JPH11355028A - フェーズドアレーアンテナ装置 - Google Patents

フェーズドアレーアンテナ装置

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JPH11355028A
JPH11355028A JP16040498A JP16040498A JPH11355028A JP H11355028 A JPH11355028 A JP H11355028A JP 16040498 A JP16040498 A JP 16040498A JP 16040498 A JP16040498 A JP 16040498A JP H11355028 A JPH11355028 A JP H11355028A
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phase
phase shift
layer
coupling
shielding plate
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JP16040498A
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Shoko Chin
曙光 陳
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NEC Corp
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NEC Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q3/00Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system
    • H01Q3/26Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system varying the relative phase or relative amplitude of energisation between two or more active radiating elements; varying the distribution of energy across a radiating aperture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
    • H01P1/18Phase-shifters
    • H01P1/185Phase-shifters using a diode or a gas filled discharge tube
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q23/00Antennas with active circuits or circuit elements integrated within them or attached to them

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型のフェーズドアレーアンテナ装置で、放
射ビームの走査範囲を狭めることなく、走査の1ステッ
プを小さくする。 【解決手段】 各放射素子1が形成された放射素子層4
1と、各移相器が形成された位相制御層とからなる多層
構造を有し、各移相器はそれぞれ少なくとも1個の移相
回路2a,2bを含み、位相制御層は少なくとも1個の
移相回路2a,2bがそれぞれ形成された複数の層4
5,49からなる多層構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移相器によって信
号を制御してから放射素子に供給するフェーズドアレー
アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フェーズドアレーアンテナは、複数の放
射素子に供給する信号の位相を電子的に変えることによ
って、放射ビームを走査するアンテナである。放射ビー
ムとは、アンテナから所望の方向に放射される電磁波の
ことをいう。フェーズドアレーアンテナは、地上に固定
あるいは移動体に搭載して、衛星通信及び衛星放送受信
に利用される。各放射素子を励振させるための信号は給
電部から供給され、分配器によって各放射素子に連なる
複数の移相器に分配され、各移相器を経由して各放射素
子に供給される。各移相器を制御することによって、各
放射素子の励振位相が変わる。各放射素子は励振位相に
応じた位相の放射をする。したがって、各放射素子によ
る放射が等位相面を生成するように各移相器を制御する
ことによって、この等位相面と垂直な方向に放射ビーム
を形成することができる。
【0003】従来、この種のフェーズドアレーアンテナ
には、移相器としてフェライト移相器が広く用いられて
いた。このフェライト移相器は、フェライトの磁化の方
向や大きさを制御して、所要の移相量を得るものであ
る。フェライト移相器では、移相量180゜,90゜,
45゜・・・の単位移相器を縦続接続することによっ
て、ディジタル移相器を構成することができる。すなわ
ち、各単位移相器の励磁の組合わせによって、最小単位
移相量ステップで移相量を多段的に変化させることがで
きる。したがって、このフェライト移相器を使用するこ
とによって、フェーズドアレーアンテナの走査の1ステ
ップを小さくすることができる。しかし、フェライト移
相器は寸法が大きい。このため、フェライト移相器を使
用すると装置が大型化するという欠点があった。
【0004】ところが、近年、フェーズドアレーアンテ
ナの小型化の要請が強くなってきた。そこで、この要請
に応えるべく、PINダイオード移相器を用いたフェー
ズドアレーアンテナが提案された。PINダイオード
は、印加されるバイアス電圧の極性が順方向では短絡に
近く、逆方向では開放に近いインピーダンスを示す。P
INダイオード移相器は、信号が流れるストリップ線路
にPINダイオードが接続された回路を有しており、P
INダイオードの2つのバイアス状態で、ストリップ線
路を通過する信号に位相差が生じるようにしたものであ
る。このPINダイオード移相器を用いることによっ
て、フェーズドアレーアンテナを小型化することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フェーズド
アレーアンテナでは、放射ビームの走査範囲は、各放射
素子が設置される間隔で決定される。素子間隔(隣接す
る2個の放射素子の各中心間の長さ)が狭いほど走査範
囲を広くすることができる。使用電波の波長をλg とす
ると、実用的な走査範囲を得るために、素子間隔は一般
に0.5〜0.6λg 程度に設定される。一方、各PI
Nダイオード移相器はそれぞれ、対応する放射素子の下
層に配置される誘電体基板上に形成される。このため、
PINダイオード移相器を形成することができるスペー
スは、各放射素子の素子間隔によって決定される。
【0006】PINダイオード移相器の1ビットを構成
する移相回路を形成するには、所定のスペースが必要で
ある。したがって、例えば、低誘電率の誘電体基板上に
PINダイオード移相器を形成する場合、各放射素子の
素子間隔を0.5〜0.6λg とすると、高々2ビット
のPINダイオード移相器しか形成することができな
い。このように、PINダイオード移相器を用いた従来
のフェーズドアレーアンテナ装置の場合、PINダイオ
ード移相器のビット数が制限される。上述したように、
移相器としてフェライト移相器を用いれば放射ビームの
走査の1ステップを小さくすることが可能であるが、こ
のような理由から、PINダイオード移相器を用いた場
合、走査の1ステップを小さくすることができないとい
う問題があった。
【0007】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、その目的は、放射ビームの走査範
囲を狭めることなく、細かいビーム走査を可能にする小
型のフェーズドアレーアンテナ装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明は、平面的に配置された複数
の放射素子と、各放射素子に結合されかつ各放射素子に
供給される信号の位相を制御する複数の移相器とを備え
たフェーズドアレーアンテナ装置において、各放射素子
が形成された放射素子層と、各移相器が形成された位相
制御層とからなる多層構造を有し、各移相器はそれぞ
れ、少なくとも1個の移相回路を含み、位相制御層は、
少なくとも1個の移相回路がそれぞれ形成された複数の
層からなる多層構造を有する。また、請求項2記載の発
明は、平面的に配置された複数の放射素子と、各放射素
子に結合されかつ各放射素子に供給される信号の位相を
制御する複数の移相器とを備えたフェーズドアレーアン
テナ装置において、各放射素子が形成された放射素子層
と、各移相器が形成された位相制御層とからなる多層構
造を有し、各移相器はそれぞれ、放射素子に供給される
信号が流れる分布定数線路と、この分布定数線路に接続
される複数の移相回路とを含み、位相制御層は、少なく
とも1個の移相回路とこの移相回路が接続される分布定
数線路とがそれぞれ形成された複数の層からなる多層構
造を有し、各移相回路はそれぞれ、分布定数回路と、分
布定数線路の途中に分布定数回路を選択的に接続するこ
とによって放射素子に供給される信号の位相を変化させ
るスイッチ素子とを備える。また、請求項3記載の発明
は、平面的に配置された複数の放射素子と、各放射素子
にそれぞれ結合されかつ各放射素子に供給される信号の
位相を制御する複数の移相器とを備えたフェーズドアレ
ーアンテナ装置において、各放射素子が形成された放射
素子層と、各移相器が形成された位相制御層とからなる
多層構造を有し、さらに、位相制御層は、複数の層から
なる多層構造を有し、位相制御層を構成する各層はそれ
ぞれ、各放射素子の素子間隔によって規定されかつ各放
射素子にそれぞれ対応する複数の移相器形成領域を有
し、各放射素子のうちの1個の放射素子に結合された移
相器は、位相制御層を構成する各層のうちの一層におけ
る1個の放射素子に対応する移相器形成領域とこの移相
器形成領域に隣接する移相器形成領域とにまたがって形
成され、1個の放射素子に隣接する他の1個の放射素子
に結合された移相器は、位相制御層を構成する各層のう
ちの他の層における他の1個の放射素子に対応する移相
器形成領域とこの移相器形成領域に隣接する移相器形成
領域とにまたがって形成される。また、請求項4記載の
発明は、請求項3において、各移相器は、位相制御層を
構成する各層のうちの複数の層にわたって形成される。
また、請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4に
おいて、各移相器はそれぞれ、放射素子に供給される信
号が流れる分布定数線路と、この分布定数線路に接続さ
れる複数の移相回路とを含み、各移相回路はそれぞれ、
分布定数回路と、分布定数線路の途中に分布定数回路を
選択的に接続することによって放射素子に供給される信
号の位相を変化させるスイッチ素子とを備える。また、
請求項6記載の発明は、請求項2又は請求項5におい
て、位相制御層を構成する各層はそれぞれ、誘電体層上
に形成され、各移相回路に含まれるスイッチ素子は、誘
電体層上に形成された電極と、誘電体層上に形成された
支持部材によって支持されるとともに電極及び分布定数
回路と対向する位置に配置されかつ導体によって形成さ
れた微小可動子とを備え、電極又は微小可動子に外部電
圧が選択的に印加されることによって微小可動子が分布
定数回路に高周波的に接続される。また、請求項7記載
の発明は、請求項6において、微小可動子は、電極及び
分布定数回路と対向する面に形成された誘電体膜を備え
る。また、請求項8記載の発明は、請求項1、請求項2
及び請求項5のうちの何れか1項において、移相回路の
移相量は、移相器がn個(nは複数)の移相回路を含む
場合、2π/2i(iはnまでの自然数)である。ま
た、請求項9記載の発明は、請求項1、請求項2及び請
求項5のうちの何れか1項において、各移相器に含まれ
る各移相回路の移相量は、それぞれ異なる。また、請求
項10記載の発明は、請求項1又は請求項2において、
位相制御層を構成する各層には、各移相器に含まれる移
相回路が少なくとも1個づつ形成される。また、請求項
11記載の発明は、請求項1、請求項2及び請求項5の
うちの何れか1項において、各放射素子に結合された各
移相器はそれぞれ、同数の移相回路を含む同じ移相器で
ある。また、請求項12記載の発明は、請求項1乃至請
求項5のうちの何れか1項において、各放射素子は、二
次元的に配置される。また、請求項13記載の発明は、
請求項1乃至請求項5及び請求項12のうちの何れか1
項において、各放射素子は、規則的に配置される。ま
た、請求項14記載の発明は、請求項1又は請求項2に
おいて、各移相器は、各放射素子毎に設けられる。ま
た、請求項15記載の発明は、請求項14において、位
相制御層を構成する各層はそれぞれ、各放射素子の素子
間隔によって規定されかつ各放射素子にそれぞれ対応す
る複数の移相器形成領域を有し、各移相回路は、各移相
回路に結合された各放射素子に対応する移相器形成領域
に形成される。また、請求項16記載の発明は、請求項
2又は請求項5において、位相制御層を構成する各層に
それぞれ各分布定数線路及び各移相回路とともに一体的
に形成されかつ各移相回路の各スイッチ素子の入力側に
接続されかつ各スイッチ素子に外部電圧を印加するため
の薄膜トランジスタ回路を備える。また、請求項17記
載の発明は、請求項16において、薄膜トランジスタ回
路は、各移相回路の各スイッチ素子の入力側に接続され
かつタイミング信号によって入力データで保持データを
書き換える複数のデータラッチ回路を備え、位相制御層
に形成されたすべてのデータラッチ回路には同一のタイ
ミング信号が与えられ、これによってタイミング信号に
同期して位相制御層に形成されたすべてのスイッチ素子
に外部電圧が一斉に印加される。また、請求項18記載
の発明は、請求項17において、各データラッチ回路
は、マトリックス状に配置される。また、請求項19記
載の発明は、請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項
において、放射素子層と位相制御層との間に配置されか
つ電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、位相制御層を構成
する各層の間に配置されかつ電磁波を遮蔽する第2の遮
蔽板とを備え、第1の遮蔽板には、各放射素子に信号を
結合させるための複数の第1の結合手段が形成され、第
2の遮蔽板には、位相制御層を構成する各層に放射素子
に供給される信号を結合させるための複数の第2の結合
手段が形成される。また、請求項20記載の発明は、請
求項1又は請求項2において、放射素子層と位相制御層
との間に配置されかつ電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板
と、位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁
波を遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、第1の遮蔽板に
は、各放射素子に信号を結合させるための複数の第1の
結合手段が形成され、第2の遮蔽板には、位相制御層を
構成する各層に放射素子に供給される信号を結合させる
ための複数の第2の結合手段が形成され、各第1の結合
手段及び各第2の結合手段は、結合ホール、結合プロー
ブ及び結合スルーホールのうちの何れか1つである。ま
た、請求項21記載の発明は、請求項3乃至請求項5の
うちの何れか1項において、放射素子層と位相制御層と
の間に配置されかつ電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、
位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁波を
遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、第1の遮蔽板には、各
放射素子に信号を結合させるための複数の第1の結合手
段が形成され、第2の遮蔽板には、位相制御層を構成す
る各層に放射素子に供給される信号を結合させるための
複数の第2の結合手段が形成され、各第1の結合手段及
び各第2の結合手段は、結合プローブである。また、請
求項22記載の発明は、請求項2又は請求項5におい
て、放射素子層と位相制御層との間に配置されかつ電磁
波を遮蔽する第1の遮蔽板と、位相制御層を構成する各
層の間に配置されかつ電磁波を遮蔽する第2の遮蔽板と
を備え、第1の遮蔽板には、各放射素子に信号を結合さ
せるための複数の第1の結合手段が形成され、第2の遮
蔽板には、位相制御層を構成する各層に放射素子に供給
される信号を結合させるための複数の第2の結合手段が
形成され、各第1の結合手段及び各第2の結合手段はそ
れぞれ、分布定数線路の端部から前記信号の4分の1波
長離間した分布定数線路上の位置又はこの位置の近傍に
配置される。また、請求項23記載の発明は、請求項6
において、誘電体層は、ガラス又はテフロンで形成され
る。また、請求項24記載の発明は、請求項1乃至請求
項5のうちの何れか1項において、放射素子層と反対側
の位相制御層の表面に密着配置されかつ電磁波を遮蔽す
る第3の遮蔽板と、この第3の遮蔽板と平行に配置され
かつ電磁波を遮蔽する第4の遮蔽板と、この第4の遮蔽
板に設けられかつ第3及び第4の遮蔽板の間に電磁波を
放射する給電手段と、第3の遮蔽板に各移相器毎に設け
られかつ給電手段から放射されて第3及び第4の遮蔽板
の間を伝搬する電磁波を電磁結合により取り出す複数の
第3の結合手段とを備え、各第3の結合手段により取り
出された電磁波は、各移相器を介して各放射素子に供給
される。また、請求項25記載の発明は、請求項1又は
請求項2において、放射素子層と反対側の位相制御層の
表面に密着配置されかつ電磁波を遮蔽する第3の遮蔽板
と、この第3の遮蔽板と平行に配置されかつ電磁波を遮
蔽する第4の遮蔽板と、この第4の遮蔽板に設けられか
つ第3及び第4の遮蔽板の間に電磁波を放射する給電手
段と、第3の遮蔽板に各移相器毎に設けられかつ給電手
段から放射されて第3及び第4の遮蔽板の間を伝搬する
電磁波を電磁結合により取り出す複数の第3の結合手段
とを備え、各第3の結合手段は、結合ホール又は結合プ
ローブであり、各第3の結合手段により取り出された電
磁波は、各移相器を介して各放射素子に供給される。ま
た、請求項26記載の発明は、請求項3乃至請求項5の
うちの何れか1項において、放射素子層と反対側の位相
制御層の表面に密着配置されかつ電磁波を遮蔽する第3
の遮蔽板と、この第3の遮蔽板と平行に配置されかつ電
磁波を遮蔽する第4の遮蔽板と、この第4の遮蔽板に設
けられかつ第3及び第4の遮蔽板の間に電磁波を放射す
る給電手段と、第3の遮蔽板に各移相器毎に設けられか
つ給電手段から放射されて第3及び第4の遮蔽板の間を
伝搬する電磁波を電磁結合により取り出す複数の結合プ
ローブとを備え、各結合プローブにより取り出された電
磁波は、各移相器を介して各放射素子に供給される。
【0009】位相制御層を多層化することによって、各
放射素子の素子間隔にかかわらず、各移相器を形成する
ことができるスペースを増やすことができる。これによ
って、各移相器を構成する移相回路の数を増やすことが
できる。したがって、各放射素子の素子間隔を広げなく
ても、各移相器のビット数を高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で
は、アンテナが信号を送信する場合について述べるが、
アンテナが信号を受信する場合でも可逆の理により、動
作原理は本質的に同じであることを予めことわってお
く。
【0011】(第1の実施の形態)図1は、本発明によ
るフェーズドアレーアンテナ装置の第1の実施の形態の
構成を示すブロック図である。図1に示されたフェーズ
ドアレーアンテナ装置はM個(Mは複数)の放射素子1
を有しており、各放射素子1はそれぞれ移相器2に接続
され、各移相器2は分配合成器(分配手段)3に接続さ
れている。また、各移相器2はそれぞれ複数の移相回路
を含んでいる。なお、図1に示された各移相器2はそれ
ぞれ2個の移相回路2a,2bを含んでいる。各移相器
2はディジタル移相器であり、各移相回路2a,2bが
それぞれ移相器2の1ビットを構成している。
【0012】各移相器2の移相回路2aは、移相回路2
a駆動用の薄膜トランジスタ(ThinFilm Transistor;
以下、TFTと略記する)回路6aに接続され、各移相
器2の移相回路2bは、移相回路2b駆動用のTFT回
路6bに接続されている。また、TFT回路6a,6b
は制御装置8に接続されている。
【0013】TFT回路6aは、各移相回路2a毎に設
けられたM個のデータラッチ回路4aと、データ分配回
路5aとによって構成されている。各移相回路2aは各
データラッチ回路4aにそれぞれ接続され、各データラ
ッチ回路4aはデータ分配回路5aに接続されている。
同じく、TFT回路6bは、M個のデータラッチ回路4
bと、データ分配回路5bとによって構成されており、
各移相回路2bは各データラッチ回路4bにそれぞれ接
続され、各データラッチ回路4bはデータ分配回路5b
に接続されている。また、制御装置8は各データ分配回
路5a,5bと各データラッチ回路4a,4bとに接続
されている。
【0014】後述するように、各移相回路2a,2bは
それぞれマイクロ波スイッチ(スイッチ素子)を備えて
おり、各データラッチ回路4a,4bは各移相回路2
a,2bのマイクロ波スイッチにそれぞれ接続されてい
る。また、放射素子1、移相器2、分配合成器3及びT
FT回路6a,6bは、アンテナ部7を構成している。
【0015】制御装置8は、放射ビームを所望の方向に
向けるのに最適な移相量を各放射素子1毎に計算し、制
御信号11a,11bとして各データ分配回路5a,5
bにそれぞれ出力する。また、制御装置8はビーム方向
を切り換えるためのタイミング信号12を各データラッ
チ回路4a,4bに出力する。
【0016】データ分配回路5aは、制御信号11aに
基づき、各データラッチ回路4aに対して制御信号13
aを出力する。各データラッチ回路4aはそれぞれ、タ
イミング信号12に同期して、制御信号13aに基づき
各移相回路2aに駆動電圧14aを供給する。また、デ
ータ分配回路5bは、制御信号11bに基づき、各デー
タラッチ回路4bに対して制御信号13bを出力する。
各データラッチ回路4bはそれぞれ、タイミング信号1
2に同期して、制御信号13bに基づき各移相回路2b
に駆動電圧14bを供給する。
【0017】一方、分配合成器3は、各放射素子1を励
振させるための高周波信号を分配して各移相器2に出力
する。各移相器2は各データラッチ回路4a,4bから
供給される駆動電圧14a,14bにより移相量が設定
され、その移相量だけ高周波信号の位相を変化させて、
各放射素子1にそれぞれ供給する。各放射素子1は給電
位相に応じた位相の放射をする。なお、各移相器2は各
放射素子1に供給される高周波信号を増幅するための増
幅器を含んでいてもよい。
【0018】次に、図1に示されたフェーズドアレーア
ンテナ装置の動作について説明する。制御装置8は、予
め設定されている放射素子1の位置と使用する周波数と
に基づいて、放射ビームを所望の方向に向けるのに最適
な移相量を、M個の放射素子1毎にそれぞれ2ビットの
精度で計算し、制御信号11a,11bとして各データ
分配回路5a,5bにそれぞれ出力する。制御信号11
aはデータ分配回路5aによって、各データラッチ回路
4aに制御信号13aとして分配・供給される。同じ
く、制御信号11bはデータ分配回路5bによって、各
データラッチ回路4bに制御信号13bとして分配・供
給される。
【0019】ところで、放射素子1の放射の方向は、各
放射素子1毎に1個づつ徐々に切り換えられるのではな
く、アンテナ部7の全ての放射素子1について一斉に切
り換えられなければならない。このため各データラッチ
回路4a,4bはそれぞれ、ビーム方向を切り換えるた
めのタイミング信号12に同期して、保持データを入力
データである制御信号13a,13bに書き換え、この
保持データ(制御信号13a,13b)に基づいて選択
的に、移相回路2a,2bのマイクロ波スイッチに駆動
電圧14a,14bを一斉に印加する。
【0020】マイクロ波スイッチに駆動電圧14a,1
4bが印加されると、そのマイクロ波スイッチが含まれ
る移相回路2a,2bがオン状態になる。どの移相回路
2a,2b(すなわち、移相器2のどのビット)がオン
状態になるかで、その移相器2の移相量が設定される。
各移相器2は、このようにして設定された移相量だけ高
周波信号の位相を変えて、各放射素子1に給電する。各
放射素子1は給電位相に応じた位相の放射をするので、
その放射が等位相面が生成することによって、この等位
相面と垂直な方向に放射ビームが形成される。
【0021】図1に示されたフェーズドアレーアンテナ
装置では、各放射素子1毎に各移相器2が設けられてい
る。これによって、各放射素子1毎に高周波信号の位相
を制御することができるので、所望の方向に精度よく放
射ビームを形成することができる。なお、複数の放射素
子1に対して1個の移相器2を設けるようにすることも
できる。この場合、1個の移相器2で位相制御された高
周波信号が複数の放射素子1に供給される。
【0022】次に、図1に示されたフェーズドアレーア
ンテナ装置のアンテナ部7の構造について説明する。図
2は、アンテナ部7の構造を示す展開図である。また、
図3は、アンテナ部7の構造を示す断面図であり、図3
(A)は全体断面図、図3(B)は局部拡大断面図であ
る。アンテナ部7は図2に示されるように多層構造を有
している。すなわち、放射素子層41、第1の誘電体層
42、第1の電磁結合層43、第2の誘電体層44、第
1の移相回路・TFT回路層(以下、移相回路・TFT
回路層のことを移相回路層と略記する)45、第3の誘
電体層46、第2の電磁結合層47、第4の誘電体層4
8、第2の移相回路層49、第5の誘電体層50、第3
の電磁結合層51の各層がこの順に密着形成されてい
る。
【0023】これらの各層41〜51はプロセス中の印
刷技術、積層または接着により多層化される。例えば、
放射素子層41は第1の誘電体層42の片面に、また第
1の移相回路層45は第3の誘電体層46の片面に、そ
れぞれ印刷技術等により形成される。また、第3の電磁
結合層51の下には給電用のラジアル導波路52が配置
されている。以上の各層41〜51とラジアル導波路5
2は、すべて同形であり同じ大きさをしている。図2で
はすべて方形をしているが、円形又は六角形等の多角形
であってもよい。
【0024】第1の移相回路層45と第3の誘電体層4
6と第2の電磁結合層47と第4の誘電体層48と第2
の移相回路層49とを合わせて位相制御層と呼ぶ。な
お、図1に示された各移相器2はそれぞれ2個の移相回
路2a,2bを含んでいるので、これに対応して位相制
御層は2つの移相回路層45,49を有している。した
がって、各移相器2がそれぞれ3個以上の移相回路を含
んでいる場合には、位相制御層に含まれる移相回路層を
3層以上にしてもよい。
【0025】放射素子層41は、図1に示されたM個の
放射素子1が平面的に配置されて構成されている。各放
射素子1は格子配列されている。ただし、放射素子1を
三角配列や同心円状に配列してもよい。各放射素子1を
二次元的に配置することによって、放射ビームを二次元
的に走査することができる。なお、一次元的な走査で十
分な場合には、各放射素子1を一次元的に配置してもよ
い。
【0026】また、各放射素子1を不規則に配置するこ
とも可能である。しかし、各移相器2の制御にはすべて
の放射素子1の位置がかかわってくる。このため、各放
射素子1を規則的に配置することによって、移相器2の
制御が簡単になる。また、各放射素子1の素子間隔は
0.5〜0.6λg 程度(λg は使用電波の波長)に設
定されている。これによって、放射ビームの走査範囲
は、実用上何ら支障がない程度に広くなる。
【0027】第1〜第5の誘電体層42,44,46,
48,50には比誘電率が2〜5程度の誘電体が用いら
れる。例えば、ガラス又はテフロンを使用することがで
きる。誘電率が低い誘電体は安価であり、しかも誘電損
失(tanδ)が小さいという特質をもっている。な
お、第1〜第5の誘電体層42,44,46,48,5
0に、例えばガリウム砒素、シリコン又はアルミナセラ
ミック等の誘電率が高い誘電体を用いてもよい。
【0028】第1の移相回路層45は、高周波信号が流
れるストリップライン(図5参照)、図1に示された各
移相器2のそれぞれ一方の移相回路2a及びTFT回路
6aによって構成されている。第1の移相回路層45に
は、放射素子層41における放射素子1と同数の移相回
路2a及びデータラッチ回路4aが形成されている。図
3(A)に示されるように、各移相回路2aが形成され
る領域は、放射素子層41に形成された各放射素子1の
素子間隔によって規定される。この領域のことを移相器
形成領域と呼ぶ。第1の移相回路層45には、各放射素
子1にそれぞれ対応する移相器形成領域がある。各移相
回路2aは、その移相回路2aに結合された放射素子1
に対応する移相器形成領域に形成されている。
【0029】また、第2の移相回路層49は、ストリッ
プライン、各移相器2のそれぞれ他方の移相回路2b及
びTFT回路6bによって構成されている。第2の移相
回路層49にも、第1の移相回路層45と同様に、各放
射素子1にそれぞれ対応する移相器形成領域があり、各
移相回路2bは各放射素子1に対応する移相器形成領域
に形成されている。
【0030】第1の電磁結合層43は、導体板(第1の
遮蔽板)21と、この導体板21に形成された複数の結
合ホール(第1の結合手段)22aとによって構成され
ている。電磁結合層43には、放射素子層41における
放射素子1と同数の結合ホール22aがそれぞれ形成さ
れている。各結合ホール22aは長方形をしている。な
お、この結合ホール22aは多角形であればよい。
【0031】同様に、第2の電磁結合層47は、導体板
(第2の遮蔽板)23と、この導体板23に形成された
複数の結合ホール(第2の結合手段)24aとによって
構成されている。また、第3の電磁結合層51は、導体
板(第3の遮蔽板)25と、この導体板25に形成され
た複数の結合ホール(第3の結合手段)26aとによっ
て構成されている。結合ホール24a,26aは、結合
ホール22aと同様に形成されている。なお、第1〜第
3の遮蔽板には、電磁波を遮蔽する作用をもつ平板が使
用される。第1及び第2の遮蔽板には、電波吸収体によ
って形成された平板を使用することも可能である。
【0032】放射素子層41の各放射素子1と第1の移
相回路層45の各移相回路2aとは、第1の電磁結合層
43の各結合ホール22aによって電磁結合される。ま
た、第1の移相回路層45の各移相回路2aと第2の移
相回路層49の各移相回路2bとは、第2の電磁結合層
47の各結合ホール24aによって電磁結合される。ま
た、第2の移相回路層49の各移相回路2bとラジアル
導波路52とは、第3の電磁結合層51の各結合ホール
26aによって電磁結合される。
【0033】また、第2の電磁結合層47の導体板23
は接地されており、導体板23は第3及び第4の誘電体
層46,48に適宜設けられたスルーホールを介して第
1及び第2の移相回路層45,49を接地している。以
上の各層41〜51に形成された放射素子1、結合ホー
ル22a、移相回路2a、データラッチ回路4a、結合
ホール24a、移相回路2b、データラッチ回路4b及
び結合ホール26aは、各1個づつで1つのユニットを
構成している。
【0034】ラジアル導波路52は、断面が方形の筒状
のリング28と底板(第4の遮蔽板)27とによって構
成される。リング28及び底板27はともに、電磁波を
遮蔽するように導電部材によって形成される。例えば金
属又はエンジニアリングプラスチックに金属メッキ等を
施した材料によって形成される。底板27は第3の電磁
結合層51の導体板25に対して平行に配置され、導体
板25及び底板27はリング28の両端面となってい
る。ラジアル導波路52の内部は誘電体で満たされる場
合もある。図1に示された分配合成器3は、第3の電磁
結合層51とラジアル導波路52とを合わせたものに相
当する。
【0035】ラジアル導波路52の底板27の中央部に
は、同軸給電部(給電手段)29が配置されている。こ
の同軸給電部29は底板27を貫通しており、同軸給電
部29の一端は底板27の表面(第3の電磁結合層51
側の面)から0.1〜0.5λg の長さだけ突き出てお
り、他端は底板の裏面(第3の電磁結合層51側でない
面)で同軸コネクタ30に接続されている。
【0036】次に、図3を用いて、図1に示されたアン
テナ部7における高周波信号の流れについて説明する。
図3に示された矢印は、高周波信号の進行方向を示して
いる。高周波信号は同軸給電部29から電磁波として放
射され、図3(A)に矢印で示す方向にラジアル導波路
52内部(導体板25と底板27との間)を伝搬してゆ
く。このときの電磁波のエネルギー損失は小さい。ラジ
アル導波路52内部を伝搬する電磁波は、第3の電磁結
合層51に形成された結合ホール26aを経由して、第
2の移相回路層49に結合する。なお、各結合ホール2
6aの位置とサイズを変えることによって、各結合ホー
ル26aに結合する高周波信号の結合量を調節すること
ができる。
【0037】第2の移相回路層49に結合した高周波信
号は、移相回路2bがオン状態の場合、移相回路2bに
よって位相遅延を受ける。その後、高周波信号は第2の
電磁結合層47に形成された結合ホール24aを経由し
て、第1の移相回路層45に結合する。第1の移相回路
層45に結合した高周波信号は、移相回路2aがオン状
態の場合、移相回路2aによって再び位相遅延を受け
る。その後、高周波信号は第1の電磁結合層43に形成
された結合ホール22aを経由して、放射素子層41に
結合し、放射素子1から放射される。
【0038】ところで、第2の移相回路層49では、放
射素子1に供給されるべき高周波信号が、ストリップラ
イン全体から電磁波となって放射される。しかし、この
電磁波の大部分は第2の電磁結合層47の導体板23に
よって反射され、第1の移相回路層45には結合しな
い。後述する位置に結合ホール24aを形成することに
よって、移相回路2bを通過した高周波信号に基づく電
磁波のみが第1の移相回路層45に結合される。第1の
移相回路層45においても同様である。したがって、第
1及び第2の電磁結合層43,47によって、第1及び
第2の移相回路層45,49で位相制御された高周波信
号のみを各放射素子1に供給することができる。これに
よって、各放射素子1から所望の位相関係をもつ電波を
放射させることができる。
【0039】結合ホール22a,24a,26aの代わ
りに他の結合手段を用いることもできる。図4は、他の
結合手段を用いた場合のアンテナ部7の構造を示す局部
拡大断面図であり、図4(A)は結合プローブを用いた
場合の断面図であり、図4(B)は結合スルーホールを
用いた場合の断面図である。図4(A)に示されるよう
に、第1〜第3の結合手段として結合プローブ22b,
24b,26bを用いることができる。
【0040】第1の電磁結合層43の結合プローブ22
bは一端が放射素子層41の放射素子1に接続され、他
端が第1の移相回路層45の移相回路2aに接続されて
いる。また、第2の電磁結合層47の結合プローブ24
bは一端が第1の移相回路層45の移相回路2aに接続
され、他端が第2の移相回路層49の移相回路2bに接
続されている。また、第3の電磁結合層51の結合プロ
ーブ26bは一端が第2の移相回路層51の移相回路2
bに接続され、他端が導電板25からラジアル導波路5
2の内部に突き出ている。結合プローブ26bは、ラジ
アル導波路52の内部に突き出ている長さを変えること
によって、結合プローブ26bに結合する高周波信号の
結合量を調節することができる。
【0041】また、図4(B)に示されるように、第1
及び第2の結合手段として結合スルーホール22c,2
4cを用いることもできる。放射素子層41の放射素子
1と第1の移相回路層45の移相回路2aとは、結合ス
ルーホール22cによって結合されている。また、第1
の移相回路層45の移相回路2aと第2の移相回路層4
9の移相回路2bとは、結合スルーホール24cによっ
て結合されている。なお、第2の移相回路層51の移相
回路2bとラジアル導波路52とは、結合プローブ26
bによって結合されている。なお、図4(A)及び
(B)に示されたアンテナ部7の他の部分は、図3に示
されたアンテナ部7の相当部分と同じであるため、その
説明は省略する。
【0042】ところで、結合手段を結合ホール22a,
24a,26aとした場合、導体板21,23,25に
結合ホール22a,24a,26aを形成するだけで結
合手段は完成する。しかし、結合手段を結合スルーホー
ル22c,24cとすると、導体板21,23に結合ホ
ールを形成し、さらにこの結合ホールの形成位置に合わ
せて第1〜第4の誘電体層42,44,46,48に結
合スルーホール22c,24cを形成する必要がある。
【0043】また、結合手段を結合プローブ22b,2
4b,26bとすると、導体板21,23,25に結合
ホールを形成し、第1〜第5の誘電体層42,44,4
6,48,50に結合スルーホールを形成した後、この
結合スルーホールに結合プローブ22b,24b,26
bを挿入して、結合手段が完成する。このように、結合
手段としては、結合ホール22a,24a,26aが最
も形成が容易で、結合プローブ22b,24b,26b
が最も形成が困難である。しかしながら、結合ホール2
2a,24a,26aでは高周波信号のエネルギー損失
が最も大きく、結合プローブ22b,24b,26bで
はこの損失が最も少ない。
【0044】次に、図2に示された第1及び第2の移相
回路層45,49について更に説明する。図5は、第1
及び第2の移相回路層45,49の回路構成図であり、
図5(A)は第1の移相回路層45を構成する1ユニッ
トの回路構成を、図5(B)は第2の移相回路層49を
構成する1ユニットの回路構成をそれぞれ示している。
また、図6は、高周波信号が流れるストリップラインと
結合ホール22a,24a,26aとの位置関係を示す
断面図である。
【0045】まず、第1の移相回路層45について説明
する。上述したように、第1の移相回路層45は、スト
リップライン、図1に示された移相回路2a及びTFT
回路6aによって構成されており、これらが図2に示さ
れた第3の誘電体層46上に一体的に形成されている。
図5(A)に示されるように、ストリップライン61a
と移相回路2aとデータラッチ回路4aとによって1ユ
ニットが構成されている。
【0046】ストリップライン61aは、図2に示され
た第1の電磁結合層43の結合ホール22aに対応する
位置から、図2に示された第2の電磁結合層47の結合
ホール24aに対応する位置まで、第3の誘電体層46
上に印刷配線されている。高周波信号の波長をλg とす
ると、図6に示されるように、結合ホール22aは、ス
トリップライン61aの一端からλg /4離間したスト
リップライン61a上の位置の直上、又は直上近傍に配
置されている。また、結合ホール24aは、ストリップ
ライン61aの他端からλg /4離間したストリップラ
イン61a上の位置の直下、又は直下近傍に配置されて
いる。
【0047】このような位置に結合ホール22a,24
aを配置することによって、ストリップライン61aの
端部での高周波信号の反射を抑えることができるので、
高周波信号のエネルギー損失を少なくすることができ
る。ストリップライン61aにはマイクロストリップ線
路、トリプレート線路、コプレーナ線路、スロット線路
などの分布定数線路が使用される。
【0048】移相回路2aは、1個のストリップ線路6
2aと2個のマイクロ波スイッチとによって構成され
る。ストリップ線路62aには、例えばマイクロストリ
ップ線路、トリプレート線路、コプレーナ線路などの分
布定数回路が使用される。また、マイクロ波スイッチに
はマイクロマシンスイッチ64aが使用される。
【0049】移相回路2aでは、切断されたストリップ
ライン61aの両端にU字形のストリップ線路62aの
両端がそれぞれ接続されており、一方のマイクロマシン
スイッチ64aがストリップライン61aの両端を接続
するように配置され、他方のマイクロマシンスイッチ6
4aがストリップ線路62aの央部と接地63aとを接
続するように配置されている。この移相回路2aはスイ
ッチドライン形と呼ばれている。移相回路2aは移相量
が180゜となるように設計されている。なお、接地6
3aは、図2に示された第3の誘電体層46に適宜設け
られたスルーホールによって、図2に示された第2の電
磁結合層47の接地された導体板23と接続されてい
る。
【0050】移相回路2aに含まれる2個のマイクロマ
シンスイッチ64aは、その近傍に配置されたデータラ
ッチ回路4aの出力側に接続されている。2個のマイク
ロマシンスイッチ64aは、データラッチ回路4aが出
力する駆動電圧14aによって同時に動作して、切断さ
れたストリップライン61aを選択的に接続するととも
に、ストリップ線路62aを選択的に接地する。こうし
て移相回路2aのサセプタンスを変えることによって、
給電位相を変化させることができる。なお、データラッ
チ回路4aはマイクロマシンスイッチ64aの近傍に配
置されているといったが、複数のデータラッチ回路4a
を一カ所にまとめて配置し、そこから配線をのばして各
マイクロマシンスイッチ64aを駆動するようにしても
よい。
【0051】次に、第2の移相回路層49について説明
する。上述したように、第2の移相回路層49は、スト
リップライン、図1に示された移相回路2b及びTFT
回路6bによって構成されており、これらが図2に示さ
れた第5の誘電体層50上に一体的に形成されている。
図5(B)に示されるように、ストリップライン61b
と移相回路2bとデータラッチ回路4bとによって1ユ
ニットが構成されている。
【0052】ストリップライン61bは、図2に示され
た第2の電磁結合層47の結合ホール24aに対応する
位置から、図2に示された第3の電磁結合層51の結合
ホール26aに対応する位置まで、第5の誘電体層50
上に印刷配線されている。図6に示されるように、結合
ホール24a,26aはそれぞれ、ストリップライン6
1bの端部からλg /4離間したストリップライン61
b上の位置の直上及び直下に配置されている。又は、直
上近傍及び直下近傍に配置されている。
【0053】移相回路2bは、2個のストリップ線路6
2bと2個のマイクロマシンスイッチ64bとによって
構成される。移相回路2bでは、2個のストリップ線路
62bのそれぞれ一方の端部がストリップライン61b
の途中に接続されており、2個のマイクロマシンスイッ
チ64bがそれぞれ2個のストリップ線路62bの他方
の端部と接地63bとを接続するように配置されてい
る。この移相回路2bはローデッドライン形と呼ばれて
いる。移相回路2bは移相量が90゜となるように設計
されている。
【0054】第2の移相回路層49の接地63bもま
た、図2に示された第4の誘電体層48に適宜設けられ
たスルーホールによって、第2の電磁結合層47の導体
板23と接続されている。移相回路2bに含まれる2個
のマイクロマシンスイッチ64bは、その近傍に配置さ
れたデータラッチ回路4bの出力側に接続されている。
他の部分は第1の移相回路層45と同様である。
【0055】なお、一般に、移相量が大きい場合にはス
イッチドライン形の方が良い特性が得られ、移相量が小
さい場合にはローデッドライン形の方が良い特性が得ら
れる。このため、ここでは180゜の移相回路2aには
スイッチドライン形を用い、90゜の移相回路2bには
ローデッドライン形を用いたが、移相回路2bにスイッ
チドライン形を用いることも可能である。また、各移相
回路2a、2bに線路切換形などスイッチドライン形、
ローデッドライン形以外の移相回路を使用してもよい。
【0056】各データラッチ回路4a,4bはそれぞ
れ、各マイクロマシンスイッチ64a,64bに対して
同時に駆動電圧14a,14bを印加する。これによっ
て、各移相回路2a,2bを同時に動作させることがで
きるので、移相器2を2ビットのディジタル移相器とし
て機能させることができる。このように、図1に示され
たフェーズドアレーアンテナ装置では、2個の移相回路
2a,2bを異なる層に形成して、2ビットのディジタ
ル移相器を構成する。同様に、3個以上の移相回路をそ
れぞれ異なる層に形成することによって、3ビット以上
のディジタル移相器を構成することができる。
【0057】したがって、放射素子層41に形成された
各放射素子1の素子間隔にかかわらず、各移相器2を形
成することができるスペースを増やすことができる。こ
のため、各放射素子1の素子間隔を広げずに、各移相器
2のビット数を高めることができるので、放射ビームの
走査範囲を狭めることなく、放射ビームの走査の1ステ
ップを小さくすることができる。
【0058】また、従来のフェーズドアレーアンテナ装
置の場合、各放射素子の素子間隔を0.5〜0.6λg
とすると、各放射素子に対応する移相器形成領域に3個
以上の移相回路を形成する場合には、比誘電率が10以
上の誘電体基板を使用する必要があった。しかし、高誘
電率の誘電体は誘電損失が大きく、しかも高価である。
【0059】これに対して、図1に示されたフェーズド
アレーアンテナ装置では、3ビット以上のディジタル移
相器を構成する場合でも、各移相器形成領域に形成され
る移相回路は1個だけでよい。このため、第2〜第5の
誘電体層44,46,48,50に低誘電率の誘電体を
使用することができる。低誘電率の誘電体は、誘電損失
が小さく、安価である。したがって、同じビット数(3
ビット以上)のディジタル移相器を備えた従来のフェー
ズドアレーアンテナ装置に比べて、高周波信号のエネル
ギー損失が小さいフェーズドアレーアンテナ装置を安価
に製造することができる。
【0060】なお、移相器2がn個の移相回路を含み、
nビットのディジタル移相器を実現する場合、各移相回
路の移相量はそれぞれ、180゜,90゜,45゜,2
2.5゜・・・、すなわち2π/2i(iはnまでの自
然数)に設定される。また、移相器2が同じ移相量の移
相回路を含んでいてもよいが、移相量が異なる複数の移
相回路で移相器2を構成することよって、同じ移相量の
移相回路を含む場合に比べて、同数の移相回路で多種類
の移相量を実現することができる。換言すれば、同種類
の移相量を小型の移相器2で実現することができるの
で、図1に示されたフェーズドアレーアンテナ装置を小
型化することができる。
【0061】次に、図1に示されたTFT回路6a,6
bについて更に説明する。図7は、図2に示された第1
の移相回路層45に形成されたTFT回路6aの構成を
示すブロック図であり、図1に示された各データラッチ
回路4aがマトリックス状に配置された場合を示してい
る。図7に示されるように、各データラッチ回路4aは
信号線73と走査線74とに接続され、信号線73は信
号線駆動回路71に、走査線74は走査線駆動回路72
にそれぞれ接続されている。図1に示されたデータ分配
回路5aは、信号線駆動回路71と走査線駆動回路72
とによって構成されている。このようにTFT回路6a
を構成することによって、データ分配回路5aと各デー
タラッチ回路4aとの間の配線が簡素化される。
【0062】図8は、図7に示されたデータラッチ回路
4aの構成を示すブロック図である。データラッチ回路
4aは、さらに2個のデータラッチ回路81,82によ
って構成されており、各データラッチ回路81,82に
はDフリップフロップ等が使用される。データラッチ回
路81のD入力端子は信号線73に接続され、クロック
(CK)入力端子は走査線74に接続されている。ま
た、データラッチ回路82のD入力端子はデータラッチ
回路81の出力端子に接続され、クロック(CK)入力
端子は図1に示された制御装置8に接続され、ビーム方
向を切り換えるためのタイミング信号12が入力され
る。さらに、データラッチ回路82の出力端子は図5
(A)に示された移相回路2aの2個のマイクロマシン
スイッチ64aに接続されている。
【0063】データラッチ回路81は走査線74からの
走査パルスに同期して、信号線73から入力された制御
信号13aを保持する。データラッチ回路82はタイミ
ング信号12に同期して、データラッチ回路81から出
力される制御信号13aを保持するとともに、保持して
いる制御信号13aに基づいて駆動電圧14aをマイク
ロマシンスイッチ64aに供給する。
【0064】次に、図8に示されたデータラッチ回路4
aの動作について説明する。図9はこのデータラッチ回
路4aの動作を示すタイミングチャートである。走査線
74に走査パルスが加わると、データラッチ回路81は
信号線73から入力される制御信号13aの論理レベル
を保持する。図9において、p点で走査パルスが加えら
れたとき、制御信号13aの論理レベルは「H」である
から、データラッチ回路81は論理レベル「H」を保持
する。その後、制御信号13aの論理レベルが変化して
も、データラッチ回路81は次に走査パルスが加えられ
るまで論理レベル「H」を保持する。
【0065】このとき、データラッチ回路81からはデ
ータラッチ回路82のD入力に、論理レベル「H」が出
力され続ける(Q1)。そして、q点で制御装置8から
データラッチ回路82にタイミング信号12が出力され
ると、データラッチ回路82はこのタイミング信号12
に同期して、データラッチ回路81から出力される制御
信号13aの論理レベル「H」を保持し、論理レベル
「H」を出力する(Q2)。この出力が駆動電圧14a
として、2つのマイクロマシンスイッチ64aに同時に
印加される。
【0066】次に、r点で走査線74に走査パルスが加
わると、そのとき信号線73から入力される制御信号1
3aの論理レベルは「L」であるから、データラッチ回
路81は論理レベル「L」を保持する。このため、デー
タラッチ回路81の出力Q1は論理レベル「L」に変わ
る。そして、s点で制御装置8から再びタイミング信号
12が出力されると、データラッチ回路82はデータラ
ッチ回路81から出力される論理レベル「L」を保持し
て、これを出力する(Q2)ため、これによりマイクロ
マシンスイッチ64への駆動電圧14aの印加は停止さ
れる。
【0067】このように信号線73及び走査線74に接
続されたデータラッチ回路81の後段に、制御装置8か
らのタイミング信号12に同期して制御信号13aを保
持するデータラッチ回路82を設けることによって、タ
イミング信号12に同期して、すべての移相回路2aに
対して一斉に駆動電圧14aを出力することができる。
【0068】図2に示された第2の移相回路層49に
も、第1の移相回路層45と同様にTFT回路6bが形
成されている。すなわち、図1に示された各データラッ
チ回路4bがマトリックス状に配置され、各データラッ
チ回路4bは信号線73と走査線74とによって、信号
線駆動回路71と走査線駆動回路72とにそれぞれ接続
されている。図1に示されたデータ分配回路5bは、信
号線駆動回路71と走査線駆動回路72とによって構成
されている。
【0069】また、データラッチ回路4bは、図8に示
されたデータラッチ回路4aと同様に、2個のデータラ
ッチ回路からなる。したがって、第1及び第2の移相回
路層45,49に形成された各データラッチ回路4a,
4bに同一のタイミング信号12を供給することによっ
て、位相制御層に形成されたすべての移相回路2a,2
bに対して一斉に駆動電圧14a,14bが出力される
ので、すべての放射素子1の放射を同時に切り換えるこ
とができる。
【0070】次に、図1に示されたTFT回路6a,6
bの他の例について更に説明する。図10は、第1の移
相回路層45に形成されたTFT回路6aの他の構成を
示すブロック図である。
【0071】図10に示されたTFT回路6aは、4個
のデータラッチ回路4a毎に4ビットのシフトレジスタ
76が設けられている。すなわち、データ分配回路5a
の出力側にシフトレジスタ76が接続され、このシフト
レジスタ76の出力側に各ビット毎にデータラッチ回路
4aがそれぞれ接続され、各データラッチ回路4aの出
力側に移相回路2aのマイクロマシンスイッチ64aが
それぞれ2個づつ接続されている。このように、データ
分配回路5aと各データラッチ回路4aとの間にシフト
レジスタ76を挿入することによって、データ分配回路
5aと各データラッチ回路4aとの間の配線を簡素化す
ることができる。
【0072】シフトレジスタ76には、データ分配回路
5aから制御信号13aがシリアルに入力されるととも
に、図1に示された制御装置8からシフトクロック信号
15が入力される。また、各データラッチ回路4aには
制御装置8からタイミング信号12が入力される。シフ
トレジスタ76は直列入力並列出力形シフトレジスタで
あり、シリアルな制御信号13aを各データラッチ回路
4aに対してパラレルに出力する。各データラッチ回路
4aはタイミング信号12に同期して、シフトレジスタ
76の各ビットから出力される制御信号13aを保持す
るとともに、保持している制御信号13aに基づいて駆
動電圧14aをマイクロマシンスイッチ64aに出力す
る。
【0073】次に、図10に示されたTFT回路6aの
動作について説明する。データ分配回路5aからシフト
レジスタ76に、移相回路2aの駆動を制御するための
制御信号13aがシリアルに出力される。シフトレジス
タ76はシフトクロック信号15の入力により、制御信
号13aを最初のビットに格納する。そして、次のシフ
トクロック信号15が入力されると、最初のビットに格
納された制御信号13aをその次のビットに転送すると
ともに、最初のビットに新たな制御信号13aを格納す
る。同様にして、あるビットに格納された制御信号13
aはシフトクロック信号15に同期して、その次のビッ
トに転送される。
【0074】したがってnビットのシフトレジスタの場
合、シフトクロック信号15がn回入力されると、シフ
トレジスタに格納された制御信号13aが更新される。
図10に示されたシフトレジスタ76は4ビットである
から、4回のシフトクロック信号15で、格納された制
御信号13aが更新される。制御装置8からシフトクロ
ック信号15が4回出力されて、シフトレジスタ76内
の制御信号13aが更新されると、制御装置8からビー
ム方向を切り換えるためのタイミング信号12が各デー
タラッチ回路4aに出力される。各データラッチ回路4
aは、このタイミング信号12が入力されると、そのと
きシフトレジスタ76からパラレルに出力されている制
御信号13aを一斉にラッチして、各移相回路2aに駆
動電圧14aを出力する。
【0075】第2の移相回路層49にも、第1の移相回
路層45と同様に、4ビットのシフトレジスタ76を備
えたTFT回路6bが形成されている。したがって、第
1及び第2の移相回路層45,49に形成された各デー
タラッチ回路4a,4bに同一のタイミング信号12を
供給することによって、位相制御層に形成されたすべて
の移相回路2a,2bに対して一斉に駆動電圧14a,
14bが出力される。これにより、すべての放射素子1
の放射を同時に切り換えることができる。なお、TFT
回路6a,6b、4ビットのシフトレジスタ76が使用
されているが、ここで使用されるシフトレジスタが4ビ
ットのシフトレジスタに限定されないことはいうまでも
ない。
【0076】従来のフェーズドアレーアンテナ装置で
は、移相回路を駆動するために、モジュール化されたI
Cが使用されていた。この駆動用ICは、駆動する各移
相器毎にモジュール化されているので、高利得フェーズ
ドアレーアンテナを実現するには、多数の駆動用ICが
必要だった。このため、これら多数の駆動用ICを外付
けするための広いスペースが必要となり、フェーズドア
レーアンテナ装置が大型化する一因になっていた。しか
し、図1に示されたフェーズドアレーアンテナ装置で
は、これまで述べてきたように、移相回路2a,2b駆
動用のTFT回路6a,6bをそれぞれ移相回路2a,
2bとともに一体的に形成する。これによって、駆動用
ICを配置するためのスペースを除去することができる
ので、フェーズドアレーアンテナ装置を小型化すること
ができる。
【0077】次に、図5に示されたマイクロマシンスイ
ッチ64a,64bについて更に説明する。図11は、
第2の移相回路層49に形成されたマイクロマシンスイ
ッチ64bの構造を示す斜視図である。マイクロマシン
スイッチ64bは、電極91と微小可動子92と支持部
材93とによって構成される。微小可動子92と支持部
材93とを合わせてカンチレバーという。
【0078】図11に示されるように、第5の誘電体層
50上にはストリップ線路62bと接地63bとが離間
して形成されている。電極91はこのストリップ線路6
2bと接地63bとの間の誘電体層50上に印刷配線技
術により形成されている。しかし、電極91はストリッ
プ線路62b及び接地63bのいずれにも接触していな
い。ストリップ線路62b及び接地63bはそれぞれ同
じ高さに形成されているが、電極91はストリップ線路
62b及び接地63bよりも十分低く形成されている。
【0079】また、微小可動子92は電極91の上方に
形成され、ストリップ線路62b、接地63b及び電極
91と対向している。支持部材93は誘電体層50上に
形成され、微小可動子92を片持ち支持している。電極
91及び微小可動子92は導体で形成されるが、支持部
材93は導体、半導体、絶縁体のいずれで形成してもよ
い。
【0080】図12は、図11に示されたマイクロマシ
ンスイッチ64bの平面図である。図12に示されるよ
うに、2個のマイクロマシンスイッチ64bは、2個の
ストリップ線路62bの対称線に対して対称に配置され
ている。また、2個のマイクロマシンスイッチ64bに
含まれるそれぞれの電極91は、1個のデータラッチ回
路4bの出力側に接続され、データラッチ回路4bから
同時に駆動電圧(外部電圧)14bが供給される。
【0081】次に、マイクロマシンスイッチ64bの動
作について説明する。図13は、図11に示されたマイ
クロマシンスイッチ64bの断面図であり、(A)はマ
イクロマシンスイッチ64bの開状態、(B)は閉状態
をそれぞれ示している。
【0082】まず、タイミング信号12が印加されたと
き制御信号13bの論理レベルが「L」であれば、デー
タラッチ回路4bは電極91に駆動電圧14bを印加し
ない。このとき微小可動子92は図13(A)に示され
るように、ストリップ線路62b及び接地63bの上方
にあって、ストリップ線路62b及び接地63bと接触
しないため、マイクロマシンスイッチ64bは開状態に
なる。また、前述したように電極91はストリップ線路
62b及び接地63bと接触しないように形成されてい
るため、ストリップ線路62bは開放される。このとき
移相回路2bは動作せず、移相回路2bのサセプタンス
は変化しないので、放射素子1への給電位相は変化しな
い。
【0083】また、タイミング信号12が印加されたと
き制御信号13bの論理レベルが「H」であれば、デー
タラッチ回路4bは電極91に駆動電圧14bを印加す
る。このとき電極91に印加される駆動電圧14bは1
00[V]程度以下である。電極91にこのような正の
駆動電圧14が印加されると、電極91の表面には正電
荷が現れ、電極91に対向する微小可動子92の表面に
は静電誘導によって負電荷が現れる。そして、電極91
の正電荷と微小可動子92の負電荷との静電力によって
吸引力が発生する。この吸引力によって、微小可動子9
2は図13(B)に示されるように、電極91の方に引
き下げられる。
【0084】これにより、微小可動子92はストリップ
線路62b及び接地63bと接触するため、マイクロマ
シンスイッチ64bは閉状態になり、ストリップ線路6
2bは微小可動子92を介して接地63bと高周波的に
接続される。このとき移相回路2bは動作し、移相回路
2bのサセプタンスが変化するので、放射素子1への給
電位相が変化する。
【0085】なお、上述したように、電極91の高さは
ストリップ線路62b及び接地63bよりも十分低い。
このため、微小可動子92がストリップ線路62b及び
接地63bと接触するときに、微小可動子92が電極9
1と接触することはない。また、図11に示されたマイ
クロマシンスイッチ64bでは、微小可動子92が支持
部材93によって片持ち支持されているが、微小可動子
92が両持ち支持されるものであってもよいことはいう
までもない。
【0086】また、図11に示されたマイクロマシンス
イッチ64bはオーム結合形のマイクロマシンスイッチ
であるが、微小可動子92の下側の面(すなわち、スト
リップ線路62b、接地63b及び電極91と対向する
面)に誘電体膜が形成されたカンチレバーを用いる容量
結合形のマイクロマシンスイッチを使用することもでき
る。また、図11に示されたマイクロマシンスイッチ6
4bでは、駆動電圧14bが電極91に印加されている
が、データラッチ回路4bの出力側を微小可動子92に
接続して、微小可動子92に駆動電圧14bを印加する
ことによって、電極91と微小可動子92との間に静電
力が発生するようにしてもよい。
【0087】第1の移相回路層45に形成されたマイク
ロマシンスイッチ64aも、ここで説明したマイクロマ
シンスイッチ64bと同じ構造をしており、マイクロマ
シンスイッチ64bと同じように動作する。
【0088】従来のフェーズドアレーアンテナ装置で
は、マイクロ波スイッチとしてPINダイオードが使用
されていた。しかし、PINダイオードは半導体接合面
におけるエネルギー損失が大きいため、消費電力が大き
くなる。これに対して、図1に示されたフェーズドアレ
ーアンテナ装置では、マイクロ波スイッチとしてマイク
ロマシンスイッチ64a,64bを使用するため、マイ
クロ波スイッチにおける消費電力を10分の1程度以下
に低減することができる。なお、消費電力の問題を無視
すれば、マイクロ波スイッチとしてPINダイオードを
使用することも可能である。
【0089】(第2の実施の形態)図14は、本発明に
よるフェーズドアレーアンテナ装置の第2の実施の形態
の構成を示すブロック図である。図14において、図1
〜図13と同等又は相当部分には同一符号を付し、その
説明は省略する。以下に示す図15及び図16について
も同様である。
【0090】図14に示されたフェーズドアレーアンテ
ナ装置は、移相器102として4ビットのディジタル移
相器を備えている。したがって、各放射素子1に接続さ
れた移相器102はそれぞれ、4個の移相回路2a,2
b,2c,2dを含んでいる。これに対応して、TFT
回路106aは、各移相器102の移相回路2a,2b
毎にそれぞれ設けられたデータラッチ回路4a,4bを
含んでいる。また、TFT回路106bは、各移相器1
02の移相回路2c,2d毎にそれぞれ設けられたデー
タラッチ回路4c,4dを含んでいる。
【0091】また、制御装置108は、M個の移相器1
02に対してそれぞれ4ビットの精度で、最適な移相量
を計算する。そして、制御装置108は、TFT回路1
06aのデータ分配回路105aに対して制御信号11
1aを出力し、TFT回路106bのデータ分配回路1
05bに対して制御信号111bを出力する。データ分
配回路105aは、制御信号111aに基づき、各デー
タラッチ回路4a,4bに対して制御信号13a,13
bをそれぞれ出力する。また、データ分配回路105b
は、制御信号111bに基づき、各データラッチ回路4
c,4dに対して制御信号13c,13dをそれぞれ出
力する。各データラッチ回路4a〜4dはそれぞれ、制
御装置108から出力されるタイミング信号12に同期
して、制御信号13a〜13dに基づき各移相回路2a
〜2dに駆動電圧14a〜14dをそれぞれ供給する。
【0092】図14に示されたフェーズドアレーアンテ
ナ装置も、図1に示されたフェーズドアレーアンテナ装
置と同様に、図2に示されるような多層構造を有してい
る。図15は、図14に示されたフェーズドアレーアン
テナ装置の第1及び第2の移相回路層45,49の回路
構成図であり、図15(A)は第1の移相回路層45を
構成する1ユニットの回路構成を、図15(B)は第2
の移相回路層49を構成する1ユニットの回路構成をそ
れぞれ示している。
【0093】第1の移相回路層45は、ストリップライ
ン61a、図14に示された移相回路2a,2b及びT
FT回路106aによって構成されている。図15
(A)に示されるように、ストリップライン61aと移
相回路2a,2bとデータラッチ回路4a,4bとによ
って1ユニットが構成されている。このユニットが、移
相器形成領域毎に形成される。移相回路2aは、図5
(A)に示された移相回路2aと同じものであり、移相
量が180゜のスイッチドライン形の移相回路である。
また、移相回路2bは、図5(B)に示された移相回路
2bと同じものであり、移相量が90゜のローデッドラ
イン形の移相回路である。
【0094】移相回路2aと移相回路2bは、ストリッ
プライン61aの途中に接続されるように配置されてい
る。また、データラッチ回路4aは、移相回路2aに含
まれる2個のマイクロマシンスイッチ64aの入力側に
接続され、データラッチ回路4bは、移相回路2bに含
まれる2個のマイクロマシンスイッチ64bの入力側に
接続されている。
【0095】第2の移相回路層49は、ストリップライ
ン61b、図14に示された移相回路2c,2d及びT
FT回路106bによって構成されている。図15
(B)に示されるように、ストリップライン61aと移
相回路2c,2dとデータラッチ回路4c,4dとによ
って1ユニットが構成されている。このユニットが、移
相器形成領域毎に形成される。移相回路2c,2dは共
に、図5(B)に示された移相回路2bと同様のスイッ
チドライン形の移相回路である。ただし、移相回路2
c,2dの移相量はそれぞれ、45゜,22.5゜に設
定されている。移相回路2c,2dは、ストリップライ
ン61dの途中に接続されるように配置されている。ま
た、データラッチ回路4c,4dはそれぞれ、移相回路
2c、2dのマイクロマシンスイッチ64c、64dの
入力側に接続されている。
【0096】図16は、第1の移相回路層45に形成さ
れたTFT回路106aの構成を示すブロック図であ
り、図14に示されたデータラッチ回路4a,4bがマ
トリックス状に配置された場合を示している。この場
合、データラッチ回路4aとデータラッチ回路4bとが
対をなし、マトリックス状に配置される。各データラッ
チ回路4a,4bはそれぞれ、信号線73及び走査線7
4を介して、信号線駆動回路171及び走査線駆動回路
172に接続される。図14に示されたデータ分配回路
105aは、信号線駆動回路171と走査線駆動回路1
72とによって構成されている。
【0097】各データラッチ回路4a,4bは、図8に
示されたデータラッチ回路4aと同じ構成をしている。
また、第2の移相回路層49にも、第1の移相回路層4
5と同様に、TFT回路106bが形成されている。
【0098】このように、図14に示されたフェーズド
アレーアンテナ装置では、第1及び第2の移相回路層4
5,49の各層の移相器形成領域に、それぞれ2個の移
相回路2a,2b及び2c,2dを形成する。このた
め、図1に示されたフェーズドアレーアンテナ装置より
も少ない層で、同じビット数のディジタル移相器を実現
することができる。また、上述したように、各放射素子
1の素子間隔が0.5〜0.6λg の場合、移相器形成
領域に形成される移相回路の数が2個までであれば、第
2〜第5の誘電体層44,46,48,50に低誘電率
の誘電体を使用することができる。このため、図14に
示されたフェーズドアレーアンテナ装置の誘電損失は、
図1に示されたフェーズドアレーアンテナ装置と同等で
ある。
【0099】なお、第1及び第2の移相回路層45,4
9の各層の移相器形成領域に、それぞれ3個以上の移相
回路を形成することも可能である。ただし、この場合、
第2〜第5の誘電体層44,46,48,50に比誘電
率が10以上の誘電体を使用する必要がある。
【0100】(第3の実施の形態)図1に示されたフェ
ーズドアレーアンテナ装置では、図3に示されるよう
に、各移相器2は、その移相器2に結合された放射素子
1に対応する移相器形成領域に形成されている。これに
対して、各移相器2は、この移相器形成領域と、この移
相器形成領域に隣接する移相器形成領域とにまたがって
形成されてもよい。図17は、本発明によるフェーズド
アレーアンテナ装置の第3の実施の形態の構成を示すア
ンテナ部7の断面図である。図17において、図1〜図
16と同等又は相当部分には同一符号を付し、その説明
は省略する。以下に示す図18及び図19についても同
様である。
【0101】図17に示されるように、第1の移相回路
層145には、各放射素子1にそれぞれ対応する移相器
形成領域がある。第2の移相回路層149についても同
様である。各放射素子1のうちの1個を放射素子1−1
とする。この放射素子1−1は、結合プローブ22bに
よって、第1の移相回路層145に形成された移相器2
−1と電磁的に結合されている。この移相器2−1は、
第1の移相回路層145において、放射素子1−1に対
応する移相器形成領域と、この移相器形成領域に隣接す
る移相器形成領域とにまたがって形成される。また、移
相器2−1は、結合プローブ24b,26bによってラ
ジアル導波路52と電磁的に結合されている。
【0102】また、放射素子1−1に隣接する放射素子
1を放射素子1−2とすると、この放射素子1−2に結
合された移相器2−2は、第2の移相回路層149にお
いて、放射素子1−2に対応する移相器形成領域と、こ
の移相器形成領域に隣接する移相器形成領域とにまたが
って形成される。移相器2−2は、結合プローブ22
b,24bによって放射素子1−2と電磁的に結合さ
れ、結合プローブ26bによってラジアル導波路52と
結合されている。
【0103】図18は、第1の移相回路層145を構成
する1ユニットの回路構成図である。図18に示される
ように、ストリップライン61aと移相回路2a〜2d
とデータラッチ回路4a〜4dとによって1ユニットが
構成されている。移相回路2a〜2dは、図15に示さ
れた移相回路2a〜2dと同じものであり、各々移相量
が180゜,90゜,45゜,22.5゜の移相回路で
ある。移相器2−1は、移相回路2a〜2dによって構
成されるので、4ビットのディジタル移相器となる。移
相器2−2についても、同様に、4ビットのディジタル
移相器が構成される。
【0104】上記したように、図17に示されたフェー
ズドアレーアンテナ装置では、隣接する複数の移相器形
成領域にまたがって各移相器2−1,2−2が形成され
る。このため、第1及び第2の移相回路層145,14
9の各層において、移相器2−1,2−2の1個あたり
の形成スペースを広くとることができる。したがって、
誘電率が高い誘電体を使用しなくても、3ビット以上の
移相器2−1,2−2を形成することができる。
【0105】また、移相器2−1,2−2には、移相器
2−1,2−2をコンパクトに形成するための最良の形
状がある。図17に示されるように各移相器2−1,2
−2を形成することによって、移相器2−1,2−2の
最良の形状を崩さずに各移相器2−1,2−2を形成す
ることができる。このため、移相器2−1,2−2の集
積度が上がるので、フェーズドアレーアンテナ装置を小
型化することができる。
【0106】図19は、図17に示されたフェーズドア
レーアンテナ装置の他の構成を示すアンテナ部7の断面
図である。図19に示されるように、移相器2−1の一
部2−1aと他部2−1bとを異なる移相回路層145
a,145bに形成し、移相器2−2の一部2−2aと
他部2−2bとを更に異なる移相回路層149a,14
9bに形成してもよい。このように、各移相器2−1,
2−2をそれぞれ複数の移相回路層にわたって形成すれ
ば、各移相器2−1,2−2を形成することができるス
ペースが増える。
【0107】例えば、移相回路層145a,149a
に、図18と同様に、移相量が2π/2i(i=1,
2,3,4)の移相回路を形成し、移相回路層145
b,149bに、移相量が2π/2i(i=5,6,
7,8)の移相回路を形成することができる。これによ
り、各移相器2−1,2−2のビット数を更に高めるこ
とができるので、放射ビームの走査の1ステップを小さ
くすることができる。
【0108】なお、移相器2−1,2−2はそれぞれ、
放射素子1−1,1−2に対応する移相器形成領域と、
隣接する移相器形成領域のうちの1個とにまたがって形
成されてもよいし、隣接する移相器形成領域のうちの2
個以上とにまたがって形成されてもよい。また、移相器
2−1,2−2はそれぞれ、放射素子1−1,1−2に
対応する移相器形成領域と、隣接する移相器形成領域
と、隣接する移相器形成領域に更に隣接する移相器形成
領域とにまたがって形成されてもよい。なお、図19に
おいて、121,123,125,127,129は電
磁結合層を構成する導電板である。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、位相
制御層を多層化することによって、放射素子の素子間隔
にかかわらず、各移相器を形成することができるスペー
スを増やすことができる。これによって、寸法の小さい
移相器を使用しても、放射素子の素子間隔を広げずに、
各移相器のビット数を高めることができる。したがっ
て、本発明によれば、小型のフェーズドアレーアンテナ
装置で、放射ビームの走査範囲を狭めることなく、細か
いビーム走査が可能になる。
【0110】また、請求項2記載の発明では、分布定数
回路と、放射素子に供給される信号が流れる分布定数線
路にこの分布定数回路を選択的に接続するスイッチ素子
とからなる複数の移相回路によって移相器を構成する。
これによって、移相器を小型化することができる。そし
て、この移相器を使用することによって、小型のフェー
ズドアレーアンテナ装置を構成することができるととも
に、放射ビームの走査範囲を狭めることなく、細かいビ
ーム走査が可能になる。
【0111】また、請求項3記載の発明では、互いに隣
接する2個の放射素子にそれぞれ結合された移相器を、
位相制御層の異なる層にそれぞれ形成する。さらに、各
移相器を、各移相器が結合された放射素子に対応する移
相器形成領域とこれに隣接する移相器形成領域とにまた
がって形成する。これによって、各層において移相器1
個あたりの形成スペースが広くなるので、移相器の最良
の形状を崩さずに移相器を形成することができる。この
ため、移相器の集積度が上がるので、フェーズドアレー
アンテナ装置を小型化することができる。
【0112】また、請求項4記載の発明では、各移相器
を位相制御層の複数の層にわたって形成する。これによ
って、請求項3記載の発明よりも各移相器を形成するこ
とができるスペースが増えるので、各移相器のビット数
を高めることができ、細かいビーム走査が可能になる。
また、請求項5記載の発明では、請求項3又は請求項4
記載の発明に、請求項2に記載されている移相器と同様
の移相器を使用することによって、請求項2記載の発明
と同様の効果が得られる。
【0113】また、請求項6記載の発明では、移相器の
スイッチ素子として、電極及び微小可動子を備えたスイ
ッチ素子を使用する。このスイッチ素子は、電極又は微
小可動子に外部電圧を印加して、生ずる静電力によって
微小可動子に回路を開閉させる。このスイッチ素子は少
ない電力で動作するため、移相器のスイッチ素子による
消費電力を低減することができる。
【0114】また、請求項9記載の発明では、各移相器
はそれぞれ、移相量が異なる複数の移相回路によって構
成される。これによって移相器は、移相量が同じ移相回
路を含む場合に比べて、多種類の移相量を実現すること
ができる。逆に、同種類の移相量を小型の移相器で実現
することができるので、このような移相器を使用するこ
とによって、フェーズドアレーアンテナ装置を小型化す
ることができる。また、請求項11記載の発明では、各
移相器はそれぞれ、同数の移相回路によって構成された
同じ移相器である。これによって、所望の方向に精度よ
く放射ビームを形成することができる。
【0115】また、請求項12記載の発明によれば、各
放射素子が二次元的に配置されるので、放射ビームを二
次元的に走査することができる。また、請求項13記載
の発明では、各放射素子が規則的に配置される。各移相
器の制御にはすべての放射素子の位置がかかわってくる
ので、各放射素子を規則的に配置することによって、移
相器の制御が簡単になる。また、請求項14記載の発明
では、各移相器を各放射素子毎に設ける。これによっ
て、各放射素子毎に信号の位相を制御することができる
ので、所望の方向に精度よく放射ビームを形成すること
ができる。
【0116】また、請求項16記載の発明では、位相制
御層を構成する各層に、各移相回路によって構成される
移相器を駆動するための薄膜トランジスタ回路を、各移
相回路とともに一体的に形成する。これによって、従来
外付けされていた移相器の駆動用ICを配置するための
スペースを除去することができるので、フェーズドアレ
ーアンテナ装置を小型化することができる。
【0117】また、請求項17記載の発明では、薄膜ト
ランジスタ回路にデータラッチ回路を設け、すべてのデ
ータラッチ回路に同一のタイミング信号を与える。これ
によって、すべての移相器の移相量を同時に変えること
ができるので、すべての放射素子の放射方向を一斉に切
り替えることができる。また、請求項18記載の発明に
よれば、データラッチ回路がマトリックス状に配置され
るので、データラッチ回路を含む薄膜トランジスタ回路
の配線の数を少なくすることができる。
【0118】また、請求項19記載の発明では、放射素
子層と位相制御層との間に第1の遮蔽板を配置し、位相
制御層を構成する各層間に第2の遮蔽板を配置し、さら
に第1及び第2の遮蔽板にそれぞれ第1及び第2の結合
手段を形成する。第1及び第2の結合手段を介して、位
相制御された信号のみを放射素子に結合されることがで
きるので、放射素子から所望の電波を放射させることが
できる。また、請求項20記載の発明では、第1及び第
2の結合手段を結合ホール、結合プローブ及び結合スル
ーホールのうちの何れか1つとする。第1及び第2の結
合手段を結合ホールとすれば、容易に形成することがで
きる。また、第1及び第2の結合手段を結合プローブと
すれば、信号のエネルギー損失を少なくすることができ
る。
【0119】また、請求項22記載の発明では、分布定
数線路の端部から信号の4分の1波長離間した分布定数
線路上の位置に、第1及び第2の結合手段を配置する。
これによって、信号の反射を抑えることができるので、
信号のエネルギー損失を抑えることができる。また、請
求項23記載の発明によれば、誘電体層をガラス又はテ
フロンで形成するので、信号のエネルギー損失と、フェ
ーズドアレーアンテナ装置の製造コストとを低減するこ
とができる。
【0120】また、請求項24記載の発明では、第3及
び第4の遮蔽板の間に電磁波を放射する給電手段を第4
の遮蔽板に配置し、この電磁波を各移相器に結合させる
第3の結合手段を第3の遮蔽板に設ける。電磁波が第3
及び第4の遮蔽板の間を伝搬するときのエネルギー損失
は小さいので、放射素子に供給される信号のエネルギー
損失を低減することができる。また、請求項25記載の
発明では、第3の結合手段を結合ホール又は結合プロー
ブとする。結合ホール又は結合プローブとすることによ
って生ずる効果は、請求項20記載の発明と同じであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるフェーズドアレーアンテナ装置
の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 アンテナ部の構造を示す展開図である。
【図3】 アンテナ部の構造を示す断面図である。
【図4】 他の結合手段を用いた場合のアンテナ部の構
造を示す局部拡大断面図である。
【図5】 第1及び第2の移相回路層の回路構成図であ
る。
【図6】 ストリップラインと結合ホールとの位置関係
を示す断面図である。
【図7】 第1の移相回路層に形成されたTFT回路の
構成を示すブロック図である。
【図8】 図7に示されたデータラッチ回路の構成を示
すブロック図である。
【図9】 図8に示されたデータラッチ回路の動作を示
すタイミングチャートである。
【図10】 第1の移相回路層に形成されたTFT回路
の他の構成を示すブロック図である。
【図11】 第2の移相回路層に形成されたマイクロマ
シンスイッチの構造を示す斜視図である。
【図12】 図11に示されたマイクロマシンスイッチ
の平面図である。
【図13】 図11に示されたマイクロマシンスイッチ
の断面図である。
【図14】 本発明によるフェーズドアレーアンテナ装
置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図15】 図14に示されたフェーズドアレーアンテ
ナ装置の第1及び第2の移相回路層の回路構成図であ
る。
【図16】 図14に示されたフェーズドアレーアンテ
ナ装置の第1の移相回路層に形成されたTFT回路の構
成を示すブロック図である。
【図17】 本発明によるフェーズドアレーアンテナ装
置の第3の実施の形態の構成を示すアンテナ部の断面図
である。
【図18】 第1の移相回路層を構成する1ユニットの
回路構成図である。
【図19】 図17に示されたフェーズドアレーアンテ
ナ装置の他の構成を示すアンテナ部7の断面図である。
【符号の説明】
1,1−1,1−2…放射素子、2,2−1,2−2…
移相器、2a,2b…移相回路、3…分配合成器、4
a,4b,81,82…データラッチ回路、5a,5b
…データ分配回路、6a,6b…TFT回路、7…アン
テナ部、8…制御装置、11a,11b,13a,13
b…制御信号、12…タイミング信号、14a,14b
…駆動信号、21,23,25,121,123,12
5,127,129…導体板、22a,24a,26a
…結合ホール、22b,24b,26b…結合プロー
ブ、22c,24c…結合スルーホール、27…底板、
28…リング、29…同軸給電部、30…同軸コネク
タ、41…放射素子層、42,44、46,48,50
…誘電体層、43,47,51…電磁結合層、45,4
9,145,149,145a,145b,149a,
149b…移相回路層、52…ラジアル導波路、61
a,61b…ストリップライン、62a,62b…スト
リップ線路、63a,63b…接地、64a,64b…
マイクロマシンスイッチ、71…信号線駆動回路、72
…走査線駆動回路、73…信号線、74…走査線、91
…電極、92…微小可動子、93…支持部材。

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面的に配置された複数の放射素子と、 各放射素子に結合されかつ前記各放射素子に供給される
    信号の位相を制御する 複数の移相器とを備えたフェーズドアレーアンテナ装置
    において、 前記各放射素子が形成された放射素子層と、 前記各移相器が形成された位相制御層とからなる多層構
    造を有し、 前記各移相器はそれぞれ、少なくとも1個の移相回路を
    含み、 前記位相制御層は、少なくとも1個の前記移相回路がそ
    れぞれ形成された複数の層からなる多層構造を有するこ
    とを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  2. 【請求項2】 平面的に配置された複数の放射素子と、 各放射素子に結合されかつ前記各放射素子に供給される
    信号の位相を制御する複数の移相器とを備えたフェーズ
    ドアレーアンテナ装置において、 前記各放射素子が形成された放射素子層と、 前記各移相器が形成された位相制御層とからなる多層構
    造を有し、 前記各移相器はそれぞれ、前記信号が流れる分布定数線
    路と、 この分布定数線路に接続される複数の移相回路とを含
    み、 前記位相制御層は、少なくとも1個の前記移相回路とこ
    の移相回路が接続される前記分布定数線路とがそれぞれ
    形成された複数の層からなる多層構造を有し、 前記各移相回路はそれぞれ、分布定数回路と、 前記分布定数線路の途中に前記分布定数回路を選択的に
    接続することによって前記信号の位相を変化させるスイ
    ッチ素子とを備えることを特徴とするフェーズドアレー
    アンテナ装置。
  3. 【請求項3】 平面的に配置された複数の放射素子と、 各放射素子にそれぞれ結合されかつ前記各放射素子に供
    給される信号の位相を制御する複数の移相器とを備えた
    フェーズドアレーアンテナ装置において、 前記各放射素子が形成された放射素子層と、 前記各移相器が形成された位相制御層とからなる多層構
    造を有し、 さらに、前記位相制御層は、複数の層からなる多層構造
    を有し、 前記位相制御層を構成する各層はそれぞれ、前記各放射
    素子の素子間隔によって規定されかつ前記各放射素子に
    それぞれ対応する複数の移相器形成領域を有し、 前記各放射素子のうちの1個の放射素子に結合された前
    記移相器は、前記位相制御層を構成する各層のうちの一
    層における前記1個の放射素子に対応する前記移相器形
    成領域とこの移相器形成領域に隣接する前記移相器形成
    領域とにまたがって形成され、 前記1個の放射素子に隣接する他の1個の放射素子に結
    合された前記移相器は、前記位相制御層を構成する各層
    のうちの他の層における前記他の1個の放射素子に対応
    する前記移相器形成領域とこの移相器形成領域に隣接す
    る前記移相器形成領域とにまたがって形成されることを
    特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記各移相器は、前記位相制御層を構成する各層のうち
    の複数の層にわたって形成されることを特徴とするフェ
    ーズドアレーアンテナ装置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4において、 前記各移相器はそれぞれ、前記信号が流れる分布定数線
    路と、 この分布定数線路に接続される複数の移相回路とを含
    み、 前記各移相回路はそれぞれ、分布定数回路と、 前記分布定数線路の途中に前記分布定数回路を選択的に
    接続することによって前記信号の位相を変化させるスイ
    ッチ素子とを備えることを特徴とするフェーズドアレー
    アンテナ装置。
  6. 【請求項6】 請求項2又は請求項5において、 前記位相制御層を構成する各層はそれぞれ、誘電体層上
    に形成され、 前記各移相回路に含まれる前記スイッチ素子は、前記誘
    電体層上に形成された電極と、 前記誘電体層上に形成された支持部材によって支持され
    るとともに前記電極及び前記分布定数回路と対向する位
    置に配置されかつ導体によって形成された微小可動子と
    を備え、 前記電極又は前記微小可動子に外部電圧が選択的に印加
    されることによって前記微小可動子が前記分布定数回路
    に高周波的に接続されることを特徴とするフェーズドア
    レーアンテナ装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記微小可動子は、前記電極及び前記分布定数回路と対
    向する面に形成された誘電体膜を備えることを特徴とす
    るフェーズドアレーアンテナ装置。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2及び請求項5のうち
    の何れか1項において、 前記移相回路の移相量は、前記移相器がn個(nは複
    数)の前記移相回路を含む場合、2π/2i(iはnま
    での自然数)であることを特徴とするフェーズドアレー
    アンテナ装置。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項2及び請求項5のうち
    の何れか1項において、 前記各移相器に含まれる各移相回路の移相量は、それぞ
    れ異なることを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装
    置。
  10. 【請求項10】 請求項1又は請求項2において、 前記位相制御層を構成する各層には、前記各移相器に含
    まれる前記移相回路が少なくとも1個づつ形成されるこ
    とを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  11. 【請求項11】 請求項1、請求項2及び請求項5のう
    ちの何れか1項において、 前記各放射素子に結合された前記各移相器はそれぞれ、
    同数の前記移相回路を含む同じ移相器であることを特徴
    とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項5のうちの何れか
    1項において、 前記各放射素子は、二次元的に配置されることを特徴と
    するフェーズドアレーアンテナ装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項5及び請求項12
    のうちの何れか1項において、 前記各放射素子は、規則的に配置されることを特徴とす
    るフェーズドアレーアンテナ装置。
  14. 【請求項14】 請求項1又は請求項2において、 前記各移相器は、前記各放射素子毎に設けられることを
    特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  15. 【請求項15】 請求項14において、 前記位相制御層を構成する各層はそれぞれ、前記各放射
    素子の素子間隔によって規定されかつ前記各放射素子に
    それぞれ対応する複数の移相器形成領域を有し、 前記各移相回路は、前記各移相回路に結合された前記各
    放射素子に対応する前記移相器形成領域に形成されるこ
    とを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  16. 【請求項16】 請求項2又は請求項5において、 前記位相制御層を構成する各層にそれぞれ前記各分布定
    数線路及び前記各移相回路とともに一体的に形成されか
    つ前記各移相回路の前記各スイッチ素子の入力側に接続
    されかつ前記各スイッチ素子に外部電圧を印加するため
    の薄膜トランジスタ回路を備えることを特徴とするフェ
    ーズドアレーアンテナ装置。
  17. 【請求項17】 請求項16において、 前記薄膜トランジスタ回路は、前記各移相回路の前記各
    スイッチ素子の入力側に接続されかつタイミング信号に
    よって入力データで保持データを書き換える複数のデー
    タラッチ回路を備え、 前記位相制御層に形成されたすべての前記データラッチ
    回路には同一の前記タイミング信号が与えられ、これに
    よって前記タイミング信号に同期して前記位相制御層に
    形成されたすべての前記スイッチ素子に前記外部電圧が
    一斉に印加されることを特徴とするフェーズドアレーア
    ンテナ装置。
  18. 【請求項18】 請求項17において、 前記各データラッチ回路は、マトリックス状に配置され
    ることを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至請求項5のうちの何れか
    1項において、 前記放射素子層と前記位相制御層との間に配置されかつ
    電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、 前記位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁
    波を遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、 前記第1の遮蔽板には、前記各放射素子に前記信号を結
    合させるための複数の第1の結合手段が形成され、 前記第2の遮蔽板には、前記位相制御層を構成する各層
    に前記信号を結合させるための複数の第2の結合手段が
    形成されることを特徴とするフェーズドアレーアンテナ
    装置。
  20. 【請求項20】 請求項1又は請求項2において、 前記放射素子層と前記位相制御層との間に配置されかつ
    電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、 前記位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁
    波を遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、 前記第1の遮蔽板には、前記各放射素子に前記信号を結
    合させるための複数の第1の結合手段が形成され、 前記第2の遮蔽板には、前記位相制御層を構成する各層
    に前記信号を結合させるための複数の第2の結合手段が
    形成され、 前記各第1の結合手段及び前記各第2の結合手段は、結
    合ホール、結合プローブ及び結合スルーホールのうちの
    何れか1つであることを特徴とするフェーズドアレーア
    ンテナ装置。
  21. 【請求項21】 請求項3乃至請求項5のうちの何れか
    1項において、 前記放射素子層と前記位相制御層との間に配置されかつ
    電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、 前記位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁
    波を遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、 前記第1の遮蔽板には、前記各放射素子に前記信号を結
    合させるための複数の第1の結合手段が形成され、 前記第2の遮蔽板には、前記位相制御層を構成する各層
    に前記信号を結合させるための複数の第2の結合手段が
    形成され、 前記各第1の結合手段及び前記各第2の結合手段は、結
    合プローブであることを特徴とするフェーズドアレーア
    ンテナ装置。
  22. 【請求項22】 請求項2又は請求項5において、 前記放射素子層と前記位相制御層との間に配置されかつ
    電磁波を遮蔽する第1の遮蔽板と、 前記位相制御層を構成する各層の間に配置されかつ電磁
    波を遮蔽する第2の遮蔽板とを備え、 前記第1の遮蔽板には、前記各放射素子に前記信号を結
    合させるための複数の第1の結合手段が形成され、 前記第2の遮蔽板には、前記位相制御層を構成する各層
    に前記信号を結合させるための複数の第2の結合手段が
    形成され、 前記各第1の結合手段及び前記各第2の結合手段はそれ
    ぞれ、前記分布定数線路の端部から前記信号の4分の1
    波長離間した前記分布定数線路上の位置又はこの位置の
    近傍に配置されることを特徴とするフェーズドアレーア
    ンテナ装置。
  23. 【請求項23】 請求項6において、 前記誘電体層は、ガラス又はテフロンで形成されること
    を特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  24. 【請求項24】 請求項1乃至請求項5のうちの何れか
    1項において、 前記放射素子層と反対側の前記位相制御層の表面に密着
    配置されかつ電磁波を遮蔽する第3の遮蔽板と、 この第3の遮蔽板と平行に配置されかつ電磁波を遮蔽す
    る第4の遮蔽板と、 この第4の遮蔽板に設けられかつ前記第3及び第4の遮
    蔽板の間に電磁波を放射する給電手段と、 前記第3の遮蔽板に前記各移相器毎に設けられかつ前記
    給電手段から放射されて前記第3及び第4の遮蔽板の間
    を伝搬する前記電磁波を電磁結合により取り出す複数の
    第3の結合手段とを備え、 各第3の結合手段により取り出された前記電磁波は、前
    記各移相器を介して前記各放射素子に供給されることを
    特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  25. 【請求項25】 請求項1又は請求項2において、 前記放射素子層と反対側の前記位相制御層の表面に密着
    配置されかつ電磁波を遮蔽する第3の遮蔽板と、 この第3の遮蔽板と平行に配置されかつ電磁波を遮蔽す
    る第4の遮蔽板と、 この第4の遮蔽板に設けられかつ前記第3及び第4の遮
    蔽板の間に電磁波を放射する給電手段と、 前記第3の遮蔽板に前記各移相器毎に設けられかつ前記
    給電手段から放射されて前記第3及び第4の遮蔽板の間
    を伝搬する前記電磁波を電磁結合により取り出す複数の
    第3の結合手段とを備え、 各第3の結合手段は、結合ホール又は結合プローブであ
    り、 前記各第3の結合手段により取り出された前記電磁波
    は、前記各移相器を介して前記各放射素子に供給される
    ことを特徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
  26. 【請求項26】 請求項3乃至請求項5のうちの何れか
    1項において、 前記放射素子層と反対側の前記位相制御層の表面に密着
    配置されかつ電磁波を遮蔽する第3の遮蔽板と、 この第3の遮蔽板と平行に配置されかつ電磁波を遮蔽す
    る第4の遮蔽板と、 この第4の遮蔽板に設けられかつ前記第3及び第4の遮
    蔽板の間に電磁波を放射する給電手段と、 前記第3の遮蔽板に前記各移相器毎に設けられかつ前記
    給電手段から放射されて前記第3及び第4の遮蔽板の間
    を伝搬する前記電磁波を電磁結合により取り出す複数の
    結合プローブとを備え、 各結合プローブにより取り出された前記電磁波は、前記
    各移相器を介して前記各放射素子に供給されることを特
    徴とするフェーズドアレーアンテナ装置。
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