JPH11295435A - 地下水中のラドン濃度計測方法及び計測システム - Google Patents

地下水中のラドン濃度計測方法及び計測システム

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JPH11295435A
JPH11295435A JP10103226A JP10322698A JPH11295435A JP H11295435 A JPH11295435 A JP H11295435A JP 10103226 A JP10103226 A JP 10103226A JP 10322698 A JP10322698 A JP 10322698A JP H11295435 A JPH11295435 A JP H11295435A
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groundwater
water
observation
gas
radon
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JP10103226A
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Hideyuki Murayama
秀幸 村山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震予測のための地下水中のラドン濃度計測
をリアルタイムで行うと共に、同一箇所での地下水位等
の計測との両立を可能とする。 【解決手段】 地下水観測井1の削孔壁のうち、ケーシ
ングパイプ3及び遮水材4によって限定された観測区間
Aの削孔壁1から湧出した地下水は、孔あきストレー
ナ管2の小孔2aを介してケーシングパイプ3内周の地
下水流入空間Sに流入し、水中に溶け込んでいたラド
ンを含むガスをガス放出空間Sに放出する。このガス
放出空間S内のガスは、ポンプによって、吸気管6か
らラドン濃度計11へ送られ、復気管7からガス放出空
間Sへ還流される。ラドン濃度計11による計測デー
タは、水位計8及び水温計9等からの計測データと共に
パーソナルコンピュータへ送られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震活動の予測を
目的とする地下水観測技術の分野に属するものであっ
て、特に、地下水観測井を利用して地下水中のラドン濃
度を観測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地下水位や水温を計測し、あるいは地下
水のサンプリングによる成分分析等を定期・不定期に実
施し、地下水環境のモニタリングを行うことを目的とし
て、ボーリングにより削井される井戸を通常、地下水観
測井と呼ぶ。地下水観測井は、例えば工場地帯における
大量の地下水の汲み上げ(揚水)による地下水資源の枯
涸に対する監視や、軟弱地盤地域における地下水位の低
下による地盤沈下の監視等を目的として削井され、長期
間に亘る連続的な地下水観測がなされることが多い。最
近では、地殻破壊現象である地震活動の地球化学的な前
兆現象として、地下水の水位、水温、地下水中に含まれ
る成分の濃度等が変化することが、長期的な地下水の連
続観測によって報告される例が多くなっている。特に、
地下水中には、地殻から放出される放射性核種ラドンが
気体中の成分(気ガス)として地下水に溶け込んで存在
しており、地震エネルギの蓄積による歪を受けて岩盤に
多数の微小亀裂が発生するのに伴って地下水中へのラド
ン放出量も増加するため、地下水のラドン濃度変化の観
測は、地震活動の予測において極めて重要である。
【0003】通常、地震活動の予測を目的とした地下水
中のラドン濃度の観測は、地下水観測井のようなボーリ
ングによる井戸を使用することは比較的稀であり、地下
水が自噴して湧き出す湧水箇所における湧き水を利用す
る場合が多い。地下水中のラドン濃度を計測する方法
は、地下水観測井の場合も、湧水箇所における湧き水を
利用する場合もほぼ同様であり、定期又は不定期に地下
水を汲み上げ、一定量の試料をサンプリングして実験室
でラドン濃度を計測する方法や、水中ポンプで恒常的に
一定流量の地下水を汲み上げて観測小屋に設置した連続
観測可能なラドン濃度計により計測するといった方法が
あるが、一般的には前者の方法が採用されることが多
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術による
と、それぞれ次のような問題が指摘される。まず、定期
又は不定期に地下水を汲み上げてサンプリングし、実験
室に搬入してラドン濃度を計測する方法の場合は、地下
水のサンプリング箇所や水温等、サンプリング条件が一
定でないと信頼性の高い計測値が得られない。また、サ
ンプリングした地下水試料は、計測までの保管において
太陽光、特に紫外線に曝露しないようにしておく必要が
あり、しかもサンプリングした地下水を実験室に搬入た
めの運搬方法等によって、サンプリングから実際の計測
までの時間差がまちまちになると、ラドンは自然放射に
よる半減期が約 3.8日と比較的短いため計測値の信頼性
が低下してしまう。そして、これらの問題は、特定のサ
ンプリング箇所での試料を計測する場合に発生する問題
であるばかりでなく、複数箇所からサンプリングした試
料の計測値を比較する場合に、データの信頼性や画一性
において問題があり、単純に比較・検討することができ
ない。
【0005】また、先に説明したように、地震活動の前
兆現象としての地下水位の変動やあるいは地下水資源の
枯涸に対する監視等を目的として、地下水観測井には水
位計等の計測器を設置している場合があるが、通常の地
下水観測井は口径がφ150 〜200mm 程度の細いものであ
るため、上述の方法によるラドン濃度計測では地下水試
料のサンプリング時に観測井内の計測器類を一時的に撤
去する必要がある。そして試料サンプリング終了後は、
これらの計測器を観測井内に再設置することになるが、
その作業が極めて煩雑であり、しかも設置深さ等が撤去
前と微妙に変化して計測データに影響を与えてしまう可
能性が高い。また、基本的な問題として、この方法では
ラドン濃度の変化を連続的に計測することができず、し
かも上述のように、試料サンプリングの際に水位計を一
次撤去することや、サンプリングによって一時的に観測
井内の水位が低下するため、地下水位とラドン濃度の同
時計測も不可能である。
【0006】一方、水中ポンプで恒常的に一定流量の地
下水を汲み上げてラドン濃度を連続的に計測する方法の
場合は、通常は地下水観測井の口径をφ150 〜200mm と
するが、設置するポンプの揚水能力に限界があるため
に、深い地下水観測井ほど揚水能力の大きい大型のポン
プを用いる必要があり、これに伴い大口径の地下水観測
井を掘削する必要があり、削井コストが増大する問題が
ある。また、計測に必要な揚水量は毎分数リットルであ
るのに対して通常のポンプによると毎分10リットル以上
揚水されるため、過剰に揚水された地下水等を排水処理
するための処理設備が必要となり、しかも精密な計測で
あるためにラドン濃度計へ常に一定量の地下水を供給す
る必要があるが、そのような制御は実際には難しい。ま
た、この方法では、ポンプによる地下水の汲み上げによ
って地下水位が大きく変動するので、地殻変動、潮汐変
化、地震活動等に起因する地下水位の微小な自然変動を
計測することができなくなり、同一箇所でのラドン濃度
計測と地下水位計測とを並行して行うことによる一層的
確な予測データを得ることができない。
【0007】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、地震予測
のための地下水中のラドン濃度計測をリアルタイムで行
うことによってその計測データの信頼性を向上させると
共に、同一箇所での地下水位等の計測との両立を可能と
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明は、地下水観測
井の削孔壁における湧水面に観測区間を設定して、この
観測区間から湧出した地下水が流入し非観測区間の削孔
壁からの地下水の流入が遮断された地下水流入空間と、
この地下水流入空間内の地下水の水面上に実質的に空気
の流通を伴わずに大気圧のみが導入されるガス放出空間
を設け、このガス放出空間内のガスをラドン濃度計に循
環流通させてラドン濃度を計測する地下水中のラドン濃
度計測方法を提供するものである。また本発明は、上記
計測方法を実現するため、地下水観測井の削孔壁におけ
る湧水面に設定した観測区間以外の非観測区間の内周に
挿入され前記観測区間の湧水面から湧出した地下水が流
入する地下水流入空間及び前記地下水の水面上のガス放
出空間を画成するケーシングパイプと、前記非観測区間
の削孔壁とケーシングパイプとの間に介在された遮水材
と、前記ケーシングパイプに形成され前記ガス放出空間
に実質的に空気の流通を伴わずに大気圧を導入する大気
圧導入部と、前記ケーシングパイプの外部に設置された
ラドン濃度計と、前記ガス放出空間内の気体を前記ラド
ン濃度計との間で循環させる循環装置とを具備する地下
水中のラドン濃度計測システムを提供するものである。
【0009】先に述べたように、地殻から地下水に気ガ
スとして溶け込む放射性核種ラドンの量は、地震エネル
ギの蓄積による地殻の微小破壊の進行に伴って増加する
ことから、本発明は、地下水観測井内に湧水した地下水
の水面から放出されるガス中の放射性核種ラドンの濃度
変化を観測することによって、地殻の変動や地震活動の
前兆現象を把握するものである。この場合、地下水観測
井の削孔壁に設定した観測区間の湧水面からの地下水が
流入し非観測区間の削孔壁に対してシールされた地下水
流入空間を設けることによって、観測区間以外の削孔壁
から湧水した地下水の混入を防止し、前記地下水流入空
間の水面上に実質的に気体の流通を伴わずに大気圧のみ
が導入されるガス放出空間を設けることによって、地下
水観測井近傍の土壌等からのラドンの混入を抑えると共
に地下水観測井における地下水位の自然変動が妨げられ
ないようにする。このため、前記ガス放出空間内のガス
をラドン濃度計に循環流通させることによって、観測区
間の削孔壁から湧出した地下水から放出されるガスのみ
を対象としてラドン濃度を計測することになり、しかも
地下水をサンプリングして実験室で計測する場合のよう
なタイムラグ等がなく、地下水を汲み上げて計測する場
合のような地下水位の変化も生じない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態においては、図
1に示すように、まず地盤にボーリングマシンによって
地下水観測井1を削井し、この時に採取される地盤のコ
アサンプルの観察や、孔内検層等を行うことによって、
地下水脈による顕著な湧水面を検出し、この湧水面に対
応して観測区間Aを設定する。観測区間Aの削孔壁1
の内周には多数の小孔2aが開設された孔あきストレー
ナ管2を挿入する。また、この観測区間A以外の区間す
なわち非観測区間Bにおける削孔壁1から湧水した地
下水が、観測区間Aの削孔壁1から湧水した計測対象
の地下水に混入することがないように、非観測区間Bに
おける削孔壁1の内周には遮水性の高いケーシングパ
イプ3を挿入し、このケーシングパイプ3とその外周の
削孔壁1との間を遮水材4でシールする。
【0011】ケーシングパイプ3の上端高さは地下水位
GWLよりも高位とし、また上端開口には栓5を嵌着す
る。これによってケーシングパイプ3の内腔には地下水
流入空間Sと、その水面上のガス放出空間Sが形成
される。ガス放出空間Sからは、前記栓5を通して吸
気管6及び復気管7が外部(地上)へ導出され、ケーシ
ングパイプ3内には前記栓5を通して水位計8や水温計
9など、種々の計測器が設置される。また図2の斜視図
に示すように、ケーシングパイプ3の上端開口に嵌着し
た栓5にはスリ割り5b付きの孔5aが複数箇所に開設
されており、吸気管6、復気管7あるいは水位計8や水
温計9から延びるケーブル6a,7aは、このスリ割り
5b付きの孔5aに嵌め込んで通される。
【0012】ケーシングパイプ3内のガス放出空間S
は大気開放されていないと気圧の変動や潮汐の影響によ
る地下水位GWLの自然変動が妨げられるばかりでな
く、地下水流入空間Sからガス放出空間Sへのガス
放出も妨げられてしまうため、前記栓5には小径の大気
圧導入孔5cが開設され、ケーシングパイプ3の外部に
は気圧計10(後述の図3参照)が設置されている。こ
の場合、吸気管6からの吸気流量と復気管7からの復気
流量が同一であれば、ガス放出空間Sと外気との間で
大気圧導入孔5cを介しての空気の出入りは理論的には
あり得ないが、実際には風や気温変化、地下水位GWL
の変動等によって少量の空気の出入りは生じるため、地
下水流入空間Sの地下水以外から放出されたラドンが
ガス放出空間S内に侵入する可能性がある。しかしな
がらこの量は極めて少なく、大気圧導入孔5cは直径3m
m 程度の小さな開口面積にすれば、外部からのラドン侵
入は無視できる程度になると考えて良い。
【0013】図3において、参照符号11は地上に設置
されたラドン濃度計、参照符号12は循環装置としての
ポンプである。ラドン濃度計11は、サンプルガス容器
11aと、このサンプルガス容器11aに供給されたガ
ス中のラドンから放射されるα線、β線、γ線のいずれ
かの崩壊エネルギを計測するセンサ本体11bとからな
る。また、ポンプ12には図示されていない乾燥機と一
体となっている。
【0014】ケーシングパイプ3内のガス放出空間S
から地上へ導出された吸気管6は、ポンプ12の吸入ポ
ートに接続され、復気管7は、ラドン濃度計11のサン
プルガス容器11aの排気ポートに接続されている。ま
た、ポンプ12の吐出ポートと前記サンプルガス容器1
1aの供給ポートとを接続する配管13には、湿度計1
4、温度計15、流量計16等が配置されており、これ
らラドン濃度計11のセンサ本体11b、湿度計14、
温度計15、流量計16や、ケーシングパイプ3の外部
の気圧計10、ケーシングパイプ3内の水位計8及び水
温計9からの各計測データは、適宜増幅されてA/Dコ
ンバータ17によりA/D変換され、パーソナルコンピ
ュータ18に入力されて各種の演算に供されると共に、
メモリに格納されるようになっている。
【0015】上記実施形態の構成においては、地下水観
測井1の削孔壁のうち、ケーシングパイプ3及び遮水材
4によって限定された観測区間Aの削孔壁1から湧出
した地下水は、孔あきストレーナ管2の小孔2aを介し
てケーシングパイプ3内周の地下水流入空間Sに流入
する。この地下水は、地中の圧力から開放されることに
よって、水中に溶け込んでいたガスをガス放出空間S
に放出する。ガス放出空間S内に放出されたガスは、
ポンプ12によって、吸気管6、ポンプ12、配管1
3、ラドン濃度計11のサンプルガス容器11a及び復
気管7を順次経由してガス放出空間Sへ還流される。
また、地下水流入空間Sからのガス放出に伴って、そ
れと同量のガスがガス放出空間Sから大気圧導入孔5
cを通じて外部へ排出される。
【0016】ガス放出空間S内のガスには、地下水流
入空間Sからの地下水の蒸発による水蒸気が含まれる
が、このガスは、ポンプ12によってラドン濃度計11
のサンプルガス容器11aへ送られる過程で、前記ポン
プ12と一体の乾燥機によって水蒸気が除去される。そ
してこの乾燥したガスが前記サンプルガス容器11aを
通過する過程で、前記ガス中のラドンから放射される放
射線の強度がセンサ本体11bによって計測され、その
計測データは、A/Dコンバータ17を介してパーソナ
ルコンピュータ18に入力され、メモリに蓄積される。
【0017】この実施形態によれば、非観測区間Bにお
ける削孔壁1から湧出した地下水が地下水流入空間S
に流入したり、地下水観測井1の周囲の土壌等から放
出されたラドンがガス放出空間Sへ供給されることは
殆どないため、観測区間Aの削孔壁1から湧出した地
下水から放出されるガスのみを対象としてラドン濃度を
計測することになる。しかも地下水をサンプリングして
実験室へ搬入してから計測する場合のようなタイムラグ
等が発生しないので、信頼性の高いラドン濃度計測が可
能である。
【0018】また、従来方法のような地下水の汲み上げ
による地下水位GWLの変動がなく、ガス放出空間S
には大気圧導入孔5cを通じて大気圧が導入されている
ので、地下水流入空間Sにおける地下水位GWLは、
気圧の変動、潮汐変化、水温による体積変化、地殻変動
による地下水圧の変動等を反映して変化する。したがっ
て、水位計8による地下水位GWLの計測データを、月
の公転に基づく潮汐変化のデータや、水温計9及び気圧
計10からの計測データに基づいて算出される水位変化
分で補正することによって、地殻変動による地下水位G
WLの変化量を的確に把握することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明による具体的な実施例について
説明する。この実施例においては削孔径76mm、深さ200m
の地下水観測井1をボーリングマシンによって削井し、
この時に採取された地盤のコアサンプルの観察によっ
て、図4に示す総合柱状図における地質柱状図(a)
と、RQD(b)とを作成した。(b)のRQDは、コ
アサンプル中の割れ目の存在頻度を百分率で表した指数
であり、100%の場合、割れ目の存在しない状態を示すも
のである。前記地質柱状図(a)に示すように、この実
施例においては、地下水観測井1の削井箇所の地盤G
は、深度 15.30までが表土層bs、深度 15.30〜100.25
m が細粒凝灰岩tf、深度100.25〜107.75mが粗粒凝灰
岩tc、深度107.75m 以深が角礫凝灰岩tbで構成され
ていることがわかる。
【0020】また、削井した地下水観測井1には各種の
計測装置を吊り下げてこの地下水観測井1内の電気検層
及び温度検層を行った。電気検層は、自然電位や比抵抗
の計測値から地盤の物性を検出するもので、その計測値
は、地下水の湧水量の多い層で低くなる傾向が顕著であ
り、また温度検層は、深さによる地下水の温度変化率か
ら地盤の物性を検出するもので、地下水の湧水量の多い
層で変化率が大きくなる傾向がある。この実施例におけ
る電気検層では、図4(c)に示すように、深度約 100
〜108m付近に自然電位、比抵抗の双方が顕著に低くなっ
ている箇所が存在し、温度検層でも、同(d)に示すよ
うに前記と同一深度付近で温度勾配の変化が認められ、
したがってこの付近が地下水脈であると判断できる。ま
た、これらの検層結果を考慮して、この地下水観測井1
では深度 96.0 〜111.3m、 128.0〜147.3m及び 185.0〜
200.0mの3区間で湧水圧試験を実施し、試験区間の水位
(水頭差)と透水係数等の水理特性を確認した。図5は
その試験結果を示すものである。
【0021】上述の井内検層等の結果から、この地下水
観測井1では、深度100.25m 以深を観測区間Aとした。
すなわち深度100.25m 以深の削孔壁1には、直径8mm
の小孔2aを開口率 3%で菱眼格子点状に開設した外径
60mm、内径56mmの塩化ビニル製の孔あきストレーナ管2
を挿入し、深度100.25m より浅い部分の削孔壁1
は、塩化ビニル製の通常の孔なしケーシングパイプ3を
挿入し、削孔壁1とケーシングパイプ3との間には上
下5カ所で遮水材4を介在させ、深度100.25m 以上の非
観測区間から湧水した地下水がケーシングパイプ3の内
周の地下水流入空間Sへ流入しないようにシールす
る。また、地下水観測井1は、表土層bsにおける削孔
壁をそれより深い部分に比較して大径とし、外径89mm、
内径81mmの塩化ビニル管19でライニングする。
【0022】ラドン濃度計11のセンサ本体11bとし
ては、典型的にはα線の崩壊エネルギを計測するPIN
フォトダイオードを採用し、ケーシングパイプ3内に設
置される水位計8としては計測精度が±1mm で水圧の計
測によって水位を求める半導体感圧素子を採用し、水温
計9としては精度が±1/1000℃の水晶温度計を採用し、
気圧計10としては精度が±0.15hPa のシリコン振動子
を採用した。また、ポンプ12によるラドン濃度計11
のサンプルガス容器11aへのガス供給流量は0.25リッ
トル/min とする。
【0023】
【発明の効果】本発明によると、地下水観測井における
特定区間の湧水面から湧出する地下水に含まれるガスの
みを対象としてラドン濃度をリアルタイムで計測するも
のであり、計測までのタイムラグ等が発生しないので、
信頼性の高いラドン濃度計測が可能であり、このため、
複数箇所での計測データを比較して広域での地震エネル
ギの分布状況を把握したりする場合にも有効である。ま
た、地下水を汲み上げて計測する場合のような地下水位
の変化が生じないので、地殻変動や地震の前兆現象とし
ての微妙な地下水位等の計測も並行して行うことがで
き、地震予測のためのデータとしての信頼性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による地下水中のラドン濃
度計測システムの一部を示す概略的な断面図である。
【図2】上記実施形態によるケーシングパイプの上端部
分の構成を示す一部断面を表す斜視図である。
【図3】上記実施形態の全体構成を概略的に示す説明図
である。
【図4】本発明において実施したコアサンプルの観察、
電気検層及び温度検層の結果を示す総合柱状図である。
【図5】試験結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1 地下水観測井 1,1 削孔壁 2 孔あきストレーナ管 3 ケーシングパイプ 4 遮水材 5b 大気圧導入孔 6 吸気管 7 復気管 8 水位計 11 ラドン濃度計 12 ポンプ(循環装置) A 観測区間 B 非観測区間 S ガス放出空間 S 地下水流入空間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下水観測井の削孔壁における湧水面に
    観測区間を設定し、この観測区間から湧出した地下水が
    流入し非観測区間の削孔壁からの地下水の流入が遮断さ
    れた地下水流入空間と、この地下水流入空間内の地下水
    の水面上に実質的に空気の流通を伴わずに大気圧のみが
    導入されるガス放出空間とを設け、 このガス放出空間内の気体をラドン濃度計に循環流通さ
    せてラドン濃度を計測することを特徴とする地下水中の
    ラドン濃度計測方法。
  2. 【請求項2】 地下水観測井の削孔壁における湧水面に
    設定した観測区間以外の非観測区間の内周に挿入され前
    記観測区間の湧水面から湧出した地下水が流入する地下
    水流入空間及び前記地下水の水面上のガス放出空間を画
    成するケーシングパイプと、 前記非観測区間の削孔壁とケーシングパイプとの間に介
    在された遮水材と、 前記ケーシングパイプに形成され前記ガス放出空間に実
    質的に空気の流通を伴わずに大気圧を導入する大気圧導
    入部と、 前記ケーシングパイプの外部に設置されたラドン濃度計
    と、 前記ガス放出空間内の気体を前記ラドン濃度計との間で
    循環させる循環装置とを具備することを特徴とする地下
    水中のラドン濃度計測システム。
JP10103226A 1998-04-15 1998-04-15 地下水中のラドン濃度計測方法及び計測システム Pending JPH11295435A (ja)

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