JPH1146683A - 乳および乳製品の加熱変性防止法 - Google Patents

乳および乳製品の加熱変性防止法

Info

Publication number
JPH1146683A
JPH1146683A JP20607297A JP20607297A JPH1146683A JP H1146683 A JPH1146683 A JP H1146683A JP 20607297 A JP20607297 A JP 20607297A JP 20607297 A JP20607297 A JP 20607297A JP H1146683 A JPH1146683 A JP H1146683A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
erythritol
lactoglobulin
casein
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20607297A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Hattori
隆史 服部
Takakimi Honda
崇王 本田
Hifumi Oishi
一二三 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYODO NYUGYO KK
Original Assignee
KYODO NYUGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYODO NYUGYO KK filed Critical KYODO NYUGYO KK
Priority to JP20607297A priority Critical patent/JPH1146683A/ja
Publication of JPH1146683A publication Critical patent/JPH1146683A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、乳および乳製品の加熱変性を、そ
の食味性にほとんど影響を与えずに防止する方法に関す
るものである。 【構成】 乳および乳製品に糖アルコールを0.1〜1
0.0%添加し、乳蛋白質の遊離スルフヒドリルをブロ
ックして蛋白質の熱変性を防止するようにしたことを特
徴とする乳および乳製品の加熱変性防止法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳および乳製品の加熱
変性を、その食味性にほとんど影響を与えずに防止する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】牛乳やそれを原材料とする製品は本質的
に種々の内因性・外因性酵素や微生物の影響を受けやす
く、加熱処理がその品質安定性や保存性のために必須で
ある。しかし乳蛋白質は熱変性を生じやすく、70℃以
上の加熱で容易に変性し、溶解性や分散性またはコロイ
ドミセルの安定性などを喪失する。(DeWit,J.N.,Klaren
beek,G.,J.Dairy Res.,48,293-302,1981,Noh,B.,Richar
dson.T.,J,Dairy Sci.,72,1724・1731,1989.Ruegg,M.,Mo
or,U.,Blanc,B.,J.Dairy Res.,44,509・520・1977)このた
め乳および乳製品を商品化する際の加熱処理に伴う乳蛋
白質の熱変性による商品価値の低下を防止する必要性が
ある。その為、多方面で乳蛋白質の熱変性機構について
精力的に研究され、対応策が研究されている。
【0003】従来、経験的には、乳および乳製品に糖を
用いると乳蛋白質の熱変性がある程度防止されることが
知られていた。このような事実から、糖は、水構造形成
子としての共通の性質を有し、蛋白質構造の主要安定化
因子である水素結合、疎水的相互作用、静電的相互作用
には常に媒体である水が関与していることから、糖やそ
の類縁体は蛋白質の水和構造の摂動を通して変性を防止
していると主張している(選択的水和現象説)。しか
し、その場合には、多量の糖(約30%)を添加する必
要があり、食味に影響を与えるので、牛乳や乳製品への
利用が非常に限定してしまう欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者も、乳蛋白質
の熱変性機構について精力的に研究した結果、乳蛋白質
の加熱変性は主に牛乳のホエ−蛋白質であるβ・ラクト
グロブリンの遊離スルフヒドリル基(SH基)がカゼイ
ンミセル表面に存在しているκ・カゼインと分子間ジス
ルフィド結合(S・S結合)し、β・ラクトグロブリン
−κ・カゼイン複合体を形成することに起因することを
確認した。またホエ−蛋白質濃縮物(WPCやWPI)
ではβ・ラクトグロブリン同士の分子内と分子間及びκ
・カゼインと分子間ジスルフィド結合(S・S結合)形
成により変性し、それらの利用価値が激減するとの知見
を得た。従って、遊離スルフヒドリル基(SH基)をブ
ロックすれば、これらの加熱変性を防止できるはずであ
るとの発想を得た。しかし、牛乳、乳製品に使用可能な
食品添加物として認められている安全な遊離スルフヒド
リル基(SH基)をブロックする物質は未だ知られてい
ない。
【0005】そこで発明者らは、牛乳や乳製品の加熱変
性を防止するために種々の糖や糖アルコール(アルデヒ
ド基やカルボニル基が水酸基に還元された糖の総称)を
用いて検討し、牛乳・乳製品の食味性にほとんど変化を
来すことなくこれらの加熱変性を防止するには糖アルコ
ールの使用が最も優れていることを見出した。つまり、
牛乳や乳製品の加熱変性防止機構は、糖アルコールが乳
蛋白質の遊離スルフヒドリル基(SH基)をブロック
し、分子間および分子内S・S結合形成を阻害すること
を見出した。本願発明は、発明者が新しく見出した前記
糖アルコールの現象知見に基づき、乳および乳製品の加
熱変性を、その食味性にほとんど影響を与えずに防止す
る方法を開発したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする発
明は、乳および乳製品に糖アルコールを0.1〜10.
0%添加し、乳蛋白質の遊離スルフヒドリルをブロック
して蛋白質の熱変性を防止するようにしたことを特徴と
する乳および乳製品の加熱変性防止法である。
【0007】当該特許を受けようとする発明は、乳およ
び乳製品に糖アルコールを添加し、撹拌するだけで、乳
蛋白質の遊離スルフヒドリル基をブロックして蛋白質の
熱変性を防止するものである。ここで、糖アルコールと
は、アルデヒド基やカルボニル基が水酸基に還元された
糖の総称である。つまり、アルドースのアルデヒド基が
水酸基に還元したり、ケトースのカルボニル基を水酸基
に還元して得られるポリヒドロキシアルカンを言う。こ
のような遊離スルフヒドリル基のブロック物質としての
糖アルコール添加量は、乳および乳製品の0.1〜1
0.0%(重量比)の範囲であれば、蛋白質の熱変性を
防止することが出来るが、普通は、乳および乳製品の
1.0〜2.0%(重量比)が好ましい添加量であるこ
とが多い。
【0008】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。
【0009】実施例1 常法にて生乳から脱脂乳を得、25℃に冷却した後、こ
れに糖アルコールを0〜10%(重量比)加え、10分
間撹拌した。これを120℃で0〜900秒の範囲で加
熱し、直ちに5℃に冷却し、カゼインミセル粒子径にお
よぼすエリスリト−ルの影響を調べる実験に供した。具
体的には、非加熱のカゼインミセル粒子径に対する減少
度(%)を測定した。尚、カゼインミセル粒子径はLS
粒子分析機(LS130型偏光散乱強度差測定法、コ−
ルタ−社製)を用い、コ−ルタ−社設定測定マニュアル
に準じて行った。これらの結果を表1に示す。また、実
験では2.6%以上から10%までのエリスリト−ル濃
度でのカゼインミセルの挙動も測定したが、それは2.
6%とほとんど同一であった為、これを省略し、表1に
は0%〜2.6%エリスリト−ル濃度までの減少度
(%)の結果を示した。
【0010】表1 カゼインミセル粒子径におよぼすエ
リスリト−ルの影響 *:非加熱のカゼインミセル粒子径に対する減少度
(%)で表示した。
【0011】次に、加熱脱脂乳のβ−ラクトグロブリン
のレチノ−ル結合能に対するエリスリト−ルの影響を調
べた。その方法は、β−ラクトグロブリン(免疫グロブ
リンや血清アルブミンを除く)が最も熱に不安定であ
り、熱変性したβ−ラクトグロブリンはレチノ−ル結合
能を喪失することから、各サンプルのレチノイン酸(R
A)の親和性をレチノイン酸・セルロファインカムラに
て調べた。そしてβ−ラクトグロブリンのレチノ−ル結
合能を測定した。その測定法は、各濃度の糖アルコール
添加脱脂乳100mlを0.15M NaClを含む1
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH4.0)で平衡化した
3gのRA固定化セルロファイン(生化学工業社製)カ
ラムにアプライし、同じ緩衝液でカラムを洗滌した後、
0.15MNaClを含む50mMクェン酸緩衝液(p
H4.0)でβ−ラクトグロブリンを溶出した。このR
A−セルロファインに結合したβ−ラクトグロブリン量
を測定した。これらの結果は、表2において、非加熱脱
脂乳のβ−ラクトグロブリンのレチノ−ル結合能に対す
る減少度で示した。
【0012】表2 加熱脱脂乳のβ−ラクトグロブリン
のレチノ−ルの結合能に対するエリスリト−ルの影響 *: 非加熱脱脂乳のβ−ラクトグロブリンのレチノ−
ルの結合能に対する減少度で示した。
【0013】表2の結果から、エリスリト−ルを添加し
た脱脂乳を加熱すると、エリスリト−ル濃度0.65%
まではその濃度に依存してカゼインミセル粒子径の変動
やβ−ラクトグロブリンのサンプルのレチノイン酸(R
A)結合能の減少を抑制できる。それ以上の濃度ではそ
れらの変化は120℃、60秒の加熱まで認められなか
った。このらのことから,牛乳の殺菌温度は超高温短時
間殺菌法が120℃、2〜3秒であることを考慮する
と、牛乳蛋白質の加熱変性を抑制するエリスリト−ル濃
度は0.65〜1.3%の範囲であることが明らかにな
った。
【0014】実施例2 実施例2として、牛乳のレンネット凝固におよぼすエリ
スリト−ルの影響を調べた。70℃以上の加熱処理によ
り牛乳のレンネット凝固時間(RCT)が延長された
り、正常なカ−ド形成が阻害される。この現象には主に
2つの要因があるとされている。
【0015】第1の要因は、β−ラクトグロブリンとカ
ゼインミセル表面に存在しているk−カゼインとが分子
間S−S結合により複合体を形成し、レンネットが作用
しづらくなっているためである(Van Hooydonk, A.C.
M.,De Koster, P,G.,Boerrigter, J,J.,Neth, Milk &
Dairy J.,41,3-18,1982.Singh,H.J.,Fox,P,F.,J.DairyR
es.,54,509-521,1987.Singh,H.J.,Shalabi,S.I.,Fox,P.
F.,Flynn,A,.Barry,A,.J,Dairy Res,.55,205-215,1988.
Mercier,J.C.,Brignon,G.,Ribadeau Dumas,B.,Eur,J.Bi
ochem.,55,222-235,1973.) 。
【0016】第2の要因は、α−カゼインのリジン残基
のリン酸が遊離し、リン酸カルシウムを形成することに
よるpHの低下であり、これはpHをもとにもどすか、
またはカルシウム塩の添加により回復する(Singh,H.
J., Sahalabi,S.I.,Fox,P.F.,Flynn,A.,Barry,A.,J.Dai
ry Res.,55.205-215,1988.Marshall,R.G.,J,Dairy Re
s.,53,313-322,1986.Banks,J.M.,Stewart,G.,Muir,D.
D.,West,I.G., Milchwissenschaft,42,212-215,198
7.)。
【0017】従って、レンネット凝固時間は牛乳の加熱
変性の指標になっていることから、エリスリト−ル添加
牛乳についてもこれを検討した。つまり、牛乳のレンネ
ット凝固におよぼすエリスリト−ルの影響を次のように
して調べた。実施例1で用いた脱脂乳に0〜2.0%に
成るようにエリスリト−ルを添加し、95℃で0〜50
分間加熱した。各時間加熱処理したサンプルを直ちに氷
冷し、サンプル1mlに1MCaCl2 を10μl加
え、37C恒温にした。レンネット(20mg/ml・
0.01N HCl、ハンセン社製)を10μl加えて
反応を開始し、牛乳の凝固点を目視にて測定した。結果
を表3に示す。
【0018】表3 牛乳のレンネット凝固におよぼすエ
リスリト−ルの影響
【0019】表3からつぎのことが確認された。50分
間加熱処理した後の脱脂乳のレンネット凝固時間は無添
加で加熱前の1.97倍、エリスリト−ル添加区ではそ
れぞれ0.3%で1.31倍、1.0%で1.37倍、
2.0%では1.35倍に延びた。しかし、レンネット
凝固時間の遅延は、エリスリト−ル無添加に対して約3
0%抑制された。0.3〜2.0%までの範囲ではエリ
スリト−ル添加量とレンネット凝固時間に相関は認めら
れなかった。これは牛乳中に存在するβ−ラクトグロプ
リンとκ−カゼインの量はそれぞれ2.2×10-4Mと
1.3×10-4Mであり、0.3%濃度のエリスリト−
ルでは245.7×10-4Mに成ることから、この濃度
で既にβ−ラクトグロブリンの約100倍量のエリスリ
ト−ルが存在することに成っているからであると考えら
れる。β−ラクトグロブリンとκ−カゼインの反応はβ
−ラクトグロブリンの1個の遊離スルフヒドリル基がκ
−カゼインのN端から11番目か88番目のシステイン
残基と1:1で反応する(Dalglesh,D.G.,Milchwissens
chaft,45,491-494,1990.) 。従って、β−ラクトグロブ
リンとκ−カゼインのモル比は2:1であるので、約5
0%のβ−ラクトグロブリンがカゼインミセルのκ−カ
ゼイン(全κ−カゼインと反応すると仮定して)と複合
体を形成するので、0.3%濃度のエリスリト−ルは加
熱によるβ−ラクトグロブリンとκ−カゼインの反応を
約60%阻害し、牛乳の熱安定化に寄与していると考え
られる。
【0020】実施例3 次に、加熱脱脂乳の遊離スルフヒドリル基に対するエリ
スリト−ルの影響を調べた。常法にて生乳から脱脂乳を
得、25℃に冷却した後、その脱脂乳の0〜10%(重
量比)になるようにエリスリトールを加え、10分間撹
拌した。これを120℃で0〜120秒の範囲で加熱
し、直ちに5℃に冷却し、実験に供した。乳蛋白質の加
熱変性は主に牛乳のホエ−蛋白質であるβ−ラクトグロ
ブリンの遊離SH基がカゼインミセル表面に存在してい
るκ−カゼインと分子間共有結合やS−S結合し、β−
ラクトグロブリン・κ−カゼイン複合体を形成すること
に起因するとされている。従って、カゼインミセルの粒
子径が変動したり、β−ラクトグロブリンのレチノ−ル
結合能が減少することが知られていることから、脱脂乳
の遊離スルフヒドリル基量を加熱変性の指標として調べ
た。遊離スルフヒドリル基の定量は、各濃度のエリスリ
トール添加脱脂乳をリン酸緩衝溶液(PBS)にて10
0倍に希釈し、ロジゾン酸Naによる遊離スルフヒドリ
ル基の定量を行った。これらの結果を、表4において非
加熱脱脂乳の遊離スルフヒドリル基に対する減少度とし
て示す。
【0021】表4 加熱脱脂乳の遊離SH基に対するエ
リスリト−ルの影響 *: 非加熱脱脂乳の遊離SH基に対する減少度で示し
た。
【0022】前記表4から、エリスリト−ルは、加熱に
よる分子間S−S結合を阻害することによって、牛乳の
加熱変性を抑制していることを確認出来た。
【0023】実施例4 更に、実施例4では、クリ−ムに対するエリスリト−ル
の影響を調べた。牛乳脂肪はよく知られているように、
リン脂質、多糖体や蛋白質を含む乳腺分泌細胞由来の脂
肪球皮膜(Mulder,H.,W,P,:Commomwelth Agricultural
Bureau, 1974.)で被われて牛乳中に存在している。その
為、均質化や熱などの物理的力によってチャ−ニングに
よる脂肪球の破壊や脂肪球皮膜(FGM)自身または他
の乳成分との相互作用による変性等が生じやすく、ホイ
ップ性等のフレッシュクリ−ム本来の機能を有した状態
で加熱殺菌処理を行うには非常に繊細な温度管理と技術
を要求されていた。フレッシュクリ−ムの熱変性も既に
述べた脱脂乳の変性と基本的には同様なメカニズムであ
るとされている。即ち、FGM構成蛋白質は変性ホエ−
蛋白質(主にβ−ラクトグロブリン)と分子間S−S結
合で複合体を形成する(Houlihan,A.V.,Goddard,P,A.,N
ottingham,S,M.,Kitchen,B.J.,Masters,C,J,: J.Dairy
Res.,59,187-195,1992)。
【0024】また、脂肪球皮膜(FGM)構成蛋白質が
ホエ−蛋白質(主にβ−ラクトグロブリン)の変性を触
媒する(Dalgleish,D,G.,Banks,J.M.:Milchwissenshaf
t,46,75-78,1991)。いずれの変性メカニズムでも結果
的にはFGM構成蛋白質と変性ホエ−蛋白質の複合体形
成反応によるフレッシュクリ−ムの物性変化であるの
で、脱脂乳に適用した糖アルコールの遊離スルフヒドリ
ル基保護作用を利用してフレッシュクリ−ムの加熱変性
を防止できると考えられる。
【0025】常法にて生乳から分離したフレッシュクリ
−ム(乳脂肪含量45%である)にエリスリト−ルを0
〜5.0%(重量比)となるように加え、10Kg/c
2で均質化した後、110℃、15秒間間接加熱し
た。加熱処理直後に10℃以下に冷却し、5℃、16時
間エ−ジングし、脂肪の分離、ホイップ性、クリ−ムの
保型性/安定性の測定にて糖アルコールの変性防止効果
を判定した。これらの結果を表5.に要約して示した。
尚、ホイップはクリ−ム800gに砂糖を8%(重量
比)添加してホバ−トミキサ−で撹拌を行い、最後に手
作業で仕上げた。またエリスリト−ルの添加を2%以上
にした場合には、同一の性状を示したもので、表5.に
はエリスリト−ル2%添加の例を示した。
【0026】表5 クリ−ムに対するエリスリト−ルの
影響
【0027】クリ−ムを加熱殺菌後5℃で10日間保存
すると、表5に示したように、無添加の場合ではホイッ
プ後の組織に荒れが生じ、冷蔵庫での戻り試験でも強く
締まった。風味も新鮮味が低下し、脂肪の酸化臭が若干
感じられた。これらの諸性状は従来より製造されている
クリ−ムに共通して認められる現象である。これに対し
て、エリスリト−ルを添加すると、その添加濃度に相関
して保存期間中の性状が改善され、2%以上の添加量で
はほとんど保存による品質劣化を示さなくなった。ま
た、表5.にはエリスリト−ル無添加のクリ−ムがホイ
ップ試験に耐えられる状態ではなかったので、14日間
までの結果しか示していないが、30日間同一の条件下
で保存していた2%またはそれ以上のエリスリト−ル添
加クリ−ムの諸性状にほとんど変化が認められなかっ
た。
【0028】クリ−ムの前述のような品質劣化は通常2
週間を境とし、この後加速度的に進むとされている。こ
れらの諸要因がクリ−ムの品質保持期間を規定している
ことから、エリスリト−ル等の糖アルコールを添加する
ことにより、クリ−ムの製造法を変更することなく、品
質保持期間を更に延長することができ、長期保存下にて
も新鮮で高品質のクリ−ムを提供できることが可能にな
った。従来このような糖アルコールの性状や効果は知ら
れていなかった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 乳および乳製品の加熱変性防止法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、乳および乳製品の加
熱変性を、その食味性にほとんど影響を与えずに防止す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 牛乳やそれを原材料とする製品は本質
的に種々の内因性・外因性酵素や微生物の影響を受けや
すく、加熱処理がその品質安定性や保存性のために必須
である。しかし乳蛋白質は熱変性を生じやすく、70℃
以上の加熱で容易に変性し、溶解性や分散性またはコロ
イドミセルの安定性などを喪失する。(DeWit,
J.N.,Klarenbeek,G.,L.Dair
yRes.,48,293−302,1981.No
h.B.,Richardson,T.,J.Dair
y Sci.,72,1724−1731,1989.
Ruegg,M.,Moor,U.,Blanc,
B.,J.DairyRes.,44,509−52
0,1977) このため乳および乳製品を商品化する際の加熱処理に伴
う乳蛋白質の熱変性による商品価値の低下を防止する必
要性がある。その為、多方面で乳蛋白質の熱変性機構に
ついて精力的に研究され、対応策が研究されている。
【0003】 従来、経験的には、乳および乳製品に糖
を用いると乳蛋白質の熱変性がある程度防止されること
が知られていた。このような事実から、糖は、水構造形
成子としての共通の性質を有し、蛋白質構造の主要安定
化因子である水素結合、疎水的相互作用、静電的相互作
用には常に媒体である水が関与していることから、糖や
その類縁体は蛋白質の水和構造の摂動を通して変性を防
止していると主張している(選択的水和現象説)。しか
し、その場合には、多量の糖(約30%)を添加する必
要があり、食味に影響を与えるので、牛乳や乳製品への
利用が非常に限定してしまう欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者も、乳蛋白
質の熱変性機構について精力的に研究した結果、乳蛋白
質の加熱変性は主に牛乳のホエー蛋白質であるβ−ラク
トグロブリンの遊離スルフヒドリル基(SH基)がカゼ
インミセル表面に存在しているκ−カゼインと分子間ジ
スルフィド結合(S−S結合)し、β−ラクトグロブリ
ン−κ−カゼイン複合体を形成することに起因すること
を確認した。またホエー蛋白質濃縮物(WPCやWP
I)ではβ−ラクトグロブリン同士の分子内と分子間及
びκ−カゼインと分子間ジスルフィド結合(S−S結
合)形成により変性し、それらの利用価値が激減すると
の知見を得た。従って、遊離スルフヒドリル基(SH
基)をブロックすれば、これらの加熱変性を防止できる
はずであるとの発想を得た。しかし、牛乳、乳製品に使
用可能な食品添加物として認められている安全な遊離ス
ルフヒドリル基(SH基)をブロックする物質は未だ知
られていない。
【0005】 そこで発明者らは、牛乳や乳製品の加熱
変性を防止するために種々の糖や糖アルコール(アルデ
ヒド基やカルボニル基が水酸基に還元された糖の総称)
を用いて検討し、牛乳・乳製品の食味性にほとんど変化
を来すことなくこれらの加熱変性を防止するには糖アル
コールの使用が最も優れていることを見出した。つま
り、牛乳や乳製品の加熱変性防止機構は、糖アルコール
が乳蛋白質の遊離スルフヒドリル基(SH基)をブロッ
クし、分子間および分子内S−S結合形成を阻害するこ
とを見出した。本願発明は、発明者が新しく見出した前
記糖アルコールの現象知見に基づき、乳および乳製品の
加熱変性を、その食味性にほとんど影響を与えずに防止
する方法を開発したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 特許を受けようとする
発明は、乳および乳製品に糖アルコールを0.1〜1
0.0%添加し、乳蛋白質の遊離スルフヒドリルをブロ
ックして蛋白質の熱変性を防止するようにしたことを特
徴とする乳および乳製品の加熱変性防止法である。
【0007】 当該特許を受けようとする発明は、乳お
よび乳製品に糖アルコールを添加し、撹拌するだけで、
乳蛋白質の遊離スルフヒドリル基をブロックして蛋白質
の熱変性を防止するものである。ここで、糖アルコール
とは、アルデヒド基やカルボニル基が水酸基に還元され
た糖の総称である。つまり、アルドースのアルデヒド基
が水酸基に還元したり、ケトースのカルボニル基を水酸
基に還元して得られるポリヒドロキシアルカンを言う。
このような遊離スルフヒドリル基のブロック物質として
の糖アルコール添加量は、乳および乳製品の0.1〜1
0.0%(重量比)の範囲であれば、蛋白質の熱変性を
防止することが出来るが、普通は、乳および乳製品の
1.0〜2.0%(重量比)が好ましい添加量であるこ
とが多い。
【0008】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。
【0009】 実施例1 常法にて生乳から脱脂乳を得、25℃に冷却した後、こ
れに糖アルコールを0〜10%(重量比)加え、10分
間撹拌した。これを120℃で0〜900秒の範囲で加
熱し、直ちに5℃に冷却し、カゼインミセル粒子径にお
よぼすエリスリトールの影響を調べる実験に供した。具
体的には、非加熱のカゼインミセル粒子径に対する減少
度(%)を測定した。尚、カゼインミセル粒子径はLS
粒子分析機(LS130型偏光散乱強度差測定法、コー
ルター社製)を用い、コールター社設定測定マニュアル
に準じて行った。これらの結果を表1に示す。また、実
験では2.6%以上から10%までのエリスリトール濃
度でのカゼインミセルの挙動も測定したが、それは2.
6%とほとんど同一であった為、これを省略し、表1に
は0%〜2.6%エリスリトール濃度までの減少度
(%)の結果を示した。
【0010】
【0011】 次に、加熱脱脂乳のβ−ラクトグロブリ
ンのレチノール結合能に対するエリスリトールの影響を
調べた。その方法は、β−ラクトグロブリン(免疫グロ
ブリンや血清アルブミンを除く)が最も熱に不安定であ
り、熱変性したβ−ラクトグロブリンはレチノール結合
能を喪失することから、各サンプルのレチノイン酸(R
A)の親和性をレチノイン酸−セルロファインカラムに
て調べた。そしてβ−ラクトグロブリンのレチノール結
合能を測定した。その測定法は、各濃度の糖アルコール
添加脱脂乳100mlを0.15M NaClを含む1
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)で平衡化した
3gのRA固定化セルロファイン(生化学工業社製)カ
ラムにアプライし、同じ緩衝液でカラムを洗滌した後、
0.15M NaClを含む50mMクエン酸緩衝液
(pH4.0)でβ−ラクトグロブリンを溶出した。こ
のRA−セルロファインに結合したβ−ラクトグロブリ
ン量を測定した。これらの結果は、表2において、非加
熱脱脂乳のβ−ラクトグロブリンのレチノール結合能に
対する減少度(%)で示した。
【0012】
【0013】 表2の結果から、エリスリトールを添加
した脱脂乳を加熱すると、エリスリトール濃度0.65
%まではその濃度に依存してカゼインミセル粒子径の変
動やβ−ラクトグロブリンのサンプルのレチノイン酸
(RA)結合能の減少を抑制できる。それ以上の濃度で
はそれらの変化は120℃、60秒の加熱まで認められ
なかった。これらのことから、牛乳の殺菌温度は超高温
短時間殺菌法が120℃、2〜3秒であることを考慮す
ると、牛乳蛋白質の加熱変性を抑制するエリスリトール
濃度は0.65〜1.3%の範囲であることが明らかに
なった。
【0014】 実施例2 実施例2として、牛乳のレンネット凝固におよぼすエリ
スリトールの影響を調べた。70℃以上の加熱処理によ
り牛乳のレンネット凝固時間(RCT)が延長された
り、正常なカード形成が阻害される。この現象には主に
2つの要因があるとされている。
【0015】 第1の要因は、β−ラクトグロブリンと
カゼインミセル表面に存在しているκ−カゼインとが分
子間S−S結合により複合体を形成し、レンネットが作
用しづらくなっているためである(Van Hooyd
onk,A.C.M.,De Koster,P.
G.,Boerrigter,J.J.,Neth.M
ilk & Dairy J.,41,3−18,19
82.Singh,H.J.,Fox,P.F.,J.
Dairy Res.,54,509−521,198
7.Singh,H.J.,Shalabi,S.
I.,Fox,P.F.,Flynn,A.,Barr
y,A.,J.Dairy Res.,55,205−
215,1988.Mercier,J.C.,Bri
gnon,G.,Ribadeau Dumas,
B.,Eur.J.Biochem.,55,222−
235,1973.)。
【0016】 第2の要因は、α−カゼインのリジン残
基のリン酸が遊離し、リン酸カルシウムを形成すること
によるpHの低下であり、これはpHをもとにもどす
か、またはカルシウム塩の添加により回復する(Sin
gh,H.J.,Shalabi,S.I.,Fox,
P.F.,Flynn,A.,Barry,A.,J.
Dairy Res.,55,205−215,198
8.Marshall,R.G.,J.Dairy R
es.,53,313−322,1986.Bank
s,J.M.,Stewart,G.,Muir,D.
D.,West,I.G.,Milchwissens
chaft,42,212−215,1987.)。
【0017】 従って、レンネット凝固時間は牛乳の加
熱変性の指標になっていることから、エリスリトール添
加牛乳についてもこれを検討した。つまり、牛乳のレン
ネット凝固におよぼすエリスリトールの影響を次のよう
にして調べた。実施例1で用いた脱脂乳に0〜2.0%
に成るようにエリスリトールを添加し、95℃で0〜5
0分間加熱した。各時間加熱処理したサンプルを直ちに
氷冷し、サンプル1mlに1MCaClを10μl加
え、37℃恒温にした。レンネット(20mg/ml・
0.01N HCl、ハンセン社製)を10μl加えて
反応を開始し、牛乳の凝固点を目視にて測定した。結果
を表3に示す。
【0018】
【0019】 表3からつぎのことが確認された。50
分間加熱処理した後の脱脂乳のレンネット凝固時間は無
添加で加熱前の1.97倍、エリスリトール添加区では
それぞれ0.3%で1.31倍、1.0%で1.37
倍、2.0%では1.35倍に延びた。しかし、レンネ
ット凝固時間の遅延は、エリスリトール無添加に対して
約30%抑制された。0.3〜2.0%までの範囲では
エリスリトール添加量とレンネット凝固時間に相関は認
められなかった。これは牛乳中に存在するβ−ラクトグ
ロブリンとκ−カゼインの量はそれぞれ2.2×10
−4Mと1.3×10−4Mであり、0.3%濃度のエ
リスリトールでは245.7×10−4Mに成ることか
ら、この濃度で既にβ−ラクトグロブリンの約100倍
量のエリスリトールが存在することに成っているからで
あると考えられる。β−ラクトグロブリンとκ−カゼイ
ンの反応はβ−ラクトグロブリンの1個の遊離スルフヒ
ドリル基がκ−カゼインのN端から11番目か88番目
のシステイン残基と1:1で反応する(Dalgles
h,D.G.:Milchwissenschaft,
45,491−494,1990.)。従って、β−ラ
クトグロブリンとκ−カゼインのモル比は2:1である
ので、約50%のβ−ラクトグロブリンがカゼインミセ
ルのκ−カゼイン(全κ−カゼインと反応すると仮定し
て)と複合体を形成するので、0.3%濃度のエリスリ
トールは加熱によるβ−ラクトグロブリンとκ−カゼイ
ンの反応を約60%阻害し、牛乳の熱安定化に寄与して
いると考えられる。
【0020】 実施例3 次に、加熱脱脂乳の遊離スルフヒドリル基に対するエリ
スリトールの影響を調べた。常法にて生乳から脱脂乳を
得、25℃に冷却した後、その脱脂乳の0〜10%(重
量比)になるようにエリスリトールを加え、10分間撹
拌した。これを120℃で0〜120秒の範囲で加熱
し、直ちに5℃に冷却し、実験に供した。乳蛋白質の加
熱変性は主に牛乳のホエー蛋白質であるβ−ラクトグロ
ブリンの遊離SH基がカゼインミセル表面に存在してい
るκ−カゼインと分子間共有結合やS−S結合し、β−
ラクトグロブリン−κ−カゼイン複合体を形成すること
に起因するとされている。従って、カゼインミセルの粒
子径が変動したり、β−ラクトグロブリンのレチノール
結合能が減少することが知られていることから、脱脂乳
の遊離スルフヒドリル基量を加熱変性の指標として調べ
た。遊離スルフヒドリル基の定量は、各濃度のエリスリ
トール添加脱脂乳をリン酸緩衝溶液(PBS)にて10
0倍に希釈し、ロジゾン酸Naによる遊離スルフヒドリ
ル基の定量を行った。これらの結果を、表4において非
加熱脱脂乳の遊離スルフヒドリル基に対する減少度とし
て示す。
【0021】
【0022】 前記表4から、エリスリトールは、加熱
による分子間S−S結合を阻害することによって、牛乳
の加熱変性を抑制していることを確認出来た。
【0023】 実施例4 更に、実施例4では、クリームに対するエリスリトール
の影響を調べた。牛乳脂肪はよく知られているように、
リン脂質、多糖体や蛋白質を含む乳腺分泌細胞由来の脂
肪球皮膜(Mulder,H.,W,P.:Commo
nwealthAgricultural Burea
u,1974.)で被われて牛乳中に存在している。そ
の為、均質化や熱などの物理的力によってチャーニング
による脂肪球の破壊や脂肪球皮膜(FGM)自身または
他の乳成分との相互作用による変性等が生じやすく、ホ
イップ性等のフレッシュクリーム本来の機能を有した状
態で加熱殺菌処理を行うには非常に繊細な温度管理と技
術を要求されていた。フレッシュクリームの熱変性も既
に述べた脱脂乳の変性と基本的には同様なメカニズムで
あるとされている。即ち、FGM構成蛋白質は変性ホエ
ー蛋白質(主にβ−ラクトグロブリン)と分子間S−S
結合で複合体を形成する(Houlihan,A.
V.,Goddard,P.A.,Nottingha
m,S.M.,Kitchen,B.J.,Maste
rs,C.J.:J.Dairy Res.,59,1
87−195,1992)。
【0024】 また、脂肪球皮膜(FGM)構成蛋白質
がホエー蛋白質(主にβ−ラクトグロブリン)の変性を
触媒する(Dalgleish,D,G.,Bank
s,J.M.:Milchwissenshaft,4
6,75−78,1991)。いずれの変性メカニズム
でも結果的にはFGM構成蛋白質と変性ホエー蛋白質の
複合体形成反応によるフレッシュクリームの物性変化で
あるので、脱脂乳に適用した糖アルコールの遊離スルフ
ヒドリル基保護作用を利用してフレッシュクリームの加
熱変性を防止できると考えられる。
【0025】 常法にて生乳から分離したフレッシュク
リーム(乳脂肪含量45%である)にエリスリトールを
0〜5.0%(重量比)となるように加え、10Kg/
cmで均質化した後、110℃、15秒間間接加熱し
た。加熱処理直後に10℃以下に冷却し、5℃、16時
間エージングし、脂肪の分離、ホイップ性、クリームの
保型性/安定性の測定にて糖アルコールの変性防止効果
を判定した。これらの結果を表5.に要約して示した。
尚、ホイップはクリーム800gに砂糖を8%(重量
比)添加してホバートミキサーで撹拌を行い、最後に手
作業で仕上げた。またエリスリトールの添加を2%以上
にした場合には、同一の性状を示したもので、表5.に
はエリスリトール2%添加の例を示した。
【0026】 で算出した。 *3:評価は5段階法により示した。 *4:評価はホイップ直後の状態との比較をし5段階法
により示した。 *5:評価は5段階法により示した。
【0027】 クリームを加熱殺菌後5℃で14日間保
存すると、表5に示したように、無添加の場合ではホイ
ップ後の組織に荒れが生じ、冷蔵庫での戻り試験でも強
く締まった。風味も新鮮味が低下し、脂肪の酸化臭が若
干感じられた。これらの諸性状は従来より製造されてい
るクリームに共通して認められる現象である。これに対
して、エリスリトールを添加すると、その添加濃度に相
関して保存期間中の性状が改善され、2%以上の添加量
ではほとんど保存による品質劣化を示さなくなった。ま
た、表5.にはエリスリトール無添加のクリームがホイ
ップ試験に耐えられる状態ではなかったので、14日間
までの結果しか示していないが、30日間同一の条件下
で保存していた2%またはそれ以上のエリスリトール添
加クリームの諸性状にほとんど変化が認められなかっ
た。
【0028】 クリームの前述のような品質劣化は通常
2週間を境とし、この後加速度的に進むとされている。
これらの諸要因がクリームの品質保持期間を規定してい
ることから、エリスリトール等の糖アルコールを添加す
ることにより、クリームの製造法を変更することなく、
品質保持期間を更に延長することができ、長期保存下に
ても新鮮で高品質のクリームを提供できることが可能に
なった。従来このような糖アルコールの性状や効果は知
られていなかった。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年11月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】 牛乳やそれを原材料とする製品は本質
的に種々の内因性・外因性酵素や微生物の影響を受けや
すく、加熱処理がその品質安定性や保存性のために必須
である。しかし乳蛋白質は熱変性を生じやすく、70℃
以上の加熱で容易に変性し、溶解性や分散性またはコロ
イドミセルの安定性などを喪失する。(DeWit,
J.N.,Klarenbeek,G.,J.Dair
yRes.,48,293−302,1981.No
h,B.,Richardson,T.,J.Dair
y Sci,72,1724−1731,1989.R
uegg,M.,Moor,U.,Blanc,B.,
J.Dairy Res.,44,509−520,1
977) このため乳および乳製品を商品化する際の加熱処理に伴
う乳蛋白質の熱変性による商品価値の低下を防止する必
要性がある。その為、多方面で乳蛋白質の熱変性機構に
ついて精力的に研究され、対応策が研究されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳および乳製品に糖アルコールを0.1
    〜10.0%添加し、乳蛋白質の遊離スルフヒドリルを
    ブロックして蛋白質の熱変性を防止するようにしたこと
    を特徴とする乳および乳製品の加熱変性防止法。
JP20607297A 1997-07-31 1997-07-31 乳および乳製品の加熱変性防止法 Pending JPH1146683A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20607297A JPH1146683A (ja) 1997-07-31 1997-07-31 乳および乳製品の加熱変性防止法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20607297A JPH1146683A (ja) 1997-07-31 1997-07-31 乳および乳製品の加熱変性防止法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1146683A true JPH1146683A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16517373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20607297A Pending JPH1146683A (ja) 1997-07-31 1997-07-31 乳および乳製品の加熱変性防止法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1146683A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11123053A (ja) * 1997-10-21 1999-05-11 Mitsubishi Kagaku Foods Kk 乳蛋白含有粉末
JP2015059937A (ja) * 2013-09-18 2015-03-30 宜蘭食品工業股▲フン▼有限公司 乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法
JP2015109872A (ja) * 2009-01-27 2015-06-18 アルラ フーズ アンバ 長い貯蔵寿命の乳及び乳−関連製品類、及びそれらの製造方法及び乳加工プラント

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11123053A (ja) * 1997-10-21 1999-05-11 Mitsubishi Kagaku Foods Kk 乳蛋白含有粉末
JP2015109872A (ja) * 2009-01-27 2015-06-18 アルラ フーズ アンバ 長い貯蔵寿命の乳及び乳−関連製品類、及びそれらの製造方法及び乳加工プラント
JP2015059937A (ja) * 2013-09-18 2015-03-30 宜蘭食品工業股▲フン▼有限公司 乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dalgleish et al. pH-induced dissociation of bovine casein micelles. I. Analysis of liberated caseins
US6416797B1 (en) Process for making a wheyless cream cheese using transglutaminase
Sharma et al. Thermal properties of milk fat, xanthine oxidase, caseins and whey proteins in pulsed electric field-treated bovine whole milk
JP3790456B2 (ja) カゼインを含有しないクリームチーズ様製品の製造方法
KR101788313B1 (ko) 저장-안정성 농축 액상유 및 그의 제조 방법
RAYNAL et al. Effect of storage at 4 C on the physicochemical and renneting properties of milk: a comparison of caprine, ovine and bovine milks
EP2437614B1 (en) Calcium fortified processed cheese without emulsifying salts, and process for preparing same
KR940013338A (ko) 저 지방 치즈 제품 및 그의 제조 방법
Singh et al. Rennet coagulation of heated milk: influence of pH adjustment before or after heating
Bottomley et al. Whey proteins
JPH0279940A (ja) 食用可塑性組成物
BRPI0720681A2 (pt) Método para produzir queijo
Ipsen Opportunities for producing dairy products from camel milk: A comparison with bovine milk
Mejares et al. Thermal processing of buffalo milk–A review
Mohamed et al. Effect of heat treatments on camel milk proteins–A review
Morr Beneficial and adverse effects of water-protein interactions in selected dairy products
O'connor et al. The proteins and salts of some non-bovine milks
Williams The relationship between the composition of milk and the properties of bulk milk products
EP0427307B1 (en) Dairy products
Koschak et al. Protein stability of frozen milk as influenced by storage temperature and ultrafiltration
JPH1146683A (ja) 乳および乳製品の加熱変性防止法
Schafer et al. Characteristics of Mozzarella cheese made by direct acidification from ultra-high-temperature processed milk
Morrissey et al. Heat stability of forewarmed milks: influence of κ-casein, serum proteins and divalent cations
Mejares et al. Heat-induced changes in blends of skimmed buffalo and bovine milk
US20190327995A1 (en) Stabiliser-free cottage cheese, a thickened dairy liquid suitable for its production, and related methods