JPH11271203A - 摩擦・摩耗特性測定方法及び装置 - Google Patents

摩擦・摩耗特性測定方法及び装置

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JPH11271203A
JPH11271203A JP9850998A JP9850998A JPH11271203A JP H11271203 A JPH11271203 A JP H11271203A JP 9850998 A JP9850998 A JP 9850998A JP 9850998 A JP9850998 A JP 9850998A JP H11271203 A JPH11271203 A JP H11271203A
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Kazuyoshi Daito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円心軸上で回転しつつある円柱状又は円板状
相手材の外周面に円柱状試験材を押し付け、摩擦・摩耗
特性を測定するにあたり、高い押付力で押し付けた場合
でも振動を起こすことなく接触状態を安定させて精度よ
く測定可能とする。 【解決手段】 上記の押し付けによる摩擦・摩耗特性の
測定において、円柱状試験材Aを相手材B外周面に押し
付ける試験荷重Nの力線方向を相手材の回転中心軸Oと
交差しないよう、例えば試験荷重Nの力線を含む平面が
相手材Bの回転中心軸Oと直交する平面上で、試験材A
が相手材Bと接触する点aと相手材Bの回転中心軸Oを
結ぶ線が、力線方向となす角度を8〜15度とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は円柱状試験材の摩擦
・摩耗特性を精度よく測定する摩擦・摩耗特性測定方法
ならびにその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面処理技術は工具の性能を飛躍的に向
上させる技術として、近年、切削加工工具のみならず、
深絞り工具、パンチ及びダイスなどの用途で期待されて
いる。
【0003】ところで、上記の如き表面処理された工具
においては、特に膜厚が数μm以下と非常に薄い場合、
当該処理膜が摩擦・摩耗後にどの程度残っているか、換
言すると、下地元材が露出するかどうかが非常に重要な
ことであり、そのため薄い膜厚内の摩耗状態を評価する
ことが必要となってくる。
【0004】そこで、従来、円柱状工具材を始め、円柱
状試験材の摩擦・摩耗挙動の測定に種々の方法が検討さ
れているが、なかでも最も一般的に用いられて来た方法
はピン・オン・ディスク法と呼ばれる方法である。この
方法は回転している円盤に普通は先端を半球状としたピ
ンを押し付け、すべり距離と円盤又はピンに生じる摩耗
量、主として重量減、摩耗溝深さなどを測定することに
よって両者間の摩擦・摩耗特性を評価する方法である。
【0005】しかし、この方法では、接触が円盤上の同
一位置で生じること、表面処理材、即ち金属表面にPV
D、CVD、イオン注入などによって種々の薄膜を形成
させ耐摩耗特性を高めた処理材に適用する場合にはピン
側を試験材にした場合、摩耗量の測定が困難なこと、ま
たディスク側を試験材とした場合、接触軌道上の特定の
点をピンに常に接触させることができないため、すべり
距離と摩耗量との関係がピン・ディスクの配置条件によ
って異なること等の欠点を有していた。
【0006】また金属塑性加工用工具と被加工材の界面
のように工具表面が相手材の塑性変形によって生じた新
たな金属表面(新生面)と接触する条件下での摩擦・摩
耗特性を評価しようとする場合、同一位置での接触によ
る摩擦・摩耗挙動の評価方法では必らずしも実用時の挙
動と一致しない問題があった。
【0007】そこで、これらの問題に対処すべく、図1
に示すように表面を試験直前に旋削加工した円柱状の相
手材Bを旋盤に取付けて回転させ、これに工具台上の特
殊治具に固定した円柱状の試験材Aを相手材の回転中心
軸に荷重Nの力線方向を交差させて押し付け、その摩擦
・摩耗特性を評価する研究を試みて来た。
【0008】さらに旋盤の工具台送り機構を利用して、
接触点を連続的に移動させ、前述の新生面接触に近い摩
擦・摩耗特性値を評価できることを研究すると共に、こ
の方式の摩擦・摩耗特性測定装置は従来の接触位置固定
型の試験方法に比べて表面処理材の特性を的確に評価で
きることを知見して来た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記試験材を
回転する相手材に押し付け評価する方法では、円柱状試
験材を相手材に対し垂直に押し付けて、力線方向を相手
材の回転中心線と一致させているため、接触部での接触
条件が安定せず不安定な状態であり、特に高い押付力で
測定しようとする場合にはかなりの振動が生じ測定誤差
を生じる要因となっていた。
【0010】また、摩耗深さが膜厚に達して試験材が露
出するようになると、試験材と相手材との凝着が発生
し、この領域では振動が大きく、実用上の誤差が大きく
なり、摩擦・摩耗特性の正しい評価は困難であった。
【0011】そこで、本発明は上述の如き問題に対処
し、更にその解決を目指し、特に相手材に対する試験材
の接触角度の変化に着目することにより、高い押付力で
押し付けた場合でも振動を起こすことなく、接触状態を
安定化させて摩擦・摩耗特性を簡便に、かつ精度よく測
定可能ならしめることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明の特徴は、先ず、円心軸上で回転しつつある円
柱状又は円板状の相手材外周面に円柱状試験材を交差し
て押し付け、摩擦・摩耗特性を測定する方法において、
前記円柱状試験材を相手材に押し付ける試験荷重の力線
方向が、相手材の回転中心軸と交差しないようにしたこ
とを特徴とする。
【0013】この場合、試験荷重の力線を含む平面が相
手材の回転中心軸と直交する平面上で、円柱状試験材が
相手材と接触する点と相手材の回転中心軸を結ぶ線が、
力線方向となす角度を8〜15度とすることが好適であ
る。また、円柱状試験材と、相手材との接触点は固定に
限らず、当該位置を相対的に移動せしめて測定すること
も1つの特徴である。
【0014】更に具体的に測定する態様として、円柱状
試験材を相手材に押し付ける試験荷重の力線上と、その
力線に直交し、かつ相手材の回転方向に平行な線上とに
夫々ロードセルを配置し、試験荷重と、それから派生す
る力線方向に垂直な方向の力を同時に直接計測すること
も効果的である。
【0015】更に円柱状試験材を、その円心軸上で回転
させない状態で、回転しつつある相手材に押し付けたま
ま、相手材の回転中心軸と平行に移動させ、円柱状試験
材の相手材との固定された接触点において摩耗痕を発生
させ、摩擦・摩耗状態の経時変化を計測することも有効
な特徴である。そして、この場合、円柱状試験材の摩耗
痕を相手材との接触点における法線方向から観察し、摩
耗痕が形成する楕円形状の、円柱状試験材の中心軸と平
行な長軸の寸法を測定してこの数値により摩耗深さを算
出する。
【0016】本発明は上述の各測定方法と共にこれを実
施する装置として、円柱状又は円板状の相手材を円心軸
上で回転可能に取り付ける取付機構と、円柱状試験材を
固定する固定機構よりなり、円柱状試験材固定機構は、
相手材に対し接触、離隔可能であると共に、傾斜角度調
整自在であり、かつ押付力に応じて生じる荷重を検出し
得る機構を具備している摩擦・摩耗特性測定装置も他の
特徴とするところである。
【0017】
【作用】前記本発明に示すように相手材の回転軸に対し
円柱状試験材の接触角度を変えて押し付けるときは、回
転軸に対し垂直方向に押し付ける場合に比し、接触位置
での振動が小さくなり、安定した測定が可能となる。即
ち、図3にみられるように接触点aと相手材の回転中心
軸Oを結ぶ線が試験荷重の力線方向となす角度をαとす
れば、接触点における接線に垂直方向の力PN はPN
Tsinα+Ncosα、同接線方向の接線力PT はP
T =Tcosα−Nsinα(但し、Tは力線方向に垂
直な方向の力、Nは力線方向の力(荷重)である。)と
なり、接線に垂直な力PN が大きくなる一方、接線力P
T は相手材の回転軸に交差して垂直に押し付けた場合の
接線力に比し小さくなることが振動を減少させ、安定性
を向上させるのに寄与していると考えられる。
【0018】また、本発明において円柱状試験材と相手
材との接触位置を相対的に移動せしめるときは常に相手
材の新生面、即ち原形が接触するので相手材の摩耗後の
形状変形した個所の供給を避けることができ、常時、楕
円形状の摩耗痕を形成でき、その長軸を計測するのみ
で、算式により精度の高い摩耗量の測定を可能ならしめ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、更に本発明の具体的態様を
添付図面にもとづいて詳述する。
【0020】図2及び図3は本発明測定方法の基本原理
を示すもので、図に示すように、図1におけると同じく
円柱状又は円板の相手材Bを旋盤等に取り付けて回転さ
せ、その回転しつつある相手材Bの外周面に円柱状試験
材Aを交差して押し付け、摩擦・摩耗特性を測定するも
のであるが、本発明においては円柱状試験材Aを円心軸
O上で回転する相手材Bの外周面に押し付ける試験荷重
Nの力線方向が相手材Bの回転中心軸Oと交差しないよ
うにして押し付けられている。
【0021】このように試験荷重の力線を相手材Bの回
転中心軸Oと交差しないような状態で押し付けることに
より、従前より安定した測定が可能となるに至った経緯
については多くの実験の結果によるものであるが、次の
如き理由によるものと推定される。即ち、図3に示すよ
うに接触点aと相手材Bの回転中心軸Oを結ぶ線が力線
方向となす角度をαとし、試験荷重の力線方向の力を
N、力線方向に垂直な方向の力(接線力)をT、接触点
aにおける接線方向接線力をPT 、接触点aにおける接
線方向に垂直な方向の力をPN とすると、図1に示す従
来方式ではN=PN 、T=PT であるのに対し、図2、
図3に示す本発明においてはPN =Tsinα+Nco
sα、PT =Tcosα−Nsinαとなり、従来方式
に比し、本発明は接線方向に垂直な方向の力PN が大き
くなる一方、接線力PT は小さくなる。これは試験材A
を相手材Bに押し付けるとき、振動の原因となる力が接
線力PT であることからすれば、本発明の場合が従来方
式に比し遙かに振動が少くなることであり、測定の誤差
が減少されるのに寄与している。
【0022】図4は更に上記の場合における相手材Bと
試験材Aの傾斜角度に関する実験例であり、同図に示す
ように試験荷重の力線を含む平面が相手材Bの回転中心
軸Oと直交する平面上で、円柱状試験材Aが相手材Bと
接触する点aと、相手材Bの回転中心軸Oを結ぶ線(O
−a)が力線方向となす角度をαとして、その振れの状
況を観察すると、図4(ロ)に示す接線力Tに対する振
動の振巾ΔTの割合ΔT/Tは図4(ハ)に示すように
約8度の傾斜接触により振動の振巾ΔTは小さくなり、
8〜15度において安定した測定に最も有効であること
が実証された。即ち、本発明の測定において、試験材A
を相手材Bに対し押し付け接触させる位置は上記角度α
が8〜15度が測定精度上、最適であると言える。
【0023】なお、本発明で円柱状試験材Aをその円心
軸上で回転させない状態で、回転しつつある相手材Bに
押し付けたまま、相手材Bの回転中心軸Oと平行に移動
させると、試験材A上に生じる固定摩耗痕Sは図5に示
す如き楕円形状となる。
【0024】そこで、この楕円形状の摩耗痕を相手材と
の接触点aにおける法線方向から観察し、円柱状試験材
Aの中心軸と平行な長軸Rの寸法を測定することによ
り、試験時間(実すべり距離)に対する最大摩耗深さ
や、試験材が表面処理材の場合には膜厚など摩耗量を幾
何形状の算式により精度よく測定することが可能であ
る。
【0025】かくして、上記の如き測定方法にもとづい
て摩耗量の測定が行われるが、本発明では試験荷重の力
線方向の力Nおよびそれから派生する力Tをその力線上
で直接ロードセルによって計測を行うことにより、更に
測定精度を高めることが可能である。
【0026】図6は上記本発明測定方法を実施するのに
用いる装置の1例を示しており、図においてBは回転可
能に配設された円柱状又は円板状の相手材であり、図示
していないが、旋盤の如き装置の被加工材取付部を取付
機構として円心軸上を回転可能に取り付けられており、
その外周に接触して円柱状試験材Aを固定し、上記相手
材Bの外周面に押し付ける円柱状試験材固定機構Mが配
設されている。
【0027】この円柱状試験材固定機構Mは角度可変式
縦横方向圧縮型ロードセル使用トライボメータの如き既
知の装置を改良することにより使用が可能であり、図6
に示す装置はかかる装置の使用例である。
【0028】上記試験材固定機構Mは、図に示すよう
に、相手材Bの外周に接触して試験材Aを保持し得るよ
うピースホルダー1が配設されており、このホルダー1
が相手材Bに対し、接触、離隔が可能であるように一連
の摺動機構を介して取着され、その前端に角度調整ボル
ト2により傾斜角度調整可能にピースホルダー1が取り
付けられている。
【0029】ここで、上記ピースホルダー1を相手材に
対し接触、離隔するための一連の摺動機構は、前記縦横
方向圧縮型ロードセル仕様トライボメーター等のベース
12上のレール13に摺動可能に架設された台車ベース
14にボルト15によってスライドユニットベース16
が固定され、更にこのスライドユニットベース16にピ
ースホルダーベース11が固定されてピースホルダーベ
ース11より延びる取付部11aに連結部10を介して
ピースホルダー1の基部3が角度調整ボルト2によって
固定されている。図中、4及び5はボルトであり、ボル
ト4の下端はスライドユニットベース16より前方に延
びた延設部の前部に連なり、ベース高さ調整ボルト6を
含むベース高さ調整ユニット7により高さ調整可能に設
けられたロードセルベース8のロードセル9に接触して
垂直方向の荷重を検知し得るようになっている。そし
て、もう一つのボルト5は、それを回転させることによ
り、連結部10を上下させることができ、試験材Aの力
線方向の力を検出するユニット21内のロードセルの中
心と、試験材Aが相手材Bと接触する点aが同心線上に
なるように調整可能に形成されている。
【0030】ピースホルダーベース11は内部にスライ
ダー17を上下動可能に保持しており、スライダー上部
には上下をOリング19で止着したスプリング18を内
蔵したロード調節スクリュー20が設けられていて、こ
のスプリングの押圧力が、試験荷重Nが負荷される前
に、上記連結部10とボルト4を介して、ロードセル9
にプレロードとして付加できるようになっている。図
中、21は試験材Aの力線方向の試験荷重を検出するロ
ードセルユニットであり、前記ベース12上における台
車ベース14に対しスライドユニットベース16の後方
で台車22に取着されており、スライドユニットベース
16と同じく摺動可能で後方よりスプリング等23によ
って押圧保持されている。そして、このロードセルユニ
ット21は試験材Aの試験荷重の力線上で、該力線方向
の力を検出せしめている。図中、24は台車のストッパ
ーである。
【0031】しかして、上記装置においてピースホルダ
ー1は、試験材Aを挟持すべくチャック型式となってお
り、図7に示すように各ボルトを回転させて角度を調整
すると共に、ベース高さ調整ユニットのボルトを回転さ
せて高さを調整し、力線方向を後方のロードセル21の
中心と一致させ、また試験荷重から派生する力線方向に
垂直な方向の荷重を前部のロードセル9により検出して
縦横両方向の荷重を計測する。かくして、上記装置より
試験荷重及びそれより派生する荷重を直接、2個のロー
ドセル即ち、前部のロードセル9とロードセルユニット
21内のロードセルによって計測が可能となり、精度の
高い計測数値を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上のように円柱状試験材を相
手材に押し付けるにあたり、その力線方向が相手材の回
転中心軸と交差しないようにしたものであり、従来方式
では振動が大きく、実用上、大きな誤差が発生して摩擦
・摩耗特性の評価が難しかったものでも、ほとんど振動
を抑えることができ、安定したデータを得ることができ
ると共に、計測に際し、その試験荷重及びそれより派生
する垂直方向の荷重が直接ロードセルによって計測可能
となるので計測精度をより向上させる顕著な効果を有し
ている。
【0033】また、本発明において試験材と相手材との
接触位置を相対的に移動させ、更に試験材を回転させな
い状態で相手材の回転中心軸と平行に移動させる等によ
り試験材の固定した特定の接触点に連続して相手材の新
生面を供給することができることから、実挙動に近い評
価ができるのみならず、試験材の特定点に連続して試験
荷重をかけることができるので経時変化の正確な計測も
でき、更に、試験材の特定点に連続して試験荷重をかけ
ることができるので、経時変化をも正確に計測できる利
点を有している。
【0034】また、一連の荷重条件下でテストが完了し
た後、条件を変えてテストする際に、試験材を少し位置
を変えて取り付けることにより、試験材の新しい面を供
試できるので、試験材の物性を全く同一のまま、新しい
条件下で試験が可能である。また常に相手材の新生面す
なわち原形が接触するので、相手材の摩耗後の形状変形
した個所の供給を避けることができ、常に楕円形状の摩
耗痕を形成でき、その長軸を計測することのみで、幾何
形状の算式により、精度の高い摩耗量の測定が可能であ
る等の特長を有し、摩擦・摩耗特性測定方法として極め
て高精度の測定方法である。なお、請求項7に係る本発
明装置はロードセルを2個配し、試験荷重とそれに垂直
な荷重の計測に頗る有効かつ実用性に富む装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)(ロ)は従来の試験材押し付けによる方
法の基本原理を示す概要図で、(イ)は斜視図、(ロ)
は側面図である。
【図2】(イ)(ロ)は本発明方法の基本原理を示す概
要図で、(イ)は斜視図、(ロ)は側面図である。
【図3】本発明方法における各方向の荷重状況を示す説
明図である。
【図4】(イ)(ロ)(ハ)は本発明方法の効果確認状
況を示し、(イ)は基本的な荷重の状況図、(ロ)は測
定できる接線力と振動の振れ巾との状況を示す図、
(ハ)は各傾斜角度における接線力に対する振動の振幅
の状況を示す図表である。
【図5】楕円形状の摩耗痕を示す概要図である。
【図6】本発明方法を実施する装置の要部概要図であ
る。
【図7】上記装置の前部一部を示す概要図である。
【符号の説明】
A 円柱状試験材 B 相手材 N 試験荷重(力線方向の力) T 力線方向に垂直な方向の力 a 接触点 O 相手材の回転中心軸 α 接触点と相手材の回転中心軸を結ぶ線が力線方向と
なす角度 S 摩擦痕 M 試験材固定機構 1 ピースホルダー 2 角度調整ボルト 6 ベース高さ調整ボルト 9 ロードセル 21 ロードセルユニット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】これを更に詳述すると、力線方向が相手材
の回転中心軸と交差する場合(図1)において、その接
線方向に垂直な力Tが相手材の回転により摩擦力として
発生する。ところが、押し付けられた円柱状試験材の相
手材との接触位置は、一応、点あるいは線状であるとし
ても、摩耗により微小的には面積をもつので、相手材の
回転方向にその長さだけ、該摩擦力による試験材固定機
構の微小たわみにより移動し、その接触摩擦面の端が力
線の中心軸線上の位置に至る。そして、試験材固定機構
がさらにたわみ、該長さの端が力線の中心軸位置を越え
て移動しようとすると、今度は試験材の接触が相手材か
ら離れる方向になり、摩擦力は解放される方向に減少す
る。このように摩擦力が減少すると、さきのたわみは回
復し、試験材はそのたわみの反撥力で元の接触位置ま
で、あるいはそれを越え更に逆にたわもうとする。この
後、再度摩擦力が回復し、再度当初のように摩擦力の方
向にたわむ。このようにして、試験中の微小な時間中に
摩擦力の脈動が発生し、その結果としてたわみに繰り返
し変動が生じ、試験中の振動を惹起していると思われる
が、本発明の如く力線方向が相手材の回転中心軸と交差
しない場合には接触位置で摩擦力に応じたたわみが発生
すると、その位置で微小面積の接触面は力線方向の接触
点位置において摩擦力とたわみ力が均衡し、その状態で
試験が行われることになり、摩擦力は安定化し、その結
果として振動が軽減され、摩擦・摩耗試験中の振動が大
幅に減少し、測定精度を高め、誤差を少なくする。
た、本発明において円柱状試験材と相手材との接触位置
を相対的に移動せしめるときは常に相手材の新生面、即
ち、原形が接触するので相手材の摩耗後の形状変形した
個所の供給を避けることができ、常時、楕円形状の摩耗
痕を形成でき、その長軸を計測するのみで、算式により
精度の高い摩耗量の測定を可能ならしめる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】このように試験荷重の力線を相手材Bの回
転中心軸Oと交差しないような状態で押し付けることに
より、従前より安定した測定が可能となるに至った経緯
については多くの実験の結果によるものであるが、次の
如き理由によるものと推定される。即ち、図3に示すよ
うに接触点aと相手材Bの回転中心軸Oを結ぶ線が力線
方向となす角度をαとし、試験荷重の力線方向の力を
N、力線方向に垂直な方向の力(接線力)をT、接触点
aにおける接線方向接線力をP、接触点aにおける接
線方向に垂直な方向の力をPとすると、図1に示す従
来方式ではN=P、T=Pであるのに対し、図2、
図3に示す本発明においてはP=Tsinα+Nco
sα、P=Tcosα−Nsinαとなり、従来方式
に比し、本発明は接線方向に垂直な方向の力Pが大き
くなる一方、接線力Pは小さくなる。これは試験材A
を相手材Bに押し付けるとき、振動の原因となる摩擦力
が接線力Pであることからすれば本発明の場合が従来
方式に比し、遙かに振動が少なくなることであり、測定
の誤差が減少されるのに寄与している。更に、観点を変
えればさきに作用において詳述したように、従来方式で
は試験中に試験材の押し付けにあたり、試験材固定機構
のたわみによる摩擦力の増加と解放が交互に繰り返さ
れ、これが微小時間中の摩擦力の脈動となって振動の原
因となるのに対し、本発明の場合は力線方向が相手材の
中心回転軸と交差しないことから、摩擦力に応じた試験
試験材固定機構のたわみが発生しても、接触位置で摩擦
力とたわみ力が均衡し、変動を起こすことなく安定した
摩擦力で試験が続行され、摩擦・摩耗試験中の振動は大
幅に減少し、測定誤差の減少が達成されるものと理解さ
れる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】また、本発明において試験材と相手材との
接触位置を相対的に移動させ、更に試験材を回転させな
い状態で相手材の回転中心軸と平行に移動させる等によ
り試験材の固定した特定の接触点に連続して相手材の新
生面を供給することができることから、実挙動に近い評
価ができるのみならず、試験材の特定点に連続して試験
荷重をかけることができるので経時変化の正確な計測
できる利点を有している。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円心軸上で回転しつつある円柱状または
    円板状の相手材外周面に円柱状試験材を交差して押しつ
    け、摩擦・摩耗特性を測定する方法において、前記円柱
    状試験材を相手に押し付ける試験荷重の力線方向が相手
    材の回転中心軸と交差しないことを特徴とする摩擦・摩
    耗特性測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の測定方法において、試験
    荷重の力線を含む平面が相手材の回転中心軸と直交する
    平面上で、円柱状試験材が相手材と接触する点と相手材
    の回転中心軸を結ぶ線が、力線方向となす角度が8〜1
    5度である摩擦・摩耗特性測定方法。
  3. 【請求項3】 円柱状試験材と相手材との接触位置を相
    対的に移動せしめる請求項1または2記載の摩擦・摩耗
    特性測定方法。
  4. 【請求項4】 円柱状試験材を相手材に押し付ける試験
    荷重の力線上と、その力線に直交しかつ相手材の回転方
    向に平行な線上とにそれぞれロードセルを配置し、試験
    荷重と、それから派生する力線方向に垂直な方向の力を
    計測する請求項1、2又は3記載の摩擦・摩耗特性測定
    方法。
  5. 【請求項5】 円柱状試験材を、その円心軸上で回転さ
    せない状態で、回転しつつある相手材に押し付けたま
    ま、相手材の回転中心軸と平行に移動させ、円柱試験材
    に相手材との接触点において摩耗痕を発生させ、摩擦・
    摩耗状態の経時変化を計測する請求項1、2、3又は4
    記載の摩擦・摩耗特性測定方法。
  6. 【請求項6】 円柱状試験材上の摩耗痕を、相手材との
    接触点における法線方向から観察し、摩耗痕が形成する
    楕円形状の、円柱状試験材の中心軸と平行な長軸の寸法
    を測定して、この数値により摩耗深さを算出する請求項
    5記載の摩擦・摩耗特性測定方法。
  7. 【請求項7】 円柱状又は円板状の相手材をそれらの円
    心軸上で回転可能に取り付ける取付機構と、円柱状試験
    材を固定する固定機構よりなり、円柱状試験材固定機構
    は相手材に対し接触、離隔可能であると共に、傾斜角度
    調整自在であり、かつ押付力に応じて生じる荷重を検出
    する検出機構を具備していることを特徴とする摩擦・摩
    耗特性測定装置。
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