JPH11262383A - 大腸菌用選択培地 - Google Patents

大腸菌用選択培地

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JPH11262383A
JPH11262383A JP8245198A JP8245198A JPH11262383A JP H11262383 A JPH11262383 A JP H11262383A JP 8245198 A JP8245198 A JP 8245198A JP 8245198 A JP8245198 A JP 8245198A JP H11262383 A JPH11262383 A JP H11262383A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 農業生態系に存在する大腸菌に対して高い回
収率,選択性や識別性を有する大腸菌用選択培地であっ
て、しかもコストパフォーマンスにも優れた培地を提供
すること。 【解決手段】 無機塩からなる培地に0.5〜2.0%
の乳糖またはグルクロン酸および0.005〜0.05
%の酵母エキスを添加したことを特徴とする大腸菌用選
択培地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大腸菌用選択培地
に関し、詳しくは無機塩培地を主とし、高い選択性と回
収率を有する大腸菌用選択培地に関する。
【0002】
【従来の技術】糞便,河川等の臨床および衛生試料から
の大腸菌 (Escherichia coli) の検出には、現在で
は、選択培地法,血清学的手法やPCR法に代表される
遺伝子手法が用いられている。このうち、血清学的手法
や遺伝子手法は、主として該菌の検出のみを対象とした
手法であるため、試料中の大腸菌密度を測定する等の定
量を行うには困難が伴う。また、夾雑物が多い自然環境
に由来する試料では非特異的反応が多く、検出・定量の
妨げになることが多い。一方、選択培地法は、検出感度
という点では遺伝子手法に比べて劣るものの、検出・定
量が容易である上に、大腸菌を分離、保存することが可
能である。
【0003】これまで多くの大腸菌の分離・検出・定量
を目的とした選択培地が開発されてきた。しかし、これ
らの選択培地のほとんどは、臨床場面や食肉等の食品か
ら該菌を検出するという衛生場面での使用を目的とした
ものであった。これらのすべては、ペプトン,酵母エキ
ス,トリプトンなどを多量に含む栄養に富んだ複合培地
であり、その選択性には限界が認められる。特に、土
壌,植物等の自然生態系での微生物相は、臨床や衛生場
面で想定されるものよりも複雑であり、既存の選択培地
で低密度の大腸菌を分離・検出することは困難である。
【0004】また、最近では、腸管出血性大腸菌O-157:
H7に代表される病原性大腸菌による食中毒が多発してい
る。該菌の汚染源として、カイワレダイコン等の農作物
の可能性が示唆されるにいたり、植物体上,土壌,畜産
および酪農施設などに存在する大腸菌の動態解析と検出
が急務とされてる。このためには、より高い選択性と回
収率を有する選択培地の開発が必要である。
【0005】農業生態系に存在する大腸菌の検出を目的
とした場合に問題となるのは、土壌等の農業生態系内の
細菌相が種類および数の両面において臨床試料,食品な
どの衛生試料と比較して非常に複雑であることである。
特に、植物周辺の環境では、シュードモナス(Pseudomo
nas)属やキサントモナス (Xanthomonas)属等を中心とし
た細菌種が多く存在する。これらの細菌の中には、大腸
菌等の他の細菌に対する抗菌性物質を産生する種も少な
くない。また、シュードモナス属細菌は、一般に大腸菌
やエルウィニア (Erwinia)属細菌などの大腸菌群に属す
る細菌に比べて種々の抗生物質などの抗菌物質に対して
耐性である。これらのことが、選択培地法で大腸菌を検
出・定量する場合の障害となっているものと考えられ
る。
【0006】一方、既存の大腸菌用選択培地は、ペプト
ン,肉エキスなどを多量に含んでおり、これに種々の抗
生物質を添加しても上述の他の環境細菌の生育を十分に
抑制することができない。たとえ、抑制できたとして
も、この培地では大腸菌の回収率が悪く、正確に環境内
の大腸菌数を反映しないことが予測される。大腸菌は非
栄養要求性であり、硝酸,アンモニアなどの窒素源、リ
ン酸塩,カリウム塩,ナトリウム塩等の無機塩のみで構
成する無機塩培地に、該細菌が利用できる1種類の糖類
を添加した培地で十分に増殖できる。しかも、本菌が利
用できる糖類の1つである乳糖は、多くのシュードモナ
ス属細菌をはじめとして利用できる細菌が比較的少な
い。したがって、適切な無機塩培地に乳糖を添加した培
地を用いれば、大腸菌は生育できるが、乳糖を利用でき
ない細菌類の生育を抑制できることが考えられる。この
ような観点から、乳糖の利用性を活用した大腸菌用選択
培地として、マッコンキー寒天,デゾキシコーレート寒
天,変法ドリガルスキー培地などが既に実用化されてい
る。しかし、これらの培地はいずれもペプトンなどを多
量に含むために菌の選択性に限界があったり、高価な試
薬が必要であるなどコスト面においても問題があり、十
分に満足できる培地が得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、上記の諸問題を解決し、大腸菌について高い回
収率,選択性や識別性を有する大腸菌用選択培地であっ
て、しかもコストパフォーマンスにも優れた培地を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、無機塩からなる培地に0.5〜2.0%の乳糖また
はグルクロン酸および0.005〜0.05%の酵母エ
キスを添加したことを特徴とする大腸菌用選択培地であ
る。請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の培地に
陰イオン界面活性剤を加えたことを特徴とする大腸菌用
選択培地である。請求項3に記載の本発明は、請求項1
または2記載の培地にβ−ガラクトシダーゼおよびβ−
D−グルクロニダーゼの基質を加えたことを特徴とする
大腸菌用選択培地である。請求項4に記載の本発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の培地に被検試料を接種
し、24〜36時間培養して集落の出現の有無を観察す
ることを特徴とする大腸菌の選択的識別方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の大腸菌用選択培地は、無
機塩からなる培地に大腸菌の利用可能な炭水化物である
乳糖またはグルクロン酸の所定量と酵母エキスの所定量
を添加したものである。さらに、所望により、抗菌物質
である陰イオン界面活性剤を加えたり、大腸菌に特有な
酵素であるβ−ガラクトシダーゼおよびβ−D−グルク
ロニダーゼの基質を加えることができる。抗菌物質は、
土壌に含まれる大腸菌以外の細菌や糸状菌などの生育を
阻害するために用いられ、酵素の基質は選択培地に大腸
菌集落と非大腸菌集落とを区別するために識別性を賦与
するために用いられる。
【0010】本発明の大腸菌用選択培地の基礎培地であ
る無機塩培地としては、Ayer's培地, 炭水化物利用性試
験用培地, PCSM培地などがあるが、特に炭水化物利
用性試験用培地とPCSM培地の基礎培地が好ましい。
これらの培地の組成を第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】本発明において上記無機塩培地に添加する
炭水化物として乳糖やグルクロン酸が用いられるが、特
に乳糖が好ましい。炭水化物の添加量は0.5〜2.0
%、好ましくは0.5〜1.0%である。この範囲内で
炭水化物を添加すると、大腸菌は良く生育する。乳糖は
殆どの大腸菌が利用できるが、例外的に乳糖を利用しな
い菌株も存在する。これら菌株は、本発明の選択培地を
用いて分離・検出することができない。また、エルウィ
ニア属細菌などの一部の大腸菌群に属する細菌は乳糖を
資化することができるため、本発明の選択培地にこれら
菌株が生育することを阻止できないという問題がある。
酵母エキスは、大腸菌の増殖を支援するために加えられ
るものであり、その添加量は0.005〜0.05%、
好ましくは0.01〜0.03%である。酵母エキスの
添加量が下限未満では、大腸菌の増殖を十分に支援する
ことができず、上限を越えて添加した場合、選択性が著
しく劣る。
【0013】複雑な微生物相を有する土壌などの農業生
態系における大腸菌の選択性を一層高めるためには、上
記の選択培地に抗菌性物質を添加することが有効であ
る。従来、大腸菌群細菌用の選択培地において、抗菌性
物質として胆汁酸塩,デオキシコール等の胆汁由来物質
やタージトール7,ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)
などの界面活性剤、クリスタルバイオレット等の色素
類、セフェキシム,ノボビオシン等の抗生物質類が使用
されている。しかし、胆汁由来物質を添加した場合、大
腸菌の回収率が劣ると共に、菌株による変動が大きいと
いう問題点がある。また、タージトール7,ラウリル硫
酸ナトリウムを添加した場合も同様の傾向が認められ
る。そこで、本発明者らは、このような問題を生起する
ことなく、大腸菌の選択性を高めることができる抗菌性
物質について検索したところ、界面活性剤の1種である
陰イオン界面活性剤、例えば商品名:Teepol 610S (She
ll Chemicals社製)や商品名:Targitol NP7(Sigma 社
製)が有効であることを見出した。該物質の添加濃度は
80〜250ppm、特に150ppm程度が好適であ
る。また、自然界に広く分布している糸状菌などの生育
を抑制する必要がある場合には、抗生物質であるシクロ
ヘキシミドの添加が有効である。該物質の添加量は50
ppm程度が適当である。この抗生物質の添加は、目的
とする大腸菌の回収率に影響を与えないことを確認して
いる。
【0014】また、選択培地において大腸菌集落と非大
腸菌集落を区別するために識別性を付与する必要が生じ
る場合がある。このようなとき、既存の選択培地では、
乳糖等の糖を分解した時に産生する酸を検出する方法お
よび大腸菌群に特有の酵素であるβ−ガラクトシダーゼ
やβ−D−グルクロニダーゼの活性を検出する方法が一
般的に行われている。すなわち、糖を分解して酸を産生
した場合、培地および集落が酸性となるので、これをニ
ュートラルレッドやブロモチモールブルー等のpH指示
薬の変化で検出する方法である。一方、β−ガラクトシ
ダーゼやβ−D−グルクロニダーゼの基質を培地に添加
し、これら酵素の作用によって該酵素基質が分解され、
集落等を発色させる方法も知られている。この方法は、
遺伝子工学の分野でも日常的に利用されている。本発明
では、選択培地に識別性を付与する必要がある場合、該
酵素の基質であるX−gal(5−ブロモ−4−クロロ
−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を培
地中に添加する。この物質が分解されることにより、大
腸菌集落は青色を呈する。該物質の添加量は50ppm
程度でよい。
【0015】以上に説明したように、本発明の大腸菌用
選択培地は、無機塩を主成分とするものであり、その使
用目的等に応じて様々な組成を採用することができる。
第2表に該培地の組成の1例を示す。なお、調製した培
地のpHは7.1±0.1となり、これを高圧滅菌(1
15℃で15分間)する。滅菌処理後、常法にしたがっ
てシャーレ等に培地を流し込み、平板培地を作成して、
表面を乾燥させる。
【0016】
【表2】第 2 表 Na2HPO4 ・12H2O 4.0g NaCl 5.0g Na2MO O4・2H2O 24mg KH2PO4 0.5g NH4NO3 5.0g MgSO4 ・7H2O 25mg EDTA・Fe 10mg 乳糖 10.0g 酵母エキス 0.2g Teepol 610S 150mg X−gal 50mg 寒天 15.0g 蒸留水 1000ml
【0017】選択培地の使用法について説明すると、培
地の表面に試料液を一定量塗布または画線にて接種し、
25〜40℃、通常は37℃で24〜48時間、好まし
くは24時間培養し、出現した淡青色集落を擬大腸菌集
落と判定する。なお、培養時間が48時間を超えると、
他の細菌集落が増加するようになるため、的確な判定を
行うことが困難になる。糸状菌の増殖が危惧されるとき
は、滅菌後の培地にシクロヘキシミドを添加すればよ
い。
【0018】
【実施例】以下に、実施例等により本発明を詳しく説明
するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 実施例1(基礎培地の検討) 前記第1表に示した4種類の無機塩培地を基礎培地と
し、これに1.0%の乳糖を添加した培地並びに該1.
0%の乳糖と共に0.01%の酵母エキス(Yeast Extr
act Bacto)を添加した培地を常法にしたがってそれぞれ
調製した。これらの平板培地に、LB液体培地(組成:
トリプトン 1.0%,酵母エキス 0.5%,NaCl
1.0%)を用い37℃で24時間培養した数株の大腸
菌液を滅菌水で希釈したものを塗抹し、37℃で24時
間培養した。培養後に出現した集落数をカウントした。
一方、LB寒天培地および肉汁寒天培地(NB)に対し
て同様に菌液を塗抹して同一条件で培養し、出現した集
落数をカウントした。該LB寒天培地で出現した大腸菌
集落を対照として上記培地における大腸菌集落を比較し
て大腸菌の回収率を判定した。すなわち、LB寒天培地
における集落を100として、各培地における大腸菌の
回収率を算出した。なお、供試した大腸菌株は、DH5α
株(遺伝子工学用菌株),S-17 株(遺伝子工学用菌株)
およびJCM 1649 株(Type srain)である。結果を図1に
示す。なお、図中の数字は第1表の番号に対応する無機
塩培地に乳糖1.0%を添加した培地、Yを付したもの
は該培地にさらに0.01%の酵母エキスを添加した培
地である。
【0019】図から明らかなように、基礎培地としてN
o.2とNo.4の無機塩培地を使用した場合に大腸菌の回収
率が高かった。また、大腸菌の増殖促進を目的として酵
母エキスを添加することによって、細菌集落の形態が明
確になると共に、回収率も向上した。各種培地のうちN
o.4は菌株による回収率の変動が比較的少なかった。
【0020】実施例2(基礎培地の検討) この例では、基礎培地としてNo.2およびNo.4を選択し、
これに1.0%の乳糖および0.01%の酵母エキスを
添加したものに各種の大腸菌を接種したこと以外は実施
例1と同様にして大腸菌の回収率を算出した。供試した
大腸菌株は、実施例1で用いた3株の他、MAFF(農林水
産省の微生物遺伝資源保存菌株)911145,MAFF 911147,M
AFF 911148,MAFF 911149の4株である。結果を図2に示
す。図から明らかなように、No.2Y培地におけるMAFF 9
11147 株以外は高い回収率を示し、特にJCM 株は著しく
高い回収率を示した。
【0021】実施例3(炭素源の検討) 第1表のNo.4の無機塩培地に酵母エキスを0.01%添
加した後、さらに炭素源として乳糖,デキストリン,グ
ルクロン酸よりなる炭水化物のうちから選ばれた1種の
炭水化物を1.0%添加した寒天平板培地を調製し、大
腸菌の集落の形成と平板効率を比較した。なお、大腸菌
としてJCM 1649株を用い、他の試験条件は、すべて実施
例1と同様とした。その結果、デキストリン添加培地で
は明確な単一集落が形成されなかったが、乳糖またはグ
ルクロン酸添加培地では細菌集落が形成された。しか
も、乳糖またはグルクロン酸を添加した場合の大腸菌の
回収率はほぼ同等であり、菌株による変動も少なかっ
た。したがって、培地に添加する炭素源としては、乳糖
またはグルクロン酸が好ましいことが明らかとなった。
【0022】実施例4(抗菌性物質の検討) 第1表のNo.4の無機塩培地に酵母エキス0.01%と乳
糖1%添加した培地の選択性を高める目的で、各種の抗
菌性物質を添加して大腸菌の平板効果に対する影響を試
験した。なお、大腸菌の接種、培養条件等は実施例1と
同じである。結果を第3表に示す。
【0023】
【表3】
【0024】表から明らかなように、胆汁酸塩,デオキ
シコール酸などの胆汁由来物質、タージトール7,ラウ
リル硫酸ナトリウム等を用いた場合は、大腸菌の回収率
が劣った。しかし、陰イオン界面活性剤、Teepol 610S
またはTargitol NP7を添加した場合は、大腸菌の回収率
は抑制されず、土壌細菌の生育を効果的に抑えることが
わかった。また、シクロヘキシミドを50ppm添加す
ることにより、糸状菌の生育を抑制することが確かめら
れた。なお、大腸菌の供試菌株は、MAFF 911145,MAFF 9
11148,MAFF 911149,DH5α,S-17 および JCM 1649 であ
る。
【0025】実施例5 第2表に示した培地を用いて平板培地を作成し、大腸菌
の回収率や選択性、土壌細菌阻止率について検討した。
まず、大腸菌の増殖培地であるLB液体培地を用いて3
7℃で24時間培養した後、該培養液を滅菌水で希釈し
た。これを、平板培地に塗抹した後、37℃で24時間
培養し、培地上に出現した集落数を測定し、大腸菌の回
収率とした。なお、供試菌株はMAFF 911145,MAFF 91114
8,CE 273,JCM 1649 の4菌株である。また、大腸菌の選
択性の測定に際して使用した細菌は、葉表面,根の周辺
等の植物を中心とする環境で生育し、かつ種としての分
類が確立されている各種の植物病原細菌およびサルモネ
ラ属細菌等の大腸菌群に属する16属44種63菌株で
ある。これらの供試菌株について、以下の手順で選択性
を検討した。まず、供試菌株をLB寒天斜面培地を用い
て37℃で24時間培養後、これを滅菌水に懸濁して10
8 cfu/mlの濃度に調整した。次いで、これを選択培地の
平板培地に画線し、温度25℃および37℃で培養し、
培養開始後24時間および48時間後の集落出現の有無
を観察した。
【0026】また、土壌細菌の阻止率は、キャベツ根圏
等の土壌に生息する土壌細菌を用いて、その生育阻止率
を以下の手順で検討した。まず、採取した土壌20gを
100mlの滅菌水に懸濁させ、回転数200rpmで
30分間旋回振盪した。振盪処理後、該液の10倍希釈
段階を作成し、一定量を各選択培地の平板表面に塗抹
し、37℃で24時間の培養を行い、培養終了後に出現
した集落数を測定した。なお、対照として、既存培地で
あるマッコンキー寒天,デゾキシコーレート寒天,クロ
モカルトコリフォーム寒天培地,レインボー寒天 O-15
7,BCM O-157 寒天,SIB寒天および大腸菌の増殖
培地であるLB寒天の他に、フルオロカルトLMXブイ
ヨン,EC培地にそれぞれ1.5%の精製寒天を添加し
た培地も用いた。培地の組成を第4表に示す。また、結
果を第5表および第6表に示す。なお、表中のMSMEC は
第2表に示した組成の本発明に係る大腸菌用選択培地で
ある。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】表から明らかなように、大腸菌の回収率は
BCM O-157 寒天,EC培地およびデキシコーレート
寒天では低く、菌株による大きな変動も認められた。ま
た、デゾキシコーレート寒天,クロモカルトコリフォー
ム寒天,SIB寒天では、やや菌株による変動が認めら
れた。マッコンキー寒天,レインボー寒天O-157,フルオ
ロカルトLMXブイヨン寒天は、菌株による変動は少な
かったが、大腸菌の回収率は平均でLB寒天を下回っ
た。一方、本発明の培地であるMSMEC は、菌株による変
動が少なく、全ての菌株でLB寒天培地を上回る回収率
が認められた。
【0032】また、選択性を検討した結果、多くの選択
培地でエルウィニア属等の大腸菌群に属する細菌および
シュードモナス属細菌の一部の生育を阻止することがで
きなかった。これに対して、本発明の選択培地は、供試
選択培地のなかで大腸菌以外の細菌種の生育を最も抑制
する上に、大腸菌群に属する細菌以外の細菌に対しても
生育抑制効果を示した。また、この培地はサルモネラ属
細菌の増殖も抑制した。なお、本発明の選択培地におけ
る24時間後の大腸菌集落は、直径1〜2mmの淡青色
の円形をなしているが、48時間後には青色となった。
この集落は、一部の細菌種を除いて識別可能であった
が、エルウィニア属細菌等の大腸菌群に属する一部の細
菌と大腸菌との識別は比較的困難であった。
【0033】土壌細菌の生育阻止率を検討した結果、レ
インボー寒天 O-157 ではほとんど土壌細菌の生育を阻
止することができなかったが、EC寒天,BCM O-157 お
よび本発明の選択培地では、大腸菌以外の土壌細菌を約
99.98%も阻止した。
【0034】
【発明の効果】本発明により、大腸菌の回収率,選択性
および識別性に優れ、サルモネラ属細菌などの乳糖非分
解性の細菌や土壌細菌の増殖を抑制することができる大
腸菌用選択培地が提供される。この培地は、土壌などの
農業生態系をはじめ、糞便等の臨床試料や食品,河川水
等の衛生試料等からの大腸菌の検出・分離・定量に有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1による基礎培地の検討結果を示す。
【図2】 実施例2による基礎培地の検討結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:19)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機塩からなる培地に0.5〜2.0%
    の乳糖またはグルクロン酸および0.005〜0.05
    %の酵母エキスを添加したことを特徴とする大腸菌用選
    択培地。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の培地に陰イオン界面活性
    剤を加えたことを特徴とする大腸菌用選択培地。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の培地にβ−ガラ
    クトシダーゼおよびβ−D−グルクロニダーゼの基質を
    加えたことを特徴とする大腸菌用選択培地。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の培地に
    被検試料を接種し、24〜36時間培養して集落の出現
    の有無を観察することを特徴とする大腸菌の選択的識別
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011217671A (ja) * 2010-04-09 2011-11-04 Sanyo Chem Ind Ltd 有用物質製造方法
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JP2011217671A (ja) * 2010-04-09 2011-11-04 Sanyo Chem Ind Ltd 有用物質製造方法
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