JPH11289283A - エコー除去方法およびエコーキャンセラ - Google Patents

エコー除去方法およびエコーキャンセラ

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JPH11289283A
JPH11289283A JP10569698A JP10569698A JPH11289283A JP H11289283 A JPH11289283 A JP H11289283A JP 10569698 A JP10569698 A JP 10569698A JP 10569698 A JP10569698 A JP 10569698A JP H11289283 A JPH11289283 A JP H11289283A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力信号の音質を劣化することなく、学習速
度および学習精度を向上する。 【解決手段】 A/D変換器20によってディジタル化
された入力信号をサンプリングし参照入力信号Xとして
白色化フィルタ18に入力し、その参照入力信号Xから
周波数的な偏りが軽減された擬似白色化信号X1を得
る。擬似白色化信号X1は参照入力信号バッファ22を
介して積和演算部24および係数更新部26に与えられ
る。積和演算部24では、擬似白色化信号X1と適応フ
ィルタ28内の適応フィルタ係数とに基づいて、擬似エ
コー信号Yを算出し、減算器30において、エコー信号
yから擬似エコー信号Yを減算し、除去誤差信号eを得
る。係数更新部26では、除去誤差信号e、適応フィル
タ係数、擬似白色化信号X1に基づいて適応フィルタ係
数を更新する。周波数的な偏りの少ない擬似白色化信号
X1を用いて学習するので、学習速度、学習精度が向上
する。参照入力信号Xに基づいて擬似白色化信号X1を
得るので、出力信号の音質は劣化しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエコー除去方法お
よびエコーキャンセラに関し、特にたとえばハンズフリ
ー電話やテレビ会議などでフルデュプレクスを実現する
ために利用される、エコー除去方法およびエコーキャン
セラに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハンズフリー電話やテレビ会議な
どにおいてフルデュプレクスを実現するために利用され
るエコーキャンセラでは、通話音声を用いて適応フィル
タ係数を更新し、エコーパスを推定する。この推定アル
ゴリズムとしては、演算量の比較的少ない学習同定法が
多く用いられている。
【0003】図9に、従来のエコーキャンセラ1の一例
を示す。エコーキャンセラ1は、回線エコーを除去する
回線エコーキャンセラとして構成されたものであり、学
習同定法によって適応フィルタ係数を更新する。
【0004】図9および図10を参照してエコーキャン
セラ1の動作を説明する。
【0005】エコーキャンセラ1では、まず、エコー信
号y、擬似エコー信号Y、適応フィルタ係数、参照入力
信号バッファ内の値x、除去誤差信号e等が初期化され
る(ステップS1)。そして、A/D変換器2によって
ディジタル化されたマイク入力信号がサンプリングされ
て参照入力信号Xとして参照入力信号バッファ3に入力
される(ステップS3)。
【0006】ついで、時刻jにおける、適応フィルタ4
内の適応フィルタ係数Pj(i)と、参照入力信号Xす
なわち参照入力信号バッファ3内の値xj(i)とが積
和演算部5で数1に示すように積和演算され、時刻jに
おける擬似エコー信号Yjが生成される(ステップS
5)。
【0007】
【数1】
【0008】そして、A/D変換器6より出力されるエ
コー信号yjから擬似エコー信号Yjが減算器7におい
て数2に示すように減算されて、時刻jにおける除去誤
差信号ejが算出される(ステップS7)。
【0009】
【数2】
【0010】その後、時刻jにおける、除去誤差信号e
j、適応フィルタ係数Pj(i)、参照入力信号Xすな
わち参照入力信号バッファ3内の値xj(i)に基づい
て、係数更新部8で数3に示すように適応フィルタ係数
Pj+1(i)が更新され、時刻j+1における適応フ
ィルタ係数とされる(ステップS9)。
【0011】
【数3】
【0012】上述のステップS3〜ステップS9を繰り
返すことによって、適応フィルタ係数が更新されてい
く。
【0013】なお、数1〜数3において、yjは時刻j
におけるエコー信号、Yjは時刻jにおける擬似エコー
信号、Pj(i)は時刻jにおける適応フィルタのi番
目の遅延素子の係数、xj(i)は時刻jにおける参照
入力信号バッファのi番目の値、ejは時刻jにおける
除去誤差信号、Nは適応フィルタのタップ数、μはステ
ップゲインと呼ばれる緩和係数である。後述する発明の
実施の形態においても同様である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のエコーキャンセ
ラ1による適応フィルタ係数を更新する動作では、数3
によって、適応フィルタ係数は参照入力信号ベクトル方
向に更新される。したがって、自己相関性の高い音声信
号では学習速度が劣化する。また、適応フィルタ係数を
更新する過程において、参照入力信号ベクトルのノルム
によって正規化するので、音声信号の周波数成分の偏り
によって、周波数成分の少ない周波数領域の学習精度が
劣化する。なお、参照入力信号ベクトルとは、参照入力
信号バッファ3内の値をベクトルとしてとらえたもので
ある。
【0015】したがって、エコーキャンセラ1のよう
に、通話音声を用いてエコーパスの推定を行う場合に
は、入力信号の周波数成分に偏りがあるため、十分に学
習を行った場合でもハウリングが発生する場合がある。
【0016】因みに、一般に音声信号の周波数特性は次
のようになる。
【0017】図11(a)に示すように、有声音は、−
6dB/oct(1オクターブ周波数が上昇すると、信
号レベルが6dB減衰する)の特性を有し、図11
(b)に示すように、無声音は、+6dB/oct(1
オクターブ周波数が上昇すると、信号レベルが6dB増
加する)の特性を有する。
【0018】したがって、学習同定法を用いたエコーキ
ャンセラの学習速度、学習精度を向上するためには、学
習に使用する信号の周波数特性の偏りを少なくすること
が考えられる。
【0019】そこで、音声信号の周波数特性の偏りを少
なくする白色化フィルタ9を、図12に示す位置に挿入
するエコーキャンセラ1aが考えられるが、エコーキャ
ンセラ1aでは、白色化フィルタ9の影響によって、回
線出力信号の音質が劣化してしまうという問題点があっ
た。
【0020】それゆえにこの発明の主たる目的は、出力
信号の音質が劣化することなく、学習速度および学習精
度を向上できる、エコー除去手段およびエコーキャンセ
ラを提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載のエコー除去方法は、ディジタル化
された入力信号を利用して適応フィルタ係数を更新しエ
コーを除去するエコー除去方法であって、入力信号から
参照入力信号を得るステップ、参照入力信号を擬似的に
白色化して擬似白色化信号を得るステップ、擬似白色化
信号および適応フィルタ係数に基づいて擬似エコー信号
を生成するステップ、エコー信号および擬似エコー信号
に基づいて除去誤差信号を得るステップ、ならびに除去
誤差信号、適応フィルタ係数および擬似白色化信号に基
づいて適応フィルタ係数を更新するステップを備える。
【0022】請求項2に記載のエコーキャンセラは、デ
ィジタル化された入力信号を利用して適応フィルタ係数
を更新しエコーを除去するためのエコーキャンセラであ
って、入力信号から得られた参照入力信号を擬似的に白
色化して擬似白色化信号を得る白色化手段、擬似白色化
信号および適応フィルタ係数に基づいて擬似エコー信号
を生成する擬似エコー信号生成手段、エコー信号および
擬似エコー信号に基づいて除去誤差信号を得る除去誤差
信号算出手段、ならびに除去誤差信号、適応フィルタ係
数および擬似白色化信号に基づいて適応フィルタ係数を
更新する係数更新手段を備える。
【0023】また、請求項1に記載のエコー除去方法
は、たとえば、ディジタル化された入力信号を利用して
適応フィルタ係数を更新しエコーを除去するエコー除去
方法であって、入力信号から参照入力信号を得るステッ
プ、参照入力信号を擬似的に白色化して擬似白色化信号
を得るステップ、擬似白色化信号と適応フィルタ係数と
の積和演算によって擬似エコー信号を生成するステッ
プ、エコー信号から擬似エコー信号を減算して除去誤差
信号を得るステップ、ならびに除去誤差信号、適応フィ
ルタ係数および擬似白色化信号に基づいて適応フィルタ
係数を更新するステップを備える。
【0024】請求項2に記載のエコーキャンセラは、た
とえば、ディジタル化された入力信号を利用して適応フ
ィルタ係数を更新しエコーを除去するためのエコーキャ
ンセラであって、入力信号から得られた参照入力信号を
擬似的に白色化して擬似白色化信号を得る白色化手段、
擬似白色化信号と適応フィルタ係数との積和演算によっ
て擬似エコー信号を生成する積和演算手段、エコー信号
から擬似エコー信号を減算して除去誤差信号を得る減算
手段、ならびに除去誤差信号、適応フィルタ係数および
擬似白色化信号に基づいて適応フィルタ係数を更新する
係数更新手段を備える。
【0025】請求項3に記載のエコーキャンセラは、請
求項2に記載のエコーキャンセラにおいて、白色化手段
はIIRフィルタまたはFIRフィルタを含むものであ
る。
【0026】上述のように構成されるエコー除去方法お
よびエコーキャンセラでは、ディジタル化された入力信
号をサンプリングして得られた参照入力信号が、IIR
フィルタやFIRフィルタなどからなる白色化手段によ
って擬似的に白色化されて、周波数的な偏りが軽減され
た擬似白色化信号が得られる。これは、入力信号となる
音声信号は周波数上昇に応じて信号レベルが変動すると
いう特性を有する点に鑑み、音声信号の周波数上昇に応
じた信号レベルの変動を軽減できるフィルタを用いて、
参照入力信号をフィルタリングして白色化するものであ
る。
【0027】このように周波数的な偏りの軽減された擬
似白色化信号と適応フィルタ係数とに基づいて擬似エコ
ー信号が生成され、エコー信号と擬似エコー信号とに基
づいて除去誤差信号が得られる。たとえば、擬似白色化
信号と適応フィルタ係数とを積和演算して擬似エコー信
号が生成され、エコー信号から擬似エコー信号を減算し
て除去誤差信号が得られる。そして、除去誤差信号、適
応フィルタ係数および擬似白色化信号に基づいて適応フ
ィルタ係数が更新される。
【0028】また、入力信号をサンプリングして得られ
た参照入力信号から擬似白色化信号を得るので、擬似白
色化する処理は入力信号には何ら影響を及ぼさず、入力
信号がD/A変換された出力信号は音質の劣化なしに出
力される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。
【0030】図1は、この発明の一実施形態のエコーキ
ャンセラ10をその周辺回路とともに示したブロック図
である。
【0031】エコーキャンセラ10は、CPU12、R
OM14およびRAM16を用いて構成される。
【0032】ROM14には、上述した数1〜数3およ
び後述する数4の計算式を含む、エコーキャンセラ10
の動作を制御するためのプログラムや、予め設定された
データが格納される。ROM14に格納されるデータと
しては、適応フィルタ28(後述)のタップ数N、ステ
ップゲインμ等が含まれる。
【0033】RAM16には、CPU12での演算によ
って得られた計算値等のデータが一時的に格納される。
RAM16に格納されるデータとしては、エコー信号
y、擬似エコー信号Y、適応フィルタ係数、参照入力信
号バッファ内の値x、除去誤差信号e等が含まれる。適
応フィルタのタップ数N、ステップゲインμはRAM1
6に格納されてもよい。
【0034】ROM14やRAM16に格納されたプロ
グラム、データを用いてCPU12を動作させることに
よって、エコーキャンセラ10が実現される。その機能
ブロック図を図2に示す。
【0035】図2に示すエコーキャンセラ10は、回線
エコーを除去する回線エコーキャンセラとして構成され
た例である。エコーキャンセラ10は、たとえばIIR
フィルタ(無限インパルス応答フィルタ)からなる、高
域強調フィルタである白色化フィルタ18を含む。白色
化フィルタ18では、マイク入力信号をA/D変換器2
0によってディジタル化した信号をサンプリングして参
照入力信号Xとして入力し、その参照入力信号Xから擬
似白色化信号X1が得られる。擬似白色化信号X1は参
照入力信号バッファ22に与えられ、擬似白色化信号X
1は所定のタイミングで積和演算部24および係数更新
部26に与えられる。積和演算部24では、擬似白色化
信号X1とFIRフィルタ(有限インパルス応答フィル
タ)からなる適応フィルタ28内の適応フィルタ係数と
に基づいて、擬似エコー信号Yが算出される。そして、
減算器30において、A/D変換器32からのエコー信
号yから擬似エコー信号Yが減算され、除去誤差信号e
が得られ、D/A変換器34によってアナログ変換され
た後、スピーカ出力信号として出力される。係数更新部
26では、擬似白色化信号X1、適応フィルタ係数、除
去誤差信号eに基づいて、インパルス応答に近づくよう
に適応フィルタ係数が更新されていく。
【0036】ここで注目すべきは、白色化フィルタ18
の挿入箇所であり、白色化フィルタ18は、A/D変換
器20からD/A変換器36への経路A上ではなく、経
路Aから分岐した経路B上に挿入される。これによっ
て、D/A変換器36にはA/D変換器20からのディ
ジタル化されたマイク入力信号がそのまま与えられるた
め、D/A変換器36から出力される回線出力信号の音
質は劣化しなくなる。
【0037】図2に示すエコーキャンセラ10の主要部
は、等価的には図3に示すように構成される。図3から
わかるように、白色化フィルタ18を挿入することによ
って、エコーキャンセラ10aから見たエコーパスは、
H(z)・1/C(z)となる。すなわち、逆フィルタ
18aから出力される回線出力信号は参照入力信号Xと
等しい値となるので、エコーキャンセラ10aは、擬似
白色化信号X1に基づいて、マイク入力信号Xと同様の
信号が回線出力信号として出力されたときのエコーパス
H(z)を推定することができる。したがって、エコー
パスH(z)の推定動作に問題は生じない。
【0038】なお、白色化フィルタ18としては、たと
えば図4に示すような1次IIR型ハイパスフィルタが
用いられる。この1次IIR型ハイパスフィルタは、8
KHzサンプリングの信号に対してカットオフ周波数が
2KHzに設定された高域強調フィルタであり、周波数
が1オクターブ上がる毎に+3dBとなる(3dB強調
する)。音声信号は統計的に周波数が1オクターブ上が
る毎にレベルが6dB程度減衰する特性を有するが、こ
の1次IIR型ハイパスフィルタを用いることによっ
て、その減衰特性を軽減し、周波数的な偏りが軽減され
た擬似白色化信号X1が得られる。
【0039】白色化フィルタ18は、それぞれたとえば
0.5、−0.5、1.0、0.0の係数を有する乗算
器37、38、40、42、1サンプル分遅延するため
の遅延回路44、46、および加算器48を有し、白色
化フィルタ18の周波数特性は図5に示すようになる。
白色化フィルタ18の係数からわかるように、白色化フ
ィルタ18は1次の自己相関性を打ち消すような働きを
する。
【0040】なお、白色化フィルタ18を使用した場
合、300Hz付近より下の周波数成分がほとんどなく
なるため、その領域の学習が劣化するおそれがある。し
かし、たとえば電話システムにエコーキャンセラ10を
使用した場合には、その通過帯域が300〜3200H
zになるよう帯域制限をかけるため、特に問題とはなら
ない。
【0041】このようにエコーキャンセラ10では、白
色化フィルタ18によって擬似白色化された擬似白色化
信号X1を用いて、学習同定法によって適用フィルタ係
数を更新する。
【0042】図6を参照して、エコーキャンセラ10の
動作を説明する。
【0043】まず、RAM16に格納されるエコー信号
y、擬似エコー信号Y、適応フィルタ係数、参照入力信
号バッファ22内の値x、除去誤差信号e等が初期化さ
れる(ステップS11)。そして、A/D変換器20に
よってディジタル化されたマイク入力信号がサンプリン
グされて参照入力信号Xとして白色化フィルタ18に入
力され、白色化フィルタ18によって参照入力信号Xが
フィルタリングされて擬似白色化信号X1が得られ(ス
テップS13)、擬似白色化信号X1は参照入力信号バ
ッファ22に入力される(ステップS15)。
【0044】ついで、時刻jにおける、適応フィルタ2
8内の適応フィルタ係数Pj(i)と、擬似白色化信号
X1すなわち参照入力信号バッファ22内の値xj
(i)とが積和演算部24で数1に示すように積和演算
され、時刻jにおける擬似エコー信号Yjが生成される
(ステップS17)。そして、減算器30によって、A
/D変換器32より出力されるエコー信号yjから擬似
エコー信号Yjが数2に示すように減算されて、時刻j
における除去誤差信号ejが算出される(ステップS1
9)。
【0045】その後、係数更新部26によって、時刻j
における、除去誤差信号ej、適応フィルタ係数Pj
(i)、擬似白色化信号X1すなわち参照入力信号バッ
ファ22内の値xj(i)に基づいて、数3に示すよう
に適応フィルタ係数Pj+1(i)が更新され、時刻j
+1における適応フィルタ係数とされる(ステップS2
1)。
【0046】上述のステップS11〜ステップS21を
繰り返すことによって、適応フィルタ係数が更新されて
いく。
【0047】このようなエコーキャンセラ10によれ
ば、周波数的な偏りの少ないすなわち自己相関性の低
い、擬似的に白色化された擬似白色化信号X1を用いて
学習することができるため、学習速度、学習精度を向上
できる。
【0048】また、白色化フィルタ18を経路Aから分
岐した経路B上に挿入し、参照入力信号Xのみを擬似的
に白色化して擬似白色化信号X1を生成するので、擬似
白色化する処理はD/A変換器36によってD/A変換
すべきマイク入力信号には全く影響を与えず、マイク入
力信号がD/A変換され外部へ出力される信号すなわち
回線出力信号の音質が劣化することもない。
【0049】エコーキャンセラ10は、従来のエコーキ
ャンセラ1に擬似白色化のための白色化フィルタ18を
追加するだけなので、エコーキャンセラ1とほぼ同程度
の処理量で、能力の向上したエコーキャンセラを実現で
きる。
【0050】さらに、エコーキャンセラ10の学習法
(白色フィルタ+学習同定法)と図9に示す従来のエコ
ーキャンセラ1の学習同定法とを、数4によって評価値
を算出して比較した。評価値は学習の進度を示し、学習
が進めば評価値は1.0に近づく。なお、数4におい
て、H(i)はエコーパスのインパルス応答、h(i)
は学習係数である。評価値の算出は、ステップゲインμ
=0.05、タップ数=128タップという共通条件の
下で、図7(b)に示す音声信号を入力して行われた。
【0051】
【数4】
【0052】図7からわかるように、エコーキャンセラ
10は、従来のエコーキャンセラ1より高速に学習が進
むことがわかる。
【0053】上述のように、学習同定法の学習速度、学
習精度を改善するためには、参照入力信号Xとなる音声
信号の周波数的な偏りを減らせばよい。ここで、たとえ
ば、有声音に対して、図8(a)に示すように、周波数
が1オクターブ上がる毎に5〜6dB強調する特性を有
する白色化フィルタを用いれば、有声音のレベルの減衰
を相殺できる。
【0054】しかしながら、この白色化フィルタを無声
音に対して用いた場合、図8(b)に示すような結果と
なり、さらに学習速度、学習精度が劣化すると考えられ
る。
【0055】したがって、有声音と無声音とに対して、
それぞれ異なった白色化フィルタを用意する必要が生じ
る。しかし、入力信号毎に白色化フィルタの特性を変え
ることは、エコーキャンセラ10からみた場合、エコー
パスH(z)が変動したことになり、かえって性能が劣
化する。
【0056】実際には、通常の会話において、有声音と
無声音の出現する比率は異なる。また、エコーキャンセ
ラの制御として、無音と判断される場合には学習を停止
するという処理を行った場合には、比較的レベルの低い
無声音に対しては、学習が停止する頻度が増える。した
がって、これらを踏まえた、全体として効果が大きく表
れる白色化フィルタを用いることによって、学習速度、
学習精度を向上できる。
【0057】この発明において用いられる白色化フィル
タの特性は、有声音と無声音の統計的な出現頻度や、エ
コーキャンセラの学習制御方法によって決定される。ま
た、白色化フィルタとしてはFIRフィルタが用いられ
てもよい。
【0058】この発明のエコーキャンセラ10は、回線
エコーキャンセラだけではなく、音響エコーキャンセラ
にも適用できることはいうまでもない。
【0059】また、エコーキャンセラ10は、たとえば
音声録音再生機能付きファクスモデムなどに適用され得
る。
【0060】なお、CPU12に代えて、DSPが用い
られてもよい。
【0061】
【発明の効果】この発明によれば、擬似白色化フィルタ
を挿入することによって、周波数的な偏りの軽減された
擬似白色化信号を用いて適応フィルタ係数を更新でき、
エコーキャンセラを実質的に変更することなく、学習速
度および学習精度を向上できる。
【0062】また、エコーキャンセラの参照入力信号の
みを擬似的に白色化して擬似白色化信号を生成するの
で、外部へ出力される信号の音質は劣化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示すブロック図であ
る。
【図2】図1の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の主要部の等価回路図である。
【図4】白色化フィルタの一例を示すブロック図であ
る。
【図5】図4の白色化フィルタの周波数特性を示すグラ
フである。
【図6】この発明の実施の形態の動作の一例を示すフロ
ー図である。
【図7】(a)は、この発明の学習法(白色化フィルタ
+学習同定法)の効果を従来の学習同定法との比較にお
いて示すグラフであり、(b)は入力音声信号を示す波
形図である。
【図8】白色化フィルタの特性を示すグラフである。
【図9】従来技術を示す機能ブロック図である。
【図10】図9の従来技術の動作の一例を示すフロー図
である。
【図11】音声信号の周波数特性を示すグラフである。
【図12】他の従来技術を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 エコーキャンセラ 12 CPU 14 ROM 16 RAM 18 白色化フィルタ 22 参照入力信号バッファ 24 積和演算部 26 係数更新部 28 適応フィルタ 30 減算器 37、38、40、42 乗算器 44、46 遅延回路 48 加算器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディジタル化された入力信号を利用して
    適応フィルタ係数を更新しエコーを除去するエコー除去
    方法であって、 前記入力信号から参照入力信号を得るステップ、 前記参照入力信号を擬似的に白色化して擬似白色化信号
    を得るステップ、 前記擬似白色化信号および前記適応フィルタ係数に基づ
    いて擬似エコー信号を生成するステップ、 エコー信号および前記擬似エコー信号に基づいて除去誤
    差信号を得るステップ、ならびに前記除去誤差信号、前
    記適応フィルタ係数および前記擬似白色化信号に基づい
    て前記適応フィルタ係数を更新するステップを備える、
    エコー除去方法。
  2. 【請求項2】 ディジタル化された入力信号を利用して
    適応フィルタ係数を更新しエコーを除去するためのエコ
    ーキャンセラであって、 前記入力信号から得られた参照入力信号を擬似的に白色
    化して擬似白色化信号を得る白色化手段、 前記擬似白色化信号および前記適応フィルタ係数に基づ
    いて擬似エコー信号を生成する擬似エコー信号生成手
    段、 エコー信号および前記擬似エコー信号に基づいて除去誤
    差信号を得る除去誤差信号算出手段、ならびに前記除去
    誤差信号、前記適応フィルタ係数および前記擬似白色化
    信号に基づいて前記適応フィルタ係数を更新する係数更
    新手段を備える、エコーキャンセラ。
  3. 【請求項3】 前記白色化手段はIIRフィルタまたは
    FIRフィルタを含む、請求項2に記載のエコーキャン
    セラ。
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