JP3196666B2 - 廃棄物のガス化溶融炉及びガス化溶融方法 - Google Patents
廃棄物のガス化溶融炉及びガス化溶融方法Info
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- JP3196666B2 JP3196666B2 JP28516396A JP28516396A JP3196666B2 JP 3196666 B2 JP3196666 B2 JP 3196666B2 JP 28516396 A JP28516396 A JP 28516396A JP 28516396 A JP28516396 A JP 28516396A JP 3196666 B2 JP3196666 B2 JP 3196666B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物および
産業廃棄物(以下、これらを区別せず、単に廃棄物とも
いう)をガス化して燃料として使用できるガス(以下、
エネルギーガスという)を回収するとともに、これら廃
棄物に含まれる灰分と金属類をそれぞれ溶融スラグと溶
融金属として回収する廃棄物のガス化溶融炉およびガス
化溶融方法に関する。
産業廃棄物(以下、これらを区別せず、単に廃棄物とも
いう)をガス化して燃料として使用できるガス(以下、
エネルギーガスという)を回収するとともに、これら廃
棄物に含まれる灰分と金属類をそれぞれ溶融スラグと溶
融金属として回収する廃棄物のガス化溶融炉およびガス
化溶融方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみを主体とする一般廃棄物、およ
び廃棄された自動車や家電製品のシュレッダーダストを
主体とする産業廃棄物の処理方法として、埋立て処分な
いしは焼却後埋立て処分する方法が採られている。しか
し、最近の埋立て処分地の確保が極めて困難であるとい
う逼迫した状況の下にあって、これまで一般的に採用さ
れている焼却方式が見直されてきている。
び廃棄された自動車や家電製品のシュレッダーダストを
主体とする産業廃棄物の処理方法として、埋立て処分な
いしは焼却後埋立て処分する方法が採られている。しか
し、最近の埋立て処分地の確保が極めて困難であるとい
う逼迫した状況の下にあって、これまで一般的に採用さ
れている焼却方式が見直されてきている。
【0003】一方、有限資源愛護の見地からみると、こ
れら廃棄物を単に焼却するのではなく、再生利用可能な
ものは資源(有用物質)あるいはエネルギー(熱エネル
ギー)として回収することが望ましい。現在、実用化さ
れている例として次のようなものがあげられる。
れら廃棄物を単に焼却するのではなく、再生利用可能な
ものは資源(有用物質)あるいはエネルギー(熱エネル
ギー)として回収することが望ましい。現在、実用化さ
れている例として次のようなものがあげられる。
【0004】1.物質回収 金属(アルミ缶、スチール缶など)の分別回収 プラスチック(PETボトルなど)の分別回収 古紙(新聞紙など)の分別回収 2.物質転換回収 プラスチックの熱分解油化による燃料油としての回収 プラスチックの熱分解ガス化による燃料ガスとしての
回収 3.熱エネルギー回収 廃棄物焼却時の蒸気回収 上記の1は廃棄物に至る手前の事前処理方法であるた
め、分別後の廃棄物からの有用物質の回収は上記の2あ
るいは3の手段に頼らざるをえない。特に最近は、生活
様式の変化(多様化)によって、一般廃棄物および産業
廃棄物には様々な物質が含まれるため、各種の廃棄物に
柔軟に対応することができ、かつ経済性のよいガス化方
式が脚光を浴びてきている。
回収 3.熱エネルギー回収 廃棄物焼却時の蒸気回収 上記の1は廃棄物に至る手前の事前処理方法であるた
め、分別後の廃棄物からの有用物質の回収は上記の2あ
るいは3の手段に頼らざるをえない。特に最近は、生活
様式の変化(多様化)によって、一般廃棄物および産業
廃棄物には様々な物質が含まれるため、各種の廃棄物に
柔軟に対応することができ、かつ経済性のよいガス化方
式が脚光を浴びてきている。
【0005】このガス化方式としては、次のようなもの
があげられる。
があげられる。
【0006】A.新日鐵のコークスベッド方式直接溶融
システム (「鉄鋼界報」No.1674,1996.3.21
(日本鉄鋼連盟)、「燃料及燃焼」第61巻,第8号
(1994)572〜578頁、および特公平7−35
889号公報参照) 溶融炉本体は単段羽口の竪型シャフト炉であり、炉中央
部から廃棄物とともにコークスと石灰石が投入される。
炉内は上部から予熱・乾燥帯(約300℃)、熱分解帯
(300〜1000℃)および燃焼・溶融帯(1700
〜1800℃)に区分される。予熱・乾燥帯では廃棄物
が加熱され水分が蒸発する。乾燥された廃棄物は次第に
降下し、熱分解帯に移行して有機物はガス化する。この
発生ガスは、炉上部から排出され、後段の燃焼室で完全
に燃焼し、廃熱ボイラー等の熱回収システムにより熱エ
ネルギーの回収が図られる。
システム (「鉄鋼界報」No.1674,1996.3.21
(日本鉄鋼連盟)、「燃料及燃焼」第61巻,第8号
(1994)572〜578頁、および特公平7−35
889号公報参照) 溶融炉本体は単段羽口の竪型シャフト炉であり、炉中央
部から廃棄物とともにコークスと石灰石が投入される。
炉内は上部から予熱・乾燥帯(約300℃)、熱分解帯
(300〜1000℃)および燃焼・溶融帯(1700
〜1800℃)に区分される。予熱・乾燥帯では廃棄物
が加熱され水分が蒸発する。乾燥された廃棄物は次第に
降下し、熱分解帯に移行して有機物はガス化する。この
発生ガスは、炉上部から排出され、後段の燃焼室で完全
に燃焼し、廃熱ボイラー等の熱回収システムにより熱エ
ネルギーの回収が図られる。
【0007】一方、ガス化された残りの灰分と無機物は
コークスとともに燃焼・溶融帯に降下する。コークスは
羽口から供給される空気により燃焼し、その熱によって
灰分と無機物が完全に溶融する。溶融物は投入された石
灰石によって適度な粘度および塩基度に調整され、出湯
口から炉外へ排出される。
コークスとともに燃焼・溶融帯に降下する。コークスは
羽口から供給される空気により燃焼し、その熱によって
灰分と無機物が完全に溶融する。溶融物は投入された石
灰石によって適度な粘度および塩基度に調整され、出湯
口から炉外へ排出される。
【0008】なお、コークスを節減するために、コーク
スと廃棄物の装入系統を別個にして排ガスの顕熱を廃棄
物の乾燥および予熱に利用し、炉の熱効率を上げる方法
が開示されている(前記特公平7−35889号公
報)。
スと廃棄物の装入系統を別個にして排ガスの顕熱を廃棄
物の乾燥および予熱に利用し、炉の熱効率を上げる方法
が開示されている(前記特公平7−35889号公
報)。
【0009】B.NKKの高温ガス化直接溶融システム (「鉄鋼界報」No.1674,1996.3.21
(日本鉄鋼連盟)) 溶融炉本体は、高さ方向に3段階に区分された羽口を有
する竪型炉であり、1000℃程度の高温に維持された
廃棄物の乾留物で形成される流動層に、コークス等の補
助燃料とともに廃棄物が直接投入される。中段の羽口
(2段羽口)から流動層内に送風することにより、生成
ガスの一部が燃焼して温度が維持される。
(日本鉄鋼連盟)) 溶融炉本体は、高さ方向に3段階に区分された羽口を有
する竪型炉であり、1000℃程度の高温に維持された
廃棄物の乾留物で形成される流動層に、コークス等の補
助燃料とともに廃棄物が直接投入される。中段の羽口
(2段羽口)から流動層内に送風することにより、生成
ガスの一部が燃焼して温度が維持される。
【0010】不燃物を含む乾留物は、補助燃料とともに
炉下部の移動層に降下し、下段の羽口(主羽口)からの
酸素富化空気により高温燃焼・ガス化し、不燃物および
灰分が溶融、滴下して比重差によりメタルと分離され
る。一方、フリーボード下部に設置した羽口(3段羽
口)からの送風によりフリーボード温度が常に1000
℃以上に保たれ、タール分の発生、ダイオキシン類およ
びその前駆体の生成が防止される。
炉下部の移動層に降下し、下段の羽口(主羽口)からの
酸素富化空気により高温燃焼・ガス化し、不燃物および
灰分が溶融、滴下して比重差によりメタルと分離され
る。一方、フリーボード下部に設置した羽口(3段羽
口)からの送風によりフリーボード温度が常に1000
℃以上に保たれ、タール分の発生、ダイオキシン類およ
びその前駆体の生成が防止される。
【0011】C.Thermoselect方式 (Thermoselect(1995.5.26),
PART1”Foundation for the continuos conversio
ns of solid waste”) この方式で用いられる炉は、廃棄物中の水分の蒸発と有
機物の熱分解を行うプレス加圧式管型熱分解器と、酸素
による熱分解残渣(チャー)の燃焼、灰の溶融およびガ
スの改質を行う燃焼溶融炉とが一体に連結された熱分解
溶融炉である。燃焼溶融炉の内部では、まず、熱分解器
からの有機物の分解ガスが炉の中間部に導かれ、一方、
チャーは炉底部に降下し、酸素によって高温で燃焼して
灰が溶融するとともに、炉上部の高温雰囲気下で有機物
分解ガスのCOおよびH2 への転換(ガスの改質)が進
行する。
PART1”Foundation for the continuos conversio
ns of solid waste”) この方式で用いられる炉は、廃棄物中の水分の蒸発と有
機物の熱分解を行うプレス加圧式管型熱分解器と、酸素
による熱分解残渣(チャー)の燃焼、灰の溶融およびガ
スの改質を行う燃焼溶融炉とが一体に連結された熱分解
溶融炉である。燃焼溶融炉の内部では、まず、熱分解器
からの有機物の分解ガスが炉の中間部に導かれ、一方、
チャーは炉底部に降下し、酸素によって高温で燃焼して
灰が溶融するとともに、炉上部の高温雰囲気下で有機物
分解ガスのCOおよびH2 への転換(ガスの改質)が進
行する。
【0012】しかしながら、上記従来の方式には次のよ
うな問題がある。
うな問題がある。
【0013】すなわち、上記の方式Aのシステムの竪型
シャフト炉は高価なコークスを必須とし、生成ガスを完
全燃焼させるのでその顕熱しか回収できない。また、こ
の方式では、炉上部の予熱・乾燥帯温度が約300℃程
度であるので、充分分解しきれないタール等の炭化水素
やダイオキシン類が多量に炉外に排出される。
シャフト炉は高価なコークスを必須とし、生成ガスを完
全燃焼させるのでその顕熱しか回収できない。また、こ
の方式では、炉上部の予熱・乾燥帯温度が約300℃程
度であるので、充分分解しきれないタール等の炭化水素
やダイオキシン類が多量に炉外に排出される。
【0014】方式Bのシステムの竪型炉も、方式Aの場
合と同様に高価なコークスを必須としている。また、フ
リーボードを常に1000℃以上に保つために、大きな
フリーボードを必要とし、炉の大型化が避けられない。
合と同様に高価なコークスを必須としている。また、フ
リーボードを常に1000℃以上に保つために、大きな
フリーボードを必要とし、炉の大型化が避けられない。
【0015】方式Cで用いられる炉は、2つの反応器
(炉)を一体に連結しているとはいいながら、実際上は
明らかに熱分解炉と燃焼溶融炉の2炉に分離している。
したがって、構造的に複雑であり、設備コストが高くな
る。また、熱分解炉は燃焼溶融炉とは分離された間接加
熱型の炉であるため、燃焼溶融炉の排ガス顕熱が充分利
用されない。
(炉)を一体に連結しているとはいいながら、実際上は
明らかに熱分解炉と燃焼溶融炉の2炉に分離している。
したがって、構造的に複雑であり、設備コストが高くな
る。また、熱分解炉は燃焼溶融炉とは分離された間接加
熱型の炉であるため、燃焼溶融炉の排ガス顕熱が充分利
用されない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、埋立て処分
地の問題に関連して、廃棄物中の可燃分、灰分および鉄
分などを有効利用し、埋立てに係わる費用の低減を図る
とともに、生成する副生ガスを発電用燃料等に活用する
ためになされたものである。
地の問題に関連して、廃棄物中の可燃分、灰分および鉄
分などを有効利用し、埋立てに係わる費用の低減を図る
とともに、生成する副生ガスを発電用燃料等に活用する
ためになされたものである。
【0017】すなわち、本発明の課題は、一般廃棄物お
よび産業廃棄物を単に焼却するのではなく、廃棄物中に
含まれる有機物をガス化してエネルギーガスとして回収
するとともに、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれ
ぞれ溶融スラグと溶融金属として回収する方法およびそ
のための炉を提供することにある。具体的には、上記の
従来技術における問題を解決し、高価なコークスを使用
せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水・熱分解およびガス
改質の一連の工程を1炉で実施し、かつタール等が含ま
れない清浄な排ガスとすることができるガス化溶融炉お
よびガス化溶融方法を提供することを目的としている。
よび産業廃棄物を単に焼却するのではなく、廃棄物中に
含まれる有機物をガス化してエネルギーガスとして回収
するとともに、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれ
ぞれ溶融スラグと溶融金属として回収する方法およびそ
のための炉を提供することにある。具体的には、上記の
従来技術における問題を解決し、高価なコークスを使用
せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水・熱分解およびガス
改質の一連の工程を1炉で実施し、かつタール等が含ま
れない清浄な排ガスとすることができるガス化溶融炉お
よびガス化溶融方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
の廃棄物のガス化溶融炉、ならびにの廃棄物のガス化
溶融方法にある。
の廃棄物のガス化溶融炉、ならびにの廃棄物のガス化
溶融方法にある。
【0019】廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機物を
ガス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃
棄物中の灰分と金属類を溶融物として回収する竪型の廃
棄物のガス化溶融炉であって、上部に前記廃棄物を装入
する廃棄物装入口と生成するガスを排出するガス排出口
を有し、下部に溶融スラグおよび溶融金属の排出口を有
し、さらに、支燃性ガス及び補助燃料を吹き込むことが
できるランスが、炉の上部からランス孔をガス化溶融ゾ
ーンまたは脱水・熱分解ゾーンの近傍に位置させるよう
に昇降可能に取り付けられていることを特徴とする廃棄
物のガス化溶融炉。
ガス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃
棄物中の灰分と金属類を溶融物として回収する竪型の廃
棄物のガス化溶融炉であって、上部に前記廃棄物を装入
する廃棄物装入口と生成するガスを排出するガス排出口
を有し、下部に溶融スラグおよび溶融金属の排出口を有
し、さらに、支燃性ガス及び補助燃料を吹き込むことが
できるランスが、炉の上部からランス孔をガス化溶融ゾ
ーンまたは脱水・熱分解ゾーンの近傍に位置させるよう
に昇降可能に取り付けられていることを特徴とする廃棄
物のガス化溶融炉。
【0020】 上記に記載の廃棄物のガス化溶融炉
を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄物
装入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾーンで
の反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガ
スと、溶融スラグおよび溶融金属とし、前者を炉上部に
設けられたガス排出口から回収し、後者を炉下部に設け
られた溶融スラグおよび溶融金属の排出口から回収する
ことを特徴とする廃棄物のガス化溶融方法。
を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄物
装入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾーンで
の反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガ
スと、溶融スラグおよび溶融金属とし、前者を炉上部に
設けられたガス排出口から回収し、後者を炉下部に設け
られた溶融スラグおよび溶融金属の排出口から回収する
ことを特徴とする廃棄物のガス化溶融方法。
【0021】〔ゾーンI 〕装入廃棄物のレベル値から定
められた量の支燃性ガスと補助燃料をランスから吹き込
み、ゾーンIIで生成した炭化物を燃焼、ガス化して還元
性ガスを発生させるとともに炭化物に含まれる灰分と金
属類を溶融し、溶融スラグおよび溶融金属とする。
められた量の支燃性ガスと補助燃料をランスから吹き込
み、ゾーンIIで生成した炭化物を燃焼、ガス化して還元
性ガスを発生させるとともに炭化物に含まれる灰分と金
属類を溶融し、溶融スラグおよび溶融金属とする。
【0022】〔ゾーンII〕ゾーンI で発生した還元性ガ
スにより廃棄物装入口から装入された廃棄物を脱水加熱
して炭化物と炭化水素ガスに熱分解する。
スにより廃棄物装入口から装入された廃棄物を脱水加熱
して炭化物と炭化水素ガスに熱分解する。
【0023】〔ゾーンIII 〕炉の上方部の雰囲気ガスの
温度計測値から定められた量の支燃性ガスと補助燃料を
ランスから吹き込み、ゾーンIIで発生した炭化水素ガス
を熱分解してCOとH2 を主成分とするエネルギーガス
とする。
温度計測値から定められた量の支燃性ガスと補助燃料を
ランスから吹き込み、ゾーンIIで発生した炭化水素ガス
を熱分解してCOとH2 を主成分とするエネルギーガス
とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、図に基づいて本発明(上
記及びの発明)を詳細に説明する。
記及びの発明)を詳細に説明する。
【0025】図1は、上記の発明の廃棄物のガス化溶
融炉(以下、本発明のガス化溶融炉という)の一例の構
成を示す概略縦断面図である。図示するように、廃棄物
ガス化溶融炉1は、上部に廃棄物を装入するための廃棄
物装入口11−1と生成するガスを排出するためのガス
排出口3−1を有している。廃棄物装入口11−1に
は、ホッパー11−2およびプッシャー10が取り付け
られ、また、ガス排出口3−1には、排ガス4を回収す
るためのダクト3−2が取り付けられている。炉下部に
は溶融スラグおよび溶融金属13を排出するための排出
口9が設けられている。
融炉(以下、本発明のガス化溶融炉という)の一例の構
成を示す概略縦断面図である。図示するように、廃棄物
ガス化溶融炉1は、上部に廃棄物を装入するための廃棄
物装入口11−1と生成するガスを排出するためのガス
排出口3−1を有している。廃棄物装入口11−1に
は、ホッパー11−2およびプッシャー10が取り付け
られ、また、ガス排出口3−1には、排ガス4を回収す
るためのダクト3−2が取り付けられている。炉下部に
は溶融スラグおよび溶融金属13を排出するための排出
口9が設けられている。
【0026】さらに、廃棄物ガス化溶融炉1の上部に
は、支燃性ガス16と必要に応じて補助燃料17を吹き
込むことができるランス5と、このランス5を昇降させ
るためのランス駆動装置6が設けられている。すなわ
ち、ランス5は炉の内部に向かって前進、もしくは後退
できるように、すなわち昇降可能に構成されている。
は、支燃性ガス16と必要に応じて補助燃料17を吹き
込むことができるランス5と、このランス5を昇降させ
るためのランス駆動装置6が設けられている。すなわ
ち、ランス5は炉の内部に向かって前進、もしくは後退
できるように、すなわち昇降可能に構成されている。
【0027】このランス5には、支燃性ガス16と必要
に応じて補助燃料17を吹き込むことができるランス孔
7が複数個取り付けられている。なお、ランス孔7の取
り付け位置及び方向(支燃性ガス等の噴出方向)は、図
示した位置及び方向(すなわち、ランスの先端部で、下
方向き)に限らない。例えば、前記のランスの先端部に
加え、ランスの上方側部で、水平方向に取り付けられて
いてもよい。すなわち、ランス孔の取り付け位置、ガス
噴出方向、及び孔の数等について何ら限定はない。
に応じて補助燃料17を吹き込むことができるランス孔
7が複数個取り付けられている。なお、ランス孔7の取
り付け位置及び方向(支燃性ガス等の噴出方向)は、図
示した位置及び方向(すなわち、ランスの先端部で、下
方向き)に限らない。例えば、前記のランスの先端部に
加え、ランスの上方側部で、水平方向に取り付けられて
いてもよい。すなわち、ランス孔の取り付け位置、ガス
噴出方向、及び孔の数等について何ら限定はない。
【0028】図2は、本発明の廃棄物のガス化溶融炉の
他の例の構成を示す概略縦断面図で、ランス孔がランス
5の先端部(図中に示したランス孔7−1)、及び側部
(ランス孔7−2)の両方に設けられている場合であ
る。このランス5を用いれば、後述するように、炭化水
素ガスをCO及びH2 に完全に変換し、改質することが
できる。
他の例の構成を示す概略縦断面図で、ランス孔がランス
5の先端部(図中に示したランス孔7−1)、及び側部
(ランス孔7−2)の両方に設けられている場合であ
る。このランス5を用いれば、後述するように、炭化水
素ガスをCO及びH2 に完全に変換し、改質することが
できる。
【0029】ランス5から吹き込まれる支燃性ガスと
は、純酸素、または酸素を含有するガスであり、補助燃
料とは、微粉炭等の固体燃料、重油等の液体燃料、ある
いは天然ガス等の気体燃料である。
は、純酸素、または酸素を含有するガスであり、補助燃
料とは、微粉炭等の固体燃料、重油等の液体燃料、ある
いは天然ガス等の気体燃料である。
【0030】さらに、炉上部には、炉内に装入された廃
棄物のレベル(高さレベルで、以下、原料層頂レベルと
いう)を計測するための手段であるサウンジングデバイ
ス18が設けられている。
棄物のレベル(高さレベルで、以下、原料層頂レベルと
いう)を計測するための手段であるサウンジングデバイ
ス18が設けられている。
【0031】また、炉側壁には、後述するように、フリ
ーボード空間内の温度を計測するための熱電対および温
度変換器19が取り付けられている。
ーボード空間内の温度を計測するための熱電対および温
度変換器19が取り付けられている。
【0032】上記のように、本発明のガス化溶融炉は、
上述したように、竪型の、1炉方式のガス化溶融炉であ
り、これによって、設備の簡素化と設備費の低減を図
り、また、炉体からの熱損失を抑制することができる。
上述したように、竪型の、1炉方式のガス化溶融炉であ
り、これによって、設備の簡素化と設備費の低減を図
り、また、炉体からの熱損失を抑制することができる。
【0033】このガス化溶融炉において、昇降可能なラ
ンス5を取り付けた理由、サウンジングデバイス18を
設け、さらに、炉側壁の所定の位置に熱電対を取り付け
た理由については、以下に述べる前記の発明の廃棄物
のガス化溶融方法と併せ説明する。
ンス5を取り付けた理由、サウンジングデバイス18を
設け、さらに、炉側壁の所定の位置に熱電対を取り付け
た理由については、以下に述べる前記の発明の廃棄物
のガス化溶融方法と併せ説明する。
【0034】の発明の廃棄物のガス化溶融方法(以
下、本発明方法ともいう)は、上記本発明のガス化溶融
炉を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄
物をホッパー11に投入し、プッシャー10で押し込ん
で廃棄物装入口11−1から炉内へ装入し、以下に詳述
するゾーンI 〜ゾーンIII での反応により、COとH2
を主成分とするエネルギーガスと、溶融スラグおよび溶
融金属とし、前者を炉上部に設けられたガス排出口3−
1から回収し、後者を炉下部に設けられた溶融スラグお
よび溶融金属の排出口9から回収する方法である。
下、本発明方法ともいう)は、上記本発明のガス化溶融
炉を用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄
物をホッパー11に投入し、プッシャー10で押し込ん
で廃棄物装入口11−1から炉内へ装入し、以下に詳述
するゾーンI 〜ゾーンIII での反応により、COとH2
を主成分とするエネルギーガスと、溶融スラグおよび溶
融金属とし、前者を炉上部に設けられたガス排出口3−
1から回収し、後者を炉下部に設けられた溶融スラグお
よび溶融金属の排出口9から回収する方法である。
【0035】炉内は、生じる反応に応じて三つのゾーン
(領域)、すなわち、炉下部から順に、炭化物のガス
化、溶融が生じるガス化溶融ゾーン(これを「ゾーンI
」と呼ぶ)、廃棄物の脱水及び熱分解が生じる脱水・
熱分解ゾーン(「ゾーンII」と呼ぶ)及びガスの改質が
進行するガス改質ゾーン(「ゾーンIII 」と呼ぶ)に見
掛け上分割されており(図1参照)、それぞれのゾーン
に反応に必要な支燃性ガス及び必要に応じて補助燃料を
吹き込めるように、ランスが昇降可能に取り付けられて
いる。なお、ゾーンIIは、上部から装入された廃棄物
が、ランスから吹き込まれた支燃性ガスを主体とするガ
スジェットにより壁際に押しやられた状態を呈してい
る。このような構成を採ることによって、竪型炉に特有
の棚吊りや吹き抜け(特に、本発明方法のようにコーク
スを使用しない場合に生じ易い)の発生を回避すること
ができる。
(領域)、すなわち、炉下部から順に、炭化物のガス
化、溶融が生じるガス化溶融ゾーン(これを「ゾーンI
」と呼ぶ)、廃棄物の脱水及び熱分解が生じる脱水・
熱分解ゾーン(「ゾーンII」と呼ぶ)及びガスの改質が
進行するガス改質ゾーン(「ゾーンIII 」と呼ぶ)に見
掛け上分割されており(図1参照)、それぞれのゾーン
に反応に必要な支燃性ガス及び必要に応じて補助燃料を
吹き込めるように、ランスが昇降可能に取り付けられて
いる。なお、ゾーンIIは、上部から装入された廃棄物
が、ランスから吹き込まれた支燃性ガスを主体とするガ
スジェットにより壁際に押しやられた状態を呈してい
る。このような構成を採ることによって、竪型炉に特有
の棚吊りや吹き抜け(特に、本発明方法のようにコーク
スを使用しない場合に生じ易い)の発生を回避すること
ができる。
【0036】ゾーンI では下記の(1)式で示した反応
が生じる。この反応は、ゾーンIIで形成され、降下して
きた炭化物の充填層が、ランス駆動装置6によりランス
孔7がゾーンI の近傍に位置するように移動配置された
ランス5から吹き込まれる支燃性ガス16により燃焼す
る反応で、炭化物は燃焼ガス化し、2000℃以上の高
温のCOを主体とする還元性ガスとなる。また、その顕
熱で炭化物に含有されている灰分(無機酸化物)と金属
類が溶融し、溶融スラグと溶融金属となる。なお、必要
によりランスから補助燃料17を供給する。
が生じる。この反応は、ゾーンIIで形成され、降下して
きた炭化物の充填層が、ランス駆動装置6によりランス
孔7がゾーンI の近傍に位置するように移動配置された
ランス5から吹き込まれる支燃性ガス16により燃焼す
る反応で、炭化物は燃焼ガス化し、2000℃以上の高
温のCOを主体とする還元性ガスとなる。また、その顕
熱で炭化物に含有されている灰分(無機酸化物)と金属
類が溶融し、溶融スラグと溶融金属となる。なお、必要
によりランスから補助燃料17を供給する。
【0037】前記の還元性ガスはゾーンIIに移行し、溶
融スラグと溶融金属は炉下部の排出口9から回収され
る。
融スラグと溶融金属は炉下部の排出口9から回収され
る。
【0038】 C+1/2O2 =CO ・・・(1) ここで、C :ゾーンIIから供給される炭化物 O2 :ランスから吹き込まれた支燃性ガス中の酸素 このゾーンI では、生成する還元性ガスの顕熱で炭化物
に含有されている灰分と金属類を完全に溶融することが
必要であるため、ガスの温度を2000℃以上に保つの
が好ましい。そのために、支燃性ガス中の酸素濃度を5
0体積%(以下、ガスについての%は体積%を意味す
る)以上とし、また、必要であれば補助燃料を吹き込
む。また、溶融スラグと溶融金属を炉下部の排出口から
詰まり等を生じさせず円滑に抽出するために、廃棄物の
炉内への装入時に炉上から石灰石を同時に装入して、ス
ラグの粘度を下げるのが好ましい。
に含有されている灰分と金属類を完全に溶融することが
必要であるため、ガスの温度を2000℃以上に保つの
が好ましい。そのために、支燃性ガス中の酸素濃度を5
0体積%(以下、ガスについての%は体積%を意味す
る)以上とし、また、必要であれば補助燃料を吹き込
む。また、溶融スラグと溶融金属を炉下部の排出口から
詰まり等を生じさせず円滑に抽出するために、廃棄物の
炉内への装入時に炉上から石灰石を同時に装入して、ス
ラグの粘度を下げるのが好ましい。
【0039】ゾーンIIでは、下記の(2)式〜(4)式
で示した反応が生じる。(2)式の反応は、廃棄物の脱
水加熱で、ゾーンI から供給された高温ガスの顕熱を利
用して行われる。(3)式および(4)式は、廃棄物中
の有機物(ただし、(3)式、(4)式ではCとして表
示)の熱分解反応である。(4)式は(3)式で生成し
た炭化水素Cm Hn がさらに熱分解する反応で、炭化物
と炭化水素ガスに熱分解する。なお、ゾーンIIでは、ラ
ンス駆動装置を介してランス孔7がゾーンIIの近傍に位
置するようにランスを移動配置した後、このランスから
支燃性ガスと必要により補助燃料を供給して、ゾーンII
の近傍で脱水加熱及び熱分解反応と、前記のガス化、溶
融反応を同時に行わせることも可能である。
で示した反応が生じる。(2)式の反応は、廃棄物の脱
水加熱で、ゾーンI から供給された高温ガスの顕熱を利
用して行われる。(3)式および(4)式は、廃棄物中
の有機物(ただし、(3)式、(4)式ではCとして表
示)の熱分解反応である。(4)式は(3)式で生成し
た炭化水素Cm Hn がさらに熱分解する反応で、炭化物
と炭化水素ガスに熱分解する。なお、ゾーンIIでは、ラ
ンス駆動装置を介してランス孔7がゾーンIIの近傍に位
置するようにランスを移動配置した後、このランスから
支燃性ガスと必要により補助燃料を供給して、ゾーンII
の近傍で脱水加熱及び熱分解反応と、前記のガス化、溶
融反応を同時に行わせることも可能である。
【0040】ここで得られる炭化物(充填層)はゾーン
I へ、炭化水素ガスはゾーンIII へそれぞれ移行する。
I へ、炭化水素ガスはゾーンIII へそれぞれ移行する。
【0041】 H2 O(liq )=H2 O(gas ) ・・・(2) Cp Hq Or =r/2CO2 +q/nCm Hn +(p−r/2−qm/n)C ・・・(3) Cm Hn =n/4CH4 +{m−(n/4)}C ・・・(4) ここで、H2 O(liq ):廃棄物中の付着水分 Cp Hq Or :廃棄物中の有機物 Cm Hn :廃棄物中の有機物の分解で生じた炭化水
素ガス C :第1ゾーンに供給される炭化物 この工程では、炉内へ装入する廃棄物に必要に応じて副
原料(例えば、石灰石、生石灰等)を加えて充填層を形
成させておく。つまり、廃棄物が比較的密に充填された
状態としておく。このような廃棄物の充填層とすること
により、その層内をゾーンI から供給された高温のガス
が通過する際の固・気体間の接触時間が長くなり、熱効
率が向上する。
素ガス C :第1ゾーンに供給される炭化物 この工程では、炉内へ装入する廃棄物に必要に応じて副
原料(例えば、石灰石、生石灰等)を加えて充填層を形
成させておく。つまり、廃棄物が比較的密に充填された
状態としておく。このような廃棄物の充填層とすること
により、その層内をゾーンI から供給された高温のガス
が通過する際の固・気体間の接触時間が長くなり、熱効
率が向上する。
【0042】なお、ゾーンIIで廃棄物(充填層)を脱
水、熱分解することにより炭化物の充填層とし、ゾーン
I でこの炭化物をガス化、溶融する理由は、このように
2段に分ける方が炭化物の加熱促進と、生成した溶融ス
ラグおよび溶融金属からの放熱ロスの抑制を効果的に行
えるからである。
水、熱分解することにより炭化物の充填層とし、ゾーン
I でこの炭化物をガス化、溶融する理由は、このように
2段に分ける方が炭化物の加熱促進と、生成した溶融ス
ラグおよび溶融金属からの放熱ロスの抑制を効果的に行
えるからである。
【0043】また、発生ガス量を少なくして顕熱ロスを
抑制するとともに、発生ガスのカロリー低下を抑制する
ため、支燃性ガス中の酸素濃度を50%以上にするのが
よい。
抑制するとともに、発生ガスのカロリー低下を抑制する
ため、支燃性ガス中の酸素濃度を50%以上にするのが
よい。
【0044】ゾーンIII は、空洞(フリーボード)をな
しており、その中で、下記の(5)式および(6)式で
示した反応、または(7)式および(8)式で示した反
応が生じる。これらの反応はゾーンIIから供給される炭
化水素ガスの熱分解反応(ガス改質反応)で、COとH
2 を主成分とするガス(エネルギーガス)が得られる。
しており、その中で、下記の(5)式および(6)式で
示した反応、または(7)式および(8)式で示した反
応が生じる。これらの反応はゾーンIIから供給される炭
化水素ガスの熱分解反応(ガス改質反応)で、COとH
2 を主成分とするガス(エネルギーガス)が得られる。
【0045】 Cm Hn +m/2O2 =mCO+n/2H2 ・・・(5) CH4 +1/2O2 =CO+2H2 ・・・(6) または、 Cm Hn +mH2 O=mCO+(m+n/2)H2 ・・・(7) CH4 +H2 O=CO+3H2 ・・・(8) ここで、Cm Hn :ゾーンIIで廃棄物が熱分解して生成
した炭化水素ガス CH4 :ゾーンIIでCm Hn が熱分解して生成したメ
タンガス CO2 :ゾーンIIで廃棄物が熱分解して生成したCO
2 H2 O :ゾーンIIで廃棄物が脱水して生成したH2 O このゾーンIII での反応を空洞内で行わせる理由は、気
体間の反応であるガス改質反応を円滑に進めるためであ
る。空洞内の雰囲気温度を800〜1000℃に制御す
ると、改質反応が充分に進行するので好ましい。この温
度範囲であれば、配管閉塞のトラブルの原因となるター
ルのような炭素数が5以上の炭化水素(Cm Hn :m≧
5)はすべて分解される。さらに、ダイオキシン類やそ
の前駆体の生成を抑制するためには、ガスの温度は50
0℃以上とするのが好ましいとされており、これらの生
成も抑制される。
した炭化水素ガス CH4 :ゾーンIIでCm Hn が熱分解して生成したメ
タンガス CO2 :ゾーンIIで廃棄物が熱分解して生成したCO
2 H2 O :ゾーンIIで廃棄物が脱水して生成したH2 O このゾーンIII での反応を空洞内で行わせる理由は、気
体間の反応であるガス改質反応を円滑に進めるためであ
る。空洞内の雰囲気温度を800〜1000℃に制御す
ると、改質反応が充分に進行するので好ましい。この温
度範囲であれば、配管閉塞のトラブルの原因となるター
ルのような炭素数が5以上の炭化水素(Cm Hn :m≧
5)はすべて分解される。さらに、ダイオキシン類やそ
の前駆体の生成を抑制するためには、ガスの温度は50
0℃以上とするのが好ましいとされており、これらの生
成も抑制される。
【0046】また、本発明者らがさらに検討した結果、
ゾーンIII における炭化水素ガスの改質反応を完全に行
わせるためには、図2に示したように、ガス化溶融と、
脱水および熱分解反応を主体的に行わしめるランス孔7
−1とは別に、その上部、すなわち、ランスの上方側部
に、ガス改質と、脱水および熱分解反応を主体的に行わ
しめるランス孔7−2を備えたランス5を用い、このラ
ンス孔7−2からも支燃性ガスと必要に応じて補助燃料
を吹き込むのが好ましいことが判明した。すなわち、反
応式(9)及び(10)にしたがって積極的に改質反応
を行わせると、排ガス中の炭化水素ガスをほとんど完全
にCOとH2 を主体とするガスに改質することができ
る。
ゾーンIII における炭化水素ガスの改質反応を完全に行
わせるためには、図2に示したように、ガス化溶融と、
脱水および熱分解反応を主体的に行わしめるランス孔7
−1とは別に、その上部、すなわち、ランスの上方側部
に、ガス改質と、脱水および熱分解反応を主体的に行わ
しめるランス孔7−2を備えたランス5を用い、このラ
ンス孔7−2からも支燃性ガスと必要に応じて補助燃料
を吹き込むのが好ましいことが判明した。すなわち、反
応式(9)及び(10)にしたがって積極的に改質反応
を行わせると、排ガス中の炭化水素ガスをほとんど完全
にCOとH2 を主体とするガスに改質することができ
る。
【0047】 Cm Hn +m/2O2 =mCO+n/2H2 ・・・(9) CH4 +1/2O2 =CO+2H2 ・・・(10) ここで、Cm Hn :ゾーンIIで廃棄物が熱分解して生成
した炭化水素ガス CH4 :ゾーンIIでCm Hn が熱分解して生成したメ
タンガス O2 :ランス孔7−2から吹き込まれた支燃性ガス
中の酸素 特に廃棄物を上部から装入した直後は、廃棄物中の有機
物の熱分解反応が急激に進行するので、反応式(5)〜
(8)による改質反応以外に、反応式(9)及び(1
0)による改質反応を行わせると、排ガス中の炭化水素
ガスをほとんど完全に改質することが可能である。
した炭化水素ガス CH4 :ゾーンIIでCm Hn が熱分解して生成したメ
タンガス O2 :ランス孔7−2から吹き込まれた支燃性ガス
中の酸素 特に廃棄物を上部から装入した直後は、廃棄物中の有機
物の熱分解反応が急激に進行するので、反応式(5)〜
(8)による改質反応以外に、反応式(9)及び(1
0)による改質反応を行わせると、排ガス中の炭化水素
ガスをほとんど完全に改質することが可能である。
【0048】支燃性ガス中の酸素濃度は50%以上にす
るのがよい。これは、回収されるガスのカロリーを高め
て次工程の発電等の用途に利用し易くするためである。
るのがよい。これは、回収されるガスのカロリーを高め
て次工程の発電等の用途に利用し易くするためである。
【0049】以上述べたように、本発明方法では、ゾー
ンI 〜ゾーンIII での反応により、COとH2 を主成分
とするエネルギーガスと、溶融スラグおよび溶融金属を
回収するのであるが、そのために、支燃性ガスと必要に
応じて補助燃料を吹き込むことができる、しかも昇降可
能なランスが必要となる。その理由を以下に述べる。
ンI 〜ゾーンIII での反応により、COとH2 を主成分
とするエネルギーガスと、溶融スラグおよび溶融金属を
回収するのであるが、そのために、支燃性ガスと必要に
応じて補助燃料を吹き込むことができる、しかも昇降可
能なランスが必要となる。その理由を以下に述べる。
【0050】廃棄物の種類が変化すれば自ずと反応式
(3)、(4)及び(1)の反応生成物も変化するの
で、廃棄物充填層14の厚み、すなわち高さが変化す
る。したがって、ゾーンI 及びIIに的確に支燃性ガスと
必要に応じて補助燃料を吹き込むには、ランスを必要に
応じて上下に移動させる必要がある。
(3)、(4)及び(1)の反応生成物も変化するの
で、廃棄物充填層14の厚み、すなわち高さが変化す
る。したがって、ゾーンI 及びIIに的確に支燃性ガスと
必要に応じて補助燃料を吹き込むには、ランスを必要に
応じて上下に移動させる必要がある。
【0051】例えば、ランスが適正位置より低い位置に
あると、ゾーンIIの廃棄物の厚みが厚くなり過ぎて、反
応式(2)〜(4)の脱水及び熱分解反応が充分に進行
せず、局部的にムラが生じる。すなわち、ゾーンIIの上
部において、脱水および熱分解反応が充分に進行せずに
廃棄物充填層の荷下がりが停滞する箇所が出てくる。す
ると、その場所で棚吊りが発生して安定的な操業に支障
を来すことになる。
あると、ゾーンIIの廃棄物の厚みが厚くなり過ぎて、反
応式(2)〜(4)の脱水及び熱分解反応が充分に進行
せず、局部的にムラが生じる。すなわち、ゾーンIIの上
部において、脱水および熱分解反応が充分に進行せずに
廃棄物充填層の荷下がりが停滞する箇所が出てくる。す
ると、その場所で棚吊りが発生して安定的な操業に支障
を来すことになる。
【0052】一方、ランスが適正位置より高い位置にあ
ると、ゾーンI の炭化物充填層の厚みが厚くなり過ぎ
て、反応式(1)のCOを主体とする還元性ガスの顕熱
によりゾーンI の炭化物に含有されている灰分(無機酸
化物)と金属類を充分に溶解できなくなり、溶融スラグ
と溶融金属として炉下部の排出口から抽出することが困
難になる。
ると、ゾーンI の炭化物充填層の厚みが厚くなり過ぎ
て、反応式(1)のCOを主体とする還元性ガスの顕熱
によりゾーンI の炭化物に含有されている灰分(無機酸
化物)と金属類を充分に溶解できなくなり、溶融スラグ
と溶融金属として炉下部の排出口から抽出することが困
難になる。
【0053】また、廃棄物充填層の荷下がりが停滞して
棚吊りが発生した場合には、その箇所に集中的に支燃性
ガスを供給して棚吊り部を燃焼させ、溶融することが必
要になるが、そのためには、ランスを上下に移動させる
必要がある。
棚吊りが発生した場合には、その箇所に集中的に支燃性
ガスを供給して棚吊り部を燃焼させ、溶融することが必
要になるが、そのためには、ランスを上下に移動させる
必要がある。
【0054】このように、昇降可能なランスを備えた炉
を用いて廃棄物を燃焼させると、コークスを使用しなく
ても、棚吊りや吹き抜け等の不安定さを回避しつつ操業
を行うことが可能となる。
を用いて廃棄物を燃焼させると、コークスを使用しなく
ても、棚吊りや吹き抜け等の不安定さを回避しつつ操業
を行うことが可能となる。
【0055】ランスの適正位置を決定するには、以下の
方法が有効である。
方法が有効である。
【0056】処理の対象が例えば異種の廃棄物が混在し
た一般廃棄物のような場合、通常は炉内に装入する前に
成分分析を行うことはしないので、炉内では未知の成分
が燃焼し、あるいは熱分解することになり、生成ガス量
およびその含有成分を予測することは実際上不可能であ
る。
た一般廃棄物のような場合、通常は炉内に装入する前に
成分分析を行うことはしないので、炉内では未知の成分
が燃焼し、あるいは熱分解することになり、生成ガス量
およびその含有成分を予測することは実際上不可能であ
る。
【0057】このような条件下では、装入した廃棄物の
レベル(原料層頂レベル)を逐次計測する。これによっ
て、炉内の充填層(廃棄物の充填層および炭化物の充填
層)の厚みの変化を間接的に把握することができる。す
なわち、ゾーンI で形成される炭化物の充填層は燃焼量
が多いほど荷下がりが進み、原料層頂レベルが下がる。
したがって、事前に経験的に所定の原料層頂レベルを決
めておき、その後の原料層頂レベルの上下変動に基づい
てランスからの支燃性ガスと、必要により供給する補助
燃料の吹き込み量を決定すればよい。なお、使用する原
料層頂レベル計としては、製鉄分野の高炉内部の原料層
頂レベル計として知られているサウンジングデバイスが
好適である。
レベル(原料層頂レベル)を逐次計測する。これによっ
て、炉内の充填層(廃棄物の充填層および炭化物の充填
層)の厚みの変化を間接的に把握することができる。す
なわち、ゾーンI で形成される炭化物の充填層は燃焼量
が多いほど荷下がりが進み、原料層頂レベルが下がる。
したがって、事前に経験的に所定の原料層頂レベルを決
めておき、その後の原料層頂レベルの上下変動に基づい
てランスからの支燃性ガスと、必要により供給する補助
燃料の吹き込み量を決定すればよい。なお、使用する原
料層頂レベル計としては、製鉄分野の高炉内部の原料層
頂レベル計として知られているサウンジングデバイスが
好適である。
【0058】また、廃棄物充填層の荷下がりが停滞して
棚吊りが発生した場合に、その箇所を検知するために、
原料層頂レベルを逐次計測することが効果的である。す
なわちそのレベル値に変化がなければ、そこに棚吊りが
発生したと判断できるので、その箇所に集中的に支燃性
ガスを供給して棚吊り部を燃焼させ、溶融することがで
きる。図1及び図2は、原料層頂レベル計18によって
炉内原料層のゾーンIのレベルを計測している時の状況
を示している。
棚吊りが発生した場合に、その箇所を検知するために、
原料層頂レベルを逐次計測することが効果的である。す
なわちそのレベル値に変化がなければ、そこに棚吊りが
発生したと判断できるので、その箇所に集中的に支燃性
ガスを供給して棚吊り部を燃焼させ、溶融することがで
きる。図1及び図2は、原料層頂レベル計18によって
炉内原料層のゾーンIのレベルを計測している時の状況
を示している。
【0059】ゾーンIII では、前述したように、その雰
囲気温度を800〜1000℃に保てば、排ガス中の炭
化水素、特に配管閉塞のトラブルの基となるタールのよ
うな炭素数が5以上の炭化水素(Cm Hn :m ≧5)を
すべて分解できる。したがって、図1及び図2に示した
ようにフリーボード空間内に温度計19を設置してその
温度を逐次計測し、温度が800℃よりも低下したとき
は、ランス孔7−2から支燃性ガスと必要により補助燃
料の吹き込みを実施すればよい。
囲気温度を800〜1000℃に保てば、排ガス中の炭
化水素、特に配管閉塞のトラブルの基となるタールのよ
うな炭素数が5以上の炭化水素(Cm Hn :m ≧5)を
すべて分解できる。したがって、図1及び図2に示した
ようにフリーボード空間内に温度計19を設置してその
温度を逐次計測し、温度が800℃よりも低下したとき
は、ランス孔7−2から支燃性ガスと必要により補助燃
料の吹き込みを実施すればよい。
【0060】特に、廃棄物を炉内に装入した直後は、フ
リーボードにおける温度が急激に下がるので、その際に
生成される炭化水素(Cm Hn :m ≧5)を分解するた
めに、その温度(ゾーンIIおよびゾーンIII の温度)か
ら判断して支燃性ガスと必要により補助燃料の吹き込み
を実施するのが効果的である。
リーボードにおける温度が急激に下がるので、その際に
生成される炭化水素(Cm Hn :m ≧5)を分解するた
めに、その温度(ゾーンIIおよびゾーンIII の温度)か
ら判断して支燃性ガスと必要により補助燃料の吹き込み
を実施するのが効果的である。
【0061】上記本発明方法によれば、高価なコークス
を使用せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水、熱分解およ
びガス改質の一連の工程を1炉で実施し、かつタール等
が含まれない清浄な排ガスとすることができる。
を使用せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水、熱分解およ
びガス改質の一連の工程を1炉で実施し、かつタール等
が含まれない清浄な排ガスとすることができる。
【0062】
(実施例1)前記の図1に示した構成を有する竪型炉を
用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。なお、竪型炉
の各部の寸法、ランスその他取り付け部品の数量および
それらの配置は以下のとおりである。
用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。なお、竪型炉
の各部の寸法、ランスその他取り付け部品の数量および
それらの配置は以下のとおりである。
【0063】 寸法 炉径:0.5m(但し、煉瓦内張り後の炉内径) 炉高:2.7m(但し、煉瓦内張り後の炉底から炉頂までの高さ) ゾーンIII の熱電対の位置:1.7m (ゾーンIII の熱電対とは、ゾーンIII のフリーボード空間に備えら れた熱電対の炉底からの高さをいう) ランス外径:80mmφ ランス孔(ランス先端に中心孔と側孔が備えられている) 中心孔:微粉炭+キャリアガス吹き込み用 1孔×5mmφ×0度(=鉛直方向) 側孔:酸素+窒素ガス吹き込み用 3孔×8mmφ×10度(=鉛直方向に対して10度傾斜) 但し側孔は中心孔の周囲に120度間隔に配置 数量 ランス:1個 溶融スラグ及び溶融金属の排出口:1個 サウンジングデバイス(原料層頂レベル計):1個 ゾーンIII の熱電対:3個 配置 ランス:炉中心 溶融スラグおよび溶融金属の排出口:炉底端 サウンジングデバイス:炉中心 ゾーンIII の熱電対:周方向に120度毎の等間隔 上記の試験に使用した廃棄物は一般的な都市ごみと廃棄
プラスチックが混合した3種類(試料1、2および3と
する)で、それぞれ廃棄物1kg当たり3408kca
l、2518kcalおよび1628kcalの湿量基
準低位発熱量を有するものである。なお、廃棄物1t当
たりの付着水分は、それぞれ100kg、300kgお
よび500kgに調整した。
プラスチックが混合した3種類(試料1、2および3と
する)で、それぞれ廃棄物1kg当たり3408kca
l、2518kcalおよび1628kcalの湿量基
準低位発熱量を有するものである。なお、廃棄物1t当
たりの付着水分は、それぞれ100kg、300kgお
よび500kgに調整した。
【0064】表1にこれらの廃棄物の組成を、表2に使
用した副原料の組成を、また、表3に使用した補助燃料
の組成を示す。
用した副原料の組成を、また、表3に使用した補助燃料
の組成を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】これらの廃棄物は事前に10から50mm
のサイズに成型して用いた。また、副原料としての石灰
石は、10mmから50mmの塊状のものを使用した。
補助燃料としての微粉炭は、事前に乾燥された200メ
ッシュ以下の粉状のものを使用した。
のサイズに成型して用いた。また、副原料としての石灰
石は、10mmから50mmの塊状のものを使用した。
補助燃料としての微粉炭は、事前に乾燥された200メ
ッシュ以下の粉状のものを使用した。
【0069】ランスから吹き込んだ支燃性ガスは、酸素
をベースとし、これに窒素を若干混合したガスである。
それらの流量(酸素および窒素それぞれの流量)を表4
に示した。
をベースとし、これに窒素を若干混合したガスである。
それらの流量(酸素および窒素それぞれの流量)を表4
に示した。
【0070】試験の条件および結果を表4に併せて示
す。表中で、条件というのはこの試験の実施条件(定常
状態)で、試料1、2および3のそれぞれについて下記
の1〜8の手順にしたがって定めた。なお、試験におい
ては、最初、試料1を炉内へ装入してこの表4の試料1
の欄に示した条件で処理を行い、次いで、試料2に変更
して同じく試料2の欄に示した条件で処理を行い、さら
に試料3に変更して試料3の欄に示した条件で処理を行
った。それぞれの試料の処理時間は24時間で、その間
の廃棄物の処理量は、各試料とも1トン(合計3トン)
とした。
す。表中で、条件というのはこの試験の実施条件(定常
状態)で、試料1、2および3のそれぞれについて下記
の1〜8の手順にしたがって定めた。なお、試験におい
ては、最初、試料1を炉内へ装入してこの表4の試料1
の欄に示した条件で処理を行い、次いで、試料2に変更
して同じく試料2の欄に示した条件で処理を行い、さら
に試料3に変更して試料3の欄に示した条件で処理を行
った。それぞれの試料の処理時間は24時間で、その間
の廃棄物の処理量は、各試料とも1トン(合計3トン)
とした。
【0071】(処理条件の設定手順) 1.最初に装入する廃棄物(ここでは、試料1を指す)
の組成をあらかじめ分析することにより求めた。これは
ベースとなる酸素吹き込み量の概略値を決めるために必
要であり、また、造滓材として投入する石灰石量を決め
るためにも必要である。なお、石灰石量は、この試験で
は、溶融スラグの流動性が最もよいと考えられるスラグ
塩基度(すなわち、スラグ塩基度=1.0)になるよう
に調整した。
の組成をあらかじめ分析することにより求めた。これは
ベースとなる酸素吹き込み量の概略値を決めるために必
要であり、また、造滓材として投入する石灰石量を決め
るためにも必要である。なお、石灰石量は、この試験で
は、溶融スラグの流動性が最もよいと考えられるスラグ
塩基度(すなわち、スラグ塩基度=1.0)になるよう
に調整した。
【0072】2.ガス化溶融炉をあらかじめバーナー等
で加熱し、加熱していない常温の酸素(支燃性ガス)で
も廃棄物が着火する状態にした。
で加熱し、加熱していない常温の酸素(支燃性ガス)で
も廃棄物が着火する状態にした。
【0073】3.廃棄物を炉内に装入し、サウンジング
高さ1.3〜1.7mまで積み上げた。サウンジング高
さとは、炉底から廃棄物原料層頂までの高さを意味す
る。
高さ1.3〜1.7mまで積み上げた。サウンジング高
さとは、炉底から廃棄物原料層頂までの高さを意味す
る。
【0074】4.ランスから徐々に酸素ガスを流した
後、溶融スラグ及び溶融金属の排出口を開けた。
後、溶融スラグ及び溶融金属の排出口を開けた。
【0075】5.廃棄物の燃焼とともに、ゾーンIの炭
化物充填層頂レベルが下がったので、そのレベルを0.
8〜1.1mの範囲に維持するように原料(廃棄物およ
び石灰石)を逐次投入した。定常状態では、廃棄物の投
入速度は常に40kg/hに設定した。
化物充填層頂レベルが下がったので、そのレベルを0.
8〜1.1mの範囲に維持するように原料(廃棄物およ
び石灰石)を逐次投入した。定常状態では、廃棄物の投
入速度は常に40kg/hに設定した。
【0076】6.ゾーンIII のフリーボード空間に備え
られた熱電対を介して、温度変換器が指示する温度が常
に800〜1000℃を維持するように、ランスから吹
き込む酸素ガス量を調整した。すなわち荷下がり速度が
速く、かつゾーンIII の温度が1000℃を超えた場合
には、ランスからの酸素ガスを減少させた。逆にゾーン
III の温度が800℃より低い場合には、ランスからの
酸素ガスを増加させるとともに微粉炭吹き込みを行っ
た。
られた熱電対を介して、温度変換器が指示する温度が常
に800〜1000℃を維持するように、ランスから吹
き込む酸素ガス量を調整した。すなわち荷下がり速度が
速く、かつゾーンIII の温度が1000℃を超えた場合
には、ランスからの酸素ガスを減少させた。逆にゾーン
III の温度が800℃より低い場合には、ランスからの
酸素ガスを増加させるとともに微粉炭吹き込みを行っ
た。
【0077】7.通常通り溶融スラグ及び溶融金属の温
度が計測されているので、その温度が所望の温度(すな
わち、少なくとも溶融スラグ及び溶融金属が途中で固ま
らない温度であるが、通常は後処理を考えて1400〜
1600℃が好ましい)より低下した場合には、ランス
を降下させた。
度が計測されているので、その温度が所望の温度(すな
わち、少なくとも溶融スラグ及び溶融金属が途中で固ま
らない温度であるが、通常は後処理を考えて1400〜
1600℃が好ましい)より低下した場合には、ランス
を降下させた。
【0078】8.上記の5から7を繰り返し行うことに
よって最適な支燃性ガスおよび補助燃料の吹き込み量
(すなわち、表4の条件の欄に示した量)を導き出すこ
とができた。また、試料を変更(試料1から試料2へ、
および試料2から試料3へ変更)した場合においても、
的確に対応することができた。
よって最適な支燃性ガスおよび補助燃料の吹き込み量
(すなわち、表4の条件の欄に示した量)を導き出すこ
とができた。また、試料を変更(試料1から試料2へ、
および試料2から試料3へ変更)した場合においても、
的確に対応することができた。
【0079】以上の試験で得られた結果を表4の実績の
欄に示す。単位は廃棄物トン当たりの量で示した。
欄に示す。単位は廃棄物トン当たりの量で示した。
【0080】上記本発明方法によれば、高価なコークス
を使用せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水・熱分解及び
ガス改質の一連の工程を1炉で実施し、かつカロリーの
高いエネルギーガスを製造できた。ただし、この方法で
は、廃棄物を上部から装入した直後において、廃棄物中
の有機物の急激な熱分解反応により、排出されたガス中
に若干の炭化水素の存在が確認された。
を使用せずに、廃棄物のガス化溶融、脱水・熱分解及び
ガス改質の一連の工程を1炉で実施し、かつカロリーの
高いエネルギーガスを製造できた。ただし、この方法で
は、廃棄物を上部から装入した直後において、廃棄物中
の有機物の急激な熱分解反応により、排出されたガス中
に若干の炭化水素の存在が確認された。
【0081】
【表4】
【0082】(実施例2)前記の図2に示した構成を有
する竪型炉を用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。
なお、竪型炉の各部の寸法、ランスその他取り付け部品
の数量およびそれらの配置は、実施例1の場合と同じで
ある。ただし、ランスは、その側部上方に、以下に示す
ような上部孔を有している。なお、ランスの先端に設け
られているランス孔を、ここではランス下部孔という。
する竪型炉を用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。
なお、竪型炉の各部の寸法、ランスその他取り付け部品
の数量およびそれらの配置は、実施例1の場合と同じで
ある。ただし、ランスは、その側部上方に、以下に示す
ような上部孔を有している。なお、ランスの先端に設け
られているランス孔を、ここではランス下部孔という。
【0083】ランス上部孔(ランス下部孔より0.5m
上部の位置) 側孔A:微粉炭+キャリアガス吹き込み用 3孔×3mmφ×90度(=水平方向) 側孔B:酸素+窒素ガス吹き込み用 3孔×5mmφ×90度(=水平方向) 但し側孔A及びBは互い違いに60度間隔に配置 ランス下部孔(ランス先端に中心孔と側孔が備えられて
いる) 中心孔:微粉炭+キャリアガス吹き込み用 1孔×4mmφ×0度(=鉛直方向) 側孔:酸素+窒素ガス吹き込み用 3孔×6mmφ×10度(=鉛直方向に対して10度傾
斜) 但し側孔は中心孔の周囲に120度間隔に配置 上記の試験に使用した廃棄物は一般的な都市ごみと廃棄
プラスチックが混合した3種類(試料1、2および3と
する)で、実施例1で用いたものと同じ廃棄物(前記の
表1参照)であり、付着水分量の調整も同じとした。こ
れらの廃棄物は、実施例1におけると同様、事前に成型
されたもので、成型後の廃棄物のサイズを10mmから
50mmとした。
上部の位置) 側孔A:微粉炭+キャリアガス吹き込み用 3孔×3mmφ×90度(=水平方向) 側孔B:酸素+窒素ガス吹き込み用 3孔×5mmφ×90度(=水平方向) 但し側孔A及びBは互い違いに60度間隔に配置 ランス下部孔(ランス先端に中心孔と側孔が備えられて
いる) 中心孔:微粉炭+キャリアガス吹き込み用 1孔×4mmφ×0度(=鉛直方向) 側孔:酸素+窒素ガス吹き込み用 3孔×6mmφ×10度(=鉛直方向に対して10度傾
斜) 但し側孔は中心孔の周囲に120度間隔に配置 上記の試験に使用した廃棄物は一般的な都市ごみと廃棄
プラスチックが混合した3種類(試料1、2および3と
する)で、実施例1で用いたものと同じ廃棄物(前記の
表1参照)であり、付着水分量の調整も同じとした。こ
れらの廃棄物は、実施例1におけると同様、事前に成型
されたもので、成型後の廃棄物のサイズを10mmから
50mmとした。
【0084】副原料および補助燃料も同じものを使用し
た(前記の表2及び表3参照)。使用時の形状も実施例
1におけると同様で、石灰石は10mmから50mmの
塊状とし、補助燃料として使用した微粉炭は、事前に乾
燥された200メッシュ以下の粉状とした。
た(前記の表2及び表3参照)。使用時の形状も実施例
1におけると同様で、石灰石は10mmから50mmの
塊状とし、補助燃料として使用した微粉炭は、事前に乾
燥された200メッシュ以下の粉状とした。
【0085】ランスから吹き込んだ支燃性ガスは、酸素
をベースとし、これに窒素を若干混合したガスである。
それらの流量(酸素および窒素それぞれの流量)を表5
に示した。
をベースとし、これに窒素を若干混合したガスである。
それらの流量(酸素および窒素それぞれの流量)を表5
に示した。
【0086】試験の条件および結果を表5に併せて示
す。表中で、条件というのはこの試験の実施条件(定常
状態)で、試料1、2および3のそれぞれについて下記
の1〜8の手順にしたがって定めた。なお、試験におい
ては、実施例1の場合と同様に、最初、試料1を炉内へ
装入してこの表5の試料1の欄に示した条件で処理を行
い、次いで、試料2に変更して同じく試料2の欄に示し
た条件で処理を行い、さらに試料3に変更して試料3の
欄に示した条件で処理を行った。それぞれの試料の処理
時間は24時間で、その間の廃棄物の処理量は、各試料
とも1トン(合計3トン)とした。
す。表中で、条件というのはこの試験の実施条件(定常
状態)で、試料1、2および3のそれぞれについて下記
の1〜8の手順にしたがって定めた。なお、試験におい
ては、実施例1の場合と同様に、最初、試料1を炉内へ
装入してこの表5の試料1の欄に示した条件で処理を行
い、次いで、試料2に変更して同じく試料2の欄に示し
た条件で処理を行い、さらに試料3に変更して試料3の
欄に示した条件で処理を行った。それぞれの試料の処理
時間は24時間で、その間の廃棄物の処理量は、各試料
とも1トン(合計3トン)とした。
【0087】(処理条件の設定手順) 1.実施例1の場合と同じ 2. 同上 3. 同上 4.ランス上部孔及び下部孔から同時に酸素ガスを流し
た後、溶融スラグ及び溶融金属の排出口を開けた。なお
ランス上部孔への酸素ガスの配分は、全体の酸素ガス量
に対して20〜50%とするのが好適であった。上部孔
への配分量がこれより少ないと排ガス中の炭化水素が増
加し、一方、配分量が多いと炉下部への熱付与が不足し
て溶融スラグ及びメタルの排出が困難になった。
た後、溶融スラグ及び溶融金属の排出口を開けた。なお
ランス上部孔への酸素ガスの配分は、全体の酸素ガス量
に対して20〜50%とするのが好適であった。上部孔
への配分量がこれより少ないと排ガス中の炭化水素が増
加し、一方、配分量が多いと炉下部への熱付与が不足し
て溶融スラグ及びメタルの排出が困難になった。
【0088】5.実施例1の場合と同じ 6.ゾーンIII のフリーボード空間に備えられた熱電対
を介して、温度変換器が指示する温度値が常に800〜
1000℃を維持するように、ランス上部孔の酸素ガス
量を調整した。すなわち、荷下がり速度が速く、かつ、
ゾーンIII の温度が1000℃を超えた場合には、ラン
ス上部孔からの酸素ガスを減少させた。逆にゾーンIII
の温度が800℃より低い場合には、ランス上部からの
酸素ガスを増加させるとともに微粉炭吹き込みを開始し
た。
を介して、温度変換器が指示する温度値が常に800〜
1000℃を維持するように、ランス上部孔の酸素ガス
量を調整した。すなわち、荷下がり速度が速く、かつ、
ゾーンIII の温度が1000℃を超えた場合には、ラン
ス上部孔からの酸素ガスを減少させた。逆にゾーンIII
の温度が800℃より低い場合には、ランス上部からの
酸素ガスを増加させるとともに微粉炭吹き込みを開始し
た。
【0089】7.実施例1の場合と同じ 8. 同上 以上の試験で得られた結果を表5の実績の欄に示す。単
位は廃棄物トン当たりの量で示した。
位は廃棄物トン当たりの量で示した。
【0090】上記本発明方法によれば、実施例1の場合
と同様、高価なコークスを使用せずに、廃棄物のガス化
溶融、脱水・熱分解及びガス改質の一連の工程を1炉で
実施し、かつカロリーの高いエネルギーガスを製造で
き、しかも、排出されたガス中の炭化水素、特に配管閉
塞を引き起こす原因とされるCm Hn (m ≧5)のよう
な炭化水素は全く無視できる濃度であった。すなわち、
エネルギーガスとして発電用等にそのまま使用できるク
リーンなガスが得られた。
と同様、高価なコークスを使用せずに、廃棄物のガス化
溶融、脱水・熱分解及びガス改質の一連の工程を1炉で
実施し、かつカロリーの高いエネルギーガスを製造で
き、しかも、排出されたガス中の炭化水素、特に配管閉
塞を引き起こす原因とされるCm Hn (m ≧5)のよう
な炭化水素は全く無視できる濃度であった。すなわち、
エネルギーガスとして発電用等にそのまま使用できるク
リーンなガスが得られた。
【0091】
【表5】
【0092】
【発明の効果】本発明のガス化溶融炉を用い、本発明方
法にしたがって廃棄物の焼却を行えば、廃棄物中に含ま
れる有機物をガス化してエネルギーガスとして回収する
とともに、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれぞれ
溶融スラグと溶融金属として回収することができる。こ
れによって、現在問題となっている一般廃棄物および産
業廃棄物の埋め立て費用の低減を図るとともに、生成す
る副生ガスを発電用燃料等に活用することが可能であ
る。
法にしたがって廃棄物の焼却を行えば、廃棄物中に含ま
れる有機物をガス化してエネルギーガスとして回収する
とともに、廃棄物中に含まれる灰分と金属類をそれぞれ
溶融スラグと溶融金属として回収することができる。こ
れによって、現在問題となっている一般廃棄物および産
業廃棄物の埋め立て費用の低減を図るとともに、生成す
る副生ガスを発電用燃料等に活用することが可能であ
る。
【図1】本発明の廃棄物のガス化溶融炉の一例の構成を
示す概略縦断面図である。
示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の廃棄物のガス化溶融炉の他の例の構成
を示す概略縦断面図である。
を示す概略縦断面図である。
1:ガス化溶融炉本体 2:耐火れんが 3−1:ガス排出口 3−2:ガス排出ダクト 4:排ガスの流れ 5:ランス 6:ランス昇降装置 7、7−1、7−2:ランス孔 8:溶融スラグおよび溶融金属の流れ 9:溶融スラグおよび溶融金属の排出口 10:プッシャー 11−1:廃棄物装入口 11−2:ホッパー 12:廃棄物 13:溶融スラグおよび溶融金属 14:炭化物を主体とする充填層 15:フリーボード 16、16−1、16−2:支燃性ガス 17、17−1、17−2:補助燃料 18:サウンジングデバイス(原料層頂レベル計) 19:温度変換器 20:熱電対及び温度変換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 弘孝 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特表 平10−506981(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/24 ZAB F23G 5/00 115 F23G 5/00 ZAB
Claims (2)
- 【請求項1】廃棄物を燃焼させ、廃棄物中の有機物をガ
ス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃棄
物中の灰分と金属類を溶融物として回収する竪型の廃棄
物のガス化溶融炉であって、上部に前記廃棄物を装入す
る廃棄物装入口と生成するガスを排出するガス排出口を
有し、下部に溶融スラグおよび溶融金属の排出口を有
し、さらに、支燃性ガス及び補助燃料を吹き込むことが
できるランスが、炉の上部からランス孔をガス化溶融ゾ
ーンまたは脱水・熱分解ゾーンの近傍に位置させるよう
に昇降可能に取り付けられていることを特徴とする廃棄
物のガス化溶融炉。 - 【請求項2】請求項1に記載の廃棄物のガス化溶融炉を
用いて行う廃棄物のガス化溶融方法であって、廃棄物装
入口から炉内へ装入した廃棄物を、下記の各ゾーンでの
反応により、COとH2 を主成分とするエネルギーガ
スと、溶融スラグおよび溶融金属とし、前者を炉上部に
設けられたガス排出口から回収し、後者を炉下部に設け
られた溶融スラグおよび溶融金属の排出口から回収する
ことを特徴とする廃棄物のガス化溶融方法。 〔ゾーンI 〕 装入廃棄物のレベル値から定められた量の支燃性ガスと
補助燃料をランスから吹き込み、ゾーンIIで生成した炭
化物を燃焼、ガス化して還元性ガスを発生させるととも
に炭化物に含まれる灰分と金属類を溶融し、溶融スラグ
および溶融金属とする。 〔ゾーンII〕 ゾーンI で発生した還元性ガスにより廃棄物装入口から
装入された廃棄物を脱水加熱して炭化物と炭化水素ガス
に熱分解する。 〔ゾーンIII 〕 炉の上方部の雰囲気ガスの温度計測値から定められた量
の支燃性ガスと補助燃料をランスから吹き込み、ゾーン
IIで発生した炭化水素ガスを熱分解してCOとH2 を
主成分とするエネルギーガスとする。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28516396A JP3196666B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 廃棄物のガス化溶融炉及びガス化溶融方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28516396A JP3196666B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 廃棄物のガス化溶融炉及びガス化溶融方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10132242A JPH10132242A (ja) | 1998-05-22 |
JP3196666B2 true JP3196666B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=17687913
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28516396A Expired - Fee Related JP3196666B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 廃棄物のガス化溶融炉及びガス化溶融方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3196666B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009093098A2 (en) * | 2007-12-21 | 2009-07-30 | Gi-Gasification International, Sa | Injector system for making fuel gas |
-
1996
- 1996-10-28 JP JP28516396A patent/JP3196666B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10132242A (ja) | 1998-05-22 |
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