JPH11346758A - 微生物同定試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布したスライドグラス - Google Patents

微生物同定試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布したスライドグラス

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JPH11346758A
JPH11346758A JP19094398A JP19094398A JPH11346758A JP H11346758 A JPH11346758 A JP H11346758A JP 19094398 A JP19094398 A JP 19094398A JP 19094398 A JP19094398 A JP 19094398A JP H11346758 A JPH11346758 A JP H11346758A
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gram
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slide glass
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glass coated
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JP19094398A
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Yasuhiko Goto
康彦 後藤
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  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品や製薬並びに臨床医療等の分野で実施さ
れる細菌の同定検査に際して、最も基本となるグラム鑑
別用の対照菌株を塗布したスライドグラスを提供するこ
とにある。 【解決手段】グラム鑑別を行うにあたり、グラム特性及
び形態既知の細菌を塗抹・定化したスライドグラスを用
いて、グラム染色を実施する。染色後、光学顕微鏡によ
る鑑別時に標準となるグラム特性既知の標本が、適正な
性状を示すことを肉眼観察で確認する(グラム染色適格
性の確認)。そして左記と同一のスライドグラスで染色
されたグラム特性未知標本のグラム鑑別は、標準標本の
適格性が保証されることで間接的にその正しさを保証さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品や製薬また臨
床医療などの分野で、有害とされる(汚水処理のように
微生物を有効利用することもあり)大腸菌や緑膿菌・黄
色ブドウ球菌といった細菌類を同定するグラム鑑別に用
いる微生物同定試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を
塗布したスライドグラスに関する。
【0002】
【従来の技術】細菌類の同定は、その細菌のグラム特
性、形態、代謝反応などの化学的性状をもとに属・種が
決定される。具体的には、グラム特性によってグラム陽
性及び陰性の2群に大別され、そこからさらに形態、代
謝特性による情報で属・種が絞り込まれていく。近年で
は、代謝反応などの化学的性状を利用した同定キットが
使用されている。また、現在物理的なGC含量を計測す
るといった技術もすすんでいる。
【0003】グラム鑑別は水酸化カリウムによる粘性評
価で判断する方法(粘性判断は作業者の主観による)と
グラム染色による染色特性から判断する二つの方法があ
る。水酸化カリウム法は顕微鏡を用いる必要はなく、肉
眼判定できる簡便性を有しているが、その判定根拠に乏
しく、同時に形態観察ができないが欠点がある。一方の
グラム染色はハッカーの染色法やハッカーの変法に代表
される方法が古来より用いられている。そして顕微鏡下
でのグラム鑑別と同時に、形態観察ができる点でグラム
鑑別の中心的手法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来から用
いられているグラム染色はその操作が煩雑であり、特に
脱色工程は秒単位での操作となるため、その染色の適否
は作業者の技量に左右されるといったのもである。また
前述の2法はJIS等に明示されていない。両者は細菌
同定において、慣例的に古来から代表的手法として用い
られて来ているが、細菌同定の作業はこのような一番の
基礎段階で、特に裏付けがない形で行われている。前述
した同定キットによる同定は、グラム特性が不確定では
使用できない。言い換えればグラム鑑別が確かであると
いう裏付けがない場合の使用は、同定キットの意味がな
いばかりか、そこで得られるデータは危険の恐れもあ
る。また、GC含量を計測することによる同定は、先の
同定キット同様、グラム特性が明らかである場合に限ら
れ、GC含量のみの情報で属・種が決定するのは困難で
ある。このことからもわかるように形態・代謝反応など
の化学的性状が適正(精度が高くても)でも、最も基礎
となるグラム鑑別を誤った場合は予想もしない菌種とし
て判定される恐れもある。このことから細菌類の同定に
おいては、グラム鑑別が最も基本であり鑑別の精度管理
が重要であるのは言うまでもない。しかし現状は、グラ
ム鑑別に対する問題点としての認識はあったものの、特
に取り挙げられることなく現在に至っている。
【0005】ところがここにきて、近年社会的問題とな
った病原性大腸菌O157問題や、製薬業界のGMP
(Good Manufacturing Pract
ice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)
強化、1995年施行のPL法さらには臨床医療におけ
る検査のありかたやデータ公開などの考えから同定検査
を客観的検証することが問われている。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、グラム特性及び形態既知の細菌をスラ
イドグラスに塗抹・固定化したスライドグラスを用いて
グラム染色を実施する。このとき鑑別標準となるグラム
特性既知の標本が、適正な性状を示すことで同一のスラ
イドグラスで検査されたグラム特性未知の標本のグラム
鑑別を行うものである。
【0007】グラム染色によるグラム鑑別の原理は、標
本である細菌のRNAマグネシウム塩がヨウ素液にさら
された時、一次染色液がアルコールに溶解する性質を持
つ細菌群をグラム陰性(薄紅色に染まる)としている。
また同様に一次染色液がアルコールに不溶解である性質
を持つ細菌群をグラム陽性(青紫色に染まる)として鑑
別する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をハッカーの変法に
よるグラム染色を例にし詳細に説明する。図1に示すグ
ラム鑑別用の対照菌株2を塗布したスライドグラス1を
作成する。3は情報記入欄である。対照となる細菌は普
通寒天培地(栄研)やSCD寒天培地(栄研)等で各菌
株に適した条件でそれぞれ培養し、対数増殖期にある新
鮮培養菌を菌株ごと3mLの滅菌精製水に濁度指標であ
るマックファーランドNo.0.5相当の濁度の浮遊菌
液とする。
【0009】上記のグラム特性の異なる浮遊菌液を混ぜ
あわせ、目的の特性を組み合わせる。
【0010】スライドグラス1枚につき直径5〜10m
m程度の円を油性マーカやフッ素で硝子表面を腐食させ
描く。油性マーカの場合はガスバーナーの火炎中に約5
秒程度かざして、描いた円を固定する。
【0011】対照菌株の混合浮遊菌液を白金耳またはマ
イクロピペット等でスライドグラスの円内に塗抹する。
(塗抹量は0.005mL程度)
【0012】塗抹後菌液を自然乾燥し、乾燥後ガスバー
ナーの火炎中で塗抹菌液を半固定する。
【0013】グラム鑑別精度管理用スライドグラスは冷
蔵(約5℃)で2年間は保存することができる。また、
固定した菌体は死滅しており、食中毒等の原因とならな
い。
【0014】培染色液であるクリスタル紫液を調整す
る。なお、クリスタル紫液は、市販品を使用することも
可能である。 クリスタル紫原液(クリスタル紫10gにエタノール
100mL) 1容量 1%シュウ酸アンモニウム水溶液 4容量 上記を混和し一晩放置したものを濾過し使用する。
【0015】媒染液であるヨウ素液(ルゴール液)を調
整する。なお、ヨウ素液(ルゴール液)は、市販品を使
用することも可能である。 ヨウ素1gを用意する。 ヨウ化カリウム2gを用意する。 蒸留水300mlを用意する。 予め数mLの蒸留水にヨウ素とヨウ化カリウムを完全
溶解させてから残りの蒸留水を加える。濾過は不用。
【0016】脱色液:通常脱色液として用いられている
のは下記3種である。エタノールの脱色作用は最も遅
く、アセトンが最も早い。アセトン・エタノールはその
中間で混合比によって決まる。一般に培養した細菌の染
色にはエタノールで十分であるが、膿汁・痰汁標本など
では脱色液の浸透が悪く、脱色されにくい場合があり、
このようなときにはアセトン・エタノール又はアセトン
を用いる。 エタノール アセトン・エタノール(1:1〜3に混和) アセトン
【0017】対比染色液には以下の染色液を用いる。な
お、サフラニン液は、市販品を使用することも可能であ
る。 0.1%サフラニン液 0.1%フクシン液 0.1%パイフェル液 通常対比染色液としてサフラニン液を使用する。カンピ
ロバクターのようなサフラニン液に染まりの悪い場合に
はパイフェル液を用いる。
【0018】先に作成したグラム鑑別用の対照菌株を塗
布したスライドグラスに、グラム鑑別を行う被菌株を1
mLの滅菌精製水に懸濁させ浮遊菌液とする。この浮遊
菌液は予め普通寒天培地(栄研)やSCD寒天培地(栄
研)等で培養した新鮮培養菌を用いなければならない。
なお、スライドグラスにはプレートNo.や被菌株のN
o.他、試験日を記録しておく。また1枚のスライドグ
ラスで処理する被菌株の検体数は10程度が適当であ
る。
【0019】グラム染色をハッカーの変法より以下の手
順で行う。 クリスタル紫液で前染色。 ヨウ素液で媒染後、水洗。 脱色液で脱色する。 対比染色液で染色後、水洗する。 スライドグラスを乾燥する。
【0020】スライドグラスを光学顕微鏡で倍率100
0〜2000倍で鏡検する。このとき対照菌株が既知の
性状(グラム陽性・陰性に染まっていること)にあるこ
とを確認し、記録や写真とする。続いて被菌株を鏡検し
てそのグラム特性を確認し、また形状、大きさ、連鎖、
芽胞の有無といった特徴を確認し記録や写真とする。
【0021】スライドグラスを光学顕微鏡で倍率100
0〜2000倍で鏡検したとき対照菌株が既知の性状に
染まっていない場合はグラム染色工程が不適当として、
そのスライドグラスは廃棄する。
【0022】グラム染色の精度を管理する対照菌株には
通常下記のとの菌株が用いられる。また必要に応じ
て組み合わせることも可能である。 グラム陽性球菌のStaphylococcus a
ureus ATCC6538 グラム陰性かん菌のEscherichia col
i ATCC 8739 グラム陽性棹菌(有芽胞)のBacillus su
btilis ATCC6633 形態観察のためのグラム陽性連鎖球菌としてStre
ptococcus属 形態観察のためのグラム陽性多形性かん菌としてCo
rynebacteriun属
【0023】グラム染色が適正に行われた場合、対照グ
ラム陽性菌のStaphylococcus aure
−us ATCC 6538は青色紫の球菌としてま
た、グラム陰性菌のEscherichia coli
ATCC 8739は薄赤色のかん菌として確認でき
る。そしてこのことは、同一のスライドグラスで染色し
た被検菌のグラム鑑別判定が正しいということの裏付け
となる。
【0024】別紙の表1から表6にグラム鑑別用に、ス
ライドグラスに塗布した対照菌株の経時安定性データを
示す。
【発明の効果】本発明によるスライドグラスを用いるこ
とで、グラム鑑別精度が向上し鑑別の誤判定が減少す
る。
【0025】本発明によるグラム染色の精度管理方法と
精度管理用スライドグラスを用いることで、細菌同定精
度が向上し的確な細菌同定の一助となる。ついては医療
や細菌の制御等で正確な情報を必要とする分野で本発明
が適用できる。
【0026】精度管理用の菌株は、日本薬局方に準拠し
た菌株を用いていることから菌株履歴が明確、使用者は
常に一定品質のグラム鑑別が可能である。
【0027】使用者の技術なミスが直接グラム鑑別に反
映されなくなることで、客観的判断となる。したがって
作業ミスによる誤判定を防ぐことができるので、品質管
理水準の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる対照菌株を塗布したスライドグ
ラスの図面を記す。
【符号の説明】
1、スライドグラス 2、対照菌株の塗布部 3、情報記入欄

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高活性状態にあるグラム特性(グラム陽
    性・陰性)及び形態(球菌・かん菌・連鎖菌・多形菌)
    既知の細菌を塗抹し、菌株流出防止のため固定化したこ
    とを特徴とする微生物同定試験におけるグラム鑑別用の
    対照菌株を塗布したスライドグラス。
  2. 【請求項2】 グラム特性及び形態の異なる組み合わせ
    の菌株と混合して塗抹され、顕微鏡下の同一視野で異な
    るグラム特性及び形態を同時に確認することを可能とす
    ることを特徴とする請求項2に記載の微生物同定試験に
    おけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布したスライドグラ
    ス。
  3. 【請求項3】 冷蔵(約5℃)による長期保存を可能と
    することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微
    生物同定試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布し
    たスライドグラス。
  4. 【請求項4】 細菌類の同定検査において、ハッカーの
    染色法やハッカーの変法に代表される、グラム特性を2
    群に大別する染色方法に準じ操作し、グラム特性既知の
    標準標本から、染色作業が正しくおこなわれたこと及
    び、被菌株のグラム特性の判断が正しくおこなわれたこ
    とを定性的に証明することに用いることを特徴とする請
    求項1から請求項3のいずれか1項に記載の微生物同定
    試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布したスライ
    ドグラス。
JP19094398A 1998-06-02 1998-06-02 微生物同定試験におけるグラム鑑別用の対照菌株を塗布したスライドグラス Pending JPH11346758A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103471896A (zh) * 2013-09-09 2013-12-25 上海兰卫临床检验有限公司 革兰染色液质控品制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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