JPH11321872A - 非接触データキャリア付き容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非接触データキャリアが強固に装着された非
金属性容器を提供する。 【解決手段】 非接触データキャリアと強磁性部材とを
樹脂により一体に封止してなる樹脂封止体が、強磁性部
材を介して非金属製容器の器壁の所定の箇所に装着され
てなり、かつ非金属製容器の器壁の少なくとも該装着箇
所には強磁性部材と磁気的に引き合い得る磁性材料が含
まれ、樹脂封止体が前記非金属製容器の器壁に磁力によ
り装着されていることを特徴とする。非接触データキャ
リアの着脱も可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、非接触で信号を送
受信する非接触データキャリアの技術に係り、とくにこ
の非接触データキャリアを商品容器に取り付けてその精
算業務を自動化する技術分野で用いられる非接触データ
キャリア付き容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】非接触データキャリアシステムは、物品
などに取り付けられる非接触デーキャリアと呼ばれる応
答器と、ホスト側に接続される質問器とで構成され、こ
れら応答器と質問器との間で、磁気、誘導電磁界、マイ
クロ波（電波）などの伝送媒体を介して非接触で交信を
行う点を特徴としている。

【０００３】非接触データキャリアシステムの情報伝送
方式としては一般に、電磁結合方式、電磁誘導方式、マ
イクロ波方式、あるいは光通信方式などが知られてい
る。これらの方式の中で、電磁結合方式、電磁誘導方式
やマイクロ波方式では、質問器からの伝送信号のエネル
ギーを応答器の駆動電力として用いることができる。そ
して、伝送信号そのものを駆動源にし得ることから、応
答器に電池などの駆動源を内蔵させる必要がある他の同
様の方式に比較して、電池出力の低下に起因する応答能
力の劣化がなく、電池寿命に起因する応答器の使用限界
がないなどの大きな利点がもたらされている。

【０００４】図２に非接触データキャリアシステムの全
体的な構成を示す。同図に示すように、非接触データキ
ャリアシステムは質問器１０と応答器（非接触データキ
ャリア）２０から構成される。

【０００５】質問器１０は、質問器１０の全体制御を行
う主制御部１１と、ホスト装置とのデータの入出力を制
御するインターフェース部１２と、非接触データキャリ
ア２０より受信したタグ情報などを蓄積する読み出し／
書き込み可能なＲＡＭなどの記憶部１３と、送信情報を
パラレル信号からシリアル信号に変換し、かつ非接触デ
ータキャリア２０からの受信信号をシリアル信号からパ
ラレル信号に変換する信号変換部１４と、送信信号をた
とえばＡＳＫ（Amplitude Shift Keying）方式、ＦＳＫ
（Frequency Shift Keying）方式等で伝送用の信号に変
調する変調部１５と、受信信号を復調する復調部１６
と、送信アンテナ１７と、受信アンテナ１８とを備えて
構成される。

【０００６】応答器（非接触データキャリア）２０は、
この非接触データキャリア２０の全体制御を行う主制御
部２１と、タグ情報を蓄積するＥＥＰＲＯＭ等の電源バ
ックアップ不要な記憶部２２と、送信情報をデジタル信
号からアナログ信号に変換し、且つ質問器１０からの受
信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する信号
変換部２３と、送信信号をＡＳＫ方式、ＦＳＫ方式等で
伝送用の信号に変調する変調部２４と、受信信号を復調
する復調部２５と、送信アンテナ２６と、受信アンテナ
２７とを備えて構成される。

【０００７】このように応答器（非接触データキャリ
ア）は、質問器との間で信号を送受信するためのアンテ
ナ部と回路部とから構成され、耐環境性を考慮して、樹
脂などによってアンテナ部や回路部などの内部部品群を
気密に封止した構造を有している。

【０００８】この非接触データキャリアシステムの基本
的な交信手順は次の通りである。

【０００９】まず、質問器１０は、非接触データキャリ
ア２０に対するタグ情報読取りのための質問信号を発信
する。非接触データキャリア２０は、該質問信号の受信
可能な範囲に入るとこれを受信して、記憶部２２に記憶
されているタグ情報を応答信号として発信する。この応
答信号を質問器１０が受信、解読して、タグ識別情報と
してホスト装置に送る。

【００１０】近年、このような非接触データキャリアシ
ステムの用途として、たとえば飲食店などにおいて商品
である食品を載せる皿などの容器類の裏底面に非接触デ
ータキャリアを装着し、その記憶素子には容器上に盛ら
れる商品に関する情報（たとえば、食品名や価格など）
を記憶しておき、会計精算時に質問器との間で情報をや
りとりして自動会計を実現させることが考えられてい
る。

【００１１】ところで、非接触データキャリア付き容器
が上記のように食器として使用されるに際してはとく
に、洗浄や乾燥など、電子部品にとっては過酷な環境条
件を強いる作業の反復が不可避である。したがって非接
触データキャリアは、そのような厳しい環境に晒された
り悪条件で取り扱われても容器から脱落しないように、
より安定かつ強固に容器に装着されている必要がある。

【００１２】一般に、非接触データキャリアを容器へ装
着する方法としては、たとえばネジなどにより機械的に
固定する方法、接着剤を用いて貼り付けるなどの化学的
な固定方法、あるいは充填材を用いたり一体成形などに
より容器内部へ埋め込む方法などがあげられる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
固定方法には一長一短があって、装着の機械的強度や安
定性をはじめとして要求される諸条件をすべて満たす非
接触データキャリア付き容器は、未だ得られていないの
が現状である。

【００１４】たとえば陶磁器や樹脂などの非金属製の容
器にネジなどを用いて非接触データキャリアを機械的に
固定しようとした場合に、装着の強度を上げようとすれ
ば容器を破損するおそれがでてくる。したがって、この
ような機械的な固定方法は、非金属製の食器に対して
は、強度的に無理があるだけでなく容器自体の美観も損
なうため、食器への適用は難しい。

【００１５】接着剤を用いて化学的に固定する場合に
は、接着剤の種類を適切に選択することによって、容器
の材質にさほど左右されずに非接触データキャリアを容
器に装着することはできる。しかしながら、食器のよう
に厳しい環境下での使用に耐え得る装着強度を長期に亘
って維持することは困難であり、洗浄・乾燥を繰り返す
うちに装着強度が低下し、非接触データキャリアが食器
から脱落しやすくなるという難点を有している。とく
に、送受信能力を高めようとして大径のループコイルア
ンテナを用いた場合などには非接触データキャリア自体
の重量が増すため、装着強度不足はさらに顕著に現れ
る。このように接着剤を用いた化学的な固定方法は、装
着の安定性が高いとはいえず、また、接着剤のはみ出し
などがあると装着した食器の外観も美麗とはいいがた
い。

【００１６】一方、容器内部に非接触データキャリアを
埋め込むようにした場合には、外観は良好であり十分な
装着強度を安定して維持することができるが、製造時の
温度・圧力などの環境条件によって非接触データキャリ
アの内部部品群が損傷を受けるというおそれを有してい
る。したがって、非接触データキャリアを埋め込んだ容
器では、不良品を生じ易く製造歩留まりが低下するだけ
でなく、使用中の不具合発生に際しても修理などの対処
が困難であることから、製品の信頼性も低下するという
難点をも有している。

【００１７】さらに、非接触データキャリアを接着剤を
用いて装着したり、あるいは容器内部に埋め込むように
した従来の非接触データキャリア付き非金属製容器で
は、応答器である非接触データキャリアが質問器から発
信される質問信号を受信する際に、容器内にたとえばス
プーンなどの金属製の物品が存在している場合には、通
信障害が発生するというおそれがあった。

【００１８】本発明はこのような事情を鑑みてなされた
ものであり、商品容器、とくに使用条件の厳しい食器と
して使用可能な非接触データキャリア付き容器であっ
て、非接触データキャリアを長期に亘って安定した強度
で装着し得るとともに、交信に際して高い信頼性を有す
る非接触データキャリア付き容器を提供することを、そ
の目的としている。

【００１９】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明の非接触
データキャリア付き容器は、非接触データキャリアと強
磁性部材とを樹脂により一体に封止してなる樹脂封止体
が、前記強磁性部材を介して非金属製容器の器壁の所定
の箇所に装着されてなり、かつ前記非金属製容器の器壁
の少なくとも該装着箇所には前記強磁性部材と磁気的に
引き合い得る磁性材料が含まれ、前記樹脂封止体が前記
非金属製容器の器壁に磁力により装着されていること
を、その特徴としている。

【００２０】本発明において、非接触データキャリアと
ともに樹脂により一体に封止されて樹脂封止体を構成す
る強磁性部材は、上記した非金属製容器への樹脂封止体
の装着の機械的強度をなるべく大きく保つため、重量は
小さく、非金属製容器への装着面の面積がなるべく大き
い、たとえば板状などの形状をとることが好ましい。本
発明において使用可能な強磁性部材の材料としては、Ｆ
ｅ、Ｃｏ、Ｎｉ、あるいはその化合物などの強磁性材
料、たとえばアルニコ磁石、フェライト磁石、希土類磁
石などがあげられる。これらの材料を適切に選択するこ
とにより、強磁性部材が任意の強さの磁力を有するよう
に設定することができる。

【００２１】樹脂封止体の形状および樹脂封止体内にお
ける非接触データキャリアと強磁性材料部との相互の位
置関係は、樹脂封止体が強磁性材料部を介して非金属製
容器の器壁に装着されることが可能であれば、とくに特
定のものに限定されるものではない。

【００２２】本発明において、非接触データキャリアと
ともに上記強磁性部材を一体に封止して樹脂封止体とな
す際に用いられる樹脂としてはとくに制限はなく、非接
触データキャリアの樹脂封止体形成に使用される一般的
な樹脂、たとえばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、あるい
はシリコーン樹脂などをあげることができる。これらの
樹脂は単独で使用してもよいし、必要に応じてその他の
樹脂と混合して使用しても差し支えない。

【００２３】本発明において非金属製容器としては、た
とえば陶磁器製容器や、ＡＢＳ樹脂、メラミン樹脂、あ
るいはユリア樹脂などの種々の樹脂製容器などが使用可
能である。

【００２４】本発明において、上記非金属製容器の器壁
に含ませることのできる磁性材料としては、磁気的特性
の面や製造コストの面からみて、たとえばＦｅなどの磁
性金属が好ましい。磁性材料を非金属製容器の器壁に含
ませるにあたっては、たとえば容器原料にＦｅ粉末など
を混入させたのち常法にしたがって容器を成形して、容
器の器壁全体に磁性材料を含ませるなどの方法をとるこ
とができる。しかしながら本発明においては、容器の器
壁全体に磁性材料が含まれている必要はなく、少なくと
も樹脂封止体の装着箇所に磁性材料が部分的に含まれて
いれば、十分である。たとえばチップ状や粒子状のＦｅ
を、容器が食器であればその裏底面の円筒状の高台部分
の内側など、樹脂封止体の装着箇所だけに埋め込んだ
り、あるいは容器に板状やシート状のＦｅを同様に埋め
込んだりすることにより、容器の器壁に部分的に磁性材
料を含むようにすることができる。このような磁性材料
を容器の器壁に含ませることは、樹脂製食器成形用の射
出成形の工程中に行うようにしてもよいし、あるいは容
器が成形された後に行うようにしてもよい。いずれの方
法によっても、埋め込むものが金属などの磁性材料であ
って、非接触データキャリア本体のような電子部品では
ないので、埋め込む工程中の温度や圧力などの条件によ
って性能が劣化するような危険性はない。したがって磁
性材料の埋め込みによって製造歩留りの低下するおそれ
はない。

【００２５】なお、本発明において非金属製容器の器壁
に含ませる磁性材料としては、上記したＦｅなどの磁性
金属の他に、樹脂封止体に封止された強磁性部材と磁気
的に引き合う極性を有する強磁性材料も使用可能であ
る。その場合には、装着の機械的強度をより大きくする
ことができる。

【００２６】本発明においては、樹脂封止体に含まれた
強磁性部材と、非金属製容器の所定の箇所に含まれた磁
性材料とが磁力により引き合うことによって、樹脂封止
体が非金属製容器の所定の箇所に装着可能である。ま
た、磁力の設定が容易であるので、装着の機械的強度も
強弱広い範囲で行うことが可能であり、強固な装着とと
もに着脱の自在をも実現し得る。

【００２７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。

【００２８】図１（ａ）は、本発明の一実施例であるた
とえばＡＢＳ樹脂などの樹脂製食器皿としての非接触デ
ータキャリア付き容器の断面概略図である。同図に示す
ように、非金属性容器１の裏底面の円筒状の高台部の内
側には、樹脂封止体２が装着されており、容器１の装着
部分の器壁には磁性材料としての鉄板３が、たとえばシ
リコーン樹脂などの熱硬化性樹脂の注入、硬化により樹
脂層４内に埋め込まれている。

【００２９】図１（ｂ）は、図１（ａ）に示す樹脂封止
体２の断面の拡大概略図である。同図に示すように、樹
脂封止体２には、非接触データキャリア本体２０ととも
に、たとえばＢａフェライト磁石からなる強磁性部材５
がたとえばシリコーン樹脂により一体に封止されてい
る。強磁性部材５の磁力は、必要とされる装着強度を満
足するように適宜設定される。なお、ここでは非接触デ
ータキャリア２０の内部部品であるＩＣチップを搭載し
た回路基板とループコイルアンテナは、図示を省略され
ている。

【００３０】以上のように構成された本実施形態におい
ては、容器には樹脂封止体が美麗にかつ強固に装着され
ており、通常の振動試験、落下試験や洗浄試験によって
も、非接触データキャリアが脱落するようなことがなか
った。それにもかかわらず、交換などが必要な場合には
容易に着脱が可能であった。また、装着強度を少し弱め
て適切な強さに設定することにより、食器洗浄時には樹
脂封止体を取り外せるようにすることも容易であった。
容器内に金属を入れた場合でも通信障害を引き起こすこ
とはなかった。

【００３１】なお、本実施態様は容器が食器として使用
されることを想定した場合であるが、本発明は食器への
適用に限定されるものではない。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
非接触データキャリアの樹脂封止体を磁力により非金属
性容器に装着するように構成しているので、使用条件の
厳しい食器として使用可能な非接触データキャリア付き
容器であって、非接触データキャリアを長期に亘って安
定した強度で装着し得るとともに、交信に際して高い信
頼性を有する非接触データキャリア付き容器を提供し得
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 （ａ）本発明の非接触データキャリア付き容
器の断面概略図、および（ｂ）樹脂封止体の断面の拡大
概略図

【図２】 非接触データキャリアシステムの全体的な構
成を示すブロック図

【符号の説明】

１……非金属性容器、 ２……樹脂封止体、 ３…
…鉄板 ４……樹脂層、 ５……強磁性部材、 ２０……非
接触データキャリア

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非接触データキャリアと強磁性部材とを
   樹脂により一体に封止してなる樹脂封止体が、前記強磁
   性部材を介して非金属製容器の器壁の所定の箇所に装着
   されてなり、かつ前記非金属製容器の器壁の少なくとも
   該装着箇所には前記強磁性部材と磁気的に引き合い得る
   磁性材料が含まれ、前記樹脂封止体が前記非金属製容器
   の器壁に磁力により装着されていることを特徴とする非
   接触データキャリア付き容器。