JP5150001B1 - 垂直離着陸機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ローターの回転面を主翼の下方に向けて垂直に離着陸し、ローターの回転面を主翼の後方に向けて前進する垂直離着陸機において、軽量且つ簡単な構造でローターシャフトの長さの短縮化を図れる垂直離着陸機を提供する。
【解決手段】主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBAに機体の重心位置Gを設定し、重心位置Gから下方にローターシャフト2を延出し、ローターシャフト2を先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で回動させる。主翼3の後縁側エリアBAに設定された重心位置Gから下方にローターシャフト2が延出されているので、ローターシャフト2を後方に回動させて水平姿勢としたとき、ローター7の回転面を主翼3の後縁よりも後方とするために必要なローターシャフト2の長さを短くできる。
【選択図】図3
【解決手段】主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBAに機体の重心位置Gを設定し、重心位置Gから下方にローターシャフト2を延出し、ローターシャフト2を先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で回動させる。主翼3の後縁側エリアBAに設定された重心位置Gから下方にローターシャフト2が延出されているので、ローターシャフト2を後方に回動させて水平姿勢としたとき、ローター7の回転面を主翼3の後縁よりも後方とするために必要なローターシャフト2の長さを短くできる。
【選択図】図3
Description
本発明は、ローターの回転面を下方に向けることで垂直に離着陸し、ローターの回転面を後方に向けることで前進する垂直離着陸機に関する。
垂直離着陸機として、主翼に、駆動源により回転駆動されるローターシャフトを、先端が主翼の下方を向く垂直姿勢と先端が主翼の後方を向く水平姿勢との間で回動可能に設け、ローターシャフトの先端にローターを取り付けたものが知られている(特許文献1の請求項1参照)。この垂直離着陸機は、ローターシャフトを先端が主翼の下方を向く垂直姿勢としてローターの回転面を主翼の下方に向けて垂直に離着陸し、ローターシャフトを先端が主翼の後方を向く水平姿勢としてローターの回転面を主翼の後方に向けて前進するようにしている。
垂直に離着陸する際にはローターシャフトが垂直姿勢とされるが、かかるローターシャフトは機体の重心位置に配置されることが望まれる。ローターシャフトが機体の重心位置から前方又は後方にずれていると、ローターによる揚力作用位置(ローターシャフト位置)と機体重量作用位置(重心位置)とのずれによって、垂直上昇下降時に、機体にピッチングモーメントが発生してしまうからである。例えば、ローターシャフトが機体の重心位置よりも前方にずれていると垂直上昇時にローターの揚力により機体が後転してしまい、ローターシャフトが機体の重心位置よりも後方にずれていると垂直上昇時にローターの揚力により機体が前転してしまう。
機体の重心位置は、通常、主翼の前縁から翼弦の25%〜30%程度後方の位置に設定されている。このため、重心位置にローターシャフトを垂直姿勢として配置すると、そのローターシャフトを機体の重心位置を中心として後方に回動させて、ローターの回転面を主翼の後縁よりも後方とするためには、ローターシャフトの長さ(機体の重心位置からローターシャフト先端のローター取付部までの長さ)を機体の重心位置から主翼の後縁までの距離(翼弦の70%〜75%程度)よりも長くしなければならない。かかるローターシャフトを垂直姿勢としてローターを主翼の下方に向けると、主翼の下面とローターの回転面との距離が長くなり、垂直上昇時(下降時)に機体の重心高が高くなって安定性が低下してしまう。
そこで、本発明者は、ローターの動力伝達機構を折り畳み式とすることで、ローターシャフトの短縮化を図り、垂直離着陸時にローターシャフトが垂直姿勢とされた際、主翼の下面とローターの回転面との距離を短くするようにした垂直離着陸機を提案した(特許文献1の請求項2参照)。この垂直離着陸機は、ローターシャフトを支持するケースを主翼に前後移動自在且つ回動自在に設け、垂直離着陸時には、ローターシャフトが垂直姿勢で支持されたケースを前方に移動させてローターシャフトを垂直姿勢で機体の重心位置に配置し、その状態からケースを後方に移動させて後方に回動させることでローターシャフトを水平姿勢としてローターの回転面を主翼の後縁よりも後方としている。
この構成によれば、ローターシャフトを単に機体の重心位置を中心として後方に回動させるものと比べ、ローターシャフトの長さを短縮化でき、ローターシャフトを垂直姿勢としてローターの回転面を主翼の下方に向けたとき、主翼の下面とローターの回転面との距離を短くできる。
しかし乍ら、このようにローターシャフトを支持するケースを前後に移動させて回動させる場合、ケースをそのように移動・回動させつつ、ケースに支持されたローターシャフトを駆動源により回転駆動しなければならない。このため、構造の複雑化を招き、重量が増加し、実用化が極めて困難であった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、ローターの回転面を主翼の下方に向けて垂直に離着陸し、ローターの回転面を主翼の後方に向けて前進する垂直離着陸機において、軽量且つ簡単な構造でローターシャフトの長さの短縮化を図ることができる垂直離着陸機を提供することにある。
上述の目的を達成すべく創案された本発明に係る垂直離着陸機は、機体を側方から見て、主翼の翼弦中央よりも後縁側のエリアに機体の重心位置を設定し、主翼から前記重心位置の下方に向けて延出され、先端にローターが取り付けられ、ローターに揚力を発生させるべく回転駆動されるローターシャフトと、ローターシャフトを、前記重心位置を中心として、先端が主翼の下方に向く第1姿勢と先端が主翼の後方に向く第2姿勢との間で回動させる回動手段とを備え、前記重心位置は、機体に唯一存在する前後方向の重心を通って機体の側方に延出されたライン上に位置し、そのラインとローターシャフトを延長したラインとが交差した位置であり、ローターシャフトが位置する主翼の翼弦において、翼弦中央よりも後縁側のエリアに設定され、ローターシャフトは、前記重心位置からローターシャフトの先端のローター取付部までの長さが、前記重心位置から主翼の後縁までの長さに応じて設定され、回動手段は、ローターシャフトを主翼に前記重心位置を中心として第1姿勢と第2姿勢との間で回動自在に支持する回動支持機構と、回動支持機構によって主翼に回動自在に支持されたローターシャフトの回動角度が変更されるように、ローターのサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構と、ピッチ変更機構によるローターのサイクリックピッチの変更によって回動されたローターシャフトの回動角度を固定するロック機構とを備え、主翼は、前記重心位置よりも後縁側に空力中心が位置するように、前縁と翼弦中央との間のキャンバーよりも翼弦中央と後縁との間のキャンバーが大きい翼型である、ことを特徴とする垂直離着陸機である。
本発明に係る垂直離着陸機においては、ピッチ変更機構は、ローターシャフトが第1姿勢のときローターの前半分側の揚力よりも後半分側の揚力を高めるようにローターのサイクリックピッチを変更する機能を有し、ローターシャフトが第2姿勢のときローターの上半分側の揚力よりも下半分側の揚力を高めるようにローターのサイクリックピッチを変更する機能を有していてもよい。
本発明に係る垂直離着陸機においては、ローターシャフトが、左右の主翼に夫々配設され、回動支持機構が、左右の主翼の内部に夫々収容され主翼の付け根部から翼端に向けて延出されその軸回りに回動自在なパイプと、パイプの先端に取り付けられローターシャフトを支持するシャフト軸支部とを有し、パイプの回動に伴ってローターシャフトを第1姿勢と前記第2姿勢との間で回動させるものであり、左右のパイプの間に、双方のパイプの回動角度を機械的に同調させる連動機構を設けてもよい。
本発明に係る垂直離着陸機においては、連動機構は、左右のパイプの主翼の付け根部側の端部に夫々取り付けられた第1ブラケットと、主翼のスパン方向と平行に配置され軸受で支持された連動シャフトと、連動シャフトに間隔を隔てて取り付けられた第2ブラケットと、第2ブランケットと第1ブラケットとをリンク機構を成すように連結する連結アームとを有していてもよい。
本発明に係る垂直離着陸機においては、ロック機構は、連動シャフトの回動を固定するものであってもよい。
本発明に係る垂直離着陸機においては、左右の主翼に配設されたローターシャフトを駆動するための駆動源と、左右の主翼の内部に収容されたパイプ同士の間に配置されたギヤボックスと、ギヤボックスと駆動源との間に設けられた第1駆動シャフトと、ギヤボックスと左右のローターシャフトとの間に設けられた第2駆動シャフトとを備え、第2駆動シャフトが、パイプの内部に挿通されていてもよい。
本発明に係る垂直離着陸機においては、主翼の翼弦中央よりも後縁側のエリアに機体の重心位置を設定し、その重心位置から下方にローターシャフトを延出し、そのローターシャフトを回動手段によって先端が主翼の下方に向く第1姿勢と先端が主翼の後方に向く第2姿勢との間で回動させるようにしている。
主翼の翼弦中央よりも後縁側のエリアに設定された機体の重心位置から下方にローターシャフトが延出されているので、ローターシャフトを後方に回動させて第2姿勢としたとき、ローターの回転面を主翼の後縁よりも後方とするために必要なローターシャフトの長さを、機体の重心位置が主翼の前縁側のエリア(前縁から翼弦の25%〜30%程度後方)に設定されている通常の場合よりも、短くできる。
かかる効果は、機体の重心位置を主翼の翼弦中央よりも後縁側のエリアに設定し、その重心位置から下方にローターシャフトを延出することで達成しているので、ローターの動力伝達機構を折り畳み式とした従来例と比べると、軽量且つ簡単な構造でローターシャフトの長さの短縮化を図ることができる。
また、ローターシャフトを短くできることから、ローターシャフトを先端が下方に向く第1姿勢としてローターを主翼の下方に向けた際、ローターの回転面と地面との距離を確保でき、機体の重心高を低くすることが可能となる。よって、垂直上昇時(下降時)の安定性が向上する。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(垂直離着陸機1の概要)
図1、図2(a)、図2(b)に示すように、この垂直離着陸機1は、主翼3の翼弦中央よりも後縁側のエリアに機体の重心位置を設定し、主翼3から重心位置の下方に向けてローターシャフト2を延出し、ローターシャフト2を前記重心位置を中心として先端2aが主翼3の下方に向く第1姿勢(以下垂直姿勢)と先端2aが主翼3の後方に向く第2姿勢(以下水平姿勢)との間で回動するようにしたものである。なお、垂直姿勢には、完全に垂直ではなく多少(例えば5度以下の範囲)傾いた略垂直姿勢も含まれ、水平姿勢には、完全に水平ではなく同じく多少傾いた略水平姿勢も含まれる。
図1、図2(a)、図2(b)に示すように、この垂直離着陸機1は、主翼3の翼弦中央よりも後縁側のエリアに機体の重心位置を設定し、主翼3から重心位置の下方に向けてローターシャフト2を延出し、ローターシャフト2を前記重心位置を中心として先端2aが主翼3の下方に向く第1姿勢(以下垂直姿勢)と先端2aが主翼3の後方に向く第2姿勢(以下水平姿勢)との間で回動するようにしたものである。なお、垂直姿勢には、完全に垂直ではなく多少(例えば5度以下の範囲)傾いた略垂直姿勢も含まれ、水平姿勢には、完全に水平ではなく同じく多少傾いた略水平姿勢も含まれる。
垂直離着陸機1は、胴体4と、胴体4に取り付けられた主翼3と、主翼3よりも後方の胴体4の後部に取り付けられた水平尾翼5と、同じく胴体4の後部に取り付けられた垂直尾翼6とを備えている。左右の主翼3には、上述したローターシャフト2が1個ずつ設けられ、各ローターシャフト2の先端2aには、ローター7が夫々取り付けられている。左右のローターシャフト2は、後述する回動手段によって、前記重心位置を中心として、垂直姿勢と水平姿勢との間で回動されるようになっている。
胴体4の内部には、左右のローターシャフト2を回転させるための駆動源(エンジン、モーター等)8が設けられ、胴体4及び主翼3の内部には、駆動源8の回転力を各ローターシャフト2に伝達し、左右のローターシャフト2を相互に逆回転する動力伝達機構9が設けられている。動力伝達機構9は、主翼3の付け根部(胴体4への取付部)の内部に収容されたギヤボックス10と、駆動源8とギヤボックス10との間に設けられた第1駆動シャフト11と、ギヤボックス10と左右のローターシャフト2との間に夫々設けられた第2駆動シャフト12とを有する。
(機体の重心位置G)
図3に垂直離着陸機1の側面図を示す。機体の重量が矢印Xのように作用する機体の重心位置Gは、主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBA(以下後縁側エリア)に設定されている。通常、機体の重心位置Gは、主翼3の翼弦中央Cよりも前縁側のエリアFA(以下前縁側エリア)に設定されているが、本発明に係る垂直離着陸機1では後縁側エリアBAに設定されている。機体の重心位置Gを主翼3の後縁側エリアBAに設定するため、図1に示すように駆動源8の設置位置が通常よりも後退されていて主翼3の近傍となっている。
図3に垂直離着陸機1の側面図を示す。機体の重量が矢印Xのように作用する機体の重心位置Gは、主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBA(以下後縁側エリア)に設定されている。通常、機体の重心位置Gは、主翼3の翼弦中央Cよりも前縁側のエリアFA(以下前縁側エリア)に設定されているが、本発明に係る垂直離着陸機1では後縁側エリアBAに設定されている。機体の重心位置Gを主翼3の後縁側エリアBAに設定するため、図1に示すように駆動源8の設置位置が通常よりも後退されていて主翼3の近傍となっている。
図3に示すように、この参考形態(本発明の実施形態ではない)においては、機体の重心位置Gは、主翼3の揚力が矢印Yのように作用する空力中心AC(Aerodynamic Center)よりも後方に設定されている。このため、水平尾翼5が通常とは逆に水平飛行時に矢印Zに示す上向きに揚力を発生させる翼形状、取付角度となっており、空力中心ACに作用する主翼3の上向きの揚力(矢印Y)と、重心位置Gに作用する下向きの機体重量(矢印X)と、水平尾翼5に発生する上向きの揚力(矢印Z)とによって、バランス(ピッチング方向のバランス)が保てるようになっている。また、水平尾翼5の面積は、安定性を高めるため、機体の重心位置Gが主翼3の前縁側エリアFAに設定された通常の機体よりも広く設定されている。
(ローターシャフト2)
図3に示すように、左右のローターシャフト2は、夫々、左右の主翼3から機体の重心位置Gの下方に向けて延出されており、重心位置Gを中心として、先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で、回動するようになっている。左右のローターシャフト2の先端には、ローター7(以下ローターブレードとも言う)が夫々取り付けられている。ローターブレード7は、通常のヘリコプターと同様に、サイクリックピッチ、コレクティブピッチが変更できるようになっている。
図3に示すように、左右のローターシャフト2は、夫々、左右の主翼3から機体の重心位置Gの下方に向けて延出されており、重心位置Gを中心として、先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で、回動するようになっている。左右のローターシャフト2の先端には、ローター7(以下ローターブレードとも言う)が夫々取り付けられている。ローターブレード7は、通常のヘリコプターと同様に、サイクリックピッチ、コレクティブピッチが変更できるようになっている。
図4に左右のローターシャフト2が垂直姿勢となった垂直離着陸機1の背面図を示す。なお、水平尾翼5及び垂直尾翼6は省略している。主翼3には、上反角θ(例えば3度程度)が設定されており、左右のローターシャフト2は、左右の主翼3に夫々直交するように取り付けられている。これにより、左右のローター7によって発生した風(推力)の方向(矢印W)が、僅かに主翼3の翼幅(スパン)方向外側に向くことになり、左右のローター7の推力の合力が機体の中心線CL上に作用する。よって、ローターシャフト2が地面に対して垂直となっている場合よりも、垂直上昇時(下降時)に機体の安定性が向上する。
(回動手段13)
図5に左右のローターシャフト2が水平姿勢となった垂直離着陸機1の部分平断面図を、図6(a)に図5の部分拡大図を、図6(b)に図6(a)の部分側断面図を夫々示す。図中、Fは前方、Rは後方を表す。左右のローターシャフト2は、回動手段13によって、垂直姿勢と水平姿勢との間で回動される。回動手段13は、左右のローターシャフト2を主翼3に重心位置Gを中心として垂直姿勢と水平姿勢との間で回動自在に支持する回動支持機構14と、左右のローターブレード7のサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構15と、左右のローターシャフト2の回動角度を固定するロック機構16とを備えている。
図5に左右のローターシャフト2が水平姿勢となった垂直離着陸機1の部分平断面図を、図6(a)に図5の部分拡大図を、図6(b)に図6(a)の部分側断面図を夫々示す。図中、Fは前方、Rは後方を表す。左右のローターシャフト2は、回動手段13によって、垂直姿勢と水平姿勢との間で回動される。回動手段13は、左右のローターシャフト2を主翼3に重心位置Gを中心として垂直姿勢と水平姿勢との間で回動自在に支持する回動支持機構14と、左右のローターブレード7のサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構15と、左右のローターシャフト2の回動角度を固定するロック機構16とを備えている。
(回動支持機構14)
図5に示すように、回動支持機構14は、左右の主翼3の内部に夫々回動自在に収容されたパイプ17と、パイプ17の先端に取り付けられたシャフト軸支部18とを有し、シャフト軸支部18にローターシャフト2が回転自在に支持されている。パイプ17は、主翼3の付け根部(胴体4への取付部)から主翼3の翼端に向けて主翼3の切欠部19まで延出されており、主翼3及び胴体4に設けた軸受20、21によって、軸回りに回動自在に支持されている。切欠部19は、主翼3のスパン方向の中程に、主翼3の後縁側を切り欠くように形成され、この切欠部19の内方に、パイプ17の先端に取り付けられたシャフト軸支部18が回動可能に配置されている。かかる構成により、パイプ17の回動に伴って、シャフト支持部18が切欠部19の内方にて回動し、シャフト支持部18に支持されたローターシャフト2が垂直姿勢と水平姿勢との間で回動する。左右のローターシャフト2の回動角度は、連動機構22によって同調されるようになっている。
図5に示すように、回動支持機構14は、左右の主翼3の内部に夫々回動自在に収容されたパイプ17と、パイプ17の先端に取り付けられたシャフト軸支部18とを有し、シャフト軸支部18にローターシャフト2が回転自在に支持されている。パイプ17は、主翼3の付け根部(胴体4への取付部)から主翼3の翼端に向けて主翼3の切欠部19まで延出されており、主翼3及び胴体4に設けた軸受20、21によって、軸回りに回動自在に支持されている。切欠部19は、主翼3のスパン方向の中程に、主翼3の後縁側を切り欠くように形成され、この切欠部19の内方に、パイプ17の先端に取り付けられたシャフト軸支部18が回動可能に配置されている。かかる構成により、パイプ17の回動に伴って、シャフト支持部18が切欠部19の内方にて回動し、シャフト支持部18に支持されたローターシャフト2が垂直姿勢と水平姿勢との間で回動する。左右のローターシャフト2の回動角度は、連動機構22によって同調されるようになっている。
(連動機構22)
図5、図6(a)、図6(b)に示すように、左右の主翼3の内部に夫々収容された左右のパイプ17の回動角度は、連動機構22によって同調が取られ、同角度とされるようになっている。連動機構22は、左右のパイプ17の主翼3の付け根部側の端部に取り付けられた第1ブラケット23と、主翼3の付け根部の内部にスパン方向に沿って配置され軸受24で支持された連動シャフト25と、連動シャフト25のスパン方向の左右に夫々取り付けられた第2ブラケット26と、第2ブラケット26と第1ブラケット23とを連結する連結アーム27とを有する。第1ブラケット23、連結アーム27、第2ブラケット26はリンク機構を構成する。この構成によれば、左右の何れか一方のパイプ17の回動角度の変動が、一方の第1ブラケット23、連結アーム27、第2ブラケット26、連動シャフト25、他方の第2ブラケット26、連結アーム27、第1ブラケット23を介して他方のパイプ17に伝わるため、左右のパイプ17の回動角度が同調される。この結果、左右のローターシャフト2の回動角度が同調される。
図5、図6(a)、図6(b)に示すように、左右の主翼3の内部に夫々収容された左右のパイプ17の回動角度は、連動機構22によって同調が取られ、同角度とされるようになっている。連動機構22は、左右のパイプ17の主翼3の付け根部側の端部に取り付けられた第1ブラケット23と、主翼3の付け根部の内部にスパン方向に沿って配置され軸受24で支持された連動シャフト25と、連動シャフト25のスパン方向の左右に夫々取り付けられた第2ブラケット26と、第2ブラケット26と第1ブラケット23とを連結する連結アーム27とを有する。第1ブラケット23、連結アーム27、第2ブラケット26はリンク機構を構成する。この構成によれば、左右の何れか一方のパイプ17の回動角度の変動が、一方の第1ブラケット23、連結アーム27、第2ブラケット26、連動シャフト25、他方の第2ブラケット26、連結アーム27、第1ブラケット23を介して他方のパイプ17に伝わるため、左右のパイプ17の回動角度が同調される。この結果、左右のローターシャフト2の回動角度が同調される。
(ピッチ変更機構15)
図5に示すように、左右のローターシャフト2には、ローター(ローターブレード)7のサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構15が設けられている。ピッチ変更機構15は、通常のヘリコプター(ラジコンを含む)と同様の構成となっており、ローターブレード7のサイクリックピッチ、コレクティブピッチを変更するようになっている。ピッチ変更機構15は、ローターシャフト2に挿通されたスワッシュプレート28を備えており、スワッシュプレート28をローターシャフト2に対して傾けることでローターブレード7のサイクリックピッチを変更し、スワッシュプレート28をローターシャフト2に沿って移動させること等でローターブレード7のコレクティブピッチを変更する。スワッシュプレート28の傾斜、移動は、シャフト軸支部18に取り付けられたローターコントローラー29により、リンク30を介してなされる。ローターコントローラー29及びリンク30は、ローターシャフト2の回転から切り離されている。リンク30は、ローターコントローラー29内に設けられたサーボモーター等によって作動される。
図5に示すように、左右のローターシャフト2には、ローター(ローターブレード)7のサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構15が設けられている。ピッチ変更機構15は、通常のヘリコプター(ラジコンを含む)と同様の構成となっており、ローターブレード7のサイクリックピッチ、コレクティブピッチを変更するようになっている。ピッチ変更機構15は、ローターシャフト2に挿通されたスワッシュプレート28を備えており、スワッシュプレート28をローターシャフト2に対して傾けることでローターブレード7のサイクリックピッチを変更し、スワッシュプレート28をローターシャフト2に沿って移動させること等でローターブレード7のコレクティブピッチを変更する。スワッシュプレート28の傾斜、移動は、シャフト軸支部18に取り付けられたローターコントローラー29により、リンク30を介してなされる。ローターコントローラー29及びリンク30は、ローターシャフト2の回転から切り離されている。リンク30は、ローターコントローラー29内に設けられたサーボモーター等によって作動される。
ピッチ変更機構15は、ローターブレード7のサイクリックピッチを、回動支持機構14によって主翼3に重心位置Gを中心として回動自在に支持されたローターシャフト2の回動角度が、水平姿勢と垂直姿勢との間で変更されるように、制御する機能を有する。具体的には、ピッチ変更機構15は、図7(a)に示すようにローターシャフト2が垂直姿勢のとき、図7(b)に示すようにローター7の前半分側7fの揚力F1よりも後半分側7rの揚力F2を高めるようにローター7のサイクリックピッチを変更する機能を有する。このようにローター7の揚力がアンバランスとなることで、図7(c)に示すようにローター7の回転面が前方に傾いてローターシャフト2が上方に回動し、図7(d)に示すようにローターシャフト2が水平姿勢となる。ローターシャフト2が水平姿勢となったなら、ピッチ変更機構15は、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、図7(e)に示すようにローター7の揚力のアンバランスを解消する。かかるサイクリックピッチの制御は、ローターシャフト2を垂直姿勢から水平姿勢に変更する場合、即ち、機体を垂直上昇下降させている状態から前進状態に切り替える場合に場合に適用される。一方、機体をローター7の推力で前進飛行させる場合には、図7(e)に示すように、ローターシャフト2が水平姿勢に保持された状態で、ピッチ変更機構15は、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、コレクティブピッチを制御する。コレクティブピッチを大きくすることで前進飛行時の機体の速度が増し、コレクティブピッチを小さくすることで速度が減ずる。
ピッチ変更機構15は、図8(a)に示すようにローターシャフト2が水平姿勢のとき、図8(b)に示すようにローター7の上半分側7uの揚力F3よりも下半分側7dの揚力F4を高めるようにローター7のサイクリックピッチを変更する機能を有する。このようにローター7の揚力がアンバランスとなることで、図8(c)に示すようにローター7の回転面が後方に倒れるように傾いてローターシャフト2が下方に回動し、図8(d)に示すようにローターシャフト2が垂直姿勢となる。ローターシャフト2が垂直姿勢となったなら、ピッチ変更機構15は、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、図8(e)に示すようにローター7の揚力のアンバランスを解消する。かかるサイクリックピッチの制御は、ローターシャフト2を水平姿勢から垂直姿勢に変更する場合、即ち、機体を前進させている状態から垂直上昇下降状態に切り替える場合に場合に適用される。一方、機体を垂直に上昇或いは下降させる場合には、図8(e)に示すように、ローターシャフト2が垂直姿勢に保持された状態で、ピッチ変更機構15は、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、コレクティブピッチを制御する。コレクティブピッチを大きくすることで機体が垂直に上昇し、コレクティブピッチを小さくすることで機体が下降する。
(ロック機構16)
図5、図6(a)に示すように、連動シャフト25の中程には、連動シャフト25の回動をロック(固定)することで、左右の主翼3に夫々収容された左右のパイプ17の回動角度を固定し、左右のローターシャフト2の回動角度を固定するロック機構16が設けられている。ロック機構16は、連動シャフト25に固定されたドラムの内周面にシューを押し付ける所謂ドラムブレーキ構造、又は連動シャフト25に固定されたディスクをパッドで挟持するディスクブレーキ構造等となっており、連動シャフト25の回動を固定することで、上述したピッチ変更機構15によるローター7のサイクリックピッチの変更によって回動された左右のローターシャフト2の回動角度を固定する。
図5、図6(a)に示すように、連動シャフト25の中程には、連動シャフト25の回動をロック(固定)することで、左右の主翼3に夫々収容された左右のパイプ17の回動角度を固定し、左右のローターシャフト2の回動角度を固定するロック機構16が設けられている。ロック機構16は、連動シャフト25に固定されたドラムの内周面にシューを押し付ける所謂ドラムブレーキ構造、又は連動シャフト25に固定されたディスクをパッドで挟持するディスクブレーキ構造等となっており、連動シャフト25の回動を固定することで、上述したピッチ変更機構15によるローター7のサイクリックピッチの変更によって回動された左右のローターシャフト2の回動角度を固定する。
ロック機構16によって固定されるローターシャフト2の回動角度は、図7(a)に示す垂直姿勢の角度(90度)、図7(e)に示す水平姿勢の角度(0度)に限られない。ロック機構16は、ロータシャフト2が図7(a)から図7(e)に回動する途中、又は図8(a)から図8(e)に回動する途中で、連動シャフト25の回動を固定することで、左右のロータシャフト2を0度から90度の範囲の任意の角度で同調を取って固定できる。
(動力伝達機構9)
図1に示すように、動力伝達機構9は、胴体4に収容された駆動源8の回転力を第1駆動シャフト11を介して主翼3の付け根部の内部に収容されたギヤボックス10に伝達し、ギヤボックス10から左右の第2駆動シャフト12を介して左右のローターシャフト2に伝達し、左右のローターシャフト2を相互に逆回転させるものである。
図1に示すように、動力伝達機構9は、胴体4に収容された駆動源8の回転力を第1駆動シャフト11を介して主翼3の付け根部の内部に収容されたギヤボックス10に伝達し、ギヤボックス10から左右の第2駆動シャフト12を介して左右のローターシャフト2に伝達し、左右のローターシャフト2を相互に逆回転させるものである。
図5、図6(a)に示すように、ギヤボックス10は、左右の第2駆動シャフト12を同方向に回転させる。左右の第2駆動シャフト12は、ギヤボックス10から夫々左右の主翼3のスパン方向の外方に向けて延出され、連動機構22の第1ブラケット23に形成された孔31を挿通し、回動支持機構14のパイプ17の内部を挿通し、パイプ17の先端に取り付けられたシャフト軸支部18まで延出されている。かかる第2駆動シャフト12は、パイプ17の内周面に軸受32を介して回転自在に支持されており、パイプ17の回動とは無関係に、即ち、パイプ17の回動角度に応じて変動するローターシャフト2の回動角度とは無関係に、駆動源8及びギヤボックス10によって回転されるようになっている。
図5に示すように、左右の第2駆動シャフト12の先端には、傘歯車33が夫々取り付けられている。この傘歯車33は、シャフト軸支部18に回転自在に支持されたローターシャフト2の端部に取り付けられた傘歯車34に、噛合されている。かかる動力伝達機構9によれば、図1に示す駆動源8の回転力が第1駆動シャフト11を介して図5に示すギヤボックス10に伝達され、左右の第2駆動シャフト12が同方向に回転され、傘歯車33、34を介して左右のローターシャフト2が相互に逆方向に回転駆動される。また、左右の第2駆動シャフト12が左右のパイプ17の回動とは無関係に回転されるので、左右のローターシャフト2は、左右のパイプ17の回動状況によって変動する左右のローターシャフト2の回動角度に拘わらず、相互に逆方向に同期して同じ回転数(rpm)で回転駆動される。
図5において、ローターシャフト2の延長線と第2駆動シャフト12の延長線との交点が、機体の重心位置Gとなっており、パイプ17が回動することでローターシャフト2が図3に仮想線で示すように機体の重心位置Gを中心として下方に回動するようになっている。ここで図5に示す重心位置Gは、図3に示す機体に唯一存在する前後方向の重心を通って機体の側方に延出されたライン上に位置し、そのラインとローターシャフト2を延長したラインとが交差した位置である。また、重心位置Gからローターシャフト2の先端のローター取付部までの長さL1が、重心位置Gから主翼3の後縁までの長さL2に応じて設定されており、ローター7が主翼3の後縁と干渉しないようになっている。
(垂直離着陸)
上述した垂直離着陸機1は、垂直に離陸する際、図7(a)に示すように、左右のローターシャフト2を垂直姿勢とした状態で上述のロック機構16(図5参照)によりローター7の回動角度を固定する。そして、ピッチ変更機構15により、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、コレクティブピッチを大きくすることで、揚力を増大させて離陸する。その後、図7(b)に示すように、ピッチ変更機構15(図5参照)によりローター7の前半分側7fの揚力F1よりも後半分側7rの揚力F2が大きくなるようにローター7のサイクリックピッチを制御することで、図7(c)に示すようにローター7の回転面を前進方向に傾け、ロック機構16によりローターシャフト2の回動角度を斜めの状態で固定し、機体を前進させる。なお、ローターシャフト2の回動角度を斜めの状態で固定した後、ローター7のサイクリックピッチを一定として、ローター7の揚力アンバランスを解消してもよい。
上述した垂直離着陸機1は、垂直に離陸する際、図7(a)に示すように、左右のローターシャフト2を垂直姿勢とした状態で上述のロック機構16(図5参照)によりローター7の回動角度を固定する。そして、ピッチ変更機構15により、ローター7のサイクリックピッチを一定とし、コレクティブピッチを大きくすることで、揚力を増大させて離陸する。その後、図7(b)に示すように、ピッチ変更機構15(図5参照)によりローター7の前半分側7fの揚力F1よりも後半分側7rの揚力F2が大きくなるようにローター7のサイクリックピッチを制御することで、図7(c)に示すようにローター7の回転面を前進方向に傾け、ロック機構16によりローターシャフト2の回動角度を斜めの状態で固定し、機体を前進させる。なお、ローターシャフト2の回動角度を斜めの状態で固定した後、ローター7のサイクリックピッチを一定として、ローター7の揚力アンバランスを解消してもよい。
機体の速度が増し、主翼3に十分な揚力が発生する所定速度となったなら、ロック機構16により斜めの状態で固定されていたローターシャフト2の回動角度をフリーとすると共に、ローター5のサイクリックピッチを上述したように制御することで、図7(d)に示すように、ローター7の回転面を主翼3の後方に向け、ローターシャフト2を水平姿勢とする。ローターシャフト2が水平姿勢となったなら、ロック機構16によりローターシャフト2の回動角度を固定し、前進飛行に移行する。前進飛行時には、図7(e)に示すように、ピッチ変更機構15により、ローター7のサイクリックピッチを一定とすることでローターの揚力アンバランスを解消し、コレクティブピッチを制御することで機体の速度を変更することができる。前進飛行から垂直に着陸する際には、上述とは逆の手順となる(図8(a)〜図8(e)参照)。
また、図7(a)に示すように、左右のローターシャフト2を垂直姿勢として垂直に離陸した後、ピッチ変更機構15により、サイクリックピッチを機体の重量と釣り合わせるように一定とすることで空中でホバリングでき、その状態でサイクリックピッチを制御することで機体を前後左右に自在に移動させることができる。また、図7(c)に示すローターシャフト2の傾斜角度を制御することで、低速から高速まで安定して巡航できる。
(作用・効果)
図3に示すように、本実施形態に係る垂直離着陸機1は、主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBAに機体の重心位置Gを設定し、その重心位置Gから下方にローターシャフト2を延出し、そのローターシャフト2を先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で回動させる。垂直姿勢となったローターシャフト2が機体の重心位置Gに配置されているので、ローター5による揚力作用位置(ローターシャフト2位置)と機体重量作用位置(重心位置G)とが一致し、機体にピッチングモーメントが発生せず、機体が安定して垂直に上昇又は下降する。
図3に示すように、本実施形態に係る垂直離着陸機1は、主翼3の翼弦中央Cよりも後縁側のエリアBAに機体の重心位置Gを設定し、その重心位置Gから下方にローターシャフト2を延出し、そのローターシャフト2を先端2aが主翼3の下方に向く垂直姿勢と先端2aが主翼3の後方に向く水平姿勢との間で回動させる。垂直姿勢となったローターシャフト2が機体の重心位置Gに配置されているので、ローター5による揚力作用位置(ローターシャフト2位置)と機体重量作用位置(重心位置G)とが一致し、機体にピッチングモーメントが発生せず、機体が安定して垂直に上昇又は下降する。
主翼3の後縁側エリアBAに設定された機体の重心位置Gから下方にローターシャフト2が延出されているので、そのローターシャフト2を重心位置Gを中心として後方に回動させて水平姿勢としたとき、ローター7の回転面を主翼3の後縁よりも後方とするために必要なローターシャフト2の長さを、機体の重心位置Gが主翼3の前縁側エリアFA(前縁から翼弦の25%〜30%程度後方の位置)に設定されている通常の場合よりも、短くできる。
かかる効果は、機体の重心位置Gを主翼3の後縁側エリアBAに設定し、その重心位置Gから下方にローターシャフト2を延出することで達成している。よって、ローター7の動力伝達機構を折り畳み式とした従来例と比べると、軽量且つ簡単な構造でローターシャフト2の長さの短縮化を図ることができる。
ローターシャフト2を通常の場合よりも短くできることから、ローターシャフト2を先端2aが下方に向く垂直姿勢としてローター7を主翼3の下方に向けた際、ローター7の回転面と地面との距離を確保でき、主翼3の位置を通常の場合よりも下げてローター7の回転面を地面に近付け、機体の重心高を低くすることが可能となる。よって、垂直上昇時(下降時)の安定性が向上する。
ローターシャフト2の回動は、ローターシャフト2を主翼3に重心位置Gを中心として垂直姿勢と水平姿勢との間で回動自在に支持しておき、ローター7のサイクリックピッチを変更することで達成している。よって、ローター7が回転している状態でローターシャフト2自体をアクチュエータで直接回動させる場合よりも、無理なくローターシャフト2を回動でき、ローターシャフト2に加わるストレスが小さく、信頼性・耐久性が向上する。
左右のローターシャフト2の回動角度は、連動機構22によって同調されている。よって、左右のローターシャフト2の回動角度が不揃いとなることによる機体の不安定化を回避できる。また、左右のロータ7の回転数(rpm)は、動力伝達機構9によって同調されている。よって、左右のロータ7の回転数が不揃いとなることによる機体の不安定化を回避できる。
図3に示すように、機体の重心位置Gを主翼3の後縁側エリアBAに設定しているため、主翼3の空力中心(揚力中心)ACが重心位置Gよりも前方となっている。即ち、通常、重心位置Gは空力中心ACよりも前方に設定されるが、この機体では逆になっている。このため、水平尾翼5を通常とは逆に水平飛行時に揚力Zが発生する翼形状、取付角度としている。これにより、水平飛行時(前進飛行時)に、空力中心ACに作用する主翼3の揚力Yと、重心位置Gに作用する機体重量Xと、水平尾翼5に発生する揚力Zとによって、機体のピッチング方向のバランスを保つことができる。また、水平尾翼5の面積を通常よりも広く設定することで、安定性を高めている。
(実施形態)
図9に本発明の一実施形態に係る垂直離着陸機1aを示す。この垂直離着陸機1aは、空力中心ACが機体の重心位置Gよりも後方に位置する主翼3aである点が前参考形態と相違し、その他は前参考形態と略同様の構成となっている。よって、前参考形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点を説明する。
図9に本発明の一実施形態に係る垂直離着陸機1aを示す。この垂直離着陸機1aは、空力中心ACが機体の重心位置Gよりも後方に位置する主翼3aである点が前参考形態と相違し、その他は前参考形態と略同様の構成となっている。よって、前参考形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点を説明する。
この垂直離着陸機1aの主翼3aは、機体の重心位置Gよりも後縁側に主翼3の空力中心ACが位置するように、前縁と翼弦中央Cとの間のキャンバーよりも翼弦中央Cと後縁との間のキャンバーが大きい翼型となっている。なお、前縁と翼弦中央Cとの間においては、キャンバーを零とし、対称翼としてもよい。
かかる翼型の主翼3aとすることで、機体の重心位置Gを主翼3aの後縁側エリアBAに設定しても、その重心位置Gよりも後方に空力中心ACを設定できる。重心位置Gを通常の場合と同様に空力中心ACよりも前方とすることで、水平尾翼5aを通常の場合と同様に水平飛行時に下向きの力Zaを発生させる翼形状、取付角度とすることができ、機体の安定性が向上する。その他、この実施形態の基本的な作用効果は、前参考形態と同様であるので、説明を省略する。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。例えば、本発明に係る垂直離着陸機は、人や貨物の運搬に利用するのみならず、無人観測機やラジオコントロール機等にも適用できる。
本発明は、ローターの回転面を下方に向けることで垂直に離着陸し、ローターの回転面を後方に向けることで前進する垂直離着陸機に利用できる。
1 垂直離着陸機
2 ローターシャフト
2a 先端
3 主翼
C 翼弦中央
BA 後縁側エリア
G 重心位置
7 ローター
7f 前半分側
7r 後半分側
7u 上半分側
7d 下半分側
13 回動手段
14 回動支持機構
15 ピッチ変更機構
16 ロック機構
AC 空力中心
L1 重心位置からローターシャフトの先端のローター取付部までの長さ
L2 重心位置から主翼の後縁までの長さ
2 ローターシャフト
2a 先端
3 主翼
C 翼弦中央
BA 後縁側エリア
G 重心位置
7 ローター
7f 前半分側
7r 後半分側
7u 上半分側
7d 下半分側
13 回動手段
14 回動支持機構
15 ピッチ変更機構
16 ロック機構
AC 空力中心
L1 重心位置からローターシャフトの先端のローター取付部までの長さ
L2 重心位置から主翼の後縁までの長さ
Claims (6)
- 機体を側方から見て、主翼の翼弦中央よりも後縁側のエリアに機体の重心位置を設定し、
前記主翼から前記重心位置の下方に向けて延出され、先端にローターが取り付けられ、該ローターに揚力を発生させるべく回転駆動されるローターシャフトと、
該ローターシャフトを、前記重心位置を中心として、先端が前記主翼の下方に向く第1姿勢と先端が前記主翼の後方に向く第2姿勢との間で回動させる回動手段とを備え、
前記重心位置は、機体に唯一存在する前後方向の重心を通って機体の側方に延出されたライン上に位置し、そのラインと前記ローターシャフトを延長したラインとが交差した位置であり、前記ローターシャフトが位置する主翼の翼弦において、翼弦中央よりも後縁側のエリアに設定され、
前記ローターシャフトは、前記重心位置から前記ローターシャフトの先端のローター取付部までの長さが、前記重心位置から前記主翼の後縁までの長さに応じて設定され、
前記回動手段は、前記ローターシャフトを前記主翼に前記重心位置を中心として前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で回動自在に支持する回動支持機構と、該回動支持機構によって前記主翼に回動自在に支持された前記ローターシャフトの回動角度が変更されるように、前記ローターのサイクリックピッチを変更するピッチ変更機構と、該ピッチ変更機構による前記ローターのサイクリックピッチの変更によって回動された前記ローターシャフトの回動角度を固定するロック機構とを備え、
前記主翼は、前記重心位置よりも後縁側に空力中心が位置するように、前縁と翼弦中央との間のキャンバーよりも翼弦中央と後縁との間のキャンバーが大きい翼型である、ことを特徴とする垂直離着陸機。 - 前記ピッチ変更機構は、
前記ローターシャフトが前記第1姿勢のとき前記ローターの前半分側の揚力よりも後半分側の揚力を高めるように前記ローターのサイクリックピッチを変更する機能を有し、
前記ローターシャフトが前記第2姿勢のとき前記ローターの上半分側の揚力よりも下半分側の揚力を高めるように前記ローターのサイクリックピッチを変更する機能を有するものである、請求項1に記載の垂直離着陸機。 - 前記ローターシャフトが、左右の主翼に夫々配設され、
前記回動支持機構が、左右の主翼の内部に夫々収容され主翼の付け根部から翼端に向けて延出されその軸回りに回動自在なパイプと、該パイプの先端に取り付けられ前記ローターシャフトを支持するシャフト軸支部とを有し、前記パイプの回動に伴って前記ローターシャフトを前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で回動させるものであり、
左右の前記パイプの間に、双方のパイプの回動角度を機械的に同調させる連動機構を設けた、請求項1又は2に記載の垂直離着陸機。 - 前記連動機構は、左右の前記パイプの主翼の付け根部側の端部に夫々取り付けられた第1ブラケットと、主翼のスパン方向と平行に配置され軸受で支持された連動シャフトと、該連動シャフトに間隔を隔てて取り付けられた第2ブラケットと、該第2ブランケットと前記第1ブラケットとをリンク機構を成すように連結する連結アームとを有する、請求項3に記載の垂直離着陸機。
- 前記ロック機構は、前記連動シャフトの回動を固定するものである、請求項4に記載の垂直離着陸機。
- 左右の主翼に配設された前記ローターシャフトを駆動するための駆動源と、
左右の主翼の内部に収容された前記パイプ同士の間に配置されたギヤボックスと、
該ギヤボックスと前記駆動源との間に設けられた第1駆動シャフトと、
前記ギヤボックスと左右の前記ローターシャフトとの間に設けられた第2駆動シャフトとを備え、
該第2駆動シャフトが、前記パイプの内部に挿通された、請求項3から5の何れか1項に記載の垂直離着陸機。
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