JPH11350376A - 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置 - Google Patents

抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置

Info

Publication number
JPH11350376A
JPH11350376A JP15420798A JP15420798A JPH11350376A JP H11350376 A JPH11350376 A JP H11350376A JP 15420798 A JP15420798 A JP 15420798A JP 15420798 A JP15420798 A JP 15420798A JP H11350376 A JPH11350376 A JP H11350376A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
web
moisture content
value
dryer
speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP15420798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3509557B2 (ja
Inventor
Yoshitatsu Mori
芳立 森
Hirobumi Shimizu
博文 清水
Kenji Takao
健司 高尾
Toru Suetsugu
亨 末次
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP15420798A priority Critical patent/JP3509557B2/ja
Publication of JPH11350376A publication Critical patent/JPH11350376A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3509557B2 publication Critical patent/JP3509557B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抄紙機におけるドライヤパートの蒸気圧力を
限界圧まで上げた際の最高可能抄速を操業条件の不変時
と変更時とで予測すること。 【解決手段】 抄紙機のドライヤパートの熱平衡式とド
ライヤパートにおけるウエブ水分蒸発量の演算式とを差
分方程式に置換えて、該差分方程式に、ドライヤパート
14、18の蒸気ドラム14a、18aへ供給可能な最
大蒸気圧力と、実プロセスの定常状態に対してドライヤ
モデルをチューニングして得た乾燥速度係数kを入力し
て演算し、ドライヤパート出口におけるウエブ水分率値
の目標値に対して、演算した水分率値が所定の許容誤差
範囲内で一致するように抄速を増減補正して、最高可能
抄速をコンピュータにより予測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抄速機における生
産能率の向上を図り得る改良に関し、特に、パルプ材料
を脱水処理によってウエブ形態に形成した後に同ウエブ
を蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスとともに所定
の抄速の下に巻き付けて乾燥させながら送ることによっ
て抄紙機の出口から製品ウエブとして例えばリールに巻
き取る抄紙工程の間に、操業条件の一つである蒸気ドラ
イヤへの供給蒸気の蒸気圧を昇圧することにより乾燥の
高速化を図り、それによって実現可能な最高抄造速度
(最高可能抄速)を予測し、かつ蒸気圧の変動によるウ
エブ水分率への影響をも予測可能にする抄紙機における
最高可能抄速の予測方法と装置とに関する。
【0002】更に、本発明は、コンピュータによるシミ
ュレーション法を利用することにより、ドライヤ蒸気圧
および抄速以外の操業条件を現在値に維持した条件下に
おける抄紙機の最高可能抄速を予測する方法と装置、並
びにドライヤ蒸気圧、抄速と共にウエブ品質等の他の操
業条件の変更を行った後の最高可能抄速を予測する方法
と装置に関する。
【0003】
【従来の技術】周知のように、抄紙機の代表的な構成例
は、パルプ原料を導入するヘッドボックス、ヘッドボッ
クスから吐出されるパルプ原料の濾水を行うワイヤパー
ト、更に加圧脱水を行うプレスパート、上記二つの工程
部を経て一定限界まで脱水されたウエブを更に加熱乾燥
処理するドライヤパート等を備えて構成され、ドライヤ
パートは、蒸気熱によって前段乾燥を行うプレドライヤ
パート、サイズ剤を塗布するサイズプレスパート、後段
の加熱乾燥処理を遂行するアフタドライヤパート等を備
え、アフタドライヤパートを出たウエブはカレンダパー
トを経てリールパートで製品ウエブ(紙匹)として巻き
取られる。
【0004】上記の構成を更に詳述すると、ワイヤパー
トはエンドレスに回転するワイヤからなり、また、ワイ
ヤパートの前方にはヘッドホックス(ストックインレッ
トともいう)が設けられる。ヘッドボックスからパルプ
原料が幅方向と流れ方向に均一化されてワイヤパート上
に吐出させられ、パルプ原料は該ワイヤパート上で濾水
されて紙匹いわゆるウエブが形成される。ワイヤパート
を経たウエブはプレスパートで更に搾水された後にプレ
ドライヤパートに導かれる。プレドライヤパートには多
数の蒸気ドラムが配列され、これら蒸気ドラムはその中
に導入される蒸気によって加熱される。ウエブはプレド
ライヤパートの各蒸気ドラムに巻き付いて順次送られ、
その間に所定の水分率(%水分)まで乾燥を受ける。次
いで、ウエブはサイズプレスパートに送られ、そこでサ
イズ剤を塗布された後にアフタドライヤパートに導かれ
る。アフタドライヤパートはプレドライヤパートと実質
的に同じ構成とされ、ウエブはそこを通過する間に所定
の水分率まで乾燥を受ける。アフタドライヤパートを出
たウエブはカレンダパートを経て紙匹製品としてリール
パートにおいてロール状に巻き取られる。
【0005】上述のような抄紙機において、均質な紙匹
製品を得るためには、プレドライヤパートおよびアフタ
ドライヤパートの直後でのウエブの坪量、水分率等を検
出し、その検出データに基づいてワイヤパートへのパル
プ原料の吐出量、蒸気ドラムの蒸気圧力等をコントロー
ルしなければならない。このようなコントロールは抄紙
機に組み込まれた周知の Basis Weight & Moisture Mea
surement System (以下、BM計測システムあるいはB
M計と言う) により行われている。BM計の検出部はア
フタドライヤパートの直後に配置され、あるいは、プレ
ドライヤパートおよびアフタドライヤパートのそれぞれ
の直後に配置されおり、各検出部からの検出データはB
M計制御部に送られて処理される。BM計制御部は、各
検出部で検出された検出データ、つまり、ウエブの坪
量、水分率および抄速等に基づいてワイヤパートへのパ
ルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへの蒸気の供給圧力等を
コントロールすることにより紙匹製品の品質の均一化を
図る働きをしている。
【0006】上述したBM計のコントロール機能を利用
して発明者等は、特開平8−60582号において抄替
制御等について開示している。これによれば、所定坪量
の紙匹製品の製造が終了した後に別の坪量の紙匹製品、
つまり銘柄の異なる紙匹製品を製造する(これは抄替と
呼称されている)場合、抄紙機は停止することなくワイ
ヤパートへのパルプ原料の吐出量や蒸気圧力等の操業条
件を変更することにより抄替が可能となる。このような
抄替時には、蒸気ドラムの蒸気圧力、抄速の操業条件等
も大巾に変わることになるが、過去の実績値に基づいた
予測式を用いて、蒸気ドラムの蒸気圧力等を予測して制
御することにより新たな抄造工程へ移行させるコントロ
ールが可能となる。すなわち、プレドライヤパートに含
まれる蒸気ドラムの蒸気圧力を適宜調節することによ
り、新たな坪量のウエブの水分率が該プレドライヤパー
トの直後で所定の目標値となるように、またアフタドラ
イヤパートに含まれる蒸気ドラムの蒸気圧力を適宜調節
することにより新たな坪量のウエブの水分率が該アフタ
ドライヤパートの直後で所定の目標値となるように抄替
制御が行われる。
【0007】他方、プレドライヤパートおよびアフタド
ライヤパートでウエブが各蒸気ドラムを通過する際にウ
エブがどのように乾燥するかについては適当な乾燥モデ
ルを用いてコンピュータによるシミュレーション計算す
ることが可能であり、これにより抄替時に新たな坪量の
ウエブの水分率を目標値とするために必要とされる蒸気
ドラムへの蒸気の圧力を予測して算出することができ
る。又、乾燥モデルを利用したシミュレーション計算の
方法として、以下の文献も挙げることができる。
【0008】1. John A. Depoy氏の"Analog computer s
imulation of paper drying a workable model (PULP A
ND PAPER OF CANADA, vol. 73, No. 5, p67,May, 197
2)"しかし、BM計を用いて抄紙機の最高可能抄速をリ
アルタイムに算出するものは未だ提供されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような製品水分の
制御は、製品紙匹の高品質化には欠くことのできない要
件であるが、他方、抄造工程において既存の抄紙機の設
備能力を最大限に活用して抄紙機出口における取得製品
量を効率的に上げること、つまり生産能率の向上を図る
こと、更に、製品紙匹の品質を維持しつつなお可及的に
大きな抄速を確保して生産性を維持することが要望され
ている。
【0010】その上、通常の抄紙操業時においても、抄
紙機が、有する最大限の能力で運転されているかどうか
を確認できることは、抄紙機の性能維持と保守等の観点
からも極めて重要である。一般に、ボイラー等の蒸気供
給装置から抄紙機に供給できる蒸気圧力は、供給側の供
給能力のみならず、蒸気を消費する側の装置の耐圧力に
よって上限圧力(供給可能な最大蒸気圧力)が決まって
おり、抄紙機の最高可能抄速は、この供給可能な最大蒸
気圧力によって左右される。
【0011】また、抄紙機の最大能力を最高可能抄速と
してとらえた場合、この最高可能抄速は、抄紙する紙の
品種や最大蒸気圧力の他に、気温、湿度、パルプ温度、
水温、装置の調整と整備状況等の諸条件によっても変化
するものであり、精度のある数値を求めるためには、抄
紙機の実操業における運転条件を直接取り込んで算出す
る必要がある。
【0012】本願の発明者らは、上述の要望や観点から
抄紙機におけるドライヤパートに着目し、プレドライヤ
パート、アフタドライヤパートの二つのドライヤパート
のみならず、単一または二以上の複数のドライヤパート
を有する抄紙機においても、蒸気ドラムに対する蒸気圧
力の供給能力における制限範囲内で可能な最高抄速を予
測する方法と手段を開発したものである。
【0013】勿論、ドライヤパートにおけるウエブ(湿
紙)の乾燥工程は極めて複雑な工程であり、各蒸気ドラ
ムに対する蒸気供給における蒸気ラインの開閉をバルブ
操作によって調節し、また多数の蒸気ドラムの周囲にウ
エブ(湿紙)を巻き付けて送り、この間に蒸気ドラムの
熱によって湿紙を蒸発乾燥させるものであるから、ドラ
イヤ周辺の雰囲気温度や湿度状態等によって微妙にウエ
ブの乾燥状態に変化を来すものであるが、発明者等は、
抄紙機の実操業における実機ドライヤに対して簡単なシ
ミュレーションモデルを導入してコンピュータによる演
算を用い、各ドライヤパートの能力限界に基づいた最高
可能抄速を予測する方法を開発した。
【0014】従って、本発明の目的は、抄紙機における
ドライヤパートにおける蒸気圧力の供給制限を考慮し、
抄紙機の現運転時点における運転条件に対応する最高可
能抄速を予測する方法とそれを実行する装置を提供する
ことである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的に鑑みて、本
発明は、ドライヤパートにおけるウエブ(湿紙)の乾燥
状態を、シミュレーションモデルとして簡略化したドラ
イヤモデルを用いてドライヤパートにおける蒸気ドラ
ム、ウエブ(湿紙)、同湿紙と共に移動するキャンバス
等に関する熱平衡式を差分方程式に書き直し、これらの
差分方程式に基づいてコンピュータによって演算を繰り
返し実行してドライヤモデルの乾燥条件を実際の抄紙機
における抄造の操業状態に合せ込み、その場合のウエブ
の乾燥に関する係数を求め、この求めた係数は不変であ
ると仮定して、各ドライヤパートの蒸気ドラムに対して
最大蒸気圧力により蒸気を供給した場合の同各ドライヤ
パートの出口におけるウエブ水分率が目標水分率と所定
の許容範囲内で一致するまで抄速を変更して差分方程式
の演算を繰り返し、変数としての抄速の最高値を最高可
能抄速と予測するものである。更に、品種替え等の場合
のように抄速およびドライヤへの供給蒸気圧力値以外の
操業条件を変更した場合には、差分方程式の演算過程で
変更後の操業条件変数をも取り入れて、操業条件変更後
の各ドライヤパート出口における目標水分率に対して所
定の許容範囲内で水分率が一致する最高可能抄速を予測
するものである。
【0016】すなわち、本発明の第一は、ドライヤパー
トの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けて
ウエブを乾燥させる抄紙機において、抄速とドライヤ蒸
気圧力以外の操業条件を変えないで、供給可能なドライ
ヤ蒸気圧力から運転可能な最高可能抄速を算出し、該最
高可能抄速を出力する、コンピュータを用いた最高可能
抄速予測方法であって、前記ドライヤパートの各蒸気ド
ラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に熱平
衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直し、検
出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪
量、抄速、ドライヤパート出口のウェブ水分率値の各値
を取り込み、前差分方程式に初期値を与えると共にウェ
ブの移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を
繰り返し解いて、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率
推移パターンを求めることにより、前記ドライヤパート
出口におけるウェブ水分率値を求め、該求めたドライヤ
パート出口ウェブ水分率値が前記検出器により取り込ん
だ実際の検出値に対し所定の許容範囲内にあるか否かを
判断し、該判断によって前記水分率値が所定の許容範囲
内から外れると判断された際にウェブの乾燥に関する係
数を補正してウェブ水分率推移パターンを再度求め、ド
ライヤパート出口の水分率値が実際の検出値に所定の許
容範囲内で一致するまで上記演算と判断とを繰り返すこ
とにより、定常状態のドライヤパート出口のウェブ水分
率値とウェブの乾燥に関する係数とを求め、更に、定常
状態における該乾燥に関する係数と蒸気ドラムへ供給可
能な最大蒸気圧力とを前記差分方程式に導入して、ウェ
ブの移動分に対応する所定の時間間隔で前記差分方程式
を繰り返し解き、ウェブ水分率推移パターンにおけるド
ライヤパート出口のウェブ水分値を、ウェブの目標水分
率値に所定の範囲内で一致させるべく、抄速を補正し、
算出したドライヤパート出口のウェブ水分率値がウェブ
の目標水分率値に所定の許容範囲内で一致するまで計算
を繰り返すことにより、最高可能抄速値を算出し、該最
高可能抄速値を予測値として出力することを特徴とする
抄紙機の最高可能抄速予測方法が提供される。
【0017】また、本発明の第二は、上述の予測方法を
実施すべく、ドライヤパートの蒸気ドラムにキャンバス
と共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機に
おいて、抄速とドライヤ蒸気圧力以外の操業条件を変え
ないで、供給可能な最大ドライヤ蒸気圧力から運転可能
な最高可能抄速を算出し、該最高可能抄速を出力する、
コンピュータを用いた最高可能抄速予測装置であって、
前記ドライヤパートの各蒸気ドラム、前記キャンバスお
よび前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡
式を差分方程式として記憶する記憶手段と、検出器によ
り、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪量、抄速、
ドライヤパート出口のウェブ水分率値の各値を取り込む
手段と、前記差分方程式に初期値を与えると共にウェブ
の移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰
り返し解き、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移
パターンを求めることにより前記ドライヤパート出口の
ウェブ水分率値を求める第一の計算手段と、前記ドライ
ヤパート出口のウェブ水分率値を前記検出器により取り
込んだ実際の検出値と比較する比較手段と、前記ウェブ
水分率推移パターンにおけるドライヤパート出口のウェ
ブ水分率値が前記検出器により取り込んだ実際の検出値
に対し所定の許容範囲内にあるか否かを判断する判断手
段と、該判断によって前記水分率値が所定の許容範囲内
から外れると判断された際に、該ウェブの乾燥に関する
係数を補正してウェブ水分率推移パターンを再度求め、
ドライヤパート出口の水分率値が実際の前記検出値に所
定の許容範囲内で一致するまで前述のプロセスを繰り返
すことにより、定常状態ウェブ水分率推移パターンとウ
ェブの乾燥に関する係数とを求める手段と、更に、定常
状態における該乾燥に関する係数と蒸気ドラムへ供給可
能な最大蒸気圧力とを、前記差分方程式に入力し、ウェ
ブの移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を
繰り返し演算し、供給可能なドライヤ最大蒸気圧力を供
給したときのウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移
パターンを求める計算手段と、該ウェブ水分率推移パタ
ーンにおけるドライヤパート出口のウェブ水分率値を、
ウェブ目標水分率値と比較する比較手段と、該ドライヤ
パート出口のウェブ水分率値がウェブ目標水分率値に対
し所定の許容範囲内にあるか否かを判断する判断手段
と、該判断によって該水分率値が所定の許容範囲内から
外れると判断された際に、抄速を補正してウェブ水分率
推移パターンを再度求め、ドライヤパート出口の水分率
値がウェブ目標水分率値に所定の許容範囲内で一致する
まで計算を繰り返すことにより、最高可能抄速値を算出
する演算手段と、該最高可能抄速値を予測値として出力
する出力手段とを、具備して構成された抄紙機の最高可
能抄速予測装置が提供される。
【0018】また、本発明の第三は、ドライヤパートの
蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエ
ブを乾燥させる抄紙機において、品種替え等の操業条件
変更後の運転可能な最高可能抄速を算出し、該最高可能
抄速を出力する、コンピュータを用いた最高可能抄速予
測方法であって、前記ドライヤパートの各蒸気ドラム、
前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に熱平衡式を
導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直し、検出器に
より、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪量、抄
速、ドライヤパート出口のウェブ水分率値の各値を取り
込み、前記差分方程式に初期値を与えると共にウェブの
移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り
返し解いて、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移
パターンを求め、該求めたウェブ水分率推移パターンに
おけるドライヤパート出口のウェブ水分率値が前記検出
器により取り込んだ実際の検出値に対し所定の許容範囲
内にあるか否かを判断し、該判断によって前記水分率値
が所定の許容範囲内から外れると判断された際にウェブ
の乾燥に関する係数を補正してウェブ水分率推移パター
ンを再度求め、ドライヤパート出口の水分率値が実際の
検出値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り返すこと
により、定常状態ウェブ水分率推移パターンとウェブの
乾燥に関する係数とを求め、更に、定常状態における該
乾燥に関する係数と蒸気ドラムへ供給可能な最大蒸気圧
力と操業条件変更後の操業プロセス値とを、前記差分方
程式に入力して、ウェブの移動分に対応する所定の時間
間隔で前記差分方程式を繰り返し演算し、算出したウェ
ブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート出口のウ
ェブ水分率値を、操業条件変更後のウェブ目標水分率値
に所定の許容範囲内で一致させるべく、抄速を補正し、
ドライヤパート出口のウェブ水分率値が目標水分率値に
所定の許容範囲内で一致するまで計算を繰り返すことに
より、最高可能抄速値を算出し、該最高可能抄速値を予
測値として出力するようにした抄紙機の最高可能抄速予
測方法が提供される。
【0019】また、本発明の第四は、上記予測方法を実
施すべく、蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共
にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機におい
て、品種替え等の操業条件変更後の運転可能な最高可能
抄速を算出し、該最高可能抄速を出力する、コンピュー
タを用いた最高可能抄速予測装置であって、前記蒸気ド
ライヤの各蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウェ
ブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程
式として記憶する記憶手段と、検出器により、少なくと
もドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪量、抄速、ドライヤパー
ト出口のウェブ水分率値の各値を取り込む手段と、前記
差分方程式に初期値を与えると共にウェブの移動分に対
応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解き、
ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移パターンを求
める計算手段と、前記ウェブ水分率推移パターンにおけ
るドライヤパート出口のウェブ水分率値を前記検出器に
より取り込んだ実際の検出値と比較する比較手段と、前
記ウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート出
口のウェブ水分率値が前記検出器により取り込んだ実際
の検出値に対し所定の許容範囲内にあるか否かを判断す
る判断手段と、該判断によって算出した前記水分率値が
所定の許容範囲内から外れると判断された際に、該ウェ
ブの乾燥に関する係数を補正してウェブ水分率推移パタ
ーンを再度求め、ドライヤパート出口のウェブ水分率値
が実際の前記検出値に所定の許容範囲内で一致するまで
繰り返すことにより、定常状態ウェブ水分率推移パター
ンとウェブの乾燥に関する係数とを求める手段と、更
に、定常状態における該乾燥に関する係数と蒸気ドラム
へ供給可能な最大蒸気圧力と操業条件変更後の操業プロ
セス値とを、前記差分方程式に入力する入力手段と、ウ
ェブの移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式
を繰り返し解き、操業条件変更後のウェブの移動方向に
沿うウェブ水分率推移パターンを求める計算手段と、該
ウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート出口
のウェブ水分率値を操業条件変更後のウェブの目標水分
率値と比較する比較手段と、該ドライヤパート出口のウ
ェブ水分率値が操業条件変更後のウェブ目標水分率値に
対し所定の許容範囲内にあるか否かを判断する判断手段
と、該判断によって該水分率値が所定の許容範囲内から
外れると判断された際に、抄速を補正してウェブ水分率
推移パターンを再度求め、ドライヤパート出口の水分率
値がウェブ目標水分率値に所定の許容範囲内で一致する
まで計算を繰り返すことにより、操業条件変更後のウェ
ブの移動方向に沿うウェブ水分率推移パターンと最高可
能抄速値とを算出する算出手段と、該最高可能抄速値を
出力する出力手段とを、具備して構成された抄紙機の最
高可能抄速予測装置が提供される。
【0020】なお、好ましくは、前記ウェブの乾燥に関
する係数は、ウェブの単位重量から単位時間に周りの空
気中(雰囲気中)へ移動する水分重量(H2 O Kg/Kg・
Hr)である。本発明では、これをウェブから雰囲気への
水分乾燥速度係数と称している。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実
施の形態(実施例)に基づいて、更に詳細に説明する。
先ず、図1に抄紙機の代表的な構成例を示し、この抄紙
機に本発明に係る最高可能抄速予測方法を適用する場合
の全体的なシステムの構成のブロック図を図2に示す。
【0022】なお、図3は図2に示したブロック図の部
分拡大図であり、図4は円筒状のドライヤを平面状ドラ
イヤに置き換えて理解し易くした図である。図1、図2
を参照すると、抄紙機は、ウエブ原料供給部として下端
にスライスリップを有したヘッドボックス8と、濾水用
のワイヤパート10と、機械的脱水を行うプレスパート
12と、プレドライヤパート14と、サイズプレスパー
ト16と、アフタドライヤパート18とを備えている。
尚、一般にプレドライヤパート14とアフタドライヤパ
ート18は総称してドライヤパートと呼ぶが、本発明に
おけるドライヤパート出口という表現は、各ドライヤパ
ート14、18の出口を指している。
【0023】ワイヤパート10を経たウエブWEはプレ
スパート12で更に加圧搾水され、搾水後、ウエブWE
の水分率[ウエブ水分含有量/(ウエブ乾燥時重量+ウ
エブ水分含有量)]は例えば、60%程度である。その後
にウエブWEはプレドライヤパート14に導かれる。プ
レドライヤパート14には多数の蒸気ドラム14aがウ
エブ移動方向に沿って該ウエブWEを巻き付けて上下に
挟持するように配列され、これら蒸気ドラム14aはそ
の内部に導入される蒸気によって加熱される。ウエブW
Eはプレドライヤパート14の蒸気ドラム14aに巻き
付いて順次送られ、その間に該ウエブWEは目標の水分
率まで乾燥されることになる。
【0024】次いで、ウエブWEはサイズプレスパート
16に送られ、そこでウェブにサイズ剤を塗布し、つま
りサイズ処理を受けた後にアフタドライヤパート18に
導かれる。アフタドライヤパート18はプレドライヤパ
ート14と実質的に同じ構成とされ、ウエブWEはそこ
を通過する間に所定の水分率まで乾燥される。その後、
アフタドライヤパート18を経たウエブWEはリールパ
ート36において製品としてロール状に巻き取られる。
【0025】ここで上記プレドライヤパート14および
アフタドライヤパート18は図示例では蒸気ドラム14
a、18aの設置数等に相違はあるが、実質的な構造は
同じであるので、図1、図3を参照して両ドライヤパー
ト14(18)について更に詳しく説明する。蒸気ドラ
ム14a(18a)にはエンドレスのキャンバス14b
(18b)が巻付けられ、ウエブWEは、該キャンバス
14b(18b)と共に蒸気ドラム14a(18a)間
を通過する。図3に示す例では、ドライヤパート14
(18)にはシングルキャンバスドライヤ構造(図3の
左側)とダブルキャンバスドライヤ構造(図3の右側)
との双方が設けられる。
【0026】なお、図3の各蒸気ドラム14a(18
a)に書き込まれた矢印は各ドラムの回転方向を示す。
図1では、図示の便宜上、プレドライヤパート14に配
列された蒸気ドラム14aの本数は20本としているが、
その本数は限定されない。本実施例の図2に明示するよ
うに、蒸気ドラム群14aは第1のセクション141
第2のセクション142 および第3のセクション143
に分割している。第1のセクション14 1 に含まれる蒸
気ドラム14aには共通の蒸気供給ヘッダー381 と共
通の蒸気ドレン排出ヘッダー401 とが設けられ、同様
に第2及び第3のセクション14 2 および143 のそれ
ぞれに含まれる蒸気ドラム14aにも共通の蒸気供給ヘ
ッダー382 および383 と共通の蒸気ドレン排出ヘッ
ダー402 及び403 とが設けられる。一方、アフタド
ライヤパート18に配列された蒸気ドラム群18aは第
1のセクション181 及び第2のセクション182 に分
割されている。
【0027】第1のセクション181 に含まれる蒸気ド
ラム18aには共通の蒸気供給ヘッダー421 と共通の
蒸気ドレン排出ヘッダー441 とが設けられ、同様に第
2のセクション182 に含まれる蒸気ドラム18aには
共通の蒸気供給ヘッダー42 2 と共通の蒸気ドレン排出
ヘッダー442 とが設けられている。蒸気供給ヘッダー
381 、382 及び383 のそれぞれからは配管46
1 、462 および463 が延び、これら配管461 、4
2 及び463 は、共通の主蒸気管48を介して蒸気供
給源(図示なし)に接続される。配管461 、462
び463 のそれぞれにはバルブ481 、482 及び48
3 が設けられ、これらバルブ481 、482 及び483
のそれぞれにはバルブコントローラ501 、50 2 及び
503 等が組み込まれる。蒸気供給ヘッダー381 と蒸
気供給ヘッダー382 との間にはその間の蒸気圧の差を
検出する差圧センサ52が設けられ、この差圧センサ5
2はバルブコントローラ501 に接続され、同様に蒸気
供給ヘッダー382 と蒸気供給ヘッダー383 との間に
はその間の蒸気圧の差を検出する差圧センサ54が設け
られ、この差圧センサ54は、上記バルブコントローラ
50 2 に接続される。また、蒸気供給ヘッダー383
はその蒸気圧を検出する圧力センサ56が設けられ、こ
の圧力センサ56は上記バルブコントローラ503 に接
続される。
【0028】一方、アフタドライヤパート18における
蒸気供給ヘッダー421 および42 2 のそれぞれからは
配管581 および582 が延び、これら配管581 およ
び582 は共通の主蒸気管60を介して蒸気供給源(図
示なし)に接続される。配管581 及び582 のそれぞ
れにはバルブ621 及び622 が設けられ、これらバル
ブ621 及び622 の夫々にはバルブコントローラ64
1 及び642 が組み込まれる。蒸気供給ヘッダー421
と蒸気供給ヘッダー422 との間には、その間の蒸気圧
の差を検出する差圧センサ66が設けられ、この差圧セ
ンサ66はバルブコントローラ641 に接続される。
又、蒸気供給ヘッダー422 にはその蒸気圧を検出する
圧力センサ68が設けられ、この圧力センサ68はバル
ブコントローラ642 に接続される。
【0029】蒸気ドレン排出ヘッダー401 からは配管
701 が延び、この配管701 はフラッシュタンク72
1 に接続され、同様に蒸気ドレン排出ヘッダー402
び403 のそれぞれからは配管702 及び703 が延
び、これら配管702 及び70 3 はそれぞれフラッシュ
タンク722 及び723 に接続される。なお、フラッシ
ュタンク721 、722 および723 は配管74および
76を介して互いに直列に接続される。フラッシュタン
ク721 は配管78によってドレインポンプ80に接続
される。上記フラッシュタンク722 は配管82を介し
て蒸気供給ヘッダー381 に接続され、同様にフラッシ
ュタンク723 は配管84を介して蒸気供給ヘッダー3
2 に接続される。一方、蒸気ドレン排出ヘッダー44
1 からは配管86が延び、この配管86はフラッシュタ
ンク723 に接続される。又、蒸気排出ドレンヘッダー
442 からは配管88が延び、同配管88はフラッシュ
タンク90に接続される。フラッシュタンク90は配管
92を介して蒸気供給ヘッダー421 に接続される。
【0030】上述のような構成を備えた抄紙機におい
て、均質なウエブ(紙匹)製品を得るためには、プレド
ライヤパート14及びアフタドライヤパート18の直後
でウエブの坪量、水分率等を検出してその検出データに
基づいてパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへの蒸気の圧
力及び抄速を制御しなけらばならない。このような制御
自体は、既述のように周知のBM計測システムを抄紙機
に組み込むことにより行われる。
【0031】本実施形態の抄紙機では、BM計測システ
ムはプレドライヤパート14の直後に設けられた第1の
検出部94と、アフタドライヤパート18の直後に設け
られた第2の検出部96と、これら検出部94および9
6から検出された検出データを処理して抄紙機の作動を
制御するBM計制御部98とから構成される。勿論、ド
ライヤパートを更に増設した構成をとる場合には、その
直後にもBM計制御部98に直結する第1、第2の検出
部94、96と同様の検出部が設けられることは自明で
ある。又、ドライヤパートの数を1つとし、BM計が1
台で構成されていてもよい。
【0032】第1の検出部94はプレドライヤパート1
4を経た直後のウエブWEの坪量や水分率等を検出し、
また第2の検出部96はアフタドライヤパート18を経
た直後のウエブWEの坪量、水分率等を検出する。BM
計制御部98には、既述のパルプ原料供給配管30に対
して設けられたバルブ34が接続され、該BM計制御部
98からの制御信号によりバルブ34の開度が調節さ
れ、これによりヘッドボックス(ストックインレット)
8へのパルプ原料の流量が制御される。すなわち、BM
計制御部98はバルブ34の開度を調節することによ
り、ウエブWEの坪量を制御する。また、BM計制御部
98にはプレドライヤパート14で蒸気ドラム14aを
駆動する駆動モータの速度信号も入力されており、これ
により抄速が検出され、この抄速に対応する原料供給流
量(バルブ34)や蒸気ドラムに供給する蒸気圧が制御
される。なお、図示されていないが、プレドライヤパー
ト14、アフタドライヤパート18は蒸気ドライヤ14
a、18aをそれぞれ駆動する駆動機構が設けられてい
る。
【0033】更に、BM計制御部98には、プレドライ
ヤパート14の第1、第2および第3のセクション14
1 、142 および143 のそれぞれに設けられたコント
ローラ501 、502 および503 と、アフタドライヤ
パート18の第1および第2のセクション181 及び1
2 のそれぞれに設けられたコントローラ641 および
642 とが接続され、該BM計制御部98からは各コン
トローラ501 、50 2 、503 、641 、642 に制
御信号を送り、これにより各セクション141、14
2 、143 、181 、182 の蒸気ドラム14a、18
aへの蒸気圧力の設定データ値に対する増減がバルブの
開閉調節により制御される。
【0034】なお、各蒸気バルブ481 、482 、48
3 、621 、622 の開度を調整する各コントローラ5
1 、502 、503 、641 、642 の制御はそれら
と対応して設けられた該当センサ52、54、56、6
6、68から検出される蒸気圧力データに基づいて行わ
れる。つまり、第1および第2の検出部94および96
で検出された検出データ(ウエブの坪量、水分率等)を
BM計制御部98で処理し、それに基づいてヘッドボッ
クス8からワイヤパート10へのパルプ原料の吐出量、
各セクション141 、142 、143 、181 、182
の蒸気ドラム14a、18aへの蒸気供給圧力を抄速に
対応するように制御することにより、所定の製品を製造
できる。
【0035】なお、上記の第1、第2検出部94、96
においては、上述したウェブの坪量と水分率値を検出す
ると共に、適宜に抄造ラインに配設された検出手段に依
る各ドライヤパートの周囲乾球温度、周囲湿球温度等の
検出値、プレスパート出口におけるウエブ水分率、キャ
ンバスの温度等のデータもBM計制御部98へ送信さ
れ、処理される構成となっている。
【0036】以上で述べた抄紙機及びその作動制御自体
は周知であるが、周囲温度、湿度等の運転条件は日々変
化しており、このような外部条件に対応した運転が必要
である。本発明はこのような抄紙機における各ドライヤ
パート14、18における加熱乾燥能力を限界能力に設
定した場合、つまり供給される蒸気圧力を最大能力値に
設定した場合に、ウエブWEの水分率を目標水分率に対
して許容し得る所定の誤差範囲内に維持しつつ、どこま
で抄速を増加させ得るか、すなわち、抄紙機の現操業条
件に対応する最大可能抄速をコンピュータを用いたシミ
ュレーション手法に基づいて予測し、抄造における生産
性の向上を図ると共に操業条件の限界を知って、抄紙機
の許容運転限界を予測可能にせんとするものである。
【0037】このとき、本発明による最大可能抄速予測
の遂行に当たっては、ドライヤパートの簡略化した数学
モデル(ドライヤモデル)をコンピュータに入力し、こ
のドライヤモデルを用いてドライヤのドラム、ウエブW
E、キャンバス等に関して熱平衡式をたて、これらの熱
平衡式を差分方程式に書き換え、上記BM計制御部98
より取り込んだデータおよび所要の初期値を導入して演
算を実行することにより、先ず、数学モデルによる演算
値を実際の抄紙プロセスにおける各ドライヤパートの所
定の箇所の実測値に合わせ込む所謂、チューニングを遂
行する。そして、このようなチューニング演算処理を実
行後に本発明に係る最高可能抄速の予測演算の実行をお
こなうものである。
【0038】すなわち、上記のチューニング演算の処理
後に、一定の仮定条件の下に各ドライヤパート14、1
8における供給蒸気圧を限界能力まで高めた場合におけ
る可能な最高抄速を予測する演算処理をコンピュータに
よって実行するものである。なお、ここではドライヤモ
デルとしてこれに限定するものではないが、簡略化して
図4に示したドライヤモデルを用いた実施の形態に基づ
いて説明する。
【0039】図4のドライヤモデルは、円筒ドライヤを
平板(アイロン)として理解し易くしたものであり、図
3に示したドライヤ構造と等価と仮定した。即ち、図3
では、ウエブWEはキャンバス14b(18b)と共に
蒸気ドラム14a(18a)に巻き付いて通過する間
に、その蒸気ドラム14a(18a)から熱を受けて乾
燥されるが、これは図4に示すように所定の間隔で固定
配置されたアイロン14a′( 18a′)と、それらア
イロン14a′(18a′)上に適宜組み込まれたキャ
ンバス部14b′(18b′)とによって形成される通
路にウエブWEを通過させて該ウエブWEを乾燥させる
場合と等価である。要するに、図3でウエブWEが蒸気
ドラム14a( 18a)からキャンバス14b(18
b)を介して熱を受ける区間は、図4ではウエブWEが
アイロン14a′( 18a′) からキャンバス部14
b′( 18b′) を介して熱を受ける区間に対応し、ま
た図3でウエブWEが蒸気ドラム14a( 18a)から
直接的に熱を受ける区間は、図4ではウエブWEがアイ
ロン14a′( 18a′)から直接的に熱を受ける区間
に対応する。何れのアイロン14a′(18a′)から
も熱を受けない区間としては、この例では、ウエブWE
がキャンバス部14b′( 18b′) と接触した区間
と、ウエブWEが単独になる区間とがあり、この2つの
区域では水分蒸発によるウエブWEからの気化熱奪取に
よって同ウエブWEの冷却が進行する領域である。な
お、図4において、ウエブWEからの水分が蒸発してい
く状態を多数の矢印で示している。
【0040】図4に示したドライヤモデルに基づいて、
蒸気ドラム14a′( 18a′)と、キャンバス14b
( 18b)と、ウエブWEとの各要素について熱平衡式
をたてると、以下のようになる。 蒸気ドラムについて: (LD ・ ρD ・ C D )・dT1/dt = [h S ・(T S - T1) - h DW・(T1 - T2)] …… (1) ウエブWEについて: (LW ・ ρW ・ C W )・dT2/dt = [h DW・ T1 - (h DW + hWC)・T2 + hWC・ T3 - V・ K ・(P W - P ad)・H] …… (2) キャンバスについて: (LC ・ ρC ・ C C )・dT3/dt = [h WC・ T2 - (h WC + ha )・T3 + ha ・ T a ] …… (3) 上記式中のパラメータは以下の通りである。
【0041】 LD : ドラム厚さ (m) LW : ウエブ厚さ (m) LC : キャンバス厚さ (m) TS : ドラム内蒸気温度 (℃) Ta : 外気温度 (℃) T1 : ドラム代表温度 (℃) T2 : ウエブ代表温度 (℃) T3 : キャンバス代表温度 (℃) CD : ドラムの比熱 (kcal/kg ・ ℃) CW : ウエブの比熱 (kcal/kg ・ ℃) CC : キャンバスの比熱 (kcal/kg ・ ℃) ρD : ドラムの密度 (kg/m3) ρW : ウエブの密度 (kg/m3) ρC : キャンバスの密度 (kg/m3) hS : ドラム内蒸気とドラム内表面との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) hDW: ドラム外表面とウエブ面との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) hWC: ウエブ表面とキャンバスとの間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) ha : キャンバスと外気との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) V : 水分蒸発強度係数 (--) (ここで、水分蒸発強度係数とは、恒率乾燥、減率乾燥
といったウエブ水分率により変化する水分蒸発強度を表
す係数であり、無単位である) K : ウエブから雰囲気への水分乾燥速度係数 (H2O kg/kg ・ Hr.) PW : ウエブ温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m2) Pad: 外気湿球温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m2) H : 水の気化熱 (kcal/H2O kg) t : 時間 上述の諸量において、ドラム厚さ、キャンバス厚さ、ウ
エブ、ドラム、キャンバスの比熱、ドラムおよびキャン
バス密度等は、予め既知データであり、その他のデータ
値は現在値が順次に検出されるものである。
【0042】上記の熱平衡式(1) は、ドラム材料の蓄熱
量の時間に対する変化率がドラム内蒸気からドラム材料
に流入する熱とドラム材料から流出する熱との差に等し
いという条件に基づくものであり、上記式(2) 及び式
(3) についても同様の考え方によるものである。ところ
で、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周まわりの任意箇
所における温度変化に注目すると、その箇所の温度はウ
エブとの接触により低下し、ウエブからの離脱により上
昇することになる。
【0043】本発明の実施の形態としては、抄造プロセ
スに沿って所定の抄速度で移動するウエブWEのドライ
ヤパートないしドライヤモデルによる乾燥現象は、非常
に複雑であることに鑑みて、簡単化のために水分蒸発強
度係数 V、水分乾燥速度係数K、ウエブ温度における水
の飽和蒸気圧力 PW 、外気湿球温度での水の飽和蒸気圧
力 Padを用い、ウエブから外気への水分蒸発量ΔW (H2O
kg/cm2)は、下記の式(4) に示すように、上記P W とP
adとの差、V 、K の積に比例するものとの近似を導入す
ることを起点としてシミュレーションを進めるものであ
る。すなわち、 ΔW =V ・K ・(PW - P ad) ・Δt ……(4) なお、Δt はウエブが乾燥作用を受ける時間長(すなわ
ち、計算時間間隔)である。
【0044】ここで、更なる前提条件としてドライヤパ
ートの上記ドラムが定常状態にある条件下で考察する場
合には、数学モデルとしての図4のドライヤモデルの表
面温度(T1) は、時間変化に対して一定状態であるため
に、dT1/dt=0と置けるから、前述した式(1) は、次の
式(5) に変形することができる。 T1=[(hS ・T S ) +(hDW・T2) ]/(h S + hDW) ……(5) 更に、上述の熱平衡式(2) および(3) を前進差分形式で
書き直すと、以下のようになる。
【0045】すなわち、式(2) は dT2/dt = (T2(NOW) - T2(OLD) )/Δt T2(NOW) = T2(OLD) + [ Δt/(LW ・ ρW ・ C W ] ・ [hDW・ T1(NOW) - (hDW + hWF )・ T2(OLD) + h WF・ T3(NOW) - V ・ K ・(P W - P ad)・H] …… (6) また、式(3) は dT3/dt = (T3(NOW) - T3(OLD) )/Δt T3(NOW) = T3(OLD) + [ Δt/(LF ・ ρF ・ C F ] ・ [hWF・ T2(NOW) - (hWF + ha )・T3(OLD) + h a ・ T a ] …… (7) これらの(6) 、(7) 式において、サフィックスNOW は、
時刻OLD のΔt 時間後の該当変数の変化値を表す。
【0046】上述した式(4) 〜(7) に対してBM計制御
部に入力されている各ドライヤパート14、18への供
給蒸気圧力、抄速、ウエブ坪量、ウエブ水分率等の実測
データを取り込み、また乾燥速度係数 Kに経験的に適宜
の初期値を与えて陽解法で解くシミュレーション演算を
実行する。かくして、式(5) からモデル表面温度T1を、
また、式(6) からウエブ温度を、式(7) からキャンバス
温度をそれぞれ演算し、更に、式(4) よりウエブから外
気中への水分蒸発量ΔW を演算する。そして、水分蒸発
量ΔW の算出値を基にして差分方程式(5) 、(6) 、(7)
の計算時間刻み毎にウエブ含有水分量から引き算しなが
らウエブ中の各計算時刻毎の水分率を順次求める。
【0047】この場合に、シミュレーション演算では、
実際の抄紙機の抄造工程、つまり実プロセスとの誤差は
避けられない。すなわち、実プロセスではそれぞれプレ
ドライヤパート14およびアフタドライヤパート18の
出口に設置した検出部94、96によってウエブの水分
を常時測定している。故に、図4に例示するドライヤモ
デルを用いるシミュレーション演算によって算出するウ
エブの各ドライヤパート出口水分率値が、実プロセスで
検出部94、96に検出されるウエブ水分率値と一致す
るように各ドライヤモデルにおける各ドライヤパート毎
のウエブの乾燥速度係数 Kの値を調節補正する手法をと
る。即ち、K の値を加減するように補正しながらシミュ
レーション演算を繰り返し、実プロセスにおけるウエブ
の検出水分値と許容範囲内で略一致するように合わせ込
む、所謂、チューニングをおこない、チューニングが達
成した時の乾燥速度係数 Kの値を求める。
【0048】勿論、乾燥速度係数 Kは、プレドライヤパ
ートおよびアフタドライヤパートの各々についてそれぞ
れ求めることは言うまでもない。また、必要に応じて他
にもドライヤパートを更に備えた抄紙機の抄造プログラ
ムに就いて考察する場合には、それらのドライヤパート
に関しても乾燥速度係数 Kを求めることは言うまでもな
い。
【0049】又、本実施形態では、上述のように演算に
よって算出した水分率値を、検出した水分率値に収束さ
せるために、乾燥速度係数 Kの値を補正して合わせ込む
方法を用いるが、この補正し合わせ込む数値は、乾燥速
度係数 Kに限定されるものではなく、例えば、既述した
熱伝達率(hDW、hWC等)を補正し、合わせ込んでもよ
く、ウェブの乾燥に関する係数であれば、使用可能であ
ることを理解すべきである。
【0050】上述の例にあっては、シミュレーション演
算の実行の中枢となるコンピュータは、図2に示すよう
に従来のBM計測システムの制御部98に接続された高
速マイクロコンピュータ100からなり、このマイクロ
コンピュータ100は手動入力手段例えばキーボード1
02および適当な表示装置例えばCRT(図示されな
い)等を含むものである。
【0051】上述した抄紙機の定常状態シミュレーショ
ンにおけるチューニング処理は図5に示すように実行さ
れる。先ず、ステップ701では、マイクロコンピュー
タ100は操業中の抄紙機のBM計制御部から抄速、坪
量、各ドライヤパート出口ウエブ水分率値(即ち、検出
部94および96でのウエブ水分率検出データ)、各ド
ライヤセクション14 1 、142 、143 、181 、1
2 での蒸気圧力、ドライヤセクション間の圧力差値、
フラッシュタンク〜ドライヤセクション間の圧力差値、
ウエブのアッシュ(灰分)含有率、サイズプレスパート
におけるサイズ塗布量、サイズ濃度等、ドライヤパート
14の導入部でのウエブ水分率、各ドライヤパート1
4、18での湿球および乾球空気温度等のプロセス値を
取り込む。また、これらのデータは各検出部で検出さ
れ、BM計制御部に入力される構成となっている。な
お、図5においては、取り込みデータをやや簡略して示
してある。
【0052】次いで、ステップ702では、ウエブWE
の水分乾燥速度係数 Kを経験値等から適正な値に設定
し、又ステップ703では、各ドライヤセクション14
1 、142 、143 、181 及び182 での蒸気圧力を
蒸気温度に換算する。ステップ704、705および7
06のそれぞれでは、各ドライヤセクション141 、1
2 、143 、181 、182 の各部所で上記式(5) 、
式(6) および式(7) に基づいてウエブWE温度、キャン
バス14b、18bの温度および蒸気ドラム14a、1
8aの温度を計算する。
【0053】次いで、ステップ707では、それら計算
温度から上記式(4) に基づいてウエブWEからの水分蒸
発量を計算し、続いてステップ708では、上記式(8)
に基づいてウエブWEの水分率を計算する。ステップ7
09では、各ドライヤセクション141 、142 、14
3 、181及び182 で所定の時間間隔で全ドライヤパ
ートでのウエブWEの水分率が計算されたか否かが判断
される。詳述すると、図4のドライヤモデルを用い、適
当な微小な時間幅Δt(例えば、20mm秒程度)毎にウエ
ブWEの水分率が計算される。このような時間幅Δt毎
の計算が全てのドライヤセクション141 、142 、1
3 、181 及び182 について行われると、ウエブ水
分率の推移パターンは図6に示したものとなる。
【0054】ステップ710では、上述のように計算さ
れたウエブ水分率パターンのうちの2つの水分率データ
が実際の検出値と比較される。即ち、プレドライヤパー
ト14を経た直後のウエブ水分率PM(図6中央部)は
BM計の検出部94で実測されたウエブ水分率値(検出
値)と比較され、又アフタドライヤパート18を経た直
後のウエブ水分率AM(図6右端部)はBM計検出部9
6で実測されたウエブ水分率値(検出値)と比較され
る。その差が予め決めた所定の許容範囲から外れると
き、ステップ711に進み、そこで乾燥速度係数 Kの値
が補正され、再び図4のモデルに基づいてシミュレーシ
ョン計算が再び行われる。ステップ710でウエブ水分
率の計算値が検出値と上記所定の許容範囲内で合致する
とステップ712に進み、そこでシミュレーションの計
算結果がマイクロコピュータ100のCRT上に表示さ
れ、かつ乾燥速度係数 Kの最終補正値が記憶される。
尚、上記所定の許容範囲は任意に設定すればよいが、例
えば、計算値と検出値の差(水分率の差:ε)がε=
0.01%程度になるように設定すればよい。但し、前
記の通りこの数値に限定するものではない。
【0055】図7は、上述した現在の操業状態を維持す
る条件下のシミュレーションにおけるチューニング処理
を適用して得られた計算実施例を示したものである。な
お、図7に示す計算実施例は、下記の条件下で遂行した
ものである。 抄速: 815m/分 ウエブ坪量(サイズ剤塗布前): 61.0g/m2 ウエブ坪量(サイズ剤塗布後): 68.0g/m2 サイズ剤(ピグメント)塗布量: 7.0g/m2 プレドライヤ: 3セクション圧力: 3.5kg/cm2 ・abs 2セクション圧力: 2.9kg/cm2 ・abs 1セクション圧力: 2.3kg/cm2 ・abs アフタードライヤ: 2セクション圧力: 2.4kg/cm2 ・abs 1セクション圧力: 1.6kg/cm2 ・abs かくして、シミュレーション演算の結果として、プレド
ライヤパートにおける乾燥速度係数、アフタドライヤパ
ートにおける乾燥速度係数、ウエブ水分値、ウエブ温度
値、キャンバス温度値、各蒸気ドラムの表面温度値等の
演算データ群を得ることができる。つまり、これらのド
ライヤモデルを用いた演算データ群から図1に示した抄
紙機における各ドライヤパート14、18の内部におけ
る状態量を知ることができるのである。
【0056】上述したシミュレーション演算によるチュ
ーニング処理は、実際の抄造プロセスにおけるプロセス
検出値を取り込んで演算し、現在の操業状態が定常的に
維持されるものとの前提条件に基づきウエブ水分率のシ
ミュレーション演算値と実測値(検出値)とが所定の許
容範囲内で一致するように、チューニングをおこなうも
のであるから、このようなシミュレーション演算の結
果、上述の如く、抄紙機の実機における各ドライヤパー
ト14、18の内部の種々の状態量を推定し得る演算結
果が得られ、図7に示す通り抄紙機の運転状態をモニタ
ーできるのである。
【0057】次に、上述したチューニング処理を達成し
た際の各ドライヤパート14、18における乾燥速度係
数 Kを用いれば、更に、抄造プロセスにおける種々の操
業条件、例えば、抄替(ウエブ品種の変更)を行う等の
操業条件の変更、又は各ドライヤパート14、18の蒸
気ドラムに対する乾燥用蒸気の供給圧力を変更した場合
に、それぞれのドライヤパート出口における水分推移状
態への影響を予測するシミュレーション演算を実行する
ことができる。即ち、現在(Now)の操業条件に対して一
部の操業条件を変更した場合(これをNextと記載する)
におけるウエブ水分推移がとのように変化するかを予測
する予測演算をも遂行することが可能である。
【0058】これは、上述した定常状態(操業条件を不
変に設定した運転状態)のチューニング処理で得たプレ
ドライヤパート14およびアフタドライヤパート18に
おけるそれぞれの乾燥速度係数 Kは、たとえ操業条件が
変更されても大幅には変化しないと言う仮定の下にシミ
ュレーション演算を進める。このようなシミュレーショ
ン演算では、例えば、操業条件における抄速、サイズパ
ート16への入口におけるウエブ坪量、リールパート3
6のウエブ坪量、プレドライヤパートおよびアフタドラ
イヤパートでの蒸気圧力、ドライヤセクション間の蒸気
圧力の差圧条件、プレスドライヤパート14の入口にお
けるウエブ湿紙の水分、ウエブのアッシュ含有率等の一
つまたは複数の操業条件に関してプロセスに対する設定
条件を変更し、次に上述した定常状態時のシミュレーシ
ョン演算の場合と同様の演算、つまり、式(4) 〜式(7)
に従う演算を実行するものである。
【0059】この場合には、変更される操業条件を除い
て、他の操業条件に就いては、定常状態における K値を
求める際に図2のBM計制御部98から取り込んだ数値
を用いればよい。次に、シミュレーション演算過程は、
上述のように、実質的に図5に示す演算過程をたどれば
良い。また、変更される操業条件の値については、ステ
ップ701におけるBM計制御部98からのデータ取り
込みに代えて、操業担当者がキーボード102から入力
設定すればよい。また、ステップ702におけるウエブ
の乾燥速度係数 Kとしては先の定常運転時のチューニン
グ処理で求めた乾燥速度係数 Kが用いられることは既述
の通りである。
【0060】そして、ステップ703からステップ70
9を実行し、ウェブ水分率値を求める。このようにして
シミュレーション演算を遂行すれば、一ないし複数の操
業条件が変更されて安定した後のNext状態(現在の操業
条件に対して一部の操業条件を変更した場合)における
各ドライヤパートの内部状態が推定演算でき、従って、
このようなコンピュータによるミュレーション演算によ
って得たドライヤパートの内部状態に関する推定演算値
から実際の抄造プロセスにおいて操業条件を変更した場
合の内部状態を予測でき、このことは、操業条件を変更
しながら抄造プロセスにおける生産性の改善や最良条件
を模索する上で有益な情報を取得可能とするものであ
る。
【0061】上述した操業条件変更によるシミュレーシ
ョン演算によって得られる内部状態の推定予測量として
は、プレドライヤ出口(サイズパート入口)におけるウ
エブ水分率、アフタドライヤパート出口(リールパート
入口)のウエブ水分率、ウエブ水分率のドライヤパート
入口から出口までの予測計算データ群、ウエブ温度、キ
ャンバス温度、各蒸気ドラムの表面温度等である。
【0062】さて、上述の説明においては、抄紙機のド
ライヤモデルを用い、現在の操業条件維持の条件下で該
モデルに関してコンピュータを用いたシミュレーション
演算を適用することで、複雑な各ドライヤパート14、
18の内部条件の変動を乾燥速度係数の変動だけにしわ
寄せさせる方法を取り、該乾燥速度係数を増減補正しな
がらチューニングを達成する手法を取り、更にはこのよ
うにしてチューニングを達成した際の乾燥速度係数を用
いて今度は操業条件を変更した場合におけるドライヤパ
ートに就いてチューニング処理を実行し、各ドライヤパ
ート14、18における水分率推移等を予測演算する手
法を説明した。
【0063】本発明の第1の形態は、このような手法に
基づいて更に抄速とドライヤドラムへの加熱用蒸気の供
給圧(蒸気圧力)以外の操業条件は現在の操業状態に維
持した場合に、抄紙機に供給可能な最大蒸気圧力を抄造
プログラムに設定した際に達成可能な抄速の最高値を予
測する方法及び装置を提供せんとするものである。更
に、本発明の第2の形態は、抄速とドライヤドラムへの
加熱用蒸気の供給圧力以外の操業条件をも変更した場合
の最大可能抄速値を予測する方法および装置を提供する
ものである。
【0064】まず、本発明の第1の形態であるところの
抄速およびドライヤドラムへの加熱用蒸気の供給圧(蒸
気圧力)以外の操業条件は現在の操業状態に維持した場
合における最高可能抄速の予測方法に就いて以下に説明
する。さて、抄紙機による抄造プロセス、特にドライヤ
パートにおける操業条件において、それぞれのドライヤ
セクションにおける各蒸気ドラムへの蒸気圧力の設定に
余裕がある場合、現在のリールパート入口でのウエブ水
分の目標値をそのまま保持した状態で抄速をどの位上げ
て生産能率の向上を図り得るかを予測することは抄紙生
産性の観点から可能な運転を見極めることが出来て有益
である。
【0065】このような予測演算の遂行に当たっては、
プレドライヤパート14およびアフタドライヤパート1
8における加熱蒸気圧力の最大供給可能圧力と、それぞ
れのドライヤパートにおけるドライヤセクション間の蒸
気圧力の差圧条件と、プレドライヤパート出口、つまり
サイズプレスパート入口におけるウエブの目標水分率値
およびアフタドライヤパート出口、つまりリールパート
のウエブの目標水分率値は、予め製品ウエブの紙質上か
ら決定しておく必要がある。
【0066】そして、ここでも、既述した各ドライヤパ
ート14、18における乾燥速度係数 Kについて先のシ
ミュレーション演算で得た乾燥速度係数値は、操業状態
が変更されても変化しないと言う仮定に基づいて予測演
算を行う。以下に最高可能抄速を決定する演算プロセス
のアルゴリズムを操業条件を変えない場合の最高可能抄
速予測ルーチンとして、図8および図9に基づき説明す
る。
【0067】先ず、差分方程式の乾燥速度係数 Kを先の
定常運転時におけるシミュレーション演算によるチュー
ニング過程で得た値に設定する(ステップ801)。次
に、プレドライヤパート14およびアフタドライヤパー
ト18のそれぞれに供給される蒸気圧力値を可能な最大
値に設定する(ステップ802)。次いで、プレドライ
ヤパート出口(サイズパート入口)における水分率目標
値に対して所定の許容範囲(例えばε=0.01%)内に入る
まで抄速を増減させて差分方程式(4) 〜(7) による演算
を繰り返し、収束した値として最高抄速値を見いだす(
ステップ803) 。
【0068】この演算において、抄速vを変更した場合
のシミュレーションは、下記式より抄速vに対応するΔ
t(秒)を求め、差分方程式(4) 〜(7) に代入して行
う。 Δt=L/v, 但し、L:ウェブ進行方向の単位長
さ(初めに設定しておく)m、 v:抄速 m /se
c また、同時にアフタドライヤパート18についても全て
の蒸気ドライヤセクションに就いて計算を行い、アフタ
ドライヤパート出口(リールパート入口)における上記
最高可能抄速に対応した水分率演算値を求め、このアフ
タドライヤパート出口の水分率演算値と目標水分率値と
を比較する(ステップ804)。
【0069】このとき、アフタドライヤパート出口(リ
ールパート入口)に関して、 目標水分率値≧水分率演算値 の関係ならば、アフタドライヤパート出口、つまりリー
ルパート入口に達したウェブの水分率値が目標の水分率
値より小さいことから、ウェブは乾燥し過ぎであるた
め、第1のルーチンに従って演算を進める。他方、 目標水分率値<水分率演算値 の関係ならば、アフタドライヤパート出口、つまりリー
ルパート入口に達したウェブの水分率値が目標の水分率
値より大きいことから、抄速を上げ過ぎた言うことにな
るため、この場合には第2のルーチンに従って演算を進
める。
【0070】先ず、第1のルーチンに就いて説明する。
この第1のルーチンにおいては、ステップ803におい
て見出した最高可能抄速をそのまま設定し、アフタドラ
イヤパート18における最適な蒸気圧力を再検討する
(アフタドライヤパート最適蒸気圧再検討ルーチンの実
行)。すなわち、この場合には、アフタドライヤパート
に対して供給される蒸気圧力を例えば、ΔP≒0.01
kg/cm2程度の微小圧力だけ低下させる(ステップ80
5)。そして、既述した式(4)〜(7)による演算を
再度、実行することにより、蒸気圧力低下後のアフタド
ライヤパート出口(リールパート入口)における水分率
演算値を求める。そして、求めた水分率演算値を目標水
分率値と比較する(ステップ806)。
【0071】この比較において、アフタドライヤパート
出口に関する水分率値が目標水分率値と一致した(YE
S)場合には、操業条件を変えない場合の最高可能抄速
と、アフタドライヤパート18に対する最適蒸気圧との
設定が完了する(ステップ807)。また、上記ステッ
プ806における比較の結果から、蒸気圧力低下後の水
分率演算値と目標水分率値との一致が得られない(N
O)場合には、再度、上述したステップ805〜ステッ
プ806によるアフタドライヤパート最適蒸気圧力の検
討ルーチンが繰り返される。すなわち、アフタドライヤ
パートに対する供給蒸気圧力を再度、先の微小圧力ΔP
の低下の場合と同様にして微小圧力ΔPだけ変化させ
る。なお、この場合の微小圧力ΔPの変化においては、
圧力を微小低減ばかりでなく、圧力を下げ過ぎた場合に
は圧力の微小増加による変化を付与することもあり得
る。
【0072】かくして、ステップ805〜806の工程
を繰り返すことにより、アフタドライヤパート出口にお
ける水分率演算値と目標水分率値との間の一致が得られ
たときに、操業条件を変えない場合の最高可能抄速と、
アフタドライヤパートに対する最適蒸気圧との設定が完
了することになる(ステップ807)。他方、抄速加減
による演算過程において、アフタドライヤパート出口、
つまりリールパート入口での目標水分率と演算による水
分率との比較において、 目標水分率値<演算による水分率値 の関係になった場合には、既述のように、第2のルーチ
ンに従って演算を進める。
【0073】即ち、この第2のルーチンは、最高可能抄
速およびプレドライヤパート14に対する供給蒸気圧力
の再検討ルーチンである。まず、この場合には、最初に
演算により見出し、設定した最高可能抄速は、上げ過ぎ
( つまり、蒸発水分量が不十分) であったことを意味す
るから、抄速を再検討するためのルーチンを実行するこ
とになる。
【0074】すなわち、アフタドライヤパート出口にお
けるウェブの水分率演算値が目標水分率値より大きく、
湿っていることは、アフタドライヤパート18における
乾燥能力に対して最初に見いだした最高可能抄速が速す
ぎるためであり、故に、プレドライヤパート14におけ
る蒸気圧力を少し(例えば、ΔP≒0.01Kg/cm2
度)下げる設定を行い(ステップ808)、プレドライ
ヤパート出口、すなわちサイズパート入口における水分
率が目標値に一致するように繰り返し演算を行うことを
介して、最高可能抄速の修正値を求める演算工程に入
る。
【0075】つまり、この演算工程においては、プレド
ライヤパート出口の水分率目標値に対して所定の許容範
囲(例えばε=0.01%)内で一致するまで、もう一度、抄
速を増減調節して式(4)〜(7)による繰り返し演算
で修正した最高可能抄速度を見つける工程を実行する
(ステップ809)。同時に、アフタドライヤパート出
口における水分率演算値を求め、その目標水分率値との
比較を行う。尚、この場合、アフタドライヤパートの蒸
気圧は初めに設定した最大値のままで演算を実行する。
【0076】この工程を繰り返してアフタドライヤパー
ト出口の水分率演算値が目標水分率値と一致した場合に
は、最高可能抄速及びプレドライヤパート出口における
最適の蒸気圧力が確定することになり(ステップ81
0)、演算ルーチンは終了することになる。他方、ステ
ップ809における比較において一致が得られなかった
場合には、ステップ808およびステップ809を、ア
フタドライヤパート出口水分率演算値が目標水分率値と
一致するまで、繰り返される。この場合には、必要に応
じてプレドライヤパート14への供給蒸気圧力を微小量
増加させるように変化させてから最高可能抄速を修正す
る演算を行う場合もあることは理解すべきである。
【0077】かくして、アフタドライヤパート出口水分
率演算値が目標水分率値と一致したとき、ステップ81
0により最高可能抄速及びプレドライヤパート出口にお
ける最適の蒸気圧力が確定することになる。こうして、
最大可能抄速の予測値とプレドライヤパートにおける最
適の供給蒸気圧の予測値が得られることになる。
【0078】なお、コンピュータ( マイクロコンピュー
タ100)によるシミュレーション演算過程で、差分方
程式(4) 〜(7) を演算時間刻み( Δt)毎に繰り返し演算
する過程で必要なデータは、(イ)リールパート36の
入口でのウエブ坪量、(ロ)サイズパート16の入口で
のウエブ坪量、(ハ)サイズパート16における塗布剤
の塗布量及び濃度、(ニ)ウエブのアッシュ( 灰分) 含
有量、(ホ)プレドライヤパート14の各ドライヤセク
ションにおける蒸気圧力、(ヘ)アフタドライヤパート
18の各ドライヤセクションにおける蒸気圧力、(ト)
プレドライヤパート14におけるドライヤセクション間
の差圧、(チ)アフタドライヤパート18のドライヤセ
クション間における差圧、(リ)プレドライヤパート1
4の入口におけるウエブ水分率値、(ヌ)プレドライヤ
パート14の出口のウエブ水分率値、(ル)アフタドラ
イヤパート18の出口における水分率値、(ヲ)各ドラ
イヤパート14、18の蒸気ドラムの開閉状態、(ワ)
ドライヤパート14、18の外周空気の乾球温度及び湿
球温度等の現在の操業データ、(カ)抄速である。これ
らのデータは、蒸気圧力と抄速を除いては変更しないの
で、定常状態シミュレーションに使用した値をそのまま
用いて、演算が実行される。
【0079】上述したコンピュータ100による演算過
程では、究極的にプレドライヤパート14およびアフタ
ドライヤパート18に対する蒸気圧力を略限界圧力に設
定した場合に、それぞれのパートでの最高可能抄速が予
測値として演算され、同時に演算過程で、プレドライヤ
パート14のドライヤセクションにおける修正圧力値や
ウエブ水分率に関する予測計算データ類、ウエブ温度、
キャンバス温度、蒸気ドライヤの表面温度等も算出する
ことが可能となる。なお、上述した最高可能抄速の予測
演算において、始めにプレドライヤパート14およびア
フタドライヤパート18の主蒸気圧力を、強制的に最大
値に設定していることから、プレドライヤパートの出口
におけるウエブ水分率とアフタドライヤパート出口にお
けるウエブ水分率との両者を共に各目標値に一致させる
単一の最高可能抄速は一般的に求めることはできない。
従って、上記プレドライヤパート出口のウエブ水分率と
アフタドライヤパート出口のウエブ水分率の何れか一方
のウエブ水分率を目標水分率に一致させることはできる
が、他方のウエブ水分率値は、必ず、上述した抄速再検
討ルーチン(ステップ808〜810)の間に、目標値
に対して必ず過乾燥状態で演算されてくる。つまり、こ
のような過乾燥状態であれば、蒸気圧力を低減すると、
物理的に目標水分率の値まで水分率を上げることが実際
の抄紙機による抄造プロセスの操業条件上で実現可能で
あるため、結局、主蒸気管から供給可能な低減した蒸気
圧力値が実際値として存在し、それに伴って対応の最高
可能抄速値を予測することが可能となる。そして、この
最高可能抄速値は一般的に上述した一方の最高可能抄速
値とは異なる値になるものである。
【0080】さて、本発明は、更に、抄速及びドライヤ
パートにおける主蒸気管からの蒸気圧力値以外の操業条
件を変更した場合に就いても最大可能抄速を予測する方
法及び装置を提供するもの(本発明の第2の形態)であ
る。図10はこの操業条件変更時の最高可能秒速予測演
算ルーチンを示したものである。この場合には、操業条
件を変更したときにどの程度まで抄速を上げて抄造プロ
セスにおける生産性を向上させ得るか、つまり抄紙機の
増産運転をどこまで遂行できるかを予測可能にするもの
である。
【0081】この場合には、プレドライヤパート14、
アフタドライヤパート18に対する供給可能な最大蒸気
圧力値、各ドライヤセクション間の蒸気圧力の差圧条
件、ウエブのプレドライヤパート出口およびアフタドラ
イヤパート出口における水分率の目標値は、予め実現可
能な範囲内の値として決定しておく必要がある。そし
て、乾燥速度係数 Kの値は既述した操業条件不変維持に
よるチューニング処理(図5のステップ701〜712
参照)で求めたそれぞれのプレドライヤパート14およ
びアフタドライヤパート18における乾燥速度係数が、
操業条件を変更されても変化しないと言う仮定の下に演
算を進めるため、上記チューニング処理で求めた乾燥速
度係数 Kの値を差分方程式に設定する(ステップ90
1)。
【0082】次いで、操業条件の中で抄速、サイズパー
ト前のウエブ坪量、リールパート前のウエブ坪量、プレ
ドライヤパート入口におけるウエブ水分、ウエブ中のア
ッシュ含有率等の一つまたは複数の操業条件に該当する
条件を変更する(ステップ902)。次いで、プレドラ
イヤパート14およびアフタドライヤパート18に対し
て主蒸気管から供給される供給蒸気圧を最大値に設定す
る(ステップ903)。
【0083】そして、以降は、先の図8、図9に示した
定常状態における最高可能抄速の決定演算と同じ演算工
程を実行する(ステップ904)。つまり、プレドライ
ヤパート出口、つまりサイズプレスパート入口における
水分率目標値に対して所定の許容範囲(例えばε=0.01
%)内に入るまで抄速を増減させて繰り返し式(4) 〜(7)
による演算を繰り返し、それらの抄速中における最高可
能抄速値を先ず、見いだす( ステップ803参照) 。
【0084】最高可能抄速が見出された段階で、アフタ
ドライヤパート出口(リールパート入口)における目標
水分率と同位置における演算による水分率演算値とを比
較する( ステップ804参照) 。このとき、目標水分率
≧水分率演算値の関係ならば、アフタドライヤパート1
8における最適蒸気圧再検討ルーチンによるステップ8
05〜ステップ807の演算工程を逐次、実行し、アフ
タドライヤパート18における最適蒸気圧力が求まった
段階で演算は終了する( ステップ807)。このとき、
最高可能抄速の予測値は当然に上述したステップ803
により見出した最高可能抄速の値が確定した値となるこ
とは言うまでもない。
【0085】他方、抄速加減による演算過程において、
アフタドライヤパート出口、つまりリールパート入口で
の目標水分率と演算による水分率との比較において、 目標水分率<水分率演算値 の関係ならば、最高可能抄速、プレドライヤパート最適
蒸気圧力の再検討ルーチンであるステップ808〜ステ
ップ810の演算が実行される。
【0086】既述のように、プレドライヤパートへ供給
する蒸気圧力を微小量増減させる変化を与え(ステップ
808)、次いで、プレドライヤパート出口の水分率値
に対して所定の許容範囲(例えばε=0.01%)内に
入るまで抄速を増減させて、既述の式(4)〜(7)の
演算を繰り返して最高可能抄速を修正する(ステップ8
09)。そして、アフタドライヤパート出口(リールパ
ート入口)における水分率演算値と目標水分率値とを比
較し、両者が一致したとき、最高可能抄速の予測値とプ
レドライヤパート14への最適蒸気圧力の予測値が確定
することになる(ステップ810)。
【0087】かくして、最高可能抄速値とそれに対応し
たほぼ限界最大値に近いプレドライヤパート14に対す
る経済的な供給蒸気圧力値が予測されることになる(ス
テップ905)。なお、コンピュータ( マイクロコンピ
ュータ100)によるシミュレーション演算過程で、差
分方程式(4) 〜(7) を演算時間刻み( Δt)毎に繰り返し
演算する過程で必要なデータも、既述した操業条件不変
更時の最大可能抄速を予測する演算の場合と同じであ
る。入力方法は、操業条件を変更するもののみ、キーボ
ード102から入力し、他は定常運転のシミュレーショ
ンに用いた数値をそのまま使用する。
【0088】(イ)リールパート入口でのウエブ坪量、
(ロ)サイズパート入口でのウエブ坪量、(ハ)サイズ
パートにおける塗布剤の塗布量及び濃度、(ニ)ウエブ
のアッシュ( 灰分) 含有量、(ホ)プレドライヤパート
14のドライヤセクションにおける蒸気圧力、(ヘ)ア
フタドライヤパート18のドライヤセクションにおける
蒸気圧力、(ト)プレドライヤパート14におけるドラ
イヤセクション間の差圧、(チ)アフタドライヤパート
18のドライヤセクション間における差圧、(リ)プレ
ドライヤパート14の入口におけるウエブ水分率、
(ヌ)プレドライヤパート14の出口のウエブ水分率、
(ル)アフタドライヤパート18の出口における水分
率、(ヲ)各ドライヤパート14、18の蒸気ドラムの
蒸気バルブの開閉状態、(ワ)ドライヤパート14、1
8の外周空気の乾球温度及び湿球温度等の現在の操業デ
ータ、(カ)抄速である。
【0089】そして、上述した最高可能抄速の予測演算
過程から、最高可能抄速が得られると共に、プレドライ
ヤパート14およびアフタドライヤパート18に対する
経済的かつ限界値に近い供給蒸気圧力値、ウエブの水分
率の予測演算データ群、ウエブ温度のデータ群、キャン
バス温度のデータ群、ドライヤ表面温度のデータ群等も
得られる。
【0090】なお、この場合にも、プレドライヤパート
14およびアフタドライヤパート18の蒸気圧力値を強
制的に最大値に設定し、これに対応した最大可能抄速を
予測する演算処理を実行しているために、プレドライヤ
パート出口の水分率とアフタドライヤパート出口の水分
率の両方を各目標値に一致させる最大可能抄速を求める
ことは不可能であることは、前述の場合と同じである。
【0091】
【発明の効果】以上に記載した本発明の実施形態の説明
からも明らかなように、本発明によれば、抄紙機による
抄造プロセスにおける乾燥用蒸気による乾燥を行うプレ
ドライヤパートやアフタドライヤパート等の各ドライヤ
パートに着目し、これらのドライヤパートにおける蒸気
圧の供給圧を可及的に限界値に近い大きな圧力値に設定
して乾燥熱条件を上限に設定することを想定したとき、
対応して抄速は、最高可能抄速値としてどこまで増加さ
せ得るか予測することが可能となり、故に、対象とする
抄紙機の生産能率がどこまで向上させ得るかを予測し、
安全操業との兼ね合いにより、抄紙機の効率的な運転を
可能にする適正な操業条件を見出し得るという効果を奏
するものである。
【0092】そして、上述のような最高可能抄速を予測
することがシミュレーション演算と簡単なドライヤモデ
ルとを利用して可能になれば、抄紙機における通常の抄
造プロセスにおいて、製品ウエブの生産性を最大限、向
上させて増産を図ることが可能となり、かつ抄紙操業の
最適化を図る上での計画、設計も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用することが可能な抄造プロセスを
備えた抄紙機の概略の構成を示した斜視図である。
【図2】本発明による最高可能抄速の予測方法を適用可
能な抄造プロセスの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す如き抄紙機のドライヤパートの一構
成例を略示したブロック図である。
【図4】図3のドライヤパートと等価かつ簡単なドライ
ヤモデルの構成を示す模式図である。
【図5】定常状態におけるドライヤモデルによるシミュ
レーション演算を遂行した場合のブロック図である。
【図6】ウエブ水分率の推移パターンを示すグラフであ
る。
【図7】チューニング処理の過程で演算されるドライヤ
内部の状態の演算結果を示すグラフである。
【図8】ドライヤモデルを用い、他の操業条件を変更し
ないでドライヤパートに対する蒸気圧を限界値まで増加
した場合に得られる最高可能抄速の予測を実行する過程
を説明したフローチャートの前半部分である。
【図9】図8のフローチャートの後半部分である。
【図10】ドライヤモデルを用い、他の操業条件も変更
させた場合に、ドライヤパートに対する蒸気圧を限界値
まで増加した場合に得られる最高可能抄速の予測を実行
する過程を説明したフローチャートである。
【符号の説明】
8…ヘッドボックス 10…ワイヤパート 12…プレスパート 14…プレドライヤパート 14a…蒸気ドラム 16…サイズプレスパート 18…アフタドライヤパート 18a…蒸気ドラム 48…蒸気バルブ 60…主蒸気管 62…蒸気バルブ 94…BM計検出部 96…BM計検出部 98…BM計制御部 100…マイクロコンピュータ 102…キーボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末次 亨 東京都中央区銀座4丁目7番5号 王子製 紙株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライヤパートの蒸気ドラムにキャンバ
    スと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機
    の抄速とドライヤ蒸気圧力以外の操業条件を不変に設定
    し、ドライヤパートの蒸気圧力を供給可能な最大蒸気圧
    力にした際の運転可能な最高可能抄速をコンピュータで
    演算し、該最高可能抄速を出力する定常状態の最高可能
    抄速予測方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラム、前記キャンバスおよ
    び前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式
    を差分方程式に書き直し、 少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪量、抄速、ドラ
    イヤパート出口のウェブ水分率値の各値を検出器から取
    り込み、 前記差分方程式に初期値を与えると共にウェブの移動分
    に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解
    いて、ウェブ移動方向に沿うウェブ水分率推移パターン
    を求めることにより前記ドライヤパート出口のウェブ水
    分率値を求め、 該求めたドライヤパート出口のウェブ水分率値が前記検
    出器から取り込んだ実際の検出水分率値に対し所定の許
    容範囲内にあるか否かを判断し、 該判断によって前記水分率値が所定の許容範囲内から外
    れると判断された際にウェブの乾燥に関する係数を補正
    してドライヤパート出口のウェブ水分率を再度求め、ド
    ライヤパート出口の水分率値が実際の検出水分率値に所
    定の許容範囲内で一致するまで繰り返すことにより、定
    常状態におけるウェブの乾燥に関する係数を求め、 更に、定常状態における該ウェブの乾燥に関する係数と
    蒸気ドラムへ供給可能な最大蒸気圧力とを前記差分方程
    式に導入して、ウェブの移動分に対応する所定の時間間
    隔で前記差分方程式を繰り返し解き、 前記ドライヤパート出口のウェブ水分率値を、ウェブの
    目標水分率値に所定の範囲内で一致させるべく、抄速を
    補正し、算出したドライヤパート出口のウェブ水分率値
    がウェブの目標水分率値に所定の許容範囲内で一致する
    まで計算を繰り返すことにより、最高可能抄速値を算出
    し、該最高可能抄速値を予測値として出力することを特
    徴とする抄紙機の最高可能抄速予測方法。
  2. 【請求項2】 ドライヤパートの蒸気ドラムにキャンバ
    スと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機
    の抄速とドライヤ蒸気圧力以外の操業条件を不変に設定
    し、ドライヤパートの蒸気圧力を供給可能な最大蒸気圧
    力にした際の運転可能な最高可能抄速をコンピュータで
    演算し、該最高可能抄速を出力する最高可能抄速予測装
    置であって、 前記ドライヤパートの各蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡
    式を差分方程式として記憶する記憶手段と、 検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪
    量、抄速、ドライヤパート出口ウェブ水分率値の各値を
    取り込む手段と、 前記差分方程式に初期値を与えると共にウェブの移動分
    に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解
    き、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移パターン
    を求めることにより前記ドライヤパート出口のウェブ水
    分率値を求める第一の計算手段と、 前記ドライヤパート出口のウェブ水分率値を前記検出器
    により取り込んだ実際の検出水分率値と比較する比較手
    段と、 前記ドライヤパート出口のウェブ水分率値が前記検出器
    により取り込んだ実際の測定値に対し所定の許容範囲内
    にあるか否かを判断する判断手段と、 該判断によって、前記算出した水分率値が所定の許容範
    囲内から外れると判断された際に、該ウェブの乾燥に関
    する係数を補正してドライヤパート出口の水分率を再度
    求め、ドライヤパート出口の水分率値が実際の前記検出
    水分率値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り返すこ
    とにより、定常状態におけるウェブの乾燥に関する係数
    を求める手段と、 更に、定常状態における該ウェブの乾燥に関する係数と
    蒸気ドラムへ供給可能な最大蒸気圧力とを、前記差分方
    程式に入力し、ウェブの移動分に対応する所定の時間間
    隔で該差分方程式を繰り返し解き、供給可能なドライヤ
    最大蒸気圧力を供給したときの前記ドライヤパート出口
    におけるウェブ水分率値を求める第二の計算手段と、 該ドライヤパート出口に就いて前記第二の演算手段で求
    めたウェブ水分率値をウェブ目標水分率値と比較する比
    較手段と、 該ドライヤパート出口のウェブ水分率値がウェブ目標水
    分率値に対し所定の許容範囲内にあるか否かを判断する
    判断手段と、 該判断によって該水分率値が所定の許容範囲内から外れ
    ると判断された際に、抄速を補正してウェブ水分率を再
    度求め、ドライヤパート出口の水分率値がウェブ目標水
    分率値に所定の許容範囲内で一致するまで計算を繰り返
    して最高可能抄速値を算出する演算手段と、 該最高可能抄速値を出力する出力手段と、を具備して構
    成されたことを特徴とする抄紙機の最高可能抄速予測装
    置。
  3. 【請求項3】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機に
    おいて、品種替え等の操業条件変更後の運転可能な最高
    可能抄速を算出し、該最高可能抄速を出力する、コンピ
    ュータを用いた最高可能抄速予測方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラム、前記キャンバスおよ
    び前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式
    を差分方程式に書き直し、 検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪
    量、抄速、ドライヤセクション出口ウェブ水分率値の各
    値を取り込み、 前記差分方程式に初期値を与えると共にウェブの移動分
    に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し演
    算して、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移パタ
    ーンを求め、 該求めたウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパ
    ート出口のウェブ水分率値が前記検出器により取り込ん
    だ実際の検出値に対し所定の許容範囲内にあるか否かを
    判断し、 該判断によって前記水分率値が所定の許容範囲内から外
    れると判断された際にウェブの乾燥に関する係数を補正
    してウェブ水分率推移パターンを再度求め、ドライヤパ
    ート出口の水分率値が実際の検出値に所定の許容範囲内
    で一致するまで上記演算と判断とを繰り返すことによ
    り、定常状態におけるウェブの乾燥に関する係数を求
    め、 更に、定常状態における該乾燥に関する係数と蒸気ドラ
    ムへ供給可能な最大蒸気圧力と操業条件変更後の操業プ
    ロセス値とを、前記差分方程式に入力して、ウェブの移
    動分に対応する所定の時間間隔で前記差分方程式を繰り
    返し演算し、算出したウェブ水分率推移パターンにおけ
    るドライヤパート出口のウェブ水分率値を、操業条件変
    更後のウェブ目標水分率値に所定の許容範囲内で一致さ
    せるべく、抄速を補正し、ドライヤパート出口のウェブ
    水分率値が目標水分率値に所定の許容範囲内で一致する
    まで計算を繰り返すことによって、最高可能抄速値を算
    出し、該最高可能抄速値を出力することを特徴とする抄
    紙機の最高可能抄速予測方法。
  4. 【請求項4】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機に
    おいて、品種替え等の操業条件変更後の運転可能な最高
    可能抄速を算出し、該最高可能抄速を出力する、コンピ
    ュータを用いた最高可能抄速予測装置であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラム、前記キャンバスおよ
    び前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式
    を差分方程式として記憶する記憶手段と、 検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪
    量、抄速、ドライヤセクション出口ウェブ水分率値の各
    値を取り込む手段と、 前記差分方程式に適当な初期値を与えると共にウェブの
    移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程式を繰り
    返し演算し、ウェブの移動方向に沿うウェブ水分率推移
    パターンを求める計算手段と、 前記ウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート
    出口のウェブ水分率値を前記検出器により取り込んだ実
    際の検出値と比較する比較手段と、 前記ウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート
    出口のウェブ水分率値が前記検出器により取り込んだ実
    際の検出値に対し所定の許容範囲内にあるか否かを判断
    する判断手段と、 該判断によって前記ドライヤパート出口のウェブ水分率
    値が所定の許容範囲内から外れると判断された際に、該
    ウェブの乾燥に関する係数を補正してウェブ水分率推移
    パターンを再度求め、ドライヤパート出口のウェブ水分
    率値が実際の前記検出値に所定の許容範囲内で一致する
    まで前記の演算と判断とのプロセスを繰り返すことによ
    り、定常状態におけるウェブの乾燥に関する係数を求め
    る手段と、 更に、定常状態における該乾燥に関する係数と蒸気ドラ
    ムへ供給可能な最大蒸気圧力と操業条件変更後の操業プ
    ロセス値とを、前記差分方程式に入力する入力手段と、 ウェブの移動分に対応する所定の時間間隔で該差分方程
    式を繰り返し演算し、操業条件変更後のウェブの移動方
    向に沿うウェブ水分率推移パターンを求める計算手段
    と、 該ウェブ水分率推移パターンにおけるドライヤパート出
    口のウェブ水分率値を操業条件変更後のウェブの目標水
    分率値と比較する比較手段と、 該ドライヤパート出口のウェブ水分率値が操業条件変更
    後のウェブ目標水分率値に対し所定の許容範囲内にある
    か否かを判断する判断手段と、 該判断によって該水分率値が所定の許容範囲内から外れ
    ると判断された際に、抄速を補正してウェブ水分率推移
    パターンを再度求め、ドライヤパート出口の水分率値が
    操業条件変更後のウェブ目標水分率値に所定の許容範囲
    内で一致するまで計算を繰り返すことにより、操業条件
    変更後の最高可能抄速値を算出する計算手段と、 該最高可能抄速値を出力する出力手段とを、具備して構
    成されたことを特徴とする抄紙機の最高可能抄速予測装
    置。
  5. 【請求項5】 前記ウェブの乾燥に関する係数は、ウェ
    ブの単位重量から単位時間に周りの空気中(雰囲気中)
    へ移動する水分重量(H2 O Kg/Kg・Hr) であることを
    特徴とする請求項1または請求項3に記載の抄紙機の最
    高可能抄速予測方法。
JP15420798A 1998-06-03 1998-06-03 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置 Expired - Fee Related JP3509557B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15420798A JP3509557B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15420798A JP3509557B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11350376A true JPH11350376A (ja) 1999-12-21
JP3509557B2 JP3509557B2 (ja) 2004-03-22

Family

ID=15579194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15420798A Expired - Fee Related JP3509557B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3509557B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012144826A (ja) * 2011-01-14 2012-08-02 Seiko Epson Corp 紙再生装置及び紙再生方法
JP2015127148A (ja) * 2015-03-25 2015-07-09 セイコーエプソン株式会社 紙再生装置及び紙再生方法
JP2018503529A (ja) * 2014-10-24 2018-02-08 ベルンドルフ バント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ベルト鋳造設備用のプロセス最適化

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012144826A (ja) * 2011-01-14 2012-08-02 Seiko Epson Corp 紙再生装置及び紙再生方法
JP2018503529A (ja) * 2014-10-24 2018-02-08 ベルンドルフ バント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ベルト鋳造設備用のプロセス最適化
JP2015127148A (ja) * 2015-03-25 2015-07-09 セイコーエプソン株式会社 紙再生装置及び紙再生方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3509557B2 (ja) 2004-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3094798B2 (ja) 抄紙機の抄替時の製品水分の制御方法およびその装置
US7496413B2 (en) Apparatus and method for coordinating controllers to control a paper machine or other machine
US4314878A (en) Method of operating a papermachine drying line
CN101490631B (zh) 对用于造纸机横向过程的多变量模型预测控制器的快速性能预测
US8206554B2 (en) Method and a system for controlling the manufacturing or finishing process of a fiber web
BRPI0606345B1 (pt) sistema de controle para controlar automaticamente a quantidade de remoção de água em uma seção de prensa de uma máquina de fabricação de papel; método para controlar automaticamente a quantidade de remoção de água em uma seção de prensa de uma máquina de fabricação de papel; e máquina de fabricação de papel
US6584703B1 (en) Method for controlling the moisture of a web in machine direction on a coating machine and calender
US6863919B1 (en) Method for controlling the moisture of a web in machine direction on a coating machine
CA2377748C (en) Method and apparatus for controlling a moving paper web
JP3509557B2 (ja) 抄紙機の最高可能抄速予測方法と予測装置
JPH01229891A (ja) ウェブの被覆乾燥の調整、制御および/または監視方法
CN112805437B (zh) 确定纤维素纸浆的幅材的水分含量的方法
US6904331B2 (en) Method of paper machine control and apparatus for the method
EP1404919B2 (en) Method and apparatus for control of drying process taking place in a pulp dryer
JP3178498B2 (ja) 抄紙機の紙厚制御装置
US20230407567A1 (en) Method of controlling the drying of cellulose pulp in a drying step of a pulp production process
FI128944B (fi) Menetelmä, järjestelmä ja tietokoneohjelmatuote olosuhteiden valvomiseksi ja/tai ohjaamiseksi kuituraina- tai jälkikäsittelykoneen osakokonaisuudella
FI117343B (fi) Menetelmä ja järjestelmä värähtelyjen estämiseksi
CN111893793B (zh) 用于控制纤维幅材制造过程中的能量消耗的方法和设备
JP2003328288A (ja) 抄紙機ドライヤ及びその温度制御方法
JPH05321184A (ja) 乾燥機の運転管理装置
Ekvall Dryer section control in paper machines during web breaks
JP2004277899A (ja) 抄紙機における紙ウェブの厚さプロファイル制御方法
FI112683B (fi) Säätöjärjestely ja menetelmä paperi-/kartonki- tai jälkikäsittelykoneen läpi kulkevan tuoterainan poikkisuuntaisen ominaisprofiilin säätämiseksi
JPH01183592A (ja) ドライヤの水分プロファイルコントロール装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20031222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees