JPH11293262A - 軽油用潤滑添加剤及び軽油組成物 - Google Patents

軽油用潤滑添加剤及び軽油組成物

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JPH11293262A
JPH11293262A JP10871098A JP10871098A JPH11293262A JP H11293262 A JPH11293262 A JP H11293262A JP 10871098 A JP10871098 A JP 10871098A JP 10871098 A JP10871098 A JP 10871098A JP H11293262 A JPH11293262 A JP H11293262A
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gas oil
lubricating additive
acid
lubricating
derivative
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JP10871098A
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Inventor
Kenichiro Uda
賢一郎 宇田
Hajime Ono
肇 小野
Masaharu Fuchigami
正晴 淵上
Toshimi Muto
俊美 武藤
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Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Yushiro Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽油の低硫黄化に起因する問題を未然に防止
若しくは低減するための軽油用潤滑添加剤及び軽油組成
物を提供する。 【解決手段】 軽油用潤滑添加剤として下記のもの等を
軽油に0.001〜0.1重量%、特に0.005〜
0.05重量%添加して使用する。 (1)リシノール酸等、炭素数2〜30の脂肪族系ヒド
ロキシカルボン酸の2量体と、エチレンと飽和カルボン
酸のビニルエステルとの共重合体。 (2)リシノール酸等の脂肪族系ヒドロキシカルボン酸
とオレイン酸等、炭素数8〜22の脂肪族系カルボンと
のエステル化合物と、エチレンと飽和カルボン酸のビニ
ルエステルとの共重合体。 (3)上記(2)のエステル化合物のモノグリセライド
等と、エチレンと飽和カルボン酸のビニルエステルとの
共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽油用潤滑添加剤
及びこの潤滑添加剤を含有する軽油組成物に関する。本
発明の軽油用潤滑添加剤は、軽油の低温における流動性
を向上させる作用を有するエチレン−酢酸ビニル共重合
体等を含有しているが、その優れた潤滑性能が何ら損な
われることはない。また、本発明の潤滑添加剤は、特
に、低硫黄軽油を燃料とするディーゼルエンジンの燃料
供給系等において生じる摩擦、摩耗を低減するための軽
油用潤滑添加剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】ディーゼル車の排ガス規制が世界的な規
模で進められている。独国では0.05重量%以上の硫
黄分を含有する軽油の使用が禁止され、北欧スカンジナ
ビア地方では硫黄分が0.002重量%以下という超低
硫黄軽油も提供されている。しかし、鉱油に含まれる天
然硫黄は良好な極圧性能を有するものであり、軽油等の
燃料油の分野における低硫黄化によって、燃料供給装置
の摩耗或いはエンジンの焼付きなどが発生することが懸
念されている。実際、欧州では燃料噴射ポンプの異常摩
耗などが報告されており、早急な対策が必要となってい
る。
【0003】我が国においても、環境行政の一環とし
て、1997年10月から軽油中の硫黄分がそれまでの
0.1〜0.2重量%から0.05重量%以下に規制さ
れた。そして、自動車メーカー各社は、このような低硫
黄軽油に起因する摩擦、摩耗によってフューエルポンプ
の作動不良が起こった場合、燃料噴射のタイミングラグ
によってエンジンが充分な出力を発揮できなくなるなど
といった、より具体的な問題が起きることを懸念してい
る。
【0004】軽油の低硫黄化により予測されるトラブル
に対して、石油メーカー各社は、当面、潤滑性を向上さ
せるための添加剤を用いて対処するとしている。これら
の添加剤として、特開平8−199178号公報、特表
平8−505893号公報及び特開平9−13052号
公報等には、モノカルボン酸とグリセリンとのエステル
等、エステル化合物が提案されている。また、国際公開
W096/18708号公報には、カルボン酸エステル
とエチレン系コポリマーとの併用、国際公開W096/
18706号公報には、エステルとアミン塩、アミドな
ど、窒素化合物との併用等が開示されている。
【0005】従来より使用されている潤滑添加剤、特
に、汎用の脂肪酸、エステル化合物等の潤滑添加剤は、
摩擦面に配向性の高い吸着膜を形成し、それによって摩
擦、摩耗が軽減される。しかし、他の添加剤が共存する
場合、摩擦面に形成された吸着膜の配向が乱され、緻
密、且つ強固な吸着膜の形成が妨げられる。一方、寒冷
地、或いは温暖な地方であっても冬季においては、軽油
の流動性を保つために、流動性向上剤の添加が不可欠と
なる。この流動性向上剤としては、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等、各種のものが提案され、提供されている
が、、この流動性向上剤の添加により、潤滑添加剤によ
る吸着膜の形成が妨げられ、潤滑性能が低下するとの問
題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、低硫黄
軽油用の潤滑添加剤としては既に各種のものが提案され
ている。しかし、それらの多くは海外の添加剤メーカー
若しくは石油メーカーによって開発されたものであり、
主として当該国において使用されている軽油を対象とし
たものである。軽油の性状は各国各様であり、その性状
によって潤滑添加剤の溶解性及び安定性などは大きな影
響を受けるものと思われる。そのため、この潤滑添加剤
の開発は、対象とする軽油の性状に基づいてなされるべ
きものである。また、我が国においても軽油の低硫黄化
は今後もさらに進むことが予想される。従って、我が国
において使用される軽油を対象として、既存の潤滑添加
剤よりもさらに潤滑性能に優れる新規な添加剤を開発す
ることが急務である。
【0007】更に、低温における流動性向上剤として添
加されるエチレン−酢酸ビニル共重合体等により、その
潤滑性能が低下しない潤滑添加剤であれば、寒冷地等に
おいても何ら問題なく使用することができ、より好まし
い。
【0008】本発明は、軽油の低硫黄化に起因する潤滑
性能の低下を未然に防ぐための軽油用潤滑添加剤を提供
することを課題とする。また、低温における軽油の流動
性が向上し、且つその潤滑性能が何ら損なわれることの
ない軽油用潤滑添加剤を提供することを課題とする。特
に、ディーゼルエンジンの燃料等として使用される低硫
黄軽油に添加され、燃料供給系等における摩擦、摩耗を
低減するための新規な軽油用潤滑添加剤を提供すること
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、潤滑剤が
添加されていない国産の低硫黄軽油に各種の化合物を配
合し、その潤滑性能を詳細に検討した。その結果、脂肪
族系ヒドロキシカルボン酸の誘導体、及びエチレンと酢
酸ビニル等の飽和カルボン酸のビニルエステルとの共重
合体、を含有する潤滑添加剤が優れた摩耗防止効果を有
することを見出した。また、この軽油用潤滑添加剤は、
軽油の低温における流動性を向上させる作用を有するエ
チレン−酢酸ビニル共重合体等を含有しているが、その
潤滑性能が何ら損なわれることなく、優れた摩耗防止効
果が維持されることを見出した。
【0010】第1発明の軽油用潤滑添加剤は、脂肪族系
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、及びエチレンと飽和カ
ルボン酸のビニルエステルとの共重合体、を含有するこ
とを特徴とする。
【0011】上記「脂肪族系ヒドロキシカルボン酸」と
しては、特に、第2発明のように、前記の式(1)によ
って表される炭素数2〜30の脂肪族系ヒドロキシカル
ボン酸を使用することができる。この脂肪族系ヒドロキ
シカルボン酸において、「カルボキシル基」の数は1〜
2である。カルボキシル基が3以上であれば、このカル
ボキシル基が分子内にそのまま残る誘導体では吸着点は
増加する。しかし、分子鎖の配向による強固な吸着膜が
生成し難くなるため好ましくない。また、「R1 」の
炭素数は1〜29である。この炭素数が30以上である
場合は、得られる潤滑添加剤の軽油への溶解性が過度に
高まり、摩擦面である金属表面への吸着性が阻害される
ため好ましくない。更に、ヒドロキシル基の数は1以
上、例えば1〜4等であり、通常、1又は2である。
【0012】この脂肪族系ヒドロキシカルボン酸として
は、α―ヒドロキシパルチミン酸、β―ヒドロキシパル
チミン酸、α―ヒドロキシステアリン酸及びβ―ヒドロ
キシステアリン酸等、α位又はβ位にヒドロキシル基が
結合しているものを使用することができる。また、リシ
ノール酸、12―ヒドロキシパルチミン酸及び12―ヒ
ドロキシステアリン酸等、12位にヒドロキシル基が結
合しているものを用いることもできる。これらのうち、
優れた潤滑性能を有し、且つ安価であるリシノール酸が
より好ましい。尚、ヒドロキシル基がある程度カルボキ
シル基から離れた位置に結合されているヒドロキシカル
ボン酸が好ましく、例えば、ヒドロキシル基の結合する
位置がγ位から12位程度であるものが好ましい。
【0013】第1発明において、上記「誘導体」として
は、特に、第3乃至9発明のものを使用することができ
る。第3発明では、この誘導体として、脂肪族系ヒドロ
キシカルボン酸の「縮合物」を用いる。この縮合物は、
2以上の脂肪族系ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合され
たものであり、内部にエステル結合を有し、且つ少なく
とも1個のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有する
ヒドロキシカルボン酸である。この縮合物としては2〜
4量体、特に2量体が好ましく、2量体又は3量体等の
混合物であってもよい。5量体以上の多量体では、目的
とする多量体とは縮合度が異なる他の多量体が副生され
て分子量分布が広くなる。そのため、目的の多量体を得
るための複雑な精製工程が必要となり、コストも高くな
るため好ましくない。この縮合物としては、より優れた
潤滑性能を有するエステル化合物を得ることができるリ
シノール酸の2量体が特に好ましい。
【0014】第4発明では、この誘導体として、脂肪族
系ヒドロキシカルボン酸と、炭素数1〜10の脂肪族系
アルコールとの「エステル化合物」(a)を用いる。ま
た第5発明では、この誘導体として、第3発明における
縮合物と、第4発明における脂肪族系アルコールとの
「エステル化合物」(b)を用いる。
【0015】第4及び第5発明における上記「脂肪族系
アルコール」の炭素数は1〜10、特に1〜6である。
この炭素数が11を越える場合は、得られるエステル化
合物(a)及び(b)の軽油への溶解性が過度に高ま
り、摩擦面である金属表面への吸着性が低下するため好
ましくない。この脂肪族系アルコールとしては、1〜3
価のアルコール、特に、潤滑性の点では3価のアルコー
ルが好ましい。好ましい脂肪族系アルコールとしては、
メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、グリセリン等が挙げられる。尚、特に、グリセリン
エステルの場合、フルエステルよりもモノ又はジエステ
ル、特にモノエステルがより優れた潤滑性を示す。
【0016】第6発明では、この誘導体として、脂肪族
系ヒドロキシカルボン酸と、前記の式(2)によって表
される炭素数8〜22の脂肪族系カルボン酸との「エス
テル化合物」(c)を用いる。
【0017】第6発明における上記「脂肪族系カルボン
酸」のカルボキシル基の数は1〜2であり、通常、この
カルボキシル基の数が1である脂肪族系モノカルボン酸
が使用される。また、「R2 」の炭素数は7〜21で
ある。この炭素数が6以下である場合は、エステル化合
物の軽油への溶解性が低下し、一方、22以上である場
合は、逆に、軽油への溶解性が高まって摩擦面への吸着
性が低下するため好ましくない。この脂肪族系カルボン
酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸
及びステアリン酸等の直鎖飽和モノカルボン酸を使用す
ることができる。更に、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸及びエルカ酸等の少なくとも1個の二重結合を有
する直鎖不飽和モノカルボン酸を用いることもできる。
また、セバシン酸等のジカルボン酸を使用することもで
きる。
【0018】第7発明では、この誘導体として、第3発
明における縮合物と、第6発明における脂肪族系カルボ
ン酸との「エステル化合物」(d)を用いる。また、第
8発明では、この誘導体として、第6発明におけるエス
テル化合物(d)と、第4発明における脂肪族系アルコ
ールとの「エステル化合物」(e)を用いる。更に、第
9発明では、この誘導体として、第7発明におけるエス
テル化合物(d)と、第4発明における脂肪族系アルコ
ールとの「エステル化合物」(f)を用いる。これら第
7乃至9発明において、各エステル化合物を調製するた
めの縮合物、脂肪族カルボン酸及び脂肪族アルコール等
としては、前記と同様のものを使用することができる。
【0019】尚、第4及び第5発明においては、エステ
ル化反応を調整することにより、脂肪族系ヒドロキシカ
ルボン酸、脂肪族系アルコール及びエステル化合物
(a)、エステル化合物(b)のうちの少なくとも2種
以上の混合物からなる軽油用潤滑添加剤とすることがで
きる。また、第6及び第7発明においては、エステル化
反応を調整することにより、脂肪族系ヒドロキシカルボ
ン酸、脂肪族系カルボン酸及びエステル化合物(c)、
エステル化合物(d)のうちの少なくとも2種以上の混
合物からなる軽油用潤滑添加剤とすることができる。更
に、第8及び第9発明においては、これらの混合物と脂
肪族系アルコールとのエステル化反応を調整することに
よって、さらに多くの種類の成分を含む混合物からなる
潤滑添加剤とすることもできる。
【0020】上記「エチレンと飽和カルボン酸のビニル
エステルとの共重合体」としては、エチレンと、1種以
上の飽和カルボン酸のビニルエステルとの共重合体を使
用することができる。このビニルエステルとしては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクタン酸ビニル及び
ステアリン酸ビニル等が挙げられる。また、この共重合
体としては、第10発明のように、その酢酸ビニル含有
量が5〜45重量%、特に15〜45重量%、更には2
5〜40重量%であり、数平均分子量が1000〜50
00、特に3000〜4500である「エチレン−酢酸
ビニル共重合体」が好ましい。更に、第11発明のよう
に、エチレンと2種類のビニルエステルとからなる「三
元共重合体」が特に好ましい。この三元共重合体を使用
すれば、より潤滑性能に優れた潤滑添加剤が得られ、且
つ低温においても十分な流動性を有する軽油を得ること
ができる。
【0021】第1乃至11発明の軽油用潤滑添加剤は、
第12発明のように、硫黄分の含有量が0.05重量%
以下である「低硫黄軽油」に配合して用いることができ
る。第1乃至11発明の潤滑添加剤では、このような低
硫黄軽油においても十分な潤滑性能が得られるととも
に、鋼材等が腐食されることもなく、非常な有用な潤滑
添加剤である。また、この潤滑添加剤の配合によって、
軽油の低温における流動性が何ら損なわれることもな
く、潤滑添加剤によっては、軽油の低温特性が向上する
場合もある。
【0022】第13発明の軽油組成物は、潤滑添加剤を
「0.001〜0.1重量%」含有することを特徴とす
る。この含有量は、特に0.005〜0.05重量%、
更には0.01〜0.03重量%とすることが好まし
い。この含有量が0.001重量%未満である場合は十
分な潤滑性能を得ることができない場合がある。一方、
0.1重量%を越えて多量に含有させても、それ以上の
潤滑性能の向上はみられない。潤滑添加剤における脂肪
族系ヒドロキシカルボン酸の誘導体と、エチレンと飽和
カルボン酸のビニルエステルとの共重合体の量比は、1
/9〜7/3程度とすることが好ましい。
【0023】潤滑添加剤に含有される特定のエステル化
合物(a)〜(f)は、カルボン酸及びヒドロキシカル
ボン酸に比べて軽油への溶解性が高い。一方、エステル
基はカルボキシル基に比べると吸着性に劣るため、潤滑
性能はカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸よりも若干
低下する。しかし、エステル化合物(a)〜(f)を含
む潤滑添加剤は、例えば、オレイン酸トリグリセライド
等の一般的なカルボン酸エステル等を含むものに比べ、
明らかに優れた潤滑性能を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。 (1)潤滑性能の評価 表1に記載の低硫黄軽油に、表2に記載の軽油用潤滑添
加剤を、低硫黄軽油に対して表2に記載の量比で添加し
た軽油組成物を調製した。これらの組成物を用いて表3
に記載の摩擦条件によって往復振動摩擦試験を行い、摩
擦、摩耗の低減効果を評価した。この摩擦試験の結果を
表2及び図1示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】尚、表2において、リシノール酸(リシノ
レイン酸)は、炭素数18で12位にヒドロキシル基が
あり、9位に二重結合がある直鎖の不飽和ヒドロキシカ
ルボン酸である。また、リノール酸は、炭素数18で9
位及び12位に二重結合がある直鎖の不飽和カルボン酸
である。更に、CFI(1)は、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(酢酸ビニル含有量;32重量%、数平均分子
量;3800)であり、CFI(2)は、エチレン−酢
酸ビニル−C9カルボン酸ビニルエステル(オクタン酸
ビニルエステル等)3元共重合体(酢酸ビニル含有量;
31重量%、C9カルボン酸ビニルエステル含有量;
8.5重量%、数平均分子量;3100)である。
【0029】表2の結果によれば、ステアリン酸、オレ
イン酸及びそのグリセライド並びに12−ヒドロキシス
テアリン酸であっても、無添加の場合に比べて摩耗痕径
は著しく小さくなっている。しかし、これらは軽油の低
温における流動性を向上させる作用のあるCFI(1)
を併用した場合、その摩耗痕径は相当に大きくなってい
る。
【0030】一方、本発明において使用される縮合物及
びエステル化合物では、これらのみを配合した場合に、
その摩耗痕径は著しく小さくなっており、CFI(1)
或いはCFI(2)を併用した場合、一部を除いて摩耗
痕径はさらに小さくなる。特に、CFI(2)を併用し
た場合は、その摩耗痕径はより小さくなる。このよう
に、本発明の潤滑添加剤では、エチレン−酢酸ビニル共
重合体等を併用することによって、その潤滑性能が損な
われることはなく、むしろ向上していることが分かる。
また、本発明の潤滑添加剤は、0.02重量%の含有量
で、いずれもISOの摩耗痕径450μm以下という規
格を満たしている。
【0031】図1は、特定の縮合体或いはエステル化合
物と、CFI(1)、特に、CFI(2)とを含有する
潤滑添加剤、並びにカルボン酸、カルボン酸エステル及
びヒドロキシカルボン酸からなる潤滑添加剤、の摩耗痕
径を比較して表わすグラフである。この図1によって
も、ヒドロキシカルボン酸の誘導体に、特に、CFI
(2)を組み合わせた潤滑添加剤が、より優れた潤滑性
能を有するものであることが分かる。
【0032】(2)低温における流動性能の評価 第6発明におけるエステル化合物(c)に対応するリシ
ノール酸とオレイン酸又はリノール酸とのエステル化合
物と、CFI(1)或いはCFI(2)とを組み合わせ
た場合の、低温における流動性を表1に記載の低硫黄軽
油及びこの軽油に比べて流動性に劣る低硫黄軽油につい
て評価した。表1に記載の低硫黄軽油について評価した
結果を表4に、他の低硫黄軽油について評価した結果を
表5に示す。これら表4及び表5において、CPは濁り
点、CFPPは目詰まり点、PPは流動点である。尚、
CP及びPPはJIS K 2269によって測定し
た。また、CFPPはJIS K 2288によって測
定した。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】表4及び表5の結果によれば、CFI
(1)或いはCFI(2)の配合によって低温における
流動性が大きく向上している。特に、CFI(1)或い
はCFI(2)の配合量の多い表5の場合に、向上が著
しい。そして、これらにエステル化合物(c)を組合わ
せて配合した場合、低温における流動性は同じか、やや
向上していることが分かる。このように、本発明の軽油
用潤滑添加剤は、優れた潤滑性能を有するとともに、軽
油の低温における流動性を向上させる作用をも併せ備え
るものであることが分かる。
【0036】尚、本発明においては、上記の実施例に記
載したものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
本発明の軽油用潤滑添加剤には、1,3,4−チアジア
ゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメイト、
ベンゾトリアゾール等の腐食防止剤を配合することがで
きる。また、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル等の酸化防止剤、及び硝酸オクチル、ブチルパーオキ
サイド等のセタン価向上剤など、その他の添加剤を、目
的及び用途により、所要量配合することもできる。これ
によって摩擦、摩耗低減の作用、効果等が低下すること
はない。
【0037】
【発明の効果】第1発明の、脂肪族系ヒドロキシカルボ
ン酸の誘導体と、エチレンと飽和カルボン酸のビニルエ
ステルとの共重合体を含有する潤滑添加剤を、特に、低
硫黄軽油の潤滑添加剤として使用すれば、例えば、オレ
イン酸トリグリセライド等の一般のカルボン酸エステル
などに比べて、軽油と金属表面との摩擦、それによる金
属の摩耗を十分に低減することができる。従って、これ
らの潤滑添加剤は、将来予想される軽油の更なる低硫黄
化に備えた添加剤としても十分にその作用、効果が期待
される。尚、この潤滑添加剤の成分であるエチレン−酢
酸ビニル共重合体等は、軽油の低温における流動性を向
上させる作用を有するが、一般に、この成分によって潤
滑性能が低下することが多い。しかし、第1発明の潤滑
添加剤では、その潤滑性能が何ら損なわれることがな
い。
【0038】また、特に、第2発明の特定の脂肪族系ヒ
ドロキシカルボン酸を使用し、第3乃至9発明の特定の
誘導体を用いることによって、より優れた潤滑性能等を
有する潤滑添加剤とすることができる。更に、エチレン
と飽和カルボン酸のビニルエステルとの共重合体とし
て、第10発明の特定のエチレン−酢酸ビニル共重合
体、或いは第11発明の特定の三元共重合体を使用する
ことによって、さらに優れた潤滑性能を有する潤滑添加
剤とすることができ、また、軽油の低温における流動性
をより向上させることができる。
【0039】更に、第1乃至11発明の軽油用潤滑添加
剤は、第12発明のように、硫黄分の含有量が0.05
重量%以下である低硫黄軽油に添加した場合であって
も、鋼材等の腐食の問題を起こすことがなく特に有用で
ある。また、第13発明のように、その含有量が少量で
あっても、十分な潤滑性を有する軽油組成物を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】特定の脂肪族系ヒドロキシカルボン酸の縮合体
或いはエステル化合物と、エチレン−酢酸ビニル共重合
体或いは特定の三元共重合体を含有する潤滑添加剤の潤
滑性能を、カルボン酸、カルボン酸エステル等の場合と
比較して表わすグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 129/36 C10M 129/36 129/44 129/44 129/76 129/76 129/78 129/78 145/08 145/08 // C10N 20:04 (72)発明者 武藤 俊美 神奈川県高座郡寒川町田端1580番地 ユシ ロ化学工業株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族系ヒドロキシカルボン酸の誘導
    体、及びエチレンと飽和カルボン酸のビニルエステルと
    の共重合体、を含有することを特徴とする軽油用潤滑添
    加剤。
  2. 【請求項2】 上記脂肪族系ヒドロキシカルボン酸が、
    下記の式(1)によって表される炭素数2〜30の脂肪
    族系ヒドロキシカルボン酸である請求項1記載の軽油用
    潤滑添加剤。 R1(COOH)n (1) [上記の式(1)において、R1 は少なくとも1個のヒ
    ドロキシル基を有する炭素数1〜29の直鎖若しくは分
    枝構造のアルキル基又はアルケニル基である。nは1又
    は2である。]
  3. 【請求項3】 上記誘導体が、上記脂肪族系ヒドロキシ
    カルボン酸の縮合物である請求項1又は2記載の軽油用
    潤滑添加剤。
  4. 【請求項4】 上記誘導体が、上記脂肪族系ヒドロキシ
    カルボン酸と、炭素数1〜10の脂肪族系アルコールと
    のエステル化合物(a)である請求項1又は2記載の軽
    油用潤滑添加剤。
  5. 【請求項5】 上記誘導体が、請求項3記載の縮合物
    と、請求項4記載の脂肪族系アルコールとのエステル化
    合物(b)である請求項1又は2記載の軽油用潤滑添加
    剤。
  6. 【請求項6】 上記誘導体が、上記脂肪族系ヒドロキシ
    カルボン酸と、下記の式(2)によって表される炭素数
    8〜22の脂肪族系カルボン酸とのエステル化合物
    (c)である請求項1又は2記載の軽油用潤滑添加剤。 R2(COOH)n (2) [上記の式(2)において、R2 炭素数7〜21の直鎖
    若しくは分枝構造のアルキル基又はアルケニル基であ
    る。nは1又は2である。]
  7. 【請求項7】 上記誘導体が、請求項3記載の縮合物
    と、請求項6記載の脂肪族系カルボン酸とのエステル化
    合物(d)である請求項1又は2記載の軽油用潤滑添加
    剤。
  8. 【請求項8】 上記誘導体が、請求項6記載のエステル
    化合物(c)と、請求項4記載の脂肪族系アルコールと
    のエステル化合物(e)である請求項1又は2記載の軽
    油用潤滑添加剤。
  9. 【請求項9】 上記誘導体が、請求項7記載のエステル
    化合物(d)と、請求項4記載の脂肪族系アルコールと
    のエステル化合物(f)である請求項1又は2記載の軽
    油用潤滑添加剤。
  10. 【請求項10】 上記共重合体が、酢酸ビニル含有量5
    〜45重量%、数平均分子量1000〜5000のエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体である請求項1乃至9のうち
    のいずれか1項に記載の軽油用潤滑添加剤。
  11. 【請求項11】 上記共重合体が、エチレン及び2種類
    の飽和カルボン酸のビニルエステルからなる三元共重合
    体である請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の
    軽油用潤滑添加剤。
  12. 【請求項12】 硫黄分の含有量が0.05重量%以下
    である低硫黄軽油に添加される請求項1乃至11のうち
    のいずれか1項に記載の軽油用潤滑添加剤。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のうちのいずれか
    1項に記載の軽油用潤滑添加剤のうちの少なくとも1種
    を0.001〜0.1重量%含有することを特徴とする
    軽油組成物。
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