JPH11246418A - 脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善剤 - Google Patents

脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善剤

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JPH11246418A
JPH11246418A JP10046755A JP4675598A JPH11246418A JP H11246418 A JPH11246418 A JP H11246418A JP 10046755 A JP10046755 A JP 10046755A JP 4675598 A JP4675598 A JP 4675598A JP H11246418 A JPH11246418 A JP H11246418A
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JP
Japan
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ganglioside
brain
amount
learning behavior
gangliosides
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Application number
JP10046755A
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English (en)
Inventor
Norinobu Matsubara
範宜 松原
Yoshihiro Ikeuchi
義弘 池内
Hiroaki Matsuyama
博昭 松山
Shuichi Yanagidaira
修一 柳平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動
改善の効果を有する医薬及び飲食品を提供する。 【解決手段】 ガングリオシドGM3やガングリオシド
GD3等のガングリオシドを有効成分とし、これを医薬
や飲食品に配合する。経口的に摂取することにより、効
果を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガングリオシドを
有効成分とする脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習
行動改善剤に関する。また、本発明は、ガングリオシド
を配合することにより脳中ガングリオシド量減少抑制及
び学習行動改善機能を賦与した医薬及び飲食品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガングリオシドは、その糖鎖部分にシア
ル酸を有するスフィンゴ糖脂質の総称であり、細胞の表
層に存在して、細胞相互間の認識や細胞の分化、誘導
等、様々な生理機能を果たしていると考えられている。
また、コレラトキシンに対する中和作用を有すること(J
ournal of Membrane Biology, vol.69, pp.85-97, 198
2)、ボツリヌス菌が産生する毒素に対する中和作用を有
すること (Biochemica etBiophisica, vol.628, pp.328
-335, 1980)、破傷風菌が産生する毒素に対する中和作
用を有すること(Journal of Biological Chemistry, vo
l.255, pp.2402-2407, 1981)等も知られている。さら
に、生体内で種々のホルモンやインターフェロン等に対
するレセプター機能を発揮することが知られている。
【0003】このガングリオシドは、各臓器に普遍的に
存在しているが、特に、神経系に多く含まれている。そ
して、脳の進化の過程や脳組織構築の過程で、ガングリ
オシドは特徴的な変化を示している。例えば、神経系の
ガングリオシドは、出生期に増加し、加齢に伴って減少
することが知られている (蛋白質・核酸・酵素, vol.3
5, pp.535-545, 1990) 。また、ガングリオシドが、脳
におけるカテコールアミン類等の神経伝達物質の放出を
促進することが知られている (複合糖質, pp.124-135,
メジカルビュー社発行, 1994) 。
【0004】このようなことから、神経障害の治療にガ
ングリオシドを応用する試みがなされるようになってき
ている。例えば、パーキンソン病は、中高年期に発症す
る緩徐進行性の錐体外路系運動障害疾患であるが、50歳
以上の高齢者の約1%がパーキンソン病に罹患している
とされており、大きな社会問題となっている。このパー
キンソン病については、モデル動物を用いた研究が広く
行われている。すなわち、1−メチル−4−フェニル−
1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)を
マウスに注射し、線条体のドーパミン量を減少させた疑
似パーキンソン病マウスが作成されており、脳中ドーパ
ミン量を50%程度に減少させたマウスにガングリオシド
を投与すると脳中ドーパミン量が回復すると共に学習行
動の改善が認められることが明らかになっており(J. Ne
urochem., vol.51, pp.1190-1196, 1988) 、アカゲザル
を用いた同様のモデル試験においても、その効果が顕著
であることが明らかになっている(Science, vol.256, p
p.843-847, 1993)。
【0005】また、脳虚血障害は、ニューロンの死と脱
落をもたらし、その結果として、記憶や知能等の脳の機
能が失われて痴呆状態になるが、この障害に対してもガ
ングリオシドの投与が有効であり、学習行動の改善や死
亡率の低下をもたらすという報告がなされている(Lett.
vol.134, pp.171-174, 1992)。
【0006】このように、ガングリオシドは、脳機能の
回復や維持に大きな役割を演じていると考えられている
が、脳中ガングリオシド(N−アセチルノイラミン酸)
量は、成人になると一定量となり、その後、加齢と共に
徐々に減少することが知られている (現代化学増刊24,
老化の科学, 東京化学同人発行, 1994) 。そして、この
脳中ガングリオシド量の減少は、脳や神経系の機能にも
影響を及ぼすため、如何に脳中ガングリオシド量の減少
を緩やかにするかが重要な課題となっている。
【0007】そして、このような状況から、脳中ガング
リオシド量を改善する目的で、シアリルラクトースを加
齢に伴う脳中ガングリオシド量減少抑制に使用するとい
う提案がなされている(特開平9-315981号公報)、そし
て、この提案は、老人等の脳機能を維持するという点で
意義が大きいといえる。また、この提案で有効成分とし
て使用するシアリルラクトースは、乳中に含まれる安全
な物質であり、乳から比較的容易に調製することができ
るので、実用性が高いといえる。
【0008】一方、哺乳動物の神経組織から抽出したガ
ングリオシドを中枢神経系や末梢神経系の神経刺激伝達
傷害の治療に使用するという提案がなされている (特開
昭52-34912号公報) 。これによると、ガングリオシドの
脳機能傷害に対する効果は大きく、ガングリオシドを外
来的に投与して効果をあげるという点で、この提案は意
義が大きいといえる。しかし、哺乳動物の脳等の神経組
織から抽出したガングリオシドは、大量調製に適さず供
給量に制限があったので、当時、実用化には至らなかっ
た。なお、この提案においては、ガングリオシドが、脳
中ガングリオシド量の減少抑制及び学習行動の改善に効
果があるというような記述は一切なされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、脳中ガ
ングリオシド量を増加させると共に、学習行動の改善効
果を有する物質を天然物から得るべく、鋭意研究を進め
ていたところ、ガングリオシドGM3やガングリオシド
GD3等のガングリオシドが、脳中ガングリオシド量を
増加させる効果を有しており、また、学習行動の改善に
も効果を有していることを見出し、本発明を完成するに
至った。したがって、本発明は、ガングリオシドGM3
やガングリオシドGD3等のガングリオシドを有効成分
とする脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善
剤を提供することを課題とする。また、本発明は、ガン
グリオシドGM3やガングリオシドGD3等のガングリ
オシドを配合することにより脳中ガングリオシド量減少
抑制及び学習行動改善機能を賦与した医薬や飲食品を提
供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、脳中ガング
リオシド量減少抑制及び学習行動改善剤の有効成分とし
て、ガングリオシドGM3やガングリオシドGD3等の
ガングリオシドを使用する。また、本発明では、医薬や
飲食品に配合して脳中ガングリオシド量減少抑制及び学
習行動改善機能を賦与するために、ガングリオシドGM
3やガングリオシドGD3等のガングリオシドを使用す
る。
【0011】本発明で使用するガングリオシドは、哺乳
動物の脳等の神経組織から分離して調製したものでも良
いが、工業的規模で調製する方法が知られている哺乳動
物の乳から分離して調製したものが特に好ましい。
【0012】なお、哺乳動物の乳から工業的規模でガン
グリオシドを調製する方法として、以下のような方法が
知られている(特開昭63- 269992号公報)。すなわち、
ガングリオシドを含む牛乳、バターミルク、ホエー、脱
脂乳等の乳質原料に、塩酸や乳酸等の酸を作用させる
か、あるいは、トリプシンやペプシン等の蛋白質分解酵
素を作用させて蛋白質を分解した後、限外濾過、ゲル濾
過、透析等の処理を行うことにより、ガングリオシドG
M3やガングリオシドGD3等を含むガングリオシドを
得ることができる。そして、本発明では、このガングリ
オシドを使用することができる。
【0013】また、上記で得られたガングリオシドGM
3やガングリオシドGD3等を含むガングリオシドを陰
イオン交換樹脂等の陰イオン交換体やシリカゲル等を使
用して精製することにより、ガングリオシドGM3やガ
ングリオシドGD3を分離精製することができるが、本
発明では、このような分離精製したガングリオシドGM
3やガングリオシドGD3を使用することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、ガングリオシドを有効
成分とする脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動
改善剤である。この脳中ガングリオシド量減少抑制及び
学習行動改善剤の有効成分であるガングリオシドとして
は、哺乳動物の脳や乳等から得られるガングリオシドを
そのまま使用しても良いし、このガングリオシドに含ま
れているガングリオシドGM3やガングリオシドGD3
等を分離精製して使用しても良い。
【0015】また、本発明は、ガングリオシドを配合す
ることにより脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行
動改善機能を賦与した医薬及び飲食品である。この医薬
や飲食品に配合するガングリオシドとしては、哺乳動物
の脳や乳等から得られるガングリオシドをそのまま使用
しても良いし、このガングリオシドに含まれているガン
グリオシドGM3やガングリオシドGD3等を分離精製
して使用しても良い。具体的には、ガングリオシドを配
合して脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善
機能を賦与した糖衣錠やタブレット等の錠剤、顆粒剤、
液剤、カプセル等の医薬とし、また、ガングリオシドを
配合して脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改
善機能を賦与した牛乳、乳飲料、コーヒー飲料、ジュー
ス、ゼリー、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲
食品とすることができる。
【0016】なお、本発明の脳中ガングリオシド量減少
抑制及び学習行動改善剤、あるいは、本発明の脳中ガン
グリオシド量減少抑制及び学習行動改善機能を賦与した
医薬及び飲食品を使用するに際しては、成人の場合、1.
0mg/kg体重/日以上、好ましくは5〜 30mg/kg体重/日
のガングリオシドを一回又は数回に分けて摂取すること
ができるように、ガングリオシドの使用量や配合量を決
定すれば良い。
【0017】次に、実施例及び試験例を示し、本発明を
さらに詳しく説明する。
【0018】
【実施例1】チーズを製造する際に排出されるホエー 1
50klに対し、1%の蛋白質分解酵素を添加して、pH 8.
0、55℃で2時間の酵素反応を行うことによりホエー中
の蛋白質を加水分解した。この反応液を限外濾過膜(Ce
filt 10kDaNG:フィルテック社製) で処理することによ
り蛋白質加水分解物及び乳糖を除去し、エバポレーター
で30%濃度となるまで濃縮した後、凍結乾燥して、ガン
グリオシド含有粉末 150kgを得た。なお、このガングリ
オシド含有粉末中のガングリオシド量は、約1%であっ
た。次に、アニオン交換樹脂 Dowex-1 (酢酸型:ダウケ
ミカル社製)をカラム(直径50cm×高さ400cm)に充填
し、クロロホルム:メタノール:水(60:30:8)から
なる溶液で平衡化した後、上記のガングリオシド含有粉
末をクロロホルム:メタノール:水(60:30:8)から
なる溶液 30 l に懸濁した懸濁液を通液して、ガングリ
オシド等の酸性物質をカラムに吸着させた後、クロロホ
ルム:メタノール:水(60:30:8)からなる溶液2kl
でカラムを洗浄し、2M酢酸ナトリウムを含むクロロホル
ム:メタノール:水(60:30:8)からなる溶液2klで
溶出してガングリオシドを含有する溶出液を回収した。
このガングリオシドを含有する溶出液を減圧乾固して溶
媒を除去した後、1N水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃
で2時間の反応を行うことによりリン脂質を分解した。
その後、この反応液を限外濾過膜(Cefilt 10kDaNG:フ
ィルテック社製) で処理して脱塩濃縮し、凍結乾燥した
後、クロロホルム:メタノール (85:15) からなる溶液
20 l で溶解し、シリカゲルカラム (直径30cm×高さ10
0cm)に通液してガングリオシドをシリカゲルに吸着させ
た。そして、ガングリオシドをクロロホルム:メタノー
ル溶液で勾配溶出し、濃縮及び凍結乾燥して、ガングリ
オシドGM3粉末210g及びガングリオシドGD3粉末1,
520gを得た。なお、このガングリオシドGM3とガング
リオシドGD3の純度は、高速液体クロマトグラフィー
で97%以上であった。
【0019】
【試験例1】実施例1で得られたガングリオシドGM3
とガングリオシドGD3を使用し、ガングリオシドGM
3及びガングリオシドGD3の経口摂取が、脳中ガング
リオシド量に及ぼす効果について調べた。なお、実験動
物は、8週齢のSD系雄ラット(日本チャールズリバー
製)を使用した。
【0020】まず、表1に示した組成の標準食(AIN-93
G) で、全てのラットを7日間予備飼育した。
【0021】
【表1】 ───────────────────────── α−コーンスターチ 13.2(%) コーンスターチ 39.7486 ミルクカゼイン 20.0 上白糖 10.0 大豆油 7.0 結晶セルロースパウダー 5.0 ミネラル混合(AIN-93G-MX-OYC) 3.5 ビタミン混合(AIN-93-VX-OYC) 1.0 L−シスチン 0.3 重酒石酸コリン 0.25 第三ブチルヒドロキノン 0.0014 ─────────────────────────
【0022】次に、これらのラットを1群6匹からなる
3群に分け、湿度60%、室温24℃、light-darkコントロ
ール12時間の条件下で、以下のそれぞれの飼料及びイオ
ン交換水を自由摂取させて2週間飼育した。 対照群(Cont):表1に組成を示した標準食(AIN-93G) を
飼料として飼育した。ガングリオシドGM3群(GM3) :
表1に組成を示した標準食(AIN-93G) に、ガングリオシ
ドGM3を0.02%配合したものを飼料として飼育した。 ガングリオシドGD3群(GD3) :表1に組成を示した標
準食(AIN-93G) に、ガングリオシドGD3を0.02%配合
したものを飼料として飼育した。
【0023】そして、2週間の飼育後、それぞれのラッ
トをエチルエーテルで麻酔して脳を摘出し、摘出した脳
の重量を測定すると共に脳中ガングリオシド量を測定し
た。その結果を図1に示す。
【0024】これによると、対照群に比べて、ガングリ
オシドGM3群及びガングリオシドGD3群では、脳中
ガングリオシド量が有意に多く、ガングリオシドGM3
やガングリオシドGD3の経口摂取が、脳中ガングリオ
シド量の維持に有効であるということが判る。
【0025】なお、脳中ガングリオシド量の測定は、以
下のように行った。 (1) 脳中の全脂質抽出液の調製 ラットから摘出した脳(1〜1.5g) に、30倍量のクロロホ
ルム:メタノール:水(4:8:3) からなる溶液を溶
媒として加え、5分間ホモジナイズした後、10分間遠心
分離して抽出液を得た。また、遠心分離した際の残渣
に、クロロホルム:メタノール:水 (4:8:3) から
なる溶液30mlを溶媒として加え、再度、抽出処理して抽
出液を得た。そして、この両抽出液を合わせて 100mlに
定容し、脳中の全脂質抽出液とした。 (2) ガングリオシドを含む酸性物質の調製 DEAE−セファデックス A-25(酢酸型:ファルマシア
社製)8mlをカラムに充填し、2倍量のクロロホルム:
メタノール:水(4:8:3)からなる溶液で平衡化し
た後、脳中の全脂質抽出液50mlを通液して、ガングリオ
シド等の酸性物質をカラムに吸着させた。次に、クロロ
ホルム:メタノール:水(4:8:3)からなる溶液80
mlで非吸着物質を溶出した後、5M酢酸ナトリウムを含む
クロロホルム:メタノール:水(30:60:8)からなる
溶液60mlで溶出し、酸性物質を含有する溶出液を回収し
た。 (3) 粗ガングリオシドの調製 上記の酸性物質を含有する溶出液を濃縮した後、0.5M水
酸化ナトリウムを含むメタノール溶液20mlを加え、37℃
で2時間放置して、エステル脂質を加水分解した。次
に、酢酸で中和した後、メタノールを除去し、さらに、
混在する不純物を透析により除去した。なお、透析は5
℃で2日間行った。そして、透析終了後、内液を濃縮
し、凍結乾燥して粗ガングリオシドを得た。 (4) ガングリオシド定量用試料の調製 クロロホルム:メタノール(85:15)からなる溶液に懸
濁し、脱気したイアトロビーズ (イアトロン社製) 2.5g
をガラスカラムに充填した後、クロロホルム:メタノー
ル(85:15)からなる溶液1mlに溶解した上記の粗ガン
グリオシドを通液して、ガングリオシドをカラムに吸着
させた。次に、クロロホルム:メタノール(85:15)か
らなる溶液30mlで不純物を溶出した後、クロロホルム:
メタノール(3:7)からなる溶液50mlで溶出し、ガン
グリオシドを含有する溶出液を回収した。そして、この
ガングリオシドを含有する溶出液から溶媒を除去した
後、一定量に定容し、ガングリオシド定量用試料とし
た。 (5) ガングリオシド中に含まれる総シアル酸量の定量 上記のガングリオシド定量用試料の一定量を分取し、窒
素ガスで乾燥した後、レゾルシノール塩酸試薬2mlを加
えて撹拌し、 100℃で30分間加熱して発色させた。そし
て、直ちに冷却した後、酢酸ブチル:1−ブタノール
(85:15)からなる溶液4mlを加えて色素を抽出し、 5
80nmの吸光度を測定することにより、ガングリオシド中
に含まれる総シアル酸量を定量し、ガングリオシド量を
換算した。
【0026】
【試験例2】実施例1で得られたガングリオシドGM3
とガングリオシドGD3を使用し、脳中ガングリオシド
量の違いによる学習行動の改善効果について水迷路実験
で調べた。なお、実験動物は、8週齢のSD系雄ラット
(日本チャールズリバー製)を使用した。
【0027】まず、試験例1で使用した標準食(AIN-93
G) で、全てのラットを7日間予備飼育した。次に、こ
れらのラットを1群6匹からなる3群に分け、湿度60
%、室温24℃、light-darkコントロール12時間の条件下
で、試験例1で使用した飼料と同様の飼料及びイオン交
換水を自由摂取させて10日間飼育した。
【0028】そして、図2に示す "water filled multi
ple T-maze" で、縦及び横の長さが120cm、深さが40cm
の水槽に、T字型迷路を組み合わせ、11ヶ所の盲路を配
置した。なお、水迷路実験は、石崎の方法(Exp. Anim.,
vol.27, pp.9-12, 1978) に従い、水温23〜24℃で行っ
た。まず、実験の前に、直進水路で5試行した後、水迷
路で翌日から4日間連続して3回試行(総計12回)し、
水迷路の出発点から目標点に到達するまでの所要時間を
測定した。その結果を図3に示す。
【0029】これによると、対照群に比べて、ガングリ
オシドGM3群及びガングリオシドGD3群では、1〜
3日目で、水迷路の出発点から目標点に到達するまでの
所要時間が有意に短縮されており、ガングリオシドGM
3やガングリオシドGD3の経口摂取が、脳中ガングリ
オシド量を維持すると共に、学習行動の改善に効果的で
あるということが判る。
【0030】
【試験例3】経口摂取されたガングリオシドが、脳中で
利用されているか否かを調べた。すなわち、放射標識化
したガングリオシドを生理食塩水に溶解してマウスに経
口摂取させ、8時間後、脳を摘出した。次に、試験例1
に示したと同様の方法で脳中ガングリオシドを抽出し、
精製した後、抽出したガングリオシドをクロロホルム:
メタノール: 0.2%塩化カルシウムを含む水(30:60:
8)からなる溶液を溶媒として使用し、TLCで展開し
た。そして、このTLCで展開された物質をレゾルシノ
ール試薬及びオートラジオグラフィーで検出した。
【0031】なお、図4は、ガングリオシドGM3を経
口投与した場合の結果であり、放射能は、ガングリオシ
ドGM3で強く認められ、ガングリオシドGD1aやガ
ングリオシドGM1でも認められた。したがって、経口
摂取したガングリオシドGM3は、脳中ガングリオシド
の生合成に利用されていることが判る。また、ガングリ
オシドGD3を経口投与した場合も、同様の結果を示し
た。
【0032】
【試験例4】実施例1で得られたガングリオシドGM3
とガングリオシドGD3を使用し、ガングリオシドGM
3及びガングリオシドGD3の長期間の経口摂取が、脳
中ガングリオシド量に及ぼす効果について調べた。な
お、実験動物は、12ヶ月齢のSD系雄ラット(日本チャ
ールズリバー製)を使用した。
【0033】まず、試験例1で使用した標準食(AIN-93
G) で、全てのラットを7日間予備飼育した。次に、こ
れらのラットを1群35匹からなる3群に分け、湿度60
%、室温24℃、light-darkコントロール12時間の条件下
で、以下のそれぞれの飼料及びイオン交換水を自由摂取
させて飼育した。 対照群(Cont):試験例1で使用した標準食(AIN-93G) を
飼料として飼育した。 ガングリオシドGM3群(GM3) :試験例1で使用した標
準食(AIN-93G) に、ガングリオシドGM3を0.01%配合
したものを飼料として飼育した。 ガングリオシドGD3群(GD3) :試験例1で使用した標
準食(AIN-93G) に、ガングリオシドGD3を0.01%配合
したものを飼料として飼育した。
【0034】そして、飼育開始時と飼育開始3ヶ月、6
ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、各群共に6匹ずつのラット
を無作為に選出し、エチルエーテルで麻酔して脳を摘出
し、摘出した脳の重量を測定すると共に脳中ガングリオ
シド量を測定した。その結果を図5に示す。なお、一般
的にラットは、ヒトよりも約30倍早く歳をとるといわれ
ているので、12ヶ月齢のラットは、30歳のヒトに相当す
る。
【0035】これによると、対照群に比べて、ガングリ
オシドGM3群及びガングリオシドGD3群では、経時
的な脳中ガングリオシド量の減少が有意に抑制されてお
り、ガングリオシドGM3やガングリオシドGD3の長
期間の経口摂取が、加齢に伴う脳中ガングリオシド量の
減少を抑制することが判る。
【0036】
【実施例2】実施例1に記載した方法と同様の方法によ
り調製したガングリオシドGM3及びガングリオシドG
D3を含むガングリオシド0.5gを日本薬局方の内服用ゼ
ラチンカプセル000号に充填し、脳中ガングリオシド
量減少抑制及び学習行動改善機能を賦与したカプセルを
製造した。
【0037】
【実施例3】脱脂粉乳3kgに温水19.4kgを加えて撹拌
し、95℃で10分間加熱殺菌した後、42℃まで冷却した。
この還元脱脂乳に、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lac
tobacillus bulugaricus)とストレップトコッカス・サ
ーモフィルス(Streptococcusthermophilus) の混合スタ
ーターを接種し、42℃で4時間発酵させて培養物を得
た。一方、水 7.3kgに異性化糖5kg、ペクチン125g及び
実施例1に記載した方法と同様の方法により調製したガ
ングリオシドGM3及びガングリオシドGD3を含むガ
ングリオシド 71.5gを加えて撹拌溶解し、90℃で10分間
加熱殺菌した後、10℃まで冷却して糖質溶液を調製し
た。そして、撹拌しながら、この糖質溶液に培養物を加
えて均一に混合し、ホモゲナイザーで均質化処理した
後、紙容器に充填して、脳中ガングリオシド量減少抑制
及び学習行動改善機能を賦与したドリンクヨーグルトを
製造した。
【0038】
【発明の効果】ガングリオシドGM3やガングリオシド
GD3等のガングリオシドを経口的に摂取することによ
り、脳中ガングリオシド量の減少が抑制され、学習行動
も改善されるので、これらのガングリオシドは、成人や
老人の脳中ガングリオシド量の減少に伴って出現する脳
疾患を予防し、脳機能や学習行動を改善する効果を有す
る物質として有用であり、医薬や飲食品に配合して手軽
に摂取し、効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における各試験群ラットの脳中ガング
リオシド量を測定した結果を示す。
【図2】試験例2の水迷路実験に使用したT字型迷路を
示す。
【図3】試験例2における水迷路実験で、各試験群ラッ
トの水迷路出発点から目標点に到達するまでの所要時間
を測定した結果を示す。
【図4】試験例3における放射標識化したガングリオシ
ドGM3を経口摂取させたマウスから摘出したガングリ
オシドをTLCで展開した結果を示す。
【図5】試験例4における各試験群ラットの脳中ガング
リオシド量を経時的に測定した結果を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガングリオシドを有効成分とする脳中ガ
    ングリオシド量減少抑制及び学習行動改善剤。
  2. 【請求項2】 ガングリオシドが、ガングリオシドGM
    3、ガングリオシドGD3及びそれらの塩類よりなる群
    から選択される少なくとも1種以上の物質を含有するも
    のである請求項1記載の脳中ガングリオシド量減少抑制
    及び学習行動改善剤。
  3. 【請求項3】 ガングリオシドを配合することにより脳
    中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善機能を賦
    与した医薬又は飲食品。
  4. 【請求項4】 ガングリオシドが、ガングリオシドGM
    3、ガングリオシドGD3及びそれらの塩類よりなる群
    から選択される少なくとも1種以上の物質を含有するも
    のである請求項3記載の脳中ガングリオシド量減少抑制
    及び学習行動改善機能を賦与した医薬又は飲食品。
JP10046755A 1998-02-27 1998-02-27 脳中ガングリオシド量減少抑制及び学習行動改善剤 Pending JPH11246418A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001158736A (ja) * 1999-11-30 2001-06-12 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 骨関節疾患の予防及び改善剤
JP2001158735A (ja) * 1999-11-30 2001-06-12 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 歯周病の予防及び改善剤

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