JPH11276558A

JPH11276558A - 流体の浄化装置及びこの装置に用いる光触媒体

Info

Publication number: JPH11276558A
Application number: JP10083091A
Authority: JP
Inventors: Tsugio Shiomi; 次雄塩見; Hisayuki Takigawa; 久幸瀧川; Kazuo Yokoyama; 一夫横山
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1998-03-30
Filing date: 1998-03-30
Publication date: 1999-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】光と流体とを通過可能になして光触媒作用の
効率を高めて、短時間で流体中の臭気物質・汚れ物質・
雑菌を分解して清浄な流体にすることを課題とする。【解決手段】ケース内部に設けた励起光源からの光に
より光触媒を励起させて流体を浄化する装置であて、上
記ケース１内部に、励起光源５の周囲を間隔をおいて包
囲するように、微細な網の目構造にした筒体で、その
内、外周面を含む全表面に光触媒を有する光触媒体６を
設けて成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気・水（以下、
単に流体という）の循環経路の一部や、室内又はタンク
内の局所に設置して、流体中の臭気物質・汚れ物質・雑
菌（以下、単に臭気物質という）を分解して、清浄な循
環流体とする流体の浄化装置及びこの装置に用いる光触
媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、活性炭等通常の悪臭吸着剤に比較
して寿命が長いことから、主として一般空調機器や冷凍
サイクル装置における空気循環経路の一部に設置する、
光触媒を用いた空気浄化装置や脱臭装置が提案されてい
る。

【０００３】従来の空気浄化装置や脱臭装置に採用され
ている光触媒体としては、励起光源となる紫外線ランプ
の表面にコーティングによる光触媒層を設けたもの、励
起光源を挟んで配設した半割り状のユニットカバーの内
面にコーティングによる光触媒層を設けたもの、紫外線
を透過するガラス等からなる円筒状の励起光源に被せる
カバー表面にコーティングによる光触媒層を設けたも
の、ハニカム構造に成した平板状物に光触媒を坦持させ
たもの等がある。

【０００４】ところで、光触媒は、紫外線を含む太陽光
を受けると、光触媒表面にある酸素や水分をスーパーオ
キサイドイオン（Ｏ₂ ^-) 、水酸ラジカル（ＯＨ）とい
った活性酸素に変化させる「光触媒作用」を有してお
り、この活性酸素がこれに接触する有機物や無機物の臭
気物質を分解する機能を発揮するものである。

【０００５】すなわち、上記光触媒は、光エネルギーを
化学エネルギーに変える物質で、半導体であり、半導体
のエネルギーバンドは、価電子帯、伝導帯及びこれらの
間に存在する禁制帯とから成る。上記光触媒作用は、禁
制帯のエネルギーギャップ以上のエネルギーを吸収した
価電子帯の電子が励起された伝導帯に移り、移動が自由
になり、一方電子が抜けた跡はホール（正孔）になり、
やはり移動が自由になって、励起状態すなわち活性状態
になり、酸化力を持った正孔（ｈ^-）と還元力を持った
電子（ｅ^-）が生成され、この正孔と電子の酸化還元作
用によるものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】よって、光触媒作用を
十分に行って、流体中の臭気物質を短時間で効率よく酸
化分解するためには、光触媒体の表面に、励起光源の光
が十分に照射され、かつ流体が十分に接触することが重
要になる。

【０００７】しかるに、上記従来技術のうち、光触媒層
のものは、いずれも流体が通過不可能なものの表面に形
成されているから、流体が光触媒層表面にのみ接触する
だけとなり、光触媒作用をする光触媒体の表面積が小さ
くなる。また、ハニカム構造の平板状物に坦持させたも
のは、ハニカム構造であるから、流体は通過するが、励
起光源の光が光触媒に均一に照射されず、また坦持体自
身の影によって励起光源の光が光触媒に当たらない箇所
が生じ、光触媒作用をする光触媒体の表面積が小さくな
る。。

【０００８】このため、従来技術によるときは、光触媒
の活性状態が不十分となり、光触媒作用の効率が悪く、
比較的低濃度の臭気物質に対しては効果があった。しか
し、高濃度の臭気物質を短時間で分解するには、光触媒
体の表面積を増加するため坦持体を大きくしたり、高出
力の励起光源を使用しなればならず、装置を大型化しな
ければならなかった。また、光触媒層によるものは、そ
の構造上、光触媒体の表面積を増大するにも自ずから限
界があった。

【０００９】また、励起光源又は光触媒体を交換する場
合、励起光源の表面に光触媒層を設けたものは、励起光
源を交換・償却すると、光触媒層も当然に償却されるこ
とになり、また励起光源と対向するユニットカバーの内
面に光触媒層を設けたものは、励起光源の交換は可能で
あるが、ユニットカバー全体を交換することになり、い
ずれも経済的ではなかった。

【００１０】本発明は、上記従来技術に鑑みてなしたも
ので、光と流体とを通過可能になして光触媒作用の効率
を高めて、短時間で流体中の臭気物質を分解して清浄な
流体にし、また装置の小型化を可能にし、さらに励起光
源又は光触媒体のみを簡単に交換可能にすることを課題
とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明に係る流体の浄化
装置は、ケース内部に設けた励起光源からの光により光
触媒を励起させて流体を浄化する装置であって、上記ケ
ース内部に、励起光源の周囲を間隔をおいて包囲するよ
うに、微細な網の目構造の筒体で、その内、外周面を含
む全表面に光触媒を有する光触媒体を設けて成る。

【００１２】また上記光触媒体としては、その複数個を
同心円状に構成した多層構造体のものも用いることもで
きる。

【００１３】この手段によれば、光触媒作用を有する光
触媒体の表面積が大きくなり、かつケース内を流れる流
体が網の目（メッシュ又は孔）を通過・衝突して乱流を
生じるから、励起光源の光が光触媒体の内、外周面を含
む全表面に十分に照射されると共に、光触媒体の全表面
に接触する流体の割合が大きくなって、光触媒作用の効
率が高まり、流体中の臭気物質が短時間で分解されて、
清浄な流体が排出される。

【００１４】上記光触媒体は、通常１個で十分である
が、流体中の臭気物質の濃度によって、多層構造体のも
のを用いると、光触媒体の表面積がさらに増加し、かつ
ケース内を通過する流体の乱流がより一層促進されて、
光触媒体の全表面に接触する流体の割合が増大され、光
触媒の活性状態がより一層促進され、光触媒作用の効率
がより一層高められる。

【００１５】この発明において、光触媒体と対向するケ
ース内部の少なくとも上下面には、反射鏡を設けるのが
好ましい。この場合、光触媒体の網の目を通過した励起
光源からの光が再び反射して光触媒体に照射されて、光
触媒の活性状態が十分に行われるからである。なお、上
記反射鏡は、ケースの形状に応じてケース内部周面に設
けることもある。

【００１６】また、励起光源としては、円筒形等所要形
状の紫外線を放射する紫外線ランプや紫外線及びオゾン
発生線を放射する特殊ランプ等を用いることができる。

【００１７】本発明に用いる光触媒体としては、微細な
網の目を有する網状物の全表面に光触媒を設けて筒体形
状に成形したものを単独に、または複数個を間隔保持材
を介して同心円状に配設して多層構造体にしたものを用
いることができる。

【００１８】具体的には、上記網状物としては、微細な
網の目を有する金属製網や繊維製網又は多数の微細な孔
を穿設して微細な網の目構造にした金属板が好適であ
り、これらに光触媒をコーティング又はめっきを施す
か、または励起光源の光により励起状態になる半導体物
質からなる線状物で構成し、これらを用いて筒体形状に
成形することにより所望の光触媒体を構成することがで
きる。なお、上記光触媒体の断面形状は、円筒形の他、
励起光源の形状に対応して、四角形、三角形、多角形等
の所要の断面形状を有するようにしてもよい。

【００１９】ところで、上記網状物が繊維製網の場合、
有機繊維だけで構成すると、有機繊維は光触媒の酸化作
用によって酸化分解され、紫外線耐久性が低下し、光触
媒の粉体の離脱が生じるので、無機繊維又はこれと有機
繊維との混合繊維で構成したものがより好ましい。

【００２０】また、光触媒体を多層構造体にするとき
は、各層の網の目が互いに重ならないようにすると、よ
り一層効果的である。また、同種又は異種の光触媒体の
２個以上を選択して組み合わせて、多層構造体に構成し
たものも用いることができる。

【００２１】また、光触媒体の網の目の形状としては、
四角形、長方形の他ダイヤ形、六角形、円形等任意の形
状でよい。

【００２２】また、上記光触媒体の微細な網の目は、そ
の大きさと網の目を構成する線状体の線径とが、網の目
の大きさをＡとし、線径をＤとしたとき、Ａ≦Ｄ×３．
１４×１／２の関係を有するようにすると、より一層好
ましい。この場合、網の目の空間が、その周囲の線状体
内周面の光触媒体の表面積で完全にカバーされて、励起
光源からの光が網状筒体の内周面、外周面及び網の目を
構成する線状体内周面の全ての光触媒に照射され、光触
媒作用を発揮する光触媒体の表面積が最大になるからで
ある。

【００２３】ところで、本発明に用いる光触媒として
は、酸化チタン（ＴｉＯ₂），酸化チタンストロンチウ
ム（ＳｒＴｉＯ₃），硫化カドミウム（ＣｄＳ）等種々
の半導体物質を用いることができるが、短波長（３８０
ｎｍ以下）の光（紫外線）を受けると励起状態になり、
強い酸化力を示し、化学的に安定で安全性の高い物質で
ある、酸化チタン（ＴｉＯ₂）が好適である。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態であ
る空気浄化装置を図面に基づいて説明する。

【００２５】空気浄化装置Ａは、図１、２に示すよう
に、１はケースで、このケース１の空気流入側には不織
布製フィルタ２を、空気流出側にはハニカム構造になし
た活性炭フィルタ３をそれぞれ設ける。

【００２６】また、上記ケース１の内部には、空気流出
側の活性炭フィルタ３に近接して循環ファン４を設け、
この循環ファン４と不織布製フィルタ２との間には紫外
線を放射する、両端に電極部を有する円筒形の紫外線ラ
ンプ５を設ける。この紫外線ランプ５の外周には、所要
の間隔をおいて多層構造体から成る光触媒体６を、環体
・線状体等から成る間隔保持具８を介して紫外線ランプ
５を中心に同心円状に配置して成る。なお、上記光触媒
体６は、その両端をケース１に設けた取付け具（図示省
略）を介して着脱可能に設けて成る。さらに、光触媒体
６と対向するケース１内部の上下面には、反射鏡７，７
を取付けて成る。

【００２７】この場合において、ケース１の材質として
は、紫外線ランプ６からの光線を遮蔽するものであれば
よく、またその大きさは、特に限定されるものではない
が、内径寸法、縦２００ｍｍ×横２３０ｍｍ×高さ８０
ｍｍの直方体に成形した。

【００２８】また、光触媒体６は、所要の２４メッシュ
（線径０．３ｍｍ）を有するステンレス金網に酸化チタ
ン粉粒体をコーティングして円筒形に成形した、直径６
５ｍｍ，５０ｍｍ，３６ｍｍの三種類を用いた。

【００２９】次に、上記空気浄化装置の作用について説
明する。

【００３０】空気浄化装置Ａを一般空調機器の空気循環
経路の一部に設置すると、流入空気は、不織布製フィル
タ２で以てゴミ等が除去された後、光触媒体６の網の目
により乱流を生じて、紫外線ランプ５からの紫外線の照
射と反射鏡７からの紫外線の反射によって活発な活性状
態を呈する光触媒体６表面に頻繁に接触して、空気中の
臭気物質が分解される。そして、臭気物質が分解された
空気は、循環ファン４で以て活性炭フィルタ３に送ら
れ、この活性炭フィルタ３で以て再度浄化されて外部に
清浄な空気として放出される。

【００３１】ところで、上記紫外線ランプに代えて、紫
外線とオゾン発生線を放射する特殊ランプを用いると、
特殊ランプから放射されるオゾン発生線（１８５ｎｍ）
は微量オゾンを発生し、微量オゾンが循環する空気に繰
り返し負荷されることによりケース内はオゾンリッチな
状態となり、このオゾンの殺菌作用と光触媒体表面での
光触媒作用によって、ケース内での空気浄化機能がより
一層高められる。

【００３２】また、上記実施の形態は空気浄化装置につ
いて述べたが、本発明に係る流体の浄化装置は、これに
限ることなく、光触媒体を活用した空気浄化装置、例え
ば、エアーカーテン、エアーサーキュレーシュン、クリ
ーンルーム等の空気清浄装置に応用することができる。
また、励起光源を保護ガラスで覆い、かつ循環ファンを
水中ポンプに変えることにより、光触媒体を活用した水
の浄化装置としても利用することができる。

【００３３】

【発明の効果】本発明によるときは、励起光源の外周を
包囲して、内、外周面を含む全表面に光触媒を有する網
の目構造の筒体の光触媒体を設けたので、光触媒作用を
有する光触媒体の表面積が大きくなり、かつケース内を
流れる流体が網の目に衝突・通過して乱流を生じて、励
起光源の光が光触媒体の全表面に十分に照射されると共
に、流体の光触媒体への接触割合が大きくなって、光触
媒作用の効率を向上することができ、流体中の濃度の濃
い臭気物質を短時間で分解できて、清浄な流体を排出す
ることができる。

【００３４】また、光触媒体として多層構造体のものを
用いることによって、光触媒体の表面積が増加し、かつ
流体の乱流がより一層増大して、光触媒作用の効率をよ
り一層向上することができる。

【００３５】さらに、光触媒体と対向するケース内部に
反射鏡を設けることによって、光触媒体を通過した励起
光源からの光が再び反射して光触媒体に照射されて、光
触媒作用の効率をより一層向上することができる。

【００３６】また、構造が簡単であるので、装置の小型
化が可能となり、さらに励起光源又は光触媒体のみを簡
単に交換できる等の優れた効果を奏するものである。

【００３７】また、光触媒体を構成する網状物として、
金属製網や多数の孔を有する金属板や繊維製網に光触媒
を設けたものや、励起光源の光により励起状態になる半
導体物質からなる線状物で網状物に成形したものを用い
ることによって、内、外周面を含む全表面に、光触媒作
用の表面積を増加した光触媒体を簡単に製造することが
できる。

【００３８】さらに、光触媒体の網の目の大きさを特定
することによって、励起光源からの光が筒体の内周面、
外周面及び網の目を構成する線状体内周面の全ての光触
媒に照射され、光触媒作用を発揮する光触媒体の表面積
を最大にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る流体の浄化装置を示す概略横断面
図である。

【図２】本発明に係る流体の浄化装置の要部縦断面図で
ある。

【図３】本発明に係る光触媒体の一実施の形態を示す斜
視図である。

【符号の説明】

Ａ・・・空気浄化装置１・・・ケース２・・・不織布製フィルタ３・・・活性炭フィルタ４・・・循環ファン５・・・紫外線ランプ６・・・光触媒体７・・・反射鏡８・・・間隔保持材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ケース内部に設けた励起光源からの光に
より光触媒を励起させて流体を浄化する装置であって、
上記ケース内部に、励起光源の周囲を間隔をおいて包囲
するように、微細な網の目構造の筒体で、その内、外周
面を含む全表面に光触媒を有する光触媒体を設けたこと
を特徴とする流体の浄化装置。
【請求項２】光触媒体が、内、外周面を含む全表面に
光触媒を有して、微細な網の目構造にした筒体の複数個
を、同心円状に配設した多層構造体である請求項１に記
載の流体の浄化装置。
【請求項３】光触媒体と対向するケース内部の少なく
とも上下面に、反射鏡を設けた請求項１又は２に記載の
流体の浄化装置。
【請求項４】微細な網の目を有する網状物の全表面に
光触媒を設けて筒体形状に成形したことを特徴とする流
体の浄化装置用光触媒体。
【請求項５】微細な網の目を有する網状物の全表面に
光触媒を設けて筒体形状に成形した複数個を、間隔保持
材を介して同心円状に配設して多層構造体に構成したこ
とを特徴とする流体の浄化装置用光触媒体。
【請求項６】網状物が、金属製網である請求項４又は
５に記載の流体の浄化装置用光触媒体。
【請求項７】網状物が、繊維製網である請求項４又は
５に記載の流体の浄化装置用光触媒体。
【請求項８】網状物を、励起光源の光により励起され
る半導体物質から成る線状体で構成した請求項４又は５
に記載の流体の浄化装置用光触媒体。
【請求項９】網状物が、多数の微細な孔を穿設した金
属板である請求項４又は５に記載の流体の浄化装置用光
触媒体。
【請求項１０】微細な網の目の大きさＡと網の目を構
成する線状体の線径Ｄとが、Ａ≦Ｄ×３．１４×１／２
の関係を有する請求項４、５、６、７又は９に記載の流
体の浄化装置用光触媒体。