JPH11261141A - モード同期ファイバリングレーザ - Google Patents

モード同期ファイバリングレーザ

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Publication number
JPH11261141A
JPH11261141A JP10063077A JP6307798A JPH11261141A JP H11261141 A JPH11261141 A JP H11261141A JP 10063077 A JP10063077 A JP 10063077A JP 6307798 A JP6307798 A JP 6307798A JP H11261141 A JPH11261141 A JP H11261141A
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JP
Japan
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mode
optical
ring resonator
fiber
pulse
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Withdrawn
Application number
JP10063077A
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English (en)
Inventor
Shin Arataira
慎 荒平
Hiroshi Ogawa
洋 小川
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光ファイバの群速度分散にパルス幅が制限さ
れず、モードロッカの駆動周波数によらずにパルス繰り
返し周波数の増加が実現できる構成とする。 【解決手段】 モード同期ファイバリングレーザは、光
出力を外部に取り出すための光ファイバカプラ10と、
能動モード同期を起こさせるモードロッカ12と、光ア
イソレータ14と、エルビウム添加光ファイバ16と、
WDMカプラ18とによりリング共振器を構成する。エ
ルビウム添加光ファイバは、リング共振器中での非線形
光学効果が群速度分散に対して非影響的となるように、
光の発生および増幅を行う。そして、リング共振器長
は、発生する光パルス列の繰り返し周波数および中心波
長と、リング共振器の群速度分散の平均値とから決ま
る。すなわち、リング共振器長は、下式(1)により決
まる距離zperiの整数倍に一致している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、大容量光通信な
どに用いて好適な超高速および超短光パルス列を発生す
るモード同期ファイバリングレーザに関する。
【0002】
【従来の技術】大容量光ファイバ通信において信号源と
なる超高速・超短光パルスの発生装置として、現在まで
にさまざまな方式のものが提案されている。その中で
も、半導体レーザを用いたものやエルビウム添加光ファ
イバを組み込んだファイバリングレーザは、系がコンパ
クトであり、低消費電力であり、長期の信頼性が優れて
いるなど、実用的である。上述の半導体レーザを用いた
光パルス発生装置では、共振器長が短いため、数十GH
zからTHzにおよぶ繰り返し周波数の超高速光パルス
列の発生に適している。一方、ファイバリングレーザで
は、共振器の構成部品が主として光ファイバであるから
光損失が少なく、また、発生させた光パルスの伝送路と
なる外部光ファイバへの光出力の取り出しが、容易かつ
高効率に行えるという利点がある。
【0003】ファイバリングレーザから光パルスを発生
させる方法として主として用いられているのはモード同
期法である。文献1「Electron.Lett.,
vol.26,pp.216−217,1990」に開
示されている例では、LiNbO3 変調器をモードロッ
カとして用いて能動モード同期エルビウム添加光ファイ
バ(EDF)リングレーザを構成している。そして、リ
ング共振器の周回周波数の整数倍の周波数の正弦波電圧
でLiNbO3 変調器を駆動することにより高次のモー
ド同期を生じさせ、30GHzの繰り返し周波数で7.
6psのパルス幅の光パルス列を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ファイバリングレーザ
を用いて光パルス列を発生させる場合に問題となるの
は、光ファイバの群速度分散(以下、単に分散と略称す
る。)である。分散があると光パルスがリング共振器内
を伝送されるときにパルス幅が拡がってしまうので、例
え非常に急峻な透過特性を示すモードロッカを用いて
も、実際にファイバリングレーザから得られる光パルス
幅はそれほど狭くはならない。パルス幅が2倍になるフ
ァイバ長は分散長と呼ばれるが、これは分散および初期
パルス幅の2乗にそれぞれ反比例する。すなわち、パル
ス幅が短くなるほど、分散がパルスの拡がりに与える影
響は大きくなる。このように、ファイバの持つ分散は、
実際にファイバレーザから得られる光パルスのパルス幅
を制限する要素となる。
【0005】この問題を克服する手段として、ファイバ
の持つ分散を光ファイバ中での光カー効果で補償するソ
リトンファイバレーザが提案されている(文献2「Op
t.Lett.,vol.17,pp.417−41
9,1992」)。しかしながら、ソリトンファイバレ
ーザの問題点は、ファイバ中で光ソリトンを形成するた
め、すなわち、ファイバの分散と光カー効果による自己
位相変調効果とを釣り合わせるために、光パルスに高い
ピークパワーが要求されることである。そして、このピ
ークパワーはパルス幅の2乗に反比例するため、パルス
幅の短縮化には非常に大きなパルスピークパワーが必要
とされる。さらに、ファイバの分散の効果と光カー効果
による自己位相変調効果とが互いに逆符号であることが
必要なため、通常のシリカ系光ファイバを用いた場合、
レーザ発振波長が光ファイバの異常分散領域に必ずなけ
ればならないという制約がある。
【0006】また、文献1に開示のモード同期ファイバ
リングレーザにおいて、パルス繰り返し周波数を高める
ためにはモードロッカの駆動周波数を高める必要があ
る。モードロッカに用いられる強度/位相変調器として
は、上述したLiNbO3 変調器の他に、半導体電界吸
収型変調器や変調電流を印加した半導体光増幅器などが
用いられる。しかしながら、それらの駆動周波数の上限
は用いる電気的ドライバの帯域や素子自体の電気的帯域
または高速応答特性などによって制限されてしまい、現
状では40GHz程度が最速であるという技術的な問題
がある。
【0007】従って、従来より、光ファイバの群速度分
散にパルス幅が制限されず、正常分散および異常分散の
いずれの光ファイバを用いても実施が可能であり、ま
た、モードロッカの駆動周波数によらずにパルス繰り返
し周波数の増加が実現できる構成のモード同期ファイバ
リングレーザの出現が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明のモー
ド同期ファイバリングレーザによれば、光出力を外部に
取り出すための光カプラと、能動モード同期を起こすた
めのモードロッカと、光アイソレータと、光の発生およ
び増幅に寄与する利得媒体とを具えていて、これら各光
学部品の間を光ファイバにより結合してリング共振器を
構成しており、利得媒体は、リング共振器中での非線形
光学効果が当該リング共振器の群速度分散に対して非影
響的となるように、光の発生および増幅を行うものであ
り、リング共振器長は、発生する光パルス列の繰り返し
周波数および中心波長と、リング共振器の群速度分散の
平均値とから決まる長さにしてあることを特徴とする。
【0009】また、この発明のモード同期ファイバリン
グレーザにおいて、好ましくは、リング共振器長が下式
(1)により決まる距離zperiの整数倍に一致している
と良い。
【0010】 zperi=2c/(λ2 |D|f2 ) ・・・(1) 但し、(1)式中において、cは真空中での光速であ
り、λは上述した中心波長であり、|D|は上述した群
速度分散の平均値の絶対値であり、fは上述した繰り返
し周波数である。
【0011】上式(1)が成り立つとき、文献3「信学
技報,LQE97−8,pp.43−48,1997」
によれば、群速度分散により生じた各モードの位相シフ
トが等価的にゼロになる。その結果、モードロッカから
出力された光パルスは、リング共振器を周回後、元の波
形に戻って再びモードロッカに入力する。すなわち、モ
ードロッカの出力波形はモードロッカ通過前と同じにな
る。このため、モードロッカによるパルス急峻化がより
効果的に生じるとともに、群速度分散によるチャーピン
グの効果を相殺することができる。従って、モードロッ
カのすぐ近くでは、チャープの無い繰り返し周波数fの
超短光パルスの発生が可能となる。
【0012】このように、光ファイバの群速度分散によ
り各モード間の相対的な位相関係を変化させて光パルス
列を得る際に、群速度分散に起因して生じるパルス幅の
拡がりを効果的に抑制できる。また、ソリトンファイバ
レーザと異なり、ファイバの群速度分散値の符号の制限
もなく、正常分散および異常分散のいずれのファイバを
用いても実施が可能である。
【0013】また、この発明のモード同期ファイバリン
グレーザにおいて、好ましくは、繰り返し周波数fが下
式(2)により決まる値であると良い。
【0014】f=cN/(nL) ・・・(2) 但し、(2)式中において、Nはモード同期の次数であ
り、nはリング共振器の平均群屈折率であり、Lはリン
グ共振器長である。
【0015】また、この発明のモード同期ファイバリン
グレーザにおいて、好ましくは、光カプラとモードロッ
カとの間を結合する光ファイバの長さは、当該光ファイ
バ中を伝播する光パルスのパルス幅が拡がらない程度に
比較的短くしてあると良い。
【0016】さらに、この発明のモード同期ファイバリ
ングレーザにおいて、好ましくは、リング共振器を構成
する光ファイバの一部をファイバブラッググレーティン
グにしてあると良い。
【0017】ファイバブラッググレーティングは回折格
子を作り込んだファイバであり、回折の影響で侵入長が
波長によって変化するため、わずか数メートルの長さの
ファイバブラッググレーティングで、通常の光ファイバ
の数十km以上の長さに相当する総分散量が得られる。
従って、リング共振器の長さが短く構成でき、動作の安
定化が図れる。
【0018】また、この発明のモード同期ファイバリン
グレーザにおいて、好ましくは、光カプラとモードロッ
カとの間を結合する光ファイバの長さzlocal が下式
(3)で与えられると良い。
【0019】 zlocal =|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(3) 但し、(3)式中において、Nは正の整数であり、|D
local |は光カプラとモードロッカとの間を結合する光
ファイバの群速度分散の平均値の絶対値である。
【0020】文献3によれば、モードロッカから(3)
式で与えられる距離zlocal だけ離間した位置における
光パルス形状は、モードロッカ近傍でのパルス形状に比
べて、パルス幅をほぼ保ったままで、パルス繰り返し周
波数がN倍されている。従って、この位置に光カプラを
設けて光出力を外部に取り出すようにすれば、繰り返し
周波数Nfの超高速光パルスが得られる。よって、モー
ドロッカの駆動周波数制限を越えた超高速光パルスの発
生が可能となる。
【0021】また、この発明のモード同期ファイバリン
グレーザにおいて、好ましくは、複数個の光カプラを具
えており、各光カプラをそれぞれリング共振器中のX
(N)の位置(NはN>0を満たす整数)に配置し、モ
ードロッカをリング共振器中のX(0)の位置に配置す
るとき、光カプラとモードロッカとの間のリング共振器
に沿った距離X(0)X(N)が次式(4)で与えられ
ると良い。
【0022】 X(0)X(N)=|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(4) 但し、(4)式中において、Nは正の整数であり、|D
local |は光カプラとモードロッカとの間におけるリン
グ共振器の群速度分散の平均値の絶対値である。
【0023】このように、(4)式で決まる位置にそれ
ぞれ光カプラを設けることにより、同等なパルス幅を有
し、繰り返し周波数がf、2f、3fなどの光パルスを
同時に、ただ一つのレーザ光源から得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、この発明の
実施の形態につき説明する。尚、図は、この発明が理解
できる程度に構成、大きさおよび配置関係が示されてい
るに過ぎない。また、以下に記載する数値等の条件や材
料は単なる一例に過ぎない。従って、この発明は、この
実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0025】〔第1の実施の形態〕この発明のモード同
期ファイバリングレーザの第1構成につき、図1を参照
して説明する。図1は、モード同期ファイバリングレー
ザの第1構成を示すブロック図である。図1に示すよう
に、モード同期ファイバリングレーザは、光ファイバカ
プラ10と、モードロッカ12と、光アイソレータ14
と、エルビウム添加光ファイバ16と、WDMカプラ1
8とを具えている。これら各光学部品の間を光ファイバ
20によりリング状に結合して、リング共振器を構成し
ている。また、モードロッカ12を駆動するために変調
電圧(電流)源22を具えており、WDMカプラ18を
介してエルビウム添加光ファイバ16にレーザ光を入射
するためのエルビム添加ファイバ励起用レーザ24を具
えている。そして、リング共振器長は、発生する光パル
ス列の繰り返し周波数および中心波長と、リング共振器
の群速度分散の平均値とから決まる長さにしてある。リ
ング共振器の群速度分散の平均値とは、リング共振器を
構成する光学部品および光ファイバの各群速度分散の平
均値である。
【0026】上述した光ファイバカプラ10は、光出力
を外部に取り出すためのものである。また、上述のモー
ドロッカ12は、基本次あるいは高次の能動モード同期
を起こさせるLiNbO3 変調器である。このモードロ
ッカ12を駆動する変調電圧(電流)源22として正弦
波発振器を用いている。光アイソレータ14は、リング
共振器中で光を一方向のみに伝播させるように働く。エ
ルビウム添加光ファイバ16は、光の発生および増幅に
寄与する利得媒体として機能する。上述したエルビウム
添加ファイバ励起用レーザ24は半導体レーザなどの光
源である。これにより、WDMカプラ18を介してエル
ビウム添加光ファイバ16にレーザ光を入射する。そし
て、エルビウム添加光ファイバ16を励起して反転分布
を形成し、利得媒体として機能させる。光ファイバ20
としては、通常のシリカ系のものを用いている。
【0027】また、エルビウム添加光ファイバ16は、
リング共振器中での非線形光学効果が群速度分散に対し
て非影響的となるように、光の発生および増幅を行うも
のである。つまり、エルビウム添加光ファイバ16は、
リングレーザがレーザ発振する程度には励起されるが、
リング共振器内での光パルス強度がリング共振器を構成
する光ファイバ中で非線形光学効果を起こさない程度に
励起される。
【0028】また、上述したように、リング共振器長す
なわちリング共振器を構成する光学部品および光ファイ
バの光伝播方向に沿った全長は、発生する光パルスの繰
り返し周波数および中心波長と、リング共振器を構成す
る光ファイバおよびその他の光学部品の平均分散値で決
まる。すなわち、リング共振器長は、下式(1)により
決まる距離zperiの整数倍に一致している。
【0029】 zperi=2c/(λ2 |D|f2 ) ・・・(1) 但し、(1)式中において、cは真空中での光速であ
り、λは中心波長であり、|D|は群速度分散の平均値
の絶対値であり、fは繰り返し周波数である。以下、こ
の実施の形態のモード同期ファイバリングレーザにおけ
る光パルス列の発生原理につき説明する。
【0030】図1に示すモード同期ファイバリングレー
ザでは、リング共振器長で決まる周回周波数(基本モー
ド同期)あるいはその整数倍の周波数(高次モード同
期)でモードロッカに強度/位相変調を行わせて、能動
モード同期を起こし、光パルス列を発生させる。このと
き得られる光パルス列の繰り返し周波数fは次式(2)
で与えられる。
【0031】f=cN/(nL) ・・・(2) 但し、(2)式中において、nはリング共振器の平均群
屈折率、すなわち、光パルスがリング共振器内の光ファ
イバおよびその他の光学部品中を伝播するときの平均群
屈折率である。また、Lはリング共振器長である。従っ
て、リング共振器の光路長はnLで表される。また、記
号Nはモード同期の次数を表す。Nは正の整数であり、
N=1のときに基本モード同期動作となり、N>1のと
きに高次モード同期動作となる。尚、一般的にパルス繰
り返し周波数fはモードロッカの駆動周波数と一致する
が、モードロッカの駆動状態によってはモードロッカ駆
動周波数の整数倍の場合もあり得る。
【0032】次に、このモード同期パルスがリング共振
器内を伝播するときのパルス波形の挙動について説明す
る。モード同期レーザにおいては、発生する光パルスは
等周波数間隔で並んでおり、かつ、それらの位相が固定
されている複数の共振器モードの重ね合わせによって生
じる。この周波数間隔はパルス繰り返し周波数と一致す
る。いま、モードロッカからの出力パルスに注目する
と、その複素振幅E(t,0)は次式(3)により与え
られる。
【0033】
【数1】
【0034】ここで、記号f0 はf0 =c/λで与えら
れるキャリア周波数を表している。また、En はn番目
のモードの振幅を表す。また、Φn は、中心モード(n
=0)に対するn番目のモードの相対位相である。理想
的なAMモード同期の場合、各モードは同相で発振する
ため、この場合はΦn =0とおける。ここでは、簡単の
ために理想的なAMモードの場合につき説明する。
【0035】このモードロッカ出力パルスを、群速度分
散値がDで長さがzのファイバか、あるいは、それと等
価なD×zの総分散量を持つ光学部品に伝送させたと
き、ファイバ中での非線形光学効果が無視できる場合、
各モードはファイバあるいは光学部品の群速度分散によ
ってΨn の位相変化を受ける。従って、このような光フ
ァイバあるいは光学部品を伝播後の光パルスの複素振幅
E(t,z)は次式(4)のようになる。
【0036】
【数2】
【0037】ここで、vg は光パルスのファイバ中での
群速度分散であり、真空中での光速度cおよび媒質の屈
折率nを用いて、vg =c/nで与えられる。また、フ
ァイバ分散による位相変化量Ψn は次式(5)で与えら
れる(詳しくは、例えば、文献4「A.Yariv著
光エレクトロニクスの基礎 原書3版,p.45,丸善
発行」参照)。
【0038】 Ψn =πλ2 Dz(nf)2 /c ・・・(5) 上式(5)から分かるように、Ψn は周波数離調の2乗
に比例し、また、Ψn=Ψ-nの関係が成り立つ。
【0039】一般に、このようなファイバや光学部品の
持つ群速度分散による各モードの位相シフトは、光パル
スにチャーピングをもたらし、パルス幅を拡げたり、ま
た、パルス波形をひずませたりする。そのため、式
(3)で与えられるモードロッカ出力パルスは、リング
共振器を構成する光ファイバや光学部品を伝播後、再
び、モードロッカに入力するときに、ファイバや光学部
品の持つ群速度分散のために、元の波形より拡がった
り、歪んだりしてしまう。そのため、モードロッカによ
るパルス急峻化が効果的に生じず、実際にリングレーザ
から得られる光パルス波形がそれほど狭くならない。上
述したソリトンファイバレーザは、この群速度分散によ
る位相シフトを、光カー効果による自己位相変調効果で
補償することで、チャーピングによるパルス拡がりを抑
えるものである。
【0040】しかしながら、リング共振器が上式(1)
で与えられる距離zperiの整数倍と一致する場合、すな
わちL=Mzperi(Mは正の整数)の場合を考えてみ
る。このとき、文献3に開示されているように、群速度
分散による各モードの位相シフトが等価的にゼロにな
る。その結果、モードロッカから出力された光パルス
は、リング共振器を周回後、元の波形に戻って再びモー
ドロッカに入力する。そのため、モードロッカによるパ
ルス急峻化がより効果的に生じるとともに、群速度分散
によるチャーピングの効果を相殺することができる。従
って、モードロッカのすぐ近くでは、チャープの無い繰
り返し周波数fの超短光パルスの発生が可能となる。よ
って、図1において、光ファイバカプラ10とモードロ
ッカ12との間を結合する光ファイバ20aの長さは、
当該光ファイバ20a中を伝播する光パルスのパルス幅
が拡がらない程度に比較的短くしてあると良い。このよ
うに構成すれば、チャープの無い超短光パルスの発生が
可能となる。
【0041】一方、このような条件が成り立つために
は、式(1)と式(2)との両方が成立しなければなら
ない。この要求は、パルス繰り返し周波数が次式(6)
で表されるときに満たされる。
【0042】 f=2n/(λ2 |D|N) ・・・(6) ここで、通常の部品を用いて構成した場合の数値例を挙
げる。例えば、パルス繰り返し周波数f=40GHz、
平均群屈折率n=1.5、平均群速度分散|D|=16
ps/km/nm、発振波長λ=1.55とする。この
とき、N≒1951092であり、リング共振器長L=
9.76kmとなる。
【0043】以上説明したように、この実施の形態のモ
ード同期ファイバリングレーザによれば、リング共振器
を構成する光ファイバの全長を、発生する光パルスの繰
り返し周波数および中心波長と、リング共振器を構成す
る光ファイバおよび光学部品の平均群速度分散値とで決
まる所定の長さに一致させている。このように構成した
ので、チャーピングの無い超短光パルスの発生が可能と
なる。また、ソリトンファイバレーザと異なり、ファイ
バの群速度分散値の符号の制限も無く、正常分散および
異常分散のいずれのファイバを用いても実施が可能であ
る。また、その群速度分散値の絶対値に対する要求も強
くないため、安価な光ファイバの使用により、系のコス
トダウンの効果も期待される。また、非線形光学効果を
用いていないので、高い光強度も必要とされず、さらに
はレーザ出力パルス幅に応じて光強度やファイバ長を調
整する必要もない。また、主として光ファイバで構成さ
れるため、系がコンパクトになり、光損失も小さく、光
出力を取り出して外部光ファイバに結合することも容易
である。
【0044】〔第2の実施の形態〕次に、モード同期フ
ァイバリングレーザの第2構成につき、図2を参照して
説明する。図2は、モード同期ファイバリングレーザの
第2構成を示すブロック図である。第2構成では、リン
グ共振器を構成する光ファイバ20の一部をファイバブ
ラッググレーティング26にしてある。その他の構成は
第1構成の場合と同じである。このように、高分散のフ
ァイバブラッググレーティング26を組み込んで平均分
散値を増加させ、リング共振器長を短くしている。
【0045】このようにファイバブラッググレーティン
グ26を組み込む理由は、以下に説明する通りである。
第1構成では、リング共振器が主として通常のシリカ系
光ファイバで構成されている。問題となるのは、通常の
シリカ系光ファイバの分散値がせいぜい数十ps/km
/nmと小さいため、必要なリング共振器長が長くなっ
てしまうことである。リング共振器長が長くなると、温
度や振動などの外部からの擾乱に弱くなる。
【0046】これに対して、ファイバに回折格子を作り
込んだファイバブラッググレーティングの場合、回折の
影響で侵入長が波長によって変化する。このため、わず
か数メートルの長さのファイバブラッググレーティング
により、通常の光ファイバの数十km以上に相当する総
分散量が得られる。従って、リング共振器長を短くする
ことができ、系の安定化が期待される。
【0047】以上説明したように、この第2構成によれ
ば、リング共振器長が短くなるため、系がよりコンパク
トになり、動作の安定化が図れる。
【0048】〔第3の実施の形態〕次に、モード同期フ
ァイバリングレーザの第3構成につき、図1を参照して
説明する。第3構成では、光ファイバカプラ10とモー
ドロッカ12との間を結合する光ファイバ20aの長さ
local を、下式(7)で与えられる値に設定したとこ
ろに特色を有する。従って、その他の構成は第1構成と
同様であるので、重複する説明を省略する。
【0049】 zlocal =|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(7) 但し、(7)式中において、Nは正の整数であり、|D
local |は光ファイバカプラ10とモードロッカ12と
の間を結合する光ファイバ20aの群速度分散の平均値
の絶対値である。
【0050】このように光ファイバ20aの長さz
local を設定すると、文献3に開示されているように光
ファイバカプラ10の位置では、光パルス形状がモード
ロッカ12近傍でのパルス形状に比べて、パルス幅はほ
ぼ保ったままで、パルス繰り返し周波数がN倍される。
従って、光ファイバカプラ10からは、繰り返し周波数
Nfの超高速光パルスが外部に取り出される。すなわ
ち、モードロッカ駆動周波数のN倍の繰り返し周波数の
光パルスが得られるため、モードロッカ12の駆動周波
数制限を越えた超高速光パルスの発生が可能である。
【0051】〔第4の実施の形態〕次に、モード同期フ
ァイバリングレーザの第4構成につき、図3を参照して
説明する。図3は、モード同期ファイバリングレーザの
第4構成を示すブロック図である。第4構成では、1個
の光ファイバカプラ10の代わりに、複数個ここでは4
個の光ファイバカプラ10a、10b、10cおよび1
0dを具えている。そして、各光ファイバカプラ10a
〜10dを、それぞれリング共振器中のX(N)の位置
(NはN>0を満たす整数)に配置している。また、モ
ードロッカ12が配置されているリング共振器中の位置
を記号X(0)で表すことにする。図3に示す通り、モ
ードロッカ12から近い順に光ファイバカプラ10d、
10c、10b、10aが配置し、それぞれを光ファイ
バにより連結してある。
【0052】そして、光ファイバカプラ10a〜10d
とモードロッカ12との間のリング共振器に沿った距離
X(0)X(N)が、次式(8)で決まる値に設定され
ている。
【0053】 X(0)X(N)=|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(8) 但し、(8)式中において、Nは正の整数であり、|D
local |は光ファイバカプラ10a〜10dとモードロ
ッカ12との間におけるリング共振器の群速度分散の平
均値の絶対値である。
【0054】従って、第3の実施の形態でも説明したよ
うに、この第4構成では、X(N)の位置に配置された
光ファイバカプラから、パルス幅がモードロッカ12近
傍での光パルスと同等であり、繰り返し周波数がNfの
光パルスが出力される。つまり、X(1)の位置に配置
された光ファイバカプラ10aからは繰り返し周波数f
の光パルスが取り出され、X(2)の位置に配置された
光ファイバカプラ10bからは繰り返し周波数2fの光
パルスが取り出され、X(3)の位置に配置された光フ
ァイバカプラ10cからは繰り返し周波数3fの光パル
スが取り出され、X(4)の位置に配置された光ファイ
バカプラ10dからは繰り返し周波数4fの光パルスが
取り出される。このように、第4構成によれば、f、2
f、3fといった繰り返し周波数の光パルスを、同時
に、ただ一つのレーザ光源を用いて得ることができる。
しかも、各光ファイバカプラから得られる光パルスは、
ほぼ同等のパルス幅を有している。
【0055】尚、この発明のモード同期ファイバリング
レーザは、以上説明した各実施の形態の構成に限定され
るものではない。以下に説明する例のように他の光学部
品を加えた構成であっても、同様の効果が期待される。
例えば、リング共振器内に偏波面コントローラを組み込
み、光ファイバのねじれや微小な複屈折などによる偏波
面回転を補償することで、常に一定偏波でレーザ発振さ
せることができ、それにより動作の安定化が図れる。ま
た、リング共振器全体を偏波面保存ファイバで構成すれ
ば、このような偏波面コントローラを使わなくても常に
一定偏波でレーザ発振させることができる。また、各実
施の形態では、光の取り出しとモードロッカとを別の光
学部品で構成したが、2:2のマッハツェンダー型変調
器などの方向性結合器を用いれば、これらを一つの部品
で置き換えることができる。また、共振器内に光フィル
タを挿入すれば、レーザ発振バンド幅を制限でき、それ
によって光パルス幅をコントロールすることができる。
また、光フィルタとして中心波長可変型のものを用いれ
ば、発生光パルスの波長可変性も得られる。また、各実
施の形態では1.55μmの発振波長帯を想定したため
に、光増幅器としてエルビウム添加光ファイバを用いた
が、他の光ファイバ増幅器、例えば、プラセオシウム添
加光ファイバ(発振波長1.3μm帯)などを用いても
構成することができる。
【0056】
【発明の効果】この発明のモード同期ファイバリングレ
ーザによれば、利得媒体は、リング共振器中での非線形
光学効果が当該リング共振器の群速度分散に対して非影
響的となるように、光の発生および増幅を行うものであ
り、リング共振器長は、発生する光パルス列の繰り返し
周波数および中心波長と、リング共振器の群速度分散の
平均値とから決まる長さにしてある。また、リング共振
器長が下式(1)により決まる距離zperiの整数倍に一
致している。
【0057】 zperi=2c/(λ2 |D|f2 ) ・・・(1) このため、モードロッカによるパルス急峻化がより効果
的に生じるとともに、群速度分散によるチャーピングの
効果を相殺することができる。従って、モードロッカの
すぐ近くでは、チャープの無い繰り返し周波数fの超短
光パルスの発生が可能となる。このように、光ファイバ
の群速度分散により各モード間の相対的な位相関係を変
化させて光パルス列を得る際に、群速度分散に起因して
生じるパルス幅の拡がりを効果的に抑制できる。また、
ソリトンファイバレーザと異なり、ファイバの群速度分
散値の符号の制限もなく、正常分散および異常分散のい
ずれのファイバを用いても実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】モード同期ファイバリングレーザの第1構成を
示す図である。
【図2】モード同期ファイバリングレーザの第2構成を
示す図である。
【図3】モード同期ファイバリングレーザの第4構成を
示す図である。
【符号の説明】
10:光ファイバカプラ 10a,10b,10c,10d:光ファイバカプラ 12:モードロッカ 14:光アイソレータ 16:エルビウム添加光ファイバ 18:WDMカプラ 20,20a:光ファイバ 22:変調電圧(電流)源 24:エルビウム添加ファイバ励起用レーザ 26:ファイバブラッググレーティング

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光出力を外部に取り出すための光カプラ
    と、能動モード同期を起こすためのモードロッカと、光
    アイソレータと、光の発生および増幅に寄与する利得媒
    体とを具えていて、これら各光学部品の間を光ファイバ
    により結合してリング共振器を構成しており、 前記利得媒体は、前記リング共振器中での非線形光学効
    果が当該リング共振器の群速度分散に対して非影響的と
    なるように、前記光の発生および増幅を行うものであ
    り、 前記リング共振器長は、発生する光パルス列の繰り返し
    周波数および中心波長と、前記リング共振器の群速度分
    散の平均値とから決まる長さにしてあることを特徴とす
    るモード同期ファイバリングレーザ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 前記リング共振器長が下式(1)により決まる距離z
    periの整数倍に一致していることを特徴とするモード同
    期ファイバリングレーザ。 zperi=2c/(λ2 |D|f2 ) ・・・(1) 但し、(1)式中において、cは真空中での光速であ
    り、λは前記中心波長であり、|D|は前記群速度分散
    の平均値の絶対値であり、fは前記繰り返し周波数であ
    る。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 前記繰り返し周波数fが下式(2)により決まる値であ
    ることを特徴とするモード同期ファイバリングレーザ。 f=cN/(nL) ・・・(2) 但し、(2)式中において、Nはモード同期の次数であ
    り、nは前記リング共振器の平均群屈折率であり、Lは
    前記リング共振器長である。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 前記光カプラと前記モードロッカとの間を結合する前記
    光ファイバの長さは、当該光ファイバ中を伝播する光パ
    ルスのパルス幅が拡がらない程度に比較的短くしてある
    ことを特徴とするモード同期ファイバリングレーザ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 前記リング共振器を構成する光ファイバの一部をファイ
    バブラッググレーティングにしてあることを特徴とする
    モード同期ファイバリングレーザ。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 前記光カプラと前記モードロッカとの間を結合する前記
    光ファイバの長さzlocal が下式(3)で与えられるこ
    とを特徴とするモード同期ファイバリングレーザ。 zlocal =|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(3) 但し、(3)式中において、Nは正の整数であり、|D
    local |は前記光カプラと前記モードロッカとの間を結
    合する前記光ファイバの群速度分散の平均値の絶対値で
    ある。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載のモード同期ファイバリ
    ングレーザにおいて、 複数個の前記光カプラを具えており、各光カプラをそれ
    ぞれ前記リング共振器中のX(N)の位置(NはN>0
    を満たす整数)に配置し、前記モードロッカを前記リン
    グ共振器中のX(0)の位置に配置するとき、 前記光カプラと前記モードロッカとの間のリング共振器
    に沿った距離X(0)X(N)が次式(4)で与えられ
    ることを特徴とするモード同期ファイバリングレーザ。 X(0)X(N)=|D|zperi/(2N|Dlocal |) ・・・(4) 但し、(4)式中において、Nは正の整数であり、|D
    local |は前記光カプラと前記モードロッカとの間にお
    ける前記リング共振器の群速度分散の平均値の絶対値で
    ある。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010510660A (ja) * 2006-11-16 2010-04-02 フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド 受動的にモードロックされた8の字型ファイバレーザ

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JP2010510660A (ja) * 2006-11-16 2010-04-02 フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド 受動的にモードロックされた8の字型ファイバレーザ

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