPCRプライマーを選択する方法を知っ ているであろう。ここに提供されたT細胞レセプターをコードするRNAまたは DNAを検出する方法は、T細胞レセプターを用いるここに提供された治療方法 の効果を評価するまたは治療方針を決定するために用いることができる。 さらに、本発明のその他の実施態様では、ここに提供される抗原特異的T細胞 レセプターの核酸配列の全体またはその部分を用いて、形質転換動物を作り出す ことができる。望ましくは、本発明の抗原特異的T細胞のαおよびβ鎖をコード する配列は、胚芽期、望ましくは、一細胞期および一般的には八細胞期より遅く ない時期に、動物または動物の祖先に導入される。T細胞レセプター遺伝子を運 搬を持つ形質転換動物を作ることのできる手段は、いくつかある。一つの方法に は、T細胞レセプター配列の全体または部分を持つレトロウイルスを用いること が含まれる。トランスジーンを含むレトロウイルスは、トランスフェクションに よって胚芽期の動物内に導入される。その他の方法は、胚芽内へのトランスジー ンの直接注入を含む。さらに、その他の方法では、この分野で働く人々に既知の 胚芽期幹細胞法または相同体組換え法を用いる。T細胞レセプタートランスジー ンを導入することのできる動物の例としては、これらに限定されるわけではない が、ヒト以外の霊長類、マウス、ラットまたはその他の齧歯類が含まれる。形質 転換されたそのような動物は、癌研究の生物モデルとして、および癌、特に黒色 腫を治療するための診断法または治療法を評価するために、有用であろう。 さらに、本発明は、本発明のT細胞レセプターまたはその部分と反応する抗体 または抗体群を含む。本発明のこの実施態様では、抗体群は、もとはモノクロー ナルであるか、またはポリクローナルである。抗体生成に用いられる抗原特異的 T細胞レセプターまたはその部分は、天然または組換え体を源とすることができ る、または化学合成によって作り出すことができる。天然のT細胞レセプターは 、哺乳動物の生物サンプルから分離することができる。生物サンプルは、これら に限定されるわけではないが、末梢血液リンパ球(PBL)、血液、リンパ系器 官、リンパ節、T細胞、または黒色腫からの生検サンプルのような哺乳動物の組 織が含まれる。天然タンパク質は、組換えタンパク質について上記した方法と同 じ方法で分離することができる。組換えT細胞レセプタータンパク質またはペプ チドは、慣用的方法によって生成し、精製することができる。合成ペプチドは、 本発明のアミノ酸配列を基本として、注文生産すること、商品として作られるこ と、または当業者に既知の方法によって合成することができる(Merrifi eld,R.B.1963,J.Amer.Soc.,85:2149)。もし ペプチドが抗原として短すぎる場合、ペプチドの抗原性を強化するために、キャ リヤー分子と結合させることができる。キャリヤー分子の例としては、これらに 限定 されるわけではないが、ヒトアルブミン、ウシアルブミンおよびキーホールリン ペット(keyhole limpet)ヘモシアニンを含む(”Basic and Clinical Immunology”、1991、Stites ,D.P.およびTerr,A.I.編,Appleton and Lang e,Norwalk,Connecticut,San Mateo,Cali fornia)。 本発明の検出方法に用いられる典型的な抗体は、完全なイムノグロブリン分子 であり、実質的には、完全なイヌムノグロブリン分子または抗原結合部位を含む イムノグロブリン分子のそれらの部分であり、この分野ではF(ab)、F(a b’);F(ab’)2およびF(v)として知られているイムノグロブリン分 子のそれらの部分を含む。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、この技 術分野で既知の方法によって作り出すことができる(KohlerおよびMil stein、1975、Nature,256,495−497;Campbe ll,”Monoclonal Antibody Technology,t he Production and Characterization o f Rodent and Human Hybridomas”、Burdo nら編、1985、”Laboratory Techniques in B iochemistry and Molecular Biology”、第 13巻、Elsevier Science Publishers,Amst erdam)。また、抗体または抗原結合フラグメントは、遺伝子工学によって 作り出すこともできる。大腸菌内に重鎖および軽鎖の両方の遺伝子を発現させる 技術は、以下のPCT特許出願:出願番号WO901443、WO901443 およびWO9014424:およびHuseら、1989、Science,2 46:1275−1281の主題である。 この発明の抗体は、天然または変性させたT細胞レセプタータンパク質あるい はペプチドまたはその類似体と反応することができる。抗体を用いる具体的イム ノアッセイは、どの抗体が望ましいかを指図するであろう。抗体は、天然のT細 胞レセプタータンパク質あるいはその部分に対して、またはT細胞レセプターの アミノ酸配列に独特な領域に相同な合成ペプチドに対して、上昇させることがで きる。 一つの実施態様では、本発明の抗体をイムノアッセイに用いて、生物サンプル 内の抗原特異的T細胞レセプタータンパク質を検出する。この方法では、本発明 の抗体を生物サンプルと接触させ、T細胞レセプターと抗体の間に複合体が形成 されていることを検出する。本発明のイムノアッセイは、ラジオイムノアッセイ 、ウエスタンブロットアッセイ、免疫蛍光アッセイ、酵素イムノアッセイ、化学 発光アッセイ、免疫組織化学アッセイおよびその類似アッセイであって良い(” Principles and Practice of Immunoass ay”、1991、Christopher P.PriceおよびDavid J.Neoman編、Stockton Press,New York,N ew York;Ausubelら編、1987、”Current Prot ocols in Molecular Biology”、John Wil ey and Sons,New York,New York)。この技術分 野でELISAとして知られている標準的な技術は、”Methods in Immunodiagnosis”、第2版、RoseおよびBigazzi編 、John Wiley and Sons、New York、1980およ びCampbellら、Mechods of Immunology, W. A.Benjamin Inc.,1964(これらは両方とも、ここに参照と して取り入れられる)。そのようなアッセイは、この技術分野に記載されている ように、直接的、間接的、拮抗または非拮抗のイムノアッセイであって良い(” Principles and Practice of Immunoass ay”、1991、Christopher P.PriceおよびDavid J.Neoman編、Stockton Pres,NY,NY;Oelli rich,M.,1984、J.Clin.Chen.Clin.Bioche m.,22:895−904)。そのような検出アッセイに適当な生物サンプル には、哺乳動物の組織、黒色腫およびリンパ節、病理標本、検死標本、骨髄、末 梢血液リンパ球および生検標本が含まれる。タンパク質は、以下に記載の慣用的 方法に従って、生物サンプルから分離することができる(Ausubelら編、 1987、”Current Protocols in Molecular Bi ology”,John Wiley and Sons,New York, New York)。 本発明の抗体は、本発明の特異的T細胞レセプターを検出するためにイムノア ッセイに、または生物サンプル内に黒色腫特異的T細胞レセプターを持つT細胞 の発現レベルを変化させるために、用いることができる。生物サンプルの例とし ては、これらに限定されるわけではないが、黒色腫、末梢血液リンパ球、骨髄、 腫瘍生検、リンパ節、リンパ系器官および組織サンプルのような、生検組織サン プルのような哺乳動物組織が含まれる。これらのイムノアッセイによって評価で きる病気の例としては、これらに限定されるわけではないが、黒色腫および黒色 腫転移による二次的腫瘍部位となる組織が含まれる。それ故、本発明の抗体は、 病気にかかった哺乳動物を診断、評価または予知するためのイムノアッセイに用 いることができる。 その他の実施態様では、本発明の抗体は、腫瘍関連抗原、特に黒色腫抗原を認 識するここに提供されたレセプターを持つT細胞を精製する、または豊富にする ために用いることができる。イムノアフィニティークロマトグラフィーは、当業 者に既知の慣用的方法によって行うことができる(Ausubelら編、198 7、”Current Protocols in Molecular Bi ology”,John Wiley and Sons,New York, New York)。さらに、そのようなT細胞は、哺乳動物、望ましくはヒト に、予防または治療目的のいずれかで、治療に有効な量を投与することができる 。さらに、そのような方法は、効き目を評価する、または哺乳動物の治療法を決 定するために、用いることもできる。 その他の実施態様では、T細胞レセプターの全体または部分、望ましくはユニ ークな領域に対する、動物内で作り出されたモノクローナル抗体またはポリクロ ーナル抗血清を、イムノアッセイに用いることができる。望ましい実施態様では 、αおよびβ鎖ペプチドに特異的な抗原にユニークな領域を基にしたペプチドを 、(M.Bondanszky、1984、”Principles of P eptide Synthesis”、Springer Verlag,Ne w York,New York、に記載の方法に従って)、キャリヤーと結合 さ せることができる。慣用的方法を用いると、ウサギをキャリヤーと結合させたタ ンパク質またはペプチドで免疫化することもできる。動物は、同様量の追加免疫 投与を受け、抗血清の滴定は、ELISAアッセイによって評価される。満足な レベルの抗血清は、抗ペプチド抗体滴定が、一定値(プラトー)に達した場合に 得られる。この抗体は、上記の標準的なイムノアッセイに用いることができる。 代わりに、T細胞レセプターに対する抗イディオタイプ抗体を用いると、ここ に記載の方法で治療される哺乳動物内での、本発明のレセプターを持つ特異的T 細胞のレベルを評価することができる。 本発明は、腫瘍細胞を、ここに提供された抗原特異的T細胞レセプターまたは キメラレセプターを発現する細胞に晒すことによって、腫瘍細胞の増殖を阻害ま たは予防する方法を提供する。また、腫瘍関連抗原を認識するまたは結合する本 発明のT細胞レセプターは、予防目的または治療目的のいずれかに用いることが できる。予防目的に提供される場合、T細胞レセプターまたはT細胞レセプター を導入した細胞は、癌、特に黒色腫による哺乳動物内のいかなる証拠または兆候 が現れるより早く、提供される。T細胞レセプターまたは抗原特異的T細胞レセ プターを導入された細胞を予防的に用いると、哺乳動物の癌、特に黒色腫を予防 するまたは弱めるのに役立つ。治療に提供される場合、T細胞レセプターまたは 本発明のレセプターを発現する細胞は、哺乳動物では疾病の初期に(またはその 少し後に)提供される。T細胞レセプターまたはそれらのレセプターを発現する 細胞の治療目的での投与は、病気を弱めるのに役立つ。 最近では、細胞を基本とした免疫治療は、ex vivoで増やした腫瘍特異 的TILの患者への養子移入を利用して行う(Rosenberg,S.A., 1992、J.Clin.Oncol.,10:80;RosenBerg,S A.ら、N.Engl.J.Med.,319:1676;Hwu,P.ら、1 993、J.Exp.Med.,178:361)。T細胞の特異性は、本発明 の腫瘍関連抗原特異的T細胞レセプターをコードする核酸配列の生体外での伝達 によって、再び指図されるであろう。例として、TIL内の非特異的なT細胞集 団に対して抗腫瘍反応性を授けることによって、または分化していないTリンパ 球のクローンの拡大によって、TILのようなT細胞の種々雑多の集団の効果を 高めることができる。 提供された抗原特異的T細胞レセプターを発現するために遺伝的に修飾するこ とのできる細胞としては、これらに限定されるわけではないが、リンパ球、細胞 毒性Tリンパ球、造血幹細胞、単球、幹細胞、末梢血液細胞およびナチュラルキ ラー細胞が含まれる。本発明の望ましい実施態様では、T細胞は、遺伝的に修飾 されて、ここに提供された腫瘍抗原特異的T細胞レセプターを発現することがで きる。望ましい抗原特異的T細胞レセプターを、図1A−1Bおよび図2に示す 。本発明のT細胞レセプターをコードする核酸配列の全体または部分を含む構築 物は、慣用的方法によってTリンパ球内に導入することができる。例として、そ のような方法には、これらに限定されるわけではないが、リン酸カルシウムトラ ンスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、レトロウイル スによる形質導入、DNA注射、粒子射撃、およびレトロウイルスベクター、ウ イルスベクターを用いる遺伝子仲介伝達、ウイルスの生成細胞系との共培養によ るトランスダクションが含まれる。望ましくは、本発明の核酸配列を持つ構築物 および構築物群は、ウイルス上澄み液でのトランスダクションまたはレトロウイ ルス生成細胞系との共培養によって、T細胞内に導入される。用いることのでき るベクターの例としては、これらに限定されるわけではないが、不完全なレトロ ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクチンウイスルベクター、ニワ トリの発疹ウイルスベクター、またはその他のウイルスベクターが含まれる(M ulligan R.C.、1993、Science,260:926−93 2)。真核生物発現ベクター G1EN(Treisman J.ら編、Blo od,85:139;Morganら、1992、Nucleic Acids Res.,20:1293−1299)、LXSN(miller,A.D. ら、Mechods Enzymol.,217:581−599、1993; Miller,A.D.ら、BioTechniques,7:980−988 、1989;Miller,A.D.ら、Mol.Cell Biol.,6: 2895−2902、1986;Miller,A.D.,Curr.Top. Microbiol.Immunol.,158:1−24、1992)、およ びSAM−EN(Treisman,J.ら、Blood,85:139)もま た、用 いることができる。レセプターを構成するαおよびβ鎖をコードする遺伝子を個 々に持つ構築物を、Tリンパ球内に導入することができるが、代わりに、T細胞 レセプターのαおよびβ鎖の両方をコードする核酸配列を持つ構築物が単一の構 築物であっても良い。望ましくは、レトロウイルスベクター、例えばT細胞レセ プター遺伝子の転写を促進するマウスのモロニー(moloney)白血病ウイ スルLTRを持つベクターが用いられる。望ましい実施態様では、複製能のない レトロウイルスベクターが用いられる。代わりに、ホスホグリセロールキナーゼ (PGK)遺伝子からのプロモーターのような内部ハウスキーピングプロモータ ーを用いて、遺伝子を発現させることもできる。 T細胞レセプターのαおよびβ鎖は、別々のレトロウイルスベクター上で、ま たは同一のレトロウイルスベクター上で、中間に置かれたリボソーム侵入部位( an internal ribosomal entry site)(IR ES)によって隔てることによって、発現させることができる(Treisma n,J.ら、Blood,85:139;Morga,R.A.ら、Nucle ic Acids Res.,20:1293−1299、1992)。IRE Sを含むベクターを用いると、両方のT細胞レセプター遺伝子を単一のRNAメ ッセンジャーから翻訳させることが可能になる。どこからTリンパ球を分離でき るかの例としては、これらに限定されるわけではないが、末梢血液細胞リンパ球 (PBL)、リンパ節、または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、または血液が含ま れる。そのようなリンパ球は、この技術分野で既知の方法によって、治療される 個体またはドナーから分離することができ、さらに生体外で培養することもでき る(Kawakami,Y.ら、1989、J.Immunol.,142:2 453−3461)。 T細胞は、レトロウイルス発現ベクターを持つレトロウイルス生成細胞と共に 、またはウイルス上澄み液と共に、インキュベートすることができる。リンパ球 の生存度は、トリパンブルー色素排除試験のような慣用的方法によって評価する ことができる。その後、望ましい黒色腫特異的T細胞レセプターを発現する遺伝 的に修飾されたリンパ球は、そのような治療を必要とする哺乳動物、望ましくは ヒトに、治療有効量を投与することができる。慣用的に腫瘍浸潤リンパ球(TI L) の治療に用いられるリンパ球の投与養生法または範囲(Rosenbergら、 1994、Journal of National Cancer Inst itute、第86巻、1159)は、そのような治療に必要とされる哺乳動物 へ投与するためのT−リンパ球の投与量または数の一般的ガイドラインとして用 いることができる。例として、ここに提供された方法では、治療のそれぞれのサ イクルで、約1x1010から約1x1011のT細胞を投与することができる。こ れらの抗原特異的T細胞を哺乳動物に投与することのできる方法の例としては、 これらに限定されるわけではないが、静脈内、腹腔内、または病変内を含む。こ れらの移入されたTリンパ球の効果を測定するために評価することのできるパラ メータとしては、これらに限定されるわけではないが、治療される哺乳動物内で の免疫細胞の生成または腫瘍の抑制が含まれる。これらのパラメーターを評価す るために、慣用的方法が用いられる。そのような処置は、サイトカインまたは遺 伝子修飾細胞と協力して(Rosenberg,S.A.ら、1992、Hum an Gene Therapy,3:75−90;Rosenberg,S. A.ら、1992、Human Gene Therapy,3:57−73) 、化学療法または活性免疫化療法を与えることができる。当業者は、正確な治療 スケジュールおよび投薬量、または投与されるTリンパ球の量が、与えられる個 体に関して最適化される必要があるであろうことを、認識しているであろう。 また、本発明は、ここに提供されるように、キメラレセプターまたは腫瘍抗原 を認識するT細胞レセプターを発現する幹細胞に関する。特異的抗体の一本鎖F vドメインおよびT細胞レセプターのような免疫細胞の少なくとも一つの膜貫通 ドメインおよび細胞質ドメインをコードする第二のセグメント、CD3レセプタ ー複合体からの鎖の一つ、Fcレセプター、CD28レセプター、またはIL− 2レセプターあるいはそれらによく似た細胞質ドメインからなるキメラレセプタ ー遺伝子。望ましい実施態様では、キメラレセプターは、Fcレセプターに関連 するγ鎖に連結したモノクローナル抗体(MAb)の可変ドメインを含み、これ はT細胞内へのシグナルトランスダクションを仲介する能力を持つ(Hwuら、 1993、Journal of Experimental Medicin e,178:361−366;Escherら、1993、PNAS、90:7 20−724;Hwuら、1993、Journal of Immunolo gy,150:4104およびWO93/19163、これらはここに参考とし て取り入れられる)。造血幹細胞の分離、濃縮化、および培養の方法は、当業者 に既知である(Tskamutoら、米国特許第5,061,620号およびP eault、米国特許第5,147,784号、ここに参照として取り入れられ る)。 造血幹細胞の供給源である骨髄の単離、およびレトロウイルストランスダクシ ョンは常法により実施する[Bjorkstrand,B.ら、Hum.Gen e Ther .,5:1279−1286(1994);Brennerら、 ancet ,342:1134−1137(1993);Brenner,M. K.ら、N.Y.Acad.Sci Gene Therapy for Ne oplastic Disease (抄録211993),46:711;Br enner,M.K.ら、Lancet,341:85−86(1993);B renner,M.K.ら、J.Hematother,3:33−36(19 94);Brenner,M.K.ら、J.Hematother,2:7−1 7(1993);Brenner,M.ら、Hum.Gene Ther.,5 :481−499(1994);Brenner,M.K.ら、Ann.N.Y .Acad.Sci .,716:204−14(1994);O’Shaugh nessy,J.A.ら、Hum.Gene Ther.,4:331−354 (1993);O’Shaughnessy,J.A.ら、Hum.Gene Ther .,5:891−911(1994);Blaese,R.M.ら、 uman Gene Ther .,4:521−527(1993);Cass el,A.ら、Exp.Hematol,21:585−591(1993); Dunbar,C.E.ら、Ann N.Y.Acad.Sci.,716:2 16−24(1994);Bodine,D.M.ら、Blood,82:19 75−1980(1993)]。例えば、ヒトCD34+造血幹細胞は末梢血か ら容易に単離でき[Barrande C.ら、1993.Hybridoma ,12(2):203;Kato K.およびA.Radbruch.1993 .Cytometry,14(4):384]、レトロウイルス仲介遺伝子伝達 のための標的として使用されるであろう[Cassel A.ら、1993. xp.Hematol .,21(4):585;Bregni M.ら、199 2.Blood,80:1418]。哺乳類から単離された骨髄は抗CD34+ モノクローナル抗体を用いることによりCD34+を濃縮できるであろう。CD 34+細胞はIL−3、IL−6および幹細胞因子(SCF)を含む培地で培養 できる。細胞をレトロウイルス上清液に暴露して採取し、そのような処置の必要 に応じて 哺乳類に再注入する。 キメラレセプターまたは黒色腫特異的T細胞レセプターを含む構築物はマイク ロインジェクション、エレクトロポレーション、ウイルス形質導入、形質導入、 またはDEAEデキストランを用いるトランスフェクション、リポフェクション 、リン酸カルシウム、粒子衝撃媒介遺伝子伝達または本発明のT細胞レセプター をコードしている核酸配列の直接的注入または当業者には既知であるその他の方 法を含む(しかしこれらに制限されるわけではない)通常の方法により細胞に導 入される。好適な態様において、幹細胞を含んでいる骨髄はウイルス上清液また はレトロウイルス構築物(類)を運んでいる産生細胞株とインキュベートされる 。本発明のキメラレセプターまたは黒色腫抗原特異的T細胞レセプターを発現す るベクターの例には、レトロウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、鶏痘ウイルスベクター、 アデノ随伴ウイルス(AAV)、pCDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)のようなプラスミドまたはバキュロウイルス伝達ベクター が含まれるが、これらに制限されるわけではない。例えば、使用されるであろう 真核生物発現ベクターにはG1EN(Treisman,J.ら、Blood, 85:139;Morganら(1992)Nucl.Acids Res.: 20 1293−1299)、LXSN(Miller,A.D.ら、Meth ods Enzymol .,217:581−599(1993);Mille r,A.D.ら、BioTechniques,7:980−988(1989 );Miller,A.D.Mol.Cell.Biol.,6:2895−2 902(1986);Mi1ler,A.D.ら、Curr.Top.Micr obiol.Immunol .,158:1−24(1992))またはSAM −ENベクター(Treisman,J.ら、Blood,85:139)が含 まれるが、これらに制限されるわけではない。 ここに提供されるキメラレセプターかまたは黒色腫反応性T細胞レセプターを 運ぶ幹細胞はそのような処置が必要とされる哺乳類、好適にはヒトへ治療有効量 で投与される。この態様で使用されるべき好適なT細胞レセプターは図1A1B および図2に示されている。哺乳類の処置において評価されるパラメーターには 、 分化した造血細胞が導入されたレセプター遺伝子により認識される抗原により活 性化されるかまたは特異的に結合するようになる能力の研究、導入されたレセプ ター遺伝子の存在についての末梢血リンパ球および他の組織のDNA分析、およ びレセプター遺伝子発現の免疫組織化学的抗体研究が含まれるが、これらに制限 されるわけではない。さらに、インビボ抗腫瘍応答が評価できる。完全な腫瘍撲 滅には反復処置、腹腔内および静脈内処置の組み合わせ、または他の処置法との 組み合わせが必要とされる。抗原ダウンレギュレーションまたは抗原陰性細胞の インビボ免疫選択が明白な場合には、異なった抗原を標的とする種々のキメラレ セプターまたはT細胞レセプターを用いる腫瘍治療もまた使用されうる。 キメラレセプター遺伝子が形質導入された幹細胞から誘導された分化リンパ球 の治療効率は他のレセプター型を加えることにより促進される。従って、本発明 はT細胞に同時刺激信号を提供でき、T細胞からのCD28の細胞質領域に連結 された抗体の可変領域または同様な領域を含むキメラレセプターにも関している 。例えば、CD28レセプターは同時刺激分子B7により活性化される(Lin sley,P.S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. ,87:5031−5035(1990);Chen,L.ら、Cell,71 :1093−1102 (1992);Steinら、(1994)Mol.& Cell Biol .14:3392)。CD28レセプターの細胞質領域(S CFV−CD28)へ連結されたモノクローナル抗体の可変領域からなるキメラ レセプター遺伝子の同時投与では他のキメラレセプターも同時投与される。SC FV−γおよびSCFC−CD28レセプターの両方によりT細胞は抗体規定抗 原との接触によるTCR活性化および同時刺激信号を受け取ることができる。 本発明はまた、T細胞レセプターおよび本発明のキメラレセプターを含む医薬 組成物、およびこれらのレセプター遺伝子で形質転換または形質導入された細胞 の医薬組成物にも関している。さらに、本レセプターのための遺伝子を含む発現 ベクターからなる医薬組成物が本発明に包含されていることも意図されている。 本発明の処方(家畜およびヒトでの使用の両方とも)では、各々の成分が個々に または前記のように組成物として、一つまたはそれ以上の医薬として受容可能な 担体とおよび場合により他の治療成分と一緒に含まれている。担体は処方の他の 成分と両立できおよびその受容者に有毒ではないという意味において”受容可能 ”でなければならない。処方は都合よく単一剤形で示され、薬学の分野で既知の 方法により調製される。 すべての方法は活性成分と一つまたはそれ以上の補助成分から成る担体を混合 する工程を含んでいる。一般に、処方成分は均一に調製され、最後に活性成分と 液体担体または細かく粉砕した固形担体または両方と混合し、続いて必要ならば 生成物を所望の処方に剤型化する。 静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内投与に適した処方には、活性成分と好適に は受容者の血液と等張にした溶液の無菌水溶液が含まれる。そのような処方は塩 化ナトリウム(例えば、0.1−2.0M)、グリシンなどのような生理学的に 一致する物質を含む水に固形活性成分を溶解させ、生理的条件と一致する緩衝化 pHを持たせて水性溶液を作り、該溶液を無菌化することにより都合よく調製で きる。これらは単一または多用量容器(例えば、封じたアンプルまたはバイアル )中に存在するであろう。 本発明の処方は安定化剤を含んでもよい。安定化剤の例はポリエチレングリコ ール、蛋白質、サッカライド、アミノ酸、無機酸および有機酸であり、それらは 単独でまたは混合物として使用されるであろう。これらの安定化剤は好適には各 々の成分または組成物の重量当たり重量で0.11−10,000の割で混合さ れる。二つまたはそれ以上の安定化剤が使用されるなら、その総計量は好適には 前に特定した範囲に入っている。これらの安定剤は水溶液においては適した濃度 およびpHで使用される。そのような水溶液の浸透圧は一般に0.1−3.0 o smole の範囲、好適には0.8−1.2 osmole の範囲である。水溶液のpHは 5.0−9.0の範囲内、好適には6−8の範囲内に調整される。各々の成分を 別々にまたは本発明の組成物として処方する場合、抗吸着剤を使用してもよい。 別の薬学的手段が作用の持続を制御するために用いられる。徐放製剤は蛋白質 またはその誘導体を複合化または吸着させるためのポリマーの使用により達成さ れる。制御された送達は、適した高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸 、ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カ ルボキシメチルセルロースまたは硫酸プロタミン)および高分子の濃度、並びに 放 出を制御するための取り込みの方法を選択することにより行われる。徐放性製剤 により作用の持続を制御する別の可能な方法は、9−シス−レチノール酸(9− cis−retinoic acid)またはその誘導体を単独でまたは抗新生 物剤と組み合わせて、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸) またはエチレンビニルアセテート共重合体のようなポリマー性物質の粒子内へ取 り込ませることである。もしくは、これらの薬剤をポリマー性粒子に取り込ませ る代わりに、例えば、コアセルベーション技術または界面重合化により製造され たマイクロカプセル(例えば、各々ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン −マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)に 、またはコロイド性薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェ ア、ミクロ乳剤、ナノ粒子およびナノカプセルまたはマクロ乳剤)にこれらの薬 剤を捕捉することが可能である。 経口製剤が望まれる場合成分はラクトース、スクロース、デンプン、タルクス テアリン酸マグネシウム、結晶性セルロース、メチルセルロース、カルボキシメ チルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウムまたはアラビアゴムのよう な典型的担体と混ぜ合わせる。 本発明の組成物または個々の成分の投与は予防的および治療的目的の両方であ ろう。ここで使用された方法および組成物は単独で予防的および治療的使用に、 または癌の防止または処置において当業者には既知である別の治療と連携して使 用される。もしくは、ここに開示した本方法および組成物は補助療法として使用 してもよい。獣医学での使用も本発明に包含されることが意図されている。 本明細書で参照したすべての本、論文または特許は本明細書において援用され る。以下の実施例は本発明の種々の態様を例示しているが、範囲を制限すること を意図しているものではない。 実施例1 黒色腫特異性クローナルおよびオリゴクローナル TIL株によるT細胞レセプター使用 方法および材料 TIL株およびクローンの発生 TILは以前に記載されているように(R osenbergS.A.ら、(1988)N.Engl.J.Med.319 ,1676−1680;Topalian,S.L.ら、(1987)Jour nal of Immunol.Methods .102,127−141)N CIのSurgery Branchで処置された転移性黒色腫を持つ患者の腫 瘍生検試料から発生させた。簡単に記すと、手術試料からの組織を単一の細胞懸 濁液に解離させ、10%ヒトAB血清(Bio−Whittaker,Walk ersville,MD)を補給したRPMI−1640(Biofluids ,Rockville,MD)または10μg/mlの硫酸ゲンタマイシン(B io−Whittaker,Walkersville,MD),50U/ml のペニシリン、146μg/mlのL−グルタミン(Gibco Labora tories,Grand Island,NY)および6000国際単位(I U)/mlの組換え体ヒトIL−2(rhIL−2)(Cetus Corpo ration,Emeryville,Calif.から提供された)を補給し たAIM V無血清培地(Gibco Laboratories,Grand Island,NY)からなる完全培地(CM)で培養した。増殖中の培養液 には新鮮なCMを2−3日毎に補給し、細胞密度は5x105細胞/ml以下に 維持した。TIL1200は患者1200(HLA−A1,A2;B8,B44 )の処置に使用された45日を経たバルクTIL培養物であった。TIL C1 0−1およびTIL F2−2は患者1200からの腫瘍消化物の1000 T 細胞/ウェル微量培養から単離された。TIL5は患者501(HLA−A2, A24;B18,B35)からの腫瘍消化物の4000リンパ球/ウェル微量培 養から単離された。TIL F11−21は患者1102(HLA−A2,A2 4;B55,B62)から得られたバルクTILの1細胞/ウェル微量培養から 単離された。TIL A10は患者537(HLA−A1,A26;B44,B 70)から得られたバルクTILの0.3細胞/ウェル微量培養から単離された 。各々のTILの腫瘍特異性およびMHC制限は、標準的な4時間の51Cr放出 アッセイ(Hom,S.S.ら、(1993)Cancer Immunol. Immunother.36,1−8)によって、一団のHLA一致および不一 致黒 色腫株、EBV形質転換B細胞株、(Surgery Branch,NIH) Daudi(ATCC)およびX526(ATCC)の溶解物について試験され た。 RNA単離およびcDNA合成 総細胞RNAはグアニジン イソチオシア ネート/酸−フェノール法(Chomczynski,P.& Sacchi, N.(1987)Anal.Biochem.162,156−159)を用い て1−5x106TILから単離された。PCRのために、第一鎖cDNAが以 前に記載されているように(Gubler,U.,& Hoffman,B.J .(1983)Gene.25,263−269)、オリゴ−dT22およびモロ ニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(Gibco−BRL,Gr and Island,NY)を用いて1−5μgの全RNAから合成された 。 cDNAライブラリーの発生およびスクリーニング cDNAライブラリー をTIL5およびTIL A10のTCR分析のために発生させた。第一および 第二鎖cDNAは以前に記載されているように(Gubler,U.,& Ho ffman,B.J.(1983)Gene.25,263−269)2μgの ポリA+RNAから合成された。二本鎖cDNAはλgt10のEco−RI部 位内へクローン化され、インビトロでパッケージングされ、播種された(Pac kagene Lambda DNA パッケージングシステム,Promeg a,Madison,WI)。組換え体λファージは32P標識TCR Cαまた はCβ領域プローブ(Nishimura,M.ら、(1994)Journa l of Immunotherapy Vl6:85−94)でのプラークハ イブリダイゼーションによりスクリーニングした。TCR cDNAを含むλク ローンは3回プラーク精製され、クローニング部位に隣接するλgt10プライ マー(Clonetech,Palo Alto,CA)を用いて完全長クロー ンが同定された。 PCRプライマー V遺伝子サブファミリー特異的PCRプライマー配列は すべてが知られているTCR VαおよびVβ遺伝子配列の配置に基づいて設計 された。ABI 392 DNA/RNA合成機(Applied Bios ystems)を用いてすべてのオリゴヌクレオチドが合成された。アンカーP CRに使用されたCα、CβプライマーおよびVαおよびVβ配列およびPCR 分析のための特異性制御は記載されている(Ferradini,L.ら、(1 991)Eur J.Immunol.21,927−933;Ferradi ni,L.ら、(1991)Eur.J.Immunol.21,935−94 2;およびNishimuraら、1994 Journal of Immu notherapy 16:85−94)。 PCR条件 T細胞レセプターDNA断片が、記載されているようなポリメ ラーゼ連鎖反応(Choi,Y.ら、(1989)Proc.Natl.Aca d.Sci .86,8941−8945)を用いて、ただし以下のような修正を 加えてcDNAから増幅された。簡単に記すと、各々のTILから合成された第 一鎖cDNAの1%が1単位のAmpli−Taq(Perkin Elmer ,Norwalk,CT)、200μM dNTP(Pharmacia,Pi scataway,NJ)、1μM VαまたはVβサブファミリー特異的プラ イマー、および1μMの対応するCαまたはCβ不変部領域プライマーを含む5 0μlの反応液で増幅にかけられた。増幅はPerkin Elmer 960 0 DNAサーモサイクラー(Perkin Elmer,Norwalk,C T)中、以下のサイクルプロフィールを用いて実施された:92℃での変性1分 、60℃でのアニーリング1分、および72℃での伸長2分を30サイクル。P CR生成物は2%アガロースゲルにて分子量標準とともに分離された。エチジウ ムブロミド染色ゲル上での適切な大きさのバンドの可視化はT細胞レセプター( TCR)サブファミリーの存在を示した。 アンカーPCR TCR遺伝子の増幅およびクローニングは記載されている ような(Loh,E.Y.ら、(1989)Science.243,217− 220)アンカーPCRにより、ただし、わずかに修正して実施した。簡単に記 すと、第一鎖cDNAはRNase Hで処理され、GlassMaxカラム( Gibco−BRL,Grand Island,NY)で精製した。精製cD NAの10分の1は末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(Gibco −BRL,Grand Island,NY)を用いてdCを末端につないだ。 増幅反応は、25ngの尾をつけたcDNA、4ピコモルのアンカープライマー (Gibco−BRL,Grand Island,NY)、2ピコモルのTC R Cα(Ferradini,L.ら、(1991)Eur.J.Immun ol .21,927−933)かまたはCβ(Ferradini,L.ら、( 1991)Eur.J.Immunol.21,935−942)特異的プライ マーおよび0.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elme r Cetus,Norwalk,CT)を用いて50μlの最終反応容量で実 施された。増幅は92℃で60秒、54℃で60秒および72℃で120秒続い て15分の72℃での伸長期間を35サイクル実施した。 クローニングおよびシークエンシング PCR生成物は低融点アガロースゲ ル(Gibco−BRL,Grand Island,NY)で分離され、DN A断片はPCR DNA精製システム(Promega,Madison,WI )を用いて精製され、T/Aベクター、PCR II(Invitrogen, San Diego,CA)内へクローン化された。クローン化アンカーPCR 生成物はSanger,F.ら、(1977)Proc.Natl.Acad. Sci.USA .74,5463−5467)に記載されているようにT7 D NAポリメラーゼ(Sequenase 2.0,USB,Cleveland ,Ohio)によるジデオキシヌクレオチド連鎖終止法を用いてシークエンシン グした。得られた配列はGenetics Computer Group,I nc.ソフトウェアパッケージ(Deveraux,J.ら、(1984)Nu cleic Acids Res .12,387)を用いて分析された。 TIL株の反応性および特異性 6つのCD8+TIL株を転移性黒色腫を 持つ4人の患者から発生させた。腫瘍特異性は一団の黒色腫細胞株(表1)のイ ンビトロ溶解でアッセイすることにより決定された。TIL−1200、TIL −5およびTIL−F2−2はHLA−A2+患者から誘導され、HLA−A2+ を溶解したが、HLA−A2-黒色腫は溶解しなかった。TIL−C10−1お よびTIL−F11−21は各々HLA−A1+およびHLA−B55+黒色腫標 的のみを溶解した。TIL−A10は自家腫瘍を溶解したが、HLA−A1+標 的は溶解しなかった。同種HLA−A26+、HLA−B44+およびHLA−B 70+標的に対しては試験しなかったので、TIL−A10の制限は規定できな かった。DaudiおよびK562の溶解の欠如により示されるように、リンホ カイン活性化キラー(LAK)またはナチュラルキラー(NK)活性による非特 異的溶解はTILのどれも示さなかった。 TIL株によるV遺伝子使用の分析 TCRレパートリーがV遺伝子サブフ ァミリー特異的プライマーによるPCR、およびクローン化アンカーPCR生成 物(TIL−F11−21、TIL−F2−2、TIL−C1O−1、TIL− 1200)の配列分析またはcDNAライブラリー(TIL−A10、TIL− 5)からのクローンの配列分析により試験された。6つのTILによるTCR V遺伝子使用は表2に示されている。TIL−A10(Vα2.2,Vβ4)、 TIL−5(Vα1.1,Vβ7.3)、TIL−F11−21(Vα15,V β15)およびTIL−F2−2(Vα17,Vβ6.5)の各々は単一のVα および単一のVβを発現し、クローン性を示している。TIL−1200はV遺 伝子特異的プライマーを用いるPCRで分析した場合、2つのVα(Vα2,V α9)および6つのVβ(Vβ4,Vβ5,Vβ6,Vβ13,Vβ14,Vβ 22)鎖を発現した。しかしながら、25の連続したTCRαアンカーPCRク ローンおよび13の連続したTCRβアンカーPCRクローンの分析ではVα9 およびVβ22.1のみが同定された。同様の分析でTCRアンカーPCR生成 物の頻度はT細胞集団中の各々のクロノタイプの頻度に比例していることが示さ れている(Ferradini,L.ら、(1992)Cancer Res. 52,4649−4654)。従って、TIL−1200はVα9およびVβ2 2.1を発現する単一のT細胞クローンから主として構成されている。TIL C10−1からのアンカーPCRクローンの配列分析は、15すべてのTCRβ クローン化アンカーPCR生成物はVβ13.6であったことを示した。しかし ながら、20の連続的TCRαアンカーPCRクローンの配列分析は2つのVα 遺伝子、Vα8.2(20のクローン化アンカーPCR生成物の内の11)およ びVα14.1(20のクローン化アンカーPCR生成物の内の9)を明らかに した。 TILによるD、JおよびN多様性セグメント使用の分析 V−JおよびV −D−J結合部配列は各々のT細胞クロノタイプに独特であり、TCR多様性に 寄与している。しばしばTCR再配列により非機能性遺伝子産物を生じる。どの TCRα遺伝子が機能性遺伝子産物に寄与するかを決定するため、およびそのク ローン性を定義するためにTIL C10−1からのクローン化TCR遺伝子の V−JまたはV−D−J領域が配列決定された(図1A)。15すべてのTIL −C10−1 TCRβクローン化生成物はVβ13.6/Dβ1.1/Jβ1 .5から成っていた。TIL C10−1で観察される両方のTCRα鎖は生産 的に再配列されており、Vα8.2/Jα49(11/20)およびVα14. 1/Jα32(9/20)を使用した。しかしながら、これらのTCR cDN Aのアミノ酸翻訳はVα8.2/Jα49のみが機能性TCRα鎖を産生できる ことを示している。Vα14.1/Jα32 cDNAは完全長TCRα蛋白質 を産生できるが、J領域はJα32で報告されている正しい配列および高度に保 存されているFGXGモチーフを欠いている(Koop,B.F.ら、(199 3)Genomics.84,478−493)。このモチーフはヒトおよびマ ウスJαセグメント間で高度に保存されている(Koop,B.F.ら、(19 93)Genomics.84,478−493)。FXGXモチーフは前に記 載したJα32含有機能性TCRおよびTIL C10−1により発現される他 のTCRα遺伝子(Vα8.2/Jα49)でも観察されており、それが構造的 完全さに必須であることを示唆している(Klein,M.H.ら、(1987 )Proc.Natl.Acad.Sci.USA.84,6884−6888 )。従って、TILのVα8.2/Jα49/CαTCR転写体は非機能的TC Rα鎖をコードしているようであり、Vα8.2/Jα49/Cαが腫瘍認識に 関与している。 TCRのV−D−JおよびV−J結合部によりコードされているCDR3領域 は抗原認識に含まれていると信じられているため、3つのHLA−A2制限TI L(TIL−F2−2、TIL−1200およびTIL−5)からの結合部が比 較された(図1B)。TIL−F2−2、TIL−1200およびTIL−5に より利用されているTCR VαおよびJβ遺伝子は各々Vα17/Jα42、 Vα9/Jα16およびVα1.1/Jα49であった。HLA−A2制限TI Lにより利用されているTCR Vβ、DβおよびJβ遺伝子は:Vβ6.5/ Dβ1.1/Jβ1.5(TIL−F2−2)、Vβ22.1/Dβ2.1/J β2.1(TIL−1200)およびVβ7.3/Dβ2.1/Jβ2.1(T IL−5)であった。制限V遺伝子使用またはN多様性領域での配列相同性は3 つのHLA−A2制限TILからのTCRで検出されなかった。 ほとんどの従来の研究において、TCR V遺伝子使用は腫瘍生検試料から、 またはIL−2拡大バルクTIL培養物から単離されたT細胞で決定されている (Solheim,J.C.ら、(1993)J.Immunol.150,8 00−811;Nitta,T.ら、(1990)Science.249,6 72−674;Karpati,R.M.ら、(1991)J.Immunol .146,2043−2051;Ferradini,L.(1992)Can cer Res .52,4649−4654)。TCR V遺伝子サブファミリ ーの頻度の増加が観察されたが、これらのレセプターを運ぶT細胞の抗腫瘍活性 は知られていない。さらに、PCR、サザンブロッティングまたは免疫蛍光法単 独による分析は生産的および非生産的転位TCR間を区別できない。従って、こ の型の分析ではどのTCRα/β対が黒色腫抗原認識を媒介するかを決定するこ とは不可能である。ここに報告されているTIL株は事実上クローナルでありお よび特異的にヒト黒色腫細胞を認識し、これらのクローンで同定されたTCRク ロノタイプはインビトロで黒色腫標的の溶解に関与していることを示している。 黒色腫TILでの制限されたTCR V遺伝子使用を記載している他の研究( Solheim,J.C.ら、(1993)J.Immunol.150,80 0−811;Nitta,T.ら、(1990)Science.249,67 2−674;Sensi,M.ら、(1993)J.Exp.Med.178, 1231−1246)と対照的に、本研究およびその他(Karpati,R. M.ら、(1991)J.Immunol.146,2043−2051;Fe rradini,L.ら、(1992)Cancer Res.52,4649 −4654)で示された証拠は多TCR V遺伝子セグメントは黒色腫腫瘍随伴 抗原(TAA)を認識できることを示している。ここで試験されたHLA−A2 制限黒色腫特異性CTLクローン中、3つの異なったクロノタイプが同定された (Vα1.1/Vβ7.3、Vα9/Vβ22.1およびVα17/Vβ6.5 )。これらのHLA−A2制限クロノタイプからの結合部TCR遺伝子配列の配 置およびポリペプチド配列は相補性決定領域またはN領域、CDR3内に配列相 同性または共通構造モチーフが存在しないことを明らかにした。5つのCTLク ローンおよび前に記載された4つの他のクローンに対する1つのオリゴクローナ ル株からのTCRクロノタイプの比較から、共通のTCR V遺伝子使用および CDR3領域内の相同性は見いだせなかった(Sensi,M.ら、(1993 )J.Exp.Med.178,1231−1246)。従って、黒色腫特異性 CTLクローンにおける制限TCR V遺伝子使用の証拠を見つけることはでき なかった。 本研究で分析された3つのTIL(TIL−F2−2,TIL−C10−1, TIL−1200)は一人の患者から単離された。TIL−F2−2およびTI L−1200はHLA−A2制限であり、一方TIL−C10−1はHLA−A 1制限であった。少なくとも2つの異なった腫瘍エピトープはこの患者の腫瘍ベ ッド内のリンパ球により認識され、1つはHLA−A1に関連して提示され、他 はHLA−A2に関連して提示された。この結果は、一人の患者からの2つのC TLクローンが異なったT細胞エピトープで認識されたという発見(Sensi ,M.ら、(1993)J.Exp.Med.178,1231−1246)と 一致している。さらに、多CTLクロノタイプは、同一の制限要素に関連して提 示される一つまたはそれ以上の腫瘍随伴エピトープを認識する一人に患者から誘 導されるのであろう。 患者1200の分析は免疫療法に基づく癌治療の開発に関する情報を提供した 。第一に、同一の腫瘍生検試料からの2つの独立したTILの発展により異なっ たクロノタイプ(TIL1200におけるVα9/Vβ22.1T細胞およびT IL C10−1およびTIL F2−2におけるVα17/Vβ6.5T細胞 )が得られたので、個々のT細胞クロノタイプの発展は培養条件に依存している 。この結果は、培養条件が治療的に適切な細胞の発展に影響するであろうことを 示唆している。第二に、患者1200はTIL1200での処置後に部分的腫瘍 退化を示した。従って、クローナルまたは高度のオリゴクローナル抗腫瘍CTL 集 団は進行した癌を持つ患者を首尾よく処置することが可能である。第三に、Su rgery Branch,NCIで確立されたすべてのHLA−A2黒色腫が このTILにより溶解されるので、TIL1200により認識される抗原はほと んどの黒色腫で発現されている。 黒色腫特異性反応性は標準4時間51Cr放出アッセイにより決定された。ボー ルド体で示されたパーセント溶解はバックグラウンド溶解から著しく異なってい た。黒色腫株は記載されているように(Nitta,T.ら、(1990)Sc ience 249:672−674)誘導されHLA型分類された。各々のT ILに対する特異的溶解は少なくとも2回実施され、代表的実験は示されている 。 ND=行われていない。 実施例2 MART−1特異性T細胞レセプターの同定 材料および方法 TIL株およびクローンの発生 TILは以前に記載されているように[R osenberg SA,ら、N.Engl.J.Med.,319:1676 −1680.1988]2人の患者の腫瘍生検試料から発生させた。クローンA 42は1:800の増殖頻度、100細胞/ウェルでの限界希釈により確立され 、クローン1E2は1細胞/ウェルで1:43の増殖頻度の限界希釈により確立 された。クローンはインターロイキン−2(IL−2)(120国際単位(IU )/ml)を含む丸底マイクロタイタープレート中で支持細胞存在下(5000 ラドを照射した1x105自家末梢血リンパ球(PBL)/ウェル)1x104の 自 家照射腫瘍細胞/ウェルで1週間毎に刺激して培養した。 細胞株 黒色腫細胞株C32、Malme3M、乳癌腫細胞株MDA231 (ATCC,Rockville,MD)、エーウィング肉腫細胞株RD−ES (M.Tsokos,NIH)、COS−7細胞(W.Leonard,NIH )黒色腫細胞株397mel、501mel、526mel、624mel、6 77mel、705mel、888mel(Topalian SLら、J.I mmunol .,142:3714−3724.1989に記載されているよう にSB/NCI研究室で確立された)およびT2細胞[Kawakami Yら 、J.Exp.Med.,180:347−352.1994]は10%FCS を含むRPMIで維持された。 ペプチド合成 ペプチドは多ペプチド合成機(モデルAMS 422,Gi lson Co.Inc,Worthington,OH)を用いて固相法によ り合成され、0.05%トリフルオロ酢酸/水−アセトニトリルを用い、C−4 カラム(VYDAC,Hesperia,CA)でのHPLCにより精製した。 M一系列ペプチドはMART−1中の疎水性仮定トランスメンブランドメインに 位置している(Kawakami Yら、J.Exp.Med.,180:34 7−352.1994)。 10−アミノ酸ペプチドM10−3およびM10− 4はM9−2配列を含んでおり、M10−3は追加のグルタミン酸をそのNH2 末端に持っており、M10−4は余分のイソロイシンをそのCOOH−末端にも っている。それらは以下のように標識される:M9−1(TTAEEAAGI) 、M9−2(AAGIGILTV)、M10−3(EAAGIGILTV)およ びM10−4(AAGIGILTVI) (ペプチドは一文字コードで示されて いる)ペプチドG9−280(YLEPGPVTA)は記載されているように[ Cox ALら、Science,264:716−719.1994]gp1 00から誘導される。 一時的トランスフェクション 以前に記載されているように[Kawaka mi Yら、Proc.Natl.Acad.Sci.,91:3515−35 19.1994;Kawakami Yら、Proc.Natl.Acad.S ci USA .,91:6458−6462.1994]、黒色腫抗原MART −1およびgp100をコードしているまたはHLA−A2.1分子のためのc DNAが哺乳類発現プラスミドpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)内へクローン化された。COS−7細胞は次にMART−1 かまたはgp100をコードしているベクター(HLA−A2.1 cDNAと ともに、またはなしで)を用いDEAEデキストラン法[Seed Bら、Pr oc.Natl.Acad.Sci .,84:3365−3369.1987] によりトランスフェクトされた。 TILによる抗原認識の算定 TILによるHLA制限黒色腫認識は標的と して黒色腫および非黒色腫細胞株を用いて実行される標準5時間51Cr放出細胞 毒性アッセイにより算定された[Kawakami Yら、J.Exp.Med .,168:2183−2191.1988]。TILからのIFN−γ放出を 刺激するMART−1またはgp100トランスフェクトCOS−7細胞の能力 の分析は以前に記載されているようにELISAを用いて評価された[Gaug ler Bら、J.Exp.Med.,179:921−930.1994]。 TILによる既知の抗原性ペプチドの認識は、1μg/mlまたは1ng/ml の濃度でペプチドと2時間前もってインキュベートしたT2細胞を用いて算定さ れた。TILからのIFN−γ放出を刺激するためペプチドパルスをかけたT2 細胞の能力は酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)により算定された。 RNA単離およびアンカーPCR 全細胞RNAはグアニジン イソチオシ アネート/酸フェノール法[Chomczynski Pら、Anal.Bio chem .,162:156−159.1987]を用いて5x106TILか ら単離された。PCRのため、第一鎖cDNAは記載されているように[Gub ler Uら、Gene,25:263−269.1983]、1−5μgの全 RNAから(dT)22およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(GIB CO/BRL,Gaithersburg,MD)を用いて合成された。TCR 遺伝子の増幅およびクローニングは記載されているような[Loh DYら、 cience ,243:217−220.1989]5’アンカープライマーお よび3’TCR Cα−(CCTCAGCTGGACCACAGC)(配列ID 番号:34)[Ferradini Lら、Eur.J.Immunol.,2 1:927−933.1991]かまたはCβ−(GGCAGACAGGACC CCTTG)(配列ID番号:35)[Ferradini Lら、Eur.J .Immunol .,21:935−942.1991]特異的プライマーを用 いるアンカーPCRにより実施された。増幅は92℃で60秒、54℃で60秒 および72℃で120秒続いて72℃での15分の伸長期間を35サイクル行な うことにより実施された。 クローニングおよびシークエンシング PCR生成物は低融点アガロースゲ ル(Gibco−BRL,Grand Island,NY)で分離され;DN A断片はPCR DNA精製システム(Promega,Madison,WI )を用いて精製され、T/Aベクター、PCR II(Invitrogen, San Diego,CA)内へクローン化された。クローン化アンカーPCR 生成物はSanger,F.ら、(1977)Proc.Natl.Acad. Sci.USA .74,5463−5467)に記載されているようにT7 D NAポリメラーゼ(Sequenase 2.0,USB,Cleveland ,Ohio)によるジデオキシヌクレオチド連鎖終止法を用いてシークエンシン グした。得られた配列はGenetics Computer Group,I nc.ソフトウェアパッケージ(Deveraux,J.ら、(1984)Nu cleic Acids Res .12,387)を用いて分析された。 クローナルTIL株の反応性および特異性 モノクローナルCD8+TIL 株は転移性黒色腫を持つ2人のHLA−A2+患者から発生させ、複数のアッセ イにおいて広範囲に試験された(表3が代表的である)。クローンA42(表3 )および1E2(表3)は種々のHLA−A2+黒色腫細胞株を溶解させるが、 HLA−A2-は溶解しない。乳癌細胞株MDA231およびエーウィング肉腫 細胞株RD−ESを含む非黒色腫HLA−A2+細胞株は両方のクローンに実施 された別々の細胞毒性アッセイにおいて溶解されなかった。しかしながら、これ らのクローンはHLA−A2制限様式で同種黒色腫細胞株を認識しているようで あり、両方とも同一の認識プロフィールを示した。 HLA−A2.1遺伝子と一緒にMART−1かまたはgp100のcDNA を含む発現ベクターpcDNA3のCOS−7細胞内への一時的トランスフェク ションが、両方の黒色腫TAAがT細胞クローンにより認識されているかどうか を評価するために実施された。次に、COS−7細胞に対するTILの反応性が IFN−γ放出を測定することにより評価された。両方のクローンがMART− 1+/HLA−A2+COS−7細胞に対して特異的反応性を示した(表4)。g p100(TIL1200)、またはMART−1(TIL501)、または両 方(TIL1143)を認識することが知られている非クローン化TIL培養物 が陽性対照として使用された[Kawakami Yら、Proc.Natl. Acad.Sci .,91:3515−3519.1994;Kawakami Yら、J.Exp.Med.,180:347−352.1994]。両方の クローンが黒色腫細胞株により発現されるMART−1抗原を認識するようであ る。 2つのクローンがMART−1抗原中の同一のまたは異なったエピトープを認 識しているかどうかを試験するため、A42および1E2が異なったMART− 1(M9−1,M9−2,M10−3,M10−4)またはgp100(G9− 280)ペプチドと前もってインキュベートされたT2細胞で刺激された。表5 に示したように、両方のクローンともM9−2およびM10−3でパルス処理し たT2細胞に応答して特異的にIFN−γを放出した(MART−1反応性を持 っていることが知られている非クローン化TIL株1235および660と同様 のパターンで)。放出されたIFN−γの量は両方のクローンともM9−2に応 答して最大であり、バルクTIL応答よりも多かった。この応答はT2細胞への ペプチドパルスを千倍に希釈した後でも両方のペプチドで示すことができた。 クローンA42および1E2によるTCRαおよびβ遺伝子使用の分析 T CRαおよびβ遺伝子のどちらが機能性遺伝子産物に寄与しているかを決定する ため、およびT細胞のクローン性を確認するため、A42および1E2からのク ローン化遺伝子のV−JまたはV−D−J領域が配列決定された。生産的に再配 列されたA42TCRβcDNAクローンの5つすべてがVβ7.3/Dβ2. 1/Jβ2.7/Cβ2を含んでおり、TCRα鎖のすべてが(4のうち4)V α21/Jα42/Cαであった。12 1E2 TCRβ鎖クローン産物はV β3.1/Dβ1.1/Jβ1.1/Cβ1であり、TCRα鎖はVα25/J α54/Cα(9のうち9)であった(図2)。これらのTCR cDNAのす べてのアミノ酸翻訳は、転写体が機能性産物を産生することができることを示し た。従って、これらの2つのT細胞株により利用されるTCRはクローン性(異 なったVαおよびVβ遺伝子使用)およびN多様性領域での相同性がないことを 示している。 従来のTCR利用研究は腫瘍特異的抗原の配置と反応するT細胞において制限 TCR V遺伝子使用が優性的であるかどうかを明瞭に示すことができなかった 。いくつかのTCR V遺伝子サブファミリーの頻度の増加は観察されているが 、抗腫瘍反応性のもととなる特異的TCRは未知である。黒色腫における制限T CR V遺伝子使用を認めた腫瘍反応性T細胞クローンの報告[Sensi M ら、J.Exp Med.173:1231−1248.1993;Sensi Mら、J.Immunother.,12:207−211.1992]とは 反対に、この研究は多TCR V遺伝子セグメントは黒色腫腫瘍随伴抗原を認識 できるという最近の研究[Shilyansky Jら、Proc.Natl. Acad.Sci .,91:2829−2833.1994;Sensi Mら 、Melanoma Res.,194:261−271.1991]を支持し ている。ここに示されたクローンA42および1E2によるTCR V遺伝子の 分析は、それらが同一のMART−1エピトープを認識するにも関わらず、それ らの変異および結合部領域が異なっていることを示している。従って、多TCR V遺伝子セグメントが黒色腫抗原を認識できるだけでなく、一つ以上のTCR V遺伝子が同一の特異的抗原性ペプチドを認識できる。 A42と同じ患者からの別のHLA−A2制限黒色腫特異的T細胞クローン、 クローン5(Shilyansky Jら、Proc.Natl.Acad.S ci. ,91:2829−2833.1994)はA42と同一のVβサブファ ミリーを利用し、独特の結合部領域を持っている。Jurkat細胞がクローン 5TCRをコードしているベクターでトランスフェクトされ、そのデータはクロ ーン5およびA42はMART−1の同一のエピトープを認識することを示して いる(実施例3)。 さし当たりここで示されているのは既知の黒色腫随伴抗原の特異的エピトープ を認識できるTCR配列である。黒色腫特異的クローナルT細胞株によるTCR 使用は前に研究されているが、T細胞により認識されている実際の腫瘍抗原また は抗原性エピトープは未知である(Karpati RMら、J.Immuno l. ,146(6):2043−2051.1991;Nitta Tら、Sc ience ,249:672−674.1990;Ferradini RMら 、Cancer Res.,52:4649−4654.1992)。結論とし て、本研究はMART−1抗原の特異的エピトープを認識できるTCR配列の最 初の報告である。2つのT細胞クローンは異なったV−JおよびV−D−J領域 を利用し、それ故免疫系は特異的腫瘍抗原性エピトープを認識できる一つ以上の T細胞−レセプター(TCR)を提供できるという直接的な証拠を提出している 。 MART−1またはgp100のためのcDNA(HLA−A2.1あり、ま たはなしで)で一時的にトランスフェクトされたCOS−7細胞に対するTIL の反応性はIFN−γの特異的放出で評価された。TIL単独でのバックグラウ ンドは差し引かれている。gp100(TIL1200)、MART−1(TI L501)または両方(TIL1143)を認識することが知られている非クロ ーン化TIL細胞株が陽性対照として使用された。 TILからのIFN−γ放出を媒介する腫瘍またはペプチド−パルスT2細胞 の能力は酵素連結免疫吸着アッセイにより算定された。陽性対照、HLA−A2 制限TIL1235および660は各々MART−1またはMART−1および gp100を認識した。アッセイに先だって、T2細胞はMART−1(M9− 1,9−2,10−3,10−4)またはgp100(G9−280)ペプチド と2時間インキュベートされ、642melおよび397melは各々HLA− A2陽性および陰性腫瘍株である。 実施例3 MART−1黒色腫抗原を認識するクローン化T細胞 レセプターヘテロダイマーの機能的特異性の特性付け 材料および方法 細胞株 黒色腫細胞株397mel、501mel、624mel、888 mel(記載されているように[Topalian S.L.ら、1989. .Immunol .,142:3714]Surgery Branch,NC Iで確立された)およびT2細胞[Kawakami Y.ら、1994.J. Exp.Med .,180:347]は10%FCSを含むRPMIで維持され た。624melは限界希釈でクローン化し、高度(624mel+)およびM HCクラスI抗原陰性(624mel-)クローンに対するHLA−A2特異的 mAb BB7.2(ATCC,Rockville,MD)を用いたFACS 分析によりスクリーンした。ジョルカットT細胞株(ATCC,Rockvil le,MD)は10%FCSを含むDMEMで維持された。3つのCD8+TI L株は以前に記載されているように[Rosenberg S.A.1992.J.Clin.Oncol .,10:80]転移性黒色腫を持つ患者の腫瘍生検 試料から発生させた。TIL1235(MART−1)および1200(gp1 00)の黒色腫抗原特異性は以前に報告されている[Kawakami Y.ら 、1994.Proc.Natl.Acad.Sci.,91:3515;Ka wakami Y.ら、1994.J.Exp.Med.,180:347]。 ペプチド合成 ペプチドはマルチプルペプチド合成機(モデルAMS422 ,Gilson Co.Inc,Worthington,OH)を用いる固相 法により合成し、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)/水−アセトニトリル で溶出するC−4カラム(VYDAC,Hesperia,CA)でのHPLC により精製した。MART−1系列のペプチドはMART−1中の疎水性推定ト ランスメンブランドメインに位置している[Kawakami Y.ら、199 4.J.Exp.Med.,180:347]。本研究で使用されたMART− 1ペプチドの配列は以下のものである:MART−1(22-30)(TTAEEAA GI) (配列ID番号:27)、MART−1(27-35)(AAGIGILTV)(配列 ID番号:28)、MART−1(32-40)(ILTVILGVL)(配列ID番 号:30)、MART−1(26-35)(EAAGIGILTV)(配列ID番号: 29)およびMART−1(27-36)(AAGIGILTVI)(配列ID番号: 31)。10−アミノ酸ペプチドMART−1(26-35)およびMART−1(27-3 6) は9−アミノ酸最少決定基を含んでおり、MART−1(26-35)はそのNH2末 端に追加のグルタミン酸を持っており、およびMART−1(27-36)はそのCO OH末端に余分のイソロイシンを持っている。ペプチドgp100(457-465)( LLDGTATLRL)(配列ID番号:32)およびgp100(280-288)( YLEPGPVTA)(配列ID番号:33)は記載されているように[Kaw akami Y.ら、1994.Proc.Natl.Acad.Sci.,9 1:6458;Cox A.L.ら、1994.Science,264:71 6]gp100から誘導された。 DNA構築物 完全長TCRαおよびβ遺伝子はλファージTILクローン 5 cDNAライブラリー[実施例1;Shilyansky J.ら、(19 94).Proc.Natl.Acad.Sci.,91:2829]からポリ メラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅された。Vαl 5’(CTCGAGG TTCAGCCATGCTCCTGG)(配列ID番号:36)、Cα 3’( GATGGCGGAGGCAGTCTCTG)(配列ID番号:37)[Ha1 1およびFinn(1992)Biotechniques 13:241−2 57]、Vβ7.3 5’(CTCGAGAGCATGGGCTGCAGGCT G)(配列ID番号:38)およびCβ2 3’(AAAGGATCCGAGC TAGCCTCTGGAATCCTTTC)(配列ID番号:39)プライマー は記載されているように(Shilyansky J.ら、(1994)Pro c.Natl.Acad.Sci. ,91:2829)増幅のために使用された 。得られたPCR DNA断片は次にT/AベクターPCR II(Invit rogen,San Diego,CA)内へクローン化された。Vα1遺伝子 は次にネオマイシン耐性遺伝子およびCMV真核生物プロモーターを含むpcD NA3発現ベクター(Invitrogen,San Diego CA)内 へ連結され、Vβ7.3遺伝子はSRαプロモーターを含む修飾pCDL発現ベ クター[Engel I.ら、Science,256:1318]内へ連結さ れた。得られたクローンはTCR特異的クローニングプライマーを用いるPCR によりスクリーンされ、記載されているように[Sanger F.ら、(19 77).Proc.Natl.Acad.Sci.,74:5463]T7 D NAポリメラーゼ(Sequenase 2.0,USB,Cleveland ,Ohio)を用いるジデオキシヌクレオチド連鎖終止法により配列決定した。 FACS分析 JurkatT細胞レセプターVβ8特異的mAb C30 5.2[Weiss A.およびJ.D.Stobo.1984.J.Exp. Med .,160:1284](A Weiss,HHMI,UCSF,San Francisco Californiaの好意により)、ヤギ抗マウスI gG1(Becton Dickenson,San Jose,CA)、ヤギ 抗マウスIgG−FITC(Becton Dickenson, San J ose,CA)、抗Leu−4(CD3)(Becton Dickenson ,San Jose,CA)、W6/32(抗HLA A,B,C)(Sera −Lab,Sussex,England)および抗TCR−l(Becton Dickenson,San Jose,CA)が以前に記載されているよう な共モジュレーション実験[Geisler C.ら、1990.J.Immu nol .,145:1761]に使用された。簡単に記すと、1x106のジョ ルカットトランスフェクト体を100μlのC305.2 mAb上清液と(ま たはなしで)37℃で12時間インキュベートした。続いて、細胞株を3回FA CS緩衝液(5%FCSおよび0.05%Naアジドを含むPBS)で洗浄し、 自家TCRのダウンモジュレーションを確認するためC305.2で再染色した 。細胞表面上のトランスフェクトされたTCRヘテロダイマーの存在を示すため 、抗CD3または抗TCR抗体による続いての染色が実行された。HLA−A2 特異的mAb BB7.2(ATCC,Rockville MD)が記載され ているように高および低クラスI発現腫瘍クローンの同定に使用された。 トランスフェクション Jurkat細胞は、20μgのプラスミドDNA (2μgのpCDNA3 TCRαネオマイシン選択可能プラスミドおおび18 μgのpCDL TCRβプラスミド)および全量で250μlのPBSに加え たた1x107の細胞を用いてエレクトロポレーション(250V、800mF )によりトランスフェクトした。細胞は次に5mlの10%FCS含有DMEM を含む6つのウェルプレート中、37℃でインキュベートした。12時間後、G 418(Gibco Grand Island,NY)を1mg/mlの濃度 で加えた。4日後、生きている細胞をフィコール濃度勾配(Organon T eknika,Durham,NC)で単離し、T−75フラスコ(Nunc Inc.,Napierville,ILL.)で培養した。ネオマイシン耐性 細胞が増殖して試験に適した数になるまで培地は1週間毎に取り替えた(3週間 で約1x107細胞)。最初の選択の続いて、G418の濃度を400μg/m lまで低くした。Jurkatトランスフェクト体は1細胞/ウェルでの限界希 釈によりクローン化し、記載されているようにELISAによりIL−2産生で スクリーニングした。 抗原認識アッセイ ペプチドと2時間プリインキュベートしたT2細胞を2 回PBSで洗浄し、1:1の比でエフェクター細胞に加えた(48ウェルプレー ト中、総量で1x106細胞/ml)。Jurkatエフェクター細胞を含むウ ェルにホルボール ミリステート アセテート(PMA)(5ng/ml,Si gma,St.Louis,Mo.)を加えた。Jurkatトランスフェクト 体またはTILからのサイトカイン放出を刺激するペプチド−パルスT2細胞の 能力は、ELISA(RD systems,Minneapolis,Min n.)により算定された。Jurkatトランスフェクト体は、48ウェルプレ ート中で、1mlの培地、総計で1x106細胞について1:1の比で12時間 、HLA−A2陽性(501mel、624mel+)またはHLA−A2陰性 (397mel、624mel-、888mel)腫瘍細胞とインキュベートす ることにより黒色腫腫瘍株の認識が算定された。TIL株1235および120 0は同一の条件下で陽性対照として使用された。Jurkatトランスフェクト 体またはTILからのサイトカインを刺激する腫瘍の能力はELISA(RD systems,Minneapolis,Minn.)により評価された。 クローン5TCRの細胞表面発現 Jurkat細胞は内因性TCRを発現 し、およびクローン5TCRのαかまたはβ鎖(Vα1、Vβ7.3)を特異的 に染色するサブファミリー特異的抗体が現在入手不可能であるので、トランスフ ェクトされたTCRの表面発現を示すためにはより複雑な方法が必要とされる。 Jurkatクローン5TCRバルクトランスフェクト体細胞株およびトランス フェクトされたJurkatクローン13および22は、内因性TCRの発現を ダウンモジュレートするためJurkatT細胞レセプターβ鎖特異的mAb C305.2(Vβ8)と(またはなしで)一夜インキュベートした。得られた 培養物は次に内因性TCRの再発現を防止するために4℃にて0.05%アジド を含むFACS緩衝液で洗浄し、pan−特異性抗TCR−1、抗HLA−A2 または抗CD3 mAbで染色した。C305.2とインキュベートした培養物 のすべてがC305.2で染色の欠如で示されるように、内因性レセプターのダ ウンモジュレーションを示した(図3I−3L)。細胞表面上の内因性レセプタ ーをダウンモジュレーションした後、トランスフェクトされたおよびトランスフ ェクトされていないJurkat細胞株を比較するとクローン5TCRトランス フェクト体細胞株においてはCD3およびTCR両方に永続的な発現が示された (図3A−3D、図3E−3H)。C305 mAbによる前処理は、試験され たJurkat株上のMHCクラスI発現のレベルには何の影響も与えなかった 。これらの結果は、クローン5T細胞レセプター遺伝子(TCR)でトランスフ ェクトされたJurkat細胞における非内因性TCRの表面発現を示している 。 MART−1ペプチドのクローン5TCR認識 TILクローン5は以前に HLA−A2+黒色腫を認識できることが示されている[Shilyansky J.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.,91:28 29]。現在まで試験されたどの黒色腫TIL培養物もMART−1またはgp 100抗原(または両方)を認識した[Kawakami Y.ら、1994.J.Exp.Med .,180:347]。さらに、MART−1特異的T細胞 クローン、A42がクローン5と同一の患者から誘導され、それはクローン5T CRと同一のVβ7.3サブファミリーを共有していた(実施例2参照)。細胞 表面に発現されたクローン5TCR複合体が機能的ヘテロダイマーかどうかを決 定するため、およびどの黒色腫TAAが認識できるかを評価するため、最初のス クリーニングが実施された。Jurkatトランスフェクト体が、異なったMA RT−1(MART−1(22-30)、MART−1(27-35)、MART−1(32-40) 、MART−1(26-35)、MART−1(27-36))またはgp100(gp100(457-465) )ペプチドで前もってインキュベートされたT2細胞で刺激された。 TIL1235およびTIL1200は陽性対照として使用された。TIL12 35はMART−1(27-35)、MART−1(26-35)、MART−1(27-36)を認 識し、TIL1200はgp100(457-465)を認識した。Jurkat細胞か らのIL−2放出またはTILからのGM−CSF放出を刺激するペプチド−パ ルスT2細胞の能力はELISAで算定された。Jurkatバルクトランスフ ェクト体細胞は純粋なJurkatTCR+細胞集団を単離するために限界希釈 によりクローン化され、28クローンのうちの8つがIL−2産生に対してスク リーニング陽性であった。刺激されたIL−2産生が最も高いレベルを示したク ローン(クローン13および22)がさらなるアッセイのために選択された。 表6に示したように、Jurkatクローン5TCRトランスフェクト体は、 MART−1(27-35)ペプチドでパルスをかけたT2細胞を特に認識した。MA RT−1(27-35)ペプチドのJurkatクローン5TCR+細胞株認識パターン は、MART−1ペプチドMART−1(27-35)、MART−1(26-35)およびM ART−1(27-36)の認識を示したTIL1235を含むいくつかのMART− 1特異的TIL株と類似していた(表6)[Cox A.L.ら、1994. cience ,264:716]。対照的に、TIL A42(クローン5と同 一の親TIL培養物から誘導された)およびTIL 1E2はMART−1ペプ チドMART−1(27-35)およびMART−1(26-35)を認識できたが、MART −1(27-36)(MART−1(27-35)配列を含みそのCOOH末端に余分なイソロ イシンを持っている)を認識できなかった[実施例2;Cole D.J.ら、 1994.Can.Res.54:5265−5268]。 モノクローナルJurkatクローン5TCR+細胞株によるペプチド認識の 感度の特性付けは、50mMから640pMの範囲で希釈されたMART−1ペ プチドと前もってインキュベートしたT2細胞を用いて実施された。最大IL− 2刺激の50%を提供するのに必要なペプチドの濃度は50−200nMの範囲 であった(図4)。両方のクローンともバルク細胞株単独よりも敏感であった。 黒色腫細胞株のクローン5TCR認識 クローン5TCRのMART−1特 異性を決定し、MART−1陽性黒色腫腫瘍細胞を認識するJurkatクロー ン5TCR+細胞株の能力を評価した。従って、サイトカイン放出のためのT2 細胞アッセイと同一の条件を用いて、HLA−A2+黒色腫細胞株を認識するモ ノクローナルJurkatクローン5TCR+の能力が試験された。Jurka t細胞株による腫瘍の認識は起きなかった(表7)。HLA−A2発現のレベル および腫瘍細胞表面上で利用可能なMART−1ペプチドの量が、腫瘍を認識す るJurkatクローン5TCR+細胞の能力に影響する因子であるので、これ らのパラメーターを改良するためにアッセイ条件が変更された。腫瘍細胞/ウェ ルの数を10倍増加させても、またはIFN−γとの48時間の前もってのイン キュベーションを用いて腫瘍クラスI発現をアップレギュレートしても(FAC S分析で確認)、Jurkat信号伝達の刺激は生じなかった。前もって2時間 インキュベートすることにより関連したペプチドを腫瘍細胞に与えた後にのみ、 MART−1(27-35)でJurkatTCR+クローンによる控えめなレベルの認 識が起こる(表7)。従ってTILとは対照的に、モノクローナルJurkat クローン5TCR+細胞株はHLA−A2+腫瘍細胞上の内因性MART−1抗原 (ならびにT2細胞上にパルスされていても)を認識できない。 いくつかの黒色腫随伴抗原がクローン化されており、黒色腫患者からのTIL により認識されるエピトープが同定されている[Van der Brugge n P.ら、1991.Science,254:1643;Brichard V.ら、1993.J.Exp.Med.,178:489;Gaugler B.ら、1994.J.Exp.Med.,179:921;Kawakam i Y.ら、1994.Proc.Natl Acad.Sci.,91:35 15;Kawakami Y.ら、1994.Proc.Natl.Acad. Sci .,91:6458;Cox A.L.ら、1994.Science, 264:716]。TILはT細胞の不均一な集団であり、その結果、培養物が 腫瘍抗原を認識し、インビボで観察された抗腫瘍応答を媒介するバルクTIL内 のT細胞クロノタイプを同定することは困難である(Nishimura M. I.ら、(1994).J.Immunother.,16:85−94)。 本研究は、交互の細胞株の機能性腫瘍抗原特異性T細胞レセプターヘテロダイ マーの再構築および特性付けに関する最初の報告である。黒色腫反応性クローン (クローン5)からJurkat細胞へのTCRの移動はクローン5の腫瘍特異 的反応性を不滅にし、それが認識するのがどのTAAかを決定することを可能に する。クローン5T細胞レセプターを発現しているJurkatトランスフェク ト体はバルクTILと同一のMART−1ペプチドを認識する(表6)。クロー ン5およびA42は同一の患者から誘導されたとしても、同一のVβサブファミ リー遺伝子(Vβ7.3)を使用し、同一のMART−1 9−mer(MAR T−1(27-35))を認識し[実施例3;Coleら(1994)Cancer Research ,54:5265−5261]、それらは細かい特異性のわず かな相違を持っていた。両方のクローンがMART−1 10−mer(MAR T−1(26-35))を認識するが、クローン5のみがMART−1(27-36)を認識し た(両方の10−merともコアMART−1(27-35)最小決定基を含んでおり 、MART−1(26-35)はそのNH2末端に余分なグルタミン酸を持っており、M ART−1(27-36)はそのCOOH末端に余分のイソロイシンを持っている)。 発展した腫瘍特異性T細胞クローンに制限された能力を与えたとしても、Jur kat細胞内へのTCR遺伝子の伝達は、これらのクローンの精密な特異性を同 定および特性付けるため、腫瘍反応性T細胞クローンを永続させる有用な方法を 提供するであろう。 MART−1(27-35)パルス刺激T2細胞による(黒色腫細胞によるものでは ない)クローン5Jurkat細胞の刺激はTCR−ペプチド−MHC相互作用 以外のT細胞活性化が存在することを示している。HLA−A2+黒色腫細胞は MART−1(27-35)ペプチドと前もってインキュベーションした後でのみクロ ーン5Jurkat細胞を刺激できるので(表7)、腫瘍細胞の表面上の抗原性 ペプチドのレベルが黒色腫抗原の認識に重要であるように思われる。しかしなが ら、ペプチドパルス刺激T2細胞と比較してのペプチドパルス刺激腫瘍細胞によ る低レベルのIL−2放出は、腫瘍細胞がJurkatトランスフェクト体を刺 激することができないことがペプチドレベル単独では完全には説明不可能である ことを示唆している。さらに、Jurkatトランスフェクト体の刺激に必要と されるペプチド濃度は、正常T細胞を刺激するのに必要とされる濃度とひどくは 異なっていない。5−10nMほどの低い濃度でMART−1(27-35)パルスを かけられたT2細胞は我々のJurkatクローンを刺激できIL−2を分泌さ せる(図4)。同様に、TILクローンA42は、1nMほどの低い濃度でMA RT−1(27-35)パルスをかけられたT2細胞により刺激されてGM−CSFを 分泌した[Kawakami Y.ら、1994.J.Exp.Med.,18 0:347]。従って、TILクローンおよびJurkatトランスフェクト体 の両方が刺激のために同様な濃度のペプチドを必要としている。 クローン5Jurkat細胞による腫瘍細胞認識の欠如は、CD4+T細胞白 血病株中のMHCクラスI制限、CD8+T細胞クローン由来のTCRを発現し ているためのようである。Jurkat細胞上のCD8+の発現の欠如は、それ らが腫瘍細胞より刺激されないことを説明しているようである。T2および黒色 腫はJurkatトランスフェクト体の有効な刺激に必要とされる適切な接着分 子を特異に発現することも可能である。 ペプチドで刺激されたT2細胞が、トランスフェクトされていない細胞(JR T NEO)、バルク(bulk)TCRクローンをトランスフェクトされた細 胞(JRT BULK)、クローン5TCRおよびクローンによりトランスフェ クトされた細胞からのIL−2放出を刺激する能力が、ELISAで測定された 。アッセイに先立ち、T2細胞は2.5μMのMART−1ペプチド(MART −1(22−30)、MART−1(27−35)、MART−1(32−40 )、MART−1(26−35)あるいはMART−1(27−36))あるい はgp100ペプチド(gp100(457−465))と2時間インキュベー トさ れた。陽性対照として、MART−1のエピトープであるMART−1(27− 35)、MART−1(26−35)、MART−1(27−36)あるいはg p100のエピトープであるgp100(457−465)をそれぞれ認識する 、HLA−A2で制限されるTIL1235およびTIL1200が、GM−C SFの放出によりアッセイされた。 ペプチドで刺激されたT2細胞が、トランスフェクトされていない細胞(JR T NEO)、バルク(bulk)TCRクローンをトランスフェクトされた細 胞(JRT BULK)、クローン5のトランスフェクトされたTCR+クロー ン化された(クローン13およびクローン22)Jurkat細胞からのサイト カイン放出を媒介する能力が、ELISAで測定された。アッセイに先立ち、T 2細胞あるいは腫瘍細胞は2.5μMのMART−1(27−35)ペプチドと 2時間インキュベートされた。陽性対照として、MART−1(27−35)を 認識する、HLA−A2で制限されるTIL1235が、GM−CSFの放出に よりアッセイされた。 実施例4抗体/T細胞受容体のキメラ遺伝子により向けなおされる、in vivoでの T細胞の抗腫瘍活性 材料と方法 キメラ受容体遺伝子の構築 T細胞受容体細胞内シグナル伝達を媒介する能力がある、Fc受容体γ鎖と連 結されたモノクローナル抗体(MoAb)から得られた一本鎖可変領域(scF v)から構成されるキメラ受容体遺伝子(Orloff,D.,et al., Nature,347:189−191,1990;Letourneur,F .and Klausner,R.D.,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,88:8905−8909,1991;Romeo,C.,et al.,Cell,68:889−897,1992;Romeo,C.and Seed,B.,Cell,64:1037−1046,1991;Irvi ng,B.A. and Weiss,A.,Cell,64:891−901 ,1991)は、以前に記載されているように構築された(図5A−5C;PC T 第WO93/19163号、Hwu,P.,et al.,J.Exp.Med .,178:361−366,1993;Eshhar,Z.,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:720−724,19 93)。 MOv18から得られたキメラ受容体(Coney,L.R.,et al. ,Cancer Res.,51:6125−6132,1991;Miott i,S.,et al.,Int.J.Cancer,39:297−303, 1987)、卵巣腺ガンのほとんどおよびSp6により発現されている38kD の葉酸結合タンパク質(FBP)と結合するMoAb(Kohler,G.an d Milstein,C.,et al.,Eur.J.Immunol., 6:511−519,1976;Ochi,A.,Hawley,R.G.,e t al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:6351 −6355,1983)、抗2,4,6TNP MoAbが、記載されているよ うに作成された(PCT第WO93/19163号、Hwu,P.,et al .,J.Exp.Med.,178:361−366,1993)(それぞれM Ov−γおよびSp−γ受容体)。レトロウィルスベクター MOv−γあるいはSp−γキメラ受容体遺伝子は、Moloneyマウス白 血病ウィルスから得られたLTRの転写調節下で、Treismanら(Blo od,1994)によるレトロウィルスのバックボーンであるLXSNあるいは G1EN中でクローン化された(Hwu,P.,et al.,J.Exp.M ed.,178:361−366,1993;Miller,A.D.,and Rosman,G.J.,BioTechniques,7:980−988 ,1989)。レトロウィルス構築物はまた、選択的なマーカーとしてネオマイ シンリン酸基転移酵素遺伝子(NeoR)をも含んでいた。 葉酸結合タンパク質(FBP)をコードする遺伝子は、L.Coney(Ap ollon,Malvern,PA)から得られ、レトロウィルスのバックボー ンであるLXSN中でクローン化された。レトロウィルス構築物は、その後以前 に記載されたようにCaPO4を用いてPA317アンフォトロピックパッケー ジング(amphotropic packaging)細胞株にトランスフェ クトされた(Hwu,P.,et al.,J.Exp.Med.,178:3 61−366,1993;Miller,A.D.,and Buttimor e,C.,Mol.Cell.Biol.,6:2895−2902,1986 )。腫瘍の形質導入と細胞培養 腫瘍細胞株は、10%加熱非働化FCSとグルタミンを含有したRPMI16 40培地(すべてはBiofluids,Rockville,MDから入手) 中で培養された。3−メチルコラントレンにより誘発された低免疫原性のMCA 102マウス肉腫からクローン化された24JK腫瘍細胞は(Shiloni, E.,et al.,Cancer Immunol.Immunother. ,37:286−292,1993;Karp,S.E.,et al.,J. Immunol.,150:896−908,1993)、24JK−FBP腫 瘍細胞株を得るために、8μg/mlのポリブレン(Aldrich Chem ical Co.,Milwaukee,Wisconsin)存在下でレトロ ウィルス培養上清中でインキュベーションすることでFBP遺伝子を形質導入さ れた。培養液は、12時間ごとに3日間、新鮮なレトロウィルス培養上清および ポリブレンと交換された。最後の培養上清の交換から72時間後に、腫瘍細胞は 、400μg/mlのネオマイシンの類似化合物であるG418(GIBCO, Grand Island,NY)中で選別された。G418での選別に続いて 、MOv18 MoAbを用いた腫瘍細胞のFACS解析により、うまく形質導 入されたことが示された。リンパ球の形質導入と細胞培養 ジフェニルヒドラジンにより誘発されたMC38マウス結腸腺ガンから採取さ れたマウスTILは、記載されたようにIL−2存在下で成長させた(Yang ,J.C.,et al.,J.Biol.Resp.Modif.,9:14 9 −159,1990)。MOv−γおよびSp−γキメラ受容体遺伝子を伴うレ トロウィルス形質導入のために、(それぞれMOv−TILおよびTNP−TI Lを生成するために)抗原で刺激されたTILはペレットにされ、そして30I U/mlのヒト組換えIL−2と20μg/mlの硫酸プロタミン(Eli L illy&Co.,Indianapolis,IN)を含むレトロウィルスの 培養上清中で、3x105 TIL/mlとなるように再懸濁された。12時間ご とにさらに1−2回の感作をするために、培養液は、部分的にIL−2と硫酸プ ロタミンを含む新鮮なレトロウィルス培養上清と交換された。最後の培養上清の 交換から48時間後に、TILは0.3mg/mlのG418中で5日間選別さ れた。この後、G418を除いて1週間の長期培養を行い、そしてその後0.3 から1mg/mlのG418中でさらに5日間選別された。G418での選別に 続いて、記載されたように(Hwu,P.,et al.,J.Immunol .,150:4104−4115,1993)、トータルRNAをノザン解析す ることにより、うまく形質導入されたことが確認された。mIFNγのELISA 5x105のTILと5x105の刺激細胞が、最終容量で1mlの10%FC Sと30IU/mlのIL−2を含むRPMI培養液中で、37℃で24時間共 培養された。培養上清は、その後吸引され、細胞を取り除くために2000rp mで遠心され、デカントされ−70℃で凍結された。解凍された一部が、マウス IFN−γの測定をするためにELISAにより検定された。ELISAは、固 相化された、マウスIFN−γに特異的なラットIgG2A MoAb(Life Technologies,Gaithersburg,MD)を用いて行わ れた。試料あるいは組換えIFN−γ標準液のどちらかを添加した後、IFN− γに特異的なビオチン化ラットIgG1 MoAb(PharMingen,Sa n Diego,CA)が使用され、その後アビジン−ペルオキシダーゼが使用 された。呈色反応は、H22およびABTS基質(2,2’−アジノ−ビス[3 −エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸](2,2’−Azino−bis [3−ethylbenzthiazoline−6−sufonic a cid]);Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO )を添加することにより行われた。プレートはその後、405nmでの吸光度( OD)で計測された。マウス C57BL/6マウスはCharles River(Raleigh,NC )およびFrederick Cancer Research Facili ty(Frederick,MD)より入手し、そして8−16週齢で使用され た。無胸腺ヌードマウスはFrederick Cancer Researc h Facilityより入手し、ラミナフロー飼育で維持されそして6−12 週齢で使用された。 肺転移腫瘍の療法モデル C57BL/6マウスは、(あらゆる宿主の抗腫瘍免疫反応を最小限にするた めに)500cGyの全身照射を受け、それに続いて5x105から1x106の 24JKあるいは24JK−FBP腫瘍細胞をIV投与(静脈内投与)された。 3日目にはマウスは、2−3x107の形質導入されたあるいは形質導入されて いない、MC38腫瘍から得られたTIL細胞を静脈から投与され、それに続い て9回分の投与量である30000から60000IUのIL−2を腹腔内に3 回投与された。最初の腫瘍投与の後11から16日後に、マウスは耳に標識され 無作為化され、そして以前に記載されているように暗号化され盲験化された様式 で肺転移の数を評価するために(Mule,J.J.,et al.,Scie nce,225:1487−1489,1984)、肺が採取された。>250 の転移を伴う肺は、この数が正確に計測しうる最大の数であるために、≧250 として評価された。示された数字は、肺転移の平均数プラス/マイナス標準誤差 である。群間の有意差は、Wilcoxin Rank Sumsテストにより 測定された。すべてのp値は2方向性(two−tailed)である。腹腔内腫瘍の療法モデル IGROV−1ヒト卵巣ガン細胞(Alberti,S.,et al.,B iochem.Biophys.Res.Commun.,171:1051− 1055,1990;Benard,J.,et al.,Cancer Re s.,45:4970−4979,1985)は、細胞株が継続的に腹水として 生成されるまで、ヌードマウス中に連続的に腹腔内継代することによりin v ivoで順応させた。腹腔内腫瘍モデルとして、2.5x106のIGROV− 1の新鮮な腹水細胞が、洗浄されそしてヌードマウスの腹腔内に投与された。3 日後に、腹膜腫瘍の重度が試料マウスで評価され、残りは1−3x107の形質 導入されていないあるいは形質導入されたMC38のTIL細胞が腹腔内に1回 投与されることにより処置された。マウスはその後、ケージ効果を排除するため に耳に標識され無作為化され、そして生存について追跡調査された。非免疫原性のマウス肉腫へのFBP抗原の遺伝子導入 非免疫原性のマウス線維肉腫である24JKが、MOv18により認識される 抗原である葉酸結合タンパク質(FBP)をコードする遺伝子を伴うレトロウィ ルスで形質導入された。ネオマイシン類似化合物であるG418で選別された後 、FBPを形質導入された24JK腫瘍(24JK−FBP)は、MOv18を 用いたFACS解析により測定されたときに、ヒト卵巣ガンであるIGROV− 1細胞で示されたのと同様に、高濃度のFBPを発現していることが示された。キメラ受容体遺伝子を形質導入されたマウスTILのin vitroでの機能 MC38結腸腺ガンから採取されたマウスTIL(38TIL)は、抗卵巣腫 瘍のMoAbであるMOv18(MOv−γ)あるいは抗TNPのMoAbであ るSp6(Sp−γ)のどちらかから得られたキメラ受容体遺伝子を形質導入さ れ(Hwu,P.,et al.,J.Exp.Med.,178:361−3 66,1993)、そしてG418中で選別された。in vitroでの活性 を測定するため、形質導入され、G418で選別されたTILは、腫瘍細胞株と 16−24時間共培養された。培養上清はその後回収され、そしてELISAに よりmIFN−γについて解析された。すべてのTILの培養から、(それらの 本来の抗原である)MC38腫瘍細胞と共培養されたときあるいは抗CD3をコ ートしたプレート上で培養されたとき、大量のmIFN−γが産生された。IG ROV−1あるいは24JK−FBP腫瘍細胞と共培養されたときは、大量の葉 酸結合タンパク質の発現、MOv−γを形質導入されたTIL(MOv−TIL )によるmIFN−γの産生は両方とも、MOv−TIL単独の場合と比較して 、それぞれ54倍、14倍に増加した。これに対して、形質導入されていない( NV)TILおよび抗TNPであるSp−γ受容体を形質導入されたTIL(T NP−TIL)によるmIFN−γ産生は、FBPを発現している細胞との共培 養の時に2−4倍に増加し、FBPを発現していない細胞株との共培養と比較し て相違がなかった。TIL培養物の中で、形質導入されていない24JK細胞あ るいは888ヒト黒色腫細胞との共培養において、大量のmIFN−γを発現し たものはなかった(表8)。これらのデータにより、MOv−γ受容体遺伝子は 、マウスTILに対して、FBPを発現している腫瘍細胞を特異的に認識する能 力を与えうる。肺転移の治療 MOv−TILがin vivoで抗腫瘍活性を持つかどうかを調べるために 、C57BL/6マウスに、FBP遺伝子を形質導入されていないあるいは形質 導入された、1x106の24JK腫瘍細胞が尾静脈から投与された。3日後、 マウスは2.7x107のTILにより処置され、その後9回分の投与量である 60000IUのIL−2を8時間ごとに投与された。最初の腫瘍細胞の投与か ら11日後に、マウスは殺され、そして肺転移が測定された。IL−2と組み合 わせてMOv−TILで処置した場合にのみ、結果として肺転移が有為に減少し たが(その他すべての処置群と比較してp2<0.0004)、それに対して、 IL−2単独の処置あるいは形質導入されていない(NV)TILをIL−2と 組み合わせて処置した場合には、24JK−FBPの肺転移の個数には顕著な減 少は見られなかった。MOv−TILは、形質転換されていない24JK腫瘍細 胞の個数を減少させず(表9および図7)、従ってFBPを発現している腫瘍に 対するその特異性を示している。これらの知見は、2回繰り返して実験を行い確 認 された。ヌードマウスでのヒト卵巣ガン細胞の治療 MOv−TILがでヒト卵巣ガン細胞に対する顕著なin vivo活性を持 つかどうかを調べるため、ヌードマウスの腹腔内に新鮮な腹水から得られた2x 106のIGROV−1細胞が移植された。3日後、マウスはTILの腹腔内へ の一回投与の処置をされ、その後生存について追跡調査された。処置をしたとき の試料マウスの組織病理学的な評価により、顕著な数の疾患が存在し、腫瘍投与 から3日後にはマウス腹膜腔内に侵襲構造があることが示された(図8)。MO v−TILで処置されたマウスでは、塩類溶液のみあるいは形質導入されていな いTILあるいはTNP−TILによる処置をされたマウス(それぞれの平均の 生存日数=31、37、31日、図9)と比較して、顕著に生存日数が増加した (平均の生存日数=90日、p2<0.002)。本研究では、同一の結果が繰 り返された。 TH1対TH2の様なT細胞による特異的なサイトカイン産生のパターンは、 異なる免疫反応および異なる療法的結果を導出することが示されてきた(Rom ani,L.,et al.,Infect.Immun.,59:4647− 4654,1991;Del Prete,G.and Romagnani, S.,Trends Microbiol.,2:4−6,1994;Rein er,S.L.,et al.,Science,259:1457−1460 ,1993;Locksley,R.M.and Scott,P.,Immu nol.Today,12:A58−61,1991;Street,N.E. and Mosmann,T.R.,FASEB J.,5:171−177, 1991)。 本研究により、受容体により特定される抗原を持つ腫瘍細胞に対して、キメラ 受容体遺伝子を形質導入されたT細胞がin vivoで活性であることが示さ れた。形質導入されていないマウスおよびヒトのTILを用いたかつての研究で は(Barth,R.,et al.,J.Exp.Med.,173:647 −658,1991;Schwartzentruber,D.J.,et a l.,J.Clin.Oncol.,12:1475−1483,1994)、 in vitroでの特異的なサイトカイン産生とin vivoでの本来の腫 瘍関連抗原を持つ腫瘍細胞に対する機能とに、相関関係があった。キメラ受容体 を発現するT細胞を使用する本結果でもまた、in vivoで療法的な効果を 有するT細胞はin vitroで特異的にサイトカインを分泌する。 抗体を基礎にした腫瘍の認識が、腫瘍関連抗原の発現に依存しているため、腫 瘍細胞にとっての一つの考えられる逃避機構は、抗原の発現の抑制的調節である 。本研究では、IGROV腫瘍細胞をヌードマウスの腹腔内に投与し、その後M Ov−TILを用いた腹腔内での療法をすることにより、生存日数が顕著に増加 する結果となった。生存は3倍になったが、すべてのマウスは結局腫瘍性腹水に より死亡した。これらの腫瘍細胞のFACS解析により、対照のマウスの腹水と 変わらず、FBPの発現が持続的に存在していることが示された。抗原の抑制的 調節がこの特定のモデルにおける逃避の機構ではないことが、これにより示唆さ れる。 ガン患者におけるこの疾患の転移の形態のうちもっとも一般的でありそしても っとも初期のものは、腹膜腔の表面に移植された細胞が剥離することによるため 、腹腔内腫瘍のモデルは、卵巣ガンに対しても部分的には相応しい。(Bere k,J.S.,Epitherial Ovarian Cancer.In: J.S.Berek and N.F.Hacker(eds.),Pract ical Gynecologic Oncology,pp.327−375 ,Baltimore:Williams and Wilkins.1994 ) 1mlあたり5x105のTILが37℃で16時間、何も添加せずに、ある いは5x105の標的細胞(たとえばIGROVや888MEL)とともに、あ るいは2C11(抗CD3)抗体とともに培養された。 2C11は、4μg/mlで使用され、HCO3緩衝液で一晩、4℃でコートさ れた。 実施例5 キメラT細胞受容体遺伝子による幹細胞の形質導入 効果器としてのT細胞の機能と抗体の持つ抗腫瘍の特異性を組み合わせるため 、Fc受容体関連γ鎖と連結された、モノクローナル抗体(mAb)から得られ た可変領域部位を含む、そしてT細胞において細胞内シグナル伝達を媒介するこ とができることが示されているキメラ受容体遺伝子構築物が構築された。キメラ 受容体遺伝子は、抗トリニトロフェニルmAbからとともに卵巣腺ガンのほとん どにより高濃度に発現されている38kDの葉酸結合タンパク質と結合するmA bであるMOv18から得られた一本鎖VL/VH部位(scFv)を使用して 作成された。 これらのキメラ受容体遺伝子を形質導入されたT細胞は、抗体で認識される抗 原に反応して特異的に細胞融解をしそしてサイトカインを分泌することができる (Hwu,P.,J.Exp.Med.,178:361−366,1993) 。MOv−γを形質導入されたTリンパ球は、ヒト卵巣細胞を融解しそして卵巣 細胞と共培養されたときにGM−CSFを放出する。これらのキメラT細胞受容 体はまた、in vivoにおいて腫瘍に対して機能的であることが示されてき た(実施例4)。 造血幹細胞にこれらのキメラ抗体/T細胞受容体遺伝子を使用することが本明 細書で示されている。造血幹細胞にキメラ受容体遺伝子あるいは抗原特異的T細 胞受容体を形質導入することにより、抗腫瘍受容体を発現する免疫細胞を永続的 に再生しながらin vivoで供給すること、遺伝子的に改変された幅広い種 類の細胞(たとえばT細胞、マクロファージ、NK細胞そして好中球)を産生す ること、そしてin vivoで自然に分化しそして増殖する形質導入された幹 細胞により腫瘍部位への交通が充進することが見込まれる。腫瘍特異的T細胞受 容体もまたこれらの方法において使用されうる。 材料と方法 骨髄の形質導入は、記載されたように行われた(Bodine,D.M.,P roc.Natl.Acad.Sci.USA,86:8897−8901,1 989)。簡単に言うと、ドナーマウスは幹細胞の回収率を上げるために5FU を投与された。48時間後にマウスは殺され、そして骨髄細胞(BMC)が大腿 骨および脛骨から採取された。BMCはその後、200Units/mlのIL −1、IL−3、IL−6および10%のWehi培養上清中で48時間培養さ れた。BMCはその後、放射線照射されたキメラ受容体レトロウィルス産生細胞 上で48時間共培養された。非接着BMCはその後回収され、投与に先立って9 50radという致死量の放射線を照射されたレシピエントマウスに静脈から注 射された。 より精製された幹細胞調製物を使用すること、培養上清形質導入法あるいはそ の他の成長因子およびサイトカインを使用して幹細胞を維持する方法を含むがそ れらに限定されない、骨髄を分離しキメラ受容体を形質導入するその他の方法が 使用されうる。 マウス造血組織は、骨髄再構築の後数カ月間、数回の時点をとって解析された 。再構築されたマウスから得られた新鮮な脾臓細胞が腫瘍細胞と共培養され、そ して培養上清がマウスIFN−γについてアッセイされた。それに加えて、脾臓 細胞はConAにより活性化され、そして同様な方法によって10日後にサイト カインの放出についてアッセイされた。使用されたベクター キメラ受容体遺伝子を発現する2つのレトロウィルスベクターが使用されてき た(図10)。ヒトつめにおいては、キメラ受容体遺伝子がMMLV LTRの 転写調節化におかれている。もう一つのベクターにおいては、pgkハウスキー ピング遺伝子プロモーターがin vivoでの発現を確実にするために使用さ れた。本明細書で示されたデータにおいては、抗卵巣ガンモノクローナル抗体か ら採取され、卵巣腺ガンのほとんどで過剰発現されている葉酸結合タンパク質( FBP)と結合する、キメラ受容体遺伝子(MOv−γ)が使用された。他の抗 原に対するキメラ受容体もまた、使用されうる。これに加えて、他のレトロウィ ルスベクターシステムである、AAVベクター(Muzyczka,N.,Cu rr.Top.Microbiol.Immunol.,158:97−129 ,1992)、遺伝子小片発射法、あるいはその他の様々な形質導入システムが 組換え構築物を細胞内に挿入するために使用されうる。ノザン 再構築されたマウスの脾臓細胞、骨髄細胞そして胸腺細胞から回収されたトー タルRNAをノザンブロット解析することにより、それらの細胞はキメラ受容体 遺伝子の発現が陽性であったことが示された。サイトカイン放出 3匹の正常マウスと3匹のMOv−γで再構築されたマウスから採取された新 鮮な脾臓細胞が、マウスの腫瘍細胞と共培養された。使用されたマウスの腫瘍細 胞は、共刺激分子であるB7−1、あるいはMOv−18により認識される葉酸 結合タンパク質(FBP)、あるいはB7−1とFBPタンパク質の両方を形質 導入された、メチルコラントレン(MCA)により誘発された肉腫細胞である、 非免疫原性の24JK細胞であった。24JK B7−FBP細胞と共培養され たMOv−γ脾臓細胞から、顕著な濃度のマウスIFN−γが検出された(表1 0)。新鮮なMOv−γ脾臓細胞からの顕著なサイトカイン分泌は、FBPタン パク質のみを発現している24JK細胞と共培養したときには見られなかった。 このようにMOv−γで再構築されたマウスから採取された新鮮な脾臓細胞の刺 激のためには、B7とFBPの発現の両方が必要でありうる。ConA刺激は、 陽性対照として行われた。 MOv−γで再構築されたマウスから採取された活性化された脾臓細胞(表1 1)は、24JK FBP細胞および24JK B7−FBP細胞の両方に反応 してマウスIFN−γを産生することができた。このようにMOv−γで再構築 されたマウスから採取された活性化された脾臓細胞の刺激は、標的細胞上でのB 7の発現とは無関係のように見える。 新鮮な脾臓細胞は、mIFN−γの発現により測定されるような刺激のために は腫瘍細胞上にB7および特異的抗原の両方が発現していることが必要である。 腫瘍細胞は通常はその表面にB7を発現していないため、形質導入された骨髄細 胞から採取された無処理の脾臓細胞内でキメラ受容体が機能するために、さらな る添加物が添加されうる。たとえば、B7はT細胞上のCD28受容体を刺激す ることにより機能するため、CD28シグナル鎖と連結されたscFv抗体領域 を使用するキメラ受容体が、その他のキメラ受容体と組み合わされて使用されう る。scFv−γおよびscFv−CD28受容体の両方を発現しているT細胞 は、T細胞の刺激および抗原との結合に伴う共刺激のシグナルの両方を提供しう る。活性化された脾臓細胞が刺激するためにB7を必要としなかったことから、 患者においては別のアプローチとして末梢血リンパ球を体外で(ex vivo )活性化し、その後形質導入された幹細胞を骨髄移植することが含まれうる。 これらの研究では、造血骨髄細胞がキメラT細胞受容体で遺伝子的に持続的に 改変されうること、そしてそれらの子孫細胞がモノクローナル抗体により認識さ れる新しい抗原に対して対象を変えうることが示される。キメラ受容体を形質導 入された幹細胞から得られた免疫細胞により治療されうる疾患の例としては、黒 色腫や卵巣ガンなどのガンが含まれるが、これらだけに限定されない。HIVや 細菌感染症あるいはカビ感染症などの感染性疾患を含む、しかしこれらだけに限 定されない、その他の疾患もまた、キメラ受容体あるいは本来のT細胞受容体で 形質導入された幹細胞により治療されうる。 別の方法では、本発明の抗原特異的T細胞受容体、好ましくは黒色腫特異的T 細胞受容体が、レトロウィルス形質導入により幹細胞に導入され、そして疾患に 悩まされている哺乳類を療法的にあるいは予防的に治療するために使用されうる 。ウィルスあるいは細菌の抗原あるいは寄生体に対する、抗原特異的T細胞受容 体 を発現している幹細胞を使用する免疫療法もまた、本明細書中で記載された方法 において使用されうる。 1mlあたり1.5x106の脾臓細胞と5x105の腫瘍細胞が48時間共培 養された。 1mlあたり1.5x106の脾臓細胞と5x105の腫瘍細胞が18時間共培 養された。 実施例6黒色腫に悩まされている哺乳類を療法的に治療するための、黒色腫の抗原を認識 するT細胞受容体を発現するリンパ球の使用 本明細書において黒色腫抗原に対して提供されるT細胞受容体を発現している Tリンパ球は、黒色腫に悩まされている哺乳類を療法的に治療するときに効果的 であり得る。黒色腫抗原特異的T細胞受容体のαおよびβ両鎖を持つレトロウィ ルス発現ベクターが、レトロウィルスパッケージング(packaging)細 胞株に導入されうる。別の方法ではα鎖およびβ鎖がそれぞれ別々のレトロウィ ルス発現ベクター中に配置されそしてレトロウィルスパッケージング(pack aging)細胞株に導入されうる。実施例として、Tリンパ球が末梢血あるい は黒色腫腫瘍懸濁液から回収され、そしてin vitroで培養される(Ka wakami,Y.,et al.,(1988)J.Exp.Med.,16 8:2183−2191)。Tリンパ球あるいはTILは培養液中に再懸濁され 、そしてレトロウィルス培養上清に感作される(Hwu,et al.,(19 93)J.of Immunol.150:4104−4115)。レトロウィ ルス培養上清には、硫酸プロタミンとIL−2を添加しうる。T細胞受容体を発 現しているTリンパ球はその後、このような治療が必要なときに患者に投与され うる。リンパ球は静脈内、腹腔内、あるいは障害部位内(intralesio nally)のどれかにより投与されうる。サイトカイン、放射線療法、黒色腫 障害部位の外科的切除および化学療法薬、活性免疫化、外来(adoptive )T細胞導入療法などのその他の療法的治療と同時に、この治療法は施しうる。 本発明は、開示された核酸配列による範囲には限定されるべきではなく、同等 の機能をするあらゆる配列が本発明の範囲内にある。実際本明細書で示されそし て記載された改変に加えて発明の様々な改変が、前述の記載および付随する図面 から当業者には明白になるであろう。このような改変は、本明細書に添付する請 求項の範囲に属するものとするつもりである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年6月5日 【補正内容】 請求の範囲 1.T細胞受容体のα鎖の核酸配列およびβ鎖の核酸配列の両方を含む発現ベ クターを含む宿主細胞と医薬的に効果的な担体とからなる、薬剤組成物。 2.T細胞受容体のα鎖の核酸配列およびβ鎖の核酸配列の両方を含む組換え 発現ベクターと医薬的に効果的な担体とからなる、薬剤組成物。 3.哺乳類に治療に有効な量の請求項1の薬剤組成物を投与することを含む、 哺乳類においてガンを予防しあるいは治療するための、請求項1の薬剤組成物の 使用。 4.ガンが肺ガン、黒色腫、卵巣ガン、乳ガン、結腸ガン、脳腫瘍、前立腺ガ ンあるいは腎臓ガンからなる群から選択される、請求項3の使用。 5.ガンが黒色腫あるいは卵巣ガンである請求項4の使用。 6.特異的抗体の一本鎖Fv部位から構成されたキメラ受容体をコードする核 酸配列の少なくとも一部と免疫細胞の少なくとも膜貫通領域と細胞内領域をコー ドする第2セグメントとを含む発現ベクターを含む造血幹細胞。 7.請求項6の細胞と医薬的に許容される担体とからなる、薬剤組成物。 8.哺乳類に治療に有効な量の請求項7の薬剤組成物を投与することを含む、 哺乳類においてガンを予防しあるいは治療するための、請求項7の薬剤組成物の 使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 16/28 C07K 16/28 C12N 5/10 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ニシムラ,マイケル アメリカ合衆国メリーランド州20853,ロ ックヴィル,キャシェル・ロード 16741 (72)発明者 ローゼンバーグ,スティーブン・エイ アメリカ合衆国メリーランド州20854,ポ トマック,アイロン・ゲート・ロード 10104 【要約の続き】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.腫瘍関連抗原を認識するT細胞受容体であり、α鎖からなる、分離された T細胞受容体。 2.腫瘍関連抗原を認識するT細胞受容体であり、β鎖からなる、分離された T細胞受容体。 3.腫瘍関連抗原を認識するT細胞受容体であり、α鎖およびβ鎖からなる、 分離されたT細胞受容体。 4.腫瘍関連抗原が黒色腫、卵巣、肺、結腸、腎臓、乳房あるいは前立腺から なる群から選択された腫瘍により発現されている抗原である、請求項1、2また は3のT細胞受容体。 5.nは1−5であり、またXaaは任意のアミノ酸でありうる、システイン −Xaanのカルボキシ末端をコードする3’末端を有する核酸配列をもつ可変 領域と、図1A-1B、図2に示されたJα配列およびそれらと実質的に相同な 配列からなる群から選択された核酸配列をもつ連結領域とを含む、少なくともT 細胞受容体のα鎖の可変領域と連結領域とをコードする、分離された核酸。 6.定常領域に対する核酸配列をさらに含む、請求項5の核酸配列。 7.可変領域がVα8.2、Vα17、Vα9、Vα1、Vα25、あるいは Vα21からなる遺伝子群から選択される、請求項5の核酸配列。 8.図1A、図1B、図2に示されたJα配列および実質上それらと相同の配 列からなる群から選択された配列を含む核酸である、T細胞受容体のα鎖の定常 領域をコードする、分離された核酸。 9.nはおよそ1−5であり、またXaaは任意のアミノ酸でありうる、シス テイン−Xaanのカルボキシ末端をコードする3’末端を有する核酸配列をも つ可変領域と、図1A−1B、図2に示されたJβ配列および実質上それらと相 同の配列からなる群から選択された核酸配列をもつJ領域とからなる、少なくと もT細胞受容体のβ鎖の一部分をコードする、分離された核酸。 10.図1A−1B、図2に示されたJβ配列および実質上それらと相同の配 列からなる群から選択された配列からなる核酸配列を有する、T細胞受容体のβ 鎖の連結領域をコードする、分離された核酸。 11.図1Aに示されたV−J連結配列をもつVα8.2/Jα49/Cα鎖 および図1Aに示されたV−D−J連結配列をもつVβ13.6/Dβ1.1/ Jβ1.5/Cβ1;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα17/Jα4 2/Cαおよび図1Bに示されたV−D−J連結配列をもつVβ6.5/Dβ. 1/Jβ.5/Cβ;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα9/Jα16 /Cαおよび図1Bに示されたV−J−J連結配列をもつVβ22.1/Dβ2 .1/Jβ2.1/Cβ2;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα1/J α49/Cα;そして図1Bに示されたV−D−J連結配列をもつVβ7.3/ Dβ2.6/Jβ2.1/Cβ2;図2に示されたV−J連結配列をもつVα2 5/Jα54/Cαおよび図2に示されたV−J−J連結配列をもつVβ3.1 /Dβ1.1/Jβ1.1/Cβ;そして図2に示されたV−J連結配列をもつ Vα21/Jα42/Cαおよび図2に示されたV−D−J連結配列をもつVβ 7.3/Dβ2.1/Jβ2.7/Cβ2を含む群から選択される、α鎖をコー ドする核酸配列とβ鎖をコードする核酸配列。 12.請求項5−11の核酸のいずれか1つにより産生された、組換えタンパ ク質。 13.請求項12のタンパク質に反応性である抗体。 14.請求項5−11の少なくともいずれか1つからなる核酸を含む発現ベク ター。 15.T細胞受容体のα鎖およびβ鎖の両方に対する核酸配列を含む発現ベク ター。 16.請求項14の発現ベクターを含む宿主細胞。 17.請求項15の発現ベクターを含む宿主細胞。 18.宿主細胞がTリンパ球、ナチュラルキラー細胞、単球あるいは造血幹細 胞からなる群から選択される、請求項16の宿主細胞。 19.宿主がTリンパ球、ナチュラルキラー細胞、単球あるいは造血幹細胞か らなる群から選択される、請求項17の宿主。 20.請求項16の細胞と医薬的に有効な担体とからなる、薬剤組成物。 21.請求項17の細胞と医薬的に有効な担体とからなる、薬剤組成物。 22.請求項14の組換え発現ベクターと医薬的に有効な担体からなる、薬剤 組成物。 23.請求項15の組換え発現ベクターと医薬的に効果的な担体からなる、薬 剤組成物。 24.有効量の請求項1、20、21、22あるいは23の組成物を哺乳類に 投与することを含む、哺乳類においてガンを予防しあるいは治療する方法。 25.ガンが肺ガン、黒色腫、卵巣ガン。結腸ガン、脳腫瘍あるいは腎臓ガン からなる群から選択される、請求項24の方法。 26.ガンが黒色腫あるいは卵巣ガンである請求項25の方法。 27.T細胞から得られたCD28の細胞内領域あるいは共刺激のシグナルを 提供することができる同様な領域と連結された抗体の可変領域を含む、キメラ受 容体をコードする核酸配列。 28.請求項27の核酸配列により少なくとも一部分がコードされる、組換え タンパク質。 29.請求項26の核酸を少なくとも一部分含む、発現ベクター。 30.請求項29による発現ベクターを含む宿主細胞。 31.請求項29の発現ベクターと医薬的に許容される担体とからなる、薬剤 組成物。 32.請求項30の宿主細胞と医薬的な担体とからなる、薬剤組成物。 33.特異的抗体の一本鎖Fv部位および免疫細胞の少なくとも膜貫通領域と 細胞内領域とをコードする第2セグメント(segment)から構成されるキ メラ受容体をコードする核酸配列の少なくとも一部を含む発現ベクターを含む造 血幹細胞。 34.請求項33の細胞と医薬的に許容される担体とからなる薬剤組成物。 35.治療有効量の請求項31、32、33あるいは34の組成物を哺乳類に 投与することを含む、哺乳類においてガンを予防しあるいは治療する方法。 36.nは1−5であり、またXaaは任意のアミノ酸でありうる、システイ ン−Xaanからなるカルボキシ末端を有する核酸配列をもつ可変領域と、図1 A-1B、図2に示されたJα配列および/または実質上それらと相同の配列か らなる群から選択されたアミノ酸配列をもつ連結領域とを含む、少なくとも可変 領域と連結領域とを含むT細胞受容体のα鎖。 37.少なくとも、nはおよそ1−5であり、またXaaは任意のアミノ酸で あり得る、システイン−Xaanのカルボキシ末端を有する可変領域の少なくと も一部と、図1A−1Bそして図2に示されたJβ配列および実質上それらと相 同の配列の群から選択されたアミノ酸配列をもつJ領域とからなる、T細胞受容 体のβ鎖。 38.図1Aに示されたV−J連結配列をもつVα8.2/Jα49/Cα鎖 および図1Aに示されたV−D−J連結配列をもつVβ13.6/Dβ1.1/ Jβ1.5/Cβ1;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα17/Jα4 2/Cαおよび図1Bに示されたV−D−J連結配列をもつVβ6.5/Dβ. 1/Jβ.5/Cβ;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα9/Jα16 /Cαおよび図1Bに示されたV−J−J連結配列をもつVβ22.1/Dβ2 .1/Jβ2.1/Cβ2;図1Bに示されたV−J連結配列をもつVα1/J α49/Cα;そして図1Bに示されたV−D−J連結配列をもつVβ7.3/ Dβ2.6/Jβ2.1/Cβ2;図2に示されたV−J連結配列をもつVα2 5/Jα54/Cαおよび図2に示されたV−J−J連結配列をもつVβ3.1 /Dβ1.1/Jβ1.1/Cβ;そして図2に示されたV−J連結配列をもつ Vα21/Jα42/Cαおよび図2に示されたV−D−J連結配列をもつVβ 7.3/Dβ2.1/Jβ2.7/Cβ2を含む群から選択される、α鎖および β鎖を含む分離されたT細胞受容体。 39.黒色腫を予防しあるいは治療するための医薬製造における、請求項1− 5のT細胞受容体の使用。 40.黒色腫を予防しあるいは治療するための医薬製造における、請求項5− 11の核酸配列の使用。 41.黒色腫を予防しあるいは治療するための医薬製造における、請求項14 −15の発現ベクターの使用。 42.黒色腫を予防しあるいは治療するための医薬製造における、請求項27 の核酸配列の使用。 43.哺乳類においてガンを予防しあるいは治療するための医薬製造における 、請求項29の組換え発現ベクターの使用。 44.哺乳類においてガンを予防しあるいは治療するための医薬製造における 、請求項33の造血幹細胞の使用。 45.哺乳類においてガンを予防しあるいは治療するための医薬製造における 、請求項36−39のタンパク質の使用。
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