JPH11288011A - 波長可変擬似位相整合素子 - Google Patents

波長可変擬似位相整合素子

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JPH11288011A
JPH11288011A JP9298198A JP9298198A JPH11288011A JP H11288011 A JPH11288011 A JP H11288011A JP 9298198 A JP9298198 A JP 9298198A JP 9298198 A JP9298198 A JP 9298198A JP H11288011 A JPH11288011 A JP H11288011A
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face
wavelength
incident
optical axis
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JP9298198A
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Kazunori Naganuma
和則 長沼
Shigeo Ishibashi
茂雄 石橋
Hidetoshi Iwamura
英俊 岩村
Hirohisa Kanbara
浩久 神原
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/353Frequency conversion, i.e. wherein a light beam is generated with frequency components different from those of the incident light beams
    • G02F1/3544Particular phase matching techniques

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転機構により位相整合波長を変化調整でき
従来の角度位相整合素子に直接置換でき、作製が容易で
ある波長可変擬似位相整合素子を得る。 【解決手段】 非線形光学媒質板内に周期波数方向に等
周期的に分極が付与され、非線形光学媒質板101の回
転中心109を被変換光の入射端面104に達する以前
の光路の延長線上に置き、変換光の板内光軸106と分
極の周期波長方向とを零でない角度となすようにしたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波長変換を効率良
く行う非線形光学媒質板を実現する技術に関する。特
に、従来、測定器において広く用いられてきた角度位相
整合結晶とそのまま置き換え可能で、しかも効率のより
高い擬似位相整合素子を提供する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学媒質を用いた波長変換技術
は、現在、広範な分野にその応用をみるに至っている。
このうち、特に本発明が念頭に置くのは、計測器への応
用であり、その例として、ピコ秒からフェムト秒領域の
超高速光信号の観測に用いる相関計(コリレーター)を
とりあげた。以下に相関計の原理と、そこにおける非線
形光学媒質の使用容態につき要点を述べる。
【0003】ピコ秒からフェムト秒領域の超高速光信号
に対しては、十分な時間分解能を有する光検出器が存在
しないゆえに、現在、相関計による観測が行われてい
る。こうした相関計では、被測定信号光と参照とする光
パルスとを非線形媒質中に入射・結焦せしめ、発生する
光の積分強度を、被測定信号光と参照光パルスの時間関
係(遅延時間)の関数として計測する。この場合の時間
分解能は、光電変換器等の応答時間によらず非線形媒質
の応答時間と参照光パルスの時間幅によって決まる。
【0004】このうち、参照光パルスとしては、被測定
信号光に同期しかつ被測定信号に比して十分時間幅の短
い光パルスを用いる光サンプリングと呼ばれる場合、非
線形媒質の応答時間が十分であれば、被測定信号光の強
度波形を直接得る事ができる。参照光パルスとして、被
測定信号光自体を用いる場合も多く、得られる信号を自
己相関、それを測定する装置を自己相関計(オートコリ
レーター)と呼ぶが、自己相関波形からは、適当な仮定
をおいて、被測定信号の波形を推定することができる。
【0005】もうひとつの非線形媒質の応答時間をきめ
る因子は、二つある。その第一のものは、入射・結焦さ
れる入力光電場の変化に応じて非線形分極が変化する際
の追随性である。通例用いられる実遷移を伴わない非共
鳴非線形効果では、非線形分極の応答は原子核周りの電
子周回時間、すなわち、1〜2fs程度であり、この因子
にかかる部分は実用上瞬時応答を示すと見なすことがで
きる。その第二のものは位相整合に関連する。有限長の
媒質の各所で発生した非線形分極が、出力光電場に同相
に寄与するためには、非線形分極の位相が出力光の伝搬
位相に丁度揃っていることが必要である。
【0006】ここで、各所における非線形分極の位相は
入力光の伝搬位相によって規定されるので、結局この条
件を入力光、出力光それぞれの伝搬位相の関係に引き直
すことができる。すなわち、角周波数ω1 ,ω2 の2つ
の入力光から波長ω3 (ω3=ω1 ±ω2 )の出力光を
得るとき、位相不整合Δk Δk=k1 ±k2 −k3 … (1) がゼロならば、媒質各所からの非線形分極の寄与が強め
合い出力光が最大となる。ここで、複合において、+の
場合が和周波発生にあたり、−の場合が差周波発生にあ
たっている。さらに、各々の波数ki は、屈折率ni
真空中の光速cを用いて、ki =ni ωi /cと表され
ることを用いると、上の位相不整合がゼロとなる、すな
わち、位相整合がとれるためには、3つの屈折率が全て
等しいか、または、最大の角周波数に対する屈折率が他
の2者に挟まれることが必要であることが導かれる。例
えば角周波数ω3 に対してω1 <ω3 <ω2 の関係であ
る。
【0007】この場合後者にあっては、媒質が透明な波
長領域では、屈折率は周波数に対して単調に増加するの
で、単一の屈折率を考える限り、位相整合は決してとれ
ない。しかし、非等方的な光学結晶では、屈折率が光電
場の方向に依存して変わる複屈折現象が見られる。これ
を利用すれば、位相整合がとれる可能性が開かれ、角度
位相整合と呼ばれている。主屈折率nx ,nY ,nz
持つ複屈折光学結晶中を、角度(方向)ベクトルs(V
ecsとする)に伝搬する光の感じる屈折率nは、フレネ
ルの速度方程式(2)である[数1]
【数1】 を解いて求められ、一般に一つの伝搬方向に対して2つ
の屈折率が得られる。これら異なる屈折率は互いに直交
する直線偏波に対応している。位相整合をとるために
は、少なくとも、最大の角周波数に対する光は低い屈折
率を与える偏波で伝搬させ、残りの2つの光のうち一方
は高い屈折率を与える偏波で伝搬させることが必要であ
る。残る光については、高い屈折率を使うか、低い屈折
率を使うかの選択の余地があり、それぞれタイプI、タ
イプIIの位相整合と称されている。このようにして、各
光の偏波の組み合わせを選んだ上で、前式(2)の位相
不整合がゼロとなる共通の伝搬方向Vec sを探す。
【0008】以上で位相不整合をゼロとでき位相整合が
達成されると、さらに、位相整合の帯域を考えることが
できる。平面波近似のもとで、角周波数ω3 の出力光強
度P 3 の位相不整合Δkおよび結晶長Lへの依存性は P3 ∝L2 sinc2(ΔkL/2) … (3) に従う。本式(3)中、関数sinc x(一般式)は(sin
x)/xを表す。この出力光強度が、位相不整合がゼロ
のときの半分になるΔkL/2の値は1.392であり、
これを入力光についての帯域(全半値幅)に引き直す
と、 ΔΩi =4×1.392|(τi −τ3 )L|-1 … (4) が得られる。ここで、τ1 ,τ2 ,τ3 は各々の光に対
する媒質単位長さ当たりの群遅延時間である。式中絶対
値の中は、入力光と出力光が各々結晶を透過する際に受
ける群遅延時間の差であり、群遅延不整合と呼ぶことが
できる。慣用的に、この群遅延不整合の絶対値をもっ
て、当該入射光に対する非線形媒質の応答時間の目安と
している。
【0009】一枚の非線形媒質にあって、上式中媒質長
Lを短くして行けば、応答時間は短くなり、同時に、視
点を転じるならば、変換可能な入力光の帯域が拡大して
行く。よって、非常に短い媒質を用いれば、原理的に
は、入力光の波長が変化しても位相整合をとり直す必要
がなくなるに至る。しかしながら、前式(3)をみる
と、媒質長を短くするに従い、出力光強度が媒質長の二
乗に比例して急速に減少し、相関計の測定感度の低下を
招くことになる。詳しく言うならば、この二乗依存性
は、媒質中をビーム径が変わることなく伝搬する場合、
即ちチャネル型の導波路構造を有する媒質で成り立つ性
質であって、バルク媒質中の伝搬の場合、少なくとも理
論上は、媒質長に応じてその2分の1乗に比例した最適
のビーム径に変えて行くことにより、出力光強度の媒質
長への依存性を一乗にまで緩和できるが、いずれにして
も、媒質長の短縮が測定感度の低下につながることに変
わりなく、過剰な短縮は望ましくない。
【0010】それで、測定対象とする被測定光信号に応
じて、必要な時間分解能を与える最長の媒質長を選び、
入力光の波長が変化した場合は、それに応じて伝搬方向
を調節して位相整合を取り直す方法が一般にとられてい
る。この伝搬方向の調整については、通例、入射光軸は
固定し、非線形光学媒質の方を回転して適当な伝搬方向
を見出すように構成される。以上述べたところから、現
行の相関計における非線形光学媒質の使用容態をまとめ
ると、媒質は伝搬方向を調整して角度位相整合をとるた
めに回転機構の付いた台座に保持され、また、長さ(厚
さ)の異なる結晶に交換できるよう媒質と台座の間は着
脱可能に接合されている。
【0011】ところが、最近、非線形媒質中に、非線形
定数が周期的に変化する構造を人工的に形成し、その周
期性を利用して位相整合を達成しようとする擬似位相整
合技術が注目されている。この擬似位相整合によれば、
従来から用いられて来たニオブ酸リチウムといった非線
形結晶においても、非線形定数テンソルのうち、複屈折
を利用した角度位相整合では利用不可能だったdzzz
いった大きな成分が活用でき、より高い効率で波長変換
を行うことができ、あるいは、角度位相整合のとれなか
った波長域での位相整合が可能となる。また、入力・出
力光の偏光を結晶の主軸方向にとることが可能となる結
果、角度位相整合に一般に付随していた複屈折現象によ
る相互作用長の制限、あるいは出力光ビーム形状の劣化
といった問題を回避できる。さらに、半導体、ガラスと
いった角度位相整合がそもそも不可能であった材料系に
対して位相整合への可能性が新たに開かれる。
【0012】この擬似位相整合のためには、非線形定数
が正弦波的に変化するのが理想的であるが、現実にはこ
うした変化は作り込み難いので、ステップ状の非線形定
数変化が用いられている。この非線形定数変化の作り込
み方法は、材料に応じて様々で、例えばニオブ酸リチウ
ムのような強誘電体結晶にあっては、外部電界の印加な
どにより分極を反転することで、非線形定数の符号が周
期的に変化する構造を作る。半導体材料に対しては、張
り合わせ、あるいは、周期的に表面状態の変化する基板
を用意した上にエピタキシャル成長を行う等の手法によ
り、やはり周期的に非線形定数の符号が変化する構造を
作る。ガラスや有機分子においては、それぞれ、周期的
な熱分極、周期的なエッチングといった手段を用いて、
非線形定数が非ゼロとゼロの部分が作り込まれる。
【0013】このようなステップ状の非線形定数変化に
伴われる有効非線形定数deff は、一般に、 deff =(ds /π)sin(πD) … (5) と与えられる。ここで、ds は非線形定数の全振れ幅で
あり、符号の反転により非線形定数がdと−dの間で振
れている場合には2d、非線形定数でdとゼロの間で振
れている場合にはdの値をとる。また、Dは一周期中に
非線形定数が高い部分の占める比率である。非線形定数
の高低が丁度1:1で繰り返すときにDが1/2とな
り、最も大きい有効非線形定数が得られることが式
(5)から分かる。擬似位相整合に必要な非線形定数の
変化周期Λは、その周期に対応する波数によって上式
(1)の位相不整合が丁度打ち消される条件から求めら
れ、以下のように与えられる。 Λ=2π/|k1 ±k2 −k3 | … (6) ここでも上同様、複合において、+の場合が和周波発生
にあたり、−の場合が差周波発生にあたっている。
【0014】図6は、ニオブ酸リチウム結晶について、
二次高調波発生(ω1 =ω2 =ω3/2)の場合に必要
な非線形定数の反転周期を、結晶温度をパラメータとし
て示している。これを見ると、反転周期を変えれば擬似
位相不整合のとれる波長を十分広範囲に変えられるもの
の、固定された反転周期の下では結晶温度をたとえ10
℃から70℃まで60°変えたとしても、位相整合波長
は僅かに5.5nm動くのみであることが分かる。このよ
うに擬似位相整合結晶は、波長変換の効率は高いもの
の、波長可変性に乏しい結果、その応用は決まった波長
のレーザ光源についての波長変換といった局面に限ら
れ、被測定光の波長に同調させる必要がある相関計など
の計測器への応用は、行われていないのが現状である。
【0015】このため、擬似位相整合素子を波長可変化
するために、素子内光路に垂直な方向に周期が変化する
ように扇様(fan-out)の分極を付与した非線形光学媒質
板を使用する方法が、Optics Letters誌・16巻(1991
年)・ 375−377 頁に公刊されている。図7は、この従
来例を示す図である。ただし、上記文献では、互いに平
行な多数のチャネル導波路が板上に形成され、そのうち
一本の中を入出射光が伝搬する構成となっているが、そ
の場合には波長が離散的にしか可変とできないため、本
図では、チャネル導波路を取り除き、入出射光がバルク
の板厚内を伝搬するように改変した構成を示してある。
【0016】この例において、非線形光学媒質板701
は、平坦に研磨された入射端面704と出射端面705
とを備える。入射光は入射光軸702に沿って入射端面
704に入射し、板内を板内光軸706に沿って伝搬す
る。この板内光軸706の各所で発生した変換光は板内
を板内光軸706に沿って伝搬し、出射端面705から
出射し、出射後は出射光軸703に沿って進む。本例で
は、入射端面704と出射端面705が共に板内光軸7
06に垂直である結果、入射光軸702、出射光軸70
3、および板内光軸706の三者は互いに共軸になって
いる。上記非線形光学媒質板701には板内光軸706
に垂直な方向に周期が変化する扇様の分極反転が作り込
まれている。また該非線形光学媒質板は、板内光軸70
6に垂直な移動方向713に平行移動できるように、移
動機構の付いた台座に保持されている。
【0017】今、非線形光学媒質板701をニオブ酸リ
チウム結晶とし、中央の周期が18.85μmで、板内光
軸706に垂直な方向1mm当たり1.07μmだけ周期
が変化するような扇様の分極反転が施されているとす
る。この場合、結晶温度が20℃とすると、中央での波
長が1.545μmで、移動方向713に沿って1mm移
動するごとに、0.04μmずつ位相整合波長を変化させ
ることができる。この特性を見るためには、図6におい
て、当該温度のときに縦軸の反転周期に対応する入射光
波長を読み取ればよい。こうして、例えば移動方向71
3に±1mmの移動量をとることができれば、1.505
μmから1.585μmまでの波長を一枚のニオブ酸リチ
ウム結晶板によりカバーすることができ、現在の1.5μ
m帯光通信における光信号の測定のために十分な波長可
変性が得られる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の波長可変擬似位相整合素子には、以下のような問題が
ある。まず、扇様の分極変化は、そうでない平行な分極
変化に比して、製造が困難な場合がある。例えば、従来
例に示したニオブ酸リチウム結晶に、電圧印加法により
周期的な分極反転を形成しようとする場合、z方向に電
圧を印加することでc軸(光学軸)の反転を惹起する。
このとき、周期的なパターンの繰り返しの向き(波数方
向)は、通例、x軸に向くように取られる。これは、波
数方向をy軸方向にとる場合比して、x軸方向にとる場
合の方が、c軸反転が起こり易いからである。ところ
が、扇様のパターンには、端の方の傾きが大きい反転部
ほど、y軸方向の局所的波数成分が多く含まれることに
なる。この結果、端の方の分極反転を均一性高く形成し
難くなっている。
【0019】また、上述の波長可変擬似位相整合素子で
は、位相整合波長を変化・調整するために、非線形光学
媒質板を板内光軸に垂直な方向へ平行移動する機構が必
要である。このことは、波長可変擬似位相整合素子を内
蔵した相関計を、これから新規に設計・製作しようとす
る場合には問題はない。
【0020】しかしながら、感度の向上を期して、現在
すでに流通・配備されている相関計に波長可変擬似位相
整合素子を適用しようとする場合には、これが大きな障
害となる。なぜならば、上述のように、現行の相関計で
は、角度位相整合をとるために、非線形光学媒質板を回
転する機構が設置されているのみであり、上述の波長可
変擬似位相整合素子の要求するような光軸に垂直な方向
の平行移動機構を持たないからである。現行の相関計に
おいて、非線形媒質およびそれの保持・回転機構が装置
全体に占める割合は、空間的にも価格的にも、実のとこ
ろかなり小さく、1割にも遙かに満たない程度である。
従来の波長可変擬似位相整合素子を適用すべく、この程
度の些少な部分の変更に迫られる結果、相関計装置全体
を新たに設計・製作することになると、時間ならびに資
源の大いなる浪費とならざるを得ない。逆に、若し、従
来の相関計の装置に備わっている回転機構を用いて位相
整合波長を変化・調整できる波長可変擬似位相整合素子
を実現できれば、現行の相関計の非線形媒質にそのまま
置き換えることができ、極めて安価に測定感度の向上が
行えることになる。
【0021】そこで、本発明は、平行移動機構ではなく
回転機構により位相整合波長を変化・調整でき、その結
果、従来の角度位相整合素子に直接置換することができ
さらに扇様の分極変化を用いず平行な分極変化として容
易に作製できる波長可変擬似位相整合素子を提供するこ
とを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明は、次の発明特定事項を有する。 (1)非線形光学媒質板の板内に周期波数方向に等周期
的に分極が付与されかつ被変換光が入射する入射端面と
この入射端面と対向する側に変換光が出射する出射端面
とを有する波長可変擬似位相整合素子において、上記非
線形光学媒質板の回転中心を上記被変換光の入射端面に
達する以前の光路の延長線上に置き、上記変換光の板内
光路と上記分極の周期波長方向とを零でない角度をなす
ようにした、ことを特徴とする。
【0023】(2)上記(1)において、上記被変換光
が2本ある場合には、上記入射端面に達する以前の2本
の光路の夫々を平均した直線上に上記回転中心を置いた
ことを特徴とする。
【0024】(3)上記(1)又は(2)において、上
記零でない角度Θは、sin Θ=1/√3である約35°
としたことを特徴とする。
【0025】(4)上記(1),(2)又は(3)にお
いて、上記入射端面及び上記入射端面と出射端面の双方
端面の少なくとも一方では、上記回転中心を中心とした
円弧状に形成したことを特徴とする。
【0026】(5)上記(1),(2),(3)又は
(4)において、上記入射端面及び出射端面の少なくと
も一方では、反射率を減じる光学膜を被着したことを特
徴とする。
【0027】(6)上記(1),(2),(3),
(4)又は(5)において、上記非線形光学媒質板は、
上記被変換光と変換光との双方を二次元面内に閉じ込め
て伝播させるようにスラブ導波路となっていることを特
徴とする。
【0028】試みに、分極周期が一様な通常の擬似位相
整合素子を、回転機構に取り付け、入射光軸に対して回
転させる構成を考える。図8(a)は、この構成を示す
図であり、非線形光学媒質板801は、平坦に研磨され
た入射端面804と出射端面805とを備える。入射光
は入射光軸802に沿って入射端面804に入射し、板
内を板内光軸806に沿って伝播する。この板内光軸8
06の各所で発生した変換光は板内を板内光軸806に
沿って伝播し、出射端面805から出射し、出射後は出
射光軸803に沿って進む。この場合、上記非線形光学
媒質板801には入射端面804に垂直な方向に波数方
向を有する一様周期の分極反転が作り込まれている。
【0029】今、非線形光学媒質板801をニオブ酸リ
チウム結晶とし、結晶温度が20℃のとき、位相整合波
長の中央1.545μmに相当する周期18.85μmの分
極反転が付与されているとする。その時、入射光軸80
2が入射端面804に直入射する、すなわち、入射光軸
および板内光軸806が基準線810方向に一致する場
合には、該中央波長に位相整合がとれることになる。図
8(b)には、この結晶を回転したとき、入射光軸80
4と基準線810のなす回転角811に対する位相整合
波長の変化を示した。回転角を±30°もの範囲で変化
しても、それに伴なって、1.545μmから1.565μ
mまで、僅か20nmの波長範囲をカバーできるに過ぎ
ず、全く不満足な波長可変特性である。
【0030】本発明者らは、上述の特性によるところを
考究し、2つの要因をつきとめた。すなわち、そのうち
の一つは、図8(b)に示す特性が回転角零に対して線
対称になっており、負側の回転角が無駄になっていると
いう点である。このことは、一様周期の分極反転の周期
波数方向が基準線810に一致していることに起因する
ことによる。
【0031】また、その二つめは、非線形光学媒質板8
01の屈折率が大きいので、板内光軸806が板内にて
分極反転の波数方向とのなす角が小さく、外側の回転角
811がある程度大きいとしても板内では板内光軸80
6に近づこうとする。このことは入射端面804の形状
如何にかかわる。
【0032】この結果、前者の要因に対しては、分極反
転の周期波数方向を基準線に対して傾けることとし、後
者の要因に対しては、入射端面の形状を回転中心を中心
とする円弧とすることを本発明の基本的な着想である。
【0033】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の実施の形態の一
例を図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明の波
長可変擬似位相整合素子の一例の構成を示す図であり、
非線形光学媒質板101は、入射端面104と出射端面
105とを備える。入射光は入射光軸102に沿って入
射端面104に入射し、板内を板内光軸106に沿って
伝播する。この板内光軸106の各所で発生した変換光
は板内を板内光軸106に沿って伝播し、出射端面10
5から出射し、出射後は出射光軸103に沿って進む。
ここで、非線形光学媒質板101は、入射光軸の延長線
上にある回転中心109を中心として、回転できるよう
に、回転機構の付いた台座に保持されている。
【0034】図1(a)は、可変域の中央の位相整合波
長に同調した場合の容態であり、この場合、非線形光学
媒質板101に対する入射点において入射端面104が
入射光軸102に垂直である結果、板内光軸106も入
射端面104に垂直となっている。さらに出射端面10
3では、この場合の出射点において、出射端面103が
板内光軸106に垂直である結果、出射光軸103も出
射端面105に垂直となる。これらの結果、入射光軸1
02、出射光軸103、および板内光軸106の三者は
互いに共軸となっている。ここで、この容態において、
これら三者が乗っている直線を、本発明の非線形光学媒
質板の基準線110と名づける。非線形光学媒質板10
1には、該媒質板を台座に装着する際に、この基準線方
向を知るための補助として、側面に位置決め用切欠部
(オリフラ)108が付加されている。図1(b)は、
上記非線形光学媒質板101が上記回転中心109の周
りに、回転角111だけ回転した場合の容態を示してい
る。回転に伴って、板内光軸106と基準線110とが
零でない角となる。
【0035】さて、本例では非線形光学媒質板101に
は基準線110に対して傾いた方向に周期波数方向を持
つ一様周期の分極が付与されている。前段で述べた板内
光軸106と基準線110のなす角の変化に伴い、板内
光軸106と分極の波数方向107のなす角が変化し、
その結果、板内光軸106に沿って見る実効周期が変化
し、結局、位相整合波長が変化することになる。こうし
て、回転機構により位相整合波長を変化・調整するとい
う目的が実現される。このとき、本発明では、波数方向
107が基準線110に対してもともと傾いている結
果、図8(b)に見られたような負側の回転角が無駄に
なるという事態が避けられる。
【0036】更に本例では、回転角111に伴って、板
内光軸106と基準線110のなす角を有効に変化させ
るために、入射端面104の形状が回転中心109を中
心とする円弧に選ばれている。このために、回転中心1
09は入射端面104上にないことが必要となる。この
とき、入射光軸102は常に入射端面104に垂直に入
射し、板内光軸106が屈折されることなく常に入射光
軸102に共軸になる。この結果、板内光軸106が基
準線110となす角は、常に上記回転角111に等しく
なる。
【0037】以上の本例の基本的作用には、出射端面1
05の形状は関与しない。しかしながら、従来の角度位
相整合素子に本例のものを直接置換するという使用を想
定すると、入射光軸102と出射光軸103が常に平行
に保たれることが望ましい。この性質を付与するために
は、出射端面105の形状も、上記回転中心109を中
心とする円弧に選べばよい。このため、回転中心109
は出射端面105上にもないことが必要となる。このと
き、板内光軸106が出射端面105に垂直に入射し、
板内光軸106が屈折されることなく、出射光軸103
は常に板内光軸に共軸になる。入射光軸102と板内光
軸は既に共軸であったので、結局、出射光軸103は入
射光軸102に常に平行に保たれる。
【0038】このように、本例にあっては周期分極の波
数方向を基準線に対して傾けることを基準としており、
その傾きの値を図2にて解析する。図2において、上に
述べたように、実際の使用の際は、入射光軸202は固
定され、非線形光学媒質板が回転中心209の周りに回
されるが、傾きの値を検討する目的には、非線形光学媒
質板を固定し、入射光軸202を回転中心209の周り
に回転した状態を考えても支障がない。図2にはそのよ
うにして、入射光軸202を回転中心209の周りに、
基準線210から角度θだけ回転した状態を示してあ
る。ここでは、基準線210上の入射光軸202と周期
波数方向207とのなす角Θ+θであり、破線で示す直
線状の入射端面での屈折光軸と周期波数方向207との
なす角をΘ+θ′で表示している。
【0039】周期分極の波数方向207と基準線210
のなす角をΘ、分極の周期をΛ0 としたとき、今、一般
に、板内光軸が基準線210と角度φをなすとすると、
周期波数方向と板内光軸のなす角はΘ+φとなり、板内
光軸に沿って見た実効的な反転周期Λは、一般式として
は Λ/Λ0 =1/ cos(Θ+φ) … (7) の形で表わせる。
【0040】ここにおいて、実効的な反転周期Λが広い
範囲で変化すれば、それだけ広い波長可変性が得られ
る。このためには、式(7)の右辺の角度φについての
導関数が大きな値をとるのが望ましい。ところが、その
導関数の値が角度φに対してあまりにも急激に変化する
と、波長の変化の角度に対する直線性が損なわれるとい
う不具合が目立ってくる。そこで、上の導関数の角度φ
についての変化率、すなわち、式(7)の右辺の角度φ
についての2階の導関数は小さい値をとるのが望まし
い。つまり、傾きは大きく変化率の変化は小さくすれば
良いことから、次式(8)にて定義される評価関数FO
M(Θ)が最大となる角Θが周期波数方向207の基準
線210に対する傾きとして最適な角度となる。 FOM(Θ)=(1/cos Θ)′/(1/cos Θ)″ …(8) 簡単な計算の結果、FOM(Θ)の最大値は、√2/4 で
あり、その時の角Θは、 sinΘ=1/√3 …(9) の解として与えられる。これを解くと、最適角Θは35.
2644°となる。但し、FOM(Θ)の最大値付近で
の変化が緩やかな結果、角Θがこの最適値からずれても
急激な特性の劣化が生じる訳ではない。その結果、FO
M(Θ)の値が、例えば、最大値の80%の範囲にある
角度の範囲、すなわち、19.5°から54.7°の角を選
んでも、実用上、ほぼ同一の効果が得られる。
【0041】また、本例では、板内光軸が基準線に平行
となる中央波長に同調した条件下で、周期波数方向と板
内光軸が、上で選んだ角Θをもって交差する。その結
果、非線形光学媒質板101に付与すべき分極の周期Λ
0 は、中央波長での位相整合に要する周期Λc とは異な
り、より小さなものとなる。その関係は、式(7)を徴
して求まり、 Λ0 =Λc cosΘ …(10) と表わせる。特に角Θを式(9)による最適角とした場
合は、Λ0 =Λc √6/3となり、Λc の81.6%の周期
を持つ分極を付与すればよいことになる。
【0042】また、上で例示した角Θの許容範囲に対し
て、周期Λ0 を計算すると、Λc の57.7%から94.3
%となる。この結果は、一つの周期Λ0 を持つ非線形光
学媒質基板を、角Θが異なるように切り出し・研磨し
て、異なるΛc 、すなわち異なる中央波長を持つ波長可
変擬似位相整合素子を作製できる可能性があることを示
している。例えば、周期Λ0 が11.5μmの分極反転が
施されたニオブ酸リチウム結晶基板があれば、それをΘ
=24.12°に切り出して、1.31μm波長帯用(Λc
=12.6μm)の素子を作製し、またΘ=52.75°に
切り出して、1.55μm波長帯用(Λc =19.0μm)
の素子を作製することができる。このように、本例で
は、若干の中央波長の変化ならば、一々異なる周期の分
極を作りかえる必要がなく、切り出し角の変化のみで対
応できるので、作製上の経済効果も期待できる。
【0043】次に、入射点における光の屈折に伴なう効
果を考える。入射端面が図2中に破線で示したような平
面形状を有する場合、入射光軸202の入射端面への入
射角θと、屈折光軸212が同端面となす屈折角θ′
は、良く知られたスネルの法則、sin θ=nsin θ′で
結ばれている。ここで、nは非線形光学媒質板の屈折率
である。今、上述の角度φは屈折角θ′に等しいので、
上の式(7)に式(10)とスネルの法則を代入して、こ
の場合の実効周期の入射角依存性は Λ/Λc =cos Θ/ cos(Θ+ sin-1(sin θ/n)) … (11) の形で表わせる。
【0044】一方、入射端面を図2中に実線で示すよう
に回転中心209を中心とする円弧に形成した場合、入
射点において入射光軸は常に入射端面に垂直となり、屈
折を受けない。したがって、上述の角度φは、直接回転
角θに等しくなり、実効周期の入射角依存性として、 Λ/Λc cosΘ/ cos(Θ+θ) … (12) が得られる。
【0045】ここで、通例、屈折率n>1なので、上の
スネルの法則により、θ′≦θ(等号は両辺がゼロの場
合)となる。すなわち、一定の回転角に対しての角度φ
の変化は、平面端面の場合、必ず円弧端面の場合より
も、小さいのである。したがって、平面端面に比して、
円弧端面にすることで回転角当たりの実効周期の変化を
大きくとることができ、その結果、より広い波長可変性
を実現できる。
【0046】こうして、相関計にあって従来の角度位相
整合素子に直接置換するという本発明素子の使用を想定
すると、入射端面104を円弧とした場合、出射端面1
05の形状も、上記回転中心109を中心とする円弧に
選べばよい。図1では、理解の便のために、回転中心1
09が非線形光学媒質板101の中心に置かれ、その結
果、素子外形が全体として円盤状を呈しているが、実
は、回転中心109は入射光軸102の延長上の任意の
点に置くことができる。この回転中心の置き方によっ
て、本発明素子は様々の外形をとり得る。
【0047】図3は、回転中心の置き方によって本発明
素子のとり得る外形例を示している。図3(a)は、回
転中心309を、素子中心よりも入射光軸302から見
て奥(図中左側)に置いた場合を示す。この場合、入射
端面304側の円弧の半径が、出射端面305側のそれ
よりも大きくなっている。出射端面305の曲率半径は
大きい方が、端面での不都合なレンズ効果が低減できる
ため望ましい。しかし、入射端面304のレンズ効果
が、素子内での入射(被変換)光の結焦性を変化させ変
換効率に影響するのに対し、出射端面305側のレンズ
効果は、出射(変換)光の拡散性を変化させるに過ぎな
い、特に相関計装置での波長変換素子の使用において
は、通例、変換光は口径の十分大きい光検出器に導かれ
るので、その拡散性の変化は装置性能に影響を与えな
い。それゆえ、本例のように、回転中心を素子中心から
後方にずらし、出射側にて屈折が顕著になっても入射側
のレンズ効果を低減する形態は、実用上意義がある。
【0048】従来の角度位相整合素子を使用する相関計
では、通例、回転中心は非線形光学結晶の厚み方向の中
央に置かれるので、これに本発明素子を直接置換する場
合、通常、図1あるいは図3(a)のように、入・出射
両側に膨らんだ素子外形が見られることになる。しか
し、総覧的には、さらに回転中心309を後退させ、非
線形光学媒質板の外部に置く場合も考えられ、この場合
の素子外形は図3(b)のようになる。この場合、出射
端面305は、素子側に窪んだ円弧状を呈する。また、
逆に素子中心より回転中心309を前進させていって
(図中右側において)得られる、図3(a)あるいは図
3(b)を左右逆にしたような素子外形も考えられる。
【0049】上で述べたような円弧端面は、円筒形の研
磨工具を用いて作成・研磨でき、同様な加工法による円
筒レンズが現在の光学部品製造業で大量に生産されてい
る事実を見ても分かるように、安価に実現できる。とは
言っても、平面端面に比べては、コスト増となることは
否めないので、価格を優先する場合には、円弧端面の加
工に替えて、入・出射両端面を互いに平行な平面加工と
することもできる。この代用平面端面であっても、周期
分極の波数方向と基準線のなす角Θが上で示した値に切
り出されていれば、下の実施例に示すように、現在の光
通信における一つの波長帯を優にカバーする波長可変性
が得られる。
【0050】<実施例>以下、本発明の実施例を詳細に
説明する。非線形光学媒質板101としては、従来例と
して示したのと同様に、ニオブ酸リチウム結晶で、周期
分極の波数方向と基準線のなす角Θを、式(9)の与え
る35.2644°とし、中央の波長としては、1.545
μmを選んだ。この波長に対応する分極反転周期Λc
18.85μmであり、これと角Θの値を式(10)に用い
て、周期Λ0 =15.38μmの分極反転を施した。本実
施例では、板内光軸の長さ、すなわち結晶中の伝播距離
Lは2mmとした。このとき、本非線形光学媒質板の応
答時間の目安となる群遅延不整合量は、1.5μm波長帯
の入射光に対して(τ3 −τ1 )L=0.6psである。
【0051】図4は、この実施例により得られる波長可
変特性を示す図である。図4の左縦軸には、回転角と実
効分極反転周期の関係を与える式(12)若しくは式(1
1)の右辺を表わすスケールをとった。このスケール上
の読みは、分極反転周期Λc で規格化されているため、
本発明による最適周期波数方向Θを有するニオブ酸リチ
ウム結晶板一般に通用する値を与える。特に円弧端面の
場合は、式(12)に屈折率が含まれないために、本発明
による波長可変擬似位相整合素子全てに通用する。これ
から、円弧端面では±10°の回転角変化に伴って、実
効周期の変化として、0.903Λc 〜1.160Λc が得
られ、端面形状をより安価な直線で代用した場合でも、
0.949Λc 〜1.065Λc の実効周期変化が得られる
ことが分かる。
【0052】更に、図4では左縦軸の読みにΛc を掛け
て得られる分極反転周期に対する結晶温度20℃での位
相整合波長を求めて、右縦軸のスケールを作ってある。
これから、円弧端面では、±10°の回転角変化に伴な
って、1.477μmから1.659μmまでの波長をカバ
ーすることができる。直線による代用端面の場合でも、
1.509μmから1.591μmの間の波長可変性が得ら
れる。こうして、何れの端面形状でも、現在の1.5μm
帯光通信における光信号の測定のために十分な波長可変
性が実現された。
【0053】本発明の波長可変擬似位相整合素子は、現
行の相関計内の角度位相整合素子に直接置換することが
できることが特徴であり、また本発明の目的の一つとす
るところである。そこで次に、作成した本実施例素子
を、従来の角度位相整合素子に置き換えた前後での、相
関計の性能の比較を図5に示す。
【0054】本例において用いた相関計は、元来、2m
m厚のニオブ酸リチウム結晶中での角度位相整合による
二次高調波発生効果が用いられ、発生した二次高調波光
は光電子増倍管によって光電変換され、増幅感度5×1
4 V/Aの電流増幅器によって電圧値に変換され出力
されている。このニオブ酸リチウム結晶の入射面には、
1.5μm波長帯での減反射膜が蒸着され、また、出射端
面には、二次高調波波長である0.75μm帯における減
反射膜が蒸着されている。本相関計では、被測定信号光
と参照光の結晶への入射方向の間に、5.7°の角度が付
けてあり、それぞれ一方の光だけから個別に発生される
二次高調波光が、検出器に入らない構成をとっている。
このような非共軸相関計の構成はバックグラウンドフリ
ー相関計と呼ばれている。以下では、本相関計を入射信
号光を二分し自分自身で参照光を供給する自己相関モー
ドで動作させた。
【0055】透過波長幅2nmの光学フィルタを出射し
た波長1.564μm、時間幅1.5psのパルスの自己相
関波形の、旧来の角度位相整合による測定結果を図5中
の下側の曲線として示した。この入射パルスの平均パワ
は0.15mW、尖頭パワは550mWであり、このと
き、自己相関信号の最大値として、450mVが得られ
ている。このような二次高調波発生効果を用いた相関計
の出力は、入射パルスの平均パワと尖頭パワの積に比例
することが知られているので、角度位相整合素子を用い
た場合の本相関計の感度を、5.6mV/mW2 と表わす
ことができる。
【0056】ここで、角度位相整合素子を、上記の本実
施例素子に置き換えた。既に述べたように、本実施例素
子中の伝播距離は2mmであって、置き換えられた角度
位相整合素子に等しくとってある。さらに条件を揃える
ために、本実施例素子の入射端面と出射端面に、それぞ
れ1.5μm波長帯と0.75μm帯における減反射膜を蒸
着したものを用いた。また、本実施例素子の厚みは0.3
mm、横幅は2mmであって、旧来の角度位相整合素子
の入射面寸法5mm×5mmに比して遙かに小さい。そ
のため、旧来素子の入射面寸法に等しい金属枠を作り、
それに本実施例素子を取り付けた後、金属枠ごと相関計
に装着した。このようにすれば、相関計自体に何らの変
更を加えることなく、オンサイト(現場)で容易に素子
の入れ替えが行える。なお、通常の計測器において、波
長変換素子を使用する場合、入射光はレンズにより素子
に結焦されるので、素子内でのビーム径は小さい。本相
関計では、20mmのレンズにより入射光が10μm程
度に絞り込まれており、したがって、本実施例素子の厚
みが0.3mmしかないことは、装着作業時を除いては、
実用上全く支障とはならない。
【0057】本実施例素子の中央波長整合波長は1.54
5μmに設計されているので、真っ直ぐに入射する条件
では、ここでの入射波長1.564μmに対して相関信号
を観測することはできない。しかし、回転角を調整する
ことで、位相整合を実現できた。その際の回転角を読む
と、約0.6°であって、図4から予想される2°からず
れていた。これは図4は、入射光が共軸の条件について
計算されているのに対し、本相関計では、2つの入射光
の間に角度がついているからと考えられる。入射光間に
角度がついていると、等価的な板内光軸はその二等分線
となり、被変換光側の屈折率が、板内光軸への射影分に
減少する。その結果、一定の入射波長に対して、擬似位
相整合のために小さ目の分極変化周期が必要になり、結
局、図4の右縦軸のスケールが下にずれることになる。
設置される相関計ごとの条件に合わせて、このような補
正を行えば、実用上十分な精度で本実施例素子による回
転角に対する位相整合波長の予測が行える。
【0058】本実施例素子を用いた場合の、自己相関波
計の測定結果を、図5中の上側の曲線として示す。自己
相関波計は、従来の角度位相整合素子による場合と非常
に高い精度で相似であり、本発明の波長可変擬似位相整
合結晶をピコ秒領域の波形測定に完全に適用できること
が分かる。ここで注目すべきは、自己相関信号の最大値
として、10Vと従来の角度位相整合素子による場合よ
りも遙かに大きな値が得られている点である。前同様に
してこの場合の感度を算定すると、121mV/mW2
と表わすことができる。すなわち、従来の角度位相整合
素子に比して、22倍高い感度が実現されているのであ
る。この理由は、擬似位相整合ニオブ酸リチウム結晶で
用いられる非線形定数テンソルは、dzzz であり、従来
の角度整合ニオブ酸リチウム素子で用いられていたd
zxx に比して、6倍程度大きなテンソル成分を利用でき
るからである。
【0059】
【発明の効果】本発明の波長可変擬似位相整合素子は、
位相整合波長の変化・調整が、平行移動機構ではなく回
転機構により行える。それ故、本発明の波長可変擬似位
相整合素子は、現行の相関計の非線形媒質にそのまま置
き換えることができ、極めて容易に測定感度の向上が行
え、現在の各社製相関計ユーザー層に、経済的な性能向
上の道を提供できる。また、本発明の波長可変擬似位相
整合素子は、容易・安価に製造することができるので、
工業的に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の波長可変擬似位相整合素子の構成例を
示す図であり、(a)は中心となる波長に同調した状態
を示す図、(b)はより短い波長に同調した状態を示す
図。
【図2】本発明の作図説明図。
【図3】擬似位相整合素子の各種外形を示す図。
【図4】波長可変特性を示す図。
【図5】相関計の出力信号を示す図。
【図6】二次高調波発生に必要な反転周期を示す図。
【図7】従来例の波長可変擬似位相整合素子の構成を示
す図であり、(a)は中心となる波長に同調した状態を
示す図、(b)はより短い波長に同調した状態を示す
図。
【図8】一様周期の擬似位相整合素子を回転する構成と
その波長可変特性を示す図であり、(a)は回転した状
態を示す図、(b)は得られる波長可変性を示す図。
【符号の説明】
101 非線形光学媒質板 102 入射光軸 103 出射光軸 104 入射端面 105 出射端面 106 板内光軸 107 周期波数方向 108 オリフラ 109 回転中心 110 基準線 111 回転角 202 入射光軸 204 入射端面 207 周期波数方向 209 回転中心 210 基準線 212 屈折光軸 302 入射光軸 303 出射光軸 304 入射端面 305 出射端面 308 オリフラ 309 回転中心 701 非線形光学媒質板 702 入射光軸 703 出射光軸 704 入射端面 705 出射端面 706 板内光軸 713 移動方向 801 非線形光学媒質板 802 入射光軸 803 出射光軸 804 入射端面 805 出射端面 806 板内光軸 809 回転中心 810 基準線 811 回転角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神原 浩久 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非線形光学媒質板の板内に周期波数方向
    に等周期的に分極が付与されかつ被変換光が入射する入
    射端面とこの入射端面と対向する側に変換光が出射する
    出射端面とを有する波長可変擬似位相整合素子におい
    て、 上記非線形光学媒質板の回転中心を上記被変換光の入射
    端面に達する以前の光路の延長線上に置き、 上記変換光の板内光路と上記分極の周期波長方向とを零
    でない角度をなすようにした、ことを特徴とする波長可
    変擬似位相整合素子。
  2. 【請求項2】 上記被変換光が2本ある場合には、上記
    入射端面に達する以前の2本の光路の夫々を平均した直
    線上に上記回転中心を置いたことを特徴とする請求項1
    記載の波長可変擬似位相整合素子。
  3. 【請求項3】 上記零でない角度Θは、sin Θ=1/√
    3である約35°としたことを特徴とする請求項1又は
    2記載の波長可変擬似位相整合素子。
  4. 【請求項4】 上記入射端面及び上記入射端面と出射端
    面の双方端面の少なくとも一方では、上記回転中心を中
    心とした円弧状に形成したことを特徴とする請求項1,
    2又は3記載の波長可変擬似位相整合素子。
  5. 【請求項5】 上記入射端面及び出射端面の少なくとも
    一方では、反射率を減じる光学膜を被着したことを特徴
    とする請求項1,2,3又は4記載の波長可変擬似位相
    整合素子。
  6. 【請求項6】 上記非線形光学媒質板は、上記被変換光
    と変換光との双方を二次元面内に閉じ込めて伝播させる
    ようにスラブ導波路となっていることを特徴とする請求
    項1,2,3,4又は5記載の波長可変擬似位相整合素
    子。
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