JP6586117B2 - チムニー式海水濃縮装置 - Google Patents

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Description

本発明は、海塩製造の際に海水を濃縮するための海水濃縮装置に関する。
自然塩と言われている食用塩の製塩過程における海水の濃縮には、塩田や枝条架等または、湿潤体などに海水を散水し太陽熱または風によって水分を蒸発させ海水を濃縮していた。あるいは、鍋等に入れた海水を薪等を燃やして加熱し、水分を蒸発させ海水を濃縮製塩する方法、コンクリートブロック、竹枝等で蒸発塔を構成し、竹枝等に散水された海水が竹枝等を伝わり降下する過程で風による水分が蒸発する枝条架等による濃縮方法、湿潤体などに海水を吸収させ水分を蒸発させる方法などがある。
これらの従来法では海水を濃縮するにあたり、昔から揚浜式、入浜式、枝条架等の濃縮設備は、広い面積が必要であり、濃縮部分については外部への露出度が高く、近年では空気中に大気汚染物質(PM2.5等)等を含んでおり、海水濃縮に使用する風への混入もあり衛生面での管理が困難である。又、季節変動により生産性に変動があり、改良した方法がいくつか提案されている。
例えば、昭和40年代には流下式塩田法(図4参照)が行われた。この「流下式塩田法」は、「流下盤(リュウカバン)」と「枝条架(シジョウカ)」を組み合わせた海水濃縮法である。粘土製の緩傾斜盤からなる「流下盤」上に海水を流し、その後竹の小枝を組み合わせた、枝条を複数本吊した「枝条架」に滴下して濃縮する装置である。濃縮した海水を煮詰めるのは、揚浜式や入浜式といった塩田での製塩方法と同じだが、水のくみ上げを機械で行うため、労働力を1/10に抑えることができる。しかし、この方法も屋外での施設のため、天候に左右されることは同じである。
特許文献1(特開2003−48711号公報)には、直径1mm程度の各種繊維で目開き約50mm以下に編まれたネットを、直径1m程度の球状または円柱状の集合体としたものを用いる濃縮装置により、少ないエネルギーで、しかも高速で海水を濃縮し、製塩における生産性向上と省エネルギーを図る装置が開示されている。
特許文献2(特開2002−167217号公報)には、枝条と流下方法を組み合わせた濃縮法として、天井を有し、側壁部に多数の通風口が設けられた建造物の内天井部に、多数の放射状蒸発体を吊り下げ、該放射状蒸発体の上部から海水を降り注ぎ、通風により蒸発濃縮させる海水濃縮手段と、該海水濃縮手段により濃縮された海水を塩分濃度が一定の濃度となるまで処理海水を循環させるための海水循環手段と、濃縮された海水中の水分を蒸発させて結晶化させる蒸発手段とからなる海塩製造システムを構成した装置が提案されている。
特許文献3(特開2002−80219号公報)には、濃縮塔とヒートポンプから成る濃縮装置を備え、濃縮装置は濃縮塔の海水をヒートポンプで加熱した後、散水管から散水することによって、海水を濃縮し、ヒートポンプは、熱源として外部の海水を利用して、散水管から散水される海水を加熱する製塩装置が開示されている。
特許文献4(特開2011−173107号公報)には、吸水膜を利用した濃縮法として、高さの異なる水平な2本の支持棒の間に吸液シートを架け渡し、数箇所において桟とゴムひもを用いてスパン方向に張りを与える構造にし、上端部に取り付けた帯状布を介して深底樋から溶液を吸い上げた後、前記吸液シートに吸収させてその下端まで均一な低速の流下を可能にする装置が開示されている。
特開2003−48711号公報 特開2002−167217号公報 特開2002−80219号公報 特開2011−173107号公報
本発明は、天候に左右されず自然由来の成分を含む海水濃縮を行う装置を開発することを目的とする。
本発明は、閉鎖系で海水を効率的に濃縮する方法であり、蒸発能力の高い濃縮能力を備えた濃縮装置である。
本発明の主な解決手段は次のとおりである。
1.密閉容器の下方よりフィルターを介して吸気し、上方から排気する空気流と、
下部側に滞水する海水を上方より散水して、容器内で空気流と滴下水とを接触させて、
循環させて濃縮する海水濃縮方法において、
密閉容器の下部側から吸い込む清浄な吸気温度よりも容器上部側の温度を高温にすることにより、吸気よりも容器上部側の飽和水蒸気量が大きくなる原理を利用し濃縮効率を促進する海水濃縮方法であって、
下部側から吸い込む吸気温度と湿度と、散水する海水の温度を制御して、実効蒸発効率をコントロールすることを特徴とする海水濃縮方法。
2.海水を容器上部で散水して濃縮する濃縮装置であって、
密閉された容器と、
容器中間部に配置された通気性の多孔体層と、
容器内に取り込んだ海水を循環させる海水循環系と、
容器内に吸気する吸気系と、
容器外へ排気する排気系と、
海水を取水、排水する海水給排水系と、
を備えており、
海水循環系には、温度センサーと加熱装置が設けられており、
吸気系には、温度センサーと湿度センサーと、冷却機能あるいは除湿機能を備えた空調装置が設けられていて、
海水循環系の温度センサーで検出される海水温度と、吸気系の温度センサーと湿度センサーで検出される空気の温度と湿度に基づいて、吸気系の空調装置及び海水循環系の加熱装置を制御して、容器内の環境を制御することを特徴とする海水濃縮装置。
3.容器側部には、吸気系の吸気口が多孔体層の下部側に設けられており、
容器上部には、排気系の排気口が設けられており、
容器内部には、海水循環系の散水口が多孔体層の上方に設けられていることを特徴とする
2.記載の海水濃縮装置。
4.容器内の環境制御は、高い実効蒸発効率を実現するように海水温度と、吸気される空気の温度と湿度を制御することを特徴とする2.又は3.記載の海水濃縮装置。
5.多孔体層は、多数小孔体の集合体、湾曲面を有する多孔体又は小粒体の集合体を備えていることを特徴とする2.〜4.のいずれかに記載の海水濃縮装置。
6.さらに、排気系の排気量を制御して、容器内の環境を制御することを特徴とする2.〜5.のいずれかに記載の海水濃縮装置。
1.本発明は、密閉容器内を上昇する空気流を低温から高温に変化させることにより、下方より上方の飽和水蒸気量を大きくし、容器上方から散水して滴下する海水から蒸発する水分量を多くすることにより、吸気の蒸発能力を高めて海水を効率的に濃縮する方法である。
また、外界から閉鎖された密閉容器を利用して、海水を散水し、循環させる装置構成にしたので、高い濃縮効率を備え、環境の影響を受けずに海水を清潔に濃縮できる装置である。
2.循環する海水を加熱して、加温された海水を散水することにより、容器上部側の空気温度を上昇させること、多孔体層を通過させることにより海水が上昇気流に接触する時間が長くなり、蒸発量を確保して、吸気の蒸発能力を高めることができる。
3.吸気を除湿あるいは冷却することにより、水分が少なくなり、容器上部側の空気の飽和水蒸気量との差を大きくし、蒸発できる水分量を大きくして、濃縮促進を図る。
4.散水装置の下方に通水性多孔体層を配置して、上方から散水供給される海水と、通水性多孔体層の下方に供給される外気と通水性多孔体層内で接触させることにより、水分を蒸発させて、上部に設けた排気パイプから外部へ排気するので、効率的な濃縮を行うことができる。
5.吸気温度/湿度、散水する海水温度を計測して、吸気温度/湿度及び循環する海水温度をコントロールすることにより、計画的な濃縮ができる。排気量をコントロールすることにより、排気に含まれる含水量を飽和に近くして、効率を上げることができる。また、排気量を大きくすると、しぶき(水滴)が含まれることとなり、海水の損失にもなるので、蒸気の状態で排気されるようにする。
さらに、海水濃度センサーによって、濃縮状態を把握し、一定の品質の濃縮液を取り出すことができ、後段の結晶化工程管理が容易になる。
本発明で得られる塩は、イオン交換膜法で製造した塩などとは異なり、ミネラルなどを含む自然味の豊かな海水由来の天然塩であって、天日や野風を用いていないので、濃縮工程でゴミなどが混入せずに、清潔な塩ができる。
本発明の海水濃縮装置の一例を示す図。 多孔体層を形成する通水性多孔体小片の例を示す図。 試験例と参考例の液量の減少経過を示すグラフ。 従来例である流下式塩田法の概略図。
本発明は、閉鎖系で海水を効率的、清潔に濃縮する方法であり、環境の影響を受けずに清潔に海水を濃縮する装置である。
密閉容器内の空気に関し、下方よりも上方の飽和水蒸気量を大きくして、容器上方から散水される海水の蒸散を促進して海水の濃縮を促進する方法及び装置である。
本装置は、密閉された容器と、容器中間部に配置された通気性の多孔体層と、容器内に取り込んだ海水を循環させる海水循環系と、容器内に吸気する吸気系と、容器外へ排気する排気系と、海水を取水、排水する海水給排水系とを備えており、海水循環系には、加熱装置が設けられている。
容器は、縦長の密閉容器が適しており、上部に排気口、側下部に吸気口、下方に海水の取水口と排水口、循環する海水の取水口と散水口が設けられており、中間に多孔体層が配置されている。
海水循環系は、循環する海水の取水口と散水口の間を連絡する配管とポンプ及び配管途中に設けられた加熱装置を備えている。さらに、循環する加温後の海水の温度センサー及び濃度センサーを設けて、容器上部の環境温度及び海水の濃度管理を行うことができる。
排気系は、容器上部の排気口に接続する排気管と送風機を備えている。送風機をコントロールすることにより、容器内を流れる空気量を調整することができる。
吸気系は、容器の側下部に設けられた吸気口に接続する吸気管を備えている。吸気系には冷却/除湿する空調機、吸気温度センサー、吸気湿度センサー、フィルターなどを付加することができる。吸気の湿度や温度を計測することにより、容器内の環境制御を行い、濃縮管理に寄与することができる。
海水給排水系は、容器下部側に取水口、排水口が設けられており、ポンプを用いて、自然の海水を取水あるいは排水する。
取水口と排水口は兼用して、バルブ操作により切り替えて使用することもできる。特に、バッチ処理をする場合は、兼用でも良い。
多孔体層は、通水性を備えた一定の厚みを備えた層であって、多孔体層は一体に形成されたもの、あるいは、個体を沢山集めて構成する。散水されて容器内を滴下する海水が多孔体層に接触することにより、上昇する空気との接触時間が長くなり、蒸散量を大きくする機能を果たす。
多孔体層を形成する物体は、貫通する小孔が多数設けられた集合体、あるいは、壁面が屈曲している穴を備えた多孔体、又は、多孔性の粒状体の集層全体、密実な小球体の集合、多孔体小片の集合など、層全体として通水性を備えている構成の物質とする。ただし、壁面に塩類が析出して、詰まりやすいものは適していない。
容器内下部から上方へ容器内の海水を循環する過程で、海水を加温して、容器上部から散水することにより、滴下しながら、周囲の空気温度を上げ、それに従い、飽和水蒸気量も大きくなるので、容器下部側よりも容器上部側の飽和水蒸気量を大きくすることとなり、上部側にて蒸発量を維持し、排気される湿気量が大きくなる海水の濃縮方法である。
この蒸発量をコントロールするために、散水する海水の温度、吸気の湿度・温度、濃縮海水の濃縮度(塩分濃度など)を測定して、濃縮制御を行う。
図1に本発明の海水濃縮装置Aの例を示す。
海水濃縮装置Aは、密閉された容器1と、密閉容器1の中間部に配置された通気性の多孔体層7と、容器内に取り込んだ海水を循環させる海水循環系4と、容器内に吸気する吸気系3と容器外へ排気する排気系2と、海水を取水、排水する海水給排水系5を備えており、海水循環系4には、加熱装置41が設けられている。
密閉容器1は、縦長の密閉形が適しており、上部に排気口21、側下部に吸気口31、下方に海水の取水口51、排水口52、循環する海水の取水管42と散水管43が挿入されており、中間に多孔体層7が配置されている。
海水循環系4は、循環する海水の取水管42と散水管43の間を連絡する配管44a、44bとポンプ45及び配管途中に設けられた加熱装置41を備えている。さらに、海水の濃度センサーs1と循環する加温後の海水の温度センサーs2を設けて、海水の濃度管理及び容器上部の環境温度管理を行う。ポンプから出口を分離して、濃縮した海水を貯蔵タンク6などの後工程へ送る。散水する水滴の大きさは、次のような事情を考慮して決める。水滴が小さいと熱損失が早く、大きくなると徐々に放熱して、多孔体層も加温することができる。また、霧状では、排気に吸い込まれて海水の損失になる可能性があり、大きすぎると、高温のままタンク下部の海水溜まりに落下して、タンク下部の温度が上昇し、タンク上部との温度差が小さくなって、濃縮効率を下げることになる。
排気系2は、容器上部の排気口21に接続する排気管22と送風機23を備えている。送風機23をコントロールすることにより、容器内を流れる空気量を調整する。
吸気系3は、容器の側下部に設けられた吸気管34を備えている。吸気系には冷却/除湿する空調機32、吸気温度センサーs3、吸気湿度センサーs4、フィルター33を備えている。フィルターは、吸気空気の浄化により密閉容器内へのゴミ等の混入を防止し清潔な塩を作ることができる。吸気の湿度や温度を計測することにより、容器内の環境制御を行い、吸気の湿気含有能力から排気中に取り込むことができる水蒸気量を推定し、濃縮管理に役立てる。
海水給排水系5は、容器下部側に取水口51、排水口52が設けられており、ポンプ(図示外)を用いて、自然の海水を取水あるいは濃縮残渣などを排出する。
取水口と排水口は兼用して、バルブ操作により切り替えて使用することもできる。特に、バッチ処理をする場合は、兼用でも良い。
多孔体層7は、図2に示される多孔体小片71を積み上げて形成されている。この多孔体小片71は、一辺の翼片75と窓空き筒体72を2つ連結平板73で接続し、さらに連結平板73の端部でクロスするように連結し、側周に湾曲片74を回周したものである。円筒の壁面と湾曲した曲面、片状の壁面などが隙間をもって複雑に交差した、全体として多孔の小片である。
海水濃縮装置Aを用いて、例えば、次のようにして海水を濃縮する。
(1)密閉容器1の底部側の取水口51から海水を一定量取り込む。
(2)空調機32を操作して、吸気の湿度、温度を設定する。冬場で外気が乾燥している場合などは、乾燥し低温であるので、この吸気は温度が上昇すると十分に湿気を含むことができるので、空調の必要がないなど、空調機の操作は環境によって変化する。
(3)送風機23を駆動して、排気口21から排気して、密閉容器内で、多孔体層7を下方から上方に移動する上昇気流を発生させる。上昇気流の速度は送風機の操作で調整する。
(4)ポンプ45を作動させて、密閉容器下部の海水溜まり11から海水を、密閉容器上部の散水管43から散水して、海水を上方から下方に向けて滴下する。散水する海水は循環の途中に設けられた加熱装置41で加熱して、昇温させる。加温した海水13を散水12することにより、容器上部側の空気の温度も上昇する。
(5)多孔体層7で、滴下する海水と上昇する空気が接触し、空気側に湿気が移行し、滴下海水の温度は気化熱分低下していくので、多孔体層下部側では吸気の温度は低温状態であり、上方に向かって高温となり、それにつれて、飽和水蒸気量も大きくなるので、多孔体層7の上下全層で海水の濃縮を維持することができる。
(6)一定の濃度まで濃縮された濃縮海水16は送液ポンプの出口ポートを変えて、貯蔵タンク6などへ送る。さらに、この濃縮海水は、釜炊きなどにより、製塩される。
(7)新たに、海水を取水し、次バッチの濃縮処理を行う。ただし、密閉容器には、濃縮過程で発生した沈殿残渣などが残るので、バッチ毎あるいは残留物の状態に応じて、密閉容器を水などで洗浄し、排水口52から排水する。
海水濃縮装置Aでは、海水を取水し、密閉された容器内で海水を循環させながら、排気中に水分を取り込んで排出して、濃縮海水を効率的に製造することができる。特に、吸気が上昇するに従い昇温する構造としたので、吸気が上昇に従い湿気分を含むことができる蒸発能力維持をすることができるので、効率よく濃縮できる。空気の温度を下方から上方に向けて高くなるように温度勾配を生成するために海水を加温して散水し、滴下するにつれて、熱を放出する手段を講じる設備として、海水循環配管に熱交換機を設置することにより、安定した温度の海水を上部より散布でき、円筒容器内にヒータなどの加熱装置を設ける必要が無く、シンプルな構造であり、海水に接触する機械部品が少なくなるので、故障などのトラブルの少ない装置構成を実現している。
海水濃縮制御は、吸気と排気に含まれる湿気量の差をコントロールすることになる。
吸気側の要素は、温度と湿度であるので、低温化、低湿度化を制御因子とする。
排気側の要素は、吸気との温度差と排気温度における飽和水蒸気量である。本発明では、排気側の温度を上げる手段として、循環する海水を加温して、散水によって昇温させる手段としている。さらに、排気スピード(量)を大きくしすぎると、十分に気化するが時間なく、また、しぶきまで排出することが確認されたので、排気量も制御因子となる。
濃縮制御の一例は、排気温度と湿度を計測して排気中の水分量を算出し、吸気の温度と湿度から吸気中の水分量を算出し、その差分をその時点の濃縮能力として、濃縮予測を立てて行うこととなる。
<試験例>
図1に記載した海水濃縮装置Aを使用して海水濃縮をおこなった。
試験データを表1に示す。
密閉容器1内に自然の海水を40リットル引き込み、4.4リットルになるまで2085分間稼動して濃縮した。滴下する海水は40℃に加温した。吸気した空気は、平均で24.8℃、湿度は平均で73.5%、排気ブロワーは1.3m/minである。排気の温度は平均で32.8℃、湿度は平均で96.2%であった。密閉容器内の海水は、タンク下部で31.3℃、タンク上部で32.1℃であった。
本試験例の結果、1時間当たりの平均蒸発量は1.02L/hr、である。吸気と排気の温度と湿度は、前記のとおり、平均で吸気が24.8℃、73.5%であり、排気が32.8℃、96.2%であり、含まれる水蒸気量はそれぞれ17.0g/m、35.8g/mであり、排出される水蒸気量は18.8g/mとなっている。
排気温度の飽和水蒸気量は37.2g/mであるので、論理的最大の排気可能な蒸気量は、20.16g/m(37.2−17.0)であり、この論理的最大の排気可能な蒸気量に対する実際の排気蒸気量を実効蒸発効率とすると、93%(18.8/20.16×100)である。
<参考例>
試験例と同様に図1に記載した海水濃縮装置Aを使用して、加温しない条件で海水濃縮をおこなった。試験データを表2に示す。
密閉容器1内に自然の海水を40リットル引き込み、3.0リットルになるまで5440分間稼動して濃縮した。滴下する海水は加温していない。吸気した空気は、平均で25.7℃、湿度は平均で60.8%、排気ブロワーは1.3m/minである。排気の温度は平均で25.8℃、湿度は平均で69.9%であった。密閉容器内の海水温は、23.3℃であり、滴下する循環海水温も同温度となる。
本試験例の結果、1時間当たりの平均蒸発量は0.41L/hr、である。吸気と排気の温度と湿度は、前記のとおり、平均で吸気が25.7℃、60.8%であり、排気が25.8℃、69.9%であり、含まれる水蒸気量はそれぞれ14.9g/m、17.2g/mであり、排出される水蒸気量は2.36g/mとなっている。
排気温度の飽和水蒸気量は24.6g/mであるので、論理的最大の排気可能な蒸気量は、9.76g/m(24.6−14.9)であり、この論理的最大の排気可能な蒸気量に対する実際の排気蒸気量を実効蒸発効率とすると、24%(2.36/9.76×100)である。
本試験例では、タンク下部から31.3℃の海水を40℃に加温して、容器上部から滴下散水すると、下部から吸気された24.8℃、湿度73.5%の空気と接触して、空気温度が上昇するとともに、滴下海水は気化熱が奪われて、32.1℃に低下し、空気は32.8℃、湿度96.2%となる。
試験例と参考例のデータから、散布する海水温度を加温すると、実行蒸発効率が24%から93%に格段に向上することが確認された。試験例と参考例の液量の減少経過グラフを図3に示すと、1/4の10リットルまで減少する時間で見ても、試験例では27時間(1620分)と参考例66時間(4000分)から、1/2.5と時間的にも各段に短くすることができる。
実行蒸発効率は、排気蒸気量が95%〜98%の湿度まで高められているので、他の要素として吸気蒸気量を減らすことにより実現できる。すなわち、吸気空気の低温化と乾燥をさせることにより実現することとなる。
なお、本海水濃縮装置では、ブロワーの排気量を調整した試験では、排気量を大きくしすぎると、排気に飛沫が含まれることとなる。あるいは、散布する水滴を霧状に小さくすると低排気量でも霧状で廃棄されてしまい、海水損失が発生することが確認できている。ブロワーの排気量と水滴の大きさについても、海水濃縮装置の調整要素である。
シャワー状に散水して、通水性多孔体の表面を濡らすことにより、空気との接触
時間を長くして、空気加温と蒸発効率を向上させることができる。
A 海水濃縮装置

1 密閉容器
11 海水溜まり
12 散水
13 加温海水
16 濃縮海水

2 排気系
21 排気口
22 排気管
23 送風機

3 吸気系
31 吸気口
32 空調機
33 フィルター
34 吸気管

4 海水循環系
41 加熱装置
42 取水管
43 散水管
44a、44b 配管
45 ポンプ

5 海水給排水系
51 取水口
52 排水口
53 取水口

6 貯蔵タンク
7 多孔体層
71 多孔体小片
72 窓空き筒体
73 連結平板
74 湾曲片
75 翼片

s1 海水の濃度センサー
s2 海水の温度センサー
s3 吸気温度センサー
s4 吸気湿度センサー

Claims (6)

  1. 密閉容器の下方よりフィルターを介して吸気し、上方から排気する空気流と、
    下部側に滞水する海水を上方より散水して、容器内で空気流と滴下水とを接触させて、
    循環させて濃縮する海水濃縮方法において、
    密閉容器の下部側から吸い込む清浄な吸気温度よりも容器上部側の温度を高温にすることにより、吸気よりも容器上部側の飽和水蒸気量が大きくなる原理を利用し濃縮効率を促進する海水濃縮方法であって、
    下部側から吸い込む吸気温度と湿度と、散水する海水の温度を制御して、実効蒸発効率をコントロールすることを特徴とする海水濃縮方法。
  2. 海水を容器上部で散水して濃縮する濃縮装置であって、
    密閉された容器と、
    容器中間部に配置された通気性の多孔体層と、
    容器内に取り込んだ海水を循環させる海水循環系と、
    容器内に吸気する吸気系と、
    容器外へ排気する排気系と、
    海水を取水、排水する海水給排水系と、
    を備えており、
    海水循環系には、温度センサーと加熱装置が設けられており、
    吸気系には、温度センサーと湿度センサーと、冷却機能あるいは除湿機能を備えた空調装置が設けられていて、
    海水循環系の温度センサーで検出される海水温度と、吸気系の温度センサーと湿度センサーで検出される空気の温度と湿度に基づいて、吸気系の空調装置及び海水循環系の加熱装置を制御して、容器内の環境を制御することを特徴とする海水濃縮装置。
  3. 容器側部には、吸気系の吸気口が多孔体層の下部側に設けられており、
    容器上部には、排気系の排気口が設けられており、
    容器内部には、海水循環系の散水口が多孔体層の上方に設けられていることを特徴とする
    請求項2記載の海水濃縮装置。
  4. 容器内の環境制御は、高い実効蒸発効率を実現するように海水温度と、吸気される空気の温度と湿度を制御することを特徴とする請求項2又は3記載の海水濃縮装置。
  5. 多孔体層は、多数小孔体の集合体、湾曲面を有する多孔体又は小粒体の集合体を備えて
    いることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の海水濃縮装置。
  6. さらに、排気系の排気量を制御して、容器内の環境を制御することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の海水濃縮装置。
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