JPH11337651A - 断層変位及び体積変位監視による地震予測方法 - Google Patents
断層変位及び体積変位監視による地震予測方法Info
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Abstract
やメカニズムを把握し、地震の発生時期やその範囲、規
模などを高い確度で予知評価可能とする。 【解決手段】 トランスフォーム1に存在する断層2を
横断して穿孔形成した孔井3内に、断層2を挟んで断層
微小変位計4を設置し、孔井3内の断層2を挟まない連
続する岩盤部分に体積変位計5を設置する。断層微小変
位計4は断層面を挟んで両岩盤の相対変化を三次元的に
計測し、体積変位計5は断層近傍岩盤内の体積変化の計
測から応力変化を評価する。これらの計測データから変
形率などの変化を地震前兆現象の変化として識別して地
震の発生時期や発生危険度を評価する。
Description
及び岩盤の体積変位を計測監視することで地震発生の危
険度を予測する方法に関し、特に断層のすべり現象や地
震発生に関連した変形挙動を計測評価して地震発生を予
測する技術分野に関する。
の分野において、地震発生を予知あるいは予測すべく、
岩盤内を伝播する予震の地震波形計測や岩盤内のひずみ
エネルギに関連した体積ひずみ計測が行われている。そ
して、かかる岩盤内の地震動に関連する振動計測として
は、一般に地震計、加速度計によるものが採用されてい
る。これら従来の計測の内、地震波形計測は、「地震発
生に関連した断層のすべり現象が発生する前に微小のす
べり破壊に関連した微小地震が発生する」との仮定のも
とに、岩盤内を伝播する微小地震の波形を共振する振動
子の振幅あるいは振動圧力として計測してその後に発生
する地震を予知あるいは予測しようとするものであっ
た。
ずみ計測としては、一般に岩盤深くまで穿孔したボアホ
ール空洞の変形から岩盤のひずみ量を評価するものが採
用されている。この従来のひずみ計測は、地震発生の要
因となる地殻あるいはプレートのひずみエネルギに関連
した岩盤ひずみ量の増加傾向を把握することによって地
震発生を予知あるいは予測しようとするものであった。
らかにされているように、マントルの流動に密接に関連
する地殻プレートの移動によって蓄積されたひずみエネ
ルギが地下深部の断層などにおいて急激に解放される現
象とされており、その多くはプレートがぶつかり合うト
ランスフォーム(プレート境界面)において地震や岩盤
破壊の履歴をもつ既存の破壊面である断層において発生
している。
降伏すべり現象であり、ひずみエネルギが断層近傍に誘
起した応力状態を限界条件として断層が降伏し、すべり
による地殻のポテンシャルエネルギと振動による運動エ
ネルギとして逐次解放されるスティックスリップ挙動を
呈するとされている。このような降伏を力学的に把握す
るには、応力分布や変形挙動が定性的にほぼ一定なトラ
ンスフォームにおいて直接的に断層微小挙動と応力変化
を検知することによってはじめて降伏時期やその範囲、
規模などが高い確度で推察される。
計、加速度計による地震波形計測は、断層が降伏する力
学的挙動に直接的に関連する現象を対象として計測して
いるわけではなく、場合によっては発生することがある
小規模な断層の降伏によるすべり変形を前兆と仮定して
その震動から予測評価を試みる方法であった。又、従来
の岩盤内の体積ひずみ計測は、岩盤内のひずみエネルギ
の上昇を把握するものであり、断層に降伏すべりをもた
らす原因のひずみは検知されるものの、その降伏の限界
を知るデータとはならなかった。
ずみ計測による地震予測方法では、断層の降伏すべりで
ある地震現象を予知しようとはするものの、断層の降伏
に至る挙動やメカニズムを直接的に計測する手段ではな
かったため、これら従来の計測から地震の時期やその範
囲、規模などを高い確度で予知評価することは困難であ
った。
小挙動と断層周辺の体積変位の計測から地震発生を予知
した例は未だ無く、又地表面の変位データから導いたひ
ずみエネルギ分布と断層の微小挙動との関係を計測及び
評価した例もなかった。これは、上述したように従来の
地震計、加速度計が、地震動の発生を計測するものであ
ったため、大規模な地震発生の前に微小地震が規則的に
発生しない限り地震予知の手段としては有効にならなか
ったのに加え、従来の岩盤内体積ひずみ計測が断層の降
伏現象に関連しない地震の要因のみを計測するに過ぎな
かったため、これら従来の計測では地震の発生規模と発
生時期を予知評価できなかったのである。
すべり現象であることを力学的に考えれば、その降伏に
至る挙動プロセスやメカニズムの把握が地震予知に不可
欠であり、地震の発生箇所である断層近傍あるいは断層
を含むトランスフォーム(プレート境界面)における微
小挙動の直接的な計測把握が初めて地震を予知するため
の手がかりとなるはずである。
ある断層を直接的に計測するものではなく、仮に従来の
変位計や圧力計を用いて地表あるいは地下空洞の岩盤で
これらの計測を行うとしても、地表や地下空洞における
ゆるみ領域、岩盤や亀裂などの風化、微小亀裂や地下水
などの影響を被る現象を計測せざるを得ず、微小な現象
を評価できないとする問題があった。
鑑みてなされたものであり、地震の発生箇所である断層
近傍あるいは断層を含むトランスフォームにおける微小
挙動の直接的な計測を行い、断層が降伏すべり現象を起
こす挙動プロセスやメカニズムを把握すると共に、大規
模な地震発生前の微小地震が規則的に発生しなくとも地
震予知が可能で、又地震の発生時期やその範囲、規模な
どが高い確度で予知評価可能な断層変位及び体積変位監
視による地震予測方法を提供することを目的としてい
る。
め、この発明の断層変位及び体積変位監視による地震予
測方法は、地震の発生箇所となる地殻プレート等の境界
面トランスフォーム内にある断層面や地表近傍の活断層
面あるいはそれらの近傍において地震発生の降伏すべり
に至るプロセスの変形挙動と地震発生の要因となる岩盤
内孔井の体積変位から導く応力変化を直接的に断層ある
いは断層を含むトランスフォーム内で計測するものであ
り、すべり現象を発生する直前の断層面上の岩石微小破
壊や塑性変形に関連する挙動から地震発生の危険度を予
測することを特徴とするものである。
積されている断層面あるいはその境界面に含まれる断層
面を横断してボアホールを穿孔して、断層面を挟んで両
岩盤の相対変化を三次元的に計測する断層変位計測装置
を設置し、更に断層近傍岩盤内の体積変化の計測から応
力変化を評価する体積変位計測装置を設置し、これらの
三次元微少変位計測データ及び三次元微小体積変位計測
データから断層の微小変形と断層近傍岩盤の応力変化を
計測評価する。
変化から、断層のすべり現象を発生させる方向の変位ベ
クトルとその方向の応力変化との相関関係を導くと共に
断層面に垂直方向の微少変位と応力変化の相関関係も併
せて導く。更に、上記計測評価の結果を経時変化として
整理し、その両者の相関関係における変形率を併せて監
視する。
壊の履歴を被った断層が再び降伏してすべり現象を呈す
るものであり、その降伏限界に到達する前には断層面上
の局所的な応力集中に伴う岩石微小破壊や塑性変形現象
が現れる。このような微小破壊や塑性変形に伴って発生
する応力波や電磁波などを計測する従来の間接的な方法
に変わり、断層の微小変形及び断層近傍の体積変位に基
づく応力変化を直接的に監視し、この手段によってこれ
らの前兆現象を変形率などの変化として識別して地震の
発生時期や発生危険度を評価するものである。
穿孔し、この孔井内に設置される断層変位計測装置は、
断層を挟む岩盤内に各々独立して固定設置された計測部
及びセンサ部間の相対的な微小変位を三次元的に計測
し、又上記孔井内に設置する体積変位計測装置は、断層
が無い連続した岩盤内に各々独立して固定設置された計
測部及びセンサ部間の相対的な微少変位とセンサ部周囲
の孔井壁面の微小変位を計測することで三次元的な体積
変位を得る。
図面に基づき詳細に説明する。図1は岩盤内のプレート
境界層であるトランスフォーム1に存在する断層2を横
断して穿孔形成した孔井3内において、断層2を挟んで
断層微小変位計4を設置し、孔井3内の断層2を挟まな
い連続する岩盤部分に体積変位計5を設置した例を示
す。
トランスフォーム1には地殻プレートのひずみエネルギ
が対向して作用しあうため、すべり降伏前の状態にある
上記トランスフォーム1内の断層2やその近傍岩盤で
は、岩盤の弾性係数や深度に依存する変形係数や土覆り
圧の補正係数を乗じて等価となるような応力状態を呈し
ている。このため、断層微小変位計4、体積変位計5は
地震発生直前までのトランスフォーム1や断層2の微小
変形と岩盤の体積変化を高精度に計測できる。
す拡大断面図である。断層微小変位計4は、断層2を横
断して岩盤6,7に穿孔形成した孔井3内において断層
2を挟んだ一方の岩盤7内に固定手段8によって固定設
置される計測部9と、他方の岩盤6内に同様な固定手段
8によって固定設置されるセンサ部10を有する。この
センサ部10は、少なくとも三方向以上の変位センサ1
1を有し、計測部9とは分離した部材であるが相互に接
触した状態で設置される。
能な図示しない固定ガイド部材によって一体として孔井
3内に挿入し、各々を図示しない伸縮手段により固定し
た後、固定ガイド部材を抜き取って各々を独立固定す
る。又、計測部9及びセンサ部10を収容する筒状部材
の円周には少なくとも2面の孔壁圧着部8aを備え、油
圧シリンダやスプリングなどの伸縮手段によって固定手
段8を筒状部材の径方向外方に向って突出させて孔壁岩
盤面に加圧固定する構造を有している。
12の後端に設けるもので、平坦で互いに直角に交差す
る少なくとも三面の計測面9aを有する。一方、センサ
部10は第一筒状部材12に後続する第二筒状部材13
の先端に設けるもので、前記計測面9aに垂直に対向す
る少なくとも三軸方向に各々設けられた少なくとも三台
の変位センサ11が取付けられており、両固定部材間の
相対微小変位を三次元的に計測できる。
相対変位を互いに直交する少なくとも三軸方向の計測結
果として捉え、これらの数値を断層面とその面に直交す
る座標系に変換することにより、断層面内の微小すべり
ベクトル(変形方向と変形量)と断層面の閉塞あるいは
開口の微小変位を評価することができる。
3に示し、この計測結果から断層面に対して座標変換し
た例を図4に示す。これらは共に経時変化曲線を表わし
ており、図3の縦軸14は断層微小変位計4のセンサ部
10にある三軸方向の変位センサ11による変位量を表
わし、横軸15は計測の経過時間を表わしている。この
変位計測では、孔井3内に設置した時点からの相対変化
として変位を計測するため、計測の開始時が変位基準1
6となる。
面に直交する座標系に変換することにより、図4に例示
するように、断層面内の微小すべりベクトル(変形方向
と変形量)と断層面の閉塞あるいは開口の微小変位を評
価することができる。図4の縦軸17aは変位量、17
bは変位ベクトルの方位角を表わし、横軸18は計測の
経過時間を表わすもので、例えば断層面内のすべり変位
ベクトルの最大変位量を曲線19で表わし、その方位角
を曲線20で表わし、更に断層面に直交する方向の閉塞
あるいは開口変位を曲線21で表わす。
時曲線において、曲線の傾きが変化する変曲点22は断
層の変形が断層面内の微小破壊や塑性変形に関連した挙
動を呈することを示しており、この傾きの大きさで表わ
される断層の変形率の変化を評価することが可能にな
る。
大断面図である。体積変位計5は、断層2を横断して穿
孔形成した孔井3内において、断層2を挟まない連続し
た岩盤6内に複数の固定手段108によって固定設置さ
れた計測部109とセンサ部110を有する。
部材112の後端に設けるもので、平坦な計測面109
aを有する。一方、センサ部110は第一筒状部材11
2に後続する第二筒状部材113に設けるもので、孔井
3の壁面に対向する少なくとも三軸方向の変位センサ1
11aと、計測面109aに対向する少なくとも三軸方
向に設けられる変位センサ111bの少なくとも六台の
変位センサが取付けられており、孔井壁面の微小変位及
び両固定部材間の相対距離の微小変位を三次元的に計測
できる。
も三方向の径方向変位と、上記両固定部材間の相対変位
を部材軸方向の少なくとも三軸の計測結果から、岩盤内
の応力状態を表する6個の応力テンソルに関連する6個
の体積変位テンソルあるいは6個の体積ひずみテンソル
として評価することができる。
示し、この計測結果から導いた主応力変化曲線の例を図
7に、断層面内のすべりベクトル方向のせん断応力を評
価した例を図8に各々示しており、共に経時変化曲線を
表わしている。図6の縦軸23は体積変位計5のセンサ
部110にある少なくとも六方向の変位センサ111
a,111bによる変位量を表わし、横軸24は計測の
経過時間を表わしている。この変位計測では、孔井3内
に設置した時点からの相対変化として変位を計測してお
り、孔井3における計測間隔との比率から容易に体積ひ
ずみに換算できる。
ータから6個の応力テンソルが導かれ、その内のせん断
応力テンソルに表わす3個の応力が0になるような評価
から主応力変化量が図7に示すように導かれる。図7の
縦軸25は主応力の大きさを表わし、横軸26は経過時
間を表わしており、主応力は計測が開始されてからの変
化量を表わすことになる。ここで、曲線27は最大主応
力の変化、曲線28は最小主応力の変化、又曲線29は
中間主応力の変化を表わしている。
角の方向に従ってそのせん断応力テンソルを導くと、図
8に例示するように、断層面内の微小すべりベクトル方
向のせん断応力の変化を評価することができる。図8の
縦軸30は応力の大きさを表わし、横軸31は計測の経
過時間を表わしている。断層面内のせん断応力の経時変
化曲線32において曲線の傾きが変化する変曲点33は
断層の変形が断層面内の微小破壊や塑性変形に関連した
挙動を呈することを示しており、上記図4に示したすべ
り変位の経時曲線の変形率変化の評価と同様に、この傾
きの大きさで表わされる断層のせん断応力変化率が変化
する傾向を評価することが可能になる。
内の最大すべり変位を表わし、横軸35に上記図8に示
した断層面内のせん断応力変化を表わしており、両者の
相関曲線36を示している。この相関曲線36において
曲線の傾きはせん断剛性37を表わしており、その剛性
が変化した曲線38は断層の変形が断層面内の微小破壊
や塑性変形に関連した挙動を呈することを示すことにな
り、断層のせん断剛性における変形率の変曲点39を評
価することによって断層における地震発生の危険度を認
知することが可能になる。
き、降伏状態の最大せん断応力40を収束する予想曲線
41から導くことによって地震発生の危険度を予測でき
ることになり、この予測結果と併せて、常に断層の微小
変位を監視し続けて予想曲線と比較することによって、
確度の高い地震発生の危険度評価が可能になる。
面の変位データを用いた地層内応力の数値解析から導い
たひずみエネルギ分布と、トランスフォーム内にある断
層面上の三次元微少変位に基づく断層を挟む岩盤のすべ
り変位から導いたポテンシャルエネルギーを比較し、そ
のひずみエネルギー解放のプロセスから断層面上のすべ
り変形の危険度を予測することも可能である。
測方法は、地震発生の要因となるひずみエネルギが蓄積
されている断層面あるいはその境界面に含まれる断層面
を横断してボアホールを穿孔して、断層面を挟んで両岩
盤の相対変化を三次元的に計測する断層変位計測装置を
設置し、更に断層近傍岩盤内の体積変化の計測から応力
変化を評価する体積変位計測装置を設置し、これらの三
次元微少変位計測データ及び三次元微小体積変位計測デ
ータから断層の微小変形と断層近傍岩盤の応力変化を計
測評価する。
変化から、断層のすべり現象を発生させる方向の変位ベ
クトルとその方向の応力変化との相関関係を導くと共に
断層面に垂直方向の微少変位と応力変化の相関関係も併
せて導き、更に上記計測評価の結果を経時変化として整
理し、その両者の相関関係における変形率も併せて監視
する。
いは断層を含むトランスフォーム内で、すべり現象を発
生する直前の断層面上の岩石微小破壊や塑性変形に関連
する挙動を直接的に計測するので、断層が降伏すべり現
象を起こす挙動プロセスやメカニズムを把握することが
可能になる。又、これらの前兆現象を変形率などの変化
として識別することで地震の発生時期や発生危険度を評
価することが可能となる。従って大規模な地震発生前の
微小地震が規則的に発生しなくとも地震予知が可能で、
又地震の発生時期やその範囲、規模などが高い確度で予
知評価可能となるものである。
す断面図である。
ある。
て座標変換したグラフである。
る。
化曲線のグラフである。
ラフである。
グラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 地殻プレート等の境界面トランスフォー
ム内にある断層面や地表近傍の活断層面を横断して穿孔
した孔井内に、断層変位計測装置を設置して計測する断
層の三次元的微少変位と、断層面近傍まで穿孔した孔井
内の断層を挟まない連続する岩盤部分に体積変位計測装
置を設置して計測する孔井内の三次元的微小体積変位の
監視データより地震発生の危険度を予測する方法であっ
て、前記三次元的微小変位から導く断層面の微小すべり
ベクトル及び微小開口変位あるいは微小閉塞変位と、前
記三次元的微小体積変位から導く断層面近傍の岩盤内の
微小地圧変化から、断層面のすべり方向と断層面に垂直
な方向における微小変形と微小地圧変化との相関関係を
評価し、これら計測評価の結果を経時変化として整理
し、更に前記相関関係における変形率も併せて監視する
ことで、断層面が地震としてのすべり現象を発生する直
前の断層面上の岩石微小破壊や塑性変形挙動を前記相関
関係及び経時変化における変形性の変化や変形率の変化
として認識することを特徴とする断層変位及び体積変位
監視による地震予測方法。
Priority Applications (1)
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JP16430098A JP3243499B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 断層変位及び体積変位監視による地震予測方法 |
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