JPH11257626A - 廃棄物のガス化溶融炉およびガス化溶融方法 - Google Patents

廃棄物のガス化溶融炉およびガス化溶融方法

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JPH11257626A
JPH11257626A JP6573098A JP6573098A JPH11257626A JP H11257626 A JPH11257626 A JP H11257626A JP 6573098 A JP6573098 A JP 6573098A JP 6573098 A JP6573098 A JP 6573098A JP H11257626 A JPH11257626 A JP H11257626A
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博章 石田
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勝哉 伊坂
Hirotaka Sato
弘孝 佐藤
Hitoshi Matsubara
仁志 松原
Akio Rikuta
彰夫 陸田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】廃棄物をガス化溶融して燃料ガスと、溶融スラ
グ、溶融金属あるいはさらに低沸点重金属類を回収する
ガス化溶融炉および方法の提供。 【解決手段】上部に廃棄物装入口11−1と生成するガ
スの排出口3−1を有し、炉壁部分にそれぞれ独立して
支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことが可能で高さ
方向に複数段(通常は3段)に分かれた羽口5−1〜5
−3を有するガス化溶融炉、またはさらに上吹ランス2
4−1とダスト回収手段(ホットサイクロン25)を備
えるガス化溶融炉であって、さらに炉下部に溶融スラグ
31と溶融金属33を一旦蓄積できる空間部29を備え
た張り出し部30を有するガス化溶融炉と、それらの炉
を用いるガス化溶融方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物および
産業廃棄物(以下、これらを区別せず、単に廃棄物とも
称す)をガス化して燃料として使用できるガス(以下、
エネルギーガスと称す)を回収し、または、さらに、こ
れら廃棄物に含まれる低沸点重金属類をダストとして回
収するとともに、これら廃棄物に含まれる灰分と有価金
属類(以下、単に金属類ともいう)をそれぞれ溶融スラ
グと溶融金属として回収する廃棄物のガス化溶融炉およ
びガス化溶融方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみを主体とする一般廃棄物、およ
び廃棄された自動車や家電製品のシュレッダーダストを
主体とする産業廃棄物の処理方法として、埋立て処分な
いしは焼却後埋立て処分する方法が採られている。しか
し、最近の埋立て処分地の確保が極めて困難であるとい
う逼迫した状況の下にあって、これまで一般的に採用さ
れている焼却方式が見直されてきている。また、廃棄物
の焼却後に発生する焼却灰は重金属類を多く含有するた
め、その溶出防止を目的として薬剤処理あるいは高温に
おける溶融処理を施すことが義務付けられている。
【0003】また、廃棄物をそのまま埋立て処分ないし
は焼却後埋立て処分する方法をとるのではなく、一旦減
容固形化した廃棄物、すなわち、一般的にRDF(Refu
se Derived Fuel :廃棄物に由来する燃料を意味する)
と呼ばれる固形燃料にした後、焼却する方法もある。こ
の方式のものとしては、例えば、(株)日本リサイクル
マネジメントによるTC−システム、(株)荏原製作所
によるJ−カトレルシステムあるいは三重県におけるリ
サイクルエネルギーセンター構想等があげられる(第6
回「ごみ固形燃料化技術に関するセミナー」講演要旨
集、平成8年6月28日(環境計画センター))。
【0004】一方、有限資源愛護の見地からみると、こ
れら廃棄物あるいはRDFを単に焼却するのではなく、
再生利用可能なものは資源(有用物質)あるいはエネル
ギー(熱エネルギー)として回収することが望ましい。
現在、実用化されている例として次のようなものがあげ
られる。
【0005】1.物質回収 金属(アルミ缶、スチール缶など)の分別回収 プラスチック(PETボトルなど)の分別回収 古紙(新聞紙など)の分別回収 2.物質転換回収 プラスチックの熱分解油化による燃料油としての回収 プラスチックの熱分解ガス化による燃料ガスとしての
回収 3.熱エネルギー回収 廃棄物焼却時の蒸気回収 上記の1は廃棄物の再生利用に至る手前の事前処理方法
であるため、分別後の廃棄物からの有用物質の回収は上
記の2あるいは3の手段に頼らざるをえない。特に最近
は、生活様式の変化(多様化)によって、一般廃棄物お
よび産業廃棄物には様々な物質が含まれるため、各種の
廃棄物に柔軟に対応することができるガス化溶融方式が
脚光を浴びてきている。特に、この方式は、焼却灰を溶
融スラグ化できるので、焼却灰中の重金属類をスラグ中
に封じ込めて無害化できるという特長を有している。
【0006】このガス化溶融方式としては、次のような
ものがあげられる。
【0007】A.新日鐵のコークスベッド方式直接溶融
システム(「鉄鋼界報」No.1674,1996.
3.21(日本鉄鋼連盟)、「燃料及燃焼」第61巻,
第8号(1994)572〜578頁、および特公平7
−35889号公報参照) 溶融炉本体は単段羽口の竪型シャフト炉であり、炉中央
部から廃棄物とともにコークスと石灰石が投入される。
炉内は上部から予熱・乾燥帯(約300℃)、熱分解帯
(300〜1000℃)および燃焼・溶融帯(1700
〜1800℃)に区分される。予熱・乾燥帯では廃棄物
が加熱され水分が蒸発する。乾燥された廃棄物は次第に
降下し、熱分解帯に移行して有機物はガス化する。この
発生ガスは、炉上部から排出され、後段の燃焼室で完全
に燃焼し、廃熱ボイラー等の熱回収システムにより熱エ
ネルギーの回収が図られる。
【0008】一方、ガス化された残りの灰分と無機物は
コークスとともに燃焼・溶融帯に降下する。コークスは
羽口から供給される空気により燃焼し、その熱によって
灰分と無機物が完全に溶融する。溶融物は投入された石
灰石によって適度な粘度および塩基度に調整され、出湯
口から炉外へ排出される。
【0009】なお、コークスを節減するために、コーク
スと廃棄物の装入系統を別個にして排ガスの顕熱を廃棄
物の乾燥および予熱に利用し、炉の熱効率を上げる方法
が開示されている(前記特公平7−35889号公
報)。
【0010】B.NKKの高温ガス化直接溶融システム
(「鉄鋼界報」No.1674,1996.3.21
(日本鉄鋼連盟)) 溶融炉本体は、高さ方向に3段階に区分された羽口を有
する竪型炉であり、1000℃程度の高温に維持された
廃棄物の乾留物で形成される流動層に、コークス等の補
助燃料とともに廃棄物が直接投入される。中段の羽口
(2段羽口)から流動層内に送風することにより、生成
ガスの一部が燃焼して温度が維持される。
【0011】不燃物を含む乾留物は、補助燃料とともに
炉下部の移動層に降下し、下段の羽口(主羽口)からの
酸素富化空気により高温燃焼・ガス化し、不燃物および
灰分が溶融、滴下して比重差によりメタルと分離され
る。一方、フリーボード下部に設置した羽口(3段羽
口)からの送風によりフリーボード温度が常に1000
℃以上に保たれ、タール分の発生、ダイオキシン類およ
びその前駆体の生成が防止される。
【0012】C.Thermoselect方式(Th
ermoselect(1995.5.26),PAR
T1”Foundation for the continuos conversions of
solid waste”) この方式で用いられる炉は、廃棄物中の水分の蒸発と有
機物の熱分解を行うプレス加圧式管型熱分解器と、酸素
による熱分解残渣(チャー)の燃焼、灰の溶融およびガ
スの改質を行う燃焼溶融炉とが一体に連結された熱分解
溶融炉である。燃焼溶融炉の内部では、まず、熱分解器
からの有機物の分解ガスが炉の中間部に導かれ、一方、
チャーは炉底部に降下し、酸素によって高温で燃焼して
灰が溶融するとともに、炉上部の高温雰囲気下で有機物
分解ガスのCOおよびH2 への転換(ガスの改質)が進
行する。
【0013】しかしながら、上記従来の方式には次のよ
うな問題がある。
【0014】方式Aのシステムの竪型シャフト炉は高価
なコークスを必須とし、生成ガスを完全燃焼させるので
その顕熱しか回収できない。また、この方式では、炉上
部の予熱・乾燥帯温度が約300℃程度であるので、充
分分解しきれないタール等の炭化水素やダイオキシン類
が多量に炉外に排出される。また、高炉方式であるため
溶融スラグと溶融金属は同時にかつ断続的に(バッチ的
に)排出されるので、それらを有効利用するためには高
い精度で分離する必要があるが、溶融物を水砕処理し、
新たに開発した湿式の磁選機で磁選処理する方式を採っ
ており、設備コストの増大を免れ得ない。また、コーク
ス熱源による高温化と石灰石によるスラグの塩基度調整
が不可欠となっている。
【0015】方式Bのシステムの竪型炉も、方式Aの場
合と同様に高価なコークスを必須としている。また、フ
リーボードを常に1000℃以上に保つために、大きな
フリーボードを必要とし、炉の大型化が避けられない。
また、方式Aと同様に高炉方式であるため、溶融スラグ
と溶融金属は同時にかつ断続的に排出される。
【0016】方式Cで用いられる炉は、2つの反応器
(炉)を一体に連結しているとはいいながら、実際上は
明らかに熱分解炉と燃焼溶融炉の2炉に分離している。
したがって、構造的に複雑であり、設備コストが高くな
る。また、熱分解炉は燃焼溶融炉とは分離された間接加
熱型の炉であるため、燃焼溶融炉の排ガス顕熱が充分利
用されない。さらに、燃焼溶融炉とは壁で仕切られて、
Homogenization Chamber(均質化室)が分離して設けら
れているため、構造的に複雑であり熱的ロスが高いこと
が推定される。また、上記方式AおよびBと同様に溶融
物を水砕処理した後、磁選機でスラグとメタルの分離を
行っている。
【0017】さらに、処理しようとする廃棄物(特に、
都市ごみを主体とする一般廃棄物)には、多量の水分が
含まれている。例えば、生ごみを例にとれば、平均的な
水分含有量は30〜60%であり、自治体によっては、
70%を超えるところもある。それ故、このような廃棄
物をそのままガス化溶融炉に装入すると、付着水分の乾
燥のためだけに多大なエネルギーが必要となる。本来、
ガス化溶融炉においては、廃棄物中の有機物の熱分解・
ガス化および熱分解後の残渣である灰の溶融のために貴
重なエネルギーが消費されなければならないのであるか
ら、ガス化溶融炉へ装入する前に廃棄物中の不必要な水
分を除去しておくのが望ましい。しかし、そのために
は、炉外において乾燥のための余分なエネルギーが必要
となる。
【0018】また、多量の水分を含む廃棄物をそのまま
ガス化溶融炉へ装入するということは、原料層頂部の温
度が急激に降下して、充分分解しきれないタール等の炭
化水素やダイオキシン類が炉外に排出されるという危険
性をはらんでいる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガス化溶融
方式における上記の問題を解決し、処分方法などで問題
となっている一般廃棄物および産業廃棄物中の可燃分、
灰分および鉄分などを有効利用して、廃棄物の埋め立て
費用の低減を図るとともに、生成する副生ガスを発電用
燃料等に活用することを目的としてなされたものであ
る。
【0020】本発明の課題は、一般廃棄物および産業廃
棄物を単に焼却するのではなく、廃棄物中に含まれる有
機物をガス化してエネルギーガスとして回収するととも
に、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれぞれ溶融ス
ラグと溶融金属(メタル)として回収し、または、さら
に廃棄物中に含まれる水銀(Hg)、カドミウム(C
d)、鉛(Pb)等の有害な低沸点重金属類をダストと
して回収する方法、およびそのための炉を提供するこ
と、特に、生ごみのように多量の水分を含む廃棄物でも
経済的に処理できる方法および炉を提供することにあ
る。より具体的には、高価なコークスを使用せずに、廃
棄物のガス化溶融、脱水・熱分解およびガスの改質の一
連の工程を1炉で実施し、かつタールやダイオキシン等
が含まれない清浄な排ガス(エネルギーガス)および資
源として有効利用することができるスラグとメタルを製
造できる廃棄物のガス化溶融炉およびその方法を提供す
ることにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)の廃棄物のガス化溶融炉、ならびに
(3)および(4)のガス化溶融方法にある。
【0022】(1)廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機
物をガス化してエネルギーガスとして回収するととも
に、廃棄物中の灰分と金属類を溶融物として回収する竪
型の廃棄物のガス化溶融炉であって、上部に前記廃棄物
を装入する廃棄物装入口と生成するガスを排出するガス
排出口を有し、下部に溶融スラグおよび溶融金属の排出
口を有し、前記廃棄物装入口と溶融スラグおよび溶融金
属の排出口との間に、それぞれ独立して支燃性ガスおよ
び補助燃料を吹き込むことが可能で高さ方向に複数段に
分かれた羽口を有し、さらに、前記装入された廃棄物の
レベルを計測する手段、中段の羽口近傍の温度を計測す
る手段、および炉の上方部の雰囲気ガスの温度を計測す
る手段を有し、かつ、前記溶融スラグおよび溶融金属の
排出口が溶融スラグを炉外へ排出するための少なくとも
1個のスラグ排出口と溶融金属を炉外へ排出するための
少なくとも1個のメタル排出口とに分けられ、前記スラ
グ排出口が、炉下部に取り付けられた張り出し部内に設
けられている溶融スラグおよび溶融金属を炉外へ排出す
る前に一旦蓄積できる空間部の上部に設けられ、前記メ
タル排出口が前記空間部の下部に設けられていることを
特徴とする廃棄物のガス化溶融炉。
【0023】(2)廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機
物をガス化してエネルギーガスとして回収し、かつ廃棄
物中の低沸点重金属類をガス化してエネルギーガスに随
伴されるダストとして回収するとともに、廃棄物中の灰
分と金属類を溶融物として回収する竪型の廃棄物のガス
化溶融炉であって、上部に前記廃棄物を装入する廃棄物
装入口と、生成するガスおよびダストを排出するガス排
出口ならびにこのガス排出口にガス排出ダクトを介して
接続されたダスト回収手段を有し、下部に溶融スラグお
よび溶融金属の排出口を有し、前記ガス排出口と溶融ス
ラグおよび溶融金属の排出口との間に、それぞれ独立し
て支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができる羽
口であって、廃棄物の脱水・熱分解により生成する炭化
物を燃焼、ガス化するための羽口を含む高さ方向に少な
くとも1段の羽口を有し、炉の上部に炉内に向けて昇降
可能な支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができ
る上吹ランスを有し、さらに、前記装入された廃棄物の
レベルを計測する手段、中段の羽口近傍の温度を計測す
る手段、および炉の上方部の雰囲気ガスの温度を計測す
る手段を有し、かつ、前記溶融スラグおよび溶融金属の
排出口が溶融スラグを炉外へ排出するための少なくとも
1個のスラグ排出口と溶融金属を炉外へ排出するための
少なくとも1個のメタル排出口とに分けられ、前記スラ
グ排出口が、炉下部に取り付けられた張り出し部内に設
けられている溶融スラグおよび溶融金属を炉外へ排出す
る前に一旦蓄積できる空間部の上部に設けられ、前記メ
タル排出口が前記空間部の下部に設けられていることを
特徴とする廃棄物のガス化溶融炉。
【0024】(3)上記(1)に記載の廃棄物のガス化
溶融炉を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、
廃棄物装入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾ
ーンでの反応により、COとH2 を主成分とするエネル
ギーガスと、溶融スラグおよび溶融金属とし、前者を炉
上部に設けられたガス排出口から回収し、後者を張り出
し部内に設けられている空間部に一旦蓄積し、溶融スラ
グを前記空間部の上部に設けられたスラグ排出口から排
出させ、溶融金属を前記空間部の下部に設けられたメタ
ル排出口から排出させ、それぞれ回収することを特徴と
する廃棄物のガス化溶融方法。
【0025】〔第1ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を下段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで生成
した炭化物を燃焼、ガス化して還元性ガスを発生させる
とともに炭化物に含まれる灰分と金属類を溶融し、溶融
スラグおよび溶融金属とする。
【0026】〔第2ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を中段の羽口から吹き込み、第1ゾーンで発生
した還元性ガスを二次燃焼させ、廃棄物装入口から装入
された廃棄物を脱水加熱して炭化物と炭化水素ガスに熱
分解する。
【0027】〔第3ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を上段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで発生
した炭化水素ガスを熱分解してCOとH2 を主成分とす
るエネルギーガスとする。
【0028】(4)上記(2)に記載の廃棄物のガス化
溶融炉を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、
廃棄物装入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾ
ーンでの反応により、COとH2 を主成分とするエネル
ギーガスおよび低沸点重金属類を含むダストと、溶融ス
ラグおよび溶融金属とし、前者を炉上部に設けられたガ
ス排出口から回収してエネルギーガスとダストに分離
し、後者を張り出し部内に設けられている空間部に一旦
蓄積し、溶融スラグを前記空間部の上部に設けられたス
ラグ排出口から排出させ、溶融金属を前記空間部の下部
に設けられたメタル排出口から排出させ、それぞれ回収
することを特徴とする廃棄物のガス化溶融方法。
【0029】〔第1ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を下段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで生成
した炭化物を燃焼、ガス化して還元性ガスを発生させる
とともに炭化物に含まれる灰分と金属類を溶融し、溶融
スラグおよび溶融金属とする。
【0030】〔第2ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を中段の羽口および/または上吹ランスから吹
き込み、第1ゾーンで発生した還元性ガスを二次燃焼さ
せ、廃棄物装入口から装入された廃棄物を脱水加熱して
炭化物と炭化水素ガスに熱分解するとともに、低沸点重
金属類をガス化する。
【0031】〔第3ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて
補助燃料を上段の羽口および/または上吹ランスから吹
き込み、第2ゾーンで発生した炭化水素ガスを熱分解し
てCOとH2 を主成分とするエネルギーガスとし、ガス
状の低沸点重金属類をダストとする。
【0032】なお、上記(1)または(2)に記載の廃
棄物のガス化溶融炉は、望ましい態様として、下記の
(a)〜(d)の少なくとも一つが単独で、または組み
合わせて設けられたものであってもよい。
【0033】(a)張り出し部の空間部内に溶融スラグ
または溶融金属の流れをさえぎる堰が設けられているこ
と (b)張り出し部の空間部内に支燃性ガスおよび補助燃
料を吹き込むことができるランスが設けられていること (c)炉底部に溶融スラグおよび溶融金属を張り出し部
へ導く傾斜部が設けられていること (d)炉底部外面に冷却装置が設けられていること 前記(1)における「複数段に分かれた羽口」の「複数
段」とは、実用的には3段であるが、必ずしも3段に限
定されず、補助的に設けられた羽口を含め、4段以上で
あってもよい。また、各段における羽口の数は少なくと
も1個、通常は2個以上の複数個で、炉壁に取り付けら
れている。なお、前記(2)の「少なくとも1段の羽
口」にあっても、各段における羽口の数は少なくとも1
個、通常は2個以上の複数個で、炉壁に取り付けられて
いる。
【0034】前記(3)および(4)における「ゾー
ン」とは、後述するが、炉内における領域であって、そ
こで生じる反応に応じて第1ゾーン、第2ゾーンおよび
第3ゾーンと称する。
【0035】前記(2)および(4)における「低沸点
重金属類」とは、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、
鉛(Pb)の他、1200℃以下あるいはその近辺の温
度において高い蒸気圧を有する砒素(As)、亜鉛(Z
n)等の金属、ならびにそれら金属の塩化物、すなわち
HgCl2 、CdCl2 、PbCl2 、ZnCl2 等、
あるいはそれら金属の酸化物、すなわちHgO、Cd
O、PbO、ZnO等、あるいはそれら金属の硫化物、
すなわちHgS、CdS、PbS、ZnS等の環境上有
害と指定されている元素ならびにその化合物を指す。
【0036】また、前記(1)および(2)における
「金属類」とは、前記のように有価金属類を指し、例え
ば、鉄(Fe)、銅(Cu)の他、アルミニウム(A
l)、ニッケル(Ni)等の金属、およびその酸化物で
あって、回収すれば一般的に価値有るものとして評価さ
れるものをいう。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、図面に基づいて本発明
(上記(1)〜(4)の発明)を詳細に説明する。
【0038】図1は、上記(1)の発明の廃棄物のガス
化溶融炉の一例の構成を示す概略縦断面図で、高さ方向
に3段に分かれた羽口を有する場合である。以下、この
場合を例にとって説明する。
【0039】図示するように、廃棄物ガス化溶融炉1
は、上部に廃棄物を装入するための廃棄物装入口11−
1と生成するガスを排出するためのガス排出口3−1を
有している。廃棄物装入口11−1には、ホッパー11
−2およびプッシャー10が取り付けられ、また、ガス
排出口3−1には、排ガス4を回収するためのダクト3
−2が取り付けられている。炉下部には、溶融スラグお
よび溶融金属を炉外へ排出する前に一旦蓄積できる空間
部29を内部に備えた張り出し部30が取り付けられて
いる。なお、この炉下部に取り付けられた張り出し部3
0の詳細については、次に述べる(2)の発明の廃棄物
のガス化溶融炉の説明において併せて説明する。
【0040】炉側壁の廃棄物装入口11−1と炉下部に
取り付けられた張り出し部30の間には、それぞれ独立
して支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができる
高さ方向に3段に分かれた羽口が設けられている。すな
わち、炉の下方から順に、廃棄物を脱水加熱し、熱分解
させることにより生成する炭化物を主体とする充填層1
4(第1ゾーン)に支燃性ガス7−1および補助燃料6
−1を吹き込むための羽口(下段の羽口で、以下、「1
次羽口5−1」という)と、装入された状態の廃棄物を
主体とする充填層15(第2ゾーン)に支燃性ガス7−
2および補助燃料6−2を吹き込むための羽口(中段の
羽口で、以下、「2次羽口5−2」という)と、フリー
ボード16(第3ゾーン)に支燃性ガス7−3および補
助燃料6−3を吹き込むための羽口(上段の羽口で、以
下、「3次羽口5−3」という)である。なお、支燃性
ガスとは、純酸素、または酸素を含有するガスであり、
必要に応じて窒素、アルゴン等の不活性ガスを混合して
もよい。補助燃料とは、微粉炭等の固体燃料、重油等の
液体燃料、天然ガス等の気体燃料であるが、後述する本
発明の方法で生成される酸素を含有しないCOおよびH
2 を主体とするプロセスガスを用いてもよい。。
【0041】廃棄物を主体とする充填層15は、溶融ス
ラグの粘度を下げてスムーズに炉下部から排出すべく廃
棄物と同時に石灰石を装入するため、一部石灰石が混在
したものである。
【0042】さらに、炉上部には、炉内に装入された廃
棄物のレベル(高さレベルで、以下、原料層頂レベルと
いう)を計測するための手段であるサウンジングデバイ
ス17が設けられ、このデバイス17の先端に取り付け
られたサウンジングウェイト18が炉内に垂下されてい
る。
【0043】また、炉側壁には、廃棄物充填層(すなわ
ち、第2ゾーン)内の原料層頂レベル近傍の温度を計測
するための熱電対20と、炉の上方部の雰囲気ガスの温
度(すなわち、フリーボード空間の排ガス温度)を計測
するための熱電対21、ならびにそれら熱電対20、2
1の信号を温度に変換する温度変換器19が取り付けら
れている。
【0044】上記のように、本発明のガス化溶融炉は、
竪型の、1炉方式のガス化溶融炉である。1炉方式とし
た理由は、設備の簡素化と設備費の低減を図るためであ
る。また、炉体からの熱損失を抑制するためにも、1炉
方式が好ましい。
【0045】このガス化溶融炉において、羽口を炉の高
さ方向に3段に分けて設けた理由、サウンジングデバイ
ス17を設け、さらに、炉側壁の所定の部位に熱電対を
取り付けた理由については、後述する前記(3)の発明
の廃棄物のガス化溶融方法の説明において併せて説明す
る。
【0046】図2は、上記(2)の発明の廃棄物のガス
化溶融炉の一例の構成を示す概略縦断面図である。
【0047】図示するように、廃棄物ガス化溶融炉1
は、上部に廃棄物を装入するための廃棄物装入口11−
1と生成するエネルギーガスおよびエネルギーガスに随
伴されるダストを排出するためのガス排出口3−1を有
している。廃棄物装入口11−1には、ホッパー11−
2およびプッシャー10が取り付けられ、また、ガス排
出口3−1には、エネルギーガスおよびダスト(図では
排ガス4と表示)を回収するためのホットサイクロン
(ダスト回収手段)25がガス排出ダクト3−2を介し
て取り付けられている。エネルギーガスおよびダストは
ホットサイクロン25を通過してエネルギーガス26と
ダスト27に分離される。なお、ダスト回収手段として
は、ホットサイクロンが安価であって経済性に優れ好適
であるが、他に、バグフィルター等の除塵装置を用いて
もよい。
【0048】炉下部には、前記の図1に示した廃棄物の
ガス化溶融炉の場合と同様、溶融スラグおよび溶融金属
を炉外へ排出する前に一旦蓄積できる空間部29を内部
に備えた張り出し部30が取り付けられている。
【0049】ガス排出口3−1と炉下部に取り付けられ
た張り出し部30の間には、それぞれ独立して支燃性ガ
スおよび補助燃料を吹き込むことができる高さ方向に3
段に分かれた羽口が設けられている。これは前記の図1
に示したガス化溶融炉の場合と同様で、炉の下方から順
に、廃棄物を脱水加熱し、熱分解させることにより生成
する炭化物を主体とする充填層14(第1ゾーン)に支
燃性ガス7−1および補助燃料6−1を吹き込むための
羽口(下段の羽口で、以下、「1次羽口5−1」とい
う)と、装入された状態の廃棄物を主体とする充填層1
5(第2ゾーン)に支燃性ガス7−2および補助燃料6
−2を吹き込むための羽口(中段の羽口で、以下、「2
次羽口5−2」という)と、フリーボード16(第3ゾ
ーン)に支燃性ガス7−3および補助燃料6−3を吹き
込むための羽口(上段の羽口で、以下、「3次羽口5−
3」という)である。
【0050】さらに、この廃棄物ガス化溶融炉1の上部
には、支燃性ガス(または支燃性ガスと不活性ガスとの
混合ガス)22と必要に応じて補助燃料23を吹き込む
ことができる上吹ランス24−1と、このランス24−
1を昇降させるためのランス昇降装置24−2が設けら
れている。
【0051】なお、支燃性ガスとは、純酸素、または酸
素を含有する空気等のガスであり、支燃性ガスに混合す
る不活性ガスとは、窒素、アルゴン等である。また、補
助燃料とは、微粉炭等の固体燃料、重油等の液体燃料、
天然ガス等の気体燃料であるが、本発明の方法で生成さ
れる酸素を含有しないCOおよびH2 を主体とするプロ
セスガスを用いてもよい。
【0052】廃棄物を主体とする充填層15は、溶融ス
ラグの粘度を下げてスムーズに炉下部から排出すべく廃
棄物と同時に石灰石を装入するため、一部石灰石が混在
したものである。
【0053】上記のガス化溶融炉では、廃棄物装入口1
1−1が2次羽口5−2と3次羽口5−3の間に取り付
けられているが、この位置に限定されることはなく、前
記の図1に示したガス化溶融炉の場合のように、3次羽
口5−3の上に取り付けられていてもよい。ただ、図2
に示したガス化溶融炉のように2次羽口5−2と3次羽
口5−3の間に取り付けられている方が、第3ゾーンで
改質した後のクリーンなガスと落下してくる廃棄物とが
衝突し合うことがなく、クリーンガスの汚染や廃棄物の
飛散が少ないので、望ましい。
【0054】また、この例では、ガス排出口3−1と炉
下部に取り付けられた張り出し部30の間に3段に分か
れた羽口が設けられているが、この羽口は、廃棄物が脱
水加熱され熱分解して生成した炭化物を燃焼、ガス化す
るための羽口、すなわち、炉内の第1ゾーンに取り付け
られた1次羽口を含めて少なくとも1段設けられていれ
ばよい。1段とした場合は上記の上吹ランス24−1を
用い、これを第2ゾーンまたは第3ゾーンの適正な位置
に上下動させる。
【0055】さらに、このガス化溶融炉においては、前
記の図1に示した廃棄物ガス化溶融炉の場合と同様、炉
上部に、炉内に装入された廃棄物のレベル(原料層頂レ
ベル)を計測するためのサウンジングデバイス17が設
けられている。また、炉側壁には、廃棄物充填層(すな
わち、第2ゾーン)内の原料層頂レベル近傍の温度を計
測するための熱電対20と、炉の上方部の雰囲気ガスの
温度(すなわち、フリーボード空間の排ガス温度)を計
測するための熱電対21、ならびにそれら熱電対20、
21の信号を温度に変換する温度変換器19が取り付け
られている。このガス化溶融炉において、サウンジング
デバイスを設け、さらに、炉側壁の所定の部位に熱電対
を取り付けた理由については、後に説明する。
【0056】前記のように、このガス化溶融炉には溶融
スラグおよび溶融金属を炉外へ排出する前にそれらを一
旦蓄積できる空間部29を内部に備えた張り出し部30
が取り付けられているが、その理由および望ましい態様
について以下に説明する。なお、これは、前記の図1に
示したガス化溶融炉においても同様である。
【0057】図2に示すように、このガス化溶融炉にお
いては、溶融スラグおよび溶融金属の排出口が、溶融ス
ラグ31を炉外へ排出するためのスラグ排出口32と溶
融金属33を炉外へ排出するためのメタル排出口34と
に分けられ、スラグ排出口32が前記空間部29の上部
に設けられ、メタル排出口34が前記空間部29の下部
に設けられている。
【0058】前述したように、炭化物のガス化、溶融が
生じる領域である第1ゾーンでは、第2ゾーンで形成さ
れ、降下してきた炭化物の充填層が存在し、その内部に
溶融スラグおよび溶融金属が生成しているので、充填層
内部は、炭化物、石灰等の造滓剤、溶融スラグおよび溶
融金属が混在した状態となっている。したがって、溶融
スラグおよび溶融金属を炉外に排出させる前に、一旦そ
れらを集めて蓄積し鎮静化させると、溶融スラグおよび
溶融金属が比重差によって容易に分離する。すなわち、
上部に溶融スラグが存在し、その下に溶融金属が存在す
ることとなる。そこで、溶融スラグ31および溶融金属
33を一旦蓄積できる空間部29を備えた張り出し部3
0を取り付けることとした。なお、張り出し部30は高
温の溶融スラグおよび溶融金属を蓄積できるように耐火
物で構成されている。
【0059】溶融スラグおよび溶融金属の排出口を、ス
ラグ排出口32とメタル排出口34に分け、スラグ排出
口32を前記空間部29の上部に、メタル排出口34を
前記空間部29の下部に設けたのは、空間部29で上下
に分離した溶融スラグ31と溶融金属33をそれぞれス
ラグ排出口32およびメタル排出口34から排出させる
ためである。なお、スラグ排出口32およびメタル排出
口34の数は、図2に示した例ではそれぞれ1個である
が、いずれも2個以上の複数個であってもよい。炉の規
模その他の条件に応じて適宜定めればよい。
【0060】このガス化溶融炉を用いれば、張り出し部
30の空間部29内で溶融スラグと溶融金属を分離し、
それらを別々に炉外へ排出させることができる。
【0061】この(2)の発明の廃棄物のガス化溶融炉
において、前記の望ましい態様である(a)〜(d)が
単独で、または組み合わせて設けられていれば、この溶
融スラグと溶融金属を分離し、別々に炉外へ排出させる
という効果を一層容易に発揮させ得るとともに、炉下部
の耐火物(耐火煉瓦あるいはキャスタブルが使用される
ことが多いが、以下、それらを含む総称として耐火物と
記す)を高温の溶融スラグによる侵食等から保護するこ
とができる。図2に示したガス化溶融炉にはこれら望ま
しい態様の一例が示されているので、以下、図2に基づ
いて説明する。
【0062】(a)張り出し部の空間部内に溶融スラグ
または溶融金属の流れをさえぎる堰が設けられているこ
と:図2に示すように、張り出し部30の空間部29内
には、耐火物で作られた堰35が空間部29の縦断面
(炉下部の中心から張り出し部30へ向かう方向に対し
て垂直な断面)の上方側を閉止するように設けられてい
る。この堰35によって、空間部29内での溶融スラグ
の流れがさえぎられ、溶融スラグ31は空間部29内の
ガス化溶融炉1の本体に近い側に留まり、溶融金属33
は炉の本体から遠い側まで導かれることとなる。これに
よって、空間部29の上部に設けられたスラグ排出口3
2からは優先的に溶融スラグを排出させ、空間部29の
下部に設けられたメタル排出口34からは優先的に溶融
金属を排出させることができ、両者が混在していない品
質の良いスラグおよび溶融金属を回収することができ
る。
【0063】なお、堰35の先端の上下方向の位置は、
溶融スラグ31および溶融金属33の界面の位置に応じ
て調節できるように構成しておけばよい。また、堰35
の取り付け角度は必ずしも前記のように炉下部の中心か
ら張り出し部30へ向かう方向に対して垂直である必要
はなく、溶融スラグ31をスラグ排出口32から円滑に
排出させるという機能を果たせる角度であればよい。
【0064】図2に示した堰35は空間部29の縦断面
の上方側を閉止する堰であるが、下方側を閉止して溶融
金属の流れをさえぎり、溶融スラグと溶融金属を分離し
て排出させる堰を設けてもよい。この場合は、溶融金属
の流れがさえぎられ、溶融金属が空間部29内のガス化
溶融炉1の本体に近い側に留まることとなるので、それ
に応じてスラグ排出口およびメタル排出口の位置を定め
ればよい。
【0065】(b)張り出し部の空間部内に支燃性ガス
および補助燃料を吹き込むことができるランスが設けら
れていること:廃棄物の処理量が比較的少なく、ガス化
溶融炉本体が小さい(処理量が日量10トン未満)場合
には、溶融スラグの冷却による固化が起こりやすい。し
たがって、溶融スラグを円滑に炉外へ排出させるために
は、張り出し部30の空間部29に、支燃性ガス38と
補助燃料37を同時に吹き込んで熱を供給できるランス
36を設けるのが効果的である。これにより、コークス
を使用することなく、溶融スラグを円滑に炉外へ排出さ
せることができる。
【0066】(c)炉底部に溶融スラグおよび溶融金属
を張り出し部へ導く傾斜部が設けられていること:前述
したように、炭化物のガス化、溶融が生じる第1ゾーン
では、特に1次羽口の近傍が2000℃以上の高温状態
となる。また、溶融スラグおよび溶融金属が存在するの
で、内張り耐火物は最も過酷な条件下におかれている。
すなわち、溶融スラグが存在する部位ではスラグによる
浸食が起こり、また溶融金属が存在する部位ではメタル
による差し込みが見られる。特に、煉瓦のように目地部
があると、目地部からのスラグ浸食とメタル差し込みが
顕著になる。そのため、ガス化溶融炉本体の寿命は、1
次羽口より下方の耐火物の寿命により左右される。
【0067】このような最も過酷な条件下にある1次羽
口より下方の耐火物が内張りされた炉底部に傾斜部39
を設けて、生成した溶融スラグおよび溶融金属がそのま
ま空間部29へ流れる構造にしておけば、炉底部および
その近傍の側壁部の耐火物が内張りされた部分に溶融ス
ラグおよび溶融金属が常時滞留するということがなくな
り、1次羽口より下方の耐火物の寿命を延長させること
ができる。なお、傾斜部39は、高アルミナ質、マグネ
シア・クロミア質等の耐火物で構成されたものが好適で
ある。また、空間部29は、スラグおよび金属が溶融す
る温度、すなわち1400℃程度に維持されているの
で、空間部29を形成する耐火物の浸食は少ない。
【0068】(d)炉底部外面に冷却装置が設けられて
いること:上記の傾斜部およびその近傍の耐火物の浸食
を抑制するためには、図2に概念的に示したように、炉
の外側、すなわち鉄皮側から冷却できる冷却装置40を
設けるのが最も簡便でかつ効果的である。
【0069】冷却装置としては、従来からよく知られて
いるステーブ方式、ジャケット方式あるいはシャワー散
水方式等の装置を用いればよい。また、冷却は空冷方式
でもよいが、水冷方式の方がより冷却効果が大きく有効
である。特に、上記のようにガス化溶融炉の炉底部に溶
融スラグおよび溶融金属が滞留しないように傾斜部が設
けられている場合は、安全性の観点からみても問題はな
く、水冷方式を採用するのが好適である。
【0070】上記のように、このガス化溶融炉も、竪型
の、1炉方式のガス化溶融炉で、設備の簡素化と設備費
の低減を図ることができ、また、炉体からの熱損失を抑
制する上からも好ましい方式である。また、このガス化
溶融炉を用いれば、以下に述べるように、廃棄物中に含
まれる水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)
等の有害な低沸点重金属類をダストとして回収すること
ができる。さらに、後述するように、溶融スラグと溶融
金属を炉下部に取り付けた張り出し部で分離して別々に
排出し、高品質のスラグおよびメタルを回収することが
できる。
【0071】前記の(3)の発明の廃棄物のガス化溶融
方法は、上記(1)の発明のガス化溶融炉を用いて行う
廃棄物のガス化溶融方法である。以下、上記の図1に示
したガス化溶融炉を用いる場合について説明する。
【0072】まず、廃棄物をホッパー11−2に投入
し、プッシャー10で押し込んで廃棄物装入口11−1
から炉内へ装入し、次いで、以下に詳述する第1ゾーン
〜第3ゾーンでの反応により、COとH2 を主成分とす
るエネルギーガスと、溶融スラグおよび溶融金属とし、
前者を炉上部に設けられたガス排出口3−1から回収
し、後者を炉下部に取り付けられた張り出し部30に設
けられているスラグ排出口32およびメタル排出口34
から回収する。
【0073】炉内は、生じる反応に応じて三つの領域、
すなわち、炉下部から順に炭化物のガス化、溶融が生じ
る領域(第1ゾーン)、廃棄物の脱水・熱分解が生じる
領域(第2ゾーン)およびガスの改質が進行する領域
(第3ゾーン)に分割されており(図1参照)、その各
々の領域、すなわち第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3
ゾーンに、反応のために必要な支燃性ガスおよび補助燃
料を独立して吹き込める上記の1次羽口5−1、2次羽
口5−2および3次羽口5−3がそれぞれ対応して取り
付けられている。このような構成を採ることによって、
竪型炉に特有の棚吊りや吹き抜け(特に、本発明方法の
ようにコークスを使用しない場合に生じ易い)の発生を
回避することができる。なお、支燃性ガスおよび補助燃
料を供給するための羽口は、上述した3段に限定され
ず、反応に必要な量を供給するため、必要に応じて各ゾ
ーンに複数段設け、全体として4段以上の複数段として
もよい。
【0074】第1ゾーンでは下記の式で示した反応が
生じる。この反応は、第2ゾーンで形成され、降下して
きた炭化物(充填層)が1次羽口5−1から吹き込まれ
た支燃性ガス7−1により燃焼する反応で、炭化物は燃
焼ガス化し、2000℃以上の高温のCOを主体とする
還元性ガスとなる。また、その顕熱で炭化物に含有され
ている灰分(無機酸化物)と金属類が溶融し、溶融スラ
グと溶融金属となる。なお、必要により1次羽口5−1
から補助燃料6−1を供給する。
【0075】C+1/2O2 =CO ・・・ ここで、C :第2ゾーンから供給される炭化物 O2 :1次羽口から吹き込まれた支燃性ガス中の酸素 前記の還元性ガスは第2ゾーンに移行し、溶融スラグと
溶融金属は炉下部に取り付けられた張り出し部30の空
間部29に設けられているスラグ排出口32およびメタ
ル排出口34から回収される。
【0076】なお、第2ゾーンで廃棄物を脱水・熱分解
することにより炭化物の充填層とし、第1ゾーンでこの
炭化物をガス化、溶融する理由は、このように2段に分
ける方が炭化物の加熱促進、溶融スラグおよび溶融金属
からの放熱ロスの抑制を効果的に行えるからである。
【0077】この第1ゾーンでは、生成する還元性ガス
の顕熱で炭化物に含有されている灰分と有価金属類を完
全に溶融することが必要であるため、ガスの温度を20
00℃以上に保つのが好ましい。そのために、支燃性ガ
ス中の酸素濃度を50体積%(以下、ガスについての%
は体積%を意味する)以上とし、必要であれば補助燃料
を吹き込む。また、溶融スラグを炉下部の張り出し部に
設けたスラグ排出口から詰まり等を生じさせず円滑に排
出させるために、廃棄物の炉内への装入時に石灰石を同
時に装入するか、あるいは1次羽口から粉状の石灰石を
造滓材として吹き込み、スラグの粘度を下げるのが好ま
しい。
【0078】第2ゾーンでは、下記の式〜式で示し
た反応が生じる。式の反応は、廃棄物の脱水加熱で、
第1ゾーンから供給された高温の還元性ガスの顕熱によ
り行われる。また、この還元性ガスが、2次羽口5−2
から吹き込まれた支燃性ガス7−2により式にしたが
って二次燃焼するときに生成する熱によっても行われ
る。これにより、廃棄物中の有機物は式および式に
したがい炭化物(ただし、式、式ではCとして表
示)と炭化水素ガスに熱分解する。なお、必要により2
次羽口から補助燃料6−2を供給する。
【0079】この工程で得られる炭化物は第1ゾーン
へ、炭化水素ガスは第3ゾーンへそれぞれ移行する。
【0080】 H2 O(liq )=H2 O(gas ) ・・・ Cpqr =r/2CO2 +q/nCmn +(p−r/2−qm/n)C ・・・ Cmn =n/4CH4 +{m−(n/4)}C ・・・ CO+1/2O2 =CO2 ・・・ ここで、H2 O(liq ):廃棄物中の付着水分 Cpqr :廃棄物中の有機物 Cmn :廃棄物中の有機物の分解で生じた炭化水
素ガス C :第1ゾーンに供給される炭化物 CO:第1ゾーンで炭化物が燃焼して生成したCO O2 :2次羽口から吹き込まれた支燃性ガス中の酸素 この工程では、炉内へ装入する廃棄物に必要に応じて副
原料(例えば、石灰石、生石灰等)を加えて充填層を形
成させておく。つまり、廃棄物が比較的密に充填された
状態としておく。このような廃棄物の充填層とすること
により、その層内を高温のガスが通過する際の固・気体
間の接触時間が長くなり、熱効率が向上する。
【0081】また、高温の還元性ガスを二次燃焼させる
理由は、式の二次燃焼熱を利用して加熱を促進し、熱
分解温度を好ましくは800〜1000℃に制御するた
めである。この二次燃焼熱は、前記式の燃焼熱(一次
燃焼熱)に比べて格段に大きく、廃棄物の脱水・熱分解
に必要な熱の補充に有効である。なお、この際、発生ガ
ス量を少なくして廃棄物の飛散を防止し、顕熱ロスを抑
制するとともに、発生ガスの発熱量(カロリー)の低下
を抑制するため、支燃性ガス中の酸素濃度を50%以上
にするのが好ましい。
【0082】第3ゾーンでは、下記の式および式で
示した反応が生じる。これらの反応は第2ゾーンから供
給される炭化水素ガスの熱分解反応(ガス改質反応)
で、COとH2 を主成分とするガス(エネルギーガス)
が得られる。これらの反応は3次羽口5−3から吹き込
まれる支燃性ガス7−3との反応により進行する。な
お、必要により3次羽口から補助燃料6−3を供給す
る。
【0083】 Cmn +m/2O2 =mCO+n/2H2 ・・・ CH4 +1/2O2 =CO+2H2 ・・・ ここで、Cmn :第2ゾーンで廃棄物が熱分解して生
成した炭化水素ガス CH4 :第2ゾーンでCmn が熱分解して生成した
メタンガス O2 :3次羽口から吹き込まれた支燃性ガス中の酸
素 この第3ゾーンでの反応はフリーボード16部で行われ
るが、このような空洞部で反応を行わせる理由は、気体
間の反応であるガス改質反応を円滑に進めるためであ
る。空洞内の雰囲気温度を800〜1000℃に制御す
ると、改質反応が充分に進行するので好ましい。
【0084】支燃性ガス中の酸素濃度は50%以上とす
るのが好ましい。これは、回収されるガスのカロリーを
高めて次工程の発電等の用途に利用し易くするためであ
る。さらに、ダイオキシン類やその前駆体の生成を抑制
するために、ガスの温度は900℃以上とするのが好ま
しい。
【0085】以上述べたように、(2)の発明の廃棄物
のガス化溶融方法では、上記第1ゾーン〜第3ゾーンで
の反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガ
スと、溶融スラグおよび溶融金属を回収する。そのた
め、1次〜3次の3段の羽口が必要となる。
【0086】さらに、各段の羽口がそれぞれ独立して支
燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができるもので
なければならない。その理由は、以下のとおりである。
【0087】まず、1次羽口の場合、式の反応に関与
するC(炭化物)の量は、式および式で表される反
応の進行度合いによって変化する。また、廃棄物の種類
が変化すれば、自ずと式および式で表される反応の
生成物量も変化する。したがって、1次羽口から吹き込
む支燃性ガスの量は他の工程とは独立して定め得るもの
としておかなければならない。必要に応じて供給する補
助燃料についても同様である。
【0088】次に、2次羽口から吹き込む支燃性ガス量
は、式の反応で決まり、式のCO量は式の反応で
決まってくるので、見掛け上1次羽口から吹き込む支燃
性ガス量と連動していると見なされる。しかし、実際は
式の反応で生成するCOガスをすべて二次燃焼させる
必要はなく、第2ゾーンでは、少なくとも廃棄物中の付
着水分の脱水加熱と廃棄物中の有機物の熱分解に必要な
熱を加え、さらに第2ゾーンの雰囲気温度を800〜1
000℃に保つために必要な熱を加えるだけでよい。し
たがって、2次羽口からの支燃性ガス量は、廃棄物に含
まれる成分によって大きく変化する。すなわち、2次羽
口から吹き込む支燃性ガスの量も独自に定め得るものと
しておかなければならない。補助燃料についても同様で
ある。
【0089】3次羽口から吹き込む支燃性ガス量は式
および式で決まる。この場合も廃棄物中の含有成分に
よってCmn とCH4 の生成量が変化するので、3次
羽口から吹き込む支燃性ガス量についても独自に定め得
るものとしておかなければならない。なお、補助燃料に
ついても同様である。
【0090】先に述べた(1)の発明のガス化溶融炉に
おいて、羽口を3段に分けて設け、しかもそれぞれ独立
して支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができる
こととしたのは上記の理由によるものである。
【0091】支燃性ガスの吹き込み量と必要により供給
する補助燃料の量は以下のようにして定める。
【0092】処理の対象が例えば異種の廃棄物が混在し
た一般廃棄物のような場合、通常は炉内に装入する前に
成分分析を行うことはしないので、炉内では未知の成分
が燃焼し、あるいは熱分解することになり、生成ガス量
およびその含有成分を予測することは実際上不可能であ
る。
【0093】このような条件下では、装入した廃棄物の
レベル(原料層頂レベル)を逐次計測する。これによっ
て、炉内の充填層(廃棄物の充填層および炭化物の充填
層)の厚みの変化を間接的に把握することができる。す
なわち、第1ゾーンで形成される炭化物の充填層は燃焼
量が多いほど荷下がりが進み、原料層頂レベルが下が
る。したがって、事前に経験的に所定の原料層頂レベル
を決めておき、その後の原料層頂レベルの上下変動に基
づいて1次羽口からの支燃性ガスと、必要により供給す
る補助燃料の吹き込み量を決定すればよい。なお、使用
する原料層頂レベル計としては、製鉄分野の高炉内部の
原料層頂レベル計として知られているサウンジングデバ
イスが好適である。
【0094】ところで、第1ゾーンで形成される炭化物
の充填層の上には、第2ゾーンで形成される廃棄物の充
填層が存在するので、計測される原料層頂レベルは、第
1ゾーンと第2ゾーンにおけるそれぞれの変化量の合計
として表れる。したがって、第1ゾーンと第2ゾーンに
おける変化量を区別する必要があるが、第2ゾーンにお
ける反応の変化は、第2ゾーンの温度変化を逐次計測す
ることにより間接的に把握できる。すなわち、第2ゾー
ンでは、少なくとも廃棄物中の付着水分の脱水加熱と廃
棄物中の有機物の熱分解に必要な熱を加え、さらに第2
ゾーンの雰囲気温度を800〜1000℃に保つために
必要な熱を加えるだけでよいので、第2ゾーンの領域内
にある廃棄物の温度変化を逐次計測し、それが低下すれ
ば熱不足と判断し、2次羽口からの支燃性ガス量を増加
して二次燃焼させるCO量(式の反応で生成するCO
のうち二次燃焼させる量)を上げてやる。逆に、温度が
上昇すれば熱的に余裕があると判断できるので、2次羽
口からの支燃性ガス量を減少させて二次燃焼させるCO
量を下げてやればよい。なお、前記の廃棄物の温度変化
は第2ゾーンの温度変化をもってそれとみなすことがで
き、第2ゾーンの温度変化は、例えば、第2ゾーンの内
張り煉瓦表面に熱電対を設置し、その表面温度を測定す
ることにより求めることができる。
【0095】このように、原料層頂レベル計によるレベ
ル値および第2ゾーンの内張り煉瓦の表面温度を逐次計
測することにより、第1ゾーンおよび第2ゾーンの支燃
性ガスと必要により供給する補助燃料の吹き込み量をそ
れぞれ独自に決定することができる。
【0096】第3ゾーンでは、第2ゾーン出口(フリー
ボード側)の雰囲気温度を800〜1000℃に保て
ば、排ガス中の炭化水素、特に配管閉塞等のトラブルの
原因となるタールのような炭素数が5以上の炭化水素
(Cmn :m ≧5)をすべて分解できる。したがっ
て、第3ゾーンのフリーボード空間内に温度計を設置し
てその温度を逐次計測し、温度が800℃よりも低下し
たときは、3次羽口から支燃性ガスと必要によっては補
助燃料を吹き込めばよい。特に、廃棄物を炉内に装入し
た直後は、第2ゾーンの原料層頂レベルおよび第3ゾー
ンのフリーボードにおける温度が急激に下がるので、第
2ゾーンおよび第3ゾーンの温度から判断して、生成す
る炭化水素(Cmn :m ≧5)を分解するために、支
燃性ガスと必要により補助燃料の吹き込みを実施するの
が効果的である。
【0097】一方、生成する溶融スラグおよび溶融金属
を炉下部に取り付けられた張り出し部30の空間部29
で一旦蓄積して比重差により溶融スラグと溶融金属に分
離し、溶融スラグは空間部29に設けられたスラグ排出
口32から、また、溶融金属は同じく空間部29に設け
られたメタル排出口34からそれぞれ排出させ、回収す
る。
【0098】回収に際しては、スラグ排出口32を常時
「開」のままにし、溶融スラグを連続的に排出させる。
これによって、排出口の開口および閉塞というわずらわ
しい作業を排除することができる。
【0099】上記(3)の発明の廃棄物のガス化溶融方
法によれば、高価なコークスを使用せずに、廃棄物のガ
ス化溶融、脱水・熱分解およびガス改質の一連の工程を
1炉で実施し、かつタール等が含まれない清浄な排ガス
とし、これをエネルギーガスとして回収することができ
る。さらに、溶融スラグと溶融金属を炉下部に取り付け
た張り出し部で分離して別々に排出し、高品質のスラグ
およびメタルを回収することができる。
【0100】上述したように、(3)の発明のガス化溶
融方法においては、第2ゾーンの有機物の熱分解温度お
よびフリーボード空間部の雰囲気温度の好ましい制御範
囲を800〜1000℃としているが、この方法は、塩
化物や低沸点重金属類があまり含まれていない廃棄物を
処理する場合に好適な方法といえる。すなわち、塩化物
や低沸点重金属類が若干含まれていても、それらを主と
してスラグ中に封じ込め、ダストとしての回収(換言す
れば、ダスト中への混入)を低く抑えることができる。
なお、次に述べるガス化溶融方法は、有機物の熱分解温
度およびフリーボード空間部の雰囲気温度の好ましい制
御範囲を800〜1400℃とし、廃棄物中に塩化物や
低沸点重金属類が含まれている場合には、炉内温度を高
めて、これらを積極的に回収する方法である。
【0101】(4)の発明の廃棄物のガス化溶融方法
は、上記(2)の発明のガス化溶融炉を用いて行う廃棄
物のガス化溶融方法である。以下、上記の図2に示した
ガス化溶融炉を用いる場合について説明する。
【0102】まず、上記(3)の発明のガス化溶融方法
を実施する場合と同様、廃棄物をホッパー11−2に投
入し、プッシャー10で押し込んで廃棄物装入口11−
1から炉内へ装入する。次いで、以下に詳述する第1ゾ
ーン〜第3ゾーンでの反応により、COとH2 を主成分
とするエネルギーガスを回収するのであるが、このと
き、低沸点重金属類を含むダストをエネルギーガスとと
もに炉上部に設けられたガス排出口3−1から回収す
る。また、得られる溶融スラグおよび溶融金属を炉下部
に取り付けられた張り出し部30に設けられているスラ
グ排出口32およびメタル排出口34から回収する。
【0103】炉内は、生じる反応に応じて三つの領域、
すなわち、炉下部から順に炭化物のガス化、溶融が生じ
る領域(第1ゾーン)、廃棄物の脱水・熱分解と低沸点
重金属類のガス化が生じる領域(第2ゾーン)およびガ
スの改質が進行する領域であってこのガスに随伴させて
炉外に排出させる低沸点重金属類を含むダストが存在す
る領域(第3ゾーン)に分割されている(図2参照)。
その各々のゾーンに、反応のために必要な支燃性ガスお
よび補助燃料を独立して吹き込める上記の1次羽口5−
1、2次羽口5−2、3次羽口5−3がそれぞれ対応し
て取り付けられ、さらに、上吹ランス24−1が取り付
けられている。
【0104】このような構成を採ることによって、廃棄
物に含まれる有機物を効率的にガス化して燃料として使
用できるエネルギーガスを回収し、さらにこれら廃棄物
に含まれる低沸点重金属類を効率的にダストとして回収
するとともに、これら廃棄物に含まれる灰分と有価金属
類を効率的にそれぞれ溶融スラグと溶融金属として回収
することが可能となる。また、竪型炉に特有の棚吊りや
吹き抜けの発生を回避することができる。
【0105】第1ゾーンでは、前記の(3)の発明のガ
ス化溶融方法の場合と同様、下記の式で示した反応が
生じる。この反応は、第2ゾーンで形成され、降下して
きた炭化物(充填層)が1次羽口5−1から吹き込まれ
た支燃性ガス7−1により燃焼する反応で、炭化物は燃
焼、ガス化し、2000℃以上の高温のCOを主体とす
る還元性ガスとなる。また、その顕熱で炭化物に含有さ
れている灰分(無機酸化物)と有価金属類が溶融し、溶
融スラグと溶融金属となる。なお、必要により1次羽口
5−1から補助燃料6−1を供給する。
【0106】C+1/2O2 =CO ・・・ ここで、C :第2ゾーンから供給される炭化物 O2 :1次羽口から吹き込まれた支燃性ガス中の酸素 前記の還元性ガスは第2ゾーンに移行し、溶融スラグと
溶融金属はそれぞれ炉下部に取り付けられた張り出し部
30の空間部29に設けられているスラグ排出口32お
よびメタル排出口34から回収される。
【0107】なお、第2ゾーンで廃棄物を脱水・熱分解
することにより炭化物の充填層とし、第1ゾーンでこの
炭化物をガス化、溶融するのは、前記と同様、このよう
に2段に分ける方が炭化物の加熱促進、溶融スラグおよ
び溶融金属からの放熱ロスの抑制を効果的に行えるから
である。
【0108】この第1ゾーンでは、生成する還元性ガス
の顕熱で炭化物に含有されている灰分と有価金属類を完
全に溶融することが必要であるため、ガスの温度を20
00℃以上に保つのが好ましい。そのために、支燃性ガ
ス中の酸素濃度を50%以上とし、必要であれば補助燃
料を吹き込む。また、溶融スラグを炉下部の張り出し部
に設けたスラグ排出口から詰まり等を生じさせず円滑に
排出させるために、廃棄物の炉内への装入時に石灰石を
同時に装入するか、あるいは1次羽口から粉状の石灰石
を造滓材として吹き込み、スラグの粘度を下げるのが好
ましい。
【0109】第2ゾーンでは、前記の(3)の発明のガ
ス化溶融方法の場合と同様に、下記の式〜式で示し
た反応が生じるが、さらに、後述するように、廃棄物中
に含まれる塩素のガス化、および低沸点重金属類のガス
化ないしは塩素との反応が生じる。
【0110】 H2 O(liq )=H2 O(gas ) ・・・ Cpqr =r/2CO2 +q/nCmn +(p−r/2−qm/n)C ・・・ Cmn =n/4CH4 +{m−(n/4)}C ・・・ CO+1/2O2 =CO2 ・・・ ここで、H2 O(liq ):廃棄物中の付着水分 Cpqr :廃棄物中の有機物 Cmn :廃棄物中の有機物の分解で生じた炭化水
素ガス C :第1ゾーンに供給される炭化物 CO:第1ゾーンで炭化物が燃焼して生成したCO O2 :2次羽口および/または上吹ランスから吹き込ま
れた支燃性ガス中の酸素 式の反応は、廃棄物の脱水加熱で、第1ゾーンから供
給された高温の還元性ガスの顕熱により行われる。ま
た、この還元性ガスが、2次羽口5−2から吹き込まれ
た支燃性ガス7−2および/または上吹ランス24−1
から吹き込まれた支燃性ガス22により式にしたがっ
て二次燃焼するときに生成する熱によっても行われる。
これにより、廃棄物中の有機物は式および式にした
がい炭化物(ただし、式、式ではCとして表示)と
炭化水素ガスに熱分解する。なお、必要により2次羽口
および/または上吹ランスから補助燃料を供給する。
【0111】支燃性ガスの吹き込みは、2次羽口のみま
たは上吹ランスのみを用いて行ってもよく、それによっ
て式の廃棄物の脱水加熱は可能である。しかし、2次
羽口および上吹ランスを同時に使用すれば、支燃性ガス
を第2ゾーンに万遍なく均一に吹き込めるので、廃棄物
の脱水加熱を効率的に行わせることができる。
【0112】この工程で得られる炭化物は第1ゾーン
へ、炭化水素ガスは第3ゾーンへそれぞれ移行する。
【0113】第2ゾーンでは、さらに、第1ゾーンから
供給された高温の還元性ガスの顕熱により、あるいはそ
れに加えて、この還元性ガスが式にしたがって二次燃
焼するときに生成する熱により下記の−1式〜−3
式で示した反応が生じる。前述した廃棄物中に含まれる
塩素のガス化および低沸点重金属類のガス化ないしは塩
素との反応である。すなわち、廃棄物中に含まれる塩素
は、−1式および−2式のようにガス化して、塩素
ガスおよび塩化水素ガスを生成する。一方、廃棄物中の
低沸点重金属は、−1式により単体のままでガス化す
るか、あるいは−2式および−3式のように低沸点
重金属の塩化物を生成する。なお、塩化物になると、一
般的に非常に蒸発し易くなる。
【0114】 2Cl=Cl2(gas ) ・・・−1 2Cl+H2 O(gas )=2HCl(gas )+ 1/2 O2 ・・・−2 M=M(gas ) ・・・−1 M(gas )+Cl2(gas )=MCl2(gas ) ・・・−2 M(gas )+2HCl(gas )=MCl2(gas )+H2 ・・・−3 ここで、Cl:廃棄物中の塩素 M:廃棄物中の低沸点重金属(例えば、Hg、Cd、P
b等) M(gas ):低沸点重金属のガス化生成物 MCl2(gas ):低沸点重金属の塩化物 この工程では、前記の(3)の発明のガス化溶融方法の
場合と同様に、炉内へ装入する廃棄物に必要に応じて副
原料(例えば、石灰石、生石灰等)を加えて充填層を形
成させておく。つまり、廃棄物が比較的密に充填された
状態としておく。このような廃棄物の充填層とすること
により、その層内を高温のガスが通過する際の固・気体
間の接触時間が長くなり、熱効率が向上する。
【0115】また、高温の還元性ガスを二次燃焼させる
のは、式の二次燃焼熱を利用して加熱を促進し、有機
物の熱分解温度を800〜1400℃に制御して有機物
の熱分解によるガス化を促進するとともに、低沸点重金
属類を完全にガス化するためである。この二次燃焼熱
は、前記式の燃焼熱(一次燃焼熱)に比べて格段に大
きいので、廃棄物の脱水・熱分解および低沸点重金属の
ガス化に必要な熱を十分に補充することができる。な
お、この際、発生ガス量を少なくして顕熱ロスを抑制す
るとともに、発生ガスのカロリー低下を抑制するため、
支燃性ガス中の酸素濃度を50%以上にするのが好まし
い。また、発生ガス量を少なくすると、廃棄物の飛散を
防止できるとともに、低沸点重金属類を含むダストの濃
度を高めることができるので、そのためにも、支燃性ガ
ス中の酸素濃度を50%以上にするのが好ましい。
【0116】第3ゾーンでは、前記の(3)の発明のガ
ス化溶融方法の場合と同様に、下記の式および式で
示した反応が生じる。
【0117】 Cmn +m/2O2 =mCO+n/2H2 ・・・ CH4 +1/2O2 =CO+2H2 ・・・ ここで、Cmn :第2ゾーンで廃棄物が熱分解して生
成した炭化水素ガス CH4 :第2ゾーンでCmn が熱分解して生成した
メタンガス O2 :3次羽口および/または上吹ランスから吹き
込まれた支燃性ガス中の酸素 これらの反応は第2ゾーンから供給される炭化水素ガス
の熱分解反応(ガス改質反応)で、COとH2 を主成分
とするガス(エネルギーガス)が得られる。これらの反
応は3次羽口5−3から吹き込まれる支燃性ガス7−3
および/または上吹ランス24−1から吹き込まれる支
燃性ガス22との反応により進行する。なお、必要によ
り3次羽口および/または上吹ランスから補助燃料を供
給する。
【0118】支燃性ガスの吹き込みは、3次羽口のみま
たは上吹ランスのみを用いて行ってもよく、それによっ
て上記の式および式で示した反応を生じさせること
は可能である。しかし、3次羽口および上吹ランスを同
時に使用すれば、支燃性ガスを第3ゾーンのフリーボー
ドに万遍なく均一に吹き込めるので、式および式で
示した反応を効率的に行わせることができる。
【0119】この第3ゾーンでの反応はフリーボード1
6部で行われるが、このような空洞部で反応を行わせる
理由は、気体間の反応であるガス改質反応を円滑に進め
るためである。空洞内の雰囲気温度を800〜1400
℃に制御すると、改質反応が充分に進行するので好まし
い。さらに望ましくは、1000〜1200℃である。
【0120】また、ダイオキシン類やその前駆体といわ
れるクロロベンゼン、クロロフェノール等の生成を抑制
するという観点からは、雰囲気温度は500℃以上とす
るのが好ましく、さらに、ダイオキシン類やクロロベン
ゼン、クロロフェノール等を完全に分解するために、9
00℃以上とするのが一層望ましい。
【0121】支燃性ガス中の酸素濃度は50%以上とす
るのが好ましい。これは、回収されるガスのカロリーを
高めて次工程の発電等の用途に利用し易くするためであ
る。
【0122】上述した例では、各ゾーンに対応する3段
の羽口と上吹ランスが設けられたガス化溶融炉を用いて
いるが、前記のように、羽口は第1ゾーンに取り付けら
れた1次羽口を含めて少なくとも1段設けられていれば
よい。第2ゾーンおよび第3ゾーンへの支燃性ガスおよ
び補助燃焼の供給は上吹ランスにより行えるので、第1
ゾーンに対応する部位に1段の羽口が取り付けられてい
ればよいからである。
【0123】以上述べたように、(4)の発明の廃棄物
のガス化溶融方法では、上記第1ゾーン〜第3ゾーンで
の反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガ
スおよび低沸点重金属類を含むダストと、溶融スラグお
よび溶融金属を回収する。そのため、少なくとも1段の
羽口および上吹ランスが必要となる。
【0124】さらに、少なくとも1段の羽口および上吹
ランスがそれぞれ独立して支燃性ガスおよび補助燃料を
吹き込むことができるものでなければならない。その理
由は、以下のとおりである。なお、羽口は各ゾーンに取
り付けられているとして説明する。
【0125】まず、1次羽口の場合は、前記の(3)の
発明のガス化溶融方法の場合と同様である。すなわち、
式の反応に関与するC(炭化物)の量は、式および
式で表される反応の進行度合いによって変化する。ま
た、廃棄物の種類が変化すれば、自ずと式および式
で表される反応の生成物量も変化する。したがって、1
次羽口から吹き込む支燃性ガスの量は他の工程とは独立
して定め得るものとしておかなければならない。必要に
応じて供給する補助燃料についても同様である。
【0126】次に、2次羽口および/または上吹ランス
から吹き込む支燃性ガス量は、式の反応で決まり、
式のCO量は式の反応で決まってくるので、見掛け上
1次羽口から吹き込む支燃性ガス量と連動していると見
なされる。しかし、実際は式の反応で生成するCOガ
スをすべて二次燃焼させる必要はなく、第2ゾーンで
は、少なくとも廃棄物中の付着水分の脱水加熱および廃
棄物中の有機物の熱分解と、低沸点重金属のガス化に必
要な熱を加え、さらに第2ゾーンの雰囲気温度を800
〜1400℃に保つために必要な熱を加えるだけでよ
い。したがって、2次羽口および/または上吹ランスか
らの支燃性ガス量は、廃棄物に含まれる成分によって大
きく変化する。すなわち、2次羽口および/または上吹
ランスから吹き込む支燃性ガスの量も独自に定め得るも
のとしておかなければならない。補助燃料についても同
様である。
【0127】2次羽口および上吹ランスを同時に使用す
る場合、2次羽口および上吹ランスから吹き込む支燃性
ガスまたは補助燃料の比率は、それぞれ次式の範囲とす
るのが好ましい。この範囲から外れ、一方が少な過ぎて
も多過ぎても相乗効果を発揮させることができないから
である。
【0128】
【数1】
【0129】3次羽口および/または上吹ランスから吹
き込む支燃性ガス量は式および式の反応で決まる。
この場合も廃棄物中の含有成分によってCmn とCH
4 の生成量が変化するので、3次羽口および/または上
吹ランスから吹き込む支燃性ガス量についても独自に定
め得るものとしておかなければならない。なお、補助燃
料についても同様である。
【0130】3次羽口および上吹ランスを同時に使用す
る場合、3次羽口および上吹ランスから吹き込む支燃性
ガスまたは補助燃料の比率は、上記の2次羽口および上
吹ランスの場合と同様、それぞれ次式の範囲とするのが
好ましい。この範囲から外れ、一方が少な過ぎても多過
ぎても相乗効果を発揮させることができないからであ
る。
【0131】
【数2】
【0132】支燃性ガスの吹き込み量と必要により供給
する補助燃料の量は以下のようにして定める。なお、基
本的には、前記の(3)の発明のガス化溶融方法の場合
と同様である。
【0133】処理の対象が例えば異種の廃棄物が混在し
た一般廃棄物のような場合、通常は炉内に装入する前に
成分分析を行うことはしないので、炉内では未知の成分
が燃焼し、あるいは熱分解することになり、生成ガス量
およびその含有成分を予測することは実際上不可能であ
る。
【0134】このような条件下では、装入した廃棄物の
レベル(原料層頂レベル)を逐次計測する。これによっ
て、炉内の充填層(廃棄物の充填層および炭化物の充填
層)の厚みの変化を間接的に把握することができる。す
なわち、第1ゾーンで形成される炭化物の充填層は燃焼
量が多いほど荷下がりが進み、原料層頂レベルが下が
る。したがって、事前に経験的に所定の原料層頂レベル
を決めておき、その後の原料層頂レベルの上下変動に基
づいて1次羽口からの支燃性ガスと、必要により供給す
る補助燃料の吹き込み量を決定すればよい。なお、使用
する原料層頂レベル計としては、製鉄分野の高炉内部の
原料層頂レベル計として知られているサウンジングデバ
イスが好適であるが、RI(ラジオアイソトープ)方式
等も一般的に有効な方法として知られており、この方式
を適用することもできる。
【0135】ところで、第1ゾーンで形成される炭化物
の充填層の上には、第2ゾーンで形成される廃棄物の充
填層が存在するので、計測される原料層頂レベルは、第
1ゾーンと第2ゾーンにおけるそれぞれの変化量の合計
として表れる。したがって、第1ゾーンと第2ゾーンに
おける変化量を区別する必要があるが、第2ゾーンにお
ける反応の変化は、第2ゾーンの温度変化を逐次計測す
ることにより間接的に把握できる。すなわち、第2ゾー
ンでは、少なくとも廃棄物中の付着水分の脱水加熱、廃
棄物中の有機物の熱分解および低沸点重金属のガス化に
必要な熱を加え、さらに第2ゾーンの雰囲気温度を80
0〜1400℃に保つために必要な熱を加えるだけでよ
いので、第2ゾーンの領域内にある廃棄物の温度変化を
逐次計測し、それが低下すれば熱不足と判断し、2次羽
口および/または上吹ランスからの支燃性ガス量を増加
して二次燃焼させるCO量(式の反応で生成するCO
のうち二次燃焼させる量)を上げてやる。逆に、温度が
上昇すれば熱的に余裕があると判断できるので、2次羽
口および/または上吹ランスからの支燃性ガス量を減少
させて二次燃焼させるCO量を下げてやればよい。な
お、前記の廃棄物の温度変化は第2ゾーンの温度変化を
もってそれとみなすことができ、第2ゾーンの温度変化
は、例えば、第2ゾーンの内張り煉瓦表面に熱電対を設
置し、その表面温度を測定することにより求めることが
できる。
【0136】このように、原料層頂レベル計によるレベ
ル値および第2ゾーンの内張り煉瓦の表面温度を逐次計
測することにより、第1ゾーンおよび第2ゾーンの支燃
性ガスと必要により供給する補助燃料の吹き込み量をそ
れぞれ独自に決定することができる。
【0137】第3ゾーンでは、第2ゾーン出口(フリー
ボード側)の雰囲気温度を800〜1400℃に保て
ば、排ガス中の炭化水素、特に配管閉塞等のトラブルの
原因となるタールのような炭素数が5以上の炭化水素
(Cmn :m ≧5)をすべて分解できる。また、ダイ
オキシン類やその前駆体といわれるクロロベンゼン、ク
ロロフェノール等を完全に分解するためにも、雰囲気温
度を上記の温度範囲に保つことが必要である。したがっ
て、第3ゾーンのフリーボード空間内に温度計を設置し
てその温度を逐次計測し、温度が800℃よりも低下し
たときは、3次羽口および/または上吹ランスから支燃
性ガスと必要によっては補助燃料を吹き込めばよい。特
に、廃棄物を炉内に装入した直後は、第2ゾーンの原料
層頂および第3ゾーンのフリーボードにおける温度が急
激に下がるので、第2ゾーンおよび第3ゾーンの温度か
ら判断して、生成する炭化水素(Cmn :m ≧5)や
ダイオキシン類を分解するために、支燃性ガスと必要に
より補助燃料の吹き込みを実施するのが効果的である。
【0138】一方、前記の(3)の発明のガス化溶融方
法の場合と同様、生成する溶融スラグおよび溶融金属を
炉下部に取り付けられた張り出し部30の空間部29で
一旦蓄積して比重差により溶融スラグと溶融金属に分離
し、溶融スラグは空間部29に設けられたスラグ排出口
32から、また、溶融金属は同じく空間部29に設けら
れたメタル排出口34からそれぞれ排出させ、回収す
る。
【0139】回収に際しては、スラグ排出口32を常時
「開」のままにし、溶融スラグを連続的に排出させる。
これによって、排出口の開口および閉塞というわずらわ
しい作業を排除することができる。
【0140】上記(4)の発明のガス化溶融方法によれ
ば、高価なコークスを使用せずに、廃棄物のガス化溶
融、脱水・熱分解およびガス改質の一連の工程を1炉で
実施し、かつタールやダイオキシン類等が含まれない清
浄な排ガスとし、これをエネルギーガスとして回収する
ことができる。なお、排ガス中には低沸点重金属を含む
ダストが含まれているが、炉外に設けたホットサイクロ
ン等の除塵装置(ダスト回収手段)によって、それらダ
ストとエネルギーガスとを分離することができる。
【0141】ホットサイクロンでも捕集困難な微細ダス
トの捕集には、水による洗浄処理が効果的である。ホッ
トサイクロンあるいは水処理によって分離回収されたダ
ストは低沸点重金属類を含むので、アルカリあるいは酸
による処理工程を経て濃縮することが可能である。これ
らホットサイクロンによる処理ならびに水による洗浄処
理については、公知の技術が適用できる。
【0142】さらに、前記の(3)の発明のガス化溶融
方法の場合と同様、溶融スラグと溶融金属を炉下部に取
り付けた張り出し部で分離して別々に排出し、高品質の
スラグおよびメタルを回収することができる。
【0143】
【実施例】前記の図2に示した構成を有する竪型炉(ガ
ス化溶融炉)を用い、1次羽口〜3次羽口と上吹ランス
を同時に使用し、廃棄物のガス化溶融試験を行った。な
お、竪型炉の各部の寸法、羽口その他取り付け部品の数
量およびそれらの配置は以下のとおりである。なお、炉
底部に傾斜部を設け、炉底部外面をシャワー散水方式の
冷却装置により冷却した。
【0144】 寸法 炉径:0.6m(但し、耐火物内張り後の炉内径) 炉高:2.4m(但し、耐火物内張り後の炉底から炉頂までの高さ) 張り出し部内径:0.25m(但し、耐火物内張り後の空間部内径) 張り出し部長さ:0.4m(但し、耐火物内張り後の空間部長さ) 炉底から1次羽口までの高さ:0.3m 炉底から2次羽口までの高さ:0.6m 炉底から3次羽口までの高さ:2.1m 上吹ランス外径:50mmφ 上吹ランス孔: 中心孔:LPG+窒素ガス吹き込み用 1孔×3mmφ×0度(=鉛直方向) 側孔:酸素ガス+窒素ガス(支燃性ガス)吹き込み用 3孔×5mmφ×10度(=鉛直方向に対して10度傾斜) 但し側孔は中心孔の周囲に120度間隔に配置 炉底からランス先端までの高さ:標準1.7m(但し上下に可変) 炉底部内張り耐火物(傾斜部)の最大厚み:150mm スラグ排出口径:30mmφ メタル排出口径:30mmφ 数量 1次羽口:3個 2次羽口:3個 3次羽口:3個 上吹ランス:1個 張り出し部ランス:1個 スラグ排出口:1個 メタル排出口:1個 堰:1個 サウンジングデバイス(原料層頂レベル計):3個 廃棄物充填層(第2ゾーン)内張り煉瓦表面の熱電対 位置(熱電対の炉底からの高さ):1.0m 個数:3個(周方向に120度毎の等間隔) フリーボードの熱電対 位置(熱電対の炉底からの高さ):1.4m 個数:3個(周方向に120度毎の等間隔) 配置 1次羽口:周方向に120度毎の等間隔 2次羽口:周方向に120度毎の等間隔 3次羽口:周方向に120度毎の等間隔 上吹ランス:炉中心 スラグ排出口:炉底端より+150mm メタル排出口:炉底端より+10mm 堰:張り出し部外側先端より150mm サウンジングデバイス:上吹ランスと側壁との間 上記の試験に使用した廃棄物は一般的な3種類の都市ご
み(試料1、2および3とする)で、それぞれ乾燥度合
いが異なるため、廃棄物1kg当たり3408kca
l、2518kcalおよび1628kcalの湿量基
準低位発熱量を有するものである。
【0145】表1にこれらの廃棄物の組成を示す。な
お、廃棄物の寸法は10〜100mmであった。
【0146】
【表1】
【0147】使用した副原料(石灰石)は表2に示した
組成を有し、10〜50mmの塊状のものであった。
【0148】
【表2】
【0149】補助燃料としてはLPG(プロパン:ブタ
ン=50:50(体積比))を使用した。
【0150】1次羽口、2次羽口、3次羽口、上吹ラン
スおよび張り出し部に設けられたランスから吹き込んだ
支燃性ガスは、酸素をベースとし、これに不活性ガスを
若干混合したガスである。なお、不活性ガスは窒素のみ
を使用した。それらの流量(酸素および窒素それぞれの
流量)を表3に示した。表中で、1次、2次および3次
とはそれぞれ1次羽口、2次羽口および3次羽口を意味
する。
【0151】
【表3】
【0152】表3はこの試験の実施条件(定常状態)を
示すもので、試料1、2および3のそれぞれについて下
記の(1)〜(10)の手順にしたがって定めた。な
お、試験においては、最初、試料1を炉内へ装入して表
3の試料1の欄に示した条件で処理を行い、次いで、試
料2に変更して同じく試料2の欄に示した条件で処理を
行い、さらに試料3に変更して試料3の欄に示した条件
で処理を行った。
【0153】(処理条件の設定手順) (1)最初に装入する廃棄物(ここでは、試料1を指
す)の組成をあらかじめ分析することにより求めた。こ
れはベースとなる酸素吹き込み量の概略値を決めるため
に必要であり、また、造滓材として投入する石灰石量を
決めるためにも必要である。なお、石灰石量は、この試
験では、溶融スラグの流動性が比較的良いと考えられる
スラグ塩基度=1.0(ここで、スラグ塩基度とは、
(%CaO)/(%SiO2 )である)になるように調
整した。
【0154】(2)ガス化溶融炉をあらかじめバーナー
等で加熱し、羽口から吹き込む支燃性ガスが加熱してい
ない常温のガスでも廃棄物が着火する状態にした。
【0155】(3)廃棄物を炉内に装入し、サウンジン
グ高さ1.2mまで積み上げた。
【0156】(4)1次羽口から徐々に酸素ガスを流し
た。
【0157】(5)試験中、廃棄物の燃焼に伴い原料層
頂レベルが下がってきたので、そのレベルを1.1〜
1.3mの範囲に維持するように原料(廃棄物および石
灰石)を逐次投入した。廃棄物の投入速度は75kg/
hになって定常に達した。
【0158】(6)溶融スラグの排出口を開けた。
【0159】(7)廃棄物充填層(第2ゾーン)内張り
煉瓦の表面に取り付けられた熱電対(廃棄物充填層内の
原料層頂レベル近傍の温度を測定)、およびフリーボー
ド空間に取り付けられた熱電対により測定される温度が
常に800〜1400℃を維持するように、1次羽口、
2次羽口、3次羽口および上吹ランスから吹き込む支燃
性ガス中の酸素ガス量を調整した。
【0160】すなわち、荷下がり速度が速く、かつ充填
層内張り煉瓦表面およびフリーボードの温度が1400
℃を超えた場合には、1次羽口からの酸素ガス量を減少
させた。逆に充填層内張り煉瓦表面の温度が800℃よ
り低い場合には、2次羽口および上吹ランスからの酸素
ガス吹き込み量を増大させた。また、フリーボードの温
度が800℃より低い場合には、3次羽口および上吹ラ
ンスからの酸素ガス吹き込み量を増大させた。
【0161】(8)スラグ排出口から排出される溶融ス
ラグの温度を測定し(従来から実施されている方法で測
定可能)、所定の温度(少なくとも溶融スラグが固まら
ない温度範囲、すなわち1300〜1400℃とした)
より低下した場合には、1次羽口からのLPG吹き込み
を行った。試料3がそれに該当するケースで、廃棄物自
身の発熱量が小さい場合には、1次羽口からの補助燃料
の供給が必要となった。また、張り出し部の空間部の雰
囲気温度が1300〜1400℃となるように、張り出
し部に設けられたランスからもLPG吹き込みを行っ
た。
【0162】(9)所定量の溶融金属が空間部に蓄積さ
れた時点でメタル排出口を開けた。完全にメタルが排出
された時点、すなわちメタル排出口からスラグが排出さ
れるのを確認した後、メタル排出口を閉じた。
【0163】(10)上記の(5)から(9)の手順を
繰り返し行うことによって最適な支燃性ガスおよび補助
燃料の吹き込み量(すなわち、表3の条件の欄に示した
量)を導き出すことができた。ここで窒素は酸素の約1
/10の量として吹き込んだが、酸素濃度≧50%であ
れば、充分に的確に対応することができた。また、試料
を変更(試料1から試料2へ、および試料2から試料3
へ変更)した場合においても、的確に対応することがで
きた。なお、試料2を使用した場合、定常状態では、廃
棄物の投入速度は103kg/hであった。また、試料
3を使用した場合の定常状態では、廃棄物の投入速度は
130kg/hであった。
【0164】以上の試験で得られた結果を表4の実績の
欄に示す。単位は廃棄物トン当たりの量で示した。
【0165】
【表4】
【0166】表示したように、ダイオキシン類をほとん
ど含まないCOとH2 を主成分とする高カロリーのエネ
ルギーガス(表中では、排ガスと表示)と、水銀、カド
ミウムおよび鉛等の低沸点重金属類が濃縮されたダスト
を回収することができた。なお、エネルギーガスとダス
トは、ガス排出口から炉外に排出させた後、バグフィル
ターで分離回収した。
【0167】排ガス中の炭化水素、特に、配管閉塞を引
き起こす原因とされるCmn ( m≧5)のような炭化
水素は全く無視できる濃度であった。
【0168】また、鉄および銅等の有価金属類を主成分
とする溶融金属および溶融スラグを回収することができ
た。溶融スラグはスラグ排出口から炉外に、また、溶融
金属はメタル排出口から炉外に排出させたものである。
特に、溶融スラグ中の鉄分(=T・Fe)、すなわち粒
鉄および酸化鉄の鉄分合計は、磁選等の選別をする前で
既に0.5%以下であり、高炉スラグと同等のレベルで
あって、路盤材等に十分利用できる品質を有している。
また、溶融金属については、大部分が鉄で占められてお
り、カウンターウェイト等に利用できる品質であるとの
評価が得られた。
【0169】張り出し部の空間部の雰囲気温度が135
0℃程度となるように張り出し部に設けられたランスを
介してLPG吹き込みを常時行ったので、スラグ排出口
およびメタル排出口のいずれについても、詰まりが生じ
ることは一切なかった。なお、本実施例で用いた炉は小
型であるが、大型化すれば相対的に熱ロスが減少するの
で、LPG吹き込みを常時行う必要はなくなる。また、
スラグ排出口から連続的に、すなわち一度も閉塞させる
ことなくスラグを排出できた。
【0170】試験実施後、炉を冷やして炉内を解体調査
した結果、炉底部およびその近傍の側壁耐火物の内部へ
の溶融スラグおよび溶融金属の浸透は全く認められず、
逆に耐火物の稼働面上は一様に最大50mm程度の厚み
のスラグで覆われていた。溶融スラグおよび溶融金属の
浸透が認められなかったのは、溶融スラグおよび溶融金
属が常時滞留することがないように炉底部に傾斜部を設
けていたからであり、耐火物の稼働面のスラグによる被
覆は炉底部をシャワー散水方式で冷却していた効果によ
るものである。
【0171】
【発明の効果】本発明のガス化溶融炉を用い、本発明の
方法にしたがって廃棄物の焼却を行えば、廃棄物中に含
まれる有機物をガス化してエネルギーガスとして回収す
るとともに、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれぞ
れ溶融スラグと溶融金属として回収することができる。
これによって、現在問題となっている一般廃棄物および
産業廃棄物の埋め立て費用の低減を図り、生成する副生
ガスを発電用燃料等に活用することが可能である。な
お、ガス化溶融炉内の反応温度を高めると、ガス化を促
進し、低沸点重金属類の回収も可能となる。
【0172】また、炉下部に溶融スラグと溶融金属を一
旦蓄積できる空間部を備えた張り出し部が取り付けられ
ているので、溶融スラグと溶融金属を分離し、高品質の
スラグおよびメタルを回収するとともに、炉下部の耐火
物を溶融スラグの侵食等から保護し、ガス化溶融炉の寿
命の延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物のガス化溶融炉の一例の構成を
示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の廃棄物のガス化溶融炉の他の例の構成
を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1:ガス化溶融炉本体 2:耐火煉瓦 3−1:ガス排出口 3−2:ガス排出ダクト 4:排ガス 5−1:1次羽口 5−2:2次羽口 5−3:3次羽口 6−1:1次羽口に吹き込む補助燃料 6−2:2次羽口に吹き込む補助燃料 6−3:3次羽口に吹き込む補助燃料 7−1:1次羽口に吹き込む支燃性ガス 7−2:2次羽口に吹き込む支燃性ガス 7−3:3次羽口に吹き込む支燃性ガス 10:プッシャー 11−1:廃棄物装入口 11−2:ホッパー 12:廃棄物 14:炭化物を主体とする充填層 15:廃棄物を主体とする充填層 16:フリーボード 17:サウンジングデバイス(原料層頂レベル計) 18:サウンジングウェイト 19:温度変換器(熱電対の信号を温度に変換する装
置) 20:第2ゾーンの内張り煉瓦表面に備えられた熱電対 21:第3ゾーンのフリーボード空間に備えられた熱電
対 22:支燃性ガス 23:補助燃料 24−1:上吹ランス 24−2:ランス昇降装置 25:ホットサイクロン 26:エネルギーガス 27:ダスト 29:空間部 30:張り出し部 31:溶融スラグ 32:スラグ排出口 33:溶融金属 34:メタル排出口 35:堰 36:張り出し部に設けられたランス 37:張り出し部ランスに吹き込む補助燃料 38:張り出し部ランスに吹き込む支燃性ガス 39:炉底部に設けられた傾斜部 40:炉底部冷却装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 仁志 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 陸田 彰夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機物をガ
    ス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃棄
    物中の灰分と金属類を溶融物として回収する竪型の廃棄
    物のガス化溶融炉であって、上部に前記廃棄物を装入す
    る廃棄物装入口と生成するガスを排出するガス排出口を
    有し、下部に溶融スラグおよび溶融金属の排出口を有
    し、前記廃棄物装入口と溶融スラグおよび溶融金属の排
    出口との間に、それぞれ独立して支燃性ガスおよび補助
    燃料を吹き込むことが可能で高さ方向に複数段に分かれ
    た羽口を有し、さらに、前記装入された廃棄物のレベル
    を計測する手段、中段の羽口近傍の温度を計測する手
    段、および炉の上方部の雰囲気ガスの温度を計測する手
    段を有し、かつ、前記溶融スラグおよび溶融金属の排出
    口が溶融スラグを炉外へ排出するための少なくとも1個
    のスラグ排出口と溶融金属を炉外へ排出するための少な
    くとも1個のメタル排出口とに分けられ、前記スラグ排
    出口が、炉下部に取り付けられた張り出し部内に設けら
    れている溶融スラグおよび溶融金属を炉外へ排出する前
    に一旦蓄積できる空間部の上部に設けられ、前記メタル
    排出口が前記空間部の下部に設けられていることを特徴
    とする廃棄物のガス化溶融炉。
  2. 【請求項2】廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機物をガ
    ス化してエネルギーガスとして回収し、かつ廃棄物中の
    低沸点重金属類をガス化してエネルギーガスに随伴され
    るダストとして回収するとともに、廃棄物中の灰分と金
    属類を溶融物として回収する竪型の廃棄物のガス化溶融
    炉であって、上部に前記廃棄物を装入する廃棄物装入口
    と、生成するガスおよびダストを排出するガス排出口な
    らびにこのガス排出口にガス排出ダクトを介して接続さ
    れたダスト回収手段を有し、下部に溶融スラグおよび溶
    融金属の排出口を有し、前記ガス排出口と溶融スラグお
    よび溶融金属の排出口との間に、それぞれ独立して支燃
    性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができる羽口であ
    って、廃棄物の脱水・熱分解により生成する炭化物を燃
    焼、ガス化するための羽口を含む高さ方向に少なくとも
    1段の羽口を有し、炉の上部に炉内に向けて昇降可能な
    支燃性ガスおよび補助燃料を吹き込むことができる上吹
    ランスを有し、さらに、前記装入された廃棄物のレベル
    を計測する手段、中段の羽口近傍の温度を計測する手
    段、および炉の上方部の雰囲気ガスの温度を計測する手
    段を有し、かつ、前記溶融スラグおよび溶融金属の排出
    口が溶融スラグを炉外へ排出するための少なくとも1個
    のスラグ排出口と溶融金属を炉外へ排出するための少な
    くとも1個のメタル排出口とに分けられ、前記スラグ排
    出口が、炉下部に取り付けられた張り出し部内に設けら
    れている溶融スラグおよび溶融金属を炉外へ排出する前
    に一旦蓄積できる空間部の上部に設けられ、前記メタル
    排出口が前記空間部の下部に設けられていることを特徴
    とする廃棄物のガス化溶融炉。
  3. 【請求項3】張り出し部の空間部内に溶融スラグまたは
    溶融金属の流れをさえぎる堰が設けられていることを特
    徴とする請求項1または2に記載の廃棄物のガス化溶融
    炉。
  4. 【請求項4】張り出し部の空間部内に支燃性ガスおよび
    補助燃料を吹き込むことができるランスが設けられてい
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の廃棄物のガス化溶融炉。
  5. 【請求項5】炉底部に、溶融スラグおよび溶融金属を張
    り出し部へ導く傾斜部が設けられていることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の廃棄物のガス化
    溶融炉。
  6. 【請求項6】炉底部外面に冷却装置が設けられているこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の廃
    棄物のガス化溶融炉。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の廃棄物のガス化溶融炉を
    用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄物装
    入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾーンでの
    反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガス
    と、溶融スラグおよび溶融金属とし、前者を炉上部に設
    けられたガス排出口から回収し、後者を張り出し部内に
    設けられている空間部に一旦蓄積し、溶融スラグを前記
    空間部の上部に設けられたスラグ排出口から排出させ、
    溶融金属を前記空間部の下部に設けられたメタル排出口
    から排出させ、それぞれ回収することを特徴とする廃棄
    物のガス化溶融方法。 〔第1ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を下
    段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで生成した炭化物を
    燃焼、ガス化して還元性ガスを発生させるとともに炭化
    物に含まれる灰分と金属類を溶融し、溶融スラグおよび
    溶融金属とする。 〔第2ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を中
    段の羽口から吹き込み、第1ゾーンで発生した還元性ガ
    スを二次燃焼させ、廃棄物装入口から装入された廃棄物
    を脱水加熱して炭化物と炭化水素ガスに熱分解する。 〔第3ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を上
    段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで発生した炭化水素
    ガスを熱分解してCOとH2 を主成分とするエネルギー
    ガスとする。
  8. 【請求項8】請求項2に記載の廃棄物のガス化溶融炉を
    用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄物装
    入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾーンでの
    反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガス
    および低沸点重金属類を含むダストと、溶融スラグおよ
    び溶融金属とし、前者を炉上部に設けられたガス排出口
    から回収してエネルギーガスとダストに分離し、後者を
    張り出し部内に設けられている空間部に一旦蓄積し、溶
    融スラグを前記空間部の上部に設けられたスラグ排出口
    から排出させ、溶融金属を前記空間部の下部に設けられ
    たメタル排出口から排出させ、それぞれ回収することを
    特徴とする廃棄物のガス化溶融方法。 〔第1ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を下
    段の羽口から吹き込み、第2ゾーンで生成した炭化物を
    燃焼、ガス化して還元性ガスを発生させるとともに炭化
    物に含まれる灰分と金属類を溶融し、溶融スラグおよび
    溶融金属とする。 〔第2ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を中
    段の羽口および/または上吹ランスから吹き込み、第1
    ゾーンで発生した還元性ガスを二次燃焼させ、廃棄物装
    入口から装入された廃棄物を脱水加熱して炭化物と炭化
    水素ガスに熱分解するとともに、低沸点重金属類をガス
    化する。 〔第3ゾーン〕支燃性ガスと必要に応じて補助燃料を上
    段の羽口および/または上吹ランスから吹き込み、第2
    ゾーンで発生した炭化水素ガスを熱分解してCOとH2
    を主成分とするエネルギーガスとし、ガス状の低沸点重
    金属類をダストとする。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009081282A2 (en) * 2007-12-21 2009-07-02 Gi-Gasification International, Sa Method of using injector system for making fuel gas
JP2012251186A (ja) * 2011-06-01 2012-12-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 予備還元塊成化物の製造方法
CN109478438A (zh) * 2016-07-28 2019-03-15 特瑞博有限公司 用于处理中低水平放射性废弃物的密闭型等离子体熔融炉

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