JPH11343562A - 溶射コーティング方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティング処理及び研磨ブラストなどによ
る表面の前処理のために、迅速にロータブレードにシー
ルドを施すとともにこれらを固定する。 【解決手段】 ロータブレード４２を受容する回転可能
な固定具３２は、このブレード４２を取り除いたり再設
置したりしないで、表面の前処理及びコーティング処理
の両方において共通に使用することができる。また、各
ロータブレード４２に施されるシールドも、上記両方の
処理で使用することができる。これにより、迅速でかつ
経済的な方法でロータブレード４２を固定することがで
きる。また、この固定具３２は、回転可能となっている
ことで、均一な即ち質の高いコーティングを施すことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ロータブレード等
の流れ案内アセンブリの先端部に溶射コーティングを施
すためのコーティング方法に関し、特に、複数のエアフ
ォイルの先端部に粒子を放出する装置に対してこれらの
エアフォイルの先端部を配置する固定具に関する。

【０００２】本発明は、本願人が共有し、係属中である
同日の米国出願、ツァショースキー等による米国出願第
０８／９９４，６７６号、名称「エアフォイル表面を保
護するためのシールド及び方法」、及びツァショースキ
ー等による米国出願第０８／９９４，６８０号、名称
「回転機械のエアフォイルを配置するためのツーリング
アセンブリ」に関連する。

【０００３】

【従来の技術】航空機用のガスタービンエンジンなどの
軸流回転機械は、圧縮セクション、燃焼セクション、及
びタービンセクションを有する。作動媒体ガス用の環状
流路は、エンジンの上記各セクションを通じて軸方向に
延びる。ロータアセンブリも、エンジンを通じて軸方向
に延びる。ロータアセンブリは、複数のロータブレード
を含み、これらのブレードは、圧縮セクション及びター
ビンセクション内の作動媒体流路を横切るように外向き
に延びる。ステータアセンブリは、外側ケースを含み、
このケースは、流路の周囲を周方向に延びて作動媒体流
路の境界となっている。ステータアセンブリは、ステー
タベーンの列を有し、これらの列は、圧縮セクション及
びタービンセクションにおいてそれぞれのロータブレー
ド列の間で作動媒体流路を横切るように径方向内向きに
延びる。

【０００４】ロータブレード及びステータベーンは、流
れを方向づけるアセンブリである。それぞれのアセンブ
リは、エアフォイルを有し、このエアフォイルは、ガス
がエンジンを通じて流れるに従って、まず作動媒体ガス
を受け入れ、次にこのガスと相互に作用し、最後にこれ
を排出するように設計されている。タービンセクション
内のエアフォイルは、作動媒体ガスからエネルギを受け
取り、回転軸を中心にロータアセンブリを高速で駆動す
る。圧縮セクション内のエアフォイルは、ロータアセン
ブリによって回転軸を中心に駆動されるに従って、作動
媒体ガスを圧縮してこのガスにエネルギを伝達する。

【０００５】エアフォイルは、両方のセクション内で作
動媒体流路を横切るように径方向に延びる。これらのエ
アフォイルは、ロータブレード先端部の周囲の作動媒体
ガスの漏れを遮断するように、隣接するステータ構造体
の近くまで延びる。このため、このようなエアフォイル
の先端部は、過渡的な運転において上記構造体と接触す
るおそれがある。これらの先端部が、上記構造体に溝ま
たはチャネルを切るような設計となっているものもあ
る。この場合、ブレードは、定常運転時にチャネル内に
延びて先端部での漏れを減少させる。

【０００６】このようなエアフォイルの先端部は、多く
の場合、研磨性の材料を含み、摩耗性の材料を含む径方
向に隣接する構造体と軸方向に整列されている。研磨性
の先端部と、この先端部から径方向に離間された摩耗性
の材料と、の組み合わせによって、上記構造体は、ブレ
ードの外向きの移動及びブレード先端部と隣接する構造
体との間の干渉に適応することができる。このことは、
先端部の先及びステータ構造体を破壊することなく行わ
れ、先端部は、必要な場合に溝を切ることができる。

【０００７】研磨性の材料は、粉末や金技術、プラズマ
溶射技術、及び電気めっき技術などの種々の技術によっ
て基体のエアフォイル先端部に施すことができる。プラ
ズマ溶射装置の一例は、シーベン等に付与された米国特
許第３，１４５，２８７号、名称「プラズマフレーム発
生装置及び溶射ガン」に開示されている。この特許で
は、プラズマを形成するガスが電気アークの周囲に提供
され、ノズルを通じて絞られる。このガスは、プラズマ
状態に電離され、アーク及びノズルから高温の自由プラ
ズマ流として放出される。この高温のプラズマ流内に粉
末が注入されて熱せられる。軟化した粉末は、コーティ
ングが施される基体の表面に溶射される。このような装
置の他の例は、コウチャに付与された米国特許第３，８
５１，１４０号、名称「プラズマ溶射ガン及び基体にコ
ーティングを施す方法」やムハルベルガに付与された米
国特許第３，９１４，５７３号、名称「マッハ１からマ
ッハ３の速度のプラズマ流内へ加熱によって軟化した粒
子を放出することによるコーティング」に開示されてい
る。

【０００８】通常、基体に粒子を施す前処理として、そ
の表面を洗浄するとともに粗面処理を行う。１つの技術
では、グリットブラストによって基体に研磨粒子を吹き
付けるグリットブラスト装置が使用される。エアフォイ
ルは、部分的にマスクまたはシールドによって覆われ、
エアフォイル及びブレードの他の部分が研磨粒子によっ
て損傷されないように保護される。大量生産においてこ
の処理を行うには、グリットブレード処理中に各ブレー
ドそれぞれの先端部を支持するための固定具と、エアフ
ォイルの先端部のコーティング中にブレードの先端部を
支持する固定具と、が必要となる。

【０００９】コーティング処理は、グリットブレード処
理が行われる温度よりもかなり高い温度で行われる。ブ
レードは、コーティングを施す表面の前処理が終了した
後にグリットブラストのために使用された固定具から取
り外される。次に、高温に耐性のないシールドやマスク
が取り外される。その後、ブレードは、上記固定具に再
設置されるかまたは新たな固定具に移動される。ブレー
ドを新たな固定具まで移動させたり、ブレードを固定具
から取り外して再設置したりすることは、処理の作業時
間を延長し、ブレードの損傷を引き起こすおそれもあ
る。

【００１０】例えば、先端部に隣接したエアフォイル表
面に、研磨粒子による衝突とプラズマ溶射処理における
高温との両方に耐性があるシールドを使用することが望
ましい。複数のエアフォイル上に伸びる金属シールド
は、シールド用のねじ式締結部材とともに使用されてき
た。比較的硬いシールドとエアフォイルとの間の間隙を
埋めるように、タブを有する金属バンドが先端部に近接
してシールドとエアフォイルとの間に設置される。

【００１１】他の方法としては、プラズマ溶射処理中に
マスクまたはシールドとして機能するアルミニウムフォ
イルテープなどの適切な耐熱性材料を使用することもで
きる。アルミニウムテープは、グリットブラスト処理中
の使用にも適している。アルミニウムテープは、粘着性
の背面を有し、この面がテープをエアフォイルに固定す
るために使用される。ロータブレードの頂部とマスクま
たはシールドとして機能するアルミニウムテープとの間
の間隙を正確に維持するためには、このテープを正確に
設置することが必要となる。接着材のためにテープを貼
り直すことは困難であるので、設置が誤って行われた場
合には、新たなテープを設置することが必要となる。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】アルミニウムテープ
は、グリットブラスト及びプラズマ溶射処理の両方で定
位置に保たれる。ロータブレードは、グリットブラスト
の固定具から取り外された後に、コーティングの固定具
に再設置される。プラズマ溶射コーティングが施された
後にテープ及びその接着材は除去されるが、接着材はテ
ープと一体となった部分であり、テープが除去されても
接着材の残留物が残ってしまうので、多くの場合これら
の除去は困難となる。テープは、高価であるとともに、
設置及び除去に手間がかかり、また再使用することがで
きない。

【００１３】従って、上記により、本出願人の下で研究
を行っている科学者やエンジニアは、ロータブレードの
先端部にコーティングを施す時に使用されるシールドを
改善しようとしている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は、ロータブレー
ドまたはステータベーンを受容するように設けられてい
る回転可能な固定具を（１）エアフォイルの先端部に対
して研磨粒子を放出するための装置及び（２）研磨工程
より高温で先端部にプラズマ溶射コーティングを施すた
めの装置の両方で使用することができるという認識に一
部基づいている。

【００１５】本発明によると、エアフォイルを有する流
れ案内アセンブリの列の先端部に溶射コーティングを施
すための方法は、エアフォイルの先端部が外側に面する
ように、回転軸を中心として回転可能となっている固定
具内に流れ案内アセンブリを配置する。これに続いて、
固定具の一部及び各流れ案内アセンブリにマスクを施
し、回転軸を中心に固定具を回転させることでエアフォ
イルが研磨粒子のスプレーを通過するようにし、エアフ
ォイルが研磨媒体を通過する度に順次異物が除去される
とともに表面が粗くなるようにすることによってエアフ
ォイルの先端部を研磨する。また、同じ固定具内でエア
フォイルの先端部を回転軸を中心に回転させることでエ
アフォイルがコーティング粒子のスプレーを通過するよ
うにし、各エアフォイルの先端部がコーティングスプレ
ーを通過するのに従って、各エアフォイルに順次コーテ
ィング層を積層することによってエアフォイルの先端部
にコーティングを施す。

【００１６】本発明によると、エアフォイルの先端部と
固定具とは、コーティング中に高温に熱せられるので、
上記方法には、先端部にコーティングを施す前に熱に弱
いマスクの一部分を固定具から取り除くことが含まれ
る。

【００１７】本発明の特定の一実施例では、固定具内に
流れ案内アセンブリを配置するステップは、固定具内に
その周辺部に沿って周方向に離間された複数のスロット
を形成することを含む。また、それぞれの流れ案内アセ
ンブリを対応するスロットに径方向外向きに通し、エア
フォイルの周囲のアセンブリのプラットフォームと固定
具との間に弾性ブロックを配置するとともにこのブロッ
クを固定具内に固定することによって流れ案内アセンブ
リを固定具内に固定することも含まれる。

【００１８】本発明の一実施例によると、流れ案内アセ
ンブリをマスキングするステップは、エアフォイルの周
囲及び弾性ブロックとエアフォイルとの間にシート状の
金属シールドを配置し、固定具内のアセンブリ、シール
ド、及びブロックを固定するために固定具内で弾性ブロ
ックを圧縮することを含む。

【００１９】本発明の方法の主な特徴は、回転軸を中心
として回転可能となっている固定具内に流れ案内アセン
ブリを配置し、アセンブリが設置された状態でこの固定
具をグリットブラスト処理及びコーティング処理の両方
で使用することである。他の特徴は、固定具の周囲に周
方向に延びる弾性シールドを配置し、各流れ案内アセン
ブリのエアフォイルを弾性シールド内の対応するスロッ
トに挿入することで、表面の前処理に使用される研磨粒
子から固定具の表面を保護することである。また、他の
特徴は、固定具の壁部内に設けられた対応するスロット
に各エアフォイルを通すことによって各アセンブリを固
定具内に保つことである。更に、他の特徴は、エアフォ
イルの周囲にシールドを配置し、シールドの周囲に配置
した弾性ブロックによってこのシールドを加圧し、ブロ
ックがシールドを更に加圧するように圧縮力によってブ
ロックを固定具内に固定することである。

【００２０】本発明の主な利点は、迅速にコーティング
処理及び研磨ブラストなどによる表面の前処理のために
ロータブレードまたはステータベーンにシールドを施す
とともにこれらを固定することができる点である。他の
利点は、表面の前処理及びコーティング処理で共通の固
定具を使用し、ベーンまたはブレードをこれらの処理の
間で固定具から取り外す必要がない方法であるため、迅
速でかつ経済的な点である。また、他の利点は、マスク
及びシールドの再使用によって、このようなシールドを
再使用できない構成に比べて表面の前処理及びコーティ
ング処理のコストが低下することである。更に他の利点
は、先端部のコーティング及びエアフォイルを研磨洗浄
した後の先端部の表面仕上げが上質である点である。こ
れは、固定具を回転することによって、先端部に対して
放出される粒子の流れに影響を与える流れのパラメータ
が変化した場合でも、その影響が複数のエアフォイル先
端部に分散されることによる。また、他の利点は、形成
されるコーティングが上質である点であり、これは、施
されたコーティングを削ったり擦ったりせずにシールド
を取り外すことができることによる。

【００２１】本発明に係る上記の特徴及び利点は、以下
の発明の実施形態及び添付図面によってより明らかとな
る。

【００２２】

【発明の実施の形態】図１は、ツーリングアセンブリ１
０及び所定の方向に粒子の流れを放出するための溶射コ
ーティング装置１２として示される装置全体の概略図で
ある。溶射コーティング装置１２は、ツーリングアセン
ブリ１０に対して鉛直方向に移動可能なガン１４を含
む。溶射コーティング装置１２は、熱せられた粒子を含
む熱せられたプラズマ１６を形成する。熱せられる粒子
は、例えば軟化した酸化ジルコニア粒子などであり、こ
れらの粒子は、熱せられたプラズマ１６に含まれてツー
リングアセンブリ１０に向かって放出される。ガス装置
１８によって示されるツーリングアセンブリ１０に熱を
加える手段またはツーリングアセンブリ１０から熱を除
去する手段は、ツーリングアセンブリ１０と流体的に連
通可能となっている。

【００２３】溶射コーティング装置１２とともに使用さ
れるツーリングアセンブリ１０は、この装置１２と近接
して設けられている。ツーリングアセンブリ１０は、回
転軸Ａｒを有する。回転軸Ａｒを中心としてツーリング
アセンブリ１０を駆動する手段２２は、ツーリングアセ
ンブリ１０に取り付けられた回転可能な台座２４を含
む。ハウジングは、台座２４を回転可能に支持するため
のベアリングアセンブリ２６を有する。回転軸を中心に
台座２４を回転可能に駆動する手段（図示省略）は、ハ
ウジング内に設けられる。このような手段は、台座２４
をその回転軸の周りで駆動するためのベルト駆動装置ま
たはギアを含み得る。

【００２４】ツーリングアセンブリ１０は、回転軸Ａｒ
の周りで周方向に延びたリング部材２８と固定具３２と
を含む。リング部材２８と固定具３２とは、ＭＥＳ１９
０ステンレス鋼などの適切な合金によって形成される。
固定具３２は、周方向にかつ回転軸に対して径方向外向
きに延びる基部３４を有する。壁部３６は、基部３４か
ら実質的に軸方向にかつ固定具３２の周りを周方向に延
びる。この壁部３６は、スロット３８で示される複数の
スロットを有し、これらのスロット３８は、実質的に径
方向に壁部３６を通って延びている。

【００２５】固定具３２には、複数のロータブレード４
２が配置される。各ロータブレード４２は、固定具３２
から外向きに延びるエアフォイル４４を有する。それぞ
れのスロット３８によって、固定具３２がロータブレー
ド４２のエアフォイル４４を収容することができるよう
になっている。エアフォイル４４は、ツーリングアセン
ブリ１０から外向きに面しているエアフォイル先端部４
６で終端となっている。

【００２６】図２は、固定具３２のための弾性マスク４
８の全体図である。弾性マスク４８は、設置された状態
で円筒形状とすることができる。弾性マスク４８は、実
質的に径方向にマスクを貫通する複数のスロット５２を
有する。それぞれのスロット５２によって、マスク４８
が対応するロータブレード４６のエアフォイル４４を収
容することができるようになっている。

【００２７】図３は、図１に対応する図であり、研磨用
グリットブラスト装置５４と図２に示した弾性マスク４
８が設置された状態を示している。この装置５４は、固
定具３２内に配置されたロータブレード４２の先端部４
６に向かって研磨粒子５６を放出する。図示されている
ように、弾性マスク４８は、固定具３２の外部面にわた
って周方向に延びる。弾性シールド４８の各スロット５
２は、固定具３２の対応するスロット（図示省略）とそ
れぞれ整列されている。各スロットには、壁部３６の径
方向外側の位置でエアフォイル４４の先端部４６が露出
する状態でロータブレード４２のエアフォイル４４が収
容されるように弾性シールド４８が設けられる。

【００２８】図４は、図１に示した固定具３２の部分説
明図であり、リング部材２８に対する基部３４及び壁部
３６の配置を分解図で示している。基部３４は、その周
方向に沿って延びた溝５８を有する。この基部３４は、
軸方向に面した第一の面６４を備え、この面は溝５８を
画成するように径方向に延びる。径方向外側に面した第
二の面６２は、溝５８を軸方向に画成するように軸方向
に延びる。

【００２９】固定具３２の壁部３６は、基部３４に接合
された第一の端部６６を有する。この壁部３６は、ま
た、径方向内側に面するとともに軸方向に延びる第一の
面６８を有し、面６８の一部は、溝５８を画成する。壁
部３６は、実質的に軸方向に面するとともに壁部３６に
わたって周方向に延びる第二の面７４を含む第二の端部
７２を備える。複数のスロット３８は、壁部３６を貫通
し、壁部３６の第二の面７４に通じている。

【００３０】リング部材２８は、径方向に面した面７８
を有するリップ部７６を有し、この面７８と壁部３６の
第二の面７４とが係合することによってリング部材２８
は壁部３６上に配置される。リング部材２８は、軸方向
に面するとともに、設置された状態において溝５８の第
一の面６４から軸方向に距離Ｈｒ離間される第二の面８
２を備える。リング部材２８が設置された状態は、仮想
線によって示されている。

【００３１】図５（Ａ）は、図１及び図３において固定
具３２内に配置された状態で示されている複数のロータ
ブレード４２のうちの１つに関する斜視図である。この
ロータブレード４２は、根部８４とプラットフォーム８
６とを有する。エアフォイル４４は、プラットフォーム
８６より延びる。各エアフォイル４４は、前縁８８と後
縁９２とを備える。負圧面９４と正圧面９６とは、これ
らの縁８８，９２の間で延びている。

【００３２】固定具３２内の各ロータブレード４２は、
エアフォイル４４の周囲に配置される金属シールドを有
し、未設置の状態のシールドが符号９８によって示され
ている。この金属シールドは、研磨粒子の衝突とともに
プラズマ溶射処理の温度に対して耐性のある適切な金属
で形成される。適切な材料の１つには、１万分の１〜５
万分の１インチ（０．０１０〜０．０５０インチ）の厚
さを有するステンレス鋼がある。

【００３３】シールド９８は、第一の端部１０２とプラ
ットフォーム８６に近接した第二の端部１０４とを有す
る。前端１０６は、第二の端部１０４と第一の端部１０
２との間で翼幅方向に延びる。前端１０６から第一の側
面１０８が延びる。第一の側面１０８は、前端１０６か
ら翼弦方向に離間された後端１１０を備える。第一のタ
ブ１１２ａが第一の端部１０２の後端１１０から延び
る。第二のタブ１１２ｂは、後端から延び、間に間隙Ｔ
ａを有するように第一のタブ１１２ａから翼幅方向に離
間されている。第三のタブ１１２ｃは、第二の端部１０
４で後端１１０から延びる。第三のタブ１１２ｃは、間
に間隙Ｔｂを有するように第二のタブ１１２ｂから翼幅
方向に離間されている。

【００３４】金属シールド９８は、前端１０６から翼弦
方向に延びる第二の側面１１４を有する。この第二の側
面１１４は、前端１０６から翼幅方向に離間され、かつ
第一の面１０８の後端１１０に隣接する後端１１６を有
する。第一のタブ１１８ａは、間隙Ｔａと整列した翼弦
方向の位置で後端１１６から延びる。第二のタブ１１８
ｂは、後端１１６から延び、間隙Ｔｂと整列されてい
る。

【００３５】ブロック１２２で示される弾性材料で形成
された複数のブロックは、それぞれ対応するロータブレ
ード４２に配置される。これらのブロック１２２は、研
磨粒子または金属粒子の衝突及びプラズマ溶射処理の温
度に対して耐性のある材料によって形成される。適した
材料としては、コネティカット、ポートランド、インデ
ィアンヒルアベニュー１００所在のアイレックスラバー
プロダクト社(Airex Rubber Product Corporation)によ
って提供されているＡ−９６６６材料がある。

【００３６】このブロック１２２は、第一の側面１２４
と第二の側面１２６とを有する。第一の面１２８と第二
の面１３２とは、これらの側面の間で延び、未設置の状
態では、高さＨｆによって離間されている。ブロック１
２２は、厚みＢによって翼幅方向に離間された第一のフ
ェイス面１３４と第二のフェイス面１３６とを有する。
ブロック１２２は、第一のフェイス面１３４から第二の
フェイス面１３６へと延びるスロット１３８を有する。
このスロット１３８は、ブロック１２２がエアフォイル
４４にシールド９８が設置された状態の断面を収容する
ことができるような断面となっている。

【００３７】図５（Ｂ）は、図５（Ａ）に示した斜視図
に対応する図であり、金属シールド９８が設置された状
態のロータブレード４２の反対面を示している。シール
ド９８のタブは、互いにかみ合うようにシールド９８の
側面にオーバーラップする。例えば、第二の側面１１４
の第一及び第二のタブ１１８ａ，１１８ｂは、第一の側
面１０８上に延び、シールドの第一の側面１０８にぴっ
たりと合わさる。同様に、第一の側面１０８の第一、第
二、及び第三のタブ１１２ａ，１１２ｂ，１１２ｃは、
第二の側面１１４上に延び、この第二の側面１１４とぴ
ったりと合わさる。

【００３８】図６は、図４で示した固定具３２の図１の
線６−６に沿った断面図である。この固定具３２は、内
部に図５に示したロータブレード４２、シールド９８、
及びブロック１２２がそれぞれ設置された状態で示され
ている。ブロック１２２は、ロータブレード４２のプラ
ットフォーム８６と固定具の壁部３２との間に設置され
る。シールド９８は、実質的にエアフォイル４４の翼幅
方向の全長にわたって延びる。設置された状態では、金
属シールド９８の第一の端部１０２と先端部との間隙
は、所定の翼幅方向長さＧよりも短い。また、第二の端
部１０４とプラットフォーム８６との間隙は、所定の翼
幅方向長さＧ´よりも短い。長さＧ´は、ブロックの翼
幅方向の厚さＢよりも小さい。ブロックの厚さＢは、プ
ラットフォーム８６とシールド９８の端部との間隙Ｇ´
を覆う。

【００３９】弾性材料からなるブロック１２２は、シー
ルド９８に隣接し、このシールドに圧縮力を及ぼす。こ
の圧縮力は、ロータブレード４２が未設置の状態におい
て、シールド９８がエアフォイル４４に対して翼幅方向
へ移動してしまうことを防止する。これにより、間隙Ｇ
及び間隙Ｇ´が所定の値に保たれる。また、上記圧縮力
によって、設置された状態における移動も防止される。
ブロック１２２は、リング部材２８と基部３４とによっ
て、未設置状態の高さＨｆから設置状態の高さＨｒへと
軸方向に圧縮され、これにより、シールド９８にかかる
圧縮力が増加されるとともにブロック１２２が固定具３
２内に保持される。ブロック１２２は、圧縮されるに従
って、溝５８によって移動しないように拘束される。ブ
ロック１２２の設置状態での高さは、ブロック１２２の
位置で測定した基部３４からリング部材２８までの高さ
Ｈｒに等しい。

【００４０】図７は、固定具３２内に設置された状態で
の、隣接するブロック１２２の関係を示している。ブロ
ック１２２が圧縮されるに従って、隣接するブロックの
側面に周方向の力Ｆｃが加えられ、また基部３４の面と
溝５８を画定する壁面とに図６で示した軸方向の力Ｆ
ａ、及び径方向の力Ｆｂがそれぞれ加えられ、複数のロ
ータブレード４２を固定具３２内に固定しようとする。
一つの詳細な実施例では、各ブロック１２２には、凹み
のあるショルダ部１４２と突出部１４４とが設けられて
おり、これらの部分は、隣接するブロックと係合し、そ
れぞれのブロックが加圧されるに従ってこれらのブロッ
クが互いに固定されるのを補助する。

【００４１】図８は、図４に示した固定具３２の図３の
８−８線に沿った断面図である。この図では、固定具３
２がその周りを周方向に延びる弾性シールド４８即ちマ
スクに関連して示されている。この弾性シールド４８
は、研磨材料を用いた表面の前処理の間、固定具３２の
壁部３６とリング部材２８とを保護する。

【００４２】図９は、図５に示したシールド９８の他の
実施例１４６であり、シールド１４６は、両面を示すた
めに平らにされている。この実施例では、シールド１４
６は、その第一の側面１５２から周方向に延びる第一の
プラットフォームガード１４８を有する。第二のプラッ
トフォームガイド１５４は、第二の側面１５６から周方
向に延びる。このシールド１４６は、プラットフォーム
８６を保護するためにシールドが設けられた実施例にお
いて、プラットフォーム８６と壁部３６との間に配置さ
れたブロック１２２に代わって粒子とプラットフォーム
８６との接触を阻止する。

【００４３】図１０は、図７の１０−１０線に沿った断
面図である。図１０は、ロータブレード４２の先端部４
６とシールド９８の第一の側面１０８と第二の側面１１
４とを示している。第一の側面１０８は、径方向外側に
面した平らな面１５８を備え、第二の面１１４には、斜
面１６２を形成するように面取り部が設けられている。

【００４４】シールドの第一の側面１０８及び第二の側
面１１４は、エアフォイルの正圧面９６及び負圧面９４
に対応し、これらの面からわずかに離間されている。他
の実施例では、シールドの各側面とエアフォイルの各側
面とは、先端部において隣接するように接しており、ま
たは一部離間し、一部接触している。

【００４５】図１１は、図６に示した固定具３２の他の
実施例１６４である。図６では、ロータブレード４２の
プラットフォーム８６と係合するように設けられたばね
式クランプ１６６を用いている。クランプ１６６は、支
軸１６８に回動可能に支持された第一のあご部を有す
る。このあご部は、ばね１７４によって位置決めピン１
７２に対して付勢され、このばね１７４は、該あご部ま
で伸びてこのあご部がロータブレード４２のプラットフ
ォーム８６と係合するようにこれを下向きに引っ張る。

【００４６】図１１で設置されている金属シールド１４
６は、図９に示した実施例のものである。シールド１４
６のプラットフォームガード１４８，１５４は、固定具
の周りを一定の距離にわたって周方向に延び、このとき
第一の側面１５２のプラットフォームガード１４８は、
隣接するシールド１４６の第二の側面１５６のプラット
フォームガード１５４に重なる。

【００４７】図１及び図３に示した粒子を放出するため
の装置１２，５４とともに固定具３２を作動する前に、
ロータブレード４２のエアフォイル４４及びプラットフ
ォーム８６は、マスクまたはシールドによって保護され
る。壁部３６は、保護する必要のある箇所の一部または
全てを保護することができる。

【００４８】各ロータブレード４２は、エアフォイル４
４上に被せられるシールド９８を受容する。シールド９
８の一方の側面上のタブ１１２ａまたは１１８ａは、一
対のペンチなどの把持装置によって他方の側面に被さる
ように引っ張られ、この側面にぴったり合わさるように
きつく押し付けられる。残りのタブもシールド９８の他
方の側面と係合するように引っ張られて曲げられる。シ
ールド９８は、ロータブレード４２に対してきつく接合
するが、シールド９８に十分な大きさの力を翼幅方向に
加えれば移動可能であり、シールド９８の端部１０２と
ロータブレード４２の先端部４６との間隙Ｇ、及びシー
ルド９８の第二の端部１０４とプラットフォーム８６と
の間隙Ｇ´を調整することができる。シールド９８の側
面から延びるタブは、第一の側面１０８上のタブ１１２
ａ，１１２ｂ，１１２ｃと第二の側面１１４上のタブ１
１８ａ，１１８ｂとが互いにかみ合うことにより、シー
ルド９８の後方端部１１０，１１６をシールド９８の全
長にわたって接合させる。シールド９８は、エアフォイ
ル４４に沿って翼幅方向に押し込められ、シールド９８
とエアフォイル４４の先端部との適切な間隙Ｇ、及びシ
ールド９８とプラットフォームとの適切な間隙Ｇ´とが
設けられる。

【００４９】ブロック１２２は、シールド９８に被せ、
プラットフォーム８６と隣接するように接触するまでシ
ールド９８上を滑動させることによって設置される。ブ
ロック１２２は、その厚みＢによってシールド９８とプ
ラットフォーム８６との間隙Ｇ¹を覆うように延びる。
この弾性ブロック１２２は、シールド９８に対して圧縮
力を加え、エアフォイル４４に対してシールド９８が移
動しないようにこれをエアフォイル４４に対して加圧す
る。シールド９８をエアフォイル４４の翼幅方向長さに
わたって移動させるために必要となる力は、弾性ブロッ
ク１２２の設置前に比べて非常に高いレベルとなる。

【００５０】図１及び図３に示した装置を使用している
時には、複数のロータブレードアセンブリが形成され
る。各アセンブリは、ロータブレード４２、シールド９
８、及びブロック１２２を含む。各ロータブレードアセ
ンブリは、隣接するロータブレードのブロックが接する
ように固定具３２の対応するスロット３８内に設置され
る。

【００５１】図６を参照すると、スロットが設けられた
固定具３２に各ブレード４２が挿入されると、ブロック
１２２の自由高さＨｆは、ブロック１２２の位置で測定
した基部３４からリング２８までの高さＨｒよりもわず
かに大きい。一つの実施例では、ブロック１２２の高さ
は約１インチであり、ブロック１２２は、約２万分の１
インチ圧縮される。溝５８の壁部６２，６４は、ブロッ
ク１２２が圧縮される前にブロック１２２にわずかな圧
縮力を加える。この圧縮力によって、ロータブレード４
２は、固定具３２に対して移動しないようにわずかなが
ら保持される。対応するシールド９８及びブロック１２
２を含む隣接するロータブレードアセンブリは、固定具
３２内の全てのスロットが満たされるまで挿入される。
ブロック１２２の列の周辺部は、溝５８の周辺部と等し
いかまたはわずかに大きくなっており、これにより、隣
接するブロック１２２は、互いに及び溝５８に押し付け
られる。勿論、溝５８の周辺部と等しいまたはこれより
もわずかに周辺部が小さいブロック１２２の列を使用し
て十分な構成を得ることもできる。

【００５２】リング部材２８は、壁部の第二の面７４に
係合するように設置される。リング部材２８の第二の面
８２は、弾性ブロック１２２に対して押し付けられてこ
れを加圧する。これにより、ブロック１２２は、溝５８
の底部６４に対してより強い垂直力を加える。いくつか
の構成では、ブロックは、溝５８の側面及び隣接するブ
ロック１２２の側面に対してもより強い垂直力を加え
る。ブロック１２２を圧縮することにより、固定具３２
内で複数のブレードアセンブリがきつく設置される。ブ
ロック１２２は、ロータブレード４２が取扱い中に他の
物体と接触してしまった場合にもブレードの移動を阻止
し、このような接触によってブレードがわずかに移動し
ようとしてもこれに復原力を加え、ブレード４２が元の
位置に弾性的に戻るようにする。固定手段（図示省略）
によってリング部材２８を基部３４に取り付けることが
できる。他の実施例では、固定具３２の内側に配置され
たブロック１２２を圧するリング部材２８の重量によっ
て、リング部材２８とブロック１２２とが定位置に固定
される。

【００５３】ツーリングアセンブリ１０は、アセンブリ
１０をその回転軸の周りに回転可能に駆動する手段２２
に接続されている。開示された実施例では、ツーリング
アセンブリ１０は、位置決め台座２４に取り付けられて
おり、この台座２４は、回転式位置決め装置（図示省
略）などの台座を回転させるための装置にボルト止めさ
れている。

【００５４】設置されたロータブレードアセンブリの列
４２，９８，１２２を含むツーリングアセンブリ１０
は、ロータブレード４２の先端部４６に粒子を放出する
ための装置１２，５４に隣接するように水平に回転す
る。先端部４６は、径方向外側に面する。他の実施例で
は、壁部は軸方向に面し、スロットは軸方向に延び、ブ
レード先端部は軸方向外側に面する。この場合、ブロッ
クは、径方向に面した第二の面を有する変形されたリン
グ部材によって径方向に加圧される。

【００５５】粒子を溶射するための装置は、図１に示し
たプラズマ溶射コーティング装置１２であってもよい。
図１の装置は、熱せられた金属粉末を高温ガスの流れ１
６を通じてロータブレード４２の先端部４６に対して放
出する。図３で示したように、研磨粒子を放出するため
の装置５４は、先端部４６のグリットブラストに使用さ
れる酸化アルミニウムなどによって形成される研磨粒子
５６を放出することもできる。粒子は、先端部４６の表
面に衝突し、コーティングの前処理として異物を取り除
くとともに先端部４６を粗くする。従って、ロータブレ
ード４２の列の先端部４６に溶射コーティングを施すた
めの方法は、固定具３２を回転軸Ａｒを中心に回転させ
ることによってロータブレード４２の先端部４６を研磨
することを含む。固定具３２を回転させることによっ
て、各ブレードが噴射された研磨媒体中を通り抜ける。

【００５６】図３に示したように、図２で示したタイプ
の弾性シールド４８が、表面の前処理において固定具の
外面にわたって周方向に配置される。弾性シールド４８
内に設けられたスロット３２が、それぞれエアフォイル
４４を収容する。このシールド４８は、ロータブレード
４２の突出した先端部４６の外側面は覆わない。シール
ド４８は、グリットブラスト装置によって放出される研
磨粒子から固定具３２の表面を保護するように、各エア
フォイル４４にわたってまたこれらのエアフォイル４４
の間を延びる。

【００５７】グリットブラスト処理において、研磨粒子
５６は、エアフォイル４４の先端部４６に実質的に垂直
でかつシールドの第一の側面１０８及び第二の側面１１
４に平行な方向にスプレー状に放出される。同時に、ツ
ーリングアセンブリ１０は、その回転軸Ａｒの周りで駆
動され、これにより、エアフォイル４４は粒子を含むス
プレー中を通り抜ける。研磨粒子の大きさや量が変動し
たとしても、このような変動は、ロータブレード４２の
先端部４６が研磨粒子のスプレーを通り抜けるに従って
各先端部４６に分散される。このことにより、固定され
た固定具の場合のように単一のブレードの先端部ではな
く、いくつかのブレート４２の先端部４６にわたってこ
のような変動を分散させることができる。つまり、粒子
の連続的な流れが単一のロータブレード４２の先端部４
６が仕上がるまでその先端部４６に向けられた場合に比
べて、より均一な洗浄及び粗面処理を行うことができ
る。

【００５８】粒子は、固定具３２の外側面にわたって周
方向に延びる弾性バンドシールド４８にぶつかって覆わ
れた部分に傷をつけずに跳ね返り、固定具の壁部３６を
が粗くならないようにこれを保護する。弾性バンドシー
ルド４８によって保たれる壁部３６の滑面は、コーティ
ングの壁部３５に対する付着力を減少させることができ
るので、コーティング処理において有用である。金属シ
ールド９８は、弾性バンドシールド４８よりもわずかな
長さだけしか突出しないので、金属シールド９８全体が
実質的に研磨グリットから保護される。

【００５９】研磨グリット５６は、金属シールド９８に
平行な方向に放出されるので、グリット５６がシールド
の最も外側部分に衝突してもシールド９８はわずかに研
磨されるだけである。また、操作の許容差によって吹付
角が変化してしまった場合でも、平行な角度よりも小さ
い角度に向けられた研磨粒子は、この変化中に吹き付け
られる全てのシールドにわたって広がり、単一のシール
ドのみが誤った方向の研磨粒子を受けないで済む。一つ
の実施例では、シールド９８は、側面１１４が傾斜して
いる。この場合には、粒子は、斜めに吹き付けられて表
面に衝突し、金属シールドが更に粒子によって粗くなる
ことが防がれる。

【００６０】グリットブラスト処理が終了すると、固定
具３２は位置決め台座２４の基部より外され、上記固定
具３２は、プラズマ溶射コーティング装置１２に隣接す
る図１のような新たな回転位置決め装置まで移動され
る。ロータブレードは、グリットブラスト処理で使用さ
れた同じ固定具３２内に配置されたままである。ロータ
ブレードは、途中で更に移動されることがなく、弾性シ
ールド４８によって覆われている。弾性シールド４８
は、プラズマ溶射の温度よりも低い融点を有する金属で
形成されている。よって、弾性シールド９８は、溶射コ
ーティング処理の前に固定具３２から取り除かれる。

【００６１】図１に示した溶射コーティング装置１２の
作動中には、熱せられた粉末粒子の流れ及び高温ガス１
６がツーリングアセンブリ１０に向かって放出される。
ツーリングアセンブリ１０の回転可能な固定具３２内に
配置されたロータブレード４２は、グリットブラスト処
理と同様に、先端部４６が外側に面するように配置され
ている。

【００６２】固定具３２がその回転軸Ａｒを中心に回転
されると、先端部４６はコーティングスプレーを通り抜
ける。ブレード４２の先端部４６がコーティングスプレ
ーを通り抜ける毎に、コーティング層が順次ロータブレ
ードに施される。各層は、ブレード４２が熱いプラズマ
溶射装置１４から離れるに従って、わずかに冷却され
る。他の実施例では、高温ガスのスプレーを形成する加
熱ガン１８などの熱供給源に先端部４６を通過させるこ
ともできる。また、他の実施例では、加熱ガン１８と同
様の装置であるが、逆に冷却空気を先端部または固定具
に吹き付ける冷却供給源に先端部４６を通過させること
もできる。固定具３２の冷却によって、冷却しなければ
熱によって損傷される可能性のあるエラストマまたは弾
性材料を固定具３２に使用することが可能となる。

【００６３】グリットブラスト処理では、形成されるコ
ーティングの変化につながる可能性のある溶射強さ、温
度、組成、及び溶射コーティング内の粉末の供給量の変
動は、この変動期間中に溶射装置を通過する全てのロー
タブレードの先端部４６にわたって広がる。これによ
り、一つのロータブレードの先端部のみがコーティング
における変動の影響を全て受けないで済む。従って、単
一の先端部が全ての変動の影響を受けた場合に比較して
より均一なコーティングを施すことができる。

【００６４】コーティングは、軸の周りのロータブレー
ド４２の先端部４６の位置に対してほぼ平行な層として
施される。回転軸Ａｒからエンジンの動作半径と同じ半
径に先端部４６を配置する固定具３２を選択すること
で、先端部４６の配置を確実にエンジン内の半径に近似
させるようにすることができる。これにより、コーティ
ングは、装置の回転軸に実質的に平行となり、その層
は、エンジンの運転時におけるコーティング層の回転の
面にほぼ沿うようになる。固定具３２内のロータブレー
ド４２の先端部４６までの半径と、ガスタービンエンジ
ンの作動環境内でのロータブレード４２の先端部４６ま
での半径とが実質的に等しい場合に、コーティングの向
きがエンジン内のコーティング性能を向上させると考え
られている。

【００６５】コーティングの溶射において、ロータブレ
ード４２がコーティングスプレーを通り抜けるのに従っ
て、熱せられた金属粒子は、ロータブレード４２の先端
部に衝突し、またスプレーしぶき（ｏｖｅｒｓｐｒａ
ｙ）としてロータブレードの先端部４６を通過する。非
回転のエアフォイル４２の先端部４６に向かって直接コ
ーティング粒子を溶射した場合には、当然、先端部４６
の間隙Ｇにおける負圧面９４及び正圧面９６には、少量
のスプレーしぶきしか堆積されない。スプレーしぶき
は、エアフォイル面を滑らかに遷移させるので、コーテ
ィングの工程を変更させないで済み、いくつかの実施例
においては有用である。これらの面上に施されるスプレ
ーしぶきによるコーティングによって、切削面が追加さ
れる。コーティング粒子のスプレー１６内へエアフォイ
ルの先端部４６が回転すると、先端部がスプレー１６に
入るに従ってエアフォイル４４の先端部４６の一方の面
９４，９６が該装置に対して傾斜し、固定ブレードに対
して通常起こるスプレーしぶきに加えて上記一方の面に
スプレーしぶきが更に施こされる。エアフォイルの先端
部がコーティング粒子のスプレー１６の外へ回転する
と、先端部４６がスプレー１６から出るに従って他方の
面が該スプレーに対して傾斜し、先端部の他方の面に施
されるスプレーしぶきが増加する。従って、回転可能な
固定具３２を使用することにより、エアフォイル４４の
負圧面及び正圧面上に施される切削材料の量が増加する
ので、有利である。

【００６６】シート状の金属シールド９８は、スプレー
しぶきコーティングにおける小さな工程変更を行わない
で済むようにし得る。シート状の金属シールド９８は、
粒子が放出される方向に対して実質的に平行に延びる。
金属シールド９８の面取り部が設けられた面１６２に衝
突する粒子は、この面から跳ね返り、エアフォイル４４
の先端部４６とシールド９８との間隙Ｇにおけるエアフ
ォイル４４の側面にテーパ状の遷移部が形成される。他
の実施例では、このシールド９８の端部は、面取り部で
はなく実質的な平面となっていてもよい。実質的に平面
のエアフォイル４４の先端部４６に衝突する粒子は、先
端部４６に衝突してその衝突位置に残ることも有り得
る。いくつかの構成においては、薄いリップ部即ちエア
フォイルの先端部の周囲に材料をコーティングする工程
を行うこともあり得る。

【００６７】溶射コーティング工程が終了した時点で、
リング部材２８は、ツーリングアセンブリ１０から外さ
れる。ロータブレード４２、ブロック１２２、及びシー
ルド９８を含むそれぞれのロータブレードアセンブリ
は、固定具３２から取り外される。ブロックは、エアフ
ォイル上を滑動させてロータブレードの先端部分から抜
くことによって取り外される。ブロック１２２の弾性材
料は、ブレード４２の先端部４６のコーティング上を滑
動するに従って、ブレードの先端部の周囲にわたって弾
性的に伸び、先端部４６のコーティングを削り取ったり
傷つけたりしない。ロータブレードから取り外されたブ
ロックは、元の形状に戻り、ブロック内のスロットは損
傷されない。ブロックは、再使用することができ、部品
にコーティングを施すコストを削減することができる。

【００６８】次に、金属シールド９８は、図５Ｂで示し
たシールド９８の端部とプラットフォーム８６との間に
延びる間隙Ｇ´内へと、プラットフォーム８６に向かっ
て翼幅方向に滑動される。金属シールド９８を下向きに
滑動させることによって、金属シールド９８の面取り端
部と溶射コーティングの層との間の境界部分に生じる弱
い結合部分から金属シールドを分離させる。この作業の
後、金属シールド９８のタブ１１２及び１１８は、開か
れ、ロータブレード４２から金属シールド９８を取り外
す前に側面１０８，１１４が分離される。これにより、
堅い金属シールド９８とロータブレード４２の先端部４
６の溶射コーティングとの接触によってコーティングが
削り取られることが防止される。

【００６９】シールド９８は、取り外す時には、タブ１
１２，１１８を広げ、新たなロータブレード列へと再設
置する時には、タブを曲げて元の位置に戻すだけで繰り
返し使用することができる。シールド９８は、ロータブ
レード４２の列が全工程を終了した後に初めて取り外さ
れる。全工程とは、グリットブラスト装置を用いた表面
の前処理に関する部分と、コーティング装置を用いたコ
ーティングに関する部分とを含む。

【００７０】ツーリングアセンブリ１０の利点は、特
に、グリットブラスト及び溶射コーティング処理の両工
程において共通の固定具３２を使用することである。
（１）ブレード及びその低温シールドをグリットブラス
ト用固定具より除去し、（２）耐熱シールドを設置して
このシールドが設置されたロータブレードをコーティン
グ用固定具に挿入する、ことを要する固定具では、ブレ
ードを２回取り扱うことが必要となるが、本発明では、
この作業を避けることができる。これにより、取り扱い
による損傷を無くすとともに、工程の作業速度を速める
ことができる。

【００７１】もう一つの利点は、コーティングの質に関
する。コーティングの質は、粉末の流れまたはコーティ
ング装置への加熱ガスの変動などによって起こり得るコ
ーティングスプレーの変動の影響を、単一のブレードの
コーティングに反映させずに多数のブレードにわたって
分散させることによって向上する。このことは、各先端
部４６がプラズマスプレー内に短時間だけ配置され、こ
の間に少量のコーティングのみが施されるように、溶射
スプレーに先端部４６を通過させることによって行われ
る。

【００７２】金属シールド９８は、耐久性がありかつ再
使用できるので、部材をマスキングするコストが削減さ
れる。更に、このシールド９８は、エアフォイルの表面
から化学的または機械的に除去する必要のある接着材を
用いるマスキングに比べて設置及び除去を迅速に行うこ
とができる。

【００７３】また、他の利点は、固定具３２の耐久性
と、固定具３２に付着したコーティング材料の洗浄が容
易である点である。固定具の洗浄は、グリットブラスト
処理の間、固定具３２の表面を保護してこの面が粗くな
ることを防ぐ弾性マスク４８でマスキングを施すことに
よって容易となる。面が粗くなると、この面へのコーテ
ィングの付着力が高まり、洗浄が非常に困難となる。コ
ーティング処理の高温に耐性のない弾性マスク４８は、
固定具３２から容易に取り除くことができる。コーティ
ング処理が行われると、固定具３２の壁部３６とシール
ド９８とは、固定具３２の内部を高温ガスやコーティン
グ材料から遮断し、これにより、続くコーティング処理
で使用される弾性ブロックの耐久性を保ちつつこのブロ
ックを使用することが可能となっている。

【００７４】本発明をその詳細な実施例に関して説明し
てきたが、本発明の趣旨及び範囲から離れずにその構成
及び詳細に種々の変更を加えることができることは、当
業者によって理解される通りである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るツーリングアセンブリとこのツー
リングアセンブリ内に配置されたロータブレードの列の
先端部に加熱されたコーティング粒子を放出する装置を
示した概略説明図である。

【図２】本発明に係る固定具の面を保護するための弾性
シールドの部分説明図である。

【図３】固定具上に設置された弾性シールドとこの固定
具内に配置されたロータブレードの列の先端部に研磨粒
子を放出するための装置とを含む図１のツーリングアセ
ンブリの部分説明図である。

【図４】複数のスロットを有する固定具の壁部と、この
壁部とこれに係合するリング部材との関係とを図示した
図１及び図３のツーリングアセンブリの固定具の一部に
関する分解説明図である。

【図５】図５Ａは、ロータブレードと、ロータブレード
のエアフォイルと係合させることができるようにスロッ
トを有する弾性ブロックと、ロータブレードのエアフォ
イル上に配置するように設けられた側面を有する金属シ
ールドと、を示した分解説明図である。図５Ｂは、金属
シールドが設置された状態のロータブレードの反対側面
を示した図５Ａの説明図に対応する図である。

【図６】図５に示したロータブレードの固定具、弾性ブ
ロック、及び金属シールドの関係を示した図１の６−６
線に沿った断面図である。

【図７】それぞれシールドとブロックとが設置され、各
ブロックが接するように延びている二つの隣接するロー
タブレードの切欠き説明図である。

【図８】図３のロータブレード、弾性ブロック、及び金
属シールドと、図２の弾性シールドと、が設置された状
態を示した図３の８−８線に沿った断面図である。

【図９】ロータブレードのためのプラットフォームガー
ドを含み、これらの各ガードが金属シールドの側面から
延びているのを示した図５のシールドの他の実施例の説
明図である。

【図１０】エアフォイルの先端部と金属シールドと、二
つの金属粒子または粉末粒子の経路Ｐａ及びＰｂと、を
示した図７の１０−１０線に沿った説明図である。

【図１１】図１の固定具と図９のシールド内にロータブ
レードを配置する手段の他の実施例を示した説明図であ
る。

【符号の説明】

１０…ツーリングアセンブリ １２…コーティング装置 １４…ガン １６…プラズマ １８…ガス装置 ２２…ツーリングアセンブリの駆動手段 ２４…台座 ２６…ベアリングアセンブリ ２８…リング部材 ３２…固定具 ３４…基部 ３６…壁部 ３８…スロット ４２…ロータブレード ４４…エアフォイル ４６…エアフォイル先端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルファンソ ダイズ アメリカ合衆国，コネチカット，ヴァーノ ン，ウェルウッド サークル 46

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流れ案内アセンブリの列の先端部に溶射
   コーティングを施すための方法であって、前記各アセン
   ブリは前記先端部が終端となったエアフォイルを含み、 回転軸を中心として回転可能となっている固定具内に、
   前記エアフォイルの先端部が外側に面しかつ互いに周方
   向に離間された状態で前記流れ案内アセンブリを配置す
   る配置ステップと、 前記固定具と前記各流れ案内アセンブリとの一部にマス
   キングを施すマスキングステップと、 前記エアフォイルがスプレー状の研磨粒子を通り抜ける
   ように、前記固定具を回転軸の周りに回転させることに
   よって、前記エアフォイルが研磨媒体を通り抜けるのに
   従って順次異物が取り除かれるとともに粗面処理が施さ
   れるように前記エアフォイルの列の先端部を研磨する前
   処理ステップと、 前記先端部がコーティング粒子スプレーを通り抜けるよ
   うに、共通の前記固定具内で前記エアフォイルの先端部
   を回転軸を中心に回転させることによって、各エアフォ
   イルの先端部がコーティングスプレーを通り抜けるのに
   従って順次各エアフォイルにコーティング層を施される
   ように前記エアフォイルの先端部にコーティングを施す
   コーティングステップと、を含むことを特徴とする方
   法。
2. 【請求項２】 前記コーティングステップは、コーティ
   ング中に、前記エアフォイルの先端部とこれに伴って前
   記固定部とを共に高温に熱する加熱ステップを含み、 前記方法は、前記先端部にコーティングを施す前に前記
   マスキングの熱に弱い部分を前記固定具から取り除く除
   去ステップを含むことを特徴とする請求項１記載の方
   法。
3. 【請求項３】 前記マスキングステップは、複数の周方
   向に離間したスロットを有する弾性シールドを、前記固
   定具に周方向にわたって施すとともに、前記各スロット
   に対応する前記エアフォイルを挿入し、前記弾性シール
   ドが前記各エアフォイルの間で周方向に延びているよう
   にすることを含み、 前記除去ステップは、前記固定具から前記流れ案内アセ
   ンブリを取り除くことなく、前記固定具から前記弾性シ
   ールドを取り除くことを含むことを特徴とする請求項２
   記載の方法。
4. 【請求項４】 前記配置ステップは、周辺部にわたって
   周方向に離間するように設けられた複数のスロットを有
   する固定具に前記アセンブリを配置し、前記各流れ案内
   アセンブリのそれぞれの前記エアフォイルを対応するス
   ロットに径方向外向きに貫通させることを含むことを特
   徴とする請求項１記載の方法。
5. 【請求項５】 前記配置ステップは、周辺部にわたって
   周方向に離間するように設けられた複数のスロットを有
   する固定具に前記アセンブリを配置し、前記各流れ案内
   アセンブリのそれぞれの前記エアフォイルを対応するス
   ロットに径方向外向きに貫通させることを含むことを特
   徴とする請求項３記載の方法。
6. 【請求項６】 前記配置ステップは、前記エアフォイル
   の周囲にかつ前記アセンブリの前記プラットフォームと
   前記固定具との間に弾性ブロックを配置してこれを固定
   具内に固定することによって、前記流れ案内アセンブリ
   を前記固定具内に固定することを含むことを特徴とする
   請求項１記載の方法。
7. 【請求項７】 前記配置ステップは、前記エアフォイル
   の周囲にかつ前記アセンブリの前記プラットフォームと
   前記固定具との間に弾性ブロックを配置してこれを前記
   固定具内に固定することによって、前記流れ案内アセン
   ブリを前記固定具内に固定することを含むことを特徴と
   する請求項５記載の方法。
8. 【請求項８】 前記マスキングステップは、前記各エア
   フォイルの周囲及び前記弾性ブロックと前記エアフォイ
   ルとの間にシート状の金属シールドを配置し、前記アセ
   ンブリと、前記シールドと、前記ブロックと、を前記固
   定具内に固定するために前記固定具内の前記弾性ブロッ
   クを加圧することを含むことを特徴とする請求項６記載
   の方法。
9. 【請求項９】 前記マスキングステップは、前記各エア
   フォイルの周囲及び前記弾性ブロックと前記エアフォイ
   ルとの間にシート状の金属シールドを配置し、前記アセ
   ンブリと、前記シールドと、前記ブロックと、を前記固
   定具内に固定するために前記固定具内の前記弾性ブロッ
   クを加圧することを含むことを特徴とする請求項７記載
   の方法。