JPH11326538A - 地熱貯留層の探査方法 - Google Patents

地熱貯留層の探査方法

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JPH11326538A
JPH11326538A JP13954598A JP13954598A JPH11326538A JP H11326538 A JPH11326538 A JP H11326538A JP 13954598 A JP13954598 A JP 13954598A JP 13954598 A JP13954598 A JP 13954598A JP H11326538 A JPH11326538 A JP H11326538A
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Masahiro Sarudate
正大 猿館
Shigeo Yanagiya
茂夫 柳谷
Kaichiro Kasai
加一郎 笠井
Hiroyuki Ishizaki
裕之 石崎
Yasuyuki Hishi
靖之 菱
Yasushi Kuwano
恭 桑野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数の地熱井間の繋がりを定量的かつ三次元的
に把握するのに有効な地熱貯留層構造の探査方法を提案
すること。 【解決手段】掘削している坑井の泥水が逸泥した際に、
他の既存の生産井に流入する前記泥水もしくは清水の状
況をモニターし、かつ、別に求めた所定のパラメータに
より地下亀裂の透水性を求めることで、坑井間の地下亀
裂の流体流動状況を求め、複数の地熱坑井の繋がりを定
量的に把握する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、掘削泥水を利用し
て地下の亀裂状態を推定する地熱貯留層の探査方法に関
し、特に、地熱井等の坑井を掘削する際に、泥水が該坑
井内から逸泥して、地下に生じた亀裂を通って既存の生
産井に流入する現象を利用して地下亀裂の状態を探査す
る方法についての提案である。
【0002】
【従来の技術】従来、地熱貯留層における地下亀裂の構
造を探査する方法としては、複数のテスト井を試掘し、
採取した岩石の状況から地下構造を推定することにより
探査する方法、地表に於いて地磁気・地電流を測定して
処理・解析することにより地下の比抵抗構造を探査する
方法(MT法)、地下のアコーステックエミッションま
たは微小地震を探知して地下構造を解明することにより
探査する方法(AE/MA法)、あるいは還元井から地
下に還元する熱水にトレーサー試薬を混合して、前記還
元井と既存生産井との干渉状況を測定して地下の亀裂構
造を解析することにより探査する方法等が知られてる。
【0003】即ち、これらの探査方法のうち、岩石を試
掘・採取する方法は、地層の断層の状況等を知るために
用いられる方法であり、MT法やAE/MA法は、地熱
流体等の資源が蓄えられている地下貯留層の大きさ(地
下亀裂の三次元方向の広がりまたは大きさ)を解析する
ための方法であり、トレーサー試薬による方法は、地下
亀裂を流れる地熱流体等の流体の流動挙動を解析する場
合に用いられる方法である。ただし、これらの探査方法
は、地質状況や生産井から噴出する流体流量等の状況に
よって選択的に採用されているが、どれか一つの方法を
実施すると地熱貯留層の構造のすべてが判明するという
わけではない。
【0004】例えば、上記トレーサー試薬による方法
は、還元井から臭素、ヨウ素などのトレーサー試薬を注
入するだけで、還元井と生産井との間の地下亀裂の繋が
りを確認できるので、地熱発電所にあっては熱水を還元
する還元ゾーンと、生産用の地熱流体が蓄えられている
地熱貯留層との干渉状況を知る上で有効な手法である。
なぜなら、干渉があって生産用の地熱流体の温度が低下
した場合には、このような方法によって事前に干渉状況
を知ることができるので、干渉する還元井を干渉しない
ように手当することが可能となるからである。
【0005】図6は、従来のトレーサー試薬による地熱
貯留層の探査方法を示す説明図である。図中の生産井8
は、地熱流体を生産する生産井であり、還元井9は、前
記生産井8で生産された地熱流体から蒸気を分離した後
の熱水を地下の比較的浅部に還元するための還元井であ
る。この探査方法では、まず、還元井9から地下還元さ
れる熱水にトレーサー試薬を混合する。すると、該トレ
ーサー試薬が混合された熱水は、還元井9内の坑底部か
ら地下亀裂に流出し、この地下亀裂が生産井8の地熱貯
留層10と繋がっているような場合には、生産井8の地
熱貯留層10内に流入して生産井8の坑底部付近から該
生産井8内に流れ込む。そして、この生産井8に流れ込
むトレーサー試薬を生産井8の坑口部で分析・測定する
ことにより、地熱貯留層の亀裂の様子を知る方法であ
る。
【0006】還元井は、掘削深度の比較的浅い地点に掘
削されていることが多く、そのためにトレーサー試薬に
よる上記地下亀裂の探査に当たって、生産井と生産井と
の間の地下亀裂の繋がりを推定することは困難である。
しかも、還元井は、還元熱水が流出する流出点が複数存
在する場合があり、このような場合には、どの流出点と
生産井とが地下亀裂によって繋がっているのかというこ
とまではわからず、地下構造を解明するためには必ずし
も充分な方法とはいえない。
【0007】発明者らは、先に、新規坑井を掘削中に、
地下の地熱貯留層における亀裂に遭遇して泥水が逸泥す
る際に、既存の生産井で検出される前記泥水量を吸光度
によって検出すると、生産井と新規坑井の間の地下亀裂
の繋がりがわかることを提案した。(施工管理と工程管
理のための地下計測ワークショップ論文集、1994年
12月1、2日、東京大学長津田キャンパス参照) この方法によれば、各生産井間の地下亀裂の流体流動動
向を求めることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、新規地
熱井を掘削する際に、この新規地熱井内から既存の生産
井内に流入する泥水を検出して、新規地熱井と既存の生
産井との間の地下亀裂の構造を解析して探査する上記提
案の方法は、生産井間の地下亀裂の繋がりが判明すると
いう点では、トレーサー試薬法に比べてはるかに有効な
手法である。しかし、単に各既存生産井に流入する泥水
を確認するというだけでは、新規に掘削した地熱井と既
存の生産井との間で地下亀裂が繋がっているということ
がわかるだけで、地下亀裂の大きさおよびその広がりを
定量的に把握することまでは不可能であった。
【0009】本発明の目的は、複数の地熱井間の繋がり
を定量的かつ三次元的に把握するのに有効な地熱貯留層
構造の探査方法を提案するところにある。本発明の他の
目的は、地下亀裂の大きさ、広がり、進展方向を明らか
にすることによって、坑井掘削を正確かつ経済的に行う
方法を確立することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、特に、複数の
地熱井の繋がりを定量的に把握し、AE/MA法等のよ
うな地下亀裂の大きさおよび広がりを求める手段と併用
して、地下亀裂の進展方向、大きさを正確に求め、地下
貯留層構造の解析精度を向上させようとするものであ
り、次の事項を骨子とするものである。すなわち、本発
明は、坑井内に泥水を循環させて新規地熱井を掘削する
泥水掘り工法を利用して地熱貯留層の構造を探査するに
当たり、その循環泥水が、掘削中の坑井内から地下深部
の亀裂内に逸泥し、さらに既存生産井の生産に寄与して
いる地熱貯留層中に流入するかどうかを、当該生産井の
熱水を坑口にて採取, 分析することにより地熱貯留層構
造を探査する方法において、上記泥水が既存生産井に流
入することを、既存生産井から噴出する流体の吸光度を
モニターすることによって検出し、このことによって、
泥水が掘削中の上記坑井内から逸泥して前記の生産井に
到達するまでの流入時間 (t)、掘削中の坑井の逸泥個
所と既存生産井の流入点間の坑井間距離 (r) 、干渉流
入点付近における流体の粘性係数 (μ) 、掘削中の坑井
の逸泥深度における泥水柱圧(Pi ) 、生産井流入点圧力
(Pp ) および貯留層有効層厚 (h)を求めて、下記式に
基づき浸透率kを算出したのち、さらに浸透率層厚積
(k×h) を算出することによって、前記坑井と既存生
産井との間の地下亀裂の状態を推定することを特徴とす
る地熱貯留層の探査方法である。
【数3】 浸透率層厚積(kh) =k×h k:浸透率 (m2) h:有効層厚 (m) v:流速 (m/s) μ:粘性係数 (Pa・S) r:坑井間距離(m) t:泥水干渉時間(sec) Pi :泥水柱圧(Pa) Pp :生産井流入点圧力(Pa)
【0011】なお、本発明においては、坑井内を循環さ
せる泥水に、該泥水が逸泥した直後にトレーサー試薬を
混合することが好ましい。この理由は、トレーサー試薬
を用いると、当該生産井の熱水中のトレーサー試薬濃度
の分析をすることにより、より明瞭に泥水が当該生産井
に流入したことを確認できめとともに、定量化も可能で
あるからである。
【0012】また、本発明は、坑井内に泥水を循環させ
て新規地熱井を掘削する泥水掘り工法を利用して地熱貯
留層の構造を探査する方法において、坑井の掘削中や掘
削終了後、その坑井内に清水を注入して該坑井内を抑圧
状態に保持したり、坑井に清水を圧入して貯留層に亀裂
を生じさせる (水圧破砕) 作業時に、上記清水が既存生
産井に流入することを、既存生産井から噴出する流体の
吸光度をモニターすることによって検出し、泥水が混入
した上記清水が上記坑井内から逸泥して前記の生産井に
到達するまでの流入時間 (t)、掘削中の坑井の逸泥個
所と既存生産井の流入点間の坑井間距離 (r) 、干渉流
入点付近における流体の粘性係数 (μ) 、掘削中の坑井
の逸泥深度における泥水柱圧(Pi ) 、生産井流入点圧力
(Pp ) および貯留層有効層厚 (h)を求めて、下記式に
基づき浸透率kを算出したのち、さらに浸透率層厚積
(k×h) を算出することによって、前記坑井と既存生
産井との間の地下亀裂の状態を推定することを特徴とす
る地熱貯留層の探査方法である。
【数4】 浸透率層厚積(kh) =k×h k:浸透率 (m2) h:有効層厚 (m) v:流速 (m/s) μ:粘性係数 (Pa・S) r:坑井間距離(m) t:泥水干渉時間(sec) Pi :泥水柱圧(Pa) Pp :生産井流入点圧力(Pa)
【0013】なお、本発明においては、上記清水にトレ
ーサー試薬を混合することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明にかかる地熱貯留層構造の
探査方法は、新規掘削井と既存生産井との間の地下亀裂
を定量的に解析探査する方法であり、そのための第1の
手法は、既存の生産井に流入する泥水を、該既存生産井
から噴出する流体の吸光度をモニターすることによって
把握し、一方、その泥水が、前記坑井内から逸泥して既
存の生産井に流入するまでの流入時間、前記坑井 (新規
地熱井) の逸泥個所と既存生産井の流入点間との坑井間
距離、干渉流入点付近における流体の粘性係数、掘削中
の坑井の逸泥深度における泥水柱圧、生産井流入点圧力
および貯留層有効層厚を求め、これらの関係を透水性
(k) として整理し、これによって前記坑井 (新規地熱
井) と既存生産井との間の地下亀裂の状態を正確に解析
する方法である。
【0015】また、本発明の第2の手法は、坑井の掘削
が完了した後、その坑井内に清水を注入して該坑井内を
抑圧状態に保持したり、坑井に清水を圧入して貯留層に
亀裂を生じさせる (水圧破砕) 作業時に、上記清水が既
存生産井に流入することを、既存生産井から噴出する流
体の吸光度をモニターすることによって検出し、泥水が
混入した上記清水が上記坑井内から逸泥して前記生産井
に流入するまでの流入時間、前記坑井 (新規地熱井) の
逸泥個所と既存生産井の流入点間との坑井間距離、干渉
流入点付近における流体の粘性係数、掘削中の坑井の逸
泥深度における泥水柱圧、生産井流入点圧力および貯留
層有効層厚を求め、これらの関係から浸透率層厚積 (k
×h) を算出することによって、前記坑井と既存生産井
との間の地下亀裂を解析する方法である。
【0016】このような本発明にかかる探査方法は、地
下亀裂の大きさ、広がりおよび地下亀裂内流体挙動を求
めることができるという特徴を有し、しかも既存生産井
と新規地熱井との間の地下亀裂構造を定量的かつ三次元
的に求めることができる。
【0017】以下、図面によって本発明を説明する。図
1は、本発明の地熱貯留層構造の探査方法を示す説明図
である。坑井1は、泥水掘り工法によって掘削中の地熱
井用坑井であり、生産井2および3は、掘削深度の異な
る既存の地熱発電所の生産井である。生産井2および3
の坑口部4には、上記坑井1から地下亀裂を通って泥水
が流入した場合に備えて、泥水検出用流体採取装置5が
取り付けられ、流体の濁度を吸光度として常時モニタリ
ングできるようになっている。従って、掘削中に坑井1
内に泥水が逸泥して、地下亀裂6に流出し、この流出し
た泥水が地下亀裂6を通って生産井の貯留層7に流れ込
み、生産井2または3から湧出すると、このことが坑口
部4で前記流体の濁りとして検出される。
【0018】そこで、本発明においてはこの濁りを吸光
度として検出すると、まず吸光度に変化が生じた測定時
間と、坑井1から泥水が逸泥した時間との時間差を求
め、ついで、坑井1と泥水が流入した生産井の坑井間距
離、干渉流入点付近における流体の粘性係数、逸泥深
度、その逸泥深度における泥水柱圧、貯留層有効層厚、
干渉流入点圧力および温度を実測または、他の探査・調
査実績から求め、さらに、坑井1の逸泥が生じた深度を
掘削時の情報により求め、これらの関係を下記式に基づ
いて解析することで、坑井1と泥水が流入した生産井と
の間の流体挙動及び透水性の大きさを、浸透率層厚積
(k×h)の値として算出する。
【0019】 浸透率層厚積kh(m3)=浸透率k(m2)×有効層厚h(m)
【数5】 h:有効層厚 (m) :掘削時の高掘進率の区間とする。 v:流速 (m/s):r/t μ:粘性係数 (Pa・s):純水の粘性係数を代用する。 r:坑井間距離(m) :掘削中の坑井の逸泥個所と既存生
産井の流入点間の水平距離であって、坑跡より計算して
求める。 t:泥水干渉時間(sec) :泥水が掘削中の坑井から既存
生産井に到達する最短時間であって、逸泥発生時間と吸
光度上昇時間の差として求める。 Pi :泥水柱圧(Pa):掘削中の坑井の逸泥個所における
逸泥時の圧力であって、逸泥深度と泥水の密度 (実測)
から算出する。 Pp :生産井流入点圧力(Pa):泥水干渉時の既存生産井
の流入点圧力であって、実測ないしは坑井内流動シミュ
レーションにより推定する。
【0020】なお、坑井1からの逸泥は、掘削が進行す
る度に何度か発生し、それぞれ、逸泥が発生する毎に上
記泥水到達時間を測定し、上記式によりそれぞれの逸泥
した地下亀裂と上記生産井との関係を繰り返し求めるこ
とにより、坑井1に存在する各深度における亀裂が、生
産井のどの深度の地下亀裂と繋がりがあるかを解析でき
る。その結果として坑井1と逸泥が生じた生産井との間
の地下亀裂の構造が三次元的に把握できるようになる。
【0021】このような泥水が生産井に流入するような
現象は、坑井間の地下亀裂が相互に干渉しあっているよ
うな場合や、地熱貯留層(生産ゾーン)を共有している
場合にみられ、流出した泥水は、亀裂の大小によって、
特定量の泥水が地下亀裂に流出することになる。この逸
泥した泥水の量は、測定する吸光度のピークの強さによ
って現れるので、吸光度のピークが強ければ坑井1と生
産井との間の地下亀裂の繋がりの大きさをほぼ推定でき
る。しかし、坑井間距離によっても地下亀裂の繋がりの
大小は異なるので、本発明では、上述したパラメータを
他の解析方法によって求め、ついで、このパラメータ
と、上記逸泥状況との関係から数式化した上記式によっ
て透水性を評価するのである。なお、その後、地下坑井
図に前記透水性の大きさをマッピングすると、坑井1と
生産井との間の地下亀裂の繋がり(流体挙動)が三次元
的に解析できる。
【0022】また、本発明の他の実施形態として、清水
の注入を利用する方法がある。この方法では、坑井1内
に泥水を循環させて掘削する泥水掘り工法によって所定
の深度まで掘り進み、該坑井1の掘削が完了すると、生
産量を多くする目的で水圧破砕を行う場合がある。この
水圧破砕とは、掘削井に清水を連続圧入し、貯留層に新
規亀裂を作り、透水性を向上させる作業である。水圧破
砕時に坑井1の坑底に圧力がかかり、坑井1に残ってい
る泥水が清水と共に地下亀裂に流出し、地下亀裂を通っ
て該地下亀裂と繋がりをもつ生産井に泥水を含む清水が
流入するおそれが生じる。そこで、本発明では、この生
産井に流入する清水, 即ち泥水を、該生産井の坑口部で
モニターすることによって検出し、一方で、前記坑井内
から逸水して既存の生産井に流入するまでの流入時間
(t) を求め、前記新規掘削坑井と既存生産井の坑井間距
離(r) 、干渉流入点付近における流体の粘性係数 (μ)
、逸泥深度における泥水柱圧(Pi ) 、貯留層有効層厚
(h) 、干渉流入点圧力(Pp ) を求め、数式化した評価方
法によって前記坑井と既存生産井との間の地下亀裂の透
水性を解析するものである。
【0023】なお、本発明において、上記泥水または、
清水に公知のトレーサー試薬を混合してもよく、この場
合、坑口部でトレーサー試薬濃度を測定することによ
り、地下亀裂の繋がりや透水性の評価をより確実にする
ことができる。
【0024】
【実施例】図2は、新規掘削坑井Fを掘削した際の逸泥
状況と該逸泥後に生産井AおよびBで観測された吸光度
の変化を示す図である。この坑井1の目標掘削深度は、
1950m地点であり、この坑井1の目標到達地点に達する
までに4度の逸泥があり、逸泥後、それぞれの生産井A
およびBで吸光度に変化が見られた。
【0025】表1に、新規掘削坑井Fの逸泥発生日時、
逸泥深度、泥水柱圧、坑井間距離、泥水到達時間、実測
した生産井AおよびBへの干渉流入深度、流入点圧力、
粘性係数等の測定値, 推定値を示す。そして、この表に
は、上述した式によって求めた透水率 (k)、有効層厚
(h)の計算値を示す。また、これらのデータおよび結
果から導き出された坑井Fと生産井AおよびBとの間の
地下亀裂の構造を示す平面図を図3に、側断面図を図4
にそれぞれ模式的に示す。
【0026】
【表1】
【0027】これらの結果から、生産井Aと坑井Fとの
1400m付近の地下亀裂の透水性が非常に大きく、かつ、
地下亀裂の流体流路が大きいことが判明し、坑井Fと生
産井Aとは、流体流路に大小あるものの逸泥したそれぞ
れの深度で地下亀裂が連通していることが判明した。一
方、生産井Bは、坑井Fと坑井間距離は近いのに、地下
亀裂は繋がりが小さく、干渉度合いが小さいことが判明
した。
【0028】図5は、逸泥時に、泥水にトレーサー試薬
(沃素)を混合して生産井Cへ前記泥水が流入した状況
を測定した説明図であり、泥水のみで測定したデータに
比較して坑井間の干渉が明確であることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、掘削して
いる坑井の泥水が逸泥した際に、他の既存の生産井に流
入する前記泥水の状況をモニターし、かつ、別に求めた
所定のパラメータにより地下亀裂の透水性を求めること
で、坑井間の地下亀裂の流体流動状況を求めることがで
きるので、複数の地熱坑井の繋がりを定量的に把握でき
る他、地熱貯留層の、とくに地下亀裂の大きさ、広がり
も把握できる。とくに本発明によれば、AE/MA法等
のような方法と併用して、地下亀裂の進展方向、大きさ
を正確に求め、地下の地熱貯留層の構造を精度よく解析
するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地下亀裂構造評価・解析方法を示す説
明図。
【図2】吸光度の変化を示す図。
【図3】坑井Fと生産井AおよびBとの間の地下亀裂の
構造を示す平面断面図。
【図4】図3の断側面図。
【図5】生産井Cへ泥水が流入した状況の説明図。
【図6】従来のトレーサー試薬による地下亀裂解析方法
を示す説明図。
【符号の説明】
1 坑井 2、3 生産井
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石崎 裕之 岩手県盛岡市菜園1丁目3−6 日本重化 学工業株式会社盛岡工業所内 (72)発明者 菱 靖之 岩手県岩手郡滝沢村鵜飼字笹森72 地熱エ ンジニアリング株式会社事業本部内 (72)発明者 桑野 恭 岩手県岩手郡滝沢村鵜飼字笹森72 地熱エ ンジニアリング株式会社事業本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 坑井内に泥水を循環させて新規地熱井を
    掘削する泥水掘り工法を利用して地熱貯留層の構造を探
    査するに当たり、その循環泥水が、掘削中の坑井内から
    地下深部の亀裂内に逸泥し、さらに既存生産井の生産に
    寄与している地熱貯留層中に流入するかどうかを、当該
    生産井の熱水を坑口にて採取, 分析することにより地熱
    貯留層構造を探査する方法において、 上記泥水が既存生産井に流入することを、既存生産井か
    ら噴出する流体の吸光度をモニターすることによって検
    出し、このことによって、泥水が掘削中の上記坑井内か
    ら逸泥して前記の生産井に到達するまでの流入時間
    (t)、掘削中の坑井の逸泥個所と既存生産井の流入点
    間の坑井間距離 (r) 、干渉流入点付近における流体の
    粘性係数 (μ) 、掘削中の坑井の逸泥深度における泥水
    柱圧(Pi ) 、生産井流入点圧力(Pp ) および貯留層有効
    層厚 (h)を求めて、下記式に基づき浸透率kを算出し
    たのち、さらに浸透率層厚積 (k×h) を算出すること
    によって、前記坑井と既存生産井との間の地下亀裂の状
    態を推定することを特徴とする地熱貯留層の探査方法。 【数1】 浸透率層厚積(kh) =k×h k:浸透率 (m2) h:有効層厚 (m) v:流速 (m/s) μ:粘性係数 (Pa・S) r:坑井間距離(m) t:泥水干渉時間(sec) Pi :泥水柱圧(Pa) Pp :生産井流入点圧力(Pa)
  2. 【請求項2】 坑井内を循環させる泥水に、該泥水が逸
    泥した直後にトレーサー試薬を混合することを特徴とす
    る請求項1に記載の探査方法。
  3. 【請求項3】 坑井内に泥水を循環させて新規地熱井を
    掘削する泥水掘り工法を利用して地熱貯留層の構造を探
    査する方法において、 坑井の掘削中や掘削終了後、その坑井内に清水を注入し
    て該坑井内を抑圧状態に保持したり、坑井に清水を圧入
    して貯留層に亀裂を生じさせる (水圧破砕) 作業時に、
    上記清水が既存生産井に流入することを、既存生産井か
    ら噴出する流体の吸光度をモニターすることによって検
    出し、泥水が混入した上記清水が上記坑井内から逸泥し
    て前記の生産井に到達するまでの流入時間 (t)、掘削
    中の坑井の逸泥個所と既存生産井の流入点間の坑井間距
    離 (r) 、干渉流入点付近における流体の粘性係数
    (μ) 、掘削中の坑井の逸泥深度における泥水柱圧(Pi )
    、生産井流入点圧力(Pp ) および貯留層有効層厚
    (h)を求めて、下記式に基づき浸透率kを算出したの
    ち、さらに浸透率層厚積 (k×h) を算出することによ
    って、前記坑井と既存生産井との間の地下亀裂の状態を
    推定することを特徴とする地熱貯留層の探査方法。 【数2】 浸透率層厚積(kh) =k×h k:浸透率 (m2) h:有効層厚 (m) v:流速 (m/s) μ:粘性係数 (Pa・S) r:坑井間距離(m) t:泥水干渉時間(sec) Pi :泥水柱圧(Pa) Pp :生産井流入点圧力(Pa)
  4. 【請求項4】 上記清水に、トレーサー試薬を混合する
    ことを特徴とする請求項3に記載の探査方法。
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