JPH11299743A - 皮膚中の成分の定量方法及び定量装置 - Google Patents

皮膚中の成分の定量方法及び定量装置

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JPH11299743A
JPH11299743A JP10651798A JP10651798A JPH11299743A JP H11299743 A JPH11299743 A JP H11299743A JP 10651798 A JP10651798 A JP 10651798A JP 10651798 A JP10651798 A JP 10651798A JP H11299743 A JPH11299743 A JP H11299743A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膚の色を測定することにより、肌の色味が
皮膚成分のどのような構成から成っているのか、即ち皮
膚の成分の正確な定量を可能とする。 【解決手段】 皮膚の反射スペクトルから、ランベルト
−ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく吸光度モデルを
置くことにより、好ましくは500nmから700nm
の波長範囲に含まれる波長領域について、皮膚の構成成
分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行い、皮
膚中の成分であるメラニンと酸化ヘモグロビンと還元ヘ
モグロビンとからなる群より選択された少なくとも一つ
の物質の量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は皮膚の成分の求める
定量方法及び装置に関し、特に重回帰分析の手法を利用
して皮膚の反射スペクトルから皮膚の成分量を求める定
量方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚の色はそれを構成する色素成分によ
って決まるが、所謂「色白」にすることが一般に求めら
れる美容上の観点、また不健康な状態を示す一つの指針
とされる「目の下のクマ」が示すように健康状態を診断
するという観点からも、人にとって重要な特性である。
【0003】色白の肌を得るという美容上の美白の観点
においては、皮膚の色は最終的な目標となるものである
が、具体的な達成方法としては、その存在量の多少が皮
膚の色の濃色化と色白化に反映されるメラニン色素の生
成を抑制することによるのが一般的である。メラニンの
生成を抑え、所謂色白の肌を得るため、化粧品の分野に
おいては美白化粧品と一般に称される化粧品の開発が盛
んに行なわれている。
【0004】そして、この美白化粧品の開発に際して
は、美白効果の指針として、皮膚の色に加えて、メラニ
ンの量を直接に定量したいとする要求が従来からある。
即ち、皮膚中のメラニンに対する効果を直接に評価する
ことで、美白化粧品の美白効果の一つを正確に評価する
ことが求められている。しかし従来は、皮膚中のメラニ
ン量を定量する簡単な方法は無く、評価対象となる皮膚
の最終的な目標である色から判断するより他はなかっ
た。
【0005】従って、実際にメラニン量を評価しようと
する場合、皮膚の色から評価はなされ、従来からある測
色機で皮膚の色を測り、L* * * 表色系にかかるL
* を評価して行なっている。つまり、美白化粧品を皮膚
に適用し、L* 値が下がるとメラニンば増え、L* 値が
上がるとメラニンは減少したと判断し、美白化粧品のメ
ラニンに対する効果、即ち美白効果を評価していた。
【0006】しかしながら、メラニンが増加すれば確か
にL* 値は低下するが、L* 値が高いからといって必ず
しもメラニンが多いとは言えないことが分かっている。
即ち、皮膚に炎症(紅斑)が生じ、皮膚中の血液が増加
して色素であるヘモグロビン(酸化ヘモグロビン及び還
元ヘモグロビンを含む)が増加することによっても皮膚
のL* 値は低下する。
【0007】従って、皮膚のL* 値が低下する場合、メ
ラニンの増加によるものなのか、炎症によるヘモグロビ
ンの増大によるものなのか、区別して判断ができず、L
* 値が増大しても美白化粧品の美白効果、特にメラニン
の生成を抑える効果として正確に評価することはできな
かった。また、健康維持の必要などから、人の健康状態
を測るという観点においては、例えば「目の下のクマ」
等の鬱血した部分に対し、その色味を評価するのみでは
足りず、これを構成する成分の特定と定量、特に特定の
ヘモグロビン種の特定と定量が求められつつある。しか
しながら、それを簡便に評価する方法はない。
【0008】つまり、例えば上記と同様の従来の測色を
例えば「目の下のクマ」等の鬱血した部分に対し適用す
ることが考えられるが、測色によりその色は明確になる
ものの、鬱血した部分がどのような皮膚の成分によりど
のような比率で構成されているかは十分に判断できず、
「目の下のクマ」等の鬱血した部分を評価することによ
っても、人の健康状態の正確な把握や維持のために十分
に役立てることは出来ない。
【0009】このような状況の中、従来の測色機が物一
般を評価対象とするのに対し、皮膚のメラニン量とヘモ
グロビン量を直接に評価することを目的とする測定器と
して、メキサメーター(Mexameter:C+K社
製)が開発され、皮膚の評価に用いられるようになって
いる。このメキサメーターは、評価対象である皮膚にお
いてGreenとして図11中に示される568nm
(Greenと称す。)、Redとして図11中に示さ
れる660nm(Redと称す。)及びInfrare
dとして図11中に示される880nm(Infrar
edと称す。)の3点の波長の反射率測定を行なう反射
率測定部と、得られたデータを解析してメラニン量(m
x)とヘモグロビン量(ex)を算出・表示する制御部
からなる装置である。
【0010】図11は、メキサメーターの測定原理を説
明する図であり、式1及び式2はメキサメーターの測定
原理を表す関係式である。 mx={500/log5}×[log{(infrared 反射)/(red反射) }+log5 ] ={500/log5}×{log(infrared反射)-log(red 反射) }+500 (式1) ex={500/log5}×[log{(red反射)/(green反射) }+log5 ] ={500/log5}×{log(red 反射)-log(green 反射) }+500 (式2) この図11と式1及び式2を用いてメキサメーターの測
定原理の概略を説明するが、メラニン量の評価において
は、RedからInfraredの間には血液の吸収は
ほとんど無いため、Redでの測定で得られた反射率よ
り求めた吸光度から、Infraredでの測定で得ら
れた反射率より求めた吸光度を差し引くことにより、メ
ラニンの量が求められる。
【0011】同様に血液の評価においては、血液がGr
een近辺に吸光度のピークを有し、Redでの吸収は
ほとんど無いため、Greenでの測定で得られた反射
率から求めた吸光度から、Redでの測定で得られた反
射率より求めた吸光度を差し引くことにより、血液の
量、ひいてはヘモグロビン(酸化ヘモグロビンと還元ヘ
モグロビンを両方含んでいる)量が求められる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このメキサメ
ーターはその評価方法に欠点を有し、特に血液の測定原
理に欠点を有している。つまり、Greenから求めた
吸光度から、Redから求めた吸光度を差し引くことに
より、確かにヘモグロビン量は求められるが、メラニン
の吸光度もそれらの波長域で差があり、そのまま差し引
くことによりメラニン量が算出されるヘモグロビン量に
過剰に足されてしまうことになる。
【0013】かかる欠点はこの測定装置の測定精度に影
響して、それを低下させている。以上より、従来は人の
肌の色を構成する成分やその量に対し、肌の色から大体
の予測をつけていたが、それは色からの経験的な判断に
よるものであり、メラニンやヘモグロビン等皮膚から見
えているおそらく皮膚色を構成していると思われている
もの自身を測っているわけではなかった。
【0014】また、それに対しメラニンやヘモグロビン
等を皮膚の吸光度を基にして測定し、従来の測色による
方法を改善しようとする例も見られるが、測定・評価の
精度に不十分な点があり、従来の問題点が十分に解決さ
れてはいない。そこで、本発明の課題は上記従来技術の
問題点を解決しうる新規な皮膚中の成分の定量方法及び
装置を提供することである。
【0015】また、本発明の別の課題は、皮膚の色を測
定し、それを構成していると思われるものでそれぞれ分
解して、肌の色味が肌成分のどのような構成から成って
いるのか、即ち肌の成分の正確な定量を可能とすること
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
皮膚中の成分の定量方法であって、皮膚の反射スペクト
ルから皮膚中の成分の量を求めることを特徴とする。請
求項2記載の発明は、請求項1記載の皮膚中の成分の定
量方法において、前記皮膚の反射スペクトルから、ラン
ベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく吸光度モ
デルを置くことにより皮膚の構成成分の吸光係数スペク
トルを用いて重回帰分析を行い、皮膚中の成分の量を求
めることを特徴とする。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2の何れか記載の皮膚中の成分の定量方法において、
前記重回帰分析は前記反射スペクトルの500nmから
700nmの波長範囲に含まれる波長領域について行な
うことを特徴とする。請求項4記載の発明は、請求項1
乃至請求項3のうち何れか一項記載の皮膚中の成分の定
量方法において、前記皮膚中の成分は、メラニンと酸化
ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとからなる群より選択
された少なくとも一つの物質であることを特徴とする。
【0018】請求項5記載の発明は、皮膚中の成分の定
量装置であって、皮膚の反射率を測定する反射率測定部
と、該反射率測定部により得られた反射率データから皮
膚の反射スペクトルを求め、該反射スペクトルから皮膚
中の成分の量を求める制御部とからなることを特徴とす
る。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項5記載の皮
膚中の成分の定量装置において、前記制御部は、前記皮
膚の反射スペクトルから、ランベルト−ベール(Lambert
-Beer)の法則に基づく吸光度モデルを置くことにより皮
膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析
を行い、皮膚中の成分の量を求める構成とされたことを
特徴とする。
【0020】請求項7記載の発明は、請求項5又は請求
項6の何れか記載の皮膚中の成分の定量装置において、
前記制御部は、前記重回帰分析を前記反射スペクトルの
500nmから700nmの波長範囲に含まれる波長領
域について行なうよう構成されたことを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明は、請求項5乃至請求
項7のうち何れか一項記載の皮膚中の成分の定量装置に
おいて、前記皮膚中の成分は、メラニンと酸化ヘモグロ
ビンと還元ヘモグロビンとからなる群より選択された少
なくとも一つの物質であることを特徴とする。請求項1
記載の発明によれば、一般的な測色機でも計測可能な皮
膚の反射スペクトルから皮膚中の成分量を求めることが
できる。
【0022】よって、皮膚の成分量を生体におけるその
ままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用い
ることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に
素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。請
求項2記載の発明によれば、ランベルト−ベールの法則
に基づく吸光度モデルを用いることにより、皮膚のスペ
クトルを構成している皮膚中の全ての成分を、一般的な
測色機でも計測可能な該皮膚のスペクトルを用いて、独
立に評価の対象とすることができる。
【0023】また従来技術に見られたように数点の吸光
度測定から成分を定量しようとするものではなく、ある
波長幅を有した皮膚のスペクトルについて重回帰分析を
行なうものであり、他の成分から受ける影響を従来より
小さくして該皮膚中の全ての成分を独立かつ正確に定量
が可能である。従って、皮膚の成分量を生体におけるそ
のままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用
いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常
に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。
【0024】請求項3記載の発明によれば、所謂光の可
視領域において、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大き
い500nm未満の波長領域を分析対象とせず、特に5
00nmから700nmの波長領域内で皮膚の構成成分
の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を実施するこ
とにより、成分の定量における皮膚での光の散乱の影響
を小さくすることが可能となる。
【0025】よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上
受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸
光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクト
ルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の
少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、メラニンは美容上の美白
の観点からその定量が求められるものであり、ヘモグロ
ビンは紅斑を形成する原因となる色素であり、皮膚の色
を構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量
することが可能となる。
【0026】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモ
グロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量する
ことが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能とな
る。請求項5記載の発明によれば、一般的な測色方法に
より計測可能な皮膚の反射スペクトルから皮膚中の成分
量を求めることの可能な装置を提供することができる。
【0027】よって、皮膚の成分量を生体におけるその
ままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用い
ることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に
素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。請
求項6記載の発明によれば、ランベルト−ベールの法則
に基づく吸光度モデルを用いることにより、皮膚のスペ
クトルを構成している皮膚中の全ての成分を、一般的な
測色方法により計測可能な該皮膚のスペクトルを用い
て、独立に評価の対象とすることの可能な装置を提供す
ることができる。
【0028】また該装置は、従来技術に見られたように
数点の吸光度測定から成分を定量しようとするものでは
なく、ある波長幅を有した皮膚のスペクトルについて、
皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分
析を行なうよう構成されており、他の成分から受ける影
響を従来より小さくして該皮膚中の全ての成分を独立か
つ正確に定量が可能である。
【0029】従って、皮膚の成分量を生体におけるその
ままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用い
ることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に
素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。請
求項7記載の発明によれば、所謂光の可視領域におい
て、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大きい500nm
未満の波長領域を分析対象とせず、特に500nmから
700nmの波長領域内で皮膚の構成成分の吸光係数ス
ペクトルを用いて重回帰分析を実施するよう構成される
ことにより、成分の定量における皮膚での光の散乱の影
響を小さくすることが可能となる。
【0030】よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上
受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸
光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクト
ルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の
少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能な装置を
提供することができる。請求項8記載の発明によれば、
メラニンは美容上の美白の観点からその定量が求められ
るものであり、ヘモグロビンは紅斑を形成する原因とな
る色素であり、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主要な色
素を正確かつ簡便に定量することが可能装置を提供する
ことができる。
【0031】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモ
グロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量する
ことが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能とな
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明が従う測定原理、及
びそれの基づく本発明の実施形態について、図面や関係
式を用いて説明する。図1は、皮膚の光学モデルを説明
する図であり、皮膚1に入射した光2は、その5%程度
が表皮3の表面で反射し、表皮3の中で約10%が乱反
射し、一部が表皮3と真皮4で吸収され、残りが真皮4
の表面で反射により皮膚の外に出射してくる。本発明は
かかる皮膚の光学モデルを基にする。
【0033】つまり、皮膚の色は、皮膚に光が当たって
入射し、その入射光が表皮3を通って真皮4の表面で反
射することにより目に関知されるものであるが、具体的
には表皮3中にある色素成分であるメラニンや、真皮上
層血管膜中の酸化及び還元ヘモグロビンにより入射する
光の一部が吸収され、その吸収が起こることにより特有
の肌の色として目に関知されている。
【0034】物体内での光の吸収による光の変化の現象
については、式3に示されるランベルト−ベール(Lambe
rt-Beer)の法則がある。 log10{1/(I/I0 )}=εCd (式3) ここで、I0 =入射光 I=透過光の強さ ε=光吸収物質の吸光係数 C=光吸収物質の濃度 d=光吸収物質の厚み このランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則を用い、
皮膚の反射率を吸光度に置き換えて、皮膚の色として現
れて人に関知されうる皮膚での光の吸収現象について、
式4に示される吸光度モデル、即ち皮膚の吸光度は色素
成分であるメラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロ
ビン、及びその他ビルビリン等残りの物のそれぞれの吸
光度の足し合わせ(線型結合)で表されるとするモデル
をたてることができる。
【0035】 log10(1/R)=mCM +h0 HO+hCH +D (式4) ここで、R=皮膚の反射率 CM =メラニン量 CHO=酸化ヘモグロビン量 CH =還元ヘモグロビン量 D=真皮の見かけ上の吸光度 m=メラニンの吸光係数 ho =酸化ヘモグロビンの吸光係数 h=還元ヘモグロビンの吸光係数 かかるモデルに従い、皮膚固有の吸光度スペクトルは、
メラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及び
その他残りの物それぞれの吸光度スペクトルの足し算
(重ね合わせ)により構成することができる。
【0036】そしてメラニン、酸化ヘモグロビン、還元
ヘモグロビン、及びその他残りの物それぞれの吸光度ス
ペクトルの重ね合わせにおいて、各成分スペクトルの重
ね合わせの指針は、当然に、かかる重ね合わせにより得
られたスペクトルと、皮膚の吸光度スペクトルが最も良
く一致するようにするということである。このような精
度良い一致を得るための手法として、重回帰分析が利用
される。すなわち、皮膚の吸光度スペクトルを酸化ヘモ
グロビン、還元ヘモグロビン、及びその他残りの物それ
ぞれの固有の吸光係数スペクトルm,ho ,hで波長毎
に重回帰分析する。
【0037】そしてその結果、最も良いスペクトル形状
の一致を示す合成スペクトルを得て、かかる合成スペク
トルにおける各成分の吸光度スペクトルの寄与の程度、
上記式4においては、各成分の量CM ,CHO,CH が求
められる。こうして得られた各成分の量CM ,CHO,C
H は、重回帰分析により得られた合成にかかる吸光度ス
ペクトルと実際の皮膚の吸光度スペクトルの一致の程
度、若しくは該合成にかかる吸光度スペクトルを変換し
て反射率スペクトルとしたものと実際の皮膚の反射率ス
ペクトルの一致の程度が良いほど正確な値を有すること
になる。
【0038】以上より、皮膚の反射スペクトルから、ラ
ンベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを置くこ
とにより、皮膚中の各成分の量が、皮膚の構成成分の吸
光係数スペクトルを用いて重回帰分析により決まること
になる。よって、一般的な測色機でも計測可能な皮膚の
反射スペクトルから、皮膚中の成分量を求めることがで
きる。
【0039】従って、皮膚の成分量を生体におけるその
ままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用い
ることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に
素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。以
上の皮膚中の成分量の定量方法は、所謂目の下のクマ、
肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用
することが可能である。
【0040】尚、この時、式4に示されるランベルト−
ベールの法則に基づく吸光度モデルは、光の吸収のみを
考慮したものである。しかし、肌では、実際には図1の
光学モデルにも示されるように光の散乱現象が生じてお
り、それは真皮は短波長側に比較的大きな散乱係数を有
することによる。よって、可視波長域の短波長側から長
波長側にかけて全域で重回帰分析を行なおうとする場
合、真皮での短波長側の光の散乱により重回帰分析にお
ける計算のずれ、つまり合成にかかるスペクトルと実際
のスペクトルが良く一致しないという結果を生じうる。
【0041】従って、このような散乱現象の影響を抑え
て、精度良い成分の定量を行なうためには、所謂光の可
視領域において、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大き
い500nm未満の波長領域を分析対象とせず、特に5
00nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実
施することが望ましい。こうすることにより、成分の定
量における皮膚での光の散乱の影響を小さくすることが
可能となる。
【0042】よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上
受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸
光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクト
ルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の
少ない分析、すなわち誤差の少ない皮膚の成分の定量が
可能となる。次に、本発明の一実施形態である皮膚中の
成分の定量装置について説明する。
【0043】図2は、本発明の一実施形態である皮膚中
の成分の定量装置の要部構成を説明する図である。本発
明の一実施形態である皮膚中の成分の定量装置10は、
筒状の本体15の先端に開口部分11を有し、その内部
には強度が知られた少なくとも可視域の光を含む光を出
射することの可能な光源(図示されない)と、開口部分
11から入射する光の強度を関知可能なセンサ部(図示
されない)とを有し、この開口部分11を測定対象とな
る皮膚に押し当てて皮膚の光の反射率を測定する反射率
測定部12を含む。
【0044】そして、反射率測定部12と電気的に接続
され、反射率測定部12により得られた反射率データか
ら皮膚の反射スペクトルを求め、上記した本発明に従う
ランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく吸光
度モデルを置くことにより、具備する記憶手段に記憶し
ている定量対象となる皮膚の構成成分の吸光係数スペク
トルを用いて重回帰分析を行い、該反射スペクトルから
皮膚中の成分の量を求める制御部13を含む。
【0045】制御部13は、上記したような散乱の寄与
を抑える目的から、その重回帰分析を行なう波長領域を
任意に選択することが可能なように構成されており、例
えば、その重回帰分析を前記反射スペクトルの500n
mから700nmの波長範囲に含まれる波長領域につい
て行なうようことが可能なように構成されている。ま
た、制御部13には、適当な表示手段を備えることがで
き、重回帰分析による合成スペクトルと実際のスペクト
ルの一致の程度を図示したり、皮膚成分の定量結果を表
示したりすることが可能である。そして更に適当なプリ
ント手段を具備することにより、これらデータのプリン
トアウトも可能である。
【0046】以上のような構成を有する皮膚中の成分の
定量装置10は、ランベルト−ベールの法則に基づく吸
光度モデルを用いることにより、皮膚のスペクトルを構
成している皮膚中の全ての成分を、一般的な測色方法に
より計測可能な該皮膚のスペクトルを用いて、独立に評
価の対象とすることの可能な装置を提供することができ
る。
【0047】また装置10は、従来技術に見られたよう
に数点の吸光度測定から成分を定量しようとするもので
はなく、ある波長幅を有した皮膚のスペクトルについて
皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分
析を行なうよう構成されており、他の成分から受ける影
響をより小さくして、皮膚中の全ての成分を独立かつ正
確に定量が可能である。
【0048】従って、皮膚の成分量を生体におけるその
ままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用い
ることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に
素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。以
上の皮膚中の成分量の定量装置は、所謂目の下のクマ、
肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用
することが可能である。
【0049】尚、本発明にかかる一実施形態である皮膚
中の成分の定量方法及び定量装置は上記式4に示される
吸光度モデルに従い、式4に示される吸光度モデルにお
いては、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロ
ビンの3種を用いてモデルが構成されているが、本発明
においては定量対象をかかる3種に限定する必要はな
い。
【0050】即ち、皮膚の色を構成する皮膚の成分であ
れば、その成分固有の吸光係数スペクトルを用意し、式
4をその成分を考慮した形に適宜変形することにより、
本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法及び定量装置を
用いて、他の成分とは実質的に独立にその量を定量でき
る。具体的には、黄疸症状の現れた肌における黄疸の色
の原因となるビリルビンの定量も、ビルビリンの吸光係
数スペクトルを用意し、上記式4をビリルビンを考慮し
た形に変えて同様に各成分の吸光係数スペクトルを用い
て重回帰分析を行なうことにより可能となる。
【0051】次に、本発明の実施例を示すと共に、本発
明の効果を明らかにする。
【0052】
【実施例】(実施例1)重回帰分析による皮膚成分の定
量 上記式4に示す吸光度モデルを用い、皮膚の吸光度スペ
クトルから皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用い
て重回帰分析を行い、皮膚中のメラニン量、酸化ヘモグ
ロビン量及び還元ヘモグロビン量を定量した。
【0053】即ち、図3に示す皮膚の反射スペクトルか
ら算出した皮膚の吸光度スペクトルを、図4(a)〜図
4(d)に示す4種の各成分の吸光係数スペクトルを使
用し、500nmから700nmの波長領域で、重回帰
分析した。得られた皮膚構成成分量から合成したスペク
トル(反射スペクトルに変換してある)と皮膚の反射ス
ペクトル(図3の吸光度スペクトルを反射率スペクトル
に変換した物)の一致状況は図5に示される。
【0054】非常に良いスペクトルの一致が見られ、こ
のとき、重相関係数は0.9932、残差の分散は0.
0005、最大残差は0.0618、最大残差波長は5
90nmであった。図5に示される良い一致から正確な
各成分の定量が行なえて、こうして得られた各成分量と
真皮の吸光度(式4のD)は、メラニン量(CM )は
1.3158モル・cm、酸化ヘモグロビン量
(CHbO )は1.1996モル・cm、還元ヘモグロビ
ン量(CHb)は1.0679モル・cm、真皮の吸光度
(D)は0.1089であった。
【0055】次に、重回帰分析による皮膚成分の定量
を、図3に示す皮膚の吸光度スペクトルと、図4(a)
〜図4(d)に示す各成分の吸光係数スペクトルを使用
し、400nmから700nmの波長領域で同様に行な
った。得られた皮膚構成成分量から合成したスペクトル
(反射スペクトルに変換してある)と皮膚の反射スペク
トル(図3の吸光度スペクトルを反射率スペクトルに変
換した物)の一致状況は図6に示される。
【0056】図5に示されるほどのスペクトルの良い一
致は見られなかった。このとき、重相関係数は0.89
36、残差の分散は0.0090、最大残差は0.18
92、最大残差波長は570nmであった。こうして得
られた各成分量と真皮の吸光度(式4のD)は、メラニ
ン量(CM)は1.3928モル・cm、酸化ヘモグロ
ビン量(CHbO )は−0.0891モル・cm、還元ヘ
モグロビン量(CHb)は−0.0487モル・cm、真
皮の吸光度(D)は0.1879であった。
【0057】(実施例2)加熱により生じた赤みを有す
る肌での皮膚成分の評価 本発明にかかる皮膚成分の定量方法及び定量装置の精度
を従来技術と比較して確認するために以下の検討を行な
う。本実施例においては、皮膚が温められ、赤みを帯び
た場合、即ちヘモグロビンが著しく増加した場合、本発
明にかかるメラニンの定量に与える影響を評価する。
【0058】評価方法は、評価部位を人前腕内側部(測
定箇所n=5か所、後の評価結果はこの5か所の平均値
を用いている。)とし、これを47°Cのお湯に3分間
浸漬した。次に、このお湯浸漬により赤みを生じた前腕
内側部の肌のメラニン量とヘモグロビン量を本発明にか
かる皮膚中の成分の定量方法に従い所定時間毎に測定
し、そして予め本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法
に従い測定された浸漬前の通常時のメラニン量とヘモグ
ロビン量と比較した。尚、本実施例において示すヘモグ
ロビン量は、独立に求められた酸化ヘモグロビン量と還
元ヘモグロビン量を合わせたものである。
【0059】結果を図7に示すが、図7は、ヘモグロビ
ンが著しく増加した場合に本発明にかかる皮膚中の成分
の定量方法におけるメラニンの定量に与える影響を示す
図である。図7に示すように、お湯浸漬前に比べ、お湯
浸漬により著しくヘモグロビン量は増加しており、お湯
浸漬による肌の赤みの発生と良く対応する。
【0060】しかし、かかるお湯浸漬の条件程度では変
化しないとされている皮膚のメラニン量も少量増加する
という結果が得られた。このメラニンに対する測定結果
は、その定量においてヘモグロビンの著しい増加が影響
したものと推定されるが、従来技術に比べ軽微なもので
ある。次に、比較例として従来技術であるメキサメータ
ー(Mexameter MX−16,C+K社製)を
使用し、同様の検討を行なった。
【0061】結果は同様に図8に示す。図8に示すよう
に、お湯浸漬前に比べ、お湯浸漬により著しくヘモグロ
ビン量は増加しており、お湯浸漬による肌の赤みの発生
と良く対応する。しかし、かかるお湯浸漬の条件程度で
は変化しないとされている皮膚のメラニン量がお湯浸漬
により、大きく減少するという結果が得られた。このメ
ラニンに対する測定結果は、上記実施例におけるメラニ
ン定量の場合と同様に、その定量においてヘモグロビン
の著しい増加が影響したものと推定される。
【0062】このとき、メラニン量の変動の程度は、ヘ
モグロビン量の変化の程度を基準とすると、上記実施例
にかかるメラニン量の変動の程度に比べ2倍程度大きい
ことが分かった。以上より、お湯により皮膚が温めら
れ、赤みを帯びた場合、即ちヘモグロビンが著しく増加
した場合、かかるヘモグロビンの増加が本発明にかかる
メラニンの定量に与える影響は、従来技術の約半分に低
減されることが分かった。
【0063】(実施例3)紫外線照射により生じた赤み
を有する肌での皮膚成分の評価 本発明にかかる皮膚成分の定量方法及び定量装置の精度
を従来技術と比較して確認するために以下の検討を行な
う。本実施例においては、皮膚が紫外線照射を受け日焼
けし、赤みを帯びた場合、即ちヘモグロビンが著しく増
加すると共にメラニンが徐々に増加した場合、本発明に
かかるメラニンとヘモグロビンの定量に与える影響を評
価する。
【0064】評価方法は、評価部位を人前腕内側部(測
定箇所n=12か所、後の評価結果はこの12か所の平
均値を用いている。)とし、これに2MEDの紫外線を
照射し、日焼けを起こさせた。次に、この紫外線照射を
行なった前腕内側部の肌のメラニン量とヘモグロビン量
を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法に従い所定日
数毎に測定し、そして予め本発明にかかる皮膚中の成分
の定量方法に従い測定された紫外線照射を受ける前の通
常時のメラニン量とヘモグロビン量と比較した。尚、本
実施例において示すヘモグロビン量は、独立に求められ
た酸化ヘモグロビン量と還元ヘモグロビン量を合わせた
ものである。
【0065】結果を図9に示すが、図9は、日焼けした
肌を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法によって評
価した結果を示す図である。尚、図9(a)にはメラニ
ン計測値=1及び1.6付近に横線が示されているが、
これは女性60名の頬のメラニン量計測値の範囲を参考
として示すものである。同様に、図9(b)にはヘモグ
ロビン計測値=1及び3付近に横線が示されているが、
これは女性60名の頬のヘモグロビン計測値の範囲を参
考として示すものである。
【0066】図9(a)に示すように、紫外線照射前に
比べ、紫外線照射により徐々にメラニン量が増加してい
る。一方、ヘモグロビン量は、紫外線照射直後に著しく
増加し、9日後位から紫外線照射前と同程度までその量
が低下していることが示される。以上のメラニン量とヘ
モグロビン量の変化挙動は、日焼け直後に肌が赤くな
り、数日後にはその赤みがとれて、一方で皮膚の色が徐
々に黒っぽくなりながら落ちついてくるという一般的な
現象に良く対応する。
【0067】次に、比較例として従来技術であるメキサ
メーター(Mexameter MX−16,C+K社
製)を使用し、同様の検討を行なった。結果は同様に図
10に示すが、図10は、日焼けした肌を従来技術であ
るメキサメーターを使用して評価した結果を示す図であ
る。尚、図10(a)にはメラニン量計測値(mx)=
450及び515付近に横線が示されているが、これは
女性60名の頬のメラニン量計測値(mx)の範囲を参
考として示すものである。同様に、図10(b)にはヘ
モグロビン量計測値(ex)=575及び640付近に
横線が示されているが、これは女性60名の頬のヘモグ
ロビン量計測値(ex)の範囲を参考として示すもので
ある。
【0068】図10(a)に示すように、紫外線照射前
に比べ、紫外線照射2日後にメラニン量が減少し、その
後増加に転じている。一方、ヘモグロビン量は、紫外線
照射直後に著しく増加し、9日後位から低下しはじめる
が、紫外線照射前の量に比べて多い量のままで安定して
しまっている。
【0069】以上のメラニン量とヘモグロビン量の変化
挙動は、日焼け直後に肌が赤くなり、数日後にはその赤
みはとれて、一方で皮膚の色が徐々に黒っぽくなりなが
ら落ちついてくるという一般的な現象と対応しない。こ
のような不一致の原因は、従来技術であるメキサメータ
ーを使用した評価では、紫外線照射2日後の評価におい
て、メラニン量の定量に対し、増大しているヘモグロビ
ン量の影響が大きく現れたものと推定される。
【0070】また、一方でヘモグロビン量の定量におい
ては、9日後等に見られるように、皮膚に沈着して増加
したメラニンの量の影響が大きく影響しているものと推
定される。以上より、皮膚への紫外線照射により日焼け
が起こされ、ヘモグロビン量とメラニン量が増大した場
合、かかるヘモグロビン量とメラニン量の増加が本発明
にかかるメラニン及びヘモグロビンの定量に与える影響
は、従来技術に比べ低減されることが分かった。
【0071】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、皮膚の成
分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプ
ルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定するこ
とが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量
の定量が可能となる。従って、所謂目の下のクマ、肌の
くすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用する
ことが可能である。
【0072】請求項2記載の発明によれば、皮膚の成分
量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプル
の採取等の手段を用いることなく、簡便に測定すること
が可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の
定量が可能となる。請求項3記載の発明によれば、皮膚
での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベル
ト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の
構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をす
ることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚
の成分の定量が可能となる。
【0073】請求項4記載の発明によれば、皮膚の色を
構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量す
ることが可能となる。また、ヘモグロビンについては、
酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に
定量することが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可
能となる。請求項5記載の発明によれば、皮膚の成分量
を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの
採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが
可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定
量が可能となる。
【0074】従って、所謂目の下のクマ、肌のくすみや
透明感、更には美白化粧品等の評価に応用することが可
能である。請求項6記載の発明によれば、皮膚の成分量
を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの
採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが
可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定
量が可能となる。
【0075】請求項7記載の発明によれば、皮膚での光
の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベ
ールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成
分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすること
が可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚の成分
の定量が可能な装置を提供することができる。請求項8
記載の発明によれば、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主
要な色素を正確かつ簡便に定量することが可能装置を提
供することができる。
【0076】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモ
グロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量する
ことが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において採用される皮膚の光学モデルを
説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態である皮膚中の成分の定量
装置の要部構成を説明する図である。
【図3】本発明にかかる実施例において使用する皮膚の
吸光度スペクトルである。
【図4】本発明にかかる実施例において使用する各成分
の吸光係数スペクトルである。
【図5】本発明にかかる実施例において得られた皮膚構
成成分量から合成したスペクトルと皮膚の反射スペクト
ルの一致状況を示すグラフである。
【図6】本発明にかかる別の実施例において得られた皮
膚構成成分量から合成したスペクトルと皮膚の反射スペ
クトルの一致状況を示すグラフである。
【図7】ヘモグロビン量が著しく増加した場合に本発明
にかかる皮膚中の成分の定量方法におけるメラニンの定
量に与える影響を示す図である。
【図8】ヘモグロビン量が著しく増加した場合に、本発
明にかかる比較例であるメキサメーターの使用の定量方
法におけるメラニンの定量に与える影響を示す図であ
る。
【図9】日焼けした肌を本発明にかかる皮膚中の成分の
定量方法によって評価した結果を示す図である。
【図10】日焼けした肌を従来技術であるメキサメータ
ーを使用して評価した結果を示す図である。
【図11】メキサメーターの測定原理を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 皮膚 2 光 3 表皮 4 真皮 10 皮膚中の成分の定量装置 11 開口部分 12 反射率測定部 13 制御部 15 筒状の本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 美帆 茨城県つくば市春日4−18−6 ハイツ路 川

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚の反射スペクトルから皮膚中の成分
    の量を求めることを特徴とする皮膚中の成分の定量方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の皮膚中の成分の定量方法
    において、 前記皮膚の反射スペクトルから、ランベルト−ベール(L
    ambert-Beer)の法則に基づく吸光度モデルを置くことに
    より皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回
    帰分析を行い、皮膚中の成分の量を求めることを特徴と
    する皮膚中の成分の定量方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2の何れか記載の皮
    膚中の成分の定量方法において、 前記重回帰分析は前記反射スペクトルの500nmから
    700nmの波長範囲に含まれる波長領域について行な
    うことを特徴とする皮膚中の成分の定量方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のうち何れか一項
    記載の皮膚中の成分の定量方法において、 前記皮膚中の成分は、メラニンと酸化ヘモグロビンと還
    元ヘモグロビンとからなる群より選択された少なくとも
    一つの物質であることを特徴とする皮膚中の成分の定量
    方法。
  5. 【請求項5】 皮膚の反射率を測定する反射率測定部
    と、 該反射率測定部により得られた反射率データから皮膚の
    反射スペクトルを求め、該反射スペクトルから皮膚中の
    成分の量を求める制御部とからなることを特徴とする皮
    膚中の成分の定量装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の皮膚中の成分の定量装置
    において、 前記制御部は、前記皮膚の反射スペクトルから、ランベ
    ルト−ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく吸光度モデ
    ルを置くことにより皮膚の構成成分の吸光係数スペクト
    ルを用いて重回帰分析を行い、皮膚中の成分の量を求め
    る構成とされたことを特徴とする皮膚中の成分の定量装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項5又は請求項6の何れか記載の皮
    膚中の成分の定量装置において、 前記制御部は、前記重回帰分析を前記反射スペクトルの
    500nmから700nmの波長範囲に含まれる波長領
    域について行なうよう構成されたことを特徴とする皮膚
    中の成分の定量装置。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至請求項7のうち何れか一項
    記載の皮膚中の成分の定量装置において、 前記皮膚中の成分は、メラニンと酸化ヘモグロビンと還
    元ヘモグロビンとからなる群より選択された少なくとも
    一つの物質であることを特徴とする皮膚中の成分の定量
    装置。
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