JPH11346596A - 人工受精用培地及び人工受精方法 - Google Patents

人工受精用培地及び人工受精方法

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JPH11346596A
JPH11346596A JP16654298A JP16654298A JPH11346596A JP H11346596 A JPH11346596 A JP H11346596A JP 16654298 A JP16654298 A JP 16654298A JP 16654298 A JP16654298 A JP 16654298A JP H11346596 A JPH11346596 A JP H11346596A
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JP
Japan
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medium
sperm
cyclodextrin
fertilization
tyh
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Application number
JP16654298A
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English (en)
Inventor
Yutaka Toyoda
裕 豊田
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Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
Original Assignee
Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】BSAに代わる物質を用いた、安定に精子受精能
を誘導できる機能を有する受精培地及び人工受精方法の
提供。 【解決手段】シクロデキストリン誘導体を含有すること
人工受精用培地及び受精前の精子をシクロデキストリン
誘導体を含有する培地で予備培養する人工受精方法。本
発明の方法によれば、哺乳動物精子の受精能獲得(capa
citation)を効率よく誘導せしめることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウシ、ウマ、ブタ
などの畜産業、または医療分野においてヒトの不妊治療
にて広く使用されている人工受精法において有用なシク
ロデキストリン誘導体を用いた培地、及びこの培地を用
い、受精前に精子を予備培養させることにより、精子の
受精能獲得(Capacitation)を向上せしめ、安定した受精
卵の発生を促す人工受精方法に関する。
【0002】
【従来の技術】動物の受精において、精子が卵子のゼリ
ー状膜に進入したときに、精子頭部にある先体粒と呼ば
れる構造体前面の「引き金層」と呼ばれる膜が、生化学
的または生理学的な作用により厚くなって破れ、破れた
膜の端が先体粒後方に位置するお椀状膜断片の縁に繋が
るという現象が観察される。この現象を先体反応(acros
ome Reaction)と呼び、精子が卵子と結合し受精能を発
揮する最も重要な初期の反応である。
【0003】先体反応のメカニズムは、Dais (Dais B.
K., Byrne r. and Bedigian K., Proc.Natl.Acad.Sci.
USA, 77,1546-1550(1980)、Dais B.K., Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA.,78,7560-7564(1981))、Go ら(Go K.J. and
Wolf D.P., Biol Reprod.,32,1063-1064(1980))、Langl
aisら(Langlais j.,Kan F.W.K.,Granger L.,Raymond
L.,Bleau G.,and Robert K.D.,Gamete Res.,20,185-201
(1988))の報告より、先体反応時の尖体粒引き金層中の
のコレステロール含量の変化が、またDavisら(DaisB.
K.,Biochem.Biophys.Acta.,558,257-266(1979))、Go 及
びWolf(1985)、Benoffら(Human Repord., 8,2141-2154
(1993))の研究では、卵管内に分泌されるアルブミンの
ようなコレステロール受容体が、またLanglaisら(Langl
ais j.,Kan F.W.K.,Granger L.,Raymond L.,Bleau G.,a
nd Robert K.D.,Gamete Res.,20,185-201(1988)) 、Ehr
enwaldら(Mol.Reprod.dev.,25,195-204 (1990))の研究
ではステロール結合タンパク質が、この先体反応に関わ
るのではないかと指摘している。
【0004】一般に人工受精においては、ウシ血清タン
パク質(以後BSAと略す)を含有する精子前培養培地及
び受精培地を用いる。BSAの受精におけるメカニズム
は、コレステロール、ホルモン、イオン、脂肪酸、アミ
ノ酸等の分子輸送タンパク質として、或は重金属イオン
のキレート作用を持つ浸透圧調製物質として、受精能獲
得及び先体反応時に機能することがBavister (Bavista
r B.D.,J.Exp.Zool.,217,45-51(1981))、Maurer (Maur
eer H.R. "Animal Cell Culture, 2nd edn",Oxford Pre
ss,15-46(1992))らが示唆している。
【0005】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、BSAの持つこ
れらの受精能獲得及び先体反応を引き起こすメカニズム
や関与する物質の機能については、いまだ不明な点が多
く、また、現在培地に用いられているBSAの機能におい
ては、BSA中に酵素、ホルモン、脂質、有機或は無機イ
オン等の不純物、または物質との接合部を多く含む為、
先体反応における機能が特定できてはいない。更に培地
に用いる場合でも、天然抽出物であるが故、先に延べた
不純物質の種類及び含有量が一定ではなく品質のバラツ
キがあり、且つ保存或は培地調製時の変性が起りやすい
欠点を有する為、従来技術では、安定に精子受精能を誘
導できる機能を有する受精培地を得ることが難しかっ
た。
【0006】人工受精に用いる精子は、由来する動物個
体に限定される限られた資源であり、それが培地の品質
によって結果が左右されるのは、修復不可能な甚大な損
失を生む結果を招きかねない。
【0007】そこで、本発明の目的は、BSAに代わる物
質を用いた、安定に精子受精能及び先体反応を誘導でき
る機能を有する受精培地及び人工受精方法を提供するこ
とにある。
【0008】発明者らは、コレステロールと包接複合体
を形成するシクロデキストリンを用いることで、精子先
体粒引き金層のコレステロール含量を制御し、人工的に
精子の受精能を安定して獲得し得る方法を鋭意研究し
た。その結果、シクロデキストリン誘導体、特に、工業
的に多量に製造でき、且つ安定した品質を維持できるメ
チル化β-シクロデキストリン(以下MBCDと略す)を、
従来用いていたBSAの代わりに一定量添加した培地に
て、受精させる精子を一定時間、予備培養処理すること
で、精子の先体反応を誘引し、BSAと同等の精子受精能
を人為的にコントロールしつつ安定して得られることを
発見し、本発明を完成させた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、シクロデキス
トリン誘導体を含有することを特徴とする人工受精用培
地に関する。
【0010】さらに本発明は、受精前の精子をシクロデ
キストリン誘導体を含有する培地で予備培養することを
特徴と人工受精方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を記述する。
【0012】本発明の人工受精用培地は、クロデキスト
リン誘導体を含有することを特徴とする。本発明に使用
するシクロデキストリンは、7個のグルコースがα−1,
4結合にて環状に結合したβ−シクロデキストリン骨格
を有し、その遊離した水酸基中の水素とメチル基を置換
したメチル化β-シクロデキストリン類(以下MBCDと略
する)であり、水溶性であることが望ましい。このよう
な性質を持つ物質として、シクロデキストリンを構成す
るブドウ糖残基の2位及び6位水酸基全てをメチル基で置
換した2,6-O-ジメチル β-シクロデキストリン、或はそ
のすべての2位及び6位水酸基が完全にメチル化されてい
ない、または構成するブドウ糖残基の3位水酸基にメチ
ル基が部分的に置換されている部分メチル化β―シクロ
デキストリンである。
【0013】メチル化β―シクロデキストリンのメチル
基導入率は、水溶性を持ち、コレステロールとの包接を
実現できれば、幾つであっても構わない。但し、β―シ
クロデキストリンの2位、3位及び6位の遊離した全ての
水酸基をメチル化した、2,3,6-O- トリメチル β-シク
ロデキストリン、またはそのメチル基導入が完全に飽和
していないにも係わらず難水溶性である誘導体は、本発
明においては不適当である。
【0014】本発明の培地は、人工受精用培地として公
知の成分を有する培地にさらにMBCDを添加したものであ
ることができる。そのような公知の培地として、TYH基
本培地の組成を以下の表1に示す。上記本発明の培地に
は、3mM以下のMBCDを添加することが適当である。受精
能獲得率は、MBCD濃度に依存するが、1mMより多いと受
精能獲得が低下する傾向があるので、0.5〜1mM加えるの
が望ましい。
【0015】
【表1】
【0016】表中、前培養に用いるMBCDを含む培地をc-
TYH培地、受精に用いるMBCDを含まない培地をTYH基本培
地と表記した。
【0017】精子の受精能獲得を実現させる為には、MB
CDを含む本発明の培地、好ましくは以下に示す表1の組
成を持つ培地にて前培養を行い、しかる後、MBCDを含ま
ない培地、例えば、表1に示す培地にて受精培養を行う
ことが適当である。
【0018】本発明の人工受精方法は、受精前の精子を
上記シクロデキストリン誘導体を含有する培地で予備培
養することを特徴とする。受精手順は以下のように行
う。以下作業手順では、培養に用いる培地は先に示した
TYH培地を、MBCDの有無を区別する為、前培養に用いるM
BCDを含む培地をc-TYH培地、受精に用いるMBCDを含まな
い培地をTYH基本培地と表記した。
【0019】成体(オス)から採取した精子、或はしかる
べき方法にて解凍した凍結保存精子を、c-TYH培地に、3
7℃にて5%二酸化炭素を含む空気雰囲気中で、且つ緩や
かな条件で分散し、培養する。前培養に用いる精子濃度
及び培養時間は、用いる精子の由来によって異なるの
で、事前にしかるべき試験を行った上、その結果を基に
した条件を使用する。
【0020】成体(メス)から採取した卵子、或はしかる
べき方法にて解凍した凍結保存卵子を、適量のTYH基本
培地に分散する。ヒアルロン酸分解酵素、及びタンパク
質分解酵素であるベンズアミジン(Benzamidin)、フェ
ニルメチルスルホニルフルオライド(phenylmethylsulf
onyl fluoride (PMSF))及びアプロチニン(Aprotini
n)で処理することによって卵丘細胞を除去する。それ
ぞれ用いる酵素濃度及び作用条件は、卵子の由来動物等
により異なるので、しかるべき事前試験を行った結果を
基にした条件を使用する。後、新鮮なTYH基本培地にて
洗浄し、再び新たなTYH基本培地に分散する。そこに遠
心分離等の適当な方法で回収したc-TYH培地にて前培養
した精子を分散し、37℃にて5%二酸化炭素を含む空気雰
囲気中で培養する。受精が確認できた卵子は、新鮮なKS
OM培地(Lawitte J.A. and Biggers J.D., “Methods I
n enzymology”, California Academic Press, 225, 15
3-163(1993))にて洗浄した後、同培地にて、更に37℃
にて5%二酸化炭素を含む空気雰囲気中で培養する。
【0021】受精卵が成長し2分割体となったら、適当
な母体に移植する。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。
【0023】実施例1 作用させるMBCD濃度の精子の受精能獲得率への影響。 (1)実験方法培地の調製 受精能獲得の為の精子前培養、及び処理した精子との受
精に用いた培地は、前述の表1に示したTYH培地にメチ
ル化β-シクロデキストリン(MBCD)を添加したc-TYH培地
を用いた。MBCDは、0〜2mMの範囲で5段階の添加量とし
た。
【0024】精子の調製 非近交系 Jcl:ICR マウスは日本CLEA 社より購入し
た。頚椎切断処理した生後2ヶ月以上のマウス(オス)2
匹の副睾丸を切除し、25Gサイズの針にて穿孔し得た組
織を、5段階の濃度のMBCDを含む400μlのc-TYH培地に
て、精子を5〜10分かけて分散した。このとき、試料そ
れぞれの精子濃度は0.6〜2x107cell/mlであった。次い
で精子は37℃にて90分間5%二酸化炭素を含む空気雰囲気
で培養した。
【0025】卵の調製 生後2ヶ月のICR マウス(メス)を5IUのPMSGを腹腔内注
射にて投与し、排卵過度にし、48時間後、5IUのhCG
を腹腔内注射にて投与した。hCG投与15〜17時間後、卵
採集の為、頚椎切断処理し、輸卵管の肥大した輸精管膨
大部より卵丘の破損が無い卵子を取り出し、c-TYH培地4
00μlに加えた。0.05% ヒアルロン酸分解酵素(Sigma)、
及び3種類のタンパク質分解酵素阻害剤(50μM Benzam
idin、50μM PMSF、0.25mg/ml Aprotinin;Sigma)で
処理することによって卵丘細胞を除去し、3回洗浄後、c
-TYH培地 400μl中に分散した。
【0026】In vitro 受精と卵の検定 卵丘細胞を除去したマウスの卵子は新鮮な400μlのTYH
培地に移し、7〜10μlのc-TYH培地にて予備培養処理し
た精子液を添加した。精子の最終濃度は2〜5x10cell
s/mlであった。6時間後、卵を新鮮なTHY培地にて洗浄
し、スライドガラス上に広げた後、2.5%グルタルアルデ
ヒド水溶液で、2時間室温にて固定し、0.25%acetolacmo
idで染色した。肥大化した精子頭部及び/または精子尾
部を持つ雄性前核を内包している卵子を受精卵と判断し
た。
【0027】結果 表2に示した様に、c-TYH培地にて予備培養した副睾丸
由来の精子は、in vitroで受精能を獲得した。その受精
能獲得は、処理したc-TYH培地中のMBCD濃度上昇に依存
し、0.75mM濃度で最大(50%)となった。しかしながら、2
mM MBCD濃度を用いた場合、0.75mM濃度の場合と比較す
ると、危険率5%の有意差で減少した。
【0028】
【表2】
【0029】実施例2 メチル化β-シクロデキストリン(MBCD)とヒドロキシプ
ロピル化β-シクロデキストリン(HBCD)のIn vitroでの
受精における精子受精能獲得に与える影響の比較を行っ
た。
【0030】実験方法 予備培養培地及び受精培地は実験1と同様、表1に示した
TYH及びc-TYH培地を用いた。このとき、添加するサイク
ロデキストリンとその濃度は、MBCD 0.75mM、ヒドロキ
シプロピル化β-シクロデキストリン(2-ヒドロキシプロ
ピル β-シクロデキストリン ;以後HBCDと略す) 0.75mM
とした。受精卵培養に用いた培地、精子及び卵子の調
製、受精確認は、実験1と同様の方法にて行った。
【0031】結果 表3に示した様に、精子の予備培養による受精能獲得
は、HBCDを用いた場合は弱く、MBCDを用いた場合は強く
発現した(危険率1%)。
【0032】
【表3】
【0033】実施例3 メチル化β-シクロデキストリン(MBCD)とウシ血清アル
ブミン(BSA)のIn vitroでの受精における精子受精能獲
得に与える影響の比較を行った。予備培養培地及び受精
培地は以下の組み合わせを用いた。
【0034】実験区1 表2に記載のc-TYH培地組成にて、前培養用培地にMBCDを
1mg/mlの濃度で、受精用培地に表1に記載のTYH培地を用
いた。
【0035】実験区2 表1に記載のc-TYH培地組成にて、予備培養及び受精培養
共にMBCDを1mg/mlの濃度で添加したものを用いた。
【0036】対象区1 表1に記載のTYH培地組成にて、予備培養用培地にBSAを4
mg/mlの濃度で、受精用培地に何も追加添加しないもの
を用いた。
【0037】対象区2 表1に記載のTYH培地組成にて、前培養及び受精培養共に
BSAを4mg/mlの濃度で添加したものを用いた。
【0038】受精卵培養に用いた培地、精子及び卵子の
調製、及び受精確認方法は、実験1と同様に行った。
【0039】結果 表4に示した様に、実験系1と2を比較すると、予備培養
及び受精培養用培地の両方にc-TYH培地を用いた場合の
受精率が21%であるのに対し、予備培養培地にのみにc-T
YH培地を用い、受精培養にはMBCDを添加しないTYH培地
を用いた場合の方が53%と高く、両者は危険率1%で有意
差が認められた。
【0040】一般の受精に用いられる対象区2の受精率
は66%と高いものの実験系1の結果との間に有意差が得ら
れず、両者の結果は同等と判断した。すなわち、c-TYH
培地を予備培養に用い、精子を処理することで、高い確
率で受精能を獲得できることがわかった。
【0041】
【表4】
【0042】実施例4 MBCDを含むc-TYH前培養培地にて処理したマウス精子を
用い、受精させた卵子の生育をin vitro及びマウス母体
にて調べた。
【0043】実験方法 実施例3及び4で行ったMBCD 1mg/ml(0.75mM)を含むc-TYH
培地にて処理したマウス精子を用い、TYH培地にて受精
させた卵子を分取し、Biggers(1993)が報告したKSOM培
地を用いin vitro にて培養し、卵子の成長を観察し
た。また、2細胞胚を母体となるICRマウスに移植し、受
精卵の子宮着床個数、出産個体数を調べた。
【0044】本実験にて用いた胚のin vitro 培養法及
び胚の状態観察法について述べる。
【0045】胚を得る為に0.75mMのMBCDを含むc-TYH培
地で処理した精子を用いてIn vitro受精を実施した後。
6時間後、2分卵割した胚をKSOM培地で3回洗浄した。次
いで100μlの新鮮なKSOM培地に移した後、37℃、5%二酸
化炭素を含む空気雰囲気中で90時間培養した。24時間間
隔で胚の成長を倒位顕微鏡で観察した。培養終了後、各
胚盤胞を0.9%クエン酸中で15分処理し、固定液(メタノ
ール:酢酸:水=3:2:1)中で1分間以内で処理した。
次いで各胚盤胞をスライドガラスにのせ乾燥した。1%gi
emsa染色液で10分間染色し、各胚盤胞中の核の数を100
倍率の顕微鏡下で計数した。
【0046】結果 表5に示すごとく、c-TYH培地にて処理したマウス精子に
て受精した卵子の内、2細胞胚となったものは、全体の
内66%であった。胚盤胞まで成長したものは45%であっ
た。受精卵が子宮に着床した母体は、表6に示す通り、
全体の内88%に達し、出産個体数は母体に移植した受精
卵の39%であった。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】実施例5 MBCDを添加したc-TYH培地処理により、精子細胞膜表層
中のコレステロール含量の変化を調べた。
【0050】実験方法 精子はc-TYH培地及びTYH培地にて37℃、5%二酸化炭素を
含む空気雰囲気中で0及び90分間培養したものを用い
た。培養精子混合液の1部をPBS液(138mM NaCl、2.7mM
KCl、8.0mM Na2HPO4、1.5mMKH2PO4、1.0mM CaCl2、0.5m
M MgSO4)にて2回洗浄し、精子数が1×107個/ml濃度に
なるようにPBS液を調製し、-20℃で保存した。この液を
十分に精子を分散した後1mlを分取し、(1:2v/v)クロ
ロホルム・メタノール混液3.75mlを加え、2分間激しく
攪拌し、精子中のコレステロールを抽出した。液を遠心
分離(100×G、10分間)した後、不溶物を取り出し、更に
(2:1:0.8v/v)クロロホルム・メタノール・水混液4.75
mlを加え、2分間激しく攪拌し、更に精子中のコレステ
ロールを抽出した。液を遠心分離(100×G、10分間)し、
得た抽出液は先の操作で得たものと合わせた後、2.5ml
ずつクロロホルムと0.88%KCl水溶液を加え、十分に攪拌
混合した。更に抽出混液を遠心分離(100×G、10分間)し
分離したクロロホルム層を分取した後、15μg 5α-コ
レスタンを内部標準として加えた後、窒素ガスで溶媒を
留去し、得られた残留物に(1:2v/v)クロロホルム・メ
タノール混液1mlを加え溶解した。この液をコレステロ
ール定量試料として用いた。
【0051】コレステロール定量 コレステロールはガスクロマトグラフィー法を用いた。
測定条件は次の通り。NB-1(i.d. 0.53μm、15m長;島
津製作所製)キャピラリーカラム、及びFID検出器を用
い、注入口温度295℃、カラム温度240℃、検出器温度29
5℃とした。検量用標準液は、(1:2v/v)クロロホルム
・メタノール混液1mlに試薬のコレステロール結晶とそ
れぞれに15μg 5α-コレスタンを内部標準として加え
たものを用いた。
【0052】結果 表7に示したように、c-TYH培地にて37℃で5%二酸化炭素
を含む空気雰囲気中で0及び90分間培養したものは、MBC
Dを含まないTYH培地で同様に培養したものと比べ、精子
中のコレステロール含量が0.85±0.03μg(平均値±標
準偏差n=5)と少なく、危険率1%で有意差があった。す
なわちc-TYH培地にて37℃で5%二酸化炭素を含む空気雰
囲気中で90分間培養したものは、この処理により45.28
±3.73%(平均値±標準偏差n=5)のコレステロールが精
子表層膜上から失われたことになる。
【0053】
【表7】
【0054】実施例6 c-TYH培地を用いた予備培養による精子のChlortetracyc
line(以後CTCと略す)蛍光パターン変化を調べ、受精能
獲得比率を計測した。
【0055】実験方法 精子はc-TYH培地及びTYH培地にて37℃、5%二酸化炭素を
含む空気雰囲気中で5及び90分間培養したものを用い
た。
【0056】得られた培養精子混合液 20μlに、等量
のCTC 750μM、20mM Tris、130mM NaCl、5mM Cysteine
を含むCTC試薬(4℃)を加え、10秒間攪拌した後、5μlの
1%グルタルアルデヒド・1M Tris 緩衝溶液を加えたも
の5μlを蛍光顕微鏡観察に用いた。蛍光顕微鏡での観察
条件は、380-420nm波長のフィルター透過光下にて行っ
た。結果は、受精能獲得を起こしていない、すなわち精
子前頭全体に蛍光が観察される精子の蛍光パターンをF
パターンとし、受精能獲得を起こした、すなわち精子前
頭のうち先体後域部だけに蛍光が観察されず、暗い帯状
に見える精子の蛍光パターンをBパターンとし、先体反
応を起こした精子、すなわち、頭部全体が蛍光を示さ
ず、頭部が殆ど見えないものの蛍光パターンをARパター
ンと表現した。
【0057】結果 CTC蛍光試験の結果(表8)、c-TYH培地にて37℃、5%二
酸化炭素を含む空気雰囲気中で5及び90分間培養したも
のは、TYH培地を用いたもの、及び5分だけc-TYH培地に
て培養したものと比較して、高い受精能獲得が観察さ
れ、その差は全て危険率1%で有意であった。活動できる
精子数の割合は、c-TYH培地90分間培養後では70±10%で
あった。
【0058】
【表8】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロデキストリン誘導体を含有すること
    を特徴とする人工受精用培地。
  2. 【請求項2】シクロデキストリンが、グルコース残基7
    個からなるβ−シクロデキストリンのメチル化誘導体で
    ある請求項1に記載の培地。
  3. 【請求項3】メチル化シクロデキストリンを2mM以下、
    好ましくは0.5〜1.0mMの範囲で含む請求項1または2に
    記載の培地。
  4. 【請求項4】哺乳動物の人工受精に用いられる請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の培地。
  5. 【請求項5】哺乳動物がマウス、ウシ、ウマ、ブタまた
    はヒトである請求項4に記載の培地。
  6. 【請求項6】受精前の精子をシクロデキストリン誘導体
    を含有する培地で予備培養することを特徴と人工受精方
    法。
  7. 【請求項7】シクロデキストリンが、グルコース残基7
    個からなるβ−シクロデキストリンのメチル化誘導体で
    ある請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】メチル化シクロデキストリンを2mM以下、
    好ましくは0.5〜1.0mMの範囲で含む培地で受精前の精子
    を予備培養する請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】精子が哺乳動物の精子である請求項6〜8
    のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】哺乳動物がマウス、ウシ、ウマ、ブタま
    たはヒトである請求項9に記載の方法。
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