JPH11247971A - 繊維強化樹脂製の機械部品、及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製の機械部品、及びその製造方法

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JPH11247971A
JPH11247971A JP10054624A JP5462498A JPH11247971A JP H11247971 A JPH11247971 A JP H11247971A JP 10054624 A JP10054624 A JP 10054624A JP 5462498 A JP5462498 A JP 5462498A JP H11247971 A JPH11247971 A JP H11247971A
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JP
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fiber
thermosetting resin
reinforced resin
sheet
reinforcing fibers
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JP10054624A
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Masaharu Toyama
正春 遠山
Kazuki Ito
和貴 伊藤
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THERMO SETTA KK
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THERMO SETTA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽量でその製造が簡単でありしかも機械強度及
び耐摩耗性に優れた繊維強化樹脂製の機械部品を、精巧
且つ確実に形成できる繊維強化樹脂製の機械部品の製造
方法、及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】熱硬化性樹脂と強化繊維を主たる含有成分
とする成形材料を加熱加圧成形してなる繊維強化樹脂製
の機械部品であって、前記強化繊維の含有割合が前記機
械部品全体当たり15〜60重量%の範囲内であるこ
と。特に、前記成形材料は、例えば前記熱硬化性樹脂と
前記強化繊維を主たる成分とする抄造シートを抄造し、
この抄造シートを小片化して得られる小片に、適宜の溶
剤を加え、前記熱硬化性樹脂のゲル化温度以上であって
且つ前記熱硬化性樹脂の硬化温度以下の温度範囲にて加
熱しながら撹拌する又は回転させつつ押し出すことによ
り、フレーク形状、ペレット形状、グラニュール形状、
又はチップ形状に形成されているものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維強化樹脂製の機
械部品とその製造方法に関するものであり、より詳しく
は、軽量でその製造が簡単で、機械強度及び耐摩耗性に
優れた繊維強化樹脂製の機械部品、およびその製造方法
の提供に関するものである。
【0002】この明細書において、最終品として形成さ
れる繊維強化樹脂製の機械部品とは、スペーサー、イン
シュレータ、ガスケット、スラストワッシャー、スラス
トベアリング、ギヤー、ボビン、ピストン部材、シリン
ダー部材、ボルト、ナット、プーリー、ポンプ部材、軸
受け、シャフト、カップリング、ローラー、カム、カバ
ー、ハウジング、プレート材、インペラー、パッキン、
絶縁部材、導電部材、その他これらに類するものをすべ
て含む広い意味の概念である。但し、以下では、便宜
上、円筒ギヤーを例に挙げて説明する。
【0003】
【従来の技術】従来、かかる熱硬化性の成形材料とし
て、 例えばフェノール樹脂等に代表される合成樹脂に、
ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、布チップ等の強
化繊維とカーボン粉末等とを混合混練して、ペレット状
若しくは玉チップ形状に形成された成形材料が公知であ
り、そのうちいくつかは市販されている。
【0004】また、 アスペスト紙等のシート状の基材にフェノール樹脂ワ
ニスを含浸乾燥して、含浸させた熱硬化性樹脂を半硬化
状態(Bステージ)としたシート基材、 熱硬化性樹脂粉末と強化繊維とを必須成分とし、必要
に応じて更にカーボン粉末とを、液中に分散させて抄造
した抄造シート、が公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の成形材料を使用して機械部品を形成する場合には、当
該機械部品の強度及び耐摩耗性の向上を図るべく強化繊
維の含有割合を大きくしたり強化繊維の繊維長を長くし
たいのだが、この強化繊維が芳香族ポリアミド繊維であ
る場合、芳香族ポリアミド繊維の全体当たりに対する含
有割合を10〜15重量%以上にすると、熱硬化性樹脂
と強化繊維を均質に混合混練できないので成形材料その
ものが形成できないとか、強化繊維と樹脂とを混合・混
練する時に、強化繊維が折れたり切れて短くなってしま
うため、そして、仮に成形材料らしく形成できたとして
も得られた成形材料は各成形材料毎に質的に相違するた
め、当初期待したとおりの強度及び耐摩耗性をもつ機械
部品を得難いという問題があった。
【0006】さらに、射出成形を行うとき、成形機のシ
リンダーのスクリューや金型のゲートで強化繊維が切断
されるため、強度の強度の低下が大きくなるという問題
があった。そして、射出成形では、強化繊維が配向して
成形品の強度の方向性ができてしまうとか、ウエルドが
発生し易くそしてウエルドが発生した部分では強度が低
下して極めて割れやすくなる等の問題があった。
【0007】上記の熱硬化性成形材料によると、長尺
のシート状基材にフェノール樹脂ワニスを含浸乾燥し移
送する工程でシート状基材に張力がかけられており、こ
の張力が歪みとしてプリプレグに残るため、これを使用
して成形された成型品には反りやねじれの変形が発生し
やすいという問題があった。
【0008】また、樹脂ワニスに例えばカーボン粉末の
ごとき滑り剤を添加してシート状基材への含浸を行ない
たいのだが、カーボン粉末が樹脂ワニスに均一に分散し
ないため、カーボン粉末を添加して製造することができ
なかった。そのため、ある程度の機械強度は保持してい
るものの、摺動性が悪いという問題もあった。
【0009】上記びの成形材料によると、これらは
いずれも所謂抄造シートであるから、最終製品たる成形
品がある程度の厚みを有するものであると、この厚みを
確保すべく、シート状基材の複数枚を重ね合わせするこ
とになる。すなわち、シート状基材を皺がよらないよう
一枚一枚揃えて積み重ねる作業には膨大な工数を要する
ために誠に面倒でその作業性が悪く、成形品を複雑な形
状に加工できないとか、例えば細い穴を成形できないと
か細部を精巧に成形できない等の問題があった。
【0010】また、硬化剤や離型剤等を配合することが
できないから、成形性や離型効率が悪くて作業効率を低
下させる原因となっている。
【0011】また、これらを原材料として成形された成
形品は、その中に含まれる強化繊維の全てが同一の平面
方向に揃って配向されることになり、多方向に向け複雑
に絡み合わせできないから、当初期待した通りの強度や
耐摩耗性をもった成形品を得難いことに加えて、線膨張
係数が大きく、吸湿性が高く、耐熱性が劣り、しかも細
部形状を精巧に成形できないとか、寸法精度の確保が困
難であるとか、最終品がギヤーであると、成形したその
後に、ギヤー歯を削成する後加工を要するために誠に面
倒でその作業性が悪く、成型体を複雑な形状に加工でき
ないとか、例えば細い穴を成形できないとか細部を精巧
に成型できない等の問題があった。
【0012】さらにまた、上記及びの成形材料を無
駄なく全て使用するためには、例えばプレス抜きして残
る抄造シートの残材(打抜き屑)を液中に浸漬してほぐ
し、再度抄造し直す必要があった。
【0013】本発明はこのような実状に鑑み鋭意創案さ
れたものであって、その目的とするところは、特には、
軽量でその製造が簡単であり、機械強度及び耐摩耗性に
優れた繊維強化樹脂製の機械部品を精巧且つ確実に形成
できる繊維強化樹脂製の機械部品の製造方法と、この製
造方法を使用して形成された当該機械部品を提供して、
叙上の諸問題を解消せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず、請求項1に係る発明の採った手段の要旨と
するところは、「熱硬化性樹脂と強化繊維を主たる含有
成分とする成形材料を加熱加圧成形してなる繊維強化樹
脂製の機械部品であって、前記強化繊維が、当該機械部
品全体当たり15〜60重量%の割合で含有されている
ことを特徴とする繊維強化樹脂製の機械部品」、にあ
る。
【0015】すなわち、この請求項1に係る機械部品
は、熱硬化性樹脂と強化繊維を主たる含有成分とするも
のであって、強化繊維が15〜60重量%含有されてい
るところに特徴を有するものである。
【0016】この請求項1に係る機械部品は、その中
に、強化繊維が15〜60重量%含有されていることが
必要である。その理由は、もし、強化繊維の量が15%
より少ない機械部品には、十分な機械強度と耐摩耗性を
補償することができないからである。また、強化繊維の
量が60重量%より多いと、熱硬化性樹脂と強化繊維を
均質に混合混練できないため、最終製品たる機械部品に
十分な機械的強度と耐摩耗性を補償することができない
からである。
【0017】この機械部品は、例えば後述する製造方法
によって強化繊維が均等に存在したものとなっているか
ら、これを使用して成形された成形品には、反りやねじ
れが存在しないものとなる。また、強化繊維が均等に存
在したものであるということは、機械的強度に優れたも
のであるとともに耐摩耗性に優れたものであり、しか
も、再現性良く精巧に形成されている、ということでも
ある。
【0018】この機械部品の中に含有された強化繊維
は、芳香族ポリアミド繊維、超高強力ポリエチレン繊
維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維
炭化ケイ素繊維であることが好ましい。その理由は、こ
れらの繊維が機械部品の強度を補償または確保するため
に非常によい材料であり、また熱硬化性樹脂に対する絡
みが非常に良好だからである。
【0019】特に、請求項3に係る発明の採った手段の
要旨とするところは、「前記繊維強化樹脂製の機械部品
において、滑り剤として、カーボン粉末、カーボン繊
維、ふっ素樹脂粉末、ふっ素樹脂チップ、モリブデン粉
末、又はチタン酸カリウムウイスカのうちのいずれかが
さらに含まれていることを特徴とする請求項1又は2に
記載の繊維強化樹脂製の機械部品」にあり、このような
構成が採用されると、当該機械部材に対して摺動性や滑
性に代表される滑り特性の向上が図れる、という作用が
得られる。
【0020】つぎに、請求項6に係る発明の採った手段
の要旨とするところは、「熱硬化性樹脂と強化繊維を主
たる含有成分とする成形材料を加熱加圧成形する工程を
経る繊維強化樹脂製の機械部品の製造方法であって、前
記成形材料が、 ア.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維を主たる成分とす
る抄造シートを抄造し、この抄造シートを小片化して得
られる小片、 イ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸し
て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 ウ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を塗布し
て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 エ.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを含有する縣濁
液をホモジェネートして得られる玉小片、 オ.前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸して得られ
る小塊、からなる群より選ばれたいずれか又は2種以上
の混合物に、適宜の溶剤を加え、前記熱硬化性樹脂のゲ
ル化温度以上であって且つ前記熱硬化性樹脂の硬化温度
以下の温度範囲にて加熱しながら撹拌する又は回転させ
つつ押し出すことにより、フレーク形状、ペレット形
状、グラニュール形状、又はチップ形状に形成されてい
ることを特徴とする繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
法」にある。すなわち、この請求項6〜10に係る機械
部品の製造方法は、上記請求項1〜5に係る機械部品を
具体的に製造するための方法なのである。
【0021】例えば請求項6に記載された上記ア.の如
く、前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを主たる成分と
するシートを抄造しておき、この抄造シートを、載断や
破砕等の手段によって小片化する構成が採用されている
と、熱硬化性樹脂と強化繊維とが、水を媒体として均一
に分散させることができ、均質な組織を有する抄造シー
トを形成できる。また、これを載断又は破壊することに
より得られた小片を、前記熱硬化性樹脂のゲル化温度以
上であって且つ前記熱硬化性樹脂の硬化温度以下の温度
範囲にて加熱しながら撹拌する又は回転させつつ押し出
しするのであるが、これは、前記熱硬化性樹脂をゲル化
させて、フレーク形状、ペレット形状、グラニュール形
状、又はチップ形状に形成ための工程である。
【0022】なお、上記イ.に記載の如く、前記抄造シ
ートは、抄造した前記強化繊維に、前記熱硬化性樹脂を
含浸して形成したものであってもよい。このようにした
場合には、熱硬化性樹脂と強化繊維とを水中等において
分散させる必要がなくなり、均質な成形材料をより簡便
に製造することができる。勿論、上記ウ.に記載の如
く、前記抄造シートを、抄造した前記強化繊維に前記熱
硬化性樹脂を塗布して形成して実施してもよい。また、
強化繊維を均等に分散させるという意味では、上記エ.
に記載の如く、前記強化繊維の小塊を形成して、この小
塊に前記熱硬化性樹脂を含浸させるとか、上記オ.に記
載の如く、前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを含有す
る縣濁液をホモジェネートすることにより、玉小片とす
るように実施してもよい。すなわち、成形材料毎の物理
的特性を均質なものとすることができる。
【0023】これらの加熱した前記小片、前記玉小片、
又は前記小塊に適宜の溶剤を加えてこれを撹拌する又は
回転させつつ押し出しするのは、フレーク形状、ペレッ
ト形状、グラニュール形状、又はチップ形状のいずれか
に形成するためであり、かかる処理をすると、端縁から
起毛したように延びる強化繊維を丸めることができて本
発明に係る機械部品の成形作業を行い易くすることがで
き、そして、加熱加圧成形時に、強化繊維を縦横無尽に
絡ませることができて機械部品の強度アップと耐摩耗性
の向上が図れ、械部部品毎の質的バラツキの低減と精巧
なる成型性を確保できるようにするためでもある。
【0024】さらに、前記成形材料の一部ないし全部を
別途作成して保管しておき必要に応じてこれを使用する
ことができるため、当該機械部品の生産調整が極めて容
易になるのである。
【0025】すなわち、この請求項6に係る製造方法に
よれば、射出成形機、プレス成形機等に代表される樹脂
成形機のうちどれを使用しても、強化繊維が均等に分散
されて機械強度及び耐磨耗性に優れ、しかも精巧な機械
部品を再現性良く製造でき、これを廉価に提供すること
ができるのである。
【0026】さらに、抄造シートを1枚1枚重ね合わせ
る作業や、例えば機械部品がギヤーである場合を例にす
れば、成形後に歯切りする所謂後工程を施す必要がなく
かかる面倒な作業を省け、生産性の向上や人件費の低減
が図れるとか、特には小径のはすば内歯の樹脂ギヤーで
も後加工を施すことなく迅速高精度そして再現性よく成
形できるようになるのである。
【0027】さらにまた、従来のように例えば打ち抜き
屑(残材)が発生しないから、例えば抄造工程にフィー
ドバックさせて再度抄造する必要がなく、前記熱硬化性
樹脂及び前記強化繊維のいずれをも無駄なくすべて利用
することができるのである。
【0028】以上の請求項6に係る製造方法によれば、
従来一般的に行われていた製造方法に比して、強化繊維
に対する樹脂の重ね塗り作業を行う等の作業を省略する
ことができるだけでなく、強化繊維と熱硬化性樹脂との
均等分散化を簡単に行うことができ、最終的には、反り
やねじれを生じさせないで、軽量であり且つ機械強度及
び耐摩耗性に優れた樹脂製の機械部品を、精巧且つ確実
に、そして必要に応じて何時でも製造できることになる
のである。
【0029】請求項7に係る製造方法は、「前記成形材
料に含まれる前記強化繊維の割合が、15〜60重量%
の範囲内である」ところに特徴を有する請求項6に記載
の繊維強化樹脂製の機械部品の製造方法を、その要旨と
するものであり、最終製品たる機械部材の強度等を極め
て頑強にすることができてより実効性に優れるようにな
る。なお、15〜60重量%の強化繊維を含有した強化
繊維樹脂製の機械部材を、特にはその細部に至るまで精
巧でありかつ再現性よく製造できる方法はない。
【0030】勿論、上記の請求項6〜7のいずれかの製
造方法において、請求項8の発明のように、前記強化繊
維が、芳香族ポリアミド繊維、超高強力ポリエチレン繊
維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ガラス繊
維、炭化ケイ素繊維からなる群より選ばれたいずれか又
はその混合物であることが有利である。
【0031】また、上記の請求項6〜8のいずれかの製
造方法において、請求項9の発明のように、前記成形材
料に、滑り剤として、カーボン粉末、カーボン繊維、ふ
っ素樹脂粉末、ふっ素樹脂チップ、モリブデン粉末、又
はチタン酸カリウムウイスカのうちのいずれかがさらに
含まれせておくと、叙上の請求項に係る製造方法で得ら
れる作用に加えて、滑動性や摺動性に優れた機械部品が
成形できる、という作用が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、上記各請求項に係る発明
を、実施の形態に基づいて説明するが、請求項1〜4に
係る機械部品は、請求項5〜請求項10に係る製造方法
によって製造されるものであるため、以下では、製造方
法を中心にして説明する。なお、以下の実施例は代表的
なものを示したものであり、その要旨を越えない限り、
以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
すなわち、本発明の精神から逸脱しない範囲内におい
て、様々な設計変更を加えることは、本業界に携わるも
のにとって容易に理解されることである。
【0033】まず、主たる含有成分の一つである熱硬化
性樹脂であるが、これにはフェノール樹脂、ポリエステ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラ
ミン樹脂、ポリイミド樹脂が採用される。一方、強化繊
維は、芳香族ポリアミド繊維、超高強力ポリエチレン繊
維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ガラス繊
維、炭化ケイ素繊維等が採用される。
【0034】これらの強化繊維は、これを分散液中に投
入する際の繊維長が1.0mm〜6.0mm程度となる
ようにしておくことが好ましい。その理由は、分散液中
での分散を均等にするためと、これらの強化繊維に対す
る熱硬化性樹脂の付着を良好にするためである。勿論、
これらの強化繊維は、その含有割合が、前記成形材料全
体当たり15〜60重量%の範囲内となるように調整し
ておくことが重要である。
【0035】さて、以上のような熱硬化性樹脂と強化繊
維を主たる成分とする抄造シートを抄造する場合には、
この抄造は、水を分散液とした一般的な抄造方法によっ
て行えばよい。得られた抄造シートは、これを剪断機等
に掛けて載断することにより、平均面積が1cm2〜1
0cm2となるように小片化するのである。但し、載断
すべき抄造シートは、シート状に抄造した強化繊維に、
熱硬化性樹脂を含浸または塗布して形成して実施しても
よい。
【0036】得られた小片は、これを前記熱硬化性樹脂
のゲル化温度以上であって且つ前記熱硬化性樹脂の硬化
温度以下の温度範囲にて加熱し、さらに適宜の溶剤を加
えて撹拌する又は挽き肉を作製するように回転させつつ
押し出することにより、これをフレーク形状、ペレット
形状、グラニュール形状、又はチップ形状のいずれかに
形成するのである。この場合に使用される溶剤は、各小
片を上記のような形状にし易くするためのものである。
【0037】このように、フレーク形状、ペレット形
状、グラニュール形状、又はチップ形状のいずれかに形
成した熱硬化性成形材料のための小片は、前記強化繊維
の小塊に前記熱硬化性樹脂を含浸させて形成してもよい
し、前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを含有する縣濁
液をホモジェネートして玉小片となしてもよい。本発明
に係る方法を実施するにあたり、熱硬化性樹脂は、溶媒
に分散させることができれば特に限定するものではない
が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂若しくはジアリルフ
タレート樹脂のごとき、水に対して分散できる熱硬化性
樹脂であると、抄造シートを抄造するときに水を溶媒と
して使用できるから、好適である。なお、熱硬化性樹脂
としてフェノール樹脂を使用する場合を例にして説明す
ると、その粉末の粒径は1〜30μmが適当である。ま
た、溶媒として有機溶媒を使用して抄造シートを抄造し
てもよいが、有機溶媒の安全性等に問題があるから、で
きる限り避けたい。
【0038】強化繊維としては、ガラス繊維、ガラスパ
ウダー、アラミド繊維、アラミドパルプ等が例示でき、
これらの単独、或いは2種以上の混合物として使用され
る。
【0039】滑り剤として例えばカーボン粉末を使用す
る場合には、カーボン粉末の粒径は1〜50μmが適当
であるが、抄造するときに分散させることができればそ
の粒径を特に限定するものではない。また、カーボン粉
末に代えて、カーボン繊維、ふっ素樹脂粉末、ふっ素樹
脂チップ、モリブデン粉末、又はチタン酸カリウムウイ
スカのごとき他の滑り剤を使用しても構わないし、抄造
に際しては、他の充填材や添加剤を適宜配合してもよ
い。
【0040】次に、以下の配合例に係る実施例1と実施
例2の強度試験を、強度測定機(株式会社島津製作所製
の万能試験機)によって、次の従来例と比較して行った
結果以下の通りであった。 比較例;市販インジェクション材であるフェノール樹脂
材料で、ガラス繊維を55w%含有したものを採用し
た。
【0041】以上のような配合をしたものを水分散させ
て抄造シートを制作し、それぞれ平均面積が4cm2
なる小片化を行い、これらをミキサーで撹拌することに
より、それぞれが直径3mmで長さが7mm程度の「ピ
ン」形状のものを制作した。このピン形状の成形材料を
成形して、図1に模式的に示す歯車を得た。
【0042】これを上記強度試験機に掛けて、強度を測
定したところ、以下の結果を得た。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る機械部品の製造方法、及び
これによって製造された機械部品によれば、次のような
優れた具体的効果を発揮する。
【0044】本発明に係る製造方法によれば、特に、機
械部品が肉厚みのものである場合、従来は、この肉厚み
を確保すべくシート状の基材の複数枚を重ね合わせする
ことになって抄造シートを皺がよらないよう一枚一枚揃
えて積み重ねる作業には膨大な工数を要するために誠に
面倒でその作業性が悪く、成形体を複雑な形状に加工で
きないとか、従来のように、シート基材に張力がかけら
れることが原因となって機械部品の反りやねじれの変形
が起きるとか、例えば細い穴を成形できないとか細部を
精巧に成形できない等の問題があったのであるが、本発
明に係る熱硬化性成形材料の製造方法によれば、これら
の問題は全く生じないことになる。
【0045】また、本発明に係る製造方法によれば、熱
硬化性樹脂にカーボン粉末、フッソ樹脂粉末、フッソ樹
脂チップ、モリブデン粉末、あるいはチタン酸カリウム
ウイスタのごとき滑り剤を添加しても、これらを均一に
分散させることができる。
【0046】さらに、本発明に係る製造方法によれば、
中に含まれる強化繊維の配向方向をランダムにできしか
も複雑に絡み合わせることができる。従って、本発明に
係る製造方法によって製造された機械部品は、当初期待
した通りの強度や耐摩耗性をもったものとして成形し得
るのであり、さらに、線膨張係数が小さくて変形しにく
く、吸湿性が低くて変質し難くかつ耐熱性にも優れ、し
かも細部形状を精巧に成形できることになるのである。
【0047】以上、詳述した通り、 従来は簡単には成
形できなかった「内歯樹脂ギヤー」であっても極めて簡
単、迅速、及び精巧に成形できる。すなわち、歯形が内
歯であるとか外歯であるとか、或いは平歯であるとかは
すばであるとかには関係なく製造でき、これらを廉価に
提供できるので、極めて実効性に優れているものである
といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、強度試験を実施した実施例の歯車を
模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…歯車 5…歯 10…ピン(φ3ピン)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂と強化繊維を主たる含有成
    分とする成形材料を加熱加圧成形してなる繊維強化樹脂
    製の機械部品であって、 前記強化繊維が、当該機械部品全体当たり15〜60重
    量%の割合で含有されていることを特徴とする繊維強化
    樹脂製の機械部品。
  2. 【請求項2】 前記成形材料が、 ア.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維を主たる成分とす
    る抄造シートを抄造し、 この抄造シートを小片化して得られる小片、 イ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸し
    て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 ウ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を塗布し
    て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 エ.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを含有する縣濁
    液をホモジェネートして得られる玉小片、 オ.前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸して得られ
    る小塊、からなる群より選ばれたいずれか又は2種以上
    の混合物に、適宜の溶剤を加え、前記熱硬化性樹脂のゲ
    ル化温度以上であって且つ前記熱硬化性樹脂の硬化温度
    以下の温度範囲にて加熱しながら撹拌する又は回転させ
    つつ押し出すことにより、フレーク形状、ペレット形
    状、グラニュール形状、又はチップ形状に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂製の
    機械部品。
  3. 【請求項3】 前記繊維強化樹脂製の機械部品におい
    て、 前記強化繊維が、芳香族ポリアミド繊維、超高密度ポリ
    エチレン繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、
    ガラス繊維、炭化ケイ素繊維からなる群より選ばれたい
    ずれか又はこれらの混合物であることを特徴とする請求
    項1又は2に繊維強化樹脂製の機械部品。
  4. 【請求項4】 前記繊維強化樹脂製の機械部品におい
    て、 滑り剤として、カーボン粉末、カーボン繊維、ふっ素樹
    脂粉末、ふっ素樹脂チップ、モリブデン粉末、又はチタ
    ン酸カリウムウイスカのうちのいずれかがさらに含まれ
    ていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の繊維強化樹脂製の機械部品。
  5. 【請求項5】 前記繊維強化樹脂製の機械部品におい
    て、 前記機械部品が、スペーサー、インシュレータ、ガスケ
    ット、スラストワッシャー、スラストベアリング、ギヤ
    ー、ボビン、ピストン部材、シリンダー部材、ボルト、
    ナット、プーリー、ポンプ部材、軸受け、シャフト、カ
    ップリング、ローラー、カム、カバー、ハウジング、プ
    レート材、インペラー、パッキン、絶縁部材、又は導電
    部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の繊維強化樹脂製の機械部品。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂と強化繊維を主たる含有成
    分とする成形材料を加熱加圧成形する工程を経る繊維強
    化樹脂製の機械部品の製造方法であって、 前記成形材料が、 ア.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維を主たる成分とす
    る抄造シートを抄造し、 この抄造シートを小片化して得られる小片、 イ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸し
    て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 ウ.抄造した前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を塗布し
    て形成した抄造シートを小片化して得られる小片、 エ.前記熱硬化性樹脂と前記強化繊維とを含有する縣濁
    液をホモジェネートして得られる玉小片、 オ.前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸して得られ
    る小塊、からなる群より選ばれたいずれか又は2種以上
    の混合物に、適宜の溶剤を加え、前記熱硬化性樹脂のゲ
    ル化温度以上であって且つ前記熱硬化性樹脂の硬化温度
    以下の温度範囲にて加熱しながら撹拌する又は回転させ
    つつ押し出すことにより、フレーク形状、ペレット形
    状、グラニュール形状、又はチップ形状に形成されてい
    ることを特徴とする繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
    法において、 前記成形材料に含まれる前記強化繊維の割合が、15〜
    60重量%の範囲内であることを特徴とする請求項6に
    記載の繊維強化樹脂製の機械部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
    法において、 前記強化繊維が、芳香族ポリアミド繊維、超高強力ポリ
    エチレン繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、
    ガラス繊維、炭化ケイ素繊維からなる群より選ばれたい
    ずれか又は2種以上の混合物であることを特徴とする請
    求項6又は7に記載の繊維強化樹脂製の機械部品の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
    法において、 前記成形材料に、滑り剤として、カーボン粉末、カーボ
    ン繊維、ふっ素樹脂粉末、ふっ素樹脂チップ、モリブデ
    ン粉末、又はチタン酸カリウムウイスカのうちのいずれ
    かがさらに含まれていることを特徴とする請求項6〜8
    のいずれかに記載の繊維強化樹脂製の機械部品の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記機械部品が、スペーサー、インシ
    ュレータ、ガスケット、スラストワッシャー、スラスト
    ベアリング、ギヤー、ボビン、ピストン部材、シリンダ
    ー部材、ボルト、ナット、プーリー、ポンプ部材、軸受
    け、シャフト、カップリング、ローラー、カム、カバ
    ー、ハウジング、プレート材、インペラー、パッキン、
    絶縁部材、又は導電部材であることを特徴とする請求項
    6〜9のいずれかに記載の繊維強化樹脂製の機械部品の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6767491B2 (en) 2000-07-27 2004-07-27 Koyo Seiko Co., Ltd. Electric power steering apparatus
JP2012180415A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Sumitomo Bakelite Co Ltd 繊維樹脂複合構造体の製造方法および成形体の製造方法
JP2013018859A (ja) * 2011-07-11 2013-01-31 Toray Ind Inc 炭素繊維強化プラスチックおよびその製造方法

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