JPH115023A - 中空糸膜濾過装置 - Google Patents

中空糸膜濾過装置

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JPH115023A
JPH115023A JP15841697A JP15841697A JPH115023A JP H115023 A JPH115023 A JP H115023A JP 15841697 A JP15841697 A JP 15841697A JP 15841697 A JP15841697 A JP 15841697A JP H115023 A JPH115023 A JP H115023A
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敦 中嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜利用効率が高く、膜の洗浄性に優れ、設置
面積が小さい中空糸膜を用いた全量濾過方式の濾過装置
の提供。 【解決手段】 缶体容器1内に中空糸膜編織物の積層体
4を濾過膜として配設する。積層体の上下両端は固定部
材5、6により固定される。下部固定部材6は処理水出
口10に連通する集水セル7に接合され、この集水セル
は濾滓が通過する通路を缶体壁面との間に形成してい
る。各積層体間に、被処理水供給ノズル12および/ま
たは散気ノズル13が配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸膜濾過装置
に関し、特に高汚濁性・高粘性の流体を濾過する際に用
いられる中空糸膜濾過装置に関する。本装置の具体的な
利用分野としては、染料濾過、酒類の濾過、河川水・湖
沼水の濾過、工業用水濾過、排水処理等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】高汚濁性、高粘性の流体を中空糸膜を用
いて濾過する装置の濾過方式としては、中空糸膜の外側
に被処理水を流動させ、その剪断作用により膜面への汚
濁物質の沈着を防ぎながら被処理水の一部を濾過するク
ロスフロー方式と、間欠的にエアスクラビング、逆通
水、逆通気等により膜面の洗浄を行いながら被処理水の
すべてを濾過する全量濾過方式とが用いられている。
【0003】前者は操作が簡便であるものの、被処理水
の流動のために処理水量当たりのエネルギー消費が大き
い。一方、後者はエネルギー消費はそれ程大きくないも
のの、膜面の汚染防止や汚泥除去にモジュール構造上に
特別の工夫が必要である。その具体例として、中空糸膜
を平型に展開して開放水槽に浸漬し処理水を吸引濾過す
る特開平7−236817号や特開平7−100486
号記載のモジュールや、容器の中に中空糸編織物をジグ
ザグ状に折り畳んだり、積層して積層体として被処理水
に圧力をかけて濾過する特開平5−261254号や特
願平7−325274号に記載のモジュールを使った濾
過装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、処理水量当た
りのエネルギー消費の小さい全量濾過方式の濾過装置に
おいても、浸漬して吸引濾過する構造のモジュールを使
った濾過装置は、濾過差圧を基本的に大気圧以上に大き
くできないことや、さらに逆通水や逆通気洗浄時の圧力
が構造設計上大きくとれないために、処理水量を大きく
するにはかなり大きな中空糸膜面積を組み込まざるを得
なかった。
【0005】一方、容器に収納し加圧して濾過する構造
のモジュールを使った濾過装置は、濾過差圧を大きくで
き、また逆通水や逆通気洗浄時の圧力も構造設計上大き
くすることができる。その反面、エアスクラビングによ
る洗浄性および汚濁物質の沈積の点から、配設された中
空糸膜の下方端は、中空糸膜に開口端部を形成する固定
部材を設けず自由端とし、上側の端部にしか固定部材を
成型できないという制約があった。そのため、中空糸内
流路の圧損により中空糸膜編織物の積層体の長さを長く
すると膜の利用効率が小さくなるため、結果としてモジ
ュール長さを大きくすることができず、装置設置面積当
たりの処理水量を大きくとり得なかった。
【0006】本発明の目的は、中空糸膜を用いた処理水
当たりのエネルギーコストの小さい全量濾過方式の濾過
装置であって、膜利用効率が高く、膜の洗浄性に優れ、
汚濁物質の除去性に問題がなく、かつ設置面積が小さい
性能を有する濾過装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、缶体容器内に中空糸膜編織物の積層体を濾過膜と
して配設してなる中空糸膜濾過装置において、該積層体
の上下両端に積層体を固定し中空糸膜の開口端を形成す
る固定部材が配設され、上部固定部材は缶体容器に固着
され、下部固定部材は処理水出口に連通する集水セルに
接合され、該集水セルは濾滓が通過する通路を缶体容器
の内壁面との間に形成しつつ缶体容器に対して係着さ
れ、かつ下部固定部材の上面近傍の各積層体間に、被処
理水供給ノズルおよび/または散気ノズルを配設したこ
とを特徴とする中空糸膜濾過装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って詳細
に説明する。図1は、本発明の中空糸膜濾過装置の一例
を示す縦断面図であり、図2は、図1の矢視の位置方向
の横断面図である。
【0009】図1において、濾過装置本体を構成する缶
体容器1には、上部集水蓋2と底部斗3が取り付けら
れ、その内部には濾過膜である中空糸膜編織物の積層体
4が配設されている。積層体4は、図に示すように中空
糸膜編織物が互いに平行に配列されてなるものであり、
各編織物は相互に密着するのではなく、ある程度の間隔
を有していることが好ましく、配列の間隔は等しくする
のが装置設計上並びに運転上からも好ましい。各中空糸
膜編織物は、上部固定部材5と下部固定部材6によって
配設位置が固定されている。配列の間隔は等しくするの
が装置設計上並びに運転上からも好ましい。上部固定部
材5は缶体容器に固着され、下部固定部材6は集水セル
に接合されている。
【0010】積層体4に用いる中空糸膜編織物は、通常
は、中空糸膜が緯糸として用いられて編織された編物ま
たは織物であり、例えば特公平4−26886号、特開
昭63ほ91673号に記載された方法により製造され
る。この編織物に用いる中空糸膜としては、ポリオレフ
ィン系、ポリビニルアルコール系、ポリ(メタ)アクリ
ル系、セルロース系、フッ素系等各種のものが使用でき
る。上部固定部材5と下部固定部材6には、例えばウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂ある
いはこれらに熱可塑樹脂をブレンドしたものが使用でき
る。
【0011】中空糸膜の開口端は、上部固定部材5およ
び下部固定部材6の両方に形成され、中空糸膜で濾過さ
れた処理水は、上部開口端より出たものは上部集水蓋2
中に集水され、下部開口端より出たものは集水セル7中
に集水される。集水セル7は、下部固定部材6とはOリ
ングなどのシール部材を介して液密にされて固設されて
いる。上部集水蓋2の中の処理水は上部吐出口11から
流出し、集水セル7中の処理水は、フレキシブルホース
を介して缶体容器1に配設された下部吐出口10から流
出する。
【0012】集水セル7は、缶体容器1の内壁面から突
出した支持部材8に取り付けられている調整ピン9によ
り、その上下方向の位置を中空糸膜編織物の張力の状態
が適正となるように調整して支持部材8に係着されてい
る。支持部材8は、通常4個乃至8個取り付けられ(図
2には4個の場合を示す)、集水セル7の周り、すなわ
ちこれらの支持部材8の間を、濾過膜から脱落沈降する
濾滓が通過する。支持部材8の間の通路を通過した濾滓
は底部斗3に一旦集められ、随時排泥口15より排出さ
れる。
【0013】被処理水は、図2に示したノズル取り付け
口16に取り付けられた管体の先端部分に複数設けられ
た被処理水供給ノズル12より缶体容器内へ供給され
る。また、濾過膜面を洗浄するエアスクラビング用空気
は、同じくノズル取り付け口16に取り付けられた管体
の先端部分に複数設けられた散気ノズル13より放出さ
れる。被処理水供給ノズル12と散気ノズル13は、と
もに積層体4の間に配置されているが、下部固定部材6
の上面近傍に位置させることが重要であり、ノズルの先
端が下部固定部材6の上面から10cm以内、好ましく
は5cm以内に設置する。この例では被処理水ノズル1
2と散気ノズル13は上下二段に配設されているが、こ
れらの上下位置関係はいずれでもよく、それぞれのノズ
ルの流出孔は下方に向けて開口させるのが好ましい。被
処理水の流出時の流動作用と空気の攪乱作用により下部
固定部材6の上面は汚泥の沈積がなくなり、長期に亙っ
ての正常な運転が可能となる。被処理水ノズル12と散
気ノズル13は、積層体の両外側に追加して配設するこ
ともできる。
【0014】濾過膜面をエアスクラビングして上昇した
空気は、缶体容器1に配設された空気排出口14より流
出する。上方に位置する濾過膜面迄充分に洗浄するため
に、上部固定部材5の積層体4との接合下面の位置は、
空気排出口14の位置よりも低くするのが好ましい。
【0015】第3図は、図1の中空糸膜濾過装置に案内
筒を付設した中空糸膜濾過装置の他の例である。缶体容
器と同軸の円筒状の案内筒17が、積層体4の周囲に付
設されている。案内筒17を設けて缶体容器内が二重
(円)筒状に仕切られることにより、エアスクラビング
用の空気の上昇移動によって案内筒17の下端開口部1
8より被処理液が流入し、上端開口部19から流出し、
更に案内筒17の外側を下降する随伴循環流が形成され
る。これによって濾過膜表面での被処理液の線流速が高
くなり、一層効果的に濾過膜表面の洗浄を発現させるこ
とができる。案内筒の材質としては合成樹脂製のパイプ
を利用できるが、これは中空糸編織物の積層体を運搬す
る際の保護や缶体容器に収納装着する際の保護の目的を
も果たすことができる。この例では、案内筒17は上部
固定部材5に接合され、下部固定部材6との間には隙間
を開けて接続固定されていないが、特にこの態様に限定
されるものではない。
【0016】図4は本発明の中空糸膜濾過装置を用いた
汚泥水等の濾過の装置囲りのフローシートである。被処
理原水aはポンプで加圧されバルブV1 を経て被処理水
供給ノズル12から缶体容器内へ供給され、本濾過装置
により濾過されて下部吐出口10および上部吐出口11
よりバルブV2 を経て処理水bとして取り出される。膜
の目づまりが進行し、濾過圧力が所定値以上になると、
バルブV1 、V2 を閉じ放流用のバルブV7 を開き次い
でバルブV5 とV4 を開いて散気ノズル13より加圧空
気dを供給し、エアスクラビングによる膜面洗浄を所定
時間行う。排出空気eはバルブV5 を経て系外に排出さ
れる。その後バルブV4 、V5 を閉じバルブV2 、V1
を開いて再び濾過を行う。エアスクラビングによる膜面
洗浄の繰り返し回数のある時期においては、逆通水fを
バルブV6 を開け上部吐出口11を経て供給し膜面の洗
浄回復を行うことができる。更にまたある時期において
は汚泥cをバルブV3 を開き排泥口15より排出する。
【0017】以上の操作により膜面の濾滓は除去され系
外に排出され中空糸膜濾過装置内に蓄積することなく長
期に亙って安定した運転が可能となる。
【0018】
【発明の効果】本発明では、中空糸膜編織物の積層体の
濾過膜を缶体容器に収納して使用するので濾過差圧を大
きくでき、しかも積層体の上下両端部に固定部材を配設
しているので中空糸内流路の圧損を小さくできるため、
大きい透水量を確保することができる。また、被処理水
ノズルと散気ノズルの少なくとも一方を下部固定部材の
近傍の各積層体間に配設したことにより、エアスクラビ
ングによる中空糸膜の膜面洗浄を行っても下部固定部材
上に濾滓汚泥の沈積が発生せず、かつ構造上逆通水も可
能なので長期に亙って安定して運転することができる。
また、案内筒を付設することによってエアスクラビング
による膜面洗浄をさらに効果的に行うこともできる。こ
の中空糸膜濾過装置を複数基設置すれば間断なく連続し
て処理水を得ることができ、また透水量が大きいため設
置面積当たりの処理水量が大きく水処理プラントとして
の工業的有用性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜濾過装置の一例を示した縦断
面図である。
【図2】図1の矢視の位置方向の横断面図である。
【図3】案内筒を固定部材に付設した本発明の中空糸膜
濾過装置の一例を示した縦断面図である。
【図4】本発明の中空糸膜濾過装置を使用して汚濁水を
濾過する場合の該装置囲りのフローの説明図である。
【符号の説明】
1 缶体容器 2 上部集水蓋 3 底部斗 4 積層体 5 上部固定部材 6 下部固定部材 7 集水セル 8 支持部材 9 調整ピン 10 下部吐出口 11 上部吐出口 12 被処理水ノズル 13 散気ノズル 14 空気排出口 15 排泥口 16 ノズル取り付け口 17 案内筒 18 下端開口部 19 上端開口部 a 被処理原水 b 処理水 c 汚泥 d 加圧空気 e 排出空気 f 逆通水

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶体容器内に中空糸膜編織物の積層体を
    濾過膜として配設してなる中空糸膜濾過装置において、
    該積層体の上下両端に積層体を固定し中空糸膜の開口端
    を形成する固定部材が配設され、上部固定部材は缶体容
    器に固着され、下部固定部材は処理水出口に連通する集
    水セルに接合され、該集水セルは濾滓が通過する通路を
    缶体容器の内壁面との間に形成しつつ缶体容器に対して
    係着され、かつ下部固定部材の上面近傍の各積層体間
    に、被処理水供給ノズルおよび/または散気ノズルを配
    設したことを特徴とする中空糸膜濾過装置。
  2. 【請求項2】 積層体の外周に、積層体を包囲し缶体容
    器内を二重筒状に仕切る案内筒を付設したことを特徴と
    する請求項1記載の中空糸膜濾過装置。
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