JPH11262779A - 人工浄水構造体及びそれを備えたダム及び浄水方法 - Google Patents

人工浄水構造体及びそれを備えたダム及び浄水方法

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JPH11262779A
JPH11262779A JP10143434A JP14343498A JPH11262779A JP H11262779 A JPH11262779 A JP H11262779A JP 10143434 A JP10143434 A JP 10143434A JP 14343498 A JP14343498 A JP 14343498A JP H11262779 A JPH11262779 A JP H11262779A
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water
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artificial
filtration layer
water purification
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Toshihiko Yahiro
俊彦 八尋
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TECH KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自然の環境による自然な浄水作用に近い状態で
雨水や川水等を浄化することができ、飲料水として好適
で、しかもミネラル分を含むおいしい水をつくることが
できる人工浄水構造体を提供する。 【解決手段】人工浄水構造体Aは、斜面を有する地形を
含む堤分1と、その内部に積層して設けてある濾過層3
と、その底部に設けてある底部構造体2と、それにより
集められた水を送給する取水管21と、濾過層3に被処
理水を供給する給水装置5とを備えている。取水管21
は、保守用通路4に沿って設けてある。濾過層3は少な
くとも風化花崗岩層32、石灰岩層33を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工浄水構造体及び
それを備えたダム及び浄水方法に関するものである。更
に詳しくは、自然環境による自然な浄水に近い状態で雨
水や川水等を浄化することができ、飲料水として好適で
しかもミネラル分を含むおいしい水をつくることができ
る人工浄水構造体及びそれを備えたダム及び浄水方法に
関するものである。
【0002】
【従来技術】水は形を様々に変えながら各種生態系と深
い関わりを持ち、地球上を循環している。例えば、地表
に降り注いだ雨は土壌にしみこみ、長い時間をかけて濾
過されて標高の低い所から地表に湧き出る。そして、流
れが集まり、川となって海に流れ込む。この過程におい
て、飲料水として一般的な水道水は、川の水を浄水施設
において浄化してつくられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
な飲料水をつくるための上記浄水施設には、次のような
課題があった。すなわち、浄水施設では濾過等により被
処理水を清澄化した後で、水に塩素(カルキ)を入れて
殺菌するようにしている。これにより、飲料水中の雑菌
はほとんどなくなるが、猛毒で本来は人体に害を及ぼす
塩素を、例え微量とはいっても飲料水の殺菌に使用する
ことは好ましくなく、また、独特の悪臭が伴うという問
題もある。
【0004】そこで、一般家庭等においては、塩素その
他の不純物を除去することができる浄水器が普及してき
ている。けれども、浄水器で浄化した水は、無味無臭で
蒸留水にごく近い水であり、例えば、ミネラル分をバラ
ンスよく含み、いわゆる銘水といわれる水と相違して、
おいしく飲める水ではない。また、雑菌がごく少なく、
あまりにもきれいな水であるため、長期にわたり継続し
て飲むことにより、人体の抵抗力が弱くなってしまい、
かえって病気になりやすくなるという問題も報告されて
いる。
【0005】本発明は、上記課題を解消するもので、自
然環境による自然な浄水に近い状態で雨水や川水等を浄
化することができ、飲料水として好適でしかもミネラル
分を含むおいしい水をつくることができる人工浄水構造
体及びそれを備えたダム及び浄水方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明
にあっては、自然の地形を利用した人工浄水構造体であ
って、斜面を有する地形を含む堤部と、上記堤部の内部
に積層して設けられ、被処理水を濾過する濾過層と、上
記堤部の内底部または上記濾過層下部に設けられ、集水
機能を有する底部構造体と、上記底部構造体で集められ
た水を送給する取水手段と、上記濾過層に被処理水を供
給する給水装置と、を備えており、上記濾過層は、少な
くとも風化花崗岩層及び石灰岩層を含んでいることを特
徴とする、人工浄水構造体である。
【0007】第2の発明にあっては、人工浄水構造体で
あって、地中または地上に積層して設けられ、被処理水
を濾過する濾過層と、当該濾過層の下部に設けられ、集
水機能を有する底部構造体と、当該底部構造体で集めら
れた水を送給する取水手段と、上記濾過層に被処理水を
供給する給水装置と、を備えており、上記濾過層は、少
なくとも風化花崗岩層及び石灰岩層を含んでいることを
特徴とする、人工浄水構造体である。
【0008】第3の発明にあっては、底部構造体の下部
に土圧受構造体を備えており、当該土圧受構造体は、上
記底部構造体を通ってかかる土圧を受ける透水可能な土
圧受部を有し、濾過水は当該土圧受部を通り土圧がかか
る方向とは交差する方向へ誘導するようにしてあること
を特徴とする、第1または第2の発明に係る人工浄水構
造体である。
【0009】第4の発明にあっては、堰堤部を有し、当
該堰堤部の内側または外側に第1、第2または第3の発
明に係る人工浄水構造体を並設したことを特徴とする、
人工浄水構造体を備えたダムである。
【0010】第5の発明にあっては、斜面を有する地形
を含む堤部の内部または地中または地上に積層して設け
られ、少なくとも風化花崗岩及び石灰岩を含んでいる濾
過層に被処理水を供給し、濾過された水を取水すること
を特徴とする、浄水方法である。
【0011】堤部としては、例えば、両側に傾斜面を有
する峡谷等が利用できる。また、四方または全周を傾斜
面で囲まれた地形も利用できる。濾過層形成部として
は、特に限定はしないが、例えば、地中に設けられるも
のとしては地表から地中へ掘られた穴あるいはその穴に
コンクリート等で形成された筒体や箱体を埋設した構造
等があげられる。また、地上に設けられるものとして
は、コンクリート等で形成された筒体や箱体を載置した
構造等があげられる。
【0012】濾過層は、人工的に設けてあるもので、風
化花崗岩(花崗岩を含む)層、石灰岩層の他、例えば、
他の岩石層、植物層、イオン交換を行う合成樹脂層、木
炭等を使用した炭化物層あるいは残土層などを積層また
は堆積させて形成される。この濾過層の高さは、通常は
数十mまでの高さに設定されるが、堤部を形成する地形
その他の側部の構造によっては、それ以上の高さに設定
することも可能である。
【0013】底部構造体は、通常コンクリートにより形
成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、
金属、合成樹脂等を使用して形成してもよい。底部構造
体の構造は、例えば、摺鉢状または傾斜板状であり、最
底部には取水口が設けてあるものである。取水手段は、
ポンプや送水管等を備えており、底部構造体によって集
められた水を貯水槽等に送給するものである。給水装置
は、通常、川水等をシャワー状に散水する構造のもので
あるが、これに限定はしない。
【0014】人工浄水構造体をダムの堰堤に並設する工
事は、ダムの建設の際に同時に施工することもできる
し、既設のダムに施工することもできる。堰堤は、人工
浄水構造体の側壁の一方を構成し、他の側壁は新たに施
工される。なお、人工浄水構造体を堰堤の内側に設ける
場合は、貯水池の水の枯渇の心配がなく、貯水量が少な
くても飲料水の供給と発電が安定してできる時期に水量
を減らして施工するのが望ましいが、限定はされない。
【0015】(作 用)本発明に係る人工浄水構造体に
おいては、濾過層の上部から給水装置によって川水等の
被処理水が供給される。なお、実際上は雨水も直接また
は間接的に濾過層に供給されるようにしてある。被処理
水や雨水は、濾過層にしみこみ、重力により下方へ徐々
に沈降し、濾過される。このとき、濾過層の風化花崗岩
層、石灰岩層あるいは積層される他の層を通る際に被処
理水にカルシウム等のミネラル分が溶け込むので、濾過
水がおいしくなる。従って、自然の環境に近い状態で飲
料水をつくることができ、天然のミネラル水に近い飲料
水を人工的につくることが可能になる。また、雨水ばか
りでなく、給水装置により被処理水の給水ができるの
で、降雨量に依存しない安定的な濾過水の取水が可能に
なる。
【0016】濾過水は、底部構造体によって集水され、
取水手段によって外部に設けてある貯水槽等へ送られ
る。また、堤部として斜面を有する地形(峡谷等の自然
の地形)を含むものは、構造の一部として自然の造形を
利用することにより、比較的安価な施工が可能になる。
また、地形によっては、ダムと同等規模の浄水設備をつ
くることが可能である等、規模も幅広く設定でき、施工
地の様々な条件に柔軟に対応できる。
【0017】底部構造体の下部に土圧受構造体を備えて
おり、土圧受構造体は、底部構造体を通ってかかる土圧
を受ける透水可能な土圧受部を有し、濾過水は土圧受部
を通り土圧がかかる方向とは交差する方向へ誘導するよ
うにしてあるものは、土圧受部には土圧がかかるが、濾
過水が流れる方向は土圧の方向とは交差しており、土圧
は濾過水の流れる方向へ直接には影響を及ぼしにくいの
で、濾過層を構成する土等が貯水槽へ流出することが防
止され、貯水槽内の濾過水の取水に支障を来すことがな
い。また、人工浄水構造体は、濾過層を構成する各層に
よる底部構造体を通ってかかる土圧を土圧受部によって
受けるようにしているので、構造的に強固となる。これ
により、作業者が中に入って各種メンテナンスを行うた
めの土圧受構造体をより安全で強度的に信頼性の高い構
造とすることができる。
【0018】堰堤部の内側または外側に人工浄水構造体
を並設したダムは、従来のダムと同様に水の位置エネル
ギーを利用して発電を行い、水道水の原水を供給する
他、人工浄水構造体によって自然のミネラル水に近い水
の供給も併せて行うことができる。また、被処理水の供
給源として、ダムの貯水池を利用できるので、供給も安
定して行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き更に詳細に説明する。図1は本発明に係る人工浄水構
造体の第1の実施の形態を示す説明図である。符号Aは
人工浄水構造体である。人工浄水構造体Aは、両側に急
な斜面を有する峡谷を利用してつくられている。峡谷の
斜面部分が堤部1を形成している。なお、峡谷の下流側
には、峡谷の斜面部分と共に堤部1を形成するコンクリ
ート壁(図示省略)が形成されている。
【0020】堤部1の底部には、コンクリート製の底部
構造体2が形成されている。底部構造体2の上面側は摺
鉢状になっており、集水機能を有している。底部構造体
2の最底部には取水口20が設けてある。取水口20に
は、取水手段を構成する取水管21が接続してあり、取
水管21は地中を通り堤部1の外側まで延長されてい
る。なお、後述する人工浄水構造体Bのように、取水口
20の下部に内部貯水槽を設けて、内部貯水槽に取水管
21を接続する構造にすることもできる。
【0021】取水管21は、保守用通路4に沿って内部
に設けてある。取水管21の取水側にはバルブ22が設
けてあり、送水量の調整ができるようになっている。な
お、バルブ22が設けてある部分にはバイパス(図示省
略)を設けてバルブ交換ができるようにしてある。保守
用通路4は、取水口20、取水管21及びバルブ22の
保守をするためのものである。また、取水管21を分岐
して複数箇所に送水することもできる。
【0022】堤部1の内部側には底部構造体1の上部に
積層させて濾過層3が人工的に設けてある。濾過層3
は、上層から、表土(真砂土)層30、透水層(化学繊
維で形成された人工層)31、風化花崗岩層32、石灰
岩層33、砂層(砂に木炭等の炭類を混合した層)3
4、砂れき層35、透水層36となっている。濾過層3
の上面部には、貯水池10から水を引いて散水する給水
装置5が設けてある。給水装置5の途中からは給水装置
5aが分岐して設けてあり、給水装置5aは上記透水層
31内部に導入してある。
【0023】(作 用)図1を参照して本発明の人工浄
水構造体の作用を説明する。給水装置5によって貯水池
10の水が引かれ、被処理水として濾過層3の上面部及
び透水層31内部に供給される。なお、実際上は雨水も
直接濾過層3上面に降るので、給水装置5、5aによっ
て濾過層3に供給される被処理水の量を適宜調整する。
これにより、取水管21から送給される水の量に大きな
変動が生じないように調整することが可能になるが、給
水装置5は主に表土層30に植生する樹木の保全のため
に主に使用され、給水装置5aは給水のために主に使用
される。なお、給水装置5、5aは必ずしも双方を設け
る必要はなく、いずれか一方のみを設けて人工浄水構造
体Aを管理することも可能である。
【0024】このようにして、被処理水や雨水は、濾過
層3にしみこみ、重力により下方へ徐々に浸透し、各処
理層30〜36で順に濾過される。このとき、濾過層の
風化花崗岩層32、石灰岩層33あるいは積層される他
の層を通る際に被処理水にカルシウム等のミネラル分が
溶け込み、濾過水がおいしくなる。従って、自然の環境
に近い状態で飲料水をつくることができるので、天然の
ミネラル水に近い飲料水を人工的につくることが可能に
なる。
【0025】濾過水は通常は濾過層3の下部に一時溜
り、底部構造体2によって取水口20に集水され、取水
管21を通り貯水槽等の取水側へ送られ、飲料水等の生
活用水として使用される。なお、飲料水とするために、
更に殺菌、滅菌が行われる場合もある。また、送水量
は、バルブ22により調整することもできる。また、保
守用通路4によって、取水口20、取水管21及びバル
ブ22の点検をすることができ、万一の故障時において
も修理作業が可能である。人工浄水構造体Aは、堤部1
として斜面を有する自然な地形である峡谷を利用してい
るので、地形によっては、ダムと同等規模の浄水設備を
つくることが可能である。
【0026】図2は本発明に係る人工浄水構造体の第2
の実施の形態を示す説明図である。人工浄水構造体B
は、地表から地中へ掘られた穴で形成された濾過層形成
部6を備えている。濾過層形成部6の内底部には、底部
構造体2が形成してあり、内部には上記人工浄水構造体
Aの濾過層3と同様の構造の濾過層3が積層して設けて
ある。底部構造体2の取水口20の下方には、内部貯水
槽7が設けてある。保守用通路4は、一端側は地表に通
じ、他端側は内部貯水槽7に通じている。
【0027】保守用通路4内には、取水管8が設けてあ
る。取水管8は、内部貯水槽7と、外部に設けてある外
部貯水槽9をつないでおり、ポンプ80によって内部貯
水槽7内の水を外部貯水槽9に送給する。なお、上記人
工浄水構造体Aと同様に、取水管21を取水口20に直
接つなぐこともできる。また、濾過層3の上面部には、
川60から水を引いて散水する給水装置5が上記人工浄
水構造体Aと同様に設けてある。
【0028】(作 用)図2を参照して本発明の人工浄
水構造体の作用を説明する。濾過層3に供給された被処
理水や雨水は、濾過層3で濾過される。このとき、濾過
層の風化花崗岩層、石灰岩層あるいは積層される他の層
を通る際に被処理水にカルシウム等のミネラル分が溶け
込み、濾過水がおいしくなる。従って、自然の環境に近
い状態で飲料水をつくることができるので、天然のミネ
ラル水に近い飲料水を人工的につくることが可能にな
る。
【0029】濾過水は底部構造体2によって取水口20
に集水され、内部貯水槽7に貯水される。内部貯水槽7
内の水は、取水管8を通り、外部貯水槽9に貯水され、
飲料水等の生活用水として使用される。なお、飲料水と
するために、更に殺菌、滅菌が行われる場合もある。ま
た、保守用通路4によって、取水口20や内部貯水槽7
の点検をすることができ、万一の故障時においても修理
作業が可能である。
【0030】図3は本発明に係るダムの第1の実施の形
態を示す説明図である。なお、図面において、上記人工
浄水構造体A、Bと同等または同一箇所には、同一の符
号を付して示している。ダムD1では、堰堤90の内側
すなわち貯水池93側に人工浄水構造体C1が並設され
ている。人工浄水構造体C1は、前方側の堰堤90、後
方側の仕切堤91及び左右両側の地形を利用した貯水堤
(図示省略)を備えている。堰堤90、仕切堤91及び
貯水堤で囲まれた部分には、上記した人工浄水構造体
A、Bと同じ構造の濾過層3が形成されている。
【0031】濾過層3の下部には人工浄水構造体Bと同
じ構造の底部構造体2と内部貯水槽7が設けられてい
る。内部貯水槽7内に溜まった水は、取水管8を通り、
外部へ導出され、飲料水等の生活用水として使用され
る。また、仕切提91と堰堤90の間には、放流用のバ
イパス管92が濾過層3を貫通して設けてある。
【0032】(作用)ダムD1の人工浄水構造体C1に
おいては、上記人工浄水構造体A、Bとほぼ同様に浄水
が行われるので、それについての説明は省略する。人工
浄水構造体C1は、通常はダムD1の堰堤90等を施工
する際に同時に施工するが、既存のダムの堰堤部に並設
することもできる。この場合は、貯水池の水の枯渇の心
配がなく、貯水量が少なくても飲料水の供給と発電が安
定してできる時期に水量を減らして施工する。ダムD1
は従来のダムと同様に水の位置エネルギーを利用して発
電を行い、水道水の原水を供給する他、人工浄水構造体
C1によって自然のミネラル水に近い水の供給も併せて
行うことができる。また、被処理水の供給源として、ダ
ムの貯水池を利用できるので、供給も安定して行うこと
ができる。
【0033】図4は本発明に係るダムの第2の実施の形
態を示す説明図である。なお、図面において、上記人工
浄水構造体A、B、C1と同等または同一箇所には、同
一の符号を付して示している。ダムD2では、上記ダム
D1とは逆に堰堤90の外側すなわち河川(図示省略)
に人工浄水構造体C2が並設されている。人工浄水構造
体C2は、仕切堤91が貯水池93の外にあるので、既
存のダムの堰堤部に並設する場合でも、上記ダムD1と
比較して施工は容易である。なお、ダムD2の作用につ
いては、上記ダムD1とほぼ同様であるので、説明を省
略する。
【0034】図5は本発明に係る人工浄水構造体の第3
の実施の形態を示す説明図である。図面において、上記
他の人工浄水構造体と同一または同等箇所には同一の符
号を付して示しており、共通する部分については説明を
省略する。人工浄水構造体Eの濾過層3aは、上部から
表土層30、透水層31、風化花崗岩と石灰岩層37、
残土層38、砂利層39により構成されている。なお、
透水層31には上記各人工浄水構造体A、B、C1、C
2と同様に給水装置5aを設けることもできる。
【0035】底部構造体2の下部には土圧受構造体7a
が設けてある。土圧受構造体7aは、取水口20下部に
設けてあり土圧受部となる砂槽70を有し、その隣には
堰壁71を介し連通する玉砂利槽72が設けてある。玉
砂利槽72の隣には堰壁74を介して貯水槽75が設け
てある。なお、玉砂利槽72の中間部には、邪魔壁73
が垂下して設けてある。この邪魔壁73は砂槽70内の
砂が貯水槽75へ移動しないように止めるためのもので
ある。貯水槽75には取水管8がつながれ、ポンプ80
によって外部から取水される。また、取水口20には混
入防止ネット76が設けられ、玉砂利槽72と貯水槽7
5の間には流入防止ネット77が設けてある。
【0036】(作用)人工浄水構造体Eは、濾過層3a
を構成する各層による取水口20を通る土圧を砂槽70
内部に密に充填された砂で受けるようにしているので、
構造的に強固となる。これにより、作業者が中に入って
各種メンテナンスを行うための土圧受構造体7aをより
安全で強度的に信頼性の高い構造とすることができる。
【0037】砂槽70内の砂には土圧がかかるが、濾過
水が流れる方向は土圧の方向とは横方向に交差してお
り、土圧は濾過水の流れる方向へ直接には影響を及ぼし
にくいので、濾過層3aを構成する土等が貯水槽75へ
流出することが、邪魔壁73や流入防止ネット77の作
用とも相まって防止され、貯水槽75内の濾過水の取水
に支障を来すことがない。
【0038】また、濾過層3aを構成する最下層の砂利
層39の砂利及び砂利層39を通過する残土層38の土
は混入防止ネット76の作用により、砂槽70内に混入
しにくいので、特に土の流出による貯水槽75内の濾過
水の汚れ等を防止できる。濾過層3aは残土層38を設
けているので、各種土木工事、建設工事等において大量
に発生する残土を有効に利用することが可能になる。こ
の残土層38には、腐敗物を始めとする汚物等を分解し
て土壌をつくる各種有効微生物を混入するのが望ましい
が、各種有効微生物は被処理水に混合するようにしても
よい。また、有効微生物の種類、組み合わせ等は特に限
定されるものではない。なお、この構造の人工浄水構造
体Eは、自然の地形を利用して上記人工浄水構造体A、
Bのように施工することもできるし、上記ダムD1、D
2の人工浄水構造体として施工することもできる。
【0039】本明細書で使用している用語と表現はあく
まで説明上のものであって、限定的なものではなく、上
記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではな
い。また、本発明は図示の実施の形態に限定されるもの
ではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能
である。
【0040】
【発明の効果】本発明は上記構成を備え、次の効果を有
する。 (a)本発明に係る人工浄水構造体または浄水方法で
は、被処理水や雨水は濾過層にしみこみ、重力により下
方へ徐々に沈降し、濾過される。このとき、濾過層の風
化花崗岩層、石灰岩層あるいは積層される他の層を通る
際に被処理水にカルシウム等のミネラル分が溶け込むの
で、濾過水がおいしくなる。従って、自然の環境に近い
状態で飲料水をつくることができ、天然のミネラル水に
近い飲料水を人工的につくることが可能になる。また、
雨水ばかりでなく、給水装置により被処理水の給水がで
きるので、降雨量に依存しない安定的な濾過水の取水が
可能になる。
【0041】(b)斜面を有する地形を含む堤部を有す
るものは、構造の一部として自然の造形を利用すること
により、比較的安価な施工が可能になる。また、地形に
よっては、ダムと同等規模の浄水設備をつくることが可
能である等、規模も幅広く設定でき、施工地の様々な条
件に柔軟に対応できる。
【0042】(c)底部構造体の下部に土圧受構造体を
備えており、土圧受構造体は、底部構造体を通ってかか
る土圧を受ける透水可能な土圧受部を有し、濾過水は土
圧受部を通り土圧がかかる方向とは交差する方向へ誘導
するようにしてあるものは、土圧受部には土圧がかかる
が、濾過水が流れる方向は土圧の方向とは交差してお
り、土圧は濾過水の流れる方向へ直接には影響を及ぼし
にくいので、濾過層を構成する土等が貯水槽へ流出する
ことが防止され、貯水槽内の濾過水の取水に支障を来す
ことがない。また、人工浄水構造体は、濾過層を構成す
る各層による底部構造体を通ってかかる土圧を土圧受部
によって受けるようにしているので、構造的に強固とな
る。これにより、作業者が中に入って各種メンテナンス
を行うための土圧受構造体をより安全で強度的に信頼性
の高い構造とすることができる。
【0043】(d)堰堤部の内側または外側に人工浄水
構造体を並設したダムは、従来のダムと同様に水の位置
エネルギーを利用して発電を行い、水道水の原水を供給
する他、人工浄水構造体によって自然のミネラル水に近
い水の供給も併せて行うことができる。また、被処理水
の供給源として、ダムの貯水池を利用できるので、供給
も安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人工浄水構造体の第1の実施の形
態を示す説明図。
【図2】本発明に係る人工浄水構造体の第2の実施の形
態を示す説明図。
【図3】本発明に係るダムの第1の実施の形態を示す説
明図。
【図4】本発明に係るダムの第2の実施の形態を示す説
明図。
【図5】本発明に係る人工浄水構造体の第3の実施の形
態を示す説明図。
【符号の説明】
A 人工浄水構造体 1 堤部 10 貯水池 2 底部構造体 20 取水口 21 取水管 22 バルブ 3 濾過層 30 表土層 31 透水層 32 風化花崗岩層 33 石灰岩層 34 砂層 35 砂れき層 36 透水層 4 保守用通路 5、5a 給水装置 B 人工浄水構造体 6 濾過層形成部 60 川 7 内部貯水槽 8 取水管 80 ポンプ 9 外部貯水槽 D1、D2 ダム C1、C2 人工浄水構造体 90 堰堤 91 仕切堤 92 バイパス管 93 貯水池 E 人工浄水構造体 3a 濾過層 37 風化花崗岩と石灰岩層 38 残土層 39 砂利層 7a 土圧受構造体 70 砂槽 71 堰壁 72 玉砂利層 73 邪魔壁 74 堰壁 75 貯水槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 24/02 C02F 1/00 L C02F 1/00 E02B 7/00 Z E02B 7/00 B01D 23/10 A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自然の地形を利用した人工浄水構造体で
    あって、 斜面を有する地形を含む堤部(1) と、 上記堤部(1) の内部に積層して設けられ、被処理水を濾
    過する濾過層(3) と、 上記堤部(1) の内底部または上記濾過層(3) 下部に設け
    られ、集水機能を有する底部構造体(2) と、 上記底部構造体(2) で集められた水を送給する取水手段
    と、 上記濾過層(3) に被処理水を供給する給水装置(5) と、
    を備えており、 上記濾過層(3) は、少なくとも風化花崗岩層(32)及び石
    灰岩層(33)を含んでいることを特徴とする、 人工浄水構造体。
  2. 【請求項2】 人工浄水構造体であって、 地中または地上に積層して設けられ、被処理水を濾過す
    る濾過層(3) と、 当該濾過層(3) の下部に設けられ、集水機能を有する底
    部構造体(2) と、 上記底部構造体(2) で集められた水を送給する取水手段
    と、 上記濾過層(3) に被処理水を供給する給水装置(5) と、
    を備えており、 上記濾過層(3) は、少なくとも風化花崗岩層(32)及び石
    灰岩層(33)を含んでいることを特徴とする、 人工浄水構造体。
  3. 【請求項3】 底部構造体(2) の下部に土圧受構造体(7
    a)を備えており、当該土圧受構造体(7a)は、上記底部構
    造体(2) を通ってかかる土圧を受ける透水可能な土圧受
    部を有し、濾過水は当該土圧受部を通り土圧がかかる方
    向とは交差する方向へ誘導するようにしてあることを特
    徴とする、 請求項1または2記載の人工浄水構造体。
  4. 【請求項4】 堰堤部(90)を有し、当該堰堤部(90)の内
    側または外側に請求項1、2または3記載の人工浄水構
    造体を並設したことを特徴とする、 人工浄水構造体を備えたダム。
  5. 【請求項5】 斜面を有する地形を含む堤部(1) の内部
    または地中または地上に積層して設けられ、少なくとも
    風化花崗岩及び石灰岩を含んでいる濾過層(3) に被処理
    水を供給し、濾過された水を取水することを特徴とす
    る、 浄水方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015129427A (ja) * 2014-01-01 2015-07-16 妙子 遠藤 巨大ダムの倒壊リスクを多数の小型ダムや堰で代替する減災工法と安く短期に設置でき非常用水源と非常用電源小型となる据置き堰・防波堤の発明
CN109485105A (zh) * 2017-09-12 2019-03-19 苏州盛莱茵生态科技有限公司 一种海绵城市建设用多功能净化装置
CN110579584A (zh) * 2019-07-30 2019-12-17 上海交通大学 一种研究不同结构参数对雨水花园的性能的影响的方法
CN115105873A (zh) * 2022-05-24 2022-09-27 苏州园科生态建设集团有限公司 一种乡村水环境生态修复系统

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