JPH11310199A - ヘリコプタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡単な構造で、信頼性が高く、メンテ
ナンスが容易な方向制御機構を備えたヘリコプタを提供
する。 【解決手段】 機体１の上部に位置するエンジン２を機
体１に対して前後方向にスライドさせることにより、機
体１の重心位置を変化させ、機体１と共にロータ３の回
転面を前傾又は後傾させて前後進させる。また、ロータ
３の回転軸１２を機体１に対して左右方向に揺動させ、
ロータ３の回転面を左右に傾斜させて側進させる。方向
制御のためのロータ３のピッチ可変機構が不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、方向制御機構に
特徴を有するヘリコプタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ヘリコプタは、図７に示すよう
に、機体内部に搭載されたエンジンでロータ５０を回転
させ、このロータ５０の羽根５１のピッチを進行方向の
後方側では大きく、前方側では小さくなるように変化さ
せることにより、任意の方向に進行できるようになって
いる。

【０００３】このように羽根５１のピッチを変化させる
機構としては、図８に示すようなものが採用されてい
る。この機構において、羽根５１はロータ５０の回転軸
５２に連結軸５３を介して俯仰可能に連結され、回転軸
５２の周囲にはスウォッシュプレート５４が設けられて
いる。

【０００４】スウォッシュプレート５４は機体側に固定
された固定スター５５と、これに対して摺動回転する回
転スター５６とから成り、固定スター５５には操縦桿に
至るリンク５７が、回転スター５６には各羽根５１の端
部に至るリンク５８がそれぞれ連結されている。

【０００５】そして、操縦桿を操作してスウォッシュプ
レート５４を傾動させると、羽根５１のピッチが回転軸
５２の回転位相に応じて連続的に変化する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなピッチ可変機構は、構造が複雑かつ繊細で、故障
発生の危険性も高く、メンテナンスに手間がかかるとい
う問題がある。

【０００７】そこで、この発明は、比較的簡単な構造
で、信頼性が高く、メンテナンスが容易な方向制御機構
を備えたヘリコプタを提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明は、機体にエンジン及びロータを設け、エ
ンジンでロータを回転させて得た揚力及び推力により浮
揚・推進するヘリコプタにおいて、エンジンを機体の上
部に位置させ、機体に対して前後方向にスライドさせる
ことにより、機体の重心位置を変化させ、機体と共にロ
ータの回転面を前傾又は後傾させて前後進し、ロータの
回転軸を機体に対して左右方向に揺動させることによ
り、ロータの回転面を左右に傾斜させて側進するように
し、ピッチ可変機構を不要としたのである。

【０００９】また、前記ロータを機体の前後に２基配置
し、両ロータの回転面の左右への傾斜を相互に変化させ
て旋回するようにすると、機体尾部で縦回転する尾部ロ
ータが不要となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
１乃至図６に基づいて説明する。このヘリコプタは、機
体１の上部に、前後に配置された２基のエンジン２、２
及びロータ３、３を備えている。

【００１１】各エンジン２は、ブラケット４を介してそ
れぞれ外フレーム５に吊下支持され、これらの外フレー
ム５、５は、その内部に挿入された内フレーム６の周り
にそれぞれ独立して左右方向に揺動可能となっている。

【００１２】内フレーム６には、各外フレーム５の切欠
部及び前後の外フレーム５、５の間隙部から下方へ延び
る３本の門形支柱７が取り付けられ、各支柱７の脚部
は、機体１の上面に固定された前後方向のガイドレール
８にスライド自在に挿入されている。

【００１３】各外フレーム５には、中央の支柱７を基準
として左右方向に伸縮する油圧シリンダ９がアーム１０
を介して連結され、中央の支柱７には、機体１を基準と
して前後方向に伸縮する油圧シリンダ１１が連結されて
いる。

【００１４】各エンジン２の回転軸１２は外フレーム５
を貫通して上方へ延び、その先端部にロータ３が取り付
けられている。各回転軸１２には一方向クラッチ１３が
介在しており、その先端側において両回転軸１２、１２
は、噛合する対の傘歯車１４、１４と、内フレーム６を
貫通する伝動軸１５とを介して連動し、両ロータ３、３
が同一回転数で互いに逆方向に回転するようになってい
る。

【００１５】また、機体１の下部には、スキッド１６が
取り付けられ、その前後左右４箇所に重量センサ１７が
設けられている。

【００１６】このヘリコプタでは、油圧シリンダ１１を
伸縮させると、重量物であるエンジン２、２が前後にス
ライドして機体１の重心位置が変化するので、機体１と
共にロータ３の回転面が前傾又は後傾し、前後進するこ
とができる。

【００１７】また、油圧シリンダ９を伸縮させ、両ロー
タ３、３の回転軸１２をエンジン２と共に機体１に対し
て左右いずれか同一の方向に傾動させると、その方向へ
ロータ３、３の回転面が傾斜し、側進することができ
る。

【００１８】そのほか、両ロータ３、３の回転軸１２を
機体１に対して互いに左右逆方向に傾動させると、その
回転面も互いに逆方向に傾斜し、機体１を旋回させるこ
とができる。

【００１９】なお、離陸前には、重量センサ１７から得
られたデータに基づいて機体１の重心位置を算出し、機
体１を水平にして上昇できるように油圧シリンダ９、１
１の伸縮量を調整する。このことにより、離陸時におけ
る転倒事故が防止される。

【００２０】上記のように構成したヘリコプタは、スウ
ォッシュプレートや多数のリンクを有する複雑なピッチ
可変機構を設けることなく、任意の方向に進行すること
ができ、旋回のために機体尾部で縦回転する尾部ロータ
を設ける必要もない。

【００２１】従って、信頼性が高く、メンテナンスが容
易なものとなるほか、軽量化を図ることができ、製造コ
ストも安くなる。

【００２２】また、スウォッシュプレートの固定スター
及び回転スターのような摺動部分がないため、騒音が小
さく、燃費も改善される。

【００２３】また、エンジン２が機体１の上部に位置し
ているので、客室や貨物室のスペースを広く確保するこ
とができ、さらに、エンジン２が吊下支持されているの
で、その振動が機体１に伝わりにくく、乗り心地や操縦
安定性が向上する。

【００２４】そのほか、両ロータ３、３が連動している
ので、一方のエンジン２が故障しても両ロータ３、３は
等速で駆動され、安定して飛行できる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明に係るヘ
リコプタは、機体の上部に位置するエンジンを機体に対
して前後方向にスライドさせることにより、機体の重心
位置を変化させ、機体と共にロータの回転面を前傾又は
後傾させて前後進し、ロータの回転軸を機体に対して左
右方向に揺動させることにより、ロータの回転面を左右
に傾斜させて側進するようにしたので、ロータに複雑な
ピッチ可変機構を設ける必要がなく、信頼性が向上し、
メンテナンスが容易なものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るヘリコプタの概略斜視図

【図２】同上の方向制御機構の拡大斜視図

【図３】同上の方向制御機構の拡大正面図

【図４】図３のIV−IV線に沿った断面図

【図５】図３のＶ−Ｖ線に沿った断面図

【図６】図３のVI−VI線に沿った断面図

【図７】従来のピッチ可変機構を装備したヘリコプタの
概略斜視図

【図８】同上のピッチ可変機構の概略斜視図

【符号の説明】

１ 機体 ２ エンジン ３ ロータ ４ ブラケット ５ 外フレーム ６ 内フレーム ７ 支柱 ８ ガイドレール ９、１１ 油圧シリンダ １０ アーム １２ 回転軸 １３ 一方向クラッチ １４ 傘歯車 １５ 伝動軸 １６ スキッド １７ 重量センサ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体にエンジン及びロータを設け、エン
   ジンでロータを回転させて得た揚力及び推力により浮揚
   ・推進するヘリコプタにおいて、 エンジンを機体の上部に位置させ、機体に対して前後方
   向にスライドさせることにより、機体の重心位置を変化
   させ、機体と共にロータの回転面を前傾又は後傾させて
   前後進し、ロータの回転軸を機体に対して左右方向に揺
   動させることにより、ロータの回転面を左右に傾斜させ
   て側進するようにしたことを特徴とするヘリコプタ。
2. 【請求項２】 前記ロータを機体の前後に２基配置し、
   両ロータの回転面の左右への傾斜を相互に変化させて旋
   回するようにしたことを特徴とする請求項１に記載のヘ
   リコプタ。