JPH11254990A - 車両用左右駆動力配分装置 - Google Patents

車両用左右駆動力配分装置

Info

Publication number
JPH11254990A
JPH11254990A JP10063669A JP6366998A JPH11254990A JP H11254990 A JPH11254990 A JP H11254990A JP 10063669 A JP10063669 A JP 10063669A JP 6366998 A JP6366998 A JP 6366998A JP H11254990 A JPH11254990 A JP H11254990A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
driving force
torque
clutch
hydraulic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10063669A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Kobayashi
利雄 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP10063669A priority Critical patent/JPH11254990A/ja
Publication of JPH11254990A publication Critical patent/JPH11254990A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/20Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices
    • F16H48/30Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using externally-actuatable means
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/36Differential gearings characterised by intentionally generating speed difference between outputs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/06Differential gearings with gears having orbital motion
    • F16H48/10Differential gearings with gears having orbital motion with orbital spur gears
    • F16H2048/106Differential gearings with gears having orbital motion with orbital spur gears characterised by two sun gears
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/36Differential gearings characterised by intentionally generating speed difference between outputs
    • F16H2048/366Differential gearings characterised by intentionally generating speed difference between outputs using additional non-orbital gears in combination with clutches or brakes
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/06Differential gearings with gears having orbital motion
    • F16H48/10Differential gearings with gears having orbital motion with orbital spur gears

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Retarders (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】左右方向の寸法をコンパクトに実現し、車載性
に優れ、部品点数、種類も少なく小型・軽量で、従来の
ものと互換性を有し、差動制限機能も備え、コスト上有
利で、バイパストルクの調整・設定も容易で制御精度が
高く耐久信頼性に優れる車両用左右駆動力配分装置を提
供する。 【解決手段】左右駆動力配分装置7(12)は、複合プ
ラネタリギヤ式の差動制限機構部44を備え、差動制限
機構部44のキャリヤ53に第1,第2の歯車61,6
2を固定し、右ドライブ軸17に第3,4の歯車63,
64を固定する。これら同一回転軸芯上の歯車と噛合す
る第5〜8の歯車66〜69を上記回転軸芯と平行な同
一回転軸芯上に配設し、各歯車列のギヤ比を0.9,
1.0,0.9,1.0に設定する。第5の歯車66と
第8の歯車69は第1の油圧多板クラッチ81で、第6
の歯車67と第7の歯車68は第2の油圧多板クラッチ
77で連結自在に構成する。そして油圧多板クラッチ8
1,77を連結制御し、駆動力を左右輪間で直接、配分
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の差動装置に
関し、詳しくは左右輪への駆動力配分比を可変に制御で
きる車両用左右駆動力配分装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、凹凸が大きい路面や、急な斜面を
横切るときや、スプリットμ路走行等での駆動力の確保
および走行安定性や運動性能を向上させるため、様々な
種類の差動制限装置が開発され実用化されている。さら
に、最近では、左右輪のトルク配分を積極的に制御し、
車両の旋回性を向上させる技術が提案されている。
【0003】例えば、特開平5−77653号公報(以
下「第1の先行例」という)には、リングギヤがディフ
ァレンシャルケースの内周に形成され、サンギヤが第2
の出力軸に取り付けられ、プラネタリギヤを軸支するキ
ャリヤが第1の出力軸に取り付けられて構成されるダブ
ルピニオン式の遊星歯車機構で形成された差動装置に、
左右の駆動力配分を制御する駆動力伝達制御機構を備え
たものが示されている。そして、上記駆動力伝達制御機
構は、左右の出力軸に付設されて左右の出力軸の回転速
度を変速する変速機構と、この変速機構によって変速さ
れて、左右の出力軸と異なる速度で回転するように接続
された駆動力伝達補助部材と、左右の駆動力配分を調整
する多板クラッチ機構を備えており、多板クラッチ機構
と差動機構を同一ケーシング内に配設している。また、
上記多板クラッチ機構はクラッチ部とピストン部から分
離構成され、クラッチ部がディファレンシャルケース内
に、ピストン部がケース外に配置されている。
【0004】また、特開平5−345535号公報(以
下「第2の先行例」という)には、ダブルピニオン式の
遊星歯車機構の差動機構であって、左右輪への駆動力伝
達制御機構を、左右輪への回転軸の間に介装し、この回
転軸のうち一方の回転軸の速度を増速して第1の中間軸
に出力する増速機構と、一方の回転軸を減速して第2の
中間軸に出力する減速機構とが一体化された増減速機構
と、第1および第2の伝達トルク容量可変手段とから構
成することが開示されている。そして、第1と第2の伝
達トルク容量可変手段は、互いに隣接して一体化されて
いる。また、上記伝達トルク容量可変手段は、電子制御
油圧式多板クラッチにより構成されている。
【0005】さらに、特開平1−182127号公報
(以下「第3の先行例」という)には、入力軸により回
転されるディファレンシャルケース内に固定したピニオ
ン軸に、一対のピニオン(ベベルギヤ)を対向させて回
転自在に設け、このピニオンに左右のサイドギヤ(ベベ
ルギヤ)を噛合させて差動装置を構成し、ディファレン
シャルケースと共に回転される中間軸の左輪側と右輪側
とにそれぞれ油圧多板クラッチを設け、左輪側出力軸と
中間軸および右輪側出力軸と中間軸をそれぞれの油圧多
板クラッチを介して連結し、車両の運動状態に応じて左
右輪のトルク伝達量を可変に制御することが開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の先行例においては、ハイポイド・リングギヤの内径
部に形成されたディファレンシャルケースに、両側から
油圧多板クラッチのドライブプレートとドリブンプレー
トを交互に重ね、その中央部にダブルピニオン式の差動
装置を設け、また、ディファレンシャルケースの外側に
左輪用と右輪用の出力軸と異なる速度で回転するように
駆動力伝達補助部材と、左右の駆動力配分を調整する多
板クラッチ機構とをシリーズに配置しているため、左右
輪方向の寸法が長大化する不都合がある。
【0007】そして、左右輪の出力軸が車輪方向に長大
化するため、等速ジョイントを両側にもつドライブ軸の
全長が短縮され、車体レイアウトから決まる車軸と出力
軸の位置の違い、サスペンションストロークに応じた上
下ストローク、車種の相違に応じた上下方向のズレ、車
両のリバウンド等の動的な変化などによりドライブ軸の
ジョイント角度(屈曲角)が大きくなり、ドライブ軸の
強度低下、伝達効率の低下を招き、また、ジョイント部
からの振動・騒音問題の原因になる虞がある。
【0008】また、ディファレンシャルケースの両側に
左右輪駆動力配分用の遊星歯車式の駆動力伝達補助部材
を配置するため、装置全体が大型化、構造が複雑化し、
構成部品点数が増加するなど製造コストや質量増加の観
点で好ましくない。
【0009】さらに、油圧多板クラッチのクラッチディ
スクの外径サイズに制約が生じ、このため、クラッチ・
トルク容量を増加させるには、クラッチ枚数を大幅に増
加する、或いは、油圧ピストンの受圧面積を増加する等
の手段をとる必要がある。従って、高出力車に採用する
場合は、トルク伝達容量を増加させる必要があることか
ら、装置全体が大型化、質量増加し、コスト増加などを
招き好ましくない。
【0010】また、左右方向の構造が左側遊星歯車と左
ピストン、ディファレンシャルケース内の差動歯車と油
圧多板クラッチ、右側の遊星歯車と右ピストンの3ブロ
ックに分離されてしまうため、潤滑バランスや潤滑方法
が難しいといった課題がある。
【0011】また、前記第2の先行例は、左右の出力軸
方向に、ダブルピニオン式差動装置、増速機構と減速機
構を得る3列ピニオンを一体とした複合遊星歯車、及
び、この複合遊星歯車の2つのサンギヤにそれぞれ動力
伝達可能に連結する2組の油圧多板クラッチが配設さ
れ、更に、2組油圧多板クラッチが隣接して一体化され
ている。従って、左右の出力軸方向に、差動装置、3列
ピニオンの複合遊星歯車式増減速機構、2組の油圧多板
クラッチ等をシリーズに構成するため、左右駆動力配分
装置の幅寸法が長大化し、上述の第1の先行例と同様の
課題がある。
【0012】また、バイパスする駆動力は、差動歯車の
左輪出力軸と右輪出力軸間に増・減速機構と油圧多板ク
ラッチを介して移動する方式であり、多板クラッチの伝
達トルク容量を有効に利用できる。しかしながら、ダブ
ルピニオン式の差動装置が、大径を有するリングギヤ、
大小ピニオン、サンギヤから構成されるため、ハイポイ
ドギヤのリングギヤ内径部に収納するのにスペース的な
制約から、ディファレンシャルケース(一方に差動歯車
の入力要素であるリングギヤを形成、他方に軸受支持部
材を形成)にハイポイド・リングギヤを3ピースでボル
ト締結している。このため、ハイポイド・リングギヤの
直下にある軸受で支持する構成となり、左右の軸受容量
のバランスが悪くなり耐久・信頼性、ギヤノイズ等の観
点で不利となる。
【0013】さらに、増速機構と減速機構を得る3列ピ
ニオンが必要なため、ピニオンの種類も増加し、歯車の
製造管理も複雑になる。
【0014】また、左右の出力軸方向に、ハイポイド・
リングギヤの両端の軸受、複合遊星歯車の入力サンギヤ
の軸受、3連ピニオンの支持部、2組の油圧多板クラッ
チの油圧ピストンが収納される油圧室の壁、両端の出力
軸を支持する軸受とオイルシール等の静止部材を設ける
必要があり、剛性の高い壁を少なくとも5つ形成しなけ
ればならない。このため、全体が複雑で、また、製造コ
スト、質量増加、潤滑バランス、旋回中のクラッチによ
る攪拌損失等の点で不利となる。加えて、差動装置全体
のケースの分割構成が複雑になり、潤滑油のシール面が
増加し、信頼性、製造コスト高、現行の生産部品との共
用性が乏しい等の課題がある。
【0015】前記第3の先行例は、駆動力を左右輪それ
ぞれの側に独立して設けた油圧多板クラッチを介して配
分する構成であり、中間軸の左右両側に油圧多板クラッ
チを設けなければならず、左右駆動力配分装置の車両左
右方向寸法が長大化し、部品点数が多くなり、上述した
ように長大化による課題がある。
【0016】本発明は、上記事情に鑑み、左右の出力軸
方向の寸法をコンパクトに実現し、左右輪とアクスル軸
間に配置される自在継手の交差角を小さくすることがで
き、サスペンションの構成部材や排気系部材との干渉や
整備時に隙間が確保できるなど車載性に優れ、構成部品
点数・種類も少なく小型・軽量で、従来の差動装置と装
着互換性を有し、製造コスト上有利であり、また、差動
制限機能も有し、バイパストルクの調整・設定も容易で
制御精度が高く左右輪間で有効に駆動力配分が行えて耐
久・信頼性に優れた車両用左右駆動力配分装置を提供す
ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明による車両用左右駆動力配分装
置は、駆動力の入力側に連設する第1のサンギヤを第1
のピニオンに噛合して第1の歯車列を形成し、左輪側と
右輪側のどちらか一方の出力側に連設する第2のサンギ
ヤを上記第1のピニオンと一体の第2のピニオンに噛合
して第2の歯車列を形成し、上記第1,第2のピニオン
を他方の出力側のキャリヤで軸支して、上記第1の歯車
列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷
重を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて
得る摩擦力により、左右輪間において入力トルクに比例
した差動制限トルクを発生する差動制限機構部を備え、
上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに、第
1の回転部材に対し第1の回転速度を発生させる第1の
歯車と、第2の回転部材に対し上記第1の回転速度とは
異なる第2の回転速度を発生させる第2の歯車とを設
け、他の出力側に第3の回転部材に対し上記第1の回転
速度を発生させる第3の歯車と、第4の回転部材に対し
上記第2の回転速度を発生させる第4の歯車とを設け、
上記第1ないし第4の回転部材を上記両出力側の回転軸
芯と平行な同一回転軸芯上に配設すると共に、上記第1
の回転部材と上記第4の回転部材との間の伝達容量を可
変とする第1のクラッチと、上記第2の回転部材と上記
第3の回転部材との間の伝達容量を可変とする第2のク
ラッチを上記各回転部材の回転軸芯上に配設したことを
特徴とする。
【0018】上記請求項1記載の車両用左右駆動力配分
装置は、まず、駆動力は差動制限機構部に入力して、左
輪側と右輪側のどちらか一方の出力側と他方の出力側と
に動力配分され、例えば上記一方の出力側を左輪側、上
記他方の出力側を右輪側として、左右輪に動力配分して
走行する。そして、左輪と右輪が接地する路面の摩擦係
数が左右で大きく異なるような場合で、左輪と右輪とが
差動回転する際、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列
のギヤ噛合い点に作用する分離荷重を上記第1,第2の
ピニオンの軸支部分に作用して生じる摩擦力が入力トル
クに比例して大きくなる。この摩擦力により、上記第
1,第2のピニオンの回転と反対方向に差動制限トルク
が発生する。この差動制限トルクは、左輪がスリップす
る場合は右輪側に、右輪の回転数が大きい場合は左輪側
に、それぞれ移動しスリップを防止するようにトルク配
分される。さらに、例えば、左輪出力側に第1の歯車と
第2の歯車とを設け、右輪出力側に第3の歯車と第4の
歯車とを設けた場合は、上記左輪出力側の回転により第
1,第2の歯車が回転し、第1の回転部材が第1の回転
速度で回転されると共に、第2の回転部材が第2の回転
速度で回転される。また、上記右輪出力側の回転により
第3,第4の歯車が回転し、第3の回転部材が上記第1
の回転速度で回転されると共に、第4の回転部材が上記
第2の回転速度で回転される。ここで、上記第1の回転
速度が上記第2の回転速度を基準として大きく設定され
ているとすると、左旋回する等の際は、第1の回転部材
と第4の回転部材とを第1のクラッチにより伝達容量可
変に連結することで駆動力を右輪側に多く配分し、右旋
回する等の際は、第2の回転部材と第3の回転部材とを
第2のクラッチにより伝達容量可変に連結することで駆
動力を左側に多く配分することが可能となり、旋回性能
が向上する。上記第1ないし第4回転部材は上記両出力
側の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に配設されてお
り、また、両クラッチは上記各回転部材の回転軸芯上に
配設されている。このため、車両用左右駆動力配分装置
は、左右方向に短くコンパクト構成される。
【0019】また、請求項2記載の発明による車両用左
右駆動力配分装置は、上記請求項1記載の車両用左右駆
動力配分装置において、上記差動制限装置は、上記第1
の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する
スラスト荷重の差を上記第1,第2のピニオンの一方の
端面に作用させて得る摩擦力と、上記第1の歯車列と上
記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重と接
線荷重の合成力を上記第1,第2のピニオンの軸支部分
に作用させて得る摩擦力とにより、左右輪間において入
力トルクに比例した差動制限トルクを発生して、左右輪
のスリップ等が防止される。
【0020】さらに、請求項3記載の発明による車両用
左右駆動力配分装置は、上記請求項1又は請求項2記載
の車両用左右駆動力配分装置において、上記各クラッチ
を、油圧多板クラッチ、電磁クラッチ、及び、伝達容量
可変型カップリングの少なくとも一つから構成し、クラ
ッチ機能を得る。
【0021】また、請求項4記載の発明による車両用左
右駆動力配分装置は、上記請求項1ないし請求項3記載
の車両用左右駆動力配分装置において、上記各クラッチ
の伝達容量を、車両の走行状態と路面状況に応じて可変
に設定することで、車両の走行状態と路面状況に応じ最
適な左右駆動力配分を行う。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図11は本発明の実施の第
1形態を示し、図1は4WD車の全体の概略構成を示す
説明図、図2は後輪左右駆動力配分装置の拡大断面図、
図3はセンターディファレンシャル装置の差動機能説明
のための各部の概略図、図4は第1のサンギヤを固定し
た際の動作説明図、図5は第2のサンギヤを固定した際
の動作説明図、図6はセンターディファレンシャル装置
の動力分配機能、差動制限機能説明のための各部の概略
図、図7は各ギヤにより生じる荷重の説明図、図8は後
輪側回転数よりも前輪側回転数の方が大きい場合の説明
図、図9は後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が小さ
い場合の説明図、図10は左右駆動力配分の油圧制御装
置の構成説明図、図11は左右駆動力配分制御装置の機
能構成を示すブロック図である。尚、本実施の形態にお
いては、4WD(4輪駆動)車の前後輪に左右駆動力配
分装置を設けると共に、センターディファレンシャル装
置は複合プラネタリギヤ式で構成している。
【0023】図1において、符号1は車両前部に配置さ
れたエンジンを示し、エンジン1からの駆動力が、エン
ジン1後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含ん
で図示)2,トランスミッション出力軸2aを経てセン
ターディファレンシャル装置3に伝達され、このセンタ
ーディファレンシャル装置3から、リヤドライブ軸4,
プロペラシャフト5,ドライブピニオン6を介して終減
速装置を構成する後輪左右駆動力配分装置7に入力され
る一方、トランスファドライブギヤ8,トランスファド
リブンギヤ9,このトランスファドリブンギヤ9と共に
フロントドライブ軸10に設けたドライブピニオン11
を介して前輪左右駆動力配分装置12に入力されるよう
に構成されている。ここで、上記自動変速装置2,セン
ターディファレンシャル装置3,前輪左右駆動力配分装
置12等は、一体的にケース13内に設けられている。
【0024】上記後輪左右駆動力配分装置7に入力され
た駆動力は、左ドライブ軸14,左アクスル軸15を経
て左後輪16に、右ドライブ軸17,右アクスル軸18
を経て右後輪19に伝達されるようになっている。
【0025】また、上記前輪左右駆動力配分装置12に
入力された駆動力は、左ドライブ軸20を経て左前輪2
1に、また、右ドライブ軸22を経て右前輪23に伝達
されるようになっている。
【0026】上記エンジン1のインテークマニホールド
24に連通するスロットルボディー25にはスロットル
バルブ(図示せず)の開度(スロットル開度)を検出す
るスロットル開度センサ26が設けられ、上記ケース1
3には後輪出力軸回転数を車速として検出するための車
速センサ27が設けられている。
【0027】また、ステアリングホイール28のステア
リングコラムには操舵角θを検出する舵角センサ29が
設けられ、さらに、車両の前後方向の加速度を検出する
前後加速度センサ30、左右方向の加速度を検出する横
加速度センサ31が設けられている。
【0028】上記各センサは、車両の走行状態および路
面状況に応じ前後の左右輪の駆動力配分を制御するマイ
クロコンピュータ等からなる左右駆動力配分制御装置3
2に接続されている。また、TCU(トランスミッショ
ンコントロールユニット)あるいはECU(エンジンコ
ントロールユニット)等のコントロールユニット33か
ら自動変速装置2の変速位置(シフト位置)を表わすレ
ンジ情報が上記左右駆動力配分制御装置32に入力する
ようになっている。
【0029】上記左右駆動力配分制御装置32は、各入
力信号に基づき車両の走行状態と路面状況を判定し、上
記後輪左右駆動力配分装置7による最適な左右輪の駆動
力配分量を求め後輪側の油圧制御装置34に対し信号出
力する一方、上記前輪左右駆動力配分装置12による最
適な左右輪の駆動力配分量を求め前輪側の油圧制御装置
35に対し信号出力する。
【0030】上記後輪側油圧制御装置34と前輪側油圧
制御装置35は略同様の構造で、それぞれ上記左右駆動
力配分制御装置32からの信号を受け、後輪側油圧制御
装置34は上記後輪左右駆動力配分装置7に対して一対
の油圧管路36を通じて油圧を加えるように構成され、
前輪側油圧制御装置35は上記前輪左右駆動力配分装置
12に対して一対の油圧管路37を通じて油圧を加える
ように構成されている。
【0031】上記センターディファレンシャル装置3
は、上記ケース13内後方に設けられており、回転自在
に収納したキャリヤ38の前方から上記トランスミッシ
ョン出力軸2aが回転自在に挿入される一方、後方から
は上記リヤドライブ軸4が回転自在に挿入されている。
【0032】入力側の上記トランスミッション出力軸2
aの後端部には、大径の第1のサンギヤ39が形成さ
れ、後輪への出力を行う上記リヤドライブ軸4の前端部
には、小径の第2のサンギヤ40が形成されており、上
記キャリヤ38内に上記第1のサンギヤ39と上記第2
のサンギヤ40が格納されている。
【0033】そして、上記第1のサンギヤ39が小径の
第1のピニオン41と噛合して第1の歯車列が形成さ
れ、上記第2のサンギヤ40が大径の第2のピニオン4
2と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0034】上記第1のピニオン41と第2のピニオン
42は一体に形成されており、複数対(例えば3対)の
上記ピニオンが、上記キャリヤ38に固定したそれぞれ
のプラネタリピン43に回転自在に軸支されている。
【0035】また、上記キャリヤ38は、前端に上記ト
ランスファドライブギヤ8が連結されて、このキャリヤ
38から前輪への出力を行うように構成されている。
【0036】すなわち、センターディファレンシャル装
置3は、上記トランスミッション出力軸2aからの駆動
力が第1のサンギヤ39に伝達され、上記第2のサンギ
ヤ40から上記リヤドライブ軸4へ出力すると共に、上
記キャリヤ38から上記トランスファドライブギヤ8,
トランスファドリブンギヤ9を経て上記フロントドライ
ブ軸10へ出力するリングギヤの無い複合プラネタリギ
ヤ式に構成されている。
【0037】そしてかかる複合プラネタリギヤ式センタ
ーディファレンシャル装置3は、上記第1,第2のサン
ギヤ39,40およびこれらサンギヤ39,40の周囲
に複数個配置される上記第1,第2のピニオン41,4
2の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0038】また、上記第1,第2のサンギヤ39,4
0と上記第1,第2のピニオン41,42との噛み合い
ピッチ円半径を適宜設定することで、基準トルク配分が
前後50:50の等トルク配分、或いは、前後どちらか
に偏重した不等トルク配分が可能となる。
【0039】更に、上記第1,第2のサンギヤ39,4
0と上記第1,第2のピニオン41,42とを、例え
ば、斜歯歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車
列の捩れ角を異にして、スラスト荷重を相殺させること
なくスラスト荷重を残留させてピニオン端面間に摩擦ト
ルクを生じさせ、又、上記第1,第2のピニオン41,
42と上記プラネタリピン43の表面に噛合いによる分
離,接線荷重の合成力が作用して摩擦トルクが生じるよ
うに設定し、入力トルクに比例した差動制限トルクを得
ることで差動制限機能を与える。
【0040】次に、図3、図4、図5の各図を基に、上
記センターディファレンシャル装置3の差動機能につい
て説明する。まず、図4に示すように、第1のサンギヤ
39を固定すると、半径rs2 の円周上で、 (円弧KF)=(円弧CF)−(円弧CK) …(1) が成立し、図5に示すように、第2のサンギヤ40を固
定すると、半径rs1 の円周上で、 (円弧ZF)=(円弧BF)−(円弧BZ) …(2) が成立する。
【0041】ここで、第1,第2のサンギヤ39,40
の角速度をωs1 ,ωs2 、噛み合いピッチ円半径をr
s1 ,rs2 、第1,第2のピニオン41,42の角速
度をωp1 ,ωp2 、噛み合いピッチ円半径をrp1 ,
rp2 、キャリヤ38の角速度をωcとすると、(1)
式は、 ωs2 ・rs2 =−ωp2 ・rp2 +ωc・rs2 …(3) になり、(2)式は、 ωs1 ・rs1 =−ωp1 ・rp1 +ωc・rs1 …(4) になる。
【0042】そこで、第1,第2のピニオン41,42
は一体であってωp1 =ωp2 であるから、上記
(3),(4)式を整理すると、 ωc・(rs2 −rs1 ・rp2 /rp1 ) =ωs2 ・rs2 −ωs1 ・rs1 ・rp2 /rp1 …(5) が成立する。
【0043】ここで、図3に示すように、第1のサンギ
ヤ39の角速度ωs1 をトランスミッション出力軸2a
による入力回転数Ni、キャリヤ38の角速度ωcを前
輪側回転数NF、第2のサンギヤ40の角速度ωs2 を
リヤドライブ軸4の後輪側回転数NB、第1,第2のサ
ンギヤ39,40の噛み合いピッチ円半径rs1 ,rs
2 および第1,第2のピニオン41,42の噛み合いピ
ッチ円半径rp1 ,rp2 を各歯数Zs1 ,Zs2 ,Z
p1 ,Zp2 に置き換えると、上記(5)式は、
NF・(Zs2 −Zs1 ・Zp2 /Zp1 ) =NB・Zs2 −Ni・Zs1 ・Zp2 /Zp1 …(5)′ となる。
【0044】そして、上記各歯数を、Zp1 =24,Z
p2 =24,Zs1 =30,Zs2=15とすれば、N
B+NF=2Niの関係となり、Ni≠0の場合に、N
B>Ni>NF,またはNF>Ni>NBが成立して、
前輪側回転数NF,後輪側回転数NBは共に回転方向が
同一で差動が成立する。
【0045】次いで、図6及び図7を基に、センターデ
ィファレンシャル装置3の等トルク配分機能について説
明する。図6に示すように、トランスミッション出力軸
2aからの第1のサンギヤ39の入力トルクをTi、そ
の噛み合いピッチ円半径をrs1、キャリヤ38の前輪
側トルクをTF、第1,第2のピニオン41,42の噛
み合いピッチ円半径をrp1 ,rp2 、第2のサンギヤ
40によるリヤドライブ軸4への後輪側トルクをTB、
その噛み合いピッチ円半径をrs2 とすると、 Ti=TF+TB …(6) rs1 +rp1 =rs2 +rp2 …(7) が成立する。
【0046】また、図7に示すように、第1のサンギヤ
39と第1のピニオン41との噛合点に作用する接線方
向荷重Pは、キャリヤ38に作用する接線方向荷重P1
と、第2のサンギヤ40と第2のピニオン42との噛合
点に作用する接線方向荷重P2 との和に等しい。ここ
で、各接線方向荷重P,P1 ,P2 は、それぞれ下式に
より表わされる。 P=Ti/rs1 P1 =TF/(rs1 +rp1 ) P2 =TB/rs2
【0047】そして、P=P1 +P2 により、次式の関
係が成り立つ。 Ti/rs1 ={(TF/(rs1 +rp1 )}+TB/rs2 …(8) 上記(6),(7)式を上記(8)式に代入して整理す
ると、 TF=(1−rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 )・Ti …(9) TB=(rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 )・Ti …(10) となる。このことから、第1,第2のサンギヤ39,4
0と第1,第2のピニオン41,42との噛み合いピッ
チ円半径により、前輪側トルクTFおよび後輪側トルク
TBの基準トルク配分を自由に設定し得ることがわか
る。
【0048】そして、上記各噛み合いピッチ円半径rs
1 ,rs2 ,rp1 ,rp2 を各歯車の歯数Zs1 ,Z
s2 ,Zp1 ,Zp2 で置き換え、これら各歯数に前記
各歯数を代入する(Zp1 =24,Zp2 =24,Zs
1 =30,Zs2 =15)と、 TF=0.5・Ti TB=0.5・Ti になる。従って、前後輪トルク配分は、略50対50に
なり、充分に基準トルク配分を等トルク配分に設定し得
る。
【0049】更に、差動制限機能について説明すると、
上記第1,第2のサンギヤ39,40および上記第1,
第2のピニオン41,42が所定の捩れ角を有する斜歯
歯車になっており、上記第1,第2のピニオン41,4
2の捩れ角を異にして、上記第1,第2のサンギヤ3
9,40との噛合い点に作用するスラスト荷重を相互に
キャンセルすること無く上記プラネタリピン43方向に
作用させることで、その両端面の部分で滑り摩擦力が発
生する。さらに、第1の歯車列,第2の歯車列の噛合い
点に作用する分離荷重と接線荷重との合成力を上記第
1,第2のピニオン41,42,プラネタリピン43の
部分に作用させて、ころがり摩擦力が発生する。そし
て、これらの摩擦力によりピニオン回転に対し反対方向
の、入力トルクに比例した摩擦トルク,即ち差動制限ト
ルクが生じる。
【0050】ここで、前輪側回転数NFと後輪側回転数
NBとの大小関係によりピニオン回転方向が変化し、こ
れに伴い差動制限トルクの掛かり具合も変わる。これに
より、NF>NBの旋回,前輪側スリップ時と、NF<
NBの後輪側スリップ時には、差動制限トルクの作用の
違いに応じて前後輪の動力配分が異なったものに自動的
に制御されるのである。
【0051】そこで、図6,図7,図8を基にNF>N
Bの場合について説明する。この条件では、図8に示す
ように第1のサンギヤ39の反時計方向に入力トルクT
iが入力した場合に、第1,第2のピニオン41,42
が同一方向に自転し、第2のサンギヤ40とキャリヤ3
8も同一方向に回転する。従って、ピニオン側の摩擦ト
ルクTfは、ピニオンと反対の時計方向に作用する。
【0052】ここで、各部のトルク,半径を上述と同一
に定める。また、第1の歯車列の第1のサンギヤ39と
第1のピニオン41の歯面に作用する接線荷重をP,分
離荷重をFs1 ,スラスト荷重をFt1 、第2の歯車列
の第2のサンギヤ40と第2のピニオン42の歯面に作
用する接線荷重をP2 ,分離荷重をFs2 ,スラスト荷
重をFt2 とする(図7参照)。
【0053】また、上記プラネタリピン43の側面との
間の摩擦係数をμ1 ,上記プラネタリピン43の両端面
側の部分での滑り摩擦係数をμ2,摩擦トルクをTf,
ピニオン内側半径をreとし(図6、図8参照)、上記
摩擦係数μ2を有して摩擦を生じる面の外側半径をr
d、接触面の数をn、第1のピニオン41のモジュール
をm1 ,捩れ角をβ1 ,圧力角をα1 とし、第2のピニ
オン42のモジュールをm2 ,捩れ角をβ2 ,圧力角を
α2 とする。
【0054】すると、 Fs1 =P・tanα1 /cosβ1 Ft1 =P・tanβ1 が成立して、プラネタリピン43側に作用する合成力N
p1 は以下のようになる。 Np1 =(P2 +Fs121/2 =P{1+(tanα1 /cosβ1 )21/2 …(11)
【0055】同様にして、 Fs2 =P2 ・tanα2 /cosβ2 Ft2 =P2 ・tanβ2 が成立して、プラネタリンピン43側に作用する合成力
Np2 は以下のようになる。 Np2 =(P22+Fs221/2 =P2 {1+(tanα2 /cosβ2 )21/2 …(12)
【0056】また、第1,第2のピニオン41,42内
に生じる残留スラスト力ΔFtは以下のようになる。 ΔFt=Ft2 −Ft1 =P2 ・tanβ2 −P・tanβ1 …(13)
【0057】従って摩擦トルクTfは、2つの合成力N
p1 ,Np2 による摩擦力、残留スラスト力ΔFtによ
る摩擦力との和で、以下のようになる。 Tf=μ1 ・re・(Np1 +Np2 ) +ΔFt・μ2 ・n・2/3・{(rd3 −re3 )/(rd2 −re2 )} …(14)
【0058】次いで、第1,第2のピニオン41,42
でのトルクのバランス式は、以下のようになる。 Tf+P・rp1 =P2 ・rp2 …(15)
【0059】また、上記(10)式に摩擦トルクTf分
を加えると、以下のようになる。 TB=Ti(rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 ) +Tf・rs2 /rp2 …(16)
【0060】ここで、前述のように、上記各噛み合いピ
ッチ円半径rs1 ,rs2 ,rp1,rp2 を各歯車の
歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,Zp2 で置き換え、これ
ら各歯数に前記各歯数を代入する(Zp1 =24,Zp
2 =24,Zs1 =30,Zs2 =15)と、上記(1
6)式は、 TB=0.5Ti+0.625Tf …(17) となる。
【0061】また、Ti=TF+TBであり、これに上
記(16)式を代入して整理すると、以下のようにな
る。 TF=Ti(1−rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 ) −Ti・rs2 /rp2 …(18)
【0062】さらに、各歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,
Zp2 で置き換え、これら各歯数に前記各歯数を代入す
ると、上記(18)式は、 TF=0.5Ti−0.625Tf …(19) となる。ここで、μ1 =0,μ2 =0なら、Tf=0で
あり、前後輪側トルクTF,TBの値は、上述の等トル
ク配分機能の場合の式と同一の基準トルク配分を示す。
【0063】こうして、かかる条件では、摩擦トルクT
fに応じた差動制限トルクTf・rs2 /rp2 が発生
することが解る。そして、前後輪側トルクTF,TBの
配分が、差動制限トルクの分だけ、後輪側が大きく、前
輪側が小さくなるように変化する。また、摩擦トルクT
fが生じる合成力Np1 ,Np2 ,残留スラスト力ΔF
tは入力トルクに比例するため、入力トルク比例式差動
制限機能を有する。
【0064】一方、第1,第2のピニオン41,42の
捩れ角β1 とβ2 との差により残留スラスト力ΔFtが
変えられ、また、上記プラネタリピン43の接触摩擦部
分にニードルベアリングやブッシュ等を用いることによ
り、摩擦係数μ1 を変えることができる。このように、
摩擦トルクTfと共に差動制限トルクの値を様々な値に
定めることが可能になっている。
【0065】続いて、NB>NFの場合について説明す
る。この条件では、図9のようになり、第1,第2のピ
ニオン41,42が第1のサンギヤ39と反対の時計方
向に自転しながら公転して、摩擦トルクTfは反時計方
向に作用する。このため、第1,第2のピニオン41,
42内のトルクのバランス式は以下のようになる。 Tf+P2 ・rs2 =P・rp1 …(20)
【0066】そして上述と同様に計算すると、前後輪側
トルクTF,TBは以下のようになる。 TF=Ti(1−rp1 ・rs2 /rs1 ・rs2 ) +Tf・rs2 /rp2 …(21) TF=0.5Ti+0.625Tf …(22) TB=Ti(rp1 ・rs2 /rs1 ・rs2 ) −Tf・rs2 /rp2 …(23) TB=0.5Ti−0.625Tf …(24) 従って、この条件でも同一の差動制限トルク、Tf・r
s2 /rp2 が発生する。一方、この場合は上述と逆に
差動制限トルク分だけ後輪側が小さく、前輪側が大きく
なるようにトルク配分されことになる。
【0067】次に、前記後輪左右駆動力配分装置7につ
いて、図2を基に詳しく説明する。上記後輪左右駆動力
配分装置7は、大きく分けて差動制限機構部44と、歯
車機構部45と、クラッチ機構部46とから主に構成さ
れている。そして、この後輪左右駆動力配分装置7に駆
動力を伝達する前記ドライブピニオン6と上記差動制限
機構部44は、ディファレンシャルキャリア47内に収
容され、上記クラッチ機構部46は上記歯車機構部45
を介して上記ディファレンシャルキャリア47側面に配
設され、このディファレンシャルキャリア47の後端部
はカバー48で覆われ、上記歯車機構部45と上記クラ
ッチ機構部46はカバー49で覆われている。
【0068】上記ドライブピニオン6は、前記プロペラ
シャフト5に接続する軸部6aが、上記ディファレンシ
ャルキャリア47内に軸受で回転自在に支持されてい
る。
【0069】先ず、上記差動制限機構部44について説
明する。前記左ドライブ軸14は、上記ディファレンシ
ャルキャリヤ47に取り付けられた左側サイドリテーナ
50を貫通して回転自在に設けられている。そして、こ
の左ドライブ軸14と同軸上に、前記右ドライブ軸17
が上記ディファレンシャルキャリヤ47の右側を貫通し
て回転自在に設けられている。
【0070】上記左ドライブ軸14の外周には、左側デ
ィファレンシャルケース51Lが回転自在に嵌合され、
上記左ドライブ軸14と上記左側ディファレンシャルケ
ース51Lが、上記左側サイドリテーナ50に軸受を介
して回転自在に支持されている。
【0071】上記左側ディファレンシャルケース51L
には、右側ディファレンシャルケース51Rの一端部
(左側端部)と、上記ドライブピニオン6と噛合される
クラウンギヤ52が共に回転中心の芯合わせがなされ固
定されている。そして、上記右側ディファレンシャルケ
ース51Rの他端部は、キャリヤ53の右側面に形成し
た筒部53aの外周に回転自在に嵌合され、軸受を介し
て上記ディファレンシャルキャリア47に支持されてい
る。
【0072】また、一方の出力側を構成する上記キャリ
ヤ53の筒部53aの内側に、上記歯車機構部45にお
ける第1の歯車軸54がスプライン嵌合により固設さ
れ、さらに、この第1の歯車軸54の内側に上記右ドラ
イブ軸17が回転自在に嵌合されている。
【0073】すなわち、上記右側ディファレンシャルケ
ース51Rと、上記キャリヤ53と上記第1の歯車軸5
4との接続部と、上記右ドライブ軸17とは、それぞれ
が回転自在に上記ディファレンシャルキャリア47に支
持される。また、上記左側ディファレンシャルケース5
1Lと上記右側ディファレンシャルケース51Rとで構
成され、上記クラウンギヤ52が取り付けられた入力側
を構成するディファレンシャルケース51が、上記ディ
ファレンシャルキャリア47内で回転自在に保持されて
いる。
【0074】上記ディファレンシャルケース51内に
は、上記キャリヤ53が回転自在に配設されて、上記キ
ャリヤ53内には上記左ドライブ軸14と上記右ドライ
ブ軸17が挿入されて、上記キャリヤ53が上記左ドラ
イブ軸14の先端部にスプライン結合されている。
【0075】上記ディファレンシャルケース51内で、
上記左側ディファレンシャルケース51Lの上記左ドラ
イブ軸14が挿通される部分には、大径の第1のサンギ
ヤ55がスプライン結合され、上記右ドライブ軸17の
先端部には小径の第2のサンギヤ56がスプライン結合
され、上記第1のサンギヤ55が小径の第1のピニオン
57と噛合して第1の歯車列が形成され、上記第2のサ
ンギヤ56が大径の第2のピニオン58と噛合して第2
の歯車列が形成されている。
【0076】上記第1のピニオン57と上記第2のピニ
オン58はピニオン部材59に一体に形成されており、
複数(例えば3個)の上記ピニオン部材59が、キャリ
ヤ53に固定したそれぞれのプラネタリピン60に軸受
を介して回転自在に軸支されている。上記ピニオン部材
59の両端には上記キャリア53との間にスラスト荷重
受け用のワッシャが介装されている。
【0077】すなわち、上記差動制限機構部44は、上
記ドライブピニオン6からの駆動力を、クラウンギヤ5
2,ディファレンシャルケース51を介して第1のサン
ギヤ55に伝達し、上記第2のサンギヤ56から上記右
ドライブ軸17へ出力する一方、上記キャリヤ53から
上記左ドライブ軸14へ出力するリングギヤの無い複合
プラネタリギヤ式の差動制限装置で構成されている。
【0078】上記差動制限機構部44が形成する上記複
合プラネタリギヤ式の差動制限装置では、上記第1,第
2のサンギヤ55,56およびこれらサンギヤ55,5
6の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン
57,58の歯数を適切に設定することで差動機能を有
する。
【0079】また、上記第1,第2のサンギヤ55,5
6と上記第1,第2のピニオン57,58との噛み合い
ピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分
を左右50:50の等トルク配分とすることが可能とな
る。
【0080】更に、上記第1,第2のサンギヤ55,5
6と上記第1,第2のピニオン57,58とを、例え
ば、斜歯歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車
列の捩れ角を異にして、スラスト荷重を相殺させること
なくスラスト荷重を残留させてピニオン端面間に摩擦ト
ルクを生じさせ、又、上記第1,第2のピニオン57,
58と上記プラネタリピン60の表面に噛合いによる分
離,接線荷重の合成力が作用して摩擦トルクが生じるよ
うに設定し、入力トルクに比例した差動制限トルクを得
ることで差動制限機能を与える。
【0081】尚、上記差動制限機構部44が形成する上
記複合プラネタリギヤ式の差動制限装置のさらに詳しい
説明は、前記センターディファレンシャル装置3での説
明と略同様であるので省略する。
【0082】次に、歯車機構部45及びクラッチ機構部
46について説明する。前記第1の歯車軸54はディフ
ァレンシャルキャリア47の外側に延出されて軸受を介
して該ディファレンシャルキャリア47に回転自在に支
持され、上記キャリヤ53との接続部とは逆の端部に、
第2の歯車62の大きさ(歯数)を基準として大径(歯
数の多い)の第1の歯車61(歯数z1)と、その外側
(右側)に上記第2の歯車62(歯数z2)とが並設さ
れている。
【0083】また、上記第2の歯車62の外側(右側)
には、上記第1の歯車61と同様の大きさ(歯数)の第
3の歯車63(歯数z3;=z1)と、その外側(右
側)に上記第2の歯車62と同様の大きさ(歯数)の第
4の歯車64(歯数z4;=z2)とが並設され、上記
第3の歯車63と上記第4の歯車64は共に第2の歯車
軸65に形成されて、この第2の歯車軸65は他方の出
力側を構成する上記右ドライブ軸17にスプライン嵌合
により固設されている。
【0084】そして、上記各第1,2,3,4の歯車6
1,62,63,64は、それぞれ、これら歯車61〜
64の回転軸芯に対し、車両前方向側に平行な同一回転
軸芯上に並設された第5,6,7,8の歯車66,6
7,68,69と噛合されている。
【0085】すなわち、歯車機構部45は、上記第1の
歯車61と上記第5の歯車66による第1の歯車列と、
上記第2の歯車62と上記第6の歯車67による第2の
歯車列と、上記第3の歯車63と上記第7の歯車68に
よる第3の歯車列と、上記第4の歯車64と第8の歯車
69による第4の歯車列の4つの歯車列から構成されて
いる。
【0086】そして、各歯車列のギヤ比は、例えば、上
記第5,6,7,8の歯車66,67,68,69の歯
数をそれぞれz5,z6,z7,z8として、第1の歯
車列は、z5/z1=0.9、第2の歯車列は、z6/
z2=1.0、第3の歯車列は、z7/z3=0.9、
第4の歯車列は、z8/z4=1.0に設定されてい
る。そして、左右輪間に差動が無い条件で、上記第1の
歯車61は上記第5の歯車66に対し第1の回転速度を
発生させ、上記第2の歯車62は上記第6の歯車67に
対し上記第1の回転速度より小さい第2の回転速度(基
準回転速度)を発生させる。同様に、上記第3の歯車6
3は上記第7の歯車68に対し上記第1の回転速度を発
生させ、上記第4の歯車64は上記第8の歯車69に対
し上記第2の回転速度(基準回転速度)を発生させるよ
うになっている。
【0087】そして、第3の歯車軸70の一端側に上記
第5の歯車66が一体に形成されており、この記第3の
歯車軸70の一端部が軸受を介して上記ディファレンシ
ャルキャリア47の外側に、他端部が上記カバー49に
回転自在に支持されて第1の回転部材を構成している。
また、上記第3の歯車軸70の他端側には、第1のクラ
ッチハブ71がスプライン嵌合されている。
【0088】さらに、第4の歯車軸72の一端側に上記
第6の歯車67が一体に形成されて第2の回転部材を構
成し、この第4の歯車軸72は上記第3の歯車軸70の
外周に沿って上記第1のクラッチハブ71側面まで延出
して設けられ、端部に第2のクラッチハブ73がスプラ
イン嵌合されて、上記第1のクラッチハブ71との間に
ベアリングが介装されている。
【0089】また、第5の歯車軸74の一端側に上記第
7の歯車68が一体に形成されて第3の回転部材を構成
し、この第5の歯車軸74は、上記第4の歯車軸72の
外周に沿って上記第2のクラッチハブ73の側面近傍ま
で延出して設けられ、端部に上記第2のクラッチハブ7
3と上記ディファレンシャルキャリア47側に形成する
ピストン機構部(後述する第2のピストン84等で形成
される)を覆うように第2のクラッチドラム75が固設
されている。そして、上記第2のクラッチハブ73と上
記第2のクラッチドラム75の間に複数のプレート76
を交互に重ねて設け第2の油圧多板クラッチ77が形成
されている。
【0090】さらに、第6の歯車軸78の一端側に上記
第8の歯車が一体に形成されて第4の回転部材を構成
し、この第6の歯車軸78は、上記第5の歯車軸74の
外周に沿って上記第2のクラッチドラム75の底部近傍
まで延出して設けられ、端部に上記第2の油圧多板クラ
ッチ77と上記第1のクラッチハブ71とこの第1のク
ラッチハブ71の外側に形成するピストン機構部(後述
する第1のピストン82等で形成される)を覆うように
第1のクラッチドラム79が固設されている。そして、
上記第1のクラッチハブ71と上記第1のクラッチドラ
ム79の間に複数のプレート80を交互に重ねて設け第
1の油圧多板クラッチ81が形成されている。また、上
記第1のクラッチドラム79の底部は、上記カバー49
に回転自在に支持されている。
【0091】上記第1の油圧多板クラッチ81は、上記
第1のクラッチドラム79の底部に挿通された第1のピ
ストン82により押圧自在になっており、この第1のピ
ストン82を動作させる第1の油圧室83は前記油圧管
路36の第1の油圧管路36aと連通されている(図1
参照)。そして、上記第1のピストン82を動作させる
ために、上記第1の油圧室83に供給される油圧は、後
輪側油圧制御装置34により与えられ、前記左右駆動力
配分制御装置32により車両の走行状態、路面状況に応
じ制御される。尚、上記第1の油圧管路36aは、上記
カバー49、第1のクラッチドラム79の底部にかけて
形成されるため、これらカバー49、第1のクラッチド
ラム79の底部の間は、オイルシールによりシールされ
ている。
【0092】同様に、上記第2の油圧多板クラッチ77
は、上記第2のクラッチドラム75の底部に挿通された
第2のピストン84により押圧自在になっており、この
第2のピストン84を動作させる第2の油圧室85は前
記油圧管路36の第2の油圧管路36bと連通されてい
る。そして、上記第2のピストン84を動作させるため
に、上記第2の油圧室85に供給される油圧は、同様
に、後輪側油圧制御装置34により与えられ、前記左右
駆動力配分制御装置32により車両の走行状態、路面状
況に応じ制御される。尚、上記第2の油圧管路36b
は、上記第3の歯車軸70,第4の歯車軸72,第5の
歯車軸74,第2のクラッチドラム75にかけて形成さ
れるため、互いに回転自在に設けられた上記第3の歯車
軸70と上記第4の歯車軸72との間、上記第4の歯車
軸72と上記第5の歯車軸74との間は、オイルシール
によってシールされている。
【0093】すなわち、上記クラッチ機構部46は、上
記第1の油圧多板クラッチ81と上記第2の油圧多板ク
ラッチ77との2組のクラッチ機構を、上記各回転部材
の回転軸芯上に配設して構成される。
【0094】そして、前述のように上記歯車機構部45
のギヤ比等が設定されていることから、上記第1の油圧
多板クラッチ81を連結させると右ドライブ軸17に駆
動力が多く配分され、上記第2の油圧多板クラッチ77
を連結させると左ドライブ軸14に駆動力が多く配分さ
れる。ここで、上記各油圧多板クラッチ81,77を連
結させるための油圧値は上記左右駆動力配分制御装置3
2によって演算された値であり、この油圧値の大小によ
ってトルク配分量が変化されるのである。
【0095】次に、上記歯車機構部45及び上記クラッ
チ機構部46による駆動力配分について説明する。ま
ず、右ドライブ軸17に駆動力を多く配分して左旋回性
能を向上させるには、第1の油圧多板クラッチ81を動
力伝達可能に接続し、第2の油圧多板クラッチ77を解
放する、ここで、第1の油圧多板クラッチ81に関し、
上記第1の油圧室83に作用する油圧、摩擦面の動摩擦
係数(摩擦面の相対回転速度で決まる動摩擦係数)、摩
擦面の数(多板クラッチの枚数×2)、及び有効半径等
により決定されるクラッチのスリップトルクをTk1、
上記キャリヤ53から第1の歯車61,第5の歯車66
による第1の歯車列に流出する駆動力をTldとする
と、 Tld×(z5/z1)=Tk1 …(25) の関係が成り立つ。
【0096】上記第1の油圧多板クラッチ81の伝達ト
ルクTk1は、第8の歯車69,第4の歯車64による
第4の歯車列を介して右ドライブ軸17に伝達されるた
め、前記第2のサンギヤ56の駆動力をTr、上記キャ
リヤ53の駆動力をTlとして、 右輪側駆動力=Tr+(Tk1×(z4/z8)) …(26) 左輪側駆動力=Tl−Tld =Tl−(Tk1×(z1/z5)) …(27) で配分される。
【0097】上記(26),(27)式に、各歯車列の
ギヤ比、z5/z1=0.9、z8/z4=1.0を代
入すると、左右駆動力配分は、次のようになる。 右輪側駆動力=Tr+Tk1 左輪側駆動力=Tl−(Tk1 /0.9)
【0098】また、逆に、左ドライブ軸14に駆動力を
多く配分して右旋回性能を向上させるには、第1の油圧
多板クラッチ81を解放し、第2の油圧多板クラッチ7
7を動力伝達可能に接続する。このときは、第2の油圧
多板クラッチ77に関して、上記第2の油圧室85に作
用する油圧、摩擦面の動摩擦係数(摩擦面の相対回転速
度で決まる動摩擦係数)、摩擦面の数(多板クラッチの
枚数×2)、及び有効半径等により決定されるクラッチ
のスリップトルクをTk2、上記第2のサンギヤ56か
ら第3の歯車63,第7の歯車68による第3の歯車列
に流出する駆動力をTrdとすると、 Trd×(z7/z3)=Tk2 …(28) の関係が成り立つ。
【0099】ここで、上記第2の油圧多板クラッチ77
の伝達トルクTk2は、第6の歯車67,第2の歯車6
2による第2の歯車列を介するため、 右輪側駆動力=Tr−Trd =Tr−(Tk2×(z3/z7)) …(29) 左輪側駆動力=Tl+(Tk2×(z2/z6)) …(30) で配分される。
【0100】上記(29),(30)式に、前述の各歯
車列のギヤ比、z6/z2=1.0、z7/z3=0.
9を代入すると、左右駆動力配分は次のようになる。 右輪側駆動力=Tr−(Tk2 /0.9) 左輪側駆動力=Tl+Tk2
【0101】尚、上記クラッチ機構部46の2つのクラ
ッチは、上述の油圧多板クラッチ以外に電磁クラッチや
伝達容量可変型カップリングを用いても良い。また、2
組の油圧多板クラッチの容量は、上記ギヤ比に応じて予
め不等値に設定しても良く、一方の多板クラッチを小型
にすることも可能である。
【0102】一方、前記前輪左右駆動力配分装置12
は、駆動力が前記フロントドライブ軸10,ドライブピ
ニオン11からクラウンギヤ52に入力されるようにな
っており、その構造は上記後輪左右駆動力配分装置7と
略同様であるので同一符号を付して、その説明は省略す
る。
【0103】次いで、前記後輪側油圧制御装置34およ
び前記前輪側油圧制御装置35について、図10を基に
説明する。上記後輪側油圧制御装置34は、制御油圧を
第1の油圧管路36aを通じて第1の油圧室83に供給
する油圧経路と、第2の油圧管路36bを通じて第2の
油圧室85に供給する油圧経路との一対の油圧経路を備
えて構成され、上記前輪側油圧制御装置35も略同様に
構成されている。尚、上記前輪側油圧制御装置35で
は、制御油圧を第1の油圧管路37aを通じて第1の油
圧室83に供給し、第2の油圧管路37bを通じて第2
の油圧室85に供給する。ここで、第1,第2の油圧室
83,87への制御油圧の供給系は略同様であり、従っ
て、以下、制御油圧を油圧管路36aを通じて第1の油
圧室83に供給する油圧供給系についてのみ説明する。
【0104】モータ86により駆動されるオイルポンプ
87の吐出圧がレギュレータ弁88で調圧され、所定の
作動油圧と潤滑油圧を生じるようになっており、作動油
圧の油路89は、クラッチ制御弁90,第1の油圧管路
36aを介して第1の油圧多板クラッチ81の前記第1
の油圧室83に連通されている。
【0105】また、上記油路89は、パイロット弁9
1,油路92によりデューティソレノイド弁93,上記
クラッチ制御弁90の制御側に連通されている。
【0106】そして、前記左右駆動力配分制御装置32
からのデューティ信号がデューティソレノイド弁93に
入力されて、該デューティソレノイド弁P3によりデュ
ーティ比に応じた所定のデューティ圧を生じ、このデュ
ーティ圧により上記クラッチ制御弁90を動作すること
で、上記第1の油圧多板クラッチ81に供給するクラッ
チ油圧を制御する。
【0107】また、上記左右駆動力配分制御装置32
は、マイクロコンピュータ等から構成され、図11に示
すように、路面・走行状態判断手段95、油圧演算手段
96、油圧設定手段97の各機能手段を備え、路面・走
行状態に応じて、前後の左右輪間の最適な駆動力配分量
を演算し、前後輪側の上記各油圧制御装置35,34に
信号出力する。
【0108】尚、本実施の形態においては、ECU及び
TCUに対し、別個に左右駆動力配分制御装置32を設
けているが、上記各機能手段95〜97をECU或いは
TCUに備えるようにしても良く、又、ECU及びTC
Uを一つのコントロールユニットに統合したものにおい
ては、該コントロールユニットに各機能手段95〜97
を組込んでも良い。
【0109】上記路面・走行状態判断手段95は、前記
スロットル開度センサ26によるスロットル開度、車速
センサ27による車速、舵角センサ29により検出され
る操舵角θ、前後加速度センサ30による前後加速度、
横加速度センサ31による横加速度、および自動変速装
置2の変速位置(シフト位置)を表わすレンジ情報等に
基づいて、路面状況(低μ路走行状態か否か等)、及び
車両の走行状態(高速か低速か・急旋回か否か・高負荷
走行か低負荷走行か(加速状態か)・スリップ状態の有
無等)を、予めメモリしておいたマップ、計算式等によ
り求める。
【0110】また、上記油圧演算手段96は、判断され
た車両の走行状態、及び路面状況を基に、予めメモリし
ておいたマップ、計算式等により、動作させる油圧多板
クラッチを選択すると共に、その油圧多板クラッチに付
加する油圧値を演算する。
【0111】そして、上記油圧設定手段97は、選択さ
れた油圧多板クラッチ、及び、その油圧多板クラッチに
付加する油圧値に対応して、それぞれ該当する油圧制御
装置のデューティソレノイド弁93に対し所定デューテ
ィ比のデューティ信号を出力する。
【0112】次に、本実施の形態の作用を説明する。エ
ンジン1による駆動力は、自動変速装置2からトランス
ミッション出力軸2aを経てセンターディファレンシャ
ル装置3の第1のサンギヤ39に入力される。
【0113】そして、第1,第2のピニオン41,42
から第2のサンギヤ40と、第1,第2のピニオン4
1,42を支持するキャリヤ38とに分配されて伝達
し、上記第2のサンギヤ40の動力は、リヤドライブ軸
4を介して後輪側に伝達される。また、上記キャリヤ3
8の動力は、トランスファドライブギヤ8,トランスフ
ァドリブンギヤ9,フロントドライブ軸10を介して前
輪側に伝達され4輪駆動で走行する。
【0114】そこで、例えば、前輪側回転数と後輪側回
転数が等しいNF=NBの直進走行の場合は、センター
ディファレンシャル装置3において上記第2のサンギヤ
40と上記キャリヤ38とが同一方向に等速回転するこ
とで、上記第1,第2のピニオン41,42は遊星回転
しなくなり一体化して回転する。
【0115】こうして、上記第1,第2のピニオン4
1,42とキャリヤ38とが一体化することで両者の間
には摩擦トルク等が生じない状態になる。そして、この
とき、第1のサンギヤ39の入力トルクTiに対する上
記キャリヤ38の前輪側トルクTFと、上記第2のサン
ギヤ40の後輪側トルクTBとのトルク配分は、センタ
ーディファレンシャル装置3の歯車諸元が等トルク配分
に設定されていれば、この等トルク配分機能の歯車諸元
による基準トルク配分となり、TF対TBが略50対5
0に設定され等トルク配分される。また、不等トルク配
分に歯車諸元が設定されていれば、この不等トルク配分
機能の歯車諸元による基準トルク配分に、TF対TBが
設定される。
【0116】一方、前輪側回転数が後輪側回転数より大
きくなるNF>NBの旋回または前輪側スリップ時に
は、センターディファレンシャル装置3の上記第1,第
2のピニオン41,42が遊星回転し、差動機能を有す
る歯車諸元により差動作用する。このため旋回時には、
前後輪の回転数差が吸収されて、滑らかに旋回すること
になる。
【0117】そして、このとき、第1,第2のピニオン
41,42の遊星回転に伴い、その捩れ角の違いによる
スラスト荷重が、上記第1,第2のピニオン41,42
の一方の端面の部分に作用する。また、ギヤ噛合い点の
分離,接線荷重の合成力が上記第1,第2のピニオン4
1,42,プラネタリピン43の部分に作用して両者に
よりピニオン回転方向と反対の摩擦トルクと、これに基
づく差動制限トルクが生じるようになる。
【0118】そして、この条件では、差動制限トルクが
キャリア38の回転を損うように作用することで、差動
制限トルクが後輪側に移動して、トルク配分は基準トル
ク配分より後輪偏重になる。このため、旋回時の回頭
性、操縦性が向上する。また、前輪スリップ時には、前
輪側トルクの減少により、そのスリップが防止される。
【0119】逆に、後輪側回転数が前輪側輪回転数より
大きいNB>NFの後輪スリップ時には、センターディ
ファレンシャル装置3の上記第1,第2のピニオン4
1,42が前後輪の回転数差により遊星回転して摩擦ト
ルクを発生する。
【0120】ところで、この条件では、差動制限トルク
がキャリヤ38の回転を促すように作用して前輪側に移
動するようになり、このため基準トルク配分より前輪側
に多いトルク配分になって後輪側トルクが減少し、これ
により後輪スリップが防止される。
【0121】尚、上記遊星歯車機構による差動制限トル
クは、入力トルクに対し比例的に生じるため、前後輪の
トルクの大小に対して常に同じ割合になり、差動制限機
能が常に一定の割合で発揮される。
【0122】上述のようにセンターディファレンシャル
装置3により分配された後輪側への駆動力は、プロペラ
シャフト5,ドライブピニオン6を経て後輪左右駆動力
配分装置7に入力され、クラウンギヤ52を介してディ
ファレンシャルケース51に入力される。
【0123】まず、差動制限機構部44の作用について
説明すると、上記ディファレンシャルケース51に入力
された駆動力は、第1のサンギヤ55に入力され、第
1,第2のピニオン57,58から第2のサンギヤ56
と、第1,第2のピニオン57,58を支持するキャリ
ヤ53とに分配されて伝達される。そして、上記第2の
サンギヤ56の動力は、右ドライブ軸17を介して右後
輪19に伝達され、また、上記キャリヤ53の動力は左
ドライブ軸14を介して左後輪16に伝達されて駆動走
行する。
【0124】そこで、例えば、左後輪回転数と右後輪回
転数が等しいNL=NRの直進走行の場合は、上記第2
のサンギヤ56と上記キャリヤ53とが同一方向に等速
回転することで、上記第1,第2のピニオン57,58
は遊星回転しなくなり一体化して回転する。
【0125】こうして、上記第1,第2のピニオン5
7,58とキャリヤ53とが一体化することで両者の間
には摩擦トルク等が生じない状態になる。そして、この
とき、上記第1のサンギヤ55の入力トルクに対する上
記キャリヤ53の左後輪トルクと、上記第2のサンギヤ
56の右後輪トルクとのトルク配分は、差動制限機構部
44の歯車諸元により等トルク配分の基準トルク配分と
なり、略50対50に等トルク配分される。
【0126】一方、左後輪回転数が右後輪回転数より大
きくなるNL>NRの旋回時或いは左後輪スリップ時に
は、上記第1,第2のピニオン57,58が遊星回転
し、差動機能を有する歯車諸元により差動作用する。こ
のため旋回時には、左右後輪の回転数差が吸収されて滑
らかに旋回することになる。
【0127】そして、このとき、第1,第2のピニオン
57,58の遊星回転に伴い、その捩れ角の違いによる
スラスト荷重が、上記第1,第2のピニオン57,58
の一方の端面の部分に作用する。また、ギヤ噛合い点の
分離,接線荷重の合成力が上記第1,第2のピニオン5
7,58,プラネタリピン60の部分に作用して両者に
よりピニオン回転方向と反対の摩擦トルクと、これに基
づく差動制限トルクが生じるようになる。
【0128】そして、この条件では、差動制限トルクが
キャリア53の回転を損うように作用することで、差動
制限トルクが右後輪側に移動して、トルク配分が基準ト
ルク配分より右後輪偏重になり、左後輪トルクが減少す
る。従って、左後輪スリップ時にはそのスリップが防止
される。
【0129】逆に、右後輪回転数が左後輪回転数より大
きいNR>NLの右後輪スリップ時には、上記第1,第
2のピニオン57,58が左右後輪の回転数差により遊
星回転して摩擦トルクを発生する。
【0130】ところで、この条件では、差動制限トルク
がキャリヤ53の回転を促すように作用して左後輪側に
移動するようになり、このため基準トルク配分より左後
輪に多いトルク配分になって右後輪トルクが減少し、こ
れにより右後輪スリップが防止される。
【0131】ここで、上記遊星歯車機構による差動制限
トルクは、入力トルクに対し比例的に生じるため、左右
後輪のトルクの大小に対して常に同じ割合になり、差動
制限機能が常に一定の割合で発揮される。
【0132】次に、歯車機構部45とクラッチ機構部4
6の作用について説明すると、左輪出力側の上記キャリ
ヤ53の回転により、このキャリヤ53と一体の第1の
歯車軸54の第1、第2の歯車61,62が回転され、
第1,第2の歯車61,62にそれぞれ噛合する第5,
第6の歯車66,67が回転される。そして、第3,第
4の歯車軸70,72を介して第1,第2のクラッチハ
ブ71,73がそれぞれ回転される。
【0133】また、右輪出力側の右ドライブ軸17の回
転と共に該右ドライブ軸17に固設された第2の歯車軸
65が回転し、この第2の歯車軸65に一体形成の第
3,第4の歯車63,64に噛合する第7,第8の歯車
68,69が回転される。そして、第5,第6の歯車軸
74,78を介して第2,第1のクラッチドラム75,
79がそれぞれ回転される。
【0134】一方、後輪側油圧制御装置においては、モ
ータ86によりオイルポンプ87が駆動され、レギュレ
ータ弁88による作動油圧がクラッチ制御弁90と、パ
イロット弁91を介してデューティソレノイド弁93に
供給される。
【0135】そして、左右駆動力配分制御装置32は、
スロットル開度センサ26によるスロットル開度、車速
センサ27による車速、舵角センサ29により検出され
る操舵角θ、前後加速度センサ30による車体前後加速
度、横加速度センサ31による車体横加速度、及び自動
変速装置の変速(シフト)位置を表すレンジ情報等に基
づいて、車両の走行状態および路面状況を判断する。そ
して、この車両の走行状態および路面状況に応じ、前後
の各左右輪に対する最適な駆動力配分量を演算し、この
駆動力配分量を得るに適正なデューティ比のデューティ
信号を、後輪側油圧制御装置34及び前輪側油圧制御装
置35の各デューティソレノイド弁93にそれぞれ出力
する。
【0136】そして、このデューティ信号に応じ、各デ
ューティソレノイド弁93により所定のデューティ圧を
生じ、このデューティ圧によりクラッチ制御弁90が作
動して、第1,第2の油圧多板クラッチ81,77に供
給するクラッチ油圧が制御されることで、第1,第2の
油圧多板クラッチ81,77がそれぞれ接続、開放され
る。
【0137】ここで、右旋回のときには、外輪側の左輪
の駆動トルクを、内輪側の右輪の駆動トルクよりも大き
くすることで旋回性能を向上する。
【0138】すなわち、右旋回状態のときには、左右駆
動力配分制御装置32において舵角センサ29による操
舵角θ等によって、これが検出され、各センサからの検
出情報及びレンジ情報等により補正を行い、前後の各左
右輪に対する最適な左右駆動力配分量が演算される。そ
して、この左右駆動力配分量を得るに適正な各クラッチ
油圧を定める各デューティソレノイド弁93に対するデ
ューティ比がそれぞれ設定され、このデューティ比によ
るデューティ信号が該当デューティソレノイド弁に出力
される。
【0139】本実施の形態においては、デューティソレ
ノイド弁93に対するデューティ比が低いほど該デュー
ティソレノイド弁93によるドレイン量が減少してクラ
ッチ制御弁90に対するデューティ圧が上昇し、クラッ
チ制御弁90から油圧多板クラッチに供給されるクラッ
チ油圧が上昇する。逆に、デューティ比が高いほどデュ
ーティソレノイド弁93によるドレイン量が増加してデ
ューティ圧が低下し、クラッチ制御弁90から油圧多板
クラッチに供給されるクラッチ油圧が以下する(図10
参照)。
【0140】従って、左右駆動力配分制御装置32は、
右旋回のとき、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、
第2の油圧多板クラッチ77を接続すべく、第1の油圧
多板クラッチ81へのクラッチ油圧を制御するデューテ
ィソレノイド弁に対し、例えば、デューティ比100%
のデューティ信号を出力し、一方、第2の油圧多板クラ
ッチ77へのクラッチ油圧を制御するデューティソレノ
イド弁に対して所定デューティ比(例えば、デューティ
比0〜80%)のデューティ信号を出力する。
【0141】そして、左右駆動力配分制御装置32から
の各デューティ信号の出力により各デューティソレノイ
ド弁93が作動して、第1の油圧多板クラッチ81は、
第1の油圧室83中の作動油が第1の油圧管路36aを
介してドレインされることで開放し、一方、第2の油圧
多板クラッチ77は、クラッチ制御弁90、第2の油圧
管路36bを介して、所定のクラッチ油圧が第2の油圧
室85に供給されることで、第2のピストン84の押圧
作動により連結(滑り接続)される。
【0142】その結果、第2の油圧多板クラッチ77の
連結により、右ドライブ軸17の駆動力の一部、すなわ
ち右輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部4
5における各歯車列のギヤ比の設定により、第3の歯車
63、第7の歯車68、第2の油圧多板クラッチ77、
第6の歯車67、第2の歯車62を介して、上記キャリ
ア53から左ドライブ軸14に移行される。これによ
り、右旋回のときには、外輪側の左後輪16の駆動トル
クが、内輪側の右後輪19の駆動トルクよりも大きくな
り、旋回性能が向上する。
【0143】一方、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。
【0144】すなわち、左旋回状態のときには、左右駆
動力配分制御装置32において舵角センサ29による操
舵角θ等によって、これが検出され、各センサからの検
出情報及びレンジ情報等により補正を行い、前後の各左
右輪に対する最適な左右駆動力配分量が演算される。そ
して、この左右駆動力配分量を得るに適正な各デューテ
ィソレノイド弁93に対するデューティ比がそれぞれ設
定され、このデューティ比によるデューティ信号が該当
デューティソレノイド弁に出力される。
【0145】そして、左右駆動力配分制御装置32は、
左旋回のとき、逆に第1の油圧多板クラッチ81を接続
し、第2の油圧多板クラッチ77を開放すべく、第1の
油圧多板クラッチ81へのクラッチ油圧を制御するデュ
ーティソレノイド弁に対して所定デューティ比(例え
ば、デューティ比0〜80%)のデューティ信号を出力
し、一方、第2の油圧多板クラッチ77へのクラッチ油
圧を制御するデューティソレノイド弁に対して、例え
ば、デューティ比100%のデューティ信号を出力す
る。
【0146】そして、左右駆動力配分制御装置32から
の各デューティ信号の出力により各デューティソレノイ
ド弁93が作動して、第1の油圧多板クラッチ81は、
クラッチ制御弁90、第1の油圧管路36aを介して、
所定のクラッチ油圧が第1の油圧室83に供給されるこ
とで、第1のピストン82の押圧作動により連結(滑り
接続)し、一方、第2の油圧多板クラッチ77は、第2
の油圧室85中の作動油が第2の油圧管路36bを介し
てドレインされることで開放する。
【0147】その結果、第1の油圧多板クラッチ81の
連結により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、キャリア
53、第1の歯車61、第5の歯車66、第1の油圧多
板クラッチ81、第8の歯車69、第4の歯車64を介
して、右ドライブ軸17に移行される。これにより、左
旋回のときには、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、
内輪側の左後輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋
回性能が向上する。
【0148】尚、直進時には、両油圧多板クラッチ8
1,77を共に開放し、差動制限機構部44による基準
トルク配分となる。
【0149】また、前輪側については、センターディフ
ァレンシャル装置3のキャリア38に分配された駆動力
がフロントドライブ軸10、ドライブピニオン11を介
して前輪左右駆動力配分装置12に入力され、後輪側と
同様に制御されるため、その説明は省略する。
【0150】以上のように、本実施の形態における左右
駆動力配分装置7(12)は、複合プラネタリギヤ式デ
ィファレンシャル装置から構成される差動制限機構部4
4と、歯車機構部45を構成し差動制限機構部44に連
設する第1の歯車軸54とを、左右ドライブ軸14,1
7(20,22)の円周上に配設し、また、左右ドライ
ブ軸14,17(20,22)の一方のドライブ軸17
(22)に固設される第2の歯車軸65を第1の歯車軸
54に接近して配置すると共に、この第1の歯車軸54
に形成された第1,第2の歯車61,62、及び第2の
歯車軸65に形成された第3,第4の歯車63,64に
各々噛合する第5〜第8の歯車66〜69を有する第3
〜第6の歯車軸70,72,74,78を、出力側の左
右ドライブ軸14,17(20,22)と平行に、同一
軸芯上にそれぞれ回転自在に配置構成し、更に、この同
一軸芯上に、第3,第6の歯車軸70,78の間の伝達
容量を可変とする第1の油圧多板クラッチ81と、第
4,第5の歯車軸72,74の間の伝達容量を可変とす
る第2の油圧多板クラッチ77とを隣接配置して構成さ
れる。
【0151】そして、上記差動制限機構部44は、ドラ
イブピニオン6(11)に伝動構成されるディファレン
シャルケース51に、同軸上に回転自在に配設される左
右ドライブ軸14,17(20,22)を挿通し、この
一方のドライブ軸14(20)の円周上に回転自在に配
置されてディファレンシャルケース51の内側に固設さ
れる第1のサンギヤ55と、この第1のサンギヤ55よ
りも噛合いピッチ円半径が大きく第1のサンギヤ55に
近接して一方のドライブ軸17(22)に固設される第
2のサンギヤ56と、第1,第2のサンギヤ55,56
とそれぞれ噛合し一体形成された第1,第2のピニオン
57,58と、このピニオン57,58を枢支すると共
に他方のドライブ軸14(20)に連設するキャリアと
から構成される。
【0152】従って、これら構成により、左右駆動力配
分装置7(12)は、左右輪方向の幅寸法をコンパクト
に実現することが可能となり、これに伴い、左右輪1
6,19(21,23)とアクスル軸15,18間に配
置される自在継手の公差角を小さくすることが可能とな
って、耐久性及び信頼性が向上する。
【0153】また、左右駆動力配分装置7(12)は、
構成部品点数が少なく、且つ従来の構成品と同一の部品
を多用することが可能であり、従来のものと互換性を有
し、製造コストを低減することが可能である。特に、第
1,第5の歯車61,66による第1の歯車列と第3,
第7の歯車63,68による第3の歯車列とのギヤ比、
第2,第6の歯車62,67による第2の歯車列と第
4,第8の歯車64,69による第4の歯車列とのギヤ
比は、それぞれ共通であって、従って、左右輪間のトル
ク配分の変更を行う歯車の種類も2種類ですみ、騒音、
回転における精度が必要とされる歯車管理も容易とな
る。
【0154】さらに、左右駆動力配分装置7(12)
は、左右輪方向の幅寸法がコンパクトに構成されるた
め、サスペンションの構成部材や排気系部材との干渉や
整備時に隙間が確保できるなど、車載性に優れる。
【0155】また、左右駆動力配分装置7(12)は、
歯車機構部45の4列の歯車列からなる駆動力配分機構
を採用するため、ギヤ比の設定で駆動力配分が調整で
き、車両の性格や狙いに容易に適合させることが可能で
ある。
【0156】さらに、左右駆動力配分装置7(12)
は、4列の歯車列のギヤ比を所定の関係に設定すること
で、2組の油圧多板クラッチ77,81のドライブプレ
ートとドリブンプレートの相対回転差を同一にすること
ができるため、同じ摩擦特性(速度と動摩擦係数の関
係)が得られる範囲を利用でき、制御精度を向上するこ
とができる。
【0157】また、左右駆動力配分装置7(12)の2
組の油圧多板クラッチ77,81は、一体化された構造
であり、軽量、コンパクトに実現できる。また、これら
クラッチの容量は、ギヤ比に応じて予め不等値に設定し
て、一方の油圧多板クラッチを小型にすることも可能で
ある。
【0158】さらに、左右駆動力配分装置7(12)
は、ディファレンシャルケース(入力側)45から駆動
力をバイパスするのではなく、一方の出力側と他方の出
力側との間で直接駆動力を配分する構成であり、油圧多
板クラッチ77,81の摩擦トルクを左右の駆動力配分
に有効に利用すること可能となる。
【0159】また、差動制限機構部44は歯車諸元(捩
れ角、圧力角等)やピニオン57,58とキャリヤ5
3、プラネタリピン60等の回転摩擦面に作用する摩擦
力でトルク感応型の差動制限機能を有する。従って、左
右駆動力配分装置7(12)は、この差動制限機能と積
極的な左右駆動力配分を兼ね備えて実現される。
【0160】また、センターディファレンシャル装置3
は、簡単な構造で部品点数も少なく、軽量コンパクト
で、このため加工性、組立性に優れ、また動力伝達系の
振動騒音に関しても有利になる。そして、センターディ
ファレンシャル装置3と左右駆動力配分装置7(12)
は共に軽量コンパクトであり、特に、本実施の形態にお
いては、センターディファレンシャル装置3と前輪左右
駆動力配分装置12とを容易に一体にすることができ、
軽量コンパクトな一体化ユニットが実現できる。
【0161】次に、図12に基づいて本発明の実施の第
2形態を説明する。図12は後輪左右駆動力配分装置の
拡大スケルトン図である。本実施の形態は、上記実施の
第1形態に対し、後輪左右駆動力配分装置7の歯車機構
部45における各歯車列のギヤ比の設定を変えたもので
ある。
【0162】すなわち、同図に示すように、後輪左右駆
動力配分装置7は、上記第1,2,3,4,5,6,
7,8の歯車61,62,63,64,66,67,6
8,69の歯数をそれぞれz1,z2,z3,z4,z
5,z6,z7,z8として、第1の歯車列のギヤ比を
z5/z1=1/0.9、第2の歯車列のギヤ比をz6
/z2=1.0、第3の歯車列のギヤ比をz7/z3=
1/0.9、第4の歯車列のギヤ比をz8/z4=1.
0に設定する。すなわち、第2、第4の歯車列に対し、
第1、第3の歯車列が減速の関係に設定されている。
【0163】このため、本実施の形態においては、前述
の実施の第1形態に対し、旋回時における第1の油圧多
板クラッチ81と第2の油圧多板クラッチ77の接続関
係が逆となる。
【0164】すなわち、右旋回のときには、第1の油圧
多板クラッチ81を接続し、第2の油圧多板クラッチ7
7を開放する。そして、第1の油圧多板クラッチ81の
接続により、右ドライブ軸17の駆動力の一部、すなわ
ち右輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部4
5における各歯車列のギヤ比の設定により、第4の歯車
64、第8の歯車69、第1の油圧多板クラッチ81、
第5の歯車66、第1の歯車61を介して、上記キャリ
ア53から左ドライブ軸14に移行される。これによ
り、右旋回のときには、外輪側の左後輪16の駆動トル
クが、内輪側の右後輪19の駆動トルクよりも大きくな
り、旋回性能が向上する。
【0165】一方、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。すなわち、左旋回のと
きには、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、第2の
油圧多板クラッチ77を接続する。
【0166】その結果、第2の油圧多板クラッチ77の
接続により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、キャリア
53、第2の歯車62、第6の歯車67、第2の油圧多
板クラッチ77、第7の歯車68、第3の歯車63を介
して、右ドライブ軸17に移行される。これにより、左
旋回のときには、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、
内輪側の左後輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋
回性能が向上する。
【0167】尚、直進時には、両油圧多板クラッチ8
1,77を共に開放し、差動制限機構部44による基準
トルク配分とする。
【0168】次に、図13に基づいて本発明の実施の第
3形態を説明する。図13は後輪左右駆動力配分装置の
拡大スケルトン図である。
【0169】本実施の形態は、左右駆動力配分装置7に
おけるクラッチ機構部46を、左右ドライブ軸14,1
7の車両後方側に配設し、2つの油圧多板クラッチ7
7,81のうち、第1の油圧多板クラッチ81を差動制
限機構部44側に突出して併設したものである。このた
め、図13に示すように、第1,第2,第4の歯車6
1,62,64に各々噛合する第5,第6,第8の歯車
66,67,69を有する第3,第4,第6の歯車軸7
0,72,78を、左右ドライブ軸14,17に対し車
両後方側に平行に、同一軸芯上にそれぞれ回転自在に配
置構成する。そして、第1,第2の油圧多板クラッチ8
1,77の間に、これら第5,第6の歯車66,67を
介装する。また、第3の歯車63に噛合する第7の歯車
68が第2の油圧多板クラッチ77のクラッチドラム7
5に連設され、第8の歯車69を有する第6の歯車軸7
8が、両油圧多板クラッチ77,81の軸芯を貫通して
第1の油圧多板クラッチ81のクラッチドラム79に連
設されている。
【0170】このように、一方の油圧多板クラッチ81
を差動制限機構部44側に突出して併設することによ
り、左右駆動力配分装置7の左右方向の寸法を、より縮
小することができる。
【0171】また、本実施の形態における歯車機構部4
5の4つの歯車列のギヤ比は、上記第1,2,3,4,
5,6,7,8の歯車61,62,63,64,66,
67,68,69の歯数をそれぞれz1,z2,z3,
z4,z5,z6,z7,z8として、第1の歯車列を
z5/z1=1.0、第2の歯車列をz6/z2=0.
9、第3の歯車列をz7/z3=1.0、第4の歯車列
をz8/z4=0.9に設定する。すなわち、第1、第
3の歯車列に対し、第2、第4の歯車列が増速の関係に
設定されている。
【0172】このため、本実施の形態においては、右旋
回のとき、第1の油圧多板クラッチ81を接続し、第2
の油圧多板クラッチ77を開放する。そして、第1の油
圧多板クラッチ81の接続により、右ドライブ軸17の
駆動力の一部、すなわち右輪側への駆動トルクの一部
が、上述の歯車機構部45における各歯車列のギヤ比の
設定により、第4の歯車64、第8の歯車69、第1の
油圧多板クラッチ81、第5の歯車66、第1の歯車6
1を介して、キャリア53から左ドライブ軸14に移行
される。これにより、右旋回のときには、外輪側の左後
輪16の駆動トルクが、内輪側の右後輪19の駆動トル
クよりも大きくなり、旋回性能が向上する。
【0173】一方、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。すなわち、左旋回のと
きには、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、第2の
油圧多板クラッチ77を接続する。
【0174】その結果、第2の油圧多板クラッチ77の
接続により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、キャリア
53、第2の歯車62、第6の歯車67、第2の油圧多
板クラッチ77、第7の歯車68、第3の歯車63を介
して、右ドライブ軸17に移行される。これにより、左
旋回のときには、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、
内輪側の左後輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋
回性能が向上する。
【0175】また、直進時には、両油圧多板クラッチ8
1,77を共に開放し、差動制限機構部44による基準
トルク配分とする。
【0176】次に、図14に基づいて本発明の実施の第
4形態を説明する。図14は後輪左右駆動力配分装置の
拡大スケルトン図である。本実施の形態は、上記実施の
第3形態に対し、後輪左右駆動力配分装置7の歯車機構
部45における各歯車列のギヤ比の設定を変えたもので
ある。
【0177】すなわち、図14に示すように、後輪左右
駆動力配分装置7の各歯車列のギヤ比は、上記第1,
2,3,4,5,6,7,8の歯車61,62,63,
64,66,67,68,69の歯数をそれぞれz1,
z2,z3,z4,z5,z6,z7,z8として、第
1の歯車列をz5/z1=1.0、第2の歯車列をz6
/z2=1/0.9、第3の歯車列をz7/z3=1.
0、第4の歯車列をz8/z4=1/0.9に設定す
る。すなわち、第1、第3の歯車列に対し、第2、第4
の歯車列が減速の関係に設定されている。
【0178】このため、本実施の形態においては、右旋
回のとき、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、第2
の油圧多板クラッチ77を接続する。そして、第2の油
圧多板クラッチ77の接続により、右ドライブ軸17の
駆動力の一部、すなわち右輪側への駆動トルクの一部
が、上述の歯車機構部45における各歯車列のギヤ比の
設定により、第3の歯車63、第7の歯車68、第2の
油圧多板クラッチ77、第6の歯車67、第2の歯車6
2を介して、キャリア53から左ドライブ軸14に移行
される。これにより、右旋回のときには、外輪側の左後
輪16の駆動トルクが、内輪側の右後輪19の駆動トル
クよりも大きくなり、旋回性能が向上する。
【0179】一方、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。すなわち、左旋回のと
きには、第1の油圧多板クラッチ81を接続し、第2の
油圧多板クラッチ77を開放する。
【0180】その結果、第1の油圧多板クラッチ81の
接続により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、キャリア
53、第1の歯車61、第5の歯車66、第1の油圧多
板クラッチ81、第8の歯車69、第4の歯車64を介
して、右ドライブ軸17に移行される。これにより、左
旋回のときには、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、
内輪側の左後輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋
回性能が向上する。
【0181】また、直進時には、両油圧多板クラッチ8
1,77を共に開放し、差動制限機構部44による基準
トルク配分とする。
【0182】次に、図15に基いて本発明の実施の第5
形態を説明する。図15は後輪左右駆動力配分装置の拡
大スケルトン図である。
【0183】本実施の形態は、左右駆動力配分装置7の
歯車機構部45を2分割して、それぞれの出力軸側に直
接設ける。そして、クラッチ機構部46を差動制限機構
部44に対し車両後方側に配設して各歯車列と連結す
る。
【0184】すなわち、図15に示すように、差動制限
機構部44を挟んで、一体形成された第1,第2の歯車
61,62を左輪出力側の左ドライブ14に固設し、第
3,第4の歯車63,64を右輪出力側の右ドライブ軸
17に固設する。そして、これら第1〜第4の歯車61
〜64に各々噛合する第5〜第8の歯車66〜69を有
する第3,第4,第5,第6の歯車軸70,72,7
4,78を、左右ドライブ軸14,17に対し車両後方
側に平行に、同一軸芯上にそれぞれ回転自在に配置構成
する。
【0185】更に、第1,第2の油圧多板クラッチ8
1,77を、第6の歯車67と第7の歯車68間に、差
動制限機構部44のクラウンギヤ52を挟んで、各歯車
軸70,72,74,78の同一軸芯上に配設する。
【0186】そして、第5の歯車66を有する第3の歯
車軸70を第1の油圧多板クラッチ81のクラッチハブ
71に連設すると共に、第6の歯車67を有する第4の
歯車軸72を第2の油圧多板クラッチ77のクラッチハ
ブ73に連設する。また、第7の歯車68を有する第5
の歯車軸74を第2の油圧多板クラッチ77のクラッチ
ドラム75に連設すると共に、第8の歯車69を有する
第6の歯車軸78を第1の油圧多板クラッチ81のクラ
ッチドラム79に連設する。すなわち、第5の歯車66
と第8の歯車69とを第1の油圧多板クラッチ81によ
り伝達容量可変に接続自在とし、また、第6の歯車67
と第7の歯車68とを第2の油圧多板クラッチ77によ
り伝達容量可変に接続自在とする。
【0187】このように左右駆動力配分装置7の歯車機
構部45を2分割し、それぞれの出力軸側に直接設ける
ことにより、クラッチ機構部46を差動制限機構部44
の後方に配設することも容易になり、左右駆動力配分装
置7は、左右方向の寸法をよりコンパクトに実現するこ
とができ、また、左右のバランスが向上する。
【0188】一方、本実施の形態における歯車機構部4
5の4つの歯車列のギヤ比は、上記第1,2,3,4,
5,6,7,8の歯車61,62,63,64,66,
67,68,69の歯数をそれぞれz1,z2,z3,
z4,z5,z6,z7,z8として、第1の歯車列を
z5/z1=0.9、第2の歯車列をz6/z2=1.
0、第3の歯車列をz7/z3=0.9、第4の歯車列
をz8/z4=1.0に設定する。すなわち、第2、第
4の歯車列に対し、第1、第3の歯車列が増速の関係に
設定されている。
【0189】従って、本実施の形態においては、右旋回
のとき、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、第2の
油圧多板クラッチ77を接続する。そして、第2の油圧
多板クラッチ77の接続により、右ドライブ軸17の駆
動力の一部、すなわち右輪側への駆動トルクの一部が、
上述の歯車機構部45における各歯車列のギヤ比の設定
により、第3の歯車63、第7の歯車68、第2の油圧
多板クラッチ77、第6の歯車67、第2の歯車62を
介して、左ドライブ軸14に移行される。これにより、
右旋回のときには、外輪側の左後輪16の駆動トルク
が、内輪側の右後輪19の駆動トルクよりも大きくな
り、旋回性能が向上する。
【0190】また、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。すなわち、左旋回のと
きには、第1の油圧多板クラッチ81を接続し、第2の
油圧多板クラッチ77を開放する。
【0191】その結果、第1の油圧多板クラッチ81の
接続により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、第1の歯
車61、第5の歯車66、第1の油圧多板クラッチ8
1、第8の歯車69、第4の歯車64を介して、右ドラ
イブ軸17に移行される。これにより、左旋回のときに
は、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、内輪側の左後
輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋回性能が向上
する。
【0192】また、直進時には、両油圧多板クラッチ8
1,77を共に開放し、作動制限機構部44による基準
トルク配分とする。
【0193】次に、図16に基づいて本発明の実施の第
6形態を説明する。図16は後輪左右駆動力配分装置の
拡大スケルトン図である。本実施の形態は、上記実施の
第5形態に対し、後輪左右駆動力配分装置7の歯車機構
部45における各歯車列のギヤ比の設定を変えたもので
ある。
【0194】すなわち、図16に示すように、後輪左右
駆動力配分装置7の各歯車列のギヤ比は、上記第1,
2,3,4,5,6,7,8の歯車61,62,63,
64,66,67,68,69の歯数をそれぞれz1,
z2,z3,z4,z5,z6,z7,z8として、第
1の歯車列をz5/z1=1/0.9、第2の歯車列を
z6/z2=1.0、第3の歯車列をz7/z3=1/
0.9、第4の歯車列をz8/z4=1.0に設定す
る。すなわち、第2、第4の歯車列に対し、第1、第3
の歯車列が減速の関係に設定されている。
【0195】このため、本実施の形態においては、前述
の実施の第5形態に対し、旋回時における第1の油圧多
板クラッチ81と第2の油圧多板クラッチ77の接続関
係が逆となる。
【0196】すなわち、右旋回のときには、第1の油圧
多板クラッチ81を接続し、第2の油圧多板クラッチ7
7を開放する。そして、第1の油圧多板クラッチ81の
接続により、右ドライブ軸17の駆動力の一部、すなわ
ち右輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部4
5における各歯車列のギヤ比の設定により、第4の歯車
64、第8の歯車69、第1の油圧多板クラッチ81、
第5の歯車66、第1の歯車61を介して、左ドライブ
軸14に移行される。これにより、右旋回のときには、
外輪側の左後輪16の駆動トルクが、内輪側の右後輪1
9の駆動トルクよりも大きくなり、旋回性能が向上す
る。
【0197】一方、左旋回のときには、外輪側の右輪の
駆動トルクを、内輪側の左輪の駆動トルクよりも大きく
することで旋回性能を向上する。すなわち、左旋回のと
きには、第1の油圧多板クラッチ81を開放し、第2の
油圧多板クラッチ77を接続する。
【0198】その結果、第2の油圧多板クラッチ77の
接続により、左ドライブ軸14への駆動力の一部、すな
わち左輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部
45における各歯車列のギヤ比の設定により、第2の歯
車62、第6の歯車67、第2の油圧多板クラッチ7
7、第7の歯車68、第3の歯車63を介して、右ドラ
イブ軸17に移行される。これにより、左旋回のときに
は、外輪側の右後輪19の駆動トルクが、内輪側の左後
輪16の駆動トルクよりも大きくなり、旋回性能が向上
する。
【0199】尚、上記実施の第2形態ないし第6形態に
おいては、後輪左右駆動力配分装置につき説明したが、
前輪左右駆動力配分装置に採用してもよいことは勿論で
ある。
【0200】また、上記実施の各形態においては、左ド
ライブ軸14(20)をキャリア53に接続し、右ドラ
イブ軸17(22)を第2のサンギヤ56に接続構成し
ているが、本発明は、これに限定されず、左右駆動力配
分装置7(12)の接続関係を反転構成して、左ドライ
ブ軸14(20)を第2のサンギヤ56に接続し、右ド
ライブ軸17(22)をキャリア53に接続構成しても
よい。
【0201】また、左右駆動力配分装置7(12)にお
いて、歯車機構部45を構成する各歯車列の位置、及び
クラッチ機構46の位置は、様々に設定することが可能
であり、上記実施の各形態に限定されない。
【0202】さらに、歯車機構部45における各歯車列
のギヤ比は、上記実施の各形態に限定されず、他の値に
設定しても良いことは勿論である。
【0203】また、本実施の形態においては、4WD車
において後輪左右駆動力配分装置と前輪左右駆動力配分
装置を備えた例につき説明したが、本発明はこれに限定
されず、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ
車)において前輪の左右駆動力配分を行う車両、FR車
(フロントエンジン・リヤドライブ車)やRR車(リヤ
エンジン・リヤドライブ車)等において後輪の左右駆動
力配分を行う車両、或いは、4WD車の前後輪のどちら
かの左右駆動力配分を行う車両等においても本発明は適
用できる。
【0204】また、4WD車に適用する場合のセンター
ディファレンシャル装置は、上記説明した以外のもので
あっても良い。
【0205】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両用左右
駆動力配分装置によれば、左右の出力軸方向の寸法をコ
ンパクトに実現することができて、左右輪とアクスル軸
間に配置される自在継手の交差角を小さくすることがで
きる。これにより、サスペンションの構成部材や排気系
部材との干渉や整備時に隙間が確保できるなど車載性に
優れる。また、構成部品点数・種類も少なく小型・軽量
で、従来の差動装置と装着互換性を有し、製造コスト上
有利である。さらに、差動制限機能も有し、バイパスト
ルクの調整・設定も容易であり、制御精度が高く、左右
輪間で有効に駆動力配分が行えて、耐久・信頼性に優れ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係り、4WD車の全
体の概略構成を示す説明図
【図2】同上、後輪左右駆動力配分装置の拡大断面図
【図3】同上、センターディファレンシャル装置の差動
機能説明のための各部の概略図
【図4】同上、第1のサンギヤを固定した際の動作説明
【図5】同上、第2のサンギヤを固定した際の動作説明
【図6】同上、センターディファレンシャル装置の動力
分配機能、差動制限機能説明のための各部の概略図
【図7】同上、各ギヤにより生じる荷重の説明図
【図8】同上、後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が
大きい場合の説明
【図9】同上、後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が
小さい場合の説明図
【図10】同上、左右駆動力配分の油圧制御装置の構成
説明図
【図11】同上、左右駆動力配分制御装置の機能構成を
示すブロック図
【図12】本発明の実施の第2形態に係り、後輪左右駆
動力配分装置の拡大スケルトン図
【図13】本発明の実施の第3形態に係り、後輪左右駆
動力配分装置の拡大スケルトン図
【図14】本発明の実施の第4形態に係り、後輪左右駆
動力配分装置の拡大スケルトン図
【図15】本発明の実施の第5形態に係り、後輪左右駆
動力配分装置の拡大スケルトン図
【図16】本発明の実施の第6形態に係り、後輪左右駆
動力配分装置の拡大スケルトン図
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速装置 3 センターディファレンシャル装置 6 ドライブピニオン 7 後輪左右駆動力配分装置 10 フロントドライブ軸 12 前輪左右駆動力配分装置 14 左ドライブ軸 15 左アクスル軸 16 左後輪 17 右ドライブ軸 18 右アクスル軸 19 右後輪 20 左ドライブ軸 22 右ドライブ軸 21 左前輪 23 右前輪 32 左右駆動力配分制御装置 34 後輪側油圧制御装置 35 前輪側油圧制御装置 44 差動制限機構部 45 歯車機構部 46 クラッチ機構部 53 キャリヤ 55 第1のサンギヤ 56 第2のサンギヤ 57 第1のピニオン 58 第2のピニオン 61 第1の歯車 62 第2の歯車 63 第3の歯車 64 第4の歯車 66 第5の歯車(第1の回転部材) 67 第6の歯車(第2の回転部材) 68 第7の歯車(第3の回転部材) 69 第8の歯車(第4の回転部材) 70 第3の歯車軸(第1の回転部材) 72 第4の歯車軸(第2の回転部材) 74 第5の歯車軸(第3の回転部材) 77 第2の油圧多板クラッチ(第2のクラッチ) 78 第6の歯車軸(第4の回転部材) 81 第1の油圧多板クラッチ(第1のクラッチ)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動力の入力側に連設する第1のサンギ
    ヤを第1のピニオンに噛合して第1の歯車列を形成し、
    左輪側と右輪側のどちらか一方の出力側に連設する第2
    のサンギヤを上記第1のピニオンと一体の第2のピニオ
    ンに噛合して第2の歯車列を形成し、上記第1,第2の
    ピニオンを他方の出力側に連設するキャリヤで軸支し
    て、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い
    点に作用する分離荷重を上記第1,第2のピニオンの軸
    支部分に作用させて得る摩擦力により、左右輪間におい
    て入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する差動
    制限機構部を備え、上記一方の出力側と上記他方の出力
    側のどちらかに、第1の回転部材に対し第1の回転速度
    を発生させる第1の歯車と、第2の回転部材に対し上記
    第1の回転速度とは異なる第2の回転速度を発生させる
    第2の歯車とを設け、他の出力側に第3の回転部材に対
    し上記第1の回転速度を発生させる第3の歯車と、第4
    の回転部材に対し上記第2の回転速度を発生させる第4
    の歯車とを設け、上記第1ないし第4の回転部材を上記
    両出力側の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に配設する
    と共に、上記第1の回転部材と上記第4の回転部材との
    間の伝達容量を可変とする第1のクラッチと、上記第2
    の回転部材と上記第3の回転部材との間の伝達容量を可
    変とする第2のクラッチを上記各回転部材の回転軸芯上
    に配設したことを特徴とする車両用左右駆動力配分装
    置。
  2. 【請求項2】 上記差動制限機構部は、上記第1の歯車
    列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用するスラス
    ト荷重の差を上記第1,第2のピニオンの一方の端面に
    作用させて得る摩擦力と、上記第1の歯車列と上記第2
    の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重と接線荷重
    の合成力を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用
    させて得る摩擦力とにより、左右輪間において入力トル
    クに比例した差動制限トルクを発生することを特徴とす
    る請求項1記載の車両用左右駆動力配分装置。
  3. 【請求項3】 上記各クラッチは、油圧多板クラッチ、
    電磁クラッチ、及び、伝達容量可変型カップリングの少
    なくとも一つから構成されることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置。
  4. 【請求項4】 上記各クラッチの伝達容量は、車両の走
    行状態及び路面状況に応じて可変に設定されることを特
    徴とする請求項1ないし請求項3記載の車両用左右駆動
    力配分装置。
JP10063669A 1998-03-13 1998-03-13 車両用左右駆動力配分装置 Pending JPH11254990A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10063669A JPH11254990A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 車両用左右駆動力配分装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10063669A JPH11254990A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 車両用左右駆動力配分装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11254990A true JPH11254990A (ja) 1999-09-21

Family

ID=13235999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10063669A Pending JPH11254990A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 車両用左右駆動力配分装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11254990A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8388483B2 (en) Space-saving transmission arrangement
JPH0354030A (ja) 4輪駆動車およびそのトルク配分制御装置
JP2772979B2 (ja) 4輪駆動車のトルク配分制御装置
US6599216B1 (en) Gearbox unit
JPH1044820A (ja) 車両用差動制限装置
US7083541B2 (en) Axle drive block with a differential lock
US5205797A (en) Torque distribution control system for a four-wheel drive motor vehicle
JPH01122730A (ja) センターデフ付4輪駆動車
JPH11263140A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
EP1193103A2 (en) Drive power transmission apparatus
JPH10166884A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
US5868642A (en) Right/left driving torque distributing device for vehicle
US6834738B2 (en) Power transmitting system for four-wheel drive vehicle
US7029415B2 (en) Differential apparatus
JPH10100727A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
GB2315828A (en) Limiting differential
JPH11315905A (ja) デファレンシャル装置
JPH11254991A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
JPH11254990A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
JP3892510B2 (ja) 車両用左右駆動力配分装置
US5722305A (en) System for generating difference in speed between left and right wheels of vehicle
JP3892509B2 (ja) 車両用左右駆動力配分装置
JP2563629B2 (ja) 四輪駆動車用パワートレーン
JPH10166885A (ja) 車両用左右駆動力配分装置
JPH10100728A (ja) 車両用左右駆動力配分装置