JPH11300351A - 水の浄化装置及び浄化処理方法 - Google Patents

水の浄化装置及び浄化処理方法

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JPH11300351A
JPH11300351A JP11459398A JP11459398A JPH11300351A JP H11300351 A JPH11300351 A JP H11300351A JP 11459398 A JP11459398 A JP 11459398A JP 11459398 A JP11459398 A JP 11459398A JP H11300351 A JPH11300351 A JP H11300351A
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water
filtration
membrane
pond
filtered water
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Application number
JP11459398A
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English (en)
Inventor
Tetsuro Haga
鉄郎 芳賀
Michinori Ozaki
倫典 小崎
Shoji Watanabe
昭二 渡辺
Naoki Hara
直樹 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11300351A publication Critical patent/JPH11300351A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】浄水場の凝集沈殿ろ過システムにおいて、病原
性原生動物による感染リスクを低減する。 【解決手段】薬品混和池2とフロック形成池5と沈殿池
7と砂ろ過池8とを有する浄化装置において、砂ろ過池
のろ過水に対して病原性原生動物の有無を検出して、病
原性原生動物の出現時に前記ろ過水を膜ろ過装置17に
供給して膜ろ過する。 【効果】病原性原生動物による感染リスクが低減でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は浄水場の凝集沈殿ろ
過方法及び浄化装置に係り、さらに詳しくは、病原性原
生動物による感染リスクが低減できて、ろ過水量の低減
を抑制するに好適な浄水場の凝集沈殿ろ過方法及び浄化
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】浄水場においては、取水した原水中の濁
質分を除去するために凝集剤を注入して濁質分を凝集さ
せ、生成したフロックを沈降分離する操作が行われてい
る。その後、沈殿処理水はろ過池にてろ過されろ過水と
しての浄水が得られる。これら一連の浄水処理操作は、
例えば特公昭60−43762号公報及び特開平4−35702 号公
報等で知られている。
【0003】前記した凝集沈殿ろ過方法において、凝集
操作ではフロックは2から3mm程度に成長し、この成長
したフロックは沈殿池で沈降分離される。一方、沈降分
離で除去できなかった約50μm程度以下の微細なフロ
ックは、有効径が0.45 から0.7mm の範囲のろ過砂
が充填されたろ過池にて除去される。
【0004】一方、ろ過池ではろ過を開始してから時間
経過と共にろ過層内への抑留物が蓄積して損失水頭が上
昇し、ろ過水量が減少する。このため、ろ過継続時間に
達した時点で逆流洗浄操作が行われ、ろ過水の一部を洗
浄水としてろ過池の流出側から供給し、ろ過層内の抑留
物を洗浄水と共に排出することが行われる。逆洗排水は
その後排水池に送られ、汚泥が沈降分離された後、上澄
水は原水に返送される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した凝集沈殿ろ過
方法において、ろ過池に導入される沈殿処理水中の微細
なフロックはろ過池のろ過層に捕捉されて除去される。
しかし、沈殿処理水中には微細なフロックと共にそれ以
下の微粒子が存在し、一部の粒子はろ過層に捕捉されな
いで、ろ過砂間の間隙を通って流出する恐れがある。
【0006】通常、ろ過水は塩素注入処理により殺菌さ
れて需要端に供給されるので、微粒子が多少含まれてい
たとしても問題はない。しかし、原水中に病原性原生動
物が含まれる場合には問題がある。本発明者らの研究で
わかったことであるが、病原性原生動物の一部は砂ろ過
層を通り抜け、しかも塩素処理での不活性化に耐性を有
し、需要端で経口摂取され人体に感染する可能性があ
る。
【0007】塩素処理に耐性を有し、感染症をおこす病
原性原生動物の代表的なものとして、クリプトスポリジ
ウム(Cryptosporidium)が知られている。クリプトスポ
リジウムは、アピコンプレックス門・胞子虫網・コクシ
ジウム亜網・真コクシジウム目・アイメリア亜目・クリ
プトスポリジウム科・クリプトスポリジウム属に属する
微小な原虫である。
【0008】このクリプトスポリジウムは凝集沈殿処理
及び砂ろ過で約99 から99.9%程度除去できること
がわかった。しかし、例えばJournal American Water W
orksAssociation(Vol.88,No.9,pp.131〜13
6)で知られているように、クリプトスポリジウムの摂
取量が少なくても感染する。このため、凝集沈殿及び砂
ろ過によって、ろ過水中のクリプトスポリジウムの存在
数が少なくなっても需要端での感染リスクは低減しな
い。感染すると例えば、特表平5−502435 号公報及び水
道協会雑誌(第64巻,第12号,pp.2〜10,平
成7.12)等で知られているように、激しい水様性下
痢と腹痛を伴う。免疫力が低下した患者では、死に至る
恐れもある。この感染症に対する治療薬は現在のところ
市場に提供されていないが、ミヤイリ菌を主剤とするク
リプトスポリジウム症治療剤が特開平6−219957 号公報
で知られている。また、2−〔4−(4−クロロフェニ
ル)シクロヘキシル〕−3−ヒドロキシ−1,4−ナフ
トキノンあるいはその生理学上容認しうる塩または他の
生理学的に機能をもつ誘導体を使用する治療薬が前記の
特表平5−502435 号公報で知られている。
【0009】以上のように、ろ過池からのろ過水中に微
粒子が流出して、それを含有するろ過水が浄水として需
要端に供給されると、病原性原生動物であるクリプトス
ポリジウムに感染するリスクが高くなる。
【0010】本発明は上述した種々の不都合に鑑みてな
されたもので、その目的とするところは病原性原生動物
による感染リスクを低減するに好適な浄水場の凝集沈殿
ろ過方法および浄化装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、取水した原水
に凝集剤を混入する薬品混和池と、該薬品混和池で凝集
剤が混入された原水を導入して撹拌し濁質粒子のフロッ
クを形成するフロック形成池と、該フロック形成池でフ
ロックが形成された原水を導入してフロックを沈降分離
する沈殿池と、該沈殿池の上澄み水を導入して砂ろ過す
るろ過池と、該ろ過池でろ過されたろ過水に対し病原性
原生動物の有無を検出する病原性原生動物検出器と、該
病原性原生動物検出器で病原性原生動物の存在が確認さ
れたろ過水を膜ろ過する膜ろ過器とを備えたことを特徴
とする水の浄化装置にある。
【0012】また、前記浄化装置において、膜ろ過器と
して、精密ろ過膜,限外ろ過膜及びナノろ過膜の少なく
とも1つを有するろ過器を備えたことを特徴とする水の
浄化装置にある。
【0013】また、前記病原性原生動物検出器として蛍
光抗体染色を行って判別する検出器あるいは特定の粒径
の粒子を計数計測する検出器を備えたことを特徴とする
水の浄化装置にある。
【0014】本発明はまた、原水に凝集剤を混入して濁
質粒子のフロックを形成し、形成されたフロックを除去
したのち砂ろ過層を通してろ過する水の浄化処理方法に
おいて、前記砂ろ過されたろ過水に対して病原性原生動
物の有無を検出し、病原性原生動物の存在が確認された
ならばろ過水を膜ろ過することを特徴とする水の浄化処
理方法にある。
【0015】また、前記浄化処理方法において、砂ろ過
にて病原性原生動物の存在が確認されたならば、砂ろ過
層を逆洗浄することを特徴とする水の浄化処理方法にあ
る。本発明者等は、病原性原生動物による感染リスクを
低減する凝集沈殿ろ過方法について検討した。また、ろ
過水量の低減抑制を同時に満足する浄水場の凝集沈殿ろ
過方法について検討した。この結果、ろ過池からのろ過
水に対し病原性原生動物の有無を検出して、病原性原生
動物の出現時にろ過池からのろ過水を膜ろ過すれば、ク
リプトスポリジウムに代表される病原性原生動物をろ過
水中から除くことができることを見出した。また、膜ろ
過後の透過水を系外に排出しないで再度ろ過池の下流側
に供給すれば、ろ過池に流入する沈殿処理水はろ過池及
び膜ろ過を介してろ過水として回収され、感染リスクの
低減とろ過水量の低減抑制が同時に満足できることを見
い出した。
【0016】したがって、ろ過池からのろ過水中にクリ
プトスポリジウムに代表される病原性原生動物が検出さ
れても、需要端に供給される配水中には病原性原生動物
は存在しないので感染リスクの低減が可能となり、ま
た、膜ろ過後の透過水をろ過水として回収することによ
りろ過水量の低減抑制も可能となる。
【0017】病原性原生動物を膜ろ過にて確実に捕捉す
るには、捕捉対象となる病原性原生動物の粒径よりも孔
径が小さい膜を使用するのがよい。クリプトスポリジウ
ムのオーシストの粒径は約5μm、また、ジアルジアシ
スト(Giardia Cysts)の粒径は約10μmであることか
ら、前記オーシスト粒径よりも小さい孔径を有する精密
ろ過膜、または限外ろ過膜さらにナノろ過膜を用いるの
がよい。前記膜の内、一種または複数の膜を組合せて使
用することができる。
【0018】ろ過水中に病原性原生動物が不検出のとき
は、膜ろ過器は不使用の状態にあるが、病原性原生動物
出現時にはろ過水を早急にろ過することが要求される。
【0019】そこで、膜の運転停止状態から膜を使用可
能状態に早急に立ち上げるための方法について検討し
た。この結果、ろ過池の逆流洗浄工程にて排出される逆
洗排水を膜ろ過して、膜の運転停止状態をなくすか或い
は運転停止時間を短かくすれば、膜を使用可能状態に立
ち上げる操作が不要或いは簡略化できることを見い出し
た。この方法によれば、病原性原生動物の出現時のろ過
水は早急に膜ろ過され、感染リスクの低減が可能とな
る。一方、ろ過池からの逆洗排水を膜ろ過したのち、ろ
過後の透過水をろ過池の下流側に供給すれば、逆洗排水
をろ過水と同等またはそれ以上の水質に維持して再度有
効に回収することができる。
【0020】病原性原生動物がろ過水中に流出するよう
になると、他の微粒子もろ過水中に流出するようにな
り、その流出量は時間と共に増加し、膜ろ過を継続して
いくと負荷が大きくなる。そこで、ろ過池からのろ過水
を膜ろ過する場合の好ましい実施態様について検討し
た。その結果、病原性原生動物を含有するろ過水の膜ろ
過を開始した後にろ過池を逆流洗浄すれば、ろ過水を膜
ろ過する時間は短縮され、膜ろ過に対する負荷が軽減さ
れることがわかった。ろ過池から病原性原生動物が流出
した段階でろ過池のろ過継続時間が限界に達したものと
みなすことにより、ろ過池からの継続的な病原性原生動
物の流出を抑制することができる。
【0021】したがって、本発明の他の特徴とするとこ
ろは、ろ過池からのろ過水中の病原性原生動物を検出し
て、前記病原性原生動物の出現時に前記ろ過池からのろ
過水を膜ろ過して、前記膜ろ過後の透過水をろ過池の下
流側に供給する方法において、前記ろ過池からのろ過水
の膜ろ過開始した後に、前記ろ過池を逆流洗浄するよう
にしたことにある。
【0022】さらにまた、ろ過池と膜ろ過の合理的な運
用方法について検討した。病原性原生動物がろ過水中に
検出されたろ過池は前記の如く逆流洗浄工程に移行する
が、同時にこのろ過池からは逆洗排水が排出される。こ
の場合、この逆洗排水中の病原性原生動物の存在数は高
い。このため、ろ過池の逆流洗浄工程開始後に、このろ
過池のろ過水の膜ろ過を停止して、このろ過池の逆洗排
水の膜ろ過を開始すれば、感染リスクの高い逆洗排水の
処理が効率的にできる。
【0023】したがって、本発明の更に他の特徴とする
ところは、ろ過池からのろ過水中の病原性原生動物を検
出して、前記病原性原生動物の出現時に前記ろ過池から
のろ過水を膜ろ過して、前記膜ろ過後の透過水をろ過池
の下流側に供給する方法において、前記ろ過池の逆流洗
浄工程開始後に前記ろ過池からのろ過水の膜ろ過を停止
し、前記ろ過池から排出される逆洗排水の膜ろ過を開始
するようにしたことにある。
【0024】ろ過水中の病原性原生動物を連続的にオン
ラインで検出できれば、それにこしたことはない。そこ
で、病原性原生動物を間接的であっても連続的に検出す
る好ましい実施態様について検討した。病原性原生動物
の代表的存在であるクリプトスポリジウムのオーシスト
(Oocyst,胞嚢体)は、その形状がほぼ円形で、その大
きさは約5μmと均一である。また、他の病原性原生動
物であるジアルジアの大きさは約10μmである。この
ため、ろ過水中の粒子の粒径を計測して、その計測値が
設定基準値以上であれば、計測された粒子がたとえ病原
性原生動物でなくとも、ろ過池のろ過性能が低下して流
入微粒子の流出が開始し、併せて感染リスクが高い病原
性原生動物も流出していると判断することができる。
【0025】一方、クリプトスポリジウムでは、オーシ
ストの大きさがは約5μm程度であるため、ろ過水中の
特定粒径が出現計測された時点で、ろ過水を精密ろ過膜
等を使用して膜ろ過すれば、オーシストを確実に捕捉で
き、感染リスクの低減ができることが分かった。
【0026】ろ過池からのろ過水中に例えばクリプトス
ポリジウムが検出された場合には、ろ過池の運転を停止
するのが感染リスク低減の点で合理的であるが、前記し
たろ過水を膜ろ過した後の透過水をろ過池の下流側に供
給することで、ろ過水量の低減を抑制することができ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。図1に示し浄水場のシステムフロー
において、河川または湖沼等から取水された原水RWは
導水管(図示せず)を経て沈砂池(図示せず)に至り、
ここで、粒径の大きな砂等が除去された後、着水井1に
導かれる。原水RWは、その後薬品混和池2に導かれ、
ここで、硫酸ばんど、またはPAC(ポリ塩化アルミニ
ウム)等の凝集剤3が後述する注入率Dに基づいて注入
される。さらに、原水RWのアルカリ度が低い場合に
は、アルカリ度が所定値に達するように、凝集補助剤と
なる水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ剤4が
必要に応じて注入される。
【0028】凝集剤3は薬品混和池2で急速混和され、
原水RW中の濁質分が凝集してマイクロフロックとな
る。前記マイクロフロックを含有する凝集剤注入後の凝
集水は、その後フロック形成池5に導入される。ここ
で、緩速撹拌するフロッキュレータ6により、フロック
相互の衝突が繰り返されてフロックの成長が促される。
【0029】その後、粒径が大きく成長したフロックを
含有する凝集水は、フロック形成池5の下流側に配設さ
れた沈殿池7に導入される。ここで、成長したフロック
の沈降分離操作が行われ、フロックFは沈殿池7底部に
沈降する。
【0030】前記のプロセスを経てフロックが分離され
た沈殿処理水すなわち上澄み水SWは、図1または図2
に示すように、沈殿池7の下流側に配設された複数個の
砂ろ過池8に導入される。ここで、沈殿池7で沈降分離
できなかった微細なフロックはろ過されて除去される。
前記砂ろ過池8内にはろ材として有効径0.45 から
0.7mm のろ過砂9が充填され砂ろ過層10を構成す
る。なお、前記ろ過砂9の有効径は特に限定されるもの
ではないが、通常前記有効径のろ過砂が用いられる。砂
ろ過池8からのろ過水FWは、その後配水池(図示せ
ず)から需要端に供給される。
【0031】符号11は逆流洗浄ポンプで、砂ろ過池8
の逆流洗浄工程時に起動される。そして、この逆流洗浄
ポンプ11は、砂ろ過池8の下流側に配設された逆洗水
槽12から洗浄水WWを逆流洗浄管13を介して砂ろ過
池8出口側に供給する。前記砂ろ過池8への洗浄水WW
供給時には、逆流洗浄ポンプ11の吸込側に配設された
開閉弁14は開放され、洗浄水WW供給停止時には閉鎖
される。一方、砂ろ過池8に供給された洗浄水WWは、
砂ろ過層10内を洗浄し、層内の抑留物を含んだ状態で
砂ろ過池8から逆洗排水BWとして排出される。
【0032】符号15は逆洗排水供給ポンプで、このポ
ンプは砂ろ過池8の逆流洗浄工程時に、砂ろ過池8から
排出される逆洗排水BWを逆洗排水管16を介して膜ろ
過装置17に供給する。
【0033】前記膜ろ過装置17は複数個のモジュール
(図示せず)から構成され、精密ろ過膜(Microfiltrat
ion Membrane:MF膜),限外ろ過膜(Ultrafiltratio
n Membrane:UF膜)またはナノろ過膜(Nano−Filtrat
ion Membrane:NF膜)の内の一つまたは複数の膜を組
合せて使用される。なお、使用する膜の種類及び組合せ
等については、特に限定されるものではない。
【0034】前記膜ろ過装置17にて膜ろ過処理される
逆洗排水BWは、膜ろ過後に透過水PWとして得られ
る。一方、膜ろ過にて透過しない水は濃縮水CWとな
り、この濃縮水CWは返送管18を介して濃縮水槽19
に送られる。
【0035】一方、前記膜ろ過後の透過水PWは、砂ろ
過池8を通ったろ過水に透過水供給ポンプ20,透過水
供給管21及び透過水供給開閉弁22を介して供給され
る。符号23は膜逆流洗浄ポンプで、膜ろ過装置17側
の逆流洗浄工程時に透過水槽24内の透過水PWの一部
を膜の洗浄水として膜ろ過装置17に供給する。詳細に
は、膜の透過水側から洗浄水を供給し、膜の一次側に捕
捉された汚泥等を除去する。この膜ろ過装置17の逆流
洗浄工程時、透過水開閉弁25は閉じられ、一方、逆流
洗浄開閉弁26は開放される。前記膜の逆流洗浄工程
時、逆洗排水は返送管18を介して濃縮水槽19に排出
される。
【0036】前記膜の逆流洗浄工程終了後、膜逆流洗浄
ポンプ23が停止される。さらに、逆流洗浄開閉弁26
は閉じられ、一方、透過水開閉弁25は開放される。前
記膜ろ過装置17の逆流洗浄工程及び膜ろ過工程におけ
る各開閉弁の開閉操作及び膜逆流洗浄ポンプ23の起動
停止操作は、予め設定されたシーケンスに基づいて行わ
れ、これらの操作は制御器(図示せず)によって実施さ
れる。なお、前記膜ろ過装置17の逆流洗浄工程時、逆
洗排水BWの供給は、逆流洗浄工程でない他の膜モジュ
ールに供給され、膜モジュールが単数の場合は停止され
る。
【0037】符号27は砂ろ過池8からのろ過水FW中
の病原性原生動物の検出手段で、本発明の一実施例では
次のような各手段で病原性原生動物としてのクリプトス
ポリジウムのオーシストを検出している。サンプリング
ポンプ28にて砂ろ過池8からのろ過水FWを採水し、
採水したろ過水FWをフィルターにてろ過濃縮する。フ
ィルター上のろ過濃縮物をアセトンで溶解し遠心分離す
る。遠心分離後の沈渣物(オーシスト+夾雑物)を再懸
濁させて、懸濁液の適量をフィルターでろ過する。フィ
ルター上の捕捉物を蛍光物質でラベルされた免疫グロブ
リンを用いて蛍光抗体染色を行い、プレパラート上に観
察対象物を作製する。プレパラート上の対象物を落射型
蛍光顕微鏡で観察計数する。
【0038】符号29は病原性原生動物検出手段27か
らの計数値PVが入力される判定器で、この判定器には
予め設定水質基準値SVが入力されている。この設定水
質基準値SVは任意に設定変更可能である。本発明の一
実施例では設定水質基準値SV(個/L)として、液中
当りの病原性原生動物の個数を入力している。
【0039】前記判定器29では、病原性原生動物検出
手段27からの計数値PVと設定水質基準値SVとが比
較され、前記計数値PVが設定水質基準値PVを上回る
場合、砂ろ過池8からのろ過水FW中に病原性原生動物
が出現していると判定される。
【0040】符号30は砂ろ過池8のろ過水供給管で、
この供給管中にはろ過水供給開閉弁31が配設されてい
る。符号32は前記ろ過水供給管30から分岐して膜ろ
過装置17に連通するろ過水導入管で、この導入管は前
記した逆洗排水管16を介して膜ろ過装置17に連通し
ている。
【0041】符号33はろ過水導入開閉弁で、この開閉
弁はろ過水導入管32中に配設されている。
【0042】符号34は制御器で、この制御器には前記
判定器29からの判定値が入力される。この制御器34
には、予め設定されたシーケンスが入力され、これに基
づいて、ろ過水供給開閉弁31さらにろ過水導入開閉弁
33の開閉操作が行われる。さらに、逆洗排水管16中
に配設された逆洗開閉弁35の開閉操作が行われる。ま
た、逆流洗浄ポンプ11の起動停止及び逆洗排水供給ポ
ンプ15の起動停止が行われる。
【0043】すなわち、ろ過水FW中の病原性原生動物
の計数値PVが設定水質基準値SV以上でろ過水FW中
に病原性原生動物が出現したと判定されたとき、ろ過水
供給開閉弁31は閉じられ、一方、ろ過水導入開閉弁3
3は開放される。同時に兼用する逆洗排水供給ポンプ1
5が起動される。なお、逆洗開閉弁35は閉じた状態に
維持される。この状態で、砂ろ過池8からのろ過水FW
はろ過水導入管32を介して膜ろ過装置17に導入さ
れ、ここで、ろ過水FWは膜ろ過された後、透過水供給
ポンプ20によって砂ろ過池8の下流側に供給される。
【0044】次に、砂ろ過池8からのろ過水FWを所定
時間膜ろ過した後、開閉弁14及び逆洗開閉弁35が開
放されて、逆流洗浄ポンプ11が起動される。また、砂
ろ過池8からの逆洗排水BWを膜ろ過装置17に導入す
る逆洗排水供給ポンプ15が起動される。この状態で、
砂ろ過池8からの逆洗排水BWは膜ろ過装置17に導入
され、前述したように、逆洗排水BWは膜ろ過された
後、透過水PWは砂ろ過池8の下流側に供給される。
【0045】前記砂ろ過池8の逆流洗浄工程は所定時間
行われ、所定時間経過後に逆流洗浄工程は終了する。逆
流洗浄終了工程時では、逆流洗浄ポンプ11は停止され
る。また、開閉弁14,逆洗開閉弁35及びろ過水導入
開閉弁33は閉じられる。一方、ろ過水供給開閉弁31
は開放される。さらに、逆洗排水供給ポンプ15が停止
されるが、複数個ある他のろ過池が逆流洗浄工程時にあ
る場合、このポンプ15は運転される。
【0046】前記した逆流洗浄工程終了後、砂ろ過池8
はろ過工程に入り沈殿池7からの沈殿処理水SWが砂ろ
過池8に導入される。
【0047】符号36は採水ポンプで、原水RWをサン
プルして濁度計37に供給する。この濁度計37は原水
の濁度Tuを測定し、測定値は凝集剤注入率Dを求める
演算器38に入力される。
【0048】前記演算器38では、次式(1)に示すよ
うに予め設定された凝集剤注入率演算式に基づいて原水
濁度Tuに対応した凝集剤注入率Dが求められる。
【0049】
【数1】 D=eTuNT …(1) ここで、e,NTは係数。
【0050】なお、原水濁度Tuに対する凝集剤注入率
Dは、適正な沈殿処理水濁度を得るのに必要な凝集剤注
入率が予めジャーテスト等の手段により求められる。こ
の他に、浄水場における運転データの解析等により求め
てもよく、凝集剤注入率の設定法が特に限定されるもの
ではない。
【0051】符号39は凝集剤注入量Cを求める演算器
で、この演算器には前記の演算器38で求められた凝集
剤注入率Dが入力される。さらに、この演算器39には
流量計40で測定された原水RWの流量Qが入力され、
次式(2)に従い凝集剤注入量Cが求められる。
【0052】
【数2】 C=D×Q …(2) 符号41は凝集剤注入装置で、この凝集剤注入装置には
演算器39で求められた凝集剤注入量Cに従い凝集剤3
を薬品混和池2に注入する。
【0053】次に係る構成の作用について説明するに、
砂ろ過池8からのろ過水FWを採水し、病原性原生動物
検出手段27にてこのろ過水FW中の病原性原生動物を
検出する。検出結果の計数値PVは判定器29に入力さ
れ、ここで予め設定された設定水質基準値WSVと対比
されて計数値PVが基準値SV以上のとき、ろ過水FW
中に病原性原生動物が出現していると判定される。
【0054】前記ろ過水FW中に病原性原生動物が出現
したと認められたならば、砂ろ過池8の下流側に配設さ
れたろ過水供給管30中のろ過水供給開閉弁31が閉じ
られ、一方、ろ過水供給管30から分岐したろ過水導入
管32に配設されているろ過水導入開閉弁33が開放さ
れる。この結果、砂ろ過池8からのろ過水FWはろ過水
導入管32を介して膜ろ過装置17に導入される。そし
て、膜ろ過装置にてろ過水FWがろ過され、膜ろ過後の
透過水PWは透過水供給管21を介して砂ろ過池8の下
流側のろ過水供給管30に供給される。
【0055】前記のように砂ろ過池8からのろ過水FW
中に病原性原生動物が出現時、ろ過水FWを膜ろ過する
ことにより、ろ過水中から病原性原生動物を捕捉除去す
ることができ、また膜3過後の透過水を回収利用するこ
とによりろ過水量の低減を抑制することができる。
【0056】図3は本発明の他の実施例であり、病原性
原生動物検出手段に微粒子カウンターを用いた例を示
す。符号42はろ過水FW中の微粒子の粒径を計測する
微粒子カウンターで、この微粒子カウンターでは特定の
粒径の微粒子を計測する。例えば、本発明の一実施例で
は5μmの特定粒径の微粒子を計測する。
【0057】前記微粒子カウンター42での計測値PV
は、判定器29に入力される。判定器29では予め入力
された設定基準値SVと比較して、前記特定粒径の計測
値PVが設定基準値SVを上回る場合、砂ろ過池8から
のろ過水FW中に病原性原生動物の存在する可能性が高
いものと判定される。前記の如く、ろ過水FW中に特定
粒径の微粒子の存在が確認された場合、ろ過水供給開閉
弁31が閉じられ、一方、ろ過水導入開閉弁33が開放
されて、砂ろ過池8からのろ過水FWは膜ろ過装置17
に導入される。ここで、ろ過水FWは膜ろ過された後、
その透過水PWは砂ろ過池8の下流側に供給される。
【0058】前記のように、ろ過水FW中の特定粒径の
微粒子の存在を確認すれば、粒子の粒径計測はオンライ
ンで計測できるので、短時間でろ過水FW中の病原性原
生動物の存在の有無を判断することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明により、薬品混和池,フロック形
成池,沈殿池及び砂ろ過池を有する水浄化装置におい
て、病原性原生動物による感染リスクを低減することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す浄水場の凝集沈殿ろ過
のシステムの構成図。
【図2】図1に示すシステム図の部分詳細図。
【図3】本発明の他の実施例を示す浄水場の凝集沈殿ろ
過システムの部分構成図。
【符号の説明】
1…着水井、2…薬品混和池、3…凝集剤、5…フロッ
ク形成池、7…沈殿池、8…砂ろ過池、10…砂ろ過
層、11…逆流洗浄ポンプ、12…逆洗水槽、13…逆
流洗浄管、15…逆洗排水供給ポンプ、16…逆洗排水
管、17…膜ろ過装置、18…返送管、19…濃縮水
槽、27…病原性原生動物検出手段、29…判定器、3
0…ろ過水供給管、31…ろ過水供給開閉弁、32…ろ
過水導入管、33…ろ過水導入開閉弁、34…制御器、
37…濁度計、38…演算器、39…演算器、41…凝
集剤注入装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/52 C02F 1/52 Z (72)発明者 原 直樹 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】取水した原水に凝集剤を混入する薬品混和
    池と、該薬品混和池で凝集剤が混入された原水を導入し
    て撹拌し濁質粒子のフロックを形成するフロック形成池
    と、該フロック形成池でフロックが形成された原水を導
    入してフロックを沈降分離する沈殿池と、該沈殿池の上
    澄み水を導入して砂ろ過するろ過池と、該ろ過池でろ過
    されたろ過水に対し病原性原生動物の有無を検出する病
    原性原生動物検出器と、該病原性原生動物検出器で病原
    性原生動物の存在が確認されたろ過水を膜ろ過する膜ろ
    過器とを備えたことを特徴とする水の浄化装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の浄化装置において、前記
    膜ろ過器として、精密ろ過膜,限外ろ過膜及びナノろ過
    膜の少なくとも1つを有するろ過器を備えたことを特徴
    とする水の浄化装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の浄化装置において、前記
    病原性原生動物検出器として蛍光抗体染色を行って判別
    する検出器あるいは特定の粒径の粒子を計数計測する検
    出器を備えたことを特徴とする水の浄化装置。
  4. 【請求項4】原水に凝集剤を混入して濁質粒子のフロッ
    クを形成し、形成されたフロックを除去したのち砂ろ過
    層を通してろ過する水の浄化処理方法において、前記砂
    ろ過されたろ過水に対して病原性原生動物の有無を検出
    し、病原性原生動物の存在が確認されたならばろ過水を
    膜ろ過することを特徴とする水の浄化処理方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の方法において、前記砂ろ
    過にて病原性原生動物の存在が確認されたならば、砂ろ
    過層を洗浄することを特徴とする水の浄化処理方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2812219A1 (fr) * 2000-07-26 2002-02-01 Suido Kiko Kaishya Ltd "dispositif de traitement des eaux comprenant un ensemble a membrane de filtrage a pores de grandes dimensions"

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FR2812219A1 (fr) * 2000-07-26 2002-02-01 Suido Kiko Kaishya Ltd "dispositif de traitement des eaux comprenant un ensemble a membrane de filtrage a pores de grandes dimensions"

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