JPH11345030A - ゾーン分割ヒータの温度制御装置 - Google Patents

ゾーン分割ヒータの温度制御装置

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JPH11345030A
JPH11345030A JP15451098A JP15451098A JPH11345030A JP H11345030 A JPH11345030 A JP H11345030A JP 15451098 A JP15451098 A JP 15451098A JP 15451098 A JP15451098 A JP 15451098A JP H11345030 A JPH11345030 A JP H11345030A
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JP
Japan
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temperature
heating
zone
power supply
heating zone
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Kenichi Bando
賢一 板東
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ゾーン分割ヒータの各加熱ゾーンの定常状態及
び過渡状態における温度差が高精度に所定範囲内に収ま
りつつ、短時間でかつ最大供給電力を抑えて目標温度に
制御することができるようにする。 【解決手段】複数の隣接加熱ゾーンA,Bに分割された
平板状加熱体を、各加熱ゾーン毎に独立して個別に制御
する温度制御装置30A,30Bで、各制御系は、対応
加熱ゾーンの加熱開始後の過渡状態期間には、当該加熱
ゾーンの温度に対応して複数領域に分割して、各領域毎
の最大電力供給量に対して予め設定した複数の異なる比
率値の固定電力32B,33Bを、当該温度に応じて順
次切換えて供給し、所定温度に到達以降は、当該加熱ゾ
ーンの温度をフィードバックして、目標温度とフィード
バック信号との偏差に対応して、電力可変制御34Aへ
切換えを行なう切換制御手段36A,36Bを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は熱伝達面が複数の
ゾーンに分割されたゾーン分割ヒータによってウェハ等
の被温度制御体を加熱するゾーン分割ヒータの温度制御
装置に関し、特に過渡状態及び定常状態における被温度
制御体の温度分布を均一にすべく、ゾーン分割ヒータの
各ゾーン間の温度分布を少なくしつつ、省電力かつ短時
間に該被温度制御対象物を所定温度に整定するための改
良に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】半導
体製造工程には、ウェハに塗布したレジスト膜に残存す
る溶剤を取り除くための加熱工程(プリベーキング)
や、エッチング前にレジストと基板との密着を容易にす
るための加熱工程(ポストベーキング)や、加熱したウ
ェハを室温レベルに冷却するクーリング工程などが含ま
れており、これらの工程の際にウェハをより効率よくか
つ高精度に温度制御することがスループットを上げる上
で重要である。すなわち、プリベーク工程の次工程は露
光であり、またポストベーク工程の次工程はエッチング
であるので、これらの工程にすぐに移行できるようにす
るためには、ウァハの温度分布にかなり厳しい条件が要
求される。
【0003】上記ベーキング工程で用いられるウェハの
温度制御の1つの従来技術としてヒータによる直接加熱
方式があり、この方式では、加熱面全面にパターン形成
された抵抗線を樹脂などによって封入した電気加熱式な
どのプレート状のヒータ(薄膜ヒータ)の上にウェハを
載置し、ヒータによってウェハを直接的または間接的に
加熱するようにしている。
【0004】このようなプレート状のヒータとしては、
一括通電される加熱体(抵抗線)がプレート全面に配置
されこれを1つの温度制御系で制御する通常のヒータプ
レートと、加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに
分割され、各加熱ゾーン毎に独立に通電される加熱体を
有するゾーン分割ヒータとがあるが、ゾーン分割ヒータ
のほうが各ゾーン毎に独立に温度制御を行えることから
加熱面の温度分布をなくす上で有利である。
【0005】しかし、このような高精度の温度制御が可
能なゾーン分割ヒータを用いるとはいっても、前述した
ように、ベーキング工程の際にはかなり厳しい温度条件
が要求されるので、これを安価で汎用的に富むPID制
御だけで実現させるのは、非常に困難である。例えば、
上記ベーキング工程などの際には、各加熱ゾーン間の温
度差は、過渡状態で±1゜C以内、定常状態で±0.2
゜C以内が要求され、しかも30秒程度の短時間でプレ
ート温度を整定することも要求される。
【0006】すなわち、PID制御によって上記ゾーン
分割ヒータを制御する場合、各加熱ゾーン毎にPID調
整器を設け、これら複数のPID調整器の各ゲインをそ
れぞれ試行錯誤によって調整しなくてはならない。例え
ば、加熱ゾーンが3ゾーン存在する場合は、計9個のゲ
イン調整が必要になる。
【0007】一方、PID調整器によって各加熱ゾーン
のゲイン調整が精度よく行われたとしても、プレート温
度を30秒程度という短時間で整定するためには、図1
1に示すように、目標の入力波形100は、立ち上げの
初期100aと目標温度に整定される立ち上げの後期1
00cにおける勾配を小さくし、立ち上げの中期100
bにおける勾配を大きくした連続波形とし、これに追従
させる制御を行うなどの方法が必要である。
【0008】しかし、このような目標入力波形100に
追従させる制御では、立ち上げ中期100bにおける波
形の勾配が大きいことから、図12に示すように、供給
電力量は立ち上げ中期100bにおいてピーク点Pを形
成し、このことはピーク点Pにおける供給電力量を確保
できる大きな容量をもった電力供給源を必要とし、装置
の小型、軽量化を妨げるという問題点があった。
【0009】この発明はこのような実情に鑑みてなされ
たもので、ゾーン分割ヒータの各加熱ゾーンの定常状態
及び過渡状態における温度差が高精度に所定範囲内に収
まりつつ、短時間でかつ最大供給電力を抑えて目標温度
に制御することができるゾーン分割ヒータの温度制御装
置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】請求項1に
対応する発明では、平板状の加熱面が複数の異なる隣接
した加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制
御される加熱体を有するゾーン分割ヒータと、 各加熱
体を各加熱ゾーン毎に各別に制御する複数の制御系とを
有し、加熱面に載置された被温度制御体の加熱制御を行
うゾーン分割ヒータの温度制御装置において、前記複数
の制御系のそれぞれは、当該加熱ゾーンの加熱を開始し
てから当該加熱ゾーンの温度が目標温度より若干小さい
所定の温度になるまでの過渡状態期間を当該加熱ゾーン
の温度に対応して複数の領域に分割し、これら分割した
各領域毎に最大電力供給量に対する電力供給比率値を予
め設定し、これら設定された複数の異なる比率の固定電
力を当該加熱ゾーンの加熱体に対し当該加熱ゾーンの温
度に応じて順次切換え供給する第1の電力供給制御手段
と、当該加熱ゾーンの温度をフィードバックして目標温
度と前記フィードバック信号の偏差に対応して当該加熱
ゾーンの加熱体に供給する電力を可変制御する第2の電
力供給制御手段と、当該加熱ゾーンの加熱を開始してか
ら当該加熱ゾーンの温度が前記所定の温度に到達するま
では前記第1の電力供給制御手段による電力供給を行
い、当該加熱ゾーンの温度が前記所定温度に到達した以
降は前記第2の電力供給制御手段による電力供給を行な
うよう第1の電力供給制御手段から第2の電力供給制御
手段への切換えを行なう切換制御手段とを具えるように
している。
【0011】この請求項1の発明では、該加熱ゾーンの
温度が目標温度より若干小さい所定の温度になるまでの
過渡状態期間においては、電力供給を前記第1の電力供
給制御手段によって行なうことで、基本的には、最大供
給電力に対して所定の比率をとる固定電力を供給し、こ
れにより電力のピークを生じさせることなく効率的な電
力供給を行い、電源容量の削減を図るようにする。そし
て、前記電力比率としては、できるだけ大きな値を採用
することで、短時間で加熱ゾーンの温度を目標温度近辺
まで上昇させるようにする。
【0012】そして、加熱ゾーンの温度が前記目標温度
より若干小さい所定の温度になった以降の定常状態期間
においては、電力供給を前記第2の制御手段によって行
なうことで、PI制御などのフィードバック制御を用い
て加熱体への電力供給量を制御し、加熱ゾーンの温度が
定常状態の温度差以内に収まるように制御する。
【0013】ここで、第1の電力供給制御手段は、単純
に1種類の固定電力を供給するのではなく、前記過渡状
態期間を当該加熱ゾーンの温度に対応して複数の領域に
分割し、これら分割した各領域毎に最大電力供給量に対
する電力供給比率を予め設定し、これら設定された複数
の異なる比率の固定電力を当該加熱ゾーンの加熱体に対
し当該加熱ゾーンの温度に応じて順次切換え供給するよ
うにしている。
【0014】これは次のような理由に基づく。すなわ
ち、各加熱ゾーン間では、加熱体の熱容量の違いや放熱
特性の違いなどがあるため、各加熱ゾーンに対し最大電
力供給量に対し同一比率の固定電力を供給するようにし
た場合、各加熱ゾーンの時間に対する温度勾配は異なる
ものとなる。また、この各加熱ゾーンでの温度勾配の異
なり方は、単純に過渡状態期間の全期間において、ゾー
ンAの温度勾配<ゾーンCの温度勾配<ゾーンBの温度
勾配というように一定の大小関係にあるというものでは
なく、各加熱ゾーンの温度勾配の大小関係は時間帯に応
じて入れ換わるものとなる。すなわち、例えば、過渡状
態期間の前半においては、ゾーンAの温度勾配<ゾーン
Bの温度勾配の関係が成立し、過渡状態期間の後半にお
いてはゾーンAの温度勾配>ゾーンBの温度勾配の関係
が成立するといったものとなる。
【0015】そこで、第1の電力供給手段は、このよう
な各ゾーンの温度勾配の特性に応じて過渡状態期間を加
熱ゾーンの温度によって複数の領域に分割し、これら分
割した各領域毎に各ゾーンの温度勾配を一致させる電力
供給比率を予め設定し、これら設定された複数の異なる
比率の固定電力を当該加熱ゾーンの加熱体に対し当該加
熱ゾーンの温度に応じて順次切換え供給することで、各
加熱ゾーンの過渡状態における温度勾配を一致させる。
【0016】このようにこの請求項1の発明では、各加
熱ゾーンの熱容量や放熱特性が異なったとしても各加熱
ゾーンの温度をより高精度に一致させることができ、被
温度制御体の全面を均一に加熱制御することが可能にな
る。また、過渡状態において、電力のピークを生じさせ
ることなく効率的な電力供給を行うことができ、電源容
量を削減することができる。さらに、電力比率として
は、できるだけ大きな値を採用することで、短時間で加
熱ゾーンの温度を目標温度近辺まで上昇させることがで
きる。
【0017】請求項2に対応する発明では、請求項1の
発明の前記電力可変制御手段は、前記偏差が0のときに
零でない所定の制御量を出力するようにしている。
【0018】したがって、この発明では、各加熱ゾーン
において、偏差が0になった場合の放熱分が補償される
ことになり、放熱分が大きい場合においても定常状態に
おいて各加熱ゾーンの温度を目標温度に対しより高精度
に許容範囲内に収めることができるようになる請求項3
に対応する発明では、請求項2の発明のゾーン分割ヒー
タは支持部材に支持されるものとし、前記零でない所定
の制御量は、当該加熱ゾーンの温度が前記所定の温度に
到達してから予め設定された所定の時間が経過するまで
は予め設定された第1の所定値が出力され、前記所定の
時間が経過した以降は、前記第1の所定値からこの第1
の所定値より小さい第2の所定値まで徐々に小さくなる
値が出力されるように設定する。
【0019】すなわち、当該加熱ゾーンの温度が前記所
定の温度に到達してから予め設定された所定の時間が経
過するまでの期間は被温度制御体の過渡状態から定常状
態への移行期間であるため、この期間においては、ゾー
ン分割ヒータを支持する支持部材の温度は被温度制御体
に比べまだまだ低く各加熱ゾーンにおいて放熱の影響は
大きい。これに対し、支持部材の温度が整定した状態に
おいては、各加熱ゾーンにおいて放熱の影響も小さくな
る。
【0020】そこで、この発明では、前記放熱分補償量
として、上記過渡状態から定常状態への移行期間中には
比較的大きな値(第1の所定値)を選択し、その後はこ
の値を第2の値まで徐々に小さくしていくことで、動的
に放熱量を補償し、これにより、各加熱ゾーンの温度を
目標温度に対しより高精度に許容範囲内に収めるように
している。
【0021】請求項4に対応する発明では、平板状の加
熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分割され、各
加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体を有するゾーン
分割ヒータと、 各加熱体を各加熱ゾーン毎に各別に制
御する複数の制御系とを有し、加熱面に載置された被温
度制御体の温度制御を行うゾーン分割ヒータの温度制御
装置において、前記複数の制御系のそれぞれは、各加熱
ゾーンに共通の所定の目標温度にしたがって当該加熱ゾ
ーンをフィードバック加熱制御する第1の制御手段と、
各加熱ゾーンの動特性を各加熱ゾーン間で共通化した動
特性モデルを有し、この動特性モデルを用いて当該加熱
ゾーンの目標温度に対応する温度変化速度を推定し、こ
の推定した温度変化速度を目標温度にフィードバックす
る第2の制御手段とを備えるようにしたことを特徴とす
る。
【0022】この請求項4の発明では、各加熱ゾーンに
おいて、動特性モデルを用いて当該加熱ゾーンの目標温
度に対応する温度変化速度を推定し、この推定した温度
変化速度を目標温度にフィードバックするようにしてい
るので、過渡状態から定常状態への移行の際の振動状態
が抑制され、その整定時間を大幅に短縮することができ
る。
【0023】請求項5に対応する発明では、請求項4の
発明の第1の制御手段は、各加熱ゾーン間の動特性の定
常偏差がなくなるようにゲインが予め調整されるもので
あり、前記第2の制御手段の動特性モデルは、前記第1
の制御手段のゲイン調整後の各加熱ゾーンの動特性を各
加熱ゾーン間で共通化しかつ近似低次元化したものであ
り、前記第2の制御手段は、前記目標温度に対応する当
該加熱ゾーンの出力と目標温度に対応する前記動特性モ
デルの出力との偏差をとり、この偏差を推定誤差として
目標温度にフィードバックする推定誤差フィードバック
手段を更に具えるようにしている。
【0024】この請求項5の発明によれば、まず第1の
制御手段による例えばPI制御によって各加熱ゾーンの
動特性の定常偏差をなくしておく。したがってこの状態
では、各加熱ゾーン間で過渡状態における温度差は依然
残っている。つぎに、この定常偏差をなくした状態にお
ける各加熱ゾーンの動特性を例えば、簡単な振動性二次
要素にて近似するとともに、各加熱ゾーン間で共通化し
た動特性モデルを作成する。すなわち、動特性モデル
は、各加熱ゾーン間で同一なモデルとする。また、第2
の制御手段は、外乱オブザーバとして機能し、目標温度
に対応する当該加熱ゾーンの出力と目標温度に対応する
前記動特性モデルの出力との偏差をとり、この偏差を目
標温度にフィードバックする。したがって、このような
第1の制御手段および動特性モデルが同一である第2の
制御手段を各加熱ゾーンの制御系に各別に備えるように
すれば、過渡状態における各加熱ゾーン間の温度差、構
造上の動特性の違い、モデル誤差、製作誤差などは全て
第2の制御手段から推定外乱として出力されることにな
り、この推定外乱が目標温度にフィードバックされるこ
とになるので、各加熱ゾーンの動特性は前記共通化され
たモデルの動特性に追従することになり、結果的に各加
熱ゾーンの定常状態および過渡状態における温度特性の
差をなくすことができるようになる。
【0025】このようにこの請求項5の発明によれば、
ゾーン分割ヒータの各加熱ゾーンの定常状態および過渡
状態における温度特性の差をなくすようにしたので、各
時点においてヒータ全面に亘って温度分布が生じなくな
り、被温度制御体の全面を均一に加熱制御することが可
能になる。
【0026】請求項6に対応する発明では、平板状の加
熱面が2つの異なる隣接した第1及び第2の加熱ゾーン
に分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体
を有したゾーン分割ヒータと、当該加熱ゾーンの温度を
フィードバックして各加熱ゾーンで共通の所定の目標温
度と前記フィードバック信号の偏差に対応して当該加熱
ゾーンの加熱体を加熱制御する各加熱ゾーン毎に設けら
れた第1及び第2の制御系とを有し、加熱面に載置され
た被温度制御体の温度制御を行うゾーン分割ヒータの温
度制御装置において、前記2つの加熱ゾーンの温度の偏
差を求め、この偏差を前記第1および第2の制御系のう
ちのいずれか一方の制御系の目標温度にフィードバック
する手段を具えるようにしている。
【0027】この請求項6の発明では、2つの加熱ゾー
ンの温度の偏差を求め、この偏差を前記第1および第2
の制御系のうちのいずれか一方の制御系の目標温度にフ
ィードバックするようにしているので、第1および第2
の加熱ゾーンの温度をより高精度に一致させることがで
き、被温度制御体の全面を均一に加熱制御することが可
能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施形態を添付図
面に従って詳細に説明する。
【0029】図2は、ウェハ10が載置されるゾーン分
割ヒータ20の概略構成を示す図である。ゾーン分割ヒ
ータ20は、円形平板状をなし、その加熱面が同心円で
区画された2つの加熱ゾーンA,Bに分割されている。
ゾーン分割ヒータ20の加熱面上には、複数のギャップ
調整ピン21が形成されており、これらのピン21によ
ってヒータ20とウェハ10との間には極く僅か(0.
1mm程度)の隙間を形成するようにしている。従っ
て、ヒータ20からの熱はこの隙間を介してウェハ10
に伝達することになる。
【0030】ゾーン分割ヒータ20は、各ゾーンA,B
毎に各別に通電制御される抵抗線パターンを有し、これ
らの抵抗線パターンを樹脂等によって封入形成するよう
にしている。
【0031】図1は、図2のゾーン分割ヒータを温度制
御する制御系の概略構成を示すブロック図である。図1
において、加熱ゾーンA,B毎に各別の制御系30A,
30Bを有している。
【0032】制御系30Aは、電力供給部31Aを有
し、この電力供給部31Aによって加熱ゾーンAの加熱
ヒータ(抵抗線パターン)32Aに電力が供給される。
電力供給部31Aは、供給する固定電力を設定する第1
固定電力供給部33Aおよび第2固定電力供給部34A
と、供給する可変電力を設定する可変電力供給部35A
を有し、加熱ゾーンAのゾーン加熱ヒータ31Aに対す
るこれらの電力供給は、切換部36Aによって切り換え
制御される。但し、電力供給部37Aの構成は1つであ
り、第1及び第2固定電力供給部32A,33Aは固定
電力出力の設定を行い、可変電力供給部34AはPI調
整器37Aの制御のもとに可変電力出力の設定を行な
う。
【0033】切換部36Aは、加熱開始時点には第1固
定電力供給部32A側に接続されるよう動作し、それ以
後は加熱ゾーンAの温度に基づいて切換え動作を実行す
る。すなわち、切換部36Aは加熱ヒータ31Aによっ
て加熱される加熱ゾーンAの温度Y1を検出しており、
この検出温度Y1が予め設定され第1の所定温度T1にな
るまでは第1固定電力供給部31Aを選択し、前記検出
温度Y1が第2の所定温度T2(T1<T2)になるまで、
すなわちT1<Y1≦T2の範囲では、第2固定電力供給
部32Aを選択し、前記検出温度Y1が第2の所定温度
T2を超えると可変電力供給部34Aを選択する。
【0034】ここで、PI調整器36Aは、可変電力供
給部35Aとともに動作するもので、加熱ゾーンAの温
度Y1をフィードバックして、指令値U1(目標温度T
c、T2<Tc)とフィードバック信号Y1との偏差U1−
Y1が零になるようにPI制御を実行する。すなわち、
PI調整器36Aは、PI制御によって可変電力供給部
34Aが供給する電力量を制御し、加熱ゾーンAの温度
を目標温度に整定する制御を行う。
【0035】オブザーバ40Aは、ロバスト制御におけ
る状態観測器に対応し、当該プラントの動特性と一致す
る数学モデルを有している。このオブザーバ40Aに構
築される動特性モデルに関しては、後で詳述する。オブ
ザーバ40Aでは、温度指令値U1に対応する当該プラ
ント(加熱ゾーンA)の出力Y1と温度指令値U1(正確
にはU1−d^)に対応する前記動特性モデルの出力の
偏差、即ち推定外乱d^を求め、この推定外乱d^を温
度指令値Uにフィードバックする。したがって、この制
御系によれば、推定外乱d^がなくなるように、当該プ
ラント(ゾーンA)の動特性はオブザーバ40Aの構築
された動特性モデルの動特性に追従していくことにな
る。
【0036】さらに、このオブザーバ40Aでは、前記
記憶された動特性モデルを用いて加熱ゾーンAの温度変
化速度を推定し、この推定した温度変化速度(推定速
度)Y1´^を目標値U1にフィードバックするようにし
ている。
【0037】制御系30Bは、加熱ゾーンBの温度制御
を行い、制御系30Aと同様に、第1固定電力供給部3
2B、第2固定電力供給部33Bおよび可変電力供給部
34Bを有する電力供給部31Bと、切換部36Bと、
PI調整器37Bと、オブザーバ40Bなどを有してい
る。制御部30Bに入力される温度指令値U2の目標温
度(整定温度)は、制御部30Aに入力される温度指令
値U1の整定温度と同一である。
【0038】まず、各制御系30A,30Bでの切換え
部36A、36Bの切換え制御に関して説明する。
【0039】この場合、電力供給部31A、31Bに供
給される電力はトータルで例えば6KWであり、各ゾー
ンA、Bの出力を最大(100%)にしたときに、ゾー
ンAにはほぼ4.5KWが供給され、ゾーンBにはほぼ
1.5KWが供給されるようにしている。
【0040】ここで、図3(a)に示すように、各ゾーン
A,Bに最大電力量(100%)を供給したとすると、
各ゾーンA,Bの熱容量の違いや各ゾーンの放熱特性の
違いによって、各ゾーンの過渡状態における温度勾配は
異なったものとなる。図2の構成においては、ゾーンB
の周縁部を図示しないクランプ部材などでクランプ支持
し、このクランプ部材を経由して装置筐体に熱が放熱す
るため、ゾーンAに比べゾーンBの方が放熱の影響を大
きく受ける。このことなどを原因として、図3(a)の場
合には、過渡状態において、最初はゾーンBのほうが温
度勾配が大きいが、しばらくするとこれらの温度勾配は
逆転している。
【0041】そこで、図3(b)に示すように、ゾーンA
に対しては最大電力量(100%)を継続して供給する
が、ゾーンBに対しては加熱開始からゾーンBの温度が
T1になるまでは97%の電力を供給し、ゾーンBの温
度がT1になった後に最大電力量(100%)を供給す
るようにすれば、加熱開始からゾーンA,Bの温度がT
1になるまでの温度勾配を一致させることができる。こ
の場合には、ゾーンA,Bの温度がT1になった後の温
度勾配は依然不一致である。
【0042】そこで、図3(c)に示すように、ゾーンA
に対しては、加熱開始からゾーンAの温度がT1´にな
るまでは最大電力量(100%)を供給し、ゾーンAの
温度がT1´になってからT2になるまでの間は90%の
電力を供給するようにするとともに、ゾーンBに対して
は加熱開始からゾーンBの温度がT1になるまでは97
%の電力を供給し、ゾーンBの温度がT1になった後に
最大電力量(100%)を供給するようにすれば、加熱
開始からこれらゾーンA,Bの温度が目標温度Tcより
僅かに小さい所定温度T2になるまでのゾーンA,Bの
過渡状態における温度勾配を一致させることができる。
【0043】したがって、ゾーンA,Bが図3に示した
ような、過渡特性を有するものとすれば、図1のゾーン
Aの第1固定電力供給部32Aには、供給すべき固定電
力の最大電力供給量に対する比率として100%を設定
し、第2固定電力供給部33Aには、同比率として90
%を設定する。
【0044】同様に、ゾーンBの第1固定電力供給部3
2Bには、前記電力比率として97%を設定し、第2固
定電力供給部33Bには同比率として100%を設定す
る。なお、これらの電力比率としては、できるだけ大き
な値のなかでゾーンA,Bの温度勾配を一致させること
をできる値を選択することで、立上がり時間をできるだ
け短時間となるようにする。
【0045】図4は、制御系30Aにおける切換部36
の切換え制御を示すフローチャートである。
【0046】すなわち、加熱が開始されると、制御系3
0Aの切換部36Aは、第1固定電力供給部32Aを選
択し、これにより固定電力比率を100%とした最大供
給電力量での電力供給がゾーンAの加熱ヒータ31Aに
対して実行される。この電力比率100%での固定電力
供給はゾーンAの温度Y1がT1になるまで続行される
(ステップ200〜210)。
【0047】この後、ゾーンAの温度Y1がT1に到達す
ると、切換部36Aはその接点を第2固定電力供給部3
3Aに切り換える(ステップ220)。この結果、今度
は固定電力比率を90%とした電力供給がゾーンAの加
熱ヒータ31Aに対して実行される。この電力比率90
%での固定電力供給はゾーンAの温度Y1がT2゜Cにな
るまで続行される(ステップ230)。
【0048】この後、ゾーンAの温度Y1がT2に到達す
ると、切換部36Aはその接点を可変電力供給部34A
に切り換える(ステップ240)。この結果、これ以降
は、温度Y1をフィードバックしたPI制御およびオブ
ザーバによる可変電力供給が行われ、これによりゾーン
Aの温度は過渡状態から定常状態に整定していくことに
なる(ステップ250)。
【0049】制御系30Bも上記と同様に動作する。
【0050】すなわち、加熱が開始されると、制御系3
0Bの切換部36Bは、第1固定電力供給部32Bを選
択し、これにより固定電力比率を97%とした電力供給
がゾーンBの加熱ヒータ31Bに対して実行される。こ
の電力比率97%での固定電力供給はゾーンBの温度Y
2がT1´になるまで続行される。
【0051】この後、ゾーンBの温度Y2がT1´に到達
すると、切換部36Bはその接点を第2固定電力供給部
33Bに切り換える。この結果、今度は固定電力比率を
100%とした電力供給がゾーンBの加熱ヒータ31B
に対して実行される。この電力比率100%での固定電
力供給はゾーンBの温度Y2がT2゜Cになるまで続行さ
れる。
【0052】この後、ゾーンBの温度Y2がT2に到達す
ると、切換部36Bはその接点を可変電力供給部34B
に切り換える。この結果、これ以降は、温度Y2をフィ
ードバックしたPI制御およびオブザーバによる可変電
力供給が行われ、これによりゾーンBの温度は過渡状態
から定常状態に整定していくことになる。
【0053】図5は、図1に示した温度制御を行った場
合の供給電力の時間変化を示し、図6は、従来のPI制
御のみよる温度制御を行った場合の供給電力の時間変化
を示している。図5及び図6の温度制御はともに、使用
できる最大供給電力を6kWとしている。
【0054】また、図7の実線グラフは、図1に示した
本発明の実施の形態によって温度制御された加熱ゾーン
A,Bとウェハ10の温度の時間変化についてシミュレ
ーションした結果を示す図であり、図8は、従来のPI
D制御のみによって温度制御された加熱ゾーンA,Bと
ウェハ10の温度の時間変化についてシミュレーション
した結果を示す図である。これらの温度制御ではウェハ
10を20℃から150℃に加熱する。この場合、目標
指令値U1の目標温度は154゜C、T1,T1´=80
〜100゜C、T2=150゜C程度に設定している。
【0055】ここで、図7に示すように本発明の実施形
態による温度制御の場合は、図8に示す従来の温度制御
に比べ、その立上がり時間が10秒程度短くなると共
に、目標温度への整定時間も大幅に短くなっている。す
なわち、同一電力量を消費するという条件もとで本発明
の実施の形態とPID制御のみの従来の温度制御とを比
較すると、本発明の実施の形態の方が、短時間で目標温
度に整定できることがわかる。
【0056】逆に、このことから、同じ整定時間にウェ
ハ10を目標温度に整定する場合、本発明の実施の形態
を用いると消費される最大電力が少なくて済むことにな
る。これは、例えば図6に示す加熱ゾーンBに供給され
た電力を時間軸に押し潰した矩形(固定電力)とするこ
とにより、最大固定電力供給量を小さくすることができ
るからである。
【0057】なお、図7及び図8に示すように、本発明
の実施の形態及びPID制御のみの温度制御のいずれ
も、プレート目標温度(各加熱ゾーンA,Bの目標温
度)は、ウェハ10の目標温度より、4℃高い温度に設
定している。これは、加熱ゾーンの熱が全てウェハ10
に伝達されないからであり、その温度差が約4℃という
実験値に基づく。
【0058】また、上述した本発明の実施の形態では、
実際に制御したいのは、プレート温度ではなく、プレー
トに載置されたウェハ10の温度であるため、フィード
バック制御を施すプレート温度は、ウェハの温度を高速
に整定するために若干オーバーシュートさせるようにし
ている(図7参照)。これは、ウェハの温度がプレート
の温度に対して一次遅れであるので、プレートの温度が
若干オーバーシュートしても、ウェハの温度はオーバー
シュートしないことを利用している。
【0059】次に、図1に示す各制御系30A,30B
のオブザーバ40A,40Bに関して説明する。
【0060】この場合、これらのオブザーバ40A,4
0Bからは、推定外乱d^と推定速度Y1´^が出力さ
れる。
【0061】ここで、図1に示した本システムの制御系
においては、外乱オブザーバの40A、40B内のモデ
ルを構築するために次のような手法を実行する。
【0062】すなわち、まず、各制御系30A、30B
のPI調整器37A、37BのPIゲインを調整して、
図9に示すように、各加熱ゾーンの動特性間に、定常状
態において偏差が発生しないようにしておく。勿論、こ
のPI調整器31A、30Bによる調整では、過渡状態
における温度差もなくすことは困難であり、図9にも示
すように、各加熱ゾーン間で過渡状態における温度差は
存在していることになる。
【0063】つぎに、このように定常偏差をなくした状
態における各加熱ゾーンの動特性を、例えば、簡単な振
動性二次要素にて近似低次元化(ステップ応答波形によ
る)した下式に示すような動特性モデルを作成する。
【0064】 ただし、これら近似した各加熱ゾーンの動特性モデル
は、各加熱ゾーンで共通とする。すなわち、近似低次元
化した各加熱ゾーンの動特性モデルは同一とし、この同
一の動特性モデルを各加熱ゾーンの制御系の外乱オブザ
ーバ40A、40Bに記憶するようにする。
【0065】前述したように、各制御系のオブザーバ4
0A、40Bでは、温度指令値Uに対応する当該加熱ゾ
ーンの出力Yと、温度指令値Uに対応する自オブザーバ
内の動特性モデルの出力の偏差、即ち推定外乱d^を求
め、この推定外乱d^を温度指令値Uにフィードバック
するようにしたので、各制御系では、推定外乱d^がな
くなるように、当該加熱ゾーンの動特性が自オブザーバ
内の動特性モデルの動特性に追従していくことになる。
【0066】ここで、前述したように、各オブザーバ内
の動特性モデルは共通化されているので、各加熱ゾーン
の制御系ではそれぞれの動特性が共通化されたモデルの
動特性に追従することになり、結果的に各加熱ゾーンの
定常状態および過渡状態における温度特性の差をなくす
ことができるようになる。
【0067】すなわち、各加熱ゾーンの動特性は異なる
ので、これらの各加熱ゾーンの動特性モデルは本来別々
に最適のものを採用するべきであるが、本システムで
は、各加熱ゾーンの動特性を一致させることを主眼にお
いて、これら各加熱ゾーンの動特性モデルを共通化して
ロバスト制御を行うようにしているのである。すなわ
ち、本システムでは、各加熱ゾーン間で、過渡状態にお
ける温度差、構造上の動特性の違い、モデル誤差、製作
誤差などが存在したとしても、これらは全て外乱とみな
されて温度指令値Uにフィードバックされることにな
る。
【0068】一方、各制御系30A,30Bのオブザー
バ40A,40Bでは、前記記憶された動特性モデルを
用いて、各加熱ゾーンA,Bの温度変化速度を推定し、
この推定した温度変化速度(推定速度)Y1´^,Y2´
^を各ゾーンA,Bの目標値U1、U2にフィードバック
するようにしている。
【0069】図7のグラフにおいて、実線で示したもの
が推定速度Y1´^,Y2´^をフィードバックした場合
であり、破線で示すものが推定速度Y1´^,Y2´^を
フィードバックしていない場合である。これらの比較か
らも判るように、この実施形態では、各加熱ゾーンA,
Bの温度変化速度を推定し、この推定した温度変化速度
をフィードバックするようにしているので、プレート温
度をオーバーシュートさせた場合でも、過渡状態から定
常状態への移行の際の振動状態が抑制され、その整定時
間を大幅に短縮することができる。
【0070】次に、図1の実施形態においては、加算点
50でゾーンAのプレート温度Y1とゾーンBのプレー
ト温度Y2との偏差(Y1−Y2)を求め、この偏差(Y1
−Y2)をゾーンAの指令値にフィードバックするよう
にしている。したがって、PI調整器37A、37Bが
動作するプレート温度がT2以上の期間において、加熱
ゾーンA,Bの温度をより高精度に一致させることがで
きるようになる。
【0071】なお、同心円の加熱ゾーンが図2のように
2ゾーンではなく、内側ゾーン、中間ゾーン、外側ゾー
ンと3ゾーン存在する場合は、中間ゾーンを基準ゾーン
とし、内側ゾーンのプレート温度から中間ゾーンのプレ
ート温度を引いた偏差を内側ゾーンにフィードバック
し、外側ゾーンのプレート温度から中間ゾーンのプレー
ト温度を引いた偏差を外側ゾーンにフィードバックする
ようにすればよい。
【0072】次に、PI調整器37A,37Bで行われ
る動的な放熱補償制御について説明する。
【0073】すなわち、各ゾーンA,Bを加熱する際、
放熱の影響が大きい場合、指令値Uとフィードバック信
号Yとの偏差eが0のとき、その制御量を0にした場合
は、放熱によって温度が降下する場合が考えられる。特
に、前述したように、外側ゾーンBにおいては、その周
縁部で装置筐体に支持されているので、装置筐体を介し
ての放熱の影響が大きい。そこで、図1のPI調整器3
7A,37Bにおいては、上記偏差eが0のときも制御
量をある程度確保する、謂ゆる比例帯制御を行なうこと
で、放熱の影響をキャンセルするようにしている。
【0074】ここで、放熱の影響を経時的に考えた場
合、過渡状態から定常状態に移行するまでの移行期間に
おいては、装置筐体側の温度もまだ低く放熱の影響が大
きい。しかし、この移行期間を経た後は装置筐体の温度
も上昇し、放熱の影響も徐々に小さくなる。そこで、図
1のPI調整器37A,37Bにおいては、図10に示
すように、放熱量が大きい前記移行期間には上記比例帯
制御の制御量として大きな値D1を設定し、前記移行期
間を経た後はこの制御量を上記設定値D1から値D2(<
D1)まで徐々に小さくするようにしている。
【0075】すなわち、PI調整器37A,37Bに
は、加熱開始から所定の時間t1が経過するまでの比例
帯制御量としてD1(例えば電力比率で60%)が設定
され、時間t1が経過した後は時間t2が経過する間に設
定値D1から値D2(例えば電力比率で40%)まで直線
的に減少する比例帯制御量が設定されている。勿論、こ
れらの比例帯制御量は、ゾーンA,B毎に最適な値が設
定されている。
【0076】したがって、加熱開始から時間t2が経過
するまでに、前記偏差eが0になった場合はPI調整器
から制御量D1が出力され、その後は偏差が0になった
時点に対応する制御量α(D1≦α≦D2)が出力され
る。
【0077】このように、各ゾーンのPI調整器37
A,37Bにおいては、指令値とフィードバック信号の
偏差eが0になったときの比例帯制御量を放熱特性に応
じて動的に可変するようにしたので、放熱分を動的に補
償することができるようになり、これにより、各加熱ゾ
ーンの温度を目標温度に対しより高精度に許容範囲内に
収めることができる。
【0078】なお、上記説明では、比例帯制御量をD1
とする時間として、加熱開始からの時間t1を計時する
ようにしたが、各プレート温度が前記設定温度T2にな
るまでは前記偏差が0になることはないので、比例帯制
御量をD1とする時間として、プレート温度が設定温度
T2になってからの時間t3を計時するようにしてもよ
い。
【0079】また、上記実施例では、切換部36A、3
6Bは、過渡状態に供給する固定電力として、2つの異
なる電力比率の固定電力を設定するようにしたが、各ゾ
ーンの熱容量、放熱特性によっては、3つ以上の異なる
固定電力を各ゾーン毎に設定するようにしたほうが各ゾ
ーンの立上がり特性を共通にする上で望ましい場合もあ
り、このような場合は、固定電力切換え用の設定温度と
して2つ以上の異なる温度を設定し、これらの設定温度
に基づく切換えによって3つ以上の異なる固定電力を切
換え供給するようにしてもよい。
【0080】また、上記実施例において、ゾーン分割ヒ
ータ20は、同心円状にゾーンが分割されるようにした
が、その分割ゾーンの配置態様、形状、分割数などは任
意である。
【0081】また、上記実施例においては、ゾーン分割
ヒータ2のみによってウェハ10を加熱する構成を前提
としたが、ウェハ10が載置されるゾーン分割ヒータ2
0の下に流体が通過する温度制御室を形成し、この温度
制御室に高温流体および低温流体を供給し、該供給した
高温または低温流体を温度制御室内に設けた複数の流体
噴出孔を介して温度制御室の上部内壁面に対して噴出す
るようなシステムに本発明を適用するようにしてもよ
い。この場合、ゾーン分割ヒータ20は、ヒータ20の
下方から供給された流体による熱をウェハに伝達する中
間熱媒体としても機能することになる。
【0082】また、上記実施例では、オブザーバ40
A、40B内に構築されるモデルとして二次遅れ要素を
採用するようにしたが、PI制御を含めたシステムモデ
ルを近似低次元化できるモデルであれば、任意の数学モ
デルを採用するようにしてもよい。
【0083】また、上記実施例では、PI調整器を採用
するようにしたが、PID調整器の比例要素、微分要
素、積分要素の任意の要素を組み合せたり、あるいは単
独要素で調整器を構成するようにしてもよい。
【0084】また、ゾーン分割プレート20としては、
平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加熱ゾーンに分
割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御される加熱体を有
するものであれば、その加熱方式は電熱方式に限らず任
意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示すブロック線図。
【図2】ゾーン分割ヒータの概略構成を示す図。
【図3】固定電力切換えよる各ゾーンの立上がり特性の
変化を示す図。
【図4】切換部36Aの切換え動作を示すフローチャー
ト。
【図5】本発明の実施形態で温度制御を行った場合の供
給電力の時間変化を示す図。
【図6】従来技術で温度制御を行った場合の供給電力の
時間変化を示す図。
【図7】本発明の実施形態によって温度制御された各加
熱ゾーンとウェハの温度の時間変化についてシミュレー
ションした結果を示す図。
【図8】従来技術で温度制御を行った場合の各加熱ゾー
ンとウェハの温度の時間変化についてシミュレーション
した結果を示す図。
【図9】定常偏差がなく過渡偏差が存在する温度特性波
形を示す図。
【図10】比例帯制御による放熱量の動的制御を説明す
る図。
【図11】PID制御によって温度制御を行う場合の目
標入力波形の一例を示す図。
【図12】図11に示す目標入力波形によって制御する
場合の供給電力の時間変化を示す図。
【符号の説明】
10…ウェハ 20…ゾーン分割ヒータ 30A,
30B…制御系 31A,31B…電力供給部 32A,32B…第1固
定電力供給部 33A,33B…第2固定電力供給部 34A,34B…可変電力供給部 36A,36B…切
換部 37A,37B…PI調整器 40A,40B…オブザーバ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加
    熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御され
    る加熱体を有するゾーン分割ヒータと、 各加熱体を各加熱ゾーン毎に各別に制御する複数の制御
    系とを有し、 加熱面に載置された被温度制御体の加熱制御を行うゾー
    ン分割ヒータの温度制御装置において、 前記複数の制御系のそれぞれは、 当該加熱ゾーンの加熱を開始してから当該加熱ゾーンの
    温度が目標温度より若干小さい所定の温度になるまでの
    過渡状態期間を当該加熱ゾーンの温度に対応して複数の
    領域に分割し、これら分割した各領域毎に最大電力供給
    量に対する電力供給比率値を予め設定し、これら設定さ
    れた複数の異なる比率の固定電力を当該加熱ゾーンの加
    熱体に対し当該加熱ゾーンの温度に応じて順次切換え供
    給する第1の電力供給制御手段と、 当該加熱ゾーンの温度をフィードバックして目標温度と
    前記フィードバック信号の偏差に対応して当該加熱ゾー
    ンの加熱体に供給する電力を可変制御する第2の電力供
    給制御手段と、 当該加熱ゾーンの加熱を開始してから当該加熱ゾーンの
    温度が前記所定の温度に到達するまでは前記第1の電力
    供給制御手段による電力供給を行い、当該加熱ゾーンの
    温度が前記所定温度に到達した以降は前記第2の電力供
    給制御手段による電力供給を行なうよう第1の電力供給
    制御手段から第2の電力供給制御手段への切換えを行な
    う切換制御手段と、 を具備したことを特徴とするゾーン分割ヒータの温度制
    御装置。
  2. 【請求項2】前記第2の電力供給制御手段は、前記偏差
    が0のときに零でない所定の制御量を出力するようにし
    たことを特徴とする請求項1記載のゾーン分割ヒータの
    温度制御装置。
  3. 【請求項3】前記ゾーン分割ヒータは支持部材によって
    支持されるものであり、 前記零でない所定の制御量は、 当該加熱ゾーンの温度が前記所定の温度に到達してから
    予め設定された所定の時間が経過するまでは予め設定さ
    れた第1の所定値が出力され、 前記所定の時間が経過した以降は、前記第1の所定値か
    らこの第1の所定値より小さい第2の所定値まで徐々に
    小さくなる値が出力されるように設定されている請求項
    2記載のゾーン分割ヒータの温度制御装置。
  4. 【請求項4】平板状の加熱面が複数の異なる隣接した加
    熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン毎に独立に制御され
    る加熱体を有するゾーン分割ヒータと、 各加熱体を各加熱ゾーン毎に各別に制御する複数の制御
    系とを有し、 加熱面に載置された被温度制御体の温度制御を行うゾー
    ン分割ヒータの温度制御装置において、 前記複数の制御系のそれぞれは、 当該加熱ゾーンの温度をフィードバックして各加熱ゾー
    ンに共通の所定の目標温度にしたがって当該加熱ゾーン
    をフィードバック加熱制御する第1の制御手段と、 各加熱ゾーンの動特性に対応する動特性モデルを有し、
    この動特性モデルを用いて当該加熱ゾーンの目標温度に
    対応する温度変化速度を推定し、この推定した温度変化
    速度を目標温度にフィードバックする第2の制御手段
    と、 を備えるようにしたことを特徴とするゾーン分割ヒータ
    の温度制御装置。
  5. 【請求項5】前記第1の制御手段は、各加熱ゾーン間の
    動特性の定常偏差がなくなるようにゲインが予め調整さ
    れるものであり、 前記第2の制御手段の動特性モデルは、前記第1の制御
    手段のゲイン調整後の各加熱ゾーンの動特性を各加熱ゾ
    ーン間で共通化しかつ近似低次元化したものであり、 前記第2の制御手段は、前記目標温度に対応する当該加
    熱ゾーンの出力と目標温度に対応する前記動特性モデル
    の出力との偏差をとり、この偏差を推定誤差として目標
    温度にフィードバックする推定誤差フィードバック手段
    を更に具えるようにしたことを特徴とする請求項4記載
    のゾーン分割ヒータの温度制御装置。
  6. 【請求項6】平板状の加熱面が少なくとも2つの隣接し
    た第1及び第2の加熱ゾーンに分割され、各加熱ゾーン
    毎に独立に制御される加熱体を有したゾーン分割ヒータ
    と、 当該加熱ゾーンの温度をフィードバックして各加熱ゾー
    ンで共通の所定の目標温度と前記フィードバック信号の
    偏差に対応して当該加熱ゾーンの加熱体を加熱制御する
    各加熱ゾーン毎に設けられた第1及び第2の制御系とを
    有し、 加熱面に載置された被温度制御体の温度制御を行うゾー
    ン分割ヒータの温度制御装置において、 前記2つの加熱ゾーンの温度の偏差を求め、この偏差を
    前記第1および第2の制御系のうちのいずれか一方の制
    御系の目標温度にフィードバックする手段を具えるよう
    にしたことを特徴とするゾーン分割ヒータの温度制御装
    置。
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