JPH11244670A - 濃塩水生成装置及び岩塩ルーム施工方法 - Google Patents

濃塩水生成装置及び岩塩ルーム施工方法

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JPH11244670A
JPH11244670A JP5529898A JP5529898A JPH11244670A JP H11244670 A JPH11244670 A JP H11244670A JP 5529898 A JP5529898 A JP 5529898A JP 5529898 A JP5529898 A JP 5529898A JP H11244670 A JPH11244670 A JP H11244670A
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康秀 中久喜
Hidenori Kayano
秀則 茅野
Naomi Kawahito
尚美 川人
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広大な設置面積を必要とせず、かつエネルギ
ー消費量が少ない濃塩水生成装置及び簡易な岩塩ルーム
施工方法を得る。 【解決手段】 原水ポンプ12を稼動して濃塩水タンク
24に海水90を貯留した後、循環ポンプ34及び熱源
40を稼動して濃塩水タンク24の海水90を加熱する
と共に濃塩水タンク24と膜蒸留膜モジュール18との
間で循環させる。これと共に加熱していない海水90を
膜蒸留膜モジュール18内を通過させることにより、膜
蒸留膜モジュール18では上記循環されている海水から
淡水のみを抽出して排出し、上記循環されている海水は
塩分濃度が徐々に高くなるので、該塩分濃度が15%に
達した時点で上記循環を停止する。その後、濃塩水タン
ク24に貯留されている濃塩水を蒸発タンク42に移し
た後に熱源44を稼動させて塩分濃度約18%の濃塩水
を生成する。そして、加圧ポンプ50を稼動することに
よって吹付器52を介して岩塩ルーム54の内壁に濃塩
水を吹き付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃塩水生成装置及
び岩塩ルーム施工方法に係り、特に、塩分濃度が海水よ
り高い濃塩水を生成する濃塩水生成装置及びタラソテラ
ピー(海洋療法)の施設として適用し得る岩塩ルームの
施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩分濃度が海水より高い濃塩
水を生成する技術として適用し得る方法として、天日塩
田法、塩田−せんごう法、イオン交換膜法(電気透析
法)があった。
【0003】図11は、天日塩田法、塩田−せんごう
法、及びイオン交換膜法の各々の手順をまとめて示した
ものである。なお、同図における矢印の破線が天日塩田
法、一点鎖線が塩田−せんごう法、実線がイオン交換膜
法、の各々の手順の流れを示している。
【0004】同図に示すように、天日塩田法は、塩田に
貯留した海水中の水分を太陽エネルギーによって蒸発さ
せることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、
該かん水に対して引き続き塩田において太陽エネルギー
による蒸発を継続して結晶塩を生成するものである。
【0005】また、塩田−せんごう法は、塩田に貯留し
た海水中の水分を太陽エネルギー及び風によって蒸発さ
せることにより塩分濃度が高められたかん水を生成し、
該かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中
の水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0006】また、イオン交換膜法は、図12に示すよ
うに、海水90が貯留された容器内に2枚のイオン交換
膜97を所定間隔隔てて設け、容器内における一方のイ
オン交換膜97の外側にプラス電極98Aを、他方のイ
オン交換膜97の外側にマイナス電極98Bを、各々海
水90に浸すように設置して海水90内に電気を流すこ
とによってイオンを移動させて、イオン交換膜97によ
って淡水と濃塩水とに分離した後に淡水のみを排出する
ことによって塩分濃度が高められたかん水を生成し、該
かん水を蒸発結晶缶で煮詰めることによってかん水中の
水分を蒸発させて固形塩を生成するものである。
【0007】上記の天日塩田法、塩田−せんごう法、イ
オン交換膜法の各々の途中段階として生成されるかん水
が塩分濃度が海水より高い濃塩水に相当する。
【0008】一方、従来より、海水、海藻等の海洋資源
と海洋性気候を利用した療法であり、人間が本来保有し
ている自然治癒力を活かして心身の機能を高めるタラソ
テラピー(海洋療法)の有効性が知られている。
【0009】このタラソテラピーのための施設の一つと
して、内部の壁面が岩塩層で覆われた岩塩ルームがあ
り、岩塩ルームの内部は岩塩層から発散されるマイナス
イオンが充満した空間となっており、人間の健康増進に
有効である。
【0010】従来、このような岩塩ルームを人工的に施
工する技術はなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た天日塩田法及び塩田−せんごう法では、塩田を構成す
るための広大な土地を必要とする、という問題点があっ
た。
【0012】また、上述したイオン交換膜法では、電気
エネルギーの消費量が非常に大きい、という問題点があ
った。
【0013】本発明は上記問題点を解消するために成さ
れたものであり、広大な設置面積を必要とせず、かつエ
ネルギー消費量が少ない濃塩水生成装置及び簡易な岩塩
ルーム施工方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の濃塩水生成装置は、海水を貯留した
第1のタンクと、前記第1のタンクに貯留された海水を
加熱する第1の加熱手段と、内部に設けられた膜を隔て
て配置された温海水が通過する第1の通路と冷海水が通
過する第2の通路とを備えると共に前記第1の加熱手段
によって加熱された海水が前記第1のタンクと前記第1
の通路との間で循環されかつ前記第2の通路に加熱され
ていない海水が通過された際に前記加熱された海水から
淡水のみを抽出することによって第1の濃塩水を生成す
る第1の濃塩水生成手段と、前記第1の濃塩水生成手段
により生成された前記第1の濃塩水を貯留する第2のタ
ンクと、前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩
水を加熱することにより前記第2のタンクに貯留された
前記第1の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とす
る第2の加熱手段と、を備えている。
【0015】請求項1に記載の濃塩水生成装置によれ
ば、内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通
過する第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備
えた第1の濃塩水生成手段により、第1の加熱手段によ
って加熱された海水が該海水を貯留した第1のタンクと
第1の通路との間で循環されかつ第2の通路に加熱され
ていない海水が通過された際に、加熱された海水から淡
水のみが抽出されて第1の濃塩水が生成される。なお、
この際生成される第1の濃塩水の塩分濃度は、第1の濃
塩水生成手段に設けられた膜の特性に基づいて決定され
る所定濃度が上限とされる。また、上述した第1の濃塩
水生成手段による淡水の抽出方法は膜蒸留法と呼ばれて
いる。
【0016】次に、第1の濃塩水生成手段により生成さ
れた第1の濃塩水が第2のタンクに貯留された後、第2
の加熱手段によって、第2のタンクに貯留された第1の
濃塩水が加熱されることにより第1の濃塩水の塩分濃度
を高めた第2の濃塩水が生成される。
【0017】このように、請求項1に記載の濃塩水生成
装置によれば、加熱されていない海水を膜蒸留法におけ
る冷却源として用いていると共に、加熱されていない海
水と加熱された海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内
部を膜を隔てて隣接して通過させることにより第1の濃
塩水を生成しているので、エネルギー効率が非常によ
く、エネルギー消費量を少なくすることができると共
に、海水の加熱面積を小さくすることができ、設備の設
置面積を小さくすることができる。
【0018】また、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法
は、ルームの内面に対して上方から濃縮された海水を吹
き付けて前記ルームの内面に岩塩層を形成することによ
り岩塩ルームを施工するものである。
【0019】請求項2に記載の岩塩ルーム施工方法によ
れば、ルームの内面に対して上方から濃縮された海水が
吹き付けられてルームの内面に岩塩層が形成されること
により岩塩ルームが施工される。即ち、ルームの内面に
対して吹き付けられた濃縮された海水が、ルームの壁面
を伝って流下する間に海水中の塩分の一部が結晶として
析出されてルームの内面に付着することによって岩塩層
が形成されることにより岩塩ルームが施工される。
【0020】このように、請求項2に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、ルームの内面に対して上方から濃縮
された海水を吹き付けることのみによりルームの内面に
岩塩層を形成しているので、簡易に岩塩ルームを施工す
ることができる。
【0021】なお、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法
における濃縮された海水として、請求項1記載の濃塩水
生成装置により生成された第1の濃塩水、又は第2の濃
塩水を適用することができる。
【0022】また、請求項3記載の岩塩ルーム施工方法
は、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法において、前記
岩塩層を形成する際に前記ルームの内部を乾燥すること
を特徴とするものである。
【0023】このように、請求項3に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法
において、岩塩層を形成する際にルームの内部を乾燥し
ているので、ルームの内面に残留した海水中の水分の蒸
発を促進して、岩塩層をより速く形成することができ
る。
【0024】また、請求項4記載の岩塩ルーム施工方法
は、請求項2又は請求項3記載の岩塩ルーム施工方法に
おいて、前記ルームの内面の岩塩層を形成する部分に予
め凹凸を設けたことを特徴とするものである。
【0025】このように、請求項4に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、請求項2又は請求項3記載の岩塩ル
ーム施工方法において、ルームの内面の岩塩層を形成す
る部分に予め凹凸を設けているので、該凹凸が流下する
濃縮された海水の抵抗となって、岩塩層をより速く形成
することができる。
【0026】また、請求項5記載の岩塩ルーム施工方法
は、請求項2乃至請求項4の何れか1項記載の岩塩ルー
ム施工方法において、前記岩塩層を形成する際に岩塩層
を形成する部分及びその周辺を加熱することを特徴とす
るものである。
【0027】このように、請求項5に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、請求項2乃至請求項4の何れか1項
記載の岩塩ルーム施工方法において、岩塩層を形成する
際に岩塩層を形成する部分及びその周辺を加熱している
ので、岩塩層を形成する部分に付着した海水中の水分の
蒸発を促進して、岩塩層をより速く形成することができ
る。
【0028】また、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法
は、濃縮された海水を用いて板状部材の一方の表面に岩
塩層を形成して岩塩パネルを製作し、前記岩塩パネルを
前記岩塩層が内面となるように設置することにより岩塩
ルームを施工するものである。
【0029】請求項6に記載の岩塩ルーム施工方法によ
れば、濃縮された海水を用いて板状部材の一方の表面に
岩塩層が形成されて岩塩パネルが製作され、この岩塩パ
ネルが岩塩層が内面となるように設置されることにより
岩塩ルームが施工される。
【0030】このように、請求項6に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、濃縮された海水を用いて製作された
岩塩パネルを用いて岩塩ルームを施工しているので、岩
塩ルームの施工場所の近傍に岩塩パネルを製作するため
の設備を設置する必要がなく、岩塩ルームの施工場所の
自由度を高くすることができる。
【0031】なお、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法
における濃縮された海水として、請求項1記載の濃塩水
生成装置により生成された第1の濃塩水、又は第2の濃
塩水を適用することができる。
【0032】また、請求項7記載の岩塩ルーム施工方法
は、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法において、前記
板状部材の岩塩層を形成する面に予め凹凸を設けたこと
を特徴とするものである。
【0033】このように、請求項7に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法
において、板状部材の岩塩層を形成する面に予め凹凸を
設けているので、該凹凸が流下する濃縮された海水の抵
抗となって、岩塩層をより速く形成することができる。
【0034】また、請求項8記載の岩塩ルーム施工方法
は、請求項6又は請求項7記載の岩塩ルーム施工方法に
おいて、前記板状部材に岩塩層を形成する際に、前記板
状部材を加熱することを特徴とするものである。
【0035】このように、請求項8に記載の岩塩ルーム
施工方法によれば、請求項6又は請求項7記載の岩塩ル
ーム施工方法において、板状部材に岩塩層を形成する際
に板状部材を加熱しているので、板状部材に付着した海
水中の水分の蒸発を促進して、岩塩層をより速く形成す
ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係る濃塩水生成装置及び岩塩ルーム施工方法の実施の形
態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態で
は、本発明に係る濃塩水生成装置で生成した濃塩水を用
いて岩塩ルームを施工する場合について説明する。
【0037】〔第1実施形態〕まず、図1を参照して、
本発明の濃塩水生成装置の第1の濃塩水生成手段として
本実施形態で適用する膜蒸留法の原理について説明す
る。
【0038】同図に示すように、本実施形態で適用する
膜蒸留法では、厚さ約300ミクロンの膜92により仕
切られた一方側に所定温度に加熱された温海水90Aを
膜92の表面に平行(図1矢印A方向)に流すと共に、
他方側に上記温海水90Aより温度が低い冷海水90B
を温海水90Aと平行でかつ逆方向(図1矢印B方向)
に流す。
【0039】従って、膜92の両側には温度差が発生
し、この温度差によって温海水90Aの水蒸気が図1矢
印C方向に膜92を通過して移動し、冷海水90Bの通
過によって冷却された冷却面94の表面で凝縮されて水
滴96になり、この水滴96を図1矢印D方向に移動さ
せて淡水を得ることができる。従って、このような膜蒸
留法を実施した後の温海水90Aは、得られた淡水の量
に応じて塩分濃度が高められた塩水となる。
【0040】次に、図2を参照して、本第1実施形態に
係る濃塩水生成装置10、岩塩ルーム54、及びその周
辺の構成について説明する。同図に示すように、本第1
実施形態に係る濃塩水生成装置10は海水90を汲み上
げる原水ポンプ12を備えており、原水ポンプ12の海
水90を流出する流出口はろ過装置14の流入口に配管
されている。なお、原水ポンプ12は濃塩水生成装置1
0全体の動作を制御する制御盤32に接続されており、
制御盤32は原水ポンプ12の作動の制御を随時行うこ
とができる。
【0041】ろ過装置14のろ過処理がなされた海水9
0を流出する流出口は上述した膜蒸留法を実現する膜蒸
留膜モジュール18の冷海水90Bを流入する流入口に
配管されており、膜蒸留膜モジュール18の冷海水90
Bを流出する流出口はモータ20によって流出方向が変
更される1流入2流出のモータ弁22の流入口に配管さ
れている。なお、モータ20は制御盤32に接続されて
おり、制御盤32はモータ弁22の流出方向を随時変更
することができる。
【0042】また、モータ弁22の一方の流出口は濃塩
水タンク24の流入口に配管されており、モータ弁22
の他方の流出口は濃塩水生成装置10の外部へと配管さ
れている。また、濃塩水タンク24の上部には濃塩水タ
ンク24内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計
28が設置されており、さらに、濃塩水タンク24の内
部には濃塩水タンク24内に貯留された塩水の塩分濃度
を検知するセンサ30が設置されている。なお、レベル
計28、及びセンサ30は制御盤32に接続されてお
り、制御盤32は濃塩水タンク24内に貯留された塩水
の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。センサ3
0としては、電気伝導度計や塩分計等が適用できる(後
述するセンサ48も同様)。
【0043】一方、濃塩水タンク24の流出口は循環ポ
ンプ34の流入口に配管されており、循環ポンプ34の
流出口はモータ36によって流出方向が変更される1流
入2流出のモータ弁38の流入口に配管されている。な
お、循環ポンプ34及びモータ36は制御盤32に接続
されており、制御盤32は循環ポンプ34の作動の制御
及びモータ弁38の流出方向の変更を随時行うことがで
きる。
【0044】また、モータ弁38の一方の流出口は蒸発
タンク42の流入口に配管されており、他方の流出口は
流入された塩水を所定温度(本実施形態では最高約80
℃)に加熱する熱源40の流入口に配管されている。な
お、熱源40は制御盤32に接続されており(接続線は
図示省略)、制御盤32は熱源40による塩水の加熱動
作を制御することができる。
【0045】さらに、熱源40の流出口は膜蒸留膜モジ
ュール18の温海水90Aを流入する流入口に配管され
ており、膜蒸留膜モジュール18の温海水90Aを流出
する流出口は濃塩水タンク24の流入口に配管されてお
り、膜蒸留膜モジュール18の淡水を流出する流出口は
濃塩水生成装置10の外部へと配管されている。
【0046】一方、蒸発タンク42の上部には蒸発タン
ク42内に貯留された塩水の水位を検知するレベル計4
6が設置されており、また、蒸発タンク42の内部には
蒸発タンク42内に貯留された塩水の塩分濃度を検知す
るセンサ48が設置されており、さらに蒸発タンク42
の下部には蒸発タンク42内に貯留された塩水を加熱す
る熱源44が蒸発タンク42と一体的に設置されてい
る。なお、熱源44、レベル計46、及びセンサ48は
制御盤32に接続されており(熱源44から制御盤32
への接続線は図示省略)、制御盤32は熱源44による
蒸発タンク42内に貯留された塩水の加熱動作を制御す
ることができると共に、蒸発タンク42内に貯留された
塩水の水位及び塩分濃度を随時知ることができる。ま
た、熱源44による加熱動作によって、蒸発タンク42
内に貯留された塩水の水分が水蒸気として蒸発タンク4
2の外部に放出される。
【0047】また、蒸発タンク42の流出口は圧力ポン
プ50の流入口に配管されており、圧力ポンプ50の流
出口はノズル、或いはスプレーガン等の吹付器52の流
入口に配管されている。この際、吹付器52は、施工者
によって、施工対象とする岩塩ルーム54内の任意の位
置に移動することができると共に、吹出口(流出口)を
任意の方向に向けることができるように構成されてい
る。なお、圧力ポンプ50は制御盤32に接続されてお
り、制御盤32は圧力ポンプ50の作動の制御を随時行
うことができる。
【0048】一方、岩塩ルーム54の床面には排水路5
6が備えられており、排水路56の排出口は貯留槽58
の上端外縁に位置されており、排水路56から排出され
た排水(塩水)は貯留槽58内に貯留される。また、貯
留槽58の上部には貯留槽58内に貯留された塩水の水
位を検知するレベル計59が設置されている。なお、レ
ベル計59は制御盤32に接続されており、制御盤32
は貯留槽58内に貯留された塩水の水位を随時知ること
ができる。
【0049】また、貯留槽58の近傍には流入口が貯留
槽58に配管された取水ポンプ60が設置されており、
取水ポンプ60の流出口はろ過装置62の流入口に配管
されており、さらにろ過装置62の流出口は蒸発タンク
42の流入口に配管されている。なお、取水ポンプ60
は制御盤32に接続されており、制御盤32は取水ポン
プ60の作動の制御を随時行うことができる。
【0050】なお、膜蒸留膜モジュール18が本発明の
第1の濃塩水生成手段に、濃塩水タンク24が本発明の
第1のタンクに、熱源40が本発明の第1の加熱手段
に、蒸発タンク42が本発明の第2のタンクに、熱源4
4が本発明の第2の加熱手段に、各々相当する。
【0051】次に、以上のように構成されたものの作用
について説明する。まず制御盤32は、モータ20によ
ってモータ弁22の流出方向を濃塩水タンク24側に設
定した後、原水ポンプ12の稼動を開始する。これによ
って、原水ポンプ12により海水90が汲み上げられ、
汲み上げられた海水90はろ過装置14、膜蒸留膜モジ
ュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に濃塩
水タンク24内へ至り、濃塩水タンク24への海水90
の貯留が開始される。
【0052】次に制御盤32は、レベル計28によって
濃塩水タンク24内の水位を検知し、該水位が濃塩水タ
ンク24の上限水位に達した時点で、モータ20により
モータ弁22の流出方法を濃塩水生成装置10の外部方
向に変更する。従って原水ポンプ12によって汲み上げ
られた海水90は、これ以降、ろ過装置14、膜蒸留膜
モジュール18、及びモータ弁22を順に通過した後に
濃塩水生成装置10の外部へ排出される。
【0053】次に制御盤32は、モータ36によってモ
ータ弁38の流出方向を膜蒸留膜モジュール18側に設
定した後に、循環ポンプ34の稼動を開始すると共に熱
源40による加熱動作を開始する。これによって、熱源
40により最高約80℃に加熱された海水90が濃塩水
タンク24と膜蒸留膜モジュール18との間で循環され
る。この循環の際に膜蒸留膜モジュール18内には加熱
されていない海水90が通過されているので、この加熱
されていない海水90及び上記加熱された海水90の間
の温度差によって膜蒸留膜モジュール18内では、加熱
された海水90からの淡水の抽出が行われ、抽出された
淡水は濃塩水生成装置10の外部に排出される。一方、
加熱された海水90は、海水90中の水分が淡水として
抽出されるので、徐々に量が減少すると共に塩分濃度が
高くなる。なお、本実施形態に係る濃塩水生成装置10
では、塩分濃度が最大約15%に達するまで、濃塩水タ
ンク24内に貯留された海水90(塩水)の濃縮が可能
とされている。この約15%は、本実施形態で使用する
膜蒸留膜モジュール18の膜素材の特性から設定した上
限値である。従って、この値は一例であり、使用する膜
素材の特性によって上下するものである。
【0054】次に制御盤32は、センサ30によって濃
塩水タンク24内の塩水の塩分濃度を検知し、該塩分濃
度が15%に達した時点で原水ポンプ12、循環ポンプ
34の稼動及び熱源40の加熱動作を停止した後、モー
タ36によってモータ弁38の流出方向を蒸発タンク4
2側に変更し、循環ポンプ34の稼動を再開する。これ
によって、濃塩水タンク24に貯留されている塩分濃度
が15%とされた濃塩水の蒸発タンク42への給水が開
始される。
【0055】次に制御盤32は、レベル計46によって
蒸発タンク42内の水位を検知し、該水位が蒸発タンク
42の上限水位に達した時点で循環ポンプ34の稼動を
停止した後、熱源44による加熱動作を開始する。これ
によって、蒸発タンク42内に貯留された濃塩水への加
熱が開始されるので、時間の経過に伴って濃塩水の水分
が水蒸気となって蒸発タンク42の外部へ放出され、濃
塩水の量が徐々に少なくなると共に塩分濃度が徐々に高
くなる。そこで制御盤32は、センサ48によって蒸発
タンク42内の塩分濃度を検知し、該塩分濃度が18%
に達した時点で熱源44の加熱動作を停止する。なお、
この18%は海水中の塩類が析出し始める塩分濃度であ
る。
【0056】その後、制御盤32は、施工者からの指示
に応じて圧力ポンプ50の稼動を開始する。従って、こ
れ以降、吹付器52の吹出口からは、蒸発タンク42内
に貯留された塩分濃度が約18%とされた濃塩水が吹き
出すので、施工者は吹付器52を把持して、吹付器52
から吹き出された濃塩水を岩塩ルーム54内の壁面全般
に渡って吹き付ける。
【0057】この結果、岩塩ルーム54内の壁面に吹き
付けられた濃塩水は壁面の表面をつたって図2矢印E方
向に流下し、この流下の際に析出した塩類の結晶が壁面
に付着する。一方、岩塩ルーム54の床面まで流下した
濃塩水は、排水路56を図2矢印F方向に移動して貯留
槽58に流入する。
【0058】その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼
動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取
水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に
蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タン
ク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によ
って加圧されて岩塩ルーム54の壁面に吹き付けられ
る。
【0059】蒸発タンク42に貯留された濃塩水の岩塩
ルーム54内の壁面への吹き付け、岩塩ルーム54の床
面に流下された濃塩水の排水路56を介した貯留槽58
への流入、取水ポンプ60による貯留槽58に貯留され
た濃塩水の取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク4
2への流出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水
は水分が蒸発して濃縮される。従って、岩塩ルーム54
内の壁面の表面や貯留槽58内で結晶が析出して水量が
徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽58
内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一定
値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ6
0の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タン
ク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃縮、
蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸発タ
ンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜まっ
た時点で再び岩塩ルーム54内の壁面への吹き付け操作
を再開する。
【0060】このように、本第1実施形態に係る濃塩水
生成装置10では、比較的熱量を必要としない膜蒸留法
によって塩分濃度が約15%に達するまで海水90を濃
縮しているので、イオン交換膜法を利用した場合に比較
して、少ない消費エネルギーで岩塩ルームを施工するこ
とができると共に、塩田を用いる場合に比較して、設備
を設けるための敷地面積を狭くすることができる。
【0061】また、本第1実施形態に係る岩塩ルーム施
工方法では、岩塩ルーム54の内壁に対して濃塩水を繰
り返し吹き付けることのみにより岩塩ルーム54の内壁
に岩塩層を形成しているので、簡易に岩塩ルームを施工
することができる。
【0062】なお、本第1実施形態では、岩塩ルーム5
4内の壁面に濃塩水を吹き付ける操作を施工者が行う場
合について説明したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、岩塩ルーム54内の壁面に濃塩水を吹き付け
ることができる形態であれば如何なる形態であってもよ
く、例えば図3に示すような形態としてもよい。
【0063】同図に示すように、この形態は、一定の間
隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を
岩塩ルーム54内の天井面近傍に設け、圧力ポンプ50
の流出口を散水パイプ70の流入口に配管したものであ
る。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60を駆
動させるのみで施工者を介することなく自動的に岩塩ル
ーム54内の壁面に濃塩水を吹き付けたり、シャワー状
に流したりする操作を繰り返し実施することができるの
で、人件費を削減することができる。
【0064】また、本第1実施形態では、通常の環境に
おける岩塩ルーム54内の壁面に対して濃塩水を吹き付
けて岩塩層を形成する場合について説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、この吹き付けの際に
岩塩ルーム54の内部の除湿、岩塩ルーム54内の空気
の加温等を実施することにより岩塩ルーム54内を乾燥
した環境とすることによって、岩塩ルーム54内の壁面
の岩塩層をより速く形成することができる。また、濃塩
水を吹き付けた壁面及びその周辺をバーナー等によって
加熱し、水分の蒸発を促進することによっても、岩塩ル
ーム54内の壁面の岩塩層をより速く形成することがで
きる。
【0065】また、本第1実施形態では、通常の壁面に
対して濃塩水を吹き付けることにより岩塩層を形成する
場合について説明したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、壁面に凹凸を設ける形態としてもよい。
【0066】図4(A)は、壁68の岩塩層を形成する
側の表面に凸部74A及び凹部74Bを網状に設けた場
合の壁68の正面図及び側面図であり、図4(B)は、
壁68の岩塩層を形成する側の表面に凸部74A及び凹
部74Bを格子状に設けた場合の壁68の正面図及び側
面図である。このように、壁68の表面を凹凸のある形
状に仕上げたり、ネットや網を壁面に貼り付けたりする
ことによって、凸部に濃塩水が滞留し、該滞留した濃塩
水の水分が蒸発して結晶が析出するので、岩塩層の形成
を促進することができる。
【0067】〔第2実施形態〕上記第1実施形態で示し
た形態は、濃塩水生成装置10によって生成された濃塩
水を用いて直接岩塩ルームを施工する(以下、直接施工
法という)場合の形態であったが、本第2実施形態で
は、工場において表面に岩塩層を形成した一定の大きさ
の複数の岩塩パネルをプレキャストで製作し、図5で示
すように、製作した岩塩パネル76を岩塩ルームの壁6
8に取り付ける場合の実施の形態について説明する。
【0068】まず、図6を参照して、本第2実施形態に
係る濃塩水生成装置10、岩塩パネル76を製作する工
場55、及びその周辺の構成について説明する。なお、
図6の図2に示した構成と同様の部分には同一の符号を
付し、その説明を省略する。
【0069】図6に示すように、本第2実施形態に係る
形態は、図2に示した第1実施形態に対して、岩塩ルー
ム54が内部に複数枚のパネル下地66が設置された工
場55とされている点のみが相違している。
【0070】以上の構成において、施工者はパネル下地
66の表面に対して蒸発タンク42に貯留された塩分濃
度が約18%とされた濃塩水を吹付器52によって吹き
付ける。パネル下地66の表面に吹き付けられた濃塩水
はパネル下地66の表面をつたって流下し、この流下の
際に析出した塩類の結晶がパネル下地66の表面に付着
する。一方、工場55の床面まで流下した濃塩水は、排
水路56を介して貯留槽58に流入する。
【0071】その後、制御盤32は取水ポンプ60を稼
動することにより、貯留槽58に貯留された濃塩水を取
水し、ろ過装置62を介することによってろ過した後に
蒸発タンク42内に流出する。このようにして蒸発タン
ク42内に流入された濃塩水は再度圧力ポンプ50によ
って加圧されて工場55内のパネル下地66の表面に吹
き付けられる。
【0072】蒸発タンク42に貯留された濃塩水のパネ
ル下地66の表面への吹き付け、工場55の床面に流下
した濃塩水の排水路56を介した貯留槽58への流入、
取水ポンプ60による貯留槽58に貯留された濃塩水の
取水及びろ過装置62を介した蒸発タンク42への流
出、という一連の動作を繰り返す間に、濃塩水は水分が
蒸発して濃縮される。従って、工場55内のパネル下地
66の表面や貯留槽58内で塩分の結晶が析出して水量
が徐々に減少するので、レベル計59によって貯留槽5
8内に貯留された濃塩水の水位を測定し、該測定値が一
定値以下になった時点で圧力ポンプ50及び取水ポンプ
60の稼動を停止し、再び上述した海水90の濃塩水タ
ンク24への取水、膜蒸留膜モジュール18による濃
縮、蒸発タンク42による濃縮を行うことによって、蒸
発タンク42内に塩分濃度約18%の濃塩水が十分に溜
まった時点で再び工場55内のパネル下地66への吹き
付け操作を再開する。
【0073】以上の動作を繰り返して実施することによ
って、表面に岩塩層が形成された岩塩パネル76を製作
することができる。
【0074】次に、図7を参照して、以上によって製作
された岩塩パネル76を岩塩ルーム54の壁68に取り
付ける手順について説明する。
【0075】同図に示すように、まず岩塩ルーム54の
壁68に胴縁84を据え付け、岩塩パネル76を岩塩パ
ネル76の四隅に設けられたネジ穴を介してネジ86に
よって胴縁84に固定する。
【0076】次に、ネジ86の頭の部分を白色のパテ、
粘土等の材料88で埋めると共に、岩塩パネル76間の
隙間を白色のコーキング材89によりコーキングする。
【0077】最後に、材料88及びコーキング材89の
表面(露出面)に濃塩水をスプレー等で吹き付けて乾燥
させることにより岩塩層64Bを形成し、周辺の岩塩層
64と一体化する。
【0078】このように、本第2実施形態に係る濃塩水
生成装置10では、上記第1実施形態と同様に、比較的
熱量を必要としない膜蒸留法によって塩分濃度が約15
%に達するまで海水90を濃縮しているので、イオン交
換膜法を利用した場合に比較して、少ない消費エネルギ
ーで岩塩ルームを施工することができると共に、塩田を
用いる場合に比較して、設備を設けるための敷地面積を
狭くすることができる。
【0079】また、本第2実施形態に係る岩塩ルーム施
工方法では、岩塩パネル76をプレキャストで製作した
後に岩塩ルーム54の壁面に取り付ける形態としている
ので、岩塩ルーム54の施工場所の近傍に濃塩水生成装
置10を含めた岩塩ルーム施工設備を設置する必要がな
く、岩塩ルーム54の施工場所の自由度を高くすること
ができる。
【0080】なお、本第2実施形態では、工場55の内
部に設置されたパネル下地66に濃塩水を吹き付ける操
作を施工者が行う場合について説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、工場55内のパネル下地
66に濃塩水を吹き付けることができる形態であれば如
何なる形態であってもよく、例えば図8に示す形態とし
てもよい。
【0081】同図に示すように、この形態は、一定の間
隔を隔てて複数の流出口が設けられた散水パイプ70を
工場55内の天井面近傍に設け、かつ圧力ポンプ50の
流出口を散水パイプ70の流入口に配管すると共に、工
場55内の壁面に複数のパネル下地66を設置したもの
である。この場合、圧力ポンプ50及び取水ポンプ60
を駆動させるのみで施工者を介することなく自動的に工
場55内のパネル下地66に濃塩水を繰り返し吹き付け
たり、シャワー状に流したりすることができるので、人
件費を削減することができる。
【0082】また、本第2実施形態では、通常の環境に
おける工場55内に設置されたパネル下地66に対して
濃塩水を吹き付けることにより岩塩パネル76を製作す
る場合について説明したが、本発明はこれに限定される
ものではなく、この吹き付けの際に、工場55の内部の
除湿、工場55内の空気の加温等を実施することにより
工場55内を乾燥した環境とすることによって、パネル
下地66表面の岩塩層をより速く形成することができ
る。また、濃塩水を吹き付けたパネル下地66をバーナ
ー等によって加熱して水分の蒸発を促進することによっ
ても、パネル下地66表面の岩塩層をより速く形成する
ことができる。
【0083】また、本第2実施形態では、表面が滑らか
なパネル下地66に対して濃塩水を吹き付けることによ
り岩塩層を形成する場合について説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、パネル下地66の表面
に凹凸を設ける形態としてもよい。この場合、流下する
濃塩水が凸部に滞留し、該滞留した濃塩水の水分が蒸発
して結晶が析出するので、岩塩層の形成を促進すること
ができる。
【0084】〔第3実施形態〕上記第2実施形態は、工
場55内に設置したパネル下地66の表面に濃塩水を吹
き付けることにより岩塩層を形成する形態であったが、
本第3実施形態は、図9(A)に示すように、上記第2
実施形態における濃塩水タンク24(図6も参照)また
は蒸発タンク42内に生成された濃塩水を貯留した水槽
78にパネル下地66を長時間浸すことによって岩塩層
を形成するものである。
【0085】従って、この場合は、濃塩水生成装置10
における蒸発タンク42より下流側の設備、即ち圧力ポ
ンプ50、吹付器52、工場55、貯留槽58、取水ポ
ンプ60、及びろ過装置62は設置する必要がない。
【0086】上述したようにパネル下地66を濃塩水に
浸すことによって、時間の経過に伴ってパネル下地66
の表面に塩分の結晶が析出してくるので、十分に析出し
た段階でパネル下地66を水槽78から取り出し、乾か
すことによって岩塩パネル76を製作することができ
る。
【0087】このように、本第3実施形態に係る岩塩ル
ーム施工方法では、蒸発タンク42より下流側の設備が
必要ないので、低コストに岩塩ルーム施工設備を構成す
ることができる。
【0088】〔第4実施形態〕本第4実施形態では、図
9(B)に示すように、まず、海水90が貯留された水
槽78内に鉄板、鉄製のネット等の基材82を浸してこ
れを陰極とすると共に、フェライト等の電極80を浸し
てこれを陽極とし、上記陰極及び陽極の間に微弱電流を
流す。これによって、基材82の表面には海水90中の
カルシウム、マグネシウム等のプラスイオンが付着して
積層する(電着工法という)。
【0089】次に、プラスイオンが付着した基材82を
パネル下地66として用いて、上記第2実施形態に示し
た構成及び手順によって、基材82の表面に岩塩層を形
成する。
【0090】このように、本第4実施形態に係る岩塩ル
ーム施工方法では、カルシウム、マグネシウム等のプラ
スイオンが付着して表面に微細な凹凸が形成された基材
82をパネル下地66として用いているので、表面の岩
塩層の形成を促進することができる。
【0091】なお、上記各実施形態では、センサ30に
より検知された塩分濃度が15%になった場合に濃塩水
タンク24内の濃塩水の生成を停止する場合について説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取
水海水の濃度(約3.5%)、濃塩水タンク24の上限
水位、濃塩水タンク24の寸法等に基づいて濃塩水タン
ク24に貯留された濃塩水の塩分濃度が15%になった
場合の目標水位を予め算出しておき、レベル計28によ
って検知された水位が上記目標水位に達した場合に濃塩
水タンク24内の濃塩水の生成を停止する形態としても
よい。
【0092】また、上記各実施形態では、センサ48に
より検知された塩分濃度が18%になった場合に蒸発タ
ンク42内の濃塩水の生成を停止する場合について説明
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸発
タンク42に当初に貯留された濃塩水の濃度(約15
%)、蒸発タンク42の上限水位、蒸発タンク42の寸
法等に基づいて蒸発タンク42に貯留された濃塩水の塩
分濃度が18%になった場合の目標水位を予め算出して
おき、レベル計46によって検知された水位が上記目標
水位に達した場合に蒸発タンク42内の濃塩水の生成を
停止する形態としてもよい。
【0093】また、上記第1実施形態では、直接施工法
によって岩塩ルーム54を施工する場合について説明
し、上記第2実施形態乃至第4実施形態では岩塩パネル
76をプレキャストで製作した後に岩塩ルーム54内に
取り付ける場合について説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、これらの実施形態を組み合わせ
て適用する形態としてもよい。
【0094】この場合、例えば、略半球状(所謂ドーム
型)で、かつ天井の中心部分に水平な天井面が設けられ
た岩塩ルームを施工する場合、水平な天井面については
プレキャストで製作した岩塩パネルを取り付け、水平な
天井面の外周から床面に向けて曲面状とされた壁面に対
しては直接施工法により岩塩層を形成することにより、
天井面及び壁面全体に岩塩層を形成した効果的な岩塩ル
ームを容易に構築することができる。
【0095】また、上記第1実施形態乃至第4実施形態
で示したように岩塩ルーム54を施工した後は、図10
に示すように、濃塩水生成装置10をそのまま残して、
吹付器52をより微細な粒子の噴霧が可能なノズル53
に取り替え、さらに海水90の濃縮の度合いを調整する
ことによって、岩塩ルーム54内に各種塩分濃度の海塩
粒子91を霧状に噴霧することが可能となり、岩塩ルー
ム54内を海塩粒子91によるマイナスイオンで充満さ
せる設備として利用することができる。また、本発明の
濃塩水生成装置及び岩塩ルーム施工方法は、海水から自
然塩を製造する手段としても利用することができる。
【0096】
【発明の効果】請求項1記載の濃塩水生成装置によれ
ば、加熱されていない海水を膜蒸留法における冷却源と
して用いていると共に、加熱されていない海水と加熱さ
れた海水とを各々第1の濃塩水生成手段の内部を膜を隔
てて隣接して通過させることにより第1の濃塩水を生成
しているので、エネルギー効率が非常によく、エネルギ
ー消費量を少なくすることができると共に、海水の加熱
面積を小さくすることができ、設備の設置面積を小さく
することができる、という効果が得られる。
【0097】また、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、ルームの内面に対して上方から濃縮された海
水を吹き付けることのみによりルームの内面に岩塩層を
形成しているので、簡易に岩塩ルームを施工することが
できる、という効果が得られる。
【0098】また、請求項3記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、請求項2記載の岩塩ルーム施工方法におい
て、岩塩層を形成する際にルームの内部を乾燥している
ので、ルームの内面に残留した海水中の水分の蒸発を促
進して、岩塩層をより速く形成することができる、とい
う効果が得られる。
【0099】また、請求項4記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、請求項2又は請求項3記載の岩塩ルーム施工
方法において、ルームの内面の岩塩層を形成する部分に
予め凹凸を設けているので、該凹凸が流下する濃縮され
た海水の抵抗となって、岩塩層をより速く形成すること
ができる、という効果が得られる。
【0100】また、請求項5記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、請求項2乃至請求項4の何れか1項記載の岩
塩ルーム施工方法において、岩塩層を形成する際に岩塩
層を形成する部分及びその周辺を加熱しているので、岩
塩層を形成する部分に付着した海水中の水分の蒸発を促
進して、岩塩層をより速く形成することができる、とい
う効果が得られる。
【0101】また、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、濃縮された海水を用いて製作された岩塩パネ
ルを用いて岩塩ルームを施工しているので、岩塩ルーム
の施工場所の近傍に岩塩パネルを製作するための設備を
設置する必要がなく、岩塩ルームの施工場所の自由度を
高くすることができる、という効果が得られる。
【0102】また、請求項7記載の岩塩ルーム施工方法
によれば、請求項6記載の岩塩ルーム施工方法におい
て、板状部材の岩塩層を形成する面に予め凹凸を設けて
いるので、該凹凸が流下する濃縮された海水の抵抗とな
って、岩塩層をより速く形成することができる、という
効果が得られる。
【0103】さらに、請求項8記載の岩塩ルーム施工方
法によれば、請求項6又は請求項7記載の岩塩ルーム施
工方法において、板状部材に岩塩層を形成する際に板状
部材を加熱しているので、板状部材に付着した海水中の
水分の蒸発を促進して、岩塩層をより速く形成すること
ができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施形態に係る膜蒸留法の構成及び原理の説
明に用いる概略図である。
【図2】第1実施形態に係る濃塩水生成装置、岩塩ルー
ム、及びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態における岩塩ルームの内部構成の
変形例を示す概略図である。
【図4】第1実施形態における岩塩ルーム内の壁面に凹
凸を設けた状態を示す図であり、(A)は網状の凹凸を
設けた場合の正面図及び側面図、(B)は格子状の凹凸
を設けた場合の正面図及び側面図である。
【図5】岩塩パネルをプレキャストで製作した後に壁面
に取り付ける状態を示した破断側面図である。
【図6】第2実施形態に係る濃塩水生成装置、工場、及
びその周辺の概略構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態においてプレキャストで製作した
岩塩パネルを壁に取り付ける際の手順を示す破断側面図
である。
【図8】第2実施形態における工場の内部構成の変形例
を示す概略図である。
【図9】(A)は第3実施形態における岩塩パネルの製
作手順を示す概略図、(B)は第4実施形態における岩
塩パネルの製作手順を示す概略図である。
【図10】岩塩ルーム施工後の岩塩ルーム施工設備の利
用形態の説明に用いる構成図である。
【図11】従来の濃塩水を生成するための技術として適
用し得る天日塩田法、塩田−せんごう法、及びイオン交
換膜法の手順を示すブロック図である。
【図12】イオン交換膜法を実施する際の電気透析を行
う部分の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 濃塩水生成装置 18 膜蒸留膜モジュール(第1の濃塩水生成手段) 24 濃塩水タンク(第1のタンク) 32 制御盤 40 熱源(第1の加熱手段) 42 蒸発タンク(第2のタンク) 44 熱源(第2の加熱手段) 52 吹付器 54 岩塩ルーム 55 工場 58 貯留槽 64 岩塩層 66 パネル下地(板状部材) 68 壁 70 散水パイプ 76 岩塩パネル 78 水槽 82 基材(板状部材) 90 海水 92 膜 99 濃塩水

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水を貯留した第1のタンクと、 前記第1のタンクに貯留された海水を加熱する第1の加
    熱手段と、 内部に設けられた膜を隔てて配置された温海水が通過す
    る第1の通路と冷海水が通過する第2の通路とを備える
    と共に前記第1の加熱手段によって加熱された海水が前
    記第1のタンクと前記第1の通路との間で循環されかつ
    前記第2の通路に加熱されていない海水が通過された際
    に前記加熱された海水から淡水のみを抽出することによ
    って第1の濃塩水を生成する第1の濃塩水生成手段と、 前記第1の濃塩水生成手段により生成された前記第1の
    濃塩水を貯留する第2のタンクと、 前記第2のタンクに貯留された前記第1の濃塩水を加熱
    することにより前記第2のタンクに貯留された前記第1
    の濃塩水の塩分濃度を高めて第2の濃塩水とする第2の
    加熱手段と、 を備えた濃塩水生成装置。
  2. 【請求項2】 ルームの内面に対して上方から濃縮され
    た海水を吹き付けて前記ルームの内面に岩塩層を形成す
    ることにより岩塩ルームを施工する岩塩ルーム施工方
    法。
  3. 【請求項3】 前記岩塩層を形成する際に前記ルームの
    内部を乾燥することを特徴とする請求項2記載の岩塩ル
    ーム施工方法。
  4. 【請求項4】 前記ルームの内面の岩塩層を形成する部
    分に予め凹凸を設けたことを特徴とする請求項2又は請
    求項3記載の岩塩ルーム施工方法。
  5. 【請求項5】 前記岩塩層を形成する際に岩塩層を形成
    する部分及びその周辺を加熱することを特徴とする請求
    項2乃至請求項4の何れか1項記載の岩塩ルーム施工方
    法。
  6. 【請求項6】 濃縮された海水を用いて板状部材の一方
    の表面に岩塩層を形成して岩塩パネルを製作し、前記岩
    塩パネルを前記岩塩層が内面となるように設置すること
    により岩塩ルームを施工する岩塩ルーム施工方法。
  7. 【請求項7】 前記板状部材の岩塩層を形成する面に予
    め凹凸を設けたことを特徴とする請求項6記載の岩塩ル
    ーム施工方法。
  8. 【請求項8】 前記板状部材に岩塩層を形成する際に、
    前記板状部材を加熱することを特徴とする請求項6又は
    請求項7記載の岩塩ルーム施工方法。
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