JPH11331098A - 電気ベクトルポテンシャルを用いた通信システムにおける受信方法及び装置 - Google Patents

電気ベクトルポテンシャルを用いた通信システムにおける受信方法及び装置

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JPH11331098A
JPH11331098A JP10127897A JP12789798A JPH11331098A JP H11331098 A JPH11331098 A JP H11331098A JP 10127897 A JP10127897 A JP 10127897A JP 12789798 A JP12789798 A JP 12789798A JP H11331098 A JPH11331098 A JP H11331098A
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JP
Japan
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electric vector
vector potential
magnetic field
magnetic
communication system
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JP10127897A
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Osamu Yamashita
治 山下
Makoto Kawakami
川上  誠
Tsunekazu Saigo
恒和 西郷
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Proterial Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気ベクトルポテンシャルを信号伝播媒体と
する通信システムにあって、電気ベクトルポテンシャル
の時間変化によって生じる磁場を、選択的に良く受信す
る受信装置を提供する。 【解決手段】 中継基地局1と端末装置2との間に、電
気ベクトルポテンシャルを用いた双方向の無線回線3が
設けられている。中継基地局1及び端末装置2は、伝播
する電気ベクトルポテンシャルの時間変化によって生じ
る磁場を検知する、雑音磁場から磁気シールドされた磁
気センサを有する受信装置12及び受信装置22を夫々
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気ベクトルポテ
ンシャルを信号伝播媒体とした通信システムにあって、
電気ベクトルポテンシャルの時間変化によって生じる電
場を受信する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
一般通信手段として電波の利用が広く知られている。し
かし電波は障害物によって遮蔽され易く、使用する場所
及び環境によって信号の送,受信に支障を生じることが
少なくない。
【0003】また電磁波を利用する通信システム、例え
ば携帯電話等は数百ミリガウスの漏洩電磁波があるた
め、至近距離では精密機器の誤動作を引き起こし、種々
のトラブルを招く虞れがある他、人体に与える悪影響の
可能性も無視出来ないものとなっている。このような状
況にあって、上記の問題を解決できる新しい通信手段の
開発が望まれている。
【0004】本発明者等は通信システムについての研究
過程で、従来その存在が既に立証されている磁気ベクト
ルポテンシャル(Phys. Rev. Lett.48,1443(1982))にヒ
ントを得て電気ベクトルポテンシャルなる新たなエネル
ギーの存在を予測するに至った。そしてこの電気ベクト
ルポテンシャルについての理論の構築及びその存在の立
証に務め、これを実現した。またこの過程を通じてその
実用的な用途を探索した結果、電気ベクトルポテンシャ
ルが比較的遠方まで伝播が可能であること、また金属等
電磁波に対し遮蔽物として機能する導電性物質の存在に
何らの影響を受けることなく伝播が可能であること等の
特性を備えており、電磁波に代わる新たな通信用媒体と
しての利用が可能であることを知見し、電気ベクトルポ
テンシャルを用いた通信システムについて既に特許出願
を行っている(特願平9−188698号)。
【0005】以下、電気ベクトルポテンシャルの概念に
ついて簡単に説明しておく。先ず細長い円柱状の分極し
た誘電体棒を考える。図1は電気ベクトルポテンシャル
の説明図であり、図1(a)は分極した誘電体棒を示す
説明図、図1(b)は棒磁石を示す説明図である。図1
(a)において円柱状の誘電体棒における半径r0 はそ
の軸方向の長さaに比較して十分小さいものとし(r0
≪a)、円柱状誘電体の断面積をSとし、両端に+Qと
−Qの分極電荷があるものとして、これに基づく誘電体
棒の内, 外の電場及び電束密度の分布を求める。
【0006】なお誘電体棒の軸方向をz軸方向とし、そ
の上, 下1/2 の中点Oを含み、z軸と直交する平面上に
直交座標としてのx軸、y軸をとるものとする。誘電体
棒は軸方向に一様に分極していると仮定し、その電気分
極ベクトルを*P(ベクトルである符号Pは明細書中で
は*Pの如く表す)とすると、誘電体棒の上,下の中心
位置での外部と内部との電束密度*D及び電場*Eは、
下記(1)式で表せる。
【0007】
【数1】
【0008】ここで電気分極ベクトル*Pの絶対値は、
P=Q/Sであるから、外部及び内部夫々の電束密度*
Dは、下記(2)式で表される。
【0009】
【数2】
【0010】一方図1(b)に示すようにz軸上に中心
軸をもつ細長い永久棒磁石による上,下1/2 の点Oを含
み、z軸と直交する平面上の磁束密度*Bは磁気ベクト
ルポテンシャル*Aによって下記(3)式として表され
る。 *B= rot×*A …(3) そこでこれと対応して磁気と電気との類似の性質から電
束密度*Dは電気ベクトルポテンシャル*Cにより、上
記(3)式に対応して下記(4)式で表せる。 *D= rot×*C …(4) (2)式と(4)式とから電気ベクトルポテンシャル*
Cは下記(5)式で表せる。
【0011】
【数3】
【0012】なお、(5)式中、x,yは棒を垂直2等
分した面の面内座標を表し、*e1, *e2 はx, y直
交座標における単位ベクトルを夫々表す。
【0013】このことから電荷を含まない面、つまり誘
電体棒を上,下に2等分する面では電束密度*Dは
(4)式のように電気ベクトルポテンシャル*Cによっ
て表すことが出来、一方、この(4)式はストークスの
定理より(6)式に示す如き*Cの線積分の形で書換え
られ、電気ベクトルポテンシャル*Cの線積分が電荷量
Qを表すことが解る。
【0014】
【数4】
【0015】なお(6)式が成立することは、(2)式
の*Dと(5)式の*Cとを夫々(6)式に代入するこ
とによって容易に確かめられる。
【0016】つまり電気分極した誘電体棒の中心近傍で
は、磁束密度*Bと同様に、電束密度*Dもz軸に平行
であるために、図1(a)に示すような連続的な円形の
電気ベクトルポテンシャル*Cが誘電体棒の外側に同心
円状に存在する。換言すればストークスの定理が成立す
るためには、電気ベクトルポテンシャル*Cは常に連続
である必要があり、従ってこれを物理的に遮蔽すること
は不可能となり、通信媒体としては非常に透過性が良い
信号となる。
【0017】次にこのような電気ベクトルポテンシャル
*Cは電磁気学的に可観測な物理量たり得るかについて
検討する。下記(7)式は磁場*Hと電束密度*Dとに
関するマクスウエルの電磁方程式であるが、 rot×*H=*i+∂*D/∂t …(7) 電流密度*iがない場合には、(8)式の如くに表せ
る。 rot×*H=∂*D/∂t …(8)
【0018】更に(4)式の*Dを(8)式に代入する
と、ゲージ関数 grad ・φを用いて(9)式が導かれ
る。 *H=∂*C/∂t+grad・φ …(9) (9)式から電気ベクトルポテンシャル*Cの時間変化
量が磁場*Hと直接的に関連していることが解る。
【0019】上述の如く電流密度*i=0、即ち電流及
び電荷が存在しない領域では放射ゲージを採用すること
で、ゲージ関数 grad ・φ=0とすることができるから
(9)式は(10)式の如くに表すことが出来、電気ベク
トルポテンシャル*Cの時間変化は直接磁場*Hを与え
ることが解る。 *H=∂*C/∂t …(10) このことから誘電体棒の両端の電荷量を時間変化させる
ことにより観測される磁場*Hの絶対値Hは、(5)式
の外部における電気ベクトルポテンシャル*Cを(10)
式に代入することで、下記(11)式で表せる。 H=(∂Q/∂t)/2πr …(11)
【0020】(10)式又は(11)式から、受信側におい
て観測される磁場強度は、距離rに略反比例して低下す
るので、∂Q/∂tを出来る限り大きくすることで遠距
離通信が可能となる。
【0021】本発明者等は、上述した如き電気ベクトル
ポテンシャルを利用する発信, 受信装置を検討した結
果、電気分極した誘電体棒に代わる、電圧を印加したと
きに誘起電荷が増幅されるコンデンサ型の発信装置を想
到し、これについての実験、研究の結果、次のような
,の事実を知見した。
【0022】 平2平板状の電極板の間に誘電率が高
い誘電体を介装して周波数変調した電圧を印加すると、
その周波数に応じた電気ベクトルポテンシャルが発生す
る。 受信装置としては高感度の磁気センサを用いること
で十分離れた距離でも変調された電気ベクトルポテンシ
ャルによる振動磁場の観測が可能である、つまり、磁場
によって磁気センサに誘起された電流を観測することが
可能である。
【0023】本発明は斯かる知見に基づいてなされたも
のであり、電気ベクトルポテンシャルの時間変化によっ
て生じる磁場を、磁気シールドした磁気センサにて検知
することにより、電気ベクトルポテンシャルを用いた通
信システムにおける伝播信号の受信感度を飛躍的に向上
できる受信方法及び受信装置を提供することを目的とす
る。
【0024】本発明の他の目的は、電気ベクトルポテン
シャルを用いた通信システムの実用化に寄与できる受信
方法及び受信装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る電気ベク
トルポテンシャルを用いた通信システムにおける受信方
法は、電気ベクトルポテンシャルを信号伝播媒体とする
通信システムにあって、電気ベクトルポテンシャルの時
間変化によって生じる磁場を伝播信号として受信する受
信方法において、信号伝播媒体となる電気ベクトルポテ
ンシャルとは無関係である磁場に対して磁気シールドし
た磁気センサにて、電気ベクトルポテンシャルの時間変
化によって生じる磁場を検知することを特徴とする。
【0026】請求項2に係る電気ベクトルポテンシャル
を用いた通信システムにおける受信方法は、請求項1に
おいて、前記電気ベクトルポテンシャルは、誘電体に振
動電圧を印加して発生させたものであることを特徴とす
る。
【0027】請求項3に係る電気ベクトルポテンシャル
を用いた通信システムにおける受信装置は、電気ベクト
ルポテンシャルを信号伝播媒体とする通信システムにあ
って、電気ベクトルポテンシャルの時間変化によって生
じる磁場を伝播信号として受信する受信装置において、
信号伝播媒体となる電気ベクトルポテンシャルとは無関
係である磁場に対して磁気シールドされており、電気ベ
クトルポテンシャルの時間変化によって生じる磁場を検
知する磁気センサを備えることを特徴とする。
【0028】請求項4に係る電気ベクトルポテンシャル
を用いた通信システムにおける受信装置は、請求項3に
おいて、前記磁気センサは、棒状の軟質磁性材料からな
るコアと、該コアに巻かれた検知コイル及び励磁コイル
と、検知対象の振動磁場の振動数に前記コアの共振振動
数が一致する励磁電流を前記励磁コイルに流す回路とを
有する平行フラックスゲート型の磁気センサであること
を特徴とする。
【0029】請求項5に係る電気ベクトルポテンシャル
を用いた通信システムにおける受信装置は、請求項3ま
たは4において、前記磁気センサの検知部を軟質磁性材
料で磁気シールドしたことを特徴とする。
【0030】請求項6に係る電気ベクトルポテンシャル
を用いた通信システムにおける受信装置は、請求項3ま
たは4において、前記磁気センサの検知部を、接地され
るようにした軟質金属磁性材料で磁気シールドしたこと
を特徴とする。
【0031】請求項1及び3では、伝播される電気ベク
トルポテンシャルの時間変化量に応じてその大きさが変
化する磁場を、伝播される電気ベクトルポテンシャルと
は無関係な雑音磁場に対して磁気シールドした磁界セン
サにて検知する。よって、周囲の磁場の影響を受けるこ
となく、電気ベクトルポテンシャルによる振動磁場を精
度良く検知できる。
【0032】請求項2では、誘電体に振動電圧を印加す
ることにより、電気ベクトルポテンシャルを発生させ
る。よって、効率的に電気ベクトルポテンシャルを発生
できる。
【0033】請求項4では、磁気センサとして、平行フ
ラックスゲート型の磁気センサを用いる。よって、励振
電流と同一の周波数を持つ磁場成分のみを検出できるの
で、各種機器から漏洩される磁場成分、つまり、電気ベ
クトルポテンシャルを用いた通信システムでは雑音とな
る磁場成分を除去して、受信精度が向上する。
【0034】請求項5では、磁気センサの検知部の周囲
を軟質磁性材料で磁気シールドしており、電気ベクトル
ポテンシャルの伝播により生じる振動磁場を効率良く吸
収する。
【0035】請求項6では、磁気センサの検知部の周囲
を、接地した軟質金属磁性材料で磁気シールドしてお
り、外部の雑音電磁波を効率良く除外する。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面に基づき具体的に説明する。図2は本発明を適
用した通信システムの概要を示す模式図であり、図中1
は中継基地局、2は端末装置を示している。中継基地局
1と端末装置2との間が、例えば電波障害発生地域又は
有線回線の架設が困難な場所であり、中継基地局1と端
末装置2との間には、電気ベクトルポテンシャルを用い
た双方向の無線回線3が設けられている。
【0037】中継基地局1は、電気ベクトルポテンシャ
ルを発生させて無線回線3を介して端末装置2へ送る発
信装置11と、無線回線3を介して端末装置2から送ら
れる電気ベクトルポテンシャルによる磁場の変化を捉え
てこれを電気的信号に変換する受信装置12とを有す
る。また、端末装置2は、電気ベクトルポテンシャルを
発生させて無線回線3を介して中継基地局1へ送る発信
装置21と、無線回線3を介して中継基地局1から送ら
れる電気ベクトルポテンシャルによる磁場の変化を捉え
てこれを電気的信号に変換する受信装置22とを有す
る。
【0038】まず、発信装置11,21について説明す
る。図3は、発信装置11,21における電気ベクトル
ポテンシャル発生器の構成を示す概略図である。図3に
おいて、31はPLZT等を材料にして円柱状に形成さ
れた誘電体(断面積S,長さa,比誘電率ε)である。
誘電体31の相対向する両面にこれと一体的に電極3
2,33が設けられている。各電極32,33には、一
端が交流電源の変調部(図示せず)に接続されたリード
線34,35の他端が夫々接続されている。誘電体31
からの放射電磁波をシールドするために、誘電体31の
周囲に同軸状にパーマロイ製の円筒36が設置されてい
る。また、リード線34,35は、絶縁体37及びパー
マロイ製のパイプ38で被覆されている。
【0039】このような構成の電気ベクトルポテンシャ
ル発生器の誘電体31の電極32,33間に周波数fで
最大電圧V0 の交番電圧を印加したとすると、ω=2π
fとして、誘電体31に印加される電圧Vは(12)式で
表せる。 V=V0 sinωt …(12) 従って、電荷量の時間変化量は(13)式となる。 ∂Q/∂t=εSV0 2πf cosωt/a …(13)
【0040】誘電体31をその電極32,33間で2等
分した面内の中心軸からrの距離で発生する磁場Hは
(11)式より(14)式で与えられる。 H=εSV0 f cosωt/ar …(14) 一方、磁気センサで観測する磁場は磁束密度であるため
に、B=μ0 Hの関係式から(15)式の如く書き換えら
れる。この磁束密度Bを磁気センサで観測することとな
る。 B=μ0 εSV0 f cosωt/ar …(15)
【0041】従って、印加する電圧が低くても、電気ベ
クトルポテンシャルを高出力で発信できるように、誘電
体31の厚さを薄くし、しかも比誘電率εが高い誘電体
31を使用する。
【0042】次に、受信装置12,22について説明す
る。図4は、受信装置12,22の構成を示すブロック
図である。受信装置12,22は、磁気センサ41と積
分器42と変換器43とを有する。磁気センサ41は、
伝播されてきた電気ベクトルポテンシャルによる磁場を
検出し、これに対応した電流を積分器42へ出力する。
この出力電流は電気ベクトルポテンシャルの微分値であ
るので、積分器42はこれを積分してその積分値を変換
器43へ出力する。変換器43は、その積分値を、電磁
波,音声または有線回線の電流に変換する。
【0043】受信装置12,22において、出来る限り
電気ベクトルポテンシャルの信号による磁場のみを検出
し、他の機器からの漏洩磁場を除外して、S/N比を向
上できるように、磁気センサ41として、各種の軟質磁
性材料により磁気シールドした高感度の磁気センサを用
いる。
【0044】磁気センサ41としては、振動磁場を高感
度で検出できるものであれば、ホール素子,磁気抵抗素
子等、どんな動作原理の磁気センサであっても良く、以
下に一例として詳述する平行フラックスゲート型に限定
されない。しかしながら、何れの動作原理の磁気センサ
においても、電気ベクトルポテンシャルを観測する場合
には、上述した理由により、検知部を磁気シールドする
ことは必要であり、その磁気シールドは電気ベクトルポ
テンシャルの観測にとって不可欠である。
【0045】図5は、磁気センサ41の一例である、平
行フラックスゲート型磁気センサの検知部の概略構成
図、また、図6は、この検知部の磁気シールド状態を示
す断面図である。電気ベクトルポテンシャルによる振動
磁場の磁束と平行になるように、高い透磁率を有する棒
状の軟質磁性体からなるコア51を検知部に設置する。
コア51には、両端が励磁回路52に接続された励磁コ
イル53と、両端が受信回路54に接続された検知コイ
ル55とが巻かれている。この磁気センサ41の検知部
の周囲を、振動磁場を効率良く吸収する軟質磁性材料か
らなるシールド箱56で覆い、また、同じく軟質磁性材
料からなるシールドパイプ57内にリード線58を通し
ている。
【0046】このシールド材料としては、基本的には、
振動磁場の周波数に合わせてシールド効率が高い材質の
ものを選定すれば良い。電磁波を反射させてシールドす
る場合には、金属軟質磁性体が適合し、また、電磁波を
吸収させてシールドする場合には、吸収効率が高いソフ
トフェライトが適している。更に広い周波数帯域でシー
ルドするためには、これらの材料を複合して使用すれ
ば、シールド効果は向上する。何れにしても、電磁波を
反射しやすい材料、または、電磁波を吸収しやすい材料
で磁気シールドを行うようにすれば、特に軟質磁性材料
に限定する必要はない。
【0047】次に、磁気センサ41の動作原理につい
て、図7(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図
7(a)〜(d)において、実線は入力磁場がない場合
であり、破線は入力磁場がある場合である。
【0048】図7(b)に示すような三角波の磁場が発
生するように励磁コイル53に励磁電流を流した場合に
軟質磁性材料のコア51に発生するB−H曲線を図7
(a)に示す。最大印加磁場が、コア51を飽和させる
に十分な振幅であるとすると、発生する磁束φ(t)
は、図7(c)に示すように、コア51が持つ磁気特性
により周期的に飽和し、検知コイル55には図7(d)
に示すような周期的な起電力が発生する。
【0049】入力磁場が0である場合、検知コイル55
には下記(17)式で示すような起電力V、つまり、磁束
φの時間微分により図7(d)に示すような周期的な矩
形波の起電力が発生する。 V=∂φ/∂t …(17)
【0050】これに対して、振動する微弱な入力磁場が
ある場合には、この入力磁場の振動数に励磁電流の周波
数を合わせると、コア51に印加される磁場は、図7
(b)の破線で示すように変化し、コア51の磁束φ
(t)は、図7(c)の破線のようにシフトする。その
結果、(17)式により発生する起電力は、図7(d)の
破線で示すような位相のずれが生じ、励磁電流の2倍の
周波数を有する電圧が検知コイル55に現れる。この2
倍周波数成分をろ波回路によって抽出し、その抽出成分
に交流増幅,同期整流の処理を施すことにより、入力磁
場に比例した直流電圧の出力を得ることができる。
【0051】ところで、観測する磁場は交番磁場である
ので、地球磁場等の静磁場の影響は全く無視することが
できる利点がある。また、この平行フラックスゲート型
磁気センサは、励磁電流と同一の周波数を有する磁場成
分のみを検出できるので、各種機器から発生した磁場成
分を除去できる利点があり、感度を飛躍的に向上させる
には非常に効果的である。更に、磁気シールド材料の厚
さも薄くできるので、結果的には軽量化にも効果があ
る。
【0052】以上のように、電気ベクトルポテンシャル
の受信装置として、磁気シールドした磁気センサ41を
中継基地局1と端末装置2とに使用する場合、中継基地
局1と端末装置2との間では、この電気ベクトルポテン
シャルによる通信が可能になる。また、中継基地局1を
一般的な通信網と連結させれば、従来の通信システムの
弱点である通信障害がある場所でも良好なS/N比の通
信が可能となり、しかも、混信等による電波障害も大幅
に緩和される。更に、この方式を利用すれば、通信シス
テム以外で、例えばパーソナルコンピュータとマウスと
の接続コードの撤廃等、各種機器のワイヤレス化を実現
できる。
【0053】上述した磁気センサにおける受信感度特性
を調べる実験を行ったので、以下にその内容を説明す
る。
【0054】電気ベクトルポテンシャル発生器として
は、図3に示す構成のものを使用した。但し、平行金属
電極32,33間に挟まれる誘電体31は、比誘電率:
5000、厚さ:30mm、径:28mmであった。ま
た、パーマロイ製の円筒36は、外径:42mm、内
径:38mm、長さ:60mmとした。
【0055】一方、磁気センサ41としては、市販の磁
気抵抗素子と平行フラックスゲート型との2種類を使用
した。そして、表1で示すような磁気特性を有する材質
で磁気シールドした場合と磁気シールドしない場合とに
おける磁場の実効値を測定した。また、磁気センサ41
のコア51は、誘電体31の垂直2等分面内で、電気ベ
クトルポテンシャルの接線方向に向けた。つまり、振動
磁場とコア51の長軸とが平行になるように、コア51
を配置した。
【0056】
【表1】
【0057】平行フラックスゲート型磁気センサにおけ
る、出力電圧の周波数特性、及び、磁束密度と出力電圧
との関係を、図8及び図9に夫々示す。
【0058】なお、磁気シールド効果がより顕著になる
ように、電気ベクトルポテンシャル発生器と磁気センサ
41との間の距離は常に0.5mとした。
【0059】このような測定結果を表2,表3に示す。
磁気センサとしての良否の判断は、磁場の実測値に対す
る計算値の比率で0.80以上を適合とし、それ未満を
不適合とした。つまり、バックグラウンドの磁場成分が
20%であることを閾値として、適合,不適合の判断を
行った。なお、表2,表3において、磁気センサの型式
におけるMR,FGは夫々磁気抵抗素子,平行フラック
スゲート型を表す。また、磁気センサのシールド材であ
る軟質磁性体を複合にした場合には、外側にパーマロイ
を設置してアースした。Ni−Znフェライトの場合に
は、高電気抵抗のために接地の意味がないので接地しな
かった。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】表2,表3の結果から明らかなように、軟
質磁性材料で磁気シールドを行えば、磁気センサの型式
とは関係なく、電気ベクトルポテンシャルによる振動磁
場を精度良く測定でき、金属軟質磁性体の場合には、接
地することにより、その測定精度を更に向上することが
できる。
【0063】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び3では、電
気ベクトルポテンシャルの時間変化によって生じる磁場
を、磁気シールドした磁気センサにて受信するようにし
たので、電気ベクトルポテンシャルを通信媒体とした通
信システムにおける受信装置の受信感度を飛躍的に向上
させることができる。この結果、このような通信システ
ムの実用化に向けて大きな助けとなる。また、各種機器
を接続するケーブルのワイヤレス化にも用途を開くこと
ができる。
【0064】また、請求項2では、誘電体に振動電圧を
印加することによって電気ベクトルポテンシャルを発生
させるので、電気ベクトルポテンシャルを効率良く発生
できる。
【0065】更に、請求項4では、平行フラックスゲー
ト型の磁気センサを用いるので、励振電流と同一の周波
数を持つ磁場成分のみを検出でき、受信精度の向上を図
れる。
【0066】更に、請求項5では、磁気センサの検知部
の周囲を軟質磁性材料で磁気シールドしているので、電
気ベクトルポテンシャルの伝播により生じる振動磁場を
効率良く吸収でき、受信精度の向上を図れる。
【0067】請求項6では、磁気センサの検知部の周囲
を、接地した軟質金属磁性材料で磁気シールドしている
ので、外部の雑音電磁波を効率良く除外でき、受信精度
の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気ベクトルポテンシャルの概念の説
明図である。
【図2】本発明の実施の形態の構成を示す模式図であ
る。
【図3】電気ベクトルポテンシャル発生器の構成を示す
概略図である。
【図4】受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】平行フラックスゲート型磁気センサの検知部の
概略構成図である。
【図6】磁気センサの検知部の磁気シールド状態を示す
断面図である。
【図7】磁気センサの動作原理の説明図である。
【図8】磁気センサにおける出力電圧の周波数特性を示
すグラフである。
【図9】磁気センサにおける磁束密度と出力電圧との関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 中継基地局 2 端末装置 3 無線回線 11,21 発信装置 12,22 受信装置 31 誘電体 41 磁気センサ 56 シールド箱 57 シールドパイプ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気ベクトルポテンシャルを信号伝播媒
    体とする通信システムにあって、電気ベクトルポテンシ
    ャルの時間変化によって生じる磁場を伝播信号として受
    信する受信方法において、信号伝播媒体となる電気ベク
    トルポテンシャルとは無関係である磁場に対して磁気シ
    ールドした磁気センサにて、電気ベクトルポテンシャル
    の時間変化によって生じる磁場を検知することを特徴と
    する電気ベクトルポテンシャルを用いた通信システムに
    おける受信方法。
  2. 【請求項2】 前記電気ベクトルポテンシャルは、誘電
    体に振動電圧を印加して発生させたものである請求項1
    記載の電気ベクトルポテンシャルを用いた通信システム
    における受信方法。
  3. 【請求項3】 電気ベクトルポテンシャルを信号伝播媒
    体とする通信システムにあって、電気ベクトルポテンシ
    ャルの時間変化によって生じる磁場を伝播信号として受
    信する受信装置において、信号伝播媒体となる電気ベク
    トルポテンシャルとは無関係である磁場に対して磁気シ
    ールドされており、電気ベクトルポテンシャルの時間変
    化によって生じる磁場を検知する磁気センサを備えるこ
    とを特徴とする電気ベクトルポテンシャルを用いた通信
    システムにおける受信装置。
  4. 【請求項4】 前記磁気センサは、棒状の軟質磁性材料
    からなるコアと、該コアに巻かれた検知コイル及び励磁
    コイルと、検知対象の振動磁場の振動数に前記コアの共
    振振動数が一致する励磁電流を前記励磁コイルに流す回
    路とを有する平行フラックスゲート型の磁気センサであ
    る請求項3記載の電気ベクトルポテンシャルを用いた通
    信システムにおける受信装置。
  5. 【請求項5】 前記磁気センサの検知部を軟質磁性材料
    で磁気シールドした請求項3または4記載の電気ベクト
    ルポテンシャルを用いた通信システムにおける受信装
    置。
  6. 【請求項6】 前記磁気センサの検知部を、接地される
    ようにした軟質金属磁性材料で磁気シールドした請求項
    3または4記載の電気ベクトルポテンシャルを用いた通
    信システムにおける受信装置。
JP10127897A 1997-07-01 1998-05-11 電気ベクトルポテンシャルを用いた通信システムにおける受信方法及び装置 Pending JPH11331098A (ja)

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