JPH11303732A - リニア圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周方向の振れ回りを低減する。 【解決手段】 ハウジング１内にピストン２を固定的に
設けるとともに、シリンダ３を往復動可能に設け、シリ
ンダ３を動作させるリニアモータ４を設けているととも
に、シリンダ３の軸方向の端部をフレクチャばね５によ
り支持している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はリニア圧縮機に関
し、さらに詳細にいえば、ピストンを固定子、シリンダ
を往復動させるようにした新規なリニア圧縮機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から、冷蔵庫、空気調和装置などに
用いられるリニア圧縮機としては、ピストンを往復動可
能とする構成のものが採用されている（例えば、特開平
１０−３７８５６号公報参照）。特開平１０−３７８５
６号公報に記載されたリニア圧縮機は、ハウジングの内
部にシリンダを取付けてあるとともに、シリンダの内部
に往復動可能にピストンを設けて圧縮室を区画形成して
あり、しかも、ピストンシャフトを介して連結されたボ
ビンの一部をシリンダを包囲するように設けてあるとと
もに、固定子をハウジングに、可動子をボビンに、それ
ぞれ連結してなるリニアモータを設けてあり、さらに、
ボビンの軸方向端部とハウジングの所定位置との間にコ
イルばねを設けた構成を採用している。もちろん、前記
圧縮室と冷媒吐出管、冷媒吸入管とをバルブを介して連
通してある。

【０００３】また、ピストンとシリンダとを共に往復動
可能とする構成のものも知られている（例えば、特開平
９−８８８１７号公報参照）。特開平９−８８８１７号
公報に記載されたリニア圧縮機は、振動騒音の低減を目
的として、ハウジングの内部にシリンダとピストンとを
有しているとともに、シリンダとハウジングの所定位置
との間にコイルばねを、ピストンとハウジングの所定位
置との間にもコイルばねを、それぞれ設け、リニアモー
タの固定子、可動子の一方をシリンダと、他方をピスト
ンと連結し、ピストンとシリンダとで区画形成される圧
縮室と冷媒吐出口とを連通管路で連通する構成を採用し
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】特開平１０−３７８５
６号公報に記載されたリニア圧縮機においては、ピスト
ンの摺動部とコイルばねによる支持部との距離がピスト
ンシャフトの存在により必然的に長くなってしまう。し
たがって、ピストン周方向の振れ回りが大きく、ひいて
はシリンダとピストンとの間の摩擦に起因して、効率の
低下、信頼性の低下などを招いてしまうという不都合が
ある。

【０００５】また、ピストンの両端を支持することが困
難であるから、必然的に片持ち支持を行なうことになっ
てしまい、ピストン周方向の振れ回りが一層大きくなっ
てしまう。特開平９−８８８１７号公報に記載されたリ
ニア圧縮機においては、ピストンの摺動部とコイルばね
によるピストン支持部との距離がピストンシャフトの存
在により必然的に長くなってしまい、特開平１０−３７
８５６号公報に記載されたリニア圧縮機と同様の不都合
を生じてしまうだけでなく、シリンダもコイルばねで支
持されているのであるから、シリンダ周方向の振れ回り
がある程度発生し、全体として、振れ回りが特開平１０
−３７８５６号公報に記載されたリニア圧縮機の振れ回
りよりも大きくなってしまう。

【０００６】

【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、周方向の振れ回りを低減することができ
るリニア圧縮機を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１のリニア圧縮機
は、ハウジング内に固定的に設けられたピストンと、ピ
ストンを包囲する状態で往復動可能に設けられ、ピスト
ンとの間に圧縮室を形成するシリンダと、固定子がハウ
ジングの内面所定位置に設けられ、可動子がシリンダの
外面所定位置に設けられたリニアモータと、シリンダの
少なくとも一方の軸方向端部とハウジングの所定位置と
の間に設けられたばね部材とを含むものである。ここ
で、ばね部材としては、コイルばね、フレクチャばねな
どが例示できる。

【０００８】請求項２のリニア圧縮機は、シリンダの軸
方向両端部とハウジングの対応する所定位置との間に、
それぞればね部材を設けたものである。請求項３のリニ
ア圧縮機は、ハウジング内の雰囲気圧力を冷媒吐出圧力
に設定したものである。

【０００９】

【作用】請求項１のリニア圧縮機であれば、ピストンを
固定し、シリンダを往復動させるようにしているので、
ピストンとハウジングとの間にばね部材を設ける場合と
比較して、ピストンシャフトのような部材を必要としな
いことに起因して、ばね部材から摺動部までの距離を短
くすることができ、ひいては周方向の振れ回りを低減し
て、シリンダとピストンとの間の摩擦を低減し、効率の
向上、信頼性の向上を達成することができる。

【００１０】請求項２のリニア圧縮機であれば、シリン
ダの軸方向両端部とハウジングの対応する所定位置との
間に、それぞればね部材を設けているのであるから、シ
リンダの軸方向両端部をばね部材により支持して、周方
向の振れ回りを一層低減し、シリンダとピストンとの間
の摩擦を一層低減し、効率の一層の向上、信頼性の一層
の向上を達成することができる。

【００１１】請求項３のリニア圧縮機であれば、ハウジ
ング内の雰囲気圧力を冷媒吐出圧力に設定しているので
あるから、ピストンとシリンダとで形成される圧縮室と
ハウジングの所定位置に設けた冷媒吐出管路とを連通す
るための連通管路を省略することができ、構成を簡素化
できるほか、請求項１または請求項２と同様の作用を達
成することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明のリニア圧縮機の実施の態様を詳細に説明する。図
１はこの発明のリニア圧縮機の一実施態様を示す中央縦
断面図である。このリニア圧縮機は、ハウジング１の内
部に固定されたピストン２と、ピストン２を包囲する状
態で往復動可能なシリンダ３と、ハウジング１の内面所
定位置に固定子４ａが設けられ、シリンダ３の外面所定
位置に可動子４ｂが設けられてなるリニアモータ４と、
シリンダ３の軸方向の両端部とハウジング１の所定位置
との間に設けられたフレクチャばね５とを有している。

【００１３】前記ハウジング１は、側板の所定位置を貫
通する冷媒吸入管路１ａと、天板の中央部を貫通する冷
媒吐出管路１ｂとを有している。前記ピストン２は、全
体が中空に形成されているとともに、先端部にばね２ａ
により付勢された吸入弁２ｂを設けている。そして、ピ
ストン２と一体に、全体が中空のピストンシャフト２ｃ
を設けているとともに、ピストンシャフト２ｃの基部と
ハウジング１の内面所定位置とを連結する連結部材２ｄ
を設けている。なお、ピストンシャフト２ｃの中空部と
冷媒吸入管路１ａとは、連結部材２ｄの内部所定位置に
形成された流路を介して互いに連通されている。また、
ピストン２の外周面の所定位置にはピストンリング２ｅ
が設けられている。

【００１４】前記シリンダ３は、ピストン２の先端部側
の端部に、ばね３ａにより付勢された吐出弁３ｂを設け
てなる端板部材３ｃを設けてあり、ピストン２とシリン
ダ３とにより圧縮室６を区画形成している。前記リニア
モータ４の固定子４ａは永久磁石であり、可動子４ｂは
積層鋼板と積層鋼板により形成された凹所に収容された
コイルとで構成されている。

【００１５】前記フレクチャばね５は、ステンレスなど
からなるドーナツ状の板材に複数の螺旋状細溝を形成し
たものである。また、前記ハウジング１の内部空間は、
冷媒吐出圧力と等しい圧力に設定されている。上記の構
成のリニア圧縮機の作用は次のとおりである。

【００１６】リニアモータ４を駆動してシリンダ３を移
動させ、圧縮室６の体積を増加させれば、冷媒吸入管路
１ａから圧縮室６の内部に冷媒を導入することができ
る。次いで、リニアモータ４を駆動してシリンダ３を逆
方向に移動させ、圧縮室６の体積を減少させれば、導入
された冷媒を圧縮し、昇圧された冷媒を、圧縮室６の外
部であって、ハウジング１の内部の空間に吐出すること
ができる。そして、この空間における高圧の冷媒を冷媒
吐出管路１ｂを通して導出することができる。

【００１７】また、以上の動作を行なうに当って、シリ
ンダ３は軸方向の両端部がフレクチャばね５により支持
されているのであるから、周方向の振れ回りを大幅に低
減することができる。この結果、シリンダ３とピストン
２との間の摩擦を低減し、効率の向上、信頼性の向上を
達成することができる。図２はこの発明のリニア圧縮機
の他の実施態様を示す中央縦断面図である。

【００１８】このリニア圧縮機が図１のリニア圧縮機と
異なる点は、フレクチャばね５に代えてコイルばね７を
採用した点のみである。さらに詳細に説明すると、シリ
ンダ３の軸方向の両端面と対向するばね受け部材７ａを
設け、シリンダ３の各端部と対応するばね受け部材７ａ
との間にコイルばね７を設けている。

【００１９】この実施態様を採用した場合には、フレク
チャばね５に代えてコイルばね７を採用することに伴っ
て、周方向の振れ回りを低減する効果がやや低下する
が、従来のリニア圧縮機と比較すれば、周方向の振れ回
りを十分に低減することができる。上記何れの実施態様
においても、シリンダ３を１対のフレクチャばね５、も
しくはコイルばね７で支持しているが、一方のフレクチ
ャばね５、もしくはコイルばね７で支持することが可能
である。この場合には、周方向の振れ回りを低減する効
果がかなり低下するが、ピストンをコイルばねにより片
持ち支持する従来のリニア圧縮機と比較すれば、ピスト
ンとシリンダとの摺動部に近い位置を支持することがで
きるので、周方向の振れ回りを十分に低減することがで
きる。したがって、シリンダ３の天板側のみをフレクチ
ャばね５、もしくはコイルばね７で支持することが好ま
しく、反対側を支持する場合と比較して、周方向の振れ
回りを低減する効果を高めることができる。

【００２０】さらに、上記何れの実施態様においても、
ハウジング１の内部空間の圧力を冷媒吐出圧力（高圧）
に保持しているが、ハウジング１の内部空間の圧力を冷
媒吸入圧力（低圧）に保持することも可能である。ただ
し、ハウジング１の内部空間を低圧に保持する場合に
は、圧縮室６から吐出される冷媒を直接冷媒吐出管路１
ｂに導くべく吐出冷媒案内管路（図示せず）を設けるこ
とが必要になる。もちろん、圧縮室６の冷媒吐出部と冷
媒吐出管路１ｂとの距離は、シリンダ３の往復動に伴っ
て変化するのであるから、この吐出冷媒案内管路とし
て、前記距離の変化を吸収すべく、例えば、可撓性を持
つものを採用すればよい。

【００２１】

【発明の効果】請求項１の発明は、ピストンとハウジン
グとの間にばね部材を設ける場合と比較して、ピストン
シャフトのような部材を必要としないことに起因して、
ばね部材から摺動部までの距離を短くすることができ、
ひいては周方向の振れ回りを低減して、シリンダとピス
トンとの間の摩擦を低減し、効率の向上、信頼性の向上
を達成することができるという特有の効果を奏する。

【００２２】請求項２の発明は、シリンダの軸方向両端
部をばね部材により支持して、周方向の振れ回りを一層
低減し、シリンダとピストンとの間の摩擦を一層低減
し、効率の一層の向上、信頼性の一層の向上を達成する
ことができるという特有の効果を奏する。請求項３の発
明は、ピストンとシリンダとで形成される圧縮室とハウ
ジングの所定位置に設けた冷媒吐出管路とを連通するた
めの連通管路を省略することができ、構成を簡素化でき
るほか、請求項１または請求項２と同様の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のリニア圧縮機の一実施態様を示す中
央縦断面図である。

【図２】この発明のリニア圧縮機の他の実施態様を示す
中央縦断面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ ピストン ３ シリンダ ４ リニアモータ ４ａ 固定子 ４ｂ 可動子 ５ フレクチャばね ６ 圧縮室 ７ コイルばね

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング（１）内に固定的に設けられ
   たピストン（２）と、ピストン（２）を包囲する状態で
   往復動可能に設けられ、ピストン（２）との間に圧縮室
   （６）を形成するシリンダ（３）と、 固定子（４ａ）がハウジング（１）の内面所定位置に設
   けられ、可動子（４ｂ）がシリンダ（３）の外面所定位
   置に設けられたリニアモータ（４）と、 シリンダ（３）の少なくとも一方の軸方向端部とハウジ
   ング（１）の所定位置との間に設けられたばね部材
   （５）（７）とを含むことを特徴とするリニア圧縮機。
2. 【請求項２】 シリンダ（３）の軸方向両端部とハウジ
   ング（１）の対応する所定位置との間に、それぞればね
   部材（５）（７）を設けてある請求項１に記載のリニア
   圧縮機。
3. 【請求項３】 ハウジング（１）内の雰囲気圧力を冷媒
   吐出圧力に設定してある請求項１または請求項２に記載
   のリニア圧縮機。