JPH11343234A - テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する組成物 - Google Patents
テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する組成物Info
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- JPH11343234A JPH11343234A JP10147833A JP14783398A JPH11343234A JP H11343234 A JPH11343234 A JP H11343234A JP 10147833 A JP10147833 A JP 10147833A JP 14783398 A JP14783398 A JP 14783398A JP H11343234 A JPH11343234 A JP H11343234A
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Abstract
物を提供すること。 【解決手段】 式(I)(式中、R1 、R2 、R3 およ
びR4 は、同一または異なって、水素、ヒドロキシ、ま
たはアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状
アルキルである低級アルコキシ、を表す)で示されるテ
トラヒドロクルクミン誘導体を有効成分とする白内障の
予防または治療剤、あるいはテトラヒドロクルクミン誘
導体を有効成分として含む白内障の予防または改善に有
用な食品添加物、食品、飲料および動物飼料。 【化1】
Description
療または改善に有用な組成物に関する。具体的には、本
発明は、テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する白内
障の予防、治療もしくは改善に有用な医薬品、食品添加
物、飲料、食品または動物飼料に関する。
水晶体の透明度が次第に失われることによって視力障害
をもたらす疾患である。糖尿病性白内障においては、血
糖のコントロール以外に積極的な治療法はなく、仮に厳
密な血糖コントロールを行ったとしても、白内障の進行
を抑制できるとは限らない。また、加齢に伴い白内障の
罹患率が上昇していくため、白内障は高齢者が罹患する
代表的な慢性疾患の一つに数えられている。現在、日本
では数種の点眼剤が白内障治療に用いられているが明確
な効果を示すものは無い。白内障によって日常生活に支
障をきたすまで視力障害が進行した場合は、混濁した水
晶体を外科的に摘出し、人工レンズを挿入する外科的な
治療方法に頼らざるを得ないのが現状である。このよう
な理由から、安全性が高く有効な抗白内障物質の開発が
強く望まれている。
ストレスによる細胞障害など様々な要因が考えられてい
る。ラットの糖尿病性白内障ではアルドース還元酵素を
介したポリオールの蓄積が白内障の成因の一つとされ、
実際、アルドース還元酵素の阻害剤が著効を示すことは
よく知られている[メタボリズム(Metabolism), 40, 77
(1991)、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコ
ロジー(Japan. J. Pharmacol.), 54,355 (1990)]。一
方、アルドース還元酵素阻害作用を持た ないビタミン
Eがラットの糖尿病性白内障モデルで有効であるとの報
告[日本眼科学会誌,93,97(1989)]もあり、糖尿
病性白内障においてもポリオール蓄積以外の要因が白内
障の発症に関わっていると考えられる。ビタミンEは天
然の抗酸化物質としてよく知られた物質であるが、ビタ
ミンEの抗白内障作用がビタミンEの抗酸化作用による
との証明はされていない。
−トランス−ノネナール存在下で水晶体を器官培養し白
内障を誘導する系において、通常の餌で飼育したラット
から単離した水晶体に比較して、クルクミンを経口摂取
させたラットから単離した水晶体の方が白内障の誘導が
起こりにくいことが報告されている[アメリカン・ジャ
ーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション(Am.
J. Clin. Nutr.), 64, 761 (1996)]。
り、クルクミンは着色、難水溶性または難脂溶性である
ので、抗白内障作用を目的にこれらの物質を使用する場
合に使用範囲が限定される要因となる。黄色色素である
クルクミンでは、食品や飲料用途では着色が障害となる
ために添加量が制限され、場合によっては全く使用不可
能である。
料等の用途で用いることの可能な、無色で易溶性でかつ
安定性が高く、しかも安全な白内障の予防もしくは治療
剤またはそれに類するものが求められている。
防、治療または改善に有用な組成物、特に治療剤(医薬
品)、食品添加物、飲料、食品または動物飼料を提供す
ることを目的とする。
発症および進行を反映した動物モデルや水晶体器官培養
系を用いて、種々の物質の抗白内障作用について鋭意研
究を行った結果、テトラヒドロクルクミン誘導体が種々
の糖尿病性白内障モデルで有効であることを見出し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、式
(I)
同一または異なって、水素、ヒドロキシ、またはアルキ
ル部分が炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状アルキルで
ある低級アルコキシ、を表す)で示されるテトラヒドロ
クルクミン誘導体(以下、単にテトラヒドロクルクミン
類という)を有効成分とする白内障の予防または治療剤
を提供する。
ルクミン類を有効成分として含む、白内障の予防または
改善に有用な食品添加物を提供する。本発明はさらに、
上記定義のテトラヒドロクルクミン類を有効成分として
含む、白内障の予防もしくは改善に有用な飲料または食
品を提供する。本発明はまた、上記定義のテトラヒドロ
クルクミン類を有効成分として含む、白内障の予防また
は改善に有用な動物飼料を提供する。本発明はさらに、
白内障の予防、治療または改善を可能とする組成物の製
造への、上記定義のテトラヒドロクルクミン類の使用を
提供する。
3 およびR4 の低級アルコキシのアルキル部分は、炭素
数1〜6の直鎖または分枝状アルキルであり、例えばメ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等
があげられる。具体的なアルコキシとしては、アルキル
部分が上記例示のものである低級アルコキシであり、炭
素数1〜2のメトキシ、エトキシが好ましい。式(I)
において、好ましくは、R2およびR4は同じまたは異な
ってよく、ヒドロキシまたは低級アルコキシであり、よ
り好ましくはR2およびR4はヒドロキシであり、並び
に、R1およびR3は同じまたは異なってよく、水素、ヒ
ドロキシまたは低級アルコキシである。
例えば、THU1[1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェ
ニル)-3,5-ヘプタンジオン、以下単にテトラヒドロクル
クミンというときもある]、THU2[1-(4-ヒドロキシフ
ェニル)-7-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-3,5-ヘ
プタンジオン]、THU3[1,7-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-3,5-ヘプタンジオン]、THDMU1[1,7-ビス(3,4-ジ
メトキシフェニル)-3,5-ヘプタンジオン]、THDHU1[1,
7-ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5-ヘプタンジオ
ン]等があげられる。
れぞれU1[ジフェルロイルメタン(diferuloylmethan
e)、(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニ
ル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン、以下単にクルクミ
ンというときもある]、U2[デメトキシクルクミン
(demethoxycurcumin)、ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキ
シシンナモイル)メタン]、U3[ビスデメトキシクル
クミン(bisdemethoxycurcumin)、ビス(4-ヒドロキシ
シンナモイル)メタン]、DMU1[(E,E)-1,7-ビス(3,
4-ジメトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオ
ン]、DHU1[(E,E)-1,7-ビス(3,4-ジヒドロキシフ
ェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン]等のクルクミ
ン類を還元して得ることができる。
ルクミン類は公知の物質である。クルクミン類は、熱帯
性の生姜科植物ターメリックに含まれる黄色色素であ
り、ターメリックの根茎の乾燥粉末およびそれから精製
したクルクミンが市販されている。本発明における有効
成分であるテトラヒドロクルクミン類の製造原料や製造
方法に制限は全くないが、例えば、バイオケミカル・フ
ァーマコロジー(Biochemical Pharmacology), 52, 51
9 (1996)に記載されているごとく、金属触媒を用いた水
素添加法でクルクミン類を還元することによって得るこ
とができる。
ミン類を微生物を利用してテトラヒドロクルクミン類に
変換することによって得ることもできる。例えば、デバ
リョマイセス・ハンゼニイ(Debaryomyces hansenii)
ATCC-20261株を用いてクルクミンをテトラヒドロクル
クミンに変換できる。具体的には、該菌株をYM培地(DI
FCO 社)中で、30℃、48時間振とう培養(130 rpm)し
て得られる菌体の懸濁液にクルクミン類の溶液(溶媒:
エタノール等)を加え30℃で3 時間振とうした後、反応
液を酢酸エチルで抽出して、酢酸エチル抽出物を得る。
該酢酸エチル抽出物を濃縮後、シリカゲルカラム(ワコ
ーゲルC-200、和光純薬社製)を用いn−ヘキサン- 酢
酸エチル(10% ステップワイズ法)混合液で展開、分画
する。溶出される50%及び60% 酢酸エチル- n−ヘキサ
ン画分を濃縮し、これをn−ヘキサン- 酢酸エチル
(1:1、V/V)を展開溶媒とした分取薄層クロマトグラ
フィーで分画してRf値が0.4 〜0.5 の画分を得る。該画
分をn−ヘキサン- アセトン(2:1、V/V)を展開溶媒
とした分取薄層クロマトグラフィーで分画してRf値が0.
25から0.3の画分を得る。該画分をさらにトルエン- ア
セトン(3:1、V/V)を展開溶媒とした分取薄層クロマ
トグラフィーで分画してRf値が0.5の画分を得て、この
画分を濃縮乾固することによりテトラヒドロクルクミン
を得ることができる。
量に含まれているクルクミンを摂取した際に生体内で生
成することが知られている極めて安全性の高い物質であ
る。本発明の白内障の予防、治療または改善に有用な組
成物、あるいは白内障の予防、治療または改善を可能と
する組成物は、実質的に有効量のテトラヒドロクルクミ
ン類を含有すれば、医薬品、食品添加物、食品、飲料、
飼料等どのような種類または形態であってもよい。医薬
品としては、ヒトを含む動物用の医薬品、魚類を含む水
産用の医薬品を含む。
は、テトラヒドロクルクミン類を単独あるいは適当な希
釈剤や他の添加剤と共に各種の製剤形態に公知方法で製
剤化して使用される。剤形としては、経口剤、例えばカ
プセル剤、丸剤、顆粒剤、乳剤、散剤、トローチ、シロ
ップ剤等の他、点眼剤、点滴あるいは注射用製剤の形態
をあげることができ、必要に応じてさらに防腐剤、結合
剤、矯味剤、安定化剤など、通常の医薬品製造で使用さ
れる物質を添加することができる。
水、注射用蒸留水、生理食塩水、グルコース、白糖、マ
ンニット、ラクトース、澱粉、セルロース、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、アルギン酸、タルク、クエン酸ナトリ
ウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ステア
リン酸マグネシウム、尿素、シリコン樹脂、ソルビタン
脂肪酸エステル、グリセリン酸エステル等があげられ
る。
とする患者に対し経口もしくは非経口的にその所定量を
単回もしくは複数回に分けて投与するか、連続的に投与
する。テトラヒドロクルクミン類の一日当たりの投与量
としては、患者の年齢、性別、症状により適宜調整され
るが、患者の体重1kgあたり、0.1mg〜5g、好ましくは0.
4mg〜4g、さらに好ましくは1mg〜2gで投与される。ま
た、製剤の全組成を100%とした時の配合量(重量比)は
0.01%〜100%で、好ましくは0.1%〜99.9%、さらに好まし
く1%〜99.0%である。また、白内障の予防または治療に
用いられている既存の薬剤(例えば、グルタチオン、唾
液腺ホルモン、チオプロニン、ピレノキシン、等)また
は異なる疾患を対象とした薬剤(例えば、インスリン製
剤;α−グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボース、ボ
グリボース、等;スルホニルウレア系薬剤であるアセト
ヘキサミド、グリクラジド、グリクロピラミド、グリベ
ンクラミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタ
ミド、等;スルホンアミド系薬剤であるグリプゾール、
等;ビグアナイド系薬剤である塩酸ブホルミン、塩酸メ
トホルミン、等;アルドース還元酵素阻害剤であるエパ
レルスタット、牛車腎気丸、八味地黄丸、等;抗酸化作
用をもつ医薬品であるアスコルビン酸、アスコルビン酸
・L−システイン、コハク酸トコフェロールカルシウ
ム、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、
N−アセチル−L−システイン、プロブコール、等)に
テトラヒドロクルクミン類を添加して、白内障の予防ま
たは治療の効果を高めることも可能である。すなわち、
一実施態様により、本発明の予防または治療剤は既存の
薬剤と組合わせてよい。
て用いる場合は、テトラヒドロクルクミン類を含有し白
内障を予防または改善するのに有効な食品、飲料または
飼料であればどのような形態であってもよい。食品とし
ては、例えば固形食品、半流動食品、ゲル状食品などが
あげられる。飲料としては、清涼飲料、アルコール飲料
などがあげられる。飼料としては、粉体、固体いずれの
形状のものでもよい。
れを必要とする患者もしくは動物に対し経口的にその所
定量を単回もしくは複数回に分けて投与する。テトラヒ
ドロクルクミン類の一日当たりの投与量としては、ヒト
患者もしくは動物の年齢、性別、症状により適宜調整さ
れるが、患者もしくは動物の体重1kgあたり、0.1mg〜5
g、好ましくは0.4mg〜4g、さらに好ましくは1mg〜2gで
投与される。配合する場合において、テトラヒドロクル
クミン類を重量比で0.001%〜100%で、好ましくは0.1%
〜99.9%で、さらに好ましくは1%〜99.0%の範囲で配合
する。
例えば、チョコレート、ガム、ヨーグルト、清涼飲料、
コーヒー、紅茶、アルコール飲料、ビスケット、ゼリー
などがあげられる。飲料または食品の製造においては、
必要に応じて種々の物質を添加することが可能である。
例えば、しょ糖、果糖、ブドウ等などの糖類、キシリト
ールなどの糖アルコール、アミノ酸、クエン酸、乳酸、
リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸、トコフェロー
ル、フラボノイド、カテキンなどの抗酸化物質の他、ゼ
ラチン、ビタミン類、色素、香料、カルシウム剤、グリ
セリン脂肪酸エステル、ペクチンなど、食品の通常の製
造で用いられる任意の物質を適宜配合して用いることが
できる。
テトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生
物を利用した醗酵飲料または醗酵製品も用いうる。動物
飼料としてはたとえば、養魚用飼料、家畜用飼料等がげ
られる。動物飼料の製造においては、通常動物の飼料に
用いられている組成物にテトラヒドロクルクミンを重量
比で0.001%〜10.0%の範囲で、さらに好ましくは0.1%〜
5.0%の範囲で配合することにより製造できるが、これに
限定されない。白内障の予防または改善を可能とする配
合量のすべてを使用できる。動物飼料の製造において
は、飼料の形態や目的に応じて種々の物質を利用するこ
とが可能である。例えば、しょ糖、果糖、ブドウ等など
の糖類、キシリトールなどの糖アルコール、アミノ酸、
クエン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機
酸、トコフェロール、フラボノイド、カテキンなどの抗
酸化物質の他、ゼラチン、ビタミン類、色素、香料、カ
ルシウム剤、グリセリン脂肪酸エステル、ペクチンな
ど、食品や動物飼料に添加可能な成分を適宜配合して用
いることができる。飼料にテトラヒドロクルクミン類を
添加する場合は、精製品を用いることもできるが、例え
ば、テトラヒドロクルクミン類を含有する微生物または
その処理物を飼料に混合することもできる。
障の予防効果および治療効果を示す試験例、並びに本発
明の治療剤、食品、飲料および動物飼料の配合例を示す
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
ルクミン(THU1)の白内障の予防効果および治療効果を
下記の試験例で示すが、試験例1〜5の実験方法は、白
内障モデルとして用いられている標準的な方法に準じた
ものである。例えば、ラット水晶体器官培養系に関して
はインベスティゲイティブ・オフタルモロジー(Invest
igative Ophthalmology), 13,204 (1974)に、ガラクト
ース投与ラット白内障モデルに関してはジャパニーズ・
ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Japan. J. Phar
macology), 54, 355 (1990)に、サル水晶体器官培養系
に関してはエキスペリメンタル・アイ・リサーチ(Exp.
Eye. Res.), 63, 425 (1996)等に実験方法が記載され
ている。
内障作用(1): キシロース惹起性 白内障モデル(ラ
ット水晶体器官培養系) 4週齢の雄性SDラット(日本SLC社より購入、体重70〜9
0g)から水晶体を単離し、24穴培養プレートに入れた2m
lのmedium 199培地(GIBCO社製)中に移した後、5%二酸
化炭素-95%空気、37℃の環境下で4日間培養を行った。
その際、白内障誘導群には培地に15mMのキシロース(SI
GMA社製)を添加しておき、テトラヒドロクルクミン添
加群には15mMのキシロースと100μMのテトラヒドロクル
クミンを培地に添加してから水晶体の培養を行った。培
養中の水晶体を実体顕微鏡下で写真撮影し、水晶体の混
濁状態を記録した(図1)。該写真をイメージスキャナ
(EPSON GT-9500 ART)で取り込んだ、解像度360ピクセ
ル、モノクロの水晶体画像に対し、画像解析ソフトウエ
ア(NIH image1.61)のDensity Sliceコマンドを用いて
Index値0〜150の領域を混濁領域として水晶体の混濁度
を定量した。混濁度は水晶体全面積に対する混濁領域の
割合(%)を示す。結果を表1に示す。
導される水晶体の混濁が、テトラヒドロクルクミンの共
存によって緩和される。
内障作用(2): ガラクトース惹起 性白内障モデル
(ラット水晶体器官培養系) 4週齢の雄性SDラットから水晶体を単離し、24穴培養プ
レートに入れた2mlのmedium199培地(GIBCO社製)中に
移した後、5%二酸化炭素-95%空気、37℃の環境下で4日
間培養を行った。その際、白内障誘導群には培地に30mM
のガラクトースを添加しておき、テトラヒドロクルクミ
ン添加群には30mMのガラクトース(SIGMA社製)と100μ
Mのテトラヒドロクルクミンを培地に添加してから水晶
体の培養を行った。培養中の水晶体を実体顕微鏡下で写
真撮影し、水晶体の混濁状態を記録した(図2)。該写
真をイメージスキャナ(EPSON GT-9500 ART)で取り込
んだ、解像度360ピクセル、モノクロの水晶体画像に対
し、画像解析ソフトウエア(NIH image1.61)のDensity
Sliceコマンドを用いてIndex値0〜150の領域を混濁領
域として水晶体の混濁度を定量した。混濁度は水晶体全
面積に対する混濁領域の割合(%)を示す。結果を表2
に示す。
混濁が、テトラヒドロクルクミンの共存によって明らか
に緩和されていた。
内障作用(3): キシロース惹起性 白内障モデル(カ
ニクイザル水晶体器官培養系) カニクイザルの新鮮眼球2個(ハムリー株式会社より購
入、四歳齢、雄一匹分)より水晶体を単離し、12穴培養
プレートに入れた4mlのmedium199培地中に移した後、5%
二酸化炭素-95%空気、37℃の環境下で14日間培養を行っ
た。その際、白内障誘導群には培地に30mMのキシロース
を添加しておき、テトラヒドロクルクミン添加群には30
mMのキシロースと100μMのテトラヒドロクルクミンを培
地に添加してから水晶体の培養を行った。培地は3日お
きに新鮮な培地と交換した。培養中の水晶体を実体顕微
鏡下で写真撮影し、水晶体の混濁状態を記録した(図
3)。該写真をイメージスキャナ(EPSON GT-9500 AR
T)で取り込んだ、解像度360ピクセル、モノクロの水晶
体画像に対し、画像解析ソフトウエア(NIH image1.6
1)のDensity Sliceコマンドを用いてIndex値0〜150の
領域を混濁領域として水晶体の混濁度を定量した。混濁
度は水晶体全面積に対する混濁領域の割合(%)を示
す。結果を表3に示す。
濁が、テトラヒドロクルクミンの共存によって明らかに
緩和されていた。
内障作用(4): グルコース惹起性 白内障モデル(カ
ニクイザル水晶体器官培養系) カニクイザルの新鮮眼球2個を、キシロースをグルコー
スに代える以外は試験例3と同様に培養した。培養中の
水晶体を実体顕微鏡下で写真撮影し、水晶体の混濁状態
を記録した(図4)。該写真をイメージスキャナ(EPSO
N GT-9500 ART)で取り込んだ、解像度360ピクセル、モ
ノクロの水晶体画像に対し、画像解析ソフトウエア(NI
H image1.61)のDensity Sliceコマンドを用いてIndex
値0〜150の領域を混濁領域として水晶体の混濁度を定量
した。混濁度は水晶体全面積に対する混濁領域の割合
(%)を示す。結果を表4に示す。
濁が、テトラヒドロクルクミンの共存によって明らかに
緩和されていた。
内障作用(5): ガラクトース惹起 性白内障モデル
(ラット動物モデル) 12匹の4週齢雄性SDラットを1週間予備飼育した後に
3群に分け、第1群は通常の餌(オリエンタル酵母社
製、粉末MF飼料)に重量比25%のガラクトースを添加し
た餌で、第2群は重量比25%ガラクトースおよび重量比
0.2%のテトラヒドロクルクミンを含有する餌で、第3群
は重量比25%ガラクトースおよび重量比0.2%のクルクミ
ンを含有する餌で飼育した。
期の進行は緩やかであるが、白内障の中期以降における
進行が急速であるため、白内障末期に移行した日を境に
外見的所見でも明確に水晶体の混濁が観察されるように
なる。そこで、眼球の外見的な所見で明確な水晶体混濁
を生じるまでの期間を指標として評価を行った。飼育試
験中に外見的所見により水晶体の混濁度を検査し、各群
4匹のラットの眼球8個について水晶体の混濁を認めた眼
球数を示す。結果を表5に示す。
は、ガラクトース含有餌単独で飼育したラットでの白内
障の発症率に比較し、ガラクトース含有餌にテトラヒド
ロクルクミンを添加した餌で飼育したラットの白内障発
症率は有意に低かった。また、ガラクトース含有餌にク
ルクミンを添加した餌で飼育したラットでも白内障発症
率の低下を認めたが、クルクミンの効果はテトラヒドロ
クルクミンの効果よりも弱かった。
クミン経口投与後の血中および肝臓中 のテトラヒドロク
ルクミン濃度 12匹の4週齢の雄性SDラットを1週間予備飼育した後に24
時間絶食(水は自由摂取)させ、2群に分けた。1mlの
蒸留水にTween20を一滴添加し、さらにテトラヒドロク
ルクミンあるいはクルクミンを80mg加えて懸濁したもの
を一匹あたりの投与量とし、テトラヒドロクルクミン投
与群とクルクミン投与群の各ラットにゾンデを用いて経
口投与した。その3時間後および24時間後に、ネンブタ
ール麻酔下で血液及び肝臓を採取した。血液は採血管
(テルモベノジェクトIIオートセップ)に採血して氷上
に1時間静置し、その後遠心分離(日立05PR-22 3000rp
m, 10分間, 4℃)を行うことにより血清を得た。
容積)の2倍量の10mMリン酸緩衝液(pH5.0)を加えてホ
モジナイズし(血清の場合は混和し)、ホモジェネート
200μlに2%アスコルビン酸, 0.01% EDTA / 10mM リン酸
緩衝液(pH5.0)を200μl加え、更にβ-グルクロニダー
ゼ(和光純薬)500units,サルファターゼ(SIGMA)40units
を加えた。十分に混和した後37℃で45分間加温した。酢
酸エチル1mlを加えてよく混ぜ、遠心分離し(日立CR15D
3500rpm, 15分)、酢酸エチル層700μlを採取し、濃縮・
乾固したものにメタノールを50μl加え、分析用サンプ
ルとした。遊離型のテトラヒドロクルクミン量の分析に
は、上記のβ-グルクロニダーゼ, サルファターゼ処理
を省略して得たサンプルを用いた。分析用サンプル中の
テトラヒドロクルクミンの定量は、HPLCを用いた以下の
条件で実施した。
リフルオロ酢酸); 流速:1 ml/分; 検出:280 nm。 結果を表6に示す。
トラヒドロクルクミン濃度は、クルクミン投与群のテト
ラヒドロクルクミン濃度の約6.6〜6.8倍に達した。また
テトラヒドロクルクミン投与群の肝臓中テトラヒドロク
ルクミン濃度は、クルクミン投与群のテトラヒドロクル
クミン濃度の約3.6〜4.1倍に達した。すなわち、生体に
吸収されたクルクミンの一部はテトラヒドロクルクミン
に変換されるものの、テトラヒドロクルクミンを摂取し
た場合には、クルクミンを摂取した場合を大きく上回る
生体内テトラヒドロクルクミン濃度を達成できる。
クミンの溶解度の測定 10mlのエタノール、25%エタノール-水(V/V)、10%エ
タノール-水(V/V)、水を50ml容三角フラスコ内で室温
で攪拌し続けた。各々の該攪拌溶媒中にクルクミン粉末
およびテトラヒドロクルクミン粉末をそれぞれ単独で沈
殿を生じせしめるまで添加し、懸濁液とした。該懸濁液
を内径25mm、ポアサイズ0.2μmのフィルターでろ過し、
飽和溶液を得た。該飽和溶液を下記条件でHPLC分析し、
280 nmの吸光度から換算して飽和溶液中のクルクミン、
テトラヒドロクルクミンの濃度を求めた。
リフルオロ酢酸); 流速:1 ml/分; 検出:280 nm。 結果を表7に示す。
溶媒系においてもテトラヒドロクルクミンはクルクミン
を上回る溶解性を示した。クルクミンと比較したテトラ
ヒドロクルクミンの溶解度は、エタノール中で5.7倍、2
5%エタノール中で150倍、10%エタノール中で650倍で
あった。
クルクミンの光安定性 クルクミン、テトラヒドロクルクミンを各々エタノール
に溶解し1.3mg/mlとした。該溶液3 mlを10mlガラスバイ
アル瓶に入れて密閉したものを2本作成し、1本はアルミ
ホイルで遮光した。該ガラスバイアル瓶を光照射試験機
(ライトロンLT-120、ナガノ科学機械製作所)に装填
し、光照射(30000μW/cm2、近紫外線蛍光灯FLR-20S・B
L/M、東芝)、および保温(40℃)を行った。96時間
後、該ガラスバイアル瓶内の溶液を下記条件でHPLC分析
し、280 nmの吸光度から換算して、クルクミン、テトラ
ヒドロクルクミンの濃度を求めた。
リフルオロ酢酸); 流速:1 ml/分; 検出:280 nm。 初期値に対する相対値(残存率)を表8に示す。
トラヒドロクルクミンは光安定性の高い物質であること
が判明した。次に、各種医薬品、飲料、食品、および動
物飼料の製造例をあげ、本発明を詳述するが、これらの
実施例は本発明を制限するものではない。
する点眼剤 下記の組成に従い成分を混合し、点眼剤を製造した。
する錠剤 下記の組成に従い成分を混合した後、打錠機にて打錠
し、直径8mm、重量200mgの錠剤を製造した。
する顆粒剤 実施例2で製造した錠剤を破砕し、ふるいにかけ、25
〜50メッシュの顆粒剤を製造した。実施例4 テトラヒドロクルクミンを含有するカプセル
剤 下記の組成に従い成分を混合した後、ゼラチンカプセル
に封入し、カプセル剤を製造した。
するチョコレート 下記の組成に従いチョコレートを製造した。配合された
テトラヒドロクルクミンによるチョコレートの色、香
気、味への影響は無かった。
するガム 下記の組成に従いガムを製造した。配合されたテトラヒ
ドロクルクミンによるガムの色、香気、味への影響は無
かった。
する飴 下記の組成に従い飴を製造した。配合されたテトラヒド
ロクルクミンによる飴の色、香気、味への影響は無かっ
た。
する飲料 下記の組成に従い飲料を製造した。配合されたテトラヒ
ドロクルクミンによる飲料への色、香気、味への影響は
無かった。
する動物飼料 下記の組成に従いドッグフードを製造した。配合された
テトラヒドロクルクミンによるドッグフードの色、香
気、味への影響は無かった。
類が白内障の予防または治療効果があることが判明し、
これによりテトラヒドロクルクミン類が白内障の予防ま
たは治療剤として、またテトラヒドロクルクミン類が白
内障の予防または改善のための食品添加物、食品、飲料
または動物飼料の有効成分として使用可能になった。
器官培養系)での水晶体の混濁状態を示す写真(生物の
形態)である。Aは対照区であり、Bはテトラヒドロク
ルクミン添加区である。
体器官培養系)での水晶体の混濁状態を示す写真(生物
の形態)である。Aは対照区であり、Bはテトラヒドロ
クルクミン添加区である。
水晶体器官培養系)での水晶体の混濁状態を示す写真
(生物の形態)である。Aは対照区であり、Bはテトラ
ヒドロクルクミン添加区である。
水晶体器官培養系)での水晶体の混濁状態を示す写真
(生物の形態)である。Aは対照区であり、Bはテトラ
ヒドロクルクミン添加区である。
Claims (8)
- 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、同一または異
なって、水素、ヒドロキシ、またはアルキル部分が炭素
数1〜6の直鎖もしくは分枝状アルキルである低級アル
コキシ、を表す)で示されるテトラヒドロクルクミン誘
導体を有効成分とする白内障の予防または治療剤。 - 【請求項2】 さらに担体を含むことを特徴とする請求
項1に記載の予防または治療剤。 - 【請求項3】 既存の薬剤と組合わせて含むことを特徴
とする請求項1または2に記載の予防または治療剤。 - 【請求項4】 請求項1に定義したテトラヒドロクルク
ミン誘導体を有効成分として含む、白内障の予防または
改善に有用な食品添加物。 - 【請求項5】 請求項1に定義したテトラヒドロクルク
ミン誘導体を有効成分として含む、白内障の予防もしく
は改善に有用な飲料または食品。 - 【請求項6】 請求項1に定義したテトラヒドロクルク
ミン誘導体を有効成分として含む、白内障の予防または
改善に有用な動物飼料。 - 【請求項7】 白内障の予防、治療または改善を可能と
する組成物の製造への、請求項1に定義したテトラヒド
ロクルクミン誘導体の使用。 - 【請求項8】 組成物が医薬品、食品、飲料、食品添加
物または動物飼料であることを特徴とする請求項7に記
載の使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10147833A JPH11343234A (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10147833A JPH11343234A (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11343234A true JPH11343234A (ja) | 1999-12-14 |
Family
ID=15439286
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10147833A Pending JPH11343234A (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | テトラヒドロクルクミン誘導体を含有する組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11343234A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6372265B2 (en) | 2000-04-25 | 2002-04-16 | Yojogen Co., Ltd. | Anti-oxidant reducing substance and method of producing the same |
JP2006137679A (ja) * | 2004-11-10 | 2006-06-01 | Ichimaru Pharcos Co Ltd | ジアリールヘプタノイド誘導体を有効成分とするメラニン生成抑制剤と皮膚外用剤、飲食品への応用 |
JP2009046481A (ja) * | 2008-07-30 | 2009-03-05 | Kaneka Corp | ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤 |
US9622853B2 (en) | 2010-07-05 | 2017-04-18 | Jagrat Natavar DAVE | Polymeric composition for ocular devices |
WO2018078922A1 (ja) * | 2016-10-24 | 2018-05-03 | 国立大学法人福井大学 | 白内障の予防剤、治療剤、およびこれらを製造するためのhat阻害剤の使用 |
-
1998
- 1998-05-28 JP JP10147833A patent/JPH11343234A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP2009046481A (ja) * | 2008-07-30 | 2009-03-05 | Kaneka Corp | ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド剤 |
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WO2018078922A1 (ja) * | 2016-10-24 | 2018-05-03 | 国立大学法人福井大学 | 白内障の予防剤、治療剤、およびこれらを製造するためのhat阻害剤の使用 |
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