JPH11333150A - 方向転換方法 - Google Patents

方向転換方法

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JPH11333150A
JPH11333150A JP14997298A JP14997298A JPH11333150A JP H11333150 A JPH11333150 A JP H11333150A JP 14997298 A JP14997298 A JP 14997298A JP 14997298 A JP14997298 A JP 14997298A JP H11333150 A JPH11333150 A JP H11333150A
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liquid
moving
ink jet
frictional resistance
moving object
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JP14997298A
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Masataka Sakaeda
正孝 榮田
Osamu Shikame
修 鹿目
Keiichiro Tsukuda
圭一郎 佃
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロマシンなどの構造が極小型されてい
る形態の機械において移動方向を変換する手段を、簡単
に、且つ、小型に、さらに、電気的に制御可能にする方
法を提供する。 【解決手段】 摩擦抵抗を低減する液体6を移動物体2
の先端側にあるインクジェット1Hより吐出噴霧する。
移動物体2は、移動の慣性力により該液体6が噴霧され
た移動面3の上へ移動し、移動物体2と移動面3の間に
摩擦抵抗変動液体6が配置される。これにより移動物体
2と移動面3との間の摩擦抵抗が部分的に変動し、移動
物体2は摩擦抵抗のバランスの変動により回転力が発生
する。この回転力により移動物体2の移動方向が転換さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空間あるいは、流
体や固体の界面と接触しながら、移動する物体の方向を
転換する方法に関するものである。また、主たる方向転
換の方法以外にその補助的な機能を発揮する方向転換方
法に関するものである。前者は、マイクロマシンなど機
械的な方向転換の機構の盛り込みが困難な移動物体など
に関しており、後者は船や飛行機などである。
【0002】
【背景の技術】一般に、バナナの皮を靴で踏むと滑って
転ぶことは、良く知られている。これは、靴と地面との
間の摩擦が著しく低減するためである。また、ブルドー
ザーや戦車が方向転換をする際に片側のみのキャタピラ
を回転させ、他方の側のキャタピラは停止させるのは、
停止した側の摩擦抵抗により方向が変更されるからであ
る。しかしこの場合は、地面とキャタピラの間の摩擦が
変化したためではなく、停止した側のキャタピラ側の停
止により、回転側のキャタピラがブルドーザーや戦車の
本体を移動させるために、方向転換が実現されるもので
ある。
【0003】このような事例があるが、移動物体と接触
界面との摩擦抵抗を何らかの物体を供給する方法にて連
続的に、且つ、機械的に安定した形で制御出来るレベル
で変動させて、方向を転換する方法に関しては技術公開
がなされていない。
【0004】強いて挙げれば、特開平06−85190
号公報に、船の船底に空気を強制的に送り込んで、船の
摩擦抵抗を低減し、船の燃費を改善する方法が紹介され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この特開平06−85
190号公報に記載の方法は、海水や水との接触界面の
摩擦抵抗を空気を介入させて、低減させる方向へ変動さ
せていることは、事実である。しかし、摩擦を上昇させ
ているわけではない。
【0006】また、空気の泡という、我々の観念から言
及すれば、莫大にして、ミクロレベルの計量が不可能な
量を供給し、数ミリ秒という短時間レベルでの制御を可
能にする方法ではない。
【0007】我々の方法は、数ピコリットルという微少
液体を数ミリ秒以下のレベルで制御して噴霧もしくは散
布することにより、摩擦を低減させたり、あるいは、上
昇させることで、もしくは、この両方を併用することで
方向転換をより、有利にする方法である。
【0008】また、別な例としては、花王(株)より、
特開平09−279363号公報に、船の船底に、撥水
性や疎水性の塗料を塗布することで、船の船底と水や海
水との摩擦抵抗を低減することで、同様に燃費を向上さ
せることが、技術公開されている。この方法では、摩擦
は低減させることは、可能であるが、方向転換を行うこ
とは不可能である。
【0009】従って、本発明のように、移動する物体よ
りその接触する界面に何らかの液体や物体を噴霧もしく
は散布することで、界面の摩擦抵抗を低減する方向や上
昇する方向に変動させて、方向を転換するという方法は
先例が認められないものである。
【0010】また、その液体の量を微小容量で、つま
り、数ピコリットルという微小容量で制御しながら、界
面に噴霧し摩擦抵抗を変動させて、移動方向を転換する
方法は、全く技術公開されていない状況である。特に、
昨今のマイクロマシンなどの構造が極小型されている形
態の機械においては移動方向を変換する手段を、簡単
に、且つ、小型に、さらに、電気的に制御可能な方法が
待ち望まれている状況であり、本発明はまさにこのよう
な用途に合致したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明を実現する手段と
して、移動物体に簡単な液体噴務機構を実現することが
必要となる。さらに、この液体噴霧機構が噴霧する液体
が、移動物体と接触面との界面に配置される構成を実現
する必要がある。
【0012】噴霧される液体が、確実に接触面へ到達す
る必要があり、そのためには、液体の飛翔速度をある程
度高くする必要がある。そのようにしないと、移動中
に、噴霧される液体がどこに飛んで行くか規定できな
く、方向転換も制御することが不可能となるためであ
る。
【0013】また、移動物体の方向転換のためには、あ
る制御された一定の量を、非常に速いタイミングにて制
御し、つまり、供給や供給停止を行うことを実現せねば
ならない。
【0014】さらに、長期の方向転換能力維持のために
は、噴霧供給する液体の量は、非常に、微小容量である
ことが望まれる。また、マイクロマシンなどに搭載する
場合は、なおさら、その噴霧容量は超微小容量であるこ
とが要望される。さらに、その機構も、簡便で小型であ
ることが、要望されるものである。そして、その噴霧位
置は、移動物体の方向転換をスムーズに行うために、で
きるならば、360度全方向であることが望ましいが、
少なくとも、移動方向の先端側や両端側や前後左右の4
方向などに配置する必要がある。そのためには、噴霧位
置を微小に構成しないと小型の移動物体に搭載する場合
は、所定の位置への配置が困難となる。このような要請
事項を満足させるために、我々は鋭意検討し、インクジ
ェット装置により、摩擦抵抗を変動させる機能を有する
液体を、移動物体が移動しようとする方向の前面に噴霧
し、該液体を移動物体とその接触面との界面に配置する
手段を採ることとした。
【0015】インクジェット機構は、非常に小型のイン
ク吐出機構であり、特に、熱にて液体を発泡させ、その
発泡推進力により、液体を高い飛翔速度にて噴霧できる
熱変換素子を有したインクジェット機構(通称BJ方式
のインクジェット:以後BJと省略することとする。)
であることが望ましい。また、同様に、小型で簡便なイ
ンクジェット機構としては、静電力吐出方式もあり、さ
らに、若干ながら複雑な機構としては、ピエゾインクジ
ェット機構などがある。これらの機構は、大きさはせい
ぜい幅10mm、長さ10mm、高さ10mm以下の寸
法レベルであり、小型化が可能なものである。
【0016】これらの小型の液体噴霧機構にて、摩擦抵
抗を変動させる液体を、移動物体の接触界面に噴霧する
手段を採ることで、マイクロマシンなどの面と接触しな
がら移動する移動物体の移動方向を転換させることが可
能となる。
【0017】ただし、移動の推進力をこの機構で発現出
来るものではないので、本発明の方向転換方法はあくま
での推進力の制御ではなく、物体の移動に伴い必ず発生
する何らかの抵抗、つまり、接触抵抗(摩擦抵抗)や流
体の粘性抵抗を変動させて、物体の移動方向の転換を行
う手段を用いる方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の移動物体の方向転
換方法を図面を参照しながら説明する。
【0019】図1は、本発明の方向転換方法の実施の一
形態を説明のための概略斜視図である。この図におい
て、インクジェット液体噴霧機構1は移動物体2の先端
位置に位置している。以後、インクジェット液体噴霧機
構1をインクジェット1と称することとする。
【0020】移動物体2は、移動面3の上を推進力発現
機構4により移動するものである。図2に、その断面概
略図を示す。
【0021】インクジェット1は、インクジェット1の
制御部18の制御により、摩擦抵抗を低減する液体6を
移動面3の上に噴霧する構成である。また、制御部18
は、移動方向を支持命令する信号を受信する有線あるい
は無線の受信機構8を有しており、移動方向を転換させ
たい指揮者は、この受信機構8に命令を送信すること
で、移動物体2の移動方向の転換が可能となる。
【0022】図1のように、矢印の方向に移動方向を転
換させたい場合は、その方向へ移動物体2が方向を転換
すべく、摩擦抵抗を低減する液体6を移動物体2の先端
側にあるインクジェット1Hより吐出噴霧する。そのよ
うにすると、移動物体2は、移動の慣性力により該液体
6が噴霧された移動面3の上へ移動する。図2に示すよ
うに、移動物体2と移動面3の間に、摩擦抵抗変動液体
6が、配置される構成となる。その段階で移動物体2と
移動面3との間の摩擦抵抗が部分的に変動しているため
に、同じ方向への推進力を推進力発現機構4より提供さ
れても、移動物体2は一様に同方向に移動するのではな
く、摩擦抵抗のバランスの変動により回転力が発生す
る。この回転力により、移動物体2の移動方向が変動し
た場合、所定の目的方向へ移動した場合は、その段階で
インクジェット1より摩擦抵抗変動液体6の吐出を停止
する。
【0023】このようにして、移動物体2の移動方向を
転換することが可能となる。
【0024】また、摩擦抵抗を低減させる液体の替わり
に、摩擦抵抗を増大させる液体であっても、同様に移動
方向の転換は可能である。ただし、この場合は、液体6
の吐出位置はインクジェット1Hとは逆のインクジェッ
ト1Mとなる。また、インクジェット1H及び1Mより
全面に該液体6を噴霧すれば、摩擦力の増大に伴い、そ
の速度を低減することが可能となる。つまり、ブレーキ
の代替や補助を行うことが可能となる。さらに、移動面
3は、本説明では、固体面の様相であるが、固体面に限
らず、液体などの流体面でもよく、さらには、液体と固
体の混在面であっても良い。
【0025】さらには、気体面であってもよく、より詳
細には、固体と気体の混在面、固体と液体と気体の混在
面であっても良い、実際には、固体面は常に平面では有
り得ないので、固体である物体面と空気である気体面よ
り構成されるのが、一般的であり、また、濡れた固体面
であれば、固体面と気体面と液体面が混在するのは、当
然である。
【0026】また、噴霧される液体は、液体と固体の混
ざった混合液体でも良い。また、液体と気体の混合した
形態のもの、あるいは、液体と固体と気体が混合した状
態のものであっても良い。ただし、インクジェット1に
より、移動面3に吐出供給されるものでなくてはならな
い。なぜなら、連続的にインクジェット1への供給とイ
ンクジェット1からの噴霧の制御が可能でなければ、本
発明の移動方向転換方法に使用できないからである。
【0027】さらに、噴霧液体は接触界面の摩擦を変動
させる機能を有すること以外に、移動物体およびその接
触界面に環境的な害をおよぼさないものが望ましい。
【0028】本発明は、一時的に、移動方向の転換が可
能な方法を提供するものではなく、実質の社会への本方
法の提供を通じて、有意義に社会に役立たせることが目
的のためである。
【0029】
【実施例】以下、本発明の方向転換方法をより具体的に
実施例を挙げて説明する。
【0030】(実施例1)まず、インクジェット1につ
いて説明する。本発明に用いたのは、基本原理が米国特
許公報4723129にて紹介されている熱エネルギー
変換素子を用いたインクジェット機構である。
【0031】この例では、インクジェット1を氷上を風
力推進により移動する移動物体2である船体の先端側に
図1に示す位置に配置した。この位置は、船体の先端の
両端側である。推進力発現機構4としての風力推進機構
は、回転モーター12によりプロペラ13を回転させ
て、推進力を得るものである。
【0032】また、移動物体2である船体には、プロペ
ラ13の回転のエネルギーとインクジェット1の駆動エ
ネルギーを得るべく、リチウムイオンバッテリーによる
電気エネルギー供給手段16が設けられている。
【0033】さらに、インクジェット1の吐出を制御す
るために、インクジェット1の吐出制御用の軽量で細長
いリード線17を用いた。該リード線17の一方の先端
は受信機構8に接続されており、もう一方の先端は指揮
者が移動方向を指示制御する制御機構18に接続されて
いる。
【0034】インクジェット1は、例えば64個のノズ
ル列を有するキヤノン(株)製BC−02カートリッジ
に用いられているインクジェット機構である。これを、
前記の船体の先端の両側に配置した。
【0035】このような船体の移動物体2を氷上に置
き、モーター12によりプロペラ13を回転させると、
船体は氷上を移動を開始した。しかしながら、移動方向
を制御する機構は、インクジェット1以外に配置されて
いないために、その方向は、ランダムで全く無秩序のも
のであった。
【0036】この状態の中で、船体先端の片側のインク
ジェット1Hより、摩擦抵抗変動液体6として水を移動
面3である氷面に吐出すると、船体は右周りに大きな円
弧を描いて回転を始めた。これは、船体の先端の左側に
あるインクジェット1Hより水を供給したために、移動
面3である氷と、接触面である船底の間の摩擦抵抗が低
減し、右方向へ船体を回転させる回転力が発現したため
である。
【0037】さらに、今度は、インクジェット1Hの水
吐出を中止し、もう一方のインクジェット1Mより水の
吐出を行うと、船体はゆっくりと左側への回転を始め
た。これも、前述した摩擦抵抗の変動によるものであ
る。
【0038】今度は、制御部18よりインクジェット1
H,1Mより、交互に水を吐出噴霧する信号を送信する
こととした。このようにした場合、船体は、ジグザグの
蛇行運動を発生した。これは、制御により、船底の摩擦
抵抗が、時系列的に変動したためである。
【0039】(実施例2)インクジェット1については
実施例1のとおりである。すなわち本発明に用いたの
は、その基本構成や原理が、米国特許公報472312
9、4740796にて、技術的に開示されている熱エ
ネルギー変換素子を用いたインクジェット機構である。
【0040】この例では、インクジェット1を斜面を重
力移動により滑降移動する移動物体であるミニチュアス
キーマシン21の先端側に図3に示す位置に配置した。
この位置は、該マシン21の各スキー板22の先端側で
ある。
【0041】スキーマシン21は、実際のスキーの1/
20の大きさに作られたミニチュアスキーマシンであ
る。スキー板22の長さは約80mmである。これは、
スキーの滑走表現を行うために試作したおもちゃであ
る。このおもちゃの大きさは、マイクロマシンの中にお
いては、若干大きな部類に属するものである。
【0042】しかし、スキーの大きさや液体供給の機構
を小型化することで、さらに、小型化することも可能で
あり、さらに超小型のマイクロマシンとすることも可能
である。このような機構を試作することで、超小型のマ
イクロマシンの方向転換の機構を実験することが可能と
なる。
【0043】また、スキーマシン21は、斜面を滑落移
動することで、推進力を得るものである。
【0044】さらに、インクジェット1H、1Mの吐出
を制御するために、本スキーマシンに、一定時間おき
に、インクジェット1H、1Mを動作させる小型のマイ
クロ制御回路を用いた。これは、カウンタータイマーを
制御機構内部で発生し、図4に示すフローチャートで、
インクジェット1H、1Mの吐出制御を行うものであ
る。
【0045】2秒間の静止後、0.3秒間インクジェッ
ト1Hを動作させ、さらに2秒間の静止後、0.3秒間
インクジェット1Mを動作させることとした。その後、
2秒間停止後、インクジェット1Hを0.3秒間動作さ
せるというようなフローを繰り返すものである。インク
ジェット1の動作や制御機構の動作を小型のボタン電池
のエネルギー供給で行うように、製作した。また、イン
クジェット1は、液体6を10m/秒の速度で、数cm
の距離程度を飛翔させることが可能なものである。イン
クジェット1H,1Mは、その基本機構が、例えば64
個のノズル列を有するキヤノン(株)製BC−02カー
トリッジに用いられているインクジェット機構である。
【0046】噴霧液体の供給は、スキーのやや中央部付
近に配置された液体タンク19よりパイプ20にてイン
クジェット1H、1Mへ供給されるものである。図3で
は、液体タンク19は点線で示している。
【0047】上記噴霧液体は、界面活性剤により分散さ
せたテフロンのマイクロビーズを含んだ水で、約3%の
イソプロピルアルコールを含有した固体粒子と液体との
混合液体である。
【0048】また、滑落する移動界面は、微小な凹凸の
あるポリエチレンの平面である。凹凸は、通称シボ加工
面といわれる面で、探さ±10μm程度の凹凸のある面
である。
【0049】以上のように構成された移動面3の上に、
前記記載のマイクロスキーマシン21を配置した。
【0050】次に、スキーマシン21に搭載したインク
ジェット1H、1Mの吐出制御機構を稼動させると、イ
ンクジェット1H,1Mより図4に示すフローチャート
に従った摩擦抵抗変動液体の噴霧が開始された。
【0051】前記吐出制御機構でインクジェット1H,
1Mより、交互に一定時間間隔毎に上記噴霧液体を吐出
噴霧するようにした場合、前記マイクロスキーマシン2
1は、ジグザグの蛇行運動を発生しながら、斜面3を滑
降移動した。これは、インクジェット1H,1Mより噴
霧された摩擦係数変動液体がマイクロスキーマシン21
のスキー板22の接触面と、滑落移動面3との間に配置
され、スキー板22の摩擦抵抗が、時系列的に変動した
ために、スキーマシン21の滑落移動方向が時系列的に
変動したことの結果である。
【0052】また、前記の摩擦抵抗変動液体を、摩擦を
増大させる液体にすれば、移動方向の転換方向は逆とな
るが、同様な移動方向の転換が可能となるものである。
例えば、そのような液体として、生ゴムの粒子を分散さ
せたエマルジョン系のゴム粒子配合液体を用いれば、上
記のような動作を発現できる。上記の吐出制御機構より
インクジェット1へ信号が送られるが、図3では省略し
た。また、インクジェットは、その液体吐出量が、僅か
に数ピコ〜数十ピコリットルであり、その吐出制御レベ
ルが数百マイクロ秒のレベル(1m秒以下)であるの
で、わずかに1ミリリットルの噴霧液体の量でも、十分
に長期間の移動方向転換を行うことが可能となる。
【0053】さらに、噴霧吐出液体の吐出量が少なけれ
ば、その量を吐出ノズルの数だけ増加させることも可能
である。つまり、ノズル一本から吐出される液体6の量
が数ピコリットルの量であるので、64本のノズルの数
であれば、その64倍の量まで吐出噴霧量を制御可能で
あり、且つ、一回の吐出量を1m秒以下のレベルで制御
することが可能なために、その吐出噴霧回数を1000
回/秒までに制御可能である。このように、摩擦抵抗を
変動させる液体を、僅か1秒間の間に64×1000=
64000のレベルで制御可能なものである。つまり、
移動方向を転換する時間が、1秒間であれば、6400
0レベルの制御段階が設定することが可能なことであ
る。0.1秒間の方向転換時間であれば、6400のレ
ベルの制御段階が可能となるものであるということであ
る。
【0054】(実施例3)図5に、64個のノズルを有
し、且つ、ノズル孔が3個の部屋に分割されているイン
クジェット1を用いた例を示す。図5(a)はインクジ
ェット1の概略斜視図、図5(b)はその概略断面図で
ある。このインクジェット1は、インクジェットのノズ
ル孔が1A、1B、1Cの3個に分割されているため
に、摩擦抵抗が異なる3種類の液体を吐出することが可
能である。ノズル孔1A、1B、1Cはそれぞれ共通液
室6A、6B、6Cにつながっており、各共通液室6
A、6B、6Cには供給パイプ20A、20B、20C
が配設されている。
【0055】このために、摩擦抵抗を増大させる液体
と、摩擦抵抗を低減させる液体を、さらに、もうひとつ
何らかの種類の液体を噴霧できる。したがって、上述し
た実施例1の場合に用いた氷上を移動する船体の先端の
片側のみにこのインクジェットを配置すれば、移動中に
その移動面の摩擦を上昇させたり、低減させたりするこ
とが可能となるので、片側のみのインクジェット1の配
置で、方向転換を時計周り側、反時計周り側の両方制御
することが可能になる。
【0056】この時に用いた摩擦抵抗低減液体は、純水
であり、摩擦抵抗上昇液体は、27%の塩化ナトリウム
の水溶液の中に針状のガラス片を混ぜた混合液体であ
る。この水溶液は、氷との塩化ナトリウムの吸熱反応に
より水温が低下し、凝結を促し、且つ、ガラス片が界面
で氷と移動体の船底との摩擦抵抗を増大させる機能を有
する。
【0057】このようにすることで、移動物体である船
体の移動方向を転換することが可能となった。ただし、
外気の温度や氷面の温度により、この状況は変動するも
のであることはいうまでもない。
【0058】このように、摩擦抵抗を上昇や低減させる
ことが可能な液体を、インクジェット1より噴霧するこ
とで移動物体の移動方向を制御することが可能となる。
【0059】(実施例4)64個のノズルを有するキヤ
ノン(株)製BC−02カートリッジに用いられている
インクジェット機構を用い、それをノズル列が互いに平
行になるようにかつ、進行方向に対してノズル列が直交
するように2個配置したものを、図3で示した実施例2
のミニチュアスキーマシン21の各スキー板22の先端
側のインクジェット1H、1Mに相当する位置に配置し
た。つまり、インクジェット1H、1Mに相当する位置
にそれぞれ2個のノズル列a,bを上記の配置で設け
た。以下では、インクジェット1Hの位置にある2個の
ノズル列を各スキー板22の先端側から順にそれぞれノ
ズル列1H−a、1H−bと称し、インクジェット1M
の位置にある2個のノズル列を各スキー板22の先端側
から順にそれぞれノズル列1M−a、1M−bと称す。
【0060】片方のノズル列aには、界面活性剤(信越
化学(株)製 商品名:サーフィノール485)を1重
量%、グリセリンを10重量%、エチレングリコールを
5重量%、C.I.フードブラック2を1重量%、純水
を残部とした液体を用いた。もう一方のノズル列bに
は、水溶性キトサン1重量%、グリセリンを10重量
%、エチレングリコールを5重量%、酢酸0.3重量
%、純水を残部とした液体を用いた。
【0061】本実施例では、ノズル列1H−a,1M−
aは、常に吐出したままにしておき、ノズル列1H−b
と1M−bを図4と同様のタイミングで吐出させた。
【0062】ノズル列1H−a,1M−aからの液体に
ノズル列1H−b,1M−bからの液体が重なるように
打たれた部分では、液体の粘度が上昇し、摩擦が増加し
たために滑落移動方向が連続して変化し、ジグザグの蛇
行運動をした。
【0063】また、色の着いた液体を常に吐出させなが
ら滑落させたので、滑落終了後その軌跡の確認が容易で
あった。
【0064】(実施例5)小さなモーターを使用し、タ
イヤを駆動する事で移動する4輪車の模型を使用し、上
述した実施例と同様な実験を行ったところ、4輪車は向
きを変える事が確認された。この時使用した噴霧液体
は、食用のサラダオイルを使用した。
【0065】本実施例は、小型のリモコン模型等が、方
向転換する場合、タイヤの向きを変えるためのモーター
を備える必要が無くなるという利点がある。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦抵抗を変動させる
液体を移動面に噴霧もしくは吐出することにより、移動
物体と移動面との界面の摩擦抵抗を変動させて、移動物
体の移動方向を転換することが可能となる。この方法を
用いれば、移動方向の転換に舵や方向舵、その他方向転
換用の駆動回転体や回転体を用いる必要がなくなり、非
常に簡便な機構で構成することが可能となる。
【0067】しかも、その機構をインクジェットにて構
成することで、僅かに、数〜数十ピコリットルの液体を
安定的に且つ連続に、しかも、数百マイクロ秒の制御時
間のレベルで吐出により噴霧することが可能となり、方
向転換のレベルを安定化することが可能となる。
【0068】また、インクジェットによる液体の吐出噴
霧であるために、わずかに少ない摩擦抵抗変動液体の量
でも、多くの回数の移動方向の転換が可能となり、小型
のマイクロマシンにおいても、移動方向の転換回数を持
続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方向転換方法の実施の形態を説明のた
めの概略斜視図である。
【図2】図1に示した形態の概略断面図である。
【図3】本発明の方向転換方法の別の実施例を説明のた
めの概略斜視図である。
【図4】本発明に適用するインクジェットの制御タイミ
ングフローチャートである。
【図5】本発明に適用するインクジェットが3つの種類
の異なった摩擦抵抗変動液体を保持している例を表した
概略断面図である。
【符号の説明】
1、1H、1M インクジェット液体吐出噴霧機構 2 移動物体(船体) 3 移動面 4 推進力発現機構(風力推進機構) 6 摩擦抵抗変動液体 8 受信機構 12 回転モーター 13 プロペラ 16 電気エネルギー供給手段 17 リード線 18 制御部 19 液体タンク 20 パイプ 21 ミニチュアスキーマシン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体あるいは固体の界面と接触しながら
    移動する物体の移動方向を転換する方法において、移動
    物体と接触界面の間に摩擦抵抗を変動させる液体を供給
    することにより、移動物体と接触界面の摩擦抵抗を部分
    的に変動させて移動物体の移動方向を転換することを特
    徴とする方向転換方法。
  2. 【請求項2】 前記摩擦抵抗を変動させる液体を供給す
    ることを、液体噴霧にて行うことを特徴とする請求項1
    に記載の方向転換方法。
  3. 【請求項3】 前記供給する液体は、移動物体およびそ
    の接触界面に環境的な害をおよぼさないことを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の方向転換方法。
  4. 【請求項4】 前記液体噴霧を行う際、微量の液体を計
    量しながら定量的に噴霧することを特徴とする請求項2
    に記載の方向転換方法。
  5. 【請求項5】 液体を噴霧する手段が、インクジェット
    機構であることを特徴とする請求項2又は4に記載の方
    向転換方法。
  6. 【請求項6】 前記インクジェット機構がマルチノズル
    の複数の噴出孔を有することを特徴とする請求項5に記
    載の方向転換方法。
  7. 【請求項7】 前記マルチノズルの複数の噴出孔は複数
    の部位に分割されており、複数の種類の摩擦変動機能を
    有する液体を前記インクジェット機構より噴霧し、摩擦
    変動の度合いを制御することを特徴とする請求項6に記
    載の方向転換方法。
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