JPH11269943A - 水の再利用システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トイレの洗浄、散水、洗車などに、雨水のみ
ならず浴槽水も加えた豊富な水を用いて上水使用量を節
約でき、しかも、入浴とは無関係に行われる洗濯の下洗
いなども上水を用いずに違和感なく行うことができるよ
うにして、節水効果をより一層高いものにすることがで
きる水の再利用システムの提供。 【解決手段】 浴槽水貯留槽２と雨水貯留槽１とが個別
に備えられている。そして、浴槽水貯留槽２内の水と雨
水貯留槽１内の水とを合流混合させてトイレ２４や散水
栓２５に供給する混合水供給系３２と、浴槽水貯留槽２
内の水を洗濯機２２に供給する浴槽水供給系３１とが備
えられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば戸建て住宅
などにおいて用いられる水の再利用システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】戸建て住宅などにおける水の再利用シス
テムとして、第１には、雨水を小型タンクに集水し、こ
れを庭などの散水に利用するようにしたものが提案され
ている。第２には、洗面所や浴室の洗場、洗濯機からの
生活排水を集水、浄化して貯水し、これをトイレの洗浄
や、散水、洗車等に利用するようにしたものも提案され
ている。第３には、雨水と浴槽水とをタンクに混合状態
に集水し、これを浄化して、トイレ洗浄や、散水、洗車
等に利用するようにしたものも提案されている。

【０００３】ところで、浴槽水を洗濯の下洗いに用いる
ことは、上記のようなシステムによらずとも、簡易ポン
プやバケツを用いて、日常的に行われているところであ
る。しかし、洗濯の下洗いに用いる浴槽水の量は浴槽内
の残り水のすべてではなく、一部であるのが普通であ
る。この残った浴槽水を捨ててしまうのは得策ではな
い。そのため、上記の第３のシステムでは、洗濯後も依
然浴槽内に残ってしまう浴槽水の有効利用を図るべく、
この浴槽水を雨水とともにタンクに混合状態で集水し、
再利用するようになされており、その限りにおいては、
節水に効果的なシステムであるということができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この第
３のシステムは、浴槽水と雨水とをともにタンクに混合
状態で集水する構造となっているところに最大の問題点
がある。

【０００５】つまり、集水して浄化したこれらの混合水
をトイレの洗浄や、散水、洗車等に用いることに何等の
違和感はなく、むしろ雨水のみならず浴槽水も利用して
節水効果を高め得る点で評価に値する。しかし、浄化し
たとはいえ、雨水の混入された水であり、これを、例え
ば洗濯の下洗いのために用いることは普通できない。即
ち、洗濯は、入浴後に浴槽の残り水を用いて行われるの
みならず、入浴とは無関係に行われることも多い。その
ような場合に、浴槽に残り水がなければ、実際上、下洗
いも含めて上水を使って洗濯を行うことになり、節水対
策上、必ずしも万全の節水システムであるとはいいがた
い。

【０００６】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであって、例えば上記のように入浴とは無関係に行
われる洗濯の下洗いなども上水を用いずに違和感なく行
うことができるようにして、節水効果をより一層高いも
のにすることができる、水の再利用システムを提供する
ことを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題は、浴槽水貯留
槽と雨水貯留槽とが個別に備えられると共に、浴槽水貯
留槽内の水と雨水貯留槽内の水とを合流混合させて混合
水利用側に供給する混合水供給系と、浴槽水貯留槽内の
水を浴槽水利用側に供給する浴槽水供給系とが備えられ
てなることを特徴とする水の再利用システムによって解
決される。

【０００８】即ち、本システムでは、浴槽水と雨水とが
混合されることなく個別に集水、貯留される。そして、
混合水供給系を通じて、浴槽水と雨水との混合水を利用
することができると共に、浴槽水供給系を通じて、浴槽
水のみを利用することができる。従って、例えばトイレ
の洗浄、散水、洗車などに、雨水のみならず浴槽水も加
えた豊富な水を用いることができて上水使用量を節約で
きるのみならず、例えば、入浴とは無関係に行われる洗
濯の下洗いなどを、上水を用いることなく、浴槽水供給
系からの浴槽水を用いて違和感なく行うことができ、節
水効果をより一層高いものにすることができる。

【０００９】上記のシステムにおいては、混合水供給系
のポンプと浴槽水供給系のポンプとが共通のポンプから
なり、雨水貯留槽とこのポンプを結ぶ配管系に開閉弁が
設けられると共に、このポンプと浴槽水利用側とを結ぶ
配管系に流れ感知センサーが設けられ、この流れ感知セ
ンサーによる流れの感知信号に基づいて開閉弁が雨水貯
留槽とポンプとを結ぶ配管系を閉じ、浴槽水利用側に浴
槽水貯留槽内の水のみが供給されるものとなされている
ものとするのが好ましい。

【００１０】即ち、上記のような併用ポンプを用いた供
給系とすることにより、ポンプコストを低く抑えること
ができ、システムを低コストにて提供することが可能と
なる。また、ポンプのメンテナンスも容易になる。しか
も、混合水供給系と浴槽水供給系とに用いられる配管の
合計長さを短いものにすることができ、簡素な配管系を
実現できる。

【００１１】また、浴槽水貯留槽と雨水貯留槽とが地下
設置式とされることにより、地上スペースを広く確保す
ることができると共に、各槽の容量を大きく確保するこ
とができる。のみならず、各槽への集水を水頭差を利用
してポンプレスにて行うことが可能となる。

【００１２】更に、浴槽水貯留槽への浴槽水集水系が三
方弁を介して浴槽用の追焚配管系に接続されることによ
り、浴槽からの集水を終えた後も浴槽には若干量の浴槽
水が残され、この若干量の浴槽水を浴槽の洗浄に有効利
用することができる。しかも、追焚配管系に三方弁を介
設し、これに浴槽水集水系を接続するだけでよいから、
簡素な構成にて浴槽水を貯留槽に集水することができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。

【００１４】図１に示す水の再利用システムないしは水
の有効利用システムは、主として、戸建て住宅を対象と
したものである。このシステム構成図において、１は雨
水貯留槽、２は浴槽水貯留槽であり、これらの槽１，２
は個別に備えられていて、雨水は雨水貯留槽１に、浴槽
水は浴槽水貯留槽２にと個別に集水されるようになされ
ている。これら貯留槽１，２は、浴室近くの地中に設置
されている。Ｇは地面である。なお、各槽１，２の容量
は、集水可能な雨水量や浴槽水量などを勘案し総合的視
点から決められるが、具体的一例を挙げれば、雨水貯留
槽１の容量は例えば８６０リットル、浴槽水貯留槽２は
例えば３００リットルである。

【００１５】雨水は、建物の雨立て樋３から、泥沈殿用
の雨水桝４と、フィルター５を経由して雨水貯留槽１に
集水される。集水は水頭差を利用して行われる。

【００１６】また、浴槽水は、次のようにして浴槽水貯
留槽２に集水される。即ち、浴槽水貯留槽２に連絡され
た集水配管６が、三方弁７を介して、浴槽８の追焚き配
管９に接続されており、三方弁７を集水配管６側に開く
ことにより、浴槽８内の浴槽水が、追焚き配管９及び配
管６を通じて、浴槽水貯留槽２内に集水されるようにな
されている。浴槽水の集水も水頭差を利用してポンプレ
スにて行われる。なお、１０はガス給湯機であり、１１
は追焚き循環金具である。追焚き循環金具１１は浴槽８
内の側面の底寄りの位置に設置されている。

【００１７】三方弁７は、タイマースイッチ１２によ
り、所定の時間だけ浴槽水貯留槽２側に開いて浴槽水を
貯留槽２に回収したのち、自動的に閉じられるようにな
されている。タイマースイッチ１２は、浴室ないしは浴
室と隣接した洗面所などに設置されるのが好ましい。浴
槽水貯留槽２には、簡易な電解殺菌器１３が備えられて
おり、エアーポンプにて槽内を循環し貯留水が殺菌処理
されるようになされている。なお、図４には、雨水集水
系４１と浴槽水集水系４２とをそれぞれ太線にて示して
いる。

【００１８】そして、地上には、ポンプ１４を内臓する
制御ユニット１５が設置されている。ポンプ１４の入口
側に接続された配管は途中で分岐され、一方の分岐配管
１６が雨水貯留槽１内に延ばされると共に、もう一方の
分岐配管１７が浴槽水貯留槽２内に延ばされている。ま
た、ポンプ１４の出口側に接続された配管も途中で分岐
され、一方の分岐配管１８は洗濯機２２に延ばされ、洗
濯用の水栓２３に接続されている。また、もう一方の分
岐配管１９は、途中で更に分岐され、その一方の孫分岐
配管１９ａはトイレ２４に延ばされ、使用後の便器を洗
浄する便器洗浄水の水栓２５に接続されている。また、
もう一方の孫分岐配管１９ｂは散水や洗車に用いられる
キー付き散水栓２６に接続されている。

【００１９】そして、上記の制御ユニット１５内におい
て、洗濯機２２に延ばされた分岐配管１８には、フロー
センサー、即ち流れ感知センサー２７が設けられ、洗濯
用の水栓２３の開閉を検知するようになされている。ま
た、制御ユニット１５内において、雨水貯留槽１内に延
ばされた分岐配管１６には、開閉弁としての電磁弁２８
が介設されている。そして、制御ユニット１５には、流
れ感知センサー２７からの流れ感知信号を受け、常時は
開の電磁弁２８に閉の制御信号を出力する制御部２９が
備えられている。

【００２０】上記のシステムでは、洗濯機２２用の水栓
２３を開くと、水圧差によりポンプ１４が駆動し、流れ
感知センサー２７が水の流れを感知して、電磁弁２８が
閉じられる。これにより、浴槽水貯留槽２内の浴槽水の
みが洗濯機２２に供給される。その供給系を図２に太線
で示す。この太線が浴槽水供給系３１である。この浴槽
水供給系３１を利用することによって、浴槽８の水をバ
ケツや簡易ポンプにて洗濯機２２に汲み入れるというよ
うな労力と手間を要する厄介な家事を日常生活から排除
してしまうことが可能となる。

【００２１】一方、洗濯機２２用の水栓２３を閉じた状
態では、電磁弁２８は開かれており、その状態で、トイ
レ２４の便器洗浄水を流したり、散水栓２６を開いたり
すると、水圧差によりポンプ１４が駆動し、流れ感知セ
ンサー２７は流れを感知せず、雨水貯留槽１内の雨水と
浴槽水貯留槽２内の浴槽水とがともにポンプ１４側へと
吸い上げられ、合流、混合されてトイレ２４の便器や散
水栓２６に供給される。その供給系を図３に太線で示
す。この太線が混合水供給系３２である。

【００２２】なお、上記システムでは、雨水貯留槽１と
浴槽水貯留槽２とにそれぞれ上水供給系３３が連絡され
ており、各槽１，２に上水が補給されるようになってい
る。各貯留槽１，２における上水の補給は電極棒制御に
よってそれぞれに行われるようになされている。また、
洗濯機２２箇所には上水栓３５も備えられており、本洗
いやすすぎに上水を使用できるようになっている。ま
た、トイレ２４には温水洗浄弁座用と手洗い用の上水栓
３６が備えられている。３７は流量メーター、３８，３
９は点検用の蓋、４５，４６は各槽１，２におけるオー
バーフロー水を流出させる配管である。

【００２３】以上に、本発明の一実施形態を示したが、
本発明は、これに限定されるものではなく、発明思想を
逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上
記実施形態では、洗濯機２２を浴槽水利用側の代表的一
例として説明したが、これに限られるものではない。要
は、雨水ないしは雨水が混合された水の利用が不向き
で、しかも上水を使用するまでもなく、浴槽水で充分で
あるというような各種の利用側において利用されてよ
い。また、上記実施形態では、浴槽水が量的にも水質的
にも中水として再利用に最も適していることから、浴槽
水貯留槽２に浴槽水のみを集水するシステムとしている
が、この浴槽水貯留槽２には、浴槽水に加え、他の中水
を集水するようにしてもよい。また、浴槽水貯留槽２に
は、生活スタイルに応じて、浴槽水以外の他の中水を集
水するようにしてもよい。

【００２４】

【発明の効果】上述の次第で、本発明の水の再利用シス
テムは、浴槽水貯留槽と雨水貯留槽とが個別に備えられ
ると共に、浴槽水貯留槽内の水と雨水貯留槽内の水とを
合流混合させて混合水利用側に供給する混合水供給系
と、浴槽水貯留槽内の水を浴槽水利用側に供給する浴槽
水供給系とが備えられたものであるから、例えばトイレ
の洗浄、散水、洗車などに、雨水のみならず浴槽水も加
えた豊富な水を用いることができて、上水使用量を節約
できるのみならず、例えば、入浴とは無関係に行われる
洗濯の下洗いなどを、上水を用いることなく、浴槽水供
給系からの浴槽水を用いて違和感なく行うことができ、
節水効果をより一層高いものにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシステム構成図である。

【図２】浴槽水供給系を示すシステム構成図である。

【図３】雨水と浴槽水との混合水供給系を示すシステム
構成図である。

【図４】雨水と浴槽水の各集水系を示すシステム構成図
である。

【符号の説明】

１…雨水貯留槽 ２…浴槽水貯留槽 ７…三方弁 ８…浴槽 ９…追焚き配管 １４…ポンプ ２２…洗濯機 ２４…トイレ ２６…散水栓 ２７…流れ感知センサー ２８…電磁弁（開閉弁） ２９…制御部 ３１…浴槽水供給系 ３２…混合水供給系 ４１…雨水集水系 ４２…浴槽水集水系

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 浩明 大阪府大阪市西区阿波座１丁目５番16号 大和ハウス工業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽水貯留槽と雨水貯留槽とが個別に備
   えられると共に、 浴槽水貯留槽内の水と雨水貯留槽内の水とを合流混合さ
   せて混合水利用側に供給する混合水供給系と、 浴槽水貯留槽内の水を浴槽水利用側に供給する浴槽水供
   給系とが備えられてなることを特徴とする水の再利用シ
   ステム。
2. 【請求項２】 混合水供給系のポンプと浴槽水供給系の
   ポンプとが共通のポンプからなり、雨水貯留槽とこのポ
   ンプを結ぶ配管系に開閉弁が設けられると共に、このポ
   ンプと浴槽水利用側とを結ぶ配管系に流れ感知センサー
   が設けられ、この流れ感知センサーによる流れの感知信
   号に基づいて開閉弁が雨水貯留槽とポンプとを結ぶ配管
   系を閉じ、浴槽水利用側に浴槽水貯留槽内の水のみが供
   給されるものとなされている請求項１に記載の水の再利
   用システム。
3. 【請求項３】 浴槽水貯留槽と雨水貯留槽とが地下に設
   置されている請求項１に記載の水の再利用システム。
4. 【請求項４】 浴槽水貯留槽への浴槽水集水系が三方弁
   を介して浴槽用の追焚配管系に接続されている請求項１
   又は３に記載の水の再利用システム。