JPH1143322A - 分子ふるい炭素およびその製造方法 - Google Patents

分子ふるい炭素およびその製造方法

Info

Publication number
JPH1143322A
JPH1143322A JP10124080A JP12408098A JPH1143322A JP H1143322 A JPH1143322 A JP H1143322A JP 10124080 A JP10124080 A JP 10124080A JP 12408098 A JP12408098 A JP 12408098A JP H1143322 A JPH1143322 A JP H1143322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
molecular sieve
molecular
carbon
sieve carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10124080A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryuichi Hara
隆一 原
Kaneichiro Motoda
兼一郎 元田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP10124080A priority Critical patent/JPH1143322A/ja
Publication of JPH1143322A publication Critical patent/JPH1143322A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02CCAPTURE, STORAGE, SEQUESTRATION OR DISPOSAL OF GREENHOUSE GASES [GHG]
    • Y02C20/00Capture or disposal of greenhouse gases
    • Y02C20/20Capture or disposal of greenhouse gases of methane
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02CCAPTURE, STORAGE, SEQUESTRATION OR DISPOSAL OF GREENHOUSE GASES [GHG]
    • Y02C20/00Capture or disposal of greenhouse gases
    • Y02C20/40Capture or disposal of greenhouse gases of CO2

Landscapes

  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】特殊な原料や複雑な処理を必要とせずに単に焼
成するのみで製造することが出来る分子ふるい炭素であ
って、炭酸ガス以下の分子径のガスとメタンガス以上の
分子径のガスの効率的な分離のため、殆どの細孔が炭酸
ガスの分子径0.33nmとメタンガスの分子径0.38
nmとの間にある様な狭い細孔径分布を有する分子ふるい
炭素およびその製造方法を提供する。 【解決手段】(1)炭酸ガスの極限吸着容積とメタンガ
スの極限吸着容積の比が3以上であり、0℃大気圧下に
おける炭酸ガスの平衡吸着容積とメタンガスの平衡吸着
容積との比が4以上である分子ふるい炭素、(2)主鎖
の主成分が芳香族ポリエステルから成り且つ1〜50モ
ル%の脂肪族成分を含有する高分子化合物または主鎖の
主成分が芳香族環と硫黄とを含有し且つ硫黄の含有量が
2〜40重量%である高分子化合物を炭化する分子ふる
い炭素の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子ふるい炭素お
よびその製造方法に関するものであり、詳しくは、炭酸
ガスとメタンガスの分離に適切な細孔径と細孔径分布と
を有する分子ふるい炭素およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、分子径によって分離を行う分
子ふるい効果をもつ吸着剤としてはゼオライトと炭素と
が知られており、これらは、ガスの分離、精製に使用さ
れている。ところで、ゼオライト系分子ふるいは、耐熱
性および耐薬品性に劣り、かつ、水の様な極性分子に対
する選択吸着性が強いために極性物質の存在下では分子
ふるい効果を示さないという欠点を有している。これに
対し、分子ふるい炭素は、耐熱性および耐薬品性に優れ
ており、極性に拘らず分子ふるい効果を発揮し得る。
【0003】分子ふるい炭素は、通常の活性炭が1〜3
nmのミクロ孔を持つのに対し、0.3〜0.7nmという
小さく且つ狭い細孔径分布を有するのが特徴である。そ
のため、分子ふるい炭素の工業的製造においては、細孔
径の制御が最も重要である。そして、目的のガスに合わ
せてミクロ孔の大きさとその分布を制御することが困難
であるため、細孔径の制御方法としては、各種原料の複
合や添加剤によって目的の細孔径分布を得る方法が種々
試みられている。
【0004】ところで、排ガス、ランドフィルガス等の
様に、炭酸ガス及びそれ以下の分子径のガスとメタンガ
ス以上の分子径のガスとから成る混合ガスから、炭酸ガ
ス以下の分子径を有するガスを吸着除去することによ
り、メタンガス以上の分子径を有するガスの様に、回収
後の利用価値の高い有機ガスを効率よく分離するために
は、炭酸ガスの分子径0.33nmとメタンガスの分子径
0.38nmとの間の平均細孔径と狭い細孔径分布とを有
し、炭酸ガス及びそれ以下の分子径を有するガスと炭酸
ガスを超える分子径のガスとを効率よく分離し得る分子
ふるい炭素が必要である。しかしながら、斯かる分子ふ
るい炭素は、以下に説明する通り、従来の技術では殆ど
達成されていない。なお、ここで、分子径とは、分子の
最小の径を示す。
【0005】特開平5−319813号公報には、フェ
ノール樹脂またはその原料にピッチ等の改質剤を添加し
て不活性雰囲気下で炭化することにより、分子プローブ
法による平均細孔径が約0.4nmであり且つシャープな
細孔径分布を有する分子ふるい炭素の製造方法が開示さ
れている。しかしながら、斯かる分子ふるい炭素は、分
子径0.33nmの炭酸ガスと分子径0.38nmのメタン
とを分子ふるい効果によって分離するには適さない。こ
こで、分子プローブ法とは、分子径の異なる複数のガス
の吸着等温線にDubinin-Astakhov式を適用して各々のガ
スの極限吸着容積を求め、この極限吸着容積がその分子
径以上の容積に対応するとして細孔径分布を求める測定
法である。
【0006】特公平3−72006号公報および特公平
4−13288号公報には、ポリビニルアルコール系樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの合成樹脂複合
体を原料とし、500〜700℃で炭化・賦活する、分
子ふるい炭素の製造方法が開示されている。しかしなが
ら、斯かる分子ふるい炭素は、その細孔径分布が1nm以
下に極大値を有するのものの、細孔直径が20nmに及ぶ
広い分布を有するため、吸着速度を利用した分離には利
用可能であるが、分子径による分離には適していない。
【0007】特開平3−40912号公報には、炭素質
メソフェーズを500〜1100℃で炭化・賦活する、
分子ふるい炭素の製造方法が開示されているが、斯かる
分子ふるい炭素についても上記と同様である。
【0008】特開平7−81915号公報および特開平
6−144818号公報には、ピッチを紡糸、不融化、
焼成、賦活処理する、紛状または繊維状分子ふるい炭素
の製造方法が開示されている。しかしながら、斯かる分
子ふるい炭素は、細孔径の分布が0.28nm以上で0.
43nm未満の範囲にあるものの、十分に狭い範囲でない
ため、炭酸ガスの分子径以下のガスとメタンの分子径以
上のガスの分離には適していない。
【0009】特開昭59−230638号公報には、原
料非粘結炭に水溶性有機物質を含浸させることを特徴と
した、細孔径が0.4〜0.5nmである分子ふるい炭素
の製造方法が開示されている。しかしながら、斯かる分
子ふるい炭素は、平均細孔径が大き過ぎるため、炭酸ガ
ス以下の分子径のガスとメタンガス以上の分子径のガス
との分離には適していない。
【0010】特開昭63−139009号公報には、原
料として塩化ビニリデン系共重合体を使用した、細孔径
が約0.5nmであり且つ狭い細孔径分布を有する分子ふ
るい炭素が開示されている。しかしながら、斯かる分子
ふるい炭素は、平均細孔径が大き過ぎるため、炭酸ガス
以下の分子径のガスとメタンガス以上の分子径のガスと
の分離には適していない。
【0011】特開平1−221518号公報には、高分
子重合体、好ましくはポリアクリロニトリル系重合体を
中空繊維に紡糸し、耐熱構造とするための架橋、酸化処
理の後に焼成・賦活を行い、更に900〜1200℃で
焼成する、中空炭素膜繊維状の分子ふるい炭素の製造方
法が開示されている。しかしながら、斯かる分子ふるい
炭素は、メタノールを吸着する細孔径を有しているた
め、メタン及び炭酸ガスも容易に吸着すると推定され、
従って、両ガスの分離には不適当である。
【0012】特開昭50−161485号公報には、ポ
リビンリデンクロライドと塩化ビニルの共重合体である
サランの廃棄物を加熱乾留し、更にコールタールピッチ
等の焼結剤とアビセル等の有機物質の造粒剤を配合した
後に400〜900℃で焼成する、分子ふるい炭素の製
造方法が開示されている。そして、本製造方法の場合、
炭酸ガスは吸着するがメタンは吸着しない分子ふるい炭
素を得ることが可能とされているが、特殊な原料と複雑
な処理が必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、特殊な原料や複
雑な処理を必要とせずに単に焼成するのみで製造するこ
とが出来る分子ふるい炭素であって、炭酸ガス以下の分
子径のガスとメタンガス以上の分子径のガスの効率的な
分離のため、殆どの細孔が炭酸ガスの分子径0.33nm
とメタンガスの分子径0.38nmとの間にある様な狭い
細孔径分布を有する分子ふるい炭素およびその製造方法
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を行った結果、分子ふるい炭素の前駆体として特定の高
分子化合物を使用することにより、上記の目的を容易に
達成し得るとの知見を得た。
【0015】本発明は、上記の知見に基づき達成された
ものであり、その第1の要旨は、炭酸ガスの極限吸着容
積とメタンガスの極限吸着容積の比が3以上であり、0
℃大気圧下における炭酸ガスの平衡吸着容積とメタンガ
スの平衡吸着容積との比が4以上であることを特徴とす
る分子ふるい炭素に存し、第2の要旨は、主鎖の主成分
が芳香族ポリエステルから成り且つ1〜50モル%の脂
肪族成分を含有する高分子化合物を炭化することを特徴
とする分子ふるい炭素の製造方法に存し、第3の要旨
は、主鎖の主成分が芳香族環と硫黄とを含有し且つ硫黄
の含有量が2〜40重量%である高分子化合物を炭化す
ることを特徴とする分子ふるい炭素の製造方法に存す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明に係る分子ふるい炭素について説明する。
本発明に係る分子ふるい炭素は、従来の分子ふるい炭素
が備えていない新規な細孔分布特性を有する。すなわ
ち、本発明に係る分子ふるい炭素は、炭酸ガスとメタン
ガスの分離に適切な細孔径と細孔径分布のため、炭酸ガ
スの極限吸着容積(Woc:ml/g)とメタンガスの極限
吸着容積(Wom:ml/g)の比(Woc/Wom)が3以上で
あり、0℃大気圧下における炭酸ガスの平衡吸着容積
(Wac:ml/g)とメタンガスの平衡吸着容積(Wam:m
l/g)との比(Wac/Wam)が4以上である細孔分布特
性によって特徴付けられる。
【0017】ところで、分子ふるい炭素の性能評価は、
等温吸着曲線を測定することによって行うことが出来
る。混合ガスから吸着によって分離を要求される成分ガ
スが、炭酸ガス以下の分子径、すなわち、0.33nm以
下の分子径を有する炭酸ガス、酸素、窒素、ヘリウム等
の場合は、最も分子径の大きい炭酸ガスの吸着容量を測
定すれば足りる。混合ガスから吸着させずに分離を要求
されるガス成分が、メタン以上の分子径、すなわち0.
38nm以上の分子径を有するメタン、エタン、エチレ
ン、プロパン等の有機ガスの場合は、最も分子径の小さ
いメタンガスの吸着容量を測定すれば足りる。そして、
求められた炭酸ガスの吸着容量とメタンの吸着容量の比
は、混合ガス中の炭酸ガス以下の分子径のガスを吸着
し、メタン以上の分子径のガスを吸着しない分離性能を
表す。
【0018】本発明に係る分子ふるい炭素の細孔分布特
性は、例えば、次の要領で求めることが出来る。すなわ
ち、先ず、吸着容量測定装置(例えばコールター社製
「オムニソープ100CX」)を使用し、定容法によ
り、0℃における炭酸ガス及びメタンの吸着容量を測定
する。すなわち、試料を充填したサンプルセルに真空か
ら段階的にガスを導入し、各段階で吸着が平衡に達した
ときの圧力(P)と、吸着容量を液体体積に換算した平
衡吸着容積(W)との関係を測定する。測定の最後にガ
スの圧力が大気圧に達した際、0℃大気圧下における炭
酸ガス及びメタンガスの各平衡吸着容積(Wac:ml/
g)及び(Wam:ml/g)を測定する。
【0019】次いで、上記の様にして得られた結果に対
し、1nm以下のミクロ孔解析に適していると言われてい
る次のDubinin-Astakov式を適用し、外挿法により、0
℃において上記の各ガスが飽和蒸気圧に達した際に当該
ガスを吸着し得る容積、すなわち、当該ガスを吸着し得
る全細孔容積である各極限吸着容積(Woc:ml/g)及
び(Wom:ml/g)を求める。
【0020】
【数1】W=Wo exp(-(RTln(Po/P)/E)n)
【0021】上記の式において、Rは気体定数、Tは温
度、Poは所定温度における飽和蒸気圧、Eは吸着の特
性エネルギー、nは吸着の型によって決まる定数であ
り、炭酸ガス及びメタンの場合は2である。
【0022】例えば、Woc/Wom=15は、炭酸ガスの分
子径0.33nm以上の径の細孔容積がメタンガスの分子
径0.38nm以上の径の細孔容積の15倍であることを
示し、殆どの細孔が0.33〜0.38nmの範囲にある
という極めて狭い細孔径分布であることを意味してい
る。また、Wac/Wam=23は、大気圧0℃において炭酸
ガスが吸着し得る細孔容積が大気圧0℃においてメタン
ガスの吸着し得る細孔容積の23倍であることを意味し
ている。
【0023】本発明に係る分子ふるい炭素のWoc/Wom
は、好ましくは3以上、更に好ましくは6以上であり、
Wac/Wamは、好ましくは4以上、更に好ましくは8以上
である。
【0024】次に、本発明に係る分子ふるい炭素の製造
方法について説明する。本発明に係る製造方法において
は、原料物質として、(1)主鎖の主成分が芳香族ポリ
エステルから成り且つ1〜50モル%の脂肪族成分を含
有する高分子化合物、または、(2)主鎖の主成分が芳
香族環と硫黄とを含有し且つ硫黄の含有量が2〜40重
量%である高分子化合物を使用する。斯かる特定の原料
の使用により、単に焼成(炭化)するのみの工業的に有
利な方法で新規な細孔分布特性を有する前記の分子ふる
い炭素を得ることが出来る。
【0025】芳香族ポリエステルそれ自体は、ベンゼン
又はビフェニルがエステル結合でつながり分子中に脂肪
族炭化水素基を含まない。すなわち、例えば、p−オキ
シ安息香酸の単独重合体(カーボランダム社の「エコノ
ール」)、p−オキシ安息香酸−芳香族ジカルボン酸−
芳香族ジオールの共重合体(カーボランダム社の「エク
セル」)等である。本発明で原料物質として使用する高
分子化合物は、上記の様な芳香族ポリエステルとは異な
り、分子中に1〜50モル%の脂肪族成分を含有する。
脂肪族成分は、通常、共重合ジオール成分として導入さ
れ、斯かるジオール成分としては、エチレングリコー
ル、、ジエチレングリコール、プロピリングリコール、
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が使用され
る。
【0026】上記の様な芳香族ポリエステルの容易に入
手し得る市販品としては、例えば、エチレングリコー
ル:テレフタル酸:p-ヒドロキシ安息香酸=17:1
7:83から成り、芳香族ポリエステルを主体としてエ
チレン鎖を14.5モル%含む高分子化合物(三菱化学
製LCP-E335)、エチレングリコール:テレフタル
酸:p-ヒドロキシ安息香酸=19:19:81から成
り、芳香族ポリエステルを主体としてエチレン鎖を16
モル%含む高分子化合物(三菱化学製LCP-E325)等
が挙げられる。
【0027】芳香族系のモノマーを主成分とするポリエ
ステルが分子ふるい炭素用の原料物質として優れている
理由は明らかではないが、次の様に推定される。すなわ
ち、主鎖を構成するモノマーの間のエステル結合が熱分
解によって分離して炭酸ガスとしてガス化すると同時
に、生成した小さな芳香族ラジカルがランダムに縮合
し、通常の炭素質よりも微少な構造単位から成る非晶質
炭素が形成されるため、平均細孔径が炭酸ガスの分子径
に見合う程度に小さく且つ細孔径分布の狭い構造となる
ものと推定される。
【0028】また、非芳香族成分であるエチレングリコ
ール由来の部分が如何なる機構で寄与しているかは不明
であるが、何れにしても、本発明に係る製造方法におい
ては、原料の高分子化合物中に非芳香族成分が1〜50
モル%、好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは1
0〜30モル%、特に好ましくは10〜20モル%含ま
れていることが重要である。
【0029】主鎖の主成分が芳香族環と硫黄とを含有す
る高分子化合物としては、例えば、ベンゼン、ビフェニ
ル等の芳香族環がスルホニル基、チオ基などで連結され
ている化合物が挙げられる。容易に入手い得る市販品と
しては、例えば、スルホニル基を含有するジフェニルス
ルホンとビスフェノールAとの共重合体であるポリスル
ホン(アモコ社の「ユーデル」)、スルホニル基を含有
するジフェニルスルホンの重合体であるポリエーテルス
ルホン(住友化学社の「スミカエクセル」)、チオ基を
含有するp−フェニレンスルフィドの重合体であるポリ
フェニレンスルフィド(東レ社の「トレリナ」)等が挙
げられる。これらの高分子化合物には主鎖に2〜40重
量%の硫黄が含有されている。なお、斯かる主鎖にはエ
ーテル結合や脂肪族炭素が含有されていてもよい。
【0030】主鎖に硫黄を含有する高分子化合物が分子
ふるい炭素用の原料物質として優れている理由は明らか
ではないが、次の様に推定される。すなわち、主鎖が熱
分解によって硫黄を含有する芳香族ラジカルに分解する
と同時に、硫黄架橋を含有する通常の炭素質よりも微少
な構造単位から成る非晶質炭素が形成され、更に、熱処
理しても大きな炭素網面に成長するのが妨げられる結
果、形成された炭素の平均細孔径が炭酸ガスの分子径に
見合う程度に小さく且つ細孔径分布の狭い構造となるも
のと推定される.
【0031】本発明に係る製造方法において、原料の焼
成(炭化)に使用する装置としては、不活性雰囲気中、
原料の高分子化合物から発生したガスを除去しつつ焼成
できる装置であれば、如何なる装置であってもよい。例
えば、原料ペレットを石英ガラス製ボートに充填し、シ
リコニット炉を使用し、Arを流通させた雰囲気下、1
000℃まで昇温して60分保持するのみで前述の分子
ふるい炭素の製造が可能である。
【0032】上記の焼成において、昇温速度は特に制限
されないが、余りにも昇温速度が大きすぎる場合は、分
解ガスが発生する際に細孔径が大きくなるため、炭酸ガ
スとメタンガスとの分離能に優れたシャープな細孔径分
布の分子ふるい炭素を得ることが困難となる。従って、
昇温速度は、好ましくは10℃/min以下、更に好まし
くは1〜5℃/minとされる。また、焼成温度は、炭化
を達成し得る限り特に制限されないが、焼成温度が余り
にも低すぎる場合は、分子ふるい炭素の細孔径分布が広
くなり、炭酸ガスとメタンの分離能が低下する。従っ
て、焼成温度は、好ましくは800℃以上、更に好まし
くは900℃以上とされる。
【0033】以上説明した本発明に係る分子ふるい炭素
は、排ガス、ランドフィルガス等の炭酸ガス及び有機ガ
スから成る混合ガスから、炭酸ガス及びそれ以下の分子
径を有するガスと、炭酸ガスを超える分子径の有機ガス
とを分離するのに有用であり、温暖化の原因となる炭酸
ガスの回収と有効活用可能な有機ガスの回収のために今
後大きな展開が期待できる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、分子ふるい炭素
の吸着容量の測定は、前述の方法によって行った。すな
わち、試料を充填したサンプルセルに真空から段階的に
ガスを導入し、各段階で吸着が平衡に達した際の圧力p
と吸着ガスを液体に換算した平衡吸着容積(W)との関
係を測定し、圧力が大気圧での平衡吸着容積(Wa)と、
Dubinin-Astakov式における極限吸着容積(Wo)を求め
た。
【0035】実施例1 原料として、エチレングリコール:テレフタル酸:p−
ヒドロキシ安息香酸=17:17:83から成り、芳香
族ポリエステルを主体とし、エチレン鎖を14.5モル
%含む高分子化合物(三菱化学製LCP-E335)のペレ
ットを使用した。石英ガラス製ボートに上記の原料を充
填し、シリコニット炉を使用し、Ar雰囲気下、2℃/
minの昇温速度で1000℃まで昇温した後、60分間
保持して炭化し、分子ふるい炭素を得た。吸着容積の測
定結果を表1に示した。本実施例で得られた分子ふるい
炭素は、Woc/Wom=15、Wac/Wam=23の特性を有
し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性能が極めて良好で
あった。
【0036】実施例2 原料として、エチレングリコール:テレフタル酸:p−
ヒドロキシ安息香酸=19:19:81から成り、芳香
族ポリエステルを主体とし、エチレン鎖を16モル%含
む高分子化合物(三菱化学製LCP-E322)のペレット
を使用し、実施例1と同様な方法で1200℃まで昇温
して炭化した。吸着容積の測定結果を表1に示した。本
実施例で得られた分子ふるい炭素は、Woc/Wom=3.
2、Wac/Wam=4.9の特性を有し、炭酸ガスとメタン
ガスとの分離性能がやや良好であった。
【0037】比較例1 原料として、実施例1と同じ高分子化合物(三菱化学製
LCP-E335)のペレットを使用し、実施例1と同様な
方法で650℃まで昇温して炭化した。吸着容積の測定
結果を表1に示した。本比較例で得られた分子ふるい炭
素は、Woc/Wom=1.3、W1c/W1m=1.9の特性を
有し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性能が劣ってい
た。
【0038】比較例2 原料として、P,P−ビフェニール:メチルハイドロキ
ノン:テレフタル酸:2-6ナフタレンジカルボン酸:
フェニル-p-ヒドロキシ安息香酸=24:6:20:1
0:70から成り、エチレン鎖を含まない高分子化合物
(三菱化学製LCP-E345)のペレットを使用し、実施
例1と同様な方法で1000℃まで昇温して炭化した。
吸着容積の測定結果を表1に示した。本比較例で得られ
た分子ふるい炭素は、Woc/Wom=1.1、Wac/Wam=
1.4の特性を有し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性
能が劣っていた。
【0039】
【表1】
【0040】実施例3 原料として、スルホニル基を含有するジフェニルスルホ
ンとビスフェノールAとの共重合体であるポリスルホン
(アモコ社の「ユーデル」)のペレットを使用し、実施
例1と同様な方法で1100℃まで昇温して炭化した。
本原料は7.2重量%の硫黄を含有していた。吸着容積
の測定結果を表2に示す。本実施例で得られた分子ふる
い炭素は、Woc/Wom=3.8、Wac/Wam=6.2の特性
を有し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性能が良好であ
った。
【0041】実施例4 原料として、スルホニル基を含有するジフェニルスルホ
ンの重合体であるポリエーテルスルホン(住友化学社の
「スミカエクセル」)のペレットを使用し、実施例1と
同様な方法で1100℃まで昇温して炭化した。本原料
は13.8重量%の硫黄を含有していた。吸着容積の測
定結果を表2に示す。本実施例で得られた分子ふるい炭
素は、Woc/Wom=5.7、Wac/Wam=7.9の特性を有
し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性能が良好であっ
た。
【0042】実施例5 原料として、チオ基を含有するp−フェニレンスルフィ
ドの重合体であるポリフェニレンスルフィド(東レ社の
「トレリナ」)ペレットを使用し、実施例1と同様な方
法で9℃/minの昇温速度で900℃まで昇温して炭
化した。本原料は29.7重量%の硫黄を含有してい
た。吸着容積の測定結果を表2に示す。本実施例で得ら
れた分子ふるい炭素は、Woc/Wom=5.2、Wac/Wam=
7.1の特性を有し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性
能が良好であった。
【0043】比較例3 原料として、実施例3と同一のペレットを使用し、実施
例1と同様な方法で650℃まで昇温して炭化した。吸
着容積の測定結果を表2に示す。本実施例で得られた分
子ふるい炭素は、Woc/Wom=1.0、Wac/Wam=1.5
の特性を有し、炭酸ガスとメタンガスとの分離性能が劣
っていた。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、複雑な処
理をすることなしに不活性雰囲気下で焼成(炭化)処理
する容易な方法により、炭酸ガス以下の分子径のガスを
選択的に吸着し、メタン以上の分子径を有する有機ガス
を吸着しない様な、極めて狭い細孔径分布を有する分子
ふるい炭素を製造することが出来る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスの極限吸着容積とメタンガスの
    極限吸着容積の比が3以上であり、0℃大気圧下におけ
    る炭酸ガスの平衡吸着容積とメタンガスの平衡吸着容積
    との比が4以上であることを特徴とする分子ふるい炭
    素。
  2. 【請求項2】 主鎖の主成分が芳香族ポリエステルから
    成り且つ1〜50モル%の脂肪族成分を含有する高分子
    化合物を炭化することを特徴とする分子ふるい炭素の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 主鎖の主成分が芳香族環と硫黄とを含有
    し且つ硫黄の含有量が2〜40重量%である高分子化合
    物を炭化することを特徴とする分子ふるい炭素の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 芳香族環と硫黄とを含有する高分子化合
    物がスルホニル基またはチオ基を含有する化合物である
    請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 不活性雰囲気下に10℃/min以下の昇
    温速度で800℃以上の温度まで焼成することにより炭
    化を行う請求項2〜4の何れかに記載の製造方法。
JP10124080A 1997-05-28 1998-04-17 分子ふるい炭素およびその製造方法 Pending JPH1143322A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10124080A JPH1143322A (ja) 1997-05-28 1998-04-17 分子ふるい炭素およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-154587 1997-05-28
JP15458797 1997-05-28
JP10124080A JPH1143322A (ja) 1997-05-28 1998-04-17 分子ふるい炭素およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1143322A true JPH1143322A (ja) 1999-02-16

Family

ID=26460832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10124080A Pending JPH1143322A (ja) 1997-05-28 1998-04-17 分子ふるい炭素およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1143322A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100369979B1 (ko) * 2000-09-28 2003-02-11 유종성 액상의 탄소전구체를 이용한 균일 크기의 규칙성을 가진다공성 탄소 분자체의 제조방법
JP2007091511A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd 炭素材と、これを用いた二次電池用負極材及び非水電解質二次電池
WO2014148503A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 大阪瓦斯株式会社 ガス精製方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100369979B1 (ko) * 2000-09-28 2003-02-11 유종성 액상의 탄소전구체를 이용한 균일 크기의 규칙성을 가진다공성 탄소 분자체의 제조방법
JP2007091511A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd 炭素材と、これを用いた二次電池用負極材及び非水電解質二次電池
WO2014148503A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 大阪瓦斯株式会社 ガス精製方法
JP2014205138A (ja) * 2013-03-19 2014-10-30 大阪瓦斯株式会社 ガス精製方法
CN105188884A (zh) * 2013-03-19 2015-12-23 大阪瓦斯株式会社 气体精制方法
US9732297B2 (en) 2013-03-19 2017-08-15 Osaka Gas Co., Ltd. Gas purification method
AU2014239386B2 (en) * 2013-03-19 2018-10-04 Osaka Gas Co., Ltd. Gas purification method
AU2018232927B2 (en) * 2013-03-19 2019-12-19 Osaka Gas Co., Ltd. Gas purification method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ismail et al. A review on the latest development of carbon membranes for gas separation
Saufi et al. Fabrication of carbon membranes for gas separation––a review
Centeno et al. Effects of phenolic resin pyrolysis conditions on carbon membrane performance for gas separation
US5431864A (en) Method of making composite porous carbonaceous membranes
CA1223860A (en) Carbon molecular sieves and a process for their preparation and use
Rodrigues et al. Preparation and characterization of carbon molecular sieve membranes based on resorcinol–formaldehyde resin
Torres et al. Review on the preparation of carbon membranes derived from phenolic resins for gas separation: from petrochemical precursors to bioresources
JP2018537262A (ja) 活性炭から調製されて、プロピレン−プロパン分離に有用なカーボンモレキュラーシーブ吸着剤
JP2013505822A (ja) ポリベンゾオキサゾール膜の選択性を向上させる方法
EP0575945B1 (en) Methods for making composite porous carbonaceous membranes
Luo et al. Hierarchically microporous membranes for highly energy-efficient gas separations
WO2020165048A1 (en) Shaped cellulose article comprising activated carbon, in particular as support for co2 adsorbents
Wu et al. Fabrication and gas permeation of CMS/C composite membranes based on polyimide and phenolic resin
JPH1143322A (ja) 分子ふるい炭素およびその製造方法
Chuah et al. Polyimide-derived carbon molecular sieve membranes for advanced gas separation: from membrane development to pilot-scale operations
Ismail et al. Future direction of R&D in carbon membranes for gas separation
JPH10330173A (ja) 分子ふるい炭素の製造方法
JPS6248535B2 (ja)
Yang et al. Influence of oxidation conditions on polyacrylonitrile-based, activated hollow carbon fibers
Salleh et al. 1.13 Preparation of Carbon Membranes for Gas Separation
WO2022043789A1 (en) Ethylene separations using small pore zeolite ssz-45
Zainal et al. Controlled Carbonization Heating Rate for Enhancing CO2 Separation Based on Single Gas Studies
Seong-Joong et al. A Review on Polymer Precursors of Carbon Molecular Sieve Membranes for Olefin/Paraffin Separation
Kita Gas and vapor separation membranes based on carbon membranes
KR100407806B1 (ko) 활성탄소섬유계 황산화물 제거용 촉매 및 그의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050414

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050804