JPH11302638A - ガラス内部に選択的に長残光を発生させる方法 - Google Patents

ガラス内部に選択的に長残光を発生させる方法

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JPH11302638A
JPH11302638A JP11043598A JP11043598A JPH11302638A JP H11302638 A JPH11302638 A JP H11302638A JP 11043598 A JP11043598 A JP 11043598A JP 11043598 A JP11043598 A JP 11043598A JP H11302638 A JPH11302638 A JP H11302638A
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建栄 邱
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清貴 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス内部に所定パターンの長残光発生領域
を形成する。 【構成】 Eu2+,Pr3+,Tb3+,Yb2+,Ce3+
Mn2+等の希土類イオン及び/又は遷移金属イオンを含
むガラスの内部に、集光点を調節したパルスレーザーを
集光照射する。ガラスには、ZBLAN等のフッ化物ガ
ラス,混合ハロゲン化物ガラス,CdO,ZnO,アル
カリ土類金属酸化物等を含むシリケート系,アルミネー
ト系,アルミノシリケート系等が使用される。集光点を
ガラスに対して相対移動させるとき、所定パターンで室
温で準安定な欠陥領域を長残光発生領域としてガラス内
部に形成できる。パルスレーザー光としては、パルス幅
100ピコ秒以下のパルスレーザー光が好ましい。 【効果】 集光点及び集光点近傍でのみ長残光が発生す
るため、長残光発生領域を所定パターンでガラス内部に
形成するとき、3次元ディスプレイ,大容量時限性光メ
モリ等として利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルスレーザー光の集
光照射によりガラスの内部に選択的に長残光を発生させ
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一部のEu2+を含む無機材料では、X
線,紫外線,短波長(≦400nm)側の可視光等の照
射により長残光を発生する性質がある。たとえば、スピ
ネル型のCaAl24 :Eu2+,Nd3+及びSrAl
24 :Eu2+,Dy3+は、紫外線及び短波長(≦40
0nm)側の可視光を照射した後、長時間にわたってそ
れぞれ明るい青色及び緑色の光を発することが報告され
ている[T.Matsuzawa et al., J.
Electrochem.Soc.,143(1996)
第2670頁]。また、Cu+ 含有ZnSでは、紫外線
や短波長側の可視光の照射により緑色の長残光が発生す
ることが報告されている(村山義彦「蛍光体ハンドブッ
ク」蛍光体同学会編,オーム社,東京,1987年,第
146頁)。X線、紫外線及び短波長側の可視光の照射
によりEu2+又はCu+ を含有する無機材料の一部だけ
に長残光を生じさせるためには、所定パターンの遮光マ
スクを用い無機材料を選択的に露光する。これにより、
遮光マスクのパターンに従って無機材料表面から長残光
を発光させることが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】X線,紫外線及び短波
長側の可視光の照射による長残光発生は、1光子過程に
よる反応である。そのため、照射エネルギが材料の表面
で吸収されてしまい、選択的に無機材料の内部から長残
光が発生せず、無機材料内部の特定領域のみで長残光を
選択的に発生させることはほとんど不可能であった。本
発明は、このような問題を解消すべく案出されたもので
あり、非共鳴パルスレーザー光の集光照射でガラス内部
にトラップセンターとなる欠陥を形成することにより、
ガラス中に長残光を選択的に発生させ、大容量時限性光
メモリ,3次元ディスプレイ等として利用し得る方法を
提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なく
とも1種を含むガラスの内部に、ガラスが吸収をもたな
い非共鳴のパルスレーザーを集光点を調節して集光照射
し、集光点及びその近傍のみ室温で準安定な電子及び正
孔がトラップされる欠陥を誘起して長残光発生領域を形
成することを特徴とする。室温で準安定な欠陥のエネル
ギ準位は、電子と正孔の再結合に起因する発光の強度と
温度との関係を示す熱ルミネッセンス曲線において最大
発光強度を示す温度が−200〜200℃であることに
相当する。希土類イオンとしては、好ましくはEu2+
Pr3+,Tb3+,Yb2+,Ce3+の1種又は2種以上が
使用される。遷移金属イオンとしては、好ましくはMn
2+が使用される。希土類イオン及び/又は遷移金属イオ
ンの合計含有量は、全陽イオンに対して0.001〜1
0cat%の範囲が好ましい。マトリックスガラスとし
ては、ZrF4 及びBaF2 を含むフッ化物ガラス,Z
rF4 及びBaF2 を含む混合ハロゲン化物ガラス,C
dO,ZnO,MgO,CaO,SrO及びBaOの少
なくとも1種とSiO2 及びAl23 の少なくとも1
種を含む酸化物ガラス等がある。
【0005】
【実施の形態】前掲したガラスに対し非共鳴のパルスレ
ーザーを集光点を調節して集光照射することにより、集
光点及びその近傍に欠陥が誘起される。誘起された欠陥
には、電子トラップセンター及び正孔トラップセンター
があり、それぞれガラスの伝導帯〜価電子帯間のバンド
ギャップに存在する。パルスレーザーの集光照射により
欠陥が誘起されるとき、同時に多光子吸収等の非線形光
学効果により電子−正孔対が形成され、それぞれ電子ト
ラップセンター及び正孔トラップセンターにトラップさ
れる。それぞれのトラップセンターにトラップされてい
る電子及び正孔の少なくとも一方が室温で準安定である
ことにより、長残光が発生する。他方の電子又は正孔
は、室温で安定であっても良い。なお、室温で準安定な
エネルギ準位とは、電子と正孔の再結合に起因する発光
の強度と温度との関係を示す熱ルミネッセンス曲線にお
いて最大発光強度を示す温度が−200〜200℃であ
ることに相当する。熱ルミネッセンス曲線における最大
発光強度を示す温度は、好ましくは−50〜100℃の
範囲にある。
【0006】希土類イオン,遷移金属イオンとしては、
Eu2+,Pr3+,Tb3+,Yb2+,Ce3+,Mn2+が好
ましく、発光効率を考慮するとEu2+,Pr3+,T
3+,Ce3+が特に好ましい。全陽イオンに対する希土
類イオン及び/又は遷移金属イオンの合計含有量は、
0.001〜10cat%(より好ましくは、0.01
〜5cat%)が望ましい。合計含有量が0.001c
at%に満たないと発光強度が弱く、逆に10cat%
を超えると濃度消光が起こり却って発光強度が弱くな
る。マトリックスガラスとしては、室温で準安定な欠
陥、すなわち熱ルミネッセンス曲線における最大発光強
度を示す温度が−200〜200℃となるような欠陥が
パルスレーザー光の集光照射によって誘起される組成で
ある限り、特段の制約を受けない。このようなガラスの
例としては、ZBLAN,ZBLA,ZB等のフッ化物
ガラス,これらのガラスのFの一部をCl,Br,Iで
置換した混合ハロゲン化物ガラス,CdO,ZnO,ア
ルカリ土類金属酸化物等を含むシリケート系,アルミネ
ート系,アルミノシリケート系等の酸化物ガラスが挙げ
られる。
【0007】長残光を発する所定のパターンは、パルス
レーザー光の集光点をガラスに対して相対移動させるこ
とによりガラスの内部に形成される。パルスレーザー光
の波長は、ガラス自体の固有吸収とガラス中に含まれる
希土類イオンや遷移金属イオンの吸収波長と重ならず、
非共鳴であることが好ましい。非共鳴のパルスレーザー
を照射すると、集光照射された長残光発生領域の周辺で
は室温で準安定な欠陥が形成できず、長残光発生領域と
発光の有無に差が生じる。また発光も時間経過に応じて
減衰する。
【0008】パルスレーザー光のパルス幅は、50フェ
ムト秒以上、100ピコ秒以下が好ましい。パルスレー
ザー光のピークパワーは、パルス幅が長くなるに従って
小さくなることから、同等のピークパワー密度を得るた
めにはレーザーパルスのピークエネルギを大きくする必
要がある。パルスレーザー光のピークパワーは1パルス
当りの出力エネルギ(J)をパルス幅(秒)で割ったパ
ワー(単位:W)で表され、ピークパワー密度は単位面
積(cm2 )当りのピークパワー(W/cm2)で表さ
れる。パルス幅が50フェムト秒より短いと、ガラス自
体が分散材料であることから、深さ方向に対する集光点
の位置に応じてガラス内部でのパルス幅が著しく変化
し、長残光発生領域のサイズを制御することが困難にな
る。逆にパルス幅が100ピコ秒より長いと、長残光の
発生に必要なピークエネルギのパルスレーザー光をガラ
ス内部に集光照射した場合、熱衝撃によりガラスに亀裂
が発生する虞れがある。
【0009】パルスレーザー光は、集光点がガラスの内
部に位置するように集光レンズで絞られ、ガラスに照射
される。集光点におけるパルスレーザー光の電場強度が
ガラスに長残光を発生させ得る閾値を超えると、集光点
及びその近傍に長残光が発生するが、電場強度が弱い集
光点から離れた位置では長残光が生じない。すなわち、
集光点及びその近傍のみに長残光発生領域が形成される
ため、集光点とガラスを相対的に移動させることにより
長残光発生領域を所定パターンで形成できる。たとえ
ば、光学系の走査によって集光点をX、Y、Zの3方向
に移動させ、或いはガラスをX、Y、Zの3方向に移動
させ、更には両者の移動を組み合わせることにより、必
要な2次元又は3次元パターンの長残光発生領域がガラ
スの内部に形成される。
【0010】
【作用】希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも
1種を含むガラスに非共鳴のパルスレーザー光を集光照
射すると、ガラス内部でレーザーの集光照射部及びその
近傍のみに、室温で準安定な欠陥を誘起すると共に、多
光子吸収等の非線形光学効果により電子及び正孔が形成
される。電子及び正孔は、図1(a)のモデルに示すよ
うにそれぞれのトラップセンターに捕獲される。各トラ
ップセンター(欠陥)に捕獲されている電子及び正孔の
少なくとも一方は、室温で準安定な状態にあり、室温程
度の温度で徐々に再励起され、再結合してエネルギを放
出する。放出エネルギは、ガラス中の希土類イオン及び
/又は遷移金属イオンの基底状態にある電子を励起す
る。そして、励起された電子が基底状態に戻るとき発光
が観測される。また、フェムト秒レーザーが励起光とし
て使用されるが、このフェムト秒レーザーの波長はガラ
スのバンドギャップよりエネルギの小さい可視域又は赤
外域のものである。すなわち、パルス幅の短いレーザー
を集光照射することにより多光子吸収が起こり、長波長
の光でも電子の励起が可能となる。
【0011】電子トラップセンター及び正孔トラップセ
ンターは、本発明者等が特願平8−296379号で提
案した輝尽発光でも形成される。しかし、電子トラップ
センターと伝導体の下端及び正孔トラップセンターと価
電子帯の上端とのエネルギ差は、図1(b)のモデルに
示すように、長残光の場合に比較して大きくなってい
る。そのため、トラップされた電子及び正孔が室温で再
結合することなく、可視光〜赤外光で励起することによ
り初めて再結合による発光が観測される。この場合、価
電子帯から伝導体への電子の励起は、エネルギの大きい
(ガラスのバンドギャップ以上のエネルギをもつ)X線
等の放射線による1光子過程である。このように、本発
明に従った長残光は、電子トラップセンター及び正孔ト
ラップセンターをガラス内部に形成させる点では輝尽発
光と共通するものの、発生のメカニズムが異なり、また
励起光も異なる。レーザーにより誘起された欠陥準位
は、ブロードな分布をもっている。そのため、ある特定
の温度、たとえば室温での再結合過程は緩やかな熱緩和
過程になり、長時間にわたる残光が集光照射部から発生
する。このようにして、ガラス中に長残光発生領域を選
択的に形成するとき、大容量時限性光メモリ,3次元デ
ィスプレイ等として利用できる。
【0012】
【実施例】実施例1:陽イオンの割合がEu2+:0.0
8cat%,Dy3+:0.08cat%,Sr2+:3
0.72cat%,Al3+:46.08cat%,Si
4+:23.04cat%の酸化物ガラスになるように、
Eu23 ,Dy23 ,SrCO3 ,Al23 ,S
iO2 原料を秤量・混合し、白金ルツボに入れた。混合
原料を1550℃で30分間溶融した後、室温付近まで
冷却した。得られたガラスをカーボンルツボに収容し、
5体積%H2 −Arガス雰囲気中1550℃で60分間
の還元処理を施した後、ガラス融液をルツボごと室温付
近まで急冷し、Eu2+含有酸化物ガラスを得た。このE
2+含有酸化物ガラスから厚さ5mmの試料を切り出
し、2平面を光学研磨した後で蛍光スペクトルを測定し
た。その結果、ガラス中のEuイオンは、ほとんどが2
価になっていることを確認した。
【0013】作製された試料の内部に集光点が位置する
ようにパルスレーザー光を10倍の対物レンズで絞り、
試料を集光照射した。パルスレーザー光として、アルゴ
ンレーザー励起のTi−サファイアレーザーから発振さ
れたパルス幅150フェムト秒、繰返し速度200kH
z,波長800nmの光を使用し、ピークエネルギ密度
109 〜1015W/cm2 で集光点を照射した。レーザ
ー光が集光照射された試料に対し、共焦点レーザー顕微
鏡を用い、レーザーを切った後の発光を測定した。共焦
点レーザー顕微鏡の光学系では、試料の内部にレーザー
顕微鏡の集光点を調節したとき、集光点から発した光は
対物レンズ及びチューブレンズを透過し、ビームスプリ
ッタによって共焦点ピンホール上に結像される。集光点
以外から発した光が共焦点ピンホールで効果的に排除さ
れ、結像が光検出器で検出されるため、フェムト秒レー
ザー照射前後のレーザー顕微鏡の集光点から発光の有無
及び発光スペクトルを測定できる。
【0014】250nmの紫外線励起蛍光スペクトルを
図2に(a)として示す。他方、800nmのフェムト
秒レーザーを10分間照射し、そのレーザーを切ってか
ら5分経過した時点で測定した残光発光スペクトルを
(b)として示す。発光スペクトル(a)及び(b)を
比較すると、ピーク位置がほとんど同じであり、Eu2+
の5d−4f遷移による発光が窺われる。また、フェム
ト秒レーザーを10分間照射し、そのレーザーを切った
後の510nmの残光減衰曲線を図3に示す。残光強度
は、レーザーを切った直後には急激に減少したが、所定
時間が経過した後では緩やかな減少になった。他方、8
00nmのフェムト秒レーザーを照射していない部分か
らは、発光が検出されなかった。更に、試料内部をレー
ザーでスキャンしたところ、レーザーの軌跡から長残光
が発生することを確認した。
【0015】実施例2:陽イオンの割合がPr3+:3c
at%,Zr4+:53cat%,Ba2+:20cat
%,La3+:1cat%,Al3+:3cat%,Na
+ :20cat%のフッ化物ガラスになるように、Pr
3 ,ZrF4 ,BaF2 ,LaF3 ,AlF3 ,Na
F原料を秤量・混合し、白金ルツボに入れた。混合原料
をArガス雰囲気中800℃で60分間溶融した後、室
温付近まで冷却した。得られたガラスから厚さ5mmの
試料を切り出し、2平面を光学研磨した。作製された試
料に対し、実施例1と同様な方法でパルス幅120フェ
ムト秒、繰返し速度1kHz、波長1μmのパルスレー
ザー光を用いて、ピークエネルギ密度108 〜1015
/cm2 で試料内部を集光照射した。250nmの紫外
線励起蛍光スペクトルを、図4に(a)として示す。他
方、1μmのフェムト秒レーザーを10分間照射し、そ
のレーザーを切ってから2分経過した時点で測定した残
光発光スペクトルを(b)として示す。発光スペクトル
(a)及び(b)を比較すると、ピーク位置がほとんど
同じであり、Pr3+の4f−4f遷移による発光が窺わ
れる。更に、フェムト秒レーザーを10分間照射し、レ
ーザーを切った後で488nmの残光を測定したとこ
ろ、図5に示す減衰曲線が得られた。フェムト秒レーザ
ーを照射していない部分からは発光が検出されず、試料
内部にレーザーをスキャンした後で、レーザーの軌跡か
ら長残光が発生することを確認した。Eu2+,Tb3+
Ce3+,Yb2+,Mn2+等のイオンを含むフッ化物ガラ
スを集光照射した場合にも、同様に集光照射された部分
から長残光の発生が確認できた。
【0016】実施例3:陽イオンの割合がEu2+:0.
09cat%,Nd3+:0.09cat%,Ca2+:2
3.65cat%,Al3+:17.65cat%,Si
4+:58.51cat%の酸化物ガラスになるように、
Eu23 ,Nd23 ,CaCO3 ,Al23 ,S
iO2 原料を秤量・混合し、白金ルツボに入れた。15
50℃で30分間溶融した後、室温付近まで冷却した。
得られたガラスをカーボンルツボに収容し、5体積%H
2 ーArガス雰囲気中1550℃で60分の還元処理を
施した後、ガラス融液を室温付近にまで急冷し、Eu2+
を含む酸化物ガラスを得た。このEu2+含有酸化物ガラ
スから厚さ5mmの試料を切り出し、2平面を光学研磨
した後で傾向スペクトルを測定した。その結果、ガラス
中のEuイオンがほとんど2価になっていることを確認
した。作製された試料の内部に集光点が位置するように
パルスレーザー光を10倍の対物レンズで絞り、試料を
集光照射した。パルスレーザー光としてアルゴンレーザ
ー励起のTiサファイアレーザーから発振されたパルス
幅160フェムト秒,繰返し速度200kHz,波長8
00nmの光を使用し、ピークエネルギ密度108 〜1
15W/cm2 で試料内部を集光照射した。フェムト秒
を照射し、そのレーザーを切った後、480nmに明る
い残光が観測された。また、試料内部にレーザーをスキ
ャンした後、その軌跡から長残光が発生することを確認
した。
【0017】実施例4:陽イオンの割合がTb3+:4c
at%,Zr4+:70cat%,Ba2+:26cat%
で、Cl/(Cl+F):5anion%の混合ハロゲ
ン化物ガラスとなるように、TbF3 ,ZrF4 ,Ba
2 ,BaCl2 原料を秤量・混合し、白金ルツボに入
れた。混合原料をArガス雰囲気中800℃で60分間
溶融した後、室温付近まで冷却した。得られたガラスか
ら厚さ5mmの試料を切り出し、2平面を光学研磨し
た。作製された試料に対し、実施例1と同様な方法でパ
ルス幅1ピコ秒,繰返し速度1kHz,波長600nm
のパルスレーザー光を用いて、ピークエネルギ密度10
8 〜1015W/cm2 で試料内部を集光照射した。フェ
ムト秒レーザーを照射し、そのレーザーを切った後、5
43nmに明るい残光が観測された。また、試料内部に
レーザーをスキャンした後、その軌跡から長残光が発生
することを確認した。
【0018】実施例5:陽イオンの割合がPr3+:0.
07cat%,Ca2+:21.41cat%,Ga3+
57.10cat%,Si4+:21.42cat%の酸
化物ガラスになるように、Pr23 ,CaCO3 ,G
23 ,SiO2 原料を秤量・混合し、白金ルツボに
入れた。混合原料を1550℃で30分溶融した後、室
温付近まで冷却した。得られたガラスをカーボンルツボ
に収容し、大気雰囲気中1550℃で60分間の還元処
理を施した後、ガラス融液をルツボごと室温付近にまで
急冷し、Pr3+を含む酸化物ガラスを得た。得られたガ
ラスから厚さ5mmの試料を切り出し、2平面を光学研
磨した。作製された試料の内部に集光点が位置するよう
にパルスレーザー光を10倍の対物レンズで絞り、試料
を集光照射した。パルスレーザー光としてアルゴンレー
ザー励起のTiサファイアレーザーから発振されたパル
ス幅120フェムト秒,繰返し速度200kHz,波長
800nmの光を使用し、ピークエネルギ密度108
1015W/cm2 で試料内部を集光照射した。フェムト
秒を照射し、そのレーザーを切って後、608nmに明
るい残光が観測された。また、試料内部にレーザーをス
キャンした後、その軌跡から長残光が発生することを確
認した。
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の方法に
おいては、ガラスの内部に集光点を調節したパルスレー
ザー光でガラスを集光照射することにより、ガラスの内
部で集光点及び集光点近傍のみに長残光発生領域を形成
させている。長残光発生領域は、集光点を相対的に移動
させることにより、所定のパターンをもったものにな
る。長残光発生領域が形成されたガラスは、3次元ディ
スプレイ,大容量時限性光メモリ等として使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 長残光(a)の発生メカニズムを輝尽発光
(b)と対比して説明するモデル図
【図2】 実施例1ガラスの250nmの紫外線励起蛍
光スペクトル(a)及び800nmのフェムト秒レーザ
ーを10分間照射し、レーザーを切ってから5分経過し
た時点での残光発光スペクトル(b)
【図3】 実施例1ガラスのフェムト秒レーザーを10
分間照射し、レーザーを切った後の510nmの残光減
衰曲線
【図4】 実施例2ガラスの250nmの紫外線励起蛍
光スペクトル(a)及び1μmのフェムト秒レーザーを
10分間照射し、レーザーを切ってから2分経過した時
点での残光発光スペクトル(b)
【図5】 実施例2ガラスのフェムト秒レーザーを10
分間照射し、レーザーを切った後の488nmの残光減
衰曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 清貴 奈良県奈良市朱雀一丁目13番22号 (72)発明者 平尾 一之 京都府相楽郡木津町木津川台三丁目5番8 号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類イオン及び遷移金属イオンの少な
    くとも1種を含むガラスの内部に、ガラスが吸収をもた
    ない非共鳴のパルスレーザーを集光点を調節して集光照
    射し、集光点及びその近傍のみ室温で準安定な電子及び
    正孔がトラップされる欠陥を誘起して長残光発生領域を
    形成することを特徴とするガラス内部に選択的に長残光
    を発生させる方法。
  2. 【請求項2】 電子と正孔の再結合に起因する発光の強
    度と温度との関係を示す熱ルミネッセンス曲線において
    最大発光強度を示す温度が−200〜200℃であるエ
    ネルギ準位の欠陥が誘起される請求項1記載のガラス内
    部に選択的に長残光を発生させる方法。
  3. 【請求項3】 Eu2+,Pr3+,Tb3+,Yb2+,Ce
    3+及びMn2+から選ばれた少なくとも1種のイオンを含
    むガラスを使用する請求項1又は2記載のガラス内部に
    選択的に長残光を発生させる方法。
  4. 【請求項4】 希土類イオン及び/又は遷移金属イオン
    の合計含有量が全陽イオンに対し0.001〜10ca
    t%であるガラスを使用する請求項1〜3の何れかに記
    載のガラス内部に選択的に長残光を発生させる方法。
  5. 【請求項5】 ZrF4 及びBaF2 を含むフッ化物ガ
    ラス,ZrF4 及びBaF2 を含む混合ハロゲン化物ガ
    ラス,CdO,ZnO,MgO,CaO,SrO及びB
    aOの少なくとも1種とSiO2 及びAl23 の少な
    くとも1種を含む酸化物ガラスから選ばれ、希土類イオ
    ン及び遷移金属イオンの少なくとも1種を含むガラスを
    使用する請求項1〜4の何れかに記載のガラス内部に選
    択的に長残光を発生させる方法。
  6. 【請求項6】 集光点をガラスに対して相対移動させ、
    所定パターンの長残光発生領域をガラスの内部に形成す
    る請求項1〜5の何れかに記載のガラス内部に選択的に
    長残光を発生させる方法。
JP11043598A 1998-04-21 1998-04-21 ガラス内部に選択的に長残光を発生させる方法 Expired - Fee Related JP3950947B2 (ja)

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