JPH11263860A - 撥水性酸化珪素皮膜 - Google Patents

撥水性酸化珪素皮膜

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JPH11263860A
JPH11263860A JP6590298A JP6590298A JPH11263860A JP H11263860 A JPH11263860 A JP H11263860A JP 6590298 A JP6590298 A JP 6590298A JP 6590298 A JP6590298 A JP 6590298A JP H11263860 A JPH11263860 A JP H11263860A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ほぼ常温で形成され、かつフッ素を含有せず
に、良好な透明性を有するとともに高い撥水性を有する
酸化珪素皮膜を提供する。 【解決手段】本発明の撥水性酸化珪素皮膜は、有機珪素
化合物ガスを用いて低温プラズマにより生成された反応
生成物を基材の表面上に堆積させることにより形成さ
れ、主として酸化珪素からなるとともに、凹凸の最大高
低差が50〜330nmの範囲内にあって、かつ平均二
乗面粗さの値が8〜45nmの範囲内にある表面形態を
有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面上に形
成され、主として酸化珪素からなる酸化珪素皮膜に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガラス製品、樹脂製品、木材
製品、繊維及び建材などの基材の表面に、主として酸化
珪素からなる酸化珪素皮膜を形成することが試みられて
いる。このような酸化珪素皮膜は無色透明でかつ硬質で
あるため、基材の色調を損なうことなく、基材の表面を
外部から保護することができる。
【0003】酸化珪素はそれ自身高い親水性を有する。
従って、平滑な表面形態を有する酸化珪素皮膜では、そ
の表面に付着した水は濡れ広がって拭き取りにくいもの
となってしまう。そこで、エッチング法により酸化珪素
皮膜の表面に凹凸を形成したり、あるいはフッ素を添加
したりして、その酸化珪素皮膜に撥水性を付与する試み
がなされている。しかし、酸化珪素皮膜の表面をエッチ
ングすると、エッチング粒子の衝突エネルギーによって
酸化珪素皮膜だけでなく基材も高温となり、また損傷を
受ける。従って、耐熱性の低い基材を用いる場合、変形
や変色等の要因となるため、好ましくない。また、フッ
素を含有させたものでは、成膜プロセスが複雑になるな
どして、成膜コストが高くなってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、ほぼ常温で形成され、かつフ
ッ素を含有せずに、良好な透明性を有するとともに高い
撥水性を有する撥水性酸化珪素皮膜を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく、有機珪素化合物ガスを用いて低温プラ
ズマにより生成された反応生成物を基材の表面上に堆積
させることにより、主として酸化珪素からなる酸化珪素
被膜を形成するときに、低温プラズマのエネルギー状
態、有機珪素化合物ガスの導入量及び撥水性酸化珪素皮
膜が形成される基材の表面の位置を様々に変えて、表面
形態の異なる酸化珪素皮膜を形成した結果、これらのパ
ラメータを最適化することにより、凹凸の最大高低差が
50〜330nmの範囲内にあって、かつ自乗平均平方
根粗さの値が8〜45nmの範囲内にある表面形態が形
成されることを発見し、これらの条件が満たされる酸化
珪素皮膜では、良好な透明性が得られるとともに高い撥
水性が得られることを見いだした。本発明はこのような
知見に基づいてなされたものである。
【0006】すなわち、本発明の撥水性酸化珪素皮膜
は、有機珪素化合物ガスを用いて低温プラズマにより生
成された反応生成物を基材の表面上に堆積させることに
より形成され、主として酸化珪素からなるとともに、凹
凸の最大高低差が50〜330nmの範囲内にあって、
かつ自乗平均平方根粗さの値が8〜45nmの範囲内に
ある表面形態を有することを特徴とする。
【0007】本発明の撥水性酸化珪素皮膜は、有機珪素
化合物ガスを用いて低温プラズマにより生成された反応
生成物を基材の表面上に堆積させることにより形成され
るため、ほぼ常温で形成される。それゆえ、耐熱性の低
い基材の表面にも容易に形成することができる。なお、
低温プラズマには、マイクロ波、高周波、低周波、直流
及び交流などのエネルギーを利用して低圧放電により発
生させたものを用いることができる。
【0008】本発明の撥水性酸化珪素皮膜を特徴づける
凹凸の最大高低差とは、皮膜の表面に形成される凸凹に
おいて、最大の高さにある凸部の高さと最低の高さにあ
る凹部の高さとの差を言う。また、自乗平均平方根粗さ
とは、図6に示される粗さ曲線において、この粗さ曲線
をy=f(x)で表したときに、数1で求められる値の
ことをいう。
【0009】
【数1】 表面の凹凸の最大高低差が330nmを超えたり、ある
いは自乗平均平方根粗さの値が45nmを超えると、透
過光が散乱されて良好な透明性が得られなくなる。一
方、凹凸の最大高低差が50nm未満であったり、ある
いは自乗平均平方根粗さの値が8nm未満であると、高
い撥水性が得られなくなる。
【0010】この撥水性酸化珪素皮膜では、表面の凹凸
の最大高低差が330nm以下にあり、かつ自乗平均平
方根粗さの値が8nm以上であるため、光散乱がほとん
ど生じることがなく、良好な透明性が得られる。それゆ
え、この撥水性酸化珪素皮膜により基材の色調が損なわ
れることなく、基材の表面を保護することができる。こ
の撥水性酸化珪素皮膜では、表面の凹凸の最大高低差が
50nm以上であり、かつ自乗平均平方根粗さの値が8
nm以上であるため、良好な撥水性が得られる。特に、
超撥水性を有するものでは、皮膜の表面に付着した水滴
は、はじかれてほぼ球状になる。この水滴は極めて容易
に拭き取ることができ、皮膜の面が水平面に対してある
程度傾いていれば、重力により転がり落ちたりしてほと
んど自然に除去される。また、フッ素を含有せずに撥水
性が得られるため、比較的安価な成膜コストで成膜でき
る。
【0011】ところで、本発明の撥水性酸化珪素皮膜で
は、有機珪素化合物はフッ素を含有しないオルガノシラ
ンであることが好ましい。低温プラズマによるオルガノ
シランの反応生成物では、低い表面エネルギーが得られ
る。それゆえ、撥水性が向上する。また、本発明の撥水
性酸化珪素皮膜では、前記オルガノシランは、テトラメ
チルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ヘキサメチルジシラン及びヘキサメチル
ジシロキサンの少なくとも一種であることが好ましい。
これらのオルガノシランは、蒸気圧が高いため蒸発しや
すく、加熱したりキャリアガス等を用いたりしなくても
安定して原料ガスの供給ができる。また、比較的安全性
に優れるため扱いやすく、また安価であるため、成膜コ
ストを低減することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の撥水性酸化皮膜の実施の
形態を実施例を挙げて以下に説明する。 (実施例1)本実施例の撥水性酸化珪素皮膜は、基材に
ガラス基板(マツナミガラス製マイクロスライドガラ
ス、サイズ;約48mm×48mm、厚さ0.8〜1.
0mm)及びシリコン基板(信越化学製、サイズ25m
m×25mm、厚さ525〜575μm)の2種類を用
い、有機珪素化合物ガスにはテトラメチルシラン(TM
S)ガスを用いて成膜した。
【0013】成膜装置には、マイクロ波で低圧放電を起
こさせて低温プラズマを発生させ、原料ガスをこの低温
プラズマ中に導入することにより、基材の表面上に反応
生成物を堆積させて皮膜を形成するマイクロ波プラズマ
CVD装置を用いた。本実施例で使用した成膜装置は、
リモート方式と呼ばれる成膜方式を採用したもので、図
1に概略的に示されるように、真空チャンバー10、低
温プラズマ発生容器12、マイクロ波供給器14、有機
珪素化合物導入器16とから構成され、低温プラズマ1
8中で生成される反応生成物を下方に設置した基材20
の表面上に堆積させることができる。
【0014】真空チャンバー10は、真空ポンプ10a
と接続されて大気圧と1Paの真空度の間で気圧制御が
可能な密閉容器である。真空ポンプ10aにはロータリ
ーポンプを用いた。真空チャンバー10内の圧力はピラ
ニゲージ10bにより測定することができる。この容器
内に設けられた基板ホルダー10c上に基材20が設置
される。この基板ホルダー10cは上下方向に可動で、
基材20の表面の位置を低温プラズマ18の下方の任意
の位置に設定することができる。
【0015】低温プラズマ発生容器12は、一端が閉じ
られ、かつ他端が開口した筒状の石英管(サイズ;長さ
270mm、内径51mm、外径57mm)で、他端は
真空チャンバー10の天井部分を貫通している。この低
温プラズマ発生容器12内を所定の真空度とし、容器内
にマイクロ波供給器14から所定のマイクロ波を送り込
むと、低圧放電が生じて安定した低温プラズマ18が発
生する。
【0016】マイクロ波供給器14は、所定の出力のマ
イクロ波を発生できるマイクロ波電源14aと、一端で
マイクロ波電源14aに接続される導波管14bと、一
端で導波管14bに接続され他端で低温プラズマ発生容
器12に接続されるキャビティー14cとから構成され
る。このマイクロ波供給器14では、導波管14bに取
り付けられたスリースタブチューナーおよびプランジャ
ーによりマイクロ波の入射波と反射波を調節して所定の
強さのマイクロ波を低温プラズマ発生容器12内に送る
ことができる。
【0017】有機珪素化合物導入器16は、TMSガス
を真空チャンバー10内に供給するもので、有機珪素化
合物供給源16a及び導管16bからなる。導管16b
のガス吹出口は、低温プラズマ18の中心より90mm
下方の位置に、かつ基材20の表面に向けられて設置さ
れている。有機珪素化合物ガスの導入量は、導管16b
に取り付けられたニードルバルブ16cにより調節する
ことができる。
【0018】また、有機珪素化合物導入器16とは別
に、アルゴンガスを真空チャンバー10内に導入するア
ルゴンガス導入器22が設けられている。このアルゴン
ガス導入器22はアルゴンガス供給源22a及び導管2
2bからなる。導管22bのガス吹出口は、導管16b
のガス吹出口と近接する位置において、基材20の表面
に向けられて固定されている。アルゴンガスの導入量
は、導管22bに取り付けられたマスフローコントロー
ラ22cにより調節することができる。
【0019】上記のマイクロ波プラズマCVD装置を用
い、次の手順で撥水性酸化珪素皮膜を成膜した。基材2
0としてガラス基板及びシリコン基板を真空チャンバー
10内の所定位置に並置した後、真空ポンプ10aによ
って真空チャンバー10内及び低温プラズマ発生容器1
2内を1Paまで真空引きした。ここでの基材20の設
置位置は、基材20の表面の位置が導管16bのガス吹
出口より10mm下方となる位置とした。また、この真
空引きにより、真空チャンバー10内の酸素量が大気に
比べて相当に少なくなった。
【0020】続いて、有機珪素化合物導入器12より所
定量のTMSガスを真空チャンバー10内に導入した。
ここでのTMSガスの導入量は、真空チャンバー10内
における圧力に基づいて調整した。ここでは、それぞれ
表1の試料1〜3の欄に併記される圧力とした。マイク
ロ波電源14の出力を300Wとして、低温プラズマ発
生容器12内で低圧放電を起こさせ、低温プラズマ18
を発生させた。TMSガスの導入量を維持しつつ、この
出力の低温プラズマを60分間維持して、基材の表面上
に撥水性酸化珪素皮膜を成膜した。
【0021】なお、基材20の温度は低温プラズマ18
の放射熱などにより上昇するが、基材20の表面の位置
がガス吹出口より10mm下方の位置にあるときで約6
0℃程度に上昇するのみで、基材に影響を与えるもので
はなかった。 (比較例1)TMSガスの導入量を表1の比較試料1及
び2の欄に示される圧力とした他は、実施例1と同様に
して酸化珪素皮膜をそれぞれ成膜した。 (実施例2)TMSガスとともにアルゴンガス導入器2
2よりアルゴンガスを真空チャンバー10内に導入し、
TMSガスの導入量を分圧にして20Paとし、アルゴ
ンガスの導入量を分圧にして30Paとした他は、実施
例1と同様にして撥水性酸化珪素皮膜を成膜した。な
お、基材20の設置位置は、基材20の表面の位置が導
管16bのガス吹出口より10mm下方となる位置とし
た。この撥水性酸化珪素皮膜を試料4とした。
【0022】この試料4の成膜速度は160nm/mi
nであった。一方、試料1の成膜速度は約40nm/m
inであった。双方ともTMSガスの導入量は同じであ
るにも関わらず、試料4の方が成膜速度が大きいことか
ら、TMSガスとともにアルゴンガスを導入することに
より、皮膜の成膜速度が大きくなることがわかる。 (実施例3)有機珪素化合物にトリメチルメトキシシラ
ン(TMMOS)を用い、TMMOSガスの導入量を表
2の試料5〜8の欄に示される圧力にした他は、実施例
1と同様にして撥水性酸化珪素皮膜をそれぞれ成膜し
た。なお、基材20の設置位置は、基材20の表面の位
置が導管16bのガス吹出口より10mm下方となる位
置とした。 (比較例3)TMMOSガスの導入量を圧力にして20
0Paとした他は、実施例3と同様にして酸化珪素皮膜
を成膜した。この酸化珪素皮膜を比較試料4とした。 (実施例4)基材20の設置位置を、基材20の表面の
位置が導管16bのガス吹出口より表1に示される距離
だけ下方となる位置とし、かつTMMOSガスとともに
アルゴンガス導入器22よりアルゴンガスを真空チャン
バー10内に導入し、TMMOSガスの導入量を表2の
試料9〜12の欄に示される分圧とし、アルゴンガスの
導入量を分圧にして30Paとした他は、実施例3と同
様にして酸化珪素皮膜をそれぞれ成膜した。
【0023】なお、試料9の成膜速度は約130nm/
minであった。一方、試料5の成膜速度は30nm/
minであった。双方ともTMMOSガスの導入量は同
じであるにも関わらず、試料9の方が成膜速度が大きい
ことから、TMSガスとともにアルゴンガスを導入する
ことにより、皮膜の成膜速度が大きくなることがわか
る。 (比較例4)TMMOSガスの導入量を表2の比較試料
5〜7の欄に示される圧力とした他は、実施例1と同様
にして酸化珪素皮膜をそれぞれ成膜した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】 [組成及び表面形態の評価]上記で得られた各試料及び
各比較試料について、構成分子の結合形態をフーリエ変
換赤外分光光度計(FTIR)(日本分光工業株式会社
製FT−IR5300)を用いてそれぞれ検討した。こ
のFTIRは、赤外領域にある電磁波を試料に透過さ
せ、そのときに透過した電磁波の透過率を測定すること
ができる装置である。本測定では、シリコン基板に成膜
した試料を用いて測定を行った。図2に、試料5及び比
較試料7について、透過させた電磁波の波数に対する透
過率の変化をそれぞれ示す。
【0026】図2より、いずれの皮膜においてもSi−
O−Siの結合形態に由来する吸収ピークが強く見られ
る。従って、試料5及び比較試料7は、主として酸化珪
素によりなることがわかる。また、他の試料及び比較試
料についても、ここではそれらの測定結果を図示しない
が、Si−O−Siの結合形態に由来する吸収ピークが
強く見られ、主として酸化珪素によりなることがわかっ
た。なお、Si−CH 3の結合形態は、皮膜の表面エネ
ルギーの低下に寄与していると考えられる。
【0027】また、各試料及び各比較試料について、そ
れらの表面における凹凸の最大高低差及び自乗平均平方
根粗さを原子間力顕微鏡(AFM)(セイコー電子工業
社製SPI−3600)を用いてそれぞれ測定した。プ
ローブには、オリンパス光学工業製マイクロカンチレバ
ー(OMCL−TR400PSA)を用いた。また、シ
リコン基板に成膜した試料を用いて測定を行った。測定
長さlは1μmで、1μm×1μmの測定範囲で測定を
行った。その結果を表1及び表2に示す。 [光透過性の評価]次に、各試料及び各比較試料につい
て、ダブルビーム分光光度計(島津製作所製UV−31
01PC)を用い、400〜800nmの可視光領域に
おける可視光透過率をそれぞれ測定した。本測定では、
ガラス基板に成膜した試料を用いて測定を行った。ガラ
ス基板の光透過率は93%である。参照試料には空気を
用いた。
【0028】図3には、試料4についての測定結果を示
した。図4には、試料9〜12についての測定結果を例
示した。図5には、試料14についての測定結果を示し
た。図3〜5からわかるように、試料4、試料9〜12
及び試料14はいずれも、400〜800nmの可視光
領域において、全ての波長又はほとんど全ての波長で8
0%以上の光透過率を有することがわかる。このような
光透過率を有するものには、表1及び表2の透明性の欄
に○を記した。特に、試料9〜11は、400〜800
nmの可視光領域において、全ての波長で90%以上の
光透過率を有することがわかる。このような光透過率を
有するものには、表1及び表2の透明性の欄に◎を記し
た。
【0029】一方、400〜800nmの可視光領域に
おいて、全ての波長又はほとんど全ての波長で80%未
満の光透過率を有するものには、表1及び表2の透明性
の欄に×を記した。表1及び表2からわかるように、凹
凸の最大高低差が50〜330nmの範囲内にあって、
かつ自乗平均平方根粗さの値が8〜45nmの範囲内に
ある表面形態を有する試料はいずれも、400〜800
nmの可視光領域において、ほとんど全ての波長で80
%以上の光透過率を有することがわかる。 [撥水性の評価]続いて、各試料及び各比較試料につい
て、液滴法により蒸留水の静的接触角(液滴径約2mm
φ)を測定することにより、それらの撥水性を評価し
た。ここでは、接触角計(協和界面科学製、CA−X1
50型)を用い、25℃の雰囲気下で静的接触角(°)
を測定した。その測定結果を表1及び表2に併記した。
【0030】表1及び表2からわかるように、凹凸の最
大高低差が50〜330nmの範囲内にあって、かつ自
乗平均平方根粗さの値が8〜40nmの範囲内にある表
面形態を有する試料はいずれも、静的接触角が80°以
上であることがわかる。静的接触角が80°以上である
もので高い撥水性が得られる。特に、本測定装置では、
140°以上の静的接触角が測定されれば超撥水性を有
すると言える。試料12は、良好な透明性を有する上
に、147.3°と140°以上の超撥水性を有するも
のである。
【0031】また、表2からわかるように、試料13及
び試料14の静的接触角は、試料5及び試料6の同じT
MMOSガスの導入量のものに比べてそれぞれ大きい。
このことから、TMMOSガスとともにアルゴンガスを
導入することにより、撥水性酸化珪素皮膜の撥水性を大
きくすることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の撥水性酸化珪素皮膜の成膜に使用し
た成膜装置の概略図である。
【図2】実施例3及び比較例4の各撥水性酸化珪素皮膜
についての透過させた電磁波の波長数に対する透過率の
変化を示すグラフをそれぞれ例示したものである。
【図3】実施例2の撥水性酸化珪素皮膜についての可視
光領域での光透過率を示すグラフである。
【図4】実施例4の各撥水性酸化珪素皮膜についての可
視光領域での光透過率を示すグラフをそれぞれ示したも
のである。
【図5】実施例4の撥水性酸化珪素皮膜についての可視
光領域での光透過率を示すグラフをそれぞれ示したもの
である。
【図6】自乗平均平方根粗さを算出する際の粗さ曲線を
示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機珪素化合物ガスを用いて低温プラズ
    マにより生成された反応生成物を基材の表面上に堆積さ
    せることにより形成され、主として酸化珪素からなると
    ともに、凹凸の最大高低差が50〜330nmの範囲内
    にあって、かつ自乗平均平方根粗さの値が8〜45nm
    の範囲内にある表面形態を有することを特徴とする撥水
    性酸化珪素皮膜。
  2. 【請求項2】 前記有機珪素化合物はフッ素を含有しな
    いオルガノシランである請求項1に記載の撥水性酸化珪
    素系皮膜。
  3. 【請求項3】 前記オルガノシランは、テトラメチルシ
    ラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
    シラン、ヘキサメチルジシラン及びヘキサメチルジシロ
    キサンの少なくとも一種である請求項2に記載の撥水性
    酸化珪素系皮膜。
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