JPH1130588A - 円二色性分光分析を用いるイオン検出方法 - Google Patents

円二色性分光分析を用いるイオン検出方法

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JPH1130588A
JPH1130588A JP20084097A JP20084097A JPH1130588A JP H1130588 A JPH1130588 A JP H1130588A JP 20084097 A JP20084097 A JP 20084097A JP 20084097 A JP20084097 A JP 20084097A JP H1130588 A JPH1130588 A JP H1130588A
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host molecule
ion
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molecule
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JP20084097A
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Takaharu Hirose
敬治 廣瀬
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホスト、ゲスト化学を用いて特定イオンを選
択性よく検出する。 【解決手段】 ホスト分子の2つの発色団間は明確なキ
ラリティーを持たないため、明確な円二色性を示さない
が、リチウムイオンを加えると、ホストの2つの発色団
はリチウムイオンを抱え込むようにねじれ配向をとり、
この配向から大きな円二色性スペクトル変化を伴う発色
団間の明確なキラリティーが生じる。これらのスペクト
ルからゲスト分子の結合しているホストとそうでないも
のを容易に識別することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスト、ゲスト化
学を用いる分析方法、特に特定イオンを検出する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ホスト、ゲスト化学で形成されたホスト
−ゲスト錯体を光学的な手段などを用いて検出すること
によりゲスト認識情報を外部に取り出す方法としては、
ホスト分子に呈色能や発光能を持たせてホスト−ゲスト
錯体の吸収スペクトルや蛍光スペクトルを測定する方法
(方法1)、溶媒や膜の移動を利用した輸送実験をする
方法(方法2)、イオン選択性電極に組み込んで電位測
定を行なう方法(方法3)、高速原子衝撃質量分析方法
(方法4)などが利用されてきた。そのうち、方法2、
方法3及び方法4は、処理や操作の困難さ、装置や設備
のコストの点で問題がある。それに比べて、方法1は測
定の簡便性、迅速性、感度などの点で優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】方法1による特定のイ
オン(ゲスト)の認識は、そのイオンがホスト分子と結
合して錯体が形成されたことによるホスト分子の吸収ス
ペクトル又は蛍光スペクトルの変化として検出される。
しかし、特定のイオンと結合しているホスト分子とそう
でないホスト分子との間で、吸収スペクトル又は蛍光ス
ペクトルの重なりが大きく、両者をスペクトルの上で分
離することは容易ではない。
【0004】また、目的とするイオン以外のイオン(妨
害イオン)が共存した場合、目的イオンに対するホスト
分子の選択性が不十分であるという問題もあった。そこ
で、本発明は、ゲストと結合したホスト分子とそうでな
いホスト分子との識別を容易にし、かつ、妨害イオンの
存在下での目的イオンに対する選択性を向上させること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ホスト分子で
は2つ以上の発色団をスペーサを用いて結合させてお
き、ゲストとしての目的イオンとの錯体形成時にその発
色団をキラルな状態にねじれ配向させることにより円二
色性(Circular dichroism;CD)を発生させる。すな
わち、本発明は、ホスト、ゲスト化学を用いるイオン検
出方法において、特定のイオンと選択的に結合して錯体
を形成するように2つ以上の発色団がスペーサ分子を介
して結合しているキラルな化合物をホスト分子として使
用し、そのホスト分子と特定のイオンとを選択的に結合
させてホスト−ゲスト錯体を形成することによりその発
色団をキラル配向させるステップと、形成されたホスト
−ゲスト錯体を円二色性の測定によって検出するステッ
プと、を備えて特定のイオンを検出するイオン検出方法
である。
【0006】スペーサ分子と発色団との結合によって形
成されたホスト分子は、それ自体では十分にキラルな配
向をとらず、円二色性を測定しても十分な大きさの信号
を得ることはできない。しかし、そのホスト分子が特定
のイオンと結合するとホスト−ゲスト錯体を形成して発
色団がキラル配向し、十分な大きさの円二色性を呈する
ようになる。ホスト分子と結合してホスト−ゲスト錯体
を形成するイオンは、ホスト分子を構成しているスペー
サ分子と発色団により定まる。そのため、本発明ではホ
スト分子は検出しようとするイオンに対して選択性をも
つことになる。
【0007】円二色性は円偏光円二色性とも呼ばれ、キ
ラル物質でみられ、円偏光に対する吸収が右偏光と左偏
光とで異なる現象である。円二色性の測定は円二色性分
光器(CD分光器)を用いて行ない、測定値としては差
吸光度(ΔA)又は楕円率(θ)が求められる。
【0008】差吸光度(ΔA)は、左円偏光に対する吸
光度(AL)から右円偏光に対する吸光度(AR)を引
いた吸光度差であり、つぎの(1)式で定義される。 ΔA=AL−AR =Δε・c・L (1) ここで、Δεはモル吸光係数の差、cは濃度(mol/
1)、Lは光路長(cm)である。ΔAはそれぞれの波
長で求めることができ、波長によってΔεが異なる。
【0009】楕円率(ellipticity;θ)は慣例として
よく使われ、次の(2)式により、直線偏光を照射した
ときに得られる楕円偏光の短軸(b)と長軸(a)の比
の逆正接として定義される。 θ=tan-1(b/a) (2) θの単位は度(degree)である。差吸光度(ΔA)と楕
円率(θ)の間には次の(3)式の関係が成立してい
る。 θ=32.98ΔA (3)
【0010】本発明は定量分析にも適用することができ
る。定量を行なう際のCDの測光値楕円率(θ)と差吸
光度(ΔA)のいずれでもよいが、ある波長で(1)式
を用いて定量を行なうのが基本である。本発明では、う
まく分子設計を行なうことにより、楕円率又は差吸光度
への寄与は、特定イオン、例えばリチウムイオンが結合
したゲスト分子からのみになり、他のイオン、例えばナ
トリウムイオンと結合したゲスト分子やフリーのゲスト
分子からの寄与を無視できるようになる。もし、スペク
トルがお互いに重なり合い、他の成分の寄与が無視でき
ないときや、それぞれの成分がお互いに干渉しあったり
する場合は、スペクトルのデータを重回帰分析やPLS
(Partial Least Squares)などの多変量解析で処理す
ればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】ホスト分子は2つ以上の発色団が
キラルなスペーサ分子を介して結合して形成された化合
物であるが、そこでのキラルなスペーサ分子としては、
直鎖状又は環状であって、飽和又は不飽和の、炭化水素
化合物又はヘテロ原子を含む炭化水素化合物を用いるこ
とができる。そのようなスペーサ分子としては、例えば
次に例示する化合物群の中から選択して用いることがで
きる。 (a)ジアルキル、ジアリール、アルキルアリール、及
びアルケルなどの酒石酸誘導体。 (b)シクロヘキサンジオール及びその誘導体。 (c)シクロアルカンジアミン及びその誘導体。 (d)シクロアルカンジカルボン及びその誘導体。
【0012】また、ホスト分子を形成する発色団とし
て、例えば次に例示するヘテロ原子含有芳香族炭化水素
化合物群の中から選択して用いることができる。 (a)ピリジル基やビピリジル基をもつもの、及びその
誘導体。 (b)フェノール及びその誘導体。 (c)ビフェノール及びその誘導体。例えばビナフトー
ル。 本発明では、検出しようとするイオンと選択的に結合し
てホスト−ゲスト錯体を形成するように、スペーサ分子
と発色団を選択する。
【0013】
【実施例】図1は一実施例におけるホスト−ゲスト錯体
形成過程を示す反応式であり、左辺はホスト分子、右辺
は形成されたホスト−ゲスト錯体である。このホスト分
子は、記号bで示されるフェニルシクロヘキサンジオー
ルからなるキラルなスペーサ分子の2つの水酸基に、記
号a,cで示されるフェナントロリンが発色団としてそ
れぞれ結合したものである。このホスト分子では、発色
団の配向はまだ定まっておらず、明確なキラリティーを
持っていない。
【0014】このホスト分子にターゲットとなるリチウ
ムイオンがゲストイオンとして加えられると、右辺に示
されるように、リチウムイオンの周りをフェナントロリ
ンの窒素原子が取り囲んだ状態のホスト−ゲスト錯体が
形成される。その錯体では発色団の配向が定まり、明確
なキラリティーをもつことになる。目的とするイオンを
検出するために、目的イオンとホスト分子とを反応させ
てホスト−ゲスト錯体を形成させ、その状態で円二色性
スペクトルを測定する。
【0015】図2に円二色性スペクトルを示す。縦軸は
楕円率θ(ミリ度)、横軸は波長λ(nm)である。図
中のAはゲストを加えないときのホスト分子(図1の左
辺のもの)のもの、Bはゲストとしてリチウムイオンを
加えたときのものである。ゲストを加えない場合のホス
ト分子の円二色性スペクトルには小さな円二色性のシグ
ナルしか観測されない。これは、ホスト分子が発色団
a、c間に明確なキラリティーを持たないためである。
一方、ゲストとしてリチウムイオンを加えると、図1の
右辺に示されるように、ホストの発色団a、cはリチウ
ムイオンを抱え込むような配向をとり、この配向から大
きな円二色性スペクトル変化を伴う発色団a、c間のキ
ラリティーが生じる。これらのスペクトルA,Bからゲ
ストの結合しているホスト分子とそうでないホスト分子
を容易に識別することができる。
【0016】図2中のCはリチウムイオンの代りに妨害
イオンとなるナトリウムイオンを加えた場合の円二色性
スペクトルである。この場合はゲストを加えない場合と
比べてほとんど変化がなく、円二色性スペクトル変化を
伴う発色団a、c間のキラリティーが生じていないこ
と、すなわち図1の右辺に示されるようなホスト−ゲス
ト錯体は形成されていないことを示している。
【0017】波長λ0は、ナトリウムイオンのみを加え
た場合にはホストは円二色性を示さないが、リチウムイ
オンを加えた場合にはホストは大きな円二色性を示す波
長である。よって、波長λ0での円二色性のシグナル
(楕円率)をモニターすることにより、妨害イオンであ
るナトリウムの存在下でもリチウムイオンとホストとの
錯体形成を検出することができる。
【0018】本発明では、発色団やスペーサ分子を実施
例に示したものから他のものに変えることにより、他の
イオンと結合能を持たせたり、イオン種に対する選択性
を向上させたり、円二色性のシグナルを増大させて検出
感度を高めることもできる。
【0019】
【発明の効果】本発明では、目的イオンと選択的に結合
して錯体を形成するように2つ以上の発色団がキラルな
スペーサ分子を介して結合している化合物をホスト分子
として使用するので、ホスト分子は目的イオンと結合す
る前は、大きな円二色性のスペクトル変化を伴う発色団
間の明確なキラリティーを持たないが、目的イオンとの
結合によって発色団間に明確なキラリティーが生じる。
このことによって、目的イオンと結合しているホスト分
子とそうでないホスト分子とを円二色性の有無によって
識別することができ、ホスト分子と選択的に結合した目
的イオンの存在を検出することができる。また、ホスト
分子と妨害イオンのみが存在する場合には楕円率を示さ
ないが、目的イオンが存在すれば大きな楕円率を示す波
長λ0を見出すことによって、その波長をモニター波長
として目的イオンの検出を容易に行なうことができるよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例におけるホスト−ゲスト錯体形成反応
を模式的に示す反応式である。
【図2】同実施例における円二色性スペクトルを示す図
であり、Aはホスト分子のみ、Bはホスト分子にリチウ
ムイオンを加えた場合、Cはホスト分子にナトリウムイ
オンを加えた場合である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスト、ゲスト化学を用いるイオン検出
    方法において、 特定のイオンと選択的に結合して錯体を形成するように
    2つ以上の発色団がスペーサ分子を介して結合している
    キラルな化合物をホスト分子として使用し、 そのホスト分子と特定のイオンとを選択的に結合させて
    ホスト−ゲスト錯体を形成することにより前記発色団を
    キラル配向させるステップと、 形成された前記ホスト−ゲスト錯体を円二色性の測定に
    よって検出するステップと、を備えて特定のイオンを検
    出することを特徴とするイオン検出方法。
JP20084097A 1997-07-09 1997-07-09 円二色性分光分析を用いるイオン検出方法 Pending JPH1130588A (ja)

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JP20084097A JPH1130588A (ja) 1997-07-09 1997-07-09 円二色性分光分析を用いるイオン検出方法

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ID=16431089

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007524845A (ja) * 2003-10-14 2007-08-30 バイオ トゥールズ インク フーリエ変換赤外振動円二色性分光法を使用したキラル分子の反応モニタリング

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007524845A (ja) * 2003-10-14 2007-08-30 バイオ トゥールズ インク フーリエ変換赤外振動円二色性分光法を使用したキラル分子の反応モニタリング

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