JPH11271285A - 欠陥検出装置及び欠陥検出方法 - Google Patents

欠陥検出装置及び欠陥検出方法

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Publication number
JPH11271285A
JPH11271285A JP10074378A JP7437898A JPH11271285A JP H11271285 A JPH11271285 A JP H11271285A JP 10074378 A JP10074378 A JP 10074378A JP 7437898 A JP7437898 A JP 7437898A JP H11271285 A JPH11271285 A JP H11271285A
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JP
Japan
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subject
ultrasonic
equation
area
function
Prior art date
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Pending
Application number
JP10074378A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Nakamori
勇一 中森
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP10074378A priority Critical patent/JPH11271285A/ja
Publication of JPH11271285A publication Critical patent/JPH11271285A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/04Wave modes and trajectories
    • G01N2291/044Internal reflections (echoes), e.g. on walls or defects

Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波トランスデューサを簡単に制御し、被
検体の形状が幾何学的に対称な場合には迅速に欠陥を検
出する。 【解決手段】 開示される欠陥検出装置は、CPU28
が、2軸ロボット5,6を制御し、エリアの第n番目の
ポジションに移動させた超音波トランスデューサ4aか
ら超音波パルスを発射し被検体からの反射波を第m番目
のポジションに移動させた超音波トランスデューサ4b
により受信して得た64×64個のエコー信号S
m,n(t)をフーリエ変換して得た64×64個のエコ
ー信号Sm,n(ω)に関する方程式を成立させる実数値
λ,関数φ(ω)を算出し、関数φ(ω)から得た音場
の関数φ(ω,x,y,z)を逆フーリエ変換して得た関
数φ(t,x,y,z)に対応した電気パルス信号をエリ
ア内のN個の位置にある超音波トランスデューサ4bに
印加したと想定した際の音場の関数φ'u(x,y,z)を
求め、音場の関数φ'u(x,y,z),実数値λに基づき
被検体を画像化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、欠陥検出装置及
び欠陥検出方法に関し、詳しくは、超音波パルスを被検
体に向けて送信し、被検体から得られる反射波に基づい
て被検体の欠陥を検出する欠陥検出装置及び欠陥検出方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波を用いて物体の製造過程で発生し
た欠陥や計時変化による欠陥を検出する欠陥検出方法と
しては、従来から、例えば、以下に示すものがあった。
まず、第1の超音波トランスデューサから被検体内の被
試験点に中心周波数が1MHzの超音波を送信して第1の
反射波を得た後、この第1の反射波が得られた位置にお
いて、第2の超音波トランスデューサから被検体の被試
験点に中心周波数が2MHzの超音波を送信して第2の反
射波を得る。次に、第1の反射波と第2の反射波とを合
成し、この合成結果をディスプレイに表示する。これに
より、1つの被試験点に対して2つの情報が得られるの
で、複雑な形状をなしている部位の近傍に欠陥が位置し
ている場合でも、被検体内の欠陥の位置および大きさ等
を正確に検出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の欠陥検出方法においては、第2の超音波トランスデ
ューサを第1の超音波トランスデューサが第1の反射波
を得た位置に正確に移動させなければ第1の反射波と第
2の反射波との正しい合成結果が得られないので、制御
が面倒という欠点があった。また、上記した従来の欠陥
検出方法においては、被検体の形状が幾何学的に対称な
場合でも、被検体の形状が幾何学的に対称でない場合と
同様に第1及び第2の超音波トランスデューサを移動さ
せなければならず、欠陥の検出に時間がかかるという問
題があった。
【0004】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、超音波トランスデューサの制御が簡単で、か
つ、被検体の形状が幾何学的に対称な場合には迅速に欠
陥を検出することができる欠陥検出装置及び欠陥検出方
法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、超音波パルスを被検体に向
けて送信し、被検体から得られる反射波に基づいて被検
体の欠陥を検出する欠陥検出装置に係り、2次元のエリ
ア内で任意に移動可能であり、供給される電気パルス信
号に基づいて超音波パルスを液体弾性媒体中の被検体に
向かって送信すると共に、上記被検体からの反射波を受
信するための2個の超音波変換要素と、上記2個の超音
波変換要素を上記エリア内の任意の位置に移動させる移
動手段と、上記移動手段を制御して、一方の超音波変換
要素を上記エリア内に所定間隔で設定したN個(Nは2
以上の自然数)の位置のうち、第n番目(n=1,2,
……,N)の位置に移動させると共に、他方の超音波変
換要素を上記エリア内の第m番目(m=1,2,……,
N)の位置に移動させ、上記一方の超音波変換要素に所
定周波数範囲内の電気パルス信号を供給して超音波パル
スを送信させ、それに基づく上記被検体からの反射波を
上記他方の超音波変換要素に受信させる処理を、上記2
個の超音波変換要素を上記エリア内のN個の位置にそれ
ぞれ移動させて行うことにより上記他方の超音波変換要
素から出力される(N×N)個のエコー信号S
m,n(t)を検出するエコー信号検出手段と、上記(N
×N)個のエコー信号Sm,n(t)を(N×N)個のエ
コー信号Sm,n(ω)にフーリエ変換するフーリエ変換
手段と、上記(N×N)個のエコー信号Sm,n(ω)に
関する式(9)の方程式を成立させる実数値λのうち、
絶対値の大きい方から数えて、単数又は複数の実数値λ
を求めると共に、上記単数又は複数の実数値λに対応す
る単数又は複数の関数φ(ω)を算出する算出手段と、
上記所定周波数範囲に対応する角周波数範囲及び上記エ
リア内のN個の位置に移動させた上記他方の超音波変換
要素について、上記単数又は複数の実数値λに対応する
単数又は複数の関数φ(ω)から音場の関数φ(ω,
x,y,z)を求め、上記音場の関数φ(ω,x,y,
z)を逆フーリエ変換して得られた関数φ(t,x,
y,z)に対応した電気パルス信号を上記エリア内のN
個の位置に移動させた上記超音波変換要素に印加したと
想定した場合の時間t=0での音場の関数φ'u(x,
y,z)を求め、該音場の関数φ'u(x,y,z)及び
上記単数又は複数の実数値λに基づいて上記被検体を画
像化して表示する画像化処理手段とを備えてなることを
特徴としている。
【0006】
【数9】
【0007】式(9)において、φ* m(ω)はφ
m(ω)の複素共役、φn(ω)は規格化されている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の欠
陥検出装置に係り、上記算出手段は、上記(N×N)個
のエコー信号Sm,n(ω)から作成される(N×N)の
複素対称行列であり、式(10)で表される散乱行列S
(ω)から、式(11)で表される(2N×2N)の実
対称行列S'(ω)を求め、上記実対称行列S'(ω)の
固有値問題を処理して固有値及びそれに対する固有ベク
トルを求め、上記固有値のうち、絶対値の大きい方から
数えて、単数又は複数の固有値を上記単数又は複数の実
数値λとすると共に、上記単数又は複数の固有値に対す
る単数又は複数の固有ベクトルを上記単数又は複数の実
数値λに対応する単数又は複数の関数φ(ω)とするこ
とを特徴としている。
【0009】
【数10】
【0010】式(10)において、S(ω,m,n)は、
上記エリア内の第n番目(n=1,2,……,N)の位
置に位置する一方の超音波変換要素から超音波パルスを
送信した時の上記被検体からの反射波を上記エリア内の
第m番目(m=1,2,……,N)の位置に位置する他
方の超音波変換要素が受信するときの時間の関数たるエ
コー信号Sm,n(t)に対応している。
【0011】
【数11】
【0012】式(11)において、Re(S(ω))は
散乱行列S(ω)の実部、Im(S(ω))は散乱行列
S(ω)の虚部である。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の欠陥検出装置に係り、上記被検体からの1次反射波
信号のみを抽出するためのゲート関数g(t)と、上記
エコー信号Sm,n(t)とを乗算するゲート処理手段を
備えてなることを特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項3記載の欠
陥検出装置に係り、上記ゲート関数g(t)は、上記エ
コー信号Sm,n(t)のうち、上記1次反射波信号と推
定される部分で振幅がほぼ1で、その他の部分で振幅が
ほぼ0の矩形窓を示す関数、又は式(12)で示される
正規関数であることを特徴としている。
【0015】
【数12】
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれか1に記載の欠陥検出装置に係り、上記エコー信
号検出手段は、上記所定周波数範囲内において、上記一
方の超音波変換要素から送信された超音波パルスが上記
被検体まで伝搬される最長時間をTとした場合の(1/
8T)より十分小さい周波数間隔で上記超音波パルスの
周波数を変更して周波数毎の上記(N×N)個のエコー
信号Sm,n(t)を検出することを特徴としている。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれか1に記載の欠陥検出装置に係り、上記エコー信
号検出手段は、上記被検体が幾何学的に対称な形状を有
する場合において、上記エリア内の第1及び第2の位置
に位置する上記2個の超音波変換要素と上記被検体とが
なす第1の位置関係と、上記エリア内の第3及び第4の
位置に位置する上記2個の超音波変換要素と上記被検体
とがなす第2の位置関係とが所定の条件を満たす場合に
は、上記第2の位置関係に基づいて検出されるエコー信
号は、その値が上記第1の位置関係に基づいて検出され
るエコー信号の値と同一であるとみなして、その検出を
省略することを特徴としている。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項6記載の欠
陥検出装置に係り、上記所定の条件は、上記第1の位置
と上記被検体の中心との第1の距離と上記第3の位置と
上記被検体の中心との第3の距離又は上記第4の位置と
上記被検体の中心との第4の距離とが等しく、上記第2
の位置と上記被検体の中心との第2の距離と上記第3の
距離又は上記第4の距離とが等しく、かつ、上記第1の
位置と上記被検体の中心と上記第2の位置とがなす角度
と、上記第3の位置と上記被検体の中心と上記第4の位
置とがなす角度とが等しいことであることを特徴として
いる。
【0019】請求項8記載の発明は、請求項1乃至7の
いずれか1に記載の欠陥検出装置に係り、上記被検体の
画像の一部の領域を指定する領域指定手段を設け、上記
エコー信号検出手段は、上記移動手段を制御して、上記
領域指定手段によって指定された上記被検体の画像の一
部の領域に対応する上記エリア内の位置に上記2個の超
音波変換要素を上記所定間隔より短い間隔で移動させ
て、複数個のエコー信号S(t)を検出し、上記フーリ
エ変換手段は、上記複数個のエコー信号S(t)を複数
個のエコー信号S(ω)にフーリエ変換し、上記算出手
段は、上記複数個のエコー信号S(ω)に基づいて、単
数又は複数の実数値λ及びそれに対応する単数又は複数
の関数φ(ω)を算出し、上記画像化処理手段は、上記
単数又は複数の実数値λ及びそれに対応する単数又は複
数の関数φ(ω)に基づいて、上記領域指定手段によっ
て指定された上記被検体の画像の一部の領域を画像化し
て表示することを特徴としている。
【0020】請求項9記載の発明は、超音波パルスを被
検体に向けて送信し、被検体から得られる反射波に基づ
いて被検体の欠陥を検出する欠陥検出方法に係り、2次
元のエリア内で任意に移動可能であり、供給される電気
パルス信号に基づいて超音波パルスを液体弾性媒体中の
被検体に向かって送信すると共に、上記被検体からの反
射波を受信するための2個の超音波変換要素を備え、一
方の超音波変換要素を上記エリア内に所定間隔で設定し
たN個(Nは2以上の自然数)の位置のうち、第n番目
(n=1,2,……,N)の位置に移動させると共に、
他方の超音波変換要素を上記エリア内の第m番目(m=
1,2,……,N)の位置に移動させ、上記一方の超音
波変換要素に所定周波数範囲内の電気パルス信号を供給
して超音波パルスを送信させ、それに基づく上記被検体
からの反射波を上記他方の超音波変換要素に受信させる
処理を、上記2個の超音波変換要素を上記エリア内のN
個の位置にそれぞれ移動させて行うことにより上記他方
の超音波変換要素から出力される(N×N)個のエコー
信号Sm,n(t)を検出する第1の処理と、上記(N×
N)個のエコー信号Sm,n(t)を(N×N)個のエコ
ー信号Sm,n(ω)にフーリエ変換する第2の処理と、
上記(N×N)個のエコー信号Sm,n(ω)に関する式
(13)の方程式を成立させる実数値λのうち、絶対値
の大きい方から数えて、単数又は複数の実数値λを求め
ると共に、上記単数又は複数の実数値λに対応する単数
又は複数の関数φ(ω)を算出する第3の処理と、上記
所定周波数範囲に対応する角周波数範囲及び上記エリア
内のN個の位置に移動させた上記他方の超音波変換要素
について、上記単数又は複数の実数値λに対応する単数
又は複数の関数φ(ω)から音場の関数φ(ω,x,
y,z)を求め、上記音場の関数φ(ω,x,y,z)
を逆フーリエ変換して得られた関数φ(t,x,y,
z)に対応した電気パルス信号を上記エリア内のN個の
位置に移動させた上記超音波変換要素に印加したと想定
した場合の時間t=0での音場の関数φ'u(x,y,
z)を求め、該音場の関数φ'u(x,y,z)及び上記
単数又は複数の実数値λに基づいて上記被検体を画像化
して表示する第4の処理とを備えてなることを特徴とし
ている。
【0021】
【数13】
【0022】式(13)において、φ* m(ω)はφ
m(ω)の複素共役、φn(ω)は規格化されている。
【0023】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
欠陥検出方法に係り、上記第3の処理では、上記(N×
N)個のエコー信号Sm,n(ω)から作成される(N×
N)の複素対称行列であり、式(14)で表される散乱
行列S(ω)から、式(15)で表される(2N×2
N)の実対称行列S'(ω)を求め、上記実対称行列S'
(ω)の固有値問題を処理して固有値及びそれに対する
固有ベクトルを求め、上記固有値のうち、絶対値の大き
い方から数えて、単数又は複数の固有値を上記単数又は
複数の実数値λとすると共に、上記単数又は複数の固有
値に対する単数又は複数の固有ベクトルを上記単数又は
複数の実数値λに対応する単数又は複数の関数φ(ω)
とすることを特徴としている。
【0024】
【数14】
【0025】式(14)において、S(ω,m,n)は、
上記エリア内の第n番目(n=1,2,……,N)の位
置に位置する一方の超音波変換要素から超音波パルスを
送信した時の上記被検体からの反射波を上記エリア内の
第m番目(m=1,2,……,N)の位置に位置する他
方の超音波変換要素が受信するときの時間の関数たるエ
コー信号Sm,n(t)に対応している。
【0026】
【数15】
【0027】式(15)において、Re(S(ω))は
散乱行列S(ω)の実部、Im(S(ω))は散乱行列
S(ω)の虚部である。
【0028】請求項11記載の発明は、請求項9又は1
0記載の欠陥検出方法に係り、上記第2の処理の前に、
上記被検体からの1次反射波信号のみを抽出するための
ゲート関数g(t)と、上記エコー信号Sm,n(t)と
を乗算する第5の処理を行うことを特徴としている。
【0029】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の欠陥検出方法に係り、上記ゲート関数g(t)は、上
記エコー信号Sm,n(t)のうち、上記1次反射波信号
と推定される部分で振幅がほぼ1で、その他の部分で振
幅がほぼ0の矩形窓を示す関数、又は式(16)で示さ
れる正規関数であることを特徴としている。
【数16】
【0030】請求項13記載の発明は、請求項9乃至1
2のいずれか1に記載の欠陥検出方法に係り、上記第1
の処理では、上記所定周波数範囲内において、上記一方
の超音波変換要素から送信された超音波パルスが上記被
検体まで伝搬される最長時間をTとした場合の(1/8
T)より十分小さい周波数間隔で上記超音波パルスの周
波数を変更して周波数毎の上記(N×N)個のエコー信
号Sm,n(t)を検出することを特徴としている。
【0031】請求項14記載の発明は、請求項9乃至1
3のいずれか1に記載の欠陥検出方法に係り、上記第1
の処理では、上記被検体が幾何学的に対称な形状を有す
る場合において、上記エリア内の第1及び第2の位置に
位置する上記2個の超音波変換要素と上記被検体とがな
す第1の位置関係と、上記エリア内の第3及び第4の位
置に位置する上記2個の超音波変換要素と上記被検体と
がなす第2の位置関係とが所定の条件を満たす場合に
は、上記第2の位置関係に基づいて検出されるエコー信
号は、その値が上記第1の位置関係に基づいて検出され
るエコー信号の値と同一であるとみなして、その検出を
省略することを特徴としている。
【0032】請求項15記載の発明は、請求項14記載
の欠陥検出方法に係り、上記所定の条件は、上記第1の
位置と上記被検体の中心との第1の距離と上記第3の位
置と上記被検体の中心との第3の距離又は上記第4の位
置と上記被検体の中心との第4の距離とが等しく、上記
第2の位置と上記被検体の中心との第2の距離と上記第
3の距離又は上記第4の距離とが等しく、かつ、上記第
1の位置と上記被検体の中心と上記第2の位置とがなす
角度と、上記第3の位置と上記被検体の中心と上記第4
の位置とがなす角度とが等しいことであることを特徴と
している。
【0033】請求項16記載の発明は、請求項9乃至1
5のいずれか1に記載の欠陥検出方法に係り、上記被検
体の画像の一部の領域を指定する領域指定手段を備え、
上記第1の処理では、上記領域指定手段によって指定さ
れた上記被検体の画像の一部の領域に対応する上記エリ
ア内の位置に上記2個の超音波変換要素を上記所定間隔
より短い間隔で移動させて、複数個のエコー信号S
(t)を検出し、上記第2の処理では、上記複数個のエ
コー信号S(t)を複数個のエコー信号S(ω)にフー
リエ変換し、上記第3の処理では、上記複数個のエコー
信号S(ω)に基づいて、単数又は複数の実数値λ及び
それに対応する単数又は複数の関数φ(ω)を算出し、
上記第4の処理では、上記単数又は複数の実数値λ及び
それに対応する単数又は複数の関数φ(ω)に基づい
て、領域指定手段によって指定された上記被検体の画像
の一部の領域を画像化して表示することを特徴としてい
る。
【0034】
【作用】この発明の構成によれば、超音波トランスデュ
ーサの制御が簡単である。また、被検体の形状が幾何学
的に対称な場合には、迅速に欠陥を検出することができ
る。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。図1は、この発明の一実施例である欠
陥検出装置の電気的構成を示すブロック図、図2は、同
実施例における可動部の機械的構成を示す斜視図であ
る。この例の欠陥検出装置は、図1に示すように、可動
部1と、制御部2と、可動部1と制御部2とを接続する
ケーブル3とから概略構成されている。可動部1は、図
1及び図2に示すように、超音波トランスデューサ4a
及び4bと、2軸ロボット5及び6とから概略構成され
ている。超音波トランスデューサ4a及び4bは、チタ
ンジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸バリウム等からな
る約1mm角の厚み振動型圧電素子の両面に電極層が形成
された超音波変換要素(エレメント)が角柱状の治具の
下端部に取り付けられて構成されており、電気パルス信
号を超音波パルスに変換すると共に、反射波を受信して
電気信号である受信信号に変換する。
【0036】図2に示す可動部1において、略長方形状
の基台7の表面略中央には、上部が開口した立方箱型の
水槽8が載置されている。水槽8には水9が満たされ、
略中央に欠陥を検出すべき略球形の被検体10が沈めら
れている。なお、水槽8には、水9以外に油やグリセリ
ン等の他の液体弾性媒体を満たしても良い。被検体10
の材質としては、鉄やアルミニウム等の金属、アクリル
やポリカーボネート等の合成樹脂、あるいはセラミック
などが考えられる。基台7の長手方向(Y軸方向とす
る)の両端には、コ字状スライダ11がY軸方向に摺動
自在に取り付けられている。コ字状スライダ11の梁部
11aの正面には、梁部11aの正面と直交する方向
(Y軸方向)に棒状アーム12の一端部12aが梁部1
1aの正面に沿う方向(X軸方向とする)に摺動自在に
取り付けられている。これらコ字状スライダ11、棒状
アーム12及び図示せぬモータ等の駆動部が2軸ロボッ
ト5を構成している。棒状アーム12の他端部12bに
は、L字状の治具13の垂直部13aが取り付けられ、
治具13の水平部13bに形成された孔には、超音波ト
ランスデューサ4aが貫通して固定されている。また、
棒状アーム12の両側面には、枠状スライダ14が棒状
アーム12の両側面に沿う方向、すなわち、Y軸方向に
摺動自在に取り付けられている。枠状スライダ14の下
部梁部14aの正面には、L字状の治具15の垂直部1
5bが下部梁部14aの正面に沿う方向、すなわち、X
軸方向に摺動自在に取り付けられている。これら枠状ス
ライダ14、治具15及び図示せぬモータ等の駆動部が
2軸ロボット6を構成している。治具15の水平部15
bに形成された孔には、超音波トランスデューサ4bが
貫通して固定されている。この例においては、2軸ロボ
ット6は、超音波トランスデューサ4bを4.5mmのピ
ッチでX軸及びY軸方向に7ピッチ分移動させると共
に、2軸ロボット5は、超音波トランスデューサ4aを
超音波トランスデューサ4b及び2軸ロボット6と共に
4.5mmのピッチでX軸及びY軸方向に7ピッチ分移動
させる。すなわち、超音波トランスデューサ4a及び4
bは、2軸ロボット5及び6に駆動されて、図3に示す
移動エリア(32.5mm×32.5mm)内のポジション
P1〜P64に移動しつつ、制御部2からケーブル3を介
して供給される電気パルス信号を超音波パルスに変換
し、その超音波パルスを水槽8中の被検体10に送信す
ると共に、被検体10からの反射波を受信して電気信号
である受信信号に変換する。この場合、図3に示す移動
エリアの原点Oの直下に被検体10を載置することによ
り、後述するように、被検体10の形状が既知の場合の
エコー信号検出処理が効率よく行われる。なお、超音波
トランスデューサ4a及び4b並びに2軸ロボット5及
び6には、図示しないが、ケーブル3を構成するコード
がそれぞれ接続されている。
【0037】図1において、制御部2は、パルス発生器
21a及び21bと、整合回路22a及び22bと、増
幅器23a及び23bと、波形整形器24a及び24b
と、A/D変換器25a及び25bと、ROM26と、
RAM27と、CPU(中央処理装置)28と、ディス
プレイ29と、駆動回路30a及び30bとから構成さ
れている。パルス発生器21a及び21bは、それぞれ
周波数範囲0.54〜1.62MHzの電気パルス信号を
所定の周期(例えば、1msec)で360Hzずつステップ
させながら繰り返し生成する。整合回路22a及び22
bは、ケーブル3を介して、超音波トランスデューサ4
a及び4bと1対1に接続され、パルス発生器21a及
び21bからの電気パルス信号を超音波トランスデュー
サ4a及び4bに供給すると共に、超音波トランスデュ
ーサ4a及び4bからの受信信号を増幅器23a及び2
3bに供給する。整合回路22a及び22bは、超音波
トランスデューサ4a及び4bと制御部2との間で、エ
ネルギの損失なしに信号の授受がなされるように、イン
ピーダンスの整合を行う。増幅器23a及び23bは、
整合回路22a及び22bを介して供給される受信信号
を所定の増幅度で増幅した後、波形整形器24a及び2
4bに供給する。波形整形器24a及び24bは、LC
構成のバンドパスフィルタからなり、増幅器23a及び
23bによって増幅された受信信号を線形に波形整形し
た後、A/D変換器25a及び25bに供給する。A/
D変換器25a及び25bは、図示せぬサンプルホール
ド回路、高速サンプリングメモリ等を備え、CPU28
のサンプリング開始要求に従って、供給される波形整形
器24a及び24bの出力信号(波形整形されたアナロ
グの受信信号)を所定の周波数(例えば、12MHz)で
サンプリングしてデジタルのエコー信号に変換し、これ
により、デジタル化されたエコー信号を一旦高速サンプ
リングメモリに格納した後、CPU28に供給する。
【0038】ROM26は、CPU28に被検体10の
欠陥検出処理を実行させるための処理プログラムを格納
する。この処理プログラムは、エコー信号検出処理サブ
プログラムと、ゲート処理サブプログラムと、フーリエ
変換処理サブプログラムと、固有値問題処理サブプログ
ラムと、画像化処理サブプログラムなどとを有して構成
されている。なお、各種処理の内容については、後述す
る動作説明において詳述する。RAM27は、CPU2
8の作業領域が設定されるワーキングエリアと、各種デ
ータを一時記憶するデータエリアとを有し、例えば、デ
ジタルのエコー信号等もデータエリア内に一時記憶され
る。CPU28は、ROM26に格納されている上述の
処理プログラムをRAM27を用いて実行することによ
り、パルス発生器21a及び21b、A/D変換器25
及び25b、駆動回路30a及び30b等の装置各部の
制御、周波数毎のエコー信号の検出処理、ゲート処理、
フーリエ変換処理、固有値問題処理、被検体10の形状
の3次元画像化処理等を行う。ディスプレイ29は、C
RTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等からなり、C
PU28の制御により、算出された被検体10の音響イ
ンピーダンスの表示や被検体10の形状の3次元画像表
示等が行われる。また、駆動回路30a及び30bは、
それぞれ2軸ロボット5及び6を駆動するための回路で
あって、CPU28から与えられる制御信号に従って、
所定の極性の印加電圧を2軸ロボット5及び6を構成す
るモータ(図示略)に所定時間供給する。なお、制御部
2には、図示しないが、電源スイッチ、被検体10の欠
陥検出を指示する測定開始スイッチ、右被検体10の欠
陥検出の終了を指示する測定終了スイッチ等の各種スイ
ッチや、各種の条件を設定するためのボタン等が設けら
れている。
【0039】次に、図4〜図8を参照して、この実施例
の動作(処理の流れ)について説明する。まず、制御部
2の電源スイッチが押下されると、CPU28は、装置
各部のプリセット、カウンタや各種レジスタ、各種フラ
グの初期設定を行った後、測定開始スイッチが押下され
るのを待つ。ここで、測定者は、図2に示すように、可
動部1の基台7の表面略中央に載置された水槽8の略中
央、すなわち、図3に示す超音波トランスデューサ4a
及び4bの移動エリアの原点Oの直下に、欠陥を検出す
べき、例えば、アクリル製の被検体10を載置すると共
に、水槽8に液体弾性媒体として、例えば、水9を満し
た後、測定開始スイッチを押下する。測定開始スイッチ
が押下されると、CPU28は、図4に示す処理手順に
従って各種処理を実行する。
【0040】ステップSP1では、CPU28は、エコ
ー信号検出処理サブプログラムの制御により、被検体1
0からのエコー信号を検出する処理を実行する。CPU
28は、被検体10の形状が未知の場合、あるいは形状
は既知でも複雑な場合には、原則として、あるポジショ
ンPに位置する超音波トランスデューサ4a,4bから
の超音波パルスの送信及び、64個のポジションP1
64における超音波トランスデューサ4a及び4bよる
反射波の受信を、超音波パルスの周波数をステップさせ
ながら64個のポジションP全てについて繰り返す制御
を行う。すなわち、第n番目のポジションPn(n=
1,2,……,N;N=64)に位置する超音波トラン
スデューサ4a,4bから周波数範囲0.54〜1.6
2MHzの超音波パルスを所定の周期(例えば、1msec)
で360Hzずつステップさせながら繰り返し送出すると
共に、全てのポジションP1〜P64に超音波トランスデ
ューサ4b,4aを2軸ロボット5及び6により移動さ
せ、各ポジションP1〜P64において超音波トランスデ
ューサ4b,4aによって、その反射波が各周波数毎に
受信され、増幅器23b,23a、波形整形器24b,
24a並びにA/D変換器25b,25aに入力され、
CPU28に取り込まれる。このようにして、第n番目
のポジションPn(n=1,2,……,N;N=64)
に位置する超音波トランスデューサ4a,4bから超音
波パルスを送信し、このときの被検体10からの反射波
を第m番目のポジションPm(m=1,2,……,N;
N=64)に位置する超音波トランスデューサ4b,4
aが受信するときの時間tの関数たるエコー信号Sm,n
(t)を検出することが第1番目のポジションP1から
第64番目のポジションP64について行われる。なお、
周波数変化のステップを360Hzに設定した理由につい
ては、後述する。
【0041】しかし、被検体10の形状が既知であっ
て、略球形である等、超音波トランスデューサ4a及び
4bとの幾何学的な位置関係が対称であり、かつ、被検
体10の中心Cと超音波トランスデューサ4a及び4b
の移動エリアの原点O(図5参照)との距離が既知であ
る場合には、エコー信号の値が同一である超音波トラン
スデューサ4a及び4bと被検体10との位置関係が存
在するので、その位置関係の一方については、エコー信
号の検出を省略することができる。ここで、エコー信号
の値が同一となる超音波トランスデューサ4a及び4b
と被検体10との位置関係の存在条件について、図5を
参照して説明する。例えば、図5に示すように、ポジシ
ョンP1,P17,P54,P61のそれぞれと被検体10の
中心Cとの距離をそれぞれ距離L1,L17,L54,L61
とし、ポジションP1と被検体10の中心Cとポジショ
ンP61とのなす角度を角度θ61,1とし、ポジションP17
と被検体10の中心CとポジションP54とのなす角度を
角度θ54,17とした場合、式(17)〜(19)すべて
が成立するか、あるいは式(19)〜(21)すべてが
成立する場合には、ポジションP1に位置する超音波ト
ランスデューサ4a,4bから超音波パルスを送信し、
被検体10からの反射波をポジションP61に位置する超
音波トランスデューサ4b,4aが受信したときのエコ
ー信号S61,1(t)の値と、ポジションP17に位置する
超音波トランスデューサ4a,4bから超音波パルスを
送信し、被検体10からの反射波をポジションP54に位
置する超音波トランスデューサ4b,4aが受信したと
きのエコー信号S54,17(t)の値は、同一となる。し
たがって、エコー信号S61,1(t)、あるいはエコー信
号S54,17(t)のいずれか一方の検出を省略できる。
【0042】
【数17】L1=L17 …(17)
【0043】
【数18】L61=L54 …(18)
【0044】
【数19】θ61,1=θ54,17 …(19)
【0045】
【数20】L1=L54 …(20)
【0046】
【数21】L61=L17 …(21)
【0047】次に、被検体10の形状が既知であって、
超音波トランスデューサ4a,4bとの幾何学的な位置
関係が対称であり、かつ、被検体10の中心Cと超音波
トランスデューサ4a及び4bの移動エリアの原点Oと
の距離が既知である場合におけるエコー信号S(t)の
検出処理の手順について、図6〜図8に示すフローチャ
ートを参照して説明する。以下の説明において、ポジシ
ョンPm(m=1,2,……,N;N=64),Pn(n
=1,2,……,N;N=64),Pp(p=1,2,
……,N;N=64),Pq(q=1,2,……,N;
N=64)のそれぞれと被検体10の中心Cとの距離を
それぞれ距離Lm,Ln,Lp,Lqとし、ポジションPn
と被検体10の中心CとポジションPmとのなす角度を
角度θm,nとし、ポジションPqと被検体10の中心Cと
ポジションPpとのなす角度を角度θp,qとし、ポジショ
ンPnに位置する超音波トランスデューサ4a,4bか
ら超音波パルスを送信し、被検体10からの反射波をポ
ジションPmに位置する超音波トランスデューサ4b,
4aが受信したときのエコー信号S(t)をS
m,n(t)とし、ポジションPqに位置する超音波トラン
スデューサ4a,4bから超音波パルスを送信し、被検
体10からの反射波をポジションPpに位置する超音波
トランスデューサ4b,4aが受信したときのエコー信
号S(t)をSp,q(t)とし、エコー信号Sm,n(t)
及びSp,q(t)の検出が終了した場合に1にセットさ
れるフラグをそれぞれFm,n及びFp,qとする。
【0048】ステップSP11では、超音波パルスを送
信する超音波トランスデューサ4a,4bの移動エリア
におけるポジションPに付与される変数nに初期値とし
て1を代入した後、ステップSP12へ進む。ステップ
SP12では、ポジションPnと被検体10の中心Cと
の距離Lnを算出し、RAM27の所定の記憶エリアに
記憶した後、ステップSP13へ進む。この距離L
nは、移動エリアの原点OとポジションPnとの距離(距
離LO,nとする)は既知であるから、移動エリアの原点
Oと被検体10の中心Cとの距離(距離LO,Cとする)
が既知である場合、ポジションPnと、移動エリアの原
点Oと、被検体10の中心Cとは、例えば、図5に距離
1について示すように、直角三角形を形成するから、
式(22)で求められる。
【0049】
【数22】
【0050】ステップSP13では、次のポジションP
n+1と被検体10の中心Cとの距離Ln+1を算出するため
に変数nの値に1をインクリメントした後、ステップS
P14へ進む。ステップSP14では、変数nの値が、
64以下であるか否かを判断する。この判断結果が「Y
ES」の場合には、ステップSP12へ戻り、ステップ
SP12及びSP13の処理を繰り返す。そして、移動
エリアの全てのポジションP1〜P64について距離L1
64の算出が終了すると、変数nの値が65になるた
め、ステップSP14の判断結果が「NO」となり、ス
テップSP15へ進む。ステップSP15では、ポジシ
ョンPnと被検体10の中心CとポジションPmとのなす
角度θm,nを算出するために、変数nに初期値として1
を代入すると共に、ポジションPnに位置する超音波ト
ランスデューサ4a,4bから超音波パルスを送信する
ことにより得られる被検体10からの反射波を移動エリ
アにおいて超音波トランスデューサ4b,4aが受信す
る際のポジションPに付与される変数mに初期値として
1を代入した後、ステップSP16へ進む。ステップS
P16では、ポジションPnと被検体10の中心Cとポ
ジションPmとのなす角度θm,nを算出し、RAM27の
所定の記憶エリアに記憶すると共に、エコー信号Sm,n
(t)の検出が終了したことを示すフラグFm,nを0に
リセットした後、ステップSP17へ進む。
【0051】ステップSP17では、ポジションPn
被検体10の中心Cと次のポジションPm+1とのなす角
度θm+1,nを算出するために変数mの値に1をインクリ
メントした後、ステップSP18へ進む。ステップSP
18では、変数mの値が64以下であるか否かを判断す
る。この判断結果が「YES」の場合には、ステップS
P20へ進む。ステップSP20では、変数nの値が6
4以下であるか否かを判断する。この判断結果が「YE
S」の場合には、ステップSP16へ戻り、ステップS
P16及びSP17の処理を繰り返す。そして、1つの
ポジションPnと被検体10の中心Cと他の全てのポジ
ションPとのなす角度θの算出及び対応するフラグFの
リセットが終了すると、変数mの値が65になるため、
ステップSP18の判断結果が「NO」となり、ステッ
プSP19へ進む。ステップSP19では、次のポジシ
ョンPn+1と被検体10の中心Cと他の全てのポジショ
ンPとのなす角度θの算出及び対応するフラグFのリセ
ットを行うために変数nの値に1をインクリメントする
と共に、変数mに初期値として1を代入した後、ステッ
プSP20へ進む。そして、移動エリアの全てのポジシ
ョンP1〜P64について被検体10の中心Cと他の全て
のポジションPとのなす角度θの算出及び対応するフラ
グFのリセットが終了すると、変数nの値が65になる
ため、ステップSP20の判断結果が「NO」となり、
図7のステップSP21へ進む。
【0052】ステップSP21では、ポジションPn
位置する超音波トランスデューサ4a,4bから超音波
パルスを送信し、被検体10からの反射波をポジション
mに位置する超音波トランスデューサ4b,4aが受
信したときのエコー信号Sm, n(t)を検出するため
に、変数n及びmに初期値として1を代入した後、ステ
ップSP22へ進む。ステップSP22では、フラグF
m,nを0にリセットされているか否かを判断する。この
判断結果が「NO」の場合には、既に対応するエコー信
号Sm,n(t)が検出されているので、ポジションPn
位置する超音波トランスデューサ4a,4bから超音波
パルスを送信し、被検体10からの反射波を次のポジシ
ョンPm+1に位置する超音波トランスデューサ4b,4
aが受信したときのエコー信号Sm+1,n(t)を検出す
るために、図8のステップSP34へ進む。一方、ステ
ップSP22の判断結果が「YES」の場合、すなわ
ち、エコー信号Sm,n(t)がまだ検出されていないた
め、フラグFm,nが0にリセットされている場合には、
ステップSP23へ進む。ステップSP23では、エコ
ー信号S m,n(t)を検出した後、フラグFm,nを1にセ
ットする。すなわち、まず、駆動回路30a及び30b
を制御して2軸ロボット5及び6を駆動することによ
り、超音波トランスデューサ4a,4bをポジションP
nに移動させると共に、超音波トランスデューサ4b,
4aをポジションPmに移動させる。次に、ポジション
nに位置する超音波トランスデューサ4a,4bから
周波数範囲0.54〜1.62MHzの超音波パルスを所
定の周期(例えば、1msec)で360Hzずつステップさ
せながら繰り返し送信することにより、被検体10から
の反射波をポジションPmに位置する超音波トランスデ
ューサ4b,4aが各周波数毎に受信した後、増幅器2
3b,23a、波形整形器24b,24a並びにA/D
変換器25b,25aに入力され、エコー信号S
m,n(t)としてCPU28に取り込まれる。以上説明
したエコー信号Sm,n(t)の検出が終了した後、フラ
グFm,nを1にセットし、ステップSP24へ進む。
【0053】ステップSP24では、エコー信号Sm,n
(t)の値が同一となる超音波トランスデューサ4a及
び4bの移動エリアにおけるポジションPの位置関係を
探索するために、超音波パルスを送信する超音波トラン
スデューサ4a,4bの移動エリアにおけるポジション
Pに付与される変数qに変数nの値を代入すると共に、
ポジションPqに位置する超音波トランスデューサ4
a,4bから超音波パルスを送信することにより得られ
る被検体10からの反射波を移動エリアにおいて超音波
トランスデューサ4b,4aが受信する際のポジション
Pに付与される変数pに変数(m+1)の値を代入した
後、ステップSP25へ進む。ステップSP25では、
エコー信号Sp,q(t)の検出が終了したことを示すフ
ラグFp,qが0にリセットされているか否かを判断す
る。この判断結果が「NO」の場合には、既に対応する
エコー信号Sp,q(t)が検出されているので、エコー
信号Sm,n(t)の値とエコー信号S(t)の値と同一
となる条件を満たす他の超音波トランスデューサ4a及
び4bの移動エリアにおけるポジションPの位置関係を
探索するために、図8のステップSP30へ進む。一
方、ステップSP25の判断結果が「YES」の場合、
すなわち、エコー信号Sp,q(t)がまだ検出されてい
ないため、フラグFp,qが0にリセットされている場合
には、ステップSP26へ進む。ステップSP26で
は、ポジションP qと被検体10の中心Cとポジション
pとのなす角度θp,qと、ポジションPnと被検体10
の中心CとポジションPmとのなす角度θm,nとが等しい
か否かを判断する。この判断の結果が「NO」の場合に
は、上記したエコー信号Sp,q(t)の値とエコー信号
m,n(t)の値とが同一となる条件(以下、同一条件
という)が満たされないので(式(19)参照)、エコ
ー信号Sm,n(t)の値について他に同一条件を満たす
超音波トランスデューサ4a及び4bの移動エリアにお
けるポジションPの位置関係があるかを探索するため
に、図8のステップSP30へ進む。一方、ステップS
P26の判断結果が「YES」の場合には、上記同一条
件が満たされる可能性があるので、ステップSP27へ
進む。
【0054】ステップSP27では、ポジションPq
被検体10の中心Cとの距離LqとポジションPnと被検
体10の中心Cとの距離Lnとが等しく、かつ、ポジシ
ョンP qと被検体10の中心Cとの距離Lpとポジション
mと被検体10の中心Cとの距離Lmが等しいか否かを
判断する。この判断結果が「YES」の場合には、上記
同一条件が満たされているので、ステップSP29へ進
む。一方、ステップSP27の判断結果が「NO」の場
合には、ステップSP28へ進む。ステップSP28で
は、距離Lpと距離Lnとが等しく、かつ、距離Lqと距
離Lmが等しいか否かを判断する。この判断結果が「Y
ES」の場合には、上記同一条件が満たされているの
で、ステップSP29へ進む。一方、ステップSP28
の判断結果が「NO」の場合には、上記同一条件が満た
されないので、エコー信号Sm,n(t)の値について他
に同一条件を満たす超音波トランスデューサ4a及び4
bの移動エリアにおけるポジションPの位置関係がある
かを探索するために、図8のステップSP30へ進む。
ステップSP29では、エコー信号Sp,q(t)の値と
してエコー信号Sm,n(t)の値を代入する(コピー処
理)と共に、フラグFp,qを1にセットした後、図8の
ステップSP30へ進む。
【0055】ステップSP30では、エコー信号Sm,n
(t)の値について、さらに同一条件を満たす超音波ト
ランスデューサ4a及び4bの移動エリアにおけるポジ
ションPの位置関係を探索するために、変数pの値に1
をインクリメントした後、ステップSP31へ進む。ス
テップSP31では、変数pの値が64以下であるか否
かを判断する。この判断の結果が「YES」の場合に
は、ステップSP33へ進む。ステップSP33では、
変数qの値が64以下であるか否かを判断する。この判
断結果が「YES」の場合には、図7のステップSP2
5へ戻り、ステップSP25〜SP30の処理を繰り返
す。そして、1つのポジションPqと他の全てのポジシ
ョンPとの位置関係について同一条件を満たす場合のエ
コー信号Sm,n(t)の値の代入及び対応するフラグF
のセットが終了すると、変数pの値が65になるため、
ステップSP31の判断結果が「NO」となり、ステッ
プSP32へ進む。ステップSP32では、次のポジシ
ョンPq+1と他の全てのポジションPとの位置関係につ
いて同一条件を満たす場合のエコー信号Sm,n(t)の
値の代入及び対応するフラグFのセットを行うために、
変数qの値に1をインクリメントすると共に、変数pに
初期値として1を代入した後、ステップSP33へ進
む。そして、エコー信号Sm,n(t)の値について同一
条件を満たす超音波トランスデューサ4a及び4bの移
動エリアにおけるポジションPの全ての位置関係の探
索、エコー信号Sm,n(t)の値の代入及び対応するフ
ラグFのセットが終了すると、変数qの値が65になる
ため、ステップSP33の判断結果が「NO」となり、
ステップSP34へ進む。
【0056】ステップSP34では、ポジションPn
位置する超音波トランスデューサ4a,4bから超音波
パルスを送信し、被検体10からの反射波を次のポジシ
ョンPm+1に位置する超音波トランスデューサ4b,4
aが受信したときのエコー信号Sm+1,n(t)を検出す
るために、変数mの値に1をインクリメントした後、ス
テップSP35へ進む。ステップSP35では、変数m
の値が64以下であるか否かを判断する。この判断結果
が「YES」の場合には、ステップSP37へ進む。ス
テップSP37では、変数nの値が64以下であるか否
かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、
図7のステップSP22へ戻り、ステップSP22〜S
P34の処理を繰り返す。そして、1つのポジションP
nに位置する超音波トランスデューサ4a,4bから超
音波パルスを送信し、被検体10からの反射波を他の全
てのポジションPに位置する超音波トランスデューサ4
b,4aが受信したときのエコー信号Sm+ 2,n(t)そ
の他の検出、あるいは上記同一条件を満たす場合のエコ
ー信号Sm,n(t)の値の代入及び対応するフラグFの
セットが終了すると、変数mの値が65になるため、ス
テップSP35の判断結果が「NO」となり、ステップ
SP36へ進む。ステップSP36では、次のポジショ
ンPn+1に位置する超音波トランスデューサ4a,4b
から超音波パルスを送信し、被検体10からの反射波を
他の全てのポジションPに位置する超音波トランスデュ
ーサ4b,4aが受信したときのエコー信号S
m,n+1(t)その他の検出、あるいは上記同一条件を満
たす場合のエコー信号Sm,n+1(t)の値の代入及び対
応するフラグFのセットを行うために変数nの値に1を
インクリメントすると共に、変数mに初期値として1を
代入した後、ステップSP37へ進む。そして、すべて
のポジションPに位置する超音波トランスデューサ4
a,4bから超音波パルスを送信し、被検体10からの
反射波を他の全てのポジションPに位置する超音波トラ
ンスデューサ4b,4aが受信したときのエコー信号S
m, n(t)その他の検出、あるいは上記同一条件を満た
す場合のエコー信号Sm,n(t)その他の値の代入及び
対応するフラグFのセットが終了すると、変数nの値が
65になるため、ステップSP37の判断結果が「N
O」となり、エコー信号検出処理を終了する。なお、同
一形状の複数の被検体10の欠陥を検出する場合には、
既に全ての距離L及び全ての角度θは算出されており、
かつ、あるエコー信号S(t)の値について同一条件を
満たす超音波トランスデューサ4a及び4bの移動エリ
アにおけるポジションPの位置関係も既に探索されてい
るので、コピー処理に用いるべき代表的なエコー信号S
(t)の検出だけを行えば良い。例えば、被検体10が
球体の場合、検出すべきエコー信号S(t)の個数は、
113個である。
【0057】次に、図4に示すフローチャートのゲート
処理以降の処理手順について説明する。ステップSP2
では、CPU28は、ゲート処理サブプログラムの制御
により、得られたエコー信号Sm,n(t)をゲートにか
ける処理を実行する。すなわち、CPU28は、超音波
トランスデューサ4a,4bの最初の残響や反射波の被
検体10と超音波トランスデューサ4a,4bとの間の
多重反射等に関するノイズを除去し、被検体10からの
1次反射波信号のみを抽出するために、得られたエコー
信号Sm,n(t)をゲートにかける。具体的には、エコ
ー信号Sm,n(t)において最大振幅となるところを被
検体10からの1次反射波信号と推定し、それのみを抽
出するためのゲート関数g(t)と、エコー信号Sm,n
(t)とを乗算してエコー信号Sgm,n(t)を算出す
る。ゲート関数g(t)としては、上記1次反射波信号
と推定される部分で振幅がほぼ1で、その他の部分で振
幅がほぼ0の矩形窓を示す関数や、式(23)で示され
る正規関数が考えられる。
【0058】
【数23】
【0059】式(23)において、t0はエコー信号S
m,n(t)が最大振幅になる時間、τは350μsecであ
る。
【0060】ステップSP3では、CPU28は、フー
リエ変換処理サブプログラムの制御により、ゲート処理
により得られたエコー信号Sgm,n(t)をエコー信号S
gm,n(ω)にフーリエ変換した後、N×Nの複素対称行
列である散乱行列S(ω)を作成する処理を実行する。
散乱行列S(ω)は、式(24)で表される。式(2
4)において、S(ω,m,n)は、ポジションPn(n
=1,2,……,N;N=64)に位置する超音波トラ
ンスデューサ4a,4bから超音波パルスを送信した時
の被検体10からの反射波をポジションPm(m=1,
2,……,N;N=64)に位置する超音波トランスデ
ューサ4b,4aが受信するときの時間tの関数たるエ
コー信号Sm,n(t)に対応している。
【0061】
【数24】
【0062】ステップSP4では、CPU28は、固有
値問題処理サブプログラムの制御により、散乱行列S
(ω)から式(25)に示す(2N×2N)の実対称行
列S'(ω)を求め、この実対称行列S'(ω)の固有値
問題を処理して、固有値及び固有ベクトルを求める処理
を実行する。以下、固有値問題処理について、図9を参
照して説明する。
【0063】
【数25】
【0064】式(25)において、Re(S(ω))は
散乱行列S(ω)の実部、Im(S(ω))は散乱行列
S(ω)の虚部である。
【0065】いま、図9に示すように、反射体Πを囲む
閉曲面上に観測面Γ0を設ける。この観測面Γ0には無数
の超音波トランスデューサ(以下、セルという)が配置
されており、反射体Πへ向かって任意の波動(超音波パ
ルス)を送信できるようになっている。いま、t<0
で、観測面Γ0から波動が送信され、t=−0で、反射
体Πの表面Γrに沿った波面を形成したとする。反射体
Πの垂直反射率λは、角周波数ωによらず一定(実数)
であるとし、反射体Πと観測面Γ0との間の媒質Ω内で
は波動の減衰がないものとすると、媒質Ω内では、式
(26)に示す関係式が成立する。
【0066】
【数26】
【0067】式(26)において、φinは反射体Πに向
かう超音波パルス(入射波)の波動関数、φSCは反射体
Πから戻ってくる反射波(散乱波)の波動関数、xは観
測面Γ0上の位置座標である。
【0068】式(26)の両辺に、exp(−jωt)
(jは虚数単位、以下同様)を掛けて、時間(t=−∞
〜∞)で積分すると、
【0069】
【数27】
【0070】
【数28】
【0071】なお、式(28)において、*はそれが付
されていない関数の複素共役を意味する。以下同様であ
る。次に、式(27)及び式(28)から式(29)を
得る。
【0072】
【数29】
【0073】また、一般的に、散乱波と入射波との間に
は、式(30)に示すような関係式も成立する。
【0074】
【数30】
【0075】式(30)において、σ(ω,x,x’)
は、位置座標x’上の波源(セル)から送信された波動
(超音波パルス)が、反射体Πの表面Γrで散乱され
て、位置座標x上に作る音場であり、散乱パラメータと
称される。式(29)及び式(30)から、式(31)
が導かれる。
【0076】
【数31】
【0077】次に、式(31)を離散化処理するため、
観測面Γ0を小さなメッシュΔi,Δ j(i=1,2,
…,N;j=1,2,…,N)に分割する。ここで、メ
ッシュΔi,Δjは微小セルのそれぞれの広がり(面積)
に相当する。メッシュΔi,Δj内では、入射波φin及び
散乱波φscの変化が無視できるとすると、式(31)
は、式(32)の形で表される。
【0078】
【数32】
【0079】式(32)の両辺に√Δi(i=1,2,
…,N)を掛けて変形すると、式(33)が得られる。
【0080】
【数33】
【0081】式(33)は、式(34)〜式(36)を
用いて、式(37)と表される。
【0082】
【数34】
【0083】
【数35】
【0084】
【数36】
【0085】
【数37】
【0086】これらの式において、S(ω,i,j)は、
離散化された散乱パラメータであり、第j番目のメッシ
ュΔjから送信された波動(超音波パルス)が、反射体
Πの表面Γrで散乱され、第i番目のメッシュΔiがその
散乱波を受信するときのエコー信号を意味する。また、
ΨSC(ω,i)は、N個の全てのメッシュ(セル)から
送信された単位波動(超音波パルス)が、反射体Πの表
面Γrで散乱され、第i番目のメッシュ(セル)がその
散乱波を受信するときのエコー信号を意味する。
【0087】式(37)を行列形式で表現すると、式
(38)〜式(40)となる。
【0088】
【数38】
【0089】
【数39】
【0090】
【数40】
【0091】式(38)に示す散乱行列S(ω)は、式
(24)に示す散乱行列S(ω)と同様、N×Nの複素
対称行列であり、測定により得られるものである。式
(40)を実部と虚部とに分けて表現すると、式(4
1)及び式(42)が得られる。
【0092】
【数41】
【0093】
【数42】
【0094】式(42)の両辺に−1を掛け、それと式
(41)とをまとめて行列形式で表現すると、式(4
3)が得られ、式(43)は、式(44)と表現でき
る。
【0095】
【数43】
【0096】
【数44】
【0097】ここで、散乱行列S(ω)はN×Nの複素
対称行列であるから、式(43)及び式(44)は、
(2N×2N)の実対称行列S'(ω)の固有値問題を
処理すること、すなわち、実対称行列S'(ω)の固有
値及び固有ベクトルを決定することにより、反射体Πの
垂直反射率λが固有値として求められ、反射体Πに向か
う超音波パルス(入射波)の波動関数が固有ベクトルと
して求められることを示している。従って、λは、常に
実数である。
【0098】
【数45】
【0099】
【数46】
【0100】
【数47】
【0101】従って、実対称行列S'(ω)の固有値
は、N個(N=64)の正の固有値λu(u=1,2,
…,N)と、N個の負の固有値−λu(u=1,2,
…,N)とが存在する。この場合、各固有値λの添字u
は、固有値の絶対値が大きい順に付すものとする。
【0102】以上の説明は、図9に示す反射体Πを囲む
閉曲面上に観測面Γ0を設け、この観測面Γ0に無数のセ
ルを配置して反射体Πへ向かって任意の波動を送信する
場合についてのものであり、図2に示すように、被検体
10に対向する位置に設けられた超音波トランスデュー
サから被検体10へ向かって超音波パルスを送信する場
合とは実際上は異なるが、基本的な考え方は応用でき
る。
【0103】ステップSP5では、CPU28は、正の
固有値λuに対する固有ベクトルをφ'u(ω)とし、負
の固有値(−λu)に対する固有ベクトルをφ''u(ω)
とした場合の固有ベクトルφu(ω)を式(48)によ
り求める。
【0104】
【数48】 φu(ω)=φ'u(ω)+jφ''u(ω) …(48)
【0105】従って、式(3)及び式(45)は、まと
めて式(49)で表される。
【0106】
【数49】
【0107】この場合、固有ベクトルφ'u(ω)及び
φ''u(ω)は、それぞれ式(50)及び式(51)で
表される。
【0108】
【数50】
【0109】
【数51】
【0110】式(50)及び式(51)において、φ'
nu(ω)及びφ''nu(ω)(n=1,2,……,N;N
=64)は、それぞれ第n番目の超音波トランスデュー
サから送信された超音波パルスによる散乱波の第u番目
の固有値λnuに対する固有ベクトルであることを意味し
ている。
【0111】ステップSP6では、CPU28は、画像
化処理サブプログラムの制御により、ディスプレイ29
の画面に、被検体10の形状を3次元画像として表示す
る処理を実行する。この処理では、まず、第u番目の固
有値λuに対する固有ベクトルφu(ω)から音場の関数
φu(ω,x,y,z)を求める処理を全ての角周波数
及び超音波トランスデューサ4a及び4bの移動エリア
の全てのポジションP1〜P64について行う。次に、得
られた音場の関数φu(ω,x,y,z)を逆フーリエ
変換して得られた関数φu(t,x,y,z)に対応し
た電気パルス信号を移動エリアの全てのポジションP1
〜P64に位置する超音波トランスデューサ4a,4bに
印加したと想定した場合のt=0での音場の関数φ'
u(x,y,z)を求める。これにより、音場の関数φ'
u(x,y,z)は、被検体10の表面に沿った波面を
形成するので、その波面を被検体10の表面と対応さ
せ、固有値λuを被検体10の反射率に対応させること
により、画像化する。この場合、反射率が異なる領域が
あれば、反射率毎に画像化される。
【0112】まず、前提として、固有値λの符号は既知
であるとし、例えば、ポジションP nに位置する超音波
トランスデューサ4a,4bから送信された超音波パル
スによる散乱波の第u番目の固有値λnuは当該符号をと
るものとする。多くの場合、被検体10の音響インピー
ダンスは液体弾性媒体のそれより大きいので、このよう
に仮定できる。また、固有値λnuに対する固有ベクトル
φnu(ω)は規格化されている、すなわち、固有ベクト
ルφnu(ω)の大きさは1であるとする。ここで、固有
ベクトルφnu(ω)の大きさが1であるとは、固有ベク
トルφnu(ω)が式(52)を満足することを意味す
る。
【0113】
【数52】
【0114】固有ベクトルφnu(ω)は、上記したステ
ップSP4の処理において角周波数ω毎に求められてい
るが、図10(a)に示すように、1つの角周波数ωに
おいて、向きが180゜異なるものも存在し、かつ、対
応する固有値λuは、固有値(−λu)とペアをなし、固
有値(−λu)に対する固有ベクトルは固有値λuに対す
る固有ベクトルと位相が90゜回転したものに対応す
る。すなわち、絶対値が|λu|である固有値(±λu
に対する固有ベクトルは、同一の角周波数ωについて4
個存在する。従って、固有値λuに対する固有ベクトル
φnu(ω)を角周波数の変化に従って追跡する場合、隣
接する固有ベクトルのなす角θが45゜より大きいと、
固有ベクトルを正しく追跡できなくなってしまう。図1
0(b)の例では、固有値λ uに対する角周波数ω0の固
有ベクトルに隣接する角周波数(ω+Δω)の固有ベク
トルを追跡する際、θが45゜より大きいと、誤って固
有値(−λu)に対する角周波数(ω0+Δω)の固有ベ
クトルを選択してしまう。これにより、誤った画像をデ
ィスプレイ29に表示してしまうことになる。
【0115】そこで、上記したステップSP1のエコー
信号検出処理において、超音波パルスを360Hzずつス
テップさせながら送信すると共に、このステップSP6
の画像化処理において、固有ベクトルφnu(ω)の符号
を統一させる。まず、周波数変化のステップを360Hz
に設定した理由について説明する。上記のように、隣接
する固有ベクトルのなす角θ、すなわち、角周波数間隔
Δωと超音波トランスデューサから送信された超音波パ
ルスが被検体10まで伝搬される最長時間Tとの積(Δ
ωT)が(π/4)より小さくなければならない。すな
わち、
【0116】
【数53】ΔωT≦π/4 …(53)
【0117】角周波数ωは2πfと表させるから、式
(53)は式(54)となる。
【0118】
【数54】Δf≦1/8T …(54)
【0119】この例において、超音波トランスデューサ
4a及び4bの移動エリアから被検体10までの距離を
70mmとすると、最長伝搬時間Tは46.6μsecとな
るので、式(54)よりΔfは約2.68kHz以下であ
れば良い。そこで、この例では、余裕をみて、周波数変
化のステップを360Hzに設定したのである。
【0120】次に、固有ベクトルφnu(ω)の符号を統
一させる処理について説明する。固有ベクトルφ
nu(ω)を算出すべき角周波数範囲内(最小角周波数ω
0〜最大角周波数ω(V-1))において、最小角周波数ω0
からv番目の角周波数をωv(v=0,1,……,(V
−1))とすると、vが1以上の時は、次のアルゴリズ
ムに従って、順次固有ベクトルφnu(ωv)を決定す
る。
【0121】
【数55】
【0122】以上の処理により、固有ベクトルφ
nu(ω)の符号が統一され、その向きが固有ベクトルφ
nu(ω0)から固有ベクトルφnu(ωV-1)まで連続的に
変化するものになる。
【0123】次に、式(56)に基づいて、第u番目
(u=1,2,……,N)の固有値λ uに対する固有ベ
クトルφu(ω)から音場の関数φu(ω,x,y,z)
を求める処理を全ての角周波数(ω0〜ωV-1)及び超音
波トランスデューサ4a及び4bの移動エリアの全ての
ポジションPn(n=1,2,……,N;N=64)に
ついて行う。
【0124】
【数56】
【0125】式(56)において、Gn(ω,x,y,
z,xn,yn,zn)は、その中心座標が座標(xn,y
n,zn)であるポジションPnに位置する超音波トラン
スデューサ4a,4bに角周波数ω及び振幅1の電気パ
ルス信号を印加した場合に超音波トランスデューサ4
a,4bから送信される超音波パルスにより座標(x,
y,z)に形成される複素音場の関数である。 (1)ポジションPnに位置する超音波トランスデュー
サ4a,4bが点音源とみなせる場合には、関数G
n(ω,x,y,z,xn,yn,zn)は、式(57)で
表される。
【0126】
【数57】
【0127】式(57)において、APは周波数依存の
比例定数、k=ω/c、cは液体弾性媒体中の音速であ
り、既知とする。例えば、液体弾性媒体が水の場合、c
は1500m/secである。また、rは、式(58)で表
される。
【0128】
【数58】
【0129】(2)ポジションPnに位置する超音波ト
ランスデューサ4a,4bが平面剛体壁に囲まれた円形
ピストン振動音源と見なせる場合には、関数Gn(ω,
x,y,z,xn,yn,zn)は、式(59)で表され
る。
【0130】
【数59】
【0131】式(59)において、ARは比例定数、J1
は1次のベッセル関数、aRは音源の半径である。ま
た、sinθは式(60)で表される。
【0132】
【数60】
【0133】式(60)において、(nx,ny,n
z)は音源の大きさ1の法線ベクトル、×はベクトル積
を表す。なお、式(59)の他の記号の意味は(1)の
点音源の場合と同様である。
【0134】(3)ポジションPnに位置する超音波ト
ランスデューサ4a,4bが剛壁に囲まれた矩形音源と
見なせる場合には、関数Gn(ω,x,y,z,xn,y
n,zn)は、式(61)で表される。
【0135】
【数61】
【0136】式(61)において、2aSは矩形のx軸
方向の長さ、2bSは矩形のy軸方向の長さ、α及びβ
はそれぞれベクトル(x−xn,y−yn,z−zn)と
x軸及びy軸とのなす角である。また、sinc(D)
は、D、すなわち、kaS・cosα及びkbS・cos
βについて式(62)を意味する。なお、式(61)の
他の記号の意味は(1)の点音源の場合と同様である。
【0137】
【数62】
【0138】なお、(2)及び(3)の詳細について
は、「超音波基礎工学」(山本美明著、日刊工業新聞社
刊、第56ページ〜第58ページ)を参照されたい。
【0139】次に、得られた音場の関数φu(ω,x,
y,z)を逆フーリエ変換して得られた関数φu(t,
x,y,z)に対応した電気パルス信号を移動エリアの
全てのポジションP1〜P64に位置する超音波トランス
デューサ4a,4bに印加したと想定した場合のt=0
での音場の関数φ'u(x,y,z)を求める。これによ
り、音場の関数φ'u(x,y,z)は、被検体10の表
面に沿った波面を形成するので、その波面を被検体10
の表面と対応させ、固有値λuを被検体10の反射率に
対応させることにより、画像化した後、CPU28は、
一連の処理を終了する。この場合、反射率が異なる領域
があれば、反射率毎に画像化する。また、全ての音場の
関数φ'u(x,y,z)について画像化するのではな
く、音場の大きさが所定の大きさ以上の場所についてだ
け濃淡をつけ、それと共に、固有値λuに先に求めた比
例定数を乗算した結果である反射率の位置情報をその濃
淡に関連付けても良い。図11は、被検体10として半
径20.0mmの球体を(2.0,5.0,90.0)が
中心座標となるように配置すると共に、移動エリアの全
てのポジションP1〜P64に位置する超音波トランスデ
ューサ4a及び4bによる超音波パルスの送信並びに反
射波の受信を行い、ゲート処理において上記矩形窓を示
す関数をゲート関数g(t)に用いた場合の最大固有値
λ1に対応した音場の画像表示の一例を示す。
【0140】このように、この例の構成によれば、反射
率毎に画像化できるので、反射率の分布が表示でき、被
検体10の音響インピーダンスの分布を表示でき、微小
な欠陥の検出が容易にできる。これは、従来では、反射
エネルギ(反射率×大きさ)の表示であったが、この構
成では、反射率そのものを表示できるので、従来ノイズ
の中に埋もれてしまったような微小な欠陥でも表示され
るからである。また、この例の構成によれば、図3に示
すように、2個の超音波トランスデューサ4a及び4b
によって、8行8列、計64個の超音波トランスデュー
サを配置した場合と同様に被検体10の反射率を測定で
きるので、各超音波トランスデューサ4a及び4bの移
動ピッチも任意に変更できると共に、その移動エリアも
必要に応じて拡大又は縮小でき、さらに、超音波トラン
スデューサ4a及び4bの大きさ自体も自由に変更でき
る。したがって、様々な形状及び大きさの被検体10の
反射率が測定でき、汎用性が高いし、多数の超音波トラ
ンスデューサ及びそれぞれに対応したパルス発生器21
等を多数設ける必要がなく、装置を安価で小型に構成で
きる。さらに、この例の構成によれば、一旦被検体10
を画像化した後、測定者がディスプレイ29を目視した
結果、欠陥が表示されている場合には、当該欠陥をさら
に正確に検出するために、超音波トランスデューサ4a
及び4bを当該欠陥を検出できる範囲に限って再度移動
させると共に、その移動ピッチもより小さなピッチとす
ることも自由にできる。すなわち、当該欠陥をズームア
ップして詳細に検出することも可能である。具体的に
は、測定者がディスプレイ29を目視してマウス等によ
りズームアップを希望する領域を指定した後、ズームア
ップの開始を指示するズームアップ開始スイッチを押下
することにより、CPU28が指定された領域に対応す
る移動エリアにだけ超音波トランスデューサ4a及び4
bを移動させると共に、移動ピッチも図3に示す4.5
mmよりさらに小さなピッチとしてエコー信号を検出す
る。その後、図4に示すステップSP2〜SP6の処理
を行うことにより、ディスプレイ29に指定された領域
についてより詳細な画像を拡大表示する。
【0141】以上、この発明の実施例を図面を参照して
詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られる
ものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計
の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述
の実施例においては、ステップSP6の画像化処理にお
いて、N個全ての固有値λpについて音場の関数φ'
u(x,y,z)を求める例を示したが、これに限定さ
れず、画像化に有効なN個より少ない個数の固有値λu
について音場の関数φ'u(x,y,z)を求めるように
しても良い。この場合には、演算処理時間がその分短縮
できる。また、上述の実施例においては、ステップSP
3のフーリエ変換処理において、ゲート処理により得ら
れたエコー信号Sgm,n(t)をフーリエ変換した後、散
乱行列S(ω)を作成する例を示したが、これに限定さ
れず、散乱行列S(ω)を作成後それをフーリエ変換し
てももちろん良い。さらに、上述の実施例においては、
反射率を求めるのに、ステップSP4の固有値問題処理
において、実対称行列S'(ω)の固有値問題を処理し
て、固有値及び固有ベクトルを求める例を示したが、こ
れに限定されない。要するに、式(63)を満足する十
分絶対値が大きなN個以下の実数値λ及びφ(ω)を求
め、実数値λに比例する量を反射率の絶対値とすれば良
い。
【0142】
【数63】
【0143】式(63)において、Sm,n(ω)は散乱
行列S(ω)の成分、φn(ω)は第n番目のポジショ
ンPnに位置する超音波トランスデューサ4a,4bか
ら被検体10に向かって送信される超音波パルス、φ* m
(ω)はφm(ω)の複素共役、φm(ω)は規格化され
ている。
【0144】また、上述の実施例においては、被検体1
0の形状が球形である場合に、エコー信号の検出処理を
省略する例を示したが、被検体10の形状は、幾何学的
に対称であって、上記した同一条件が満たされれば、ど
のような形状でも良い。この場合、同一条件について
も、上記した式(17)〜(19)又は式(19)〜
(21)に限らず、移動エリア内のある2つのポジショ
ンPに位置する超音波トランスデューサ4a及び4bと
被検体10とがなす位置関係と、移動エリア内の他の2
つのポジションPに位置する超音波トランスデューサ4
a及び4bと被検体10とがなす位置関係とが同様な位
置関係であるために、前者の位置関係に基づいて検出さ
れるエコー信号の値と、後者の位置関係に基づいて検出
されるエコー信号の値が同一であるとみなされるような
条件であれば良い。もっとも、このようにエコー信号の
検出を省略してしまうと、検出時間が短縮できるが、実
際にエコー信号が検出された訳ではないので、欠陥が検
出されなくなる虞がある。したがって、測定者が被検体
10を目視して明らかに欠陥を確認できる場合など、正
確な欠陥の検出が望まれる場合があることを考慮して、
上記エコー信号の検出の省略を中止させるようなスイッ
チを制御部2に設け、そのスイッチが押下された場合に
は、エコー信号の検出を省略せず、全てのポジションP
1〜P64に超音波トランスデューサ4a及び4bを移動
させてエコー信号の検出を行うように構成しても良い。
【0145】さらに、上述の実施例においては、被検体
10を水槽8の底に載置したので、被検体10のすべて
の表面に超音波パルスが照射されないため、特に、被検
体10の水槽8の底に接する部分については欠陥が検出
されない虞がある。したがって、超音波パルスが照射さ
れない被検体10の部分の欠陥を確実に検出するため
は、被検体10の上下の向きを変えて再び欠陥の検出処
理を行う必要がある。そこで、被検体10を水槽8の略
中央に支持すると共に、超音波トランスデューサも、図
2に示すように、水槽の上方ではなく、前後面又は左右
面のいずれか2つの面、あるいは4つの面すべてにそれ
ぞれ2個ずつ計4個、あるいは計8個を移動可能に設け
れば、超音波パルスが照射される被検体10の表面の面
積が増加するので、被検体10の向きを変えることな
く、より多くの欠陥を検出することができる。
【0146】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、超音波トランスデューサの制御を簡単に行うこ
とができる。また、請求項6,7,14,15記載の発
明の構成によれば、被検体の形状が幾何学的に対称な場
合には、迅速に欠陥を検出することができる。さらに、
請求項8及び16記載の発明の構成によれば、欠陥をよ
り詳細に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である欠陥検出装置の電気
的構成を概略示すブロック図である。
【図2】同実施例における可動部の機械的構成を示す斜
視図である。
【図3】同実施例における2個の超音波トランスデュー
サの移動エリアを説明するための図である。
【図4】同装置の動作処理手順を示すフローチャートで
ある。
【図5】エコー信号の値が同一となる2個の超音波トラ
ンスデューサと被検体との位置関係の存在条件を説明す
るための図である。
【図6】エコー信号検出処理の手順を示すフローチャー
トである。
【図7】エコー信号検出処理の手順を示すフローチャー
トである。
【図8】エコー信号検出処理の手順を示すフローチャー
トである。
【図9】同装置の動作処理の1つである固有値問題処理
を説明するための図である。
【図10】同装置の動作処理の1つである画像化処理を
説明するための図である。
【図11】画像化処理によって画像化された球形の被検
体の画像の一例を示す画面表示図である。
【符号の説明】
1〜P64 ポジション 4a,4b 超音波トランスデューサ(超音波変換
要素) 5,6 2軸ロボット(移動手段) 9 水(液体弾性媒体) 10 被検体 21a,21b パルス発生器(エコー信号検出手段) 23a,23b 増幅器(エコー信号検出手段) 24a,24b 波形整形器(エコー信号検出手段) 25a,25b A/D変換器(エコー信号検出手段) 26 ROM 27 RAM 28 CPU(エコー信号検出手段、算出手
段、ゲート処理手段、フーリエ変換手段、固有値問題処
理手段、画像化処理手段) 29 ディスプレイ 30a,30b 駆動回路(移動手段)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波パルスを被検体に向けて送信し、
    被検体から得られる反射波に基づいて被検体の欠陥を検
    出する欠陥検出装置において、 2次元のエリア内で任意に移動可能であり、供給される
    電気パルス信号に基づいて超音波パルスを液体弾性媒体
    中の被検体に向かって送信すると共に、前記被検体から
    の反射波を受信するための2個の超音波変換要素と、 前記2個の超音波変換要素を前記エリア内の任意の位置
    に移動させる移動手段と、 前記移動手段を制御して、一方の超音波変換要素を前記
    エリア内に所定間隔で設定したN個(Nは2以上の自然
    数)の位置のうち、第n番目(n=1,2,……,N)
    の位置に移動させると共に、他方の超音波変換要素を前
    記エリア内の第m番目(m=1,2,……,N)の位置
    に移動させ、前記一方の超音波変換要素に所定周波数範
    囲内の電気パルス信号を供給して超音波パルスを送信さ
    せ、それに基づく前記被検体からの反射波を前記他方の
    超音波変換要素に受信させる処理を、前記2個の超音波
    変換要素を前記エリア内のN個の位置にそれぞれ移動さ
    せて行うことにより前記他方の超音波変換要素から出力
    される(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を検出す
    るエコー信号検出手段と、 前記(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を(N×
    N)個のエコー信号Sm,n(ω)にフーリエ変換するフ
    ーリエ変換手段と、 前記(N×N)個のエコー信号Sm,n(ω)に関する式
    (1)の方程式を成立させる実数値λのうち、絶対値の
    大きい方から数えて、単数又は複数の実数値λを求める
    と共に、前記単数又は複数の実数値λに対応する単数又
    は複数の関数φ(ω)を算出する算出手段と、 前記所定周波数範囲に対応する角周波数範囲及び前記エ
    リア内のN個の位置に移動させた前記他方の超音波変換
    要素について、前記単数又は複数の実数値λに対応する
    単数又は複数の関数φ(ω)から音場の関数φ(ω,
    x,y,z)を求め、前記音場の関数φ(ω,x,y,
    z)を逆フーリエ変換して得られた関数φ(t,x,
    y,z)に対応した電気パルス信号を前記エリア内のN
    個の位置に移動させた前記超音波変換要素に印加したと
    想定した場合の時間t=0での音場の関数φ'u(x,
    y,z)を求め、該音場の関数φ'u(x,y,z)及び
    前記単数又は複数の実数値λに基づいて前記被検体を画
    像化して表示する画像化処理手段とを備えてなることを
    特徴とする欠陥検出装置。 【数1】 式(1)において、φ* m(ω)はφm(ω)の複素共
    役、φn(ω)は規格化されている。
  2. 【請求項2】 前記算出手段は、前記(N×N)個のエ
    コー信号Sm,n(ω)から作成される(N×N)の複素
    対称行列であり、式(2)で表される散乱行列S(ω)
    から、式(3)で表される(2N×2N)の実対称行列
    S'(ω)を求め、前記実対称行列S'(ω)の固有値問
    題を処理して固有値及びそれに対する固有ベクトルを求
    め、前記固有値のうち、絶対値の大きい方から数えて、
    単数又は複数の固有値を前記単数又は複数の実数値λと
    すると共に、前記単数又は複数の固有値に対する単数又
    は複数の固有ベクトルを前記単数又は複数の実数値λに
    対応する単数又は複数の関数φ(ω)とすることを特徴
    とする請求項1記載の欠陥検出装置。 【数2】 式(2)において、S(ω,m,n)は、前記エリア内の
    第n番目(n=1,2,……,N)の位置に位置する一
    方の超音波変換要素から超音波パルスを送信した時の前
    記被検体からの反射波を前記エリア内の第m番目(m=
    1,2,……,N)の位置に位置する他方の超音波変換
    要素が受信するときの時間の関数たるエコー信号Sm,n
    (t)に対応している。 【数3】 式(3)において、Re(S(ω))は散乱行列S
    (ω)の実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の
    虚部である。
  3. 【請求項3】 前記被検体からの1次反射波信号のみを
    抽出するためのゲート関数g(t)と、前記エコー信号
    m,n(t)とを乗算するゲート処理手段を備えてなる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の欠陥検出装置。
  4. 【請求項4】 前記ゲート関数g(t)は、前記エコー
    信号Sm,n(t)のうち、前記1次反射波信号と推定さ
    れる部分で振幅がほぼ1で、その他の部分で振幅がほぼ
    0の矩形窓を示す関数、又は式(4)で示される正規関
    数であることを特徴とする請求項3記載の欠陥検出装
    置。 【数4】
  5. 【請求項5】 前記エコー信号検出手段は、前記所定周
    波数範囲内において、前記一方の超音波変換要素から送
    信された超音波パルスが前記被検体まで伝搬される最長
    時間をTとした場合の(1/8T)より十分小さい周波
    数間隔で前記超音波パルスの周波数を変更して周波数毎
    の前記(N×N)個のエコー信号Sm, n(t)を検出す
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載
    の欠陥検出装置。
  6. 【請求項6】 前記エコー信号検出手段は、前記被検体
    が幾何学的に対称な形状を有する場合において、前記エ
    リア内の第1及び第2の位置に位置する前記2個の超音
    波変換要素と前記被検体とがなす第1の位置関係と、前
    記エリア内の第3及び第4の位置に位置する前記2個の
    超音波変換要素と前記被検体とがなす第2の位置関係と
    が所定の条件を満たす場合には、前記第2の位置関係に
    基づいて検出されるエコー信号は、その値が前記第1の
    位置関係に基づいて検出されるエコー信号の値と同一で
    あるとみなして、その検出を省略することを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれか1に記載の欠陥検出装置。
  7. 【請求項7】 前記所定の条件は、前記第1の位置と前
    記被検体の中心との第1の距離と前記第3の位置と前記
    被検体の中心との第3の距離又は前記第4の位置と前記
    被検体の中心との第4の距離とが等しく、前記第2の位
    置と前記被検体の中心との第2の距離と前記第3の距離
    又は前記第4の距離とが等しく、かつ、前記第1の位置
    と前記被検体の中心と前記第2の位置とがなす角度と、
    前記第3の位置と前記被検体の中心と前記第4の位置と
    がなす角度とが等しいことであることを特徴とする請求
    項6記載の欠陥検出装置。
  8. 【請求項8】 前記被検体の画像の一部の領域を指定す
    る領域指定手段を設け、 前記エコー信号検出手段は、前記移動手段を制御して、
    前記領域指定手段によって指定された前記被検体の画像
    の一部の領域に対応する前記エリア内の位置に前記2個
    の超音波変換要素を前記所定間隔より短い間隔で移動さ
    せて、複数個のエコー信号S(t)を検出し、 前記フーリエ変換手段は、前記複数個のエコー信号S
    (t)を複数個のエコー信号S(ω)にフーリエ変換
    し、 前記算出手段は、前記複数個のエコー信号S(ω)に基
    づいて、単数又は複数の実数値λ及びそれに対応する単
    数又は複数の関数φ(ω)を算出し、 前記画像化処理手段は、前記単数又は複数の実数値λ及
    びそれに対応する単数又は複数の関数φ(ω)に基づい
    て、前記領域指定手段によって指定された前記被検体の
    画像の一部の領域を画像化して表示することを特徴とす
    る請求項1乃至7のいずれか1に記載の欠陥検出装置。
  9. 【請求項9】 超音波パルスを被検体に向けて送信し、
    被検体から得られる反射波に基づいて被検体の欠陥を検
    出する欠陥検出方法において、 2次元のエリア内で任意に移動可能であり、供給される
    電気パルス信号に基づいて超音波パルスを液体弾性媒体
    中の被検体に向かって送信すると共に、前記被検体から
    の反射波を受信するための2個の超音波変換要素を備
    え、 一方の超音波変換要素を前記エリア内に所定間隔で設定
    したN個(Nは2以上の自然数)の位置のうち、第n番
    目(n=1,2,……,N)の位置に移動させると共
    に、他方の超音波変換要素を前記エリア内の第m番目
    (m=1,2,……,N)の位置に移動させ、前記一方
    の超音波変換要素に所定周波数範囲内の電気パルス信号
    を供給して超音波パルスを送信させ、それに基づく前記
    被検体からの反射波を前記他方の超音波変換要素に受信
    させる処理を、前記2個の超音波変換要素を前記エリア
    内のN個の位置にそれぞれ移動させて行うことにより前
    記他方の超音波変換要素から出力される(N×N)個の
    エコー信号Sm,n(t)を検出する第1の処理と、 前記(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を(N×
    N)個のエコー信号Sm,n(ω)にフーリエ変換する第
    2の処理と、 前記(N×N)個のエコー信号Sm,n(ω)に関する式
    (5)の方程式を成立させる実数値λのうち、絶対値の
    大きい方から数えて、単数又は複数の実数値λを求める
    と共に、前記単数又は複数の実数値λに対応する単数又
    は複数の関数φ(ω)を算出する第3の処理と、 前記所定周波数範囲に対応する角周波数範囲及び前記エ
    リア内のN個の位置に移動させた前記他方の超音波変換
    要素について、前記単数又は複数の実数値λに対応する
    単数又は複数の関数φ(ω)から音場の関数φ(ω,
    x,y,z)を求め、前記音場の関数φ(ω,x,y,
    z)を逆フーリエ変換して得られた関数φ(t,x,
    y,z)に対応した電気パルス信号を前記エリア内のN
    個の位置に移動させた前記超音波変換要素に印加したと
    想定した場合の時間t=0での音場の関数φ'u(x,
    y,z)を求め、該音場の関数φ'u(x,y,z)及び
    前記単数又は複数の実数値λに基づいて前記被検体を画
    像化して表示する第4の処理とを備えてなることを特徴
    とする欠陥検出方法。 【数5】 式(5)において、φ* m(ω)はφm(ω)の複素共
    役、φn(ω)は規格化されている。
  10. 【請求項10】 前記第3の処理では、前記(N×N)
    個のエコー信号Sm, n(ω)から作成される(N×N)
    の複素対称行列であり、式(6)で表される散乱行列S
    (ω)から、式(7)で表される(2N×2N)の実対
    称行列S'(ω)を求め、前記実対称行列S'(ω)の固
    有値問題を処理して固有値及びそれに対する固有ベクト
    ルを求め、前記固有値のうち、絶対値の大きい方から数
    えて、単数又は複数の固有値を前記単数又は複数の実数
    値λとすると共に、前記単数又は複数の固有値に対する
    単数又は複数の固有ベクトルを前記単数又は複数の実数
    値λに対応する単数又は複数の関数φ(ω)とすること
    を特徴とする請求項9記載の欠陥検出方法。 【数6】 式(6)において、S(ω,m,n)は、前記エリア内の
    第n番目(n=1,2,……,N)の位置に位置する一
    方の超音波変換要素から超音波パルスを送信した時の前
    記被検体からの反射波を前記エリア内の第m番目(m=
    1,2,……,N)の位置に位置する他方の超音波変換
    要素が受信するときの時間の関数たるエコー信号Sm,n
    (t)に対応している。 【数7】 式(7)において、Re(S(ω))は散乱行列S
    (ω)の実部、Im(S(ω))は散乱行列S(ω)の
    虚部である。
  11. 【請求項11】 前記第2の処理の前に、前記被検体か
    らの1次反射波信号のみを抽出するためのゲート関数g
    (t)と、前記エコー信号Sm,n(t)とを乗算する第
    5の処理を行うことを特徴とする請求項9又は10記載
    の欠陥検出方法。
  12. 【請求項12】 前記ゲート関数g(t)は、前記エコ
    ー信号Sm,n(t)のうち、前記1次反射波信号と推定
    される部分で振幅がほぼ1で、その他の部分で振幅がほ
    ぼ0の矩形窓を示す関数、又は式(8)で示される正規
    関数であることを特徴とする請求項11記載の欠陥検出
    方法。 【数8】
  13. 【請求項13】 前記第1の処理では、前記所定周波数
    範囲内において、前記一方の超音波変換要素から送信さ
    れた超音波パルスが前記被検体まで伝搬される最長時間
    をTとした場合の(1/8T)より十分小さい周波数間
    隔で前記超音波パルスの周波数を変更して周波数毎の前
    記(N×N)個のエコー信号Sm,n(t)を検出するこ
    とを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1に記載の
    欠陥検出方法。
  14. 【請求項14】 前記第1の処理では、前記被検体が幾
    何学的に対称な形状を有する場合において、前記エリア
    内の第1及び第2の位置に位置する前記2個の超音波変
    換要素と前記被検体とがなす第1の位置関係と、前記エ
    リア内の第3及び第4の位置に位置する前記2個の超音
    波変換要素と前記被検体とがなす第2の位置関係とが所
    定の条件を満たす場合には、前記第2の位置関係に基づ
    いて検出されるエコー信号は、その値が前記第1の位置
    関係に基づいて検出されるエコー信号の値と同一である
    とみなして、その検出を省略することを特徴とする請求
    項9乃至13のいずれか1に記載の欠陥検出方法。
  15. 【請求項15】 前記所定の条件は、前記第1の位置と
    前記被検体の中心との第1の距離と前記第3の位置と前
    記被検体の中心との第3の距離又は前記第4の位置と前
    記被検体の中心との第4の距離とが等しく、前記第2の
    位置と前記被検体の中心との第2の距離と前記第3の距
    離又は前記第4の距離とが等しく、かつ、前記第1の位
    置と前記被検体の中心と前記第2の位置とがなす角度
    と、前記第3の位置と前記被検体の中心と前記第4の位
    置とがなす角度とが等しいことであることを特徴とする
    請求項14記載の欠陥検出方法。
  16. 【請求項16】 前記被検体の画像の一部の領域を指定
    する領域指定手段を備え、 前記第1の処理では、前記領域指定手段によって指定さ
    れた前記被検体の画像の一部の領域に対応する前記エリ
    ア内の位置に前記2個の超音波変換要素を前記所定間隔
    より短い間隔で移動させて、複数個のエコー信号S
    (t)を検出し、 前記第2の処理では、前記複数個のエコー信号S(t)
    を複数個のエコー信号S(ω)にフーリエ変換し、 前記第3の処理では、前記複数個のエコー信号S(ω)
    に基づいて、単数又は複数の実数値λ及びそれに対応す
    る単数又は複数の関数φ(ω)を算出し、 前記第4の処理では、前記単数又は複数の実数値λ及び
    それに対応する単数又は複数の関数φ(ω)に基づい
    て、前記領域指定手段によって指定された前記被検体の
    画像の一部の領域を画像化して表示することを特徴とす
    る請求項9乃至15のいずれか1に記載の欠陥検出方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003042686A1 (fr) * 2001-11-14 2003-05-22 Kabushiki Kaisha Toshiba Echographe, transducteur ultrasons, instrument d'examen et dispositif d'ultrasonographie
JP2018004296A (ja) * 2016-06-28 2018-01-11 Ntn株式会社 超音波探傷装置および部品の製造方法

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