JPH11246676A - Frp成形品及びその製造方法 - Google Patents

Frp成形品及びその製造方法

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JPH11246676A
JPH11246676A JP10049119A JP4911998A JPH11246676A JP H11246676 A JPH11246676 A JP H11246676A JP 10049119 A JP10049119 A JP 10049119A JP 4911998 A JP4911998 A JP 4911998A JP H11246676 A JPH11246676 A JP H11246676A
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JP
Japan
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resin
molded product
fibers
frp molded
nonwoven fabric
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Application number
JP10049119A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Ise
哲郎 伊勢
Fusaichi Koizumi
房一 小泉
Eiji Hara
永治 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HORIUCHI KIKAI KK
Lignyte Co Ltd
Horiuchi Machinery Co Ltd
Original Assignee
HORIUCHI KIKAI KK
Lignyte Co Ltd
Horiuchi Machinery Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by HORIUCHI KIKAI KK, Lignyte Co Ltd, Horiuchi Machinery Co Ltd filed Critical HORIUCHI KIKAI KK
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油漏れの発生を低減することができるウエア
リングとして好適に使用することができるFRP成形品
を提供する。 【解決手段】 有機繊維の不織布を基材11とし、エポ
キシ樹脂と不飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバイン
ダー樹脂にグラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化
エチレン樹脂、窒化ホウ素から選ばれる充填材を一種以
上配合して調製した樹脂組成物14が含浸硬化されてい
る。そしてこれがリング状に成形されて形成されてい
る。このFRP成形品は高い弾性回復力を有すると共に
高い耐摩耗性を有するものであり、油圧シリンダーのピ
ストンのウエアリングとして使用するにあたって、シリ
ンダーチューブの内面のひずみに追随して変形すること
ができると共に摩耗が発生し難くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧シリンダーの
ピストンの外周に取り付けて使用されるウエアリング等
として用いられるFRP成形品及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図4は油圧シリンダーの一例を示すもの
であり、1はシリンダーチューブ、2はヘッドカバー、
3はロッドカバー、4はピストンロッド、5はピストン
であり、ピストン5の外周にはピストンパッキン6及び
ウエアリング7が取り付けてある。この油圧シリンダー
にあって、ヘッドカバー2に設けた油流通孔8から油が
注入されると、油圧によってピストン5が押圧され、ピ
ストンロッド4が矢印方向へ移動するようになってい
る。そして油流通孔8から注入される油がピストン5の
外周とシリンダーチューブ1との間から漏れることを防
止するために、ピストン5の外周に上記のようにピスト
ンパッキン6及びウエアリング7が取り付けてあり、ピ
ストン5はピストンパッキン6やウエアリング7がシリ
ンダーチューブ1の内面を摺動しながら移動するように
なっている。
【0003】ここで、上記のウエアリング7はFS鋳物
や青銅、あるいはフェノール樹脂成形品で作製されたも
のを用いるのが一般的である。このフェノール樹脂成形
品としては、綿布を基材とし、綿布にフェノール樹脂組
成物を含浸して成形したものが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリンダーチ
ューブ1の内面にはひずみやうねりなどが残っている場
合があり、このようにシリンダーチューブ1の内面にひ
ずみ等があると、従来のFS鋳物や青銅あるいはフェノ
ール樹脂成形品で作製されたウエアリング7ではこのひ
ずみに追随して変形することができず、ウエアリング7
に摩耗が発生し、またシリンダーチューブ1の内面がウ
エアリング7で損傷されるおそれもあり、ピストン5の
外周とシリンダーチューブ1の内周との間で油漏れが発
生するという問題があった。ピストン5とシリンダーチ
ューブ1の間を漏れた油は、ロッドカバー3に設けた導
出孔9から流出するようになっている。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、油漏れの発生を低減することができるウエアリン
グとして好適に使用することができるFRP成形品及び
その製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るFRP成形
品は、有機繊維の不織布を基材とし、エポキシ樹脂と不
飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバインダー樹脂にグ
ラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化エチレン樹
脂、窒化ホウ素から選ばれる充填材を一種以上配合して
調製した樹脂組成物が含浸硬化されていると共にリング
状に成形されて成ることを特徴とするものである。
【0007】また請求項2の発明は、有機繊維の不織布
は、レーヨン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊
維、アラミド繊維、ビニロン繊維から選ばれる一種以上
の繊維の不織布であることを特徴とするものである。ま
た請求項3の発明は、有機繊維の不織布は、パルプ繊維
の不織布であることを特徴とするものである。
【0008】また請求項4の発明は、グラファイトは粒
径が6〜25μm、二硫化モリブデンは粒径が0.5〜
15μm、四フッ化エチレン樹脂は粒径が0.5〜50
0μm、窒化ホウ素は粒径が0.5〜4.0μmである
ことを特徴とするものである。また請求項5の発明は、
バインダー樹脂100重量部に対して充填材が2〜25
重量部配合されていることを特徴とするものである。
【0009】本発明に係るFRP成形品の製造方法は、
エポキシ樹脂と不飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバ
インダー樹脂にグラファイト、二硫化モリブデン、四フ
ッ化エチレン樹脂、窒化ホウ素から選ばれる粒子を一種
以上配合して樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を有
機繊維の不織布に含浸し、これをマンドレルに巻き付け
た後に、樹脂組成物を硬化させることを特徴とするもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明においては、基材として有機繊維の不織布
を用いる。この有機繊維の不織布としては、レーヨン繊
維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊
維、ビニロン繊維を一種あるは二種以上用いて作製した
再生繊維あるいは合成繊維の不織布や、パルプ繊維の不
織布を用いるのが好ましい。これらの不織布は目付けが
10〜150g/m2 のものを使用することができ、な
かでもメッシュ状に抄いて作製したものが好ましい。
【0011】不織布は組織が粗であり、後述のように不
織布を基材として樹脂組成物を含浸させるにあたって、
樹脂や充填材が入り易くなり、樹脂組成物の含有率の高
いFRP成形品を製造することができ、弾性復元力が大
きくや耐摩耗性の高いFRP成形品を得ることができる
ものである。不織布のなかでも抄きあがった状態がメッ
シュ状のものは、樹脂や充填材が良好に入るために好ま
しいが、メッシュ状の不織布は孔の比率が表面の面積比
率で10〜35%になっているものが好ましい。孔の比
率が35%を超えるメッシュ状の不織布では樹脂や充填
材の量が多くなり過ぎて、ボイド発生の原因になるため
に好ましくない。
【0012】また本発明ではバインダー樹脂として、エ
ポキシ樹脂と不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一方
を用いるものである。油圧シリンダーに用いられる油に
対する耐油性が高く、また油圧シリンダーは90℃近く
まで温度上昇があるので耐熱性が高いエポキシ樹脂や不
飽和ポリエステル樹脂を用いるのが好ましいのである。
不飽和ポリエステル樹脂のなかでも、耐油性や耐熱性が
特に高いビスフェノール型不飽和ポリエステル樹脂を用
いるのが好ましい。このビスフェノール型不飽和ポリエ
ステル樹脂としては次の構造式を繰り返し単位とするも
のを用いることができる。
【0013】
【化1】
【0014】さらに本発明において充填材としては、グ
ラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化エチレン樹
脂、窒化ホウ素のうち、一種あるいは二種以上を用いる
ものである。これらの充填材を配合してFRP成形品を
製造することによって、FRP成形品の表面滑性を高め
ることができ、FRP成形品の耐摩耗性を高めることが
できるものである。そしてこれらの充填材の粒径は、グ
ラファイトが6〜25μm、二硫化モリブデンが0.5
〜15μm、四フッ化エチレン樹脂が0.5〜500μ
m、窒化ホウ素が0.5〜4.0μmの範囲であること
が好ましい。これらの充填材の粒径がこの範囲未満であ
ると、充填材の表面積が大きくなるため、多量に配合す
ると樹脂組成物の粘度が上昇し、不織布への含浸性が悪
くなってエアーボイドが発生するおそれがある。逆にこ
れらの充填材の粒径がこの範囲を超えると、充填材がF
RP成形品の表面に表れて表面が平滑なFRP成形品を
得ることが難しくなる。
【0015】上記のバインダー樹脂にこれらの充填材を
配合し、さらに硬化剤及び、必要に応じて硬化促進剤等
を配合し、これを混合することによって樹脂組成物を調
製することができるものである。充填材の配合量は、バ
インダー樹脂100重量部に対して2〜25重量部の範
囲が好ましい。充填材の配合量が2重量部未満である
と、上記のような充填材の配合による効果を十分に得る
ことができない。また充填材の配合量が25重量部を超
えると、樹脂組成物の粘度が上昇して不織布への含浸性
が悪くなり、エアーボイドが発生するおそれがあって好
ましくない。
【0016】図1はFRP成形品の製造の一例を示すも
のであり、不織布の長尺の基材11をロールから繰り出
し、テンションロール12に通した後に基材11を含浸
バット13に送るようにしてある。含浸バット13内に
は上記のように調製した液状の樹脂組成物14が供給し
てあり、基材11をディッピングバー15の下側を通過
させることによって、基材11に含浸バット13内の樹
脂組成物14を含浸させる。そしてこのように樹脂組成
物14を含浸した基材11を円筒状のマンドレル16に
所定厚みにまで巻き付ける。このときブレード17で基
材11をマンドレル16に押し付けると共に余分な樹脂
組成物14をスクイズするようにしてある。
【0017】上記のようにして、図2(a)のように樹
脂組成物14を含浸した基材11をマンドレル16に巻
き付けた後、これを60〜90℃程度の温度で1〜3時
間程度加熱することによって、樹脂組成物14中の樹脂
を硬化させ、マンドレル16から抜くことによって図2
(b)のような円筒状成形品18を得ることができる。
そしてこの円筒状成形品18を所定寸法に切断すること
によって、リング状のFRP成形品Aを得ることができ
るものである。
【0018】上記のようにして得られるリング状のFR
P成形品Aは図3に示すような、油圧シリンダーのピス
トン5の外周に取り付けて使用されるウエアリング7と
して用いることができる。図3はウエアリング7として
用いるFRP成形品Aの一例を示すものであり、旋盤加
工して外径d=40〜200mmφ、厚みt=2.0〜
5.0mm、幅w=8〜25mmの寸法に形成し、θ=
45°の角度で1mm幅のスリット19をカットして設
けてある。
【0019】このように形成したウエアリング7は、高
い弾性回復力を有し、また高い耐摩耗性を有するもので
あり、シリンダーチューブ1の内面のひずみに追随して
変形することができると共に摩耗が発生し難く、ピスト
ン5とシリンダーチューブ1との間での油漏れが発生す
ることを防止することができるものである。尚、本発明
に係るFRP成形品Aは、このような油圧シリンダーの
ピストン5のウエアリング7の他に、各種の摺動材や軸
受け材、ブレード等、その他、ロールのダストクリーニ
ング等の用途にも使用することができるものである。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 (実施例1)ビスフェノール型ポリエステル樹脂(日本
ユピカ株式会社製「ユピカ5834」)100重量部
に、充填材として粒径6μmのグラファイト(西村黒鉛
株式会社製「PS−85)を15重量部、硬化剤として
メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO:火薬
アグゾ社製「カヤメック」)を1.5重量部配合し、こ
れを脱泡万能混合機にて3分間混合して樹脂組成物を調
製した。
【0021】一方、ポリエステル繊維不織布(目付け4
9g/m2 、孔比率20%メッシュ状不織布)を基材と
して用い、上記の樹脂組成物に0.5m/minの速度
で通して基材に樹脂組成物を60.2重量%の含浸量で
含浸させると共にマンドレルに6.6mmの厚みになる
ように巻き付けた後、これを70℃、2時間の条件で加
熱硬化させることによって、内径が57.9mmφ、肉
厚が6.5mmの筒状成形品を得た。
【0022】そしてこの筒状成形品を旋盤加工すること
によって、外径63mmφ、内径58mm、幅15mm
の寸法で、1mm幅の45°のスリットをカットして設
けた図3のようなFRP成形品を得た。 (実施例2)充填材として粒径25μmのグラファイト
(西村黒鉛株式会社製「20085」)を17重量部配
合するようにした他は、実施例1と同様にして樹脂組成
物を調製し、後は実施例1と同様にしてFRP成形品を
得た。
【0023】(実施例3)充填材として粒径0.5μm
の四フッ化エチレン樹脂(株式会社喜多村製「KTL−
500F」)を18重量部配合するようにした他は、実
施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、後は実施例1
と同様にしてFRP成形品を得た。 (実施例4)充填材として粒径30μmの四フッ化エチ
レン樹脂(株式会社喜多村製「KTL−350」)を1
8重量部配合するようにした他は、実施例1と同様にし
て樹脂組成物を調製し、後は実施例1と同様にしてFR
P成形品を得た。
【0024】(実施例5)充填材として粒径0.5〜
5.0μmの二硫化モリブデン(ニチモリ株式会社製)
を15重量部配合するようにした他は、実施例1と同様
にして樹脂組成物を調製し、後は実施例1と同様にして
FRP成形品を得た。 (実施例6)充填材として粒径0.5〜4.0μmの窒
化ホウ素(電気化学工業株式会社製)を16重量部配合
するようにした他は、実施例1と同様にして樹脂組成物
を調製し、後は実施例1と同様にしてFRP成形品を得
た。
【0025】(実施例7)エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ株式会社製「エピコート815」)100重量部
に、充填材として粒径6μmのグラファイト(西村黒鉛
株式会社製「PS−85)を15重量部、硬化剤として
ジアミノジフェニルメタンを10重量部配合し、これを
脱泡万能混合機にて3分間混合して樹脂組成物を調製し
た。後は実施例1と同様にしてFRP成形品を得た。
【0026】(実施例8)充填材としてグラファイトの
代わりに粒径30μmの四フッ化エチレン樹脂(株式会
社喜多村製「KTL−350」)を14重量部配合する
ようにした他は、実施例7と同様にして樹脂組成物を調
製し、後は実施例1と同様にしてFRP成形品を得た。
【0027】(実施例9)基材としてレーヨン繊維不織
布(株式会社クラレ製「ASK−1090」:目付け8
4g/m2 )を用い、また充填材としてグラファイトの
代わりに粒径30μmの四フッ化エチレン樹脂(株式会
社喜多村製「KTL−350」)を14重量部配合して
調製した樹脂組成物を用いるようにした他は、実施例1
と同様にしてFRP成形品を得た。
【0028】(実施例10)基材としてレーヨン繊維5
0重量%、ビニロン繊維50重量%の混抄スパンレース
不織布(株式会社クラレ製「NADK−1090」:目
付け84g/m2 )を用い、また充填材としてグラファ
イトの代わりに粒径30μmの四フッ化エチレン樹脂
(株式会社喜多村製「KTL−350」)を14重量部
配合して調製した樹脂組成物を用いるようにした他は、
実施例1と同様にしてFRP成形品を得た。
【0029】(実施例11)基材としてメタ型アラミド
繊維(帝人株式会社製「コーネックス」)の不織布(帝
人株式会社製「CW−1070」:目付け54g/
2 )を用い、また充填材としてグラファイトの代わり
に粒径30μmの四フッ化エチレン樹脂(株式会社喜多
村製「KTL−350」)を14重量部配合して調製し
た樹脂組成物を用いるようにした他は、実施例1と同様
にしてFRP成形品を得た。
【0030】(実施例12)基材としてビニロン繊維不
織布(株式会社クラレ製「BSK−1090」:目付け
84g/m2 )を用い、また充填材としてグラファイト
の代わりに粒径30μmの四フッ化エチレン樹脂(株式
会社喜多村製「KTL−350」)を14重量部配合し
て調製した樹脂組成物を用いるようにした他は、実施例
1と同様にしてFRP成形品を得た。
【0031】(実施例13)基材としてポリエステル繊
維50重量%、ナイロン繊維50重量%の混抄スパンレ
ース不織布(目付け80g/m2 )を用い、また充填材
としてグラファイトの代わりに粒径30μmの四フッ化
エチレン樹脂(株式会社喜多村製「KTL−350」)
を15重量部配合して調製した樹脂組成物を用いるよう
にした他は、実施例1と同様にしてFRP成形品を得
た。
【0032】(実施例14)基材としてパルプ繊維不織
布(本州製紙株式会社製「キノクロスKS40」:目付
け40g/m2 )を用い、また充填材としてグラファイ
トの代わりに粒径6μmのグラファイト(西村黒鉛株式
会社製「PS−85」)を16重量部配合して調製した
樹脂組成物を用いるようにした他は、実施例1と同様に
してFRP成形品を得た。
【0033】(比較例1)基材として、40番双糸を縦
糸及び横糸として、縦糸の打ち込み本数を53本/イン
チ、横糸の打ち込み本数を50本/インチで平織して作
製した綿布を用い、これにアンモニアレゾール型フェノ
ール樹脂(リグナイト株式会社製「R−5」)の65%
固形分メタノールワニスを樹脂含浸量56重量%で含浸
させ、100℃で6分間加熱乾燥することによってプリ
プレグを調製した。これをマンドレルに巻き付け、13
5℃、13時間の条件で加熱硬化させることによって、
内径が57.9mmφ、肉厚が6.7mmの筒状成形品
を得た。後はこの筒状成形品を旋盤加工して、実施例1
と同じ寸法のFRP成形品を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】上記のようにして得た実施例1〜14及び
比較例1のFRP成形品について物性を測定した。ここ
で、密度、圧縮強さ(層に垂直方向に荷重)、圧縮強さ
(層に平行方向に荷重)の測定はJIS K 6911
に準拠して行ない、熱変形温度の測定はJIS K 7
202に準拠して行ない、摩擦係数の測定は大阪府立産
業技術総合研究所のピンオンディスク型で行なった。こ
れらの結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3にみられるように、各実施例のものは
摩擦係数が比較例1のものより小さく、耐摩耗性が高い
ことが確認される。また、実施例2、4、6、8、1
0、12及び比較例1について、荷重変形量をJIS
K 7208に準拠して測定した。結果を表4に示す。
表4にみられるように、比較例1のものでは荷重が15
kgf/mm2 を超えると永久変形し、脆く弾性回復力
が低いが、各実施例のものでは、永久変形に至る荷重が
大きく、高い弾性回復力を有することが確認される。
【0039】
【表4】
【0040】次に、実施例1乃至14及び比較例1で得
たFRP成形品をウエアリングとして用い、図5に示す
装置で耐久試験を行なった。すなわち、図4のようにピ
ストン5の外周に一対のウエアリング7を装着すると共
に、ステンレス製のシリンダーチューブ1を用いて形成
した一対の油圧シリンダーA,Aを使用し、各油圧シリ
ンダーA,Aをロッドカバー3側で対向配置して、各油
圧シリンダーA,Aのピストンロッド4,4の先端同士
を治具20で接続してある。また各油圧シリンダーA,
Aのヘッドカバー2に取着したクレビス21を基台22
に立設した支持柱23に上下方向に回動自在に枢支して
ある。そして治具20に設けたスライダー24を基台2
2の上面のスライド面25にスライド自在に圧接させ
て、治具20の箇所に矢印方向に241kgfの荷重を
掛けることによって、ピストン5のウエアリング7に変
形荷重を加えた状態で、各油圧シリンダーA,Aを作動
させてピストンロッド4,4を左右に往復移動させた。
往復移動の片道1ストロークは300mmである。
【0041】そして、治具20が総計5km走行するよ
うに各油圧シリンダーA,Aを作動させた時点で、比較
例1のウエアリング7を用いた油圧シリンダーAにおい
てロッドカバー3の導出孔9から油が流出し、ピストン
5とシリンダーチューブ1の間に油漏れが発生したこと
が確認された。この油圧シリンダーAを分解して比較例
1のウエアリング7を観察したところ、局部的に黒くな
っており、またシリンダーチューブ1の内面に傷が発生
していた。これに対して、この5km走行時点では各実
施例のウエアリング7を用いた油圧シリンダーAでは油
漏れは発生していない。
【0042】また、治具20が総計150km走行した
時点でも各実施例のウエアリング7を用いた油圧シリン
ダーAで油漏れは発生しなかった。油圧シリンダーAを
分解して各実施例のウエアリング7を観察したところ、
異常はみられず、シリンダーチューブ1の内面に傷は発
生していなかった。さらに治具20が総計300km走
行した時点でも各実施例のウエアリング7を用いた油圧
シリンダーAで油漏れは発生しなかった。油圧シリンダ
ーAを分解して各実施例のウエアリング7を観察したと
ころ、異常はみられず、シリンダーチューブ1の内面に
傷は発生していなかった。
【0043】このように、各実施例で作製したウエアリ
ング7は、シリンダーチューブ1の内面のひずみに追随
して変形することができ、またウエアリング7には摩耗
が発生し難く、ピストン5とシリンダーチューブ1との
間での油漏れが発生することを防止することができるも
のであり、油圧シリンダーAの耐久性を高めることがで
きるものであった。
【0044】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るF
RP成形品は、有機繊維の不織布を基材とし、エポキシ
樹脂と不飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバインダー
樹脂にグラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化エチ
レン樹脂、窒化ホウ素から選ばれる充填材を一種以上配
合して調製した樹脂組成物が含浸硬化されていると共に
リング状に成形されて成ることを特徴とするものであ
り、このFRP成形品は高い弾性回復力を有すると共に
高い耐摩耗性を有するものであり、FRP成形品を油圧
シリンダーのピストンのウエアリングとして使用するに
あたって、シリンダーチューブの内面のひずみに追随し
て変形することができると共に摩耗が発生し難く、ピス
トンとシリンダーチューブとの間での油漏れが発生する
ことを防止することができるものである。
【0045】また請求項2の発明は、有機繊維の不織布
は、レーヨン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊
維、アラミド繊維、ビニロン繊維から選ばれる一種以上
の繊維の不織布であることを特徴とするものであり、こ
れらの繊維は特に弾性復元力が高く、ピストンとシリン
ダーチューブとの間での油漏れが発生することを防止す
る効果を高く得ることができるものである。
【0046】また請求項3の発明は、有機繊維の不織布
はパルプ繊維の不織布であることを特徴とするものであ
り、パルプ繊維の不織布は紙とは異なり弾性復元力を有
し、ピストンとシリンダーチューブとの間での油漏れが
発生することを防止する効果を高く得ることができるも
のである。また請求項4の発明は、グラファイトは粒径
が6〜25μm、二硫化モリブデンは粒径が0.5〜1
5μm、四フッ化エチレン樹脂は粒径が0.5〜500
μm、窒化ホウ素は粒径が0.5〜4.0μmであるこ
とを特徴とするものであり、樹脂組成物の粘度が上昇し
て不織布への含浸性が悪くなってエアーボイドが発生す
るようなおそれなく、充填材の配合による耐摩耗性向上
の効果を高く得ることができるものである。
【0047】また請求項5の発明は、バインダー樹脂1
00重量部に対して充填材が2〜25重量部配合されて
いることを特徴とするものであり、樹脂組成物の粘度が
上昇して不織布への含浸性が悪くなってエアーボイドが
発生するようなおそれなく、充填材の配合による耐摩耗
性向上の効果を高く得ることができるものである。本発
明の請求項6に係るFRP成形品の製造方法は、エポキ
シ樹脂と不飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバインダ
ー樹脂にグラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化エ
チレン樹脂、窒化ホウ素から選ばれる粒子を一種以上配
合して樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を有機繊維
の不織布に含浸し、これをマンドレルに巻き付けた後
に、樹脂組成物を硬化させることを特徴とするものであ
り、有機繊維の不織布への樹脂組成物の含浸と、マンド
レルへの巻き付けの作業を一連の工程で行なうことがで
き、上記のような高い弾性回復力を有すると共に高い耐
摩耗性を有するFRP成形品の製造を少ない工数で行な
うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るFRP成形品の製造の工程の一例
を示す概略図である。
【図2】本発明に係るFRP成形品の製造の工程の一例
を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図で
ある。
【図3】同上のウエアリングを示すものであり、(a)
は正面図、(b)は側面図である。
【図4】油圧シリンダーの一例を示すものであり、
(a)は断面図、(b)は一部の拡大した断面図であ
る。
【図5】耐久試験を示す正面図である。
【符号の説明】
11 基材 14 樹脂組成物 16 マンドレル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 63:00 67:00 105:08 B29L 31:26 (72)発明者 原 永治 大阪府堺市築港新町2丁5番 リグナイト 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機繊維の不織布を基材とし、エポキシ
    樹脂と不飽和ポリエステル樹脂から選ばれるバインダー
    樹脂にグラファイト、二硫化モリブデン、四フッ化エチ
    レン樹脂、窒化ホウ素から選ばれる充填材を一種以上配
    合して調製した樹脂組成物が含浸硬化されていると共に
    リング状に成形されて成ることを特徴とするFRP成形
    品。
  2. 【請求項2】 有機繊維の不織布は、レーヨン繊維、ナ
    イロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロ
    ン繊維から選ばれる一種以上の再生繊維又は合成繊維の
    不織布であることを特徴とする請求項1に記載のFRP
    成形品。
  3. 【請求項3】 有機繊維の不織布は、パルプ繊維の不織
    布であることを特徴とする請求項1に記載のFRP成形
    品。
  4. 【請求項4】 グラファイトは粒径が6〜25μm、二
    硫化モリブデンは粒径が0.5〜15μm、四フッ化エ
    チレン樹脂は粒径が0.5〜500μm、窒化ホウ素は
    粒径が0.5〜4.0μmであることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載のFRP成形品。
  5. 【請求項5】 バインダー樹脂100重量部に対して充
    填材が2〜25重量部配合されていることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載のFRP成形品。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂と不飽和ポリエステル樹脂
    から選ばれるバインダー樹脂にグラファイト、二硫化モ
    リブデン、四フッ化エチレン樹脂、窒化ホウ素から選ば
    れる粒子を一種以上配合して樹脂組成物を調製し、この
    樹脂組成物を有機繊維の不織布に含浸し、これをマンド
    レルに巻き付けた後に、樹脂組成物を硬化させることを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のFRP成
    形品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101097683B1 (ko) 2011-07-12 2011-12-22 윤영직 웨어링 제조방법 및 장치
WO2015111574A1 (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 オイレス工業株式会社 摺動部材

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JPWO2015111574A1 (ja) * 2014-01-22 2017-03-23 オイレス工業株式会社 摺動部材

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